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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】医療用固定装置および医療用装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/50 20160101AFI20220916BHJP
【FI】
A61B90/50
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2019545926
(86)(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2018000098
(87)【国際公開番号】W WO2018177585
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】102017003184.3
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102017008655.9
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512111500
【氏名又は名称】ジョイマックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リース,ウルフギャング
(72)【発明者】
【氏名】スティーグミュラー,レイナー
(72)【発明者】
【氏名】テルセメイヤー,サシャ
(72)【発明者】
【氏名】トールキング,ヨハネス
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/049428(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0101587(US,A1)
【文献】特開2009-233331(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006009115(DE,A1)
【文献】米国特許第06089111(US,A)
【文献】国際公開第2010/054836(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/50
A61B 90/57
A61B 34/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ要素(2)とセンサ収容部(49)とを備える、電磁センサ(45)のための医療用固定装置(1)であって、前記クランプ要素(2)は、相手方部材(3)と、該相手方部材(3)に対して相対的に可動の押圧部材(4)とを有し、
前記相手方部材(3)は、自由収容領域(31)を解放する側方の切削部(32)を有し、
前記相手方部材(3)は、前記収容領域(31)を少なくとも部分的に取り囲み、
前記相手方部材(3)は、前記収容領域(31)に対して凹む凹部(33)を有し、該凹部は、前記押圧部材(4)に対向して配置されており、
前記相手方部材(3)には、凹部(33)に対向して配置された切削部(27)が設けられており、
前記押圧部材(4)は、前記切削部(27)内で、相手方部材(3)の前記凹部(33)の方向に可動であり、
前記相手方部材(3)は、前記押圧部材(4)に対向する凹部(33)側の端部領域に、保持部分(8)と、前記保持部分(8)に形状的に接続されるプラグ(9)とを有する、ことを特徴とする、医療用固定装置。
【請求項2】
前記凹部(33)は、対向して互いに角度を成して延在する直線状の第1の部分(34)と、前記第1の部分(34)を接続する湾曲した第2の端部分(35)とを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記押圧部材(4)は、ワンピースのネジ(61)として構成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記相手方部材(3)は、外周側が部分的に開放しており、2つの頬部(57,58)を備えるワンピースの金具(54)として構成されており、前記頬部(57,58)は、互いに向き合う端面側(57.1,58.1)を形成し、互いに有限の間隔を有する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記押圧部材(4)は、キャリッジ(7)とネジ部分(6)とを有し、前記キャリッジ(7)は、ネジ部分(6)と形状的に接続されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記キャリッジ(7)は、前記ネジ部分(6)に回転可能に支承されている、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ネジ部分(6)は、前記キャリッジ(7)に向いた端面側(7)にピン(19)を有し、該ピンはキャリッジ(7)の切欠部(12)に係合させることができる、ことを特徴とする請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記ピン(19)は、前記キャリッジ(7)に向いた突出部(20)を有し、該突出部の断面は、ピン(19)の断面よりも大きく、
前記キャリッジ(7)は、ネジ部分(6)に向いたその端面側(15)に孔部(12.1)を有し、該孔部の直径は、前記切欠部(12)の直径よりも小さく、これにより孔部(12.1)と切欠部(12)との間にアンダーカット部(24)が形成されており、
前記突出部(20)は前記アンダーカット部(24)を後方から把持する、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ネジ部分(6)のピン(19)は、前記キャリッジ(7)の切欠部(12)内に、当該切欠部(12)の内壁(25)に対して半径方向に離間して、ピン(19)と切欠部(12)との間に半径方向の遊び(25.1)が形成されるように配置されている、ことを特徴とする請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
部(20)とアンダーカット部(24)との間に軸方向の遊び(25.2)が形成されるように配置されている、ことを特徴とする請求項8または9に記載の装置。
【請求項11】
前記キャリッジ(7)は、相手方部材(3)の凹部(33)に向いたその端面側(19)に、断面が円形セグメント状の溝(11)を有する、ことを特徴とする請求項5から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記プラグ(9)は、前記保持部分(8)と解離可能に接続されている、ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プラグ(9)は、前記保持部分(8)と、係止接続および/またはスナップ接続によって接続されている、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記プラグ(9)は、前記保持部分(8)に向いたその端面側(42)に、軸方向に伸長する少なくとも2つの係止フック(37)を有し、該係止フックはそれぞれ脚部(37.1)とフック状の突起(37.2)とを有し、前記脚部およびフック状の突起は、前記保持部分(8)の切欠部(36)とそれぞれ係合させることができる、ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記プラグ(9)は、前記保持部分(8)あるいは前記脚部(37.1)とは反対側のその端部に、外周ローレット(44)を備えるシリンダ状の端部材(42b)を有する、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記センサ収容部(49)は、前記相手方部材(3)内配置されている、ことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記センサ収容部(49)は、前記相手方部材(3)に接続されたプラグ(9)内に配置されている、ことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記センサ収容部(49)は、十字形またはV字形に構成されている、ことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記センサ収容部(49)には、カバー(50a,67)が設けられている、ことを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
当該装置(1)は、電磁センサ(45)を有し、該電磁センサは、互いに有限の角度の下で配置され、らせん状に巻回された少なくとも2つのコイルとして構成されている、ことを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の固定装置(1)と、電磁センサ(45)と、医療器具(5)とを備える医療用装置において、
前記器具(5)は、前記相手方部材(3)の収容領域(31)に導入可能であり、
前記固定装置(1)は、前記器具(5)と、締め付けられ解離可能に接続されており、前記センサ(45)は、前記センサ収容部(49)に配置されている、ことを特徴とする医療用装置。
【請求項22】
前記器具(5)には外周溝(52a)が設けられており、前記キャリッジ(7)の幅は、前記器具(5)の外周溝((52a)の軸方向の長さに相当する、ことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記器具(5)は、外周溝(52a)の領域で、前記保持部分(8)の凹部(33)の第2の端部分(35)に、および/または前記キャリッジ(7)の溝(11)に平面状に当接する、ことを特徴とする請求項21または22に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ要素とセンサ収容部とを備える、電磁センサのための医療用固定装置、並びにこの種の装置と、電磁センサと、医療器具とを備える医療用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁センサは、金属ワイヤコイルとも呼ばれるセンサであり、このセンサは、電磁界、とりわけ均質な電磁界、特に電磁的なナビゲーションシステムの電磁界を、磁界強度および配向に関して検出する。
【0003】
最小侵襲手術が、現在では既にナビゲーション支援された手術方法によって実施されている。このために種々のナビゲーションシステムが使用される。能動的および受動的なシステムが使用される。能動的システムの場合、患者の身体に取り付けられた部材、例えば器具または外科用工具に送信器が設けられ、この送信器を介して前記器具または工具、とりわけ侵襲箇所に存在する遠位端部の位置を外部から検出できるようにする。受動的システムの場合、センサを介して検出される電磁界が形成され、これによりさらに器具または外科用工具の位置、とりわけその遠位端部を直接的または間接的に検出することができる。外科用器具の遠位端部の直接的な検出は、センサを器具自体の遠位端部に配置することを含む。間接的な検出は、センサを規定の箇所に、とりわけ軸方向位置で外科的器具に固定的に堅固に取り付けることを含む。測定されたセンサ信号に基づいて、遠位端部の位置、および場合により配向を推定することができる。受動的ナビゲーションの場合、特に電磁的ナビゲーションの有効性が実証されており、この電磁的ナビゲーションでは、電磁界が外部で手術領域の周囲に、例えば電磁界の形成器により、患者が横たわるクッションに形成される。外科的器具に組み込まれたコイル形状のセンサは、器具の位置特定を可能にし、これに基づきCTまたはRT画像に表示することができる。この方法は、放射線負荷がなく、全体としてX線の使用を低減することによっても放射線負荷が低減される。画像品質が損なわれることはなく、光学的センサではないので、センサが覆われることもない。執刀医の運動自由度も、光学的システムの場合にようには、制限されない。執刀医の作業が格段に容易になる。
【0004】
センサを外科用器具に固定的に組み込むことは、外科用器具を高価にし、さらに衛生面での問題を引き起こすことになる。したがってセンサホルダが設けられ、このセンサホルダは、内部に組み込まれたセンサと共に交換可能に外科用器具に固定することができ、異なる器具にも使用することができる。ホルダおよびセンサの取り付けは、簡単ではない。容積が大きく、閉鎖されており、センサを担持する固定具を器具に固定することもすでに試みられた。ここでは固定具を、器具先端を介してそれぞれの器具に固定箇所まで押し込み、そこに固定しなければならない。欠点は、汚染された器具による手術的適用である。器具先端における組織残留物および液体が、各器具交換の際に、ホルダを引き抜く際に器具の先端を介して次の器具に伝達されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎とする課題は、前記の欠点を回避し、取り扱いを改善し、最適に構成するために固定装置と外科用器具との間の接続のとりわけ簡単な取り付けと解除を可能にする、電磁的センサの固定装置、並びに外科用器具と、電磁的センサと、固定装置とからなる包括的センサ装置を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、前記課題は、請求項1の特徴を備える装置により解決される。ここでは、クランプ要素は、相手方部材と、相手方部材に対して可動の押圧部材とを有し、相手方部材は側方の切削部を有し、該切削部は自由収容領域を解放し、相手方部材は収容領域を少なくとも部分的にフレーム形状に取り囲み、相手方部材は、収容領域を指す凹部を有し、該凹部は、前記押圧部材に対向して配置されており、相手方部材には、前記凹部に対向して配置された切削部が設けられており、前記押圧部材は、前記切削部内で、相手方部材の凹部に向いた方向に可動である。さらに本発明によればこの課題は、請求項12の特徴を備える固定装置を有する医療用装置によって解決される。本発明の装置は、器具が相手方部材の収容領域に導入可能であり、固定装置は、前記器具と、締め付けられ解離可能に接続されており、センサがセンサ収容部内に配置されていることを特徴とする。
【0007】
ここで本発明は、器具の信頼性のある位置決定のためには、器具に対するセンサの相対位置が持続的に確実に保証されなければならないという基本的考察から出発する。本発明の固定装置によって、センサを特に簡単に、かつ迅速に医療器具に取り付けることができる。ここでは調節の際のエラー源が、とりわけ外科的介入の枠内で回避される。さらに固定装置と器具とのクランプ接続は、いつでも簡単に解除可能であり、したがって固定装置は、複数の器具がある場合、再使用可能に装着することができる。センサを器具に直接的に固定することと比較して、ユーザはより多くの自由度をセンサの使用時に有する。なぜなら、この装置は、種々異なる器具に装着可能だからである。
【0008】
相手方部材の切削部は、ネジ孔部として構成することができ、押圧部材は、ネジ孔部内でねじ運動により相手方部材の方向に移動可能である。
【0009】
好ましくは凹部は、対向して互いに角度を成して延在する直線状の第1の部分と、前記第1の部分を接続する湾曲した第2の端部分とを有する。これにより、器具を固定装置に、特に簡単に、芯合わせして繰り返し位置決めすることができる。器具を固定装置に確実に位置決めすることができるから、器具の位置決定はエラーに対して不感である。これとは択一的に、凹部の断面を専ら円形セグメント状に構成することができ、凹部の形状は、とりわけ5mmから7.3mmの範囲の曲率半径を有する。
【0010】
押圧部材は、ユーザに簡単な取り扱いを可能にするために外周ローレットを備える外套面を有することができる。
【0011】
相手方部材は、プラスチックまたは金属製のコンポーネントを有することができ、とりわけそれから作製することができる。プラスチックの利点は、簡単で迅速な作製にある。これに対して金属は、頑強性および材料摩耗に関して利点を提供する。
【0012】
本発明の好ましい一形態では、押圧部材は、ワンピースのネジとして構成することができ、このことは特に簡単な構成である。好ましくは相手方部材は、外周側が部分的に開放しており、2つの頬部を備える、ワンピースの金具として構成することができ、2つの頬部は、互いに向き合う端面側を形成し、互いに有限の間隔を有する。このようにして、器具を、側方で中間空間を通して2つの頬部の間で自由収容領域に導入することができ、これにより簡単に固定することができる。ここで頬部の間隔は、器具を収容領域内に確実に位置決めするために相手方部材の収容領域の直径よりも小さくすることができる。装置が器具の汚染された遠位端部と接触することによる汚染の危険性がこれにより回避される。
【0013】
本発明の好ましい発展形態では、押圧部材は、キャリッジとネジ部分を有し、キャリッジはネジ部分と形状的に接続されており、とりわけ差込接続によって接続されている。押圧部材をキャリッジとネジ部分により多分割構成にすることによって、キャリッジは、例えば器具の位置決め可能性に関して最適化することができ、一方、ネジ部分は、ユーザの簡単な取り扱いのために構成することができる。キャリッジとネジ部分との接続は、とりわけ解除可能に構成することができ、これにより一方または両方のコンポーネントを再使用することができる。択一的に、キャリッジはネジ部分と固定的に接続することもできる。
【0014】
キャリッジは、ネジ部分に回転可能に支承することができ、これによりネジ部分を機械的に負荷することなく、ネジ部分に対するキャリッジの回転運動を吸収する。
【0015】
ネジ部分は、キャリッジに向いた端面側にピンを有することができ、ピンをキャリッジの切欠部に係合させることができる。これにより、ネジ部分は特に簡単かつ迅速にキャリッジに固定可能である。ここでキャリッジの切欠部は、一義的な固定位置を確定するために、その断面が芯合わせされて配置されている。キャリッジの切欠部は、切削部として構成することができる。
【0016】
特に有利な構成では、ピンは、キャリッジに向いた突出部を有し、その断面はピンの断面よりも大きい。キャリッジは、ネジ部分に向いたその端面側に孔部を有し、孔部の直径は切欠部の直径よりも小さい。これにより、孔部と切欠部との間にアンダーカット部が形成され、突出部はアンダーカット部に後方から把持する。このようにして、特に簡単で信頼性のある差込接続が構成され、この差込接続は、意図しない運動によって誤って解除されることはない。
【0017】
ネジ部分のピンは、キャリッジの切欠部内に、切欠部の内壁に対して半径方向に間隔を置いて、ピンと切欠部との間に半径方向の遊びが形成されるように配置することができる。このことは、キャリッジが、機械的負荷なしに傾動運動を吸収すべき場合に特に意味がある。この目的のために、突出部をアンダーカット部に対して軸方向に間隔を置いて、突出部とアンダーカット部との間に軸方向の遊びが形成されるように配置することができる。
【0018】
好ましくはキャリッジは、相手方部材の凹部に向いたその端面側に、切断部が円形セグメント状の溝を有する。これにより器具を、溝と相手方部材の凹部との間でクランプすることができる。とりわけ、器具が溝にも凹部にも平面状に当接するという利点が得られ、これにより機械的に特に安定して保持される。好ましくは溝は、長溝として構成することができ、特にキャリッジの全長にわたって伸長する。
【0019】
キャリッジとネジ部分との間の差込接続を簡単にするために、キャリッジはその少なくとも1つの外套面にそれぞれ少なくとも1つのスリットを有することができる。
【0020】
相手方部材は、プラグと、このプラグに形状的に接続された保持部分とを有することができる。とりわけプラグは、保持部分と解離可能に接続することができ、これにより一方または両方のコンポーネントを再使用することができる。
【0021】
好ましくはプラグは、保持部分と係止接続および/またはスナップ接続によって接続されている。このために特にプラグは、保持部分に向いたその端面側に、軸方向に伸長する少なくとも2つの係止フックを有することができ、係止フックはそれぞれ脚部とフック状の突起とを有し、これらは保持部分の切欠部とそれぞれ係合させることができる。好ましくはプラグは、2つ、3つ、あるいは4つの係止フックを有し、これらの係止フックは対ごとに互いに同じ間隔でプラグの端面側に配置されている。特に有利には係止フックは、手動操作により解離可能である。
【0022】
さらなる一形態では、保持部分は少なくとも1つの操作可能な突起を、プラグと保持部分との接続を解除するために有することができる。これは特に複数の係止フックを使用する場合に意味があり、これによりプラグと保持部分との接続を迅速かつ簡単に解除することができる。
【0023】
ユーザによる特に簡単な取り扱いを可能にするために、プラグは、保持部分または脚部とは反対側のその端部に、外周ローレットを備えるシリンダ状の端部材を有する。とりわけネジ部分のローレットと関連して、固定装置は、特に簡単にユーザにより把持してねじ留めすることができる。
【0024】
好ましくは相手方部材にあるセンサ収容部は、とりわけそのプラグ内に配置されている。この装置は、好ましくは使い捨てコンポーネントから形成されている。センサ収容部も保持部材に設けることができる。これによりセンサを、器具がクランプされていても交換することができ、器具と固定装置との接続を解除する必要がない。
【0025】
特に有利な構成では、センサ収容部は、十字形またはV字形に構成されており、センサと接続された少なくとも1つのセンサ線路はプラグの外套面あるいはプラグの端面側から合流することができる。センサ収容部にはカバーを設けることができ、カバーはセンサを外部の影響から確実に保護する。センサ収容部は、閉鎖可能に構成されており、閉鎖部は固定装置と溶接または貼着することができる。とりわけ、センサ収容部を十字形またはV字形のフライス加工部として構成すると有利であることが証明されている。
【0026】
さらなる発展形態では、この装置は電磁センサを有することができ、電磁センサは、互いに有限の角度の下で配置され、らせん状に巻回された少なくとも2つのコイルとして構成されている。
【0027】
最も好ましくは、センサは、X字状またはV字状に配置され、らせん状に巻回されたコイルとして構成されており、外部で印加される電磁界内で、クランプ要素/固定装置の位置と配向を、センサの位置と配向も含めて正確に決定することができる。
【0028】
器具の特に信頼性のある位置決めのために、器具に外周溝を設けることができ、スリットの幅は器具の外周溝の軸方向長さに相当する。このようにして、長手方向に沿った器具の軸方向の滑落が阻止される。
【0029】
一形態では、器具は外周溝の領域で、保持部材の凹部の第2の端部分に、および/または互いに角度を成して延在する2つの部分に、および/またはキャリッジの溝に平面状に当接し、したがって器具を固定装置に機械的に再現可能に取り付けることができる。
【0030】
本発明のさらなる利点および特徴は、特許請求の範囲、および本発明の実施例が図面を参照して詳細に説明されている以下の記載から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】医療用固定装置のクランプ要素の斜視図である。
図2図1の押圧部材のキャリッジを示す図である。
図3図1の押圧部材のネジ部分を示す図である。
図4図3のネジ部分の側面図である。
図5】相手方部材の保持部材の斜視図である。
図6】相手方部材のプラグの側面図である。
図7】本発明のクランプ要素を第1の形態で示す側面図である。
図8図7のクランプ要素の概略的断面図である。
図9】本発明のクランップ要素を第2の形態で示す図である。
図10図9のクランプ要素の概略的断面図である。
図11】保持部分のさらなる形態を示す図である。
図12図11の保持部分を押圧部材と共に概略的に示す側面図である。
図13】固定装置と医療器具を備える本発明の医療用装置の側面図である。
図14図13の医療用装置を斜め上から見た斜視図である。
図15】本発明の装置のさらなる形態を示す斜視図である。
図16図15の断面図である。
図17図15の装置の平面図である。
図18】外周外套あるいはカバーが取り外されており、これによりセンサが見える図15の装置の分解図である。
図19】第2のセンサ装置を図15から18の装置と共に示す斜視図である。
図20図19の装置の側面図である。
図21図20に対して180゜だけ、長手軸を中心に回転された側面図である。
図22図19から21の装置の縦断面図である。
【実施例
【0032】
図1は、医療用固定装置1を斜視図に示し、この構成ではクランプ要素2として、左側に図示された押圧部材4と、右側に配置された相手方部材3とを有する。押圧部材4は、相手方部材3と保持領域29を介して解離可能に接続されており、相手方部材に対して保持領域29に沿って軸方向に可動である。このようにして、相手方部材3と押圧部材4との間に取り込まれた医療器具5をクランプ要素2内で締め付けることができる。このことを以下、詳細に説明する。図1に示した実施形態では、押圧部材4はネジ部分6とキャリッジ7を有し、相手方部材3は保持部分8とプラグ9を有する。これらについて以下、詳細に説明する。
【0033】
押圧部材4のキャリッジ7が、図2の斜視図に示されている。相手方部材3に向いた端面側10には、円形湾曲形状の溝11が作り込まれており、この溝はキャリッジ11の全幅にわたって伸長している。溝11の高さ方向の中央に円形断面を備える切欠部12が成形されており、この切欠部は切削部あるいは孔部12として構成されている。横方向に溝11は、キャリッジの全断面にわたって伸長しておらず、キャリッジ7の断面の約三分の一にわたって伸長している。2つの溝縁部13の向こう側では、キャリッジ7のそれぞれの端部領域14が面取りされ成形されている。キャリッジ7の溝11とは反対側の端面側15にキャリッジ7は、丸められた角を備える実質的に矩形の断面を有する。端面側15のそれぞれの側方エッジの長さ方向の中央には、矩形のスリット16が、キャリッジ7の所属の外套面17に作り込まれており、このスリットは、キャリッジ7の高さのほぼ半分にわたって伸長している。
【0034】
キャリッジ7は、その端面側15から中心に孔部12.1を有し、この孔部は、キャリッジ16の高さのほぼ半分にわたって伸長しており、孔部12とは面一であり、これに移行している。しかし孔部12.1は、孔部12よりも小さい直径を有し、したがって2つの孔部12,12.1の移行部にはアンダーカット部24が形成されている。このことは図10に詳細に示されている。
【0035】
図3は、押圧部材4のネジ部分8を示し、ネジ部分6は実質的にシリンダ形状を有する。キャリッジ7に向いた端面側18にネジ部分6は、半径方向に芯合わせされたシリンダ状のピン19を有し、このピンはキャリッジ7に向いており、突出部20が設けられている。突出部20は、円錐台形に構成されており、ピン19よりも大きな直径を有する。突出部20は、孔部12.1よりも大きな直径を有する(一方、ピン19の直径は孔部12.1および孔部12の直径よりも小さい)。ピン19とは反対の側でネジ部分6には、ソケット形状の端部材21が設けられており、この端部材の外套面にはローレット22が作り込まれている。図4は、図3のネジ部材6を側面図に示す。
【0036】
ネジ部材6の外套面23は外ネジを有し、この外ネジは図3と4には図示されていない。 図5には、相手方部材3の保持部分8が示されている。この保持部分は、押圧部材4に向いた領域に中空シリンダ形の突出部26を有し、この突出部は芯合わせされた切削部27を備える。切削部27の内壁28には内ネジ(図示せず)が設けられており、したがって切削部27はネジ孔部として構成されている。内壁28のネジは、ネジ部分6のネジに対応する。突出部26のネジ部分6とは反対の側には、弓形状の保持領域29が成形されており、この保持領域は、突出部26を指す端面側30に終端し、内部の自由収容領域31を部分的にフレーム状に取り囲む。端面側30と突出部26との間で切削部32は収容空間31を解放する。
【0037】
突出部26に対向する部分に、保持領域29は凹部33を有し、この凹部は、対向して互いに角度を成して延在する直線状の第1の部分34と、芯合わせされて配置され、2つの部分34を接続する湾曲した第2の端部分35とを備える。
【0038】
保持領域29の突出部26とは反対の側の端部領域には、互いに対向し、切削部として構成された矩形の2つの切欠部36が、プラグ9(図6)の係止フック37を収容するために成形されている。突出部26に対向する端面側38では、中空シリンダ形の端部材39が、保持領域29と一体的な異形外套面40と接続されている。端部材39の半径方向内面には、切欠部41が成形されており、この切欠部と係止フック37を係合させることができ、切欠部は切削部36に続いている。
【0039】
図6は、プラグ9を側面図に示す。保持部材9に向いた端面側42には、長手方向に伸長し、互いに対向する2つの係止フック37があり、これら係止フックは、それぞれ軸方向に延在する脚部37.1とフック状の突起37.2によって構成されており、係止フックは、保持部材8の切削部36および切欠部41に係合させることができる。このようにしてプラグ9は保持部分8と接続される。係止フック37とは反対の端面側42aにプラグ9はシリンダ形の端部材42bを有し、この端部材の外套面43にはローレット44が設けられている。ローレット44は、ネジ部分6のローレット22と同じように、装置1の簡単な手動操作のために用いられる。
【0040】
図7には、固定装置1が、組み立てられたクランプ要素2として示されており、押圧部材4のネジ部分6は、ねじ運動によって保持部分8の突出部26を通して案内されている。ネジ部分6をキャリッジ7と固定するためにネジ部分6は、キャリッジ7の端面側15から、ピン19および突出部20によりキャリッジ7の孔部12.1に押し込まれる。スリット16により、これらの間に残った材料領域が後退され、これにより突出部20は、孔部12.1の直径よりも大きい直径であるにもかかわらず、孔部12.1を通して、突出部20が孔部12に進入し、アンダーカット部24が孔部12,12.1の移行部に後方から把持するまで押し込むことができる。このことは、図8と10に示されている。そこではネジ部分6とキャリッジ7が分離不能に、とりわけ互いに回転可能に接続されているが、キャリッジ7は保持部分8の保持領域29により、完全な回転運動が阻止されている。ねじ運動によってネジ部分6およびひいては押圧部材4は、相手方部材3に対して軸方向に可動である。とりわけキャリッジ7は、このようにして保持部分8の凹部33の方向に可動である。
【0041】
図7の右に示された、キャリッジ7とは反対側の領域には、プラグ9と保持部分8との接続が示されている。上にすでに述べたように、プラグ9の係止フック37は切欠部41に突入し、保持部分8の切削部36に係合し、これによりプラグ9は、保持部分8と解離可能に形状的に接続される。接続を解除するために係止フック37は、ユーザにより手動で半径方向内側に押圧され、これに続いてプラグ9が保持部分8から除去される。
【0042】
電磁センサ45が、図7に示された実施例ではプラグ9に設けられている。このことは特に、図7に所属する図8の縦断面図から明らかである。そこには、センサ45がらせん状に巻回された2つのコイル46を有することが分かる。これらのコイルは、例えば絶縁塗料により電気的に絶縁された金属ワイヤから作製されており、とりわけ金属ワイヤは絶縁塗料により被覆されており、プラグ9に貼着されている。センサ45に接続されたセンサ線路47は、押圧部材4とは反対の端面側42aからプラグ9の外に出ている。コイル46は、互いにV次位置にあり、6DOFセンサを形成する。
【0043】
図9と10は、クランプ要素の第2実施形態を示す。このクランプ要素ではセンサ45が、図10の長手断面に対して垂直を指す配置でプラグ9内に設けられている。この実施形態では、センサ線路47はプラグ9の外套面43から外に出る。ネジ部分6のピン19と切欠部12の内壁25との間には、半径方向の中間空間または半径方向の遊び25.1が形成されている。ピン19と内壁25との間の半径方向の遊び25.1の他に、突出部20とアンダーカット部24との間には軸方向の遊び25.2が形成されており、これによりネジ部分6とキャリッジ7との間の相対的な傾動を、2つの軸が並ばなくなった際に容易に吸収することができる。
【0044】
図11は、保持部分8のさらなる構成を示す。この保持部分は、突出部26とは反対側の領域に、矩形の凹部48を有し、この凹部の角は丸められている。角の底部には十字形の溝49が、対応のセンサ45を取り付けるために作り込まれており、したがって溝49はセンサ収容部として用いられる。この構成においてセンサ線路47は、側方の切削部50を通して保持部分8から外に引き出すことができる。図12は、図11の保持部分8の構造を、装置2のさらなる実施形態の一部として概略図に示す。この図では、凹部48の領域が、模式的な縦断面として部分的に示されており、フライス加工部49および切削部50の位置がよく示されている。凹部48は、カバー50aにより解除可能に閉鎖することができ、とりわけ貼着することができ、これによりセンサ45あるいはセンサ収容部49が汚染から保護される。択一的にカバー50aを凹部48と溶接することができる。図12によれば、ネジ部分6およびキャリッジ7からなる押圧部材4が保持部分8と接続されている。
【0045】
図13は、本発明の医療用固定装置1を示し、この固定装置では長手の医療器具5が、押圧部材4と相手方部材3との間にクランプされている。接続領域51は、分かり易くするため縦断面で図示されている。図13に示した配置により、プラグ9に配置されたセンサ45は、器具5の遠位先端52を基準にして常に固定的な相対位置を取る。通常の方法に基づき、例えば外部で印加される電磁界内でセンサ9の位置が決定される場合、この情報から、器具5の遠位先端52の空間的位置および配向を推定することができる。
【0046】
図14には、図13の配置が斜視図に示されており、器具54には接続領域51に、リング溝として構成された凹部52aが設けられており、凹部の長さはキャリッジ7の溝11の長さに相当することが分かる。このようにして、器具5における装置1の軸方向の縦位置を決定することができる。図13と14には、プラグ9の外套面43からのセンサ線路47の出口も示されている。
【0047】
図15から18は、本発明の固定装置のさらなる構成を示し、図19から22は、このような装置を備える本発明の医療用装置を示す。
【0048】
図15から18の本発明の装置53は、部分円形の金具54により器具55を取り囲み、前述の装置1と同様に側方開口部56を有する。金具54の自由端面側の間隔あるいは開口部56の大きさは、閉鎖された内部空間55(図17)の直径よりも小さい。この構成において、開口部56に向いた個別頬部57,58の自由端部側57.1,58,1とは反対側である部分弓形の端部領域は、一体的に互いに接続されており、あるいはワンピースに互いに移行している。したがって頬部はここでは、内側の長手壁部59を備える、剛性でワンピースの部分リング状の金具54を形成する。この金具は、端面側58.1の後方に半径方向のネジ孔部60を有し、このネジ孔部には、外ネジの設けられたネジ軸62と外周ローレット64とを備えるネジヘッド63がねじ込まれている。ネジ軸61の内側自由端部65に対向して、金具54の内側には内部収容部66が設けられており、この内部収容部は、例えばプリズム形に構成することができ、前述の実施例の凹部33に類似して構成されている。
【0049】
装置53は、軸方向に押し開け可能なカバー67の下方に、金具54の内側部分68内にある十字形の凹部の形態の収容部69を有する。この凹部にセンサ45が貼着され、センサはセンサ線路47を介して評価ユニットと接続可能である。
【0050】
装置53は、ネジ61を緩めることにより、側方または半径方向に外科用器具、工具または外科用部材5を介してこれに取り付けることができる(図19から22)。これにより金具54の内側空間55が解放され、装置53を外科用器具5に取り付ける際に、外科用器具は内部空間55に入り込むことができる。引き続き、ネジが内に向かってねじ込まれ、これにより外科用器具5が収容部66に押し付けられ、さらにねじ込むと、装置53が外科用器具5に固定される。ネジのねじ工程が比較的に長いことと、装置53の縦方向の壁59の構成により、大きな直径領域での使用が可能になる。
【0051】
図19から22によれば、センサ装置全体70の好ましい形態は、外科用器具、工具または外科用部材5と、これに固定された前記のような装置53とから形成される。ここでも外科用器具5は外周溝52aを有し、これにより装置53は器具5に軸方向に規定されて固定ないし位置決めされる。これにより、装置53の測定の際に、あるいは装置内に存在するセンサ45を介して、外科用器具5の遠位先端52の精確な位置を再び決定することができる。外科用器具5は、図22に示すようにカテーテルにすることができ、したがって図22の断面図に示されるような軸方向切削部71を有することができる。これにより装置70は、ワイヤ、例えばゼルディンガー・ワイヤを介して患者に導入することができる。
図1
図2
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