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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】トロカーのバルブ機構
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20220916BHJP
【FI】
A61B17/34
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018009483
(22)【出願日】2018-01-24
(65)【公開番号】P2019126514
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390029676
【氏名又は名称】株式会社トップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 公平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 浩
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-292678(JP,A)
【文献】特開2000-262529(JP,A)
【文献】特開2003-061971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具のトロカーへの挿抜時、当該医療器具と内筒部及び前記内筒部の上方から嵌合される外筒部を備える当該トロカーとの間を気密状態に保持する中空円管形状のトロカーのバルブ機構において、
可撓性を有し、前記トロカーの軸線に交差する方向に設けられる第1弁体であって、
前記トロカーの前記外筒部と前記内筒部によって挟持される円環状の取付部と、
当該取付部の内周面の下端部から、その下面が前記トロカーの軸線に向かって薄板状に延び、その中央部に貫通孔を有して円環状に形成された当接部と備え、
前記医療器具の挿抜時、当該貫通孔の縁部で前記医療器具の外周面に気密状態で当接する第1弁体と、
当該第1弁体に隣接して当該第1弁体よりも奥側に設けられ、可撓性を有し、前記医療器具の非挿入時は前記当接部の面に当接することにより前記貫通孔を閉鎖するとともに、前記医療器具の挿入時、当該医療器具によって押されて待避することにより、前記貫通孔を開放する板状の第2弁体と、を備え、
前記第1弁体は、前記貫通孔を囲むように、前記当接部の面の周方向に沿って当該面の少なくとも一部の部位に設けられた凹部を有し、前記医療器具の挿入時、当該凹部の底部を基点として前記医療器具の挿入方向に向かって傾斜した状態に変形するとともに、前記医療器具の抜去時、当該凹部の当該底部を基点として前記医療器具の抜去方向に向かって傾斜した状態に変形するように構成されていることを特徴とするトロカーのバルブ機構。
【請求項2】
前記凹部は、前記第1弁体の面の周方向に沿って当該面の全周に渡って形成された溝で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のトロカーのバルブ機構。
【請求項3】
前記貫通孔の縁部は、前記トロカーの中心側に向かって凸に湾曲した曲面状に形成されていることを特徴とする請求項12のいずれかに記載のトロカーのバルブ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の挿抜時、医療器具とトロカーとの間を気密状態に保持するトロカーのバルブ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トロカーのバルブ機構として、特許文献1に記載されたものが知られている。このバルブ機構は、トロカーが人体に装着されている状態で、医療器具をトロカーに対して挿抜する際、医療器具とトロカーとの間を気密状態に保持するものであり、ダックビル弁及びドーム型弁を備えている。
【0003】
これらのダックビル弁及びドーム型弁は、いずれもトロカーのヘッド部に設けられており、このダックビル弁によって、医療器具がトロカーに挿入されていないときに、人体内に充填されたガスの漏洩が防止される。また、ドーム型弁は、ヘッド部のダックビル弁よりも医療器具の挿入口側に配置されており、医療器具をトロカーに対して挿抜する際、ドーム型弁とダックビル弁の協働によって、医療器具とトロカーとの間が気密状態に保持され、その結果、ガスの漏洩が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-150216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のバルブ機構によれば、ダックビル弁及びドーム型弁という比較的、大きなサイズの2つのバルブをトロカーの軸線方向に並べて配置する構造であるため、バルブ機構自体が大型化し、トロカーにおけるバルブ機構の設置部分のサイズが大型化してしまうという問題がある。また、医療器具の挿抜時、ドーム型弁とダックビル弁の双方が医療器具の外周面の全周に渡って当接した状態で医療器具がスライドする構造である関係上、挿抜時の摺動抵抗が大きくなってしまい、最悪の場合には、トロカーが人体から外れてしまうおそれがある。同じ理由により、使用頻度の増加に伴い、ドーム型弁とダックビル弁が劣化しやすく、結果的に、寿命が短くなってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、サイズの小型化、医療器具の挿抜時における摺動抵抗の低減、及び長寿命化をいずれも実現することができるトロカーのバルブ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、医療器具のトロカーへの挿抜時、医療器具とトロカーとの間を気密状態に保持するトロカーのバルブ機構において、トロカーの内壁から内壁の全周に渡って突出し、貫通孔を有する円板状に形成され、可撓性を有し、医療器具の挿抜時、貫通孔の縁部で医療器具の外周面に気密状態で当接する第1弁体と、第1弁体に隣接して第1弁体よりも奥側に設けられ、可撓性を有し、常時は第1弁体の裏面に当接することにより貫通孔を閉鎖するとともに、医療器具の挿入時、医療器具によって押されて待避することにより、貫通孔を開放する板状の第2弁体と、を備えることを特徴とする。
【0008】
このトロカーのバルブ機構によれば、可撓性を有する第1弁体がトロカーの内壁の全周に渡って突出し、貫通孔を有する円板状に形成されているとともに、医療器具の挿抜時、貫通孔の縁部で医療器具の外周面に気密状態で当接するので、医療器具とトロカーとの間を気密状態に保持することができる。また、可撓性を有する第2弁体が、常時は第1弁体の裏面に当接することにより貫通孔を閉鎖しているので、トロカーが人体に装着され、人体内にガスが充填されている状態では、そのガスの圧力が第2弁体を第1弁体の裏面に押しつけるように作用することになる。その結果、ガスの漏洩を防止することができる。
【0009】
さらに、第1弁体が円板状に形成され、板状の第2弁体が、第1弁体に隣接して第1弁体よりも奥側に設けられ、常時は第1弁体の裏面に当接しているので、ドーム型弁とダックビル弁を備えた特許文献1の場合と比べて、バルブ機構の軸線方向のサイズを小型化することができる。これに加えて、第2弁体が、医療器具の挿入時、医療器具によって押されて待避するように構成されているので、医療器具の挿抜時、第2弁体が医療器具の外周面の周方向の一部に当接する状態となることで、外周面の周方向の全周に渡って当接する場合と比べて、第2弁体と医療器具との間の摺動抵抗を低減することができる。
【0010】
本発明において、第1弁体は、貫通孔を囲むように、第1弁体の裏面の周方向に沿って裏面の少なくとも一部の部位に設けられた凹部を有し、医療器具の挿入時、凹部の底部を基点として医療器具の挿入方向に向かって傾斜した状態に変形するとともに、医療器具の抜去時、凹部の底部を基点として医療器具の抜去方向に向かって傾斜した状態に変形するように構成されていることが好ましい。
【0011】
このトロカーのバルブ機構によれば、第1弁体が、医療器具の挿入時、凹部の底部を基点として医療器具の挿入方向に向かって傾斜した状態に変形するとともに、医療器具の抜去時、凹部の底部を基点として医療器具の抜去方向に向かって傾斜した状態に変形するように構成されているので、医療器具の挿抜時、第1弁体が医療器具の外周面に当接する部位の面積を低減することができ、医療器具との間の摺動抵抗を低減することができる。それにより、第1弁体の寿命を延ばすことができる。
【0012】
本発明において、凹部は、第1弁体の裏面の周方向に沿って裏面の全周に渡って形成された溝で構成されていることが好ましい。
【0013】
このトロカーのバルブ機構によれば、凹部は、第1弁体の裏面の周方向の全周に渡って形成された溝で構成されているので、第1弁体が、医療器具の挿抜時、第1弁体の裏面の周方向の全周に渡って形成された溝の底部を基点として変形することになる。それにより、第1弁体がより変形しやすくなることで、挿抜時の摺動抵抗をさらに低減することができる。それにより、第1弁体の寿命をさらに延ばすことができる。
【0014】
本発明において、貫通孔の縁部は、トロカーの中心側に向かって凸に湾曲した曲面状に形成されていることが好ましい。
【0015】
このトロカーのバルブ機構によれば、貫通孔の縁部は、トロカーの中心側に向かって凸に湾曲した曲面状に形成されているので、医療器具の挿抜時、第1弁体が医療器具の外周面に当接する面積をさらに低減することができ、それにより、医療器具との間の摺動抵抗をより一層、低減することができる。その結果、第1弁体の寿命をより一層、延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るバルブ機構を備えたトロカーの外観を示す正面図である。
図2】バルブ機構の構成を示す断面図である。
図3図2のA部の拡大図である。
図4】第1弁体の平面図である。
図5図4のB-B断面図である。
図6】第1弁体の底面図である。
図7】第2弁体の平面図である。
図8】第2弁体の断面図である。
図9】医療器具の挿入時のバルブ機構の動作を示す断面図である。
図10図9のC部の拡大図である。
図11】医療器具の抜去時のバルブ機構の動作を示す断面図である。
図12図11のD部の拡大図である。
図13】第1弁体の変形例を示す底面図である。
図14】第1弁体の他の変形例を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係るトロカーのバルブ機構について説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態のバルブ機構10は、トロカー1に適用されたものであり、このトロカー1は、医療現場での腹腔鏡下手術などにおいて、医療器具(例えば腹腔鏡)を人体内に挿入するために用いられる。なお、以下の説明では、便宜上、図1の上側を「上」といい、下側を「下」という。
【0018】
トロカー1は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート)製の中空管形状のものであり、挿入管部2及びヘッド部3を一体に備えている。この挿入管部2は、手術時、人体に装着されたポート(図示せず)の取付孔に挿入され、それにより、腹腔内に挿入される部位である。この挿入管部2は、図示しないが、医療器具を内部に通すために、中空の管状に形成され、その下端が開口している。
【0019】
また、ヘッド部3は、挿入管部2の上端部に連続して設けられており、図2に示すように、内筒部3a及び外筒部3bを備えている。この内筒部3aは、挿入管部2と一体に形成された円筒形のものであり、その上端面には、12本のピン3c(2つのみ図示)が設けられている。これらのピン3cの各々は、上方に突出し、後述する第2弁体12のピン孔12bを貫通して、後述する第1弁体11のピン穴11bに嵌合している。
【0020】
一方、外筒部3bは、その内径が内筒部3aの外径とほぼ同一に構成された円筒形のものであり、内筒部3aに上方から嵌合している。外筒部3bは、その上端開口が医療器具を挿抜するための挿抜口3dになっており、その挿抜口3dの縁部の下面には、押圧部3eが形成されている。この押圧部3eは、上述したピン3cに対向する位置に配置されており、その断面が下方に凸の半円形に構成されている。
【0021】
また、バルブ機構10は、第1弁体11及び第2弁体12を備えており、これらの第1弁体11及び第2弁体12は、ヘッド部3に一体に固定されている。
【0022】
第1弁体11は、可撓性を有する合成ゴム(例えばシリコンゴム)製の円板状ものであり、丸い貫通孔11dが中央部に形成されている。第1弁体11は、図2~6に示すように、取付部11a及び当接部11cを備えている。
【0023】
この取付部11aは、第1弁体11の外側端部の全周に渡って円環状に形成されており、その断面が矩形に設定されているとともに、その下面には、12個の丸いピン穴11bが互いに等間隔で同心円上に並ぶように設けられている。
【0024】
第1弁体11は、ヘッド部3のピン3cが取付部11aのピン穴11bに嵌合し、押圧部3eによって上方から押圧され、弾性変形した状態で、第2弁体12とともに、外筒部3b及び内筒部3aによって挟持されている。それにより、第1弁体11及び第2弁体12は、ヘッド部3に対して、抜け止め状態で固定されている。
【0025】
また、当接部11cは、取付部11aの内周面の下端部から、その下面が取付部11aの下面と面一の状態で中心に向かって薄板状に延びており、円環状に形成され、その中央部に貫通孔11dを有している。この貫通孔11dは、その縁部の表面が中心に向かって凸の湾曲面状に構成されており(図3参照)、その径は、トロカー1内に挿入される医療器具の外径よりも若干小径に設定されている。
【0026】
さらに、当接部11cの下面には、円環状の溝11eが形成されている。この溝11eは、貫通孔11dと同心に配置され、その断面が三角形状に構成されている。
【0027】
一方、第2弁体12は、可撓性を有する合成ゴム(例えばシリコンゴム)製の板状のものであり、第1弁体11の当接部11cよりも薄く形成されている。図7及び図8に示すように、第2弁体12の一端部は、取付部12aとなっており、この取付部12aには、3個のピン孔12bが設けられている。
【0028】
第2弁体12は、ヘッド部3の3つのピン3cがこれらのピン孔12bを貫通し、第1弁体11のピン穴11bに嵌合した状態で、第1弁体11とともに、外筒部3b及び内筒部3aによって挟持されている。それにより、第2弁体12は、通常時、その上面が第1弁体11の下面に面接触状態で密着し、貫通孔11dを閉鎖する状態に保持されている(図2及び図6参照)。また、第2弁体12の取付部12aと反対側の端部は、自由端部12cとなっており、円弧状に形成されている。
【0029】
次に、以上のように構成された本実施形態のバルブ機構10の動作について説明する。このバルブ機構10の場合、図2及び図3に示すように、通常時すなわち医療器具の非挿入時、第2弁体12は、その上面が第1弁体11の当接部11cの下面に当接し、貫通孔11dを閉鎖する。それにより、トロカー1の内部が気密状態に保持される。
【0030】
特に、トロカー1が人体に装着された状態で、医療器具が挿入されていない場合において、腹腔内に充填されたガスの圧力が第2弁体12に作用したときでも、第2弁体12が第1弁体11側に押しつけられ、ワンウェイバルブとして機能することで、トロカー1の内部が気密状態に保持される。
【0031】
一方、図9及び図10に示すように、医療器具4をトロカー1内に挿入するときには、第2弁体12は、医療器具4に押されて下方に折れ曲がり、第1弁体11の貫通孔11dを開放するとともに、その一部が医療器具4の外周面に当接した状態となる。
【0032】
これと同時に、第1弁体11の当接部11bは、溝11eの底部(すなわち溝11eの上部)を基点として、医療器具4の挿入方向に向かって傾斜した状態に変形しながら、貫通孔11dの縁部で医療器具4の外周面の全周に渡って当接する。それにより、医療器具4をトロカー1内に挿入した際、ガスが腹腔内から抜けないように、医療器具4とトロカー1との間が第1弁体11によって気密状態に保持される。
【0033】
また、上記とは逆に、図11及び図12に示すように、医療器具4をトロカー1から抜去する際、第2弁体12は、その一部が医療器具4の外周面に当接した状態となる。
【0034】
これと同時に、第1弁体11の当接部11bは、溝11eの底部を基点として、医療器具4の抜去方向に向かって傾斜した状態に変形しながら、貫通孔11dの縁部で医療器具4の外周面の全周に渡って当接する。それにより、医療器具4をトロカー1から抜去する際、ガスが腹腔内から抜けないように、医療器具4とトロカー1との間が第1弁体11によって気密状態に保持される。
【0035】
以上のように、本実施形態のトロカー1のバルブ機構10によれば、第1弁体11および第2弁体12がいずれも板状に形成されているので、ダックビル弁及びドーム型弁を用いる特許文献1の場合と比べて、トロカー1におけるバルブ機構10の設置部分のサイズ、特に軸線方向のサイズを小型化することができる。
【0036】
また、医療器具4をトロカー1に挿入する際、第1弁体11は、溝11eの底部を基点として、医療器具4の挿入方向に向かって傾斜した状態に変形しながら、貫通孔11dの縁部で医療器具4の外周面の全周に渡って当接するので、医療器具4の挿入時、第1弁体11が医療器具4の外周面に当接する部位の面積を低減することができる。これと同時に、第2弁体12は、その一部が医療器具4の外周面に当接した状態となるので、第1弁体11が医療器具4の外周面に当接する部位の面積も低減することができる。
【0037】
これとは逆に、医療器具4をトロカー1から抜去する際、第1弁体11は、溝11eの底部を基点として、医療器具4の抜去方向に向かって傾斜した状態に変形しながら、貫通孔11dの縁部で医療器具4の外周面の全周に渡って当接するので、医療器具4の抜去時、第1弁体11が医療器具4の外周面に当接する部位の面積を低減することができる。これと同時に、第2弁体12は、その一部が医療器具4の外周面に当接した状態となるので、第1弁体11が医療器具4の外周面に当接する部位の面積も低減することができる。
【0038】
これに加えて、貫通孔11dの縁部がトロカー1の中心側に向かって凸に湾曲した曲面状に形成されているので、医療器具4の挿抜時、第1弁体11が医療器具4の外周面に当接するときの接触面積をさらに低減することができる。以上の理由により、医療器具4をトロカー1から挿抜する際、医療器具4との間の摺動抵抗を低減することができるとともに、第1弁体11の寿命を延ばすことができる。
【0039】
なお、実施形態は、第1弁体11の凹部として円環状の溝11eを用いた例であるが、本発明の凹部はこれに限らず、貫通孔を囲むように、第1弁体の裏面の周方向に沿って裏面の少なくとも一部の部位に設けられたものであればよい。
【0040】
例えば、凹部として、図13に示すように、貫通孔11dを囲むように周方向に互いに離間して配置された4つの溝11fを用いてもよい。このように構成した場合でも、実施形態と同じ作用効果を得ることができる。なお、この溝11fの数は、4つに限らず、2つ,3つ又は5つ以上に設定してもよい。
【0041】
また、凹部として、図14に示すように、貫通孔11dを囲むように周方向に等間隔で配置された多数の円形の穴11gを用いてもよい。このように構成した場合でも、実施形態と同じ作用効果を得ることができる。なお、この穴11gの形状を、円形に代えて、楕円形や矩形などに設定してもよい。
【0042】
さらに、実施形態は、溝11eの断面形状を三角形に構成した例であるが、これに代えて、溝11eの断面形状を、U字状、矩形状及び台形状などに構成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 トロカー
4 医療器具
10 バルブ機構
11 第1弁体
11e 溝(凹部)
11d 貫通孔
12 第2弁体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14