(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】特許情報の表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20220916BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
(21)【出願番号】P 2021050907
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】521126195
【氏名又は名称】合同会社MODE・CREATE
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康聡
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-345246(JP,A)
【文献】特開2007-087252(JP,A)
【文献】特開2005-032136(JP,A)
【文献】再公表特許第2020/121424(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特許評価データベースを格納する記憶部と、演算部とを有し、前記演算部において実行される特許情報の表示プログラムであって、
ユーザが特許検索システムを利用して取得した公開特許公報の出願番号等の書誌事項を少なくとも含む特許情報と、前記特許情報に対して前記ユーザが付した評価情報と、1件毎に降順に付与されたレコード番号を含む付帯情報とを紐付けた特許評価レコードを、テーマ毎に設定したテーマテーブルに関連付けて前記特許評価データベースに蓄積し、
前記テーマテーブルの中の、同じ出願番号を有する1件以上の特許評価レコードの集合において、最も小なるレコード番号をもつ特許評価レコードを前記集合の代表とするグループ形成処理と、
前記ユーザに指定されたテーマテーブルに関連付けられて蓄積された前記特許評価レコードの一覧を前記ユーザの端末に提示する表示処理と、を実行し、
前記グループ形成処理において、
前記テーマテーブル内で管理される特許評価レコードのグループの代表の出願番号またはパテントファミリーの中の出願番号または公開番号のいずれかと、レコード番号の大なる特許評価レコードの出願番号または公開番号が一致すれば、前記レコード番号の大なる特許評価レコードを前記グループに属する特許評価レコードとして前記グループに組み入れ、
前記表示処理において、
前記特許評価レコードのグループに関しては、前記グループの代表と、前記グループに属する特許評価レコードを前記代表の直下に展開して一覧表示した状態と、前記代表のみを表示して前記グループに属する代表以外の特許評価レコードを表示しない畳込状態と、で切り替えて表示させることで前記グループの特許評価レコードを一塊の特許群として前記ユーザに認識させるように提示する特許情報の表示プログラム。
【請求項2】
前記特許評価レコードの前記付帯情報は、同じレコードグループに属する自身以外の特許評価レコードの参照先を示すレコード・ポインタを有し、
前記グループ形成処理においては、レコードグループの中の最も大なるレコード番号を有する特許評価レコードのレコード・ポインタには予め終端値が書かれ、前記特許評価レコードより大なるレコード番号を有する新しい特許評価レコードが前記グループに追加される際に、前記終端値を前記新しい特許評価レコードの参照先に書き換えることによって前記レコード・ポインタを介した参照処理が継続されて、
前記グループの特許評価レコードを一塊の特許群として表示する請求項1に記載の特許情報の表示プログラム。
【請求項3】
前記表示処理において、前記特許評価データベースに蓄積された複数件の前記特許評価レコードを一覧表示する際は、ユーザの判断に基づく重要度の高い順に降順とする第1の順序で表示し、
前記第1の順序が同一順序であった場合、以下の(1)(2)の少なくともいずれか一方の順序:
(1)出願・権利ステータスが、登録後且つ権利存続中、審査請求、公開、拒絶理由、拒絶査定、登録後且つ権利抹消、の順、
(2)出願・権利ステータスが、登録後且つ権利存続中であって存続期間が長い順、
を第2の順序として前記第2の順序内で降順に、複数件の前記特許評価レコードを一覧表示する請求項1又は2に記載の特許情報の表示プログラム。
【請求項4】
前記表示処理において、
特許出願の出願番号、公開番号及び登録番号を管理番号とし、
複数の前記テーマテーブルの中のユーザに編集または管理権限のあるテーマテーブルにおいて、前記管理番号に含まれる番号のいずれか1つを検索キーに指定して検索が行われた場合、前記検索キーと一致する管理番号を有する特許評価レコードが存在する場合は、前記特許評価レコードを表示し、さらに前記特許評価レコードの出願番号またはパテントファミリーの中の出願番号または公開番号に該当する、自身以外の特許評価レコードが存在する場合は、前記特許評価レコードと前記特許評価レコードの出願番号またはパテントファミリーの中の出願番号または公開番号に該当する自身以外の特許評価レコードを一塊のグループとして一覧表示させる一方で
ユーザに編集または管理権限のある前記テーマテーブル内に前記検索キーと同一の前記管理番号を有する前記特許評価レコードが存在しない場合、検索範囲を全てのテーマテーブルに拡大して前記検索キーと同一の前記管理番号を有する前記特許評価レコードのみを抽出して表示させる、少なくとも2通りの表示方法によって検索対象の特許評価レコードを表示させる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の特許情報の表示プログラム。
【請求項5】
前記表示処理において、
前記ユーザにより選択された複数の前記特許評価レコードに関して前記ユーザにより指定された分析対象軸上の各交点に分析対象の複数の前記特許評価レコードを成す各部分集合の件数を各々可視化して示す分析結果が所定の形式で表示される特許マップを前記ユーザに提示し、
前記分析結果に前記特許評価レコードに含まれる重要度の項目に重要度が高いことが記載された前記特許評価レコードがある場合、前記分析結果に強調効果を加える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の特許情報の表示プログラム。
【請求項6】
前記表示処理において、
別の分析観点に基づく可変分析対象軸を前記所定の形式で表示された特許マップ上に表示し、
前記ユーザによる前記可変分析対象軸の値の変更に合わせて前記特許マップ上の前記分析結果を連動して変化させる請求項5に記載の特許情報の表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の技術テーマとの関連性の下に収集された国内外の第三者の特許公報を、閲覧、評価するデータベースにおいて、個々の特許公報を評価した結果の情報を、複数人で閲覧して情報共有する際に良好な視認性が得られ、第三者特許を評価・監視する実務を効率化するための「特許情報の表示プログラム及び表示方法」に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業の技術部での製品設計や、研究所での研究開発においては、新規に開発する製品や要素技術との関連性が高い他社の国内外の特許公報を調査するために、新規開発案件を過去に遡って調査する遡及調査(テーマ調査、または技術動向調査とも言う)や、SDI(Selective Dissemination of Information)検索等を利用しての、定期的な調査が行われている。
【0003】
当該調査結果を記録し情報共有するための特許管理データベース等の装置が、多くは製造業の自社内で運用する社内システムとして考案されている。当該装置では、技術テーマに関連付けて収集された特許公報と、技術テーマに直接関わる技術者や研究者が当該特許公報を評価した結果を重要度情報としてランク付けして記録し、その情報を関係者間で共有するための、特許公報と重要度情報が検索できるような技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-003183号公報
【文献】特開2009-276884号公報
【文献】特開2007-219574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の特許公報の電子化の進展に伴って、電子データを基盤とする特許検索システムが普及し、国内外の膨大な特許公報が容易に入手可能になり、最近ではAIによる検索機能が追加されるなど当該システムが年々高機能化される一方で、当該システムのユーザである製造業において、調査のために収集した多くの特許公報とこれらを評価した結果を保存するデータベースは、特許公報の収集リストを一覧表示するだけの簡易な機能に留まり、閲覧と情報共有のし易さの点で課題がある。また、SDI等の定期調査によってデータベース上の収録件数が増えてゆくにつれ、管理が一層難しくなる。
【0006】
そもそも、1件の特許公報がもつ情報量は膨大であり、多数の特許公報を評価した個々の結果は、評価担当者が誰か。とか、評価した結果を記録したかどうかという一面的な情報共有だけでなく、重要度などの評価と、その結果に基づく対応策等の情報の記録と共有が重要であるため、収録件数がどれだけ増えても当該情報の記録が視認性よく表示されることで、特許公報とその評価結果を閲覧する評価担当者の負荷が軽減される必要がある。
【0007】
本発明は、このような事情等に鑑みてなされたものであって、自部署で収集し蓄積された自部署の担当製品及び開発技術との関連性が深い特許情報を視認性に優れた方法で適切に管理することができ、担当者の所属組織の内外グループ間で効率的な情報共有が可能でユーザインターフェースに優れた特許情報評価システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における特許情報の表示プログラムの一態様は、特許評価データベースを格納する記憶部及び演算部を有し、当該演算部において実行される特許情報表示プログラムであって、ユーザが特許検索システムを利用して取得した公開特許公報の出願番号等の書誌事項を少なくとも含む特許情報と、当該特許情報に対して当該ユーザが付した評価情報と、1件毎に降順に付与されたレコード番号を含む付帯情報とを紐付けた特許評価レコードを、テーマ毎に設定したテーマテーブルに関連付けて当該特許評価データベースに蓄積し、当該テーマテーブルの中の、同じ出願番号を有する1件以上の特許評価レコードの集合において、最も小なるレコード番号をもつ特許評価レコードを当該集合の代表とするグループ形成処理と、当該ユーザに指定された当該テーマテーブルに関連付けられて蓄積された当該特許評価レコードの一覧を当該ユーザの端末に提示する表示処理と、を実行し、当該グループ形成処理において、当該テーマテーブル内で管理される特許評価レコードのグループの代表の出願番号またはパテントファミリーの中の出願番号または公開番号のいずれかと、レコード番号の大なる特許評価レコードの出願番号または公開番号が一致すれば、当該レコード番号の大なる特許評価レコードを当該グループに属する特許評価レコードとして当該グループに組み入れ、当該表示処理において、当該特許評価レコードのグループに関しては、当該グループの代表と、当該グループに属する特許評価レコードを当該代表の直下に展開して一覧表示した状態と、当該代表のみを表示して当該グループに属する代表以外の特許評価レコードを表示しない畳込状態と、で切り替えて表示させることで当該グループの特許評価レコードを一塊の特許群としてユーザに認識させるように提示する特許情報の表示プログラムである。
【0009】
本発明における特許情報の表示方法の一態様は、ユーザが特許検索システムを利用して取得した公開特許公報の出願番号等の書誌事項を少なくとも含む特許情報と、当該特許情報に対して当該ユーザが付した評価情報と、1件毎に降順に付与されたレコード番号を含む付帯情報とを紐付けた特許評価レコードを、テーマ毎に設定したテーマテーブルに関連付けて表示装置に表示させる特許情報の表示方法であって、当該テーマテーブルの中の、同じ出願番号を有する1件以上の特許評価レコードの集合において、最も小なるレコード番号をもつ特許評価レコードを当該集合の代表とするグループ形成処理と、当該ユーザに指定された当該テーマテーブルに関連付けられて蓄積された当該特許評価レコードの一覧を当該ユーザの端末に提示する表示処理と、を行い、当該グループ形成処理において、当該テーマテーブル内で管理される特許評価レコードのグループの代表の出願番号またはパテントファミリーの中の出願番号または公開番号のいずれかと、レコード番号の大なる特許評価レコードの出願番号または公開番号が一致すれば、当該レコード番号の大なる特許評価レコードを当該グループに属する特許評価レコードとして当該グループに組み入れ、当該表示処理において、当該特許評価レコードのグループに関しては、当該グループの代表と当該グループに属する特許評価レコードを当該代表の直下に展開して一覧表示した状態と、当該グループの代表のみを表示して当該グループに属する代表以外の特許評価レコードを表示しない畳込状態と、で切り替えて表示させることで当該グループの特許評価レコードを一塊の特許群としてユーザに認識させるように提示する特許情報の表示方法である。
【発明の効果】
【0010】
特許情報評価システムに収録された国内外の膨大な特許公報を一覧表示する際に、出願番号とパテントファミリーに基づいて自動的に相互に関連付けがなされて、良好な視認性が得られるため、自部署内での第三者特許を評価・監視する実務が効率化される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の一実施形態によるシステムの全体構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【
図1B】
図1Aのテーマテーブル及び、当該テーマテーブルに収録される特許評価レコードの構成を示す図である。
【
図1C】
図1Bの特許評価レコードを構成する特許情報、評価情報、付帯情報の各構成要素を示す図である。
【
図1D】最重要テーブルの構成と例を示す図である。
【
図1E】テーマテーブルへcsvファイルを読み込む時に、パテントファミリーを構成する特許評価レコードをレコード・ポインタで連結する例を示す概略図である。
【
図1F】
図1Dの最重要テーブルのレコード・ポインタをパテントファミリーの代表として、テーマテーブルの特許評価レコードを連結する例を示す概略図である。
【
図2A】
図1Aに示す、サーバの主な機能の全体の概略を示すフローチャートである。
【
図2B】
図2Aに示す、出願番号等の管理番号で特許評価レコードを検索するフローチャートである。
【
図3A】
図2Aに示す、テーマテーブル内の特許評価レコードを読み出すフローャートである。
【
図3B】テーマテーブル内の特許評価レコードを重要度順に読み出すフローチャートである。
【
図3C】
図1Dの最重要テーブルに記載された特許評価レコードを、
図1Fに示す概略図のように読み出すフローチャートである。
【
図4A】ユーザが特許評価レコードを重要度=「高」に変更し保存した場合のフローチャートである。
【
図4B】「重要度」=「高」の特許評価レコードのステータス等を自動更新するフローチャートである。
【
図5】
図1Eに示す、商用データベースからダウンロードしたcsvファイルを特許評価データベースに読み込むフローチャートである。
【
図6A】
図2Aに示す、リスト表示形式1における表示例である。
【
図6B】パテントファミリーの特許評価レコード群を畳み込みと展開表示の切り替えによって表示する例である。
【
図7A】
図2Aに示す、詳細表示形式1における表示例である。
【
図7B】
図2Aに示す、詳細表示形式2における表示例である。
【
図8A】特許評価レコードの特許マップを出力するためのマップ設定画面の例である。
【
図8B】
図8Aでの設定に基づく、クロス集計結果としての特許マップ(バブルチャート)を出力した表示例である。
【
図9A】
図8Bでの特許マップの例から追加した分析対象軸に基づく表示例である。
【
図9B】
図9Aでの特許マップの例から追加した分析対象軸を可変させた表示例である。
【
図10】
図5に示す、管理画面表示における各機能の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、以下で説明する実施の形態における特許情報の表示プログラム及び表示方法は、国内外のパテントファミリーのグループを優先権を主張する出願の基礎出願番号で関連付けて表示することで、目的をもって収集された特許公報のリスト全体の視認性を改善する。特に本発明を実装する特許情報評価システムにおいて、外国出願が複数の国になされたパテントファミリーの新たな特許公報が当該システムにインポートされると同時に、自動的に当該パテントファミリーのグループの中に配置されることで、すでに評価済みの特許情報を参考に、当該パテントファミリーの新たな特許公報が比較、参照されやすくなる。また、パテントファミリーは、請求項の内容が国による違いのみでその内容がほぼ同じことが多いため、同じパテントファミリーとして当該評価済みの特許公報の知見を活用でき、初見とはならずに評価者の負担を大幅に軽減できる。
【0014】
実施の形態における本発明を実装する特許情報評価システムは、データベースが構成される図示しない記憶部とプログラムを実行する演算部を有するコンピュータ上で特許情報表示プログラムを実行することで実現出来る。以下では、実現方法の一例として、特許情報評価システムについて説明する。なお、当該特許情報評価システムでは、特許情報表示プログラムが実行されるサーバと、特許情報を参照するクライアント端末とにより構成されるものとする。
【0015】
<システム構成>
図1Aは本実施形態の特許情報評価システム1の構成図である。特許情報評価システム1は、社内イントラネット回線4を介して商用データベース2とサーバ3および複数のクライアント端末5によって構成されるWEBシステムである。なお、商用データベース2は特許情報が蓄積された特許検索システムの一例であって、無償で利用可能な公的な特許検索システムを利用することもできる。
【0016】
商用データベース2は、民間の知的財産関連の情報サービス事業会社が運営する国内外の特許公報の検索及び閲覧システムであって、これを利用する企業の社内ネットワークに設置され、または当該情報サービス事業会社の発行する契約IDによるインターネット接続サービスとして、当該企業の社員が実務上のユーザとして利用するものである。
【0017】
本実施の形態では、当該商用データベースに収録されている国内外の特許公報(特許公開公報、特許登録公報等)をcsv(Comma Separated Value)形式等のテキストファイルでダウンロードし、上記ユーザのうち管理者権限を有するユーザによってサーバ3の特許評価データベース30の指定したテーマテーブル31にインポートし、特許評価レコード700として蓄積される。
【0018】
社員ユーザは、クライアント端末5のWEBブラウザにより、サーバ3にアクセスし特許評価データベース30のテーマテーブルに収納された上記特許評価レコードを利用権限に応じて、参照または編集することができる。
【0019】
本実施の形態における特許情報評価システムでは、サーバ3に特許評価データベース30と、データベース管理部33と、表示処理部34とを有する。特許評価データベース30は、ユーザが商用データベース2(または特許検索システム)を利用して取得した公開特許公報の出願番号等の書誌事項を少なくとも含む特許情報710と、当該特許情報に対して当該ユーザが付した評価情報720と、1から始まる正の整数を1件毎に降順に付与されたレコード番号を含む付帯情報730とを紐付けた特許評価レコード700を生成し、テーマ毎に設定したテーマテーブル31に関連付けて当該特許評価データベースに蓄積する。
【0020】
データベース管理部33は、特許評価データベース30のテーマテーブル31の中の、同じ出願番号を有する1件以上の特許評価レコードの集合において、最も小なるレコード番号をもつ特許評価レコードを当該集合の代表とするグループ形成処理を行う。また、データベース管理部33は、当該グループ形成処理において、指定されたテーマテーブルと同一のテーマテーブル内で管理される特許評価レコードのグループの代表の出願番号またはパテントファミリーの中の出願番号または公開番号のいずれかと、レコード番号の大なる特許評価レコードの出願番号または公開番号が一致すれば、当該レコード番号の大なる特許評価レコードを当該グループに属する特許評価レコードとして当該グループに組み入れる。
【0021】
表示処理部34は、特許評価レコードを参照して、ユーザに指定されたテーマテーブルに関連付けられて蓄積された特許評価レコードの一覧を当該ユーザの端末に提示する。
ここで、表示処理部34は、当該特許評価レコードのグループに関しては、当該グループの代表と、当該グループに属する特許評価レコードを当該代表の直下に展開して一覧表示した状態と、当該代表のみを表示して当該グループに属する代表以外の特許評価レコードを表示しない畳込状態と、で切り替えて表示させることで当該グループの特許評価レコードを一塊の特許群としてユーザに認識させるように提示する。
【0022】
以下、特許情報評価システム1の中核機能としてのサーバ3における各部の構成の詳細について説明する。
【0023】
<サーバ>
図1Aに示すように、サーバ3は、特許評価データベース30と、データベース管理部33と、表示処理部34と、更新処理部35と、を備えている。また、図示しないプロセッサ(CPU)、ハードディスクとメモリ、およびサーバ用オペレーティングシステムによって構成され、サーバ3は高いネットワーク性能と安定性を維持している。
【0024】
特許評価データベース30は、N個(Nは自然数)のテーマテーブル31と、当該テーマテーブル毎にユーザ権限(作成、参照、編集、削除)を関連付けて記憶するユーザ定義テーブル32と、を備える。
【0025】
1つのテーマテーブル31は1つの技術テーマに対応するものであって、技術部、開発部、および研究所等における、担当製品や担当技術、研究・開発のテーマに該当するテーマテーブル31に上述のM個(Mは自然数)の特許評価レコード700を収納する。1件の特許評価レコード700は、特許情報710と、評価情報720と、付帯情報730と、を含む。(
図1B)
【0026】
図1Cに示すように、特許情報710には、商用データベース2の特許公報をダウンロードしたテキストからなる書誌的事項である「ステータス」711や「出願番号」712、要約、請求項、等が要素として含まれる。また、評価情報720には、ユーザが当該特許公報を評価した結果を記録する「重要度」721、コメント等が要素として含まれる。さらに、付帯情報730には、1から始まる正の整数を1件毎に降順に付与される「レコード番号」731と、レコードグループを形成するための「レコード・ポインタ」732の要素等が含まれる。当該レコード・ポインタには、同じレコードグループに属する自身以外の特許評価レコードの参照先としての物理アドレスを格納する。
【0027】
図1Eに示すように、当該レコードグループを形成する処理では、テーマテーブルの中の、同じ出願番号を有する1件以上の特許評価レコード700の集合において、最も小なるレコード番号をもつ特許評価レコード700を当該集合の代表として当該レコード・ポインタには予め終端値としてNULLが書き込まれ、当該特許評価レコードより大なるレコード番号を有する新しい特許評価レコードが当該グループに追加される際に、当該終端値(NULL)を当該新しい特許評価レコードの参照先を示す物理アドレスに書き換えると共に当該新しい特許評価レコードのレコード・ポインタには終端値(NULL)が書き込まれる。次なる新しい特許評価レコードが当該グループに追加される都度、当該終端値(NULL)の書き換え処理が行われてレコードグループが形成されてゆく。
【0028】
当該レコードグループを形成する処理により、表示処理においては、当該レコードグループの中で当該レコード・ポインタを介した参照処理が継続的に行われることにより、当該グループの特許評価レコードを一塊の特許群として表示することができる。
【0029】
データベース管理部33は、特許評価データベース30の中核機能を担っており、指定されたテーマテーブルへアクセスして任意の特許評価レコードを取得することができる。その他に、上述した当該商用データベースからダウンロードした国内外の特許公報をcsvファイル形式でデータベースにインポートする機能、本システムの利用ユーザの登録、認証を行うためのユーザ管理機能、当該特許評価データベースの内容をファイルへ出力する機能等を備える。
【0030】
表示処理部34は、ユーザがログインし自身が担当する技術テーマを選択することによって、当該技術テーマに対応するテーマテーブル31に存在する特許評価レコード700の一覧を出力するリスト表示手段34pと、上記ユーザ定義テーブル32に記録されたユーザ権限に応じて特許評価レコード700を参照もしくは編集可能に表示する詳細表示手段34qと、複数件の特許評価レコード700にX軸、Y軸の2つの分析軸を設定し、各分析軸がもつ複数の項目のクロス集計の結果をグラフ化するクロス集計手段34rを備えている。
【0031】
更新処理部35は、特許評価レコード700の評価情報720の要素「重要度」721が「高」、「中」、「低」、「ノイズ」、および「未設定」のうちの、「高」に対応する特許評価レコード700の最新の出願・権利ステータスを、「出願番号」712によって商用データベース2に対して、API(Application Programming Interface)連携、すなわちHTTP/HTTPSベースで要求する。
【0032】
当該商用データベースの特許公報は、出願経過に応じて出願・権利ステータス情報が更新されているため、当該更新処理部が当該出願番号の最新の出願・権利ステータス情報を商用データベース2から取得した時に、変化が生じている場合には当該「重要度」721=「高」の特許評価レコード700の、特許情報710に含まれる「ステータス」711と「権利状態」716を更新する。一例として、「ステータス」711=「公開」または「審査請求」から「登録」への更新、或いは「権利状態」716=「権利存続」から「権利抹消」へ、というように、である。
【0033】
但し、上記API連携による情報取得のためには、当該商用データベースを運営する情報サービス事業会社がサービスの価値向上と市場拡大を目的に、上記のようなAPI連携サービスが用意されることが前提である。また、当該API連携サービスは、当該商用データベースの情報サービス事業会社が当該システムの導入契約を締結した企業に限定して公開され、当該情報サービス事業会社による十分なセキュリティレベルが確保された上で運用されるべきものである。
【0034】
<クライアント端末>
クライアント端末5は、図示しない基本ソフトウェア(オペレーティングシステム)、制御・演算装置(CPU)、記憶装置(メモリ、ハードディスク)、入出力装置(キーボード、マウス、ディスプレイ)、等を備えた、いわゆるパーソナルコンピュータとして構成されている。クライアント端末5は、ユーザ個人のスマートフォンもしくはタブレット端末であってもよい。
【0035】
【0036】
特許情報評価システム1を起動すると
図11に示すログイン画面120が起動し、ログイン画面中のユーザ名入力ボックス121にユーザ名を入力し、かつ、パスワード入力ボックス122にパスワードを入力することで、ユーザがサーバ3にログインする(S000)と、
図6Aに示すようなリスト表示形式1(S101)の様式でリスト表示画面60が表示される。当該リスト表示画面60の上部には、特許評価データベース30にある全てのテーマテーブル31の各々に対応する「技術テーマ」名を記したタブのアイコン60aが横に並べて表示される。
【0037】
ログイン直後は、デフォルトで最も左側に配置されたタブが選択され、さらにリストタブ62aが選択された状態で、当該「技術テーマ」に対応する全特許評価レコードが一覧表示される。ユーザは、リスト表示画面60において、自身が所属するチームにおける担当技術もしくは担当製品に関する技術テーマのタブのアイコンのいずれかをクリックして選択すると、選択された技術テーマに対応するテーマテーブル31内の全ての特許評価レコード700が直ちに一覧表示されてクライアント端末に出力される。(S101)
【0038】
<リスト表示画面>
リスト表示手段34pは、1件の特許評価レコード700を構成する特許情報710と評価情報720に含まれる各要素を1行毎に、各列に表示して全件の特許評価レコードを一覧表示し、クライアント端末5に出力する。
【0039】
図6Aに、リスト表示画面60の例として技術テーマ「システム」に対応するテーマテーブル31に含まれる全ての特許評価レコード700の表示出力例を示す。リスト表示画面60には、特許評価レコード700を選択する「レ」列65aと、パテントファミリーの存在を示す「F」列65bと、ユーザの当該特許評価レコードの評価結果を記録した「重要度」721の内容に基づいて当該「重要度」が各々、「高」=◎、「中」=〇、「低」=△、「ノイズ」=×、というような文字列変換によって「重要度」列65cに出力されている。
【0040】
その他に、「判断」、「出願人」、「ステータス」、「出願番号」、「公開番号」、「特許番号」、「発明の名称」等の、各列の値が表示されている。なお、「発明の名称」以降の他の項目の表示は、横スクロールバーをスライドさせて確認するようにすることもできる。
【0041】
リスト表示画面60には、日本の特許公報の特許評価レコードを表示するタブ61aと外国の特許公報の特許評価レコードを表示するタブ61bがあり、当該2つのタブの切り替え操作によって、日本及び外国の特許評価レコードを切り替え表示するようになっている。
【0042】
さらに、リスト表示手段34pは、後述する、畳み込み表示と展開表示の切り替え制御や、重要度順に降順に一覧表示してクライアント端末5に出力することができる。
【0043】
<詳細表示画面>
一覧表示された特許評価レコード700の中から1件を選択(「レ」表示のある列65aにチェックする)して表示ボタン64aを押下げるか、もしくはダブルクリック等のマウス操作を行うと(S102)、詳細表示手段34qによって、第一の詳細表示形式である詳細表示画面70a(
図7A)を別画面として生成しクライアント端末5に出力する。(S103)
【0044】
ユーザは通常、自身に設定された編集権限のある1つの技術テーマを選択して特許評価レコードの閲覧と編集の作業を行うので、当該詳細表示画面は閲覧と編集の両方が可能な表示様式である。
【0045】
図7Aに示すように、詳細表示画面70aは、特許評価レコード700の特許情報710と評価情報720の内容を表示する。領域72は、評価情報720の構成要素を表示する領域であって、テーマ名や「重要度」フィールドと、ユーザによる「判断」(例えば、「注意」や「保留」や「参考」等)、記入者、記入日等の各フィールドが含まれる。
【0046】
当該「重要度」フィールドは、ユーザ及び製品・技術担当部署の独自の判断が記録された評価情報720の「重要度」721を記録するための入力欄であって、重要度が「高」、「中」、「低」、「ノイズ」、および「空欄(未記入)」等のうちのいずれかが設定される。領域71は、特許情報710の構成要素である、「ステータス」711、「出願番号」712、「公開番号」713、「特許番号」714、「出願日」715、「権利状態」716、「パテントファミリー」717、等を表示する領域である。
【0047】
「パテントファミリー」717で示されるパテントファミリーは、商用データベース2を運営する情報サービス事業会社によって優先権情報が完全に同一である複数の特許出願を“パテントファミリー”とする考え方や、優先権情報が1つでも同じ特許出願を“パテントファミリー”とするなど、考え方に差異はあるものの、対応外国出願(PCT出願を含む)の公開番号もしくは優先権を主張する出願番号などの当該パテントファミリーを構成する情報である。また、当該パテントファミリーには、分割出願も含まれ得る。
【0048】
評価情報720の「コメント」722は、ユーザが評価した結果である「重要度」721や「判断」の経緯や根拠を記した内容であって、「コメント」タブ722の中に表示されてユーザの所属するチームの他のメンバーの理解の一助に供される。隣接するタブには特許情報710を構成する、「要約」、「請求項」や、「FI/CPC」等の情報を分けて記載し、マウス操作によってタブの内容を切り替えて表示することができる。
【0049】
詳細表示画面70aには、その他、上記評価情報720を編集する操作ボタンと編集を終了して画面を閉じるための操作ボタンが配置され得る。
【0050】
<管理画面>
図6A、リスト表示画面60の「管理」タブ69を選択すると、
図10に示す管理画面100に切り替えられる(S001)。商用データベース2からダウンロードした国内外の特許公報は、当該管理画面での操作によって特許評価データベース30にインポートする。その他、ユーザ登録と技術テーマに関連付けてユーザの権限設定を行う処理(S002)、技術テーマ毎、もしくは全技術テーマに相当するテーマテーブルにある全ての特許評価レコードをファイル出力する処理(S003)、等のデータベース管理上の操作が可能である。
【0051】
<特許公報のインポート>
実施の形態における特許情報評価システムでは、特許評価レコードの付帯情報は、パテントファミリーを構成するグループの中の自身以外の特許評価レコードの参照先を示す「レコード・ポインタ」732を有し、データベース管理部33は、当該レコード・ポインタに予め設定された終端値(例えば、NULL)を、新たに追加する特許評価レコードの出願番号又は公開番号が、当該パテントファミリーを構成するグループの代表の特許評価レコードの出願番号またはパテントファミリーの中の出願番号または公開番号のいずれかと一致すれば、当該新たに追加する特許評価レコードの参照先を示す物理アドレスに書き換える。また、表示処理部34では、レコード・ポインタを介した参照処理が続く一連の特許評価レコードを一塊の特許群として表示する。そこで、以下で新たな特許評価レコードを作成する特許公報のインポート処理を説明する。
実際の特許公報の特許情報データベースへのインポートにおいては、
図10に示すように、管理画面100の中の、101の領域にて、テーマテーブル31に対応する技術テーマ名(新規または既存)と、調査種別(定期調査またはテーマ調査)と、調査国(日本または外国)を選択して、商用データベース2からダウンロードしたcsv形式の特許公報リストのファイルを指定してインポートする操作によって、特許公報を特許評価データベースのテーマテーブル31に読み込む処理が開始される。
【0052】
当該インポート処理においては、
図5のフローチャート(S500)に示すように、csvファイルに収納された特許公報1件ごとに新しい特許評価レコードが生成されて当該特許公報1件の内容が特許情報710にコピーされ(S501)、テーマテーブル31に追加される。
【0053】
同時に、当該テーマテーブルにある既存の全ての特許評価レコード700の「出願番号」712または「パテントファミリー」717に含まれる優先権を主張する出願番号もしくは公開番号と、当該新しく追加される特許公報の出願番号または公開番号とが比較・照合される処理が行われる。
【0054】
当該処理において、既存の1番目からM番目までのテーマテーブル内の全ての特許評価レコード(m:m=1~M)の特許情報710の「出願番号」712と、当該新しい特許評価レコード(M+1)の出願番号とを比較する(S502,S503)。同一の出願番号であれば特許評価レコード(m)の付帯情報730の「レコード・ポインタ」732を参照し(S504)、NULLか否かが比較され(S505)、NULLでなければ図示しない物理アドレスであり、当該物理アドレスの示す特許評価レコードを参照する(S506)。
S505:YESとなるまでS504~S506が繰り返され、「レコード・ポインタ」732=NULLが検知されたら当該既存のパテントファミリーを構成する終端であると判定される。
【0055】
次いで、既存の特許評価レコード(m)のレコード・ポインタ732に当該新しい特許評価レコード(M+1)の物理アドレスを代入する(S507)ことによって、特許評価レコード(M+1)が新たなパテントファミリーを構成するものとして認識されることになる。同時に、当該新しい特許評価レコード(M+1)の「レコード・ポインタ」732には当該パテントファミリーの終端を示すNULLが書き込まれる(S508)。
【0056】
また一方、S502,S503の比較処理の結果が否であれば、特許評価レコード(m)の「パテントファミリー」717の中に、当該新しい特許評価レコード(M+1)の出願番号または公開番号の有無が検索される(S509)。
【0057】
検索の結果、当該出願番号または公開番号が含まれていると判断された場合(S510:YES)、パテントファミリーを構成するグループの特許評価レコードであると判断されて、S504に戻って上記同様の処理が行われ当該パテントファミリーのグループの一員となる。含まれていなければNULLを書き込み(S508)、csvファイルに収録された次の特許公報を読み込む。
【0058】
上記一連の処理は、一般的には線形リストと呼ばれる数珠つなぎ状にレコードを連結させるデータ構造を構成する手法であって、特許評価レコード(m)の付帯情報730の「レコード・ポインタ」732の値がNULLでなければ次に参照する特許評価レコード(m)の物理アドレスを示し、NULLであれば当該グループに追加された最後の特許評価レコード(m)を示す終端であると認識される。
【0059】
こうして、
図1Eに示すように、出願番号もしくは優先権を主張する出願番号に対応付けられた一連のパテントファミリーを構成する特許評価レコードを紐づけて記録することができる。
【0060】
<特許評価レコードの読み出しと畳み込み表示>
上述したS500に示す特許公報インポート処理によって、特許評価レコード700が「レコード・ポインタ」732で紐づけられた状態でテーマテーブル31に格納されている。そのため、
図6Aに示すように当該テーマテーブルの特許評価レコード全体を表示する際に、パテントファミリーを構成するグループ単位で読み出してクライアント端末5に表示することができる。
【0061】
上記表示において、テーマテーブル読み出し処理(S200)に示すように、指定されたテーマテーブル31の先頭から順次すべての特許評価レコード700が読み出され(S201)、当該特許評価レコードの付帯情報730の「レコード・ポインタ」732が参照され(S202)、NULLかどうかが評価される(S203)。NULLでなければ当該レコード・ポインタの示す物理アドレスによって特許評価レコードが参照され(S204)、NULLが検知されたときに当該パテントファミリーを構成するグループの終端まで読み出しが終了したと判定して次の特許評価レコードへと処理が移り、テーマテーブル31の特許評価レコード700の全てが読み出されるようになっている。
【0062】
さらに一覧表示におけるパテントファミリーの存在を示すアイキャッチ効果を高めるために、リスト表示手段34pによって、パテントファミリーを構成する特許評価レコードのグループについては、当該グループの代表の特許評価レコードであることを示すマーカー「+」67aを「F」列65bに表示して、当該グループの存在を示す代表と、パテントファミリーを構成する代表以外の特許評価レコードが当該グループに含まれていることを示すようにする。(
図6B)
【0063】
上記の表示方法によって、当該特許評価レコードのグループの代表以外が当該代表の下に畳み込まれていることを視認性良く示すことができ、また当該マーカー「+」をクリック操作すると、当該パテントファミリーを構成するグループが展開されて、当該代表の直下に全ての特許評価レコードが連続して表示される。同時に、パテントファミリーを構成するグループの全ての特許評価レコードが展開された状態であることを示すマーカー「-」67bに切り替わり、直下に展開、表示される残りの特許評価レコードのF列65bにはマーカー「├」67cと、最後の特許評価レコードには終端を示すマーカー「└」67dが表示される。
【0064】
上記のように、パテントファミリーを構成するグループの特許評価レコードの存在を、マーカー「+」67aで示すと共に、当該グループ代表の特許評価レコードのみを表示することによりパテントファミリーの存在を容易に把握することができると共に、表示上のスペースも節約できるので、当該技術テーマの中のパテントファミリーと、その他の特許評価レコードで構成されるテーマテーブル全体への視認性が向上する。
【0065】
本システムにおいては、定期調査の都度、パテントファミリーの存在如何に関わらず日本と外国の特許評価レコードは、各々異なるcsvファイルによって特許評価データベースにインポートされ追加されている。さらに、外国の特許公報は各国で公開時期が異なり、従って同一のcsvファイルに含まれるとは限らず、当該パテントファミリーが時系列的に分散する可能性が高い。
【0066】
その上、当該外国の特許公報が商用データベース2からダウンロード可能な時期も未定である。しかしながら、上述したように優先権を主張する出願番号の特許評価レコードを代表として、公開時期によらず、また当該商用データベースからダウンロードしたcsvファイルの中にパテントファミリーが含まれているかどうかをユーザが気にすることなく、インポートと同時に当該パテントファミリーが含まれていれば直ちに、自動的にパテントファミリーを構成するグループの特許評価レコード同士を紐づけることが可能である。
【0067】
上記処理によって、新規に追加された特許評価レコードがいずれかのパテントファミリーのレコードグループであった場合、当該レコードグループを展開して表示することによって個々の特許評価レコードの「重要度」721等の記入状況がわかるので、ユーザが当該新規の特許評価レコードを評価する際は、請求項の内容を同じくする特許情報710を有する特許評価レコードにおいては、当該記入済の「重要度」を参考にすれば当該新規の特許評価レコードの評価作業の負荷を著しく軽減することができる。
【0068】
また、日本特許と外国特許の特許評価レコード700は、同じテーマテーブル31に収録され、リスト表示画面60においては、タブ61aと61bに分けて日本特許と外国特許を別々に閲覧できるようにしているが、ユーザにとり、わざわざ「日本」タブ61aと「外国」タブ61bとタブの切り替え操作によって一覧表示を切り替え、パテントファミリーを出願番号等で検索して探す手間から解放される上に、評価を行うユーザにとって既に評価済みのパテントファミリーの存在に気づかないまま初見として扱う無駄な工数を省くことができる。
【0069】
<パテントファミリーを構成するグループの代表>
上述したように、リスト表示画面60の日本タブ61aでの表示方法の一例として、パテントファミリーのグループを構成するのは、当該特許公報の出願番号を同じくする特許公報や分割出願の特許公報(公開公報、登録公報)に加えて、日本を第一国として優先権を主張する出願番号を有する外国の特許公報が含まれる。その中で、67aと67bで畳み込みと展開の表示の切り替えを行っても常時表示されている特許評価レコードがグループの代表である。
【0070】
特許評価レコードの付帯情報730の「レコード番号」731は上述のようにテーマテーブル31に記録される度に1ずつ繰り上がり、csvファイルから当該テーマテーブルに特許公報を読み込む都度、S200のフローチャートに従ってレコード番号の降順に処理が実行されるため、代表となるのはパテントファミリーの中で最も小なるレコード番号をもつ特許評価レコードである。そのため、同じ出願番号の特許公報では、「ステータス」711が「審査請求」や「登録」よりも時系列的に早い「公開」の特許評価レコードが当該パテントファミリーのグループの代表になり得、出願第二国以降の特許評価レコードもテーマテーブルに収録され次第、当該グループを構成する。
【0071】
一方、外国タブ61bでの表示方法は、代表となるのは、本来、優先権を主張する出願番号と同一の出願番号をもつ特許評価レコードであるべきだが、先に当該テーマテーブルに読み込まれた特許評価レコードが、レコード番号がより小なるがゆえにパテントファミリーを構成するグループの代表になることは、csvファイルを読み込む時系列的な順序によっては起こり得る。
【0072】
<重要度順に読み出して一覧表示>
実施の形態における特許表示システムでは、表示処理部34は、特許評価データベース30に蓄積された複数件の特許評価レコードを一覧表示する際は、ユーザの判断に基づく重要度の高い順に降順とする第1の順序で表示する。また、表示処理部34は、第1の順序が同一順序であった場合、以下の(1)(2)の少なくともいずれか一方の順序:
(1)出願・権利ステータスが、登録後且つ権利存続中、審査請求、公開、拒絶理由、拒絶査定、登録後且つ権利抹消、の順。
(2)出願・権利ステータスが、登録後且つ権利存続中であって存続期間が長い順。
を第2の順序として当該第2の順序内で降順に、複数件の特許評価レコードを一覧表示する。
特許評価レコード700の評価情報720の要素「重要度」721の内容には、当該技術テーマを担当するユーザによって個々の当該特許評価レコードを評価した結果として「高」、「中」、「低」、「ノイズ」、および「空欄(未評価)」のいずれかが記録されている。さらに、「ステータス」711=「登録」、「権利状態」716=「権利存続」に設定された特許評価レコード700について、ユーザが当該特許評価レコードを評価し、「重要度」721を「高」に設定もしくは変更して編集を終了した場合、
図1Dに示す最重要テーブル31Aに当該特許評価レコード700の「出願番号」712と「出願日」715と図示しない物理アドレスが、各々「出願番号」741、「出願日」742、「レコード・ポインタ」743に転記されて出願日の若い順にソートされて記録されるようになっている。
【0073】
全件の特許評価レコード700の読み出し処理においては、フローチャートS220に示すように、リスト表示手段34pによって「重要度」721が「高」、「中」、「低」、「ノイズ」の順番で、当該「重要度」=「高」から降順に読み出されて、リスト表示画面60に一覧表示される。はじめに当該「重要度」=「高」かつ「ステータス」711=「登録」かつ「権利状態」716=「権利存続」の特許評価レコードの情報が記録された最重要テーブル31Aより「出願日」742の若い順、すなわち権利の存続期間が長い順に特許評価レコードが読み出される(S240)。
【0074】
フローチャートS240の特許評価レコード読み出し処理においては、最重要テーブル31Aの「レコード・ポインタ」743に記録された、図示しない特許評価レコードの物理アドレスを参照して、当該特許評価レコードを読み出す(S241)。
【0075】
次いで、当該特許評価レコードの付帯情報730の「レコード・ポインタ」732が参照され(S242)、NULLか否かが比較され(S243)、NULLでなければパテントファミリーのグループを構成する特許評価レコードの物理アドレスを示し、当該物理アドレスによって特許評価レコードが読み出される(S244)。NULLが検知されたときに当該パテントファミリーのグループを構成する終端まで読み出しが終了したと判定して、次の最重要テーブル31Aを読み出す。こうしてS242~S244をNULLが検出されるまで繰り返すことで、
図1Fの概略図に示すように、当該最重要テーブルに記載の特許評価レコードを一連のパテントファミリー込みで読み出すことができる。
【0076】
次に、「重要度」721=「高」の特許評価レコード全てについて(S221)、「ステータス711と権利状態712」の組み合わせが「審査請求:-」、「公開:-」、「拒絶理由:-」、「拒絶査定」または「登録:権利抹消」の順番により降順に読み出される。すなわち、「ステータス」711が「審査請求」について読み出され(S222、S200)、次に当該「ステータス」が「公開」について読み出され(S223、S200)、次に当該「ステータス」が「拒絶理由」について読み出され(S224、S200)、次に残りの特許評価レコード全てが読み出される(S225、S200)。
【0077】
次いで、重要度が「中」の特許評価レコード700について読み出され(S226、S200)、次に重要度が「低」について読み出され(S227、S200)、最後に重要度が「ノイズ」について読み出されるようになっている(S228、S200)。また、「重要度」=「高」かつ「ステータス」711=「登録」かつ「権利状態」716=「権利存続」の特許評価レコードは、残存年数に応じて色を分けて表示してもよく、例えば、残存年数が10年以上のものが赤色、5~9年のものがオレンジ色、2~4年のものが黄色で表示する。あるいは、残存年数に応じて、同色(例えば赤色)の濃淡により色分けがなされてもよい。
【0078】
<最重要テーブルの更新(1)>
図4Aのフローチャートに示すように、ユーザが詳細表示形式1の画面(S103)より特許評価レコードを評価し、「重要度」721を「高」として編集を終了し保存(S401)すると、当該特許評価レコードの「ステータス」711が「登録」かどうか(S402)、さらに「権利状態」716が「権利存続」かどうか、が評価される(S403)。共にYESならば最重要テーブル31Aに当該特許評価レコードの「出願番号」712と「出願日」715が各々当該最重要テーブルの「出願番号」741と「出願日」742にコピーされ、当該特許評価レコードの物理アドレスが「レコード・ポインタ」743にコピーされ、さらに、「出願日」742の若い順にソートされて記録される(S404)。
【0079】
<最重要テーブルの更新(2)>
実施の形態における更新処理部では、特許評価レコード700の特許情報710に含まれる、出願・権利ステータス情報を、「出願番号」712に基づいて商用データベース2から定期的に参照、取得して、出願・権利ステータス情報が変更されていれば、当該特許評価レコードの当該特許情報に含まれる、出願・権利ステータス情報を更新する。当該出願・権利ステータス情報を更新する処理について、以下で具体的に説明する。
【0080】
商用データベース2では収録される特許公報の出願・権利状態が随時更新されている。
そのため、特許評価データベース30に当該csvファイルをインポートした時点で、テーマテーブル内の特許評価レコード700の「ステータス」711と「権利状態」716が、当該商用データベースでの対応する特許公報の出願・権利状態が時間の経過とともに乖離していくという問題が生ずる。
【0081】
更新処理部35は、この問題を解消するため、週に1回程度、定期的に商用データベース2に対してAPIプロトコルでアクセスする機能を備え、特許情報710の「重要度」721が「高」の特許評価レコードについて、「出願番号」712をキーにして、当該商用データベースから最新の経過情報を取得することにより、当該特許評価レコードの特許情報710の「ステータス」711と「権利状態」716の内容を更新する。
【0082】
上記処理についてはフローチャートS410に示すように、当該商用データベースとの間で認証プロセス(S411)を行った後、「重要度」721が「高」の特許評価レコードについては、「出願番号」712を取得し(S412)、当該商用データベースに対して当該「出願番号」に対応する最新のステータスと権利状態を問い合わせるAPIプロトコルを送信する(S413)。
【0083】
次いで、当該商用データベースからの応答を受信すると(S414)、当該特許評価レコードの「ステータス」711と「権利状態」716が、受信されたステータス及び権利状態と比較され(S415)、例えば「ステータス」711が「公開」や「審査請求」で、当該受信されたステータスが「登録」である場合(S416)、当該特許評価レコードの「出願番号」712と、「出願日」715と、図示しない当該特許評価レコードの物理アドレスを、それぞれ、出願番号741、出願日742、レコード・ポインタ743として、最重要テーブル31Aに新規に追加され、同時に、権利期間が長い順に降順に最重要テーブル31Aに配列するために、当該最重要テーブルの「出願日」742が比較され、若い順にソートされる(S417)。
【0084】
一方、S415の結果、権利状態716が「権利存続」に対して受信された権利状態が「権利抹消」の場合(S418)、当該特許評価レコードの「出願番号」712に該当する、最重要テーブル31Aに記録された情報を1件抹消し、当該最重要テーブルの出願日が比較されて若い順にソートされる(S419)。この結果が自動的に、リスト表示画面60の一覧表示と、詳細表示画面70aに反映されるため、「重要度」721要素が「高」の特許評価レコードの最新のステータスと権利状態について、編集を担当したユーザと、ユーザの所属部署の同じ技術テーマを担当するメンバーの誰がいつ閲覧しても最新の特許評価レコードの出願・権利状態を確認することができる。
【0085】
また、重要度の如何に関わらず、ユーザが商用データベース2上で出願番号等による経過監視設定を行う手間や、経過情報を当該ユーザが当該商用データベースから受信する度に、当該特許評価レコードを編集して手動で反映する手間を省くことができるので、特許評価データベース上での特許監視業務の大幅な効率化が実現される。なお、商用データベース2では出願・権利状態が新規に登録に変わる際に特許番号が付与されるので、更新対象に特許情報710の「特許番号」714も含まれてよく、空欄であった当該「特許番号」に新たに番号が記録されることになる。同様に、新規に外国出願が公開される等、パテントファミリーに関する情報も随時更新されるので、「パテントファミリー」717も更新対象に含まれ得る。
【0086】
<検索モード:管理番号で検索>
実施の形態における表示処理部34は、特許情報710の「出願番号」712、「公開番号」713及び「特許番号」714を管理番号とし、複数のテーマテーブルの中のユーザに編集または管理権限のあるテーマテーブルにおいて、当該管理番号に含まれる番号のいずれか1つを検索キーに指定して検索が行われた場合、当該検索キーと同一の管理番号を有する特許評価レコードを抽出して表示する。さらに当該特許評価レコードの「出願番号」712または「パテントファミリー」717に記録された出願番号または公開番号に一致する、出願番号または公開番号を有する特許評価レコードを含めて一塊のグループとして一覧表示させる。一方でユーザに編集または管理権限のあるテーマテーブル内に当該検索キーと同一の管理番号を有する特許評価レコードが存在しない場合、検索範囲を全てのテーマテーブルに拡大して検索キーと同一の管理番号を有する特許評価レコードのみを抽出して表示させる。表示処理部34における当該2つの表示方法によって検索対象の特許評価レコードを表示させる処理について具体的に以下で説明する。
【0087】
ユーザが担当し編集権限を有する技術テーマにおいて、リスト表示画面60(
図6A)にある、検索タブ62bをクリックすると検索モードに切り替える(S104)ことができる。当該検索モードでは、
図2B、フローチャートS300に示すように、出願番号(または公開番号か特許番号)を入力窓62b1に入力し検索ボタン62b2を押下げると、当該出願番号を特許情報710に含む特許評価レコード700を検索する。
【0088】
まず、当該技術テーマに対応するテーマテーブル31の中から当該特許評価レコードの存在の有無が確認され(S301)、存在する場合は62b3のメッセージと共に該当する特許評価レコードと共に、パテントファミリーを構成するグループの特許評価レコード全てを、リスト表示形式1で出力する(S302、S303、S304、S305)。当該リスト表示画面60の表示より、閲覧する特許評価レコードを選択して表示ボタン64aを押下げる(S102)と、ユーザが編集可能な第一の詳細表示形式である詳細表示画面70aを別画面として生成しクライアント端末5に表示する。(S103)
【0089】
一方、当該テーマテーブル内には存在しない場合、他のテーマテーブルでの存在の有無が確認され(S306)、存在する場合は62b4のメッセージを表示して、該当するテーマテーブルに対応する「技術テーマ名」と共に当該特許評価レコードのみをリスト表示形式2で出力する。(S307、S105)当該リスト表示形式は、
図6Dに示すように、「重要度」列65cに当該特許評価レコードが収録された「技術テーマ名」62b5を明示する表示形式である。
【0090】
リスト表示形式2より閲覧する特許評価レコードを選択して表示ボタン64aを押下げる(S106)と、
図7Bに示す第二の詳細表示形式である詳細表示画面70bを別画面に生成してクライアント端末5に出力する。(S107)詳細表示画面70bは、ユーザが編集権限を有しないために評価情報が変更不可であることを示すように、評価情報720に該当する領域72と、コメント722がグレーアウトされ、上記詳細表示画面70aとは一目で異なることがわかるような表示形式となっている。
【0091】
当該表示形式により、ユーザの編集権限外のテーマに属する特許評価レコードであることが一目瞭然に示され、一方で当該ユーザの担当テーマとは異なるテーマにも関わらず、他のユーザによって重要度の記入やコメント欄への記録があれば当該記録を参照できるので、上位組織を同じくするユーザ間において思わぬ情報の発見につながる可能性がある。
【0092】
さらに、特許評価データベース30のいずれのテーマテーブル31にも存在しない場合、上記検索入力窓62b1に入力された出願番号を基に、商用データベース2のサービスマニュアルに示された規定等に準拠するURLプロトコルを詳細表示手段34qが生成して当該商用データベースに送信し(S308)、目的の特許公報が存在すれば当該商用データベースの独自フォーマットもしくはPDF表示等による様式で別画面に生成してクライアント端末5に表示する。(S309)
【0093】
このように、特許評価データベース30に存在しない出願番号に該当する特許評価レコードであっても、商用データベース2に収録される国内外の膨大な特許公報へのアクセスが可能となり、都度、出願番号(または公開番号か、特許番号)を基に特許公報を調べるために、商用データベースを立ち上げて操作し直す必要がなくなる。
【0094】
<特許マップ表示>
実施の形態における表示処理部34は、ユーザにより選択された複数の特許評価レコードに関してユーザにより指定された分析対象軸上の各交点に当該特許評価レコード群を成す各部分集合の件数をそれぞれ可視化して示す分析結果が所定の形式で表示される特許マップをユーザに提示し、分析結果に特許評価レコードに含まれる重要度の項目に重要度が高いことが記載された特許評価レコードがある場合、分析結果に強調効果を加える。この表示処理部34の処理について具体的に以下で説明する。
【0095】
リスト表示画面60(
図6A)の一覧表示された特許評価レコードを「レ」列65aにて複数件選択するか、全ての特許評価レコードを選択する全選択ボタン64bを押下げて、MAPボタン64cを押下げると、
図8Aに示すようなマップ設定画面110が表示される(S108)。
【0096】
ここで、特許マップとは、複数の特許情報の母集団における1件毎の特許情報に帰属する、出願人や発明者、出願番号、等の情報や、FI、Fタームなどの特許分類の情報から、これらに合致する件数を統計的に集計し、図形やグラフで当該件数を図示するものである。当該マップ設定画面において、マップ選択111で当該マップの種類を選択し、設定項目112及び113で各々X軸、Y軸を、各々図示されないプルダウンメニューより入力する。
【0097】
設定項目「X軸」112は、筆頭FI、Fターム、IPC、出願番号、中分類、等のプルダウンメニューから選択でき、設定項目「Y軸」113は、同様のプルダウンメニューから出願人、発明者、等が選択でき、各々選択してOKボタン114を押下げると、クロス集計手段34rによって
図8Bに示すような特許マップ画面80が表示される(S109)。
【0098】
図8Bに示す当該特許マップの例は、X軸に特許情報710の要素「FI」から抽出した筆頭FI、Y軸に特許情報710の要素「出願人」を設定して、特定の筆頭FIと、特定の出願人に該当する特許評価レコードの件数を集計して円の大きさで表した可視化要素81が、XY二次元座標に対応する各々の位置に1つずつ割り当てられて配置されている。
【0099】
ここで、当該クロス集計手段34rは、「重要度」721=「高」である特許評価レコード700が含まれる対象のX軸:「筆頭FI」とY軸:「出願人」に対応する座標にある可視化要素81の示す領域内に、当該重要度が「高」の存在を示す点状のマーカー82を表示させる。点状のマーカーは、例えば、その周囲との間に大きな色彩的コントラストが生じるような、ドットまたは図形である。また、該当する可視化要素81の領域の輪郭を太くするもしくは、領域全体を別の色彩的コントラストで強調して表示すれば、当該重要度が「高」である特許評価レコード700だけでなく、当該可視化要素の示す領域に含まれる他の特許評価レコードへの注意喚起も強調される。また、当該領域を特許マップ画面80全体の中での他の領域との比較もしやすくなる。
【0100】
例えば、当該技術テーマ内に自社の出願案件も含まれ、当該特許マップを表示するための特許評価レコードの母集団に設定していれば、マーカー82で示された重要度が「高」である特許評価レコード700の存在する領域を示す可視化要素81と、自社の出願領域を示す別の可視化要素81との比較がより明確化されるため、自社の特許出願戦略の一助となり得る。
【0101】
また、当該点状のマーカーの箇所から引き出し線により「公開番号」713、「特許番号」714等の文字列83を表示させるか、もしくはマウスのポインタ表示をのせることで、当該文字列をポップアップで表示させるようにして、点状のマーカー82と文字列83を関連付けて、当該マーカーの示す重要度=「高」の情報をより具体的に示すことができる。
【0102】
さらに、更新処理部35によって商用データベース2から最新の経過情報が取得されることで、重要度「高」の特許評価レコード700における「ステータス」711が「審査請求」から「登録」に変わったときに、「重要度」721=「高」の特許情報であることを示すマーカー82に対応して、文字列83も当該「公開番号」713から「特許番号」714の表示に変わるように連動して反映することもできる。
【0103】
また、マップの可視化要素81の該当円をクリックすることで、該当する領域に属する特許評価レコード700のみをリスト表示画面60に一覧表示するようにしてもよい。また、特許マップの種類選択において、マップ設定画面110のマップ選択111から「濃淡チャート」を選択して表示した場合、可視化要素81はX座標とY座標の交点を中心とする矩形で示され、当該矩形に占める件数がグレースケール等の同色の濃淡で示されることになる。
【0104】
<マップアニメーション>
実施の形態における表示処理部34は、別の分析観点に基づく可変の分析対象軸を上記、所定の形式で表示された特許マップ上に表示し、ユーザによる可変分析対象軸の値の変更に合わせて当該特許マップ上の分析結果を連動して変化させる。以下では可変分析対象軸として出願年を用いた例について説明する。
【0105】
図9Aに示すように、X軸、Y軸に加えて「出願年」を追加の分析対象軸とするスイッチ91をオンにして、スライダ92を表示させる。当該スライダによって当該「出願年」の範囲を変更することで、当該範囲に含まれる特許評価レコード700による可視化要素81の大きさが連動して変わるように、特許マップをアニメーションのように動的に変えるように表示する(S110)ことで、より視覚的に印象付ける効果をもたらすことができる。
【0106】
クロス集計手段34rは、スライダ92の操作と連動するかのごとく全ての可視化要素81と、重要度が高い案件の含まれる可視化要素81とマーカー82の表示のオン/オフと、当該可視化要素81の示す領域の輪郭の強調表示を変えることができる。
【0107】
具体的には、例えば、
図9Aに示すように、出願年を1999~2006年に設定した場合、特許マップ上の最も右上の可視化要素81には、マーカー82は表示されないが、これに対し、出願年を1999~2015年に設定した場合、当該マップ上の最も右上の可視化要素81に、マーカー82が表示される。
【0108】
このことは、二次元マップ上の最も右上の可視化要素81に対応する出願人・筆頭FIにて、出願年が2007~2016年の間に出願された、「重要度」=「高」に付与された特許評価レコードが存在することを示している。
【0109】
このように、マップ表示Mを出願年等で動的に変えることで、マップの成長度合いをアニメーション的に描画することができ、重要度が高い案件の含まれる可視化要素81の示す技術領域における開発動向や他社の市場参入状況を、ユーザ以外のチームメンバーや経営層に対してより印象的に伝えることができる。
【0110】
<変形例:構成>
複数のクライアント端末5のうちの1つが社外の特許調査会社の端末であってもよい。例えば、特許調査(テーマ調査、定期調査)の依頼元である企業との信頼関係に基づいてネットワークへのアクセス権が付与されている特許調査会社に対して、当該特許調査会社に所属するサーチャーが上述の商用データベース2からダウンロードした特許公報を利用者ユーザの特許評価データベース30へ直接インポートすることで、例えば、従来のcsvファイルもしくはExcelファイルをメールに添付しての調査結果を当該依頼元企業へ納品していた場合、当該納品に伴う事務作業が要らなくなり、特許評価データベース管理者の負荷が大幅に軽減され得る。
【0111】
また、本実施の形態を構成する特許評価データベース30は、商用データベース2に拡張される機能でもよい。例えば、当該商用データベースのオプション機能としてリスト表示手段34pによるリスト表示画面60等が提供されることにより、技術部または研究所における技術者、研究者にとっての担当製品・技術との関連性ある特許情報を視認性の優れた情報共有ツールとして、チームのメンバーや、チームの上位組織内メンバー間の情報共有をより深化させる付加価値の高いサービスとなり得る。
【0112】
また、特許評価データベース30やデータベース管理部33等の当該システムの中核を成す高度なセキュリティが求められる部分を自社内に用意された物理サーバであるオンプレミス環境もしくはプライベートクラウドの仮想サーバ環境において、表示処理部34や更新処理部35を各クライアント端末のアプリケーションプログラムとして実装したり、またはパブリッククラウドの仮想サーバにアプリケーションとして設置するなど、サーバ3を分ける構成も考えられる。
【0113】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0114】
1 特許情報評価システム
2 商用データベース
3 サーバ
30 特許評価データベース
31 テーマテーブル
31A 最重要テーブル
32 ユーザ定義テーブル
33 データベース管理部
34 表示処理部
35 更新処理部
4 LAN
5 クライアント端末
60 リスト表示画面
70 詳細表示画面
80、90 特許マップ画面
100 管理画面
110 マップ設定画面
【要約】
【課題】商用データベースから収録した特許情報を従来よりも視認性良く表示し、情報共有と管理が効率良く行える「特許情報の表示プログラム及び表示方法」を提供すること。
【解決手段】商用データベース2からダウンロードした特許公報のcsvファイルをサーバ3の特許評価データベース30に設けられた複数のテーマテーブル31ごとに読み込んで、当該テーマテーブルに対応する技術テーマに関連した国内外の特許公報を収録し当該特許公報を評価して特許評価レコード700を記録する特許情報評価システム1において、当該特許公報を出願番号もしくは優先権を主張する出願番号と紐づけることにより、国内外のパテントファミリーとして一塊のグループとして表示することで、当該技術テーマ内に収録された当該特許公報の全体の一覧表示における視認性を向上する。
【選択図】
図1A