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特許7142579油組成物および油保護層を含む吸収性物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】油組成物および油保護層を含む吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20220916BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20220916BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
A61F13/511 300
A61F13/53 300
A61F13/537 210
A61F13/537 310
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018563507
(86)(22)【出願日】2016-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 SE2016050633
(87)【国際公開番号】W WO2018004400
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2018-11-30
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カルロッテ・パーション
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】八木 誠
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/051456(WO,A2)
【文献】特表2013-515589(JP,A)
【文献】特開平9-56748(JP,A)
【文献】特開平1-192803(JP,A)
【文献】特開2013-66598(JP,A)
【文献】特開2002-541983(JP,A)
【文献】特開2000-42032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体透過性のトップシートと、バックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に封入された吸収性コアと、前記トップシートと前記吸収性コアとの間に配置された繊維層とを備える、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつ、または失禁パッドなどの衛生用品であって、
前記トップシートは、a)油組成物と、b)非イオン性界面活性剤を含む1つまたは複数の界面活性剤とを含むコーティングを備え、前記油組成物と前記界面活性剤との重量比は1:1から3:1の範囲内であり、前記油組成物は、植物油組成物であり、前記油組成物は、前記トップシートの0.3から2.0g/mの量で存在し、前記界面活性剤は、0.3から2.0g/mの範囲内の量で存在し、前記繊維層は本質的に非吸収性繊維からなる油保護層である、衛生用品。
【請求項2】
前記油組成物と前記界面活性剤との重量比が少なくとも1.1:1である、請求項1に記載の衛生用品。
【請求項3】
前記衛生用品が、女性用の生理用ナプキンまたはパンティライナーである、請求項1または2に記載の衛生用品。
【請求項4】
前記油組成物中の油が、オリーブ油、アーモンド油、ヒマワリ油、菜種油およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項5】
前記油組成物が、前記トップシートの0.7から2.0g/mの範囲内の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項6】
前記トップシートの表面積の少なくとも60%が前記コーティングを含み、または前記トップシートの表面積の少なくとも80%が前記コーティングを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項7】
前記トップシートの表面積の100%が前記コーティングを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項8】
前記非吸収性繊維が熱可塑性ポリマー繊維である、請求項1から7のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項9】
前記熱可塑性ポリマー繊維がポリプロピレンおよび/またはポリエチレンなどのポリオレフィンならびにこれらの混合物および組み合わせから選択される、請求項8に記載の衛生用品。
【請求項10】
前記繊維状油保護層が少なくとも20g/mの坪量を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項11】
前記繊維状油保護層が少なくとも0.5mmの厚さを有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項12】
前記繊維状油保護層が、0.02から0.10g/cm、0.04から0.08g/cmまたは0.04から0.06g/cmの範囲内の密度を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項13】
前記非吸収性繊維が3から30の範囲内のdTexを有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項14】
前記トップシートが繊維状トップシートである、請求項1から13のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項15】
前記トップシートが、複数の熱接着点のパターンを含むスパンボンド不織布であり、前記パターンが、少なくとも3mm、または少なくとも4.0mmである隣接する接着点までの距離を有する接着点を含む、請求項14に記載の衛生用品。
【請求項16】
前記繊維状トップシートが、22g/mおよびそれ未満、例えば20g/mおよびそれ未満、例えば19g/mおよびそれ未満の坪量を有する、請求項14または15に記載の衛生用品。
【請求項17】
前記繊維状トップシートが非吸収性繊維から本質的になる、請求項14から16のいずれか一項に記載の衛生用品。
【請求項18】
前記トップシートの前記非吸収性繊維が、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンなどのポリオレフィンならびにこれらの混合物および組み合わせから選択される熱可塑性ポリマー繊維である、請求項17に記載の衛生用品。
【請求項19】
a)非イオン性界面活性剤を含む水溶液と植物油とを含むエマルジョンを前記トップシートに塗布することにより前記トップシートを調製するステップと、
b)任意選択的に、前記トップシートを乾燥させるステップと、
c)非吸収性繊維から本質的になる前記繊維層上に前記トップシートを重ねるステップと、を含み、
ステップc)をステップa)の前またはステップb)の後のいずれかに行うことができる、請求項1から18のいずれか一項に記載の衛生用品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつまたは失禁パッドなどの衛生用品に関する。特に、本開示は、衛生用品の柔らかさを増強し、使用者の皮膚に有益な効果を提供するための油組成物を含む、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつまたは失禁パッドなどの衛生用品に関する。
【背景技術】
【0002】
本開示が関連する種類の衛生用品は、皮膚に当てて着用され、トップシート、吸収性コアおよびバックシート層を備える。皮膚に直接接触して使用される製品の使用は、望ましくない副作用をもたらし得る。これらは、互いに異なる程度で相互作用して相互の影響を増幅する閉塞、湿気および機械的要因の結果として発生し、前記用品の使用者に対して異なる形態の皮膚刺激を引き起こす可能性がある。身体に面する材料は、柔らかく順応性のある材料で作られているが、材料は使用中に皮膚に対して擦れ、皮膚を完全に乾燥させて体液のない状態にしない場合がある。
【0003】
体液の頻繁な接触および使い捨て吸収性物品の頻繁な使用の間に、皮膚は刺激され、赤くなり、触ると痛むことがある。クリーム、ローション、または軟膏は、皮膚に人工疎水性バリアを提供し、おむつかぶれなどの皮膚状態を治療するために使用することができる。しかし、このような疎水性組成物の使用は、物品の吸収性能に悪影響を与える。この副作用を避けるために、疎水性組成物は、しばしば、トップシート上に平行に延びる細長い紐のような、比較的少量かつ異なるパターンでトップシート上に塗布される。
【0004】
クリーム、ローションおよび軟膏を皮膚に別々に塗布することは、しばしば面倒で不便である。多くの場合、これらの製品は予防的に使用されず、おむつかぶれの兆候が見える場合にのみ使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
改善されたスキンケア効果を有し、かつ高い吸収性能を有する衛生用品を提供することが望ましい。したがって、本開示は、液体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に封入された吸収性コアと、トップシートと吸収性コアとの間に位置する繊維層とを備える、生理用ナプキン、パンティライナー、おむつまたは失禁パッドなどの衛生用品に関する。トップシートは、a)油組成物と、b)非イオン性界面活性剤を含む1つまたは複数の界面活性剤とを含み、油組成物と界面活性剤との重量比が少なくとも1:1であり、油組成物は、トップシートの少なくとも0.3g/mの量で存在する。さらに、繊維層は、本質的に非吸収性繊維からなる油保護層である。
【0006】
トップシートの全表面積の少なくとも0.3g/mの量の油がトップシート上に存在する場合、皮膚に対するトップシート材料の摩擦および擦傷を減少させて使用者の皮膚に対するより柔らかい感触が得られることが見出された。さらに、強化されたスキンケア効果が観察され得る。これは、皮膚になだらかで滑らかな保護効果を提供するトップシートから皮膚への油の長期間の移動の結果であると考えられる。油組成物と、非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤との重量比が少なくとも1:1であることにより、有効な液体の入口を維持しつつ、この比較的多量の油がトップシート上に存在することが可能となる。
【0007】
油組成物と界面活性剤との重量比が少なくとも1:1であることは、界面活性剤と重量ベースで少なくとも同量の油組成物が存在することを意味する。
【0008】
トップシート上に存在する多量の油は、使用者の皮膚に対してシルキーで柔らかい感触を与え、さらに使用者の皮膚に有益な効果を与えるが、油が衛生用品に、より具体的には、吸収性コアに移動するリスクがあり、これは衛生用品の吸収特性を損ない得る。
【0009】
任意選択的に、油組成物は、トップシートの0.3から5.0g/mの範囲内の量で存在する。任意選択的に、油組成物は、トップシートの0.3から2.0g/mの範囲内の量で存在する。
【0010】
本開示によれば、これは、トップシートと吸収性コアとの間に油保護層を設けることによって解決され、この層は、この油保護層の繊維構造内に油を吸収して保持することによって、その下にある吸収性コアを保護する。これは、該層が、油に対して高い親和性を有する非吸収性繊維から本質的になるという事実に起因する。非吸収性繊維ネットワークによって提供される空隙空間は、油を保持し、吸収性コアに移動することを防止する。
【0011】
任意選択的に、トップシート表面積の少なくとも60%がコーティングを含む。任意選択的に、トップシート表面積の少なくとも80%がコーティングを含む。任意選択的に、トップシート表面積の少なくとも98%がコーティングを含む。任意選択的に、トップシート全体が、a)油組成物およびb)非イオン性界面活性剤を含む1つまたは複数の界面活性剤を含む連続的なコーティングを含み、油組成物と界面活性剤との重量比が少なくとも1:1であり、繊維層は非吸収性繊維から本質的になる油保護層である。
【0012】
任意選択的に、油組成物と界面活性剤との重量比は、1:1から5:1の範囲内である。任意選択的に、油組成物と界面活性剤との重量比は、1:1から3:1の範囲内である。任意選択的に、または油組成物と界面活性剤との重量比は、1:1から1.5:1の範囲内である。
【0013】
任意選択的に、油組成物と界面活性剤との重量比は、1.1:1から3:1の範囲内、または1.1:1から1.5:1の範囲内など、少なくとも1.1:1である。
【0014】
任意選択的に、衛生用品は、女性用の生理用ナプキンまたはパンティライナーである。
【0015】
任意選択的に、油組成物中の油は、オリーブ油、アーモンド油、ヒマワリ油、菜種油またはそれらの混合物から選択される。
【0016】
任意選択的に、界面活性剤は、トップシートの0.3から2.0g/mの範囲内の量で存在する。
【0017】
任意選択的に、非吸収性繊維は熱可塑性ポリマー繊維である。
【0018】
任意選択的に、熱可塑性ポリマー繊維は、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンなどのポリオレフィンならびにこれらの混合物および組み合わせから選択される。
【0019】
熱可塑性ポリマー繊維がポリプロピレンおよび/またはポリエチレンなどのポリオレフィンから選択されることにより、繊維の油に対する親和性が高まる。
【0020】
任意選択的に、繊維状油保護層は、少なくとも20g/m、例えば少なくとも40g/m、例えば40g/mから150g/m、例えば40g/mから100g/mの坪量を有する。
【0021】
任意選択的に、繊維状油保護層は少なくとも約0.5mm、例えば少なくとも約1mm、例えば少なくとも約1.5mm、または少なくとも約2mmの厚さを有する。繊維状油保護層の荷重下の厚さはまた、約0.5から約5mmであり、スリット付きロールから1層の材料を除去した後に厚さが測定される方法オプションAによって、WSP120.6に従って測定され、材料は測定の30分前に調整される。使用した圧力は0.5kPaであり、25cmの面積を有する押えを用いて、厚さの値を得る前に10秒待機した。
【0022】
任意選択的に、繊維状油保護層は、0.02から0.10g/cm、0.04から0.08g/cmの範囲内の密度、または0.04から0.06g/cmの密度を有する。繊維状油保護層が0.02から0.10g/cmの範囲内の密度を有することは、繊維層の保油性に影響を与える。吸収および保持され得る油の量が、構造内に保持され得る油の量を決定する。構造体は、構造体が油を保持するために、少なくとも0.02g/cmの密度を有し、油を保持するのに十分な空隙容量を提供するために最大0.10g/cmの密度を有し得る。
【0023】
任意選択的に、繊維状油保護層は、少なくとも20g/m、例えば20g/mから150g/m、任意には少なくとも35g/m、例えば35g/mから105g/m範囲内の坪量を有する。
【0024】
繊維状油保護層の厚さおよび坪量は、開放した厚い構造の提供に寄与する。この開放した厚い構造は、吸収性コアを保護する油封じ込め用の非吸収性リザーバとして機能する。
【0025】
したがって、本開示による吸収性物品の吸収性コアのための改善された油保護は、本開示による油組成物を保持するための十分な開放構造を有すると同時に、層内に捕捉された油を保持するのに十分高密度である油保護層を提供することによって達成され得る。油保護は、トップシートから吸収性コアまでの距離を増加させる、少なくとも0.5mm、または少なくとも1mmなどのより厚い層を、特に油保護層の所与の密度と組み合わせて提供することによってさらに強化され得る。
【0026】
0.02から0.10g/cmの範囲内の密度を有し、厚さが少なくとも0.5mm、または少なくとも1.0mmである油保護層の付加的な効果は、吸収性物品がより柔らかくなり、使用者の身体の輪郭に沿う改善された能力を有し、使用者の皮膚と吸収性物品との間の接触を高め、したがって、油の移送を改善し、使用者の身体に対するトップシートの摩擦を減少させることができる。
【0027】
任意選択的に、非吸収性繊維は、3から30dTexの範囲内のdTexを有する。
【0028】
任意選択的に、トップシートは繊維状トップシートである。任意選択的に、繊維状トップシートは、複数の熱接着点を含むスパンボンド不織布である。任意選択的に、複数の熱接着点は、疎パターンに配置され、該パターンは、隣接する接着点までの距離が少なくとも3mm、または少なくとも4.0mmである接着点を含む。複数の接着点の累積表面積は、トップシートの全表面積の20%未満であり得る。
【0029】
任意選択的に、トップシートは22g/mまたはそれ未満、例えば20g/mまたはそれ未満、例えば19g/mまたはそれ未満の坪量を有する。
【0030】
任意選択的に、繊維状トップシートは本質的に非吸収性繊維からなる。任意選択的に、非吸収性繊維は、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンなどのポリオレフィンならびにそれらの混合物および組み合わせから選択される熱可塑性ポリマー繊維である。
【0031】
繊維状トップシートが、ポリプロピレンおよび/またはポリエチレンなどのポリオレフィンから選択される、例えば熱可塑性ポリマー繊維を含む非吸収性繊維から本質的になることにより、トップシートは油に対する親和性が高められ、トップシート上の油保持率を高め、ひいては皮膚に対して長時間柔らかい感触を与えることに寄与し得る。
【0032】
任意選択的に、本明細書に開示された衛生用品は、
a)非イオン性界面活性剤を含む水溶液と油とを含むエマルジョンをトップシートに塗布することによりトップシートを調製するステップと、
b)任意選択的に、トップシートを乾燥させるステップと、
c)非吸収性繊維から本質的になる前記繊維状捕捉層上にトップシートを重ねるステップと、を含み、
ステップc)をステップa)の前またはステップb)の後のいずれかに行うことができる、方法によって製造され得る。
【発明を実施するための形態】
【0033】
したがって、本開示は、液体透過性トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートとの間に封入された繊維層とを含む衛生用品に関する。トップシートは、a)油組成物と、b)非イオン性界面活性剤を含む1つまたは複数の界面活性剤とを含み、油組成物と界面活性剤との重量比が少なくとも1:1であり、油組成物は、トップシートの総表面積の少なくとも0.3g/mの量で存在する。トップシートとバックシートとの間に封入された繊維層は、本質的に非吸収性繊維からなる油保護層である。
【0034】
「衛生用品」という用語は、尿、糞便および月経液のような身体排出物を吸収および収容するために着用者の皮膚に対して配置される製品を指し、これらの製品はpH制御剤をこれらの領域に送達するためにも使用され得る。本開示は、主として、使い捨て衛生用品に言及しており、これは、洗濯されることを意図していないか、または衛生用品として復元または再使用されることを意図していない物品を意味する。使い捨て衛生用品の例には、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用ショーツおよび女性用インサートなどの女性用衛生用品;乳幼児および成人失禁者用のおむつおよびパンツ型おむつ;失禁パッド;おむつインサートなどが挙げられる。
【0035】
本発明による界面活性剤は、溶解する媒体の表面張力を低下させる物質、および/または他の相との界面張力を低下させる物質であり、従って、液体/固体および/または他の界面で積極的に吸着される物質である。非イオン性界面活性剤は、当該技術分野において一般的に知られているように、衛生用途における使用に適した任意の公知の非イオン性界面活性剤であり得る。
【0036】
特定の実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化C6‐C8脂肪アルコール、アルコキシル化C6‐C18アミン、アルコキシル化C6‐C18アミド、アルコキシル化C6‐C18脂肪酸、アルコキシル化C6‐C18脂肪酸エステルおよびアルコキシル化C8‐C18アルキルフェノールおよびC6‐C18脂肪酸のアルコキシル化トリグリセリド、および/または選択されたC8‐C18脂肪酸を有するそれらのエステル化生成物の群から選択される。
【0037】
1つまたは複数の界面活性剤は、任意選択的に、少なくとも1つのアニオン性および/またはカチオン性界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0038】
油組成物は植物油であってよく、適当な油は、ココナッツ油、アーモンド油、クルミ油、桃仁油、杏仁油、アボカド油、ティーツリー油、大豆油、ゴマ油、ヒマワリ油、月見草油、米ぬか油、パーム核油、パーム核油、マンゴー油、メドウフォーム種子油、ベニバナ油、菜種油、マカダミアナッツ油、ブドウ種子油、アマランサス種子油、アルガン油、竹油、オリーブ油、小麦胚芽油、カボチャ種子油、ゼニアオイ油、ヘーゼルナッツ油、ベニバナ油、キャノーラ油、ホホバ油、バラ油、綿実油および/またはこれらの油の混合物である。
【0039】
トップシートは、少なくとも0.3g/mの油組成物を含む。コーティングは、非イオン性界面活性剤と、1つまたは複数のさらなる界面活性剤と、油組成物とを含む水性エマルジョンをトップシートに塗布し、次いでトップシート材料を乾燥させてトップシート材料上に形成されたコーティングを得ることによって、トップシート材料上に形成することができる。
【0040】
油組成物と界面活性剤との重量比は、本開示によるコーティングにおいて少なくとも1:1、例えば少なくとも1.1:1、少なくとも1.5:1などである。
【0041】
コーティング組成物は、噴霧、スロットコーティング、キスロールコーティングおよび/またはコーティング組成物を含む浴中への材料の浸漬を含む任意の適切な手段によってトップシート材料に塗布することができる。コーティングは、衛生用品の組み立ての間にインラインで行うことができる。代替的に、トップシート材料は、別々に調製され、すぐに使用できるロールとして衛生用品製造プラントに運ばれてもよい。
【0042】
コーティングはまた上記の方法の組み合わせによって形成されてもよく、非イオン性界面活性剤を含む1つまたは複数の界面活性剤を上記の噴霧、スロットコーティング、キスロールコーティングおよび/またはコーティング組成物を含む浴中への材料の浸漬を含む方法の1つによってコーティングしてもよく、油組成物を例えば噴霧、スロットコーティング、キスロールコーティングおよび/またはコーティング組成物を含む浴中への材料の浸漬から選択される別個の方法によってコーティングしてもよいことを意味する。
【0043】
トップシート材料がコーティング組成物で濡らされた後、例えば、強制熱風オーブンを通してまたは赤外光もしくは誘電乾燥機または当業者に知られている他の従来の乾燥装置を横切ってトップシート材料を導くことによって、トップシート材料は乾燥される。
【0044】
得られる衛生用品は皮膚に対してソフトでクリーミーな肌触りを有しており、これは、衛生用品への液体の高い吸込および吸収性コアの吸収能力を維持しつつトップシートに多量の油組成物を塗布することができる結果である。したがって、コーティングは、トップシート表面積の少なくとも60%、または少なくとも80%を連続的にコーティングすることによって適用することができる。コーティングは、例えば、衛生用品の前端部および後端部におけるトップシートがいかなるコーティングも含まず、または少なくとも部分的にコーティングを含まないように、股部分に連続的に適用され得る。コーティングはまた、トップシートの表面積の実質的に100%にわたって連続的に適用されてもよい。
【0045】
本開示による油保護層は、本質的に非吸収性繊維からなる多孔質繊維層である。本明細書に開示されるトップシートと接触してその下に位置する油保護層の存在は、衛生用品の効率的な吸収性能を維持し、衛星用品に移行する可能性のある油の影響を低減することが見出されている。トップシートはまた、非吸収性繊維を含むか、または本質的にそれらからなることができる。「非吸収性繊維」という用語は、かなりの程度まで水分を吸収しない繊維を指す。非吸収性繊維を形成し得る適切なポリマーは、非吸水性ポリマー、例えばポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドならびにそれらの混合物および組み合わせである。非吸収性繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドならびにそれらの混合物および組み合わせを含む、一成分繊維、二成分繊維または多成分繊維であってもよい。
【0046】
本明細書で使用される非吸収性繊維「から本質的になる」油保護層またはトップシート材料は、繊維の少なくとも95%が非吸収性繊維であり、例えば油保護層またはトップシート材料中の繊維の少なくとも99%、例えば少なくとも100%が非吸収性繊維であることを意味する。しかしながら、油保護層およびトップシート材料はまた、当業者に知られているように、例えば結合剤および顔料などの少量で存在するさらなる物質を含んでもよい。
【0047】
本開示による厚さは、油保護層の荷重下での厚さとして測定され、少なくとも約1mm、例えば少なくとも約1.5mm、例えば少なくとも約2mmであってもよい。捕捉層の荷重下の厚さは、1.0から5.0mmであってもよく、方法オプションAによって、WSP 120.6に従って測定され、該方法において、スリット付きロールから1層の材料を除去した後に厚さが測定され、材料は測定の30分前に調整される。使用された圧力は0.5kPaであり、25cmの面積を有する押えを用いて、厚さの値を得る前に10秒待機した。
【0048】
繊維状油保護層は、少なくとも20g/m、例えば20g/mから150g/m、任意には少なくとも35g/m、例えば35g/mから105g/mの範囲内の坪量を有し得る。
【0049】
本開示による衛生用品はさらに、以下の測定値による比較例よりも低いリウェットを有する。本開示による例示的な衛生用品は、前記トップシートと前記吸収性コアとの間に配置された非吸収性繊維から本質的になる繊維層を有し、一方で比較例は、前記トップシートと前記吸収性コアとの間に、非吸収性繊維から本質的になる繊維層の代わりに、パルプ層が配置された衛生用品である。本開示による例示的な衛生用品は0.80gの平均値を有し、比較例の層は1.98の平均リウェット値を有する。
【0050】
【表1】
【0051】
本開示による衛生用品のより低いリウェットは、使用者の皮膚と油組成物との間の接触が湿ったトップシートで減少するため、油組成物の機能を改善する。
【0052】
本開示における衛生用品は、油保護層とバックシートとの間に配置された吸収性コアを含む。吸収性コアは、任意の従来の種類のものとすることができる。一般的な吸収性材料の例は、セルロース系フラッフパルプ、ティッシュ層、高吸収性ポリマー(いわゆる超吸収剤)、吸収性発泡体材料、吸収性不織布材料などである。吸収構造体内でセルロース系フラッフパルプを超吸収剤と組み合わせることが一般的である。液体獲得能力、液体分配能力および貯蔵能力に関して異なる特性を有する異なる材料の層を含む吸収構造を有することもまた一般的である。これは、当業者には周知であるので、詳細に説明する必要はない。最近の衛生用品において一般的である薄い吸収体は、しばしば、セルロース系フラッフパルプと超吸収剤との圧縮された混合または層状構造を含む。吸収構造体のサイズおよび吸収能力は、生理用ナプキン、パンティライナー、成人用失禁パッドおよびおむつ、乳児用おむつ、パンツ型おむつなどの異なる用途に適するように変更することができる。
【0053】
液体透過性トップシートは、当業者に知られている任意の適切なトップシート材料であってよく、例えばスパンボンド、メルトブローン、カード、水流交絡、湿式などの不織布材料からなる繊維状トップシート材料であってよい。適切な不織布材料は、木材パルプまたは綿繊維などの天然繊維、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらの混合物および組み合わせなどの合成熱可塑性繊維、または天然繊維と合成繊維の混合から構成され得る。トップシート材料のさらなる例は、多孔質発泡体である。トップシート材料として適した材料は、柔らかく、皮膚に対して非刺激性であり、尿または月経液などの体液が容易に透過しなければならない。トップシート材料は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミドおよびそれらの混合物および組み合わせなどの合成熱可塑性繊維などの非吸収性繊維から本質的に構成され得る。合成繊維は、ポリエステル、ポリアミドならびに/またはポリプロピレンおよびポリエチレンなどのポリオレフィンを含む、一成分繊維、二成分繊維または多成分繊維であってよい。
【0054】
トップシートは、22g/mおよびそれ未満、例えば20g/mおよびそれ未満、例えば19g/mおよびそれ未満の坪量を有し得る。複数の熱接着点を含むスパンボンド不織布であるトップシートは、トップシートの柔らかさを向上させ、油組成物と使用者の皮膚との間の接触を増加させることが分かっている。接着点は、隣接する接着点までの距離が少なくとも3mm、または少なくとも4.0mmである接着点を含む疎パターンで位置することができる。複数の接着点の累積表面積は、トップシートの全表面積の20%未満であり得る。
【0055】
バックシートは、薄いプラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンフィルム、液体不透過性材料でコーティングされた不織布材料、液体透過に耐性を有する疎水性不織布材料からなり得る。プラスチックフィルムおよび不織布材料の積層体もまた使用することができる。バックシート材料は、液体がバックシート材料を通過するのを防止しつつ、蒸気が吸収構造体から逃げることを可能にするように通気性を有し得る。