(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】車両用レインバイザー
(51)【国際特許分類】
B60J 7/00 20060101AFI20220916BHJP
B60J 3/00 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
B60J7/00 A
B60J3/00 C
(21)【出願番号】P 2022064425
(22)【出願日】2022-04-08
【審査請求日】2022-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522142523
【氏名又は名称】菅原 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】菅原 淳
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-142149(JP,A)
【文献】実開平06-032142(JP,U)
【文献】登録実用新案第3145690(JP,U)
【文献】実開昭63-102519(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第101239613(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/00
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの窓枠の上縁部に固定端部が固定され、前記ドアを閉めた状態で自由端部側が車体ボディのルーフの一部を重なった状態に覆うと共に、前記ドアを開けた状態で前記ドアと前記車体ボディのルーフとの間の空間の上面側の一部のみを覆う雨除けパネルを有し、
前記雨除けパネルは、前記ドアの窓枠の上縁部の外面に前記固定端部が固定され、前記自由端部側は前記車体のルーフサイドの外面に沿って湾曲し、前記車体のルーフとの間に隙間を保って当該車体のルーフの一部を覆うように延びており、
前記隙間は、前記ドアの開閉時に前記雨除けパネルの内面側と前記車体ボディの外面側との間で擦れが生じない最小限の大きさに設定されている
ていることを特徴とする車両用レインバイザー。
【請求項2】
前記雨除けパネルの前記固定端部側に、ドアバイザーが連設されていることを特徴とする
請求項1に記載の車両用レインバイザー。
【請求項3】
前記ルーフに該ルーフとの間に隙間空間を有するように固定され、ドアを閉める際に前記雨除けパネルの前記自由端部側が前記隙間空間に収容される収容部材を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用レインバイザー。
【請求項4】
前記収容部材の車体前方側の先端部が、前記ルーフとの間に隙間が無い流線形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の車両用レインバイザー。
【請求項5】
前記雨除けパネルが左右のフロントドアに設けられ、左右対称の形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用レインバイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降雨時におけるドア開閉時の雨除けを目的とした車両用レインバイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアの窓枠の上縁部には、例えば特許文献1に記載されているように、車内換気時の雨除け等を目的としたドアバイザー(サイドバイザー)がオプション装備として設けられている。ドアバイザーは車幅方向の外側に突出した後に下方に延びる湾曲した庇形状を有している。車両の外側に出っ張る形状であるため、高速走行時に風切り音が発生したり、車のデザイン性の低下につながる等のデメリットが指摘されているものの、降雨時に車内換気のためにドアウインドウを少し下げた場合の車内への雨の入り込みを防止したり、色付きの場合には遮光性が得られたり、降雪時にドアウインドウへの雪の付着を防止できるなどの実用性があるために、ある程度の需要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
降雨時にドアを開けた場合、ドアの内側と車体ボディのルーフ側との間には何も存在しないため、運転者等が出入りする時には雨に濡れることになる。上記のドアバイザーは車両の外側に突出しているため、ドア開閉時のドア内方側の雨除けとしては機能しない。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、降雨時におけるドア開閉時の雨濡れを改善できる車両用レインバイザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の車両用レインバイザー(6A、6B)は、ドア(4A、4B)の窓枠(8)の上縁部(8a)に固定され、ドア(4A、4B)を閉めた状態で自由端部(14A-1、14B-1)側が車体ボディ(10)のルーフ(12)の一部を重なった状態に覆う雨除けパネル(14A、14B)を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る車両用レインバイザーによれば、降雨時におけるドアを開閉するときの雨濡れを少なくでき、車両の使用性の向上を図ることができる。また、雨除けパネルに色彩を付与して車体ボディの色とのコントラストを高めることにより、車両のデザイン性の向上を図ることができる。
【0008】
また、本発明に係る車両用レインバイザー(36A、36B)では、ルーフ(12)に該ルーフ(12)との間に隙間空間(28)を有するように固定され、ドア(4A、4B)を閉める際に雨除けパネル(14A、14B)の自由端部(14A-1、14B-1)側が隙間空間(28)に収容される収容部材(26)を有していることを特徴とする。これによれば、風圧による雨除けパネルの捲れ等を防止することができる。
【0009】
また、本発明に係る車両用レインバイザー(36A、36B)では、収容部材(26)の車体前方側の先端部が、ルーフ(12)との間に隙間が無い流線形状を有していることを特徴とする。これによれば、収容部材の存在による空気抵抗を極力少なくすることができる。
【0010】
また、本発明に係る車両用レインバイザー(6A、6B、36A、36B)では、雨除けパネル(14A、14B)が左右のフロントドア(4A、4B)に設けられ、左右対称の形状を有していることを特徴とする。これによれば、運転者及び助手席同乗者のいずれにおいても雨濡れ抑制の効果を得ることができるとともに、雨除けパネルの左右対称形状により、車両のデザイン性の向上を図ることができる。
【0011】
また、本発明に係る車両用レインバイザー(6A、6B、36A、36B、46A、46B)では、雨除けパネル(14A、14B)の固定端部(14A-1、14B-1)側に、ドアバイザー(32)が連設されていることを特徴とする。これによれば、雨除けパネルによる雨除け機能と共に、降雨時に車内換気のためにドアウインドウを少し下げた場合の車内への雨の入り込みを防止したり、フロントドアを閉めた状態での遮光性が得られたり、降雪時にドアウインドウへの雪の付着を防止できるなどの実用性を享受できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、降雨時におけるドア開閉時の雨濡れを改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る車両用レインバイザーの使用状態を示す図で、両フロントドアを閉めた状態の斜視図である。
【
図2】
図1で示した車両用レインバイザーのうち、右フロントドア側の車両用レインバイザーを示す側面図である。
【
図4】
図1で示した車両用レインバイザーの、両フロントドアを開けた状態の斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る車両用レインバイザーの使用状態を示す図で、両フロントドアを閉めた状態の斜視図である。
【
図7】第2実施形態における収容部の変形例を示す図である。
【
図8】第3実施形態に係る車両用レインバイザーを示す
図3相等の概要断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1乃至
図4を参照して、第1実施形態を説明する。
図1及び
図2に示すように、車両2の左右のフロントドア4A、4Bには、車両用レインバイザー6A、6Bが設けられている。車両用レインバイザー6A、6Bは、フロントドア4A、4Bの窓枠8の上縁部8aに固定され、フロントドア4A、4Bを閉めた状態で自由端部14A-1、14B-1側が車体ボディ10のルーフ12の一部を重なった状態に覆う雨除けパネル14A、14Bと、これらをそれぞれ固定する固定手段としての両面テープ16(
図3参照)と、を有している。
図1に示すように、各雨除けパネル14A、14Bにおける車両進行方向(矢印F方向)の先端縁14A-2、14B-2は、空気抵抗を少なくするために滑らかな湾曲状に形成されている。
【0016】
図3に示すように、右側のフロントドアに設けられている雨除けパネル14Aは、窓枠8の上縁部8aの外面8a-1に固定端部14A-3を両面テープ16で固定され、自由端部14A-1側はルーフサイド18の外面に沿って湾曲し、数ミリから十数ミリ程度の隙間δを保ってルーフ12の一部を覆うように延びている。なお、図示は省略するが、雨除けパネル14Aの固定手段としては、両面テープ16に加えて公知の脱落防止用の金具なども併用することが可能である。左側のフロントドア4Bに設けられている雨除けパネル14Bも同様に固定され、且つ、雨除けパネル14Aと左右対称の形状(勝手違い)を有している。
図3において、符号20、22はゴム製のシール部材を、24はドアウインドウを示している。雨除けパネル14A、14Bは、アクリル樹脂等の剛性の高い合成樹脂で一体成形されている。隙間δは、フロントドア4A、4Bの開閉時に雨除けパネル14A、14Bの内面側と車体ボディ10の外面側との間で擦れが生じない最小限の大きさに設定されていることが望ましい。
【0017】
図4は、左右のフロントドア4A、4Bを開けた状態を示している。フロントドア4A、4Bを開けると、これに伴って雨除けパネル14A、14Bも車体ボディ10から離れて変位し、ルーフ12側とフロントドア4A、4Bの内側との間の空間の上面側の一部を覆う。これにより、降雨時に例えば運転者がフロントドア4Aを開けて降りたり、あるいは急いで用事を済ませて再び乗り込む場合等における雨濡れを少なくすることができる。運転者が降りる場合、フロントドア4Aを開けてから立ち上がる動作となるが、座っている状態からの動作で且つ屈みながらの動作であるために動作が鈍くなりがちで雨に濡れやすいが、雨除けパネル14Aの存在により雨濡れを改善できる。雨除けパネル14Aは窓枠8の上縁部8aから上方に立ち上がる形状であるため、横殴りの雨の場合には特に有効である。フロントドア4B側においても同様である。
【0018】
雨除けパネル14A、14Bに着色すれば遮光性が得られ、例えばフロントドア4Aを開けて空を見上げる場合等のまぶしさを軽減できる。また、車体ボディ10の色とのコントラストを高めるように雨除けパネル14A、14Bに着色した場合、例えば車体ボディ10の色が白で、雨除けパネル14A、14Bの色が赤色や青色の場合、雨除けパネル14A、14Bの一対の羽根のような形状(左右対称)とも相まって、車両2全体のデザイン性を高めることができる。すなわち、車両用レインバイザー6A、6Bの存在により、ユーザーの好みに合わせて車両2のデザイン性をカスタマイズできる利点を有している。
【0019】
[第2実施形態]
図5乃至
図7を参照して、第2実施形態を説明する。上記の第1実施形態と同一部分又は同一と見做せる部分は同一符号で示し、既にした構成上及び機能上の説明は適宜省略する(以下の他の実施形態おいて同じ)。
【0020】
上記のように、雨除けパネル14A、14Bは一端側のみを固定した、いわゆる片持ち固定方式であるため、材質や厚み等の条件によっては、走行時の風圧で自由端部14A-1、14B-1側が振動したり、捲れて変形したりする可能性を否めない。本実施形態に係る車両用レインバイザー36A、36Bは、上記懸念を解消すべく、
図5に示すように、ルーフ12に該ルーフ12との間に隙間空間28(
図6参照)を有するように固定され、フロントドア4A、4Bを閉める際に雨除けパネル14A、14Bの自由端部14A-1、14B-1側が隙間空間28に収容される収容部材26を有している。収容部材26は車両用レインバイザー36A、36Bに個別に対応した構成としてもよいが、本実施形態では構成の簡易化の観点から単一の収容部材26を共用する構成としている。
【0021】
収容部材26は、
図6に示すように、車体前方側の先端部26aが、ルーフ12との間に隙間が無い流線形状を有している。本実施形態では収容部材26は雨除けパネル14A、14Bと同一の材料で形成されており、矩形状の板材の先端側を丸めて下側に固定片26bを形成し、固定片26bを不図示の両面テープでルーフ12に固定している。収容部材26の先端部26aは丸く曲げられているので、空気は矢印ARで示すように滑らかに流れ、抵抗が少ない。また、雨除けパネル14A、14Bの自由端部14A-1、14B-1側は、
図5に示すように、収容部材26とルーフ12との間の隙間空間28に収容されるので、走行時の風圧で自由端部14A-1、14B-1側が振動したり捲れて変形することが防止される。収容部材26に雨除けパネル14A、14Bとは異なる色彩を付与することにより、車両2のデザイン性の一層の向上を図ることができる。
【0022】
収容部材26は、
図7(a)に示すように、先端部26aを丸く折り曲げずに、先端部26aが下方へ折れてさらにルーフ12に平行に延びる形状としてもよい。この場合、先端部26aが固定片を兼ねる。また、
図7(b)に示すように、上面と固定片26dの長さが等しいU字状に形成してもよい。さらに、
図7(c)に示すように、上面と固定片26dとが後端縁26eで繋がった閉じ形状としてもよい。さらにまた、
図7(d)に示すように、収容部材26の自由端側(後端側)に、収容部材26とルーフ12のいずれか一方又は双方にスペーサ30を固定して隙間空間28の高さを一定に保持するようにしてもよい。
【0023】
[第3実施形態]
図8を参照して、第3実施形態を説明する。本実施形態に係る車両用レインバイザー46Aでは、雨除けパネル14Aの固定端部14A-3側に、ドアバイザー32が一体成形により連設されている。反対側の車両用レインバイザー46B(不図示)においても同様の構成となっている。
【0024】
これにより、第1実施形態や第2実施形態での効果に加え、ドアバイザー32による従来の効果、すなわち、降雨時に車内換気のためにドアウインドウ24を少し下げた場合の車内への雨の入り込みを防止したり、フロントドア4A、4Bを閉めた状態での遮光性が得られたり、降雪時にドアウインドウ24への雪の付着を防止できるなどの実用性を享受できる。
【0025】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態では、車両用レインバイザー6A、6B、36A、36B、46A、46Bを左右のフロントドア4A、4Bに設置する例を示したが、右フロントドア4Aのみへの設置でもよく、リアドアへの設置でもよい。
【符号の説明】
【0026】
2 車両
4A、4B フロントドア(ドア)
6A、6B、36A、36B、46A、46B 車両用レインバイザー
8 窓枠
8a 上縁部
10 車体ボディ
12 ルーフ
14A、14B 雨除けパネル
14A-1、14B-1 自由端部
14A-2、14B-2 車両進行方向の端縁
14A-3 固定端部
18 ルーフサイド
26 収容部材
26a、26b、26d 固定片
28 隙間空間
32 ドアバイザー
【要約】
【課題】降雨時におけるドア開閉時の雨濡れを改善できる車両用レインバイザーを提供する。
【解決手段】車両2のフロントドア4A、4Bの窓枠8の上縁部8aには、フロントドア4A、4Bを閉めた状態で自由端部14A-1、14B-1側が車体ボディ10のルーフ12の一部を重なった状態に覆う合成樹脂製の雨除けパネル14A、14Bが両面テープで固定されている。雨除けパネル14A、14Bは車体ボディ10の外面に沿って湾曲した形状を有しているとともに、車両進行方向(矢印F方向)の端縁14A-2、14B-2は、空気抵抗を少なくするために、車両2の後方に向かって車幅方向の幅が徐々に大きくなる滑らかな湾曲状に形成されている。フロントドア4A、4Bが開けられると、ルーフ12側とフロントドア4A、4Bの内側との間の上部空間の一部が雨除けパネル14A、14Bで覆われる。
【選択図】
図1