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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】防草ネット取付架台
(51)【国際特許分類】
   E01H 11/00 20060101AFI20220916BHJP
   E01F 15/04 20060101ALI20220916BHJP
   A01M 21/00 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
E01H11/00 A
E01F15/04 B
A01M21/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018238944
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020100986
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】596045177
【氏名又は名称】株式会社白崎コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】弁理士法人フェニックス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐治 健介
(72)【発明者】
【氏名】小谷 智博
(72)【発明者】
【氏名】堂埜 誠
(72)【発明者】
【氏名】大塚 一輝
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-102494(JP,A)
【文献】特開2013-234487(JP,A)
【文献】特開平4-92011(JP,A)
【文献】登録実用新案第3003437(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 11/00
E01F 15/04
A01M 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って設置された防護柵に防草ネットを取り付けるための防草ネット取付架台であって、
前記防護柵の支柱に第一固定手段により固定される縦材と、
前記縦材に第二固定手段により固定され、前記防草ネットの上端を取り付けるための横架材と、を備え、
前記第一固定手段は、前記防護柵の支柱に固定される支柱固定部と、該支柱固定部から前記道路の外方へ持ち出された持出部と、該持出部の持出端部に設けられ、前記縦材を上下位置調節可能に固定する縦材固定部とから構成され、
前記第二固定手段は、前記縦材に上下位置調節可能に固定される道路側固定部と、該道路側固定部に設けられ、前記横架材を前記道路の外方で固定する道路外側固定部とから構成されており、
前記防護柵の支柱に対する前記縦材の固定上下位置、及び前記縦材に対する前記横架材の固定上下位置を調節することにより前記防草ネットを前記道路外の地面に対して所望の高さ位置に取り付けることを可能にした防草ネット取付架台。
【請求項2】
前記第一固定手段の支柱固定部及び縦材固定部がそれぞれ、半円筒形状の一対の把持片と、各把持片の一端に設けられ、ボルトを挿通する通孔を有する突片とから成り、
前記持出部が、前記支柱固定部の各把持片の他端と前記縦材固定部の各把持片の他端とを連結し、ボルトを挿通する通孔を有する連結片から成り、
各対の前記把持片で前記防護柵の支柱及び前記縦材を挟み、各対の前記突片同士及び一対の前記連結片同士を対向させて前記各通孔にボルトを挿通しナットで締結することにより、前記縦材を前記防護柵の支柱に固定することを特徴とした請求項1に記載の防草ネット取付架台。
【請求項3】
前記第二固定手段が直交クランプにより構成されていることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の防草ネット取付架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防草ネット取付架台、より詳しくは、道路に沿って設置された防護柵に防草ネットを取り付けるための防草ネット取付架台に関する。
【背景技術】
【0002】
車道や歩道等の道路の外側で繁茂する雑草が、道路に沿って設置されたガードレールや転落防止柵等の防護柵を越えて道路内へ侵入することが往々にしてある。特に葛等の蔓性植物の蔓は、防護柵の支柱等に絡みつきながら柵の隙間を抜けたり、柵の上部を乗り越えて道路側へ大きく侵入することも多く、車両の走行や歩行の障害となり、交通事故や転倒事故を招く原因にもなった。
【0003】
そこで、本出願人は、既設の防護柵を利用して蔓性植物の蔓が道路内へ侵入するのを防ぐガードフェンスを開発し、既に出願している(下記特許文献1)。このガードフェンスは、蔓が通過できない程度の小さい網目を有する防草ネットを防護柵に張着したものであり、道路の外側で繁茂する蔓性植物の蔓が道路側へ伸びても、防草ネットを通過することができず、さらに、蔓が防草ネットに沿って上方へ伸びても、ネットに絡みつくことができず、自重で自ら道路の外側へ倒れることになり、蔓性植物の道路内への侵入を効果的に防ぐことができる。
【0004】
しかしながら、このガードフェンスは、既設の防護柵に防草ネットを直接、張設していたため、簡単かつ低コストに施工することができる半面、防護柵の種類によっては、防草ネットの取付けが制約されることがあった。車両用防護柵や歩行者自転車用柵等の各種の防護柵は、道路面を基準にしてその高さが規制されて設置されているのに対し、防草ネットにより蔓性植物の侵入を有効に防ぐには、この防草ネットを、蔓性植物が繁茂する道路外の地面から所定の高さに取り付ける必要があるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-206904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のガードフェンスの設置に上記のような制約があったことに鑑みて為されたもので、既設の防護柵の種類や高さに関わらず、防草ネットを所望の高さ位置に簡単に取り付けることができる防草ネット取付架台を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、道路に沿って設置された防護柵に防草ネットを取り付けるための防草ネット取付架台であって、
前記防護柵の支柱に第一固定手段により固定される縦材と、前記縦材に第二固定手段により固定され、前記防草ネットの上端を取り付けるための横架材と、を備え、
前記第一固定手段は、前記防護柵の支柱に固定される支柱固定部と、該支柱固定部から前記道路の外方へ持ち出された持出部と、該持出部の持出端部に設けられ、前記縦材を上下位置調節可能に固定する縦材固定部とから構成され、
前記第二固定手段は、前記縦材に上下位置調節可能に固定される道路側固定部と、該道路側固定部に設けられ、前記横架材を前記道路の外方で固定する道路外側固定部とから構成されており、
前記防護柵の支柱に対する前記縦材の固定上下位置、及び前記縦材に対する前記横架材の固定上下位置を調節することにより前記防草ネットを前記道路外の地面に対して所望の高さ位置に取り付けることを可能にしたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、前記第一固定手段の支柱固定部及び縦材固定部がそれぞれ、半円筒形状の一対の把持片と、各把持片の一端に設けられ、ボルトを挿通する通孔を有する突片とから成り、前記持出部が、前記支柱固定部の各把持片の他端と前記縦材固定部の各把持片の他端とを連結し、ボルトを挿通する通孔を有する連結片から成り、
各対の前記把持片で前記防護柵の支柱及び前記縦材を挟み、各対の前記突片同士及び一対の前記連結片同士を対向させて前記各通孔にボルトを挿通しナットで締結することにより、前記縦材を前記防護柵の支柱に固定することを特徴とした。
【0009】
また、本発明は、前記第二固定手段が直交クランプにより構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る防草ネット取付架台は、既設の防護柵の支柱に対する縦材の固定上下位置及びこの縦材に対する横架材の固定上下位置を適宜調節することができるので、既設の防護柵の種類や高さに関わらず、防草ネットを道路外の地面に対して所望の高さ位置に簡単に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の防草ネット取付架台を道路の防護柵に設置した状態を道路の外側からみた正面図である。
図2】本実施形態の防草ネット取付架台を道路の防護柵に設置した状態を道路の外側からみた部分拡大正面図である。
図3】本実施形態の防草ネット取付架台を道路の防護柵に設置した状態を示す側面図である。
図4】本実施形態の防草ネット取付架台を道路の防護柵に設置した状態を示す平面図である。
図5】本実施形態の防草ネット取付架台の第一固定手段の平面図である。
図6】本実施形態の防草ネット取付架台に防草ネットを取り付けた状態を道路の外側からみた正面図である。
図7】本実施形態の防草ネット取付架台に防草ネットを取り付けた状態を示す側面図である。
図8】本実施形態の防草ネット取付架台に防草ネットを取り付けた状態を示す側面図である。
図9】本実施形態の防草ネット取付架台に防草ネットを取り付けた状態を示す側面図である。
図10】本実施形態の防草ネット取付架台に防草ネットを取り付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図4に示すように、本実施形態の防草ネット取付架台10は、道路Rに沿って設置された防護柵Fの各支柱Pに第一固定手段1により固定される縦材2と、この縦材2に第二固定手段3により固定され、防草ネットを取り付けるための横架材4と、から構成されている。本実施形態では、縦材2として、直径60.5mm、長さ750mmの鋼管材を使用し、横架材4として、直径48.6mm、長さ1m及び長さ2mの鋼管材を使用している。横架材4同士は公知の単管パイプジョイント41により連結され、縦材2及び横架材4の端部にはキャップが嵌められる。
【0013】
第一固定手段1は、図3に示すように、防護柵Fの支柱Pに固定される支柱固定部11と、この支柱固定部11から道路Rの外方へ持ち出された持出部12と、この持出部12の持出端部に設けられ、縦材2を上下位置調節可能に固定する縦材固定部13とから構成されている。
【0014】
図5に示すように、本実施形態の第一固定手段1は、支柱固定部11が、半円筒形状の一対の把持片111・111と、各把持片111の一端に設けられ、ボルト113を挿通する通孔を有する突片112・112とから構成され、縦材固定部13が、半円筒形状の一対の把持片131・131と、各把持片131の一端に設けられ、ボルト133を挿通する通孔を有する突片132・132とから構成されている。そして、持出部12が、支柱固定部11の各把持片111の他端と縦材固定部13の各把持片131の他端とを連結し、ボルト122を挿通する通孔を有する一対の連結片121・121から構成されている。
【0015】
この支柱固定部11の一対の把持片111・111により防護柵Fの支柱Pを挟み、一対の突片112・112同士及び一対の連結片121・121同士を対向させて各通孔にボルト113、122を挿通し、ナット114、123で締結することによって、第一固定手段1を防護柵Fの支柱Pに固定する。
【0016】
そして、縦材固定部13の一対の把持片131・131により縦材2を挟み、一対の突片132・132同士を対向させて各通孔にボルト133を挿通し、ナット134で締結することにより縦材2を固定する。このように縦材固定部13は、一対の把持片131で縦材2の外面を挟んで縦材2を固定するようにしているので、ナット134を緩めるだけで簡単に縦材2の固定上下位置を変更することができ、支柱Pに対する縦材2の固定上下位置を無段階に調節することができる。
【0017】
第二固定手段3は、図3及び図4に示すように、縦材2に上下位置調節可能に固定される道路側固定部31と、この道路側固定部31に設けられ、横架材4を道路Rの外方で固定する道路外側固定部32とから構成されている。本実施形態では、道路側固定部31及び道路外側固定部32がそれぞれ、公知の単管クランプから成り、第二固定手段3は、これら二つの単管クランプが互いに背中合わせで直交状態で連結された公知の直交クランプとして構成されている。
【0018】
この道路側固定部31のクランプ片で縦材2を挟み、ナットで締結することによって、第二固定手段3を縦材2に固定すると共に、道路外側固定部32のクランプ片で横架材4を挟み、ナットで締結することにより横架材4を固定する。このように道路側固定部31は、そのクランプ片で縦材2の外面を挟んで縦材2を固定するようにしているので、ナットを緩めるだけで簡単に、縦材2に対する道路側固定部31の固定上下位置を変更することができ、縦材2に対する横架材4の固定上下位置を無段階に調節することができる。
【0019】
こうして既設の防護柵Fの支柱Pを利用して本実施形態の防草ネット取付架台10を設置し、その後、図6及び図7に示すように、設置した防草ネット取付架台10の横架材4及び縦材2を利用して防草ネット5を取り付けることによって、道路外の地面Gに繁茂する蔓性植物その他の雑草の道路R内への侵入を防ぐことが可能となる。
【0020】
なお、本実施形態では、防草ネット5として、蔓性植物の蔓が通らない程度の目の細かいメッシュ生地(材質ポリエステル、被覆樹脂;ポリ塩化ビニル)を使用している。この防草ネット5を、その上端を横架材4に巻き付け、中程部を縦材2に沿わせて公知の結束バンド6で固定している。
【0021】
このように本実施形態の防草ネット取付架台10は、既設の防護柵Fの支柱Pに対する縦材2の固定上下位置、及びこの縦材2に対する横架材4の固定上下位置を適宜調節することができるので、既設の防護柵Fの高さに関わらず、防草ネット5を、道路外の地面Gに対して所望の高さ位置に取り付けることができる。
【0022】
したがって、図8及び図9に示すように、たとえ防護柵Fの種類によって、第一固定手段1の支柱Pに対する固定位置が制限される場合であっても、また、たとえ既設の防護柵Fに沿って道路外の地面Gが道路Rの路面に対し高低していたとしても、蔓性植物の蔓の侵入を有効に防ぐのに必要十分な防護ネット5の取付け高さHを確保することができる。
【0023】
さらに、本実施形態の防草ネット取付架台10は、第一固定手段1の持出部12により縦材2が道路Rの外方へ持ち出されて固定されると共に、第二固定手段3の道路外側固定部32により横架材4が道路Rの外方で固定されるので、防護柵Fと防草ネット5の上端との間隔Wを大きくとることができる。このことによっても、蔓性植物の蔓の道路内への侵入を有効に防ぐことができる。
【0024】
また、本実施形態の防草ネット取付架台10は、第一固定手段1の支柱固定部11及び縦材固定部13がそれぞれ、一対の把持片111、131で支柱P及び縦材2の外面を挟んで固定するようにしているので、図10に示すように、第一固定手段1を支柱Pに対し平面上で斜めに固定することも可能である。このことで、防草ネット取付架台10の設置作業性が向上する他、防護柵Fと防草ネット5の上端との間隔Wの調節も可能となる。
【0025】
以上、本実施形態の防草ネット取付架台について説明したが、本発明は他の実施形態でも実施することができる。
【0026】
例えば、上記実施形態では、各支柱Pの上下2ヶ所に第一固定手段1を固定し、これら上下二つの第一固定手段1により一つの縦材2を固定しているが、状況に応じて、支柱Pに一つの第一固定手段1を固定し、一つの第一固定手段1により一つの縦材2を固定するようにしてもよい。
【0027】
また、上記実施形態では、防草ネット取付架台10を、支柱P間に複数のパイプを架設したガードパイプに設置する例について説明しているが、本発明に係る防草ネット取付架台は、他の防護柵にも適用可能であり、例えば、支柱間にレールを架設したガードレールや、支柱間にワイヤーを架設した防護柵や、支柱間に複数の横桟及び縦桟を設けた歩行者自転車用柵等に設置することも勿論可能である。
【0028】
本発明は、その他、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施してもよく、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0029】
10 防草ネット取付架台
1 第一固定手段
11 支柱固定部
111 把持片
112 突片
113 ボルト
114 ナット
12 持出部
121 連結片
122 ボルト
123 ナット
13 縦材固定部
131 把持片
132 突片
133 ボルト
134 ナット
2 縦材
3 第二固定手段
31 道路側固定部
32 道路外側固定部
4 横架材
5 防草ネット
F 防護柵
G 道路外の地面
P 支柱
R 道路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10