(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】積層トレー分離機のトレー補給装置と方法
(51)【国際特許分類】
B65B 43/44 20060101AFI20220916BHJP
【FI】
B65B43/44 A
(21)【出願番号】P 2018081262
(22)【出願日】2018-04-20
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】牧野 伸司
(72)【発明者】
【氏名】越智 一志
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-173224(JP,A)
【文献】実開平04-016101(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層トレーを収容して最下端トレーから分離する分離手段へ案内する案内樋と、案内樋の横側に沿って延設された複数の補給用の積層トレーが載置可能な受棚と、案内樋に収容された積層トレーの残量が所定量以下になれば、補給用の積層トレーを案内樋に向けて順次、横送りする横送手段が設けられた積層トレー分離機のトレー補給装置において、
横送りされた積層トレーを受けて、積層トレーを積層方向に平行な軸を中心として90度回動させて案内樋内に補給する移送具が設けられたことを特徴とする積層トレー分離機のトレー補給装置。
【請求項2】
移送具が横送手段による積層トレーの横送りを妨げないように出退自在とされ、該移送具を退去させて、積層トレーを載置姿勢のまま案内樋内に補給されるよう、切替自在とされたことを特徴とする請求項1に記載の積層トレー分離機のトレー補給装置。
【請求項3】
分離手段によって分離されたトレーを受けて案内樋における積層トレーの積層方向に沿って盛付位置へ搬送する搬送手段と、盛付位置で待機するトレーに盛付材を供給する供給手段が設けられ、
盛付材は、一定の幅Daと1個のトレーへの盛付量に応じて設定される長さEaとで方形に
成形されて幅Da側がトレーの搬送方向に沿うように供給され、
トレーは、幅Dが盛付材の幅Daに、長さEが長さEaに適合する幅D及び長さEである方形のトレーFを使用するとともに、
請求項1に記載のトレー補給装置を使用して、トレーFが積層された補給用の積層トレーFmを、幅D側を受棚に向けて載置し、移送具によって幅D側を盛付材の幅Daに対向する姿勢に変更して案内樋内に補給させることを特徴とする積層トレー分離機のトレー補給方法。
【請求項4】
請求項
3に記載のトレー補給方法において、トレーFにおける幅Dより長さEが短いトレーFを使用する際には、補給用の積層トレーFmの長さE側を受棚に向けて載置し、移送具を退去させて積層トレーFを載置姿勢のまま案内樋内に補給させることを特徴とする請求項2に記載のトレー補給装置を使用した積層トレー分離機のトレー補給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品包装などに用いられる発泡樹脂などで造られたトレーが複数個積層された積層トレーの最下端から一個ずつ分離する積層トレー分離機のトレー補給装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連する従来の積層トレーの分離機のトレー補給装置には、例えば特許文献1があり、この積層トレーの補給装置は、複数個のトレーが積層されたトレーブロック(積層トレー)を受板(棚)から繰出樋(案内樋)に向けて横送りする横送装置が設けられていて、繰出樋のトレーが無くなれば横送装置によって受板上に収納されている補給用のトレーブロックが横送りされて繰出樋に補給される構成である。
このような補給装置においては、盛付量に応じてトレーサイズが変更される都度横送装置の調整を要した。
【0003】
そこで、本出願人は、トレーの一辺を盛付材の幅に適合する寸法に合わせて一定とし盛付量に応じて他辺の寸法のみを変更する方法(特許文献2)を提案した。
このトレーを使用して、積層トレーの一定とされた一辺側を補給装置の受板に向けて収納させれば、トレーサイズが変わっても横送装置の調整を要しないが、分離されてからのトレーの姿勢を、盛付材の姿勢に合わせなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-295621号公報
【文献】特開2013-173224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述のような問題点に鑑み、トレーサイズの変更に伴う横送装置の調整を要しない使用方法、又、積層トレーの短辺側を受棚に向けて載置して一度に載置できる容量を増加させる使用方法が可能な、トレーサイズや状況に応じて使い分けのできる適応性に優れたトレー補給装置と方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、積層トレーを収容して最下端トレーから分離する分離手段へ案内する案内樋と、案内樋の横側に沿って延設された複数の補給用の積層トレーが載置可能な受棚と、案内樋に収容された積層トレーの残量が所定量以下になれば、補給用の積層トレーを案内樋に向けて順次、横送りする横送手段が設けられた積層トレー分離機のトレー補給装置において、横送りされた積層トレーを受けて、積層トレーを積層方向に平行な軸を中心として90度回動させて案内樋内に補給する移送具が設けられたことを特徴とする積層トレー分離機のトレー補給装置とされる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、移送具が横送手段による積層トレーの横送りを妨げないように出退自在とされ、該移送具を退去させて、積層トレーを載置姿勢のまま案内樋内に補給されるよう、切替自在とされたことを特徴とする請求項1に記載の積層トレー分離機のトレー補給装置とされる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、分離手段によって分離されたトレーを受けて案内樋における積層トレーの積層方向に沿って盛付位置へ搬送する搬送手段と、盛付位置で待機するトレーに盛付材を供給する供給手段が設けられ、盛付材は、一定の幅Daと1個のトレーへの盛付量に応じて設定される長さEaとで方形に成形されて幅Da側がトレーの搬送方向に沿うように供給され、トレーは、幅Dが盛付材の幅Daに、長さEが長さEaに適合する幅D及び長さEである方形のトレーFを使用するとともに、請求項1に記載のトレー補給装置を使用して、トレーFが積層された補給用の積層トレーFmを、幅D側を受棚に向けて載置し、移送具によって幅D側を盛付材の幅Daに対向する姿勢に変更して案内樋内に補給させることを特徴とする積層トレー分離機のトレー補給方法とされる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のトレー補給方法において、トレーFにおける幅Dより長さEが短いトレーFを使用する際には、補給用の積層トレーFmの長さE側を受棚に向けて載置し、移送具を退去させて積層トレーFを載置姿勢のまま案内樋内に補給させることを特徴とする請求項2に記載のトレー補給装置を使用した積層トレー分離機のトレー補給方法とされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トレーへの盛付材の幅に適合するように一定の寸法とされた積層トレーの一辺側を受棚に向けて載置することでトレーサイズが変更されても横送手段の調節が不要で、しかも、トレーの姿勢を盛付材の供給姿勢に合わせるように切り替え可能である。又、移送具の切り替えで所望する案内樋への補給姿勢が得られるので、トレーの短辺側を受棚に向けて載置することが可能となり一度に受棚に載置できる積層トレーの載置容量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る積層トレーの分離手段の要部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施例における積層トレーの分離機のトレー補給装置は、
図1~3に要部のみが記載されているが、トレー1を複数個積層させた積層トレー2を傾斜させて収容する案内樋3が図示しない機台に設けられている。
案内樋3は、積層トレー2を自重により傾斜方向に沿って滑落可能に収容し、崩れないように保持するために積層トレー2を規制するガイドが適宜設けられる。
尚、本実施例においては積層トレーを自重で滑落可能にしているが、適宜重錘などを使用した強制送り手段を装備したものであってもよい。
【0012】
案内樋3の底部付近には、積層トレー2の最下端トレー1から一個ずつ順次分離させるトレー分離手段が設けられる。
本発明における分離手段は、吸盤4と吸盤4を支持する支持部材5とからなる吸着具を、吸盤4が最下端トレー1の下面に吸着した状態で、移動させることにより積層トレー2を一個ずつ分離する構成としている。
【0013】
案内樋3の下方位置には分離手段によって分離されたトレー1を受けて案内樋3におけるトレー積層方向に沿って盛付位置へ搬送する搬送手段が設けられる。
本実施例における搬送手段は、分離されたトレー1を上面で受けて搬送するチェンコンベヤCであって、チェンコンベヤCは機台に軸支されたいずれかが駆動されるプーリー6,6間に掛け回され、所定の間隔でチェンコンベヤCに取着された係止片7,7がトレー1の後壁に接当して盛付材が供給される盛付位置に向けて搬送する。
【0014】
盛付材のトレー1への供給手段は、本実施例においては図示しない食肉スライサーから切り出される盛付材の例であるスライス肉8を受けて、1パック分量ごとに仕切られ2列が同時に送り出されるベルトコンベヤ9であって、ベルトコンベヤ9の終端部は図示しないがシャトルコンベヤとされ、トレー1上で出退してスライス肉8をトレー1,1内に同時に落下させて盛り付ける。
【0015】
次に、積層トレーの補給装置について
図2,3に基づき説明する。
案内樋3の横側には、同じ傾きの受棚10が延設される。受棚10は、積層トレー2を複数並べて載置可能な広さを有し、下端部には積層トレーの底部を受けて横方向に案内する案内柵11が延設される。又、受棚10には、上下方向の中間部付近と案内柵11寄りに積層トレー2の側部に接して案内樋3に向けて横送りするラグ12,12が横方向に移動可能に設けられる。
このラグ12
,12の間隔は、積層トレーの一定とされた寸法側を受棚10に向けて載置する場合には調節の必要はないが、寸法の異なる積層トレーの一辺を受棚10に向けて載置する場合には、積層トレー2の寸法に合わせて適宜手段で間隔を調整可能とする(図示省略)。
また、ラグ12は積層トレーを横送りして戻る時には退去するように起伏自在に移動棒に支持され、機体に横向きに取り付けられたエアーシリンダーによって所定区間を往復移動されて積層トレー2を横送りする構成とされる。
【0016】
受棚10の横送方向の終端部と案内樋3との境界には、横送りされた積層トレー2を受けて積層方向に平行な軸を中心として90度回動させて案内樋3内に補給する移送具13が設けられる。
本例における移送具13は、受棚10に沿って横送りされた積層トレー2の受棚10側であって、案内樋3側の隅角部付近に積層方向に平行して立設された支持軸14に貫装されたボス部に取り付けられ、積層トレー2の受棚10側面と案内樋3側面に接して積層トレー2を保持する、積層方向に延長された平面視においてカギ形に配設された2本の棒材からなる保持部材15,15aであり、この保持部材15,15aは、適宜手段で支持軸14を中心にして横送りされた積層トレー2を受けて横送り方向に向けて90度回動され積層トレー2を案内樋3内に補給する。
この際、積層トレー2の受棚10側面の保持部材15は、90度回動して積層トレー2を案内樋3内に補給した後、そのままの状態でとどまり分離手段に向けて順次落下する積層トレー2のガイドとして機能し、積層トレー2が所定の残量以下になれば受取姿勢に復帰する。
【0017】
又、横送りされる積層トレー2を受ける際に横送方向に直交して積層トレー2の案内樋3側を受止める棒材15aのみを、横送手段による積層トレー2の案内樋3内への横送りを妨げないように着脱可能にするなどして、移送具13を構成する保持部材15aを出退させることによって、積層トレー2を積層方向に平行な支持軸14を中心として90度回動させて案内樋3内に補給するか、或いは載置姿勢のまま通過させて案内樋3内に補給するか、いずれかに切替自在とされる。
【0018】
横送りされて移送具13に保持された積層トレー2の底面は、支持軸14に貫装されたボス部から延設された受片16で脱落しないように支持されていて、移送具13によって積層トレーが90度回動されて案内樋3内に補給される際、移送具13とともに回動して積層トレー2の底面を支持する。
【0019】
このように構成されたトレー補給装置は、案内樋3に収容された積層トレー2が所定の残量以下になれば、図示しないセンサーが検知して、補給装置の受棚10に載置された補給用の積層トレー2をラグ12によって案内樋3に向けて横送りし移送具13に到れば、移送具13が支持軸14を中心に90度回動されて保持部材15,15aで保持された積層トレー2を姿勢変更させて案内樋3内に補給する。このとき、積層トレー2の底面を支持する受片16も底面を支持したまま同時に回動し積層トレー2が案内樋3内に補給されれば復帰し、積層トレー2の分離手段への落下を可能にする。
【0020】
次に、この補給装置を使用したトレーの補給方法の1実施例について説明する。
本補給装置において、移送具13の保持部材15aで積層トレー2を受けさせ、支持軸14を中心として90度回動させて移送樋3内に補給させる状態とし、一辺Dが供給手段から供給される盛付材の一定の幅Daに適合する一定の寸法であって、他辺Eがトレー1への盛付量に応じて設定された寸法Eである方形のトレーFを使用し、このトレーFが積層された補給用の積層トレーFmを、一辺D側を補給装置の受棚10に向けて載置し、移送具13によって姿勢変更させて案内樋3内に補給させれば、トレー分離手段によって分離されたトレーFは、チェンコンベヤCによって盛付位置に送られた際、トレーFの一辺Dが盛付材であるスライス肉が1パック分量ごとに仕切られベルトコンベヤ9で送り出される幅Da側と対向させられるのでスムーズに盛り付けることができる。
この場合、1個のトレーFへの盛付量を増すためにトレーFの一辺Eが長くなっても受棚10へ載置される積層トレーFmは、一定寸法の一辺D側を受棚10に向けさせるので、横送手段への影響はなく、調整を要しない。
又、チェンコンベヤCにより搬送されるトレーFは、一定寸法の一辺D側がトレーFの搬送方向に沿うので、トレーFの後壁に接当してトレーFを搬送する係止片7,7の間隔は一定でよい。
【0021】
トレーFの一辺Dより他辺Eが短いトレーFを使用する際には、積層トレーFmは、一定寸法の一辺D側を受棚10に向けて載置し、移送具13にて姿勢変更させて案内樋3内に補給させるようにしてもよいが、一辺Dより他辺Eが短いトレーFを使用する作業が多いときは、積層トレーFmの短辺E側を受棚10に向けて載置し、移送具13の保持部材15aを退去させて、積層トレーFmを載置姿勢のまま案内樋3内へ補給させると一辺Dを盛付材の幅Daに対向させることができる。
この場合には、短辺Eの寸法に対応して横送手段の調整を要するが、短辺E側を受棚10に向けて載置させることで補給用の積層トレーの載置容量を増すことができる。
【0022】
このように、移送具13を出退させることで補給用の積層トレー2(Fm)の案内樋3内への補給姿勢が変更できるので、積層トレー2を短辺側が受棚10に向くように載置しても、盛付材の姿勢との整合が可能であり、補給用の積層トレー2の受棚10の載置容量が増えればその分、次の載置までの時間が延びるので効率的な盛付作業が行えるなど状況に応じた使い分けができる。
【符号の説明】
【0023】
1 トレー
2 積層トレー
3 案内樋
10 受棚
13 移送具
14 支持軸