IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クイクスゲン インコーポレイテッドの特許一覧

特許7142375新規なスピロラクトン化合物及び医薬組成物
<>
  • 特許-新規なスピロラクトン化合物及び医薬組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】新規なスピロラクトン化合物及び医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/107 20060101AFI20220916BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 17/08 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/63 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/65 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/7056 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/616 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
C07D491/107 CSP
C07D519/00 301
A61K31/438
A61K31/444
A61P43/00 111
A61P43/00 105
A61P17/10
A61P17/08
A61P17/00
A61P35/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/63
A61K31/65
A61K31/192
A61K31/4164
A61K31/7048
A61K31/7056
A61P3/06
A61K31/40
A61P3/04
A61P3/10
A61K31/616
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2020521484
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 US2018040328
(87)【国際公開番号】W WO2019006324
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-02-27
(31)【優先権主張番号】62/527,829
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520000375
【氏名又は名称】クイクスゲン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】ション、ユーシェン
(72)【発明者】
【氏名】グアン、ホン-ピン
(72)【発明者】
【氏名】フアン、ウェンジュン
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/102749(WO,A1)
【文献】特表2009-502785(JP,A)
【文献】特表2010-515733(JP,A)
【文献】特表2012-517960(JP,A)
【文献】国際公開第2011/025690(WO,A1)
【文献】HASHIGAKI, K. et al.,Synthesis and Structure-Activity Relationship of Spiro[isochromanpiperidine] Analogs for Inhibition of Histamine Release. IV,Chemical & Pharmaceutical Bulletin,1984年,32(9),pp. 3561-3568
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iaの化合物
【化1】

であって、
は、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、NR1011、COOR12、CONR1314、S(O)15、又はOR16であって、
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC1-6アルカノイル、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、COOR12、又はCONR1314であり、
12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、水素又は任意に置換されたC1-6アルキルであり、nは、0、1、又は2であり、
15は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、又はNR1011であり、
16は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC1-6アルカノイル、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、又はCONR1314であり、
及びRは、ナフチル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、インダゾリル、インドリル、キノリニル又はイソキノリニルであり、それぞれ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC 1-4 アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC 1-4 アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC 3-6 シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC 3-6 シクロアルコキシから独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される
ことを特徴とする化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
式Ib
【化2】

を有し、
10及びR11の一方は、任意に置換されたフェニル又は任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールである、
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
10及びR11の一方は、任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールである、
ことを特徴とする請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
10及びR11の一方は、ハロゲン、シアノ及びC1-4アルキルから独立して選択される1又は2の置換基で任意に置換された、2~4の環窒素原子を有する5員環ヘテロアリールである、
ことを特徴とする請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
10及びR11の一方は、ピラゾリル、トリアゾリル、又はテトラゾリルであり、それぞれC1-4アルキルで任意に置換されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
10及びR11の一方は、
【化3】

であり、R10及びR11の他方は、水素又はメチルである、
ことを特徴とする請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
は任意に置換された5員又は6員のヘテロアリールである、
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
は任意に置換されたテトラゾリル又はピリジニルである、
ことを特徴とする請求項7に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
は、カルボン酸基、エステル基、又は、アミド基で任意に置換されたピリジニルである、
ことを特徴とする請求項7に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
式Ic
【化4】

を有し、
20は、水素、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたシクロアルキルである、
ことを特徴とする請求項7に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
20は、任意に置換されたC1-6アルキルである、
ことを特徴とする請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
20は、水素又はC1-4アルキルである、
ことを特徴とする請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
20は、
【化5】

である(pは、1~500の整数であり、R21は、水素又はC1-4アルキルである)、又は酸素保護基である、
ことを特徴とする請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
20は、
【化6】

である(R22は、C1-4アルキルであり、R23は、水素又はC1-4アルキルである)、
ことを特徴とする請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
は、
【化7】

であり、
それぞれ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、トリフルオロメチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
は、
【化8】

である、
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項17】
前記化合物は、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例1)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例2)、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-エチルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例3)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-エチルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例4)、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例5)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例6)、7-イソプロピル-1’-(2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-6-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例7)、1’-(1H-インダゾール-5-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例8)、7-イソプロピル-1’-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-2-カルボニル)-スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例9)、1’-(1H-インダゾール-6-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ-[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例10)、7-イソプロピル-1’-(6-メトキシキノリン-3-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例11)、1’-(2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-6-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例12)、7-イソプロピル-1’-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-5-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例13)、メチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例14)、5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例15)、1-((エトキシカルボニル)オキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(実施例16)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例17)、2-(2-メトキシエトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例18)、メチル5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例19)、5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例20)、メチル5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(実施例21)、又は、5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例22)、である、
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な添加剤とを含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項19】
1つ以上の活性の阻害を必要とする対象において1つ以上の活性を阻害するための医薬組成物であって、
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項18に記載の医薬組成物を、治療上効果的な量で含み、
前記1つ以上の活性は、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC1及び/又はACC2)活性、マロニル-CoA産生、脂質生成、脂腺細胞の増殖、角化細胞の増殖、表皮、真皮及び/又は皮下組織の細胞の増殖、皮膚及び/又は皮下層における線維芽細胞の脂肪細胞への分化、炎症、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項20】
治療を必要とする対象における異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害を治療するための医薬組成物であって、
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項18に記載の医薬組成物を、治療上効果的な量で含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項21】
前記疾患又は障害は、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、光線角化症、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ症候群における線維毛包腫、及びそれらの組み合わせである、
ことを特徴とする請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬組成物は、前記対象に局所投与される、
ことを特徴とする請求項2又は2に記載の医薬組成物。
【請求項23】
抗生物質又はレチノイドを、にきび及び/又は炎症を治療するのに治療上効果的な量で含む、
ことを特徴とする請求項2乃至2のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
非アルコール性脂肪性肝疾患の治療を必要とする対象において非アルコール性脂肪性肝疾患を治療するための医薬組成物であって、
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項18に記載の医薬組成物を、治療上効果的な量で含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項25】
前記非アルコール性脂肪性肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、
ことを特徴とする請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項26】
1つ以上の追加の薬剤を、前記非アルコール性脂肪性肝疾患を治療するのに治療上効果的な量で更に含む、
ことを特徴とする請求項2又は2に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記1つ以上の追加の薬剤は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カスパーゼ阻害薬、カテプシンBアンタゴニスト、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、塩化物チャネル刺激薬、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)阻害剤、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)アゴニスト、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD1)阻害剤、IL-1βアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-10アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチン類似体、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、Rh関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記1つ以上の追加の薬剤は、アセチルアリシル酸、アリポジーン・チパルボベック、アラムコール、アトルバスタチン、BLX-1002、セニクリビロック、コビプロストン、コレセベラム、エムリカサン、エナラプリル、GFT-505、GR-MD-02、ヒドロクロロチアジド、イコサペントエチルエステル(エチルエイコサペンタエン酸)、IMM-124E、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタミン、MGL-3196、オベチコール酸、オレソキシム、ペグ-イロデカキン、ピオグリタゾン、PX-102、エタボン酸レモグリフロジン、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸、VBY-376、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする請求項2又は27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
肥満及び/又は糖尿病の治療を必要とする対象において肥満及び/又は糖尿病を治療するための医薬組成物であって、
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は請求項18に記載の医薬組成物を、治療上効果的な量で含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項30】
1つ以上の追加の薬剤を、肥満及び/又は糖尿病を治療するのに治療上効果的な量で含む、
ことを特徴とする請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記1つ以上の追加の薬剤は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カスパーゼ阻害薬、カテプシンB阻害薬、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、塩化物チャネル刺激薬、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1が含まれる(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)阻害剤、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)アゴニスト、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD1)阻害剤、IL-1βアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL10-アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチン類似体、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、Rh関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記1つ以上の追加の薬剤は、アセチルサリチル酸、アリポジーン・チパルボベック、アラムコール、アトルバスタチン、BLX-1002、セニクリビロク、コビプロストン、コレセベラム、エムリカサン、エナラプリル、GFT-505、GR-MD-02、ヒドロクロロチアジド、イコサペントエチルエステル(エチルエイコサペンタエン酸)、IMM-124E、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタン、MGL-3196、オベチコール酸、オレソキシム、ペグイロデカキン、ピオグリタゾン、PX-102、レモグリフロジンエタボネート、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸、VBY-376、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする請求項3又は3に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年6月30日に出願された米国仮特許出願番号第62/527,829号の利益を請求し、引用によってその全体の開示を本明細書に取り込む。
【0002】
(技術分野)
様々な実施形態において、本発明は、新規なクラスのスピロラクトン化合物、その塩、それを含む医薬組成物、その合成方法、及びその使用に一般に関連する。
【背景技術】
【0003】
脂肪酸は、膜生合成、シグナル伝達脂質の産出、翻訳後修飾、エネルギー産出及び貯蔵等を含む生細胞の正常な機能のための必須成分である。アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)は、細胞内の脂肪酸代謝の律速段階であるアセチル-CoAからマロニル-CoAへの変換を触媒する細胞質酵素である。細胞質マロニル-CoAは、脂質代謝、デノボ脂肪酸合成、及び脂肪酸β酸化の2つの下流経路を制御する。マロニル-CoAは、長鎖脂肪酸の合成と伸長の構成要素である。マロニル-CoAは、ミトコンドリア膜での脂肪酸トランスポーターであるカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1を阻害し、脂肪アシル-CoAのミトコンドリアへの侵入をブロックする。ACCを阻害することにより、細胞の長鎖脂肪酸合成をブロックすることができ、ミトコンドリア内のβ-酸化を刺激することができる。結果として細胞の脂肪含有量が減少する。
【0004】
ACCには、サイトゾルとミトコンドリア膜とにそれぞれ局在する2つのアイソフォームであるACC1及びACC2がある。ACCタンパク質は、3つのドメインから構成され、ビオチンカルボキシラーゼドメインが、ビオチンカルボキシルキャリアプロテインドメインに共有結合しているビオチンのカルボキシル化を触媒し、カルボキシルトランスフェラーゼドメインが、カルボキシルビオチンからアセチル-CoAへの転移を触媒する(非特許文献1)。ACC1及びACC2の分子量は、それぞれ約265kDa及び約280kDaである。両方のアイソフォームは異なる組織で見られるが、ACC1は、肝臓、脂肪、授乳中の乳腺のような脂肪生成組織で主に発現され、ACC2は、主に筋肉組織及び心臓で発現される。げっ歯類では、ACC1は主に脂肪酸デノボ合成に、ACC2は脂肪酸β酸化に主に関与する(非特許文献2、非特許文献3)。ヒトでは、ACC2アイソフォームも、脂肪組織及び肝臓で豊富に発現され、これらの組織内でデノボ脂質生成が可能である(非特許文献4)。遺伝学的研究は、ACC1が発生に不可欠であり、ACC1の欠乏が胚致死を引き起こすことを示している(非特許文献5)。これに対し、ACC2変異マウスは、脂肪酸の酸化が増加するため、よりスリムになり、体重増加とインスリン抵抗性の観点から、高脂肪高炭水化物の食事に耐性があるにも関わらず、ACC2変異マウスは、正常に生存及び繁殖する(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Zhang et al., Science 299:2064-2067 (2003)
【文献】Abu- Elheiga et al., The Journal of biological chemistry 272:10669-10677 (1997)
【文献】Abu-Elheiga et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 92:4011-4015(1995)
【文献】Castle et al., PloS one 4:e4369(2009)
【文献】Abu-Elheiga et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 97:1444-1449(2000)
【文献】Abu-Elheiga et al., Science 291:2613-2616(2001)
【文献】Abu-Elheiga et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 102: 12011-12016(2005)
【文献】Abu-Elheiga et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 100: 10207-10212(2003)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
様々な疾患又は障害が、異常なACC1及び/又はACC2活性に関連している。従って、ACC1及び/又はACC2活性を調整することができる新規な化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
様々な実施形態において、本開示は、ACC1及び/又はACC2の阻害剤となり得るスピロラクトン化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、スピロラクトン化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物も提供する。いくつかの実施形態において、本開示は、例えば非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、にきび、肥満、糖尿病、癌のような、異常なACC1及び/又はACC2活性に関連する疾患又は障害を治療するために、スピロラクトン化合物又はその薬学的に許容可能な塩を使用する方法も提供する。
【0008】
本開示の特定の実施形態は、式I
【化1】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩に関し、式中、R、R及びRは、本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、本明細書で定義されるような式I-1、式Ia、式Ib、式Ic、式II-1~II-3、又は式III-1~III-6の化合物である。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、スピロラクトン化合物は、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例1)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例2)、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-エチルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例3)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-エチルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例4)、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例5)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例6)、7-イソプロピル-1’-(2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-6-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例7)、1’-(1H-インダゾール-5-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例8)、7-イソプロピル-1’-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-2-カルボニル)-スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例9)、1’-(1H-インダゾール-6-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ-[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例10)、7-イソプロピル-1’-(6-メトキシキノリン-3-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例11)、1’-(2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-6-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例12)、7-イソプロピル-1’-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-5-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例13)、メチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例14)、5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例15)、1-((エトキシカルボニル)オキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例16)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例17)、2-(2-メトキシエトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例18)、メチル5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例19)、5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(実施例20)、メチル5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例21)、又は、5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(実施例22)、又はその薬学的に許容可能な塩である。
【0009】
本開示の特定の実施形態は、本明細書に定義される式I(例えば、式I-1、式Ia、式Ib、式Ic、式II-1~II-3、又は式III-1~III-6、又は実施例1~22のいずれか)のスピロラクトン化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、1つ以上の追加の活性薬剤を更に含む。
【0010】
本明細書に記載の医薬組成物は、異なる投与経路用に製剤化することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、静脈内注射又は注入、経口投与、吸入、又は局所投与用に製剤化することができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、局所溶液、ローション、シャンプー、経皮スプレー、局所フィルム、泡、粉末、ペースト、スポンジ、経皮パッチ、チンキ剤、テープ、クリーム、ゲル、又は軟膏の形態で製剤化することができる。
【0011】
本開示の特定の実施形態は、細胞内のACC1及び/又はACC2活性を阻害する方法に関する。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に記載のスピロラクトン化合物、又はその医学的に許容される塩、又は本明細書に記載の医薬組成物を、細胞に接触させることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本開示は、マロニル-CoA産生、細胞(例えば、脂腺細胞、脂肪細胞、又は肝細胞)における脂質生成、細胞(例えば、脂腺細胞、角化細胞、脂肪細胞、メラニン細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、又は皮膚幹細胞、例えば表皮、真皮、及び/又は皮下組織)の増殖、線維芽細胞の脂肪細胞への分化、皮脂産生、又はそれらの組み合わせを、これらの阻害を必要とする対象において、阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、対象は、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、光線角化症、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ(Birt-Hogg-Dube)症候群における線維毛包腫、及びそれらの組み合わせから選択される疾患又は障害を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、対象は、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に記載のスピロラクトン化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載の医薬組成物を、効果的な量で対象に投与することを含む。
【0013】
本開示の特定の実施形態は、ACC1及び/又はACC2に関連する疾患又は障害を、当該疾患又は障害の治療を必要とする対象において治療する方法に関する。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に記載のスピロラクトン化合物(例えば、式I、式I-1、式Ia、式Ib、式Ic、式II-1~II-3、又は式III-1~III-6、又は実施例1~22のいずれかの化合物)、又はその薬学的に許容可能な塩、又は本明細書に記載の医薬組成物を、治療に効果的な量で、治療を必要とする対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、それぞれの疾患又は障害(例えば、本明細書に記載)に対する1つ以上の追加の療法と共に、それを必要とする対象を治療することを更に含む。本明細書に記載の方法を用いる治療に適した非限定的な疾患又は障害は、異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性(例えば、にきび)に関連する疾患のような皮膚疾患、非アルコール性脂肪肝疾患(非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のような)、代謝性疾患又は障害(例えば、肥満又は糖尿病)、及び癌を含む。
【0014】
付加的な実施形態及び本開示の利点は、部分的に、以下の説明に記載され、説明から導かれ、又は本開示の実施によって習得することができる。実施形態及び本開示の利点は、添付の請求項において特に指摘される要素及び組み合わせによって実現及び達成される。
【0015】
前述の概要及び以下の詳細な説明は、例示的及び説明的のみであって、請求される発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して本明細書で説明する。ここで、図面を詳細に具体的に参照すると、示されている詳細は例であって、本発明の実施形態を説明する目的のためであることが強調される。
【0017】
図1図1は、棒グラフを表し、ACC阻害剤(例えば、実施例14又は20)を用いた慢性治療によって、C57BL/6Jマウスにおいて肝臓トリグリセリド(TG)が低減しことを示す。データは、平均+SEMとして表される。統計的有意性は、ANOVA解析、ビヒクルに対する**p<0.01、を用いて決定される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、ACC阻害剤(ACC1及び/又はACC2阻害剤)として使用することができるスピロラクトン化合物の新規なクラスに一般に関連する。様々な実施形態において、本開示は、本明細書に記載の新規なスピロラクトン化合物に関連する化合物、医薬組成物、方法及び使用を提供する。
【0019】
(スピロラクトン化合物)
本開示の特定の実施形態は、新規なスピロラクトン化合物に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、式Iの化合物
【化2】

又はその薬学的に許容可能な塩を提供し、
ここで、R及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたアルキル(例えば、任意に置換されたC1-6アルキル)、任意に置換されたシクロアルキル(例えば、任意に置換されたC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたアルケニル(例えば、任意に置換されたC2-6アルケニル)、任意に置換されたアルキニル(例えば、任意に置換されたC2-6アルキニル)、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換されたC6-10アリール)。任意に置換されたヘテロアリール(例えば、任意に置換された5~10員ヘテロアリール)、任意に置換されたヘテロシクリル(例えば、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル)、NR1011、COOR12、CONR1314、CN、S(O)15、又はOR16であり、
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたアルキル(例えば、任意に置換されたC1-6アルキル)、任意に置換されたシクロアルキル(例えば、任意に置換されたC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたアルカノイル(例えば、任意に置換されたC1-6アルカノイル)、任意に置換されたシクロアルカノイル(例えば、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル)、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換されたC6-10アリール)、任意に置換されたヘテロアリール(例えば、任意に置換された5~10員ヘテロアリール)、任意に置換されたヘテロシクリル(例えば、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル)、COOR12、又はCONR1314であり、
12、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又は任意に置換されたアルキル(例えば、任意に置換されたC1-6アルキル)であり、
nは、0、1、又は2であり、
15は、任意に置換されたアルキル(例えば、任意に置換されたC1-6アルキル)、任意に置換されたシクロアルキル(例えば、任意に置換されたC3-6シクロアルキル)、又はNR1011であり、
16は、水素、任意に置換されたアルキル(例えば、任意に置換されたC1-6アルキル)、任意に置換されたシクロアルキル(例えば、任意に置換されたC3-6シクロアルキル)、任意に置換されたアルカノイル(例えば、任意に置換されたC1-6アルカノイル)、任意に置換されたシクロアルカノイル(例えば、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル)、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換されたC6-10アリール)、任意に置換されたヘテロアリール(例えば、任意に置換された5~10員ヘテロアリール)、任意に置換されたヘテロシクリル(例えば、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル)、又はCONR1314であり、
及び、Rは、任意に置換されたアリール(例えば、任意に置換されたC6-10アリール)、又は任意に置換されたヘテロアリール(例えば、任意に置換された5~10員ヘテロアリール)であり、
ただし、R及びRが共に水素の場合、Rは任意に置換されたフェニルではない。
【0020】
いくつかの実施形態において、R及びRの両方が水素であり、ただし、Rは任意に置換されたフェニルではない。いくつかの実施形態において、R及びRのいずれか一方のみが水素である、つまり、式Iにおけるフェニル環は一置換である。いくつかの実施形態において、R及びRのいずれも水素ではない、つまり式Iのフェニル環は二置換である。
【0021】
いくつかの好適な実施形態において、式Iの化合物は、式I-1の化合物
【化3】

であり、
、R及びRは本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、Rは水素ではない。いくつかの実施形態において、Rは水素である。
【0022】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、Rは水素であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式Iaの化合物
【化4】

であり、
及びRは本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、Rは水素ではない。いくつかの実施形態において、Rは水素である。
【0023】
いくつかの実施形態において、Rは、F、Cl、Br、又はIのようなハロゲンである。いくつかの実施形態において、RはCNである。Rがハロゲンの場合、式Iの化合物(例えば、式Iaの化合物)は、カップリング反応(例えば、パラジウム媒介又は銅媒介カップリング反応)を通じ、式Iの化合物のような他の化合物の合成の合成中間体としても機能することができ、ここで、Rは任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、NR1011、COOR12、CONR1314、CN、S(O)15、又はOR16である。
【0024】
いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたC1-6アルキルである。いくつかの好適な実施形態において、Rは任意に置換されたC1-4アルキルである。例えば、いくつかの実施形態において、Rは、C1-4アルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル)であり得る。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換されたC1-4アルキルであることができる。例えば、Rは、CF、CFCH等のような、1~3のフッ素で任意に置換されたC1-4であることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたアルコキシである。いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたC1-6アルコキシである。いくつかの好適な実施形態において、Rは任意に置換されたC1-4アルコキシである。例えば、Rは、C1-4アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ)であり得る。いくつかの実施形態において、Rは、C1-4アルコキシであることができ、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される。例えば、Rは、CFO、CFCHO等のような、1~3のフッ素で任意に置換されたC1-4アルコキシであることができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、RはC3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、RはC3-6シクロアルキルであり、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される。例えば、いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピル又はシクロブチルである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロピル又はシクロブチルであり、任意に1~3のフッ素で置換される。
【0027】
いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたシクロアルコキシである。いくつかの実施形態において、Rは、任意に置換されたC3-6シクロアルコキシである。いくつかの実施形態において、Rは、C3-6シクロアルコキシである。いくつかの実施形態において、Rは、C3-6シクロアルコキシであり、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される。例えば、いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロポキシ又はシクロブトキシである。いくつかの実施形態において、Rは、シクロプロポキシ又はシクロブトキシであり、任意に1~3のフッ素で置換される。
【0028】
いくつかの好適な実施形態において、Rはハロゲン、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-6アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、又は任意に置換されたC3-6シクロアルコキシである。いくつかの好適な実施形態において、R1はC1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、又はC3-6シクロアルコキシであり、ハロゲン及びC1-4アルキルから独立して選択される1~3の置換基でそれぞれ任意に置換される。いくつかの好適な実施形態において、Rは、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシであり、1~3のフッ素でそれぞれ任意に置換される。
【0029】
いくつかの実施形態において、Rは、任意に置換されたC6-12アリール(例えばフェニル)のような任意に置換されたアリールである。いくつかの実施形態において、R1は、C6-12アリール(例えばフェニル)であり、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1つ以上(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、RはC6-12アリール(例えば、フェニル)であり、ハロゲン(例えば、F、Cl)、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、及びC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1つ以上(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換され、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、及びシクロアルコキシは、それぞれ、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。
【0030】
いくつかの実施形態において、Rは、任意に置換されたヘテロアリールである。例えば、いくつかの実施形態において、Rは、5~10員ヘテロアリール(例えば、本明細書に記載の5又は6員ヘテロアリール)であり、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1つ以上(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rは、5~10員ヘテロアリール(例えば、本明細書に記載の5又は6員ヘテロアリール)であり、ハロゲン(例えば、F、Cl)、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、及びC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1つ以上(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換され、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、及びシクロアルコキシは、それぞれ、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。
【0031】
いくつかの実施形態において、Rは、5~10員ヘテロアリール(例えば、テトラゾリル、ピリジニル等のような本明細書に記載の5又は6員ヘテロアリール)であり、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、COOR12から独立して選択される1つ以上の(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換され、R12は水素または任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシである。いくつかの実施形態において、Rは、任意に置換されたピリジニル(例えば、2-、3-、又は4-ピリジニル)であることができる。いくつかの実施形態において、ピリジニルは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、COOR12から独立して選択される1つ以上(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換されることができ、R12は水素又は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシである。いくつかの実施形態において、ピリジニルは、COOR12(例えば、COOH)で置換されてもよい。いくつかの実施形態において、ピリジニルは、COOH又はインビボでカルボン酸基(又はその塩)に変換可能な基で置換されてもよい。インビボでカルボン酸基(又はその塩)に変換可能な適切な基は、例えば、エステル、アミド等のような当技術分野で知られているものを含む。理論に縛られることは望まないが、ピリジニルカルボン酸のようなカルボン酸官能基は、肝臓への化合物の標的とする送達を助けることができ、それにより、例えば、必要な全身曝露を低減し、肝疾患(例えば、NASH)の治療に特に有用であると考えられる。
【0032】
いくつかの実施形態において、Rは、任意に置換された3-ピリジニルであることができる。例えば、いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、式Ic
【化5】

の化合物であることができ、
ここで、R及びR20は本明細書で定義される。式Icの化合物に対して適切なR20は、COOR20基が、COOH(又はその塩)である又はインビボでCOOH(又はその塩)に変換可能である、基のいずれかを含む。いくつかの実施形態において、R20は、水素、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたシクロアルキル(例えば、任意に置換されたC3-6シクロアルキル)であり得る。いくつかの実施形態において、R20は、任意に置換されたC1-6アルキル(例えば、任意に置換可能なC1-4アルキル)であり得る。いくつかの実施形態において、R20は、水素又は任意に置換されたC1-4アルキル(例えば、メチル、エチル等)であり得る。アルキル又はシクロアルキルについて様々な1つ又は複数の置換基を使用することができ、インビボでエステル基がカルボン酸基(又はその塩)に変換することを防げないもののいずれかを含む。しかしながら、好ましくは、R20基(任意の1又は複数の置換基を含む)は、式Icの化合物又は結果として得られる開裂副生成物(つまり、生成されるスピロラクトン生成物ではない)が、治療上効果的な用量で、対象使用者にとって毒性がない又は許容される毒性しかないように選択される。いくつかの実施形態において、COOR20基は、単純なアルキルエステル(例えば、メチル、エチル、又は他のC1-4アルキルエステル)であり得る。いくつかの実施形態において、R20は、オリゴ又はポリエチレングリコール鎖を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、R20は、
【化6】

であることができ、ここでpは1~500(例えば、1~10、1~50、1~100等、例えば、1、2、又は3)の整数であり、R21は水素、C1-4アルキル(例えば、メチル)又は酸素保護基である。好適な酸素保護基は、当技術分野で知られているものを含み、例えば、メチル、メトキシメチル等であり、例えば"Protective Groups in Organic Synthesis", 4 ed. P. G. M. Wuts; T. W. Greene, John Wiley, 2007及びそこで引用されている文献において説明されている。いくつかの実施形態において、R20は、「アセタール」構造を形成する酸素置換アルキルであり得る。理論に縛られることは望まないが、そのような基はより不安定なエステルをもたらす可能性があり、より早くインビボ内で開裂されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、R20は、
【化7】

であることができ、R22はC1-4アルキルであり、R23は水素またはC1-4アルキルである。
【0033】
上述したアプローチは、本明細書に記載のスピロラクトンコアに限定されない。例えば、本開示に鑑みて当業者には容易に明らかとなるように、任意のACC阻害剤は、例えばエステル、アミド等のようなインビボでカルボン酸基に変換可能な基又はCOOHで置換されたピリジニルのような肝臓標的部分を含むように設計することができ、肝疾患(例えばNASH)の治療のために特に有用であり得る。いくつかの実施形態において、そのようなACC阻害剤は、本明細書に記載のCOOR20で弛緩されたピリジニルを含むように設計することができ、単純なアルキルエステルであり得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、Rは、任意に置換されたヘテロシクリルであり得る。例えば、いくつかの実施形態では。Rは、ハロゲン、オキソ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1以上(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換された4~6員ヘテロシクリルである。いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン(例えば、F、Cl)、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、及びC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1以上(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換された4~6員ヘテロシクリルであり、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル及びシクロアルコキシは、それぞれ、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。
【0035】
いくつかの好適な実施形態において、RはNR1011である。例えば、いくつかの実施形態において、式Iaの化合物は、式Ib
【化8】

の化合物であり、R10、R11及びRは、本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、R10及びR11の一方は、任意に置換されたフェニル又は任意に置換された5又は6員ヘテロアリール(例えば、本明細書に記載)である。いくつかの実施形態において、R10及びR11の一方は、ハロゲン、シアノ及びC1-4アルキルから独立して選択される1以上(例えば、1又は2)の置換基で任意に置換された5員ヘテロアリール(例えば、本明細書に記載のように、2~4の窒素原子を有するもの)。例えば、いくつかの実施形態において、R10及びR11の一方は、ピラゾリル、トリアゾリル又はテトラゾリルである。いくつかの実施形態において、R10及びR11の一方がピラゾリル、トリアゾリル又はテトラゾリルであり、それぞれ、1又は2の独立して選択されるC1-4アルキル(例えば、メチル又はエチル)で任意に置換される。これらの実施形態のいずれかにおいて、R10及びR11の他方は、水素、又は任意に置換されたアルキル(例えば、メチル又はエチルのようなC1-4アルキル)である。他の好適なR10及びR11は、本明細書に記載されている。
【0036】
いくつかの実施形態において、Rは、COOR12又はCONR1314であり得、R12、R13及びR14は本明細書で定義される。例えば、いくつかの実施形態において、RはCOOR12であり、R12は、水素又は任意に置換されたアルキルである。いくつかの実施形態において、R12は、ハロゲン及びC1-4から独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換されたC1-4アルキルのような任意に置換されたC1-6アルキル又は水素であり得る。いくつかの実施形態において、RはCONR1314であり、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又は任意に置換されたアルキルである。いくつかの実施形態において、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素又は、ハロゲン及びC1-4アルキルから独立して選択される1以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換されたC1-4アルキルのような任意に置換されたC1-6アルキルである。
【0037】
いくつかの実施形態において、Rは、S(O)nR15であることができ、n及びR15は本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、nは0である。いくつかの実施形態において、nは1である。いくつかの実施形態において、nは2である。いくつかの実施形態において、R15は任意に置換されたアルキルである。いくつかの実施形態において、R15は、ハロゲン及びC1-4アルキルから独立して選択される1以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換されたC1-4アルキルのような、任意に置換されたC1-6アルキルである。いくつかの実施形態において、R15は任意に置換されたシクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R15は、ハロゲン及びC1-4アルキルから独立して選択される1以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換されたC3-6シクロアルキルのような、任意に置換されたC3-6シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R15は、NR1011であり、R10及びR11の好適な基は、本明細書に記載されている。
【0038】
いくつかの実施形態において、RはOR16であることができ、R16は本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、R16はHである。いくつかの好適な実施形態において、R16は、任意に置換されたアルキル(例えば、任意に置換されたC1-6アルキル)又は、任意に置換されたシクロアルキル(例えば、任意に置換されたC3-6シクロアルキル)であり、従って、Rは、本明細書に記載の任意に置換されたアルコキシ又はシクロアルコキシである。他の好適なR16は、本明細書に記載されている。
【0039】
式Iの化合物(例えば、式I-1、式Ia、式Ib又は式Icの化合物)のために好適なRは、本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、Rは、任意に置換されたアリール、例えば、任意に置換されたC6-10アリールである。いくつかの実施形態において、Rは、C6-10アリールであり、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたフェニルであり得る。いくつかの実施形態において、Rは、任意に置換された二環アリールであり得る。例えば、いくつかの好適な実施形態において、Rは、任意に置換されたナフチルである。いくつかの実施形態において、Rはナフチルであり、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル及びC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換され、ここで、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、及びシクロアルコキシは、それぞれ、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rはナフチルであり、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rはナフチルであり、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、エチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、エトキシ及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。
【0040】
いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたヘテロアリールでもあり得る、例えば、いくつかの実施形態において、Rは任意に置換された8~10員の二環ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、Rは8~10員の二環ヘテロアリールであり、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、インダゾリル、インドリル、キノリニル、又はイソキノリニルである。いくつかの実施形態において、Rは、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、インダゾリル、インドリル、キノリニル、又はイソキノリニルイソキノリニルであり、それぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、及びC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換され、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、及びシクロアルコキシは、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rはベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、インダゾリル、インドリル、キノリニル、又はイソキノリニルであり、それぞれ、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rは、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、インダゾリル、インドリル、キノリニル、又はイソキノリニルであり、それぞれ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、エチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。好ましくは、本明細書に記載のヘテロアリールの置換基は、ハロゲン、シアノ、又は酸素原子(例えば、ヒドロキシル、アルコキシ、又はシクロアルコキシ基から)が、ヘテロアリールの、環状窒素原子のような環状ヘテロ原子に直接結合する結果とならない。また、当業者は、化合物が窒素環状原子の隣の炭素に結合するヒドロキシル基を有する場合、その化合物は、主に1つ以上の互変異性型で存在する可能性があることを理解するだろう。例えば、2-ヒドロキシル置換1-メチル-ベンズイミダゾールは、以下に示すように
【化9】

主にフォームBで存在する可能性がある。従って、本明細書で使用する場合、ヒドロキシル基で置換されたヘテロアリールは、可能な場合、全ての互変異性型、例えば上記のフォームA及びBを包含すると理解されるべきである。
【0041】
に好適な二環アリール又はヘテロアリールの様々な位置、例えば、遠位のリングに直接隣接しない位置は、スピロラクトンコアに結合するために使用することができる。例えば、1-及び2-ナフチルの両方は、好適なR基である。いくつかの実施形態において、Rは、好ましくは、2-ナフチルである。同様に、キノリニルは、位置2-8
【化10】

の1つで、7つの異なる結合点を有することができる。いくつかの実施形態において、Rは好ましくは、2-、3-、6-、又は7-キノリニル(遠位のリングの直接隣接して位置しない)である。いくつかの実施形態において、Rは、4-、5-、又は8-キノリニルである。
【0042】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、Rは、任意に置換されたナフチル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、インドリル、又はインダゾリル
【化11】

である。いくつかの実施形態において、ナフチル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、インドリル、又はインダゾリルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、及びC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換され、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、及びシクロアルコキシは、それぞれ、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、ナフチル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、インドリル、又はインダゾリルは、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、ナフチル、キノリニル、ベンゾミダゾリル、ピロロピリジニル、インドリル、又はインダゾリルは、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、エチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される。好ましくは、本明細書に記載のベンゾイミダゾリル、ピロロピリジニル、インドリル、又はインダゾリルの置換基は、ハロゲン、シアノ、又は酸素原子(例えば、ヒドロキシル、アルコキシ、又はシクロアルコキシ基から)が、環状窒素原子に直接結合する結果とならない。
【0043】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、Rは、任意に置換されたナフチル又はキノリニル
【化12】

であることができる。いくつかの実施形態において、ナフチル又はキノリニルは、ハロゲン、シアノ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、及びC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換され、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、及びシクロアルコキシは、それぞれ、ハロゲン(例えば、F)及びC1-4アルキルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、ナフチル又はキノリニルは、ハロゲン、シアノ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、ナフチル又はキノリニルは、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、トリフルオロメチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。
【0044】
いくつかの実施形態において、Rは、
【化13】

であることができる。
【0045】
本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、Rは、
【化14】

であることができる。
【0046】
(例示的なスピロラクトン化合物)
本開示の特定の実施形態は、いくつかの例示的なスピロラクトン化合物に関する。
【0047】
いくつかの実施形態において、本開示は、式II-1~式II-3の化合物
【化15】

又はその薬学的に許容可能な塩を提供し、Rは本明細書で定義されるもののいずれかであり得る。例えば、いくつかの好適な実施形態において、Rは、任意に置換されたナフチルである。いくつかの実施形態において、Rはナフチルであり、ハロゲン、シアノ、任意に1~3のハロゲンで置換されたC1-4アルキル、任意に1~3のハロゲンで置換されたC1-4アルコキシ、任意に1~3のハロゲンで置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に1~3のハロゲンで置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rはナフチルであり、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、トリフルオロメチル、エチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの好適な実施形態において、Rは任意に置換されたキノリニルである。いくつかの実施形態において、Rは、キノリニルであり、ハロゲン、シアノ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、Rはキノリニルであり、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、エチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。
【0048】
いくつかの実施形態において、Rは式II-1~式II-3は、
【化16】

であることができ、それぞれ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、トリフルオロメチル、メチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される。
【0049】
いくつかの実施形態において、本開示は、式III-1又は式III-2の化合物
【化17】

又はその薬学的に許容可能な塩を提供し、R及びRは本明細書で定義されるもののいずれかである。いくつかの実施形態において、式III-1又は式III-2におけるRは水素である。
【0050】
いくつかの実施形態において、本開示は、式III-3~式III-6の化合物
【化18】

又はその薬学的に許容可能な塩を提供し、ここでR及びRは、適切であるとして本明細書で定義されるもののいずれかである。
【0051】
いくつかの実施形態で、式III-1~式III-6のいずれかにおけるRは、任意に置換されたC1-4アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、又はtert-ブチルであり得る。いくつかの実施形態において、式III-1~式III-6のいずれかにおけるRは、任意に置換されたC1-4アルコキシ、例えば、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、又はイソプロポキシであり得る。いくつかの実施形態において、式III-1~式III-6のいずれかにおけるRはNR1011であり得る。いくつかの実施形態において、R10及びR11の一方は、任意に置換された5又は6員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態において、R10及びR11の一方は、2-4の環窒素原子を有する5員ヘテロアリールであり、ハロゲン、シアノ及びC1-4アルキルから独立して選択される1又は2の置換基で任意に置換される。いくつかの実施形態において、R10及びR11の一方は、ピラゾリル、トリアゾリル又はテトラゾリルであり、それぞれ、C1-4アルキルで任意に置換される。これらの実施形態のいずれかにおいて、R10及びR11の他方は、水素又はC1-4アルキル(例えば、メチル)であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、R10及びR11の一方は、
【化19】

であり、R10及びR11の他方は、水素又はメチルである。いくつかの実施形態において、式III-1、式III-2、式III-4及び式III-6のいずれかにおけるRは、水素であり得る。他の好適なR及びRは本明細書に記載されている。
【0052】
いくつかの実施形態において、本開示は、実施例1~22の化合物のいずれか、又はその塩(例えば、薬学的に許容可能な塩)も提供する。例えば、いくつかの実施形態において、本開示は、
【化20】

又はその薬学的に許容可能な塩も提供する。
【0053】
(合成方法)
本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載のスピロラクトン化合物を合成する方法に関する。
【0054】
いくつかの実施形態において、本開示は、式I
【化21】

の化合物を合成する方法を提供し、ここでR、R及びRは本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、本方法は、式S-1の化合物又はその塩を、式S-2の酸又はその活性化形態(例えば、塩化アシル、無水物)と反応させ、式Iの化合物を形成することを含み、
【化22】

ここで、R、R及びRは本明細書で定義される通りである。この変換に適切な試薬及び条件は、当技術分野で知られており、実施例の部分で、例えば、HATU((1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート))及びジイソプロピルアミンを使用する実例が示されている。
【0055】
いくつかの実施形態において、本方法は、式S-3の化合物を、R又は他の試薬と反応させ、式Iの化合物を形成することを含み、
【化23】

はハロ(好ましくはBr又はI)、CN、又はNH2であり、R、R、及びRは本明細書に定義されており、Rは、適切な条件で式S-3と反応させて式Iを形成可能な試薬である。例えば、いくつかの実施形態において、Gはハロであり、Rは、式S-3の化合物と、例えば、パラジウム又は銅触媒カップリング反応条件下で反応し、式Iの化合物を形成することが可能な有機亜鉛試薬、有機ホウ素試薬、有機スズ試薬であり得る。いくつかの実施形態において、RはGがHであり、Gがハロであるアミノ化合物であり、Rは、例えば、パラジウム又は銅触媒カップリング反応条件下で、式S-3の化合物と反応し、式Iの化合物を形成することができる。いくつかの実施形態において、RはHである。いくつかの実施形態において、式S-3の化合物は式S-3aであり、G及びRは本明細書で定義されており、例えばいくつかの式S-3aの実施形態において、Gはハロである(例えば、Br又はI)。
【化24】

いくつかの実施形態において、Rは、
【化25】

である。いくつかの実施形態において、Rは、有機ホウ素剤、有機スズ剤、又は有機亜鉛剤のような有機金属剤であり、Gはボロン酸またはエステル、三置換Sn、又はZnのような金属イオンであるいくつかの実施形態において、Rは任意に置換されたアリール又は任意に置換されたヘテロアリール(例えば、2-、3-、又は4-ピリジニルのような5-、6-員ヘテロアリール)であり得る。好適なカップリング反応条件は当技術分野で知られてあり、実施例の部分に実例が示されている。いくつかの実施形態において、GがCNである場合、式S-3又はS-3aの化合物は、アジド(azide)のような別の薬剤と反応し、式I又はIaにおけるR基としてテトラゾールを形成することができる。
【0056】
式S-1の化合物は、本開示の観点から当業者は容易に入手可能であり得る。例えば、式S-1の特定の化合物は、以下のスキーム1
【化26】

によって調製することができ、ここで、Pgは、ベンジルのような窒素保護基であり、R100及びR101は独立して水素又はC1-4アルキル(例えば、メチル)であり、R及びRは本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、R100及びR101の両方が水素である。いくつかの実施形態において、R100及びR101の一方は水素であり、R100及びR101の他方はC1-4アルキル(例えば、メチル)である。従って、式S-4の化合物は、例えば、n-BuLiのような強塩基で処理されることができ、その後、式S-5の化合物と反応させる。適切な条件下、例えば数時間の還流下での酸性処理(例えば、50%酢酸及び濃H2SO4)の後、式S-6のスピロ環式化合物を得ることができる。Yamato M. et al. "Synthesis and Structure- Activity Relationship of Spiro[isochromanpiperidine] Analogues for Inhibition of Histamine Release," J. Med. Chem. 24:194-198 (1981)を参照、その内容は参照により、その全体が本明細書に組み込むものとする。式S-6の化合物の脱保護により式S-1の化合物を得ることができる。例えば、Pgがベンジルである場合、水素化反応は、式S-6の化合物を式S-1の化合物に変換する。他の好適な窒素保護基は当技術分野で知られており、例えば、"Protective Groups in Organic Synthesis", 4th ed. P. G. M. Wuts; T. W. Greene, John Wiley, 2007及びそこで引用されている文献に記載されている。
【0057】
いくつかの実施形態において、本開示は、例えば、以下のスキーム2
【化27】

によって化合物B3及び式S-1aの化合物又はその塩を調製するための方法を提供し、
ここでGはハロゲン、例えばBr又はI、又はシアノである。いくつかの実施形態において、B1、B2、B3及び式S-Iaの化合物におけるピペリジンの窒素は、ベンジル、Boc等のような窒素保護基で保護され得る。他の好適な窒素保護基は、当技術分野で知られているものを含み、例えば、"Protective Groups in Organic Synthesis", 4th ed. P. G. M. Wuts; T. W. Greene, John Wiley, 2007及びそこに引用されている文献に記載されている。例えば、スキーム1に記載の方法で得ることができる化合物B1又はその塩は、(例えば、HNOとの)ニトロ化反応を受けて、化合物B2若しくはその塩を形成し、それらは(又はそのNが保護された誘導体)は、その後減少させることができ(例えば、Pd/Cによる水素化)、化合物B3若しくはその塩又はそのNが保護された誘導体を形成する。化合物B3、又はその塩、又はそのNが保護された誘導体は、ハロゲン化反応を受け、例えば、一般的なサンドマイヤー条件(例えば、ジアゾ化とそれに続くCuBr、CuCN又はCuIとの反応)下で、アミン基をハロゲン(例えば、Br又はI)に変換する。化合物B3又は式S-1aの化合物は、式S-2の酸又はその活性化形態(例えば、塩化アシル、無水物)と反応して、式S-3aの特定の化合物を形成することができる。
【0058】
当業者には明らかであるように、特定の官能基が望ましくない反応を受けることを防ぐため、従来の保護基が必要となることがある。様々な官能基にとって適切な保護基と同様に特定の官能基を保護する及び脱保護する適切な条件が、当技術分野でよく知られている。例えば、多数の保護基が、"Protective Groups in Organic Synthesis", 4th ed. P. G. M. Wuts; T. W. Greene, John Wiley, 2007及びそこに引用されている文献に記載されている。本明細書に記載の反応のための薬剤は、一般的に知られている化合物である、又は既知の手順又はその明確な変形によって調製されることができる。例えば、薬剤の多くは、Aldrich Chemical社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)、Sigma社(米国ミズーリ州セントルイス)のような商業的な供給業者から入手可能である。Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis, Volumes 1-15 (John Wiley and Sons, 1991)、Rodd's Chemistry of Carbon Compounds, Volumes 1-5 and Supplemental (Elsevier Science Publishers, 1989)、 Organic Reactions, Volumes 1-40 (John Wiley and Sons, 1991)、March's Advanced Organic Chemistry, (Wiley, 7th Edition)、及びLarock's Comprehensive Organic Transformations (Wiley- VCH, 1999)のような標準的な参照テキストに記載された手順によって、又はその明確な変形によって、他のものを調製することができる。
【0059】
(医薬組成物)
特定の実施形態は、1つ以上の本開示のスピロラクトン化合物を含む医薬組成物に関する。
【0060】
医薬組成物は、薬学的に許容可能な添加剤を任意に含むことができる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本開示のスピロラクトン化合物及び薬学的に許容可能な添加剤を含む。薬学的に許容可能な添加剤は、当技術分野で知られている。非限定的な適切な添加剤は、例えば、吸収促進剤、酸化防止剤、結合剤、緩衝剤、コーティング剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、香味剤、保湿剤、潤滑剤、香料、防腐剤、噴射剤、離型剤、滅菌剤、甘味料、可溶化剤、湿潤剤、及びそれらの混合物のようなカプセル化剤又は添加物を含む。医薬組成物を製剤化する際に用いられる様々な添加剤と、それらを調製するための技術とを開示するRemington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro (Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, Md., 2005; incorporated herein by reference)も参照のこと。
【0061】
医薬組成物は、本開示の任意の1つ以上のスピロラクトン化合物を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、式I、式I-1、式Ia、式Ib、式Ic、式II-1~II-3及び式III-1~III-6、又は実施例1~11のいずれかの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を含む。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、医薬組成物は、実施例1~22の化合物のいずれか、又はその薬学的に許容可能な塩を含む。例えば、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、
【化28】

の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含むことができる。
【0062】
医薬組成物は、経口、非経口、吸入、局所等の異なる経路を介した送達用に製剤化することもできる。
【0063】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、経口投与用に製剤化される。経口製剤は、カプセル、丸剤、カシェ剤、トローチ剤、又は錠剤のような個別の単位で提供することができ、それぞれが、粉末又は顆粒として、水性の又は非水性液体の溶液又は懸濁液として、又は水中油又は油中水エマルションとして、所定の量の活性化合物を含む。経口投与用の組成物の調製のための添加剤は、当技術分野で知られている。非限定的な適切な添加剤は、例えば、寒天、アルギン酸、水酸化アルミニウム、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、1,3-ブチレングリコール、カルボマー、ヒマシ油、セルロース、酢酸セルロース、ココアバター、コーンスターチ、コーン油、綿実油、クロスポビドン、ジグリセリド、エタノール、エチルセルロース、ラウリン酸エチル、オレイン酸エチル、脂肪酸エステル、ゼラチン、胚芽油、グルコース、グリセロール、落花生油、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、イソプロパノール、等張食塩水、乳糖、水酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、麦芽、マンニトール、モノグリセリド、オリーブ油、落花生油、リン酸カリウム塩、馬鈴薯澱粉、ポビドン、プロピレングリコール、リンゲル液、ベニバナ油、ゴマ油、カルボキシメチルセルロースナトリウム、リン酸ナトリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビトールナトリウム、大豆油、ステアリン酸、フマル酸ステアリル、スクロース、界面活性剤、タルク、トラガカント、テトラヒドロフルフリルアルコール、トリグリセリド、水及びそれらの混合物を含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、非経口投与のために製剤化される(静脈内注射又は注入など)。非経口製剤は、例えば、水溶液、懸濁液、又はエマルションであり得る。非経口製剤の調製のための添加剤は、当技術分野で知られている。非限定的な適切な添加剤は、例えば、1,3-ブタンジオール、ヒマシ油、コーン油、綿実油、デキストロース、胚芽油、落花生油、リポソーム、オレイン酸、オリーブ油、落花生油、リンゲル液、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、U.S.P.又は等張性塩化ナトリウム溶液、水及びそれらの混合物を含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、吸入用に製剤化される。吸入可能な製剤は、例えば、鼻腔スプレー、乾燥粉末、又は定量吸入器を通して投与可能なエアロゾルとして製剤化される。吸入用製剤を調製するための添加剤は、当技術分野で知られている。非限定的で適切な添加剤は、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、及びこれらの物質の混合物を含む。スプレーは、クロロフルオロ炭化水素のような噴射剤、及びブタン及びプロパンのような揮発性非置換炭化水素を付加的に含むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、局所投与用に製剤化される。局所製剤は、例えば、局所溶液、ローション、シャンプー、経皮スプレー、局所フィルム、泡、粉末、ペースト、スポンジ、経皮パッチ、チンキ剤、テープ、クリーム、ゲル、又は軟膏の形態であり得る。局所製剤を調製するための添加剤は、当技術分野で知られている。非限定的な適切な添加剤は、例えば、動物性及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、及び酸化亜鉛、及びそれらの混合物を含む。
【0067】
例えば、本明細書に記載の局所製剤は、毛包脂腺単位への担体として作用する1つ以上の「親油性溶媒」を有することができる。本発明で有用な親油性溶媒は、水及び/又は低鎖(例えば、C1-6)アルコールと混和性であり得る。いくつかの実施形態において、親油性溶媒は、グリコール、例えばプロピレングリコールであり得る。いくつかの実施形態において、親油性溶媒は、例えば、200~20000ダルトンの範囲の平均分子量(例えば、Mn又はMw)を有するポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態において、親油性溶媒は、グリコールエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)である。
【0068】
本明細書に記載の局所製剤は、1つ以上の「充填剤」も有することができる。非限定的で有用な充填剤は、水、及びエタノール、2-プロパノール及びn-プロパノールを含む低(例えば、C1-6)アルコールを含む。いくつかの実施形態において、充填剤は、水、エタノール及び/又は2-プロパノールである。
【0069】
本明細書に記載の局所製剤は、湿潤効果を与えるために使用される1つ以上の「保湿剤」も有することができる。非限定な有用な保湿剤は、グリセリン、多価アルコール及びシリコーンオイルが含まれる。いくつかの実施形態において、局所製剤は、グリセリン、プロピレングリコール及びシクロメチコンから選択される1つ以上の保湿剤を含む。
【0070】
本明細書に記載の局所製剤は、最終製剤の粘度を増加するゲル化剤も有することができる。いくつかの実施形態において、ゲル化剤は、乳化剤としても作用することができる。非限定的で有用なゲル化剤は、セルロース類、アクリレートポリマー及びアクリレートコポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロール、プルロニックPF127ポリマー、カルボマー980、カルボマー1342及びカルボマー940を含む。いくつかの実施形態において、局所製剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標)EF、GF及び/又はHF)、プルロニックPF127、カルボマー980及びカルボマー1342(Pemulen(登録商標)TR-1、TR-2及び/又はCarbopol(登録商標)ETD2020)選択される1つ以上のゲル化剤を含む。
【0071】
本明細書に記載の局所製剤は、1つ以上の抗酸化剤、ラジカルスカベンジャー、及び/又は安定化剤も有することができる。非限定的で有用な実施例は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、パルミチン酸アスコルビル、クエン酸、ビタミンE、酢酸ビタミンE、ビタミンE-TPGS、アスコルビン酸、トコフェルソラン及び没食子酸プロピルを含む。
【0072】
本明細書に記載の局所製剤は、抗菌特性及び/又は抗真菌特性を示す1つ以上の防腐剤も有することができる。非限定的で有用な例は、ジアゾリジニル尿素、メチルパラベン、プロピルパラベン、四ナトリウムEDTA、及びエチルパラベンを含む。
【0073】
本明細書に記載の局所製剤は、1つ以上のキレート剤も有することができる。本明細書で使用のための非限定的な例は、EDTA、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、シクロデキストリン、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸及びグルコン酸カリウムを含む。
【0074】
様々な量の活性成分及び添加剤は、本明細書に記載の局所製剤に適切である。例えば、いくつかの実施形態において、局所製剤は、本開示のスピロラクトンを、製剤の総重量の約0.001~約5重量%(例えば、約0.01~約1%、約0.01%から約0.5%)の量で含むことができる。いくつかの実施形態において、局所製剤は、以下の成分を含むことができる(製剤の総重量の重量パーセントで)。
【表1-1】
【0075】
医薬組成物は、化合物の意図される用途及び効力のような様々な要因に応じて、様々な量の本開示のスピロラクトン化合物を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本開示のスピロラクトン化合物を、インビトロ、インビボ、又はエクスビボである細胞内でACC1及び/又はACC2の活性を阻害するために効果的な量で含むことができる。いくつかの実施形態において、その量は、対照と比較して、ACC1及び/又はACC2活性の約10%、約20%、約50%、約70%、約90%、約99%又は列挙された値の間の任意の範囲の阻害を達成するために効果的である。
【0076】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、活性の阻害を必要とする対象(例えば、ヒト)に投与した場合に、対象内の1つ以上の活性を阻害するために効果的な量で、本開示のスピロラクトン化合物を含むことができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の活性は、アセチル-CoAカルボキシラーゼACC1及び/又はACC2活性、脂質生成、表皮、真皮及び/又は皮下組織における細胞の増殖(例えば、脂肪細胞、メラニン細胞、角化細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、又は皮脂幹細胞)、ヒト脂腺細胞の増殖、ヒト角化細胞の増殖、皮膚及び/又は皮下層の線維芽細胞の脂肪細胞への分化、皮脂産生、炎症及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、本開示のスピロラクトン化合物を、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に投与した場合に、(a)対象内の細胞(例えば、脂腺細胞、脂肪細胞)におけるアセチル-CoAカルボキシラーゼACC1及び/又はACC2活性を阻害するために効果的な、(b)対象の脂肪生成(例えば、脂腺細胞の脂肪生成、脂肪細胞の脂肪生成)を阻害するために効果的な、(c)対象の表皮、真皮、及び/又は皮下組織における、脂肪細胞、メラニン細胞、角化細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、又は皮膚幹細胞のような細胞の増殖を阻害するのに効果的な、(d)対象内のヒト脂腺細胞の増殖を阻害するのに効果的な、(e)対象のヒト角化細胞の増殖を阻害するのに効果的な、(f)対象内の皮膚及び/又は皮下層の線維芽細胞の脂肪細胞への分化を阻害するのに効果的な、(g)対象内の皮脂産出を阻害するのに効果的な、(h)対象内の炎症を阻害するのに効果的な、又はこれらの任意の組み合わせの量で含むことができる。いくつかの実施形態において、対象は、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、光線角化症、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ症候群における線維毛包腫、及びその組み合わせから選択される疾患又は障害を有することを特徴とする。いくつかの実施形態において、対象は、NASHを有することを特徴とする。
【0077】
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、治療上効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物を含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、治療上効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物と薬学的に許容される添加剤とを含む。本明細書で使用される、本開示のスピロラクトン化合物の治療上効果的な量は、本明細書に記載の疾患又は障害を治療のために効果的な量であり、その量は、治療の受け手、治療されるべき疾患又は障害及びその重症度、化合物を含む組成物、投与時間、投与経路、治療期間、化合物の効力、そのクリアランス速度、及び別の薬物が併用されているかどうか、によることができる。
【0078】
医薬組成物は、様々な疾患又は障害の治療のために使用することができる。そのような治療に適切な非限定的な疾患又は障害は、皮膚疾患(異常な皮脂細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害のような)、非アルコール性脂肪性肝疾患又は障害、代謝性疾患又は障害、及び癌のような増殖性疾患を含む。異常な皮脂細胞及び/又は角化細胞活性に関連する非限定的な適切な疾患又は障害は、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、光線角化症、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ症候群における線維毛包腫、及びそれらの組み合わせを含む。非限定的で適切な非アルコール性脂肪性肝疾患又は障害は、例えば、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を含む。非限定的で適切な代謝性疾患又は障害は、例えば、肥満及び/又は糖尿病を含む。
【0079】
医薬組成物は、本開示のスピロラクトン化合物に加えて、1つ以上の活性薬剤を含むことができる。本開示のスピロラクトン化合物、及び1つ以上の活性薬剤は、単一の剤形(例えば、単一の丸薬、錠剤、カプセル、局所軟膏、ゲル、ペースト、クリーム等)、又は別個の剤形で存在する。例えば、本開示のスピロラクトン化合物は、経口又は局所製剤中にあり得、1つ以上の活性薬剤は、同じ製剤中に又は異なる経口又は局所製剤中にあり得る。各々が異なる剤形の場合、本開示のスピロラクトン化合物及び1つ以上の活性薬剤は、キットに含めることができる。
【0080】
医薬組成物において、様々な活性薬剤を本開示のスピロラクトン化合物と組み合わせることができる。例えば、いくつかの実施形態において、1つ以上の活性薬剤が、にきびのような異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性と関連する疾患又は障害の治療のために適切である。非限定的で有用な例は、抗生物質(例えば、クリンダマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、スルファセタミド、又はドキシサイクリン及びミノサイクリンのようなテトラサイクリン)、レチノイド(例えば、アダパレン、イソトレチノイン、レチノール、タザロテン、又はトレチノイン)、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、1つ以上の活性薬剤は、にきびのような異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害を治療するための効果的な量で存在する。
【0081】
いくつかの実施形態において、1つ以上の活性薬剤は、代謝性疾患又は非アルコール性脂肪肝疾患又は非アルコール性脂肪肝疾患の治療に適している。そのような薬剤の非限定的で有用な例は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カスパーゼ阻害薬、カテプシンB阻害薬、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、塩化物チャネル刺激薬、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)阻害剤、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)アゴニスト、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD1)阻害剤、IL-1βアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-10アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチン類似体、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、Rho関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体、及びそれらの組み合わせを含む。いくつかの特定の実施形態において、1つ以上の活性薬剤が、アセチルサリチル酸、アリポジーン・チパルボベック(alipogene tiparvovec)、アラムコール、アトルバスタチン、BLX-1002、セニクリビロク、コビプロストン、コレセベラム、エムリカサン、エナラプリル、GFT-505、GR-MD-02、ヒドロクロロチアジド、イコサペントエチルエステル(エチルエイコサペンタエン酸)、IMM-124E、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタミン、MGL-3196、オベチコール酸、オレソキシム、ペグイロデカキン、ピオグリタゾン、PX-102、レモグリフロジンエタボネート、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸、VBY-376、及びそれらの組み合わせから選択することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の活性薬剤は、非アルコール性脂肪肝疾患(例えば、NASH)を治療するために治療上効果的な量で、存在する。いくつかの実施形態において、1つ以上の活性薬剤は、代謝性疾患(例えば、肥満及び/又は糖尿病)を治療するのために治療上効果的な量で存在する。
【0082】
(治療方法)
本開示のスピロラクトン化合物は、細胞におけるACC1及び/又はACC2活性の阻害のために、及びACC1及び/又はACC2活性(例えば、代謝性疾患、異常な皮脂産生に関連する疾患、又は非アルコール性脂肪肝疾患)に関連する疾患又は障害の治療のために有用である。
【0083】
いくつかの実施形態において、本開示は、細胞におけるACC1及び/又はACC2活性を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、細胞に、効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本明細書に記載の医薬組成物を接触させることを含む。いくつかの実施形態において、細胞は、インビトロ(例えば、ヒトの細胞株)、インビボ(例えば、ヒト対象におけるヒト細胞)、又はエクスビボ(ヒト対象由来のヒト細胞)であり得る。全身投与し、それぞれの化合物の血中濃度(又は局所投与及び局所濃度)が、およそ、その各IC50値(タンパク質結合を考慮した後)である、又はそれを超える場合、ACC1及び/又はACC2活性のインビボ阻害を検出する又は推定することができる。
【0084】
いくつかの実施形態において、ACC1及び/又はACC2活性の阻害は、細胞におけるマロニル-CoA産出の阻害、脂質生成、細胞の増殖、線維芽細胞の脂肪細胞への分化、皮脂産出、及び/又は炎症につながる可能性があり、異常な皮脂細胞及び/又は角化細胞活性(例えば、本明細書に記載のにきび及びその他)、代謝性疾患(例えば、本明細書に記載の肥満、糖尿病、及びその他)、非アルコール性脂肪肝疾患(例えば、NASH)、及び癌に関連する疾患又は障害のような疾患又は障害に関わる。
【0085】
従って、いくつかの実施形態において、本開示は、細胞内の脂質生成を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に記載の効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は医薬組成物を、細胞(例えば、ヒト細胞)に接触させることを含む。いくつかの実施形態において、細胞は、皮脂細胞、脂肪細胞又は幹細胞である。
【0086】
いくつかの実施形態において、本開示は、細胞の増殖を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に記載の効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は医薬組成物を、細胞(例えば、ヒト細胞)に接触させることを含む。いくつかの実施形態において、細胞は、脂肪細胞、メラニン細胞、角化細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、及び/又は皮膚幹細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は、脂肪細胞、メラニン細胞、角化細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、及び/又は表皮、真皮、及び/又は皮下組織の皮膚幹細胞である。いくつかの実施形態において、細胞はヒト脂腺細胞である。いくつかの実施形態において、細胞はヒト角化細胞である。
【0087】
いくつかの実施形態において、本開示は、線維芽細胞(例えば、ヒト線維芽細胞)の脂肪細胞への分化を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本開示の医薬組成物を、線維芽細胞に接触させることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、皮膚及び/又は皮下層における、線維芽細胞の脂肪細胞への分化を阻害する。
【0088】
いくつかの実施形態において、本開示は、皮脂産出を阻害する方法を提供する。いくつかの実施形態において、効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本開示の医薬組成物を、皮脂細胞(例えば、ヒト皮脂細胞)に接触させることを含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、本開示は、ACC1及び/又はACC2活性、及び活性の阻害を必要とする対象(例えば、ヒト対象)内の1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、又は全て)の活性を阻害する方法を提供し、1つ以上の活性は、(a)対象内の脂肪生成(例えば、脂腺細胞の脂肪生成、脂肪細胞の脂肪生成、幹細胞の脂肪生成等)、(b)対象の表皮、真皮、及び/又は皮下組織における、脂肪細胞、メラニン細胞、角化細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、又は皮膚幹細胞のような細胞の増殖、(c)対象内のヒト脂腺細胞の増殖、(d)対象内のヒト角化細胞の増殖、(e)対象内の皮膚及び/又は皮下層内の線維芽細胞の脂肪細胞への分化、(f)対象内の皮脂産出、(g)対象内の炎症、及びそれらの組み合わせ、から選択され、本方法は、効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本明細書に記載の医薬組成物を対象へ投与することを含む。いくつかの実施形態において、対象は、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、光線角化症、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ症候群における線維毛包腫、及びそれらの組み合わせから選択される疾患又は障害を有することを特徴とする。
【0090】
いくつかの実施形態において、本開示は、治療を必要とする対象におけるACC1及び/又はACC2に関連する疾患又は障害を治療する方法も提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、治療上効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本明細書に記載の医薬組成物を、対象に投与することを含む。様々な疾患又は障害は、望ましくない又は異常な(例えば、亢進)ACC1及び/又はACC2活性に関連し、本明細書に記載の方法によって治療されることができる。
【0091】
(皮膚疾患の治療方法)
皮膚は、外部環境とホストとの間のインターフェースを提供するヒトの身体の最大の器官である。脂質は、皮膚の透過性バリアと抗菌バリアとの両方の形成と維持とにおいて不可欠な役割を果たす。皮膚の正常な機能は、身体内の水及び電解質の損失を防ぐ、主にセラミド、コレステロール及び遊離脂肪酸から構成される角質層における疎水性細胞外脂質マトリクスによって維持される、体内の水分び電解質の損失を防ぐ。皮脂腺は、皮脂を生成し、毛包管へと分泌する器官であり、皮脂は皮膚の表面へ到達し、バリアとしての皮膚の正常な機能を維持する。
【0092】
尋常性座瘡(にきび)は、多くの人に影響を与える一般的な皮膚状態である。にきびは、開放又は閉鎖した面皰(ブラックヘッド及びホワイトヘッド)及び、丘疹、膿疱又は結節(嚢胞としても知られる)を含む炎症性病変に注目すべき慢性炎症性皮膚病である。Zaenglein, A. et al., J. Am. Acad. Dermatol, 74:945-73 (2016)。にきびの発症に重要な役割を果たす重要な病原因子は、濾胞性過角化、プロピオニバクテリウムアクネの微生物定着、皮脂産出、及び先天性及び後天性免疫の両方を含む複雑な炎症メカニズムである。にきびは、軽度、中等度、重度のような、異なる重症度がある。状態の重症度は、季節的及び心理的影響を含む複数の因子による影響を受ける。
【0093】
中等度から重度のにきびのようなにきびを治療するための幅広い範囲の治療法が利用できる。例えば、Zaenglein, A. et al., J. Am. Acad. Dermatol, 74:945-73 (2016)を参照されたい。これらの治療法は、例えば、(1)テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP/SMX)、トリメトプリム、エリスロマイシン、クリンダマイシン、アゼライン酸、ダプソン、アジスロマイシン、アモキシシリン、及びセファレキシンのような抗生物質(経口又は局所)、(2)例えば、エチニルエストラジオール/ノルゲスチメート、エチニルエストラジオール/酢酸ノルエチンドロン/フマル酸第一鉄、エチニルエストラジオール/ドロスピレノン、及びエチニルエストラジオール/ドロスピレノン/レボメフォレートのような、エストロゲン及びプロゲスチンを組み合わせた経口避妊薬のような、ホルモン剤、(3)経口イソトレチノイン(Accutane(登録商標)、13-cisレチノイン酸)のような経口レチノイド、(4)過酸化ベンゾイル(BP)、サリチル酸、抗生物質、抗生物質とBPとの組み合わせ、レチノイド(例えば、トレチノイン、アダパレン、タザロテン)、レチノイドとBP、レチノイドと抗生物質、アゼライン酸、及びスルホン酸(例えば、ダプソン)等のような局所治療、及び(5)スピロラクトン、フルタミド、病巣内コルチコステロイド(トリアムシノロンアセトニド)、グリコール酸ピール、サリチル酸ピール、及びレゾルシノール及びサリチル酸のような他のもの、を含む。しかしながら、にきびの現在の利用可能な治療法には、重大な欠陥がある。皮膚疾患の治療は、軽度から中等度のにきびのようなにきびに対しては完全に効果的ではなく、これらの治療で採用される多くの薬剤は、皮膚刺激を起こす、又は他の副作用を有する。Zaenglein, A. et al, J. Am. Acad. Dermatol, 74:945-73 (2016)を参照されたい。例えば、Accutaneは、2009年に潜在的な炎症性腸疾患の副作用の訴訟で、米国の市場から排除された。
【0094】
にきびを治療する手段としての皮脂産生の減少も記載されており、結果は、にきびは皮脂産生を阻害する非レチノイドで劇的に改善できることを示している。例えば、Daynard, Tらの米国特許第8,884,034号(2014)、quoting Zouboulis, C. C. et al., "Zileuton, an oral 5-lipoxygenase inhibitor, directly reduces sebum production", Dermatology (2005), Vol. 210, pp. 36-38、及びZouboulis, C. C. et al., "A new concept for acne therapy: a pilot study with zileuton, an oral 5-lipoxygenase inhibitor", Arch. Dermatol. (2003), Vol. 139, pp. 668-670を参照されたい。
【0095】
皮脂腺は、成熟した脂腺細胞で満たされており、サイトゾルの脂肪滴で主に占められ、ホロクリン分泌を受ける。皮脂腺の正常な機能を維持するためには、成熟した脂腺細胞は、表皮幹細胞から常に再生される。増殖、分化、及び皮脂の産生を含む脂腺細胞の過活動は、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、光線角化症、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ症候群における線維毛包腫等を含む様々な皮膚疾患を引き起こし得る。
【0096】
皮膚における脂質代謝は活発であるが、皮膚、特に皮脂腺におけるACCの発現レベルと酵素活性は、完全には解明されていない。ACC1及び/又はACC2を阻害することが、上記の皮膚疾患の発症及び進行を妨げるかは知られていない。米国特許公開第2016/0220557号は、にきびを治療するためのACC阻害剤を開示する。最近、PF-06423264を用いたフェーズ1のにきび試験が、有意な薬力学反応を示さなかったため終了した。更に、オルマコスタット・グラサレチル(olumacostat glasaretil)は、肯定的なフェーズIIデータを示したが、フェーズIII試験の主要エンドポイントを満たなかった。オルマコスタット・グラサレチルを、ACC阻害剤と称されている(5-(テトラデシルオキシ)-2-フランカルボン酸のプロドラックとして作用させることが提案されたが、オルマコスタット・グラサレチルで観察された効果は、ACC阻害によるものではない可能性がある。
【0097】
上記にも関わらず、本発明者たちは、ACCタンパク質が、ヒトの皮膚の皮脂腺で豊富且つ特異的に発現されることを発見した。この結果は、ヒトの皮膚構造内のACCタンパク質の局在を第1に示し、この結果は、例えばACC阻害剤の局所投与によって、ACC阻害剤を皮脂腺に投与することは、皮脂腺のACCを阻害することによって、脂質蓄積及び脂腺細胞における脂質の過剰産生に関連する疾患の進行を抑制し得ることを示唆するエビデンスを提供する。従って、いくつかの実施形態において、本開示のスピロラクトン化合物は、例えば、局所投与によって、異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害を治療するために使用することができる。実施例部分に示したように、例示的で代表的な本開示のスピロラクトン化合物は、ACC1及び/又はACC2阻害剤である。更に例示的で代表的な本開示のスピロラクトン化合物は、脂腺細胞の脂質生成のような脂腺細胞活性を阻害することが示された。
【0098】
従って、いくつかの実施形態において、本開示は、治療を必要とする対象における異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、治療上効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本明細書に記載の医薬組成物を、治療を必要とする対象に投与することを含む。異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する非限定的で適切な疾患又は障害は、例えば、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、光線角化症、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ症候群における線維毛包腫、及びその組み合わせを含む。様々な投与経路が適切であり、例えば、経口又は局所である。本方法は、本開示のスピロラクトン化合物を活性薬剤として使用することができ、又はそれを他の治療法と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、本開示のスピロラクトン化合物は、異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害の治療のために対象に投与される唯一の活性薬剤でありる。いくつかの実施形態において、本方法は、併用療法であり、異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害を治療するために効果的な1つ以上の追加の療法で対象を治療することを更に含む。併用療法で使用される場合、本開示のスピロラクトン化合物は、1つ以上の追加療法と同時に、その前に、又はその後に対象に投与されてもよい。本開示のスピロラクトン化合物及び1つ以上の追加療法は、同じ又は異なる経路で対象に投与されてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、本開示のスピロラクトン化合物は局所投与することができ、一方、1つ以上の追加の療法(例えば、追加の活性薬剤)は経口で投与することができる。
【0099】
いくつかの特定の実施形態において、本開示は、治療を必要とする対象において、にきびを治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、治療上効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本明細書に記載の医薬組成物を、治療を必要とする対象に投与する(例えば、局所的に)ことを含む。いくつかの実施形態において、本方法は併用療法であり、にきびのための追加の療法で対象を治療することを更に含む。にきびを治療するための任意の既知の療法は、併用療法の一部であり、それらのいくつかは本明細書で例示されている。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、対象に、局所的に又は全身的のいずれかで抗生物質を投与すること、局所的に又は全身的のいずれかでレチノイドを投与すること、又はそれらの組み合わせを投与することを更に含む。いくつかの実施形態において、抗生物質は、クリンダマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、スルファセタミド、ドキシサイクリン及びミノサイクリンのようなテトラサイクリン、又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、レチノイドは、アダパレン、イソトレチノイン、レチノール、タザロテン、トレチノイン、又はそれらの組み合わせである。他の適切な抗生物質及びレチノイドは、当技術分野で知られており、本明細書で例示されている。
【0100】
(他の疾患の治療方法)
ACC1及び/又はACC2活性の阻害は、様々な代謝性疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、及び/又は癌に関連すること、及びそれらの治療に有用であることも分かっている。米国特許第8,288,405号及びGriffith et al., Journal of medicinal chemistry 57:10512-10526(2014)(肥満、糖尿病)、Harriman et al., Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 113:E1796-1805(2016)(非アルコール性脂肪肝炎(NASH))、及びSvensson et al., Nature medicine 22, 1108- 1119(2016)(癌)を参照されたい。
【0101】
従って、本開示の特定の実施形態は、代謝性疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、及び/又は癌の治療のために、本開示のスピロラクトン化合物又は本明細書に記載の医薬組成物を使用することに関する。様々な経路の投与が適切であり、例えば、経口又は局所投与である。本方法は、本開示のスピロラクトン化合物を、活性薬剤として使用する又は他の療法と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態において、本開示のスピロラクトン化合物は、代謝性疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は癌の治療のために、対象に投与される唯一の活性薬剤である。いくつかの実施形態において、本方法は、併用療法であり、代謝性疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患及び/又は癌の治療に効果的な1つ以上の追加療法で対象を治療することを更に含む。併用療法で使用される場合、本開示のスピロラクトン化合物は、1つ以上の追加の療法と同時に、その前に、又はその後に対象に投与され得る。本開示のスピロラクトン化合物及び1つ以上の追加の療法は、同じ又は異なる経路を通じて対象に投与され得る。例えば、いくつかの実施形態において、本開示のスピロラクトン化合物は、局所投与されることができ、一方、1つ以上の追加の療法(例えば、活性薬剤)は、経口投与されることができる。
【0102】
いくつかの特定の実施形態において、本開示は、治療を必要とする対象(例えば、ヒト対象)に、肥満及び/又は肥満に関連する障害(例えば、過体重、体重増加、又は体重維持)を治療する方法を提供する。肥満及び過体重は、ボディ・マス・インデックス(BMI)によって一般に定義され、BMIは、総体脂肪と相関し、疾患の相対リスクを推定する。BMIは、キログラム単位の体重を、メートル単位の身長の2乗で割る(kg/m)ことによって算出される。過体重は、BMI25~29.9kg/mで一般に定義され、肥満はBMI30kg/mとして一般に定義される。例えば、National Heart, Lung, and Blood Institute, Clinical Guidelines on the Identification, Evaluation, and Treatment of Overweight and Obesity in Adults, The Evidence Report, Washington, D.C.: U.S. Department of Health and Human Services, NIH publication no. 98-4083 (1998)を参照されたい。いくつかの実施形態において、本方法は、治療を必要とする対象に、治療上効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本明細書に記載の医薬組成物を投与すること(例えば、経口)を含む。
【0103】
いくつかの実施形態において、本開示は、治療を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における糖尿病及び/又は糖尿病に関連する疾患、例えば1型(インスリン依存性糖尿病、「IDDM」とも呼ばれる)及び2型(非インスリン依存性糖尿病、「NIDDM」とも呼ばれる)等を治療する方法も提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、治療上効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物又は本明細書に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する(例えば、経口で)ことを含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、本開示は、治療を必要とする対象(例えば、ヒト対象)における非アルコール性脂肪性肝疾患、例えば、NASHを治療する方法も提供する。いくつかの実施形態において、本方法は、治療上効果的な量の本開示のスピロラクトン化合物(例えば、式Ic又は実施例14~22の化合物)又は本明細書に記載の医薬組成物を、治療を必要とする対象に投与する(例えば、経口で)ことを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、肥満、肥満に関連する障害、糖尿病、糖尿病に関連する障害、及び/又は非アルコール性脂肪性肝疾患を治療する本方法は、併用療法であり得る。例えば、本方法は、それぞれの疾患又は障害を治療するための治療上効果的な量の1つ以上の追加の活性薬剤を対象に投与することを含むことができる。併用療法に非限定的な有用な薬剤は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カスパーゼ阻害薬、カテプシンB阻害薬、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、塩化物チャネル刺激薬、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1が含まれる(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)阻害剤、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)アゴニスト、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD1)阻害剤、IL-1βアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL10-アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチン類似体、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、Rho関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体、及びそれらの組み合わせを含む。例えば、いくつかの実施形態において、1つ以上の追加薬剤は、アセチルサリチル酸、アリポジーン・チパルボベック(alipogene tiparvovec)、アラムコール、アトルバスタチン、BLX-1002、セニクリビロク、コビプロストン、コレセベラム、エミリカサン、エナラプリル、GFT-505、GR-MD-02、イコサペントエチルエステル(エチルエイコサペンタエン酸)、IMM-124E、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタン、MGL-3196、オベチコール酸、オレソキシム、ペグイロデカキン、ピオグリタゾン、PX-102、レモグリフロジンエタボネート、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸、VBY-376、及びそれらの組み合わせから選択することができる。
【0106】
いくつかの実施形態において、本開示は、癌を治療する方法も提供する。
【0107】
(例示的な実施形態)
本開示は、以下の例示的な実施形態E1~E52も提供する。
1.式Iの化合物であって、
【化29】

であって、
及びRは、それぞれ、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、NR1011、COOR12、CONR1314、CN、S(O)15、又はOR16であって、
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC1-6アルカノイル、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、COOR12、又はCONR1314であり、
12、R13、及びR13は、それぞれ独立して、水素又は任意に置換されたC1-6アルキルであり、nは、0、1、又は2であり、
15は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、又はNR1011であり、
16は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC1-6アルカノイル、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、又はCONR1314であり、
及びRは、任意に置換されたC6-10アリール、又は任意に置換された5~10員ヘテロアリールであり、
ただし、R及びRが共に水素である場合、Rは任意に置換されたフェニルではない、
ことを特徴とする化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
2.Rは、ハロゲン、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC1-6アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、又は任意に置換されたC3-6シクロアルコキシである、
ことを特徴とするE1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
3.Rは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C3-6シクロアルキル、又はC3-6シクロアルコキシであり、それぞれ、ハロゲン及びC1-4アルキルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換されている、
ことを特徴とするE1又はE2の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
4.Rは、C1-4アルキル又はC1-4アルコキシであり、それぞれ、1~3のフッ素で任意に置換されている、
ことを特徴とするE1~3のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
5.Rは、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1又は2の置換基で任意に置換された5~10員ヘテロアリールである、
ことを特徴とするE1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
6.Rは、ハロゲン、オキソ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1又は2の置換基で任意に置換された4~6員ヘテロシクリルである、
ことを特徴とするE1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
7.Rは、NR1011である、
ことを特徴とするE1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
8.R10及びR11の一方は、任意に置換されたフェニル又は任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールである、
ことを特徴とするE7の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
9.R10及びR11の一方は、ハロゲン、シアノ、及びC1-4アルキルから独立して選択される1又は2の置換基で任意に置換された5員ヘテロアリールである、
ことを特徴とするE7の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
10.R10及びR11の一方は、ハロゲン、シアノ及びC1-4アルキルから独立して選択される1又は2の置換基で任意に置換されている、2~4の環窒素原子を有する5員環ヘテロアリールであることを特徴とする。
11.R10及びR11の一方は、ピラゾリル、トリアゾリル、又はテトラゾリルであり、それぞれC1-4アルキルから独立して選択される1又は2で任意に置換されている、
ことを特徴とするE7の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
12.Rは、水素である、
ことを特徴とするE1~11のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
13.Rは、ハロゲン、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換されたC6-10アリールである、
ことを特徴とするE1~12のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
14.Rは、任意に置換された8~10員二環ヘテロアリールである、
ことを特徴とするE1~12のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
15.Rは、ナフチル、又はキノリニルであり、それぞれ、ハロゲン、シアノ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換されている、
ことを特徴とするE1~12のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
16.Rは、ナフチル、又はキノリニルであり、それぞれ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、エチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシ、エトキシ及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換されている、
ことを特徴とするE1~12のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
17.式Iaの化合物
【化30】

であって、
は、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、NR1011、COOR12、CONR1314、CN、S(O)15、又はOR16であって、
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC1-6アルカノイル、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、COOR12、又はCONR1314であり、
12、R13、及びR13は、それぞれ独立して、水素又は任意に置換されたC1-6アルキルであり、nは、0、1、又は2であり、
15は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、又はNR1011であり、
16は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC1-6アルカノイル、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、又はCONR1314であり、
及びRは、任意に置換されたC6-10アリール、又は任意に置換された5~10員ヘテロアリールであり、
ただし、Rが水素である場合、Rは任意に置換されたフェニルではない、
ことを特徴とする化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
18.Rは、任意に置換されたC1-4アルキルである、
ことを特徴とするE17の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
19.Rは、メチル、エチル、イソプロピル又はtert-ブチルである、
ことを特徴とするE17又は18の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
20.Rは、任意に置換されたC1-4アルコキシである、
ことを特徴とするE17の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
21.Rは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ又はイソプロポキシである、
ことを特徴とするE20の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
22.式Ibを有する化合物
【化31】

であって、
10及びR11の一方が、任意に置換されたフェニル又は任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールであることを特徴とする。
23.E22の化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、R10及びR11の一方が、任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールであることを特徴とする。
24.E22の化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、R10及びR11の一方が、ハロゲン、シアノ及びC1-4アルキルから選択される1又は2の置換基で任意に置換されている、2~4の環窒素原子を有する5員環ヘテロアリールである、
ことを特徴とする化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
25.R10及びR11の一方は、ピラゾリル、トリアゾリル、又はテトラゾリルであり、それぞれC1-4アルキルで任意に置換されている、
ことを特徴とするE22の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
26.R10及びR11の一方は、
【化32】

であり、R10及びR11の他方は、水素又はメチルである、
ことを特徴とするE22の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
27.Rは、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換されたC6-10アリールである、
ことを特徴とするE17~26のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩
28.Rは、任意に置換された8~10員二環ヘテロアリールである、
ことを特徴とするE17~26のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
29.Rは、ナフチル、又はキノリニルであり、ハロゲン、シアノ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換されている、
ことを特徴とするE17~26のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
30.Rは、
【化33】

であり、
それぞれ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、トリフルオロメチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換されている、
ことを特徴とするE17~26のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
31.Rは、
【化34】

である、
ことを特徴とするE17~26のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
32.化合物は、
【化35】

から選択される、
ことを特徴とするE17~26のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
33.E1~32のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な添加剤と、を含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
34.静脈内注射又は注入、経口投与、吸入、又は局所投与用に製剤化される、
ことを特徴とするE33の医薬組成物。
35.局所溶液、ローション、シャンプー、経皮スプレー、局所フィルム、泡、粉末、ペースト、スポンジ、経皮パッチ、チンキ剤、テープ、クリーム、ゲル、又は軟膏の形態で製剤化される、
ことを特徴とするE33又は34の医薬組成物。
36.E1~32のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、1つ以上の活性の阻害を必要とするヒトにおいて、1つ以上の活性の阻害するのために効果的な量で含み、前記1つ以上の活性が、アセチル-CoAカルボキシラーゼACC1及び/又はACC2活性、脂質生成、表皮、真皮及び/又は皮下組織の細胞(例えば、脂肪細胞、メラニン細胞、角化細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、及び皮膚幹細胞)の増殖、ヒト脂腺細胞の増殖、ヒト角化細胞の増殖、皮膚及び/又は皮下層における線維芽細胞の脂肪細胞への分化、皮脂産生、炎症、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とするE33~35のいずれか1つの医薬組成物。
37.1つ以上の活性の阻害を必要とする対象において1つ以上の活性阻害する方法であって、該方法は、E1~32のいずれか1つの化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又はE33~36のいずれか1つの医薬組成物を、治療上効果的な量で対象に投与することを含み、前記1つ以上の活性が、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC1及び/又はACC2)活性、マロニル-CoA産生、脂質生成、脂腺細胞の増殖、角化細胞の増殖、表皮、真皮及び/又は皮下組織の細胞(例えば、脂肪細胞、メラニン細胞、角化細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、及び皮膚幹細胞)の増殖、皮膚及び/又は皮下層における線維芽細胞の脂肪細胞への分化、炎症、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする方法。
38.E1~32のいずれか1つの化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又はE33~36のいずれか1つの医薬組成物を、対象に局所投与する、
ことを特徴とするE37の方法。
39.治療を必要とする対象における異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害を治療する方法であって、該方法は、E1~32のいずれか1つの化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又はE33~36のいずれか1つの医薬組成物を、治療上効果的な量で対象に投与することを含む、
ことを特徴とする方法。
40.疾患又は障害が、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、光線角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ症候群における線維毛包腫、及びそれらの組み合わせである、
ことを特徴とするE39の方法。
41.疾患又は障害が、にきびである、
ことを特徴とするE39又は40の方法。
42.E1~32のいずれか1つの化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又はE33~36のいずれか1つの医薬組成物を対象に局所投与する、
ことを特徴するE39~41のいずれか1つの方法。
43.異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害の治療に効果的な1つ以上の付加的な治療法で、対象を治療することを更に含む、
ことを特徴とするE39~42のいずれか1つの方法。
44.抗生物質(例えば、クリンダマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、スルファセタミド、又はドキシサイクリン及びミノサイクリンのようなテトラサイクリン)又はレチノイド(例えば、アダパレン、イソトレチノイン、レチノール、タザロテン、又はトレチノイン)を、にきび及び/又は炎症を治療するのに治療上効果的な量で、対象に投与することを更に含む、
ことを特徴とするE39~42のいずれか1つの方法。
45.非アルコール性脂肪性肝疾患(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH))の治療を必要とする対象において非アルコール性脂肪性肝疾患を治療する方法であって、該方法は、E1~32のいずれか1つの化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又はE33~36のいずれか1つの医薬組成物を、治療上効果的な量で対象に投与することを含む、
ことを特徴とする方法。
46.1つ以上の追加の薬剤を、非アルコール性脂肪性肝疾患を治療するのに治療上効果的な量で対象に投与することを更に含む、
ことを特徴とするE45の方法。
47.1つ以上の追加の薬剤が、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カスパーゼ阻害薬、カテプシンBアンタゴニスト、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、塩化物チャネル刺激薬、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)阻害剤、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)アゴニスト、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD1)阻害剤、IL-1βアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-10アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチン類似体、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、Rho関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とするE46の方法。
48.1つ以上の追加の薬剤が、アセチルサリチル酸、アリポジーン・チパルボベック、アラムコール、アトルバスタチン、BLX-1002、セニクリビロック、コビプロストン、コレセベラム、エムリカサン、エナラプリル、GFT-505、GR-MD-02、ヒドロクロロチアジド、イコサペントエチルエステル(エチルエイコサペンタエン酸)、IMM-124E、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタミン、MGL-3196、オベチコール酸、オレソキシム、ペグ-イロデカキン、ピオグリタゾン、PX-102、エタボン酸レモグリフロジン、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸、VBY-376、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とするE46~47のいずれか1つの方法。
49.肥満及び/又は糖尿病の治療を必要とする対象において肥満及び/又は糖尿病を治療する方法であって、該方法は、E1~32のいずれか1つの化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又はE33~36のいずれか1つの医薬組成物を、治療上効果的な量で前記対象に投与することを含む、
ことを特徴とする方法。
50.1つ以上の追加の薬剤を、肥満及び/又は糖尿病を治療するのに治療上効果的な量で対象に投与することを更に含む、
ことを特徴とするE49の方法。
51.1つ以上の追加の薬剤が、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カスパーゼ阻害薬、カテプシンBアンタゴニスト、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、塩化物チャネル刺激薬、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)阻害剤、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)アゴニスト、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD1)阻害剤、IL-1βアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-10アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチン類似体、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、Rho関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とするE50の方法。
52.1つ以上の追加の薬剤が、アセチルサリチル酸、アリポジーン・チパルボベック、アラムコール、アトルバスタチン、BLX-1002、セニクリビロック、コビプロストン、コレセベラム、エムリカサン、エナラプリル、GFT-505、GR-MD-02、ヒドロクロロチアジド、イコサペントエチルエステル(エチルエイコサペンタエン酸)、IMM-124E、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタミン、MGL-3196、オベチコール酸、オレソキシム、ペグ-イロデカキン、ピオグリタゾン、PX-102、エタボン酸レモグリフロジン、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸、VBY-376、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とするE50~51のいずれか1つの方法。
【0108】
(定義)
全ての部分及びそれらの組み合わせについて、正しい原子価が維持されることが理解されるべきことを意図する。
【0109】
本明細書の可変部分の特定の実施形態は、同じ識別子を有する別の特定の実施形態と同じ又は異なっていてもよいことが理解されるべきことを意図する。
【0110】
式I(例えば、式I-1、式Ia、式Ib、式Ic、式II-1~式II-3、式III-1~III-6)の化合物におけるR、R及びRについて適切な基は、独立して選択される。本発明の記載されている実施形態は、組み合わせてもよい。そのような組み合わせが考えられ、それらは本発明の範囲内にある。例えば、R、R及びRのいずれかの実施形態は、R、R及びRの他のいずれかについて定義される実施形態と組み合わせることができると考えられる。
【0111】
記号は、
【化36】

結合として用いられるか、結合に対して垂直に(又は、そうでない場合は交差して)表示されるかに関わらず、表示された部分が分子の残りの部分に結合する位置である点を示す。
【0112】
本明細書で使用されるように、「本開示のスピロラクトン化合物」の用語は、式I(例えば、式I-1、式Ia、式Ib、式Ic、式II-1~式II-3、又は式III-1~式III-6、又は実施例1~22のいずれか)に係る本明細書に記載の化合物のいずれか、それらの同位体標識化化合物、それらの可能な立体異性体(ジアステレオ異性体、鏡像異性体及びラセミ混合物を含む)、それらの互変異性体、それらの立体配座異性体、及び/又はそれらの薬学的に許容可能な塩(例えば、HCl塩のような酸付加塩、又はNa塩のような塩基付加塩)を指す。本開示のスピロラクトン化合物の水和物及び溶媒和物は、本開示の組成物と解釈され、その化合物は、それぞれ水又は溶媒と会合する。
【0113】
本明細書で使用されるように、化合物の「投与」、化合物を「投与する」又はそれらの他の変形の用語は、治療を必要とする個体に、化合物又は化合物のプロドラッグを提供することを意味する。
【0114】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「アルキル」の用語は、1~12の炭素原子(つまり、C1-12アルキル)又は指定された数の炭素原子(つまり、メチルのようなCアルキル、エチルのようなCアルキル、プロピル又はイソプロピルのようなCアルキル等)を含む直鎖又は分岐鎖脂肪族炭化水素を指す。1つの実施形態において、アルキル基は、直鎖C1-10アルキル基である。別の実施形態において、アルキル基は、分岐鎖C3-10アルキル基である。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖C1-6アルキル基である。別の実施形態において、アルキル基は、分岐鎖C3-6アルキル基である。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖C1-4アルキル基である。別の実施形態において、アルキル基は、分岐鎖C3-4アルキル基である。別の実施形態において、アルキル基は、直鎖又は分岐鎖C3-4アルキル基である。非限定的であり例示的なC1-10アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、3-ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等である。非限定的であり例示的なC1-4アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及びイソブチルを含む。
【0115】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたアルキル」は、上記のように定義されたアルキルが、置換されていないこと、又は、ハロ(例えば、F)、オキソ、ニトロ、シアノ、OR、CO、OCO、OSONR、SO、OSO、OS(O)、nR、C(=O)NR、OC(=O)NR、SONR、OC(=O)R、C(=O)R、S(O)、C(=NR)NR、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル、からそれぞれ独立して選択される1以上(例えば、1、2、又は3)の置換基であって、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、それぞれ更に1~5のRで任意に置換され、nは0、1又は2であり、R、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義される、置換基で置換されていることを意味する。1つの実施形態において、任意に置換されたアルキルは、3つの置換基、例えば3つのフッ素で置換される。1つの実施形態において、任意に置換されたアルキルは、1つの置換基で置換される。1つの実施形態において、任意に置換されたアルキルは、2つの置換基で置換される。
【0116】
本明細書で使用されるように、各R、R及びRは、それぞれが出現する場合、水素、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、及び5~14員ヘテロアリールから独立して選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ、0、1、2、3、4、又は5のR基で独立して置換される。
【0117】
本明細書で使用されるように、各R、R、及びRは、それぞれが出現する場合、
水素、ニトロ、シアノ、ORaa、COaa、SOaa、NRbbcc、C(=O)NRbbcc、SONRbbcc、OC(=O)Rdd、C(=O)Rdd、S(O)ee、C(=NRff)NRbbcc、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、5~14員ヘテロアリールから独立して選択され、又は、R及びR、又はR及びRの1つとRは、結合し、3~14員ヘテロシクリル又は5~14員ヘテロアリール環を形成し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ、1、2、3、4又は5のR基で独立して置換され、nは、0、1、又は2であり、Raa、Rbb、Rcc、Rdd、Ree及びRffは本明細書で定義される。いくつかの実施形態において、R及びRの少なくとも1つは、水素、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、及び5~14員ヘテロアリールから選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ、0、1、2、3、4又は5のR基で独立して置換される。いくつかの実施形態において、R及びRの両方は、水素、C1-10アルキル、C1-10ハロアルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~14員ヘテロシクリル、C6-14アリール、及び5~14員ヘテロアリールから独立して選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ、0、1、2、3、4又は5のR基で独立して置換される。
【0118】
本明細書で使用されるように、Rは、それぞれが出現する場合、ハロ(例えば、F)、ニトロ、シアノ、ORaa、COaa、NRbbcc、C(=O)NRbbcc、SONRbbcc、NRbb(SONRbbcc)、OSONRbbcc、NRbb(SOaa)、SOaa、OSOaa、NRbb(S(O)nRee)、O(S(O)nRee)、OC(=O)Rdd、OCO2Raa、NRbbCO2Raa、OC(=O)NRbbcc、NRbb(C(=O)Rdd)、C(=O)Rdd、S(O)nRee、C(=NRff)NRbbcc、-NRhh-C(=O)NRbbcc、-NRhh-C(=NRff)NRbbcc、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-10シクロアルキル、C6-10アリール、3~10員ヘテロシクリル、5~19員ヘテロアリールから独立して選択され、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ1、2、3、4又は5のRgg基で独立して置換され、又は、2つのジェミナルRgg置換基が結合して=O又は=Sを形成してもよく、nは0、1又は2であり、Raa、Rbb、Rcc、Rdd、Ree、Rff、Rgg及びRhhは本明細書で定義される。
【0119】
本明細書で使用されるように、各R33、Rbb、Rcc、Rdd、Ree、Rff及びRhhは、それぞれが出現する場合、水素、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-6シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C6-10アリール、及び5~10員ヘテロアリールから独立して選択される、又はRbb及びRcc、Rff及びRhh、Rbb及びRccの1つとRff、又はRbb及びRccの1つとRhhが、結合して、4~6員ヘテロシクリル又は5~10員ヘテロアリール環を形成し、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールは、それぞれ、0、1、2、3、4、又は5のRgg基で独立して置換される。
【0120】
本明細書で使用されるように、Rggは、それぞれが出現する場合、ハロ(例えば、F)、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、NH、N(H)(C1-6アルキル)、N(C1-6アルキル)(C1-6アルキル)、N(H)(C3-6シクロアルキル)、N(C1-6アルキル)(C3-6シクロアルキル)、N(C3-6シクロアルキル)(C3-6シクロアルキル)、O-C1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、O-C1-6ハロアルキル、ハロゲン、C1-4アルキル及びC3-6シクロアルキルから独立して選択される1~5の置換基で任意に置換されたC3-6シクロアルキル、ハロゲン、C1-4アルキル、及びC3-6シクロアルキルから独立して選択される1~5の置換基で任意に置換されたO-C3-6シクロアルキル、ハロゲン、オキソ、C1-4アルキル、及びC3-6シクロアルキルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、ハロゲン、シアノ、C1-4アルキル及びC3-6シクロアルキルから独立して選択される1~5の置換基で任意に置換されたC6-10アリール、及びハロゲン、シアノ、C1-4アルキル及びC3-6シクロアルキルから独立して選択される1~5の置換基で任意に置換された5~10員ヘテロアリールから独立して選択され、又は2つのジェミナルRgg置換基は、結合して=O又は=Sを形成することができる。
【0121】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「シクロアルキル」の用語は、3~12の炭素原子(例えば、C3-12シクロアルキル)又は指定された数の炭素を有する1~3の環を含む、飽和又は部分的に不飽和(1つ又は2つの二重結合を含む)の環状脂肪族炭化水素を指す。1つの実施形態において、シクロアルキル基は2つの環を有する。1つの実施形態において、シクロアルキル基は1つの環を有する。別の実施形態において、シクロアルキル基は、C3-8シクロアルキル基である。別の実施形態において、シクロアルキル基は、C3-6シクロアルキル基である。非限定的で例示的なシクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ノルボルニル、デカリン、アダマンチル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルを含む。
【0122】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたシクロアルキル」の用語は、上記で定義されるシクロアルキルが、置換されていないこと、又は、例えば、ハロ(例えば、F)、オキソ、ニトロ、シアノ、OR、CO、OCO、OSONR、SO、OSO、OS(O)、NR、C(=O)NR、OC(=O)NR、SONR、OC(=O)R、C(=O)R、S(O)、C(=NRf)NR、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される1以上(例えば、1、2、又は3)の置換基であって、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、それぞれ更に1~5のRで任意に置換され、nは0、1又は2であり、R、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義される、置換基で置換されていることを意味する。1つの実施形態において、任意に置換されたシクロアルキルは、3つの置換基で置換されている。1つの実施形態において、任意に置換されたシクロアルキルは、2つの置換基で置換されている。別の実施形態において、任意に置換されたシクロアルキルは、1つの置換基で置換されている。
【0123】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「アルケニル」の用語は、1、2又は3つの炭素-炭素二重結合を含む上記に定義されるアルキル基を指す。1つの実施形態において、アルケニル基は、C2-6アルケニル基である。別の実施形態において、アルケニル基は、C2-4アルケニル基である。非限定的で例示的なアルケニル基は、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、sec-ブテニル、ペンテニル、及びヘキセニルを含む。
【0124】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたアルケニル」は、上記のように定義されたアルケニルが、置換されていないこと、又は、例えば、ハロ(例えば、F)、オキソ、ニトロ、シアノ、OR、CO、OCO、OSONR、SO、OSO、OS(O)、NR、C(=O)NR、OC(=O)NR、SONR、OC(=O)R、C(=O)R、S(O)、C(=NR)NR、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される1以上(例えば、1、2、又は3)の置換基であって、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、それぞれ更に1~5のRで任意に置換され、nは0、1又は2であり、R、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義される、置換基で置換されていることを意味する。
【0125】
本明細書で使用されるように、それ自身で又は別の基の一部として使用される「アルキニル」の用語は、1~3の炭素-炭素三重結合を含む上記に定義されたアルキル基を指す。ある実施形態において、アルキニルは、1つの炭素-炭素三重結合を有する。ある実施形態において、アルキニル基は、C2-6アルキニル基である。別の実施形態において、アルキニル基は、C2-4アルキニル基である。非限定的で例示的なアルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、2-ブチニル、ペンチニル、及びヘキシニル基を含む。
【0126】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたアルキニル」は、上記に定義されるアルキニルが、置換されていないこと、又は、例えば、ハロ(例えば、F)、オキソ、ニトロ、シアノ、OR、CO、OCO、OSONR、SO、OSO、OS(O)Re、NR、C(=O)NRRc、OC(=O)NR、SO2NR、OC(=O)R、C(=O)R、S(O)、C(=NRf)NR、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される1以上(例えば、1、2、又は3)の置換基であって、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、それぞれ更に1~5のRで任意に置換され、nは0、1又は2であり、R、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義される、置換基で置換されていることを意味する。
【0127】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「ハロアルキル」の用語は、1つ以上のフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素原子で置換されたアルキルを指す。好ましい実施形態において、ハロアルキルは、1、2、又は3つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。ある実施形態において、ハロアルキル基は、C1-10ハロアルキル基である。ある実施形態において、ハロアルキル基は、C1-6ハロアルキル基である。ある実施形態において、ハロアルキル基はC1-4ハロアルキル基である。
【0128】
本明細書で用いられるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたハロアルキル」の用語は、1つ以上のフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素原子で置換された任意に置換されたアルキルを指す。
【0129】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「アルコキシ」の用語は、式ORa1のラジカルを指し、ここでRa1はアルキルである。本明細書で用いられるように、「任意に置換されたアルコキシ」の用語は、式ORa1のラジカルを指し、ここでRa1は任意に置換されたアルキルである。
【0130】
本明細書に使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「シクロアルコキシ」の用語は、式ORa1のラジカルを指し、ここでRa1はシクロアルキルである。本明細書で使用されるように、「任意に置換されたシクロアルコキシ」の用語は、式ORa1のラジカルを指し、ここでRa1は任意に置換されたシクロアルキルである。
【0131】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「アリール」は6~14の炭素原子を有する単環式、二環式、又は三環式芳香族環系(つまり、C6-14アリール)を指す。ある実施形態において、アリール基は、C6-12アリールである。ある実施形態において、アリール基は、フェニル及びナフチルから選択される。ある実施形態において、アリール基はナフチルである。
【0132】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたアリール」は、上記に定義されるアリールが、置換されていないこと、若しくは、例えば、ハロ(例えば、F)、ニトロ、シアノ、OR、CO、OCO、OSONR、SO、OSO、OS(O)Re、NRRc、C(=O)NRRc、OC(=O)NR、SONR、OC(=O)R、C(=O)R、S(O)、C(=NR)NR、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される1~5の置換基であって、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、それぞれ更に1~5のRgで任意に置換され、nは0、1又は2であり、R、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義される、置換基で置換されていること、又は、置換基の2つが結合し、アリールに縮合した任意に置換されたシクロアルキル環又は任意に置換されたヘテロシクリル環を形成することを意味する。
【0133】
本明細書で使用されるように、「ヘテロアリール」又は「ヘテロ芳香族」は、5~14環原子(つまり、5~14員ヘテロアリール)と酸素、窒素及び硫黄から独立して選択される1、2、3、又は4のヘテロ原子とを有する単環式、二環式、又は三環式芳香環系を指す。ある実施形態において、ヘテロアリールは、3つのヘテロ原子、例えば、3つの窒素原子を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは2つのヘテロ原子、例えば、2つの窒素原子、1つの窒素及び1つの酸素、又は1つの窒素及び1つの硫黄を有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは、1つのヘテロ原子、例えば、1つの窒素を有する。ある実施形態において、ヘテロアリールは、5環原子、例えばピラゾリルを有する。別の実施形態において、ヘテロアリールは、6環原子、例えばピリジルを有する。非限定的で例示的なヘテロアリール基は、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ベンゾフリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾオキサゾニル、クロメニル、キサンテニル、2H-ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、シンノリニル、キナゾリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、フェノチアゾリル、イソオキサゾリル、フラザニル、及びフェノキサジニルを含む。1つの実施形態において、ヘテロアリールは、チエニル(例えば、チエン-2-イル及びチエン-3-イル)、フリル(例えば、2-フリル及び3-フリル)、ピロリル(例えば、1H-ピロロ-2-イル及び1H-ピロロ-3-イル)、イミダゾリル(例えば、2H-イミダゾル-2-イル及び2H-イミダゾル-4-イル)、ピラゾリル(例えば、1H-ピラゾル-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、及び1H-ピラゾール-5-イル)、ピリジル(例えば、ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、及びピリジン-4-イル)、ピリミジニル(例えば、ピリミジン-2-イル、ピリミジン-4-イル、及びピリミジン-5-イル)、チアゾリル(例えば、チアゾール-2-イル、チアゾール-4-イル、及びチアゾール-5-イル)、イソチアゾリル(例えば、イソチアゾール-3-イル、イソチアゾール-4-イル、及びイソチアゾール-5-イル)、オキサゾリル(例えば、オキサゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、及びオキサゾール-5-イル)及びイソオキサゾリル(例えば、イソオキサゾール-3-イル、イソオキサゾール-4-イル、及びイソオキサゾール-5-イル)を含む。1つの実施形態において、ヘテロアリールは8~10個の環原子を有する二環式ヘテロアリール、例えば、キノリルのような1、2、又は3窒素環原子を有する二環式ヘテロアリールである。本明細書で使用するように、「ヘテロアリール」の用語は、可能なN-オキシドを含むことも意味する。
【0134】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたヘテロアリール」は、上記に定義されるヘテロアリールが、置換されていないこと、若しくは、例えば、ハロ(例えば、F)、ニトロ、シアノ、OR、CO、OCO、OSONR、SO、OSO、OS(O)、NR、C(=O)NR、OC(=O)NR、SONR、OC(=O)R、C(=O)R、S(O)、C(=NRf)NR、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5)の置換基であって、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、それぞれ更に1~5のRで任意に置換され、nは0、1又は2であり、R、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義される、置換基で置換されていること、又は、置換基の2つが結合し、ヘテロアリールに縮合した任意に置換されたシクロアルキル環又は任意に置換されたヘテロシクリル環を形成することを意味する。
【0135】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「複素環」又は「ヘテロシクリル」は、3~14の環員を有する1、2、又は3個の環(つまり、3~14員複素環)と少なくとも1つのヘテロ原子とを含む飽和又は部分的に不飽和(例えば、1又は2の二重結合を含む)環状基を指す。ヘテロ原子は、それぞれ、酸素原子、スルホキシド及びスルホンを含む硫黄原子、及び/又は四級化可能な窒素原子からなる群から独立して選択される。「ヘテロシクリル」の用語は、イミダゾリジニル-2-オンのような環状ウレイド基、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムのような環状アミド基、及びオキサゾリジニル-2-オンのような環状カルバメート基を含むことを意味する。1つの実施形態において、ヘテロシクリル基は、1つの環、及び1つ又は2つの酸素及び/又は窒素原子を含む、4、5、6、7、又は8員環式基である。1つの実施形態において、ヘテロシクリル基は、1つの環、及び1つ又は2つの窒素原子を含む、5又は6員環式基である。1つの実施形態において、ヘテロシクリル基は、2つの環及び1又は2の窒素原子を含む8、9、10、11、又は12員環式基である。ヘテロシクリルは、炭素又は窒素原子を介して、分子の残りの部分に任意に結合することができる。
【0136】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたヘテロシクリル」は、上記に定義されるヘテロシクリルが、置換されていないこと、若しくは、例えば、ハロ(例えば、F)、オキソ、ニトロ、シアノ、OR、CO、OCO、OSONR、SO、OSO、OS(O)Re、NR、C(=O)NR、OC(=O)NR、SONR、OC(=O)R、C(=O)R、S(O)、C(=NRf)NR、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択される1つ以上(例えば、1、2、3、4、又は5)の置換基であって、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、それぞれ更に1~5のRgで任意に置換され、nは0、1又は2であり、R、R、R、R、R、R及びRは本明細書で定義される、置換基で置換されていること、又は、置換基の2つが結合し、ヘテロシクリルに縮合した任意に置換されたアリール環又は任意に置換されたヘテロアリール環を形成することを意味する。置換は、利用可能な炭素又は窒素原子で起こり、スピロ環を形成することがある。
【0137】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「アルカノイル」の用語は、式C(=O)-Rd1のラジカルを指し、Rd1はアルキル基である。本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたアルカノイル」は、C(=O)-Rd1を指し、Rd1は任意に置換されたアルキル基である。
【0138】
本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「シクロアルカノイル」の用語は、式C(=O)-Rd1のラジカルを指し、Rd1はシクロアルキル基である。本明細書で使用されるように、それ自体で又は他の基の一部として使用される「任意に置換されたシクロアルカノイル」は、C(=O)-Rd1を指し、Rd1は任意に置換されたシクロアルキル基である。
【0139】
本明細書で使用されるように、「塩」の用語は、内部塩及び外部塩の両方を含む。いくつかの実施形態において、塩は内部塩である、つまり双性イオン構造を含む。いくつかの実施形態において、塩は外部塩である。いくつかの実施形態において、外部塩は、適切な対イオンを有する薬学的に許容可能な塩である。医薬用途に適した対イオンは、当技術分野で知られている。
【0140】
本明細書で使用されるように、「治療する」、「治療している」、「治療」等の用語は、疾患又は、状態、及び/又はそれらに関連する症状を除去する、低減する、又は改善することを指す。除外するものではないが、疾患又は状態を治療することは、それらに関連する疾患、状態又は症状が完全に除去されることを要求しない。本明細書で用いられているように、「治療する」、「治療している」、「治療」等の用語は、疾患又は症状を有していないが、疾患又は状態の再発症又は疾患又は状態の再発のリスクがある又は影響を受けやすい対象において、疾患又は状態の再発症の可能性、又は以前にコントロールされた疾患又は状態が再発する可能性を低減することを指す「予防治療」を含み得る。「治療する」及び同義語は、治療上効果的な量の本明細書に記載の化合物を、そのような治療が必要な対象へ投与することを意図する。
【0141】
「阻害」、「阻害している」、「阻害する」又は「阻害剤」の用語は、特定の生物学的プロセスの活性(例えば、細胞における、ビヒクルに対するACC酵素活性)を低減する、遅らせる、停止させる又は妨ぐ化合物の能力を指す。
【0142】
本明細書で使用される「対象」の用語は(本明細書では「患者」とも呼ばれる)、治療、観察または実験の対象である動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。
【0143】
(実施例)
好適な実施形態の様々な出発物質、中間体及び化合物は、沈殿、ろ過、結晶化、蒸発、蒸留、及びクロマトグラフィのような従来の技術を適切に使用して分離及び精製することができる。これらの化合物の特徴は、融点、マススペクトル、核磁気共鳴、及び他の様々な分光分析のような従来の方法を使用して実施することができる。NMR分光法では、いくつかのシグナルは、微細な分裂が完全に解消されない場合、一重項として特徴付けられる場合がある。本明細書に記載の生成物の合成を実施するステップの例示的な実施形態を、以下により詳細に記載する。
【0144】
(実施例1)
1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成)
【化37】
【0145】
化合物A4である、7-イソプロピル-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-イウム塩化物(31mg、0.106ミリモル)、4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸(26mg、0.107ミリモル)、DIEA(45μL、0.265ミリモル)及びHATU(47mg、0.125ミリモル)をDMF(0.75mL)中で混合し、室温で4時間放置した。化合物A4は、化合物A1及びA2から、文献で報告されている手順と同様の以下の手順に従って調製した(例えば、Yamato M. et al. "Synthesis and Structure- Activity Relationship of Spiro[isochromanpiperidine] Analogues for Inhibition of Histamine Release," J. Med. Chem. 24:194-198 (1981)を参照)。反応物を酢酸エチル(5mL)で希釈し、0.1N HCl(2X)、飽和NaHCO(2X)及び塩水で洗浄した。有機溶媒を蒸発させた後の粗生成物を、酢酸エチル/ジクロロメタン(1:10)で溶出するTLCクロマトグラフにかけた。生成物のバンドを収集し、酢酸エチルで洗浄し、真空乾燥後、白色粉末として実施例1を得た(45mg)。NMR (CDCl3) δ: 7.99 (d, 1H); 7.89 (s, 1H); 7.84 (d, 1H); 7.45 (m, 2H); 7.19 (d, 1H); 6.91 (s, 1H); 6.90 (d, 1H); 4.4-4.6 (br, 1H); 4.04 (s, 3H); 4.00 (s, 3H); 3.45-3.9 (br, 3H); 3.06 (S, 2H); 2.98 (pent, 1H); 1.55-2.15 (br, 4H); 1.29 (d, 6H)。
【0146】
(実施例2)
1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化38】
【0147】
実施例2は、7-イソプロピル-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-イウム塩化物と、4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボン酸を使用し、実施例1と同様の手順で調製した。分取TLCをMeOH/酢酸エチル(1:10)で溶出した。NMR (CDCl3) δ: 7.99 (d, 1H); 7.80 (d, 1H); 7.50 (t, 1H); 7.45 (dd, 1H); 7.20 (d, 1H); 7.19 (s, 1H); 7.11 (d, 1H); 4.56 (br d, 1H); 4.15 (br, 1H); 4.12 (s, 3H); 4.06 (s, 3H); 3.69 (br t, 1H); 3.48 (br t, 1H); 3.08 (s, 2H); 2.98 (pent, 1H); 2.11-2.14 (m, 2H); 1.97-2.00 (m, 2H); 1.29 (d, 6H)。
【0148】
(実施例3)
1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-エチルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化39】
【0149】
実施例3は、7-エチル-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-イウム塩化物と、4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸を使用し、実施例1と同様の手順で調製した。分取TLCを酢酸エチル/ジクロロメタン(1:1)で溶出した。NMR (CDCl3) δ: 7.96 (br s, 1H); 7.89 (br s, 1H); 7.84 (d, 1H); 7.46 (d, 1H); 7.42 (t, 1H);7.18 (d, 1H); 6.91 (s, 1H); 6.905 (d, 1H); 4.4-4.7 (br, 1H); 4.04 (s, 3H); 4.01 (s, 3H); 3.45-3.95 (br, 3H); 3.06 (s, 2H); 2.71 (q, 2H); 1.5-2.2 (br, 4H); 1.28 (t, 3H)。
【0150】
(実施例4)
1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-エチルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化40】
【0151】
実施例4は、7-エチル-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-イウム塩化物と4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボン酸とを使用して、実施例1と同様の手順で調製した。分取TLCをMeOH/酢酸エチル(1:10)で溶出した。NMR (CDCl3) δ: 7.96 (br s, 1H); 7.80 (d, 1H); 7.51 (t, 1H); 7.42 (dd, 1H); 7.20 (d, 1H); 7.19 (s, 1H); 7.11 (d, 1H); 4.55-4.58 (m, 1H); 4.05-4.15 (m, 1H); 4.12 (s, 3H); 4.06 (s, 3H); 3.68 (m, 1H); 3.48 (m, 1H); 3.08 (s, 2H); 2.72 (q, 2H); 2.1-2.2 (m, 2H); 1.9-2.0 (m, 2H); 1.28 (t, 3H)。
【0152】
(実施例5)
1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化41】
【0153】
ステップ1:tert-ブチル7-ニトロ-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート
【化42】
【0154】
文献で報告されている方法を使用して利用可能な(例えば、Yamato M. et al. "Synthesis and Structure- Activity Relationship of Spiro[isochromanpiperidine] Analogues for Inhibition of Histamine Release,"J. Med. Chem. 24:194-198 (1981)を参照)、スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン塩酸塩(25.3g)を、0℃でHSO(60mL)と混合し、続いて0℃未満でKNO(12g)のHSO(50mL)溶液と混合した。反応物を、1時間後に氷水中に注ぎ、NaCOを加えてpHを10に調整した。混合物は、BocOで処理し、EA(200mL)で抽出し、EA相を分離し、蒸発させて、tert-ブチル7-ニトロ-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート(20g)を淡黄色の固体として得た。
【0155】
ステップ2:tert-ブチル7-アミノ-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート
【化43】
【0156】
MeOH(150mL)中のtert-ブチル7-ニトロ-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート(20.3g)及びPd/C(1g)の混合物を、H(50psi)で3時間処理した。反応混合物をろ過し、ろ液を蒸発させ、tert-ブチル7-アミノ-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート(15g)を淡黄色の固体として得た。
【0157】
ステップ3:tert-ブチル7-ヨード-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート
【化44】
【0158】
アセトニトリル(20ml)中のtert-ブチル7-アミノ-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート(2.6g)、NaI(2.6g)、I(1.3g)及びCuI(0.5g)の混合物に、t-ブチルニトリル(2.4g)を50℃で滴下した。1時間後、反応混合物をNa溶液に注ぎ、MTBE(30mL)で抽出し、有機相を乾燥させ、シリカパッドを通過させ、蒸発させ、tert-ブチル 7-ヨード-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレートを淡黄色の油(2.2g)として得た。NMR (CDCl3) δ: 8.44 (s, 1H); 7.89 (d, 1H); 7.01 (d, 1H); 3.9 (br, 2H); 3.3 (br, 2H); 2.98 (s, 2H); 1.94 (br, 2H); 1.65 (br, 2H); 1.49 (s, 9H).
【0159】
ステップ4:化合物B5(7-ヨード-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-イウム塩化物)の調製
【化45】
【0160】
tert-ブチル7-ヨード-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート(500mg)を4N HCl/ジオキサン(5mL)で数分間処理した。余剰の試薬と溶媒をロータリーエバポレータで除去し、残渣を真空で乾燥させ、白色固体としてB5を得た。HPLC分析は、1つの支配的な生成物のピークを有し、完全に出発物質が消失したことをを示した。この物質は、更なる精製をすることなく使用された。
【0161】
ステップ5:化合物B7(1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-ヨードスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン)の調製
【化46】
【0162】
7-ヨード-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-イウム塩化物(48mg、0.126ミリモル)と、4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸(31mg、1.07eq)を実施例1と同じ手順で結合させた。粗生成物は、精製することなく次のステップで使用した。
【0163】
ステップ6:実施例5の調製
【化47】
【0164】
化合物B7である、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-ヨードスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(約78mg、0.13ミリモル)を、1-メチル-1H-ピラゾール-5-アミン(15mg、1.07eq)、Cs2CO3(60mg、1.3eq)、BrettPhose Pd G1メチルt-ブチルエーテル付加物(Aldrich社製、8mg、0.07eq)と、DMF(1.5mL)中で混合させ、4時間、90~100℃まで加熱した。反応混合物をろ過し、蒸発後の粗生成物を、分取TLCプレート(2プレート)上に載せ、MeOH/酢酸エチル(1:10)で溶出させ、乾燥後、実施例5を白色粉末として得た。NMR (CDCl3) δ: 7.90 (s, 1H); 7.84 (d, 1H); 7.57 (m, 2H); 7.47 (t, 1H); 7.17 (d, 1H); 7.07 (d, 1H); 6.86 (d, 1H); 6.85 (s, 1H); 6.20 (br s, 1H): 6.1 (br s, 1H) 4.51 (m, 1H); 4.0-4.1 (br, 1H); 4.07 (s, 3H); 4.05 (s, 3H); 3.6-3.9 (br, 2H); 3.85 (s, 3H); 3.02 (s, 2H); 2.2 (br, 1H); 1.7-2.16 (br, 3H)。
【0165】
(実施例6)
1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化48】
【0166】
4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸を、4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボン酸で置き換え、実施例5と同じ手順を用いて実施例6を調製した。NMR (CDCl3) δ: 7.80 (d, 1H); 7.5 (m, 3H); 7.19 (s, 1H); 7.12 (s, 1H); 7.12 (t, 1H); 6.95 (dd, 1H);6.11 (d, 1H); 5.74 (br, 1H); 4.52-4.59 (m, 1H); 4.05-4.15 (m, 1H); 4.12 (s, 3H); 4.04 (s, 3H); 3.77 (s, 3H); 3.60-3.72 (m, 1H); 3.39-3.50 (m, 1H); 3.04 (s, 2H); 1.9-2.15 (m, 4H)。
【0167】
(実施例7)
7-イソプロピル-1’-(2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化49】
【0168】
ジメトキシ-2-ナフトエ酸を、2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸で置き換え、実施例1と同様の手順を用いて実施例7を調製した。NMR (CDCl3) δ: 8.00 (s, 1H); 7.52 (s, 1H);7.46 (d, 1H); 7.44 (d, 1H); 7.24 (d, 1H); 7.20 (d, 1H); 4.52 (br, 1H); 3.7 (br, 1H); 3.5 (br, 2H);3.05 (s, 2H); 2.99 (hep, 1H); 2.54 (s, 3H);1.6-2.2 (br, 4H);1.28 (d, 6H)。
【0169】
(実施例8)
1’-(1H-インダゾール-5-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化50】
【0170】
4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸を、1H-インダゾール-5-カルボン酸で置き換え、実施例1と同じ手順を用いて実施例8を調製した。NMR (CDCl3) δ: 8.13(s, 1H); 7.99 (s, 1H); 7.88 (s, 1H); 7.5 (d, 1H); 7.48 (d, 1H); 7.45 (d, 1H); 7.19 (d, 1H); 4.55(br, 1H); 3.4-3.7 (br, 3H); 3.04 (s, 2H); 2.99 (hept, 1H); 1.9-2.1 (br, 2H); 1.7-1.8 (br, 2H); 1.29 (d, 6H)。
【0171】
(実施例9)
7-イソプロピル-1’-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-2-カルボニル)-スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化51】
【0172】
4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸を、1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-2-カルボン酸で置き換え、実施例1と同じ手順を用いて実施例9を調製した。NMR (CDCl3) δ: 9.89 (s, 1H); 8.54 (d, 1H); 8.02 (s, 1H); 7.76 (d, 1H); 7.47 (d, 1H); 7.21 (d, 1H); 7.20 (dd, 1H); 6.99 (s, 1H); 4.59 (br, 2H); 3.4-4.0 (br, 2H); 3.08 (s, 2H); 3.00 (hept, 1H); 2.16 (br, 2H); 1.83 (br, 2H); 1.30 (d, 6H)。
【0173】
(実施例10)
1’-(1H-インダゾール-6-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化52】
【0174】
4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸を、1H-インダゾール-6-カルボン酸で置き換え、実施例1と同じ手順を用いて実施例10を調製した。NMR (CDCl3) δ: 10.76 (s, 1H); 8.13 (s, 1H); 7.99 (s, 1H); 7.80 (d, 1H); 7.62 (s, 1H); 7.45 (d, 1H); 7.20 (d, 1H); 7.19 (d, 1H); 4.6 (br, 1H); 3.64 (br, 2H); 3.46 (br, 1H); 3.03 (s, 2H); 3.0 (hept, 1H); 1.6-2.2 (m, 4H); 1.29 (d, 6H)。
【0175】
(実施例11)
7-イソプロピル-1’-(6-メトキシキノリン-3-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化53】
【0176】
4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸を、6-メトキシキノリン-3-カルボン酸で置き換え、実施例1と同様の手順で実施例11を調製した。NMR (CDCl3) δ: 8.81 (s, 1H); 8.15 (s, 1H); 8.03 (d, 1H); 7.99 (s, 1H); 7.46 (d, 1H); 7.45 (d, 1H); 7.20 (d, 1H); 7.10 (s, 1H); 4.6 (br, 1H); 3.98 (s, 3H); 3.7 (br, 2H); 3.5 (br, 1H); 3.05 (s, 2H); 2.99 (hept, 1H); 1.6-2.2 (br, 4H); 1.30 (d, 6H)。
【0177】
(実施例12)
1’-(2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化54】
【0178】
4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸を、2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸で置き換え、実施例1と同様の手順で実施例12を調製した。NMR (CDCl3) δ: 7.99 (s, 1H); 7.55(br, 1H); 7.48 (br, 1H); 7.46 (d, 1H); 7.24 (d, 1H); 7.19 (d, 1H); 4.55(br, 1H); 3.7 (br, 1H); 3.5 (br, 2H); 3.04 (s, 2H); 2.99 (hept, 1H); 2.90 (q, 2H); 1.6-2.18 (br, 4H); 1.42 (t, 3H); 1.27 (d, 6H)。
【0179】
(実施例13)
7-イソプロピル-1’-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オンの合成
【化55】
【0180】
4,8-ジメトキシ-2-ナフトエ酸を、3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボン酸で置き換え、実施例1と同様の手順で実施例13を調製した。NMR (CDCl3) δ: 9.19 (s, 1H); 8.0 (s, 1H); 7.45 (d, 1H); 7.05-7.2 (m, 4 H); 4.53 (br, 1H); 3.58 (br, 3H); 3.46 (s, 3H); 3.06 (s, 2H); 2.99 (hept, 1H); 2.02(br, 2H); 1.72 (br, 2H); 1.3 (d, 6H)。
【0181】
(実施例14)
メチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートの合成
【化56】
【0182】
ステップ1:tert-ブチル7-(5-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレートの調製
【化57】
【0183】
溶媒混合物(トルエン/水/メタノール:10ml/1ml/3ml)中のtert-ブチル 7-ヨード-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート(2.2g、4.96ミリモル)、5-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イル)ボロン酸(2.0g、11ミリモル)、NaHCO(2.2g、26ミリモル)、Pd(PPh(50mg)を、密閉チューブに入れた。これを90℃で2時間加熱した。溶媒の蒸発後、残渣をシリカカラムによって精製し、tert-ブチル7-(5-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレートを白色固体として得た。NMR (CDCl3) δ: 9.26 (s, 1H); 9.07 (s, 1H); 8.55 (d, 1H); 8.42 (s, 1H); 7.86 (d, 1H); 7.42 (d, 1H); 4.03 (s, 3H); 3.85-3.98 (br, 2H); 3.3-3.44 (br, 2H); 3.11 (s, 2H); 1.95-2.04 (br, 2H); 1.65-1.76 (br, 2H); 1.44 (s, 9H)。
【0184】
ステップ2:メチル5-(1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート塩酸塩
【化58】
【0185】
tert-ブチル7-(5-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシネート(1.7g)を、酢酸エチル(15mL)に溶解させ、室温で数分間、EA中の4N HCl(10mL)で処理した。反応物は、溶媒を蒸発させ、メチル5-(1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート塩酸塩を、黄色固体(1.6g)として得た。
【0186】
ステップ3:メチル 5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート
【化59】
【0187】
DCM(10mL)中の4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボン酸(0.233g)溶液に、塩化オキサリル(1mL、過剰)を室温で加え、結果として得られる溶液を2時間撹拌した。溶媒と余剰の試薬を蒸発させ、対応する酸塩化物を固体として得た。
【0188】
上記の固体を、0℃に冷やしたDCM(10mL)中のメチル5-(1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート塩酸塩(0.4g)と、トリエチルアミン(2mL)との混合物へと移した。混合物を室温で30分間撹拌し、続いて氷水を加えた。水相をDCM(15mL)で抽出し、合わせた有機相をMgSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発させた後の粗生成物をカラム精製で精製し、メチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートを、オフホワイトの固体として得た。NMR (CDCl3) δ: 9.23 (s,1H); 9.03 (s, 1H); 8.52 (s, 1H); 8.38 (s, 1H); 7.85 (d, 1H); 7.75 (d, 1H); 7.4-7.5 (m, 2H); 7.16 (s, 1H); 7.06 (d, 1H); 4.58 (br, 1H); 4.18 (br, 1H); 4.1 (s, 3H); 4.05 (s, 3H); 4.02 (s, 3H); 3.66 (br, 1H); 3.45 (br, 1H); 3.16 (s, 2H); 1.9-2.2 (br, 4H)。
【0189】
(実施例15)
5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸の合成
【化60】
【0190】
NaOH(2M、0.5mL)の溶液を、MeOH(5mL)中のメチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(91mg)の懸濁液に加えた。混合物を50℃まで30分間加熱し、全ての固体が溶解した。HPLCにより、出発物質が完全に変換されたことが確認された。反応混合物を濃縮HCl(35%、0.15mL)で中和し、蒸発乾固させた。残渣を、4N HCl/EA溶液(2mL)で5分間再び処理した。この混合物を減圧下で蒸発乾固させた。残渣をMeOH/EA(1:1)で吸収させた。白色固体をろ過によってとりだした。溶媒を揮発させ、アセトニトリル/水から凍結乾燥させ、5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸を白色の綿毛状固体として得た。NMR (DMSO- d6) δ: 9.21 (d, 1H); 9.12 (d, 1H); 8.56 (t, 1H); 8.28 (d, 1H); 8.14 (dd, 1H); 7.76 (d, 1H); 7.63 (t, 1H); 7.62 (d, 1H); 7.41 (s, 1H); 7.40 (d, 1H); 4.28 (br, 1H); 4.17 (s, 3H); 4.02 (s, 3H); 3.3- 3.6(br, 3H); 3.30 (s, 2H); 1.8-2.1 (br, 4H)。
【0191】
(実施例16)
1-((エトキシカルボニル)オキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートの合成
【化61】
【0192】
アセトン(0.8mL)中の5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(22mg)、1-クロロエチルカルボネート(30μL)、CsCO(126mg)、及びKI(50mg)の懸濁液を、55℃まで40時間加熱した。粗生成物の分取TLC(1:20 MeOH:EA)精製により、凍結乾燥後に、1-((エトキシカルボニル)オキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートを綿毛状固体として得た。NMR (CDCl3) δ: 9.27 (s, 1H); 9.07 (s, 1H); 8.53 (s, 1H); 8.40 (s, 1H); 7.86 (dd, 1H); 7.81 (d, 1H); 7.50 (t, 1H); 7.47 (d, 1H); 7.21 (s, 1H); 7.11 (d, 1H); 7.10 (q, 1H); 4.6(br, 1H); 4.29 (q, 2H); 4.2 (br, 1H); 4.12 (s, 3H); 4.05 (s, 3H); 3.7 (br, 1H); 3.5 (br, 1H); 3.21 (s, 2H); 1.9-2.2 (m, 4H); 1.74 (d, 3H); 1.36 (t, 3H)。
【0193】
(実施例17)
2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートの合成
【化62】
【0194】
アセトン(1.0mL)中の、5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(31mg)、1-ヨード-2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エタン(75μL)、CsCO(136mg)の懸濁液を、55℃まで18時間加熱する。粗生成物の分取TLC(1:10 MeOH/EA)精製により、凍結乾燥後、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートを綿毛状固体として得た。NMR (CDCl3) δ: 9.28 (d, 1H); 9.06 (d, 1H); 8.56 (t, 1H); 8.41 (d, 1H); 7.87 (dd, 1H); 7.80 (d, 1H); 7.49 (t, 1H); 7.46 (d, 1H); 7.21 (s, 1H); 7.10 (d, 1H); 4.6 (br, 1H); 4.60(t, 2H); 4.2 (br, 1H); 4.12 (s, 3H); 4.06 (s, 3H); 3.91 (t, 2H); 3.7 (m, 7H); 3.54 (t, 2H); 3.48 (br, 1H); 3.39 (s, 3H); 3.21 (s, 2H); 1.9-2.2 (m, 4H).
【0195】
(実施例18)
2-(2-メトキシエトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートの合成
【化63】
【0196】
5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(28mg、0.05ミリモル)、1-ブロモ-2-(2-メトキシエトキシ)エタン(68mg、0.37ミリモル)、CsCO(140mg、0.43ミリモル);KI(40mg)の懸濁液を、アセトン(0.8mL)中で、55℃で24時間加熱する。固体をろ過し、ろ液を蒸発させる。残渣をDCM(約1mL)に溶解させ、分取TLCプレート上に載せ、MeOH/EA(3:20)で溶出させ、2-(2-メトキシエトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートを白色固体として得た。NMR (CDCI3) δ: 9.28 (d, 1H); 9.06 (d, 1H); 8.56 (t, 1H); 8.41 (d, 1H); 7.87 (dd, 1H); 7.80 (d, 1H); 7.49 (t, 1H); 7.46 (d, 1H); 7.21 (s, 1H); 7.10 (d, 1H); 4.6 (br, 1H); 4.60(t, 2H); 4.2 (br, 1H); 4.12 (s, 3H); 4.06 (s, 3H); 3.91 (t, 2H); 3.74 (t, 2H); 3.5 (br, 1H); 3.61 (t, 2H); 3.48 (br, 1H); 3.41 (s, 3H); 3.20 (s, 2H); 1.9-2.2 (m, 4H)。
【0197】
(実施例19)
メチル5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートの合成
【化64】
【0198】
実施例19である、メチル5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートを、メチル5-(1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート塩酸塩と、8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボン酸とから、実施例14と同じ方法で調製した。NMR (CDCI3) δ: 9.26(d, 1H); 9.08 (d, 1H); 8.56 (t, 1H); 8.42 (d, 1H); 8.04 (dd, 1H); 7.88 (dd, 1H);7.48 (t, 1H); 7.46 (d, 1H); 7.22 (s, 1H); 7.20 (dd, 1H); 4.67 (br, 1H); 4.5 (br, 1H); 4.12 (s, 3H); 4.03 (s, 3H); 3.79 (m, 1H); 3.5 (m, 1H); 3.2 (s, 2H); 3.09 (m, 1H); 1.9-2.2 (m, 4H); 1.12 (br, 2H); 0.83 (br, 2H)。
【0199】
(実施例20)
5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸の合成
【化65】
【0200】
実施例20である、5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸を、実施例15と同様の方法で、メチル5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートから調製した。NMR (DMSO-d6) δ: 9.19 (s, 1H); 9.09 (s, 1H); 8.53 (s, 1H); 8.27 (s, 1H); 8.12 (d, 1H); 7.97 (d, 1H); 7.58 (d, 1H); 7.51 (t, 1H); 7.26 (d, 1H); 7.23 (s, 1H); 4.3 (br, 2H); 4.12 (s, 3H); 3.85 (br, 1H); 3.55 (br, 1H); 3.33 (s, 2H); 3.09 (m, 1H); 1.9 (m, 4H); 1.09 (m, 2H); 0.82 (m, 2H)。
【0201】
(実施例21)
メチル5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートの合成
【化66】
【0202】
実施例21である、メチル5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートを、実施例14と同様の方法で、メチル5-(1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート塩酸塩と、1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボン酸とから調製した。NMR(CDCl3) δ: 9.24 (s, 1H); 9.04 (s, 1H); 8.54 (s, 1H); 8.40 (s, 1H); 7.85 (d, 1H); 7.42 (d, 1H); 7.22 (s, 1H); 6.82 (s, 1H); 6.50 (s, 1H); 4.02 (s, 3H); 3.90 (s, 3H); 3.6 (br, 4H); 3.23 (br, 1H); 3.14 (s, 2H); 2.42 (s, 3H); 1.6-2.1 (br, 4H); 1.0 (m, 4H)。
【0203】
(実施例22)
5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸の合成
【化67】
【0204】
実施例22である、5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸を、実施例15と同様の方法で、メチル5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネートから調製した。NMR (DMSO-d6) δ: 9.15 (s, 1H); 9.07 (s, 1H); 8.50 (s, 1H); 8.23 (s, 1H); 8.07 (d, 1H); 7.52 (d, 1H); 7.12 (s, 1H); 6.98 (s, 1H); 6.49 (s, 1H); 3.9 (br, 1H); 3.81 (s, 3H); 3.68 (br, 1H); 3.6 (br, 1H); 3.4 (br, 1H); 3.3 (br, 1H); 3.25 (s, 2H); 2.3 (s, 3H); 1.8 (br, 4H), 0.8-1.0 (m, 4H)。
【0205】
(製剤の実施例1)
本開示の化合物は、ローションのような局所製剤に製剤化できる。例示的な製剤は、以下に示すものである。
【0206】
製剤#1:(w/w%)
【表1-2】
【0207】
製剤#2:(w/w%)
【表1-3】
【0208】
(生物学的実施例1:マウスACC酵素活性アッセイ)
ACCタンパク質は、カルボキシラーゼドメインのビオチン化を利用して精製された。8~12週齢のオスのC57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory)を、CO吸入法で安楽死させ、肝臓をドライアイスで直ちに凍結した。100mgの肝臓に、1mLの氷冷組織溶解バッファ(20mM Tris-HCl pH7.5、150mM NaCl、1mM NaEDTA、1mM EGTA、1%Triton、25mMピロリン酸ナトリウム、1mM β-グリセロホスフェート、1mM NaVO、1μg/mL ロイペプチン、10mLの溶解バッファあたりプロテーゼ阻害剤カクテル1錠(Roche))を加え、続いて、Power Gen125ホモジナイザー(Fisher Scientific)を用いて氷上でホモジナイズした。氷上での30分のインキュベーション後、組織溶解物を18と1/2G針を備える10mLシリンジに10回通し、DNAを剪断した。次に、氷上で撹拌しながら10分で880mgの硫酸アンモニウム粉末(Sigma)を10mLの肝臓溶解物に加えることによって、溶解物を17.5%~35%飽和硫酸アンモニウム沈殿にかける。サンプルを、4℃で10分間、14,000rpm(Eppendorf)で遠心分離し、氷上で撹拌しながら10分で880mgの硫酸アンモニウム粉末を10mLの上清に加えることによる更なる沈殿のために、上清を保存した。サンプルを、4℃で10分間、14,000rpmで遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを10mLのサンプルバッファ(100mL Tris-HCl、pH7.5、1mM EDTA、0.1mM DTT、0.5M NaCl、及び5%グリセロール)に溶解させた。その後、サンプルを1mLのStrep Magビーズスラリー(Genscript)を加え、4℃で1時間回転させた。上清を廃棄し、ビーズをサンプルバッファで3回洗浄した。その後、サンプルバッファ内に調製された10mLの2mMビオチン(Promega)を加えることによって、タンパク質を溶出させた。その後、200mLの透析バッファ(50mM HEPES、pH7.5、0.1mM DTT、1.0mM EDTA及び10%グリセロール)を3回交換し、Slide- A-Lyzer(商標) Dialysis Cassettes 10K MWCO (Thermo Fisher Scientific)を使用して、溶出液を4℃で1時間、透析した。その後、BCAタンパク質アッセイキット(Pierce)を使用することによって、総タンパク質濃度を定量化した。
【0209】
ACC酵素活性アッセイについて、DMSOで2通りに調製した1μL段階希釈化合物を、8つの透析サンプルと37℃で10分間、混合した。91μLの反応バッファ(50mL HEPES、pH7.5、10mM MgCl2、2.0mM DTT、0.5mM アセチル-CoA、4.0mM ATP、15mM 13C-NaHCO、0.75mg/mL BSA、0.5mM クエン酸ナトリウム)をチューブに添加し、十分に混合した。37℃で1時間のインキュベーションの後、300μlの氷冷クエンチングバッファ(アセトニトリル:メタノール=1:1、内部標準としての20μM カルブタミド)を各チューブに加え、よく混合し、反応を終結させた。サンプルは、10分間、14,000rpmで遠心分離し(Eppendorf)、上清をマロニル-13C-CoAの定量のためにLC-MS/MSに装填した(Gao et al., Journal of chromatography B, Analytical technologies in the biomedical and life sciences 853, 303-313 (2007))。
【0210】
(生物学的実施例2:ヒトACC酵素活性アッセイ)
精製ヒトACC1及びACC2タンパク質(BPS Bioscience)を使用して、ヒトACC酵素活性アッセイを実施した。ACC1及びACC2タンパク質は、24.5μLの反応バッファ(50mM HEPES pH7.5、10mM MgCl、2.0mM DTT、4.0mA ATP、15mM 13C-NaHCO、0.75mg/mL BSA、0.5mMクエン酸ナトリウム)で希釈し、ACC1及びACC2の最終濃度は、0.4μg/mL及び0.48μg/mLであった。各反応について、0.5μLの段階希釈化合物をDSMOで2通り又は3通りに調製し、ACCタンパク質を含む上記24.5μLの反応混合物と37℃で10分間混合した。一方、25μLの反応バッファとアセチル-CoA(最終濃度:5μM)を新たに調製し、上記の25μLの混合物に加え、反応を開始させた。37℃、1~2時間のインキュベーションの後、100μlのマロニル-13-CoAを含む氷冷10%TCA(最終濃度:40nM、Sigma-Aldrich)を加え、反応を終結させた。LC-MS/MS分析について、300μLのクエンチングバッファ(アセトニトリル:メタノール=1:1、内部標準として20μM カルブタミド)を各チューブ加え、よく混合した。その後、サンプルを14,000rpmで10分間、遠心分離し(Eppendorf)、マロニル-13C-CoAの定量のために、上清をLC-MS/MSに装填した(Gao et al., Journal of chromatography B, Analytical technologies in the biomedical and life sciences 853, 303-313 (2007))。
【0211】
(生物学的実施例3:LC-MS/MSによるマロニル-CoAの定量化)
システムコントローラ(Shimadzu CBM-20A)、オートサンプラー(Shimadzu SIL-20A)、ポンプA及びB、カラムオーブン(Shimadzu CTO-20A)、及び分析カラム(Phenomenex Gemini 5u C18 11 A、100×2mm)からなる島津LCシステムを、サンプル分析のために使用した。LCは、移動相A(5mM酢酸アンモニウム及び5mM 水中DMBA(1,3-ジメチルブチルアミン))及びB(メタノール)を用いたバイナリグラディエントモードで、200μL/分で可動していた。サンプルは、AB Sciex QTrap4000LC-MS/MSトリプル四重極質量分析計(Applied Biosystems)で分析した。マロニル-CoA及びマロニル-13C-CoAは、MRM遷移後の陽イオンモードで、それぞれ854.2/347.1及び855.1/246.1でモニターされた。生成物及び内部標準は、50%HO、25%MeCN、25%アセトン及び5mM酢酸アンモニウムを用いて3秒で、マススペクトラムに共溶出された。イオンクロマトグラムは、Analyst 1.5.2ソフトウェアを用いて統合された。ピーク領域比は標準曲線と比較され、マロニル-CoAの最終的な細胞濃度又はマロニル-13C-CoAの生成速度が、1分あたりのタンパク質、ピコモル/mgとして計算された。
【0212】
(生物学的実施例4:ヒト脂腺細胞におけるマロニル-CoAの細胞レベルでのACC阻害剤の効果)
ヒト脂腺細胞(Celprogen)を、5%CO機能を備える加湿水ジャケット付きインキュベータ内で、成長培地(4.5g/L グルコース、0.584g/L L-グルタミン(Sigma)、100単位/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco)、10%ウシ胎児血清(Gibco)を含むDMEM)を37℃で、100%コンフルエントまで成長させた。152cmの細胞培養皿(Corning)で成長させた細胞を、0.25%トリプリンEDTA(Gibco)でトリプリン処理し、800rpmで10分間(Eppendorf)、遠心分離し、成長培地に再懸濁させた。DSMOで段階希釈した化合物1μmに、99個の細胞(成長培地に懸濁された約50万個の細胞)を加え、よく混合し、続いて細胞培養インキュベータ内で30分間インキュベーションした。その後、細胞を800rpmで10分間、遠心分離し、70μLの10%トリクロロ酢酸を各ウェルに加え、細胞を溶解し、タンパク質を沈殿させた。マロニル-CoAの細胞レベルは、LC-MS/MSによって定量化した。
【0213】
(生物学的実施例5:ヒト脂腺細胞の脂質生成におけるACC阻害剤の効果)
ヒト脂腺細胞(Celprogen)を、成長培地を含むコラーゲンコート96ウェル培養マイクロプレート(White/Clear bottom、Corning BioCoat)で、100%コンフルエントまで成長させた。成長培地を、DSMOで調製した化合物を含む(成長培地で1:1000に希釈)成長培地プラス100μMアラキドン酸(Sigma)及び10μMロシグリタゾン(Tocris)に変更した。細胞を化合物で96時間処理し、化合物を含む培地を48時間後に交換した。処理が完了したら、細胞を200μLのリン酸バッファ生理食塩水(PBS)で洗浄し、その後、100μLの4%ホルムアルデヒド(Sigma)を加えて固定し、室温で1時間インキュベーションした。その後、細胞をPBSで3回洗浄した。37℃で1時間インキュベーションすることにより、PBSで調製した100μLのナイルレッド溶液(2mg/mL、1:1希釈)を用いてマイクロプレートを染色し、その後PBSで3回洗浄した。Ex492nm及びEm595nm(TECAN SpectrofluorPlus)で蛍光を読み取った。脂腺細胞における脂質生成での化合物の効果をDMSOビヒクル対照の%によって算出した。
【0214】
(生物学的実施例6:ヒト脂腺細胞及び角化細胞の増殖におけるACC阻害剤の効果)
ヒト脂腺細胞(Celprogen)及び角化細胞(ATCC)を、成長培地を含む96ウェル培養マイクロプレート(Corning)で、約50%コンフルエントまで成長させた。培地を、DSMOで段階希釈した化合物(1:1000希釈)と混合させた成長培地に交換した。24時間の処理の後、培地を、100μLのフェノールレッドを含まないDMEMに変更し、Vybrant(登録商標)MTT細胞増殖アッセイキット(Molecular Probes)を使用して、細胞の数を定量化した。10μLの12mM MTTストック溶液を各ウェルに加え、マイクロプレートを37℃で約4時間インキュベーションした。その後、100μLのSDS-HCl溶液を各ウェルに加え、ピペットを使用し全体的に混合した。マイクロプレートを、細胞培養インキュベータ内で、37℃で4時間インキュベーションした。マイクロプレートを、再びピペットを使って混合し、570nmでの吸光度を読み取った(Dynex MRXe Magellan Biosciences)。ヒト角化細胞の増殖における化合物の効果を、DMSOビヒクル対照の%により算出した。
【0215】
(生物学的実施例7:3T3-L1脂肪細胞の脂質生成におけるACC阻害剤の効果)
3T3-L1脂肪細胞(Zen-Bio)を、成長培地を含む96ウェル培養マイクロプレート(Corning)で、約90~100%コンフルエントまで成長させた。培地を、分化培地(3-イソブチル-1-メチルキサンチン500μM、デキサメタゾン1μM、インスリン10μg/mL、及びロシグリタゾン2μMを添加した成長培地)プラスDMSOで調製され段階希釈した化合物(1:1000希釈)に変えた。2日のインキュベーションの後、培地を変え、培地(インスリン10μg/mLを添加した成長培地)DMSOで調製され段階希釈した化合物(1:1000希釈)を、2日ごとに培地を交換し、約1週間維持した。処理の完了後、培地を廃棄し、200μLの0.01%SDSを各ウェルに加え、1時間振盪して、細胞を溶解させた。その後、細胞溶解液を、400μLのフォルチ溶液(クロロホルム:メタノール=2:1)に移し、よく混合した。2,000rpmで20分間遠心分離した後、200μLの下部有機相を、10μLのサンプルバッファ(クロロホルム:トリトン-100=3:1)を含むプレートに移した。サンプルを窒素下で風乾し、200μLのトリグリセリド(TG)定量試薬(Thermo Fisher Scientific)を加え、混合し、37℃で30分間インキュベーションした。535nmでの吸光度を読み取る(Dynex MRXe Magellan Biosciences)ことにより、TG濃度を測定し、標準曲線から算出した。
【0216】
(生物学的実施例8:ヒトの皮膚組織のIHC染色)
ヒト由来の皮膚組織(Amsbio and ProSci)のホルマリン固定パラフィン包埋スライドを、65℃で30分間ベーキングし、各5分間のキシレンでの洗浄を3回、各10分間の100%エタノールでの洗浄を2回、各10分間の95%エタノールでの洗浄を2回、及び最後に各5分間のdHOでの洗浄を2回した状態でインキュベーションすることによって脱パラフィン/水和した。その後、スライドを1×抗原アンマスキング溶液(Vector Laboratories)内で10分間煮沸した。dHOでの洗浄後、ウサギIgGアイソタイプ対照抗体又はウサギモノクロナール抗ACC(18μg/mL、1:50希釈、Cell Signaling Technology)を用いて室温で1時間又は4℃で一晩、スライドを染色した。その後、切片を洗浄バッファで各5分間3回洗浄し、ウサギ抗げっ歯類HRPポリマー(BioCare Medical)及び DAB Quanto Chromagen and Substrate (Thermo Fisher Scientific)を使用し、暗褐色を発色させ、ACCタンパク質の発現を明らかにした。スライドをヘマトキシリン(RICCA Chemical)で対比染色し、脱水し、VectaMount(Vector Laboratories)を使用してカバースリップで密閉した。Zeiss Primo Star及びNikon D800を用いて写真を撮影した。
【0217】
上記のヒトの皮膚の研究における表皮、真皮、及び皮下組織の層を含むヒトの正常な皮膚構造のIHC染色の画像の分析は、ACCタンパク質が皮脂腺で豊富に及び特異的に発現されることを示す。これは、ヒトの皮膚構造におけるACCタンパク質の局在化についての最初の報告であり、ACC阻害剤の局所投与によるような、ACC阻害剤の脂腺細胞への送達は、皮脂腺におけるACCを特異的に阻害し、それによって、脂質の蓄積と、脂腺細胞における脂質の過剰生成に関連する疾患の進行と、を抑制する強力な方法を提供することを示唆する。
【0218】
一方、ヒトの正常な皮膚のIHC染色の画像は、ACCタンパク質が、ヒトの正常な皮膚の角化細胞では大量に発現されていないことを示す。
【0219】
皮脂腺を含む隣接する皮膚組織を伴うヒト扁平上皮内癌のIHC染色の画像は、扁平上皮癌、皮脂腺、表皮扁平上皮細胞の腫瘍細胞は、同程度の濃い色で染色されており、ACCタンパク質の豊富な発現を示す。
【0220】
最後に、ヒト脂漏性角化症のIHC染色の画像では、この疾患ではケラチン層が明らかであり、ケラチン層の隣のケラチン生成細胞は暗色で染色されており、角化症の皮膚疾患のケラチン生成細胞におけるACCタンパク質の豊富な発現を示している。
【0221】
(生物学的実施例9:ハムスターの皮膚組織のオイルレッドO染色)
8~12週齢のオスのハムスターを、両耳にローションを、左側にはビヒクル、右側には化合物を塗ることによって、ビヒクル又は化合物(ビヒクル中に0.01、0.05及び0.1%)で、1日1回、14日間(n=4)処理した。CO吸入を使用した安楽死後、耳を、O.C.T.化合物上に載置し5μmの凍結切片にした(Leica CM1900)。提供者(Abeam)の指示に従って、オイルレッドOキットを使用してスライドを染色した。スライドは、Modified Mayer's Hematoxylin(American MasterTech Scientific)で対比染色し、Aqua-Mount(Lerner Laboratories)で密閉した。脂質液滴染色領域は、ImageJ(NIH)を使用して定量化された。
【0222】
(生物学的実施例10:マウス及びハムスターにおけるインビボPK/PD実験)
組織PK/PD。8~12週齢のオスC57BL/6マウスを、ローションを背中の肌に塗ることによってビヒクル又は化合物(ビヒクル中0.01、0.05及び0.1%)で処理した(n=5)。動物は、処理後10、30、60、180、360及び1440分の時点でCO吸入を使用することで安楽死させ、化合物とマロニル-CoAのレベルを測定するために皮膚を採取した。約100mgの皮膚重量を、200μLの10%TCAでホモジナイズし、14,000rpmで10分間、遠心分離した。上清(10μL)をLC/MSに装填し、化合物とマロニル-CoAとを定量化した。
【0223】
標準PK。オスのカテーテル挿入されたCD-1マウスを、ビヒクル内で調製された化合物6(5%DSMO+10%ソルトール+85%PBS、pH=7.4)を、IVについては1mg/kg(5mL/kg)の投与量で、又はPOについては5mg/kg(10mL/kg)の投与量で処理した。血液サンプル(20μL)を、投与後0.083、0.25、0.5、1、2、4、8及び24時間で収集し、60μLの0.1Mクエン酸ナトリウムと混合した。アセトニトリルを使用することで抽出後、化合物6の血液濃度をLC-MS/MSによって定量化した。PKパラメータをWinNonlin(登録商標)6.4を使用して算出した。
【0224】
(生物学的実施例11:実施例14及び15の化合物についてのマウスでのPK実験)
薬物動態実験を、オスC57マウスを用いて実施した。化合物(実施例14及び実施例15)は、5%DMSO+10%ソルトールHS15+85%生理食塩水で、それぞれ製剤化され、IV注射用に1mpkで(5mL/kg)、経口強制投与のために10mpk(10mL/kg)で投与された。様々な時点での血漿サンプルを、LC-MSで定量した。報告されたデータは、3匹のマウスの平均であった。
【0225】
以下の表1及び表2は、それぞれ、1mpk IV注射後及び10mpk PO強制経口投与後のオスC57マウスにおける実施例14の血漿濃度(ng/mL)及びPKパラメータを示す。酸化合物である実施例15の血漿濃度(ng/mL)も測定され、以下に報告された。
【0226】
表1:1mpk IV注射後のオスC57マウスにおける実施例14の血漿濃度(ng/mL)及びPKパラメータ
【表1-4】
【0227】
表2:10mpk PO強制経口投与後のオスC57マウスにおける実施例14の血漿濃度(ng/mL)及びPKパラメータ
【表2】
【0228】
以下の表3及び表4は、それぞれ、1mpk IV注射及び10mpk PO強制経口投与後のオスC57マウスにおける実施例15の血漿濃度(ng/mL)及びPKパラメータを示す。
【0229】
表3:1mpk IV注射後のオスC57マウスにおける実施例15の血漿濃度(ng/mL)及びPKパラメータ
【表3】
【0230】
表4:10mpk PO強制経口投与後のオスC57マウスにおける実施例15の血漿濃度(ng/mL)及びPKパラメータ
【表4】
【0231】
(生物学的実施例12:C57BL/6Jマウスにおいて肝臓トリグリセリドを減少させるためのACC阻害剤を用いた長期治療)
約9週齢のオスC57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory)を、ビヒクル(0.5%メチルセルロース又はPEG400)又は実施例14(体重キログラムあたり30mg、PEG400で調製した投与溶液)及び実施例20(体重キログラムあたり20mg、0.5%メチルセルロースで調製した投与溶液)で、2週間、1日1回、9:00AMの強制経口投与によって、処理した。実施例14及び実施例20の濃度は、それぞれ15mg/ml及び2mg/mlだった。実施例14及び実施例20の投与量は、それぞれ、体重キログラムあたり2ml及び体重キログラムあたり10mlであった。14日間の処理後、投与後2時間時点で動物をCOで安楽死させ、肝臓を凍結し、ドライアイス上で維持した。肝臓TGは、クロロホルム:メタノール2:1(v/v)で脂質を抽出し、続いてInfinity(商標)トリグリセリド試薬(Thermo Scientific)によって測定した。
【0232】
図1に示す結果は、実施例14及び20が、C57BL/6Jマウスにおいて肝臓TGを減少させたことを示す。
【0233】
表5:いくつかの実施例についてのデータ
【表5】
【0234】
表5におけるデータは、以下の本出願に開示された方法及び/又は当技術分野で既知の標準技術によって得られた。ACC酵素活性は、生物学的実施例1及び2に従って測定し、脂腺細胞におけるマロニル-CoAは、生物学的実施例4に従って測定され、3T3-L1脂肪細胞の脂質生成における効果は、生物学的実施例7に従って測定され、脂腺細胞の脂質生成における効果は、生物学的実施例5に従って測定され、脂質細胞の増殖における効果は、生物学的実施例6に従って測定され、マウスPKは、生物学的実施例に従って測定され、及び血漿タンパク質結合(ヒト及びマウス)は、標準技術によって測定された。
【0235】
概要及び要約部分ではなく詳細な説明部分が、請求項を解釈するために使用されるべきことを意図することが理解されるべきである。概要及び要約部分は、発明者が意図する本発明の全ての例示的な実施形態ではないが、1つ以上を説明することがあり、従って、どのような形でも本発明及び添付の請求項の範囲を限定することを意図しない。
【0236】
本発明は、特定の機能及びそれらの関係性を説明するために、機能的構成要素を用いて上記で説明した。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜のため、本明細書で任意に定義される。指定された機能とそれらの関係性とが適切に実施される限り、代替の境界を定義することができる。
【0237】
属として説明された本発明の態様に対して、全ての個々の種は、個別に本発明の個別の態様と独立して理解される。本発明の態様が特徴を「備える」として説明されている場合、実施形態は、その特徴「からなる」又はその特徴「から本質的になる」と解釈される。
【0238】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的な性質を十分に明らかにするので、過度の実験なしに当業者の知識を適用することによって、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、他は、特定の実施形態のような様々な用途に容易に修正及び/又は適用することができる。それゆえ、そのような適応及び変更は、本明細書に示される教示及びガイダンスに基づいて、本開示の実施形態の均等な意味及び範囲内に入ることが意図される。本明細書の表現又は用語が、本教示及びガイダンスに照らして当業者に解釈されるべきであるように、本明細書の表現又は用語は、説明の目的のためであって限定のためではないことが理解されるべきである。
【0239】
本発明の幅及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれかによって限定されず、以下の請求項及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0240】
本明細書に記載の様々な態様、実施形態、及び選択肢は、任意の及び全てのバリエーションで組み合わせることができる。
【0241】
本明細書内で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各刊行物、特許又は特許出願が具体的且つ個別に参照によって取り込まれるべきことが示されていることと同じ程度に、参照によって本明細書に組み込まれるものとする。この文書内の任意の意味又は定義が、参照によって取り込まれた文書内の同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する場合、この文書内でその用語に割り当てられた意味又は定義が適用される。
【0242】
[付記]
[付記1]
式Iaの化合物
【化68】

であって、
は、水素、ハロゲン、シアノ、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、NR1011、COOR12、CONR1314、CN、S(O)15、又はOR16であって、
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC1-6アルカノイル、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、COOR12、又はCONR1314であり、
12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、水素又は任意に置換されたC1-6アルキルであり、nは、0、1、又は2であり、
15は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、又はNR1011であり、
16は、水素、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、任意に置換されたC1-6アルカノイル、任意に置換されたC3-6シクロアルカノイル、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換された5~10員ヘテロアリール、任意に置換された4~6員ヘテロシクリル、又はCONR1314であり、
及びRは、任意に置換されたC6-10アリール、又は任意に置換された5~10員ヘテロアリールであり、
ただし、Rが水素である場合、Rは任意に置換されたフェニルではない、
ことを特徴とする化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0243】
[付記2]
式Ib
【化69】

を有し、
10及びR11の一方は、任意に置換されたフェニル又は任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールである、
ことを特徴とする付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0244】
[付記3]
10及びR11の一方は、任意に置換された5員又は6員ヘテロアリールである、
ことを特徴とする付記2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0245】
[付記4]
10及びR11の一方は、ハロゲン、シアノ及びC1-4アルキルから独立して選択される1又は2の置換基で任意に置換された、2~4の環窒素原子を有する5員環ヘテロアリールである、
ことを特徴とする付記2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0246】
[付記5]
10及びR11の一方は、ピラゾリル、トリアゾリル、又はテトラゾリルであり、それぞれC1-4アルキルで任意に置換されている、
ことを特徴とする付記2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0247】
[付記6]
10及びR11の一方は、
【化70】

であり、R10及びR11の他方は、水素又はメチルである、
ことを特徴とする付記2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0248】
[付記7]
は任意に置換された5員又は6員のヘテロアリールである、
ことを特徴とする付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0249】
[付記8]
は任意に置換されたテトラゾリル又はピリジニルである、
ことを特徴とする付記7に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0250】
[付記9]
は、カルボン酸基又は、カルボン酸基もしくはその塩にインビボで変換され得る基で任意に置換されたピリジニルである、
ことを特徴とする付記7に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0251】
[付記10]
式Ic
【化71】

を有し、
20は、水素、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたシクロアルキルである、
ことを特徴とする付記7に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0252】
[付記11]
20は、任意に置換されたC1-6アルキル(例えば、任意に置換されたC1-4アルキル)である、
ことを特徴とする付記10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0253】
[付記12]
20は、水素又はC1-4アルキルである、
ことを特徴とする付記10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0254】
[付記13]
20は、
【化72】

である(pは、1~500の整数であり(例えば、1~10、1~50、1~100等、例えば、1、2、又は3)、R21は、水素又はC1-4アルキル(例えば、メチル)である)、又は酸素保護基である、
ことを特徴とする付記10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0255】
[付記14]
20は、
【化73】

である(R22は、C1-4アルキルであり、R23は、水素又はC1-4アルキルである)、
ことを特徴とする付記10に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0256】
[付記15]
は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、任意に置換されたC1-4アルキル、任意に置換されたC1-4アルコキシ、任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択された1~3の置換基で任意に置換されたC6-10アリールである、
ことを特徴とする付記1乃至14のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0257】
[付記16]
は、任意に置換された8~10員二環ヘテロアリールである、
ことを特徴とする付記1乃至14のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0258】
[付記17]
は、ナフチル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、インダゾリル、インドリル、キノリニル又はイソキノリニルであり、それぞれ、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルキル、1~3のハロゲンで任意に置換されたC1-4アルコキシ、1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルキル、及び1~3のハロゲンで任意に置換されたC3-6シクロアルコキシから独立して選択される1つ以上(例えば、1~3)の置換基で任意に置換される、
ことを特徴とする付記1乃至14のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0259】
[付記18]
は、
【化74】

であり、
それぞれ、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メチル、トリフルオロメチル、エチル、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、及びシクロプロピルから独立して選択される1~3の置換基で任意に置換される、
ことを特徴とする付記1乃至14のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0260】
[付記19]
は、
【化75】

である、
ことを特徴とする付記1乃至14のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0261】
[付記20]
前記化合物は、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例1)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例2)、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-エチルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例3)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-エチルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例4)、1’-(4,8-ジメトキシ-2-ナフトイル)-7-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例5)、1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-7-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例6)、7-イソプロピル-1’-(2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-6-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例7)、1’-(1H-インダゾール-5-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例8)、7-イソプロピル-1’-(1H-ピロロ[3,2-b]ピリジン-2-カルボニル)-スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例9)、1’-(1H-インダゾール-6-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ-[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例10)、7-イソプロピル-1’-(6-メトキシキノリン-3-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例11)、1’-(2-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-6-カルボニル)-7-イソプロピルスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例12)、7-イソプロピル-1’-(3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾル-5-カルボニル)スピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-1-オン(実施例13)、メチル5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例14)、5-(1’-(4,8-ジメトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例15)、1-((エトキシカルボニル)オキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(実施例16)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例17)、2-(2-メトキシエトキシ)エチル5-(1’-(4,8-ジメトキシ-キノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例18)、メチル5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例19)、5-(1’-(8-シクロプロピル-4-メトキシキノリン-2-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例20)、メチル5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチン酸(実施例21)、又は、5-(1’-(1-シクロプロピル-4-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-6-カルボニル)-1-オキソスピロ[イソクロマン-3,4’-ピペリジン]-7-イル)ニコチネート(実施例22)、である、
ことを特徴とする付記1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0262】
[付記21]
付記1乃至20のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な添加剤とを含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
【0263】
[付記22]
1つ以上の活性の阻害を必要とする対象において1つ以上の活性阻害する方法であって、
付記1乃至20のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は付記21に記載の医薬組成物を、治療上効果的な量で対象に投与することを含み、
前記1つ以上の活性は、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC1及び/又はACC2)活性、マロニル-CoA産生、脂質生成、脂腺細胞の増殖、角化細胞の増殖、表皮、真皮及び/又は皮下組織の細胞(例えば、脂肪細胞、メラニン細胞、角化細胞、扁平上皮細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、及び皮膚幹細胞)の増殖、皮膚及び/又は皮下層における線維芽細胞の脂肪細胞への分化、炎症、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする方法。
【0264】
[付記23]
治療を必要とする対象における異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する疾患又は障害を治療する方法であって、
付記1乃至20のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は付記21に記載の医薬組成物を、治療上効果的な量で対象に投与することを含む、
ことを特徴とする方法。
【0265】
[付記24]
前記疾患又は障害は、にきび、脂漏症、脂腺増殖症、脂漏性角化症、脂腺腺腫、脂腺嚢胞、光線角化症、脂腺癌、扁平上皮癌、黒色腫、酒さ、バート・ホッグ・デュベ症候群における線維毛包腫、及びそれらの組み合わせである、
ことを特徴とする付記23に記載の方法。
【0266】
[付記25]
付記1乃至20のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は付記21に記載の医薬組成物を、前記対象に局所投与する、
ことを特徴とする付記23又は24に記載の方法。
【0267】
[付記26]
異常な脂腺細胞及び/又は角化細胞活性に関連する前記疾患又は障害の治療に効果的な1つ以上の付加的な治療法で前記対象を治療することを更に含む、
ことを特徴とする付記23乃至25のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
[付記27]
抗生物質(例えば、クリンダマイシン、エリスロマイシン、メトロニダゾール、スルファセタミド、又はドキシサイクリン及びミノサイクリンのようなテトラサイクリン)又はレチノイド(例えば、アダパレン、イソトレチノイン、レチノール、タザロテン、又はトレチノイン)を、にきび及び/又は炎症を治療するのに治療上効果的な量で前記対象に投与することを更に含む、
ことを特徴とする付記23乃至25のいずれか1つに記載の方法。
【0269】
[付記28]
非アルコール性脂肪性肝疾患の治療を必要とする対象において非アルコール性脂肪性肝疾患を治療する方法であって、
付記1乃至20のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は付記21に記載の医薬組成物を、治療上効果的な量で対象に投与することを含む、
ことを特徴とする方法。
【0270】
[付記29]
前記非アルコール性脂肪性肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、
ことを特徴とする付記28に記載の方法。
【0271】
[付記30]
1つ以上の追加の薬剤を、前記非アルコール性脂肪性肝疾患を治療するのに治療上効果的な量で前記対象に投与することを更に含む、
ことを特徴とする付記28又は29に記載の方法。
【0272】
[付記31]
前記1つ以上の追加の薬剤は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カスパーゼ阻害薬、カテプシンBアンタゴニスト、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、塩化物チャネル刺激薬、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)阻害剤、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)アゴニスト、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD1)阻害剤、IL-1βアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL-10アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチン類似体、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、Rh関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする付記30に記載の方法。
【0273】
[付記32]
前記1つ以上の追加の薬剤は、アセチルアリシル酸、アリポジーン・チパルボベック、アラムコール、アトルバスタチン、BLX-1002、セニクリビロック、コビプロストン、コレセベラム、エムリカサン、エナラプリル、GFT-505、GR-MD-02、ヒドロクロロチアジド、イコサペントエチルエステル(エチルエイコサペンタエン酸)、IMM-124E、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタミン、MGL-3196、オベチコール酸、オレソキシム、ペグ-イロデカキン、ピオグリタゾン、PX-102、エタボン酸レモグリフロジン、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸、VBY-376、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする付記30又は31に記載の方法。
【0274】
[付記33]
肥満及び/又は糖尿病の治療を必要とする対象において肥満及び/又は糖尿病を治療する方法であって、
付記1乃至20のいずれか1つに記載の化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩、又は付記21に記載の医薬組成物を、治療上効果的な量で前記対象に投与することを含む、
ことを特徴とする方法。
【0275】
[付記34]
1つ以上の追加の薬剤を、肥満及び/又は糖尿病を治療するのに治療上効果的な量で前記対象に投与することを更に含む、
ことを特徴とする付記33に記載の方法。
【0276】
[付記35]
前記1つ以上の追加の薬剤は、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カスパーゼ阻害薬、カテプシンB阻害薬、CCR2ケモカインアンタゴニスト、CCR5ケモカインアンタゴニスト、塩化物チャネル刺激薬、コレステロール可溶化剤、ジアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ1が含まれる(DGAT1)阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)阻害剤、ファルネソイドX受容体(FXR)アゴニスト、ガレクチン-3阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP1)アゴニスト、グルタチオン前駆体、C型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼ阻害剤、HMG CoAレダクターゼ阻害剤、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD1)阻害剤、IL-1βアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、IL10-アゴニスト、IL-17アンタゴニスト、回腸ナトリウム胆汁酸共輸送体阻害剤、レプチン類似体、5-リポキシゲナーゼ阻害剤、LPL遺伝子刺激剤、リジルオキシダーゼホモログ2(LOXL2)阻害剤、PDE3阻害剤、PDE4阻害剤、ホスホリパーゼC(PLC)阻害剤、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-ガンマアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、Rh関連タンパク質キナーゼ2(ROCK2)阻害剤、ナトリウムグルコーストランスポーター2(SGLT2)阻害剤、ステアロイルCoAデサチュラーゼ-1阻害剤、甲状腺ホルモン受容体βアゴニスト、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)リガンド阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤、トランスグルタミナーゼ阻害剤前駆体、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする付記34に記載の方法。
【0277】
[付記36]
前記1つ以上の追加の薬剤は、アセチルサリチル酸、アリポジーン・チパルボベック、アラムコール、アトルバスタチン、BLX-1002、セニクリビロク、コビプロストン、コレセベラム、エムリカサン、エナラプリル、GFT-505、GR-MD-02、ヒドロクロロチアジド、イコサペントエチルエステル(エチルエイコサペンタエン酸)、IMM-124E、KD-025、リナグリプチン、リラグルチド、メルカプタン、MGL-3196、オベチコール酸、オレソキシム、ペグイロデカキン、ピオグリタゾン、PX-102、レモグリフロジンエタボネート、SHP-626、ソリスロマイシン、チペルカスト、TRX-318、ウルソデオキシコール酸、VBY-376、及びそれらの組み合わせから選択される、
ことを特徴とする付記34又は35に記載の方法。
図1