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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】実装装置、実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20220916BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
H05K13/04 C
H05K13/08 Q
H05K13/04 M
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018077445
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019186450
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】児玉 裕介
(72)【発明者】
【氏名】石橋 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝一朗
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-005217(JP,A)
【文献】特表2017-528875(JP,A)
【文献】特開2014-165209(JP,A)
【文献】特開2013-042311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さが異なる複数種類の突起が設けられた挿入部品をノズルで保持し、前記突起を基板のスルーホールに挿入して前記挿入部品を前記基板に実装する実装装置であって、
前記複数種類の突起のうち少なくとも2種類の突起の先端の位置情報を取得する情報取得部と、
前記少なくとも2種類の突起の長い方から順に、前記突起の種類毎に各突起の先端の位置情報に基づいて位置補正しつつ当該突起の先端を前記基板のスルーホールに挿入するように前記ノズルを制御するノズル制御部とを備え、
前記情報取得部は、前記突起の種類毎にグループ化して画像認識し、前記グループ毎に前記位置情報を求めることを特徴とする実装装置。
【請求項2】
前記挿入部品は、複数の部品を組み付けたものであり、前記少なくとも2種類の突起が別々の部品に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記挿入部品は、前記複数の部品毎に前記複数種類の突起の位置精度が出ていることを特徴とする請求項2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、前記少なくとも2種類の突起の先端の3次元位置情報を取得することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の実装装置。
【請求項5】
前記情報取得部は、位相シフト法によって前記少なくとも2種類の突起の先端の3次元位置情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の実装装置。
【請求項6】
前記ノズル制御部は、前記少なくとも2種類の突起のうち、挿入順序が今回の突起と挿入順序が次回の突起の長さの差分よりも小さな挿入量で、前記今回の突起の先端を前記基板の表面からスルーホールに挿入するように前記ノズルを制御することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の実装装置。
【請求項7】
前記挿入部品は、ハウジング部品にプラグ部品を組み付けたUSBコネクタであり、
前記ハウジング部品に第1のボスが設けられ、前記プラグ部品に前記第1のボスよりも短い第2のボスと前記第2のボスよりも短いリード端子が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の実装装置。
【請求項8】
長さが異なる複数種類の突起が設けられた挿入部品をノズルで保持し、前記突起を基板のスルーホールに挿入して前記挿入部品を前記基板に実装する実装方法であって、
前記複数種類の突起のうち少なくとも2種類の突起の先端の位置情報を取得するステップと、
前記少なくとも2種類の突起の長い方から順に、前記突起の種類毎に各突起の先端の位置情報に基づいて位置補正しつつ当該突起の先端を前記基板のスルーホールに挿入するように前記ノズルを制御するステップとを有し、
前記情報を取得するステップは、前記突起の種類毎にグループ化して画像認識し、前記グループ毎に前記位置情報を求めることを特徴とする実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、実装装置、実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実装装置として、挿入部品のリード端子やボス等の突起を基板のスルーホールに挿入することで、基板に対して挿入部品を実装するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の実装装置では、ノズルによって挿入部品がピックアップされて、撮像装置によって挿入部品から突出した複数の突起の位置が認識される。そして、基板に形成された複数のスルーホールの真上まで挿入部品が搬送されて、挿入部品が基板のスルーホールに向けて垂直に降ろされることで、挿入部品の各突起が基板の各スルーホールに真っ直ぐに挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-143497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、挿入部品に複数種類の突起が設けられている場合には、一種類の突起を基準に位置合わせすると、他の種類の突起で位置ズレが生じて、基板の各スルーホールに対して挿入部品の各突起を挿入することが困難であった。
【0005】
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、複数種類の突起が設けられた挿入部品を基板に対して適切に実装することができる実装装置及び実装方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の実装装置は、長さが異なる複数種類の突起が設けられた挿入部品をノズルで保持し、前記突起を基板のスルーホールに挿入して前記挿入部品を前記基板に実装する実装装置であって、前記複数種類の突起のうち少なくとも2種類の突起の先端の位置情報を取得する情報取得部と、前記少なくとも2種類の突起の長い方から順に、前記突起の種類毎に各突起の先端の位置情報に基づいて位置補正しつつ当該突起の先端を前記基板のスルーホールに挿入するように前記ノズルを制御するノズル制御部とを備え、前記情報取得部は、前記突起の種類毎にグループ化して画像認識し、前記グループ毎に前記位置情報を求めることを特徴とする。
【0007】
本開示の一態様の実装方法は、長さが異なる複数種類の突起が設けられた挿入部品をノズルで保持し、前記突起を基板のスルーホールに挿入して前記挿入部品を前記基板に実装する実装方法であって、前記複数種類の突起のうち少なくとも2種類の突起の先端の位置情報を取得するステップと、前記少なくとも2種類の突起の長い方から順に、前記突起の種類毎に各突起の先端の位置情報に基づいて位置補正しつつ当該突起の先端を前記基板のスルーホールに挿入するように前記ノズルを制御するステップとを有し、前記情報を取得するステップは、前記突起の種類毎にグループ化して画像認識し、前記グループ毎に前記位置情報を求めることを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、突起の種類毎に突起の先端と基板のスルーホールが位置合わせされ、長い突起から先に突起の先端が基板のスルーホールに挿入される。1種類ずつ突起の誤差が位置補正されて突起の先端が基板のスルーホールに挿入されるため、基板のスルーホールに対する複数種類の突起の挿入ミスを減らすことができる。よって、複数種類の突起が設けられた挿入部品を基板に適切に実装することができる。
【0009】
本開示の一態様の実装装置において、前記挿入部品は、複数の部品を組み付けたものであり、前記少なくとも2種類の突起が別々の部品に設けられている。この構成によれば、複数種類の突起が別々の部品に設けられて位置精度が出にくい挿入部品であっても、基板のスルーホールに対する複数種類の突起の挿入ミスを減らすことができる。
【0010】
本開示の一態様の実装装置において、前記挿入部品は、前記複数の部品毎に前記複数種類の突起の位置精度が出ている。この構成によれば、部品毎に突起の誤差を補正することで、基板のスルーホールに対する複数種類の突起の挿入ミスを減らすことができる。
【0011】
本開示の一態様の実装装置において、前記取得部は、前記少なくとも2種類の突起の先端の3次元位置情報を取得する。この構成によれば、突起の先端の3次元位置情報から複数種類の突起の長さ関係を求めて挿入順序を決定することができる。
【0012】
本開示の一態様の実装装置において、前記取得部は、位相シフト法によって前記少なくとも2種類の突起の先端の3次元位置情報を取得する。この構成によれば、光沢がない突起の先端であっても先端の3次元位置情報を精度よく取得することができる。
【0013】
本開示の一態様の実装装置において、前記制御部は、前記少なくとも2種類の突起のうち、挿入順序が今回の突起と挿入順序が次回の突起の長さの差分より小さな挿入量で、前記今回の突起の先端を前記基板の表面からスルーホールに挿入するように前記ノズルを制御する。この構成によれば、突起を挿入し過ぎることがなく、突起の挿入中に別の種類の突起が基板に衝突することがない。よって、基板のスルーホールに対して複数種類の突起を段階的に挿入することができる。
【0014】
本開示の一態様の実装装置において、前記挿入部品は、ハウジング部品にプラグ部品を組み付けたUSBコネクタであり、前記ハウジング部品に第1のボスが設けられ、前記プラグ部品に前記第1のボスよりも短い第2のボスと前記第2のボスよりも短いリード端子が設けられている。この構成によれば、第1のボス、第2のボス、リード端子の順に、各突起の先端を位置補正しつつ基板のスルーホールに挿入して、USBコネクタを基板に適切に実装することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、突起の種類毎に突起の先端と基板のスルーホールが位置合わせされ、長い突起から先に突起の先端が基板のスルーホールに挿入されるため、複数種類の突起が設けられた挿入部品を基板に適切に実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態の実装装置の上面模式図である。
図2】本実施の形態の挿入部品の模式図である。
図3】本実施の形態の実装装置の制御ブロック図である。
図4】本実施の形態の挿入部品の実装動作の一例を示す図である。
図5】本実施の形態の挿入部品の実装動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態の画像処理装置を備えた実装装置について説明する。図1は、本実施の形態の実装装置の上面模式図である。なお、本実施の形態の実装装置は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。図2は、本実施の形態の挿入部品の模式図である。
【0018】
図1に示すように、実装装置1は、実装ヘッド30によって部品供給装置15から挿入部品50をピックアップして、基板60の所定位置に実装するように構成されている。実装装置1の基台10の略中央には、X軸方向に基板60を搬送する基板搬送部11が配設されている。基板搬送部11は、X軸方向の一端側から部品実装前の基板60を実装ヘッド30の下方に搬入して位置決めし、部品実装後の基板60をX軸方向の他端側から搬出している。また、基板搬送部11を挟んだ両側には、部品供給装置15としてトレイフィーダが設けられており、トレイフィーダの各トレイには多数の挿入部品50が載置されている。
【0019】
基台10上には、実装ヘッド30をX軸方向及びY軸方向に移動させるXY移動部20が設けられている。XY移動部20は、Y軸方向に平行に延びる一対のY軸移動部21と、X軸方向に平行に延びるX軸移動部22とを有している。一対のY軸移動部21は基台10の四隅に立設された支持部(不図示)に支持されており、X軸移動部22は一対のY軸移動部21上にY軸方向に移動可能に設置されている。X軸移動部22上には、実装ヘッド30がX軸方向に移動可能に設置されている。X軸移動部22とY軸移動部21によって実装ヘッド30が水平移動されて部品供給装置15から基板60の所望の位置に挿入部品50が搬送される。
【0020】
実装ヘッド30は、ノズル32を備えた複数(本実施の形態では3つ)のヘッド部33を有している。ヘッド部33は、Z軸モータ(不図示)によってノズル32をZ軸方向に上下動すると共に、θモータ(不図示)によってノズル32をZ軸回りに回転する。各ノズル32は吸引源(不図示)に接続されており、吸引源からの吸引力によって挿入部品50を吸着保持する。なお、実装ヘッド30のノズル32は、上記の吸引ノズルに限定されず、部品供給装置15から挿入部品50を取り出して基板60に実装可能であればよく、例えばグリッパーノズルで構成されていてもよい。
【0021】
実装ヘッド30には、測定対象の高さを計測する高さ計測部34と、ノズル32に吸着された挿入部品50を撮像する吸着撮像部(不図示)とが設けられている。高さ計測部34は、例えば、発光素子から測定対象に向けて発光し、測定対象からの反射光を受光素子で受光することで実装ヘッド30から測定対象までの距離を計測している。吸着撮像部は、ノズル32に吸着された挿入部品50を側方から撮像し、側方画像によってノズル32による挿入部品50の吸着状態が認識される。また、吸着撮像部では、基板60に対する挿入部品50の押し込み量を調整するために吸着部品の高さが測定される。
【0022】
また、実装ヘッド30には、基板60上のマークを撮像する基板撮像部35と、ノズル32による挿入部品50の実装動作を撮像する部品撮像部36とが設けられている。基板撮像部35は、基板60上のマークを真上から撮像しており、マークの上面画像によって基板60に座標系が設定されると共に基板60の位置や反り等が認識される。部品撮像部36は、部品供給装置15に対する挿入部品50の吸着前後を撮像する他、基板60に対する挿入部品50の実装前後を撮像している。これら部品画像によってノズル32による部品の吸着有無が検査されると共に、基板60における部品の実装有無が検査される。
【0023】
実装装置1の基台10上には、ノズル32に保持された挿入部品50の突起53(図2B参照)を撮像する突起撮像部37が設けられている。突起撮像部37は、実装ヘッド30による搬送中の挿入部品50を真下から撮像しており、挿入部品50の撮像画像によって挿入部品50から延びる突起53の位置が認識される。また、実装装置1には、装置各部を統括制御する制御部40が設けられている。このような実装装置1では、上位システムから生産プログラムがダウンロードされ、生産プログラムに基づいて基板60に対する挿入部品50の実装動作が実施される。
【0024】
制御部40は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等によって構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成されている。また、メモリには、実装装置1全体の制御プログラムの他、実装装置1に実装動作を実行させるプログラムが記憶されている。実装装置1では、基板60に対して挿入部品50だけでなく、チップ部品等の他の部品が実装されてもよい。
【0025】
ところで、上記したように挿入部品50には突起53が設けられており、挿入部品50の突起53が基板60のスルーホール61(図5参照)に挿入されることで基板60に挿入部品50が実装される。この場合、挿入部品50の突起53と基板60のスルーホール61が位置合わせされるが、挿入部品50に複数種類の突起53が設けられていると、通常の位置合わせでは全ての突起53をスルーホール61に適切に挿入することができない場合がある。すなわち、一種類の突起53を基準に位置合わせすると、別の種類の突起53で位置ズレが生じて適切な位置合わせが難しい。
【0026】
図2A及び図2Bに示すように、このような挿入部品50として、ハウジング部品(部品)51にプラグ部品(部品)52を組み付けたUSBコネクタが知られている。ハウジング部品51には突起53として一対のボス53A(第1のボス)が立設されており、プラグ部品52には突起53として一対のボス53B(第2のボス)と5つのリード端子53Cが立設されている。ボス53Aは最も長く、ボス53Bはボス53Aよりも短く、リード端子53Cはボス53Bよりも短く形成されている。また、ハウジング部品51とプラグ部品52は別々の製造工程で製造されているため、ハウジング部品51のボス53Aとプラグ部品52のボス53B及びリード端子53Cとで位置精度が出難くなっている。
【0027】
この場合、ボス53Aの先端に焦点を合わせて画像認識すると、ボス53Aとリード端子53Cの位置精度が出ていないため、ボス53Aの先端座標を基準にした位置補正だけでは挿入ミスが生じる場合がある。一方で、リード端子53Cの先端に焦点を合わせて画像認識すると、リード端子53Cとボス53Aの位置精度が出ていないため、リード端子53Cの先端座標を基準にした位置補正だけでは挿入ミスが生じる場合がある。ボス53A及びリード端子53Cのいずれか一方に焦点を合わせた画像認識では、ボス53A、ボス53B、リード端子53Cの全てを基板60のスルーホール61に挿入することが難しい。
【0028】
ボス53Aの先端とリード端子53Cの先端を同時に画像認識可能な高さに焦点を合わせて認識パラメータを微調整することで、ボス53A及びリード端子53Cで位置補正して挿入率を向上させることができる。しかしながら、焦点高さの調整や認識パラメータの調整(ファインチューニング)が必要となり、実装装置1に精通したオペレータでなければ適切に調整することができない。このように、焦点高さ等の煩雑な調整作業を行うことなく、USBコネクタのような挿入部品50を基板60に適切に実装可能な実装方法が求められている。
【0029】
そこで、本実施の形態では、突起53の種類毎に突起53の先端を画像認識して位置補正し、長い突起53から先に突起53の先端を基板60のスルーホール61に挿入するようにしている。ボス53Aで位置補正してボス53Aの先端を基板60のスルーホール61に挿入した状態で、ボス53Bやリード端子53Cで位置補正して挿入動作を実施している。ボス53A、ボス53B、リード端子53Cが1種類ずつ順番に補正されながら挿入されるため、基板60のスルーホール61に対する複数種類の突起53の挿入ミスを減らすことができる。よって、USBコネクタのような挿入部品50を基板60に適切に実装することができる。
【0030】
以下、図3を参照して、実装装置の制御構成について説明する。図3は、本実施の形態の実装装置の制御ブロック図である。なお、図3の制御ブロック図には、実装装置の制御ブロックが簡略化されて記載されているが、実装装置が通常備える構成については備えているものとする。
【0031】
図3に示すように、実装装置1(図1参照)の制御部40には、挿入部品50の突起53を撮像する突起撮像部37が接続されている。突起撮像部37は、3次元計測用のカメラであり、プロジェクタ39から挿入部品50に縞状のパターン光を投影し、縞状のパターン光の位相をシフトしながら複数回に亘って挿入部品50の複数種類の突起53を撮像している。制御部40には、突起撮像部37からパターン光の位相を変えた複数の突起画像が入力されている。制御部40には、情報取得部41、順序決定部42、挿入量算出部43、補正値算出部44、ノズル制御部45が設けられている。
【0032】
情報取得部41では、突起撮像部37から入力された複数の突起画像に位相シフト法による画像処理が施されて、複数の突起画像から複数種類の突起53の先端の3次元位置情報(X、Y、Z)が取得される。位相シフト法を用いているため、合焦点位置から高さを検出する焦点法と比較して、複数種類の突起53の先端高さを精度良く求めることができる。なお、本実施の形態では、情報取得部41が制御部40に設けられる構成にしたが、情報取得部41は突起撮像部37に設けられていてもよい。すなわち、突起撮像部37から制御部40に対して突起画像ではなく、突起53の先端の3次元位置情報が入力されてもよい。
【0033】
順序決定部42では、情報取得部41で取得された複数種類の突起53の位置情報から突起53の挿入順序が決定される。この場合、高さ情報として突起撮像部37の撮像面(基準面)から各突起53の先端までの高さが求められているため、この高さの違いから複数種類の突起53の長さの大小関係が間接的に求められる。長い突起53から先に挿入されるように、基板60のスルーホール61に対する複数種類の突起53の挿入順序が決定される。これにより、突起53の長い方から順番に、突起53の先端を基板60のスルーホール61に段階的に挿入することができる。
【0034】
挿入量算出部43では、複数種類の突起53の長さの差分から各突起53の基板60の表面からスルーホール61に対する挿入量が算出される。この場合、複数種類の突起53のうち挿入順序が今回の突起53と挿入順序が次回の突起53の長さの差分が算出され、この差分よりも小さくなるように今回の突起53の挿入量が設定される。すなわち、n番目に長い突起53とn+1番目に長い突起53の長さの差分が算出され、n番目に長い突起53の挿入量が当該差分よりも小さく調整される。よって、突起53が挿入され過ぎることがなく、突起53の挿入中に別の種類の突起53が基板60に衝突することがない。
【0035】
補正値算出部44では、情報取得部41で取得された複数種類の突起53の位置情報から補正値が算出される。この場合、突起撮像部37の撮像中心を基準にして複数種類の突起53のズレ量が補正値として算出される。ノズル制御部45には、情報取得部41から突起53の位置情報、順序決定部42から挿入順序、挿入量算出部43から挿入量、補正値算出部44から補正値が入力される。ノズル制御部45では、複数種類の突起53の長い方から先に、突起53の種類毎に突起53の先端の位置情報に基づいて補正されつつ、突起53の先端がスルーホール61に挿入されるようにノズル32が制御される。
【0036】
このような構成により、長い突起53から1種類ずつ突起53が位置補正されて、突起53の先端が基板60のスルーホール61に挿入される。基板60のスルーホール61に対して複数種類の突起53が段階的に挿入されることで、長さが異なる複数種類の突起53が設けられた挿入部品50であっても基板60に適切に実装することが可能になっている。特に、挿入部品50が複数の部品を組み付けたものであり、複数種類の突起53が別々の部品に設けられて位置精度が出難いものであっても、基板60のスルーホール61に対する複数種類の突起53の挿入ミスを減らすことができる。
【0037】
続いて、図4及び図5を参照して、挿入部品の実装動作について説明する。図4及び図5は、本実施の形態の挿入部品の実装動作の一例を示す図である。ここでは、挿入部品として図2に示すUSBコネクタを例示して説明するが、挿入部品は長さが異なる複数種類の突起が設けられたものであれば特に限定されない。なお、説明の便宜上、図3の符号を使用して説明する。
【0038】
図4Aに示すように、ノズル32によって部品供給装置15(図1参照)から挿入部品50が持ち上げられ、突起撮像部37の上方の基準高さに位置付けられる。突起撮像部37の上方では、挿入部品50に対してプロジェクタ39から位相をシフトさせながら縞状のパターン光が投影され、突起撮像部37によってパターン光の位相が異なる複数の突起画像が撮像される。そして、情報取得部41で複数の突起画像に対して位相シフト法による画像解析が実施されて、挿入部品50に設けられたボス53A、ボス53B、リード端子53Cが画像認識されると共に先端の位置情報(X、Y、Z)が取得される。
【0039】
上記したように、挿入部品50はハウジング部品51にプラグ部品52を組み付けて構成され、ハウジング部品51には樹脂製の一対のボス53Aが立設されており、プラグ部品52には樹脂製の一対のボス53Bと金属製の5つのリード端子53Cが立設されている。ボス53A、ボス53Bの先端が丸く形成されて光が拡散し易く、さらに樹脂製で金属製のリード端子53Cと比べて光沢がないため、焦点法の画像認識では十分な認識精度が得られない。しかしながら、本実施の形態では、位相シフト法を使用しているため、ボス53A、ボス53Bの先端形状や材質に関わらず、先端の3次元位置情報を精度よく取得することができる。
【0040】
また、情報取得部41では、突起の種類毎にグループ化して画像認識されて、グループ毎に位置情報が求められている。すなわち、一対のボス53Aが第1のグループ、一対のボス53Bが第2のグループ、5つのリード端子53Cが第3のグループとして認識されている。グループ化によって突起の種類毎に処理を分けて実施することが可能になっている。なお、ボス53Bとリード端子53Cは同じプラグ部品52に設けられているため、ボス53Bとリード端子53Cの位置精度が出ている場合には、一対のボス53Bと5つのリード端子53Cをまとめて1つのグループにしてもよい。
【0041】
図4Bに示すように、ボス53A、ボス53B、リード端子53Cの先端の位置情報が取得されると、ボス53A、ボス53B、リード端子53Cの先端の高さ座標(Z)から基板60のスルーホール61(図5参照)に対する挿入順序が決定される。高さ座標が低くなるほど突起が長いことを示すため、挿入順序はボス53Aの第1のグループが1番、ボス53Bの第2のグループが2番、リード端子53Cの第3のグループが3番に決定される。ボス53A、ボス53B、リード端子53Cの長さ関係に基づいて、挿入順序が長い方から順番に設定されている。
【0042】
また、図4Cに示すように、ボス53A、ボス53B、リード端子53Cの先端の高さ座標から、基板60の表面からのボス53A及びボス53Bの挿入量が算出される。ボス53A及びボス53Bの先端の高さ座標から、ボス53Aとボス53Bの長さの差分L1が求められて、ボス53Aの第1のグループの挿入量として差分L1よりも少ないL1-ΔL(ΔL<L1)が算出される。ボス53B及びリード端子53Cの先端の高さ座標から、ボス53Bとリード端子53Cの長さの差分L2が求められて、ボス53Bの第2のグループの挿入量として差分L2よりも少ないL2-ΔL(ΔL<L2)が算出される。なお、リード端子53Cは奥まで挿入されるため、ここではリード端子53Cの第3のグループの挿入量は算出されない。
【0043】
図4Dに示すように、ボス53A、ボス53B、リード端子53Cの先端の水平座標(X、Y)から、ボス53A、ボス53B、リード端子53Cの補正値が算出される。突起撮像部37の撮像中心を基準としてボス53A、ボス53B、リード端子53Cの中心座標のズレ量が補正値として求められる。グループ内では突起同士の位置精度が出ているため、各グループで共通の補正値が算出される。ボス53Aの第1のグループでは補正値Aが算出され、ボス53Bの第2のグループでは補正値Bが算出され、リード端子53Cの第3のグループでは補正値Cが算出されている。
【0044】
図5Aに示すように、ノズル32によって挿入部品50が基板60の挿入位置の真上に位置付けられると、補正値Aを用いて第1のグループの一対のボス53Aが位置補正される。これにより、一対のボス53Aの先端と基板60の一対のスルーホール61が位置合わせされ、挿入部品50を保持したノズル32が下降することでボス53Aの先端が基板60のスルーホール61に挿入される。第1のグループのボス53Aの先端が基板60の表面から挿入量L1-ΔLまで挿入されると、第2のグループのボス53Bの先端が基板60の表面に到達する手前でノズル32の下降が停止される。
【0045】
図5Bに示すように、ボス53Aの先端が基板60のスルーホール61に挿入された状態で、補正値Bを用いて第2のグループの一対のボス53Bが位置補正される。これにより、一対のボス53Bの先端と基板60の一対のスルーホール61が位置合わせされ、挿入部品50を保持したノズル32が再び下降することでボス53Bの先端が基板60のスルーホール61に挿入される。第2のグループのボス53Bの先端が基板60の表面から挿入量L2-ΔLまで挿入されると、第3のグループのリード端子53Cの先端が基板60の表面に到達する手前でノズル32の下降が停止される。
【0046】
図5Cに示すように、ボス53A及びボス53Bの先端が基板60のスルーホール61に挿入された状態で、補正値Cを用いて第3のグループの複数のリード端子53Cが位置補正される。これにより、複数のリード端子53Cの先端と基板60の複数のスルーホール61が位置合わせされ、挿入部品50を保持したノズル32が再び下降することでリード端子53Cの先端がスルーホール61に挿入される。第1-第3のグループのボス53A、ボス53B、リード端子53Cの全てが奥まで挿入されると、挿入部品50に対するノズル32の保持が解除されて挿入部品50が基板60に実装される。
【0047】
以上のように、本実施の形態の実装装置1では、突起53の種類毎に突起53の先端と基板60のスルーホール61が位置合わせされ、長い突起53から先に突起53の先端が基板60のスルーホール61に挿入される。1種類ずつ突起53の誤差が位置補正されて突起53の先端が基板60のスルーホール61に挿入されるため、基板60のスルーホール61に対する複数種類の突起53の挿入ミスを減らすことができる。よって、複数種類の突起53が設けられた挿入部品50を基板60に適切に実装することができる。
【0048】
なお、本実施の形態において、情報取得部は、複数種類の突起の全ての先端の位置情報を取得する構成にしたが、この構成に限定されない。情報取得部は、複数種類の突起のうち少なくとも2種類の突起の先端の位置情報を取得する構成であればよい。例えば、最も長い突起の先端と2番目に長い突起の先端の位置精度が出ている場合、最も長い突起の位置情報を取得せずに、2番目に長い突起と3番目に長い突起の先端の位置情報を取得してもよい。
【0049】
また、本実施の形態において、情報取得部は、位相シフト法によって複数種類の突起の先端の3次元位置情報を取得する構成にしたが、この構成に限定されない。情報取得部は、複数種類の突起の先端の2次元位置情報(X、Y)を取得し、生産プログラムの部品情報から複数種類の突起の長さ又は高さ情報を取得してもよい。
【0050】
また、本実施の形態において、挿入部品が複数の部品を組み付けたものであり、複数の部品毎に突起の位置精度が出ている場合には、同一部品に設けられた複数種類の突起を同時に基板のスルーホールに挿入する構成にしてもよい。例えば、USBコネクタではプラグ部品のボスとリード端子を同時に基板のスルーホールに挿入する構成にしてもよい。
【0051】
また、本実施の形態において、ノズル制御部は、複数種類の突起が長い方から先に基板のスルーホールに挿入される構成にしたが、この構成に限定されない。ノズル制御部は、複数種類の突起のうち、少なくとも2種類の突起の長い方から先に基板のスルーホールに挿入される構成でもよい。
【0052】
また、本実施の形態において、挿入部品の突起としてボス及びリード端子を例示して説明したが、この構成に限定されない。挿入部品の突起は、部品外面から突出して形成されていればよく、部品外面から突出した膨らみでもよい。
【0053】
また、本実施の形態において、挿入部品としてUSBコネクタを例示して説明したが、この構成に限定されない。挿入部品は複数種類の突起が設けられていればよく、例えば、LANコネクタでもよい。
【0054】
また、本実施の形態において、挿入部品として複数の部品を組み付けて形成される構成にしたが、この構成に限定されない。挿入部品は、複数種類の突起が設けられていれば、複数の部品を組み付けて形成されていなくてもよい。
【0055】
また、本実施の形態のプログラムは記憶媒体に記憶されてもよい。記憶媒体は、特に限定されないが、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0056】
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0057】
また、本開示の技術は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0058】
さらに、上記実施の形態では、長さが異なる複数種類の突起が設けられた挿入部品をノズルで保持し、突起を基板のスルーホールに挿入して挿入部品を基板に実装する実装装置であって、複数種類の突起のうち少なくとも2種類の突起の先端の位置情報を取得する情報取得部と、少なくとも2種類の突起の長い方から順に、突起の種類毎に各突起の先端の位置情報に基づいて位置補正しつつ当該突起の先端を基板のスルーホールに挿入するようにノズルを制御するノズル制御部とを備えたことを特徴とする。この構成によれば、突起の種類毎に突起の先端と基板のスルーホールが位置合わせされ、長い突起から先に突起の先端が基板のスルーホールに挿入される。1種類ずつ突起の誤差が位置補正されて突起の先端が基板のスルーホールに挿入されるため、基板のスルーホールに対する複数種類の突起の挿入ミスを減らすことができる。よって、複数種類の突起が設けられた挿入部品を基板に適切に実装することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 :実装装置
32 :ノズル
41 :情報取得部
45 :ノズル制御部
50 :挿入部品
51 :ハウジング部品
52 :プラグ部品
53 :突起
53A:ボス(第1のボス)
53B:ボス(第2のボス)
53C:リード端子
60 :基板
61 :スルーホール
図1
図2
図3
図4
図5