IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JUKI株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-管理システム及び管理方法 図1
  • 特許-管理システム及び管理方法 図2
  • 特許-管理システム及び管理方法 図3
  • 特許-管理システム及び管理方法 図4
  • 特許-管理システム及び管理方法 図5
  • 特許-管理システム及び管理方法 図6
  • 特許-管理システム及び管理方法 図7
  • 特許-管理システム及び管理方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】管理システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20220916BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018087278
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019192141
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 浩司
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115739(JP,A)
【文献】特開2017-130166(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0078829(US,A1)
【文献】特開2017-224721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品実装装置のそれぞれから生産管理データを取得する生産管理データ取得部と、
前記生産管理データが前記電子部品実装装置の稼働率を低下させる条件を示す規定条件を満足するか否かを判定する判定部と、
前記規定条件を満足することを通知する通知データを生成する通知データ生成部と、
複数の前記電子部品実装装置のそれぞれを管理するオペレータの人数を示すオペレータ数を取得するオペレータ数取得部と、
前記オペレータ数に基づいて、前記規定条件を満足する複数の前記電子部品実装装置のそれぞれに通知する前記通知データに優先順位を付ける優先順位決定部と、
前記優先順位が付けられた前記通知データを前記電子部品実装装置に出力する通知データ出力部と、を備え
前記優先順位決定部は、前記オペレータ数が少ない前記電子部品実装装置に出力される通知データほど、高い優先順位を付け、
前記優先順位が付けられた前記通知データは、複数の前記電子部品実装装置のそれぞれに設けられた出力装置を前記優先順位に基づいて異なる作動状態で作動させる作動指令を含む、
管理システム。
【請求項2】
前記生産管理データ取得部は、複数種類の前記生産管理データを取得し、
前記通知データは、第1種類の前記生産管理データが第1規定条件を満足することを通知する第1通知データ、及び第2種類の前記生産管理データが第2規定条件を満足することを通知する第2通知データを含む、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記出力装置は、ランプ、表示装置、及び音声出力装置の少なくとも一つを含む、
請求項1又は請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記生産管理データは、電子部品供給装置から供給される電子部品が無くなったことを示す部品切れデータ、前記電子部品供給装置における電子部品の残数を示す部品残数データ、前記電子部品実装装置のノズルが前記電子部品の保持に成功した割合を示す保持成功率データ、前記ノズルが前記電子部品を保持した回数を示す保持回数データ、及び前記ノズルを支持する実装ヘッドの移動距離を示すヘッド移動距離データの少なくとも一つを含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記生産管理データに基づいて、特定事象の発生を予測する事象予測部を備え、
前記通知データ出力部から出力される通知データは、前記特定事象の発生を予告する予告データを含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項6】
複数の電子部品実装装置のそれぞれから生産管理データを取得することと、
前記生産管理データが前記電子部品実装装置の稼働率を低下させる条件を示す規定条件を満足するか否かを判定することと、
前記規定条件を満足することを通知する通知データを生成することと、
複数の前記電子部品実装装置のそれぞれを管理するオペレータの人数を示すオペレータ数を取得することと、
前記オペレータ数に基づいて、前記規定条件を満足する複数の前記電子部品実装装置のそれぞれに通知する前記通知データに優先順位を付けることと、
前記優先順位が付けられた前記通知データを前記電子部品実装装置に出力することと、を含み、
前記オペレータ数が少ない前記電子部品実装装置に出力される通知データほど、高い優先順位を付け、
前記優先順位が付けられた前記通知データは、複数の前記電子部品実装装置のそれぞれに設けられた出力装置を前記優先順位に基づいて異なる作動状態で作動させる作動指令を含む、
管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の生産施設には、複数の生産ラインが設けられる。電子機器の生産に電子部品実装装置が使用される場合、複数の生産ラインのそれぞれに電子部品実装装置が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-101290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば電子部品実装装置に対する電子部品の供給が停止すると、電子部品実装装置による電子機器の生産が停止する。電子部品の供給が停止した状態を放置しておくと、電子部品実装装置の稼働率が低下する。電子部品実装装置の稼働率を低下させる事象が生じたとき、適切な処置を迅速に講じる必要がある。
【0005】
本発明の態様は、電子部品実装装置の稼働率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、複数の電子部品実装装置のそれぞれから生産管理データを取得する生産管理データ取得部と、前記生産管理データが規定条件を満足するか否かを判定する判定部と、前記規定条件を満足することを通知する通知データを生成する通知データ生成部と、複数の前記電子部品実装装置のそれぞれを管理するオペレータの人数を示すオペレータ数を取得するオペレータ数取得部と、前記オペレータ数に基づいて、前記規定条件を満足する複数の前記電子部品実装装置のそれぞれに通知する前記通知データに優先順位を付ける優先順位決定部と、前記優先順位が付けられた前記通知データを前記電子部品実装装置に出力する通知データ出力部と、を備える管理システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、電子部品実装装置の稼働率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る電子機器の生産施設の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る管理システムの一例を模式的に示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る電子部品実装装置の一例を模式的に示す平面図である。
図4図4は、本実施形態に係る実装ヘッドの一例を模式的に示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
図6図6は、本実施形態に係る管理システムの管理方法の一例を示すタイミングチャートである。
図7図7は、本実施形態に係るサーバの動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、本実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[生産施設]
図1は、本実施形態に係る電子機器の生産施設の一例を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、生産施設には、電子機器を生産する複数の生産ライン1が設けられる。電子機器の生産に電子部品実装装置5が使用される。生産ライン1は、基板に電子部品を実装する実装ラインである。電子部品実装装置5は、複数の生産ライン1のそれぞれに配置される。
【0011】
本実施形態においては、生産ライン1が4つ設けられることとする。すなわち、生産施設には、第1生産ライン1Aと、第2生産ライン1Bと、第3生産ライン1Cと、第4生産ライン1Dとが設けられる。なお、生産施設に設けられる生産ライン1の数は、2つでもよいし、5つ以上の任意の複数でもよい。
【0012】
生産ライン1は、基板を搬入するローダ2と、基板にクリーム半田を印刷する印刷機3と、クリーム半田が印刷された基板を検査する印刷検査機4と、クリーム半田が印刷された基板に電子部品を実装する電子部品実装装置5と、電子部品が実装された基板を加熱してクリーム半田を溶かすリフロー炉6と、基板を搬出するアンローダ7とを備える。リフロー炉6において溶けたクリーム半田が冷却されることにより、電子部品が基板に半田付けされる。
【0013】
図1に示す例では、1つの生産ライン1に電子部品実装装置5が2台配置される。なお、1つの生産ライン1に配置される電子部品実装装置5の台数は、1台でもよいし、3台以上の任意の複数台でもよい。
【0014】
複数の生産ライン1のそれぞれにオペレータWMが配置される。オペレータWMは、生産ライン1を管理する。複数の生産ライン1のそれぞれに配置されるオペレータWMの人数は異なる。本実施形態において、オペレータWMは、第1生産ライン1Aに1人配置され、第2生産ライン1Bに2人配置され、第3生産ライン1Cに3人配置され、第4生産ライン1Dに4人配置されることとする。
【0015】
[管理システム]
図2は、本実施形態に係る管理システム8の一例を模式的に示す図である。管理システム8は、複数の生産ライン1を管理する。生産ライン1の管理は、電子機器の生産進捗状況管理、トレーサビリティ管理、及び品質管理の少なくとも一つを含む。また、生産ライン1の管理は、電子部品実装装置5の生産管理を含む。電子部品実装装置5の生産管理は、電子部品実装装置5に供給される電子部品管理、電子部品実装装置5の稼働状況管理、生産進捗状況管理、及びメンテナンス管理の少なくとも一つを含む。
【0016】
管理システム8は、複数の電子部品実装装置5を一元管理する。管理システム8は、管理装置9と、通信システム30とを有する。管理装置9は、サーバ20と、表示装置21と、入力装置22とを含む。通信システム30は、サーバ20と複数の電子部品実装装置5のそれぞれとの間で通信する。通信システム30は、例えばローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)を含む。通信システム30は、有線通信してもよいし、無線通信してもよい。
【0017】
サーバ20は、コンピュータシステムを含む。サーバ20は、通信システム30を介して、複数の生産ライン1(1A,1B,1C,1D)のそれぞれに配置されている電子部品実装装置5と通信する。
【0018】
表示装置21は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)又は有機ELディスプレイ(Organic Electroluminescence Display:OELD)のようなフラットパネルディスプレイを含む。表示装置21は、表示データを表示する。
【0019】
入力装置22は、管理者MGに操作される。管理者MGに操作されることにより、入力装置22は、入力データを生成する。入力装置22により生成された入力データは、通信システム30を介してサーバ20に出力される。入力装置22として、コンピュータ用キーボード、ボタン、スイッチ、及びタッチパネルの少なくとも一つが例示される。
【0020】
複数の電子部品実装装置5のそれぞれは、制御装置10を有する。制御装置10は、コンピュータシステムを含む。制御装置10は、通信システム30を介して、管理装置9と通信する。
【0021】
複数の電子部品実装装置5のそれぞれは、出力装置50を有する。出力装置50は、管理装置9から送信された通知データに基づいて作動する。出力装置50は、通知データに基づいて、規定の作動状態で作動して、オペレータWMに規定情報を通知する。
【0022】
出力装置50として、ランプ51、表示装置52、及び音声出力装置53の少なくとも一つが例示される。ランプ51は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を含み、複数の色光を発することができる。ランプ51は、規定の色光を規定の発光パターンで発することによって、規定情報を通知する。表示装置52は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを含む。表示装置52は、規定の表示データを表示することによって、規定情報を通知する。音声出力装置53は、スピーカーを含み、規定の音声を発することによって、規定情報を通知する。
【0023】
[電子部品実装装置]
図3は、本実施形態に係る電子部品実装装置5の一例を模式的に示す平面図である。電子部品実装装置5は、電子部品Cを基板Pに実装する。電子部品実装装置5は、ベース部材31と、基板Pを搬送する基板搬送装置32と、電子部品Cを供給する電子部品供給装置33と、ノズル34を有する実装ヘッド35と、実装ヘッド35を移動するヘッド移動装置36と、ノズル34を移動するノズル移動装置37とを備える。
【0024】
ベース部材31は、基板搬送装置32、電子部品供給装置33、実装ヘッド35、ヘッド移動装置36、及びノズル移動装置37を支持する。
【0025】
基板搬送装置32は、基板Pを実装位置DMに搬送する。実装位置DMは、基板搬送装置32の搬送経路に規定される。基板搬送装置32は、基板Pを搬送する搬送ベルト32Bと、基板Pをガイドするガイド部材32Gと、基板Pを保持する保持部材32Hとを有する。搬送ベルト32Bは、アクチュエータの作動により移動して、基板Pを搬送方向に搬送する。また、不図示の昇降機構により、保持部材32Hと基板Pと搬送ベルト32Bとが上下方向に移動する。基板Pは、実装位置DMに移動した後、昇降機構により上昇して、搬送ベルト32Bとガイド部材32Gとに挟持される。実装ヘッド35は、実装位置DMに配置された基板Pの表面に電子部品Cを実装する。
【0026】
電子部品供給装置33は、電子部品Cを供給位置SMに供給する。電子部品供給装置33は、複数のテープフィーダ33Fを含む。テープフィーダ33Fは、複数の電子部品Cを保持する。電子部品供給装置33は、複数の電子部品Cのうち少なくとも1つの電子部品Cを供給位置SMに供給する。電子部品供給装置33は、基板搬送装置32の両側に配置される。なお、電子部品供給装置33は、基板搬送装置32の片側のみに配置されてもよい。
【0027】
実装ヘッド35は、電子部品供給装置33から供給された電子部品Cをノズル34で保持して基板Pに実装する。実装ヘッド35は、複数のノズル34を有する。実装ヘッド35は、電子部品供給装置33から電子部品Cが供給される供給位置SMと、基板Pが配置されている実装位置DMとの間を移動可能である。実装ヘッド35は、供給位置SMに供給された電子部品Cをノズル34で保持して、実装位置DMに移動した後、実装位置DMに配置されている基板Pに電子部品Cを実装する。
【0028】
ヘッド移動装置36は、実装ヘッド35を移動可能である。ヘッド移動装置36は、実装ヘッド35を水平面内の第1軸方向に移動する第1軸移動装置6Xと、実装ヘッド35を第1軸方向と直交する水平面内の第2軸方向に移動する第2軸移動装置36Yとを有する。第1軸移動装置36X及び第2軸移動装置36Yのそれぞれは、アクチュエータを含む。第1軸移動装置36Xは、実装ヘッド35に連結される。第1軸移動装置36Xの作動により、実装ヘッド35が第1軸方向に移動する。第2軸移動装置36Yは、第1軸移動装置36Xを介して実装ヘッド35に連結される。第2軸移動装置36Yの作動により第1軸移動装置36Xが第2軸方向に移動することによって、実装ヘッド35が第2軸方向に移動する。
【0029】
また、電子部品実装装置5は、供給位置SMに供給される電子部品Cを検出する部品センサ41と、実装ヘッド35の移動距離を検出する移動量センサ43とを備える。
【0030】
部品センサ41は、複数のテープフィーダ33Fのそれぞれに設けられる。部品センサ41は、供給位置SMに供給された電子部品Cを検出することによって、テープフィーダ33Fに残っている電子部品Cの数を示す残数を検出する。また、部品センサ41は、供給位置SMに供給される電子部品Cを検出することによって、テープフィーダ33Fにおいて電子部品Cが無くなったことを検出する。
【0031】
移動量センサ43は、例えばエンコーダを含み、実装ヘッド35の移動距離を検出する。実装ヘッド35は、第1軸方向及び第2軸方向のそれぞれに移動する。移動量センサ43は、第1軸方向の実装ヘッド35の移動距離を検出する第1軸移動量センサ43Xと、第2軸方向の実装ヘッド35の移動距離を検出する第2軸移動量センサ43Yとを含む。実装ヘッド35の移動距離は、実装ヘッド35の規定時点からの総移動距離(累積移動距離)を含む。
【0032】
実装ヘッド35の移動距離は、ヘッド移動装置36の作動量を含む。第1軸方向の実装ヘッド35の移動距離は、第1軸移動装置36Xの作動量を含む。第2軸方向の実装ヘッド35の移動距離は、第2軸移動装置36Yの作動量を含む。移動量センサ43は、ヘッド移動装置36の作動量を検出することによって、実装ヘッド35の移動距離を検出してもよい。
【0033】
図4は、本実施形態に係る実装ヘッド35の一例を模式的に示す図である。図4に示すように、実装ヘッド35は、複数のノズル34を有する。ノズル34は、電子部品Cを着脱可能に保持する。ノズル34は、電子部品Cを吸着保持する吸引ノズルである。ノズル34の先端部34Tに開口が設けられる。ノズル34の開口は、真空システムと接続される。ノズル34の先端部34Tと電子部品Cとが接触した状態で、ノズル34の先端部34Tに設けられた開口からの吸引動作が実施されることにより、ノズル34の先端部34Tに電子部品Cが吸着保持される。開口からの吸引動作が解除されることにより、ノズル34から電子部品Cが解放される。
【0034】
ノズル移動装置37は、ノズル34を水平面と直交する第3軸方向及び第3軸を中心とする回転方向のそれぞれに移動可能である。ノズル移動装置37は、実装ヘッド35に支持される。ノズル34は、シャフト34Sの下端部に接続される。シャフト34Sは、複数設けられる。複数のノズル34は、複数のシャフト34Sのそれぞれに接続される。ノズル移動装置37は、複数設けられる。複数のノズル移動装置37は、複数のシャフト34Sのそれぞれに接続される。ノズル34は、シャフト34S及びノズル移動装置37を介して実装ヘッド35に支持される。ノズル移動装置37は、シャフト34Sを第3軸方向及び第3軸を中心とする回転方向に移動することによって、ノズル34を移動する。
【0035】
ノズル34は、ヘッド移動装置36及びノズル移動装置37により、第1軸方向、第2軸方向、第3軸方向、及び第3軸と中心とする回転方向に移動可能である。ノズル34が移動することにより、ノズル34に保持されている電子部品Cも、第1軸方向、第2軸方向、第3軸方向、及び第3軸を中心とする回転方向に移動可能である。
【0036】
なお、ノズル34は、電子部品Cを挟んで保持する把持ノズルでもよい。
【0037】
また、電子部品実装装置5は、ノズル34が電子部品Cを保持したか否かを検出する保持センサ42を備える。保持センサ42は、例えばノズル34の開口と真空システムとを接続する流路の圧力を検出する圧力センサでもよい。ノズル34の電子部品Cを保持する動作を実施した場合において、ノズル34が電子部品Cの保持に成功した場合と、電子部品Cの保持に失敗した場合とで、流路の圧力は異なる。そのため、保持センサ42は、流路の圧力を検出することによって、ノズル34が電子部品Cを保持したか否かを検出することができる。なお、保持センサ42は、ノズル34の先端部34Tに向かってレーザ光を射出する射出部とレーザ光を受光する受光部とを有する光学センサでもよい。ノズル34に電子部品Cが保持されている場合と、保持されていない場合とで、受光部によるレーザ光の受光状態は異なる。そのため、保持センサ42は、ノズル34の先端部34Tに照射されたレーザ光の受光状態に基づいて、ノズル34が電子部品Cを保持したか否かを検出することができる。
【0038】
[サーバ及び制御装置]
図5は、本実施形態に係る管理システム8の一例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、サーバ20は、生産管理データ取得部201と、判定部202と、通知データ生成部203と、オペレータ数取得部204と、優先順位決定部205と、通知データ出力部206と、事象予測部207と、記憶部208とを有する。
【0039】
生産管理データ取得部201は、複数の電子部品実装装置5のそれぞれから生産管理データを取得する。管理システム8は、生産管理データに基づいて、電子部品実装装置5の生産管理を実施する。上述のように、管理システム8は、電子部品実装装置5の生産管理を実施する。電子部品実装装置5の生産管理は、電子部品実装装置5に供給される電子部品管理、電子部品実装装置5の稼働状況管理、生産進捗状況管理、及びメンテナンス管理の少なくとも一つを含む。電子部品実装装置5の生産管理を実施するために必要な生産管理データは、電子部品管理を実施するために必要な電子部品管理データ、稼働状況管理を実施するために必要な稼働状況管理データ、生産進捗状況管理を実施するために必要な生産進捗状況管理データ、及びメンテナンス管理を実施するために必要なメンテナンス管理データの少なくとも一つを含む。
【0040】
電子部品管理データは、電子部品供給装置33のテープフィーダ33Fから供給される電子部品Cが無くなったことを示す部品切れデータ、及び電子部品供給装置33のテープフィーダ33Fにおける電子部品Cの残数を示す部品残数データの少なくとも一方を含む。
【0041】
稼働状況管理データは、電子部品実装装置5のノズル34が電子部品Cの保持に成功した割合を示す保持成功率データ、ノズル34が電子部品Cを保持した回数を示す保持回数データ、及びノズル34を支持する実装ヘッド35の移動距離(規定時点からの総移動距離)を示すヘッド移動距離データの少なくとも一つを含む。
【0042】
なお、部品切れデータ、及び部品残数データが、生産進捗状況管理データに含まれてもよい。保持率成功データ、保持回数データ、及びヘッド移動距離データが、メンテナンス管理データに含まれてもよい。
【0043】
すなわち、本実施形態において、生産管理データは、複数種類存在する。生産管理データとして、電子部品供給装置33から供給される電子部品Cが無くなったことを示す部品切れデータ、電子部品供給装置33における電子部品Cの残数を示す部品残数データ、電子部品実装装置5のノズル34が電子部品Cの保持に成功した割合を示す保持成功率データ、ノズル34が電子部品Cを保持した回数を示す保持回数データ、及びノズル34を支持する実装ヘッド35の移動距離を示すヘッド移動距離データの少なくとも一つが例示される。生産管理データ取得部201は、複数の電子部品実装装置5のそれぞれから、複数種類の生産管理データを取得する。
【0044】
判定部202は、生産管理データ取得部201により取得された生産管理データが規定条件を満足するか否かを判定する。規定条件は、記憶部208に記憶されている。判定部202は、生産管理データ取得部201により取得された生産管理データと、記憶部208に記憶されている規定条件とを照合して、生産管理データが規定条件を満足するか否かを判定する。
【0045】
規定条件は、電子部品実装装置5の稼働率を低下させる条件を示す。規定条件は、例えば、電子部品実装装置5に供給される電子部品Cが無くなったことを示す部品切れ条件、電子部品Cの残数が残数閾値以下であることを示す残数条件、ノズル34が電子部品Cの保持に成功した割合が保持成功率閾値以下であることを示す保持成功率条件、ノズル34が電子部品Cを保持した回数が保持回数閾値以下であることを示す保持回数条件、及び実装ヘッド35の移動距離がヘッド移動距離閾値以下であることを示すヘッド移動距離条件の少なくとも一つを含む。
【0046】
電子部品Cの残数について規定された閾値を示す残数閾値、ノズル34が電子部品Cの保持に成功した割合について規定された閾値を示す保持成功率閾値、ノズル34が電子部品Cを保持した回数について規定された閾値を示す保持回数閾値、及び実装ヘッド35の移動距離について規定された閾値を示すヘッド移動距離閾値は、例えば管理者MGによって予め定められ、記憶部208に記憶される。
【0047】
部品切れ条件を満足する場合、電子部品実装装置5による電子機器の生産が停止する。電子機器の生産が停止する事象が発生したにもかかわらず、その状態を放置しておくと、電子部品実装装置5の稼働率が低下する。
【0048】
残数条件を満足する場合、電子部品実装装置5による電子機器の生産が停止する可能性が高くなる。電子機器の生産が停止する可能性が高くなる事象が発生したにもかかわらず、その状態を放置しておくと、電子部品実装装置5の稼働率が低下する。
【0049】
保持成功率条件を満足する場合、すなわち、ノズル34が電子部品Cを十分に保持することができない事象が発生している場合、その状態を放置しておくと、電子部品Cの稼働率が低下する。なお、ノズル34が電子部品Cを十分に保持することができない事象の原因として、ノズル34の先端部34Tの劣化又は汚れなどが例示される。
【0050】
保持回数条件を満足する場合、すなわち、ノズル34が長期間使用され続けている場合、そのノズル34を更に使用し続けると、やがてノズル34が電子部品Cを十分に保持することができない事象が発生する可能性が高くなる。ノズル34が電子部品Cを十分に保持することができない可能性が高くなる事象が発生したにもかかわらず、その状態を放置しておくと、電子部品実装装置5の稼働率が低下する。
【0051】
ヘッド移動距離条件を満足する場合、すなわち、実装ヘッド35が長期間使用され続けている場合、その実装ヘッド35を更に使用し続けると、やがて実装ヘッド35が十分に移動することができない事象が発生する可能性がある。実装ヘッド35が十分に移動することができない可能性が高くなる事象が発生したにもかかわらず、その状態を放置しておくと、電子部品実装装置5の稼働率が低下する。なお、実装ヘッド35が十分に移動することができない事象の原因として、ヘッド移動装置36のアクチュエータの劣化又は故障などが例示される。
【0052】
このように、判定部202は、生産管理データ取得部201により取得された生産管理データが電子部品実装装置5の稼働率を低下させる規定条件を満足するか否かを判定する。
【0053】
通知データ生成部204は、判定部202による判定データに基づいて、生産管理データが規定条件を満足することを電子部品実装装置5に通知する通知データを生成する。
【0054】
例えば、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5から部品切れデータが出力された場合又は第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5から出力された部品残数データが部品切れ条件を満足する場合、通知データ生成部204は、部品切れ条件を満足することを第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に通知する部品切れ通知データを生成する。
【0055】
また、例えば、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5から出力された部品残数データが残数条件を満足する場合、通知データ生成部204は、部品残数データが残数条件を満足することを第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に通知する部品残数通知データを生成する。
【0056】
また、例えば、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5から出力された保持成功率データが保持成功率条件を満足する場合、通知データ生成部204は、保持成功率データが保持成功率条件を満足することを第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に通知する保持成功率通知データを生成する。
【0057】
また、例えば、第4生産ライン1Dの電子部品実装装置5から出力された保持回数データが保持回数条件を満足する場合、通知データ生成部204は、保持回数データが保持回数条件を満足することを第4生産ライン1Dの電子部品実装装置5に通知する保持回数通知データを生成する。
【0058】
また、例えば、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5から出力されたヘッド移動距離データがヘッド移動距離条件を満足する場合、通知データ生成部204は、ヘッド移動距離データがヘッド移動距離条件を満足することを第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に通知するヘッド移動距離通知データを生成する。
【0059】
オペレータ数取得部204は、複数の電子部品実装装置5のそれぞれを管理するオペレータWMの人数を示すオペレータ数を取得する。本実施形態において、オペレータ数取得部204は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5のオペレータ数が1人であることを取得し、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5のオペレータ数が2人であることを取得し、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5のオペレータ数が3人であることを取得し、第4生産ライン1Dの電子部品実装装置5のオペレータ数が4人であることを取得する。
【0060】
管理者MGが入力装置22を操作することにより、オペレータ数がサーバ20に入力される。オペレータ数取得部204は、入力装置22からオペレータ数を取得する。なお、オペレータ数を規定する生産プログラムデータが記憶部208に記憶されてもよい。オペレータWMは、生産プログラムデータにおいて規定されているオペレータ数に従って、生産ライン1に配置される。オペレータ数取得部204は、記憶部208からオペレータ数を取得してもよい。
【0061】
優先順位決定部205は、オペレータ数取得部204により取得されたオペレータ数に基づいて、規定条件を満足すると判定された生産管理データを出力した複数の電子部品実装装置5のそれぞれに通知する通知データに優先順位を付ける。
【0062】
例えば、第1,第2,第3,第4生産ライン1A,1B,1C,1Dの電子部品実装装置5のそれぞれから出力された部品残数データが残数条件を満足すると判定された場合、優先順位決定部205は、第1,第2,第3,第4生産ライン1A,1B,1C,1Dのそれぞれのオペレータ数に基づいて、残数条件を満足すると判定された部品残数データを出力した複数の電子部品実装装置5のそれぞれに通知する部品残数通知データに優先順位を付ける。
【0063】
本実施形態において、オペレータ数が少ない生産ライン1の電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データほど、優先順位は高い。すなわち、1人のオペレータWAに管理される第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位は、2人のオペレータWAに管理される第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位よりも高い。2人のオペレータWAに管理される第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位は、3人のオペレータWAに管理される第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位よりも高い。3人のオペレータWAに管理される第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位は、4人のオペレータWAに管理される第4生産ライン1Dの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位よりも高い。
【0064】
なお、ここでは、第1,第2,第3,第4生産ライン1A,1B,1C,1Dの電子部品実装装置5のそれぞれから残数条件を満足する部品残数データが出力されることとした。残数条件を満足する部品残数データを出力する電子部品実装装置5は、少なくとも2つあればよい。第1,第2,第3,第4生産ライン1A,1B,1C,1Dの少なくとも2つの生産ライン1の電子部品実装装置5から出力された部品残数データが残数条件を満足すると判定された場合、優先順位決定部205は、オペレータ数が少ない生産ライン1の電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データほど、高い優先順位を付ける。
【0065】
同様に、第1,第2,第3,第4生産ライン1A,1B,1C,1Dの少なくとも2つの生産ライン1の電子部品実装装置5から出力された部品切れデータが部品切れ条件を満足すると判定された場合、優先順位決定部205は、オペレータ数が少ない生産ライン1の電子部品実装装置5に出力される部品切れ通知データほど、高い優先順位を付ける。
【0066】
同様に、優先順位決定部205は、オペレータ数が少ない生産ライン1の電子部品実装装置5に出力される保持成功率通知データほど、高い優先順位を付け、オペレータ数が少ない生産ライン1の電子部品実装装置5に出力される保持回数通知データほど、高い優先順位を付け、オペレータ数が少ない生産ライン1の電子部品実装装置5に出力されるヘッド移動距離通知データほど、高い優先順位を付ける。
【0067】
通知データ出力部206は、優先順位決定部205により優先順位が付けられた通知データを、規定条件を満足する生産管理データを出力した電子部品実装装置5に出力する。
【0068】
例えば、第1,第2,第3,第4生産ライン1A,1B,1C、1Dの電子部品実装装置5のそれぞれから出力された部品残数データが残数条件を満足すると判定された場合、通知データ出力部206は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に、優先順位が最も高い部品残数通知データを出力し、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に、優先順位が2番目に高い部品残数通知データを出力し、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に、優先順位が3番目に高い部品残数通知データを出力し、第4生産ライン1Dの電子部品実装装置5に、優先順位が最も低い部品残数通知データを出力する。
【0069】
通知データ出力部206から出力される通知データは、複数の電子部品実装装置5のそれぞれに設けられた出力装置50を異なる作動状態で作動させる作動指令を含む。
【0070】
例えば、第1,第2,第3,第4生産ライン1A,1B,1C、1Dの電子部品実装装置5のそれぞれから出力された部品残数データが残数条件を満足すると判定され、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位が最も高く、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位が2番目に高く、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位が3番目に高く、第4生産ライン1Dの電子部品実装装置5に出力される部品残数通知データの優先順位が最も低い場合、通知データ出力部206は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に設けられているランプ51を第1作動状態で作動させる作動指令を出力し、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に設けられているランプ51を第2作動状態で作動させる作動指令を出力し、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に設けられているランプ51を第3作動状態で作動させる作動指令を出力し、第4生産ライン1Dの電子部品実装装置5に設けられているランプ51を第4作動状態で作動させる作動指令を出力する。
【0071】
通知データ出力部206は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に設けられているランプ51を例えば赤色光で点滅させる。第1生産ライン1Aに配置されているオペレータWMは、赤色光が点滅していることを見て、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5が残数条件を満足していることを瞬時に認識することができる。
【0072】
また、通知データ出力部206は、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に設けられているランプ51を例えば赤色光で連続点灯させる。第1生産ライン1Aに配置されているオペレータWMは、赤色光が連続点灯していることを見て、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5が残数条件を満足していることを認識することができる。
【0073】
また、通知データ出力部206は、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に設けられているランプ51を例えば黄色光で連続点灯させる。第3生産ライン1Cに配置されているオペレータWMは、黄色光が連続点灯していることを見て、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5が残数条件を満足していることを認識することができる。
【0074】
例えば、通知データ出力部206は、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に設けられているランプ51を例えば青色光で連続点灯させる。第4生産ライン1Dに配置されているオペレータWMは、青色光が連続点灯していることを見て、第4生産ライン1Dの電子部品実装装置5が残数条件を満足していることを認識することができる。
【0075】
ランプ51の作動状態によって、オペレータWMは、緊急度を認識することができる。第1生産ライン1Aにおいて、オペレータWMの人数は1人である。赤色光が点滅していることを見た第1生産ライン1AのオペレータWMは、電子部品Cの残数が少ないこと及び電子部品Cを早期に追加すべきことを認識することができる。オペレータWMの人数は1人なので、その1人のオペレータWMは、自身が迅速に対応すべきことを認識することができる。
【0076】
第2生産ライン1Bにおいて、オペレータWMの人数は2人である。赤色光が連続点灯していることを見た第2生産ライン1BのオペレータWMは、電子部品Cの残数が少ないこと及び電子部品Cを追加すべきことを認識することができる。オペレータWMの人数は2人なので、その2人のオペレータWMは、2人で協力して対応すべきことを認識することができる。
【0077】
第3生産ライン1Cにおいて、オペレータWMの人数は3人である。黄色光が連続点灯していることを見た第3生産ライン1CのオペレータWMは、電子部品Cの残数が少ないこと及び電子部品Cを追加すべきことを認識することができる。オペレータWMの人数は3人なので、その3人のオペレータWMは、手分けして対応すべきことを認識することができる。
【0078】
一方、第4生産ライン1Dにおいて、オペレータWMの人数は4人である。青色光が連続点灯していることを見た第4生産ライン1DのオペレータWMは、電子部品Cの残数が少ないこと及び電子部品Cを追加すべきことを認識することができる。オペレータWMの人数は4人なので、その4人のオペレータWMは、手分けして対応すべきことを認識することができる。
【0079】
事象予測部207は、生産管理データ取得部201により取得された生産管理データに基づいて、特定事象の発生を予測する。特定事象は、電子部品実装装置5の稼働率を低下させる事象である。
【0080】
例えば、生産管理データ取得部201が生産管理データとして第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5から部品残数データを取得した場合、事象予測部207は、電子部品Cが無くなる事象の発生を予測するとともに、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5の生産速度(単位時間当たりに電子部品Cを基板Pに実装する数)と電子部品Cの残数とに基づいて、テープフィーダ33Fにおいて電子部品Cが無くなる時点を予測する。
【0081】
また、例えば、生産管理データ取得部201が生産管理データとして第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5から保持回数データを取得した場合、事象予測部207は、ノズル34の先端部34Tの劣化又は汚れなどに起因してノズル34が電子部品Cを十分に保持することができなくなる事象の発生を予測するとともに、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5の生産速度と記憶部208に記憶されている保持能力実績データとに基づいて、ノズル34が電子部品Cを十分に保持することができなくなる時点を予測する。記憶部208に記憶されている保持能力実績データとは、ノズル34による電子部品Cの保持回数とノズル34の保持能力との関係を示す既知データであり、例えば実験的に導出され、記憶部208に予め記憶される。すなわち、ノズル34が電子部品Cを十分に保持することができなくなる保持回数が実験的に導出され、記憶部208に予め記憶される。したがって、事象予測部207は、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5の生産速度と記憶部208に記憶されている保持能力実績データとに基づいて、ノズル34が電子部品Cを十分に保持することができなくなる時点を予測することができる。
【0082】
また、例えば、生産管理データ取得部201が生産管理データとして第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5からヘッド移動距離データを取得した場合、事象予測部207は、ヘッド移動装置36のアクチュエータの劣化又は故障などに起因して実装ヘッド35が十分に移動することができなくなる事象の発生を予測するとともに、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5の実装ヘッド35の累積移動距離と記憶部208に記憶されている移動距離実績データとに基づいて、実装ヘッド35が十分に移動することができなくなる時点を予測する。記憶部208に記憶されている移動距離実績データとは、実装ヘッド35の移動距離とヘッド移動装置36のアクチュエータの駆動能力との関係を示す既知データであり、例えば実験的に導出され、記憶部208に予め記憶される。すなわち、実装ヘッド35が十分に移動することができなくなる総移動距離が実験的に導出され、記憶部208に予め記憶される。したがって、事象予測部207は、第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5の実装ヘッド35の累積移動距離と記憶部208に記憶されている移動距離実績データとに基づいて、実装ヘッド35が十分に移動することができなくなる時点を予測することができる。
【0083】
通知データ出力部206は、通知データとして、事象予測部207により予測された特定事象の発生を予告する予告データを出力することができる。すなわち、通知データ出力部206は、特定事象として、例えばテープフィーダ33Fにおいて電子部品Cが無くなる事象の発生及び電子部品Cが無くなる時点を予告する予告データを第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に出力したり、ノズル34が電子部品Cを十分に保持することができなくなる事象の発生及びノズル34が電子部品Cを十分に保持することができなくなる時点を予告する予告データを第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に出力したり、実装ヘッド35が十分に移動することができなくなる事象の発生及び実装ヘッド35が十分に移動することができなくなる時点を予告する予告データを第3生産ライン1Cの電子部品実装装置5に出力したりすることができる。
【0084】
制御装置10は、部品切れデータ取得部101と、部品残数データ取得部102と、保持成功率データ取得部103と、保持回数データ取得部104と、ヘッド移動距離データ取得部105と、生産管理データ出力部106と、通知データ取得部107と、ランプ制御部108と、表示制御部109と、音声制御部110とを有する。
【0085】
部品切れデータ取得部101は、生産管理データとして、部品切れデータを取得する。部品切れデータ取得部101は、部品センサ41の検出データとテープフィーダ33Fのテープリールに保持される電子部品Cの総数とに基づいて、部品切れデータを取得する。テープリールに保持されている電子部品Cの総数は既知データである。部品切れデータ取得部101は、テープリールに保持されている電子部品Cの総数から供給位置SMに供給された電子部品Cの総数を減ずることによって、部品切れデータを取得することができる。
【0086】
部品残数データ取得部102は、生産管理データとして、部品残数データを取得する。部品残数データ取得部102は、部品センサ41の検出データとテープフィーダ33Fのテープリールに保持される電子部品Cの総数とに基づいて、部品残数データを取得する。部品切れデータ取得部101は、テープリールに保持されている電子部品Cの総数から供給位置SMに供給された電子部品Cの総数を減ずることによって、部品残数データを取得することができる。
【0087】
保持成功率データ取得部103は、生産管理データとして、保持成功率データを取得する。保持成功率データ取得部103は、保持センサ42の検出データに基づいて、保持成功率データを取得する。保持成功率データ取得部103は、保持センサ42の検出データに基づいて、ノズル34が電子部品Cの保持に失敗した回数及び成功した回数を取得することができる。保持成功率データ取得部103は、ノズル34が電子部品Cの保持に成功した回数をノズル34が電子部品Cを保持する動作を実施した総数で除することによって、保持成功率データを取得することができる。
【0088】
保持回数データ取得部104は、生産管理データとして、保持回数データを取得する。保持回数データ取得部104は、保持センサ42の検出データに基づいて、保持回数データを取得することができる。
【0089】
ヘッド移動距離データ取得部105は、生産管理データとして、ヘッド移動距離データを取得する。ヘッド移動距離データ取得部105は、移動量センサ43の検出データに基づいて、ヘッド移動距離データを取得することができる。
【0090】
生産管理データ出力部106は、収集された生産管理データをサーバ20に出力する。生産管理データ出力部106は、生産管理データとして、部品切れデータ、部品残数データ、保持成功率データ、保持回数データ、及びヘッド移動距離データをサーバ20に出力する。
【0091】
通知データ取得部107は、サーバ20から出力された通知データを取得する。通知データ取得部107は、取得した通知データを、ランプ制御部108、表示制御部109、及び音声制御部110の少なくとも一つに出力する。
【0092】
ランプ制御部108は、サーバ20から出力された通知データに基づいて、ランプ51を規定の作動状態で作動させる。上述のように、ランプ制御部108は、優先順位が付けられた通知データに基づいて、ランプ51を、第1作動状態、第2作動状態、第3作動状態、及び第4作動状態の少なくとも一つの作動状態で作動させることができる。
【0093】
表示制御部109は、サーバ20から出力された通知データに基づいて、表示装置52を規定の作動状態で作動させる。表示制御部109は、優先順位が付けられた通知データに基づいて、表示装置52を異なる作動状態で作動させることができる。
【0094】
音声制御部110は、サーバ20から出力された通知データに基づいて、音声出力装置53を規定の作動状態で作動させる。音声制御部110は、優先順位が付けられた通知データに基づいて、音声出力装置53を異なる作動状態で作動させることができる。
【0095】
[管理方法]
図6は、本実施形態に係る管理システム8の管理方法の一例を示すタイミングチャートである。図6においては、便宜上、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5及び第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5のそれぞれから部品残数データが出力される例について説明する。なお、上述のように、電子部品実装装置5の台数は任意の複数台でもよい。
【0096】
上述のように、第1生産ライン1Aには1人のオペレータWMが配置され、第2生産ライン1Bには2人のオペレータWMが配置される。
【0097】
第1生産ライン1A及び第2生産ライン1Bのそれぞれにおいて、制御装置10は、電子部品Cの残数を監視する。第1生産ライン1Aの制御装置10は、第1生産ライン1Aの部品残数データをサーバ20に出力する(ステップS1)。同様に、第2生産ライン1Bの制御装置10は、第2生産ライン1Bの部品残数データをサーバ20に出力する(ステップS2)。
【0098】
サーバ20は、第1生産ライン1Aの制御装置10及び第2生産ライン1Bの制御装置10のそれぞれから部品残数データを取得する。
【0099】
第1生産ライン1Aの制御装置10から取得された部品残数データが規定条件(残数条件)を満足する場合、サーバ20は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5が規定条件を満足することを示す通知データを生成する。同様に、第2生産ライン1Bの制御装置10から取得された部品残数データが規定条件(残数条件)を満足する場合、サーバ20は、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5が規定条件を満足することを示す通知データを生成する。
【0100】
サーバ20は、オペレータ数に基づいて、規定条件を満足する第1生産ライン1A及び第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5のそれぞれに通知する通知データに優先順位を付ける。サーバ20は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に通知する通知データ(部品残数通知データ)の優先順位が第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に通知する通知データ(部品残数通知データ)の優先順位よりも高くなるように、第1生産ライン1A及び第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5のそれぞれに通知する通知データに優先順位を付ける。
【0101】
サーバ20は、第1生産ライン1Aの制御装置10に、第1優先順位の通知データを出力する(ステップS3)。また、サーバ20は、第2生産ライン1Bの制御装置10に、第2優先順位の通知データを出力する(ステップS4)。
【0102】
第1生産ライン1Aの制御装置10は、第1優先順位の通知データに基づいて、第1作動状態で出力装置50を作動させる(ステップS5)。第2生産ライン1Bの制御装置10は、第2優先順位の通知データに基づいて、第2作動状態で出力装置50を作動させる(ステップS6)。
【0103】
第1作動状態は、第2作動状態よりもオペレータWMを注意喚起しやすい作動状態である。第1生産ライン1Aの制御装置10は、例えばランプ51を赤色光で点滅させる。第2生産ライン1Bの制御装置10は、例えばランプ51を赤色光で連続点灯させる。なお、第1生産ライン1Aの制御装置10は、音声出力装置53から第1音量で音声を出力し、第2生産ライン1Bの制御装置10は、音声出力装置53から第1音量よりも小さい第2音量で音声を出力してもよい。また、第1生産ライン1Aの制御装置10は、表示装置52に注意喚起しやすい表示データを表示させてもよい。
【0104】
図7は、本実施形態に係るサーバ20の動作の一例を示すフローチャートである。生産管理データ取得部201は、第1生産ライン1Aの制御装置10及び第2生産ライン1Bの制御装置10のそれぞれから部品残数データを取得する(ステップS10)。
【0105】
判定部202は、生産管理データ取得部201により取得された、第1生産ライン1Aからの部品残数データ及び第2生産ライン1Bからの部品残数データのそれぞれが規定条件(残数条件)を満足するか否かを判定する(ステップS20)。
【0106】
第1生産ライン1Aからの部品残数データ及び第2生産ライン1Bからの部品残数データのそれぞれが規定条件を満足しないと判定された場合(ステップS20:No)、ステップS10の処理に戻る。
【0107】
第1生産ライン1Aからの部品残数データ及び第2生産ライン1Bからの部品残数データのそれぞれが規定条件を満足すると判定された場合(ステップS20:Yes)、通知データ生成部203は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5が規定条件を満足することを示す通知データを生成し、第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5が規定条件を満足することを示す通知データを生成する(ステップS30)。
【0108】
オペレータ数取得部204は、オペレータ数を取得する。優先順位決定部205は、オペレータ数に基づいて、通知データに優先順位を付ける(ステップS40)。本実施形態において、優先順位決定部205は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に通知する通知データの優先順位が第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5に通知する通知データの優先順位よりも高くなるように、第1生産ライン1A及び第2生産ライン1Bの電子部品実装装置5のそれぞれに通知する通知データに優先順位を付ける。
【0109】
通知データ出力部206は、第1生産ライン1Aの制御装置10に、第1優先順位の通知データを出力する。また、通知データ出力部206は、第2生産ライン1Bの制御装置10に、第2優先順位の通知データを出力する(ステップS50)。ステップS50の処理は、図6を参照して説明したステップS3,S4の処理に相当する。
【0110】
通知データは、第1生産ライン1A及び第2生産ライン1Bのそれぞれの電子部品実装装置5に設けられた出力装置50を異なる作動状態で作動させる作動指令を含む。第1生産ライン1Aの出力装置50は、第1作動状態で作動し、第2生産ライン1Bの出力装置50は、第2作動状態で作動する。第1作動状態は、第2作動状態よりもオペレータWMを注意喚起しやすい作動状態である。
【0111】
なお、図7及び図8においては、生産管理データが部品残数データであることとした。生産管理データは、部品切れデータ、保持成功率データ、保持回数データ、及びヘッド移動距離データの少なくとも一つでもよい。
【0112】
[コンピュータシステム]
図8は、本実施形態に係るコンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述のサーバ20及び制御装置10のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。サーバ20の機能及び制御装置10の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0113】
プログラムは、上述の実施形態に従って、コンピュータシステム1000に、複数の電子部品実装装置5のそれぞれから生産管理データを取得することと、生産管理データが規定条件を満足するか否かを判定することと、規定条件を満足することを通知する通知データを生成することと、複数の電子部品実装装置5のそれぞれを管理するオペレータWMの人数を示すオペレータ数を取得することと、オペレータ数に基づいて、規定条件を満足する複数の電子部品実装装置5のそれぞれに通知する通知データに優先順位を付けることと、優先順位が付けられた通知データを電子部品実装装置に出力することと、を実行させることができる。
【0114】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、生産管理データが電子部品実装装置5の稼働率を低下させる規定条件を満足するとき、電子部品実装装置5の稼働率を低下させる事象が発生したことを通知するための通知データが生成される。また、通知データには、オペレータ数に基づいて、優先順位が付けられる。これにより、オペレータWMが1人である生産ライン1においては、その1人のオペレータWMが迅速に対応できるように、オペレータWMを注意喚起しやすい通知データが出力される。そのため、電子部品実装装置5の稼働率を低下させる事象が生じたとき、オペレータWMは、適切な処置を迅速に講じることができる。また、例えば第1生産ライン1Aと第2生産ライン1Bとで同時に規定条件を満足する事象が発生した場合、オペレータ数が多い第2生産ライン1Bには、第1生産ライン1Aに出力される通知データよりも緊急度が低い通知データが出力される。これにより、例えば第2生産ライン1Bにおいて余剰なオペレータWMが存在する場合、第1生産ライン1Aを援助するために第2生産ライン1Bから第1生産ライン1Aに移動することができる。
【0115】
本実施形態において、生産管理データ取得部201は、部品切れデータ、部品残数データ、保持成功率データ、保持回数データ、及びヘッド移動距離データのような、複数種類の生産管理データを取得する。例えば第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5において、部品残数データ及び保持成功率データの両方が規定条件を満足した場合、通知データ出力部206は、第1生産ライン1Aの電子部品実装装置5に部品残数データが規定条件を満足することを示す第1通知データと、保持成功率データが規定条件を満足することを示す第2通知データと出力することができる。第1生産ライン1Aの出力装置50は、第1通知データ及び第2通知データに基づいて、部品残数データが規定条件を満足することを通知するために第1の作動状態で作動し、保持成功率データが規定条件を満足することを通知するために第2の作動状態で作動することができる。これにより、オペレータWMは、電子部品実装装置5にどのような事象が発生しているのかを認識することができる。
【0116】
また、事象予測部207は、生産管理データに基づいて、特定事象の発生を予測する。特定事象の発生を予告する予告データがサーバ20から制御装置10に出力され、予告データに基づいて出力装置50が作動することにより、オペレータWMは、どのような事象が発生する可能性があるのかを認識することができる。これにより、オペレータWMは、電子部品実装装置5の稼働率が低下する前に、稼働率の低下を抑制するための対応を早期にとることができる。
【符号の説明】
【0117】
1…生産ライン、1A…第1生産ライン、1B…第2生産ライン、1C…第3生産ライン、1D…第4生産ライン、2…ローダ、3…印刷機、4…印刷検査機、5…電子部品実装装置、6…リフロー炉、7…アンローダ、8…管理システム、9…管理装置、10…制御装置、20…サーバ、21…表示装置、22…入力装置、30…通信システム、31…ベース部材、32…基板搬送装置、32B…搬送ベルト、32G…ガイド部材、32H…保持部材、33…電子部品供給装置、33F…テープフィーダ、34…ノズル、34S…シャフト、34T…先端部、35…実装ヘッド、36…ヘッド移動装置、36X…第1軸移動装置、36Y…第2軸移動装置、37…ノズル移動装置、41…部品センサ、42…保持センサ、43…移動量センサ、50…出力装置、51…ランプ、52…表示装置、53…音声出力装置、101…部品切れデータ取得部、102…部品残数データ取得部、103…保持成功率データ取得部、104…保持回数データ取得部、105…ヘッド移動距離データ取得部、106…生産管理データ出力部、107…通知データ取得部、108…ランプ制御部、109…表示制御部、110…音声制御部、201…生産管理データ取得部、202…判定部、203…通知データ生成部、204…オペレータ数取得部、205…優先順位決定部、206…通知データ出力部206…事象予測部、208…記憶部、DM…実装位置、MG…管理者、SM…供給位置、WM…オペレータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8