(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】建具における横目地構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20220916BHJP
E06B 3/988 20060101ALI20220916BHJP
E06B 1/52 20060101ALI20220916BHJP
E04B 2/72 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
E04B2/74 501V
E06B3/988 B
E06B1/52
E04B2/72 A
(21)【出願番号】P 2018247142
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正史
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-226180(JP,A)
【文献】特開2017-203285(JP,A)
【文献】実開平6-51464(JP,U)
【文献】実開平6-51471(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/72,74,76-78
E06B 3/96-3/99
E06B 1/52
E06B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に間隔を存して立設される縦支柱間に横架材が設けられ、該横架材を挟む状態で上下にパネル体が配されると共に、前記横架材には、上下パネル体の互いに隣接する横端縁部にそれぞれ対応するようにして上下の横枠材が設けられ、前記縦支柱には、パネル体の左右縦端縁部に対応するようにして縦枠材が設けられた建具において、
前記上下横枠材の対向間に凹溝状の横目地が設けられ、
前記縦枠材を、前記横目地対応部位で分断された構成にして、前記横目地が縦枠材部位にまで至るように構成すると共に、
前記縦枠材の分断端縁部を覆い部材で覆ったことを特徴とする建具における横目地構造。
【請求項2】
縦枠材部位の横目地は、覆い部材が溝側面部に相当し、縦支柱の見付け面部が溝底面部に相当していることを特徴とする請求項1記載の建具における横目地構造。
【請求項3】
覆い部材は、縦枠材の内側面に案内される状態で縦枠材内に嵌入する嵌入部と、縦枠材の分断端縁部に当接して該分断端縁部を覆う覆い部とを備えて構成され、覆い部は、嵌入部から延出していて分断端縁部に当接するように設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の建具における横目地構造。
【請求項4】
縦枠材は横枠材側に位置する内側見込み面部を備え、嵌入部は、該内側見込み面部の内側面に案内されることを特徴とする請求項3記載の建具における横目地構造。
【請求項5】
嵌入部は、縦枠材の内側見込み面部にビス固定されることを特徴とする請求項4記載の建具における横目地構造。
【請求項6】
縦枠材の内側見込み面部は、縦支柱の内側見込み面部に対向するするよう幅広になっており、嵌入部は、縦枠材の内側見込み面部に対応するよう幅広の支持面部が形成され、該支持面部が縦枠材にビス固定されていることを特徴とする請求項5記載の建具における横目地構造。
【請求項7】
ビスは、横枠材に覆蓋されることを特徴とする請求項5または6記載の建具における横目地構造。
【請求項8】
縦枠材は、覆い部の厚さ相当分、横目地の溝側面に対して段差状に後退する位置で分断されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1記載の建具における横目地構造。
【請求項9】
縦枠材には、横枠材の見付け面部に対して積層する積層部が設けられ、該積層部の分断部も覆い部材で覆われることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建具における横目地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物に建て付けられる間仕切りやドア枠等の内装材における横目地構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、例えば建造物の室内空間を仕切るため間仕切りを建具(内装材)として建て付けることがあり、そこで今、該間仕切りを例として説明したときに、間仕切りのなかには、ガラス板やパネル板等の板材を縦横の各枠材(縦枠材と横枠材)で支持する状態で上下に一連状に連設することがあり、このような場合に、上下に隣接する横枠材のあいだに凹溝状の横目地(横溝)を設けたものとし、これにより、間仕切りを外観視(視認)したときに、横目地が、凹溝状の横縞模様を呈した変化性のある構成にすることが要求される場合がある。
このようなものとして、横枠材の前後両側面(表裏面)にそれぞれ板材を組込み、これら板材の上下端縁部間に凹溝状の目地が設けられるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながらこのものは、前後二枚の板材を前後方向に間隙を存して配設した肉厚の間仕切りを前提としているため、例えば板材を肉薄のガラス板とし、これを枠材の前後方向中間部位に一枚だけ取付けたものとしたいような場合に、このままの構成では採用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記間仕切りを、横目地が設けられたものにする場合、該横目地を、横枠材の左右幅(長さ)の範囲だけでなく、縦枠材にまで至る長いものとして連続性を有するものにしたい、という要求があり、このような場合、縦枠材を、間仕切りの下端から上端にまで至る長いものではなく、横枠材と交差する部位を分断(切断)した短いもので構成し、この分断した上下の端縁部(分断端縁部、切断端縁部)のあいだに、前記横枠材部位に形成される横目地に続くよう横目地を設けることが提唱される。ところがこのような構成にした場合、前記縦枠材の分断端縁部がそのまま露出することになって外観が損なわれるだけでなく、誤って指や衣服等が触れたような場合に、引っ掛かって損傷してしまうという惧れがあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、左右に間隔を存して立設される縦支柱間に横架材が設けられ、該横架材を挟む状態で上下にパネル体が配されると共に、前記横架材には、上下パネル体の互いに隣接する横端縁部にそれぞれ対応するようにして上下の横枠材が設けられ、前記縦支柱には、パネル体の左右縦端縁部に対応するようにして縦枠材が設けられた建具において、前記上下横枠材の対向間に凹溝状の横目地が設けられ、前記縦枠材を、前記横目地対応部位で分断された構成にして、前記横目地が縦枠材部位にまで至るように構成すると共に、前記縦枠材の分断端縁部を覆い部材で覆ったことを特徴とする建具における横目地構造である。
請求項2の発明は、縦枠材部位の横目地は、覆い部材が溝側面部に相当し、縦支柱の見付け面部が溝底面部に相当していることを特徴とする請求項1記載の建具における横目地構造である。
請求項3の発明は、覆い部材は、縦枠材の内側面に案内される状態で縦枠材内に嵌入する嵌入部と、縦枠材の分断端縁部に当接して該分断端縁部を覆う覆い部とを備えて構成され、覆い部は、嵌入部から延出していて分断端縁部に当接するように設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の建具における横目地構造である。
請求項4の発明は、縦枠材は横枠材側に位置する内側見込み面部を備え、嵌入部は、該内側見込み面部の内側面に案内されることを特徴とする請求項3記載の建具における横目地構造である。
請求項5の発明は、嵌入部は、縦枠材の内側見込み面部にビス固定されることを特徴とする請求項4記載の建具における横目地構造である。
請求項6の発明は、縦枠材の内側見込み面部は、縦支柱の内側見込み面部に対向するよう幅広になっており、嵌入部は、縦枠材の内側見込み面部に対応するよう幅広の支持面部が形成され、該支持面部が縦枠材にビス固定されていることを特徴とする請求項5記載の建具における横目地構造である。
請求項7の発明は、ビスは、横枠材に覆蓋されることを特徴とする請求項5または6記載の建具における横目地構造である。
請求項8の発明は、縦枠材は、覆い部の厚さ相当分、横目地の溝側面に対して段差状に後退する位置で分断されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1記載の建具における横目地構造である。
請求項9の発明は、縦枠材には、横枠材の見付け面部に対して積層する積層部が設けられ、該積層部の分断部も覆い部材で覆われることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の建具における横目地構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、上下に一枚板状のパネル体が配されたものに対応できながら、これら上下のパネル体に対応して設けられる上下の横枠材間に形成される横目地が縦枠材部位にまで連続することになって視認性の優れたものになるが、この場合に、縦枠材の横目地相当部位に生じる分断端縁部は覆い部材によって覆われる結果、横目地が縦枠材にまで連続するものでありながら、分断端縁部が直接露出することがなくなって外観を損なうことがないうえ、物等が引っ掛かってしまうようなことを回避できることになる。
請求項2の発明とすることにより、縦枠材部位に設けられる横目地の溝側面部を、縦枠材の分断端縁部を塞ぐ覆い部材を有効に利用し、溝底面部を縦支柱を有効に利用してできることになる。
請求項3の発明とすることにより、覆い部材を、嵌入部から覆い部が延出した簡単な構造とすることができながら、嵌入部に案内させることで簡単に縦枠材に取付けることができることになる。
請求項4の発明とすることにより、覆い部材は、嵌入部を縦枠材の内側見込み面部に沿うよう案内することで組込みができることになって組み込み作業の作業性が向上する。
請求項5の発明とすることにより、覆い部材は、縦枠材にビス固定されるため不用意に外れたりすることを回避できることになる。
請求項6の発明とすることにより、覆い部材の縦枠材に対するビス固定位置が、覆い部によって覆われる部位に対して見込み方向内側に偏倚した位置となる結果、覆い部材は、横架材が設けられることで強度的にも強くなる縦支柱の見込み方向中央寄りでの支持ができることになって安定化することになる。
請求項7の発明とすることにより、覆い部材を取付け支持するためのビスが、横枠材を利用して覆蓋できることとなって、視認性を損なうことがない。
請求項8の発明とすることにより、縦枠材の分断端縁部を覆う覆い部が、横目地の溝底面に対して面一状になる結果、横枠材部位から縦枠材部位にまで至る横目地の均一化が図れることになって、外観を損なうことがない。
請求項9の発明とすることにより、縦枠材が、横枠材に対して積層する構造のものであっても、分断端縁部の覆い部材による覆蓋ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】上下に板材が組込まれた部位の縦断面図である。
【
図3】下側にドア体が組込まれた部位の縦断面図である。
【
図6】上下に板材が組込まれた横枠材部位の拡大縦断面図である。
【
図7】上下に板材が組込まれた縦枠材部位の拡大縦断面図である。
【
図11】(A)(B)(C)は覆い部材を取付けた縦枠材の正面図、側面図、平面図である。
【
図12】(A)(B)(C)(D)は覆い部材の斜視図、正面図、底面図、側面図である。
【
図14】(A)(B)(C)はドア体戸先側の縦枠材の分断部位の斜視図、分解斜視図、断面平面図である。
【
図15】(A)(B)(C)(D)は第二覆い部材の斜視図、正面図、底面図、側面図である。
【
図16】(A)(B)(C)(D)は第三覆い部材の斜視図、正面図、底面図、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は建造物の室内に建て付けられる建具(内装材)の一例である間仕切りであって、該間仕切り1は、室内空間を仕切るため建て付けられるものであるが、本実施の形態のものは、天井Hに設けた天井レール2と床Fに設けた床レール3とのあいだに設けられたものとして構成されている。
そして本実施の形態においては、間仕切り1は、パネル体の例として、開き戸方式のドア体4、木板、ガラス板、ポリカーボネート板等の通常知られた薄板状の板材5、6、7が組込まれたものとして構成されている。
この場合に間仕切り1として、上下に板材5、6が組込まれたものと、下側にドア体4、上側に板材(欄間板)7が組込まれたものとが左右に並設された構成のものが例示されており、本発明は何れのものにも実施されているが、まずは上下に板材5、6が組込まれたものについて具体的に説明をする。
尚、本発明はこれらのものに限定されないことは勿論であって、ドア体がなく板材だけがパネル体として設けられたものであってもよく、これらの場合に、板材は上下に二枚ではなく、三枚以上の複数枚が設けられたものであってもよい。
【0009】
前述したように、上下に板材5、6が組込まれたものについて、間仕切り1は、前記天井レール2、床レール3に対して左右方向に間隙を存して縦方向を向いた縦支柱8が立設され、該縦支柱8間には、縦支柱8の見込み面部8aに突き当てるようにして縦支柱8の見込み幅と同幅の横架材9が横方向を向いた状態で架設(支架)されていて、間仕切り1の強度維持が図られている。因みに本実施の形態では、縦支柱8は四角柱形状をしたC型の型材で構成され、横架材9は冂型の型材で構成されているが、通常知られた形状の柱材を用いることができることは言うまでもない。
【0010】
一方、10は上下板材5、6の左右両端縁部を見込み方向中間部位(中央部位)で内嵌支持するべく見付け方向内側が開口した支持溝部10aが形成される縦枠材であって、該縦枠材10に設けられる嵌合溝部10bが、前記縦支柱8に対して見付け方向(左右方向)内側から外側に向けて外嵌するようにして組み込まれるが、該縦枠材10は、支持溝部10aの溝側面部10cの開口端部から見込み方向外側(前後方向外側(両外側))に向けて前後一対の内側見込み面部10dが形成されている。一方、支持溝部10aの溝底面部10eは、縦支柱8の内側(上下板材5、6側)見込み面部8aに近接対向又は当接するよう設けられているが、該溝底面部10eからは、前記見込み面部8aに近接対向又は当接する状態で見込み方向外側(両外側)に向けて延長していて縦支柱8の見付け面部8bにまで至る延長面部10fが設けられており、該延長面部10fと前記溝底面部10eとで嵌合溝部10bの溝底面部を構成するようになっている。
【0011】
さらに縦枠材10には、延長面部10fの見込み方向外端縁部から見付け方向外側に向けて延出することで、前記嵌合溝部10bの溝側面部10gが設けられると共に、該溝側面部10gの見付け方向外側端縁部から見込み方向外側に向けて外側見込み面部10hが設けられ、該外側見込み面部10hと前記内側見込み面部10dの見込み方向外端縁部同士を連結している外側見付け面部10iが設けられており、そしてこれらのように構成されることにより、縦枠材10は、支持溝部10aの溝側面部10c、内側見込み面部10d、外側見付け面部10i、外側見込み面部10h、嵌合溝部10bの溝側面部10g、延長面部10fにより囲撓される状態でL字形に折曲した中空状部(フォロー状部)Sが形成された構成になっている。
【0012】
一方、11、12は上側板材5の下側端縁部、下側板材6の上側端縁部を見込み方向中間部位(中央部位)で内嵌支持するための支持溝11a、12aが形成された上下の横枠材であって、上側板材5の下端縁部に対応して設けられる上側横枠材11は、前記支持溝部11aが上側面部11bに形成され、下側面部11cに開口部11dが形成され、該開口部11dが横架材9に対して上側から外嵌する状態で組み付けられる構成になっている。そして上側横枠材11は、縦枠材10と見込み方向略同幅のもので構成されていて、左右両端縁部が前記縦枠材10の内側見込み面部10dに突き当てられる状態で組み付けられるようになっている。
【0013】
また、下側板材6の上側端縁部に対応して設けられる下側横枠材12は、上側横枠材11とは、上下逆ではあるが、基本的には同様の形状で構成されている。つまり、支持溝部12aが下側面部12bに形成され、上側面部12cに形成された開口部12dが横架材9の見付け面部9bに対して下側から外嵌組み付けされることになるが、本実施の形態の下側横枠材12は、下側板材6を嵌め込むため、見込み方向何れか一方の下側部位が着脱自在に係止される押し縁部12eが設けられた構成になっている点で、上側横枠材11とは形状が異なっている。そして該下側横枠材12も、上側横枠材11と同様、縦枠材10と見込み方向略同幅のもので構成されていて左右両端縁部が前記縦枠材10の内側見込み面部10dに突き当てられる状態で組み付けられるようになっている。
そしてこのように構成された上下の横枠材11、12は、互いに上下方向に対向する下側面部11cと上側面部12cとが上下方向に間隙を存する状態となっており、これによって、該下側面部11c、上側面部12cが溝側面部(上下の溝側片)に、横架材9の見付け面部9bが溝底面部になる状態で上下横枠材11、12間に横目地Xが形成されたものになっている。尚、11f、12fは上下横枠材11、12の見付け面部である。
【0014】
尚、本実施の形態では、天井レール2に組み付けられる上側板材5の上側端縁部に対応して設けられる横枠材12は、前記下側横枠材12と同様のものが用いられ、床レール3に組み付けられる下側板材6の下側端縁部に対応して設けられる横枠材11は、前記上側横枠材11と同様のものが用いられている。また縦支柱8と横架材9とは、交差部においてL字形をしたコーナー金具13を介して連結固定されている。
また、横架材9の見付け面部9bの左右端縁部の下半部には切欠き部9cが形成されているが、該切欠き部9cは、横架材9が縦支柱8に連結された状態では、縦枠材10の内側見込み面部10dの下端縁部に切欠き形成した凹溝部10jに嵌入する構成になっている。さらに横架材9の上面部9aは、縦枠材10の下端縁部に形成した溝状部10kに嵌入する構成になっている。
さらにまた、縦枠材10における支持溝部10aの溝底面部10eの上端縁部には凹溝部10lが切欠き形成されており、該凹溝部10lに設けられるコーナー金具13aにより縦枠材10と上下横枠材11、12とが連結固定されている。
【0015】
そして本実施の形態では、前記横目地Xを縦枠材10部位にまで至る(延長させる)ため、縦枠材10は、横目地Xに対応した部位で分断(切断)されたものになっており、該分断されることで、縦枠材10には、前記L字形に折曲した中空状部Sが分断端縁部Yとして露出したものとなるが、本実施の形態では、前記中空状部Sのうち、縦枠材10の延長面部10f側部位は、横架材9の上面部9aによって覆われることになり、このため覆い部材14としては、中空状部Sのうち、前記上面部9aでは塞がれない部位、つまり、内側見込み面部10dの縦支柱8の見付け面部8bよりも見込み方向(前後方向)外側部位、溝側面部10g、外側見込み面部10h、外側見付け面部10iに当接する状態となって、縦支柱8の見付け面部8bよりも前後方向外側部位を覆うように構成すれば足りるものとなっており、以下、この構成について説明する。
【0016】
前記覆い部材14は、分断端縁部Yに上下方向から当接して該分断端縁部Yを覆う覆い部14aを備えて構成されるが、分断端縁部Yは、覆い部14aの厚さ相当分だけ横目地Xの溝側面、つまり上側横枠材11の下側面部11c、下側横枠材12の上側面部12cに対して段差状に後退した位置で分断されており、これによって覆い部材14を取付けた場合に、これら上下面部11c、12cと覆い部14aとが面一状になるよう配慮されている。そして後述するように覆い部材14を、覆い部14aが分断端縁部Yに当接するよう取付けた場合に、上下の覆い部14aが溝側面となり、縦支柱8の見付け面部8bおよび横枠材9の切欠き部9c部位の見付け面部9bが溝底面となった凹溝状の横目地Xaが、前記横枠材11、12間に形成した横目地Xと一連状に連続する状態で形成されるようになっている。
【0017】
前記覆い部材14は、縦枠材10の内側面、具体的には内側見込み面部10d、溝側面部10g、外側見付け面部10iの各内側面に摺接(または近接対向)することで縦枠材14内に嵌入案内される嵌入部14bが形成されており、このように構成されることで、覆い部材14は、覆い部14aが嵌入部14bに対して鍔状(はみ出し状)に延出した構成になっている。
一方、前記嵌入部14bのうち、内側見込み面部10dの内周面に案内される部位は、該内側見込み面部10dの内側面に対応するよう(沿うよう)見込み方向並びに上下方向に延長されることで上下および前後に幅広な支持面部14cを構成しており、該支持面部14cのうち縦枠材10の内側見込み面部10dに対応する部位がビス20を介して縦枠材10の内側見込み面部10dに固定されている。
【0018】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、前記間仕切り1は、縦支柱8に組み付けられる縦枠材10、横架材9に組み付けられる横枠材11、12に一枚板状の板材5、6が上下に隣接する状態で組込まれたものにできることになって、見込み方向に凹凸変化があって意匠性(外観性、視認性)に優れたものにできることになるが、この場合、さらに上下板材5、6の互いに隣接する端縁部に対応して設けられる上下横枠材11、12間に凹溝状の横目地Xが形成されたものにしているが、該横目地Xは、縦枠材10を横目地Xに対応する部位で分断したことで形成される横目地Xaに対して一連状に連続する構造となって、横目地X、Xaとしての連続性を確保できるものでありながら、前記縦枠材10の分断端縁部Yは、覆い部材14によって覆われることになり、この結果、分断端縁部Yが直接視認されることがなくなって意匠性が向上するだけでなく、指や物が引っ掛かったりする等の不具合も回避できることになる。
【0019】
しかもこの場合に、縦枠材10部位の横目地Xaは、覆い部材14が溝側面部に相当し、縦支柱8の見付け面部8bが溝底面部に相当することになる結果、縦枠材10部位に設けられる横目地Xaは、縦枠材10の分断端縁部Yを塞ぐ覆い部材14と縦支柱8の見付け面部8bとを有効に利用してできることになって構造の簡略化が図れることになる。
【0020】
また覆い部材14は、縦枠材10の内側面に案内される状態で縦枠材10内に嵌入する嵌入部14bと、縦枠材10の分断端縁部Yに当接して該分断端縁部Yを覆う覆い部14aとを備えて構成されているが、この場合に、覆い部14aは、嵌入部14bから鍔状に延出していて分断端縁部Yに当接するように設けられているため、覆い部材14を、嵌入部14bから覆い部14aが延出した簡単な構造とすることができると共に、嵌入部14bを縦枠材10の内側面に案内させることで簡単に覆い部材14の縦枠材10に対する組付けができることになる。
この場合にさらに覆い部材14は、縦枠材10の視認しやすい内側見込み面部10dの内側面に嵌入部14bを嵌入案内しながらの組込み作業ができることになるため、該覆い部材14の縦枠材10に対する組込み作業が簡便化されることになって操作性が向上する。
【0021】
そのうえ覆い部材14は、嵌入部14bを構成している支持面部14cが、縦枠材10の内側見込み面部10dにビス20を介して固定されるため不用意に外れたりすることを回避できることになるが、この場合に、縦枠材10の内側見込み面部10dは、縦支柱8の内側見込み面部8aに対向するするよう見込み方向(前後方向)に幅広になっている一方、覆い部材14の嵌入部14bは、縦枠材10の内側見込み面部10dに対応するよう幅広の支持面部14cが形成されたものとなっており、この支持面部14cが縦枠材10にビス20を介して固定される結果、覆い部材14の縦枠材10に対するビス20の固定位置が、覆い部材14の覆い部14aが覆う部位に対して見込み方向内側に偏倚した位置となる。この結果、覆い部材14は、横架材9が設けられることで強度的にも強くなる縦支柱8の見込み方向中央寄りでの支持ができることになって強度的に強いものとなって安定化することになる。
しかも前記覆い部材14を取付け支持するためのビス20は横枠材11、12によって覆蓋されて外観視されることがなく、このため視認性を損なうことがない。
【0022】
尚、本発明は、前記実施の形態のように上下に板材5、6が設けられた部位のものに限定されないことは勿論であって、下側にドア体4、上側に板材(欄間板)7のパネル体が設けられた部位であっても実施することができ、そこで以下、この部位に斯かる実施の形態について説明する。
このものでは、ドア体4の左右両側に配される左右の縦支柱8には、見付け方向内側から外嵌するようにして左右ドア枠を構成するための縦枠材15、16が取り付けられており、そして見付け方向外側である戸尻側の縦枠材16に、蝶番4aを介してドア体4が開閉自在に蝶着されている。
【0023】
一方、下側のドア体4と上側の板材7とのあいだに配される状態で左右縦支柱8間に架設される横架材9には、板材7の下端縁部、ドア体4の上端縁部に対応するようにして上下の横枠材17、18が上下方向から外嵌するようにして設けられており、これらによってドア体4と板材7とのあいだを仕切るための無目が形成されたものになっているが、これら上下の横枠材17、18の上下対向間にも、前記実施の形態と同様、横架材9の見付け面部9bが溝底部になる状態の凹溝状になった横目地Xが形成されている。
【0024】
そしてこのものでも、縦枠材15、16が前記横目地Xに対応する部位で分断されていて、前記横目地Xに続くようにして縦枠材15、16部位にも横目地Xaが形成されることになるが、本実施の形態では、前記縦枠材15、16は左右対称形状となっているため、戸先側の縦枠材15部位の構成について詳細説明をし、戸尻側縦枠材16部位についての説明は省略する。
【0025】
前記縦枠材15は、縦支柱8に外嵌する嵌合溝部15aを構成するための溝側面部15bと、該溝側面部15bの開口端縁部から見込み方向に延出する外側見込み面部15cと、該外側見込み面部の外側端縁部からドア体4側に形成される前後の見付け面部15d、15eと、さらに後述する面部を備えて構成されるが、見付け面部のうち、一方の見付け面部15dは、ドア体4の戸先側端縁部とのあいだで相决り構造を形成するため、他方の見付け面部15eよりも見付け方向に長くなっている。そしてこれら見付け面部15d、15eのドア体4側の端縁部からはそれぞれ見込み方向内側に向けて内側見込み面部15f、15gが形成され、これら内側見込み面部15f、15g同士は、閉鎖したドア体4の端縁部に相决り構造で対向するドア体対向面部15hが形成されている。尚、15iは縦枠材に内装されるスペーサ材である。
【0026】
一方、前記横枠材17、18のうち、上側横枠材17については前記実施の形態の上側横枠材11と同様のものを採用しているため、その詳細は省略し、下側横枠材18について説明をするが、この下側横枠材18についても、前記縦枠材15と同様のものを用いているため、引出符号が付与される個々の部位について、嵌合溝部18a、溝側面部18b、外側見込み面部18c、見付け面部18d、18e、内側見込み面部18f、18g、ドア体対向面部18hが形成されたものになっている。
【0027】
そしてこのものでは、前記縦支柱8の見込み面部8aに横架材9の端縁部が突き当て状に取付けられ、コーナー金具13を介して固定されたものになっているが、縦枠材15は、見付け面部15d、15eが下側横枠材18の見付け面部18d、18eに対して前後方向外方から積層する(オーバーラップする)よう切欠き溝15jが形成されている。そしてこのように構成することにより、縦枠材15の分断端縁部Yは、下側横枠材18の見付け面部18d、18e部位にまで至る構成となり、分断端縁部Yは、該見付け面部18d、18e部位に至る部位までもが中空状部Sとなっており、しかもこれらの分断端縁部Yの形状は、縦枠材15を前記相决り構造としたため異なっている。そこで本実施の形態では、これら異なった形状の中空状部Sに対応するよう、第二、第三の覆い部材21、22を備えたものとし、これら第二、第三の覆い部材21、22を用いて分断端縁部Yを覆う構成になっており、このようにして覆った状態で、第二、第三の覆い部材21、22の覆い部21a、22aが、横目地Xaの溝側面部を構成するようになっている。このような構成にすることで、横枠材18側に縦枠材15が積層した構造になったものであっても、縦枠材16の分断端縁部Yを簡単に塞ぐことができることになる。
因みに第二、第三の覆い部材21、22は、前記実施の形態の覆い部材14のようにビス20を用いて固定されるものではなく、そのため嵌入部21b、22b全体を長いものにして縦枠材15に深く嵌入する構成にし、これにより不用意に外れてしまうことを回避できるようにしている。
【0028】
ところでこのように構成された本実施の形態のものでは、縦支柱8に対して左右方向両側から縦枠材10(若しくは15)が隣接する状態で取り付けられたものである場合に、これら縦枠材10の外側見込み面10h(若しくは15c)同士が互いに対向することになり、そこでこれら外側見込み面10h(若しくは15c)同士の対向間を凹溝状の隙間を備えたものとして縦目地Zが形成されたものとし、縦目地Z、横目地X、Xaが縦横一連状に連続した状態で設けられたものになっている。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、建物の室内空間を仕切る間仕切り等の建具の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 間仕切り
4 ドア体
5、6、7 板材
8 縦支柱
9 横架材
10 縦枠材
10d 内側見込み面部
10h 外側見込み面部
10i 外側見付け面部
11 上側横枠材
12 下側横枠材
14 覆い部材
14a 覆い部
14b 嵌入部
14c 支持面部
20 ビス
S 中空状部
X、Xa 横目地
Y 分断端縁部