(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】3次元スキャナー及びこれを用いたスキャン方法
(51)【国際特許分類】
A61C 19/04 20060101AFI20220916BHJP
【FI】
A61C19/04 Z
A61C19/04
(21)【出願番号】P 2021536737
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 KR2019017922
(87)【国際公開番号】W WO2020130598
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2018-0167837
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521272300
【氏名又は名称】ディーオーエフ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒョンソ
(72)【発明者】
【氏名】シム、フンシク
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-143528(JP,A)
【文献】特表2016-508754(JP,A)
【文献】国際公開第2008/013181(WO,A1)
【文献】特表2009-538648(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0101654(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に出光部及び入光部を備えるケースと、
前記ケース内に配置され、前記出光部を通して光を
出力する光出力部と、
前記ケース内に配置され、前記入光部を通して入射した反射光から
2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部と、
前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光を
反射する反射鏡を備える反射鏡部材と、
前記反射鏡部材が装着されていない状態で獲得した2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成し、前記反射鏡部材が装着された場合、前記反射鏡で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成する3次元スキャンデータ生成部と、
前記反射鏡部材が装着されていない状態で生成された3次元スキャンデータを整合して
3次元モデルデータを生成し、前記反射鏡部材が装着された場合に生成された3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合する3次元モデルデータ生成部と、を含む、3次元
スキャナー。
【請求項2】
前面に出光部及び入光部を備えるケースと、
前記ケース内に配置され、前記出光部を通して光を
出力する光出力部と、
前記ケース内に配置され、前記入光部を通して入射した反射光から
2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部と、
前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光を
反射する反射鏡を備える反射鏡部材と、
前記イメージセンシング部で獲得した2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成する3次元スキャンデータ生成部と、を含み、
前記反射鏡部材が前記ケースに装着された場合、前記イメージセンシング部が前記反射鏡で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを狭領域の2次元スキャンイメージといい、前記反射鏡部材が前記ケースに装着されていない状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージを広領域の2次元スキャンイメージというとき、前記3次元スキャンデータ生成部は、
前記反射鏡部材が前記ケースに装着されていない場合には前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成し、
前記反射鏡部材が前記ケースに装着された場合には前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成することを特徴とする、3次元
スキャナー。
【請求項3】
前記3次元スキャンデータ生成部が前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した
3次元スキャンデータを広領域の3次元スキャンデータといい、前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した
3次元スキャンデータを狭領域の3次元スキャンデータというとき、前記3次元
スキャナーは、前記広領域の3次元スキャンデータを整合して
3次元モデルデータを生成し、前記狭領域の3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合する3次元モデルデータ生成部を含むことを特徴とする、請求項
2に記載の3次元
スキャナー。
【請求項4】
前記3次元
スキャナーは、
前記反射鏡部材の装着有無を感知する感知部
を含み、
前記3次元スキャンデータ生成部は前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知されない場合には前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成し、前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知された場合には前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成する
ことを特徴とする、請求項
2に記載の3次元
スキャナー。
【請求項5】
前記3次元スキャンデータ生成部が前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した
3次元スキャンデータを広領域の3次元スキャンデータといい、前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した
3次元スキャンデータを狭領域の3次元スキャンデータというとき、前記3次元
スキャナーは、前記広領域の3次元スキャンデータを整合して
3次元モデルデータを生成し、前記狭領域の3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合する3次元モデルデータ生成部を含むことを特徴とする、請求項
4に記載の3次元
スキャナー。
【請求項6】
前面に出光部及び入光部を備えるケースと、
前記ケース内に配置され、前記出光部を通して光を
出力する光出力部と、
前記ケース内に配置され、前記入光部を通して入射した反射光から
2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部と、
前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光を
反射する反射鏡を備える反射鏡部材と、を含み、
前記反射鏡部材が前記ケースに装着された場合、前記イメージセンシング部が前記反射鏡で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを狭領域の2次元スキャンイメージといい、前記反射鏡部材が前記ケースに装着されていない状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージを広領域の2次元スキャンイメージというとき、前記反射鏡部材が前記ケースに装着された状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージは前記狭領域の2次元スキャンイメージを含む前記広領域の2次元スキャンイメージであることを特徴とする、3次元
スキャナー。
【請求項7】
前記3次元
スキャナーは、
前記反射鏡部材の装着有無を感知する感知部と、
前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知されない場合には前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成し、前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知された場合には前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて
3次元スキャンデータを生成する3次元スキャンデータ生成部とを含むことを特徴とする、請求項
6に記載の3次元
スキャナー。
【請求項8】
前記3次元スキャンデータ生成部が前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した
3次元スキャンデータを広領域の3次元スキャンデータといい、前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した
3次元スキャンデータを狭領域の3次元スキャンデータというとき、前記3次元
スキャナーは、前記広領域の3次元スキャンデータを整合して
3次元モデルデータを生成し、前記狭領域の3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合する3次元モデルデータ生成部を含むことを特徴とする、請求項
7に記載の3次元
スキャナー。
【請求項9】
前記3次元
スキャナーは、
前記反射鏡部材の装着有無を感知する感知部と、
前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知された場合、前記出光部を通して出力される光が前記反射鏡のみに出力されるように前記光出力部を制御する制御部とを含むことを特徴とする、請求項
6に記載の3次元
スキャナー。
【請求項10】
前記反射鏡部材は、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光のうち前記反射鏡に出力される光のみ出力されるように前記出光部の一部を遮る第1遮光部と、前記入光部を通して入射する反射光のうち前記反射鏡で反射された反射光のみ入射するように前記入光部の一部を遮る第2遮光部との少なくとも一つを備えることを特徴とする、請求項
6に記載の3次元
スキャナー。
【請求項11】
前記反射鏡部材は回転可能に前記ケースに装着されることを特徴とする、請求項
6に記載の3次元
スキャナー。
【請求項12】
前記反射鏡部材は、前記ケース前面に着脱可能に備えられる結合部と、前記結合部の一側から延び、端部に前記反射鏡を備える延長部とを含むことを特徴とする、請求項
6に記載の3次元
スキャナー。
【請求項13】
出光部及び入光部を備えるケース、前記出光部を通して光を
出力する光出力部、前記入光部を通して入射した反射光から
2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部、及び前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通じて出光する光を
反射する反射鏡を備える反射鏡部材を含む3次元
スキャナーを用いた
スキャン方法であって、
前記イメージセンシング部が前記反射鏡で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを狭領域の2次元スキャンイメージといい、前記反射鏡部材が装着されていない状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージを広領域の2次元スキャンイメージというとき、前記反射鏡部材を前記ケースに装着しなかった状態で前記広領域の2次元スキャンイメージを獲得する段階と、
前記獲得した広領域の2次元スキャンイメージを用いて
広領域の3次元スキャンデータを生成する段階と、
前記広領域の3次元スキャンデータを整合して
3次元モデルデータを生成する段階と、
前記反射鏡部材を前記ケースに装着した状態で前記狭領域の2次元スキャンイメージを獲得する段階と、
前記獲得した狭領域の2次元スキャンイメージを用いて
狭領域の3次元スキャンデータを生成する段階と、
前記3次元モデルデータに前記狭領域の3次元スキャンデータを整合する段階と、を含む、
スキャン方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3次元口腔スキャナー及びこれを用いた口腔スキャン方法に関するもので、具体的には口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータの生成過程で発生する整合誤差を減らすことができる3次元口腔スキャナー及びこれを用いた口腔スキャン方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3次元口腔スキャナーは歯科患者の口腔内に挿入されて非接触式で歯牙をスキャンして口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成するための光学装置であり、使いやすく簡便であり、短時間内に患者の印象取得が可能であって近年歯科で多く使われている。
【0003】
3次元口腔スキャナーを用いてスキャンイメージを獲得する方式の一例であるアクティブ(active)方式は、既に知られたパターン光(patterned light)を歯牙表面に照射し、照射されたパターンを光学カメラで撮影して多数の光学イメージを獲得した後、三角測量(triangulation)を用いて3次元スキャンデータを獲得する方式である。
【0004】
このような3次元口腔スキャナーは見える部分のみスキャンすることができるから、口腔内の全体歯牙を一度にスキャンすることができなく、よって口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成するためには、口腔内を多数の区域に分けてスキャンして3次元スキャンデータを生成し、スキャンによって生成された多数の区域に対する3次元スキャンデータを整合することにより、口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを獲得することができる。
【0005】
しかし、3次元スキャンデータを整合する場合には誤差が発生するから、口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを獲得するために多数の区域に対する3次元スキャンデータを整合すれば、3次元スキャンデータを整合する度に誤差が累積し、結果的に患者の口腔内の全体歯牙とは違う3次元モデルデータが生成されることがある問題がある。
【0006】
したがって、3次元スキャンデータを整合する場合に累積誤差を減らすためには、口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを獲得するために整合する3次元スキャンデータの数を減らす必要がある。
【0007】
特に、従来の3次元口腔スキャナーはスキャン領域が狭く形成されるしかない反射鏡を用いて口腔内歯牙に対するスキャンイメージを獲得するから、口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを獲得するために整合しなければならない3次元スキャンデータの数は多くなるしかない。したがって、従来の3次元口腔スキャナーの場合には、3次元スキャンデータを整合する場合に発生する累積誤差を減らすのに限界があるという問題がある。
【0008】
このような問題点を解決するための従来技術として、韓国登録特許第10-1911327号(公告日:2018.10.25)には“累積整合誤差を減らすための口腔スキャニング方法、口腔スキャナー及びその方法を実行するためのプログラムが記録された記録媒体”が開示されたことがあるが、前記従来技術はスキャニングカメラの他に口腔内の全体歯牙領域に対する映像を獲得するためのワイドアングルカメラを別に備えているから、それによって製造コストが上昇する問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような問題点を解決するためのものであり、口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータの生成過程で発生する整合誤差を減らすことができる3次元口腔スキャナー及びこれを用いた口腔スキャン方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例による3次元口腔スキャナーは、前面に出光部及び入光部を備えるケースと、前記ケース内に配置され、前記出光部を通して光を口腔内に出力する光出力部と、前記ケース内に配置され、前記入光部を通して入射した反射光から前記口腔内歯牙に対する2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部と、前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光を前記口腔内に反射し、前記口腔内で反射された反射光を前記入光部に反射する反射鏡を備える反射鏡部材と、を含み、前記反射鏡部材が前記ケースに装着された場合、前記イメージセンシング部が前記反射鏡で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを狭領域の2次元スキャンイメージといい、前記反射鏡部材が前記ケースに装着されていない状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージを広領域の2次元スキャンイメージというとき、前記反射鏡部材が前記ケースに装着された状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージは前記狭領域の2次元スキャンイメージを含む前記広領域の2次元スキャンイメージであることができる。
【0011】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーは、前記反射鏡部材の装着有無を感知する感知部と、前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知されない場合には前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成し、前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知された場合には前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成する3次元スキャンデータ生成部とを含むことができる。
【0012】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーは、前記3次元スキャンデータ生成部が前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを広領域の3次元スキャンデータといい、前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを狭領域の3次元スキャンデータというとき、前記3次元口腔スキャナーは、前記広領域の3次元スキャンデータを整合して前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成し、前記狭領域の3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合する3次元モデルデータ生成部を含むことができる。
【0013】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーは、前記反射鏡部材の装着有無を感知する感知部と、前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知された場合、前記出光部を通して出力される光が前記反射鏡のみに出力されるように前記光出力部を制御する制御部とを含むことができる。
【0014】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーにおいて、前記反射鏡部材は、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光のうち前記反射鏡に出力される光のみ出力されるように前記出光部の一部を遮る第1遮光部と、前記入光部を通して入射する反射光のうち前記反射鏡で反射された反射光のみ入射するように前記入光部の一部を遮る第2遮光部との少なくとも一つを備えることができる。
【0015】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーにおいて、前記反射鏡部材は回転可能に前記ケースに装着されることができる。
【0016】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーにおいて、前記反射鏡部材は、前記ケース前面に着脱可能に備えられる結合部と、前記結合部の一側から延び、端部に前記反射鏡を備える延長部とを含むことができる。
【0017】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーは、前面に出光部及び入光部を備えるケースと、前記ケース内に配置され、前記出光部を通して光を口腔内に出力する光出力部と、前記ケース内に配置され、前記入光部を通して入射した反射光から前記口腔内歯牙に対する2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部と、前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光を前記口腔内に反射し、前記口腔内で反射された反射光を前記入光部に反射する反射鏡を備える反射鏡部材と、前記反射鏡部材の装着有無を感知する感知部と、前記イメージセンシング部で獲得した2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成する3次元スキャンデータ生成部とを含み、前記反射鏡部材が前記ケースに装着された場合、前記イメージセンシング部が前記反射鏡で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを狭領域の2次元スキャンイメージといい、前記反射鏡部材が前記ケースに装着されていない状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージを広領域の2次元スキャンイメージというとき、前記3次元スキャンデータ生成部は、前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知されない場合には前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成し、前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知された場合には前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成することができる。
【0018】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーは、前記3次元スキャンデータ生成部が前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを広領域の3次元スキャンデータといい、前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを狭領域の3次元スキャンデータというとき、前記3次元口腔スキャナーは、前記広領域の3次元スキャンデータを整合して前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成し、前記狭領域の3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合する3次元モデルデータ生成部を含むことができる。
【0019】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーは、前面に出光部及び入光部を備えるケースと、前記ケース内に配置され、前記出光部を通して光を口腔内に出力する光出力部と、前記ケース内に配置され、前記入光部を通して入射した反射光から前記口腔内歯牙に対する2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部と、前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光を前記口腔内に反射し、前記口腔内で反射された反射光を前記入光部に反射する反射鏡を備える反射鏡部材と、前記反射鏡部材が装着されていない状態で獲得した2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成し、前記反射鏡部材が装着された場合、前記反射鏡で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成する3次元スキャンデータ生成部と、前記反射鏡部材が装着されていない状態で生成された3次元スキャンデータを整合して前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成し、前記反射鏡部材が装着された場合に生成された3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合する3次元モデルデータ生成部とを含むことができる。
【0020】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーは、前面に出光部及び入光部を備えるケースと、前記ケース内に配置され、前記出光部を通して光を口腔内に出力する光出力部と、前記ケース内に配置され、前記入光部を通して入射した反射光から前記口腔内歯牙に対する2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部と、前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光を前記口腔内に反射し、前記口腔内で反射された反射光を前記入光部に反射する反射鏡を備える反射鏡部材と、前記反射鏡部材の装着有無を感知する感知部と、前記感知部によって前記反射鏡部材の装着が感知された場合、前記出光部を通して出力される光が前記反射鏡のみに出力されるように前記光出力部を制御する制御部とを含むことができる。
【0021】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーは、前面に出光部及び入光部を備えるケースと、前記ケース内に配置され、前記出光部を通して光を口腔内に出力する光出力部と、前記ケース内に配置され、前記入光部を通して入射した反射光から前記口腔内歯牙に対する2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部と、前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光を前記口腔内に反射し、前記口腔内で反射された反射光を前記入光部に反射する反射鏡を備える反射鏡部材と、前記反射鏡部材の装着有無を感知する感知部と、前記イメージセンシング部で獲得した2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成する3次元スキャンデータ生成部とを含み、前記反射鏡部材は、前記ケース前面に着脱可能に備えられる結合部と、前記結合部の一側から延び、端部に前記反射鏡を備える延長部とを含むことができる。
【0022】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーにおいて、前記反射鏡部材は、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通して出力される光のうち前記反射鏡に出力される光のみ出力されるように前記出光部の一部を遮る第1遮光部と、前記入光部を通して入射する反射光のうち前記反射鏡で反射された反射光のみ入射するように前記入光部の一部を遮る第2遮光部との少なくとも一つを備えることができる。
【0023】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーを用いた口腔スキャン方法は、出光部及び入光部を備えるケース、前記出光部を通して光を口腔内に出力する光出力部、前記入光部を通して入射した反射光から前記口腔内歯牙に対する2次元スキャンイメージを獲得するイメージセンシング部、及び前記ケースに着脱可能に備えられ、前記ケースに装着された場合、前記出光部を通じて出光する光を前記口腔内に反射し、前記口腔内で反射された反射光を前記入光部に反射する反射鏡を備える反射鏡部材を含む3次元口腔スキャナーを用いた口腔スキャン方法であって、前記イメージセンシング部が前記反射鏡で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを狭領域の2次元スキャンイメージといい、前記反射鏡部材が装着されていない状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージを広領域の2次元スキャンイメージというとき、前記反射鏡部材を前記ケースに装着しなかった状態で前記広領域の2次元スキャンイメージを獲得する段階と、前記獲得した広領域の2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する広領域の3次元スキャンデータを生成する段階と、前記広領域の3次元スキャンデータを整合して前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成する段階と、前記反射鏡部材を前記ケースに装着した状態で前記狭領域の2次元スキャンイメージを獲得する段階と、前記獲得した狭領域の2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する狭領域の3次元スキャンデータを生成する段階と、前記3次元モデルデータに前記狭領域の3次元スキャンデータを整合する段階と、を含むことができる。
【0024】
また、本発明の一実施例による前記3次元口腔スキャナーを用いた口腔スキャン方法は、前記反射鏡部材が前記ケースに装着された状態で前記イメージセンシング部が前記入光部を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージは前記狭領域の2次元スキャンイメージを含む前記広領域の2次元スキャンイメージであり、前記狭領域の2次元スキャンイメージを獲得する段階は、前記反射鏡部材を前記ケースに装着した状態で前記広領域の2次元スキャンイメージを獲得する段階と、前記広領域の2次元スキャンイメージから前記狭領域の2次元スキャンイメージを選択する段階とを含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
前記のような構成を有する本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー及びこれを用いた口腔スキャン方法によれば、広領域のスキャンイメージを用いて口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成することにより、3次元スキャンデータを整合する場合に発生する累積誤差を最小化することができ、さらに狭領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合することにより、前記3次元モデルデータの精度を向上させることができる。
【0026】
本発明による効果は以上で言及した効果に制限されず、言及しなかった他の効果は請求範囲及び詳細な説明の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施例による3次元口腔スキャナーを概略的に示す図であり、
図1は本発明の一実施例による3次元口腔スキャナーのケースに反射鏡部材が結合された状態を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による3次元口腔スキャナーを概略的に示す図であり、
図2は前記ケースから反射鏡部材が分離された状態を示す図である。
【
図3】反射鏡部材を装着した状態でスキャンした場合、イメージセンシング部で獲得した2次元スキャンイメージを概略的に示す図である。
【
図4】本発明の一実施例による反射鏡部材の結合部がケースの前面に装着された状態を概略的に示す平面図である。
【
図5】
図4による反射鏡部材がケースに装着された場合、イメージセンシング部で獲得した2次元スキャンイメージを概略的に示す図である。
【
図6】本発明の一実施例による光出力部の一形態であるDLPプロジェクターのDMDチップセットとマイクロミラーを概略的に示す図である。
【
図7】本発明の一実施例による3次元口腔スキャナーを用いた口腔スキャン方法を概略的に示すフローチャートである。
【
図8】反射鏡部材を装着せずにスキャンする場合、口腔内のスキャン領域を概略的に示す図である。
【
図9】反射鏡部材を装着してスキャンする場合、口腔内のスキャン領域を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付図面に基づいて実施例を具体的に説明する。添付図面を参照して説明するに当たり、同じ構成要素は同じ図面符号を付与し、これについての重複説明は省略する。
【0029】
第1、第2などの用語は構成要素を説明するのに使われることができるが、前記構成要素は前記用語に限定されなく、一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的のみで使われる。
【0030】
ある部分がある構成要素を“含む”というとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに備えることができるということを意味する。
【0031】
図面で、それぞれの層(膜)、領域、パターン又は構造物の厚さや大きさは説明の明確性及び便宜のために変更されることができるものであり、実際の大きさをそのまま反映するものではない。
【0032】
また、各実施例は独立的に実施されるか一緒に実施されることができ、発明の目的に応じて一部の構成要素は除くことができる。
【0033】
図1及び
図2は本発明の一実施例による3次元口腔スキャナーを概略的に示す図であり、
図1は本発明の一実施例による3次元口腔スキャナーのケースに反射鏡部材が結合された状態を示す図、
図2は前記ケースから反射鏡部材が分離された状態を示す図である。
【0034】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー10は、ケース20、光出力部30、イメージセンシング部40、反射鏡部材50、感知部60、制御部70、3次元スキャンデータ生成部74及び3次元モデルデータ生成部77を含むことができる。
【0035】
前記ケース20は3次元口腔スキャナー10の外観を成すものであり、前面21には光出力部30から出力された光がケース20の外部に出る出口の機能を果たす出光部23と、口腔内で反射された反射光が再びケース20の内部に入る入口の機能を果たす入光部25とが備えられることができる。
【0036】
前記出光部23及び前記入光部25は開口した形態に形成されることができ、又は光の出入を許すとともにケース20の内部に異物が流入することを防止するように透明な素材の透明板の形態に形成されることができるが、本発明はこれに限定されない。
【0037】
前記光出力部30はケース20内に配置され、所定の光、例えばパターンが形成されたパターン光(patterned light)又は構造光(structual light)を出光部23を通して口腔内に出力する構成である。本発明はケース20内の光出力部30の配置位置に限定されなく、本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー10は、ケース20内に配置され、光出力部30から出力された光を出光部23にガイドする第1光学系33を含むことができる。
【0038】
前記イメージセンシング部40はケース20内に配置され、入光部25を通して入射した反射光(出光部23を通して出射されてから口腔内で反射された光)によって口腔内歯牙に対する2次元スキャンイメージを獲得する構成であり、電荷結合素子(CCD、Charged Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサーが使われることができる。本発明はケース20内のイメージセンシング部40の配置位置に限定されなく、本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー10は、ケース20内に配置され、入光部25を通して入射した反射光をイメージセンシング部40にガイドする第2光学系45を含むことができる。
【0039】
前記反射鏡部材50は、ケース20に着脱可能に備えられ、ケース20に装着された場合、出光部23を通して出力される光を口腔内に反射し、前記口腔内で反射された反射光を入光部25に反射する反射鏡52を備える構成であり、ケース20の前面21に着脱可能に備えられる結合部53と、結合部53の一側から延び、端部に反射鏡52を備える延長部54とを含むことができる。
【0040】
前記感知部60はケース20に反射鏡部材50が装着されたかを感知する構成であり、ケース20の前面21の一側に備えられ、反射鏡部材50の結合部53の装着有無を感知する光センサー、ボタン式センサーなどからなることができる。ただ、本発明による感知部60は反射鏡部材50の装着有無を感知することができる構成であればどの構成からもなることができ、本発明は感知部60の具体的な構成に限定されない。
【0041】
前記制御部70は、光出力部30、イメージセンシング部40、第1光学系33、第2光学系45などを制御する構成であり、前記各構成と電気的に連結された回路基板の形態としてケース20内に備えられることができる。
【0042】
前記3次元スキャンデータ生成部74はイメージセンシング部40で獲得した2次元スキャンイメージを用いて口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成する構成であり、反射鏡部材50が装着されていない状態で獲得した2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成し、反射鏡部材50が装着された場合、反射鏡52で反射された反射光によって獲得した2次元スキャンイメージを用いて前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成することができる。
【0043】
前記3次元モデルデータ生成部77は前記3次元スキャンデータ生成部74で生成された3次元スキャンデータを整合して前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成する構成であり、反射鏡部材50が装着されていない状態で生成された3次元スキャンデータを整合して前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成し、反射鏡部材50が装着された場合に生成された3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合することができる。
【0044】
すなわち、反射鏡部材50がケース20に装着された場合、イメージセンシング部40が反射鏡52で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージを狭領域の2次元スキャンイメージといい、反射鏡部材50がケース20に装着されていない状態でイメージセンシング部40が入光部25を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージを広領域の2次元スキャンイメージというとき、前記3次元スキャンデータ生成部74は、感知部60によって反射鏡部材50の装着が感知されない場合には、前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成し、感知部60によって反射鏡部材50の装着が感知された場合には、前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを生成することができる。
【0045】
また、前記3次元スキャンデータ生成部74が前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを広領域の3次元スキャンデータといい、前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した前記口腔内歯牙に対する3次元スキャンデータを狭領域の3次元スキャンデータといえば、前記3次元モデルデータ生成部77は前記広領域の3次元スキャンデータを整合して前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成し、前記狭領域の3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合することができる。
【0046】
上述したような構成を有する本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー10は、前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した3次元スキャンデータを整合して3次元モデルデータを生成することにより、口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成するために整合しなければならない3次元スキャンデータの数を減らすことにより、3次元スキャンデータを整合する場合に発生する累積誤差を最小化したものであり、さらに前記狭領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合することにより、前記広領域の2次元スキャンイメージを用いて生成した前記3次元モデルデータの不足な部分を補完して埋めることにより、前記3次元モデルデータの精度を向上させたものである。
【0047】
一方、前記3次元スキャンデータ生成部74と前記3次元モデルデータ生成部77はそれぞれ本発明による3次元口腔スキャナー10を具現するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントなどからなり、直接3次元口腔スキャナー10のケース20の内部に搭載された状態として具現されることもでき、又は本発明による3次元口腔スキャナー10を具現するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントなどがコンピュータ可読の記録媒体を介して3次元口腔スキャナー10のケース20の外部の別途のコンピュータに保存されて実行される状態として具現されることもでき、本発明はそれに限定されない。
【0048】
図3は反射鏡部材を装着した状態でスキャンした場合、イメージセンシング部で獲得した2次元スキャンイメージを概略的に示す図である。
【0049】
図3に示すように、反射鏡部材50がケース20に装着された場合、イメージセンシング部40が入光部25を介して入射する全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージ42には、反射鏡52で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージ44(すなわち、前記狭領域の2次元スキャンイメージ)だけでなく、反射鏡52で反射されずに直接入光部25に入射した反射光から獲得した2次元スキャンイメージ43も含まれることができる。
【0050】
ここで、反射鏡部材50がケース20に装着された場合、イメージセンシング部40が入光部25を通して入射する全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージ42は、反射鏡部材50がケース20に装着されていない場合、イメージセンシング部40が入光部25を通して入射する全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージ、すなわち前記広領域の2次元スキャンイメージ42であることができる。
【0051】
すなわち、本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー10において、反射鏡部材50がケース20に装着された状態でイメージセンシング部40が入光部25を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージ42は、前記狭領域の2次元スキャンイメージ44が含まれた前記広領域の2次元スキャンイメージ42であることができる。
【0052】
ここで、前記3次元スキャンデータ生成部74は、反射鏡部材50がケース20に装着された状態で獲得した前記広領域の2次元スキャンイメージ42のうち前記狭領域の2次元スキャンイメージ44のみ選択して前記狭領域の2次元スキャンイメージに対する3次元スキャンデータを生成することができる。
【0053】
ここで、前記狭領域の2次元スキャンイメージ44の選択は前記狭領域の2次元スキャンイメージ44の縁端を認識することによってなされることができる。
【0054】
また、前記広領域の2次元スキャンイメージ42にはおよそ2個乃至3個の歯牙に対する2次元スキャンイメージが含まれることができ、前記狭領域の2次元スキャンイメージ44にはおよそ1個の歯牙に対する2次元スキャンイメージが含まれることができる。
【0055】
すると、前記3次元スキャンデータ生成部74は、感知部60によって反射鏡部材50の装着が感知されない場合には前記広領域の2次元スキャンイメージ42を用いておよそ2個乃至3個の歯牙に対する3次元スキャンデータを生成することができ、感知部60によって反射鏡部材50の装着が感知された場合には前記狭領域の2次元スキャンイメージ44を用いておよそ1個の歯牙に対する3次元スキャンデータを生成することができる。
【0056】
ここで、前記3次元モデルデータ生成部77は前記広領域の3次元スキャンデータを整合して前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成することにより、3次元スキャンデータを整合する場合に発生する累積誤差を最小化することができ、さらに前記狭領域の3次元スキャンデータを前記3次元モデルデータに整合して前記広領域の3次元スキャンデータを用いて生成した前記3次元モデルデータの不足な部分を補完して埋めることにより、前記3次元モデルデータの解像度を向上させることができる。
【0057】
図4は本発明の一実施例による反射鏡部材の結合部がケースの前面に装着された状態を概略的に示す平面図、
図5は
図4による反射鏡部材がケースに装着された場合、イメージセンシング部で獲得した2次元スキャンイメージを概略的に示す図である。
【0058】
まず、
図4を参照すると、本発明の一実施例による反射鏡部材50は、第1遮光部55及び第2遮光部57の少なくとも一つをさらに備えることができる。
【0059】
前記第1遮光部55は、出光部23を通して出力される光のうち反射鏡52に出力される光のみ出力されるように、反射鏡部材50の結合部53がケース20の前面21に装着された場合、出光部23の一部を遮るためのものであり、出光部23より小さいサイズの開口部又は透明部からなることができる。
【0060】
前記第2遮光部57は入光部25を通して入射する反射光のうち反射鏡52で反射された反射光のみ入射するように、反射鏡部材50の結合部53がケース20の前面21に装着された場合、入光部25の一部を遮るためのものであり、入光部25より小さいサイズの開口部又は透明部からなることができる。
【0061】
図5に示すように、前記反射鏡部材50が第1遮光部55及び第2遮光部57の少なくとも一つをさらに備える場合、イメージセンシング部40で獲得した2次元スキャンイメージ42(すなわち、前記広領域の2次元スキャンイメージ)は、反射鏡52で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージ44(すなわち、前記狭領域のスキャンイメージ)のみ明るく現れ、前記広領域の2次元スキャンイメージ42のうち前記狭領域の2次元スキャンイメージ44の外の領域の2次元スキャンイメージ43は暗く現れるようになる。
【0062】
したがって、前記3次元スキャンデータ生成部74は、反射鏡部材50がケース20に装着された状態で獲得した前記広領域の2次元スキャンイメージ42のうち前記狭領域の2次元スキャンイメージ44のみ容易に選択して前記狭領域の2次元スキャンイメージ44に対する3次元スキャンデータのみ生成することができる。
【0063】
一方、前記反射鏡部材50は回転可能にケース20に装着されることができる。
【0064】
すると、口腔内の上歯及び下歯をスキャンする場合、前記反射鏡部材50をケース20に装着させた状態で回転させながら上歯又は下歯をスキャンすることができるので便利である。
【0065】
また、前記制御部70は、感知部60によって反射鏡部材50の装着が感知された場合、出光部23を通して出力される光が反射鏡52のみに出力されるように光出力部30を制御することができる。
【0066】
例えば、前記光出力部30が出力光の反射角を調節するマイクロミラーが配列されたDMD(Digial Mirror Device)チップセットを備えたDLP(Digital Light Processing)プロジェクターの場合、前記制御部70は、感知部60によって反射鏡部材50の装着が感知された場合には、出光部23を通して出力される光が反射鏡52のみに出力されるように前記マイクロミラーを制御することができる。
【0067】
図6は本発明の一実施例による光出力部の一形態であるDLPプロジェクターのDMDチップセットとマイクロミラーを概略的に示す図である。
【0068】
図6に示すように、DLPプロジェクターはDMDチップセット34を備えることができ、DMDチップセット34の表面にはDLPプロジェクターから出力される光の反射角を調節する無数のマイクロミラー37が配列されることができる。ここで、前記一つのマイクロミラー37は1個の画素に相当することができる。
【0069】
ここで、本発明の一実施例による制御部70は、感知部60によって反射鏡部材50の装着が感知された場合には、出光部23を通して出力される光が反射鏡52のみに出力されるように前記マイクロミラー37を制御することができる。
【0070】
すると、
図5に示すように、反射鏡部材50が第1遮光部55及び第2遮光部57の少なくとも一つをさらに備える場合と同様に、イメージセンシング部40で獲得した2次元スキャンイメージ42(すなわち、前記広領域の2次元スキャンイメージ)は、反射鏡52で反射された反射光から獲得した2次元スキャンイメージ44(すなわち、前記狭領域のスキャンイメージ)のみ明るく現れ、前記広領域の2次元スキャンイメージ42のうち前記狭領域の2次元スキャンイメージ44の外の領域の2次元スキャンイメージ43は暗く現れる。
【0071】
他の例として、前記光出力部30が、電流が流れるときにのみ光を透過する多数の画素(liquid crystal)から構成されたLCD(Liguid Crystal Display)プロジェクターの場合、前記制御部70は、感知部60によって反射鏡部材50の装着が感知された場合、出光部23を通して出力される光が反射鏡52のみに出力されるように前記各画素の電流のオン/オフを制御することができる。
【0072】
以下、本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー10を用いた口腔スキャン方法について図面を参照して詳細に説明する。
【0073】
図7は本発明の一実施例による3次元口腔スキャナーを用いた口腔スキャン方法を概略的に示すフローチャートである。
【0074】
図7を参照すると、本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー10を用いた口腔スキャン方法(S10)は、広領域の2次元スキャンイメージ獲得段階(S20)、広領域の3次元スキャンデータ生成段階(S30)、3次元モデルデータ生成段階(S40)、狭領域の2次元スキャンイメージ獲得段階(S50)、狭領域の3次元スキャンデータ獲得段階(S60)及び狭領域の3次元スキャンイメージ整合段階(S70)を含むことができる。
【0075】
前記広領域の2次元スキャンイメージ獲得段階(S20)は、反射鏡部材50をケース20に装着しなかった状態で前記広領域の2次元スキャンイメージ42を獲得する段階である。
【0076】
前記広領域の3次元スキャンデータ生成段階(S30)は、前記獲得した広領域の2次元スキャンイメージ42を用いて口腔内歯牙に対する広領域の3次元スキャンデータを生成する段階である。
【0077】
前記3次元モデルデータ生成段階(S40)は、前記広領域の3次元スキャンデータを整合して口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成する段階である。
【0078】
前記狭領域の2次元スキャンイメージ獲得段階(S50)は、反射鏡部材50をケース20に装着した状態で前記狭領域の2次元スキャンイメージ44を獲得する段階である。
【0079】
前記狭領域の3次元スキャンデータ獲得段階(S60)は、前記獲得した狭領域の2次元スキャンイメージ44を用いて口腔内歯牙に対する狭領域の3次元スキャンデータを生成する段階である。
【0080】
前記狭領域の3次元スキャンイメージ整合段階(S70)は、前記3次元モデルデータに前記狭領域の3次元スキャンデータを整合する段階である。
【0081】
本発明の一実施例による口腔スキャン方法(S10)において、反射鏡部材50がケース20に装着された状態でイメージセンシング部40が入光部25を通して入射した全ての反射光から獲得した2次元スキャンイメージは、前記狭領域の2次元スキャンイメージ44が含まれた前記広領域の2次元スキャンイメージ42であることができる。
【0082】
ここで、前記狭領域の2次元スキャンイメージ獲得段階(S50)は、反射鏡部材50をケース20に装着した状態で前記広領域の2次元スキャンイメージ42を獲得する段階と、前記広領域の2次元スキャンイメージ42から前記狭領域の2次元スキャンイメージ44を選択する段階とを含むことができる。
【0083】
図8は反射鏡部材を装着せずにスキャンする場合、口腔内のスキャン領域を概略的に示す図、
図9は反射鏡部材を装着してスキャンする場合、口腔内のスキャン領域を概略的に示す図である。
【0084】
図8は反射鏡部材50を装着せずに一回スキャンする場合、口腔内のスキャン領域42(およそ2個乃至3個の歯牙を一回にスキャンすることができる領域)を示し、イメージセンシング部40が前記スキャン領域42から獲得した2次元スキャンイメージは前記広領域の2次元スキャンイメージ42であることができる。
【0085】
また、
図9は反射鏡部材50を装着して一回スキャンする場合、口腔内のスキャン領域44(およそ1個の歯牙を一回にスキャンすることができる領域)を示し、イメージセンシング部40が前記スキャン領域44から獲得した2次元スキャンイメージは前記狭領域の2次元スキャンイメージ44であることができる。
【0086】
図8に示すように、前記広領域の2次元スキャンイメージ42を用いて口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成するためにはおよそ7回のスキャンであれば十分であるが、
図9に示すように、前記狭領域の2次元スキャンイメージ44を用いて3次元モデルデータを生成する場合には、およそ11回のスキャンでも口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成することができないことが分かる。
【0087】
したがって、本発明の一実施例による3次元口腔スキャナー10及びこれを用いた口腔スキャン方法(S10)によれば、前記広領域の2次元スキャンイメージ42(反射鏡部材50を装着せずにスキャンして獲得する2次元スキャンイメージ)を用いて口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成することにより、前記狭領域の2次元スキャンイメージ44(反射鏡部材50を装着してスキャンして獲得する2次元スキャンイメージ)を用いて口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成する場合より3次元スキャンデータを整合する回数を減らすことができ、よって3次元スキャンデータを整合する場合に発生する累積誤差を最小化することができる。
【0088】
また、
図8を参照して口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成する過程の一例を説明すれば、
図8に示した矢印の方向に、すなわち前記スキャン領域42の1番から7番まで互いに重なるようにスキャンしてそれぞれに対する3次元スキャンデータを生成した後、前記生成された7個の3次元スキャンデータを整合することにより、口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータを生成することができる。
【0089】
ここで、
図9に示すように、前記生成された口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータのうち高精度が必要な部分、例えば歯牙と歯牙との間、直接治療が必要な部分などに対しては、反射鏡部材50を装着してスキャンして獲得した前記狭領域の2次元スキャンイメージ44を用いて3次元スキャンデータを生成し、前記生成された3次元スキャンデータを前記口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータに整合することにより、前記広領域の2次元スキャンイメージ42を用いて生成した3次元モデルデータの不足な部分を補完して埋めることにより、前記3次元モデルデータの精度を向上させることができる。
【0090】
以上で説明したように、本発明は口腔内の全体歯牙に対する3次元モデルデータ生成過程で発生する整合誤差を減らすことができる3次元口腔スキャナー及びこれを用いた口腔スキャン方法に関するものであり、その実施形態は多様な形態に変更可能であると言える。したがって、本発明はこの明細書で開示した実施例によって限定されなく、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が変更可能な全ての形態も本発明の権利範囲に属するものであると言える。