(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】透過率管理装置、透過率管理方法、透過率管理プログラム及び透過率管理システム
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220916BHJP
E04B 2/74 20060101ALN20220916BHJP
【FI】
G02F1/13 505
E04B2/74 541N
(21)【出願番号】P 2017165029
(22)【出願日】2017-08-30
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】河村 匡人
(72)【発明者】
【氏名】西野 哲生
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/061791(WO,A1)
【文献】特開2014-202858(JP,A)
【文献】特開平03-266814(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0164569(US,A1)
【文献】特開平07-110463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/133
G02F 1/15-19
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントが行われる対象空間において設置され光の透過率が変化する1又は複数のパーティションの透過率管理装置であって、
前記対象空間の予約に係る予約情報と前記イベントの進行に係る時間情報とを取得する取得部と、
前記予約情報と前記時間情報とに基づいて、前記イベントの進行に係る時間が所定の設定条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記パーティションにおける光の透過率が多段階で変化するように制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記イベントの終了を示すイベント終了情報が端末装置を介して入力された場合、前記判定結果に関わりなく、前記透過率が最大となるように制御する、
透過率管理装置。
【請求項2】
前記時間情報は、現在時刻であり、
前記所定の設定条件は、現在時刻が設定時刻に達したことである、
請求項1に記載の透過率管理装置。
【請求項3】
前記時間情報は、前記イベントの開始からの経過時間であり、
前記所定の設定条件は、前記経過時間が設定経過時間に達したことである、
請求項1に記載の透過率管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記イベントの開始を示すイベント開始情報に基づいて前記イベントが開始したと判定された場合、前記透過率が最小となるように制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の透過率管理装置。
【請求項5】
イベントが行われる対象空間において設置され光の透過率が変化する1又は複数のパーティションの透過率管理方法であって、
前記対象空間の予約に係る予約情報と前記イベントの進行に係る時間情報とを取得するステップと、
前記予約情報と前記時間情報とに基づいて、前記イベントの進行に係る時間が所定の設定条件を満たしているか否かを判定するステップと、
前記判定するステップの判定結果に基づいて、前記パーティションにおける光の透過率が多段階で変化するように制御するステップと、
前記イベントの終了を示すイベント終了情報が端末装置を介して入力された場合、前記判定結果に関わりなく、前記透過率が最大となるように制御するステップと、
を含む、
透過率管理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
イベントが行われる対象空間の予約に係る予約情報と前記イベントの進行に係る時間情報とを取得する取得部、
前記予約情報と前記時間情報とに基づいて、前記イベントの進行に係る時間が所定の設定条件を満たしているか否かを判定する判定部、
前記判定部の判定結果に基づいて、1又は複数のパーティションにおける光の透過率が多段階で変化するように制御する制御部、
として機能させ
、
前記制御部は、前記イベントの終了を示すイベント終了情報が端末装置を介して入力された場合、前記判定結果に関わりなく、前記透過率が最大となるように制御する、パーティションの透過率管理プログラム。
【請求項7】
イベントが行われる対象空間において設置され光の透過率が変化する1又は複数のパーティションと、
前記パーティションにおける光の透過率を制御する制御装置と、
前記透過率を管理する透過率管理装置と、を備える透過率管理システムであって、
前記透過率管理装置は、
前記対象空間の予約に係る予約情報と前記イベントの進行に係る時間情報とを取得する取得部と、
前記予約情報と前記時間情報とに基づいて、前記イベントの進行に係る時間が所定の設定条件を満たしているか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記パーティションにおける光の透過率が多段階で変化するように制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記イベントの終了を示すイベント終了情報が端末装置を介して入力された場合、前記判定結果に関わりなく、前記透過率が最大となるように制御する、
透過率管理システム。
【請求項8】
前記制御部は、複数のパーティションのうち少なくとも一のパーティションにおける光の透過率を変化させるタイミングを他のパーティションにおける光の透過率を変化させるタイミングと異なるように制御する、
請求項
7に記載の透過率管理システム。
【請求項9】
前記制御部は、複数のパーティションのうち少なくとも一のパーティションにおける光の透過率を他のパーティションにおける光の透過率と異なるように制御する、
請求項
7又は
8に記載の透過率管理システム。
【請求項10】
前記パーティションは、
光の透過率が多段階で変化するように構成されたフィルムと、
前記フィルムの一方の面に配置された、光を透過する第1光透過部材と、
前記フィルムの他方の面に配置された、光を透過する第2光透過部材と、
を備える、
請求項
7から
9のいずれか一項に記載の透過率管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の透過率が変化する1又は複数のパーティションの透過率管理装置、透過率管理方法、透過率管理プログラム及び透過率管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非通電時には不透明だが、通電時には透明に変わる液晶ブラインド装置が建物の窓ガラスや会議室を区切るパーティションとして用いられるようになってきた。
【0003】
これに関し、特許文献1には、当該文献の
図6に記載のとおり、2種類の高分子材料と液晶材料が分散した複合膜101の両面に、透明電極102及び透明電極103を貼着して構成された液晶パネルであって、透明電極102及び透明電極103はそれぞれ、ベースとなる透明フィルム102A及び透明フィルム103A上に透明導電層102B及び透明導電層103Bが被着されて形成され、透明導電層102B及び透明導電層103Bが複合膜101に接触しており、これら透明電極102及び透明電極103間に交流電源104から駆動電圧を印加すると、複合膜101の光の透過率が増加し、交流電源104から駆動電圧を印加しないと光の透過率が減少する液晶パネルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1記載の液晶パネルが、会議室を仕切るパーティションとして用いられる場合であって、会議が行われているときは、外部から会議の様子が視認できないように、液晶パネル全面が光を透過しない状態(不透明状態)に制御し、会議が終了したときは、参加者に対して会議室からの退出を促すために、液晶パネル全面が光を透過する状態(透明状態)に制御する。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の液晶パネルのような従来の液晶パネルにおいては、液晶パネル全面を一度に調光する方法、つまり、液晶パネル全面を不透明状態から透明状態、又は、透明状態から不透明状態に、単段階に調光する方法しか採り得なかった。このような従来の液晶パネルを使用する限り、会議を開始する時に不透明状態とし、会議が終了する時に透明状態とするような単純な使用方法しかなかった。もしも、パーティションにおける光の透過率をイベントの進行に応じて多段階に切り替えられるなら、従来存在しなかったような利用方法が考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、イベントの進行に応じて光の透過率を変更可能な、パーティションの透過率管理装置、透過率管理方法、透過率管理プログラム及び透過率管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、パーティションにおける光の透過率を多段階に変更可能に構成し、イベントの進行に応じて当該パーティションにおける光の透過率を多段階に変更するように制御すれば、従来存在しなかった利便性を提供可能であることに気づき、本発明に想到した。
【0009】
本発明の一態様に係る透過率管理装置は、光の透過率が変化する1又は複数のパーティションの透過率管理装置であって、イベントの進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしているか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果に基づいて、パーティションにおける光の透過率が多段階で変化するように制御する制御部と、を備える。
【0010】
上記透過率管理装置によれば、イベントの進行に応じてパーティションにおける光の透過率が変化するので、従来存在しなかったような利便性を提供可能である。例えば、パーティションがイベントの開始時に不透明状態でイベントの終了時に透明状態になるように制御すれば、イベント参加者に対してイベントの終了が近づいていることを適切に通知し、イベント会場からのスムーズな退出を促すことができると考えられる。
【0011】
上記透過率管理装置において、時間情報は、現在時刻であり、所定の設定条件は、現在時刻が設定時刻に到達したことであってもよい。
【0012】
上記透過率管理装置において、時間情報は、イベントの開始からの経過時間であり、所定の設定条件は、経過時間が設定経過時間に達したことであってもよい。
【0013】
上記透過率管理装置において、制御部は、イベントの開始を示すイベント開始情報に基づいてイベントが開始したと判定された場合、透過率が最小となるように制御してもよい。
【0014】
上記透過率管理装置において、制御部は、イベントの終了を示すイベント終了情報に基づいてイベントが終了したと判定された場合、透過率が最大となるように制御してもよい。
【0015】
本発明の一態様に係る透過率管理方法は、光の透過率が変化する1又は複数のパーティションの透過率管理方法であって、イベントの進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしているか否かを判定するステップと、判定するステップの判定結果に基づいて、パーティションにおける光の透過率が多段階で変化するように制御するステップと、を含む。
【0016】
本発明の一態様に係る透過率管理プログラムは、コンピュータに、イベントの進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしているか否かを判定する判定部、判定部の判定結果に基づいて、1又は複数のパーティションにおける光の透過率が多段階で変化するように制御する制御部、として機能させる。
【0017】
本発明の一態様に係る透過率管理システムは、光の透過率が変化する1又は複数のパーティションと、パーティションにおける光の透過率を制御する制御装置と、透過率を管理する透過率管理装置と、を備える透過率管理システムであって、透過率管理装置は、イベントの進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしているか否かを判定する判定部と、判定部の判定結果に基づいて、パーティションにおける光の透過率が多段階で変化するように制御する制御部と、を備える。
【0018】
上記透過率管理システムにおいて、制御部は、複数のパーティションのうち少なくとも一のパーティションにおける光の透過率を変化させるタイミングを他のパーティションにおける光の透過率を変化させるタイミングと異なるように制御してもよい。
【0019】
上記透過率管理システムにおいて、制御部は、複数のパーティションのうち少なくとも一のパーティションにおける光の透過率を他のパーティションにおける光の透過率と異なるように制御してもよい。
【0020】
上記透過率管理システムにおいて、パーティションは、光の透過率が多段階で変化するように構成されたフィルムと、フィルムの一方の面に配置された、光を透過する第1光透過部材と、フィルムの他方の面に配置された、光を透過する第2光透過部材と、を備えてもよい。
【0021】
なお、本発明において、「部」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の上記態様によれば、イベントの進行に応じてパーティションにおける光の透過率が変化するので、従来存在しなかったような利便性を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る会議管理システムの一例を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る会議管理サーバの構成の一例を示す模式図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係るパーティションの一例を示す模式図である。(A)は、フロートガラスを用いたパーティションの一例を示す模式図である。(B)は、合わせガラスを用いたパーティションの一例を示す模式図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る調光フィルムの一例を示す模式図である。(A)は、大きな電圧を印加した場合の、調光フィルムにおける光の散乱の状態を示した図である。(B)は、小さな電圧を印加した場合の、調光フィルムにおける光の散乱の状態を示した図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る透過率管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る透過率管理処理の一例を示す概念図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る会議の経過時間と、パーティションにおける光の透過率と、の関係の一例を示すグラフである。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る会議管理システムの他の一例を示す模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るパーティションの一例を示す模式図である。(A)及び(B)は、複数のパーティションから構成されたパーティションの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0025】
なお、以下の実施形態では、「イベント」の一例として「会議」を挙げたが、これに限られず、他の行事や催し物であってもよい。また、「透過率」は、透過度などの他の指標を用いてもよい。
【0026】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る会議管理システムの一例を示す模式図である。
図1に示すように、会議管理システム1(透過率管理システム)は、例示的に、光の透過率が変化する1又は複数のパーティション40と、会議の予約及び進行を管理し、パーティション40の透過率を管理する会議管理サーバ10(透過率管理装置)と、パーティション40の透過率を制御する調光制御装置20(制御装置)と、会議の予約状況や会議の進捗状況に関する情報を出力する端末装置30と、を備える。端末装置30とパーティション40は、例えば、後述する
図6(A)から(E)に示すような会議室の一部に設置される。
【0027】
会議管理サーバ10は、調光制御装置20と有線通信接続されており、調光制御装置20に対して、調光制御装置20がパーティション40に印加する電圧を制御するための制御信号を送信する。つまり、会議管理サーバ10は、調光制御装置20を介して、パーティション40における光の透過率を変化させる。なお、会議管理サーバ10は、調光制御装置20と無線通信接続されていてもよい。
【0028】
会議管理サーバ10は、端末装置30と無線通信接続されており、会議の予約状況や会議の進捗状況に関する情報を端末装置30に送信する。なお、会議管理サーバ10は、端末装置30と有線通信接続されてもよい。
【0029】
なお、端末装置30は、例えばタブレット端末装置を採用し得るが、スマートフォン等の情報出力が可能な他の装置であってもよい。また、端末装置30の台数に特に制限はなく、2台以上であってもよい。さらに、パーティション40の数についても特に制限はなく、1枚であってもよいし、2枚以上であってもよい。
【0030】
図2は、本発明の第1実施形態に係る会議管理サーバの構成の一例を示す模式図である。
図2に示すように、会議管理サーバ10は、例示的に、会議の予約及び進行を管理し、パーティション40の透過率を管理するための情報処理を実行する情報処理部11と、当該情報処理に用いる各種情報及び処理結果を記録する記録部12とを備える。
【0031】
なお、会議管理サーバ10は、例えばコンピュータシステムからなるサーバ装置等によって構成され、ソフトウェアプログラムが記録部12からメインメモリに転送されて実行されることにより、情報処理部11が機能ブロックとして動作する。また、当該プログラムは、例えば、所定のネットワークを介して、会議管理サーバ10の外部からダウンロードされて提供されてもよいし、又は、CD-ROMやDVD-ROM等のコンピュータで読み取り可能な各種の情報記録媒体によって提供されてもよい。
【0032】
情報処理部11は、機能的に、取得部13と、会議予約管理部14と、判定部15と、制御部16と、を備える。
【0033】
取得部13は、情報処理に用いる各種情報を取得する。取得部13は、例えば、会議管理サーバ10に接続された、会議参加者の保有する情報処理装置(不図示)からの会議予約情報を取得する。会議予約情報は、例えば、会議室ごとの利用者、利用日時等の情報や予約の削除、予約の変更等の情報を含む。
【0034】
取得部13は、会議(イベント)の進行に係る時間情報を取得する。取得部13は、例えば、時間計測部としての機能を備えており、会議の進行に係る時間情報として、現在時刻を計測してもよいし、会議の開始時刻からの経過時間を計測してもよい。また、取得部13は、
図1に示す端末装置30から会議(イベント)の開始を示すイベント開始情報、及び、会議(イベント)の終了を示すイベント終了情報を取得してもよい。
【0035】
会議予約管理部14は、取得部13が取得する会議予約情報に基づいて、会議の予約、予約の削除、及び予約の変更等の管理を実行する。
【0036】
判定部15は、会議(イベント)の進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしているか否かを判定する。
【0037】
制御部16は、判定部15の判定結果に基づいて、パーティション40における光の透過率が多段階で変化するようにパーティション40を制御する。なお、制御部16は、例えば3枚のパーティション40のうち少なくとも一のパーティション40における光の透過率を変化させるタイミングを他のパーティション40における光の透過率を変化させるタイミングと異なるように制御する。また、制御部16は、3枚のパーティション40のうち少なくとも一のパーティション40における光の透過率を他のパーティション40における光の透過率と異なるように制御してもよい。さらに、制御部16は、必ずしも、3枚すべてのパーティション40を制御する必要なく、少なくとも一枚のパーティション40を制御するような形態を含む。
【0038】
ここで、光の透過率の多段階制御とは、光の透過率を複数段階で制御することを含む。後述する
図7には、多段階制御の一例として5段階制御が例示されているが、これに限られず、2から4段階制御でもよいし、6段階以上で制御してもよい。また、多段階制御とは、無限数の段階の制御を含んでもよい。つまり、
図7に示すように階段状に制御するのではなく、滑らかに(曲線状に)、光の透過率を変化させるものを含んでもよい。
【0039】
記録部12は、取得部13が取得する会議予約情報、会議の進行に係る時間情報、イベント開始情報、及び、イベント終了情報を記録する。また、記録部12は、
図1に示すパーティション40における光の透過率を制御するための情報、例えば、パーティション40における光の透過率と、その透過率に制御するために必要な印加電圧と、を関連づけて記録する。さらに、記録部12は、パーティション40を制御するタイミング、例えば、パーティション40を制御する時刻情報や会議の経過時間情報をパーティション40ごとに記録する。
【0040】
図3(A)は、本発明の第1実施形態に係る、フロートガラスを用いたパーティションの一例を示す模式図である。
図3(B)は、本発明の一実施形態に係る、合わせガラスを用いたパーティションの一例を示す模式図である。
図3(A)に示すように、パーティション40は、例示的に、光の透過率が多段階に変化するように構成された調光フィルム45(フィルム)と、調光フィルム45の少なくとも一方の面に配置された、光を透過する板ガラス等の透明板41と、を備えて構成されてもよい。
【0041】
図3(B)に示すように、パーティション40は、例示的に、光の透過率が多段階に変化するように構成された調光フィルム45(フィルム)と、接着性及び粘着性を有する中間膜43を介して調光フィルム45の一方の面に配置された、光を透過する透明板41(第1光透過部材)と、中間膜43を介して調光フィルム45の他方の面に配置された、光を透過する透明板41(第2光透過部材)と、を備えて構成されてもよい。
【0042】
調光フィルム45は、光の透過率が変化するように構成されたものであればよく、例えば、高分子分散型液晶(PDLC: Polymer Dispersed Liquid Crystal)又は高分子ネットワーク型液晶(PNLC: Polymer Network Liquid Crystal)等の液晶調光フィルムを採用し得る。透明板41は、光を透過する部材であればよく、例えば、上記のとおり板ガラスを採用し得るが、他の板状の樹脂又はプラスティックを採用してもよい。中間膜43は、例えば、接着性及び粘着性を有する物質であればよく、例えば高分子フィルムであり、ポリビニルブチラール(PVB)を採用し得るが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等を採用してもよい。なお、中間膜43は、遮音効果のある特殊な材料を含んでもよい。
【0043】
この合わせガラスを用いたパーティション40によれば、中間膜43を介して複数の透明板41で調光フィルム45を覆うことで、衝撃に強く破損しにくくなるため、パーティション40の強度を高めることができる。
【0044】
また、遮音効果のある中間膜43を用いることで、イベント参加者の声が中間膜43で吸収されるため、イベント会場から声が漏れることを防止でき、イベントの秘匿性を高めることができる。
【0045】
なお、パーティション40は、会議室において様々な位置に設置される。例えば、パーティション40は、センターガラス、サイドガラス、又はダブルガラスというように、様々な設置位置に応じた形状加工がなされる。
【0046】
図4(A)は、大きな電圧を印加した場合の、調光フィルムにおける光の散乱の状態を示した図である。
図4(B)は、小さな電圧を印加した場合の、調光フィルムにおける光の散乱の状態を示した図である。
図4(A)及び(B)に示すように、調光フィルム45は、例示的に、光の透過率が多段階に変化する液晶層455と、液晶層455の両面に配置された、光を透過する透明伝導膜453と、透明伝導膜453を介して液晶層455に配置された高分子フィルム451と、を備える。
【0047】
液晶層455は、例えば液晶4551と、高分子4553と、を備え、
図4(A)に示すように、液晶層455に大きな電圧が印可されると液晶4551の分子が一定方向に整列して、液晶層455において光を透過するので、
図1及び
図3に示すパーティション40が透明状態に制御される。
【0048】
他方で、
図4(B)に示すように、液晶層455に小さな電圧が印可される、又は、電圧がまったく印加されないと液晶4551の分子の向きがバラバラになり、入射した光が散乱する。よって、液晶層455において光を全く透過しない、又は、透過しにくくなるので、
図1及び
図3に示すパーティション40が不透明状態に制御される。ここで、不透明状態とは、パーティション40において光が透過できない状態であればよく、パーティション40の全面が、白色調光された状態であってもよいし、黒色や他の色に調光された状態であってもよい。
【0049】
上記のとおり、液晶層455に印加する電圧を制御することで、パーティション40の光の透過状態を制御できる。ここで、光の透過率の変化は、例えば0%か100%かというようなものではなく、これらの値の中間値を取りうるものを含む。なお、パーティション40における光の透過状態を制御する方法は、これに限られず、通電時に不透明状態に、非通電時に透明状態に制御可能な調光フィルム45を備えるパーティション40が採用されてもよい。
【0050】
高分子フィルム451は、接着性及び粘着性を有する物質であればよく、例えばポリビニルブチラール(PVB)を採用し得るが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等を採用してもよい。
【0051】
(透過率管理処理)
図5から
図7を用いて本発明の第1実施形態に係る透過率管理処理の一例を説明する。
図5は、本発明の第1実施形態に係る透過率管理処理の一例を示すフローチャートである。
図6は、本発明の第1実施形態に係る透過率管理処理の一例を示す概念図であり、具体的には、会議の進行に応じて、パーティションの透過率が変化する様子を示す概念図である。
【0052】
(ステップS1)
図2に示す会議管理サーバ10の取得部13は、会議のスケジュール、例えば、会議の開始予定時刻(12:00)及び終了予定時刻(13:00)等の会議予約情報を取得する。
【0053】
(ステップS2)
取得部13は、会議(イベント)の開始を示すチェックイン情報(イベント開始情報)を取得する。例えば、
図6(A)に示すように、会議の開始時刻12:00になったら、会議参加者が会議室に集まってくる。そして、会議参加者が、
図6においては不図示であるが、会議室に設置された
図1に示す端末装置30を操作することで、端末装置30からチェックイン情報が会議管理サーバ10に送信される。
【0054】
(ステップS3)
図2に示す判定部15は、取得部13が取得したチェックイン情報に基づいて会議が開始したと判定し、制御部16は、判定部15の判定結果に基づいて、
図6(B)に示すパーティション40における光の透過率が最小となるようにパーティション40を制御する。つまり、制御部16は、会議が開始したと判定された場合、パーティション40が即座に不透明状態になるように制御する。
【0055】
会議が開始した場合に、迅速に、外部から会議室内部の様子を視認できないようにすることができる。
【0056】
なお、判定部15は、開始予定時刻に会議が開始したと判定し、制御部16は、開始予定時刻に、パーティション40における光の透過率が最小となるようにパーティション40を制御してもよい。
【0057】
(ステップS4)
取得部13が会議(イベント)の終了を示すチェックアウト情報(イベント終了情報)を取得しない場合は、ステップS5に進む。ステップS5については、後述する。
【0058】
他方で、取得部13が会議の終了を示すチェックアウト情報を取得した場合は、ステップS7に進む。例えば、会議が終了予定時刻よりもかなり早く終了した場合に、会議参加者が、
図6においては不図示であるが、会議室に設置された
図1に示す端末装置30を操作することで、端末装置30からチェックアウト情報が会議管理サーバ10に送信される。
【0059】
図2に示す判定部15は、取得部13が取得したチェックアウト情報に基づいて会議が終了したと判定し、制御部16は、判定部15の判定結果に基づいて、
図6(E)に示すパーティション40における光の透過率が最大となるようにパーティション40を制御する。つまり、制御部16は、会議が終了したと判定された場合、パーティション40が即座に透明状態になるように制御する。
【0060】
会議が終了した場合に、強制的に、パーティション40を透明状態にする。そうすると、会議参加者以外のユーザが、会議が予定より早く終了したことを確認できる。そして、この会議の直後に同一会議室において予約されている会議を予定時刻より早く開始できるように予約を変更する契機とすることができる。
【0061】
(ステップS5)
判定部15は、会議(イベント)の進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしているか否かを判定する。会議の進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしていない場合は、ステップS4に戻り、満たしている場合は、ステップS6に進む。
【0062】
例えば、判定部15は、会議終了の15分前(12:45)であるか否かを判定する。より具体的には、判定部15は、会議の進行に係る時間情報としての現在時刻が設定時刻(12:45)に到達したか否かを判定する。そして、現在時刻が設定時刻に到達した(所定の設定条件を満たしている)と判定された場合に、ステップS6に進む。
【0063】
また、判定部15は、会議の進行に係る時間情報としての会議の開始からの経過時間が設定経過時間(45分間)を超えたか否かを判定してもよい。そして、会議の経過時間が設定経過時間を超えた(所定の設定条件を満たしている)と判定された場合に、ステップS6に進む。
【0064】
なお、判定部15は、他の判定処理を採用してもよい。また、判定部15は、判定処理を定期的に、例えば1分間隔で実行(バッチ処理)してもよいし、他の間隔で実行してもよい。また、判定部15は、判定処理を任意のタイミングで実行してもよい。
【0065】
(ステップS6)
図2に示す制御部16は、会議の進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしている場合、パーティション40における光の透過率が多段階に変化するようにパーティション40を制御する。
【0066】
図7は、本発明の一実施形態に係る会議の経過時間と、パーティションにおける光の透過率と、の関係の一例を示すグラフである。
図7に示すように、
図2に示す制御部16は、パーティション40における光の透過率が5段階に変化するようにパーティション40を制御する。ここで、5段階で制御するために、例えば設定時刻は、12:45、12:48、12:51、12:54及び12:57の5つが予め設定され、
図2に示す記録部12にパーティションごとに記録される。なお、設定経過時間についても、同様に、例えば、45分間、48分間、51分間、54分間及び57分間の5つが予め設定され、
図2に示す記録部12にパーティションごとに記録される。
【0067】
まず、制御部16は、判定部15が会議終了の15分前(12:45)であると判定すると、第1段階目として光の透過率をS1に制御する。パーティション40の光の透過率が増加することで、
図6(C)に示すように、若干ではあるが、会議室内の様子が外部から視認できる。
続いて、
図7に示すように、制御部16は、判定部15が会議終了の12分前(12:48)であると判定すると、第2段階目として光の透過率をS2に制御し、判定部15が会議終了の9分前(12:51)であると判定すると、第3段階目として光の透過率をS3に制御する。
【0068】
そして、
図6(D)及び
図7に示すように、制御部16は、判定部15が会議終了の6分前(12:54)であると判定すると、第4段階目として光の透過率をS4に制御する。この段階までくると、会議室内の様子が外部から容易に視認できる。
【0069】
最後に、制御部16は、判定部15が会議終了の3分前(12:57)であると判定すると、第5段階目として光の透過率をS5に制御する。ここで、例えば、光の透過率S5は最大値であり、パーティション40が透明状態であることを示している。そして、
図6(E)に示すように、会議終了時(13:00)には、会議室内の様子が外部から完全に視認できる。
【0070】
図7に示すように、制御部16は、判定部15が会議終了の15分前(12:45)であると判定すると、第1段階目として光の透過率がS1となるように比較的大きく変化させ、その後の透過率S2からS5では徐々に変化させている。この形態によれば、会議が終盤に差し掛かるにつれて、不透明状態であったパーティションを徐々に透明状態に制御することができるので、会議室にいる会議参加者にそれとなく会議の終了が近づいていることを通知することができる。
【0071】
(ステップS7)
図6(E)及び
図7に示すように、制御部16は、会議が終了したと判定された場合、パーティション40が透明状態になるように制御する。
【0072】
以上説明した第1実施形態によれば、会議の進行に係る時間情報が所定の設定条件を満たしているか否かを判定し、その判定結果に基づいて、パーティション40における光の透過率が多段階に変化するように制御する。よって、会議の進行に応じてパーティション40における光の透過率が変化するので、従来存在しなかったような利便性を提供可能である。例えば、パーティション40が会議の開始時に不透明状態で会議の終了時に透明になるように制御すれば、会議参加者に対して会議の終了が近づいていることを適切に通知し、会議室からのスムーズな退出を促すことができる。
【0073】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る会議管理システムの一例を示す模式図である。第2実施形態に係る
図8に示す会議管理システム1と、第1実施形態に係る
図1に示す会議管理システム1との相違は、
図8に示す会議管理システム1が、
図1に示す会議管理システム1が備える会議管理サーバ10及び端末装置30の代わりに、スイッチ装置50を備える点である。以下では、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0074】
スイッチ装置50は、調光制御装置20と有線通信接続されており、調光制御装置20に対して、調光制御装置20がパーティション40に印加する電圧を制御するための制御信号を送信する。つまり、スイッチ装置50は、調光制御装置20を介して、パーティション40における光の透過率を変化させる。なお、スイッチ装置50は、調光制御装置20と無線通信接続されていてもよい。
【0075】
スイッチ装置50は、不図示であるが、例えば会議の開始及び終了を入力するスイッチ部が設けられており、スイッチ部が操作され、会議の開始を示すチェックイン情報が入力されると、スイッチ装置50は、会議が開始したと判定された場合、パーティション40が即座に不透明状態になるように制御する。また、スイッチ部が操作され、会議の終了を示すチェックアウト情報が入力されると、スイッチ装置50は、会議が終了したと判定された場合、パーティション40が即座に不透明状態になるように制御する。
【0076】
また、スイッチ装置50は、例えばタイマー機能を備えており、会議の進行に係る時間情報として、会議の開始時刻からの経過時間を計測してもよい。そして、スイッチ装置50は、経過時間が設定経過時間を超えた場合、パーティション40における光の透過率が多段階に変化するようにパーティション40を制御してもよい。
【0077】
以上説明した第2実施形態によれば、会議の進行に応じてパーティション40における光の透過率が変化するので、従来存在しなかったような利便性を提供可能であることに加えて、第1実施形態の
図1に示す会議管理システム1と比べて会議管理サーバ10及び端末装置30を備える必要がないので、簡易で、且つ、低コストでシステムを構築することができる。
【0078】
<第3実施形態>
第3実施形態においては、複数のパーティションから構成されたパーティションにおける光の透過率が制御される。
図9(A)及び(B)は、複数のパーティションから構成されたパーティションの一例を示す模式図である。
図9(A)及び(B)に示すように、パーティション40は、例示的に、パーティション401、403及び405を備えて構成されている。
【0079】
図2に示す制御部16は、複数のパーティションのうち少なくとも一のパーティションにおける光の透過率を変化させるタイミングを他のパーティションにおける光の透過率を変化させるタイミングと異なるように制御する。
図9(A)及び(B)に示すように、制御部16は、例えば、パーティション403における光の透過率を変化させるタイミングを他のパーティション401及び405における光の透過率を変化させるタイミングと異なるように制御してもよい。より具体的には、パーティション401、403及び405のすべてが不透明状態である場合に、パーティション403における光の透過率を変化させるタイミングを他のパーティション401及び405における光の透過率を変化させるタイミングよりも早く透明状態になるように制御してもよい。また、制御部16は、2つのパーティション401及び403を他のパーティション405と異なるタイミングで制御してもよい。
【0080】
以上説明した第3実施形態によれば、パーティション40内の複数のパーティション401、403及び405のうち少なくとも一のパーティションにおける光の透過率を変化させるタイミングを他のパーティションにおける光の透過率を変化させるタイミングと異なるように制御できるので、パーティション40における領域ごとに、光の透過率を変化させるタイミングを制御できる。よって、会議室にいる会議参加者に対して、会議の終了が近づいていることをより明確に通知することができる。
【0081】
なお、制御部16は、複数のパーティションのうち少なくとも一のパーティションにおける光の透過率を他のパーティションにおける光の透過率と異なるように制御してもよい。例えば、制御部16は、パーティション40内の複数のパーティション401、403及び405のうち少なくとも一のパーティションにおける光の透過率を他のパーティションにおける光の透過率と異なるように制御してもよい。
【0082】
この形態によれば、パーティション40における領域ごとに、様々なバリエーションで光の透過率を変化させることができる。よって、会議室にいる会議参加者に対して、会議の終了が近づいていることをより明確に通知することができる。
【0083】
なお、制御部16は、必ずしも、すべてのパーティション401、403及び405を制御する必要はなく、例えば、パーティション401、403及び405のすべてが不透明状態である場合に、パーティション403のみを透明状態になるように制御してもよい。
【0084】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更/改良(例えば、各実施形態を組み合わせること、各実施形態の一部の構成を省略すること)され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0085】
図5において、チェックアウト情報を取得したか否かの判定処理(ステップS4)は、ステップS5の前に行われるが、これに限られず、ステップS5の後に行われてもよい。例えば、ステップS6において多段階に透過率が制御されている最中にチェックアウト情報を取得した場合にも、制御部は、強制的に、パーティションを透明状態にするようにパーティションを制御してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…会議管理システム、10…会議管理サーバ、15…判定部、16…制御部、40…パーティション、45…調光フィルム、41…透明板