(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】靴ベラおよびこれを備えた杖
(51)【国際特許分類】
A47G 25/82 20060101AFI20220916BHJP
A45B 3/00 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
A47G25/82
A45B3/00 B
(21)【出願番号】P 2017255445
(22)【出願日】2017-12-26
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520506774
【氏名又は名称】中村 和子
(72)【発明者】
【氏名】中村 ▲晋▼
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-042397(JP,A)
【文献】特開2002-209617(JP,A)
【文献】登録実用新案第3213651(JP,U)
【文献】登録実用新案第3207945(JP,U)
【文献】特開2004-008599(JP,A)
【文献】登録実用新案第3091793(JP,U)
【文献】実開昭54-021541(JP,U)
【文献】登録実用新案第3049607(JP,U)
【文献】実開昭50-146765(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0113426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/82
A45B 3/00
A43B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項6】
前記靴ベラに対して操作力が作用しない状態では、前記開き棒、前記支え棒が平行となり、
前記開き棒、前記支え棒が平行となった状態で該開き棒と該支え棒を固着具で拘束すれば杖の機能も持つことを特徴とする、請求項の1から5までのいずれかを有する靴ベラおよびこれらを備えた杖。
【請求項7】
上部にハンドルを下部に石突を備え、かつ内部に入れ子式に摺動する第1ロッドを有する中空の支え棒と、靴のベロ用のヘラを備えた開き棒とが第1連結軸で軸支され、
第2ロッドの一端が前記開き棒に軸支され、
前記第2ロッドの他端が前記第1ロッドの下端に軸支され、
前記第1ロッドの下端と該支え棒の略中央部に第2連結軸で軸支された靴の踵用の靴ベラ
とは、スプリングの両端でつながるワイヤーによりつながり、
前記開き棒と前記踵用の靴ベラとが互いに近づくように常時引っぱられており、立った姿勢で前記ハンドルを握り、前記石突を床に着け、同時に前記靴の踵用の靴ベラと前記靴のベロ用のヘラを靴の中に入れ、前記第1ロッドを
上方へ摺動させると前記第1連結軸を中心に前記靴のベロ用のヘラで靴のベロを前に押しながら、前記靴の踵用の靴ベラは第2連結軸を中心に回動し前記靴のベロ用のヘラは履き口を大きく開き、前記第1ロッドの操作力は前記石突を軸に、前記靴の踵用の靴ベラ、前記靴のベロ用のヘラの間で力が均衡し前記ハンドルを握っていてもふらつかないで安定して足を入れ靴が履ける靴ベラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膝を屈めず立ったまま容易に靴が履ける靴ベラを備えた杖に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の靴ベラを備えた杖として、膝が悪く立ったまま靴を履くとき、体重を反対片足と杖に負担させることで、身体のバランスを保ちながら靴の脱着行為ができるものがある(例えば特許文献1)。また、靴のベロも靴の中に入らないようにガイドするものがある(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4788933号公報
【文献】特開2004-8599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、立ったまま靴を履くとき、特許文献1の靴ベラを備えた杖では踵側は履けても、足の甲側は靴のベロが靴の中に入ってしまい、うまく履けない点である。また、特許文献2の靴脱着用器具は立ったまま靴を履くとき、ベロが靴の中には入らないものの、身体を支えるものがないためふらついてしまうことである。また靴の踵の靴ベラが回動しないため可動アームが障害となり足の入るスペースが狭い。そこで本発明は身体を支えながら、一度で踵側、足の甲側を容易に履ける靴ベラを備えた杖を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、立った姿勢で靴を履く場合、靴の踵の靴ベラだけでなく靴のベロもヘラでガイドして足を靴に挿入しやすくした2つのヘラを有し、立ったまま片手で支え棒の下端の石突が靴の外で床に接し、2つのヘラの開閉が容易に操作でき2つのヘラでガイドしながら履き口を広げる機能を有することを主要な特徴とする靴ベラとこれを備えた杖に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の靴ベラおよびこれを備えた杖は、靴の踵と靴のベロを2つのヘラでガイドし履き口を広げる機能を有するので立ったまま短時間でふらつくことなく靴を容易に履ける利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】 靴ベラを靴に挿入し履きやすいよう履き口を広げた側面図である。
【
図4】 靴ベラを靴に挿入し履きやすいよう履き口を広げた側面図である。
【
図6】 靴ベラを靴に挿入し履きやすいよう履き口を広げた側面図である。
【
図8】 靴ベラを靴に挿入し履きやすいよう履き口を広げた側面図である。
【
図10】 靴ベラを靴に挿入し履きやすいよう履き口を広げた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
靴を履くためには、靴の踵と靴のベロの2か所に障害箇所があるため、それを2つのヘラを一度で開き、履き口を広げ楽な姿勢で容易に履けることを実現した。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1は、本発明装置の側面図であって、立った姿勢でハンドル1を握り、支え棒8の下端の石突5を床に着け、同時に靴の踵用の靴ベラ3と靴のベロ用のヘラ4を靴の中に入れた図である。
【0010】
図2は、支点となる石突5を床に着け、ハンドル1の操作力で第1連結軸2を中心に靴のベロ用のヘラ4で靴のベロを前に押すと靴は前にずれ、靴の踵用の靴ベラ3は靴が前にずれたことにより第2連結軸9を中心に回動して、第2ストッパー15が支え棒8に接すると靴のベロ用のヘラ4は足の入る履き口を大きく開く。靴の踵と靴のベロを2つのヘラ3、4でガイドして履き口を大きくして足を入りやすくした図である。その結果、ハンドル1の操作力は支点となる石突5を軸に、靴の踵用の靴ベラ3、靴のベロ用のヘラ4の間で力が均衡しハンドル1を握っていてもふらつかないで安定して足を入れ靴が履ける。
【0011】
本発明装置の格納時は、常に
図1の姿勢が再現できるよう、開き棒7と靴の踵用の靴ベラ3は、中空の支え棒8の内部のスプリング6の両端でつながる第1ワイヤー10、第2ワイヤー11により第1プーリ12、第2プーリ13を介してつながり、常時引っぱられるので2つのヘラ3、4は接し、靴の踵用の靴ベラ3の第1ストッパー14は支え棒8に接し
図1の姿勢を再現する。
【0012】
図1の姿勢はハンドル1、開き棒7、支え棒8が床に垂直となり、開き棒7と支え棒8をバンドなどの固着具16で拘束すれば杖の機能も持つ。
【0013】
(第2実施形態)
(構成)
次に、本発明の第2実施形態を
図3、
図4で説明する。
第2実施形態は、上記第1実施形態の開き棒7を曲げて、スプリング6に変えてねじりスプリングで靴の踵用の靴ベラの回動を制御する点で上記第1実施形態とは異なる。
【0014】
以下、上記第1実施形態と同じ部分には同じ符号を伏して、適宜説明を省略し異なる部分を詳細に説明する。
図4に示すように、曲がった開き棒7Aでは、靴の履き口を広げた時、支え棒8Aがほぼ垂直の状態で靴が履ける。又、
図1のスプリング6は両端でつながる第1ワイヤー10、第2ワイヤー11により、常時引っぱられるので
図1の姿勢を再現するが、
図3の姿勢を再現するのはねじりスプリング6Aとゴム紐6Bである。第2実施形態は第1実施形態より機構はシンプルである。
【0015】
(第3実施形態)
(構成)
次に、本発明の第3実施形態を
図5、
図6で説明する。
第3実施形態は、上記第1実施形態の
図1のスプリング6、第1ワイヤー10、第2ワイヤー11、第1プーリ12、第2プーリ13に変えて
図5のようにゴム紐6Cで靴の格納時を再現することで第1実施形態とは異なる。
【0016】
図5の開き棒7Cと靴の踵用の靴ベラ3Cは、ゴム紐6Cでつながり、常時引っぱられるので第1連結軸2と第2連結軸9で回動し、ヘラ3Cとヘラ4は接し、靴の踵用の靴ベラ3Cのストパー14Cは支え棒8Cに接し
図5の姿勢を常に再現する。
図6はハンドル1の操作で第1実施形態の
図2と同じく履き口を大きくして足を入りやすくした図である。
【0017】
(第4実施形態)
(構成)
次に、本発明の第4実施形態を
図7、
図8で説明する。
第4実施形態は、上記第1実施形態の支え棒8を上まで伸ばし杖としたもので上記第1実施形態とは異なる。
【0018】
図7は、立った姿勢でハンドル1Dを握り、支え棒8Dの下端の石突5を床に着け、同時に靴の踵用の靴ベラ3Dと靴のベロ用のヘラ4Dを靴の中に入れた図である。
【0019】
図8は、ハンドル1Dに手を置き指で引き金19を引き上げると、連結する第1ロッド17の下端の第3連結軸20が上に持ち上がり、連結する第2ロッド18が第4連結軸21を介して開き棒7Dを前に押す。この第2ロッド18はトグルリンク機構になるので操作力は指を使っても軽い。その結果、第1連結軸2を中心に靴のベロ用のヘラ4Dで靴のベロを前に押すと靴は前にずれ、靴の踵用の靴ベラ3Dは靴が前にずれたことにより第2連結軸9を中心に回動して足の入る履き口を大きく開く。靴の踵と靴のベロを2つのヘラ3D、4Dでガイドして履き口を大きくして足を入りやすくした図である。
【0020】
本発明装置の格納時は、常に
図7の姿勢が再現できるよう、開き棒7Dと靴の踵用の靴ベラ3Dは、中空の支え棒8Dの内部のスプリング6の両端でつながる第1ワイヤー10、第2ワイヤー11、第2ロッド18を介してつながり、常時引っぱられるので2つのヘラ3D、4Dは接し、靴の踵用の靴ベラ3Dは支え棒8Dに接し
図7の姿勢を再現する。
【0021】
図7の姿勢はハンドル1Dを有する支え棒8Dが床に直接垂直に接するので杖の機能として優れている。
【0022】
(第5実施形態)
(構成)
次に、本発明の第5実施形態を
図9、
図10で説明する。
第5実施形態は、上記第4実施形態の
図7の引き金19を引き上げる機構を、
図9のように押し金22を手のひらで押し下げる機構としたもので上記第4実施形態とは異なる。
【0023】
図9は、立った姿勢でハンドル1Eを握り、支え棒8Eの下端の石突5を床に着け、同時に靴の踵用の靴ベラ3Dと靴のベロ用のヘラ4Dを靴の中に入れた図である。
【0024】
図10は、押し金22を手のひらで下に押し、連結する第1ロッド17Eの下端の第1連結軸2が下に押されると、支え棒8Eと第3連結軸20で連結する第2ロッド18は第4連結軸21を介して開き棒7Eを前に押す。その結果、第1連結軸2を中心に靴のベロ用のヘラ4Dで靴のベロを前に押し靴は前にずれ、靴の踵用の靴ベラ3Dは靴が前にずれたことにより第2連結軸9を中心に回動して足の入る履き口を大きく開く。靴の踵と靴のベロを2つのヘラ3D、4Dでガイドして履き口を大きくして足を入りやすくした図である。
【0025】
本発明装置の格納時は、常に
図9の姿勢が再現できるよう、開き棒7Eと靴の踵用の靴ベラ3Dは、中空の支え棒8Eの内部のスプリング6の両端でつながる第1ワイヤー10、第2ワイヤー11、第1プーリ12を介してつながり、常時引っぱられるので2つのヘラ3D、4Dは接し、靴の踵用の靴ベラ3Dは支え棒8Eに接し
図9の姿勢を再現する。
【0026】
図9の姿勢はハンドル1Eを有する支え棒8Eが床に直接垂直に接するので杖の機能として優れている。
【符号の説明】
【0027】
1 ハンドル
2 第1連結軸
3 靴の踵用の靴ベラ
4 靴のベロ用のヘラ
5 石突
6 スプリング
7 開き棒
8 支え棒
9 第2連結軸
10 第1ワイヤー
11 第2ワイヤー
12 第1プーリ
13 第2プーリ
14 第1ストッパー
15 第2ストッパー
16 固着具
17 第1ロッド
18 第2ロッド
19 引き金
20 第3連結軸
21 第4連結軸
22 押し金