(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】屋上用風車の支持枠体及び縦軸風車
(51)【国際特許分類】
F03D 13/20 20160101AFI20220916BHJP
F03D 3/06 20060101ALI20220916BHJP
F03D 9/34 20160101ALI20220916BHJP
【FI】
F03D13/20
F03D3/06 F
F03D9/34
(21)【出願番号】P 2021072945
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2021-04-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508191835
【氏名又は名称】株式会社グローバルエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政彦
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】小川 恭司
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-291868(JP,A)
【文献】特開2017-66878(JP,A)
【文献】中国実用新案第203394685(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化合成樹脂により複数の支柱と上下の横枠体で支持枠体を形成し、前記各横枠体は、発電機支持部を中央に形成した主枠体
と支持桟と短柱体及び、前記各発電機支持部における発電機とからなり、ボルト孔を備えた外向フランジを上下端部に形成した複数の
前記短柱体で
前記主枠体を水平に支持
し一体に形成され、前記各短柱体は、その上下の端面
中央に嵌合穴を形成し、前記各支柱は、上下端部にそれぞれ前記短柱体の外向フランジ
に設けられたボルト孔と合うボルト孔を備えた外向フランジを形成するとともに、前記各支柱の上下
端面には、前記横枠体における各短柱体の前記嵌合穴と嵌合可能な嵌合突体をそれぞれ形成し、前記横枠体の1個を平置して前記各短柱体の上に、それぞれ前記支柱を重ね、該
各支柱の下向きの前記嵌合突体を前記短柱体の上部の前記嵌合穴に嵌合させ、前記各支柱の下部の前記外向フランジのボルト孔と、前記短柱体の上部の前記外向フランジのボルト孔とを合わせてボルトで締結し、前記各支柱上部の上に配置する、別の横枠体の前記各短柱体の下面の前記嵌合穴に、前記各支柱上部の前記嵌合突体を嵌合させて、重なり合った前記各支柱と前記短柱体の前記各外向フランジ同士をボルトで締結し、前記下部の横枠体における前記各短柱体の前記下部の外向フランジ部分を屋上に固定するようにし、前記上部の横枠体の前記発電機支持部と前記下部の横枠体の前記発電機支持部にそれぞれ同型式の発電機を配設し、該上下の発電機における各回転軸間に、縦軸ロータの縦主軸を同心状に連結
し、該縦主軸を軸受で支持しないようにし、前記支持枠体を屋上に取付けるための取付治具の基盤上面に、前記横枠体の各短柱体における前記嵌合穴と嵌合可能な嵌合突体を形成するとともに、前記短柱体における前記外向フランジに形成されたボルト孔と合う位置にボルト孔を形成し、前記基盤上に前記支持枠体を配設し、該支持枠体の下部の横枠体の各短柱体下面における前記嵌合穴を、その下面における前記基盤に形成された嵌合突体に嵌合させ、前記基盤に形成されているボルト孔に、前記各短柱体の外向フランジにおけるボルト孔からボルトを挿入締結し、前記取付治具を屋上に固定するようにしてなることを特徴とする屋上用風車の支持枠体
及び取付治具。
【請求項2】
前記支持枠体の上下部の横枠体における前記各短柱体の上下に形成された外向フランジの直径は前記各短柱体の主柱部の直径の2倍以上に形成され、前記各横枠体の前記各発電機支持部には、それぞれ同型式の発電機を配設し、上部の発電機支持部に配設した発電機の底部から回転軸を下向きに突出させ、前記下部の横枠体の前記発電機支持部に配設した発電機の上面から回転軸を上向きに突出させ、前記上下の発電機の上下で対向する回転軸の先端面に前記縦軸ロータの前記縦主軸の上下端面を当接して接続
部を介して連結されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の屋上用風車の支持枠体
及び取付治具。
【請求項3】
前記支持枠体における前記各支柱は中空体とし、該各支柱の上下端部から高さの中心へかけて、太さの径を次第に大きくして高さの中心部に大径部を形成し、該大径部は前記各支柱の上下端部の太さの直径より20%~50%の範囲で大としてなり、前記各支柱の上下端部に形成された外向フランジの直径は、前記各短柱体の主柱部の直径の2倍以上に形成された前記各短柱体の外向フランジの直径に合わせて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋上用風車の支持枠体
及び取付治具。
【請求項4】
強化合成樹脂成型によ
る上下の横枠体と複数の支柱とで
、支持枠体を形成し、前記上下の横枠体は、それぞれ
主枠体と、複数の支持桟
と、前記主枠体を支持する複数の短柱体と、前記複数の支持桟により
主枠体の中央部に
支持固定される発電機支持部
における同型の発電機とからなり、
前記
主枠体の外向先端部は、それぞれ上下端部に
ボルト孔を備えた外向フランジを
形成した短柱体で支持され、該各短柱体の上下端面
中央部にはそれぞれ嵌合穴が形成され、前記各支柱は、上下端部に前記短柱体の外向フランジと合わせた外向フランジが
ボルト孔を備えて形成され、かつ
前記各支柱の上下端面には前記短柱体の嵌合穴と嵌合可能な嵌合突体が突設され、下部に配した前記横枠体の前記各短柱体の上面の嵌合穴に、前記各支柱下面の嵌合突体を嵌合させて、当接し合っている前記各支柱の下部の外向フランジと前記各短柱体の上部の外向フランジをボルト結合させ
て連結し、前記各支柱の上端における各嵌合突体に、上部から配置する上部の横枠体における前記各短柱体の下面の嵌合穴を嵌合させて、当接し合っている前記各支柱の上部の外向フランジと前記各短柱体の下部の外向フランジをボルト結合させ
て連結し、
前記上下の発電機支持
部の発電機
における上部の発電機の回転軸は底から下向きに下向回転軸を突出させ、下部の発電機の回転軸は上向きに上向回転軸を突出させ、前記下向回転軸と前記上向回転軸のそれぞれの端面間に、前記支持枠体に配設される縦軸ロータにおける縦主軸の上下端面を当接して接続部で同心状に接続
し、該縦主軸を軸受で支持しないようにしてなることを特徴とする縦軸風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の屋上に風車を設置するための屋上用風車の支持枠体及び縦軸風車に関する。
【背景技術】
【0002】
小型風力発電装置は、例えば特許文献1に記載されているような、縦軸風車を使用したものが一般的に使用されている。
これはプロペラ式と比較して、風向きの変化に対して、全方向からの気流に即時対応して回転することが出来、回転効率が高いためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型風力発電装置の用途としては、発電量が限られるために、必然的に自家用として注目され、自家用としては住宅用というよりも、工場や店舗用として大きな期待がもたれている。そこで問題となるのは、風況と設置場所であり、これが大きなネックとなっている。
風況については、人家の少ない所はともかく、都会では風況のよい所を探すことは困難で絶望的とさえいえる。当然に設置場所を探すことが困難である。
しかし都会において注目されているのが、工場や住宅、店舗の屋上である。この屋上は風通しがよく、場所も広いことが魅力となっている。
ここで大きな問題となっているのが、装置全体が重くて、台風などにおいて屋上で耐えられるかという点と、回転振動が屋根を通して屋内に伝わるという点である。装置全体が重いのは、ロータの支持枠体を頑丈に金属で形成しているためで、ロータよりも支持枠体の方が重い。
本発明は、これらの点に鑑みて、支持枠体を軽量化し発電装置全体を屋上に配設可能に軽くする屋上用風車の支持枠体及び縦軸風車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
【0006】
(1) 強化合成樹脂により複数の支柱と上下の横枠体で支持枠体を形成し、前記各横枠体は、発電機支持部を中央に形成した主枠体と支持桟と短柱体及び、前記各発電機支持部における発電機とからなり、ボルト孔を備えた外向フランジを上下端部に形成した複数の前記短柱体で前記主枠体を水平に支持し一体に形成され、前記各短柱体は、その上下の端面中央に嵌合穴を形成し、前記各支柱は、上下端部にそれぞれ前記短柱体の外向フランジに設けられたボルト孔と合うボルト孔を備えた外向フランジを形成するとともに、前記各支柱の上下端面には、前記横枠体における各短柱体の前記嵌合穴と嵌合可能な嵌合突体をそれぞれ形成し、前記横枠体の1個を平置して前記各短柱体の上に、それぞれ前記支柱を重ね、該各支柱の下向きの前記嵌合突体を前記短柱体の上部の前記嵌合穴に嵌合させ、前記各支柱の下部の前記外向フランジのボルト孔と、前記短柱体の上部の前記外向フランジのボルト孔とを合わせてボルトで締結し、前記各支柱上部の上に配置する、別の横枠体の前記各短柱体の下面の前記嵌合穴に、前記各支柱上部の前記嵌合突体を嵌合させて、重なり合った前記各支柱と前記短柱体の前記各外向フランジ同士をボルトで締結し、前記下部の横枠体における前記各短柱体の前記下部の外向フランジ部分を屋上に固定するようにし、前記上部の横枠体の前記発電機支持部と前記下部の横枠体の前記発電機支持部にそれぞれ同型式の発電機を配設し、該上下の発電機における各回転軸間に、縦軸ロータの縦主軸を同心状に連結し、該縦主軸を軸受で支持しないようにし、前記支持枠体を屋上に取付けるための取付治具の基盤上面に、前記横枠体の各短柱体における前記嵌合穴と嵌合可能な嵌合突体を形成するとともに、前記短柱体における前記外向フランジに形成されたボルト孔と合う位置にボルト孔を形成し、前記基盤上に前記支持枠体を配設し、該支持枠体の下部の横枠体の各短柱体下面における前記嵌合穴を、その下面における前記基盤に形成された嵌合突体に嵌合させ、前記基盤に形成されているボルト孔に、前記各短柱体の外向フランジにおけるボルト孔からボルトを挿入締結し、前記取付治具を屋上に固定するようにしてなることを特徴とする屋上用風車の支持枠体及び取付治具。
【0007】
(2) 前記支持枠体の上下部の横枠体における前記各短柱体の上下に形成された外向フランジの直径は前記各短柱体の主柱部の直径の2倍以上に形成され、前記各横枠体の前記各発電機支持部には、それぞれ同型式の発電機を配設し、上部の発電機支持部に配設した発電機の底部から回転軸を下向きに突出させ、前記下部の横枠体の前記発電機支持部に配設した発電機の上面から回転軸を上向きに突出させ、前記上下の発電機の上下で対向する回転軸の先端面に前記縦軸ロータの前記縦主軸の上下端面を当接して接続部を介して連結されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の屋上用風車の支持枠体及び取付治具。
【0008】
(3) 前記支持枠体における前記各支柱は中空体とし、該各支柱の上下端部から高さの中心へかけて、太さの径を次第に大きくして高さの中心部に大径部を形成し、該大径部は前記各支柱の上下端部の太さの直径より20%~50%の範囲で大としてなり、前記各支柱の上下端部に形成された外向フランジの直径は、前記各短柱体の主柱部の直径の2倍以上に形成された前記各短柱体の外向フランジの直径に合わせて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の屋上用風車の支持枠体及び取付治具。
【0009】
(4) 強化合成樹脂成型による上下の横枠体と複数の支柱とで、支持枠体を形成し、前記上下の横枠体は、それぞれ主枠体と、複数の支持桟と、前記主枠体を支持する複数の短柱体と、前記複数の支持桟により主枠体の中央部に支持固定される発電機支持部における同型の発電機とからなり、
前記主枠体の外向先端部は、それぞれ上下端部にボルト孔を備えた外向フランジを形成した短柱体で支持され、該各短柱体の上下端面中央部にはそれぞれ嵌合穴が形成され、前記各支柱は、上下端部に前記短柱体の外向フランジと合わせた外向フランジがボルト孔を備えて形成され、かつ前記各支柱の上下端面には前記短柱体の嵌合穴と嵌合可能な嵌合突体が突設され、下部に配した前記横枠体の前記各短柱体の上面の嵌合穴に、前記各支柱下面の嵌合突体を嵌合させて、当接し合っている前記各支柱の下部の外向フランジと前記各短柱体の上部の外向フランジをボルト結合させて連結し、前記各支柱の上端における各嵌合突体に、上部から配置する上部の横枠体における前記各短柱体の下面の嵌合穴を嵌合させて、当接し合っている前記各支柱の上部の外向フランジと前記各短柱体の下部の外向フランジをボルト結合させて連結し、
前記上下の発電機支持部の発電機における上部の発電機の回転軸は底から下向きに下向回転軸を突出させ、下部の発電機の回転軸は上向きに上向回転軸を突出させ、前記下向回転軸と前記上向回転軸のそれぞれの端面間に、前記支持枠体に配設される縦軸ロータにおける縦主軸の上下端面を当接して接続部で同心状に接続し、該縦主軸を軸受で支持しないようにしてなることを特徴とする縦軸風車。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、次のような効果が奏せられる。
【0011】
前記(1)に記載の発明は、支持枠体を強化合成樹脂製管体としてあるので、金属製と対比して、全体を軽量化することが出来、屋上に配設が可能となった。
支柱の上下に同型の横枠体を連結することにより、横枠体を型生産することが出来、強度を高くしコスト負担を軽くすることが出来るようになった。
横枠体における主枠体を複数の短柱体で支持するように形成したことにより、構造を堅固にすることができた。大きな外向フランジを短柱体の上下端部に形成することによって、短柱体の端部の強度を高め、支柱との連結が容易となりかつ支柱との連結部の強度を高めることができた。
短柱体の上下端面に嵌合穴を形成したことにより、支柱の上下端面における嵌合突体を嵌合させることによって、支柱の横揺れに対しても、嵌合突体が梃子の作用点となり外向フランジ部分が支点の作用をして支柱の揺動を抑止することが出来る。
前記短柱体の下部にも外向フランジが形成され、下端面に嵌合穴が形成されているので、屋上において、前記嵌合穴に合う嵌合突体を形成し、外向フランジのボルト孔に対応する位置にボルトを配設することにより、容易に屋上に支持枠体を配設することができる。
上下の発電機支持部における上下の同型式の発電機の間にロータを配設するので、発電機の回転軸の端面に縦主軸の端面を接触させて同心状に連結することが出来るので、縦主軸を振動の生じ易い軸受で支持しなくてもよく、振動が生じにくい。
また屋上に支持枠体を取付けるための取付治具を、支持枠体における下部の横枠体の各短柱体の下面に取付けて、取付治具を屋上に固定するものなので、支持枠体を容易に屋上に取付けることが出来る。
【0012】
前記(2)に記載の発明において、支持枠体における上下の横枠体に形成されているロータ支持部には、それぞれ同型式の発電機を配設し、上部の発電機支持部に配設した発電機の底部から回転軸を下向きに突出させ、前記下部の横枠体の前記発電機支持部に配設した発電機の上面から回転軸を上向きに突出させ、前記上下の発電機の上下で対向する回転軸の先端部に、縦軸ロータの縦主軸の上下端部が接続具を介して連結し、軸受で縦主軸が支持されないため、振動による騒音が生じにくく、部屋へ振動が伝わることが抑止される。ロータが回転すると上下の発電機はそれぞれ同じ方向に静かに回転して発電する。
発電機は縦軸ロータの回転に対してコギングトルクが作用し、大型の発電機の方が小型の発電機のコギングトルクよりも大きいので、発電機を1台とするよも半分の出力の小型の発電機を2台使用する方が、低風速でのロータの回転始動性が高く、不規則に吹く風の中でトータル的に発電効率が際立って高いものとすることができる。
従って同じ出力を得るために、大型の発電機の半分以下の小型の発電機を2台使用することでも発電効率がよく、その重量も軽量なので、屋上に配設するためにも都合が良いものとなる。
【0013】
前記(3)に記載の発明において、前記支持枠体における前記各支柱は管体とし、上下端部から高さの中心へかけて、太さの径を次第に大きくして大径部を形成し、該大径部は前記各支柱の上下端部の太さの直径より20%~50%の範囲で大としてあるので、支持枠体の高さを高くし、縦軸ロータの高速回転や、台風などによる、前記支柱の折損を抑制することが出来る。
【0014】
前記(4)に記載の発明においては、強化合成樹脂成型による支持枠体を屋上に固定することが出来、これにロータが支持されているので全体として軽量な風力発電装置を屋上に配設する事ができる。同型式の小型の発電機が支持枠体の上下の横枠体における発電機支持部に配設され、その上下の発電機の回転軸の先端にロータの縦主軸の上下端面が当接して連結されているので、軸受で支持されておらず、上下の同型式の発電機の回転軸で均等な負荷による支持なので、縦主軸が細くても捻れが生じにくく、軽量化のために縦主軸を可及的に細くすることが出来る。縦主軸の捻れやそれに伴う振動が生じにくいので、ロータの回転が円滑で振動が屋根下の部屋に伝わりにくい。屋上に配設することができるので、設置場所が多くなり、広く利用される。
また高い位置に配設出来るため、風速も地面よりも速い風速を利用することが出来るので、小型の発電機でも効率の良い発電をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の支持枠体の実施例1の平面図である。
【
図5】支持枠体を屋根上に配設する状態を示す側面図である。
【
図8】
図5における縦主軸と回転軸の接続部の拡大図である。
【
図9】
図1における支持桟と短柱体の結合状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は本発明実施例1の屋上用風車の支持枠体(以下単に支持枠体という)の平面図、
図2は正面図である。 支持枠体1は、上下の横枠体2、2を複数の支柱7、7によって一体に連結して立体に組立てており、全体が強化合成樹脂製管体で金属より軽量化されている。強化合成樹脂の材質は、公知の一般的なものが使用される。
【0017】
前記支持枠体1は、平面視で環状もしくは方形の主枠体3が複数の短柱体6、6によって水平に固定支持されている。
主枠体3の内側部には、中央部に発電機支持部5が、前記短柱体6の部分から内側方へ突出する複数の支持桟4、4により支持固定されている。主枠体3、支持桟4、短柱体6も可及的に中空とするが、中空部に、横断面+形もしくは-形の筋体、EPP樹脂材の芯体を内装することもある。
【0018】
前記発電機支持部5は
図1では平面視で環状に形成されているが、これは図示しない発電機を内側に支持するためなので、方形でもかまわない。図中の符号5Aは、発電機を下から支持する支持片である。上部の横枠体2における発電機支持部5には、
図5に示すように下向きに回転軸14を突出させた図示しない発電機を配設する。下部の横枠体2における発電機支持部5には、上向きに回転軸16を突出させた図示しない前記発電機と同型式の発電機を配設する。同型式なので縦主軸には均等な負荷がかかる。
【0019】
前記各短柱体6は、
図1におけるIIIーIII線断面を
図3に示すように、垂直な主柱部6Aの上下に、それぞれ外向フランジ6B、6Cが水平に一体に形成されている。短柱体6の上下端面中央部には、それぞれ主柱部6Aの内部に向けて擂鉢状の嵌合穴6D、6Eが形成されている。また前記上下の外向フランジ6B、6Cの上下端面には、それぞれ上下に貫通するボルト孔6F、6Fが形成されている。
【0020】
前記主枠体3の平面視で均等間隔の位置に前記短柱体6が配設され、
図2、3に示すように、側面視で前記短柱体6の高さの中央部に、主枠体3が一体に固定支持されている。この横枠体2、2の形成方法は任意であるが、一体成形の方が容易で、かつ堅牢に形成することができる。
【0021】
前記短柱体6は、強化合成樹脂製であっても、上下端縁部に厚みの大きな外向フランジ6B、6Cが、その直径も主柱部6Aの直径の2倍以上に大きく形成されているために、短柱体6の主柱部6Aと外向フランジ6B、6Cが損壊しにくく、かつ、短柱体6の上下端面に嵌合穴6D、6Eが形成されていても損壊しにくい特長がある。
【0022】
図4は支持枠体1における支柱7の正面図である。各支柱7は主部7Aの上下端部にそれぞれ、前記
短柱体6における外向フランジ6B、6Cと同じ態様の外向フランジ7B、7Cが形成されている。
【0023】
また各支柱7の上下端面中央部にそれぞれ上下を向く円錐状の嵌合突体7D、7Eが形成されており、該嵌合突体7D、7Eは、前記上下の横枠体2、3における短柱体6の上下端面中央部に形成された、各擂鉢状の嵌合穴6D、6Eに密着嵌合可能に形成されている。
【0024】
前記各支柱7の外向フランジ7B、7Cの上下外表面には、前記横枠体2、2における外向フランジ6B、6Cのボルト孔6Fの位置と合う位置に、それぞれボルト孔7F、7Fが貫通形成されている。
【0025】
前記横枠体2、2と支柱7、7の組立方法は、
図3と
図4において、
図3の短柱体6における下面における嵌合穴6Eに、
図4の支柱7の上部の嵌合突体7Dを嵌合させて、重なりあった外向フランジ6C、7Bのボルト孔6E、7Fにボルトを嵌装して締結固定する。
【0026】
これによって嵌合穴6Eと嵌合突体7Dとが密接しているので、支柱7が揺れようとしても、外向フランジ6C、7B部分が梃子の支点の作用をし、嵌合突体7Dが梃子の作用点の作用をするため、揺れが生じない。必要に応じて嵌合突体7Dの表面に糊剤を塗布して密着性を高めることができる。
図3の短柱体6の上に
図4の支柱7の下端部を結合することも同じである。
【0027】
図2における下部の横枠体2は、上部の横枠体2と同じものである。従って、短柱体6は
図3の状態で、上部の嵌合穴6Dに、
図4における支柱7の下部の嵌合突体7Eを嵌合させるようにして、外向フランジ7C、6B同士を重ねて、前記同様に、ボルト孔にボルトを挿入して締結することにより、堅固に結合させることができ、強風にも破損しにくい。
【0028】
前記下部の横枠体2と支柱7における上下の外向フランジ6B、7C部分だけでのボルト締めでは、横からの衝撃には外向フランジ6B、7Cの外縁部にかかる力が大きく、割れたりするが、
図5に示すように、嵌合穴6Dと嵌合突体7Eとが密接していると、嵌合突体7Eの円錐形の傾斜面にいずれの方向から力がかかっても梃子の作用で力を吸収することが出来るので、外向フランジ6B、7C部分の破損が生じにくい。
【0029】
屋上がコンクリートの場合は、
図2における下部の横枠体2の短柱体6の主柱
部6Aの下面に形成された嵌合穴6E(
図3に断面を示す)に、嵌合可能な円錐形の嵌合突体、すなわち
図4における上部の嵌合突体7Dと同じ形状のものを屋上に形成し、その周囲において
図3に示すボルト孔6Fと合う位置にボルトを埋設しておき、該屋上のボルトに前記各短柱体6の外向フランジ6Cを固定することにより、支持枠体1を屋上に固定することができる。
【0030】
別の方法としては、
図5に示す支持枠体1の下部に示す取付治具8の基盤9部分だけを形成し、前記支持枠体1における下部の各短柱体6の位置と合わせて、各短柱体6の下面の各嵌合穴6Eと嵌合可能な位置に、円錐状の嵌合突体9Aを形成し、該嵌合突体9Aの周囲に
図1に示すような配置でボルト孔を形成する。
この基盤9を、屋上に固定しておいて、支持枠体1の各短柱体6の下面の各嵌合穴6Eと基盤9における嵌合突体9Aを嵌合させてボルト締めにより固定する。
【0031】
勾配のある屋根上に、支持枠体1を取付けるには、
図5に示すような取付治具8を強化合成樹脂で作成して使用する。
図6は取付治具8の平面図である。取付治具8は支持枠体1を固定する基盤9と、基盤9を水平に維持して屋根に固定する接屋体10の組合わせからなっている。
【0032】
前記基盤9上の前記支持枠体1における下部の短柱体6の下面に形成されている嵌合穴6Eの位置と合う位置に、円錐状の嵌合突体9Aが形成されており、その周囲に前記短柱体6の下面に形成されたボルト孔6Fと合う位置にボルト孔9Bが形成されている。
【0033】
屋根の勾配は、3寸勾配から6寸勾配まであり、最近の一般住宅の屋根勾配は4寸勾配(10センチ毎に高さが4センチ伸びる)程度に低くなっている。
家屋の設計図により、屋根勾配を確認の後、接屋体10と基盤9の間に配設する屋根勾配に合う間柱11を予め形成しておき、この間柱11を接屋体10と基盤9の間に介在させて一体に接着固定する。
【0034】
屋根材は樹脂板が普及しているので、その場合には接屋体10を直接配置し、縦軸ロータ12の縦主軸13が垂直になるように接屋体10の下にパッキン等を介在させる。接屋体10の上面に配設したワイヤフック10Aに固定したワイヤを軒や母屋の柱などに固定することにより、移動や揺動が抑止される。
【0035】
図5において、縦軸ロータ12の縦主軸13は、その上端部を上部の発電機支持部5内に配設した、図示しない発電機の下方へ突出する下向回転軸14に、接続具15を介して同心状に連結されている。
【0036】
前記縦主軸13の下端部は、下部の発電機支持部5内に配設した図示しない発電機の上方へ突出する上向回転軸16に、接続具15を介して同心状に連結されている。複数の揚力型ブレード18、18は、ほぼ垂直な主部の上下から縦主軸方向へ大きく湾曲した上下の先端部を、縦主軸13の上下に固定された翼取付具17、17に固定してある。
【0037】
図5において、支持枠体1の支柱7は、長さが長いと、太くしなければ縦軸ロータ12の高速回転により折損する虞れがある。従って支柱7の上下端部から高さの中間に向かって、太さの径を次第に太くなるように大径部7Gを形成してある。この大径部7Gの太さの比率は、支柱7の上下端部の太さに対して大径部7Gは20%~50%増の範囲としてある。これによって全体を太いものにすることなく、材質が強化合成樹脂であっても剛性と軽量を保持することができる。
【0038】
図7は取付治具8の別の実施例を示す側面図である。この取付治具8は、切妻屋根の頂上に配設するためのもので、左右の接屋体8A、8Bは切妻屋根の勾配に合わせて配設するもので、左右の交叉部8Cは設置時に連結することにより、固定が確実に行われる。
【0039】
接屋体8A、8Bの下面には、適宜の滑止材の塗布層を形成するか、低発泡樹脂層を形成することにより、屋根との密着性が維持される。
接屋体8A、8Bの上面には
図7に示すように、上面に配設する支持枠体1の下部の各短柱体6と対面可能な位置に、それぞれ短柱体8D、8Dを配設し、接着固定してある。
【0040】
前記各短柱体8Dは、屋根勾配に合わせて傾斜した下面を接屋体8A、8Bに接着し、その上面は、接屋体8A、8Bを屋根に配置した時に水平となるように予め形成されている。
この各短柱体8Dの上面には、支持枠体1の下部の各短柱体6の嵌合穴6Eと嵌合可能な位置に、それぞれ円錐形の嵌合突体8Eが形成されている。
【0041】
前記嵌合突体8Eの周囲には、前記支持枠体1の下部の各短柱体6の、外向フランジ6Cに形成されているボルト孔と合う位置に、それぞれ図示しないボルト孔が形成され、支持枠体1の短柱体6を、接屋体8A、8Bの各短柱体8Dの上に重ね、嵌合突体8Eと、嵌合穴6Eを嵌合させてから、各ボルト孔にボルトを挿入して締結する。
【0042】
前記接屋体8A、8Bの上面に形成された各ワイヤフック8Fに固定したワイヤを家屋の柱や壁に固定することにより固定する。接屋体8A、8Bは、例えば瓦葺の瓦の上面の凹凸形に合わせた形状に成型することができるので、安全でありかつ瓦が破損しにくい。
【0043】
図5において、縦軸ロータ12の縦主軸13の上下端部は、上下の横枠体2、2に配設された上下の発電機支持部5、5に配設された図示しない発電機の下向の回転軸14と、上向の回転軸16に接続具15、15を介して連結されている。上下の発電機は扁平で小型なものが選択され、重量も軽いので、支持枠体1に対する負担が小さい。
【0044】
回転時に発電機のコギングトルクが縦主軸にかかるため、発電機の出力が大きいと、それに伴うコギングトルクも大きいので、出力が大きな発電機では、低風速時において縦軸ロータ12の始動性が遅い。始動性が遅いと時間のロスとなり、トータル的に発電効率が上がりにくい。
【0045】
これを同じ出力を得るにも、大型の発電機の半分の出力の同型の発電機を2台使用すると、小型の発電機のコギングトルクは小さいので、小型の発電機を縦主軸13の上下にそれぞれ配設しても、低風速時において縦軸ロータ12の始動性は格段に早くなるため、トータル的に発電効率は著しく高くなる。
すなわち風は常に風速も風向きも変化しており、低風速の時間が長いので、風が停止する度に始動に時間がかかるとトータル的な時間のロスが大きくなる。
【0046】
従って、大型の発電機の出力の半分以下の小型発電機を2台、縦軸ロータの上下に連結しても、トータル的には小型発電機の方が発電効率が高くなる。また、
風速は地面から高くなるに従って早くなるので、屋上に風力発電装置を配設すると小型であっても効率の高い発電をすることが出来る。
【0047】
前記縦軸ロータ12の縦主軸13は、図示しない同型の発電機の回転軸14、16に直結されていて、軸受により支持されないため、軸受による回転抵抗もなく、振動が生じにくいので屋上から部屋へ振動が伝わりにくく、回転効率が高いので発電機をより小さなものとすることができ、屋上に配置する屋上用風車に最適な支持枠体を提供することができる。
【0048】
すなわち、縦主軸13の下部が発電機の回転軸に連結され、上部が軸受により支持されている場合、軽量化のために縦主軸13を細くすると、高速回転時に縦主軸13の上下部にかかる負荷が異なるため、縦主軸13に捻れが生じ、振動を生じるが、縦主軸13の上下端部を同型式の小型発電機の回転軸に直結させると、回転時の縦主軸13にかかる負荷が均等となり、可及的に縦主軸13を細くしても捻れが生じにくくなる。なお細くした縦主軸13の表面には、軽量で弾性的強度の高い合成樹脂の補強被覆体を被着することができる。
【0049】
図8は、
図5における発電機の回転軸と、これに接続するロータ12の縦主軸13の接続部19の詳細な説明のための図である。
図5において支持枠体1は、組成してからロータ12を配設する方が作業性が高い。
【0050】
従って、上部の横枠体4に配設された図示しない発電機の下向き回転軸14の下端面と、下部の横枠体4に配設された図示しない発電機の上向き回転軸16の上端面との間は特定されているので、ここにロータ12の縦主軸13を配設する事は難しい。
【0051】
そこで
図8に例示するように、上部の横枠体2の発電機支持部5に配設する図示しない発電機は、その底面から下向きに回転軸14を突出させ、その下端面に横長の上向凹部14Aを形成する。下部の横枠体2の発電機支持部5に配設する図示しない発電機は上向に回転軸16を突出させ、その上端面に横長の下向凹部16Aを形成する。
【0052】
図8に例示するロータ12の縦主軸13は、その上下端面に、前記発電機の回転軸14、16の上向凹部14Aと下向凹部16Aにそれぞれ嵌合可能な上向凸部13Aと下向凸部13Bを形成する。
【0053】
ここで
図8に示すように、前記上向凹部14Aと下向凹部16Aの向きを揃えて、縦主軸13の上下の上向凸部13Aと下向凸部13Bを回転軸13の上向凹部14Aと下向凹部16Aに横側から押し込むと嵌合させることができ、接続面の位置まで接続具15を移動させてネジ15A止めすると、容易に縦主軸13を上下の発電機の回転軸14、16間に固定することが出来る。
【0054】
図9は、
図1における短柱体6に支持桟の端部を結合する態様の一例を示す平面図である。各短柱体6の
図2に示す主柱
部6Aの中央部の内側面から、内向杆6Gが主枠体3の中心に向けて突設されている。その先端部に、短柱体6の上下の外向フランジと同様な外向フランジ6Hが形成されており、その内外面に複数の図示しないボルト孔が貫通形成されている。
【0055】
図9における発電機支持部5から放射方向へ突出されている支持桟4、4の各先端部に、前記短柱体6の内向杆6Gに形成されている外向フランジ6Hと接合可能の外向フランジ4Aが形成されている。
従って支持桟4と短柱体6の外向フランジ4A、6Hを合わせ、ボルト孔にボルトを嵌合させて締結することにより、容易に固定させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明の支持枠体は、全体を強化合成樹脂で形成してあるために、金属製と対比して重量を半減させることが可能となり、建造物の屋上に配設することが可能になった。工場や住居の屋上に配設することにより、身近で発電し消費することができ、クリーンエネルギーにより環境保全が推進出来る風力発電に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1.支持枠体
2.横枠体
3.主枠体
4.支持桟
4A.外向フランジ
5.発電機支持部
5A.支持片
6.短柱体
6A.主柱部
6B、6C.外向フランジ
6D、6E.嵌合穴
6F.ボルト孔
6G.内向杆
6H.外向フランジ
7.支柱
7A.主部
7B、7C.外向フランジ
7D、7E.嵌合突体
7F.ボルト孔
7G.大径部
8.取付治具
8A、8B.接屋体
8C.交叉部
8D.短柱体
8E.嵌合突体
8F.ワイヤフック
9.基盤
9A.嵌合突体
9B.ボルト孔
10.接屋体
10A.ワイヤフック
11.間柱
12.縦軸ロータ
13.縦主軸
13A.上向凸部
13B.下向凸部
14.下向回転軸
14A.上向凹部
15.接続具
15A.ネジ
16.上向回転軸
16A.下向凹部
17.ブレード取付具
18.揚力型ブレード
19.接続部
【要約】 (修正有)
【課題】風力発電装置を家屋の屋上に配設するための、軽量な屋上用風車の支持枠体及び縦軸風車を提供する。
【解決手段】強化合成樹脂製の複数の支柱と上下の横枠体とで支持枠体を形成することにより、軽量化を可能とする。支持枠体は各横枠体の平面中央に発電機支持部が形成され、上下部の横枠体のそれぞれ形成したロータ支持部の間に、縦軸ロータの縦主軸を同心状に連結するように形成し、下部の各短柱体を屋上に固定する。
【選択図】
図1