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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】金属サイディングの取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/682 20060101AFI20220916BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20220916BHJP
   E04F 19/02 20060101ALI20220916BHJP
   E04F 13/08 20060101ALI20220916BHJP
   E04B 1/62 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
E04B1/682 A
E04F13/12 K
E04F13/12 F
E04F19/02 U
E04F13/08 X
E04B1/62 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018129389
(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公開番号】P2020007777
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】305003542
【氏名又は名称】旭トステム外装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】中村 大
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-001386(JP,A)
【文献】特開2015-086616(JP,A)
【文献】米国特許第04866896(US,A)
【文献】特開平08-028143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E04F 13/00-13/30
E04F 19/02
E06B 1/62-1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に配置される枠体の周囲における金属サイディングの取付構造であって、
前記枠体の周囲に配置され、前記金属サイディングを前記建物の躯体の屋外側に取り付ける金属製の取付具を備え、
前記取付具は、
前記躯体側に面するとともに、前記金属サイディングの裏面に当接する取付面と、
前記取付面から前記建物の屋外側に向かって起立し、前記金属サイディングの端面に接する立ち上がり部と、
前記立ち上がり部から前記枠体まで前記取付面の延びる方向に沿って連続的に延びるシーリング材充填部と、を有し、
前記取付面における前記立ち上がり部の基端側に一端が前記立ち上がり部の起立面に沿うように、止水部材が配置される、金属サイディングの取付構造。
【請求項2】
前記取付具は、
前記取付面から屈曲して前記立ち上がり部が起立する断面視略L字型の表面部材と、
前記建物の前記躯体側で前記取付面に当接して延びる当接面及び前記当接面の端部に接続され、屋内側に向かって開口する断面視略コの字状の前記シーリング材充填部を有する裏面部材と、を有し、
前記表面部材と前記裏面部材とは別体の部材である、請求項1に記載の取付構造。
【請求項3】
建物の開口部に配置される枠体の周囲に金属サイディングを取り付ける金属サイディングの取付方法であって、
前記枠体の周囲に配置され、前記金属サイディングを前記建物の躯体の屋外側に取り付ける金属製の取付具を備え、
前記取付具は、
前記躯体側に面するとともに、前記金属サイディングの裏面に当接する取付面と、
前記取付面から前記建物の屋外側に向かって起立し、前記金属サイディングの端面に接する立ち上がり部と、
前記立ち上がり部から前記枠体まで前記取付面の延びる方向に沿って連続的に延びるシーリング材充填部と、を有し、
前記建物の前記躯体の屋外側で、前記枠体の周囲に、前記取付具の前記取付面を固定する取付具固定工程と、
前記取付面における前記立ち上がり部の基端側に一端が前記立ち上がり部の起立面に沿うように、止水部材を配置する止水部材配置工程と、
前記金属サイディングを、前記取付面の屋外側に配置して、前記金属サイディングの端部側を前記止水部材及び前記立ち上がり部に当接させた状態で固定する金属サイディング固定工程と、
前記立ち上がり部と、前記枠体と、の間にシーリング材を充填するシーリング材充填工程と、を有する、金属サイディングの取付方法。
【請求項4】
建物の開口部に配置される枠体の周囲に金属サイディングを取り付ける金属サイディングの取付方法であって、
前記枠体の周囲に配置され、前記金属サイディングを前記建物の躯体の屋外側に取り付ける金属製の取付具を備え、
前記取付具は、互いに別体の表面部材及び裏面部材を有し、
前記表面部材は、断面視略L字型に形成され、
前記躯体側に面するとともに、前記金属サイディングの裏面に当接する取付面及び前記取付面から屈曲して前記建物の屋外側に向かって起立し、前記金属サイディングの端面に接する立ち上がり部を有し、
前記裏面部材は、前記建物の前記躯体側で前記取付面に当接して延びる当接面及び前記当接面の端部に接続され、屋内側に向かって開口する断面視略コの字状のシーリング材充填部を有し、
前記裏面部材の前記当接面の屋外側に、前記表面部材の前記取付面を重ねて、前記表面部材及び前記裏面部材を前記開口部の周囲に固定する取付具二部材固定工程と、
前記取付面における前記開口部側の端部の近傍に、止水部材を配置する止水部材配置工程と、
前記金属サイディングを、前記取付面の屋外側に配置して、前記金属サイディングの前記端部側を前記止水部材及び前記立ち上がり部に当接させた状態で固定する金属サイディング固定工程と、
前記立ち上がり部と、前記枠体と、の間にシーリング材を充填するシーリング材充填工程と、を有する、金属サイディングの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属サイディングの取り付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁にサイディングを取り付ける場合、窓等の開口部の周囲では、サイディングの端部にジョイナーや役物等の取付具が設けられることが知られている(特許文献1参照)。また、止水等のため、取付具とサイディングが接する部分や、取付具と枠体との間には、シーリング材が充填される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-176350公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
取付具及びサイディングの間と、取付具及び枠体の間との2箇所にシーリング材を充填すると、建物の外側から見た際に2本のシーリング材の線が見えて、美観が損なわれる場合があった。また、2箇所シーリング材を充填することで、施工に手間がかかるともに、シーリング材の材料コストがかさむと言う問題があった。
【0005】
一方、シーリング材を充填する箇所を1か所のみにしようとする場合、取付具及び枠体の間の方が、取付具及びサイディングの間よりも隙間が大きいため、取付具及び枠体の間にシーリングすることになる。しかし、サイディングが金属サイディングであった場合、金属製の鋼板の裏に配置されたウレタン等の発泡材の端部が、シーリング材と接合されないため、止水を十分に行うことが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建物(例えば、後述の建物100)の開口部(例えば、後述の窓2)の周囲における金属サイディング(例えば、後述の金属サイディング30)の取付構造(例えば、後述の取付構造1)であって、前記開口部の周囲に配置され、前記金属サイディングを前記建物の躯体(例えば、後述の躯体10)の屋外側に取り付ける金属製の取付具(例えば、後述の取付具4)を備え、前記取付具は、前記躯体側に面するとともに、前記金属サイディングの裏面に当接する取付面(例えば、後述の取付面41)と、前記取付面から前記建物の屋外側に向かって起立し、前記金属サイディングの端面に接する立ち上がり部(例えば、後述の立ち上がり部42)と、前記立ち上がり部と前記開口部との間で前記取付面の延びる方向に沿って延びるシーリング材充填部(例えば、後述のシーリング材充填部43)と、を有し、前記取付面における前記立ち上がり部の基端側には、止水部材(例えば、後述の止水部材5)が配置される、金属サイディングの取付構造に関する。
【0007】
前記取付具は、前記取付面から屈曲して前記立ち上がり部が起立する断面視略L字型の表面部材(例えば、後述の表面部材401)と、前記建物の前記躯体側で前記取付面に当接して延びる当接面(例えば、後述の当接面405)及び前記当接面の端部に接続され、屋内側に向かって開口する断面視略コの字状の前記シーリング材充填部(例えば、後述のシーリング材充填部406)を有する裏面部材(例えば、後述の裏面部材402)と、を有し、前記表面部材と前記裏面部材とは別体の部材であることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、建物の開口部の周囲に金属サイディングを取り付ける金属サイディングの取付方法であって、前記開口部の周囲に配置され、前記金属サイディングを前記建物の躯体の屋外側に取り付ける金属製の取付具を備え、前記取付具は、前記躯体側に面するとともに、前記金属サイディングの裏面に当接する取付面と、前記取付面から前記建物の屋外側に向かって起立し、前記金属サイディングの端面に接する立ち上がり部と、前記立ち上がり部と前記開口部との間で前記取付面の延びる方向に沿って延びるシーリング材充填部と、を有し、前記建物の前記躯体の屋外側で、前記開口部の周囲に、前記取付具の前記取付面を固定する取付具固定工程(例えば、後述の取付具固定工程S1)と、前記取付面における前記開口部側の端部の近傍に、止水部材を配置する止水部材配置工程(例えば、後述の止水部材配置工程S2)と、前記金属サイディングを、前記取付面の屋外側に配置して、前記金属サイディングの前記端部側を前記止水部材及び前記立ち上がり部に当接させた状態で固定する金属サイディング固定工程(例えば、後述の金属サイディング固定工程S3)と、前記立ち上がり部と、前記開口部と、の間にシーリング材を充填するシーリング材充填工程(例えば、後述のシーリング材充填工程S4)と、を有する、金属サイディングの取付方法に関する。
【0009】
また、本発明は、建物の開口部の周囲に金属サイディングを取り付ける金属サイディングの取付方法であって、前記開口部の周囲に配置され、前記金属サイディングを前記建物の躯体の屋外側に取り付ける金属製の取付具を備え、前記取付具は、互いに別体の表面部材及び裏面部材を有し、前記表面部材は、断面視略L字型に形成され、前記躯体側に面するとともに、前記金属サイディングの裏面に当接する取付面及び前記取付面から屈曲して前記建物の屋外側に向かって起立し、前記金属サイディングの端面に接する立ち上がり部を有し、前記裏面部材は、前記建物の前記躯体側で前記取付面に当接して延びる当接面及び前記当接面の端部に接続され、屋内側に向かって開口する断面視略コの字状のシーリング材充填部を有し、前記裏面部材の前記当接面の屋外側に、前記表面部材の前記取付面を重ねて、前記表面部材及び前記裏面部材を前記開口部の周囲に固定する取付具二部材固定工程と(例えば、後述の取付具二部材固定工程S5)、前記取付面における前記開口部側の端部の近傍に、止水部材を配置する止水部材配置工程と、前記金属サイディングを、前記取付面の屋外側に配置して、前記金属サイディングの前記端部側を前記止水部材及び前記立ち上がり部に当接させた状態で固定する金属サイディング固定工程と、前記立ち上がり部と、前記開口部と、の間にシーリング材を充填するシーリング材充填工程と、を有する、金属サイディングの取付方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、美観とともに施工性を向上させた金属サイディングの取付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る金属サイディングの取付構造を示す正面図である。
図2】本実施形態に係る金属サイディングの取付構造の断面図である。
図3】第2実施形態に係る取付具が取り付けられた部分を示す部分断面図である。
図4】第3実施形態に係る取付具が取り付けられた部分を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る金属サイディングの取付構造1を示す正面図である。図2は、金属サイディングの取付構造1の断面図である。金属サイディングの取付構造1は、開口部としての窓2と、外壁3と、躯体10とを有する建物100に設けられる。金属サイディングの取付構造1は、窓2の周囲に金属サイディング30が取付具4によって取り付けられ、止水部材5及びシーリング材6で止水されることで構成される。図1では、取付具4は、コーナーキャップ26によって覆われている。
なお、本明細書において、見付方向とは、窓2の正面に向き合って見た場合の左右方向を言い、見込方向とは、窓2の室内外方向、すなわち奥行方向を言う。
【0013】
窓2は、枠体20を構成するサッシの内側に、ガラス25が嵌装されて構成される。
枠体20は、壁面に形成された開口の四周に枠組みされ、上枠21、下枠22、一対の縦枠23が枠組みして形成される。
上枠21及び下枠22は、枠体20の上方下でそれぞれが見付方向に延びるように配置される。
縦枠23は、見付方向の外側で上枠21及び下枠22を接続するように延びる。
ガラス25は、枠体20の内周側に形成されるガラス保持溝に保持される。
【0014】
躯体10は、図2に示すように、枠体20の見付方向両側に上下方向に延びる柱により構成される。躯体10の屋外側には、スペーサー15を介して胴縁12が取り付けられ、躯体10の屋内側には、建物100の内壁を形成する内装パネル13及び化粧材14が取り付けられる。
【0015】
外壁3は、複数の金属サイディング30を上下に接合し、建物100の外側を覆うように取り付けて構成される。
金属サイディング30は、矩形状のパネルであり、所定の厚みを有する。金属サイディング30は、胴縁12の屋外側に取り付けられる。金属サイディング30は、表面30aと、裏面30bと、充填材30cとを有する。表面30aは、極低炭素鋼の上にめっき加工を施したアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板(登録商標))であり、裏面30bが紙等のシート状部材であり、充填材30cは、表面30aと裏面30bの間に配置されるウレタン発泡材である。
【0016】
図2に示すように、金属サイディング30の枠体20側の端部は、切りっぱなしとなっており、施工途中では充填材30cが露出した状態になっている。金属サイディング30には、長手方向に沿って延び、取り付けた状態で上方に位置する上部縁及び下方に位置する下部縁それぞれに、上下方向に隣接する金属サイディング30と互いに嵌合する嵌合部が形成されている(図示せず)。
【0017】
取付具4は、枠体20の周囲の縦枠23に沿って配置される。取付具4は、縦長の金属製の役物であり、胴縁12の屋外側表面にねじにより固定される。取付具4は、金属サイディング30を躯体10の屋外側に取り付ける。取付具4は、取付面41と、立ち上がり部42と、シーリング材充填部43と、を有する。第1実施形態では、取付面41、立ち上がり部42、シーリング材充填部43は、一枚の鋼板の板材が折り返されて、互いに連続して構成される。
【0018】
取付面41は、躯体10側に面し、胴縁12の屋外側表面に当接される平坦な板面である。取付面41は、また、金属サイディング30の裏面に当接する。取付面41は長尺な部材で、長手方向が縦枠23に沿って延び、短手方向が枠体20の外側で見付方向に沿って延びる。
【0019】
立ち上がり部42は、取付面41の縦枠23側の端部から、屋外側に向かって断面視で起立するように延びる面である。立ち上がり部42は、基端から先端までの長さが、金属サイディング30の厚さ方向の長さよりも短い。立ち上がり部42は、取り付けた状態で金属サイディング30における充填材30cの端面に当接するように延びる。
【0020】
シーリング材充填部43は、充填面431と、突き当たり部432とを有する。
充填面431は、立ち上がり部42と縦枠23との間で取付面41の延びる方向に沿って延びる。充填面431は、立ち上がり部42の屋内側の基端から屋外側の先端までの全長の中央よりも基端寄りの位置から、縦枠23側に向かって延びる。充填面431にはボンドブレーカーが設けられ、後述するように、シーリング材6がシーリング材充填部43に充填されても、充填面431には接着しにくくなっている。
突き当たり部432は、充填面431が縦枠23に突き当たる位置で、胴縁12側へ略直角に屈曲して延出する。
【0021】
止水部材5は、長尺で平坦な形状の発泡シール材である。具体的には、エチレンプロピレンゴム等で構成されるゴムパッキンである。止水部材5は、取付具4の取付面41における立ち上がり部42の基端側で、取付面41の屋外側表面に配置される。
【0022】
シーリング材6は、立ち上がり部42の縦枠23側の面と、シーリング材充填部43における充填面431と、縦枠23とで形成される略コ字状の空間に充填される。シーリング材6は、金属サイディング30の表面30aの端部側の上面をわずかに覆いつつ、立ち上がり部42の縦枠側面と、縦枠32の屋外側表面とに二面接着される。
【0023】
第1実施形態に係る取付具4の取付方法について説明する。
金属サイディング30の取付けの際には、取付けの前に、役物を施工現場の枠体20と金属サイディング30の間の距離等に応じて、板材を加工する。取付具4は、窯業サイディングの取り付け時に用いられる、「片ハットジョイナー」と呼ばれる金属製の板材で構成される役物を、施工現場で加工して形成してもよい。
【0024】
具体的には、図2に示すように、板材を、取付面41の枠体20側の端部から屋外側に曲げて立ち上がり部42を形成する。そして、立ち上がり部42の屋外側の端部から取付面41側へ折り返す。すなわち、立ち上がり部42では、板材は部分的に二重になっている。折り返された板材を、取付面41まで戻らずに、取付面41に近い位置でさらに取付面41の延びる方向に沿って枠体20側へ延出させ、充填面431を形成する。そして、充填面431から縦枠23に突き当たった位置で、屋内側へと屈曲させ、突き当たり部432を形成する。
【0025】
このように加工した取付具4を、躯体10の屋外側で枠体20の周囲に配置して、取付面41を胴縁12の屋外側表面にねじにより固定する(取付具固定工程S1)。
次に、取付面41の縦枠23側の端部近傍に、止水部材5を配置して貼付する(止水部材配置工程S2)。
【0026】
次に、金属サイディング30を、取付面41の屋外側に配置して、金属サイディング30の端部を立ち上がり部42に当接させるとともに、金属サイディング30の裏面30bの端部側近傍を、止水部材5に当接させる。当接させた状態で、金属サイディング30を胴縁12等にねじで固定する(金属サイディング固定工程S3)。
【0027】
次に、立ち上がり部42と、シーリング材充填部43と、枠体20の縦枠23とで形成される空間に、シーリング材6を充填する(シーリング材充填工程S4)。このとき、金属サイディング30の表面30aにおける端部側の上面にシーリング材6がかかるようにしてもよい。立ち上がり部42は鋼板であり、縦枠23はアルミ等の金属であるため、シーリング材6は立ち上がり部42と縦枠23とに良好に接着し、シーリング材充填部43の充填面431に設けられたボンドブレーカーにより、充填面431には接着しない。
【0028】
第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
第1実施形態では、建物100の窓2の周囲における金属サイディング30の取付構造1に、枠体20の周囲に配置され、金属サイディング30を建物100の躯体10の屋外側に取り付ける金属製の取付具4を含んで構成した。また、取付具4を、躯体10側に面するとともに、金属サイディング30の裏面に当接する取付面41と、取付面41から建物100の屋外側に向かって起立し、金属サイディング30の端面に接する立ち上がり部42と、立ち上がり部42と枠体20との間で取付面41の延びる方向に沿って延びるシーリング材充填部43と、を含んで構成した。また、取付面41における立ち上がり部42の基端側に、止水部材5を配置させた。
金属製の取付具4を、取付面41と、金属サイディング30の端面に接する立ち上がり部42と、立ち上がり部42及び枠体20の間に延びるシーリング材充填部43とを含んで構成し、立ち上がり部42と、シーリング材充填部43と枠体20との間にシーリング材6を充填することで、シーリング材6が立ち上がり部42と枠体20とに二面接着される。金属サイディング30の端部は、立ち上がり部42に当接する。仮にシーリング材6が切れて、立ち上がり部42と金属サイディング30の充填材30cとの間に雨水が入りこんだとしても、金属サイディング30の裏面30bに止水部材5が設けられているので、雨水等が胴縁12側へ回り込むことを防止できる。これらの構成により、シーリング材6を、取付具4と金属サイディング30の間と、取付具4と枠体20との間との2箇所に設ける必要がなくなり、シーリング材6が1箇所で済むので、外側から見た際に美観が向上する。また、シーリング材6の充填が1回で済むため、施工性が向上するとともに、シーリング材6のコストも低減することができる。
【0029】
また、第1実施形態では、建物100の窓2の周囲に金属サイディング30を取り付ける金属サイディングの取付方法を、建物100の躯体10の屋外側で、枠体20の周囲に、取付具4の取付面41を固定する取付具固定工程S1と、取付面41における枠体20側の端部近傍に、止水部材5を配置する止水部材配置工程S2と、金属サイディング30を、取付面41の屋外側に配置して、金属サイディング30の端部側を止水部材5及び立ち上がり部42に当接させた状態で固定する金属サイディング固定工程S3と、立ち上がり部42と、枠体20と、の間にシーリング材6を充填するシーリング材充填工程S4と、を含んで構成した。シーリング材6を充填する工程が一度で済み、上記と同様の効果を奏する。
【0030】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
以下に第2実施形態及び第3実施形態について説明する。第2実施形態以降の説明に置いて、第1実施形態と共通する点については説明を省略し、共通する構成部材については同じ符号を付す。
【0031】
図3は、第2実施形態に係る金属サイディングの取付構造1Aにおける取付具4Aが配置された部分を示す。第2実施形態では、取付具4Aが、表面部材401と、裏面部材402との別体の二部材で構成されている点が第1実施形態と異なる。表面部材401及び裏面部材402は、ともに同じ金属製の板材であり、施工現場で加工される。
【0032】
表面部材401は、取り付けられた状態で屋外側に配置される金属製の板体である。表面部材401は、断面視略L字状に形成され、取付面403と、立ち上がり部404とを有する。
【0033】
取付面403は、躯体10側に面し、胴縁12の屋外側表面に沿って延びる平坦な板面である。取付面403は、後述する裏面部材402の上に配置され、金属サイディング30の裏面30bに当接する。取付面403は、長尺な部材で、長手方向が縦枠23に沿って延び、短手方向が枠体20の外側で見付方向に沿って延びる。
【0034】
立ち上がり部404は、取付面403の縦枠23側の端部から屈曲し、建物100の屋外側に向かって断面視で起立するように延びる面である。立ち上がり部404は、基端から先端までの長さが、金属サイディング30の厚さ方向の長さよりも短い。立ち上がり部404は、取り付けた状態で金属サイディング30における充填材30cの端面に当接する。
【0035】
裏面部材402は、窯業サイディングの取付に使用されるいわゆる片ハットジョイナーを用いてもよい。裏面部材402は、当接面405と、シーリング材充填部406と、を有する。
当接面405は、建物100の躯体10側、すなわち胴縁12に直接当接し、表面部材401の取付面403の屋内側面に当接して延びる。当接面405は、平坦な面である。
シーリング材充填部406は、当接面405の縦枠23側の端部に接続される、断面視で屋内側に向かって開口した略コの字状の部分である。シーリング材充填部406は、当接面405の端部に接続される外側側壁406aと、外側側壁406aから当接面405の延びる方向に沿って延びる充填面406bと、充填面406bの枠体20側の端部から延び、外側側壁406aに対向して配置される内側側壁406cと、を有する。充填面406bの屋外側の面には、ボンドブレーカーが設けられている。
【0036】
第2実施形態に係る取付具4Aの取付方法について説明する。
裏面部材402の当接面405の屋外側に、表面部材401の取付面403を重ねる。このとき、表面部材401の立ち上がり部404は、裏面部材402のシーリング材充填部406における外側側壁406aに当接させる。表面部材401を裏面部材402に重ねた状態で、裏面部材402の当接面405を胴縁12に載せて、シーリング材充填部406の内側側壁406cを枠体20の縦枠23に当接させる。
この状態で、表面部材401及び裏面部材402を、縦枠23の周囲で、胴縁12にねじで固定する(取付具二部材固定工程S5)。
【0037】
次に、取付面403の縦枠23側の端部近傍に、止水部材5を配置して貼付する(止水部材配置工程S2)。
【0038】
次に、金属サイディング30を、取付面403の屋外側に配置して、金属サイディング30の縦枠23側の端部を立ち上がり部404に、金属サイディング30の裏面30bにおける縦枠23側の端部近傍の部分を、止水部材5に当接させる。当接させた状態で、金属サイディング30を胴縁12に固定する(金属サイディング固定工程S3)。
【0039】
次に、表面部材401の立ち上がり部404と、裏面部材402のシーリング材充填部406の充填面406bと、縦枠23と、で囲まれる空間に、シーリング材6を充填する(シーリング材充填工程S4)。このとき、シーリング材6が金属サイディング30の表面30aの端部にもかかるようにしてもよい。
【0040】
第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
さらに、第2実施形態によれば、取付具4Aが二部材に分かれているので、施工現場で取付具4Aを加工するとき、表面部材401は板材を屈曲させるだけでよい。また、裏面部材402も、第1実施形態の取付具4を形成する場合と比べて立ち上がり部42を形成する必要がないので、加工手順を省力化することができる。
【0041】
図4は、第3実施形態に係る金属サイディングの取付構造1Bにおける取付具4Bが配置された部分を示す。第3実施形態では、取付具4Bは、一部材で構成されるが、シーリング材充填部43が突き当たり部432を有さない点で、第1実施形態の取付具4と異なる。また、立ち上がり部42とシーリング材充填部43とを形成する際の、板材の折り畳み方が異なる。
【0042】
第3実施形態では、取付具4Bを構成する板材は、取付面41Bの端部から屋外側へ向かって、立ち上がり部42Bを形成するように屈曲された直後に、さらにもう一度、縦枠23側へ屈曲される。板材は、縦枠23へ突き当たるまで延出し、取付面41Bの端部から縦枠23までの距離延出した後、取付面41B側へ折り返される。第3実施形態では、シーリング材充填部43Bの充填面431Bが二重に形成される。
【0043】
板材は、折り返された充填面431Bが、立ち上がり部42Bの位置まで戻った後、屋外側へ向けて屈曲される。このため、立ち上がり部42Bは、連続的な一枚の面ではなく、取付面41B側から充填面431Bまでと、充填面431Bから立ち上がり部42Bの屋外側端部までとの2箇所が合わされて立ち上がり部42Bを構成する。
【0044】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
加えて、第3実施形態では、第1実施形態と比べて、取付具4Bを現場で加工する際に突き当たり部432を形成する必要がないので、加工手順を省力化することができる。
【0045】
なお、第1実施形態の取付構造1において、突き当たり部432が縦枠23に突き当たり、縦枠23に沿って延びることで、取付具4の強度が向上する。しかし、突き当たり部432がなくても、シーリング材6が、立ち上がり部42Bと縦枠23の外側面に接着するため、一度のシーリング材の充填によって、止水性能を十分に得られる。
【0046】
また、第1実施形態の変形例として、第1実施形態の取付具4において、突き当たり部432を省略してもよい。突き当たり部を有さない取付具も、本発明の範囲内である。
【0047】
また、第1及び第2実施形態の止水部材配置工程S2は、取付具固定工程S1や取付具二部材固定工程S5の後で、止水部材5を取り付ける場合を例に説明しているが、これに限られない。取付具固定工程S1や取付具二部材固定工程S5の前に、予め鋼板部材に止水部材5を取り付けてから取付具4や表面部材401、裏面部材402を成形してもよい。また、成形後の取付具4や表面部材401に止水部材5を取り付けた後で、取付具固定工程S1や取付具二部材固定工程S5に進んでもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 金属サイディングの取付構造
2 窓(開口部)
4 取付具
5 止水部材
10 躯体
30 金属サイディング
41 取付面
42 立ち上がり部
43 シーリング材充填部
401 表面部材
402 裏面部材
403 取付面
404 立ち上がり部
405 当接面
406 シーリング材充填部
S1 取付具固定工程
S2 止水部材配置工程
S3 金属サイディング固定工程
S4 シーリング材充填工程
S5 取付具二部材固定工程
図1
図2
図3
図4