(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】超音波放射装置およびヘアケア装置
(51)【国際特許分類】
A61N 7/00 20060101AFI20220916BHJP
A61B 18/00 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
A61N7/00
A61B18/00
(21)【出願番号】P 2022530656
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 JP2022020340
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2021185973
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022031125
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年11月16日に、公開者(ピクシーダストテクノロジーズ株式会社)によりウェブサイト(https://pixiedusttech.com/news_202111116/)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年11月16日に、公開者(エキサイト株式会社)によりウェブサイト(https://www.excite.co.jp/news/article/Real_Live_200168990/)に掲載。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年12月9日に、公開者(アイティメディア株式会社)によりウェブサイト(https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2112/09/news051.html)に掲載。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517182918
【氏名又は名称】ピクシーダストテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小島 正人
(72)【発明者】
【氏名】下 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大岡 佳生
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-505256(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0029353(US,A1)
【文献】国際公開第2006/123414(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/00
A61B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平
面の第1主面を備える第1振動子支持体を具備し、
前記第1振動子支持体は、当該第1主面上に複数の第1取付部を備え、
平
面の第2主面を備える第2振動子支持体を具備し、
前記第2振動子支持体は、当該第2主面上に複数の第2取付部を有し、かつ、当該第2主面の第2法線が前記第1主面の第1法線と共通の目標点で交差するように設置され、
前記複数の第1取付部に、前記
目標点に向かって進行する超音波を放射するように取り付けられた複数の第1超音波振動子を備え、
前記複数の第2取付部に、前記
目標点に向かって進行する超音波を放射するように取り付けられた複数の第2超音波振動子を備
え、
前記複数の第1超音波振動子のうちの1つである第1振動子に対応する第1取付部は、前記複数の第1超音波振動子のうちの別の1つである第2振動子に対応する第1取付部に比べて、前記目標点から前記第1主面に対して降ろした垂線が当該第1主面と交差する点である基準点からの距離が大きく、
前記第1振動子は、前記第2振動子に比べて、前記第1主面に直交する方向に関して当該第1主面からの距離が大きくなるようにオフセットした位置に取り付けられる、
超音波放射装置。
【請求項2】
各第1超音波振動子は、前記第1主面上の
前記基準点から当該第1超音波振動子に対応する第1取付部までの距離が大きいほど、前記第1主面に直交する方向に関して当該第1主面からの距離が大きくなるようにオフセットした位置に取り付けられる、
請求項1に記載の超音波放射装置。
【請求項3】
前記複数の第1超音波振動子の取り付け位置は、前記第1主面から所定距離離れた点からの距離が互い
に等しくなるように定められ、
前記第1主面から所定距離離れた点は、前記複数の第1超音波振動子から放射される超音波が集束する焦点であ
る、
請求項2に記載の超音波放射装置。
【請求項4】
平面の第1主面を備える第1振動子支持体を具備し、
前記第1振動子支持体は、当該第1主面上に複数の第1取付部を備え、
平面の第2主面を備える第2振動子支持体を具備し、
前記第2振動子支持体は、当該第2主面上に複数の第2取付部を有し、かつ、当該第2主面の第2法線が前記第1主面の第1法線と共通の目標点で交差するように設置され、
前記複数の第1取付部に、前記目標点に向かって進行する超音波を放射するように取り付けられた複数の第1超音波振動子を備え、
前記複数の第2取付部に、前記目標点に向かって進行する超音波を放射するように取り付けられた複数の第2超音波振動子を備え、
前記第1振動子支持体は、前記第1主面上に
中央部および周辺部を備えるアタッチメントを備え、
前記アタッチメントは、当該第1主面に直交する方向に関して
当該第1主面から前記周辺部までの距離が当該第1主面から前記中央部までの距離に比べて大きくなるように段差のついた階段状の領域を形成し、
前記複数の第1超音波振動子の少なくとも1つは、当該第1超音波振動子が設置された第1取付部に前記アタッチメントの前記中央部を介して取り付けられ、
前記複数の第1超音波振動子の少なくとも1つは、当該第1超音波振動子が設置された第1取付部に前記アタッチメント
の前記周辺部を介して取り付けられる、
超音波放射装置。
【請求項5】
前記第1振動子支持体および前記第2振動子支持体は、前記第1主面から前記目標点までの距離と、前記第2主面から前記目標点までの距離とが互い
に一致するように設置される、
請求項1に記載の超音波放射装置。
【請求項6】
請求項1に記載の超音波放射装置を具備し、
前記複数の第1超音波振動子および前記複数の第2超音波振動子を駆動するコントローラを具備する、
ヘアケア装置。
【請求項7】
前記第1振動子支持体および前記第2振動子支持体を支持するヘッドと、
前記ヘッドに取り付けられ、かつ
前記超音波放射装置を基準に定義される放射方向に突出した環状壁を備えるフードと
を具備し、
前記フードの環状壁のうち前記放射方向に最も突出した複数の先端部を通る先端面に前記目標点が含ま
れ、
前記複数の第1超音波振動子および前記複数の第2超音波振動子によって放射される超音波の進行方向は、いずれも前記放射方向の成分を含む、
請求項6に記載のヘアケア装置。
【請求項8】
前記フードの環状壁は、前記放射方向の寸法が当該放射方向に直交する平面上の位置に応じて周期的に増減する、
請求項7
に記載のヘアケア装置。
【請求項9】
前記フードは、前記ヘッドに対して着脱自在である、
請求項7
に記載のヘアケア装置。
【請求項10】
前記ヘッドを支持し、かつ前記放射方向と直交する方向に比べて当該放射方向に近い方向に延びるグリップをさらに具備する、
請求項7
に記載のヘアケア装置。
【請求項11】
前記
コントローラの制御により通電する電気針をさらに具備する、
請求項6
に記載のヘアケア装置。
【請求項12】
人間の頭部に装着可能であって、かつ当該頭部への装着時に当該頭部と対向する面上の異なる複数の位置に前記超音波放射装置が着脱可能な複数の装置取付部を備える筐体をさらに具備する、
請求項6
に記載のヘアケア装置。
【請求項13】
人間の頭部に装着可能な筐体と、
前記筐体のうち当該筐体が人間の頭部に装着されている時に当該頭部と対向する面に亘って前記超音波放射装置を移動可能とする可動部と
をさらに具備する、
請求項6に記載のヘアケア装置。
【請求項14】
前記
コントローラによって駆動され、光線を照射する発光素子をさらに具備する、
請求項6
に記載のヘアケア装置。
【請求項15】
前記超音波放射装置によって超音波が放射されていることを報知する手段をさらに具備する、
請求項6
に記載のヘアケア装置。
【請求項16】
前記第1主面上の
前記基準点から最も遠い第1超音波振動子は、当該基準点から最も近い第1超音波振動子とは逆位相で駆動される、
請求項6
に記載のヘアケア装置。
【請求項17】
請求項4に記載の超音波放射装置を具備し、
前記複数の第1超音波振動子および前記複数の第2超音波振動子を駆動するコントローラを具備する、
ヘアケア装置。
【請求項18】
前記第1振動子支持体および前記第2振動子支持体を支持するヘッドと、
前記ヘッドに取り付けられ、かつ前記超音波放射装置を基準に定義される放射方向に突出した環状壁を備えるフードと
を具備し、
前記フードの環状壁のうち前記放射方向に最も突出した複数の先端部を通る先端面に前記目標点が含まれ、
前記複数の第1超音波振動子および前記複数の第2超音波振動子によって放射される超音波の進行方向は、いずれも前記放射方向の成分を含む、
請求項17に記載のヘアケア装置。
【請求項19】
前記超音波放射装置によって超音波が放射されていることを報知する手段をさらに具備する、
請求項17に記載のヘアケア装置。
【請求項20】
前記目標点から前記第1主面に対して降ろした垂線が当該第1主面と交差する点である基準点から最も遠い第1超音波振動子は、当該基準点から最も近い第1超音波振動子とは逆位相で駆動される、
請求項17に記載のヘアケア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波放射装置およびヘアケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、頭髪の悩み(例えば、薄毛又は白髪)を抱える人は、ヘアケアのために様々な手段を講じている。例えば、育毛又は発毛を促進することにより、頭髪の問題(薄毛又は抜け毛)が解消される。育毛又は発毛を促進するための様々な手段が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、被施術者の頭皮に電極を装着することにより、育毛又は発毛を促進する発毛育毛装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の技術では、発毛育毛装置の一部を頭皮に接触させるため、ヘアケアにおいて、衛生面への悪影響の懸念がある。
【0006】
本開示の目的は、ヘアケアにおいて、衛生面への悪影響を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の超音波放射装置は、
略平面の第1主面を備える第1振動子支持体を具備し、
前記第1振動子支持体は、当該第1主面上に複数の第1取付部を備え、
略平面の第2主面を備える第2振動子支持体を具備し、
前記第2振動子支持体は、当該第2主面上に複数の第2取付部を有し、かつ、当該第2主面の第2法線が前記第1主面の第1法線と共通の目標点で交差するように設置され、
前記複数の第1取付部に、前記第1法線に沿って進行する超音波を放射するように取り付けられた複数の第1超音波振動子を備え、
前記複数の第2取付部に、前記第2法線に沿って進行する超音波を放射するように取り付けられた複数の第2超音波振動子を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態のヘアケア装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の超音波放射装置の外観を示す図である。
【
図3】本実施形態の超音波放射装置の外観を示す図である。
【
図4】本実施形態の超音波放射装置が備える振動子支持体の外観を示す図である。
【
図5】本実施形態の超音波放射装置が備える振動子支持体に複数の超音波振動子が取り付けられた状態を示す図である。
【
図6】本実施形態のコントローラの構成を示すブロック図である。
【
図8】本実施形態の超音波放射装置によって放射される超音波の集束の説明図である。
【
図9】本実施形態の超音波振動子によって放射される超音波の振幅の時間変化を示すグラフである。
【
図10】本実施形態の制御処理のフローチャートである。
【
図11】本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第1例を示す図である。
【
図12】本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第2例を示す図である。
【
図13】本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第3例を示す図である。
【
図14】本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第4例の正面図である。
【
図15】本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第4例の側面図である。
【
図16】ヘッドアタッチメントの一例を示す図である。
【
図17】ヘッドアタッチメントの一例を示す図である。
【
図18】本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第5例を示す図である。
【
図19】変形例1のヘアケア装置の構成を示すブロック図である。
【
図25】変形例6の超音波放射装置の外観を示す図である。
【
図26】変形例6の超音波放射装置の外観を示す図である。
【
図27】変形例6の超音波放射装置の備える側面支持体および底面支持体の目標点の説明図である。
【
図28】変形例6の側面支持体に複数の超音波振動子が取り付けられた状態を示す図である。
【
図29】変形例6の底面支持体に複数の超音波振動子が取り付けられた状態を示す図である。
【
図30】変形例6の底面支持体に複数の超音波振動子が取り付けられた状態を示す図である。
【
図31】変形例6のアタッチメントの外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
以降の説明において、複数の同種の要素について共通の説明を述べる場合に、例えば「99」のような共通の符号を用いることがある。他方、これらの要素について個別に説明を述べる場合に、「99-1」、または「99-2」のように共通の符号に添え字を付した符号を用いることがある。
【0011】
以降の説明において特に断りのない限り、各種の方向は、超音波放射装置を基準に定義される。
超音波放射装置の前方(つまり、超音波放射装置に含まれる複数の超音波振動子によって放射される超音波の合成成分の進行方向)をZ+方向と定義し、超音波放射装置の後方、つまりZ+方向の反対方向をZ-方向と定義する。
超音波放射装置の左側方、右側方、上方、および下方をそれぞれ、X+、X-、Y+、およびY-方向とそれぞれ定義する。
X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交する。
複数の超音波振動子によって放射される各超音波の進行方向はいずれも、Z+成分を含む。各超音波は、X+、X-、Y+、およびY-成分の少なくとも1つをさらに含んでもよい。
【0012】
(1)ヘアケア装置の構成
ヘアケア装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態のヘアケア装置の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、ヘアケア装置1は、超音波放射装置10と、コントローラ30とを備える。
超音波放射装置10及びコントローラ30は、電気信号(例えば後述する駆動信号(制御信号の一例))を伝送可能な所定のインタフェース(例えば、通信ケーブル、または無線(例えば、Bluetooth(登録商標)、またはWiFi)チャネル)を介して接続される。
【0014】
超音波放射装置10は、コントローラ30による制御に従って、超音波を放射するように構成される。
【0015】
コントローラ30は、超音波放射装置10を制御するように構成される。コントローラ30は、情報処理装置の一例である。
【0016】
(1-1)超音波放射装置の構成
超音波放射装置の構成について説明する。
図2は、本実施形態の超音波放射装置の外観を示す図である。
図3は、本実施形態の超音波放射装置の外観を示す図である。
図4は、本実施形態の超音波放射装置が備える振動子支持体の外観を示す図である。
図5は、本実施形態の超音波放射装置が備える振動子支持体に複数の超音波振動子が取り付けられた状態を示す図である。
【0017】
図2および
図3に示すように、超音波放射装置10は、ベース11と、5つの振動子支持体12-1,12-2,12-3,12-4,12-5とを備える。
図4および
図5に示すように、超音波放射装置10は、振動子支持体12毎に、第1アタッチメント13-1、複数の第2アタッチメント13-2と、複数の取付部14-1,14-2,14-3と、コネクタ15と、複数の超音波振動子16-1,16-2,16-3とを備える。
【0018】
ベース11は、第1領域11a1と、例えば略平面状の第2領域11a2とを含む。第1領域11a1では、位置および向きの少なくとも1つにおいて互いに異なる複数の多角形状の面が組み合わせられている。当該複数の多角形状の面の組み合わせは、Z-方向に凸な立体的形状を構成する。複数の多角形状の面は、各面から超音波の進行方向側に伸びる法線の1つが、他の面から超音波の進行方向側に伸びる法線の1つと共通の交点で交差するように組み合わせられる。一例として、
図2および
図3に示すように、第1領域11a1では、正二十面体のうちの1つの頂点を共有する5つの略正三角形状の面が組み合わせられている。5つの略正三角形状の面は、Z-方向に凸な傘様の立体形状である。第2領域11a2は、第1領域11a1を包囲する。
【0019】
ベース11は、振動子支持体12(「第1振動子支持体」および「第2振動子支持体」の一例)のそれぞれを取り付けるための手段(例えばねじ穴)を、第1領域11a1を構成する各面に備える。ベース11は、振動子支持体12が取り付けられた状態で、当該振動子支持体12を支持するように構成される。
【0020】
ベース11は、図示しない物体(例えば、ヘアケア装置1の筐体)に取り付けられるための手段(例えばねじ穴)を例えば第2領域11a2に備える。ベース11が物体に取り付けられた状態で、ベース11は当該物体に対して位置および姿勢(例えば、X軸、Y軸、およびZ軸周りの回転角)を維持(つまり静止)させることができる。
【0021】
図3および
図4に示すように、振動子支持体12は、略平面の主面12S(「第1主面」および「第2主面」の一例)を備え、当該主面12Sが超音波の進行方向側を向くようにベース11の第1領域11a1の各面に取り付けられる。振動子支持体12は、振動子支持体12をベース11に取り付けるための手段(例えばねじ穴)を備える。振動子支持体12がベース11に取り付けられた状態で、振動子支持体12は当該ベース11に対して位置および姿勢を維持(つまり静止)できる。具体的には、振動子支持体12は、主面12Sから超音波の進行方向側に伸びる法線(「第1法線」および「第2法線」の一例)の1つが、他の振動子支持体12の主面12Sから超音波の進行方向側に伸びる法線の1つと共通の目標点で交差するようにベース11上に設置される。目標点は、前述の交点と一致してもよいし、異なっていてもよい。振動子支持体12の主面12Sが、ベース11の第1領域11a1のうち当該振動子支持体12が取り付けられる面と平行である場合に前述の交点は目標点に一致する。さらに、各振動子支持体12は、当該振動子支持体12の主面12Sから前述の目標点までの距離が互いに略一致するように、ベース11上に設置されてよい。
【0022】
主面12Sは、ベース11の第1領域11a1を構成する面と同一または類似の形状である。一例として、主面12Sは、略正三角形の形状である。
【0023】
図4に示すように、振動子支持体12は、複数の取付部14-1,14-2,14-3を主面12S上に備える。取付部14(「第1取付部」、または「第2取付部」の一例)は、超音波振動子16(「第1超音波振動子」、または「第2超音波振動子」の一例)を取り付け可能に構成される。振動子支持体12は、取付部14に超音波振動子16が取り付けられた状態で、当該超音波振動子16を支持し、かつコネクタ15との電気的接続を提供するように構成される。
【0024】
より詳細には、
図4に示すように、振動子支持体12の主面12S上には、第1アタッチメント13-1、および複数の第2アタッチメント13-2が取り付けられる。第1アタッチメント13-1、および複数の第2アタッチメント13-2は、超音波振動子16の少なくとも一部と、主面12Sとの間の距離を調整可能に構成される。具体的には、第1アタッチメント13-1、および複数の第2アタッチメント13-2は、主面12S上に当該主面12Sに直交する方向に関して段差のついた階段状の領域を形成する。一例として、第1アタッチメント13-1、および複数の第2アタッチメント13-2によって形成される階段は、例えば、中央部の高さが最も低く(つまり、主面12Sからの距離が小さく)、中央部から離れて周辺部に向かうほど高さが増加する(つまり、主面12Sからの距離が大きくなる)形状である。
【0025】
図5に示すように、取付部14-1には超音波振動子16-1を直接取り付け可能である。取付部14-2には、第1アタッチメント13-1を介して、超音波振動子16-2を取付可能である。取付部14-3には、第1アタッチメント13-1および第2アタッチメント13-2を介して、超音波振動子16-3を取り付け可能である。故に、超音波振動子16-1と主面12Sとの間の距離は、超音波振動子16-2と主面12Sとの間の距離よりも小さい。超音波振動子16-2と主面12Sとの間の距離は、超音波振動子16-3と主面12Sとの間の距離よりも小さい。
【0026】
故に、各超音波振動子16から主面12Sまでの距離は一様でない。つまり、振動子支持体12に取り付けられる各超音波振動子16は、他の超音波振動子16の少なくとも1つに比べて主面12Sからの距離が異なるように取り付けられる。一例として、複数の超音波振動子16の各々は、主面上の基準点(例えば、取付部14-1の位置)から当該超音波振動子16に対応する取付部14までの距離が大きいほど、主面12Sに直交する方向に関して当該主面12Sからの距離が大きくなるようにオフセットした位置に取り付けられる。具体的には、各超音波振動子16の取り付け位置は、主面12Sから所定距離離れた点を中心とする球面上の位置に定められ得る。換言すれば、複数の超音波振動子16の取り付け位置は、主面12Sから所定距離離れた点からの距離が互いに略等しくなるように定められ得る。
【0027】
図4および
図5に示すように、振動子支持体12は、コネクタ15を主面12S上で支持する。コネクタ15は、外部装置(例えばコントローラ30)と電気信号をやり取り可能に接続される。
【0028】
超音波振動子16が取付部14に(直接的に、または第1アタッチメント13-1、もしくは第1アタッチメント13-1および第2アタッチメント13-2を介して間接的に)取り付けられた状態で、超音波振動子16は振動子支持体12に対して位置および姿勢を維持(つまり静止)できる。また、超音波振動子16は、取付部14に取り付けられた状態で、コネクタ15と電気的に接続される。超音波振動子16は、コントローラ30によって送信された駆動信号を、コネクタ15を介して受信し、当該駆動信号に従って超音波を放射するように構成される。
【0029】
(1-2)コントローラの構成
コントローラの構成について説明する。
図6は、本実施形態のコントローラの構成を示すブロック図である。
【0030】
図6に示すように、コントローラ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0031】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0032】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム(例えば超音波放射装置10の制御プログラム)
【0033】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0034】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、コントローラ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0035】
入出力インタフェース33は、コントローラ30に接続される入力デバイスから情報(例えばユーザの指示)を取得し、かつ、コントローラ30に接続される出力デバイスに情報(例えば制御信号)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、物理スイッチ、センサ、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、超音波放射装置10、ディスプレイ、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0036】
通信インタフェース34は、コントローラ30と外部装置(例えば、ウェブサーバ又はクライアント装置(一例として、スマートフォン、タブレットデバイス、又は、パーソナルコンピュータ))との間の通信を制御するように構成される。
【0037】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。
図7は、本実施形態の一態様の説明図である。
図8は、本実施形態の超音波放射装置によって放射される超音波の集束の説明図である。
図9は、本実施形態の超音波振動子によって放射される超音波の振幅の時間変化を示すグラフである。
【0038】
図7に示すように、ヘアケア装置1の動作時に、コントローラ30(詳細にはプロセッサ32)は、駆動信号を生成し、当該駆動信号を超音波放射装置10へ送信する。各コネクタ15は、駆動信号を受信し、当該コネクタ15に接続された各超音波振動子16へ、当該駆動信号を送信(中継)する。コントローラ30は、超音波放射装置10に対して1つの共通の駆動信号を生成する。つまり、駆動信号の伝送時間差を無視すれば、各超音波振動子16は超音波を略同時に放射する。
【0039】
図8に示すように、ある主面12S上に設置された複数の超音波振動子16は、当該主面12Sから所定距離離れた点FPからの距離が略等しくなるように取り付けられている。故に、各超音波振動子16が略同時に超音波(実際には、超音波ビーム、または集束超音波に相当するが、単に「超音波」という)を放射すると、各超音波は点FPにおいて同位相となり強め合う。故に、点FPは、ある主面12S上に設置された複数の超音波振動子16によって放射される超音波が集束する焦点に相当する。換言すれば、コントローラ30は、ある主面12S上に設置された複数の超音波振動子16の間で駆動時間差を調整せずとも、当該複数の超音波振動子16を略同時に駆動することで、当該複数の超音波振動子16によって放射される超音波を点FPに集束させることができる。
【0040】
したがって、振動子支持体12-1に取り付けられた超音波振動子16-1-1,16-1-2によって放射される超音波は、当該振動子支持体12-1の主面と所定の位置関係にある点FP1に集束する。同様に、振動子支持体12-2に取り付けられた超音波振動子16-2-1,16-2-2によって放射される超音波は、当該振動子支持体12-2の主面と所定の位置関係にある点FP2に集束する。点FP1および点FP2が一致するように振動子支持体12-1および振動子支持体12-2を設置(つまり、ベース11への取り付け)することで、焦点(つまり、点FP1および点FP2)に印加される音響放射圧をいっそう高めることができる。
【0041】
超音波の焦点(つまり、点FP1または点FP2)に、被施術者S1の施術部位である頭部(例えば、頭皮、毛髪(毛根を含む、以下同じ)、又はそれらの組み合わせ)が位置する場合に、複数の超音波振動子16から放射された超音波は、被施術者S1の施術部位に音響放射圧を印加できる。印加された音響放射圧によって、被施術者S1の施術部位はいずれの超音波振動子16とも接触することなくZ+方向に沿った押圧刺激(以下「非接触振動圧刺激」という)を受ける。
【0042】
コントローラ30は、複数の超音波振動子16を所定の振動周波数(例えば10Hz)で間欠的に駆動する。具体的には、
図9に示すように、コントローラ30は、第1期間Tonに亘って複数の超音波振動子16を駆動し、第1期間Tonに続く第2期間Toffに亘って複数の超音波振動子16を駆動しないようなパルス信号を用いて複数の超音波振動子16を制御する。第1期間Tonに被施術者S1の施術部位を押圧した音響放射圧は、第2期間Toffに除去される。音響放射圧が除去されると、被施術者S1の施術部位には頭皮の弾力による復元力が働く。すなわち、第1期間Ton及び第2期間Toffを含むサイクルTcを繰り返すことにより、被施術者S1の施術部位には音響放射圧が間欠的に印加される。その結果、当該施術部位は、いずれの超音波振動子16とも接触することなく、上記振動周波数での音響放射圧による刺激(以下「非接触振動圧刺激」という)を受ける。被施術者S1の頭皮が振動すると、頭部の休止期の毛乳頭細胞は、振動に起因する活性化により、成長期に移行する。成長期の毛乳頭細胞は、振動に起因する活性化により、成長が促進する。これにより、被施術者S1に衛生面への悪影響を与えることなく、被施術者S1の発毛又は育毛を促進する効果が得られる。また、被施術者S1の頭皮が振動すると、色素細胞(メラノサイト)が活性化する。これにより、被施術者S1の白髪が改善する効果が得られる。
【0043】
一例として、コントローラ30は、複数の超音波振動子16から、所定の振動周波数で変調した超音波を放射させることにより、被施術者S1の施術部位に音響放射圧を間欠的に印加してもよい。変調の一例は、振幅変調(AM(Amplitude Modulation))である。コントローラ30は、PWM(Pulse Width Modulation)変調された駆動信号を複数の超音波振動子16に与えることにより、当該複数の超音波振動子16に、振幅変調された超音波を放射させてもよい。
【0044】
超音波放射装置10によれば、コントローラ30は、複数の超音波振動子16の駆動時間差を調整する必要がない。これにより、複数の超音波振動子16の駆動時間差を調整する構成(以下「超音波フェーズドアレイ」という)に比べて制御を簡略化できる。
【0045】
超音波放射装置10によれば、各超音波振動子16から放射される超音波は略最短経路で焦点に到達するので、超音波の距離減衰が抑制される。これにより、超音波フェーズドアレイに比べてエネルギー効率が高くなる。
【0046】
超音波放射装置10によれば、振動子支持体12は、曲面を含まない。これにより、曲面を含む支持体(例えば、お椀型の支持体)に比べて、組み立て実装を簡略化できる。
【0047】
(3)制御処理
本実施形態の制御処理について説明する。
図10は、本実施形態の制御処理のフローチャートである。
【0048】
図10の制御処理の開始前に、被施術者または施術者は、ヘアケア装置1のセッティングを行う。施術者は、ヘアケア装置1を用いて被施術者に対してヘアケアを提供する者である。施術者は、例えばヘアケア業務に従事する者であってもよいし、医療関係者であってもよい。ヘアケア装置1のセッティングは、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・ヘアケア装置1の電源投入
・超音波放射装置10と被施術者の施術部位との間の位置関係の調整
・施術部位へのマーカの付与
・施術部位へのヘアケア剤(ヘアパックを含み得る)の塗布
ここで、上記位置関係の調整では、被施術者または施術者は、超音波放射装置10、または被施術者の少なくとも一方の位置または姿勢を変更し得る。
【0049】
図10に示すように、コントローラ30は、開始指示の取得(S130)を実行する。
開始指示の取得(S130)の第1例では、コントローラ30は、当該コントローラ30に接続された入力デバイス(例えば、物理スイッチ、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル)に対して行われた操作に応じて、開始指示を取得する。操作の主体は、被施術者であってもよいし、施術者であってもよい。
開始指示の取得(S130)の第2例では、コントローラ30は、当該コントローラ30に接続されたセンサ(例えば光学センサ)による被施術者の施術部位の検知結果に応じて、開始指示を取得する。一例として、施術部位にマーカを設置することで、光学センサによる施術部位の検知を補助することができる。
開始指示の取得(S130)の第3例では、当該コントローラ30に接続された入力デバイスに対して行われた操作と当該コントローラ30に接続されたセンサによる被施術者の施術部位の検知結果との組み合わせに応じて、開始指示を取得する。
【0050】
超音波振動子16の駆動期間および停止期間(つまり、
図9の第1期間Ton及び第2期間Toff)の少なくとも1つを可変に構成する場合に、開始指示は当該期間の長さを示す情報を含んでもよい。超音波振動子16の駆動期間および停止期間の長さは、施術者、または被施術者によって指定されてもよいし、アルゴリズムによって決定されてもよい。
【0051】
ステップS130の後に、コントローラ30は、超音波放射装置の駆動(S131)を実行する。
具体的には、コントローラ30は、駆動信号を生成し、超音波放射装置10へ送信する。コントローラ30は、ヘアケア装置1による施術を行う期間(以下「施術期間」という)が終了するまで超音波振動子16を間欠的に駆動する制御信号を周期的に生成する。施術期間は、例えば、5分である。
一例として、コントローラ30は、駆動期間に亘って超音波振動子16を駆動させ、当該駆動期間に続く停止期間に亘って超音波振動子16を停止させるサイクルを繰り返す。つまり、コントローラ30は、超音波振動子16のパルス制御を実行する。
超音波振動子16は、対応するコネクタ15を介して駆動信号を受信する。超音波振動子16は、受信した駆動信号に応じて略同時に超音波を放射する。振動子支持体12に取り付けられた一群の超音波振動子16によって放射される超音波は、当該振動子支持体12の主面12Sと所定の位置関係にある焦点に集束する。
【0052】
ヘアケア装置1の施術期間を可変に構成する場合に、開始指示は施術期間の長さを示す情報を含んでもよい。ヘアケア装置1による施術期間の長さは、施術者、または被施術者によって指定されてもよいし、アルゴリズムによって決定されてもよい。
【0053】
ステップS131の終了を以て、コントローラ30は、制御処理(
図10)を終了する。
【0054】
(4)ヘアケア装置の外形形状
ヘアケア装置1の外形形状を説明する。
【0055】
(4-1)ヘアケア装置の外形形状の第1例
ヘアケア装置1の外形形状の第1例を説明する。
図11は、本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第1例を示す図である。
【0056】
図11に示すように、ヘアケア装置1は、ベースカバー1aと、グリップ1bと、筐体1cと、を備える。
【0057】
筐体1cは、開口部OPを有する。筐体1cの内部は、中空である。筐体1cは、ベースカバー1aと、グリップ1bと、に接続される。筐体1cは、超音波の放射方向(Z+方向)に沿って延在する。
【0058】
ベースカバー1aは、略台形形状である。ベースカバー1aは、ベース11を覆う。ベース11は、開口部OPに向かって(つまり、Z+方向に向かって)超音波が放射される位置に配置される。
【0059】
グリップ1bは、筐体1cに対して略直交に延在する。
【0060】
図11のヘアケア装置1によれば、ヘアケア装置1のユーザは、グリップ1bを持ちながら、点FPがヘアケアの患部に位置するように(つまり、開口部OPを患部に向けて)、ヘアケア装置1を使用する。この場合、ユーザは、ヘアケア装置1をヘアドライヤのように使用することができる。
【0061】
(4-2)ヘアケア装置の外形形状の第2例
ヘアケア装置1の外形形状の第2例を説明する。
図12は、本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第2例を示す図である。
【0062】
図12に示すように、ヘアケア装置1は、ベースカバー1aと、ガイド1dと、を備える。
【0063】
ベースカバー1aは、開口部OPを有する。ベースカバー1aは、略台形形状である。ベースカバー1aは、ベース11を覆う。ベース11は、開口部OPに向かって(つまり、Z+方向に)超音波が放射される位置に配置される。
【0064】
ベースカバー1aは、グリップ1bを有する。グリップ1bは、ヘアケア装置1を使用するユーザの手が接触する部分である。グリップ1bは、ユーザがヘアケア装置1を握りやすい形状、及び、滑りにくい素材の少なくとも1つで形成される。
【0065】
ガイド1dは、ベースカバー1aのZ+側の端部に配置される。ガイド1dのZ方向の長さは、ベースカバー1aの端部(つまり、開口部OP)から点FPまでのZ方向の長さに略一致する。ガイド1dは、頭皮に対して適度な圧力を印加する素材(例えば、シリコン)で構成される。
【0066】
図12のヘアケア装置1によれば、ヘアケア装置1のユーザは、グリップ1bを持ちながら、ガイド1dが頭皮に接触するように、ヘアケア装置1を使用する。この場合、ユーザは、ヘアケア装置1を頭皮マッサージ器に使用することができる。
ガイド1dによって、ユーザは、ベースカバー1aのZ+側の端部(つまり、開口部OP)から点FPまでの距離と当該端部から患部までの距離とを略一致させながら、ヘアケア装置1を使用することができる。
【0067】
(4-3)ヘアケア装置の外形形状の第3例
ヘアケア装置1の外形形状の第3例を説明する。
図13は、本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第3例を示す図である。
【0068】
図13に示すように、ヘアケア装置1は、ベースカバー1aと、第1アーム1eと、第2アーム1fと、台座1gと、を備える。
【0069】
ベースカバー1aは、開口部OPを有する。ベースカバー1aは、略台形形状である。ベースカバー1aは、ベース11を覆う。ベース11は、開口部OPに向かって(つまり、Z+方向に)超音波が放射される位置に配置される。
【0070】
第1アーム1eは、ベースカバー1aと、第2アーム1fと、に接続される。第1アーム1eは、Z方向に延在する。
【0071】
第2アーム1fは、第1アーム1eと、台座1gと、に接続される。
第2アーム1fは、第1アーム1eを回動軸R1に沿って回動可能に支持する。
【0072】
台座1gは、第2アーム1fを回転軸R2に沿って回転可能に支持する。
【0073】
図13のヘアケア装置1によれば、ヘアケア装置1のユーザは、ヘアケア装置1を机に載置しながら(つまり、手に持つことなく)、使用する。この場合、ユーザは、手でヘアケアを行いながら(例えば、育毛剤又は発毛剤を付けながら、又は、マッサージしながら)、ヘアケア装置1を使用することができる。
【0074】
(4-4)ヘアケア装置の外形形状の第4例
ヘアケア装置1の外形形状の第4例を説明する。
図14は、本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第4例の正面図である。
図15は、本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第4例の側面図である。
図16は、ヘッドアタッチメントの一例を示す図である。
図17は、ヘッドアタッチメントの一例を示す図である。
【0075】
図14および
図15に示すように、ヘアケア装置1は、6個の振動子支持体12-1~12-6と、ヘッド41と、フード42と、グリップ43と、電源ボタン44と、モードスイッチ45と、ジャック46と、ランプ47とを含む。
【0076】
本例において、超音波放射装置10は、6個の振動子支持体12-1~12-6を備える。各振動子支持体12の主面12Sは三角形(例えば、正三角形または二等辺三角形)である。振動子支持体12は、当該振動子支持体12の主面12Sに対応する三角形が1つの頂点を他の全ての振動子支持体12の主面12Sに対応する三角形と共有する。当該主面12Sに対応する三角形のうち上記頂点に対向する辺(底辺)は、六角形(例えば正六角形)を形成するように配置される。
【0077】
ヘッド41は、6個の振動子支持体12-1~12-6を支持する。ヘッド41は、底面が開口部に相当し、かつ内部が中空の六角柱に類似する形状である。振動子支持体12は、当該ヘッド41に取り付けられる。振動子支持体12は、上記開口部を通って超音波を放射できるようにヘッド41の内部に収容される。
【0078】
フード42は、ヘアケア装置1を正面から見た場合に、ヘッド41の開口部の周囲、つまり6個の振動子支持体12-1~12-6を包囲するようにヘッド41に取り付けられる。フード42は、放射方向(Z+方向)に突出した環状壁42aを備える。ここで、環状壁42aのうち放射方向に最も突出した複数の先端部42bを通る面を先端面と定義する。フード42の形状は、振動子支持体12-1~12-6の共通の目標点が環状壁42aの先端面に含まれるように定められる。これにより、ユーザは、環状壁42aの複数の先端部42bを患部周辺に押し当てるようにヘアケア装置1の位置を調整することで、目標点の位置を患部に合わせることができる。つまり、フード42は、目標点の位置を患部に合わせるためのガイドの役割を果たす。
【0079】
図14および
図15の例では、フード42の環状壁42aは、放射方向の寸法が当該放射方向に直交する平面(XY平面)上の位置に応じて周期的に増減するように構成される。これにより、ヘアケア装置1の使用時にユーザの頭部に接触する先端部42bの面積を小さくすることができる。つまり、フード42のうち人体と触れる部分を減らせるので衛生的であるとともに、頭部に対する圧力が増加することによりマッサージ効果が高まる。
【0080】
フード42は、ヘッド41に対して着脱自在に構成されてもよい。これにより、フード42が容易に交換可能となり、フード42を取り外した状態でヘアケア装置1を使用することも可能となる。一例として、フード42は、ヘッド41またはフード42に内蔵された磁石により、ヘッド41に取り付けられる。
【0081】
ユーザは、フード42をヘッド41から外した状態で、またはフード42をヘッド41に取り付けた状態で、フード42とは異なるヘッドアタッチメントをヘッド41またはフード42に取り付けることができる。一例として、ヘッドアタッチメントは、ヘッド41、フード42、または当該ヘッドアタッチメントに内蔵された磁石により、ヘッド41またはフード42に取り付けられる。
【0082】
ヘッドアタッチメントの一例について
図16および
図17を用いて説明する。
図16および
図17に示すヘッドアタッチメント48は、ヘッド41およびフード42の外周面上に取り付けられる。ヘッドアタッチメント48は、スノープラウに類似の形状を備えている。ユーザは、フード42の環状壁42aの複数の先端部42bを頭部に接触させた状態を維持しながら、ヘアケア装置1を患部付近に移動させる。これにより、患部の周囲に長い毛髪がある場合であっても、ヘッドアタッチメント48が当該毛髪を押し退けるので、超音波放射装置10によって放射される超音波を、当該毛髪によって遮られることなく患部に到達させることができる。
【0083】
なお、
図16および
図17の例では、ヘッドアタッチメント48は、振動子支持体12の数と一致しているが、両者は異なっていてもよい。
【0084】
グリップ43は、ヘッド41を支持する。グリップ43は、ユーザが把持可能に構成される。グリップ43は、放射方向(Z+方向)と直交する方向(例えばY-方向)に比べて、当該放射方向に近い方向(つまり、Z+方向とY-方向の間の方向)に延びるように構成される。これにより、グリップ43を放射方向と直交する方向に延ばした構成と比べて、ユーザがヘッド41に収容された超音波放射装置10を自らの頭部に対向させるために要求される腕の動きを抑制することができる。
【0085】
グリップ43は、図示しない可動部により、X軸周りに回転可能に構成される。これにより、ユーザは、腕の負担が減るように患部の位置に応じてグリップ43の角度を調節することが可能である。
【0086】
電源ボタン44は、ヘアケア装置1の電源をON/OFFするための物理ボタンである。電源ボタン44は、グリップ43に設けられる。これにより、ユーザは、グリップ43を片手で把持した状態で、ヘアケア装置1の電源をON/OFFできる。
【0087】
モードスイッチ45は、ヘアケア装置1の動作モードを切り替えるための物理スイッチである。モードスイッチ45は、グリップ43に設けられる。これにより、ユーザは、グリップ43を片手で把持した状態で、ヘアケア装置1の動作モードを切り替えられる。
【0088】
ジャック46は、ヘアケア装置1の備えるバッテリ(図示しない)を充電するための端子である。ジャック46は、グリップ43のうちヘッド41と反対側の端部に設けられる。
【0089】
ランプ47は、例えばLED(Light Emitting Diode)である。ランプ47は、コントローラ30から制御により、ヘアケア装置1の動作状態(例えば、通常状態、バッテリ残量低下状態、など)に応じて点灯するように構成される。
【0090】
図14および
図15のヘアケア装置1によれば、フード42の環状壁42aの先端部42bは、前述の先端面の一部を構成するに過ぎないので、フード42と頭皮との接触面積が必要最小限に留まる。したがって、ヘアケア装置1によれば、ユーザはグリップ43を片手で把持し、フード42の環状壁42aの複数の先端部42bを患部の周囲に押し当てた状態でヘアケア装置1を動作させることで、衛生面への悪影響を最小限に留めた上で、ヘアケア装置1の位置または向きに細かく注意を払わずとも、超音波放射装置10から放射される超音波を患部に集めることができる。
【0091】
(4-5)ヘアケア装置の外形形状の第5例
ヘアケア装置1の外形形状の第5例を説明する。
図18は、本実施形態のヘアケア装置の外形形状の第5例を示す図である。
【0092】
図18に示すように、ヘアケア装置1は、筐体50を備える。
【0093】
筐体50は、人間の頭部に装着可能である。筐体50は、例えば帽子に類似の中空半球の形状を備える。筐体50は、人間の頭部への装着時に当該頭部と対向する面上の異なる位置に複数の装置取付部51-1~51-5を備える。
【0094】
装置取付部51には、超音波放射装置10を着脱可能である。一例として、超音波放射装置10は、超音波放射装置10または装置取付部51に内蔵された磁石により、装置取付部51に固定される。
【0095】
図18のヘアケア装置1によれば、ユーザはヘアケア装置1を頭部に装着した状態でヘアケアを行える。つまり、ヘアケアを行っている間、ユーザは両手を自由に使うことができる。また、複数の装置取付部51に複数の超音波放射装置10を取り付けることで、複数の患部に対するヘアケアを同時に実施し、ヘアケアを短時間で完了することもできる。
【0096】
なお、筐体50は、帽子ではなくヘッドフォンに類似の形状を備えていてもよい。この場合、筐体50は、複数の装置取付部51を備える帯状のヘッドバンドと、当該ヘッドバンドの両端をユーザの頭部(例えば両耳)に固定するパッドとを備えていてもよい。
【0097】
(5)小括
以上説明したように、本実施形態の超音波放射装置10は、複数の振動子支持体12と、各振動子支持体12に取り付けられた複数の超音波振動子16を備える。振動子支持体12は、主面12Sを備え、かつ当該主面12S上に複数の超音波振動子16を取り付け可能な複数の取付部14を備える。複数の振動子支持体12の各々は、当該振動子支持体12の主面12Sから超音波の進行方向側に伸びる法線が他の振動子支持体12のそれぞれの主面12Sから超音波の進行方向側に伸びる法線と共通の目標点で交差するように設置される。これにより、各振動子支持体12に取り付けられた超音波振動子16によって放射される超音波を前述の目標点に集めることができる。つまり、被施術者の施術部位を目標点と位置合わせすることで、当該施術部位に対して音響放射圧を非接触に印加することができる。したがって、本実施形態の超音波放射装置10をヘアケア装置に適用することで、ヘアケアにおける衛生面への悪影響を低減することができる。
【0098】
振動子支持体12に取り付けられた複数の超音波振動子16の各々は、当該振動子支持体12の主面12S上の基準点から当該超音波振動子16に対応する取付部14までの距離が大きいほど、当該主面12Sに直交する方向に関して当該主面12Sからの距離が大きくなるようにオフセットした位置に取り付けられてよい。これにより、各振動子支持体12に取り付けられた一群の超音波振動子16から前述の目標点までの距離のばらつきを抑え、当該目標点に超音波を集束させることができる。
【0099】
振動子支持体12における複数の超音波振動子16の取り付け位置は、当該振動子支持体12の主面12Sから所定距離離れた点からの距離が互いに略等しくなるように定められてよい。これにより、主面12Sから所定距離離れた点から各超音波振動子16までの距離を振動子支持体12単位で均一化し、当該点において超音波の位相を揃えることができる。
【0100】
振動子支持体12には、主面12S上に、当該主面12Sに直交する方向に関して段差のついた階段状の領域を形成する少なくとも1つのアタッチメント13が取り付けられ、複数の超音波振動子16の少なくとも1つは、対応する取付部14にアタッチメント13を介して取り付けられてもよい。これにより、主面12Sから各超音波振動子16までの距離を容易に調整することができる。
【0101】
振動子支持体12に取り付けられる複数の超音波振動子16のうち1つは、当該振動子支持体12の主面12Sにおける前述の法線に沿って進行する超音波を放射してもよい。これにより、この超音波振動子16から放射される超音波は、最短経路で前述の目標点に到達するので、エネルギー効率を高めることができる。
【0102】
各振動子支持体12は、当該振動子支持体12の主面12Sから目標点までの距離が互いに略一致するように設置されてもよい。これにより、前述の目標点から各超音波振動子16までの距離のばらつきを全ての振動子支持体12に亘って抑制し、当該目標点により確実に超音波を集束させることができる。
【0103】
本実施形態のヘアケア装置1は、超音波放射装置10と、当該超音波放射装置10の備える複数の超音波振動子16を略同時に駆動するコントローラ30とを備える。これにより、ヘアケアにおける衛生面への悪影響を低減することができる。
【0104】
本実施形態のヘアケア装置1は、育毛剤又は発毛剤を塗布した後に用いられることが好ましい。本実施形態によれば、集束超音波の音響放射圧により、育毛剤又は発毛剤の頭皮への浸透率が上がる。その結果、育毛効果又は発毛効果をより促進することができる。
【0105】
(6)変形例
本実施形態の変形例について説明する。
【0106】
(6-1)変形例1
変形例1について説明する。変形例1は、超音波が放射されていることを報知する手段を備える例である。
【0107】
(6-1-1)ヘアケア装置の構成
変形例1のヘアケア装置の構成について説明する。
図19は、変形例1のヘアケア装置の構成を示すブロック図である。
【0108】
図19に示すように、報知デバイス60は、コントローラ30に接続される。報知デバイス60は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・発光素子
・スピーカ
・振動素子
【0109】
報知デバイス60は、超音波放射装置10が超音波を放射している間、コントローラ30からの制御に従って動作する。具体的には、報知デバイス60は、光、音、または振動の少なくとも1つを発生させることで、例えば超音波が放射されていることをユーザに報知する。なお、報知デバイス60が発光素子を備える場合に、当該報知デバイス60は、好ましくはヘアケア装置1の使用中にユーザから見える位置(例えば
図14のヘアケア装置1のグリップ43の下部)に設置される。
【0110】
以上説明したように、変形例1のヘアケア装置1は、報知デバイス60を備えている。これにより、ヘアケア装置1が動作状態(つまり、超音波を放射しているか否か)をユーザが直感的に理解することができる。
【0111】
なお、発光素子として、
図14および
図15のヘアケア装置1のランプ47を利用することもできる。
【0112】
本変形例は、さらなる変形が可能である。
第1例として、コントローラ30は、目標点(つまり、超音波放射装置10によって放射される超音波の焦点)がユーザの患部(例えば頭皮)に一致しているか否かを検出し、検出結果に応じて報知デバイス60の動作を変更してもよい。一例として、目標点がユーザの患部に一致している場合とそうでない場合とで、報知デバイス60は、発生させる光、音、または振動の内容(例えばパターン)を異ならせる。
【0113】
第2例として、報知デバイス60の代わりに、または報知デバイス60に加えて、ヘアケア装置1は、超音波放射装置10によって放射される超音波の進行経路と重なる位置に配置される軽量のパーツを備えてもよい。かかるパーツは、超音波によって振動するので、報知デバイス60と同様にユーザに超音波の放射を報知する効果を奏する。
【0114】
(6-2)変形例2
変形例2について説明する。変形例2は、ドライヤーをヘアケア装置1として構成する例である。
【0115】
(6-2-1)ヘアケア装置の構成
変形例2のヘアケア装置の構成について説明する。
図20は、変形例2のヘアケア装置の側面図である。
図21は、変形例2のヘアケア装置の正面図である。
【0116】
図20および
図21に示すように、ヘアケア装置1は、ヘッド61と、グリップ62と、送風装置63と、ヒーター64とを備える。
【0117】
ヘッド61は、放射方向(Z+方向)側の底面が閉口部に相当し、かつZ-方向側の底面が閉口部に相当する円筒に類似する形状である。
ヘッド61は、Z+方向側の端部の外周面上に超音波放射装置10を取り付けられる。超音波放射装置10に含まれる振動子支持体12-1~12-6の各々は、当該振動子支持体12の主面の法線が共通の目標点(焦点)FPで交差するように配置される。ヘッド61は、内部空間に送風装置63およびヒーター64を収容する。
【0118】
グリップ62は、放射方向(Z+方向)に対して略直交(Y-方向)に延在する。グリップ62には、図示しない電源ボタン、モードスイッチ、またはその他の操作部が設けられてもよい。
【0119】
送風装置63は、例えばファンおよびモーターを含む。送風装置63は、コントローラ30からの制御に応じて、放射方向(Z+方向)の風を発生させる。
【0120】
ヒーター64は、送風装置63に比べて放射方向(Z+方向)側に設けられる。ヒーター64は、コントローラ30からの制御に応じて発熱する。
【0121】
コントローラ30は、送風装置63およびヒーター64をONとすることで、ヘッド61の開口部から放射方向(Z+方向)に温風を流すことができる(温風モードの動作)。コントローラ30は、送風装置63をONとし、かつヒーター64をOFFとすることで、ヘッド61の開口部から放射方向に温風に比べて温度の低い風を流すことができる(冷風モードの動作)。
【0122】
変形例2のヘアケア装置1によれば、ユーザは、必要に応じて、ヘアケア、髪の乾燥、またはその両方を選択して行うことができる。
【0123】
(6-3)変形例3
変形例3について説明する。変形例3は、一部の超音波振動子を他の超音波振動子と逆位相で駆動する例である。
図22は、変形例3の一態様の説明図である。
【0124】
本実施形態の
図8では、振動子支持体12の主面12S上に設置された複数の超音波振動子16が、当該主面12Sから所定距離離れた点FPからの距離が略等しくなるように取り付けられる例を示した。しかしながら、一部の超音波振動子16を他の超音波振動子16と逆位相で駆動することで、当該一部の超音波振動子16(の取り付け位置)から点FPまでの距離を、当該他の超音波振動子16から点FPまでの距離とは異ならせることができる。
【0125】
具体的には、
図22に示すように、点FPから超音波振動子16-3までの距離を、点FPから超音波振動子16-1,16-2までの距離に比べて超音波の半波長程度長くなるように構成し、かつ超音波振動子16-3を超音波振動子16-1,16-2と逆位相で略同時に駆動したとする。この場合に、
図8の例と同様に各超音波振動子16から放射される超音波は点FPにおいて同位相となり強め合うとともに、超音波振動子16-3を
図8の例に比べて低背化することができる。
【0126】
本実施形態では、複数の超音波振動子16の各々を、振動子支持体12の主面12S上の基準点(例えば、取付部14-1の位置)から当該超音波振動子16に対応する取付部14までの距離が大きいほど、主面12Sに直交する方向に関して当該主面12Sからの距離が大きくなるようにオフセットした位置に取り付けられる例を示した。本変形例3では、例えば、基準点から最も距離が大きい取付部14に対応する超音波振動子16を、基準点から最も距離が小さい取付部14に対応する超音波振動子16と逆位相で駆動することで、超音波振動子16の主面12Sとの間の距離の最大値を小さくすることができる。
【0127】
変形例3のように、振動子支持体12の主面12S上に設置される一部の超音波振動子16を他の超音波振動子16と逆位相で駆動することで、超音波振動子16の主面12Sとの間の距離のばらつきを抑えながら、各超音波振動子16から放射される超音波を簡易な制御(同時駆動)により焦点に収束させることが可能となる。
【0128】
(6-4)変形例4
変形例4について説明する。変形例4は、ヘアケア剤を吐出する吐出機構を備えるヘアケア装置1の例である。
図23は、変形例4のヘアケア装置の正面図である。
【0129】
図23に示すように、変形例4のヘアケア装置1は、ヘアケア剤を吐出する吐出機構を備える。吐出機構は、ノズル65と、カートリッジ66と、を備えてもよい。
【0130】
カートリッジ66は、ヘアケア装置1(例えば、グリップ62)に対して着脱可能に取り付けられる。カートリッジ66は、ヘアケア剤を収容するように構成される。
ヘアケア剤は、発毛成分又は育毛成分が配合された物質(例えば、液体物質)である。ヘアケア剤は、例えば、ミノキシジルである。
【0131】
ノズル65は、XY平面において、ヘッド61の開口部(つまり、振動子支持体12-1~12-6と重ならない領域)に配置される。ノズル65は、カートリッジ66に収容されたヘアケア剤を超音波放射方向と同一の方向に吐出可能に構成される。
ノズル65から吐出されたヘアケア剤は、施術前、施術中、および施術後の少なくとも1つにおいて、ユーザの頭皮、および毛髪の少なくとも1つに塗布される。
ユーザの操作(例えばトリガーを引く操作)に応じて、またはコントローラ30からの制御に応じて、カートリッジ66に収容されたヘアケア剤がノズル65に供給され、且つ、当該ノズル65の先端から吐出される。
【0132】
ノズル65は、
図23の位置に限られず、例えば、ヘッド41、フード42、またはヘッドアタッチメント48と統合され、またはこれらに取り付けられてもよい。
【0133】
変形例4によれば、非接触振動圧刺激に加えて、ヘアケア剤が頭皮に塗布される。これにより、ヘアケア剤が塗布された頭皮に非接触振動圧刺激が加えられる。その結果、非接触振動圧刺激のみの作用にヘアケア剤の作用も加わるので、発毛効果をより高めることができる。
【0134】
(6-5)変形例5
変形例5について説明する。変形例5は、非接触振動圧刺激が加えられていることをユーザに提示する例である。
図24は、変形例5のヘアケア装置の正面図である。
【0135】
図24に示すように、変形例5のヘアケア装置1のグリップ43内には、振動モータ67が配置される。
振動モータ67は、超音波振動子16から超音波が放射されているときに振動する。
【0136】
振動モータ67の振動パターンの第1例を説明する。振動パターンの第1例では、振動モータ67は、超音波が放射されている間、振動し続ける。
【0137】
振動モータ67の振動パターンの第2例を説明する。振動パターンの第2例では、振動モータ67は、超音波の放射の開始から所定時間が経過する毎に、経過時間に応じた振動態様で振動する。例えば、放射の開始から4分が経過するまでは、1分毎に、2秒間振動し、放射の開始から5分が経過すると、10秒間振動する。
【0138】
変形例5によれば、振動モータ67の振動により、ユーザに対して、ヘアケア装置1による施術が適用されていることを触覚的に提示することができる。特に、ヘアケア装置1は、超音波(つまり、ユーザにとって聴こえない帯域の音波)を放射するので、振動モータ67による提示は特に有効である。
【0139】
(6-6)変形例6
変形例6について説明する。変形例6は、超音波放射装置の構成に関する変形例である。
【0140】
(6-6-1)超音波放射装置の構成
変形例6の超音波放射装置の構成について説明する。
図25は、変形例6の超音波放射装置の外観を示す図である。
図26は、変形例6の超音波放射装置の外観を示す図である。
図27は、変形例6の超音波放射装置の備える側面支持体および底面支持体の目標点の説明図である。
図28は、変形例6の側面支持体に複数の超音波振動子が取り付けられた状態を示す図である。
図29は、変形例6の底面支持体に複数の超音波振動子が取り付けられた状態を示す図である。
図30は、変形例6の底面支持体に複数の超音波振動子が取り付けられた状態を示す図である。
図31は、変形例6のアタッチメントの外観を示す図である。
【0141】
図25および
図26に示すように、超音波放射装置70は、ベース71と、6つの側面支持体72-1,72-2,72-3,72-4,72-5,72-6と、底面支持体78とを備える。
図28に示すように、超音波放射装置70は、側面支持体72毎に、複数の超音波振動子76を備える。また、図示しないが、超音波放射装置70は、側面支持体72毎に、アタッチメント(スペーサ)と、複数の取付部と、コネクタとを備える。
図29および
図30に示すように、超音波放射装置70は、底面支持体78上に、複数の超音波振動子77と、アタッチメント79とを備える。また、図示しないが、超音波放射装置70は、底面支持体78上に、複数の取付部と、コネクタとを備える。
【0142】
ベース71は、第1領域71a1と、例えば略平面状の第2領域71a2とを含む。第1領域71a1では、位置および向きの少なくとも1つにおいて互いに異なる複数の多角形状の面が組み合わせられている。当該複数の多角形状の面の組み合わせは、Z-方向に凸な立体的形状を構成する。複数の多角形状の面は、各面から超音波の進行方向側に伸びる法線の1つが、他の面から超音波の進行方向側に伸びる法線の1つと共通の交点で交差するように組み合わせられる。一例として、
図25および
図26に示すように、第1領域71a1では、略正六角形状の面と、当該面の各辺と底辺(短い方の底辺)を共有する6個の台形状の面とが組み合わせられている。略正六角形状の面と、6個の台形状の面との組み合わせは、Z-方向に凸な傘様の立体形状である。第2領域71a2は、第1領域71a1を包囲する。
【0143】
ベース71は、側面支持体72および底面支持体78のそれぞれを取り付けるための手段(例えばねじ穴)を、第1領域71a1を構成する各面に備える。ベース71は、側面支持体72および底面支持体78が取り付けられた状態で、当該側面支持体72および底面支持体78を支持するように構成される。
【0144】
ベース71は、図示しない物体(例えば、ヘアケア装置1の筐体)に取り付けられるための手段(例えばねじ穴)を例えば第2領域71a2に備える。ベース71が物体に取り付けられた状態で、ベース71は当該物体に対して位置および姿勢(例えば、X軸、Y軸、およびZ軸周りの回転角)を維持(つまり静止)させることができる。
【0145】
図28に示すように、側面支持体72は、略平面の主面72Sを備え、当該主面72Sが超音波の進行方向側を向くようにベース71の第1領域71a1の各面(側面)に取り付けられる。側面支持体72は、当該側面支持体72の主面72Sが他の側面支持体72の主面72Sと非平行である(つまり、側面支持体72の主面72Sを含む平面が他の側面支持体72の主面72Sを含む平面と一致しない)ように配置される。また、側面支持体72は、当該側面支持体72の主面72Sから超音波振動子76による超音波の放射方向側に伸びる法線が底面支持体78の主面78Sと交差しないように配置される。側面支持体72は、側面支持体72をベース71に取り付けるための手段(例えばねじ穴)を備える。側面支持体72がベース71に取り付けられた状態で、側面支持体72は当該ベース71に対して位置および姿勢を維持(つまり静止)できる。具体的には、側面支持体72は、主面72Sから超音波の進行方向側に伸びる法線の1つが、他の側面支持体72の主面72Sおよび底面支持体78の主面(後述)から超音波の進行方向側に伸びる法線の1つと共通の目標点で交差するようにベース71上に設置される。目標点は、前述の交点と一致してもよいし、異なっていてもよい。側面支持体72の主面72Sが、ベース71の第1領域71a1のうち当該側面支持体72が取り付けられる面と平行である場合に前述の交点は目標点に一致する。さらに、各側面支持体72は、当該側面支持体72の主面72Sから前述の目標点までの距離が互いに略一致するように、ベース71上に設置されてよい。また、各側面支持体72は、当該側面支持体72の主面72Sから目標点までの距離が底面支持体78の主面から当該目標点までの距離と略一致するように、ベース71上に設置されてよい。
【0146】
主面72Sは、ベース71の第1領域71a1を構成する面(側面)と同一または類似の形状である。一例として、主面72Sは、台形状である。
【0147】
図示しないが、側面支持体72は、複数の取付部を主面72S上に備える。取付部は、超音波振動子76を取り付け可能に構成される。側面支持体72は、取付部に超音波振動子76が取り付けられた状態で、当該超音波振動子76を支持し、かつコネクタとの電気的接続を提供するように構成される。
【0148】
より詳細には、複数の超音波振動子76は、基準点から当該超音波振動子76の取り付け位置までの距離(ここでは、主面72Sと同一平面上の距離)に基づいて複数のグループに分類される。ここで、基準点は、例えば、側面支持体72をベース71に取り付けた状態で定まる目標点から主面72Sに対して降ろした垂線が当該主面72Sと交差する点である。
【0149】
各グループに属する超音波振動子76は、他のグループに属する超音波振動子76と比べて、主面72Sに直交する方向に関して当該主面72Sからの距離(つまり、主面72Sに直交する方向に関する取り付け位置)、または駆動信号を反転入力するか否か、の少なくとも1つにおいて異なるように構成される。
【0150】
以降の説明では、基準点からの距離がDa1である取り付け位置に対応する超音波振動子76AをグループAに分類し、基準点からの距離がDb1(Db1>Da1)である取り付け位置に対応する超音波振動子76BをグループBに分類する例について述べる。本例では、グループAに属する超音波振動子76は、グループBに属する超音波振動子76と比べて、主面72Sに直交する方向に関して当該主面72Sからの距離が異なるように取り付けられる。
【0151】
主面72Sに直交する方向に関する取り付け位置は、図示しないアタッチメントによって調整可能である。側面支持体72の主面72S上には、アタッチメントが取り付けられる。アタッチメントは、グループBに属する超音波振動子76と、主面72Sとの間の距離を調整可能に構成される。具体的には、アタッチメントは、略一様の厚みを備え、主面72S上に当該主面72Sに直交する方向に関して当該厚みに相当する距離離れた略平面状の領域を提供する。
【0152】
グループAに属する超音波振動子76は、取付部に直接取り付けられる。他方、グループBに属する超音波振動子76Bは、アタッチメントを介して、取付部に取り付けられる。故に、各超音波振動子76から主面72Sまでの距離は一様でない。つまり、側面支持体72に取り付けられる各超音波振動子76は、他の超音波振動子76の少なくとも1つに比べて主面72Sからの距離が異なるように取り付けられる。一例として、複数の超音波振動子76の各々は、主面72S上の基準点から当該超音波振動子76に対応する取付部までの距離が大きいほど、主面72Sに直交する方向に関して当該主面72Sからの距離が大きくなるようにオフセットした位置に取り付けられる。具体的には、各超音波振動子76の取り付け位置は、主面72Sから所定距離離れた点(側面支持体72をベース71に取り付けた状態では目標点に相当し、以下、「超音波振動子76の設計上の焦点」という)を中心とする略球面上の位置に定められ得る。換言すれば、複数の超音波振動子76の取り付け位置は、超音波振動子76の設計上の焦点からの距離が互いに略等しくなるように定められ得る。
【0153】
図示しないが、側面支持体72は、コネクタを主面72S上で支持する。コネクタは、外部装置(例えばコントローラ30)と電気信号をやり取り可能に接続される。
【0154】
超音波振動子76が取付部に(直接的に、またはアタッチメントを介して間接的に)取り付けられた状態で、超音波振動子76は側面支持体72に対して位置および姿勢を維持(つまり静止)できる。また、超音波振動子76は、取付部に取り付けられた状態で、コネクタと電気的に接続される。超音波振動子76は、コントローラ30によって送信された駆動信号を、コネクタを介して受信し、当該駆動信号に従って、第1方向に沿って進行する超音波を放射するように構成される。第1方向は、例えば側面支持体72の主面72Sの法線方向である。各超音波振動子76から放射された超音波は、
図27に示すように前述の設計上の焦点に相当する焦点FPに収束する。
【0155】
図29および
図30に示すように、底面支持体78は、略平面の主面78Sを備え、当該主面78Sが超音波の進行方向側を向くようにベース71の第1領域71a1の一面(底面)に取り付けられる。底面支持体78は、底面支持体78をベース71に取り付けるための手段(例えばねじ穴)を備える。底面支持体78は、当該底面支持体78の主面78Sが各側面支持体72の主面72Sと非平行である(つまり、底面支持体78の主面78Sを含む平面が各側面支持体72の主面72Sを含む平面と一致しない)ように配置される。底面支持体78がベース71に取り付けられた状態で、底面支持体78は当該ベース71に対して位置および姿勢を維持(つまり静止)できる。具体的には、底面支持体78は、主面78Sから超音波の進行方向側に伸びる法線の1つが、各側面支持体72の主面72Sから超音波の進行方向側に伸びる法線の1つと共通の目標点で交差するようにベース71上に設置される。目標点は、前述の交点と一致してもよいし、異なっていてもよい。底面支持体78の主面78Sが、ベース71の第1領域71a1のうち当該底面支持体78が取り付けられる面と平行である場合に前述の交点は目標点に一致する。さらに、各底面支持体78は、当該底面支持体78の主面78Sから前述の目標点までの距離が各側面支持体72の主面72Sから当該目標点までの距離と略一致するように、ベース71上に設置されてよい。
【0156】
つまり、各支持体(底面支持体78及び各側面支持体72)の主面を含む平面は、互いに非平行になる(つまり、一致しない)ように配置される。
【0157】
主面78Sは、ベース71の第1領域71a1を構成する面(底面)と同一または類似の形状である。一例として、主面78Sは、略正六角形の形状である。6個の側面支持体72は、当該側面支持体72の主面72Sに対応する台形が第1底辺(短い方の底辺)を、底面支持体78の主面78Sに対応する六角形の1辺と共有し、かつ6個の側面支持体72の主面72Sに対応する台形の第2底辺(長い方の底辺)が底面支持体78の主面78Sよりも大きな六角形を形成するように配置される。
【0158】
図示しないが、底面支持体78は、複数の取付部を主面78S上に備える。取付部は、超音波振動子77を取り付け可能に構成される。底面支持体78は、取付部に超音波振動子77が取り付けられた状態で、当該超音波振動子77を支持し、かつコネクタとの電気的接続を提供するように構成される。
【0159】
より詳細には、複数の超音波振動子77は、基準点から当該超音波振動子77の取り付け位置までの距離(ここでは、主面78Sと同一平面上の距離)に基づいて複数のグループに分類される。ここで、基準点は、例えば、底面支持体78をベース71に取り付けた状態で定まる目標点から主面78Sに対して降ろした垂線が当該主面78Sと交差する点である。
【0160】
各グループに属する超音波振動子77は、他のグループに属する超音波振動子77と比べて、主面78Sに直交する方向に関して当該主面78Sからの距離(つまり、主面78Sに直交する方向に関する取り付け位置)、または駆動信号を反転入力するか否か、の少なくとも1つにおいて異なるように構成される。
【0161】
以降の説明では、
図29に示すように、基準点からの距離がDa2である取り付け位置に対応する超音波振動子77AをグループAに分類し、基準点からの距離がDb2(Db2>Da2)である取り付け位置に対応する超音波振動子77BをグループBに分類し、基準点からの距離がDc2(Dc2>Db2)である取り付け位置に対応する超音波振動子77CをグループCに分類し、基準点からの距離がDd2(Dd2>Dc2)である取り付け位置に対応する超音波振動子77DをグループDに分類する例について述べる。本例では、グループAおよびグループCに属する超音波振動子77は、グループBおよびグループDに属する超音波振動子77と比べて、主面78Sに直交する方向に関して当該主面78Sからの距離が異なるように取り付けられる。また、グループCおよびグループDに属する超音波振動子77は、グループAおよびグループBに属する超音波振動子77に比べて逆位相で駆動する。例えば、駆動信号を供給する入力端子を繋ぎ変えることで、超音波振動子77を逆位相で駆動することができる。
【0162】
主面78Sに直交する方向に関する取り付け位置は、
図31に示すアタッチメント79によって調整可能である。底面支持体78の主面78S上には、
図31に示すアタッチメント79が取り付けられる。アタッチメント79は、グループBおよびグループDに属する超音波振動子77と、主面78Sとの間の距離を調整可能に構成される。具体的には、アタッチメントは、略一様の厚みを備え、主面78S上に当該主面78Sに直交する方向に関して当該厚みに相当する距離離れた略平面状の領域を提供する。
【0163】
グループAまたはグループCに属する超音波振動子77は、取付部に直接取り付けられる。他方、グループBおよびグループDに属する超音波振動子77は、アタッチメント79を介して、取付部に取り付けられる。故に、各超音波振動子77から主面78Sまでの距離は一様でない。つまり、底面支持体78に取り付けられる各超音波振動子77は、他の超音波振動子77の少なくとも1つに比べて主面78Sからの距離が異なるように取り付けられる。
【0164】
一例として、グループAまたはグループBに属する複数の超音波振動子77(つまり、駆動信号を反転入力しない超音波振動子77)の各々は、主面78S上の基準点から当該超音波振動子77に対応する取付部までの距離が大きいほど、主面78Sに直交する方向に関して当該主面78Sからの距離が大きくなるようにオフセットした位置に取り付けられる。具体的には、グループAまたはグループBに属する各超音波振動子77の取り付け位置は、主面78Sから所定距離離れた点(底面支持体78をベース71に取り付けた状態では目標点に相当し、以下、「超音波振動子77の設計上の焦点」という)を中心とする球面上の位置に定められ得る。換言すれば、グループAまたはグループBに属する複数の超音波振動子77の取り付け位置は、超音波振動子77の設計上の焦点からの距離が互いに略等しくなるように定められ得る。グループCまたはグループDに属する複数の超音波振動子77(つまり、駆動信号を反転入力する超音波振動子77)の取り付け位置も同様である。
【0165】
ただし、グループCまたはグループDに属する超音波振動子77は、グループAまたはグループBに属する複数の超音波振動子77に比べて、逆位相で駆動される。故に、グループCまたはグループDに属する超音波振動子77の取り付け位置から超音波振動子77の設計上の焦点までの距離は、グループAまたはグループBに属する複数の超音波振動子77の取り付け位置から超音波振動子77の設計上の焦点までの距離とは相違する。
【0166】
具体的には、変形例3において説明したように、超音波振動子77の設計上の焦点からグループCまたはグループDに属する超音波振動子77までの距離を、当該焦点からグループAまたはグループBに属する超音波振動子77までの距離に比べて超音波の半波長程度長くなるように構成する。この場合に、いずれのグループに属する超音波振動子77から放射される超音波も、超音波振動子77の設計上の焦点において同位相となり強め合う。
【0167】
底面支持体78は、コネクタを主面78S上で支持する。コネクタは、外部装置(例えばコントローラ30)と電気信号をやり取り可能に接続される。
【0168】
超音波振動子77が取付部に(直接的に、またはアタッチメントを介して間接的に)取り付けられた状態で、超音波振動子77は底面支持体78に対して位置および姿勢を維持(つまり静止)できる。また、超音波振動子77は、取付部に取り付けられた状態で、コネクタと電気的に接続される。超音波振動子77は、コントローラ30によって送信された駆動信号を、コネクタを介して受信し、当該駆動信号に従って、第2方向に沿って進行する超音波を放射するように構成される。第2方向は、前述の第1方向とは異なる方向であって、例えば底面支持体78の主面78Sの法線方向である。超音波振動子77から放射された超音波は、
図27に示すように前述の設計上の焦点に相当する焦点FPに収束する。つまり、超音波振動子76によって放射される超音波が収束する第1焦点と、超音波振動子77によって放射される超音波が収束する第2焦点とが略一致するように、側面支持体72、超音波振動子76、超音波振動子77、および底面支持体78が構成される。
【0169】
(6-6-2)小括
以上説明したように、変形例6の超音波放射装置70は、側面支持体72と、複数の超音波振動子76と、底面支持体78と、複数の超音波振動子77とを備え、当該超音波振動子76によって放射される超音波が収束する第1焦点と、当該超音波振動子77によって放射される超音波が収束する第2焦点とが略一致するように配置される。これにより、被施術者の施術部位を目標点と位置合わせすることで、当該施術部位に対して音響放射圧を非接触に印加することができる。したがって、変形例6の超音波放射装置70をヘアケア装置に適用することで、ヘアケアにおける衛生面への悪影響を低減することができる。また、超音波放射装置70は、Z-方向側の端部を1つの頂点に収束させる代わりに複数の超音波振動子77を取付可能な底面支持体78を備えているため、超音波振動子の配置効率が高い。つまり、超音波放射装置70によれば、Z方向の寸法を抑制しながら必要とされる音響放射圧を達成することができる。
【0170】
超音波放射装置70では、複数の超音波振動子77は、設計上の焦点から底面支持体78の主面78Sに降ろした垂線と当該主面78Sとの交点である基準点から当該超音波振動子77の取り付け位置までの距離に基づいて複数のグループに基づいて分類される。複数のグループのうち第1グループに属する超音波振動子77は、当該複数のグループのうち第2グループに属する超音波振動子77と比べて、逆位相で駆動されてよい。これにより、基準点からの距離が異なる位置に取り付けられる複数の超音波振動子77について、主面78Sに直交する方向に関する取り付け位置の調整幅を抑制しながら、当該複数の超音波振動子77から放射される超音波を設計上の焦点に収束させることができる。
【0171】
超音波放射装置70では、複数の超音波振動子77は、設計上の焦点から底面支持体78の主面78Sに降ろした垂線と当該主面78Sとの交点である基準点から当該超音波振動子77の取り付け位置までの距離に基づいて複数のグループに基づいて分類される。複数のグループのうち第1グループに属する超音波振動子77は、当該複数のグループのうち第2グループに属する超音波振動子77と比べて、主面78Sに直交する方向に関して当該主面78Sからの距離が異なるように取り付けられてよい。これにより、基準点からの距離が異なる位置に取り付けられる複数の超音波振動子77について、主面78Sに直交する方向に関する取り付け位置を調整し、設計上の焦点から各超音波振動子77までの距離を揃えられるので、当該複数の超音波振動子77から放射される超音波を当該焦点に収束させることができる。
【0172】
(7)その他の変形例
記憶装置31は、ネットワークを介して、コントローラ30と接続されてもよい。
【0173】
上記説明では、アタッチメント13を振動子支持体12の主面12S上に取り付けることで、当該主面12S上に当該主面12Sに直交する方向に関して段差のついた階段状の領域を形成する例を示した。
しかしながら、アタッチメント13の少なくとも一部が、超音波振動子16に取り付けられてもよい。
或いは、振動子支持体12の主面12Sが立体的形状に構成されてもよい。一例として、主面12Sは、第1領域および第2領域を含むように変形されてよい。第1領域は、略平面である。第2領域は、第1領域に直交する方向に関して当該第1領域に比べて超音波の進行方向側にオフセットし、かつ当該方向に関して段差のついた階段状である。複数の取付部14のうち少なくとも1つは、第2領域に設けられる。これにより、アタッチメント13を不要とし、またはアタッチメント13の数を減らすことができる。
【0174】
ベース11は、可動機構に取り付けられてもよい。可動機構は、当該可動機構の位置または姿勢の少なくとも1つを変更可能に構成される。これにより、可動機構の位置または姿勢の変更に応じて、ベース11の位置または姿勢も変更されるので、超音波の焦点の位置を調整することが可能となる。
【0175】
上記説明では、超音波放射装置10が備える振動子支持体12の数が5個または6個である例を示した。しかしながら、超音波放射装置10が備える振動子支持体12の数は、2個以上4個以下であってもよいし、7個以上であってもよい。
特に、上記説明では、5個又は6個の振動子支持体12を、これらの主面12Sが正二十面体のうち頂点を共有する5つ又は6つの正三角形に対応するように配置する例を示した。複数の振動子支持体12の配置はこの例に限られないが、この例は拡張性に優れる。要するに、正二十面体を構成する正三角形のいずれかに対応する主面12Sを有する任意の数の振動子支持体12を追加するとする。正二十面体を構成する正三角形の法線はいずれも当該正二十面体の中心を通るので、追加された振動子支持体12に取り付けられる複数の超音波振動子16によって放射される超音波を確実に目標点に集束させることができる。
【0176】
上記説明では、振動子支持体12に取り付けられる超音波振動子16の数が10個である例を示した。しかしながら、振動子支持体12に取り付けられる超音波振動子16の数は、9個以下であってもよいし、11個以上であってもよい。
【0177】
上記説明では、振動子支持体12の主面12Sから各超音波振動子16までの距離が3段階で調整可能となるように、各超音波振動子16が取り付けられている。しかしながら、振動子支持体12の主面12Sから各超音波振動子16までの距離が2段階、または4段階以上で調整可能となるように、各超音波振動子16が取り付けられてもよい。
【0178】
本実施形態または変形例のヘアケア装置1は、発光素子をさらに備えていてもよい。発光素子は、例えばLEDである。発光素子は、超音波放射装置10に配置される。発光素子は、例えば超音波の放射方向(Z+方向)に沿って進行する光線を照射するよう、コントローラ30によって駆動される。これにより、患部に超音波に加えて光線を照射し、さらなる発毛または育毛効果を得ることができる。
【0179】
本実施形態または変形例のヘアケア装置1は、電気針をさらに備えていてもよい。電気針は、放射方向(Z+方向)に突出するように設置される。第1例として、電気針は、
図14および
図15のヘアケア装置1のフード42の環状壁42aの一部または全部を構成する。第2例として、電気鍼は、
図12のヘアケア装置1のガイド1dの一部または全部を構成する。第3例として、電気針は、
図14および
図15のヘアケア装置1のフード42とは独立して(例えば、ヘッド41の構成の一部として)設けられる。第4例として、電気針は、
図12のヘアケア装置1のガイド1dとは独立して設けられる。第5例として、
図14および
図15のヘアケア装置1のヘッドアタッチメントとして構成される。
電気針は、コントローラ30の制御により通電し、人間の頭部に接触した状態で当該頭部に電気刺激を印加する。これにより、患部の周囲に電気刺激を与え、さらなる発毛または育毛効果を得ることができる。
【0180】
ヘアケア装置1の外形形状の第5例は、可動部を備えるように変形可能である。可動部は、筐体50のうち当該筐体50が人間の頭部に装着されている間に当該頭部と対向する面(以下、「内面」という)に設置される。可動部は、筐体50の内面上に亘って超音波放射装置10を移動可能とする。この変形例によれば、ヘアケア装置1の外形形状の第5例と同様に、ユーザはヘアケア装置1を頭部に装着した状態でヘアケアを行える。つまり、ヘアケアを行っている間、ユーザは両手を自由に使うことができる。また、ヘアケア装置1の外形形状の第5例に比べて、装置取付部51の数を削減(例えば1つにする)ことができる。
【0181】
本実施形態では、ヘアケア装置1の例を示したが、本実施形態の適用範囲はこれに限られない。本実施形態は、超音波による非接触振動圧刺激による改善が期待される装置(例えば、皮膚に生じた傷をケアする装置、又は、肌をケアする装置(一例として、美容装置))にも適用可能である。
【0182】
変形例6では、基準点からの距離に基づいて複数の超音波振動子(超音波振動子76または超音波振動子77)をグループ化する例を説明した。焦点における超音波の音圧を最大化する観点では、基準点からの距離が一致する超音波振動子のみを同一グループに分類することが好ましい。他方、焦点における超音波の音圧の低下を許容できる場合には、基準点からの距離が所定の数値範囲以内である超音波振動子を同一グループに分類してもよい。
【0183】
第1グループと第2グループとの間で振動子支持体(側面支持体72または底面支持体78)の主面に直交する方向に関する超音波振動子の理想的な取り付け位置の差が所定の数値範囲以内にある場合に、例えば第1グループの取り付け位置を第2グループの取り付け位置に合わせてもよい。ここで、理想的な取り付け位置とは、超音波振動子の設計上の焦点からの距離が所定値となる取り付け位置を指す。第1グループの取り付け位置を第2グループの取り付け位置に合わせることで、焦点における超音波の音圧は低下するが、主面に直交する方向に関する超音波振動子の取り付け位置のバリエーションの必要数がグループ数に比べて減るので、アタッチメントに求められる段差の数を減らし、アタッチメントの構成を単純化することができる。
【0184】
変形例6では、基準点から超音波振動子の取り付け位置までの距離に応じて複数の超音波振動子をグループ化し、グループ間で、主面に直交する方向に関する超音波振動子の取り付け位置と、駆動信号を反転入力するか否かとの少なくとも1つを異ならせる例を示した。しかしながら、複数の超音波振動子を2つのグループに分類する場合に、主面に直交する方向に関する超音波振動子の取り付け位置をグループに関わらず同一とし、駆動信号を反転入力するか否かのみを異ならせてもよい。
【0185】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0186】
1 :ヘアケア装置
1a :ベースカバー
1b :グリップ
1c :筐体
1d :ガイド
1e :第1アーム
1f :第2アーム
1g :台座
10 :超音波放射装置
11 :ベース
12 :振動子支持体
12S :主面
13 :アタッチメント
14 :取付部
15 :コネクタ
16 :超音波振動子
30 :コントローラ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
41 :ヘッド
42 :フード
43 :グリップ
44 :電源ボタン
45 :モードスイッチ
46 :ジャック
47 :ランプ
48 :ヘッドアタッチメント
50 :筐体
51 :装置取付部
60 :報知デバイス
61 :ヘッド
62 :グリップ
63 :送風装置
64 :ヒーター
65 :ノズル
66 :カートリッジ
67 :振動モータ
70 :超音波放射装置
71 :ベース
72 :側面支持体
76 :超音波振動子
77 :超音波振動子
78 :底面支持体
79 :アタッチメント
【要約】
超音波放射装置は、略平面の第1主面を備える第1振動子支持体を具備し、第1振動子支持体は、当該第1主面上に複数の第1取付部を備え、略平面の第2主面を備える第2振動子支持体を具備し、第2振動子支持体は、当該第2主面上に複数の第2取付部を有し、かつ、当該第2主面の第2法線が第1主面の第1法線と共通の目標点で交差するように設置され、複数の第1取付部に、第1法線に沿って進行する超音波を放射するように取り付けられた複数の第1超音波振動子を備え、複数の第2取付部に、第2法線に沿って進行する超音波を放射するように取り付けられた複数の第2超音波振動子を備える。