(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
F01N 13/20 20100101AFI20220916BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20220916BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
F01N13/20 E
F01N3/08 B
F01N3/035 E
(21)【出願番号】P 2018133144
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤野 元春
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 泰之
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-125233(JP,A)
【文献】特開2010-59749(JP,A)
【文献】実開平1-166213(JP,U)
【文献】特開2018-135041(JP,A)
【文献】実開平1-176712(JP,U)
【文献】特開2014-202002(JP,A)
【文献】特開2013-87493(JP,A)
【文献】国際公開第2015/079764(WO,A1)
【文献】特開2012-57414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/20
F01N 3/08
F01N 3/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブと、
前記キャブの後方に設けられ、エンジンを収容するエンジンフードと、
前記エンジンフードから上方に突出し、前記エンジンからの排気ガスを排出する排気管とを備え、
前記排気管は、前記エンジンフードから突出する前記排気管の根元側に位置し、排気ガスが流入する管路を形成する流入部を有し、
左右方向における前記流入部の幅は、前後方向における前記流入部の中心位置よりも前方の所定位置で最大となり、前記所定位置から後方に向かうほど小さくな
り、さらに、
前後方向において前記キャブおよび前記排気管の間に設けられ、外部から前記エンジンフード内に空気を取り込む吸気管を備え、
左右方向における前記流入部の幅は、前記所定位置においてW1であり、前記所定位置から後方に向かった後方端においてW2であり、
左右方向における前記吸気管の幅が、前記流入部と同じ高さにおいてW3である場合に、W1>W3>W2の関係が満たされる、作業車両。
【請求項2】
前記流入部は、前記エンジンフード内の空間と向かい合って開口する開口面をなし、
左右方向における前記開口面の幅は、前記所定位置で最大となり、前記所定位置から後方に向かうほど小さくなる、請求項
1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記エンジンフードに収容され、前記エンジンからの排気ガスを処理する後処理装置をさらに備え、
前記後処理装置の少なくとも一部は、上面視において前記開口面が投影される領域に設けられる、請求項
2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記エンジンフードに収容され、前記エンジンからの排気ガスに対して還元剤水溶液を噴射するインジェクタをさらに備え、
前記インジェクタは、前記開口面よりも前方に配置される、請求項
2または3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記エンジンフードに収容され、前記エンジンフード内に取り込まれる空気から異物を除去するエアクリーナをさらに備え、
前記エアクリーナは、前記開口面よりも前方に配置される、請求項
2から4のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項6】
キャブと、
前記キャブの後方に設けられ、エンジンを収容するエンジンフードと、
前記エンジンフードから上方に突出し、前記エンジンからの排気ガスを排出する排気管とを備え、
前記排気管は、
下後端部と、前記下後端部の上方に設けられる上後端部とを含む後端部を有し、
前記上後端部には、排気口が設けられ、
左右方向における
前記下後端部の幅は、下方から上方に向かうほど大きくなり、所定位置で最大となり、
前記所定位置の高さは、前記排気口の下方端の高さ
と同じである、作業車両。
【請求項7】
上下方向における前記排気口の最大長さは、左右方向における前記排気口の最大幅よりも大きい、請求項
6に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2017-53255号公報(特許文献1)には、運転室と、運転室の後方に設けられるエンジンルームと、エンジンルームの上部から突出する排気管とを備える建設機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に開示されるように、エンジンからの排気ガスを排出するための排気管を備える作業車両が知られている。このような作業車両において、排気管がキャブ(運転室)の後方に設けられるため、キャブ後方における視認性が十分に確保されない可能性がある。
【0005】
そこで本開示の目的は、キャブ後方における視認性を向上させることが可能な作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面に従った作業車両は、キャブと、エンジンフードと、排気管とを備える。エンジンフードは、キャブの後方に設けられる。エンジンフードは、エンジンを収容する。排気管は、エンジンフードから上方に突出する。排気管は、エンジンからの排気ガスを排出する。排気管は、流入部を有する。流入部は、エンジンフードから突出する排気管の根元側に位置する。流入部は、排気ガスが流入する管路を形成する。左右方向における流入部の幅は、前後方向における流入部の中心位置よりも前方の所定位置で最大となり、その所定位置から後方に向かうほど小さくなる。
【0007】
本開示の別の局面に従った作業車両は、キャブと、エンジンフードと、排気管とを備える。エンジンフードは、キャブの後方に設けられる。エンジンフードは、エンジンを収容する。排気管は、エンジンフードから上方に突出する。排気管は、エンジンからの排気ガスを排出する。排気管は、後端部を有する。後端部には、排気口が設けられる。左右方向における後端部の幅は、下方から上方に向かうほど大きくなり、所定位置で最大となる。所定位置の高さは、排気口の下方端の高さ以上である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に従えば、キャブ後方における視認性を向上させることが可能な作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態1におけるホイールローダを示す斜視図である。
【
図2】
図1中のホイールローダを示す上面図である。
【
図4】
図3中の矢印IVに示す方向に見た排気管を示す上面図である。
【
図5】
図3中の矢印Vに示す方向に見た排気管を示す前面図である。
【
図6】
図3中の矢印VIに示す方向に見た排気管を示す後面図である。
【
図7】
図3中のVII-VII線上の矢視方向から見た排気管を示す断面図である。
【
図8】キャブ後方における視認性を説明するための上面図である。
【
図9】キャブ後方における視認性を説明するための側面図である。
【
図10】
図9中の2点鎖線X-X線上の矢視方向から見た吸気管および排気管を示す断面図である。
【
図11】エンジンフード内に収容される構造体を示す上面図である。
【
図12】
図7中の流入部の第1変形例を示す断面図である。
【
図13】
図7中の流入部の第2変形例を示す断面図である。
【
図14】本開示の実施の形態2におけるホイールローダの排気管を示す後面図である。
【
図15】
図14中の2点鎖線XVで囲まれた範囲の排気管を拡大して示す後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1におけるホイールローダを示す斜視図である。
図2は、
図1中のホイールローダを示す上面図である。まず、本実施の形態におけるホイールローダ10の全体構造について説明する。
【0012】
図1および
図2に示されるように、ホイールローダ10は、フロントフレーム12と、リアフレーム14と、前輪26と、後輪27と、作業機16と、キャブ(運転室)30と、エンジンフード17とを有する。
【0013】
以下の説明において、前後方向とは、キャブ30内の運転席に着座したオペレータの前後方向である。運転席に着座したオペレータの正面方向が、前方であり、運転席に着座したオペレータの背後方向が、後方である。左右方向とは、運転席に着座したオペレータの左右方向である。運転席に着座したオペレータが正面を向いたときの右側が、右方であり、運転席に着座したオペレータが正面を向いたときの左側が、左方である。上下方向とは、前後方向および左右方向を含む平面に直交する方向である。地面のある側が、下方であり、空のある側が、上方である。
【0014】
フロントフレーム12およびリアフレーム14により、アーティキュレート構造の車体フレームが構成されている。フロントフレーム12は、リアフレーム14の前方に設けられている。フロントフレーム12は、センターピン(不図示)により、リアフレーム14に回動可能に接続されている。リアフレーム14に対するフロントフレーム12の回動中心は、上下方向に延びる軸である。リアフレーム14に対するフロントフレーム12の回動中心は、上面視において、前後方向に延びるホイールローダ10の中心線130上に位置している。
【0015】
フロントフレーム12およびリアフレーム14は、ステアリングシリンダ(不図示)により連結されている。ステアリングシリンダは、左右一対に設けられている。ステアリングシリンダが伸縮駆動することによって、フロントフレーム12は、上記のセンターピンを中心に左右に回動する。
【0016】
前輪26および後輪27は、ホイールローダ10の走行輪である。前輪26は、フロントフレーム12に設けられている。前輪26は、左右一対に設けられている。後輪27は、リアフレーム14に設けられている。後輪27は、左右一対に設けられている。
【0017】
作業機16は、フロントフレーム12に設けられている。作業機16は、ブーム21と、バケット(不図示)と、ブームシリンダ(不図示)と、ベルクランク22と、バケットシリンダ(不図示)と、リンク23とを有する。
【0018】
キャブ30およびエンジンフード17は、リアフレーム14に設けられている。キャブ30は、作業機16の後方に設けられている。キャブ30は、オペレータが搭乗可能な室内空間を区画形成している。オペレータは、キャブ30の室内に入ってホイールローダ10を操作する。
【0019】
キャブ30は、上面視において、六角形の形状を有する。キャブ30の形状は、これに限られず、たとえば、上面視において、四角形の形状を有してもよい。キャブ30の左側面には、ドア31が設けられ、キャブ30の右側面には、ドア32が設けられている。ドア31およびドア32は、オペレータがキャブ30に入退室する時に開閉される。キャブ30の後面には、後ろ窓33が設けられている。オペレータは、サイドミラー(不図示)を用いて後方を確認するほか、後ろを振り返り、後ろ窓33を通じて後方を確認することも可能である。
【0020】
エンジンフード17は、キャブ30の後方に設けられている。エンジンフード17内には、エンジンを収容する空間が区画形成されている。エンジンフード17内には、エンジンに加えて、後処理装置、作動油タンクおよび油圧ポンプなどが収容されている。
【0021】
エンジンフード17は、上板18を有する。上板18は、略水平に配置され、前後方向に沿って延在する板材からなる。上板18は、上面視において、前後方向が長手方向となり、左右方向が短手方向となる矩形形状を有する。上板18は、後ろ窓33と同じ高さに設けられている。上板18は、前後方向において、後ろ窓33と対向している。
【0022】
ホイールローダ10は、吸気管41と、排気管(マフラースタック)51とをさらに有する。吸気管41は、外部(エンジンフード17の外側の空間)からエンジンフード17内に空気を取り込む。排気管51は、エンジンからの排気ガスを外部に排出する。
【0023】
吸気管41および排気管51は、エンジンフード17に設けられている。吸気管41および排気管51は、上板18に設けられている。吸気管41および排気管51は、エンジンフード17から上方に突出している。吸気管41および排気管51は、後ろ窓33と同じ高さに設けられている。排気管51の最大高さは、吸気管41の最大高さよりも大きい。
【0024】
排気管51は、キャブ30(後ろ窓33)から後方に離れた位置に設けられている。排気管51は、上面視において、前後方向に延びるホイールローダ10の中心線130上に位置している。排気管51は、前後方向に延びるホイールローダ10の中心線130に対して左右対称の形状を有する。
【0025】
排気管51は、前後方向におけるエンジンフード17の中心位置よりも前方にシフトした位置に設けられている。排気管51は、前後方向におけるエンジンフード17の中心位置、または、前後方向におけるエンジンフード17の中心位置よりも後方にシフトした位置に設けられてもよい。前後方向におけるキャブ30および排気管51の間の距離は、前後方向における排気管51およびエンジンフード17の後方端の間の距離よりも小さい。前後方向におけるキャブ30および排気管51の間の距離は、前後方向における排気管51およびエンジンフード17の後方端の間の距離以上であってもよい。
【0026】
排気管51には、排気口58が設けられている。排気口58は、エンジンフード17から上方に離れた位置で開口している。排気口58は、後方を向いて開口している。排気ガスは、排気口58を通じて外部に排出される。
【0027】
吸気管41は、前後方向において、キャブ30および排気管51の間に設けられている。吸気管41は、上面視において、前後方向に延びるホイールローダ10の中心線130上に位置している。吸気管41は、前後方向に延びるホイールローダ10の中心線130に対して左右対称の形状を有する。
【0028】
続いて、排気管51の形状について詳細に説明する。
図3は、排気管を示す側面図である。
図4は、
図3中の矢印IVに示す方向に見た排気管を示す上面図である。
図5は、
図3中の矢印Vに示す方向に見た排気管を示す前面図である。
図6は、
図3中の矢印VIに示す方向に見た排気管を示す後面図である。
【0029】
図3から
図6に示されるように、排気管51は、管路形成部61と、ベース部62とを有する。
【0030】
管路形成部61は、エンジンからの排気ガスが流通する管路を形成している。管路形成部61は、エンジンフード17内の空間と、エンジンフード17の外側の空間との間を連通させている。ベース部62は、エンジンフード17(上板18)から上方に盛り上がる土台形状をなしている。ベース部62は、ボルト等により、エンジンフード17に締結されている。管路形成部61は、ベース部62を介してエンジンフード17に取り付けられている。
【0031】
管路形成部61は、エンジンフード17内の空間から、ベース部62を貫いてエンジンフード17の外側の空間に達している。管路形成部61は、ベース部62から上方に突出するように設けられている。
【0032】
管路形成部61は、前端部52と、上端部53と、後端部54と、左右一対の側部55とを有する。前端部52、左右一対の側部55、上端部53および後端部54は、エンジンフード17の外側の空間に配置されている。前端部52、左右一対の側部55、上端部53および後端部54は、エンジンフード17の外側の空間において、管路形成部61の外観をなしている。
【0033】
前端部52は、管路形成部61の前方端に配置されている。前端部52は、その下方端において、ベース部62に接続されている。前端部52は、ベース部62から、前方から後方に向かう方向に傾きながら上方に延在する平面から構成されている。水平面に対して前端部52がなす角度は、たとえば、60°よりも大きく、90°よりも小さい範囲である。
【0034】
左右方向における前端部52の幅は、下方から上方に向かうほど大きくなる。前端部52は、正面から見た場合に、上辺と、その上辺よりも大きい長さを有する下辺と、上辺および下辺を接続する一対の斜辺とを有する台形形状を有する。
【0035】
上端部53は、管路形成部61の上方端に配置されている。上端部53は、その前方端において、前端部52に接続されている。上端部53は、その後方端において、後端部54に接続されている。上端部53は、前端部52から後端部54に向けて、斜め上方向に延在する平面から構成されている。水平面に対して上端部53がなす角度は、たとえば、0°よりも大きく、30°よりも小さい範囲である。前端部52に対して上端部53がなす角度は、たとえば、90°よりも大きく、135°よりも小さい範囲である。上端部53は、水平面により構成されてもよい。左右方向における上端部53の幅は、前後方向の位置にかかわらず一定である。
【0036】
後端部54は、管路形成部61の後方端に配置されている。後端部54は、上後端部54Uと、下後端部54Lとを有する。
【0037】
下後端部54Lは、その下方端において、ベース部62に接続されている。下後端部54Lは、ベース部62から、後方から前方に向かう方向に傾きながら上方向に延在する平面から構成されている。水平面に対して下後端部54Lがなす角度は、たとえば、60°よりも大きく、90°よりも小さい範囲である。水平面に対して下後端部54Lがなす角度は、水平面に対して前端部52がなす角度よりも大きい。水平面に対して下後端部54Lがなす角度は、水平面に対して前端部52がなす角度以下であってもよい。
【0038】
左右方向における下後端部54Lの幅は、下方から上方に向かうほど大きくなる。下後端部54Lは、正面から見た場合に、上辺と、その上辺よりも小さい長さを有する下辺と、上辺および下辺を接続する一対の斜辺とを有する台形形状を有する。
【0039】
上後端部54Uは、下後端部54Lの上方に設けられている。上後端部54Uには、排気口58が設けられている。
【0040】
上後端部54Uは、その上方端において、上端部53に接続されている。上後端部54Uは、上端部53から、後方から前方に向かう方向に傾きながら下方に延在する平面から構成されている。上後端部54Uは、その下方端において、前後方向の段差を介在させながら、下後端部54Lに接続されている。水平面に対して上後端部54Uがなす角度は、たとえば、60°よりも大きく、90°よりも小さい範囲である。水平面に対して上後端部54Uがなす角度は、水平面に対して前端部52がなす角度よりも大きい。水平面に対して上後端部54Uがなす角度は、水平面に対して前端部52がなす角度以下であってもよい。
【0041】
左右方向における上後端部54Uの幅は、下方から上方に向かうほど小さくなる。上後端部54Uは、正面から見た場合に、上辺と、その上辺よりも大きい長さを有する下辺と、上辺および下辺を接続する一対の斜辺とを有する台形形状を有する。上下方向における上後端部54Uの長さは、上下方向における下後端部54Lの長さよりも大きい。上下方向における上後端部54Uの長さは、上下方向における下後端部54Lの長さ以下であってもよい。
【0042】
左右一対の側部55は、左右対称に設けられている。側部55は、ベース部62、前端部52、上端部53および後端部54により取り囲まれた領域において、管路形成部61の側面をなしている。側部55は、上側部55Uと、下側部55Lとを有する。
【0043】
上側部55Uは、ベース部62、前端部52、上端部53、上後端部54Uおよび下側部55Lにより取り囲まれた領域に設けられている。上側部55Uは、その下方端において、ベース部62に接続されている。上側部55Uは、その上方端において、上端部53に接続されている。一対の上側部55Uの各々は、ベース部62から、左右方向における一対の上側部55U間の距離を狭めながら上端部53に向けて延在する平面から構成されている。
【0044】
下側部55Lは、上側部55Uの下方に設けられている。下側部55Lは、ベース部62、上側部55Uおよび下後端部54Lにより取り囲まれた領域に設けられている。下側部55Lは、その下方端において、ベース部62に接続されている。下側部55Lは、上側部55Uの後方でベース部62に接続されている。
【0045】
下側部55Lは、尾根部56を形成しながら上側部55Uに接続されている。下側部55Lは、尾根部56の後方において、下後端部54Lに接続されている。尾根部56は、上側部55Uから、左右方向における管路形成部61の内側に折れ曲がって、尾根形状をなしている。尾根部56は、ベース部62から、前方から後方に向かう方向に傾きながら上方に延び、後端部54(上後端部54Uおよび下後端部54Lの間の段差部)に接続されている。
【0046】
下側部55Lは、正面から見た場合に、三角形状を有する。下側部55Lは、ベース部62に接続される位置において三角形状の下辺をなし、上側部55Uに接続される位置(尾根部56)において三角形状の一方の斜辺をなし、下後端部54Lに接続される位置において三角形状を他方の斜辺をなしている。
【0047】
上側部55Uがそのままの傾きで尾根部56を超えてベース部62まで延長された仮想形状を想定した場合に、管路形成部61は、その仮想形状から、下側部55Lが切断面となって現れるように三角錐形状を取り除いた形状を有する。
【0048】
図3および
図4に示されるように、ベース部62に接続される前端部52の下方端が、エンジンフード17から上方に突出する管路形成部61のうちで最も前方に位置している。上端部53の後方端が、エンジンフード17から上方に突出する管路形成部61のうちで最も後方に位置している。ベース部62に接続される上側部55Uの下方端が、エンジンフード17から上方に突出する管路形成部61のうちで最も左右に張り出している。
【0049】
左右方向における管路形成部61の全幅(左右一対の上側部55Uの下方端間の長さ)Wmaxは、前後方向における管路形成部61の最大全長(前端部52の下方端から上端部53の後方端までの長さ)Lmaxよりも小さい。
【0050】
図7は、
図3中のVII-VII線上の矢視方向から見た排気管を示す断面図である。
図3および
図7に示されるように、排気管51は、流入部66を有する。流入部66は、エンジンフード17から突出する排気管51の根本側に位置している。流入部66は、エンジンフード17内から排気ガスが流入する管路を形成している。
【0051】
流入部66は、エンジンフード17の外側の空間に配置されている。流入部66は、管路形成部61の根本部分であり、ベース部62の直上に位置している。流入部66は、前端部52と、左右一対の側部55(上側部55U,下側部55L)と、後端部54(下後端部54L)とを含む断面位置で管路を形成している。流入部66は、
図1中の後ろ窓33と同じ高さに設けられている。
【0052】
図7中には、前後方向における流入部66の中心位置120が示されている。前後方向における流入部66の全長(前端部52から下後端部54Lまでの流入部66の長さ)が、Laである場合に、流入部66の前方端(前端部52)から中心位置120までの長さが、La/2となり、中心位置120から流入部66の後方端(下後端部54L)までの長さが、La/2となる。
【0053】
左右方向における流入部66の幅Wは、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方の所定位置110において最大となり、その所定位置110から後方に向かうほど小さくなる。
【0054】
左右方向における流入部66の幅は、所定位置110においてW1となる。所定位置110は、流入部66の前方端から、流入部66の前方端より後方に離れた位置までの範囲に渡っている。所定位置110の範囲は、左右一対の上側部55Uが左右方向において対向する範囲に対応している。左右方向における流入部66の幅は、所定位置110から後方に向かった後方端においてW2となる。幅W2は、左右方向における流入部66の幅が最小となる最小幅である。左右方向における流入部66の幅が最大幅W1から最小幅W2まで小さくなる範囲は、左右一対の下側部55Lが左右方向において対向する範囲に対応している。
【0055】
図8は、キャブ後方における視認性を説明するための上面図である。
図9は、キャブ後方における視認性を説明するための側面図である。
【0056】
図8および
図9に示されるように、キャブ30内のオペレータは、運転席36から後ろを振り返って後方を確認する場合がある。この場合に、キャブ30の後方において、排気管51がエンジンフード17から上方に突出するように設けられるため、オペレータの視線が排気管51によって遮られるおそれがある。特に、運転席36および排気管51が、前後方向に延びるホイールローダ10の中心線130上に並ぶ構成においては、ホイールローダ10の真後ろの視認性が、排気管51によって大きく損なわれてしまう。
【0057】
図7から
図9に示されるように、これに対して、排気管51の根本側に位置する流入部66の幅が、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方の所定位置110において最大となり、その所定位置110から後方に向かうほど小さくなる。このような構成によれば、キャブ30から排気管51越しに後方に向かうオペレータの視線を、最大幅となる所定位置110から幅が徐々に小さくなる後方に向けて流入部66に沿わせることが可能となる。これにより、キャブ30の後方における視認性を向上させることができる。
【0058】
特にオペレータが運転席36の左右から後方を振り返る場合には、オペレータの視線(図中の視線X1,X2)を流入部66に沿わせることによって、ホイールローダ10の真後ろの視認性も確保することができる。また、流入部66は、排気管51の根本側に位置しているため、キャブ30の後方のうちでも特に地上付近の視認性を向上させることができる。
【0059】
図10は、
図9中の2点鎖線X-X線上の矢視方向から見た吸気管および排気管を示す断面図である。
図9および
図10に示されるように、左右方向における吸気管41の幅は、流入部66と同じ高さにおいてW3である。
【0060】
より具体的には、吸気管41は、円筒部42を有する。円筒部42は、円筒形状を有する。円筒部42は、外部からエンジンフード17内に取り込まれる空気が流通する管路を形成している。円筒部42は、流入部66と同じ高さにおいて上下方向に延びている。円筒部42の中心は、前後方向に延びるホイールローダ10の中心線130上に位置している。円筒部42の直径は、W3である。
【0061】
流入部66の最大幅W1は、円筒部42の直径W3よりも大きく、円筒部42の直径W3は、流入部66の最小幅W2よりも大きい(W1>W3>W2)。
【0062】
このような構成においては、流入部66の最大幅W1が円筒部42の直径W3よりも大きいため、キャブ30から吸気管41越しに後方に向かうオペレータの視線は、流入部66の最大幅W1の箇所で遮られる。しかしながら、流入部66の幅は、その最大幅W1の箇所から後方に向けて小さくなり、流入部66の後方端において、円筒部42の直径W3よりも小さい最小幅W2となる。これにより、キャブ30から吸気管41および排気管51越しに後方に向かうオペレータの視線(
図8中の視線X1,X2)を、ホイールローダ10の中心線130に近づく方向により傾けて通すことが可能となるため、オペレータの後方の視野を広げることができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、排気管51が、排気ガスの管路を形成する管路形成部61と、排気管51をエンジンフード17に取り付けるためのベース部62とが組み合わさって構成される場合を説明したが、これに限られず、たとえば、管路形成部61の下方端に、エンジンフード17に締結される鍔部が一体に設けられる構成であってもよい。この場合であっても、本開示における流入部は、鍔部ではなく、管路形成部61が形成する管路の根本部分となる。
【0064】
続いて、排気管51により達成される排熱効果について説明する。
図11は、エンジンフード内に収容される構造体を示す上面図である。
【0065】
図11に示されるように、ホイールローダ10は、後処理装置71をさらに有する。後処理装置71は、エンジンフード17内に収容されている。後処理装置71は、エンジンからの排気ガスを処理する。後処理装置71により処理された排気ガスは、排気管51を通じてエンジンフード17の外部に排出される。
【0066】
後処理装置71は、エンジン(不図示)の上方に設けられている。後処理装置71は、ディーゼル・パーティキュレート・フィルタ(Diesel particulate filter:以下では、「DPF」という)71Aと、尿素水溶液ミキシング装置71Bと、窒素酸化物還元触媒(以下では、「SCR」という)71Cとを有する。DPF71A、尿素水溶液ミキシング装置71BおよびSCR71Cは、挙げた順に、排気ガス流れの上流側から下流側に並んで設けられている。
【0067】
DPF71Aは、排気ガス中の粒子状物質を捕集する。尿素水溶液ミキシング装置71Bは、排気ガス中に還元剤としての尿素水溶液を添加する。添加された尿素水溶液は、加水分解されてアンモニアとなり、アンモニアは、排気ガスとともにSCR71Cに供給される。SCR71Cは、尿素水溶液ミキシング装置71Bからのアンモニアを還元剤として使用して、排気ガス中の窒素酸化物を還元浄化する。
【0068】
尿素水溶液ミキシング装置71Bは、インジェクタ72と、配管部73とを有する。配管部73は、排気ガスが流通可能な管路をなしている。配管部73は、その両端において、DPF71AおよびSCR71Cに接続されている。インジェクタ72は、配管部73の経路上に設けられている。インジェクタ72は、配管部73を流れる排気ガスに対して尿素水溶液を噴射する。
【0069】
SCR71Cは、排出口74を有する。排出口74には、排気ダクト(不図示)が接続されている。SCR71Cにおいて還元浄化された排気ガスは、その排気ダクトを通じてエンジンフード17内に放出され、さらに排気管51を通って外部に排出される。
【0070】
DPF71A、尿素水溶液ミキシング装置71BおよびSCR71Cは、左右方向に並んで設けられている。尿素水溶液ミキシング装置71Bは、DPF71AおよびSCR71Cの間に配置されている。尿素水溶液ミキシング装置71Bは、前後方向に延びるホイールローダ10の中心線130上に位置している。
【0071】
図10および
図11に示されるように、流入部66は、エンジンフード17内の空間と向かい合って開口する開口面67をなしている。開口面67は、流入部66が形成する管路の開口断面である。
【0072】
左右方向における開口面67の幅wは、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方の所定位置110において最大となり、所定位置110から後方に向かうほど小さくなる。開口面67は、所定位置110において、最大幅w1を有し、流入部66の後方端において、最小幅w2を有する。
【0073】
図11中では、エンジンフード17内を上面視した時に開口面67が投影される領域が2点鎖線により示されている。後処理装置71の少なくとも一部は、上面視において開口面67が投影される領域に設けられている。後処理装置71のうちの尿素水溶液ミキシング装置71B(より具体的には、配管部73)が、上面視において開口面67が投影される領域に設けられている。
【0074】
エンジンおよび後処理装置71などの発熱源がその動作に伴って発熱すると、エンジンフード17内の空間の温度が上昇する。エンジンが動作している間は、主に、走行風およびファンによる送風によって、エンジンフード17内の温度上昇が抑えられる。一方、エンジンの停止後にも、後処理装置71は、しばらく200~250℃といった高温のままである。エンジンフード17内にその熱がこもると、エンジンフード17内に設置された各種のセンサ類が破損するなどの可能性がある。
【0075】
これに対して、排気管51は、エンジンフード17内の空気を外部に逃がすことによって、エンジンフード17からの排熱を促す機能を発揮する。この際、排熱の入口となる開口面67の幅は、流入部66の形状に対応して、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方の所定位置110において最大となり、所定位置110から後方に向かうほど小さくなる。これにより、特に前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方において、開口面67の開口面積を大きく確保することが可能となるため、エンジンフード17内からの排熱を効率的に行なうことができる。
【0076】
また、後処理装置71の少なくとも一部は、上面視において開口面67が投影される領域に設けられている。この場合、その後処理装置71の少なくとも一部で発生した熱は、そのまま上昇して開口面67に向かうため、エンジンフード17内からの排熱をさらに効率的に行なうことができる。
【0077】
なお、DPF71AまたはSCR71Cが、上面視において開口面67が投影される領域に設けられる構成であってもよい。
【0078】
ホイールローダ10は、エアクリーナ76をさらに有する。エアクリーナ76は、エンジンフード17内に収容されている。エアクリーナ76は、吸気管41を通じてエンジンフード17内に取り込まれる空気から異物を除去する。エアクリーナ76は、後処理装置71よりも前方に設けられている。エアクリーナ76およびインジェクタ72は、開口面67よりも前方に配置されている。
【0079】
開口面67の開口面積は、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方において大きく確保されるため、開口面67よりも後方の空間からの排熱よりも、開口面67よりも前方の空間からの排熱の方が促進される。この場合に、エアクリーナ76およびインジェクタ72を開口面67よりも前方に配置することによって、エアクリーナ76およびインジェクタ72を熱から適切に保護することができる。
【0080】
ホイールローダ10は、隔壁部81をさらに有する。隔壁部81は、エンジンフード17内に設けられている。隔壁部81は、左右方向に沿って延び、鉛直方向に平行な板材から構成されている。
【0081】
隔壁部81は、上面視において、エアクリーナ76が配置される空間と、後処理装置71が配置される空間との間を隔てるように設けられている。このような構成によれば、隔壁部81によって、後処理装置71で発生した熱が前方に回り込むことが抑制されるため、エアクリーナ76を熱からより適切に保護することができる。
【0082】
なお、本実施の形態では、DPF71A、尿素水溶液ミキシング装置71BおよびSCR71Cが、左右方向に並ぶ構成を説明したが、これに限られず、たとえば、DPF71A、尿素水溶液ミキシング装置71BおよびSCR71Cが、前後方向に並ぶ構成であってもよい。また、後処置装置71は、DPF71A、尿素水溶液ミキシング装置71BおよびSCR71Cの組み合わせに限られず、たとえば、DPF71Aと、尿素水溶液ミキシング装置71BおよびSCR71Cとのいずれか一方のみから構成されてもよい。
【0083】
図12は、
図7中の流入部の第1変形例を示す断面図である。
図13は、
図7中の流入部の第2変形例を示す断面図である。
【0084】
図12および
図13に示されるように、流入部66が最大幅W1を有する所定位置110は、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方であれば、特に限定されない。
図12および
図13に示される変形例では、左右方向における流入部66の幅Wは、所定位置110から後方に向かうほど小さくなり、所定位置110から前方に向かうほど小さくなる。
図12に示される変形例では、所定位置110が、前後方向における所定の長さに渡る範囲となり、
図13に示される変形例では、所定位置110が、前後方向における特定位置となる。
【0085】
以下、本実施の形態におけるホイールローダ10で奏される効果についてまとめて説明する。
【0086】
作業車両としてのホイールローダ10は、キャブ30と、エンジンフード17と、排気管51とを備える。エンジンフード17は、キャブ30の後方に設けられる。エンジンフード17は、エンジンを収容する。排気管51は、エンジンフード17から上方に突出する。排気管51は、エンジンからの排気ガスを排出する。排気管51は、流入部66を有する。流入部66は、エンジンフード17から突出する排気管51の根元側に位置する。流入部66は、排気ガスが流入する管路を形成する。左右方向における流入部66の幅は、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方の所定位置110で最大となり、所定位置110から後方に向かうほど小さくなる。
【0087】
このような構成によれば、キャブ30から排気管51越しに後方に向かうオペレータの視線を流入部66に沿わせることによって、キャブ30の後方における視認性を向上させることができる。
【0088】
また、ホイールローダ10は、吸気管41をさらに備える。吸気管41は、前後方向においてキャブ30および排気管51の間に設けられる。吸気管41は、外部からエンジンフード17内に空気を取り込む。左右方向における流入部66の幅は、所定位置110においてW1であり、所定位置110から後方に向かった後方端においてW2である。左右方向における吸気管41の幅は、流入部66と同じ高さにおいてW3である。この場合に、W1>W3>W2の関係が満たされる。
【0089】
このような構成によれば、吸気管41の幅との比較において、流入部66の幅が後方端においてより小さく抑えらえるため、キャブ30の後方における視認性をさらに向上させることができる。
【0090】
また、流入部66は、開口面67をなす。開口面67は、エンジンフード17内の空間と向かい合って開口する。左右方向における開口面67の幅は、所定位置110で最大となり、所定位置110から後方に向かうほど小さくなる。
【0091】
このような構成によれば、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方において、開口面67の開口面積をより大きく確保することが可能となる。このため、排気管51を通じたエンジンフード17内からの排熱を、促進させることができる。
【0092】
また、ホイールローダ10は、後処理装置71をさらに備える。後処理装置71は、エンジンフード17に収容されている。後処理装置71は、エンジンからの排気ガスを処理する。後処理装置71の少なくとも一部は、上面視において開口面67が投影される領域に設けられる。
【0093】
このような構成によれば、後処理装置71で発生した熱の排出を促進させることができる。
【0094】
また、ホイールローダ10は、インジェクタ72およびエアクリーナ76をさらに備える。インジェクタ72およびエアクリーナ76は、エンジンフード17に収容されている。インジェクタ72は、エンジンからの排気ガスに対して還元剤水溶液を噴射する。エアクリーナ76は、エンジンフード17内に取り込まれる空気から異物を除去する。インジェクタ72およびエアクリーナ76は、開口面67よりも前方に配置される。
【0095】
このような構成によれば、開口面67の開口面積は、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方においてより大きく確保されるため、開口面67よりも後方からの排熱よりも開口面67よりも前方からの排熱が促進される。このため、インジェクタ72およびエアクリーナ76を開口面67よりも前方に配置することによって、インジェクタ72およびエアクリーナ76を熱から適切に保護することができる。
【0096】
(実施の形態2)
図14は、本開示の実施の形態2におけるホイールローダの排気管を示す後面図である。
図15は、
図14中の2点鎖線XVで囲まれた範囲の排気管を拡大して示す後面図である。
【0097】
本実施の形態におけるホイールローダは、実施の形態1におけるホイールローダ10と同一の排気管構造を有する。以下では、排気管51における後端部54の構成について、追加的に説明する。
【0098】
図14および
図15に示されるように、左右方向における排気口58の幅は、下方から上方に向かうほど小さくなる。排気口58は、正面から見た場合に、上辺と、その上辺よりも大きい長さを有する下辺と、上辺および下辺を接続する一対の斜辺とを有する台形形状を有する。排気口58は、上方端58pと、下方端58qとを有する。上方端58pは、排気口58がなす開口面の上方端に位置しており、上記の台形形状の上辺に対応している。下方端58qは、排気口58がなす開口面の下方端に位置しており、上記の台形形状の下辺に対応している。
【0099】
左右方向における後端部54(下後端部54L)の幅Bは、下方から上方に向かうほど大きくなり、所定位置160で最大となる。
【0100】
後端部54は、所定位置160において最大幅B1を有する。後端部54は、所定位置160から下方に向かった下方端において、幅B2を有する。幅B2は、後端部54(上後端部54U)の上方端における幅よりも小さくてもよいし、後端部54(上後端部54U)の上方端における幅以上であってもよい。幅B2が後端部54(上後端部54U)の上方端における幅よりも小さい場合、後端部54の最小幅は、B2である。
【0101】
後端部54が最大幅B1を有する所定位置160の高さh1は、排気口58の下方端58qの高さh2以上である。
【0102】
実施の形態1において説明したように、キャブ30からの後方視認性を高めるには、流入部66の後方端の幅が小さい方が有利である。この場合に、流入部66の後方端には、後端部54の下方端が位置しているため、後端部54の下方端の幅をより狭めることによって、キャブ30からの後方視認性を高めることができる。その一方で、エンジンフード17内からの排熱を促進させるという観点からは、排気口58の開口面積を大きく確保する必要がある。
【0103】
これに対して、左右方向における後端部54の幅Bは、下方から上方に向かうほど大きくなるため、後端部54の下方端における幅を小さく抑えることができる。また、所定位置160の高さh1は、排気口58の下方端58qの高さh2以上であるため、後端部54が最大幅B1を有する所定位置160において、排気口58の幅を大きく確保することができる。これらの理由により、キャブ30からの後方視認性を高めつつ、エンジンフード17内からの排熱を促進させることができる。
【0104】
排気口58は、下方端58qにおいて、最大幅B3を有する。排気口58は、上下方向における最大長さHを有する。最大長さHは、上下方向における上方端58pと下方端58qとの間の長さである。上下方向における排気口58の最大長さHは、左右方向における排気口58の最大幅B3よりも大きい。
【0105】
このような構成によれば、後端部54の幅を全体に小さく抑えつつ、排気口58の開口面積をより大きく設定することができる。これにより、キャブ30からの後方視認性の向上と、エンジンフード17内からの排熱の促進とを両立する上記効果を、より有効に奏することができる。
【0106】
なお、本実施の形態におけるホイールローダにおいては、実施の形態1において説明した、左右方向における流入部66の幅が、前後方向における流入部66の中心位置120よりも前方の所定位置110で最大となり、所定位置110から後方に向かうほど小さくなる構成が、必須ではない。たとえば、流入部66の幅が、前後方向における流入部66の中心位置120よりも後方の所定位置で最大となり、その所定位置から後方に向かうほど小さくなる構成であってもよい。
【0107】
以下、本実施の形態におけるホイールローダで奏される効果についてまとめて説明する。
【0108】
作業車両としてのホイールローダ10は、キャブ30と、エンジンフード17と、排気管51とを備える。エンジンフード17は、キャブ30の後方に設けられる。エンジンフード17は、エンジンを収容する。排気管51は、エンジンフード17から上方に突出する。排気管51は、エンジンからの排気ガスを排出する。排気管51は、後端部54を有する。後端部54には、排気口58が設けられる。左右方向における後端部54の幅は、下方から上方に向かうほど大きくなり、所定位置160で最大となる。所定位置160の高さh1は、排気口58の下方端58qの高さh2以上である。
【0109】
このような構成によれば、後端部54の下方端を幅狭とすることにより、キャブ30の後方における視認性を向上させることができる。また、後端部54の幅が最大となる所定位置160の高さh1が、排気口58の下方端58qの高さh2以上であるため、所定位置160の高さにおける排気口58の幅を大きく設定して、排気口58の開口面積を確保することができる。これにより、排気管51を通じたエンジンフード17内からの排熱を、促進させることができる。
【0110】
また、上下方向における排気口58の最大長さHは、左右方向における排気口58の最大幅B3よりも大きい。
【0111】
このような構成によれば、キャブ30からの後方視認性の向上と、エンジンフード17内からの排熱の促進とを両立する効果を、より有効に奏することができる。
【0112】
本開示は、キャブと、キャブ後方に配置された排気管とを備える各種の作業車両に適用される。本開示は、たとえば、モータグレーダにも適用可能である。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示は、作業車両に利用される。
【符号の説明】
【0115】
10 ホイールローダ、12 フロントフレーム、14 リアフレーム、16 作業機、17 エンジンフード、18 上板、21 ブーム、22 ベルクランク、23 リンク、26 前輪、27 後輪、30 キャブ、31,32 ドア、33 後ろ窓、36 運転席、41 吸気管、42 円筒部、51 排気管、52 前端部、53 上端部、54 後端部、54L 下後端部、54U 上後端部、55 側部、55L 下側部、55U 上側部、56 尾根部、58 排気口、58p 上方端、58q 下方端、61 管路形成部、62 ベース部、66 流入部、67 開口面、71 後処置装置、71A DPF、71B 尿素水溶液ミキシング装置、71C SCR、72 インジェクタ、73 配管部、74 排出口、76 エアクリーナ、81 隔壁部、110,160 所定位置、120 中心位置、130 中心線。