特許 7142469 円形躯体用足場用踏板装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2022-09-15

(45)【発行日】2022-09-27

(54)【発明の名称】円形躯体用足場用踏板装置

(51)【国際特許分類】

   E04G 5/08 20060101AFI20220916BHJP

【ＦＩ】

E04G5/08 D

E04G5/08 B

【請求項の数】 3

(21)【出願番号】P 2018107505

(22)【出願日】2018-06-05

(65)【公開番号】P2019210698

(43)【公開日】2019-12-12

【審査請求日】2021-06-03

(73)【特許権者】

【識別番号】390019688

【氏名又は名称】株式会社シンニッタン

(74)【代理人】

【識別番号】100102761

【弁理士】

【氏名又は名称】須田 元也

(72)【発明者】

【氏名】橋本 諭

(72)【発明者】

【氏名】江原 収

【審査官】清水 督史

(56)【参考文献】

【文献】実開昭６４－０２７３４８（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２００３－２４７３３８（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開昭６２－０５９２３９（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開平０７－３１７３０６（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００４－０３６３５０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００２－１６１６３５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２００５－３０７５０５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１３－１８５３７７（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｅ０４Ｇ ５／０８

Ｅ０４Ｇ ７／００－７／３４

Ｅ０４Ｇ ３／２４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

円形状に離間配置される建枠の水平杆に足場用踏板を水平状態で架設する円形躯体用足場用踏板装置において、
矩形状踏板本体と、端面の両側部に断面形状Ｃ字状の架設用つかみ金具を突設するステップ板とが連設される第一踏板と、
矩形状踏板本体と、端面の両側部に架設用つかみリブを突設するステップ板とが連設される第二踏板とからなり、
当該第二踏板の当該ステップ板が建枠の水平杆に載置された状態で配置されると共に、当該第一踏板が、当該第二踏板の上から載置され当該架設用つかみ金具が建枠の水平杆に係合された状態で配置されることを特徴とする円形躯体用足場用踏板装置。

【請求項2】

円形状に離間配置される建枠の水平杆に足場用踏板を水平状態で架設する円形躯体用足場用踏板装置において、
矩形状踏板本体と、端面の両側部に断面形状Ｃ字状の架設用つかみ金具を突設するステップ板とが連設される第一踏板と、
矩形状踏板本体と、端面の両側部に架設用つかみリブを突設するステップ板とが連設される第二踏板と、
矩形状踏板本体と、端面の片方の隅部に切欠部を形成すると共に当該端面の両側部に架設用つかみリブを突設するステップ板とが連設される第三踏板、とからなり、
当該第二踏板と当該第三踏板が、当該第二踏板の長辺と当該第三踏板の当該切欠部が形成される側の辺が接する状態で連結され、当該第二踏板と第三踏板の当該ステップ板が建枠の水平杆に載置された状態で配置されると共に、当該第一踏板が、当該第二踏板と第三踏板の上から載置され当該架設用つかみ金具が建枠の水平杆に係合された状態で配置されることを特徴とする円形躯体用足場用踏板装置。

【請求項3】

第二踏板と第三踏板を連結するためのずれ防止金具が第二踏板に設けられたことを特徴とする請求項２に記載した円形躯体用足場用踏板装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、円形躯体に対応するために円形状に離間配置される建枠の水平杆に水平状態に円形躯体用足場用踏板装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来、建造物の建築のために足場を形成するに際しては、所用数所要間隔を保って対向させた建枠のそれぞれの間に、足場用踏板を水平状態に架設することが知られている。しかしながら、円筒状建築物のような平面視円形の躯体に対しては、標準の門型をした一対の建枠が交叉筋違で連結されて踏板が建枠水平パイプに載置された標準枠組足場間に隙間が生ずるなどの不都合が生ずる。
かかる問題点を解決するべく、出願人は、（先行技術）は、当該標準枠組足場間を連結する独自の構成を有する踏板装置を出願した。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開平９－４２１７公報

【0004】

上記技術は、従来の問題点を解決したものであるが、各踏板の配置の態様に伴い、つかみ金具を備えないステップ板が標準枠組足場の踏板の上に配置されることから、吹上による脱落防止のため、ステップ板と踏板とをワイヤーなどで固定する作業を要するものであった。（（００１１）等参照。）

【0005】

また、円形躯体に対応すべく、建枠に架設される足場間の隙間に、躯体に対して内側を短辺とする台形状を呈するなどの特殊構造の踏板を連結させる踏板装置も想定されるものの、特殊構造を呈する踏板の生産コストに問題がある。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、吹上による脱落防止のための固定作業を要することがなく、かつ、既存の踏板構造を利用する経済的に資する踏板装置を提供するものである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、請求項１に記載のように、
円形状に離間配置される建枠の水平杆に足場用踏板を水平状態で架設する円形躯体用足場用踏板装置において、
矩形状踏板本体と、端面の両側部に断面形状Ｃ字状の架設用つかみ金具を突設するステップ板とが連設される第一踏板と、
矩形状踏板本体と、端面の両側部に架設用つかみリブを突設するステップ板とが連設される第二踏板とからなり、
当該第二踏板の当該ステップ板が建枠の水平杆に載置された状態で配置されると共に、当該第一踏板が、当該第二踏板の上から載置され当該架設用つかみ金具が建枠の水平杆に係合された状態で配置されることを特徴とするものである。

【0008】

【0009】

本発明は、請求項２に記載のように、円形状に離間配置される建枠の水平杆に足場用踏板を水平状態で架設する円形躯体用足場用踏板装置において、
矩形状踏板本体と、端面の両側部に断面形状Ｃ字状の架設用つかみ金具を突設するステップ板とが連設される第一踏板と、
矩形状踏板本体と、端面の両側部に架設用つかみリブを突設するステップ板とが連設される第二踏板と、
矩形状踏板本体と、端面の片方の隅部に切欠部を形成すると共に当該端面の両側部に架設用つかみリブを突設するステップ板とが連設される第三踏板、とからなり、
当該第二踏板と当該第三踏板が、当該第二踏板の長辺と当該第三踏板の当該切欠部が形成される側の辺が接する状態で連結され、当該第二踏板と第三踏板の当該ステップ板が建枠の水平杆に載置された状態で配置されると共に、当該第一踏板が、当該第二踏板と第三踏板の上から載置され当該架設用つかみ金具が建枠の水平杆に係合された状態で配置されることを特徴とするものである。

【0010】

本発明は、請求項３に記載のように、請求項２に記載した円形躯体用足場用踏板装置において、第二踏板と第三踏板を連結するためのずれ防止金具が第二踏板に設けられたことを特徴とするものである。

【発明の効果】

【0011】

本発明は請求項１～請求項３に記載のような構成を採用したことから、吹上による脱落防止機構としてのつかみ金具を備える踏板を隣接する踏板の上部より配置することが可能とり、吹上による脱落防止のための固定作業を要することがなく、かつ、既存の踏板構造を利用する経済的に資する踏板装置を提供することが可能となるものである。

【図面の簡単な説明】

【0012】

【図1】本発明の円形躯体用足場用踏板装置の一実施例を示す説明用斜視図である。

【図2】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第一踏板の斜視図である。

【図3】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第二踏板の斜視図である。

【図4】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第三踏板の斜視図である。

【図5】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第一踏板の平面図である。

【図6】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第一踏板の側面図である。

【図7】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第二踏板の平面図である。

【図8】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第二踏板の側面図である。

【図9】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第三踏板の平面図である。

【図10】本発明の円形躯体用足場用踏板装置における第三踏板の側面図である。

【図11】本発明の円形躯体用足場用踏板装置の一実施例を示す平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0013】

以下、本発明に係る円形躯体用足場用踏板装置に関して詳細に説明する。

【0014】

本発明の基本的構成は、請求項１においては、第一踏板と、第二踏板とかなり、請求項２乃至請求項３においては、第一踏板と、第二踏板と、第三踏板からなるものであり、これらの各踏板を、円形躯体に離間配置される建枠の水平杆に配置する円形躯体用踏板用装置に関するものである。

【0015】

第一踏板１は、全体形状が平面視において長方形状に形成されており、踏板本体１ａと、踏板本体１ａ短辺側の両端に連設されるステップ板１ｂとからなるものである。

【0016】

踏板本体１ａは、図示のように、平面視において長方形状に形成されており、ステップ板１ｂは、ステップ板１ｂ長辺部が、踏板本体１ａ短辺部に当接し連設されている。

【0017】

ステップ板１ｂの端面両側（すなわち、踏板本体に連接された状態での第一踏板の四隅）には、長手方向に突設する架設用つかみ金具Ｋ１～Ｋ４が設けられている。

【0018】

つかみ金具Ｋ１～Ｋ４は、建枠の水平杆Ｐに係合するために断面形状Ｃ状に形成される。

【0019】

ステップ板１ｂは、踏板本体１ａに比し薄板よりなる。これは後述するように、第一踏板が、第二踏板や第三踏板の上部より配置された状態で水平杆上に架設されることから、つかみ金具の確実な係合を図るためである。

【0020】

第二踏板２は、全体形状が平面視において長方形状に形成されており、踏板本体２ａと、踏板本体２ａに連設されるステップ板２ｂとからなるものである。

【0021】

踏板本体２ａは、図示のように、平面視において長方形状に形成されており、ステップ板２ｂは、ステップ板２ｂ長辺部が、踏板本体２ａ短辺部に当接し連設されている。

【0022】

ステップ板２ｂは、踏板本体２ａに比し薄板によりなり、例えば、踏板本体が約５０ｍｍの厚みに比し、ステップ板は約１８ｍｍの厚みを有する。かかる構成は、前述の公知技術において示されているとおり、建枠間の段差を無くすためである。

【0023】

ステップ板２ｂの両端面両側（すなわち、踏板本体２ａに連接された状態での第二踏板２の四隅）には、長手方向に突設する架設用つかみリブＦ１～Ｆ４が設けられている。つかみリブは、例えば、水平杆Ｐに載置状態において下方に垂設されるフック片状に形成される。
かかるつかみリブにより、水平杆上に配置された第二踏板が横滑りした際においても落下を防止することが可能となる。

【0024】

すなわち、第二踏板においては、第一踏板のようなＣ字状のつかみ金具を形成する必要はない。これは後述のとおり、第二踏板は第一踏板の下に配置されるため、吹き上がりによる脱落防止機構を設ける必要がないからである。これにより、部材作成コストが顕著に低減することとなる。

【0025】

第三踏板３は、全体形状が平面視において略凸状の六角形状に形成されており、踏板本体３ａと、踏板本体３ａに連設されるステップ板３ｂとからなるものである。

【0026】

踏板本体３ａは、図示のように、平面視において長方形状に形成されており、ステップ板３ｂは、ステップ板３ｂ長辺部（後述する切欠き部が形成されていない側）が、踏板本体３ａ短辺部に当接し連設されている。

【0027】

ステップ板３ｂは、踏板本体３ａに比し薄板によりなり、例えば、踏板本体が約５０ｍｍの厚みに比し、ステップ板は約１８ｍｍの厚みを有する。かかる構成は、前述の公知技術において示されているとおり、建枠間の段差を無くすためである。

【0028】

第三踏板３のステップ板３ｂは、端面の片方の隅部に切欠き部Ｈが形成される。

【0029】

実施例にように、平面視において矩形状の切欠きが想定され、踏板本体とステップ板が連設された態様（第三踏板全体）において平面視凸状の六角形状を呈することになる。

【0030】

ステップ板の両端面両側には、長手方向に突設する架設用つかみリブＦ５～８が設けられている。つかみリブは、例えば、水平杆Ｐに載置状態において下方に垂設されるフック片状に形成される。
かかるつかみリブにより、水平杆上に配置された第三踏板が横滑りした際においても落下を防止することが可能となる。

【0031】

すなわち、第三踏板においては、第一踏板のようなＣ字状のつかみ金具を形成する必要はない。これは後述のとおり、第三踏板は第一踏板の下に配置されるため、吹き上がりによる脱落防止機構を設ける必要がないからである。
これにより、部材作成コストが低減することとなる。

【0032】

請求項１に記載される配置関係を以下説明する。
第二踏板の架設用つかみリブが突設されるステップ板が建枠の水平杆に載置された状態で配置されると共に、第一踏板が、当該第二踏板の上から載置され当該架設用つかみ金具が建枠の水平杆に係合された状態で配置される。
なお、本発明に係る円形躯体用足場用踏板装置にあっては、図示のように第一踏板は第二踏板に対し一定の角度をもって配置されるため、第一踏板のつかみ金具が水平杆に確実に係合されるように、第一踏板のつかみ金具（例えばＫ１とＫ３）の間隔は、第二踏板のステップ板の対角線より長い寸法となるよう設計される。

【0033】

以上より、つかみ金具を備える第一踏板が、第二踏板の上から配置されることになるため、吹き上がりによる脱落防止のための従来におけるワイヤーなどによる固定作業を要することを回避することが可能となる。

【0034】

次に、請求項２に記載される配置関係を以下説明する。

第二踏板と、第三踏板は、建枠の水平杆に配置する際に、連結されている。

【0035】

図示のように、第二踏板の一方の長辺と第三踏板の切欠き部が形成された辺とが接する状態で連結される。

【0036】

連結部材は各種態様が想定されるが、例えば、第二踏板の一方の長辺部に舌片状の連結金具を複数設け、当該連結金具を第三踏板の一方の長辺部に差し込むことなどにより、相互のずれを防止することが可能となる。

【0037】

第二踏板と第三踏板が上記のような態様で連結されることにより、第二踏板と第三踏板が連結された全体形状は、両短辺の略中央部に矩形状の切欠き部が形成されることになる。

【0038】

かかる構成を採用することにより、第一踏板に設けられたつかみ金具を水平杆に係合させるスペースを確保することが可能となる。

【0039】

例えば、図１のように、第一踏板１Ｘ１Ｙを二枚並列させた態様において配置させた場合（図１においては、説明の便宜上、二枚の第一踏板１をそれぞれ１Ｘ、１Ｙとする）、躯体に対し外側に配置される第一踏板１Ｘのつかみ金具Ｋ１Ｘ、Ｋ２Ｘが第二踏板２の外側から水平杆Ｐに係合し、第一踏板１Ｘのつかみ金具Ｋ３Ｘ、Ｋ４Ｘと、第一踏板１Ｙのつかみ金具Ｋ１Ｙ、Ｋ２Ｙは、第二踏板２と第三踏板３の間に形成されたスペースを介して水平杆Ｐに係合され、第一踏板１Ｙのつかみ金具Ｋ３Ｙ、Ｋ４Ｙは、第三踏板３の内側から水平杆Ｐに係合されることになる。

【0040】

以上より、つかみ金具を備える第一踏板が、第二踏板と第三踏板の上から配置されることになるため、吹き上がりによる脱落防止のための従来におけるワイヤーなどによる固定作業を要することを回避することが可能となる。

【符号の説明】

【0041】

１ 第一踏板
２ 第二踏板
３ 第三踏板
Ｐ 水平杆

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】