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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】摩擦補助具
(51)【国際特許分類】
   B43L 19/00 20060101AFI20220916BHJP
【FI】
B43L19/00 F
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018120313
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020001194
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(72)【発明者】
【氏名】大河原 由明
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-009893(JP,U)
【文献】特開2014-010305(JP,A)
【文献】実開昭50-154046(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 1/00-12/02
B43L 15/00-27/04
A63F 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙面上の熱変色部を摩擦体による摩擦熱で熱変色させる際に摩擦体とともに使用する摩擦補助具であって、摩擦体を挿入して熱変色部を摩擦可能な摩擦孔を有する薄膜シート部と、該薄膜シート部の前記摩擦孔の周囲を包囲するように該摩擦孔の内周縁から距離をおいて前記薄膜シート部に連設される支持部とからなり、前記支持部が前記薄膜シート部より厚い厚みを有し、前記支持部の内周縁と前記摩擦孔の内周縁との間の前記薄膜シート部の上面に、前記摩擦孔を介して摩擦体で熱変色部を摩擦する際に摩擦体が摺動可能な摺動面が形成され、前記摩擦孔が各々の形状または大きさが異なる複数が形成され、前記摩擦孔の各々を独立して包囲するように前記支持部が形成され、前記支持部の各々が互いに一体に連設されることを特徴とする摩擦補助具。
【請求項2】
紙面上の熱変色部を摩擦体による摩擦熱で熱変色させる際に摩擦体とともに使用する摩擦補助具であって、摩擦体を挿入して熱変色部を摩擦可能な摩擦孔を有する薄膜シート部と、該薄膜シート部の前記摩擦孔の周囲を包囲するように該摩擦孔の内周縁から距離をおいて前記薄膜シート部に連設される支持部とからなり、前記支持部が前記薄膜シート部より厚い厚みを有し、前記支持部の内周縁と前記摩擦孔の内周縁との間の前記薄膜シート部の上面に、前記摩擦孔を介して摩擦体で熱変色部を摩擦する際に摩擦体が摺動可能な摺動面が形成され、前記薄膜シート部が無色透明に構成され、前記薄膜シート部の摩擦孔の周縁部に着色部が形成されることを特徴とする摩擦補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦補助具に関する。詳細には、紙面上の熱変色部を摩擦体による摩擦熱で熱変色させる際に使用する摩擦補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、任意形状の型像を備えたシート材と変色具とを用いて熱変色層を熱変色させ、型像に相応した熱変色像を得る熱変色像形成品が開示されている。
【0003】
特許文献2には、任意形状の型像を備えた画像形成シートと摩擦体とを用いて熱変色層を熱変色させることが開示されている。さらに、特許文献2には、前記画像形成シートが、透明樹脂フィルムを基材とし、一方の面に粘着層を設け、反対の面に滑性層を設けることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-241389号
【文献】特開2014-10305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に記載の熱変色像形成品は、シート材を用いて変色具で熱変色させる際、抜き型像の輪郭に沿って変色具を移動させるため、シート材がある程度の厚み(例えば0.5mmの厚み)を有する。そのため、摩擦体でシート材の抜き型像を通して摩擦すると、摩擦体が型像の周縁部に当たり、摩擦体が損傷するおそれがある。
【0006】
前記特許文献2に記載の画像形成シートは、透明樹脂フィルムからなるため、薄肉であることから、風で飛ばされ紛失しやすく、しかも折れ曲がり等により損傷しやすい。また、前記特許文献2の画像形成シートは、型像を所望の位置に置くとき、粘着層によって紙面の熱変色部への微細な位置合わせが困難となる。
【0007】
本発明は前記従来の問題点を解決するものであって、摩擦補助具を用いた摩擦操作時の摩擦体の損傷を防止できるとともに、摩擦補助具の紛失や破損を防止でき、しかも、熱変色部上への微細な位置合わせが容易となる摩擦補助具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の第1の発明は、紙面上の熱変色部71を摩擦体8による摩擦熱で熱変色させる際に摩擦体8とともに使用する摩擦補助具であって、摩擦体8を挿入して熱変色部71を摩擦可能な摩擦孔21を有する薄膜シート部2と、該薄膜シート部2の前記摩擦孔21の周囲を包囲するように該摩擦孔21の内周縁から距離をおいて前記薄膜シート部2に連設される支持部3とからなり、前記支持部3が前記薄膜シート部2より厚い厚みを有し、前記支持部3の内周縁と前記摩擦孔21の内周縁との間の前記薄膜シート部2の上面に、前記摩擦孔21を介して摩擦体8で熱変色部71を摩擦する際に摩擦体8が摺動可能な摺動面4が形成されることを要件とする。
【0009】
前記第1の発明の摩擦補助具1は、摩擦体8を挿入して熱変色部71を摩擦可能な摩擦孔21を有する薄膜シート部2と、該薄膜シート部2の前記摩擦孔21の周囲を包囲するように該摩擦孔21の内周縁から距離をおいて前記薄膜シート部2に連設される支持部3とからなり、前記支持部3が前記薄膜シート部2より厚い厚みを有し、前記支持部3の内周縁と前記摩擦孔21の内周縁との間の前記薄膜シート部2の上面に、前記摩擦孔21を介して摩擦体8で熱変色部71を摩擦する際に摩擦体8が摺動可能な摺動面4が形成されることにより、摩擦補助具を用いた摩擦操作時の摩擦体8の損傷を防止できるとともに、摩擦補助具の紛失や破損を防止でき、しかも、熱変色部71上への微細な位置合わせが容易となる。
【0010】
本願の第2の発明の摩擦補助具1は、前記第1の発明の摩擦補助具において、前記薄膜シート部2の下面と前記支持部3の下面とが同一平面により構成されることを要件とする。
【0011】
前記第2の発明の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2の下面と前記支持部3の下面とが同一平面により構成されることにより、薄膜シート部2の下面及び支持部3の下面に段差が存在しない。それにより、摩擦体8による摩擦使用時、薄膜シート部2の変形を抑え、安定した摩擦操作が可能となる。
【0012】
本願の第3の発明の摩擦補助具1は、前記第1または第2の発明の摩擦補助具において、前記薄膜シート部2が樹脂製または紙製のシート部材5からなり、前記支持部3が前記シート部材5と該シート部材5の上面に固着される板状部材6とからなることを要件とする。
【0013】
前記第3の発明の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2が樹脂製または紙製のシート部材5からなり、前記支持部3が前記シート部材5と該シート部材5の上面に固着される板状部材6とからなることにより、支持部3を薄膜シート部2より厚い厚みを有するように容易に形成でき、摩擦補助具の製造が容易となる。
【0014】
本願の第4の発明の摩擦補助具1は、前記第1乃至第3の何れかの発明の摩擦補助具において、前記薄膜シート部2に単一の前記摩擦孔21が形成されることを要件とする。
【0015】
前記第4の発明の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2に単一の前記摩擦孔21が形成されることにより、一つの薄膜シート部2に複数の摩擦孔21が形成されず、一つの薄膜シート部2に摩擦孔21が一つのみ形成されるため、薄膜シート部2の強度が向上し、薄膜シート部2の変形や破損を防止できる。
【0016】
本願の第5の発明の摩擦補助具1は、前記第4の発明の摩擦補助具において、前記薄膜シート部2の略中央に摩擦孔21が形成され、前記支持部3の内周縁が前記摩擦孔21の内周縁の形状に対応した形状を有することを要件とする。
【0017】
前記第5の発明の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2の略中央に摩擦孔21が形成され、前記支持部3の内周縁が前記摩擦孔21の内周縁の形状に対応した形状を有すること(例えば支持部3の内周縁が摩擦孔21の内周縁の形状と略相似形状を有すること)により、薄膜シート部2の強度が向上し、薄膜シート部2の変形や破損をより一層防止できるとともに、支持部3の内周縁の形状を視認することにより摩擦孔21の形状を容易に視認できる。
【0018】
本願の第6の発明の摩擦補助具1は、前記第1乃至第5の発明の何れかの発明に摩擦補助具において、前記摩擦孔21が各々の形状または大きさが異なる複数が形成され、前記摩擦孔21の各々を独立して包囲するように前記支持部3が形成され、前記支持部3の各々が互いに一体に連設されることを要件とする。
【0019】
前記第6の発明の摩擦補助具1は、前記摩擦孔21が各々の形状または大きさが異なる複数が形成され、前記摩擦孔21の各々を独立して包囲するように前記支持部3が形成され、前記支持部3の各々が互いに一体に連設されることにより、各々の摩擦孔21を備えた薄膜シート部2の強度が向上し、薄膜シート部2の変形や破損をより一層防止できるとともに、熱変色部71に応じて摩擦孔21を選択できる。
【0020】
本願の第7の発明の摩擦補助具1は、前記第1乃至第6の発明の何れかの発明に摩擦補助具において、前記薄膜シート部2が無色透明に構成され、前記薄膜シート部2の摩擦孔21の周縁部に着色部41が形成されることを要件とする。
【0021】
前記第7の発明の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2が無色透明に構成され、前記薄膜シート部2の摩擦孔21の周縁部に着色部41が形成されることにより、薄膜シート部2を介して熱変色部71を明確に視認でき且つ摩擦孔21を明確に視認でき、熱変色部71上への摩擦孔21の位置合わせが容易となる。前記着色部41は、摩擦孔21の周縁部に環状に連続して形成される構成、または摩擦孔21の周縁部に複数個に分断されて不連続状に形成される構成の何れであってもよい。
【0022】
本願の第8の発明の摩擦補助具1は、前記第1乃至第6の発明の何れかの発明に摩擦補助具において、前記薄膜シート部2が着色透明または半透明に構成されることを要件とする。
【0023】
前記第8の発明の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2が着色透明または半透明に構成されることにより、薄膜シート部2を介して熱変色部71を明確に視認でき且つ摩擦孔21を明確に視認でき、熱変色部71上への摩擦孔21の位置合わせが容易となる。
【0024】
・薄膜シート部
本発明において、前記薄膜シート部2(シート部材5)は、樹脂製のフィルム(例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等からなるフィルム)、または、紙製シート材(例えば、トレーシングペーパー、グラシン紙、和紙等)が挙げられる。
【0025】
本発明において、前記薄膜シート部2(シート部材5)の厚みは、0.01mm~0.10mm(好ましくは0.01mm~0.05mm)の範囲が好ましい。前記薄膜シート部2の厚みが前記範囲内であることにより、摩擦体8が摩擦孔21の内周縁で損傷することがなく、しかも、薄膜シート部2が十分な耐久性を有する。
【0026】
本発明において、前記薄膜シート部2の大きさ(即ち支持部3の内周縁の大きさ)は、最小幅2mm~20mmの範囲が好ましい。前記薄膜シート部2の大きさが、前記範囲内であることにより、薄膜シート部2上を確実に摩擦体8で摩擦でき、且つ、薄膜シート部2が十分な耐久性を有する。
【0027】
・摩擦孔
本発明において、前記摩擦孔21の形状は、具体的には、円、楕円、長円、直線帯状、円弧帯状、三角形、四角形(例えば、正方形、長方形、菱形等)、多角形等が挙げられる。
本発明において、前記摩擦孔21の大きさは、摩擦孔21の内周縁に接する仮想内接円を描いた場合、その仮想内接円の直径の最小値が、1mm~5mmの範囲にあることが好ましい。前記仮想内接円の直径の最小値が、1mm~5mmの範囲にあることにより、熱変色部71の微細な部分の熱変色が可能となる。
【0028】
・支持部
前記支持部3を構成する板状部材6の材料として、樹脂製(例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等)または紙製(例えば、ボール紙等の厚紙)が挙げられる。
板状部材6の厚みは、0.1~1.0mm(好ましくは0.1~0.5mm)の範囲が有効である。即ち、支持部3の厚みは、0.11~1.1mm(好ましくは0.11~0.55mm)の範囲が有効である。それにより、支持部3が十分な強度を備えるとともに、適度な可撓性を有するために摩擦操作時の支持部3と紙面との密着性を向上できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の摩擦補助具は、摩擦補助具を用いた摩擦操作時の摩擦体の損傷を防止できるとともに、摩擦補助具の紛失や破損を防止でき、しかも、熱変色部上への微細な位置合わせが容易となる
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第1の実施の形態の正面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1の摩擦補助具の使用前の状態を示す。
図4図1の摩擦補助具を使用して摩擦操作する前の状態を示す。
図5】本発明の第2の実施の形態の正面図である。
図6図5のB-B線断面図である。
図7】本発明の第3の実施の形態の正面図である。
図8】本発明の第4の実施の形態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1乃至図4に示す。
本実施の形態の摩擦補助具1は、摩擦孔21を有するシート部材5と、該シート部材5の上面に摩擦孔21を包囲するように摩擦孔21の内周縁から距離をおいて固着(例えば接着等による貼着)される環状の板状部材6とからなる。本実施の形態の摩擦補助具1は、摩擦補助具の下面(シート部材5の下面)には粘着層を備えていないため、紙面上を円滑に摺動させることができる。
【0032】
シート部材5は、樹脂製フィルム、または紙製シート材からなる。
シート部材5は、透明性を有する。例えば、シート部材5は、無色透明または半透明に構成される。シート部材5の厚みは、0.01~0.05mmの範囲に設定される。
【0033】
シート部材5には、単一の摩擦孔21が貫設される。摩擦孔21は四角形状であるが、これ以外にも、円、楕円、長円、直線帯状、円弧帯状、三角形、多角形等が挙げられる。摩擦孔21の大きさは、摩擦孔21の内周縁に接する仮想内接円を描いた場合、その仮想内接円の直径の最小値が、1mm~5mmの範囲にある。
【0034】
板状部材6は、樹脂製または紙製である。板状部材6は不透明である。板状部材6の厚みは、0.1~1.0mm(好ましくは0.1~0.5mm)に設定される。板状部材6は、単一の支持孔61が貫設される。
【0035】
環状の板状部材6の内方に位置するシート部材5は、単一の摩擦孔21を有する薄膜シート部2となり、上面が環状の摺動面4となる。シート部材5と板状部材6との固着により、薄膜シート部2に連設された環状の支持部3が形成される。支持部3は薄膜シート部2より厚い厚みを有する。
【0036】
シート部材5の上面に板状部材6が固着されるため、薄膜シート部2の下面と支持部3の下面は同一平面となる。薄膜シート部2には、単一の摩擦孔21が形成される。薄膜シート部2の略中央に摩擦孔21が形成される。支持部3の内周縁(支持孔61の内周縁)が摩擦孔21の内周縁と一定距離をおいて形成され、それにより、支持部3の内周縁が摩擦孔21の形状に対応した形状(例えば摩擦孔21の内周縁の形状と略相似形状:例えば略四角形状)を有する。
【0037】
図3及び図4に本実施の形態の摩擦補助具1を使用した摩擦変色の例を示す。
紙面7上の熱変色部71(熱変色性インキによる筆跡:例えばABCDE)の一部(例えばCの文字)を、摩擦体8により熱変色しようとする際、本実施の形態の摩擦補助具1の摩擦孔21を、熱変色部71の熱変色しようとする部分に位置合わせする。前記位置合わせする際、透明性を有する薄膜シート部2を介して、熱変色部71を視認できる。
【0038】
そして、摩擦孔21を熱変色部71の一部に位置合わせした後(例えば、熱変色性インキによる筆跡のABCDEのCの文字に位置合わせした後)、支持部3を一方の手で押さえ、弾性材料よりなる摩擦体8を備えた摩擦具本体を他方の手で把持し摩擦孔21を通過するように環状の摺動面4を摩擦体8で摩擦することにより、摩擦孔21を介して紙面7上の熱変色部71を摩擦し、該熱変色部71の一部のみを摩擦熱により熱変色させることができる。このとき、薄膜シート部2(環状の摺動面4)の下面に位置する熱変色部71は熱変色されず、摩擦孔21によって露出した熱変色部71(例えば、熱変色性インキによる筆跡のABCDEのCの文字)のみが熱変色される。尚、熱変色部71は、摩擦熱による加熱により、有色から無色に変化するもの、有色から他の有色に変化するものが挙がられる。
【0039】
本実施の形態の摩擦補助具1は、摩擦体8を挿入して熱変色部71を摩擦可能な摩擦孔21を有する薄膜シート部2と、該薄膜シート部2の前記摩擦孔21の周囲を包囲するように該摩擦孔21の内周縁から距離をおいて前記薄膜シート部2に連設される支持部3とからなり、前記支持部3が前記薄膜シート部2より厚い厚みを有し、前記支持部3の内周縁と前記摩擦孔21の内周縁との間の前記薄膜シート部2の上面に、前記摩擦孔21を介して摩擦体8で熱変色部71を摩擦する際に摩擦体8が摺動可能な摺動面4が形成されることにより、摩擦補助具を用いた摩擦操作時の摩擦体8の損傷を防止できるとともに、摩擦補助具の紛失や破損を防止でき、しかも、熱変色部71上への微細な位置合わせが容易となる。
【0040】
本実施の形態の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2の下面と前記支持部3の下面とが同一平面により構成されることにより、薄膜シート部2の下面及び支持部3の下面に段差が存在しない。それにより、摩擦体8による摩擦使用時、薄膜シート部2の変形を抑え、安定した摩擦操作が可能となる。
【0041】
本実施の形態の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2が樹脂製または紙製のシート部材5からなり、前記支持部3が前記シート部材5と該シート部材5の上面に固着される板状部材6とからなることにより、支持部3を薄膜シート部2より厚い厚みを有するように容易に形成でき、摩擦補助具の製造が容易となる。
【0042】
本実施の形態の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2に単一の前記摩擦孔21が形成されることにより、一つの薄膜シート部2に複数の摩擦孔21が形成されず、一つの薄膜シート部2に摩擦孔21が一つのみ形成されるため、薄膜シート部2の強度が向上し、薄膜シート部2の変形や破損を防止できる。
【0043】
本実施の形態の摩擦補助具1は、前記薄膜シート部2の略中央に摩擦孔21が形成され、前記支持部3の内周縁が前記摩擦孔21の内周縁の形状に対応した形状を有すること(例えば支持部3の内周縁が摩擦孔21の内周縁の形状と略相似形状を有すること)により、薄膜シート部2の強度が向上し、薄膜シート部2の変形や破損をより一層防止できる。
【0044】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図5に示す。
本実施の形態の摩擦補助具1は、第1の実施の形態と同様、摩擦孔21を有するシート部材5と、該シート部材5の上面に摩擦孔21を包囲するように摩擦孔21の内周縁から距離をおいて固着(例えば接着等による貼着)される板状部材6とからなる。
【0045】
シート部材5には、各々の形状が異なる複数(例えば3個)の摩擦孔21を備える。前記各々摩擦孔21は、四角形状、円形状、直線帯形状を有する。
【0046】
板状部材6には、前記各々の摩擦孔21を独立して包囲する複数(例えば3個)の支持孔61を備える。前記板状部材6の各々の支持孔61の内方に薄膜シート部2が形成され、各々の薄膜シート部2の略中央に単一の摩擦孔21が形成される。各々の支持孔61の周囲が、各々の摩擦孔21を独立して包囲するように摩擦孔21の内周縁から一定距離をおいて各々の薄膜シート部2に連設される環状の支持部3となる。前記支持部3の各々が互いに一体に連設される。
【0047】
各々の薄膜シート部2の上面に、前記各々の摩擦孔21を介して摩擦体8で熱変色部71を摩擦する際に摩擦体8が摺動可能な環状の摺動面4が形成される。
【0048】
複数の摩擦孔21を有するシート部材5と、複数の支持孔61を有する板状部材6との固着により、各々の薄膜シート部2に連設された各々の支持部3が形成される。各々の支持部3は各々の薄膜シート部2より厚い厚みを有する。
【0049】
単一のシート部材5の上面に単一の板状部材6が固着されるため、各々の薄膜シート部2の下面と各々の支持部3の下面は同一平面となる。
【0050】
各々の支持部3の内周縁が各々の摩擦孔21の内周縁と一定距離をおいて形成され、各々の支持部3の内周縁(各々の支持孔61の内周縁)が各々の摩擦孔21の形状に対応した形状(例えば摩擦孔21の内周縁の形状と略相似形状:例えば四角形状、円形状、直線帯形状)を有する。各々の支持部3の内周縁を視認することにより、各々の摩擦孔21を容易に視認できるとともに、各々の摩擦孔21の識別が容易となる。
【0051】
本実施の形態は、紙面上の熱変色部71を摩擦体8による摩擦熱で熱変色させる際に摩擦体8とともに使用する摩擦補助具であって、摩擦体8を挿入して熱変色部71を摩擦可能な摩擦孔21を有する複数の薄膜シート部2と、該薄膜シート部2の前記摩擦孔21の各々の周囲を包囲するように該摩擦孔21の各々の内周縁から距離をおいて前記薄膜シート部2に連設される複数の支持部3とからなり、前記各々の支持部3が前記各々の薄膜シート部2より厚い厚みを有し、前記各々の支持部3の内周縁と前記各々の摩擦孔21の内周縁との間の前記各々の薄膜シート部2の上面に、前記摩擦孔21を介して摩擦体8で熱変色部71を摩擦する際に摩擦体8が摺動可能な摺動面4が形成される。
【0052】
本実施の形態の摩擦補助具1は、前記摩擦孔21が各々の形状または大きさが異なる複数が形成され、前記摩擦孔21の各々を独立して包囲するように前記支持部3が形成され、前記支持部3の各々が互いに一体に連設されることにより、各々の摩擦孔21を備えた薄膜シート部2の強度が向上し、薄膜シート部2の変形や破損をより一層防止できるとともに、熱変色部71に応じて摩擦孔21を選択できる。
【0053】
他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態と共通であるため説明を省略する。
【0054】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図7に示す。
本実施の形態の摩擦補助具1は、薄膜シート部2が無色透明に構成され、薄膜シート部2の摩擦孔21の周縁部に着色部41が形成される。それにより、薄膜シート部2を介して熱変色部71を明確に視認できるとともに、摩擦孔21を明確に視認でき、熱変色部71上への摩擦孔21の位置合わせが容易となる。着色部41は不透明または着色透明の何れであってもよい。本実施の形態の他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態と共通であるため説明を省略する。また、本実施の形態の構成を、第2の実施の形態に適用することができる。
【0055】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図8に示す。
本実施の形態の摩擦補助具1は、薄膜シート部2が着色透明または半透明に構成される。それにより、それにより、薄膜シート部2を介して熱変色部71を明確に視認できるとともに、摩擦孔21を明確に視認でき、熱変色部71上への摩擦孔21の位置合わせが容易となる。本実施の形態の他の構成及び作用効果は、第1の実施の形態と共通であるため説明を省略する。また、本実施の形態の構成を、第2の実施の形態に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 摩擦補助具
2 薄膜シート部
21 摩擦孔
3 支持部
4 摺動面
41 着色部
5 シート部材
6 板状部材
61 支持孔
7 紙面
71 熱変色部
8 摩擦体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8