(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】イオン発生器
(51)【国際特許分類】
H01T 19/04 20060101AFI20220916BHJP
H01T 23/00 20060101ALI20220916BHJP
C01B 13/11 20060101ALI20220916BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20220916BHJP
【FI】
H01T19/04
H01T23/00
C01B13/11 G
C01B13/11 C
C01B13/11 K
C01B13/11 Z
F24F7/003 100
(21)【出願番号】P 2019075928
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】304062432
【氏名又は名称】株式会社 リブレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 宗敬
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-218163(JP,A)
【文献】特開2007-123166(JP,A)
【文献】特開2004-31145(JP,A)
【文献】特開昭59-193158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 23/00
H01T 19/04
H05F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風用のファンと、
前記ファンの直後に設けられた負電位の第一の針電極と、
前記第一の針電極の後方であって前記第一の針電極から離隔した位置に設けられた負電位の第二の針電極と、
前記第二の針電極の後方に設けられ前記第二の針電極よりも低い負電位となる円筒電極と、を具備することを特徴とするイオン発生器。
【請求項2】
送風用のファンと、
前記ファンの直後に設けられた負電位の第一の針電極と、
前記第一の針電極の後方であって前記第一の針電極から離隔した位置に設けられた負電位の第二の針電極と、
前記第二の針電極に対向するよう前記第二の針電極の後方に設けられ前記第二の針電極よりも低い負電位となるメッシュ状対向電極と、を具備することを特徴とするイオン発生器。
【請求項3】
前記ファンと同軸に回転して前記
第一の針電極及び前記第二の針電極の
少なくとも一方の先端に接触して
前記先端を清掃する回転清掃板と、を有し、
前記回転清掃板は、常時は前記
第一の針電極及び前記第二の針電極の放電に影響しない待避した位置に固定されることを特徴とする
請求項1または請求項2に記載のイオン発生器。
【請求項4】
送風用のファンと、
前記ファンの外縁部の後方に針の先端が前記ファンの回転中心側を向くよう配置された針電極と、
前記針電極の前記先端の反対側の端部に対向するよう設けられた背面電極と、を有し、
前記背面電極の電位は、負電位、接地電位、交流電位及び正電位のいずれかに制御されることを特徴とするイオン発生器。
【請求項5】
送風用のファンと、
前記ファンから送られた空気を流す主管と、
前記主管に接続され前記主管より大きな形状をなし前記空気を外部に排出する排出管と
、
前記排出管に接続され内部に針電極が設けられた枝管負圧部と、を有し、
前記主管からの前記空気の流れを制御することにより、前記針電極の針の先端の気圧が変化し、イオンの発生量が制御されることを特徴とするイオン発生器。
【請求項6】
前記ファンから送られた空気が外部に排出される排出口の直前に配置されイオンの発生量を検出するイオン検出器と、
前記イオン検出器に接続された判定部と、を有し、
前記判定部は、前記イオン検出器によって所定のイオンの発生量が検出されない場合、電極の清掃を促す警告を発することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のイオン発生器。
【請求項7】
本体の外部に設置されイオンの吸収や反発を制御するシート電極と、
前記シート電極に電位を与える電源と、を有し、
前記電源は、商用の交流電源を利用して正または負の直流電圧を発生させる回路を有し、分圧抵抗によって得られる前記交流電源の交流中点と出力端子との間にコンデンサが設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のイオン発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は空気中のイオンバランスを改善し、自然界のバランスと等価な雰囲気を得ることにより、快適な住環境を供給し、さらには副次的に、減菌や脱臭、あるいは健康や体質改善等の効果を得るイオン発生器、またはオゾンまたはその混合物の発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
渓流や滝等の水場近傍ではレナード効果で負イオンが発生し、その結果、森林や郊外は、負イオン量が多く、正イオンはほぼ観測されないことが知られている。一方で、都市部やオフィスでは負イオンが少なく、正イオンが多い。
【0003】
都市部での負イオンの不足から、逆説的に負イオンの効果が示唆され、古くは1910年代から、ドイツ等で研究された。近年の文献では、負イオンはストレスや不安の解消、減菌、ダニ等の減少等の効果から、人体に良い影響が負イオンで、正イオンは悪影響とされる。この背景から、負イオンの供給でイオンバランスを改善する各種の機器が提供されている。方式は水粒子方式と、放電方式の、二種類があり、本案では放電方式に言及する。
【0004】
放電方式はオゾン発生をともない、多くの機器は、負イオンとオゾンを発生する。オゾンは殺菌や有機物分解、脱臭能力等を有するが、これは文献等で報告されている負イオンの効果とされるものとほぼ同じでもある。このため、放電方式の発生物質の効果は負イオンだけではなく、オゾンによるものあるため、本案では、オゾン、負イオン、および、その両者の組合せを含めた発生器について言及する。
【0005】
図1は従来例「マイナスイオン、又は、マイナスイオン及びオゾンを拡散するオゾン発生器」(特許文献1)の具体例で、円筒電極と、針電極部分を着脱カートリッジとして針電極に付着するホコリを容易に清掃でき、且つ、イオン風の利用でファンが不要とする。
【0006】
図2は従来例「マイナスイオン発生装置」(特許文献2)の具体例で、交流電源で針電極へのホコリ付着を抑制し、且つ、放電電流により対向電極側を負電位バイアスとし、負イオンの吸収を防止するとともに、正イオンを吸収させて、正イオン密度を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-033875号公報(
図1、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1(
図1)は、針電極を清掃できる「カートリッジ」と、ファンレスの「イオン風構造」が特徴だが、この種の機器の清掃は概ね1ヶ月毎必要とされ、次の課題がある。
課題1)空気の汚染具合で、電極清掃の期間が変動する。
課題2)糸くずが電極に静電力で付着し、電極間を短絡する。
課題3)イオン発生量がイオン風に依存され、コロナシールド効果で安定する。
課題4)1ヶ月毎の清掃の保守責務は家庭用では現実的ではない。
【0009】
特許文献2(
図2)は、交流電源が電極にホコリが付着しにくいこと、対向電極側に放電電流による負電位バイアスを加えて負イオン吸着の減少と、正イオンの吸収を行うが、以下の課題がある。
課題5)交流電源はトランス型で大型であり、電流容量が大きく短絡保護を要する。
課題6)交流方式では悪影響とされる正イオンが残留する。
課題7)対向電極の負電位は放電電流利用のため、ホコリ等で容易に変動する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のイオン発生器は、送風用のファンと、前記ファンの直後に設けられた負電位の第一の針電極と、前記第一の針電極の後方であって前記第一の針電極から離隔した位置に設けられた負電位の第二の針電極と、前記第二の針電極の後方に設けられ前記第二の針電極よりも低い負電位となる円筒電極と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
市場の多くの負イオン発生器は、連続運転後1ヶ月程度で、内部電極間に糸くずや、ホコリ、電極に付着した汚れが見られる。このため、一般的には1ヶ月毎に電極の清掃を行うため、保守が煩雑となる。以下にこれらを円滑にするために手段について説明する。
【0012】
フィルタによる汚損対策を説明する。電極汚損の対策としては、まず、原因となるホコリの電極まで到達を防止することが有効となる。このために、糸くずや、ホコリは、空気吸入口に大きなフィルタを設け、送風用のファンと併用することで阻止される。イオン発生器は大排気量の空気清浄器と異なるため、ファンは低回転でよく、大きなフィルタと組み合わせることでフィルタの交換周期も延長される。なお、これにより、可燃性の糸くず等が電極に付着し、放電アーク等で発火に至ることも防止される。
【0013】
ファンの低速回転による汚損対策を説明する。前述から、ファンは低速回転でよく、これによる積算回転量の低減から、通過空気量の総量低減が可能となり、それに比例する汚損蓄積が改善される。これによりフィルタの清掃や交換の周期も延長される。
【0014】
ファンと電極電圧の制御による汚損対策を説明する。具体的には時計機能をもたせ、時間により必要発生量をファン回転と電極電圧を制御して、休止期間等も盛り込むことで24時間フルパワー運転としないことでも、フィルタの交換周期を延長できる。
【0015】
たとえば、連続放電を制御し、時間帯により放電レベルを調整し、結果的に放電の蓄積時間を減らす制御となる。時計機能を付属すれば、指定の時間帯毎にファンの回転や放電電圧を適性制御することで通過空気量が低減され、汚損も低減される。実質的に50%の効率で運転すれば、寿命は2倍となる。このようにプログラムでの運用も解決手段となる。
【0016】
日中の生活活動が顕著な時間帯は、外部の換気の機会も含めて負イオンが不足し、比較的多くの負イオンを発生する必要がある。一方で、夜間は生活エネルギーレベルが低く、少ないイオン量の供給でよい。これらをファン回転と電極電圧を、休止も含めて時間帯で細かく制御することで、通過空気量に比例する電極の汚損を最低限に防げる。
【0017】
ファンの強弱制御による汚損対策を説明する。使用するファンは通常は低速回転で、たとえば最大負荷の20%程度であり、最大回転の風速までにかなり余裕をもった使用状態である。このためファンに最大負荷の強い回転を断続的に与え、空気の強弱振動を発生させて、フィルタや周囲の構造物に付着したホコリをある程度パージすることができる。
【0018】
さらに、正逆回転のファンを使用して、同様な空気振動を正逆で起こすことで、空気振動の振れ巾も増え、フィルタの奥に入り込んだホコリの一部も逆方向の風圧により効果的に吐き出され、さらにパージが可能となる。これらのホコリは落下し、ダストトラップ等に収納されることで、ホコリの再循環を避けることができる。
【0019】
イオン反発吸収シートによる汚損対策を説明する。一般のイオン発生器が大量の負イオンを排出する理由は、排出した負イオンが部屋の床等ですぐに吸収されてしまい、部屋の内部の負イオンが時々刻々と減少する分を補充し続けるからである。逆に言えば、部屋の各所で吸収されないようにすれば、イオン発生量を抑制することができる。
【0020】
まず、本体装置外部に負電位としたイオン反発吸収シートを設置し、部屋に排出された負イオンが床に吸収されることを防ぐ。これにより、吸収を防止した分のイオンについてはフルパワーで供給する必要がなくなる。
【0021】
このように部屋全体のイオンの吸収を抑制することで、無駄に負イオンを最大パワーで発生する必要がなくなり、運転効率を上げられるため、放電電圧の低減や、放電そのものを休止することや、ファンの回転数の低減制御等ができるので、汚損物の付着も低減し、清掃間隔を延長することが可能となる。たとえば、イオンの排出量を20%以下で抑えられれば、これによってる電極清掃の寿命は5倍となる。
【0022】
イオン反発吸収シートによる集塵機能を説明する。本体の外部に設置されたイオン反発吸収シートを制御し、まず、負電位することで負イオンの吸収を防いで高密度の負イオンで部屋を満たす。これにより、本体からの負イオンシャワーで部屋に充満するか花粉やPM2.5等の微小粒子が充分に負帯電するまでを帯電時間として待機する。しかるのちにイオン反発吸収シートに正電位をあたえれば、負に帯電した汚損粒子が効率的に吸収されるため、部屋を一種の集塵装置とすることができる。
【0023】
次に、イオン発生器のフィルタを通過する微粒子の本体内部構造物への付着防止について説明する。微粒子の一部、特に正帯電されている微粒子は静電力で、負電位の針電極に吸着される。このために、まず、流束が触れる電極や構造物のほぼすべてをレベルの違いはあるにしろ、大地に対して負電位とする。これにより、負イオンや負の帯電粒子は電極や構造物に付着しにくくすることができる。特に負電位の針電極の対向電極も相対的に低いレベルの負電位とすることで、対向電極の汚損は低減される。
【0024】
その上で、存在する正帯電粒子を負帯電化することをおこなう。これは、フィルタ通過直後の前段階で強制的に負イオンシャワーにより正帯電の微粒子を負帯電化させることにより、内部の電極印微粒子が付着することを防止することができる。
【0025】
前述関連で、排出口の開口部からのホコリ侵入対策について説明する。市場の負イオン発生器は、針電極の延長上にイオンが排出されるため、そのルート上の構造物でイオンが吸着しないように、針先端の延長上の排出口が大きく開口しているタイプが多い。
【0026】
しかし、これらの開口部からホコリや害虫が侵入するため、進入防止用にメッシュ構造を設け、このメッシュ構造を比較的低い負電位にしておけば、負イオンは吸着せずに透過する。このとき、基準電位の大地に対して正確に絶対電位の負電位であることが吸着防止の効果を得るために重要となるので、大地との安定した電位固定手段も同時に提供する。試験結果によれば、メッシュ構造を大地に対して適切な負電位とすることで、ほぼ、吸収されることなく、そのまま負イオンが排出されることを確認している。
【0027】
前述に関連し、電位基準となる「大地に対する電位」の重要性について説明する。各構造部にイオン反発や吸収用途で電位を与える場合、重要なのは大地を基準にした絶対電位とすることである。大地に対して負電位であれば、負帯電粒子は電極表面での電気力線が反発するため、あえて吸収はされない。逆に正電位であれば吸収されることとなる。このために、装置の電位の基準となる接地電位を確実に供給することが非常に重要となる。基準電位は与える電位からみて、接地とみなせればよく、たとえば交流を抵抗分圧した中点等でも、それ以上の電位をあたえれば準接地とみなせるので、これらを準接地電位として使用してもよい。当然であるが、接地電位が確実に得られるならそれを用いても良い。
【0028】
針電極の放電による機能低下について説明する。電極が汚損するのは微小放電で空気の組成物が変質しての付着等で、ホコリ管理を徹底させても、これらにより針の曲率半径を増大させて放電性能に影響する。一般の針電極放電は針先端の曲率半径が10~数10μmであり、針先端の0.1mm以下の局部の不平等電界による局部放電で負イオンのトリガーや、オゾンが発生することから、針先端に付着する粒子や化合物はこの曲率半径を大きく変化させて放電機能を劣化させることとなる。このため、針は定期的に清掃する必要がある。
【0029】
針先端の汚損を除去する自動清掃機能について説明する。最終的に汚損が蓄積した針の先端は、取り外して磨く必要があるが、針の先端を磨く自動清掃機能、あるいは取り外さずに行える簡易的な手動清掃機能により解決する。この方法は回転清掃構造や、摺動清掃構造等がある。しかし、いずれも、針先端の汚損を効率的に除去するために、先端に密着するためのバネ機構を付属する。必要であれば、バネ機構に酸化アルミ等の絶縁物からなるヤスリ構造を付随してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
放電電極をカートリッジとして着脱清掃可能としたイオン発生器
の従来例を示す図である。
【
図2】
対向電極に放電電流で負電位を与えて、イオン吸収を抑制
する従来例を示す図である。
【
図3】大地を基準とした電位の必要性の説明図
である。
【
図4】交流電源とコンセントと接地との関係
を示す図である。
【
図6】交流電源を準接地回路として使用する場合の出力電位比較
を示す図である。
【
図7】ファン直近の針電極と、ファンから離隔設置の針電極と円筒電極の例
を示す図である。
【
図8】ファン直近の針電極と、ファンから離隔設置の針電極とメッシュ電極の例
を示す図である。
【
図9】二種類の針電極の角度位置関係
を示す図である。
【
図10】ファン外縁部の針電極の自動清掃機構
を示す図である。
【
図11】ファン外縁部の針電極と円筒電極の構成の、自動清掃機構
を示す図である。
【
図12】ファン外縁部の針電極のイオン発生性能を制御する背面電極
を示す図である。
【
図13】背面電極により針電極の電界分布を変化させるイメージ図
である。
【
図14】ファン外縁部の針電極に電線状の背面電極を適用した例
を示す図である。
【
図15】パッシェンの法則によるイオン発生制御をベンチェリー効果で構成した例
を示す図である。
【
図16】パッシェンの法則と、大気圧と放電の関係の説明図
である。
【
図17】ベンチェリー効果を応用した構造の発展例
を示す図である。
【
図18】ベンチェリー効果を応用した構造の発展例
を示す図である。
【
図19】ベンチェリー効果を応用した構造の発展例
を示す図である。
【
図20】ベンチェリー効果を応用した構造の発展例
を示す図である。
【
図21】イオンセンサによる適正清掃間隔の警告
を示す図である。
【
図22】外部構造物に電位を与えてイオン制御する手法の説明図
である。
【
図23】交流電源から安定した負電位を得る回路
を示す図である。
【
図24】交流電源から安定した負電位を得る回路
を示す図である。
【
図25】交流電源からコッククロフトウォルトンで負電位を得る回路の不安定な例
を示す図である。
【
図26】交流電源からコッククロフトウォルトンで負電位を得る安定回路の例
を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
まず、機能を安定させるために重要な接地電位について述べる。本案では、負イオンを例にとると、負イオンを反発させて吸収を抑制する場合は構造部を負電位に、負イオンを吸収したい場合は対象構造物を正電位にすることでイオンの反発や吸収を制御している。正イオンのときも極性が逆となるだけで同等である。
【0032】
ここで重要なのが、このときの電位を、正確に大地に対する絶対的な負電位、あるいは正電位とすることである。これにより、負イオンは、負電位の電極表面の負電荷
19に反発され、負イオンの吸収を抑制する。逆に、正イオンは、正電位の電極表面の正電荷
18に反発され、正イオンの吸収を抑制する。このように内部構造部で、イオンの反発や吸収を制御する観点において、
イオン発生器
58(図22参照)の基準電位を確保することは非常に重要となる。
【0033】
図3は正電荷
18においての、この例の説明図である。
図3(a)ではA電極5が直流電源9により正極とされているため、外部からの正電荷18は電気力線が反発して、吸収を抑制する。負極性にした場合は逆に負電荷
19の吸収が抑制される。
【0034】
一方で、
図3(b)はA電極5とB電極6の間に同様に直流電源9が接続され、A電極
5は電源からみたら正極である。しかし、電源の電位固定はB電極6がフロートされていることから、接地
14から見たら、A電極5の電位は不確定となる。このため、同図のようにいずれかから負電荷
19が供給されると、A電極
5とB電極
6ともの負電荷
19で帯電され、全体的に負電荷
19による負電位のバイアスが加わることになる。これにより、正電荷18との間の電気力線は吸引力として働き、正電荷18は、直流電源9の極性にかかわらず、吸収される。これは負電荷
19の場合でも、なんらかの要因でA電極5が正帯電したら同様である。全体の電極がフロートしているため、条件次第で、周囲の電荷は予想できない挙動となる。
【0035】
接地電位を安定して確保する手段について述べる。
図4(a)は商用
の交流電源
12の2Pコンセント20の例であるが、一方は接地されているが、プラグ側がどちらの極性でも差し込みできるものが多いため、接地
14の極性をどちらかにするかは使用者側に依存し、不確定となる。このため、機器側で交流電源
12の設置側を決められないこととなり、接地
14を完全とすることができない。
【0036】
図4(b)は3Pコンセント21の例であるが、これであれば接地
14を安定に確保できるが、すべての家庭にこのタイプがないため、やはり使用者側で安定に接地
14を確保することは困難である。
【0037】
図5は、安定して接地電位が確保できない場合に、確実に接地電位に近い電位を得ることで、準接地電位として使用する方法として、交流の中点電位を、分圧抵抗22により得る回路である。この例では同図の交流中点電位23は実効値で±50V(ピーク値で±71V)を超えることはなく、対象電位がこれよりも充分に高く、相対的に無視できればこれを安定した接地
14として使用可能である。以降、本案で準接地電位として、この交流中点電位
23を扱う。
【0038】
図6の各図は、交流の端子を直接に電位固定端子として扱う場合と、交流中点電位
23を使用する場合の発生電位の範囲の説明である。問題なければこの例のように直接使用しても良いが、通常はより電圧変動がすくなく、電圧が半分となる交流中点電位
23を準接地電位とする。
【0039】
図7は、本案の基本的な例である。
まず、フィルタ24で大きなホコリを除去して内部へのホコリの侵入そのものを防止する。フィルタ24は比較的大きく、たとえば背面全体をフィルタ
24にする等を行う。一方で、イオン発生器
58は大量の空気を排出する空気清浄器と異なり、少量の排気量でよく、ファン7は低速回転での比較的微風状態を常態とする。このため、フィルタ
24へのホコリの付着量も空気清浄器に比べて蓄積量は少ない。これらにより、フィルタ
24の交換寿命も、フィルタ
24の大型化とファン
7の低速回転で延長させることが可能となる。また、その結果として、電極の汚損スピードも低減するので、電極の清掃期間も延長させることができる。
【0040】
次に、フィルタ24を通過してしまう微小粒子についてである。これについては、まず、円筒電極1やケース8や排出口25を含めた内部構造物のほぼすべてを直流電源9により負電位とし、ファン7直後に設けた第一の針電極としての針電極2で最初の負イオンを発生させて、負イオンシャワーにより内部に侵入した微小粒子を負帯電させる。その後に、第一の針電極としての針電極2の後方に設けた第二の針電極としての針電極2と円筒電極1のイオン発生部分を設ける。
【0041】
ここで、ファン7の直後の針電極2の汚損は、ファン7の外縁の風速乱流にさらされるため汚損がつきにくく、その清掃周期は通常の針と円筒を組み合わせた電極よりは延長されている。一方で、第二の針電極としての針電極2と円筒電極1の組み合わせ部分はホコリを付着させやすく、清掃周期が短い。
【0042】
これらにより、汚損の原因となる微小粒子は、まず、第一の針電極
としての針電極2で先に負イオンシャワーで負帯電され、その後は、第二の針電極
としての針電極2を含めた内部機構が負電位のため、吸着せずにそのまま外部に排出される。これにより、結果的に電極汚損の防止となる。
なおここでの接地14は、負電位の値との間に適切な電位差が得られるなら
図5で述べた
交流中点電位23でもよい。
【0043】
図8は、
図7の円筒電極1を、メッシュ状対向電極27としたものである。通常は針電極2と円筒電極1の組み合わせで、従来例の
図1に示したように、円筒電極1の開口部がそのまま外部の開口部となる。これは、針の延長上に構造物があると、イオンが構造物に吸収されてしまうために、開口部を大きくとるためであるが、放電部に外部から異物が触れることができ、細い棒などもつっこむことができるので危険でもある。
【0044】
本案ではこれらの開口部構造を、負電位のメッシュとすることで、負イオンを吸収することなくイオンを通過させることが可能となる。さらに、メッシュ構造としたことにより、外部からのゴミや異物や棒などの逆流的な侵入を防止できる。また、金属メッシュとすることで、安全な防炎機能をもたせることもできる。放電方式のイオン発生器58は、ホコリや糸くず等が針電極2の先端に付着して、部分的な放電アーク等で発火する可能性は皆無とは言えないが、この金属メッシュ構造の採用による防炎機能のため、外部への延焼防止となり、本質安全構造となる。この場合、当然であるが、延焼防止のため、他の部分もあわせて、放電部分は金属で覆うことが好ましい。
【0045】
図9は、
図7と
図8において、様式的に二箇所に分類される針電極2の位置関係を示す。第一の様式である円筒電極1と針電極2の組合せは、オゾンが比較的発生しやすく、また、電極の汚れも比較的発生しやすい構造である。第二の様式である、針電極2とファン7の組合せは、比較的にオゾン発生量が少なく、ファン7の外縁部の空気の乱流で比較的汚損も付きにくい構造である。
【0046】
図9では、この二つの放電構造部を機能的に独立させるため、ファン
7の軸を中心にした離隔角度α26を持たせている例である。ファン7の回転でファン7の外縁部の針電極2が発生させる負イオンは、回転方向の乱流でその直後に、円筒電極1と針電極2の組合せの放電機構をおいた場合に、有効に負イオンに帯電させた粒子が入り込まない可能性がある。負イオンに帯電していないと電極への吸着する可能性が高まる。このため、回転による乱流で、微小粒子が充分に負電位に帯電する離隔角度α26を設けたものである。当然であるが、二種類の放電構造部を充分に離隔させれば、同一線上に両者の機構が存在しても良い、その場合は、離隔角度α26は角度ゼロとなる。
【0047】
図10は、本質的に手動による清掃作業をなくす、自動清掃機能の例である。
本図はファン7の外縁部に同軸配置で中心に向かう複数の針電極2を配置し、両端に上下逆に付けられた清掃バネ29を有す回転清掃板28を追加したものである。この回転清掃板28は、モーター30等により回転させて、図中のB、B‘の位置で、各々の針電極2の針先端を清掃バネ29により摺りあわせて清掃するものである。このとき、清掃バネ29と針電極2の先端の摺り合せ部分に合致するようにヤスリ機構31を清掃バネ
29の接触部に設置してもよい。たとえば、ダイヤモンドペーパーやすりを貼付けたり、酸化アルミ等の粉を表面に構成しても良く、バネの表面を凹凸に加工してやすりと同等の効果を得るようにしてもよい。この例では清掃バネ
29であるが、ブラシバネや、凹むことのできるスポンジのようにある程度の応力をもって針先端を押して摺合せることのできる準バネ構造であればよい。
【0048】
この例では左右の清掃バネ29も上下逆方向に付けられているため、針電極2の上下を清掃できるが、衝撃による汚損剥離に依存する場合はどちらか片方だけでもよく、両端ではなく、1個だけで清掃バネ29を構成しても良い。この清掃機構は複数組み合わせても良い。なお、清掃バネ29の先端は、針の角度にあわせて傾斜していてもよい。これにより針の先端までを磨けるため、効果的に清掃することが可能となる。ここで、バネとしているのは、少し押し気味に作用させるためであり、隙間が開いて、針とバネの先端とがこすれなくなることを防止するためである。
【0049】
この回転清掃板28は、通常時は
図10のAの位置に待避しており、イオンを発生する針電極2の表面電界に影響を与えない位置とする。Aの位置に固定する方法はパルスモーターや、センサによるロック機構等があるが、通常時に待避位置に固定させることができれば方法は問わない。また、この例ではモーター30を使用しているが、回転は、回転ソレノイド等の回転が得られるものであればよい。
【0050】
図11は、
図10の針電極2の方向をファン7に対して垂直とし、且つ、円筒電極1を持つ場合の、自動清掃機構の例である。清掃バネ29の方向も針電極2にあわせて垂直方向となり、円筒電極1と針電極2の隙間を回転清掃板28がすり抜ける形状となる点が
図10と異なるが、他は同等である。なお、この例では円筒電極1を有すが、円筒でなく負電位を与えたメッシュ構造や多孔構造の板等でもよく、また、なくても良い。対向電極は同時にオゾン等を出す場合に有効であり、その場合は対向電極を要する。
【0051】
図12は、ファン7の外縁部に針電極2を複数配置した
イオン発生器
58のイオン発生部の針電極2の針の先端より後方に背面電極32を配置したことを特徴とするものである。切替スイッチ33の切替で、背面電極32の電位を負電位から接地電位とすると、針電極
2先端の電位分布が変化して、電界が強くなり、大量の負イオンを発生できる。
【0052】
このように、針先端より後方のもう一つの電極の電位を制御することにより、針先端の電位分布を変化させて、イオンの発生量を制御可能である。この例では、負電位を接地電位にしているが、逆に正電位とすると、さらに電界が歪められ、さらに多くの負イオンを発生させることができる。
【0053】
このようにすることで、本当に負イオンを大量に発生したいときと、それほど発生さえる必要がないときとを、状況にあわせて適切に制御できるため、いままでのように大量のイオンを常時排出することで、電極の損耗や汚損を蓄積させることが改善され、電極の汚損を最小限に保つことが可能となる。
【0054】
なお、背面電極32は針先端より背面という意味での名称であり、背面電極32の電位を制御することにより、先端より後方に位置して、針先端の電界形状を歪ませる機能があればよい。
【0055】
図13は、背面電極32の電位を制御することで、針先端の電位分布が変化して、先端の電界が強くなることを説明するイメージ図である。切替スイッチ33により、背面電極32の電位を負電位から、接地電位とすると、この図のように等電位線が変化し、針の先端の電界分布がより歪んで、電界が強くなり、負イオンが大量に発生する。この方法は、本例では負イオンで説明しているが、正イオンの場合も、極性が逆なだけで同等となる。
【0056】
図14は、
図12の背面電極
32を、電線形背面電極35を、たとえばシリコン絶縁電線のような、高電圧性能が高く、容易に得られる電線材料を使用して構成した例である。シリコン絶縁電線等の電線の場合は、絶縁耐力も高く、また、布線の引き回しも容易であり、これにより、安全に、且つ、容易に負イオンの発生量を制御することが可能となり、その結果として、針電極
2の損耗や汚損を最小限にとどめることが可能となる。適正な耐圧性能があればシリコン電線でなくてもよい。
【0057】
図12、
図13、
図14は、放電を行う針電極2の先端より後方に補助電極として背面電極32や電線形背面電極35で構成して、針電極2の先端の電界を制御する構造を説明した。電圧や配置にもよるが、実験によるとイオン発生量が数倍変化する効果がある。このため、このような補助電極の電位を制御することにより、イオン発生量を適宜に制御することから、必要なときに大量の負イオンを排出し、通常時と差別化することにより、必要なときだけ電極先端の電界を制御できる。電極先端の汚損とイオン発生量がある程度リンクすることから、先端電界の適宜制御は必要最小限の汚損にとどめることに有効となる。たとえば、時計機能を付属させて、生活エネルギーの大きな昼間だけに大量のイオンを発生させ、夜間は少量とする等の制御が背面電極
32の制御で可能となり、効率的に放電電極を管理することが可能となる。
【0058】
図15は、電極汚損を防ぐために、ベンチェリー効果による気圧の制御を利用した、別の例である。針電極2を枝管負圧部38の内部に構成する。これにより、主管39からの空気の主流束44により、ベンチェリー効果で負圧流束45が発生して枝管負圧部38内部は負圧となり、発生した負イオンは主流束44とともに排出口25より外部に排出される。円筒電極1は絶縁パイプ41の外部に設けているが、これは、機構が複雑となってもよければ内部でも良く、また、円筒電極1は適正な放電が得られればなくてもよい。また、酸素等からオゾン等を発生させないのであれば、針電極2の後方の絶縁版37にあけた小径穴36は不要であるが、内部の気圧制御に必要であれば、あってもよい。
【0059】
これらにより、主流束44や、流束経路の構成により、枝管負圧部38内部は大気圧に比して負圧となるため、放電電圧がパッシェンの法則により低下し、放電量を制御可能となることで、適正な放電量を制御でき、針先端の汚損を適正に制御できるようになる。また、小径穴36をなくして、主流束44を適正に制御できれば、内部の気圧は真空に近づき、内部の気体分子が極端に減少するため、針電極2先端の微小アークにより窒素や二酸化炭素と反応しての汚損物質や意図しない物質が生成されることも防止できる。これにより電極の寿命を大幅に延長することが可能となる。なお、この例では負電位であるが、極性を変えて正電位で、正イオンを発生させることや、交流電源12で正負のイオンを発生させることを行っても良い。負イオンが多量に存在して、減少させたいときや、あえて、正負のバランスをとりたいときなどに必要となる。
【0060】
この構造においても、意図しない理由での針先端の汚損や、異物が付着する場合は、主流束44の強さをパルス状に強弱変化させた空気振動により、異物パージを行ってもよく、また、主流束44の方向を一時的に逆とすることで、同様な空気振動にて、異物パージを行っても良い。
【0061】
図16(a)はパッシェンの法則の説明図である。
図16(a)は周知のように、気圧と絶縁破壊電圧、つまりは放電電圧の関係を示し、気圧を低下させると、ある気圧まではほぼ直線的に放電電圧は低下する。当然であるが、真空スイッチで知られるように、さらに気圧を低下させ、ほぼ真空にすれば、逆に高耐圧となる。真空であれば電極の損耗等はアークによるものだけになるため、気体の影響を考慮せずにすむ。本案はこの中間であり、放電電圧を下げて、反応する気体の量を減少させることで、電極の汚損を制御するものである。
【0062】
図16(b)は、部分放電電圧の低下と気圧の関係のイメージ図である。本図では気圧の替わりに、気圧とリンクする標高との関係を示しているが、標高5000mでは部分放電電圧が半分近くに低下することが知られている。このような気圧と放電の関係を本案では利用しているものである。
【0063】
図17は、
図15を簡略化し、さらに放電電極を複数とした例である。針電極2を絶縁ブロック42内に構成し、この内部が主流束44により負圧となるように構成するものである。負圧部分の経路が単純化されてイオン消滅構造部がなくなるため、イオンは主流束44に向けて発生させる形状となり、イオン発生効率が向上する。当然であるが負圧のため電極の汚損は抑制される。なお、オゾン等を発生させるために絶縁ブロック42に小径の穴をあけてもよいが、適正負圧として主流束44の一部が流れ込む構造としても良い。なお、オゾンを発生させる場合は、
絶縁ブロック42の少量の空気を導入する孔を空けても良い。
【0064】
図18は、
図17の絶縁ブロック42を一つの構成とした例である。主流束44の途中経路に設置することで簡単にイオン発生部を追加できる構造となる。このようにすると、主流束44さえあれば、簡単にイオン発生を行うことが可能となる。なお、オゾンを発生させる場合は、
絶縁ブロック42の少量の空気を導入する孔を空けても良い。
【0065】
図19は、
図18において、絶縁ブロック42を円盤状で構成し、複数の針電極2を、主流束44と同じ方向として構成し、開口部を円盤と同等のサイズとした別の例である。なお、オゾンを発生させる場合は、
絶縁ブロック42の少量の空気を導入する孔を空けても良い。
【0066】
図20(a)、(b)は、針電極2と絶縁ブロック42を主流束44の中心に設置したものである。この場合は複数の針電極
2を設けることは構造上難しいため、複数を構成する場合は、軸上に直列に接続することを行う。この例では、絶縁ブロック42の形状を工夫することで目的とする負圧を制御するが、
図20(a)のように針電極2が引っ込んでいるように構成しても良く、また、負圧制御が適正であれば、
図20(b)のように孔の浅い部分に先端を構成しても良い。針先端が浅い部分にあれば、意図しない理由で、針先端に異物が付着したときにも除去等が容易となる。なお、オゾンを発生させる場合は、
絶縁ブロック42の少量の空気を導入する孔を空けても良い。
【0067】
図21は、イオン発生器
58の排出口25の内部の近傍にイオン検出器46をもうけて、判定部47に接続した例である。これにより、所定のイオン発生量に達していない場合は、電極の汚損が発生したと判定して、電極の清掃を警告するものである。警告表示等は図示していないが、電極清掃ランプであったり、警告音であったりしてもよい。これにより、部屋の雰囲気により汚損進行が変化する場合であっても、適切に清掃タイミングを警告してくれるため、従来のように、汚損のレベルが低いにもかかわらず、月ごとに清掃するということを防止できるものである。
【0068】
図22は、外部に排出された負イオンの吸収や反発を、大地に対する電位を与えた構造物で制御することにより、部屋全体の適正イオン量を管理し、その結果を反映して、イオン発生器58のイオン発生量を制御するものである。これにより、24時間フルパワーでイオン発生器
58を運転する必要がなくなり、目的に応じた最小限の運転とすることで、内部の放電電極の損耗や汚損を最小限に保つことができるものである。本案ではこれに関する電源について言及する。
【0069】
それに先立ち、この方式の適用例を説明する。たとえば、イオン発生器58の運転直後は、イオン制御マット48を負電位となるように電源切替スイッチ54を正電源51に接続する。これにより、イオン制御マット48には大地に対して負電位が誘起され、負イオンまたは負帯電粒子59は反発されて、気中に残る。これがないと、負イオンまたは負帯電粒子59は一般的に大地に等しい接地電位である床面に速やかに吸収され、部屋のイオン密度は急速に低下するため、その分を随時にハイパワーでイオン発生器58を運転することになるが、この機能により、最小限のパワーでイオン発生器58を運転することで、所定のイオン密度を保つことが可能となる。
【0070】
図22の具体的動作を参考のために説明する。負イオンが部屋に充分に満たされ、所定の時間を経た場合は、部屋の気中に漂う微小粒子も負イオンにより負帯電される。しかる後に、イオン制御マット48を今度は大地に対して正電位を与えることにより、負帯電の微小粒子は速やかに正電位のイオン制御マット48に引かれて吸収消滅し、部屋全体が集塵機のような動作になり部屋が清浄化する。この繰り返しにより、部屋を清浄に保つことができるものである。イオン制御マット48の表面は高抵抗の導電性を有すものにすると、さらに効果が向上する。
【0071】
図22のイオン制御オブジェ50はイオン制御マット
48と同様の動作を行う参考例である。小型であり、テーブル56等に容易における構造としたものであり、床面よりも壁面等への吸収反発制御を主体とするものである。なお、図示していないが、たとえば空気が通過するような、導電性のすだれ構造や、導電性のメッシュ構造のカーテン形態のものでもよい。空気が通過する構造は、帯電粒子を捕捉しやすいので、設置場所を空気通過部分にすれば、さらに集塵機能が効果的となる。
【0072】
図22のイオン制御シートは、人体へ適用するときの参考例である。
例えばベッド55等に設置し、人が寝るときなどに使用できるものである。これによる人体の表面の大地に対する電位を制御できる。たとえば、運転直後は負イオンだけではなく負帯電粒子が多く存在するため、イオン制御シートを大地に対して負電位にして、その上に横たわる人体のシートに触れていない表面を負電位とすることで、いたずらに負帯電粒子を人体に吸収させずに反発させることができる。負帯電粒子がある程度なくなった場合は、今度は、シートを正電位とすることで、負イオンを人体に吸収させることができる。
【0073】
図23~26は、前述した、イオン制御シート等に安定した電位を与える手段に関する説明である。
図23は、前記
図22用の大地に対する電位を与える電源を、負電源を例にした説明である。交流電源12にダイオード63からなる回路を接続詞、出力電圧として負のピーク値-141Vを半波で得る回路となる。この回路では接地14が交流電源12のどちらに接地されていても、図のA、Bのように出力電位の波形は常に半波で変わらず、同等であるため、2Pのコンセント等の接地側の極性を選ぶことができないコンセントであっても、性能の違いなく得られる負電位電源が得られる。なお、正極を得る場合は、ダイオード63の極性が逆となる。
【0074】
図24は、
図24の半波の負電位に、交流電源12の接地側に依存せずに出力される、交流中点の分圧抵抗22との間にコンデンサ62を挿入し、シフトした正弦波形状として、負の領域を増やしたものである。この回路も、接地切替スイッチ61を操作して交流電源12の接地14をどちらの極性にしても、出力は替わることなく、負の電位が得られる。なお、正極を得る場合は、ダイオード63の極性が逆となる。
【0075】
図25は、好ましくない例である。ダイオード63とコンデンサ62により、コッククロフトウォルトンの高電圧回路を2段で構成した例であるが、接地切替スイッチ61を、AまたはB側に操作すると、出力電圧が、図のように交流電源12の接地極性によって異なる結果となる。このような例は、使用者によって異なる電圧の電源となるため好ましくない。
【0076】
図26はこれを解決した例である。
図25の出力と、分圧抵抗22により交流の中点を得て、この中点と
図25の出力との間にコンデンサ62を挿入している。これにより分圧端子の電圧が重畳される。その結果、接地切替スイッチ61を、AまたはB側に操作しても、出力電圧が、図のように同等の出力電位が得られる結果となる。なお、この例は実験に使用したコンデンサ
62の容量の場合であり、コンデンサ
62の容量は適切に選んでも良い。なお、正極を得る場合は、ダイオード63の極性が逆となる。また、コッククロフトウォルトン回路の段数についてはこの例では2段であるが、任意である。
【符号の説明】
【0077】
1 円筒電極
2 針電極
3 高電圧発生器
4 カートリッジ
5 A電極
6 B電極
7 ファン
8 ケース
9 直流電源
10 入力空気
11 出力空気
12 交流電源
13 トランス
14 接地
15 コンデンサ
16 ダイオード
17 放電抵抗
18 正電荷
19 負電荷
20 2Pコンセント
21 3Pコンセント
22 分圧抵抗
23 交流中点電位(準接地電位)
24 フィルタ
25 排出口
26 離隔角度α
27 メッシュ状対向電極
28 回転清掃板
29 清掃バネ
30 モーター
31 やすり機構
32 背面電極
33 切替スイッチ
34 等電位線
35 電線形背面電極
36 小径穴
37 絶縁板
38 枝管負圧部
39 主管
40 枝管開口部
41 絶縁パイプ
42 絶縁ブロック
43 排出管
44 主流束
45 負圧流束
46 イオン検出器
47 判定部
48 イオン制御マット
49 イオン制御シート
50 イオン制御オブジェ
51 正電源
52 負電源
53 準接地電位
54 電源切替スイッチ
55 ベッド
56 テーブル
57 床面
58 イオン発生器
59 負イオンまたは負帯電粒子
60 シート電極
61 接地切替スイッチ
62 コンデンサ
63 ダイオード