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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】軽登山用のインソール
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/14 20060101AFI20220916BHJP
   A43B 13/04 20060101ALI20220916BHJP
   A43B 17/00 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
A43B13/14 Z
A43B13/04 A
A43B17/00 A
A43B17/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018138747
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020014609
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591025901
【氏名又は名称】株式会社村井
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】村井 ▲隆▼
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-245029(JP,A)
【文献】特開2010-274107(JP,A)
【文献】特開2012-034754(JP,A)
【文献】特開昭61-168301(JP,A)
【文献】特表2015-513354(JP,A)
【文献】登録実用新案第3167047(JP,U)
【文献】米国特許第06070342(US,A)
【文献】国際公開第2014/061110(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00- 23/30
A43C 1/00- 19/00
A43D 1/00-999/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足(300)の前足部(310)、中足部(320)及び後ろ足部(330)の面が載置される足載置部(140)と、この中足部(320)及び後足部(330)の周縁を包み込むコーナ部(150)とよりなる軽登山靴用のインソールであって、
前記コーナ部(150)は、
中足部(320)の足内側の踝(K)以下の領域である中足部内側領域(300a)を覆う中足部内側コーナ(150a)と、中足部(320)の足外側となる足(300)の甲以下の領域である中足部外側領域(300b)を覆う中足部外側コーナ(150b)と、足(300)の後足部(330)の周縁を覆う後足部コーナ(150c)とよりなり、
前記中足部内側コーナ(150a)は、足(300)の母趾球(Ha)の付近から次第に高さを増して舟状骨(378)の中央付近となる位置(Upma)で最大高さにされており、
前記中足部外側コーナ(150b)は、
足の小趾球(Hb)の付近から次第に高さを増して踵骨(380)の先頭付近となる位置(Upmb)で最大高さにされており、
前記コーナ部(150)の内部及び前記足載置部(140)の内部に、前記コーナ部(150)に沿う略U字形状の芯部材(152)を有する軽登山靴用のインソール。
【請求項2】
前記足載置部(140)及び前記コーナ部(150)は、ウレタン製の上層部材(150mb)、中層部材(150mc)及び下層部材(150md)を圧着して成型しており、
さらに、前記中層部材(150mc)と前記下層部材(150md)との間に、前記芯部材(152)を入れており、
この芯部材(152)は、
前記足載置部(140)の前記コーナ部(150)に沿って隣接する足載置部コーナ隣接周縁領域部分の中層部材(150mc)と下層部材(150md)との間及びコーナ部(150)部分の中層部材(150mc)と下層部材(150md)との間にわたる略L字状に湾曲した略U字形状であることを特徴とする請求項1記載の軽登山靴用のインソール。
【請求項3】
前記芯部材(152)は、
熱可塑性樹脂又は樹脂シート或いは、綿布に樹脂を含浸若しくはプラスチック材で生成していることを特徴とする請求項1記載又は2記載の軽登山靴用のインソール。
【請求項4】
前記芯部材(152)の厚みは、1.2mm~0.6mmの範囲であることを特徴とす る請求項1、2又は3記載の軽登山靴用のインソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽登山用のインソールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、ハイキング等の軽登山(「トレッキング」ともいう)がブームとなっており、トレッキング用の登山靴(「トレッキングシューズ」ともいう)も普及しつつある。また、トレッキングシューズの普及に伴って、それ専用の中敷き(「トレッキングシューズ用インナーソール」ともいう)の需要も高まってきている。
【0003】
トレッキングシューズ用インナーソールにおいて、重要なのは、足をしっかりと固定できること、柔軟性があること、軽量であること等である。
【0004】
例えば、特許文献1の靴中敷は、中敷の本体部の材質はスポンジ素材を使用し、土踏まず部に対応する領域の裏側に足裏のアーチ部分を支える形状にしたプラスチック素材のパーツを組み合わせて形成することで、地面から足裏に伝わる衝撃を低減させると共に、足裏への反発力が高まるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5070445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の靴中敷は、プラスチック素材のパーツを組み合わせて形成している。
【0007】
つまり、特許文献1の靴中敷は、プラスチック等のパーツを組み合わせて形成するので、組み立ては容易であるが、以下の課題がある。
【0008】
例えば、トレッキング用シューズに特許文献1の靴中敷を適用して長時間の歩行をした場合は、プラスチックの重みによって体に疲労が蓄積する。また、プラスチックの硬度によって足裏が痛くなることもあった。
【0009】
さらに、靴中敷の裏側に、プラスチック素材を貼り付けているので、山岳を歩く場合には、靴内で靴中敷自体がすべり、結果として足をしっかりと固定できないことがあった。
【0010】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、非常に軽量で、かつ山岳を長時間にわたって歩いたとしても中敷自体にすべりが生じないで常に足をしっかりと固定できる軽登山靴用インソールを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の軽登山靴用のインソールは、 足(300)の前足部(310)、中足部(320)及び後ろ足部(330)の面が載置される足載置部(140)と、この中足部(320)及び後足部(330)の周縁を包み込むコーナ部(150)とよりなる軽登山靴用のインソールであって、
前記コーナ部(150)は、
中足部(320)の足内側の踝(K)以下の領域である中足部内側領域(300a)を覆う中足部内側コーナ(150a)と、中足部(320)の足外側となる足(300)の甲以下の領域である中足部外側領域(300b)を覆う中足部外側コーナ(150b)と、足(300)の後足部(330)の周縁を覆う後足部コーナ(150c)とよりなり、
前記中足部内側コーナ(150a)は、足(300)の母趾球(Ha)の付近から次第に高さを増して舟状骨(378)の中央付近となる位置(Upma)で最大高さにされており、
前記中足部外側コーナ(150b)は、
足の小趾球(Hb)の付近から次第に高さを増して踵骨(380)の先頭付近となる位置(Upmb)で最大高さにされており、
前記コーナ部(150)の内部及び前記足載置部(140)の内部に、前記コーナ部(150)に沿う略U字形状の芯部材(152)を有する。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、トレッキング時にも足をしっかりと固定させることが可能であると共に、軽量である。
【0013】
このため、長時間のトレッキングにおいても、安全かつ軽快に歩くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態の軽登山靴用インソールの斜視図である。
図2図1のトレッキング靴用インソール100を上方向から見た場合の平面図である。
図3】芯部材152の斜視図である。
図4】トレッキング靴用インソール100の裏面側の斜視図である。
図5】トレッキング靴用インソール100を内側方向から見た場合の側面図である。
図6】トレッキング靴用インソール100を外側方向から見た場合の側面図である。
図7】トレッキング靴用インソール100を軽登山靴200(図示せず)に装着して、足300を載置して、裏側から見た場合の平面図である。
図8】トレッキング靴用インソール100を軽登山靴200に装着して足300を載置した場合の足内側方向から見た場合の側面図である。
図9】トレッキング靴用インソール100を切片で説明する説明図である。
図10】K-K断面付近~L-L断面付近の間の断面の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、この発明の実施の形態の軽登山靴用インソール(以下、トレッキング靴用インソール100と称する)の斜視図である。但し、図1は、トレッキング用靴(以下、軽登山靴200という)、足300を記載して説明する。また、表層部材については図示しない。
【0016】
トレッキング靴用インソール100は、足300の前足部310に対応する前足部対応領域110と、足300の中足部320に対応する中足部対応領域120と、足300の後足部330に対応する後足部対応領域130とからなる。
【0017】
また、中足部対応領域120及び後足部対応領域130の周囲は、足300の後足部330及び中足部320の前後左右のずれを防止するための、コーナ部150(コーナカップともいう)が形成されている。
【0018】
この、中足部内側領域300aのコーナ部150の部分を中足部内側コーナ150aと称し、中足部外側領域300bのコーナ部150の部分を中足部外側コーナ150bと称し、後足部対応領域130のコーナ部150の部分を後足部コーナ150cと称する。
【0019】
つまり、コーナ部150は、中足部内側コーナ150aと、中足部外側コーナ150bと、後足部コーナ150cとよりなる。
【0020】
また、足の前足部310に対応する前足部対応領域110は周縁がわずかに立ち上げられた形状にされている。
【0021】
また、図1に示すように、トレッキング靴用インソール100は、足の内側縦アーチを保持する内側縦アーチ用凸部160を形成している。また、足の外側縦アーチを保持する外側縦アーチ用凸部170を形成しているが図1においては図示しない。
【0022】
なお、内側縦アーチ用凸部160は中足部内側コーナ150a及び、この中足部内側コーナ150aと後足部コーナ150cとの接続付近に連接されており、外側縦アーチ用凸部170(図示せず)は中足部外側コーナ150bと後足部コーナ150cとの接続付近に連接されている。
【0023】
また、本実施の形態では、トレッキング靴用インソール100の表面側の、コーナ部150が湾曲状に立ち上がり始める境界を表面側コーナ立上開始ライン150Lと称する。
【0024】
この表面側コーナ立上開始ライン150Lに囲まれている領域(以下、足載置部140と称する)に足の裏面が載置される。図1においては足載置部140を一点斜線で示している。
【0025】
つまり、トレッキング靴用インソール100は、この足載置部140とコーナ部150とよりなる。
【0026】
また、足載置部140のコーナ部150に隣接する足載置部140の一部の領域(以下、足載置部コーナ隣接周縁領域という:図示せず)の内部及びコーナ部150の内部には、芯部材152(点ハッチで示している)を設けている。具体的には、芯部材152は熱可塑性樹脂又は樹脂シート或いは、綿布に樹脂を含浸若しくはプラスチック材等を使用している。
【0027】
また、本実施の形態では、足300の中足部320の足内側側面の踝K以下の領域を中足部内側領域300aと称し、足300の足外側となる足の甲以下の領域を中足部外側領域300b(図示せず)と称する。
【0028】
なお、芯部材152の厚みは、1.2mm~0.6mm程度(好ましくは、0.8mm)である。
【0029】
図2図1のトレッキング靴用インソール100を上方向から見た場合の平面図である。但し、図2においては、内側縦アーチ用凸部160及び外側縦アーチ用凸部170を図示している。
【0030】
また、トレッキング靴用インソール100の表面の周縁を表側周縁SEと称する。
【0031】
また、中足部内側コーナ150aが形成されて行く表側周縁SE上の起点を中足部内側コーナ起点位置Sapと称し、中足部外側コーナ150bが形成されて行く表側周縁SE上の起点を中足部外側コーナ起点位置Sbpと称する。
【0032】
この中足部内側コーナ起点位置Sapは、図2に示すように、後述する母趾球Ha(図7参照)に対応する領域(以下、母趾球対応領域Haaと称する)に対向する足内側の表側周縁SE上の位置であり、中足部外側コーナ起点位置Sbpは、後述する小趾球Hb(図7参照)に対応する領域(以下、小趾球対応領域Hbbと称する)に対向する足外側の表側周縁SE上の位置である。
【0033】
また、トレッキング靴用インソール100の先端(以下、インソール先端Tipと称する)と、トレッキング靴用インソール100の後端(以下、インソール後端Eという)とを結ぶ直線を中心線CLと称する。
【0034】
すなわち、図2に示すように、芯部材152は、表側から見た場合は、表面側コーナ立上開始ライン150Lを跨って、かつ表面側コーナ立上開始ライン150Lに沿った略U字形状に形成されている。
【0035】
さらに、表面側コーナ立上開始ライン150Lから表側周縁SE側となる芯部材152の縁を芯部材上側エッジ152ULと称し、トレッキング靴用インソール100の中心線CL側となる下側の縁を芯部材下側エッジ152LLと称する。
【0036】
また、足内側の芯部材152の先端(母趾球対応領域Haaの後)を芯部材足内側先端rIaと称し、足外側の芯部材152の先端(小趾球対応領域Hbbの後)を芯部材足外側先端rIbと称する。
【0037】
すなわち、図2に示すように、芯部材152は、表面側コーナ立上開始ライン150Lを跨ってコーナ部150及び足載置部コーナ隣接周縁領域(図示せず)に内蔵されているのでより強固になる。
【0038】
図3は芯部材152の斜視図である。但し、図3においては、図3に示すように、芯部材152は、芯部材152が略L字状に湾曲していることを示すために、所々を断面にして示している。
【0039】
図4はトレッキング靴用インソール100の裏面側の斜視図である。図4においては、裏面側においてコーナ部150が立ち上がるラインをコーナ部裏側周縁ライン150BEと称する。
【0040】
また、コーナ部裏側周縁ライン150BEによって囲まれる裏面の領域と、前足部対応領域110の裏面の領域とを総称してインソール本体裏面BSFと称する。図4においては、インソール本体裏面BSFを一点斜線で示している。
【0041】
また、インソール本体裏面BSFにおける裏面の周囲縁を裏側周縁BSEと称する。そして、コーナ部裏側周縁ライン150BEの裏側周縁BSE上の中足部内側コーナ起点位置Sapに対向する位置をコーナ裏側周縁内側起点位置BSapと称する。
【0042】
また、コーナ部裏側周縁ライン150BEの裏側周縁BSE上の中足部外側コーナ起点位置Sbp(図示せず)に対向する位置をコーナ裏側周縁外側起点位置BSbpと称する。
【0043】
さらに、内側の芯部材152のインソール先端Tip側となる先端を芯部材足内側先端rIaと称し、外側の芯部材152のインソール先端Tip側となる先端を芯部材足外側先端rIbと称する。
【0044】
また、上記説明の足載置部コーナ隣接周縁領域(以下、足載置部コーナ隣接周縁領域153という)を図4に示す。
【0045】
なお、トレッキング靴用インソール100の裏面全体には織布又は不織布等が圧着されているが図4においては図示しない。
【0046】
すなわち、図4に示すように、芯部材152は、インソール本体裏面BSFのコーナ部裏側周縁ライン150BEを跨って内部に設けられているので、コーナ部150が足外側方向及び足内側方向に倒れることがない。このため、軽登山時に足元が不安定であっても足が固定されることになる。
【0047】
図5はトレッキング靴用インソール100を内側方向から見た場合の側面図である。図6はトレッキング靴用インソール100を外側方向から見た場合の側面図である。
【0048】
図5に示すように、中足部内側コーナ150aは、中足部内側コーナ起点位置Sapから次第に高さを増して、中足部対応領域120の中央部のやや後方の位置(以下、中足部内側コーナ最高点位置Upmaという)で最も高くなり、この中足部内側コーナ最高点位置Upmaから徐々に高さを減らし、後足部コーナ150cに至る形状にされている。
【0049】
中足部内側コーナ最高点位置Upmaは、例えば、26cmサイズの場合は、高さがトレッキング靴用インソール100を床面においた場合は、この床面から38mm~42mm(好ましくは、40mm:ha)にされている。また、インソール後端Eの高(Ehb)さは、19mm~23mm(好ましくは、21mm)にされている。
【0050】
一方、図6に示すように、中足部外側コーナ150bは、中足部外側コーナ起点位置Sbpから次第に高さを増して、後足部対応領域130の開始付近の位置(以下、中足部外側コーナ最高点位置Upmbという)で最も高くなり、この中足部外側コーナ最高点位置Upmbからわずかに高さを減らし、後足部コーナ150cに至る形状にされている。
【0051】
中足部外側コーナ最高点位置Upmbは、例えば、26cmサイズの場合は、高さがトレッキング靴用インソール100を床面においた場合は、この床面から例えば31mm~35mm(好ましくは、33mm:hc)にされている。
【0052】
すなわち、図5及び図6に示すように、中足部内側コーナ150aの中足部内側コーナ最高点位置Upmaが中足部外側コーナ150bの中足部外側コーナ最高点位置Upmbより高くされており、その中足部内側コーナ最高点位置Upmaは中足部外側コーナ最高点位置Upmbに対してインソール先端Tip側となっている。
【0053】
次に、トレッキング靴用インソール100を軽登山靴200に装着して足300を載置した場合の足骨格との関係を説明する。
【0054】
図7はトレッキング靴用インソール100を軽登山靴200(図示せず)に装着して、足300を載置して、裏側から見た場合の平面図である。図8はトレッキング靴用インソール100を軽登山靴200に装着して足300を載置した場合の足内側方向から見た場合の側面図である。但し、図7においては芯部材152を点実線で示し、図8においては点ハッチで示す。
【0055】
なお、図7においては母趾球対応領域Haa及び小趾球対応領域Hbbは、図示しないで、母趾球Ha及び小趾球Hbを示して説明する。
【0056】
また、図7及び図8では足骨格の各部の名称については、解剖学的な名称を用いないで、義肢装具等の製造業界で使われている名称を用いて説明する。
【0057】
前足部310は、図7に示すように、足第1指311(親指ともいう)を形成する第1末節骨312と第1基節骨313と、足第2指335を形成する第2末節骨336と第2中節骨337と第2基節骨338と、足第3指340を形成する第3末節骨341と第3中節骨342と第3基節骨343と、足第4指347を形成する第4末節骨348と第4中節骨349と第4基節骨350と、足第5指352を形成する第5末節骨353と第5中節骨354と第5基節骨355とを含む範囲をいう。
【0058】
中足部320は、図7に示すように、第1中足骨360と、第2中足骨361と、第3中足骨362と、第4中足骨363と、第5中足骨364と、第1楔状骨370と第2楔状骨371と第3楔状骨372と、立方骨375と舟状骨378とを含む範囲をいう。
【0059】
また、第1中足骨360の骨頭と第1基節骨313の骨低との接続領域を母趾球Haと称し、第5中足骨364の骨頭と第5基節骨355の骨底との接続領域を小趾球Hbと称している。
【0060】
後足部330は、図7に示すように、踵骨380と、距骨382とを含む範囲をいう。なお、前述の前足部310と中足部320との接続部分を踏付部390と称する。
【0061】
一方、芯部材152の中足部内側コーナ150aの芯部材足内側先端rIaは、足骨格と比較すると、母趾球Haの後ろであり、第1中足骨360の中央付近(足内側より)の位置となっている。
【0062】
また、芯部材152の中足部外側コーナ150bの芯部材足外側先端rIbは、足骨格と比較すると、小趾球Hbの後ろであり、第5中足骨364の中央付近の足内側となる位置になっている。
【0063】
従って、芯部材152の芯部材足内側先端rIaは母趾球Haにかからないと共に、芯部材足外側先端rIbが小趾球Hbにかからない。
【0064】
従って、山岳を歩いても、芯部材152の芯部材足内側先端rIa及び芯部材足外側先端rIbによって足が痛くならないと共に、芯部材152による反発力を足300裏に伝えられる。
【0065】
一方、図8に示すように、トレッキング靴用インソール100の中足部内側コーナ150aは、中足部内側コーナ起点位置Sapから次第に高さが増して、舟状骨378の中央付近の中足部内側コーナ最高点位置Upmaで最大高さとなっており、例えば、26cmサイズの場合は、床面から38mm~42mm(好ましくは、40mm:ha)にされているので、足300の中足部内側領域300aの全体をおさえることになるので、前後左右ずれが生じない。但し、中足部内側コーナ最高点位置Upmaの高さは踝K以下になっている。
【0066】
次に、本実施の形態のトレッキング靴用インソール100を切片にした図9及び図10を用いて詳細に説明する。但し、図9(a)においては、芯部材152を点ハッチで記載し、図9(b)には芯部材152を実線で記載する。
【0067】
また、図9(b)においては、図9(a)のA―A断面、B-B断面、C-C断面、D-D断面、E―E断面については図示しないで、F-F断面、G-G断面、H-H断面、I―I断面、J-J断面、K-K断面、L-L断面、M-M断面を示す。
【0068】
図10はK-K断面付近~L-L断面付近の間の断面の拡大図である。初めに図10を用いて説明する。図10に示すように、本実施の形態のトレッキング靴用インソール100は具体的には多数の部材を圧着形成した多層構造である。
【0069】
表面は、吸収性、抗菌性が高い布製、合成革覆、人工革覆、天然革覆等の表層部材150maにされている。そして、この表層部材150maの下層にウレタン部材(以下、上層部材150mbという)を設け、この上層部材150mbの下層に上層部材150mbより厚みを薄くしたウレタン部材(以下、中層部材150mcという)を設けている。
【0070】
そして、この中層部材150mcの下層に中層部材150mcと同程度の厚さにしたウレタン部材(以下、下層部材150mdという)、この下層部材150mdの下層に織布又は不織布等(以下、最下層部材150meという)を設けている。
【0071】
なお、硬度は例えば図10に示すK-K断面付近~L-L断面付近の間の断面では、Pbの当たりでは、硬度40度(35度~45度:アスカーC型)程度であり、Pcの当たりでは、硬度50度(45度~55度:アスカーC型)程度であり、Paの当たりでは、硬度35度(30度~40度:アスカーC型)程度である。
【0072】
さらに、中層部材150mcと下層部材150mdとの間には、芯部材152を設けて圧縮している。
【0073】
すなわち、トレッキング靴用インソール100は、ウレタンの上層部材150mb、中層部材150mc及び下層部材150mdと、芯部材152とで形成し、かつ芯部材152は、コーナ部150及び足載置部コーナ隣接周縁領域153(図示せず)の内部に設けられているので、コーナ部150の倒れ込みを防止できると共に、軽い。
【0074】
次に、図9(a)及び図9(b)を用いて説明する。図9(b)に示す断面F―F~断面H-H付近は、図9(a)に示す中足部対応領域120における切片であり、内側縦アーチ用凸部160が存在しているので、中足部内側コーナ150a側は、図9(b)に示すように、足内側となる方向に向かうに従って高さ増している。
【0075】
中足部外側コーナ150b側は、図9(b)に示すように、断面F―F付近から次第に高さを増しているが、その高さは断面K-K付近までは中足部内側コーナ150a側より低い。そして、断面L-L、断面M-M付近では、中足部内側コーナ150a側と中足部外側コーナ150b側とは同程度の高さになっている。すなわち、後足部コーナ150c(図9においては図示せず)はカップ形状になっている。
【0076】
また、芯部材152は断面F―F付近から始まる。中足部内側コーナ150a側の芯部材152について説明する。
【0077】
中足部内側コーナ150a側の芯部材152は、断面I―I、断面J-J、断面K-Kにおいては、中足部内側コーナ150aの高さに追従して高さが増している。
【0078】
また、芯部材152は、断面F―F付近で底部の幅が狭く、断面I―I付近で底部の幅が最大となり、この付近から底部の幅が狭まり断面L―L付近で最も底部の幅が狭まっている。
【0079】
そして、断面M-Mにおいては、中足部内側コーナ150a側の芯部材152と中足部外側コーナ150bの芯部材152とは繋がっている。
【0080】
一方、中足部外側コーナ150b側の芯部材152は、図9(b)に示すように、断面F―F付近で底部の幅が狭く、以後は断面J-J付近までは底部の幅が少し広がり、断面K-K付近で少し狭まっている。そして、断面L-L付近で幅が少し広がり、断面M-Mでは、中足部内側コーナ150a側の芯部材152と繋がっている。
【0081】
すなわち、中足部内側コーナ150aは、中足部外側コーナ150bに対して高くなっており、かつ芯部材152もこれに追従した高さになっている。このため、トレッキング時にも足の中足部320及び後足部330をしっかりと固定できると共に、足300の中足部内側領域300aを十分におさえることができる。従って、より足300が固定される。
【0082】
なお、トレッキング靴用インソール100は足300の横アーチを保つための横アーチ凸部と、内側縦アーチ用凸部と、外側縦アーチ用凸部とを有して、足の3アーチを保つようにしても良い。
【0083】
また、上記のトレッキング靴用インソール100の形状の形及び芯部材152を軽登山靴200の靴中底又は靴本底に施してもよい。
【0084】
さらに、上記説明では、上層部材150mb、中層部材150mc、下層部材150mdをウレタン部材として説明したが、へたり難いフォーム部材であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
100 トレッキング靴用インソール
110 前足部対応領域
120 中足部対応領域
130 後足部対応領域
140 足載置部
150 コーナ部
150a 中足部内側コーナ
150b 中足部外側コーナ
150c 後足部コーナ
150L 表面側コーナ立上開始ライン
152 芯部材
200 軽登山靴
300 足
310 前足部
320 中足部
330 後足部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10