(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】配線基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220916BHJP
【FI】
H05K1/02 A
H05K1/02 C
(21)【出願番号】P 2019091823
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2020-11-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】林 貴広
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友昭
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-142185(JP,A)
【文献】特開2014-207347(JP,A)
【文献】特開2007-324418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/28
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上に配列されている複数の接続用端子と、
前記接続用端子の形成領域外の領域に設けられている複数の非導電性の突部と
を備え、
前記非導電性の突部の高さは、前記接続用端子の高さよりも高くなっており、
前記非導電性の突部の下方には、前記絶縁基板の熱収縮率よりも熱収縮率の小さい材料で形成されている柱状部が設けられている、配線基板。
【請求項2】
前記絶縁基板は、主成分としてセラミック材料を含み、
前記柱状部は、主成分として金属材料を含んでいる、
請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
基板内に複数の柱状部が配置されている絶縁基板を用いて配線基板を製造する方法であって、
前記柱状部は、前記絶縁基板の熱収縮率よりも熱収縮率の小さい材料で形成されており、
前記絶縁基板上における前記柱状部の配置領域以外の領域に接続用端子を形成する工程と、
前記絶縁基板における前記柱状部の上方に非導電性材料を堆積させる工程と、
前記非導電性材料が堆積された前記絶縁基板を焼成または加熱し、前記絶縁基板と前記柱状部との熱収縮率の差によって前記絶縁基板の表面から前記柱状部を突出させることによって、前記非導電性材料を含む突部を形成する工程と、を含み、
前記突部は前記接続用端子より高くなるように形成される、配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の接続用端子を有する配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子部品が搭載される配線基板として、例えば、セラミック、ガラスなどの非導電性材料で形成されている絶縁基板と、絶縁基板上に金属などの導電性材料を用いて形成されている外部接続用の複数の接続用端子(接続パッドとも呼ばれる)とを備えているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の接続パッド4を有している配線基板10が開示されている。配線基板10は、第1主面を有する絶縁基板1と、絶縁基板1の第1主面に設けられた複数のパッド用導体2と、絶縁基板1の第1主面から複数のパッド用導体2のそれぞれの外周部にかけて被覆している被覆層3とを有している。複数のパッド用導体2のそれぞれについて、被覆層で被覆された外周部よりも内側で露出している部分が接続パッド4になっている。
【0004】
被覆層3は、パッド用導体2の外周部を被覆して接続パッド4を形成するためのものである。被覆層3は、例えば、絶縁基板1と同様のセラミック材料または有機樹脂材料、絶縁基板1とは異なる組成のセラミック材料、あるいはガラス材料などで形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
絶縁基板上に配置されている各接続パッドの外周部には、例えば、被覆層3のような非導電性の材料で形成された被覆層が形成されている。被覆層の中には、接続パッドの表面に傷がついたり、接続パッドの間に異物が混入したりすることを防ぐために、接続パッドの一部を覆うように形成されているものがある。このような被覆層は、オーバーコート構造と呼ばれる。
【0007】
オーバーコート構造を有する被覆層を形成する場合には、先ず絶縁基板上に接続パッドを所定パターンに形成した後に、接続パッドの外周部を覆うように、例えばアルミナなどの非導電性材料を積層して被覆層を形成する。そして、接続パッド上の被覆層で覆われていない開口部が、半田ボールなどの他の接続部材との接続端子として機能する。
【0008】
このようなオーバーコート構造では、被覆層の下部に位置する接続パッドの実際の径は、接続端子として機能する開口部の径よりも大きくなっている。そのため、配線基板の高精細化や小型化などを実現するために、隣接する接続端子同士の間隔を狭くすることが要求されると、被覆層の下部に位置する各接続パッド同士を非常に近接した状態で配置することが必要となる。
【0009】
しかし、隣接する接続パッド同士の間隔を非常に狭くすることは、製造工程上の困難性が伴う。また、隣接する接続パッド同士の間隔が非常に狭くなると、接続パッド間の短絡の可能性も高まり、不良品の発生率の増加につながる。
【0010】
そこで、本発明では、隣接する接続用端子間の間隔を狭くすることなく接続用端子の表面を保護することのできる配線基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面にかかる配線基板は、絶縁基板と、前記絶縁基板上に配列されている複数の接続用端子と、前記接続用端子の形成領域外の領域に設けられている複数の非導電性の突部とを備えている。この配線基板において、前記非導電性の突部の高さは、前記接続用端子の高さよりも高くなっている。
【0012】
上記の構成によれば、接続用端子よりも高さの高い非導電性の突部が設けられていることで、接続用端子が他の部品と接触しにくくなるため、接続用端子の表面を保護することができる。また、非導電性の突部は、接続用端子の形成領域外の領域に設けられているため、非導電性の突部を形成することで接続用端子の形成領域が狭められることがなくなる。したがって、本発明の一局面にかかる配線基板によれば、隣接する接続用端子間の間隔を狭くすることなく接続用端子の表面を保護することができる。
【0013】
上記の本発明の一局面にかかる配線基板において、前記非導電性の突部は、隣り合って配置されている複数の前記接続用端子の間に配置されていてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、接続用端子の近傍に非導電性の突部が設けられることになるため、非導電性の突部によって各接続用端子をより適切に保護することができる。
【0015】
また、上記の本発明の一局面にかかる配線基板において、前記非導電性の突部は、直線上に並ばない3つの箇所に少なくとも配置されていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、配線基板の接続用端子の配置面の上方に他の部品が載置された場合などに、配線基板に設けられている少なくとも3つの非導電性の突部によって他の部品を支持する、もしくは他部材に対して支持されることができる。これにより、配線基板に設けられている接続用端子が、他の部品と接触することが回避され、接続用端子の傷付きを防ぐことができる。
【0017】
また、上記の本発明の一局面にかかる配線基板において、前記非導電性の突部の下方には、前記絶縁基板の熱収縮率よりも熱収縮率の小さい材料で形成されている柱状部が設けられていてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、絶縁基板と柱状部との熱収縮率の差を利用して、非導電性の突部の高さをより高くすることができる。
【0019】
また、上記の本発明の一局面にかかる配線基板において、前記絶縁基板は、主成分としてセラミック材料を含んでおり、前記柱状部は、主成分として金属材料を含んでいてもよい。
【0020】
また、本発明のもう一つの局面は、基板内に複数の柱状部が配置されている絶縁基板を用いて配線基板を製造する方法に関する。この製造方法において、前記柱状部は、前記絶縁基板の熱収縮率よりも熱収縮率の小さい材料で形成されている。この製造方法は、前記絶縁基板上における前記柱状部の配置領域以外の領域に接続用端子を形成する工程と、前記絶縁基板における前記柱状部の上方に非導電性材料を堆積させる工程と、前記非導電性材料が堆積された前記絶縁基板を焼成または加熱し、前記絶縁基板と前記柱状部との熱収縮率の差によって前記絶縁基板の表面から前記柱状部を突出させることによって、前記非導電性材料を含む突部を形成する工程とを含む。
【0021】
上記の製造方法によれば、絶縁基板に熱を加えたときに、絶縁基板と柱状部との熱収縮率の差を利用して、絶縁基板の表面から柱状部を突出させることができる。これにより、柱状部の上方に堆積された非導電性材料から形成される非導電性の突部の高さをより高くすることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明の一局面にかかる配線基板によれば、隣接する接続用端子間の間隔を狭くすることなく接続用端子の表面を保護することができる。また、本発明のもう一つの局面にかかる配線基板の製造方法によれば、配線基板に形成される非導電性の突部の高さをより高く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施形態にかかる配線基板の構成を示す平面図及び断面図である。
【
図2】第1の実施形態の変形例にかかる配線基板の構成を示す平面図及び断面図である。
【
図3】第1の実施形態の変形例にかかる配線基板の構成を示す平面図である。
【
図4】第2の実施形態にかかる配線基板の構成を示す平面図及び断面図である。
【
図5】(a)から(c)は、
図4に示す配線基板の製造工程を工程順に示す図である。
【
図6】第3の実施形態にかかる配線基板の一例の構成を示す平面模式図である。
【
図7】第3の実施形態にかかる配線基板の一例の構成を示す平面模式図である。
【
図8】(a)から(d)は、第3の実施形態にかかる配線基板の他の例を示す平面模式図である。
【
図9】従来例にかかる配線基板の構成を示す平面図及び断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0025】
〔第1の実施形態〕
本実施形態では、配線基板1を例に挙げて説明する。配線基板1は、複数の接続パッド12を有しており、各種電子機器などの配線基板として利用される。
【0026】
(配線基板の構成)
図1には、配線基板1の構成を示す。
図1の上方には配線基板1の平面構成を示す。
図1の下方には、上方の平面図におけるA-A線部分の断面構成を示す。
【0027】
配線基板1は、主として、絶縁基板11と、複数の接続パッド(接続用端子)12と、複数のアルミナ突起部(非導電性の突部)13とを有している。
【0028】
絶縁基板11は、主成分としてセラミック材料を含んでいる。ここで主成分とは、絶縁基板11の組成を重量%(重量比)で見たときに、含有割合の最も多い成分のことをいう。絶縁基板11は、例えば、アルミナ(Al2O3)を含有するセラミック、LTCC(ガラス-セラミック)などの絶縁材料によって形成されている。絶縁基板11は、このような絶縁材料からなる複数の絶縁層(例えば、セラミックグリーンシート)が積層されて形成されていてもよい。
【0029】
複数の接続パッド12・12・・・は、絶縁基板11上に配列されている。本実施形態では、各接続パッド12は略等間隔で縦横に配列されている。接続パッド12は、導電性材料で形成されている。具体的には、接続パッド12は、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、またはマンガン(Mn)などの金属材料、あるいはこれらの金属材料を主成分とする合金材料によって形成されている。また、接続パッド12は、これらの金属材料に加えてガラス、アルミナ等の無機材料を含むものであってもよい。これらの金属材料などは、例えば、メタライズ層、めっき層、蒸着層などの形態で絶縁基板11上に設けられている。
【0030】
接続パッド12は、例えばタングステン(W)、モリブデン(Mo)などのメタライズ層からなる場合であれば、これらの金属の粉末を有機溶剤およびバインダとともに混練して作製した金属ペーストを、絶縁基板11となるセラミックグリーンシートのうち第1主面となる表面に所定パターンに塗布して同時焼成することによって形成することができる。金属ペーストの塗布は、例えば、スクリーン印刷などの従来公知の印刷法によって行なうことができる。
【0031】
接続パッド12は、BGA(Ball Grid Allay)パッド、LGA(Land Grid Array)パッド、PGA(Pin Grid Array)パッドなどとも呼ばれる。
【0032】
アルミナ突起部13は、絶縁基板11上の接続パッド12の形成領域外の領域に設けられている。アルミナ突起部13は、複数個設けられている。本実施形態では、
図1に示すように、縦横に並んで配列された接続パッド12において、斜め方向に隣接して配置されている各接続パッド12の間にアルミナ突起部13が配置されている。
【0033】
アルミナ突起部13は、非導電性材料で形成されている。具体的には、アルミナ突起部13は、アルミナ(Al2O3)を含有するセラミック材料で形成されている。
【0034】
なお、本発明では、非導電性の突部を形成する材料はセラミックに限定されない。別の実施態様では、非導電性の突部は、ソルダーレジストなどの樹脂、LTCC(ガラス-セラミック)、ガラスなどで形成することができる。
【0035】
図1の断面図に示すように、アルミナ突起部13の高さは、接続パッド12の高さよりも高くなっている。ここで、アルミナ突起部13および接続パッド12の高さとは、絶縁基板11の上面からアルミナ突起部13または接続パッド12の最上部までの距離のことを意味する。そして、アルミナ突起部13の高さが、接続パッド12の高さよりも高くなっているとは、絶縁基板11の上面からアルミナ突起部13の最上部までの距離が、絶縁基板11の上面から接続パッド12の最上部までの距離よりも大きいことを意味する。
図1に示す例では、アルミナ突起部13は、接続パッド12よりも長さh1だけ高くなっている。
【0036】
この構成によれば、より高さの高いアルミナ突起部13が接続パッド12の周辺に設けられていることで、接続パッド12が他の部品または他の部材と接触しにくくなる。そのため、接続パッド12の表面をアルミナ突起部13によって保護することができる。
【0037】
また、本実施形態にかかる配線基板1では、アルミナ突起部13は、縦長の柱体形状を有している。そして、アルミナ突起部13は、隣接して配置されている各接続パッド12の間に、接続パッド12に干渉しないように、接続パッド12からやや離れた状態で配置されている。これにより、各接続パッド12の間隔を保ちつつ、接続パッド12の形成領域外の領域に、接続パッド12を保護するためのアルミナ突起部13を設ける領域を確保することができる。この点について、
図1、
図2、および
図9を参照しながら説明する。
【0038】
図2には、第1の実施形態の変形例にかかる配線基板101の構成を示す。
図2の上方には配線基板101の平面構成を示す。
図2の下方には、上方の平面図におけるB-B線部分の断面構成を示す。
【0039】
図9には、従来例にかかる配線基板901の構成を示す。
図9の上方には配線基板901の平面構成を示す。
図9の下方には、上方の平面図におけるD-D線部分の断面構成を示す。
【0040】
図9に示す従来の配線基板901では、絶縁基板11上に配置されている各接続パッド912の外周部には、非導電性の材料で形成された被覆層913が形成されている。被覆層913は、接続パッド912の表面に傷がついたり、接続パッド912の間に異物が混入したりすることを防ぐために、接続パッドの一部を覆うように形成されている(
図9の下方の断面図参照)。このことから、被覆層913はオーバーコート層とも呼ばれる。
図9に示す例では、接続パッド912の外周部と被覆層913との重複部分の幅はd3(例えば、0.05mm以上0.15mm以下)となっている。
【0041】
被覆層913を形成する場合には、先ず絶縁基板11上に接続パッド912を所定パターンに形成した後に、接続パッド912の外周部を覆うように、例えばアルミナなどの非導電性材料を積層して被覆層913を形成する。そして、接続パッド912上の被覆層913で覆われていない開口部が、半田ボールなどの他の接続部材との接続端子として機能する。
【0042】
このような構成では、被覆層913の下部に位置する接続パッド912の実際の径d1(例えば、0.95mm)は、接続端子として機能する開口部の径d2(例えば、0.75mm)よりも大きくなっている。そのため、配線基板の高精細化や小型化などを実現するために、隣接する接続パッド912・912間の外見上の間隔d4(例えば、0.25mm)を狭くすることが要求されると、被覆層の下部に位置する各接続パッド同士を非常に近接した状態で配置することが必要となる。
図9に示す例では、被覆層の下部において互いに隣接する接続パッド912・912間の実際の間隔はd5(例えば、0.05mm)となっている。
【0043】
しかし、隣接する接続パッド同士の実際の間隔d5を非常に狭くすることは、製造工程上の困難性が伴う。また、隣接する接続パッド同士の実際の間隔d5が非常に狭くなると、接続パッド間の短絡の可能性も高まり、不良品の発生率の増加につながる。ここで、隣接する接続パッド同士の間隔とは、隣接する2つの接続パッドのうちの一方の接続パッドの端部から他方の接続パッドの端部までの距離のことをいう。
【0044】
そこで、
図2に示す配線基板101のように、絶縁基板11上に形成される接続パッド12とアルミナ保護層113とを、互いに隙間なく配置させることが望まれる。この配線基板101では、
図1に示す配線基板1と同様に、アルミナ保護層113の高さは、接続パッド12の高さよりも長さh1だけ高くなっている。これにより、配線基板101において、接続パッド12の形成面をアルミナ突起部13によって保護することができる。このように、変形例にかかる配線基板101では、アルミナ保護層113が、非導電性の突部に相当する。
【0045】
この配線基板101において、接続パッド12の径D1=0.75mm、隣接する接続パッド12・12の中心間距離D2=1.00mmとすると、隣接する接続パッド同士の実際の間隔D3は、0.25mmとなる。このように、隣接する接続パッド同士の間隔をある程度確保することができるため、隣接する接続パッド間の短絡の可能性が低減する。
【0046】
但し、
図2に示す例では、接続パッド12およびアルミナ保護層113を形成する場合に、非常に正確な位置精度でパターニングすることが求められる。しかし、例えば従来公知の印刷方法などでは、このような精度でのパターニングは困難である。
【0047】
一方、本実施形態にかかる配線基板1では、隣接して配置されている各接続パッド12の間に、アルミナ突起部13が接続パッド12からやや離れた状態で配置されている。この構成によれば、配線基板1における接続パッド12の径D1および隣接する接続パッド12・12の中心間距離D2を、上述の配線基板101と同様の径で形成した場合に、隣接する各接続パッド12からある程度のスペースを設けた状態でアルミナ突起部13を配置させることができる。また、アルミナ突起部13を形成する際に、製造工程上比較的容易に形成可能な寸法(例えば、径D4=0.35mm)で形成することができる。
【0048】
(変形例)
図3には、第1の実施形態のさらなる変形例にかかる配線基板1aの構成を示す。
図1に示す配線基板1では、斜め方向に隣接する各接続パッド12間の領域の全てにアルミナ突起部13が形成されている。しかし、本発明はこのような構成に限定されない。
【0049】
図3に示すように、アルミナ突起部13は、直線上に並ばない少なくとも3つの箇所に配置されていればよい。この構成によれば、例えば、配線基板1aを上下に複数個重ねた場合に、下方に位置する配線基板1aに設けられている3個のアルミナ突起部13の最上部で、上方に位置する配線基板1aの下面を支持することができる。これにより、下方に位置する配線基板1aに設けられている接続パッド12に、上方に位置する配線基板1aが接触することが回避され、接続パッド12の傷付きを防ぐことができる。また、配線基板1aを部品実装のための装置のステージ上に載置した場合には、アルミナ突起部13がステージ表面に接触することによって、配線基板1aがステージ上に支持されるため、接続パッド12に傷がつくことを防止できる。
【0050】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる配線基板1では、接続パッド12の形成領域外の領域に複数のアルミナ突起部13が形成されている。このアルミナ突起部13の高さは、接続パッド12の高さよりも高くなっている。
【0051】
上記の構成によれば、接続パッド12よりも高さの高いアルミナ突起部13が設けられていることで、接続パッド12が他の部品と接触しにくくなるため、接続パッド12の表面を保護することができる。また、アルミナ突起部13は、接続パッド12の形成領域外の領域に設けられているため、アルミナ突起部13を形成することで接続パッド12の形成領域が狭められることがなくなる。したがって、本実施形態にかかる配線基板1によれば、隣接する接続パッド12間の間隔を狭くすることなく接続パッド12の表面を保護することができる。
【0052】
本実施形態では、各アルミナ突起部13は、斜め方向に隣接して配置されている各接続パッド12の間に配置されている。このような位置にアルミナ突起部13を配置することで、アルミナ突起部13の専有面積を確保しやすくなる。そのため、アルミナ突起部13の径を大きくすることができる。
【0053】
なお、アルミナ突起部13の形状は、柱体形状に限定はされない。アルミナ突起部13の形状は、上方に向かうにしたがって径が縮小する形状(例えば、円錐台形状、角錐台形状など)であってもよい。
【0054】
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、配線基板201を例に挙げて説明する。
【0055】
(配線基板の構成)
図4には、配線基板201の構成を示す。
図4の上方には配線基板201の平面構成を示す。
図4の下方には、上方の平面図におけるC-C線部分の断面構成を示す。
【0056】
配線基板201は、主として、絶縁基板11と、複数の接続パッド(接続用端子)12と、複数のアルミナ突起部(非導電性の突部)213と、複数の柱状部214とを有している。絶縁基板11および接続パッド12は、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0057】
アルミナ突起部213は、絶縁基板11上の接続パッド12の形成領域外の領域に設けられている。アルミナ突起部213は、複数個設けられている。本実施形態では、
図4に示すように、縦横に並んで配列された接続パッド12において、斜め方向に隣接して配置されている各接続パッド12の間にアルミナ突起部213が配置されている。
【0058】
アルミナ突起部213は、非導電性材料で形成されている。例えば、アルミナ突起部213は、アルミナ(Al2O3)を含有するセラミック材料で形成することができる。また、アルミナ突起部213は、第1の実施形態で説明したアルミナ突起部13と同様の材料で形成することができる。
【0059】
図4の断面図に示すように、アルミナ突起部213の高さは、接続パッド12の高さよりも高くなっている。ここで、アルミナ突起部213および接続パッド12の高さとは、絶縁基板11の上面からアルミナ突起部213または接続パッド12の最上部までの距離のことを意味する。
図4に示す例では、アルミナ突起部213は、接続パッド12よりも長さh2だけ高くなっている。
【0060】
柱状部214は、各アルミナ突起部213の下方に設けられている。具体的には、
図4の断面図に示すように、柱状部214は、絶縁基板11の内部に埋め込まれるように設けられている。そして、絶縁基板11の表面から突出した各柱状部214の先端部を覆うように、アルミナ突起部213が設けられている。
【0061】
柱状部214は、絶縁基板11の熱収縮率よりも熱収縮率の小さい材料で形成されている。第1の実施形態で説明したように、絶縁基板11は、主成分としてセラミック材料を含んでいる。そして、柱状部214は、セラミック材料よりも熱収縮率の小さい金属材料を主成分として含んでいる。ここで主成分とは、絶縁基板11または柱状部214の組成を重量%(重量比)で見たときに、含有割合の最も多い成分のことをいう。
【0062】
具体的には、柱状部214は、銅(Cu)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、またはマンガン(Mn)などの金属材料で形成することができる。また、柱状部214は、接続パッド12と同じ材料で形成されていてもよい。
【0063】
本実施形態にかかる配線基板201によれば、後述するように、配線基板201の製造過程において焼成などによって熱を加えた後に、絶縁基板11と柱状部214との熱収縮率の差によって、絶縁基板11の表面から柱状部214を突出させることができる。柱状部214が突出することで、柱状部214を覆うように設けられているアルミナ突起部213も突出するため、アルミナ突起部213の高さを確保することができる。
【0064】
(配線基板の製造方法)
続いて、配線基板201の製造方法について、
図5(a)から(c)を参照しながら説明する。
図5(a)から(c)では、上方に各製造過程における配線基板201の平面構成を示し、下方に各製造過程における配線基板201の断面構成を示す。
【0065】
先ず、
図5(a)に示すように、絶縁基板11の内部の所定の位置に柱状部214を充填する。ここで、所定の位置とは、絶縁基板11上の接続パッド12の形成領域外の領域であって、後の工程でアルミナ突起部213が形成される位置である。柱状部214の径D5は、後の工程で形成されるアルミナ突起部213の径D6よりも小さくなるように設定される。
【0066】
その後、絶縁基板11上の所定の位置に、接続パッド12を形成する。接続パッド12は、例えば、スクリーン印刷などの従来公知の印刷法を用いて形成することができる。
【0067】
続いて、
図5(b)に示すように、絶縁基板11上の接続パッド12の形成領域外の領域であって、柱状部214が形成されている位置に非導電性材料213aを堆積させる。非導電性材料213aの堆積物は、例えば、スクリーン印刷などの従来公知の印刷法を用いて形成することができる。非導電性材料213aは、例えば、アルミナ(Al
2O
3)を含有するセラミック材料である。
【0068】
その後、非導電性材料213aが堆積された絶縁基板11を焼成する。焼成によって熱が加えられることで、絶縁基板11、柱状部214、および非導電性材料213aなどは収縮する。このとき、柱状部214の熱収縮率は、絶縁基板11の熱収縮率よりも小さいため、絶縁基板11の収縮量は柱状部214の収縮量よりも大きくなる。そのため、配線基板201では、
図5(c)の断面図において矢印で示すように、熱収縮した絶縁基板11の上面から柱状部214の一部が突出するような形状の変化が起こる。また、この形状の変化に伴って、非導電性材料213aも上方へ押し上げられて突出する。
【0069】
これにより、アルミナ突起部213が形成される。なお、このようにして形成されたアルミナ突起部213の形状は、円柱形状、もしくは、上方へ向かうにしたがって径が小さくなる略円錐台形状となる。
【0070】
上記の配線基板201の製造方法によれば、絶縁基板11を形成している材料(例えば、セラミック材料)と柱状部214を形成している材料(例えば、金属材料)との熱収縮率の差を利用して、接続パッド12よりも上方へ突出したアルミナ突起部213を形成することができる。上記の製造方法を用いることで、アルミナ突起部213の高さをより高くすることができる。そのため、アルミナ突起部213と接続パッド12との高さの差h2を、第1の実施形態のアルミナ突起部13と接続パッド12との高さの差h1よりも大きくすることができる。アルミナ突起部213と接続パッド12との高さの差が大きくなることで、配線基板自体の反りや変形などの影響を受けにくくなるため、接続パッド12が他の部品などと接触する可能性をより低減させることができる。
【0071】
なお、絶縁基板11の内部に充填される柱状部214は、複数の層状に形成されてもよい。このとき、下層の柱状部214の径D5をより大きくすることで、加熱後の絶縁基板11の上面からの柱状部214の突出高さをより大きくすることができる。また、柱状部214を形成する金属材料として、熱収縮率のより小さいもの(例えば、接続パッド12を形成する金属材料よりも熱収縮率の小さいもの)を選択することで、加熱後の絶縁基板11の上面からの柱状部214の突出高さをより大きくすることができる。
【0072】
また、別の実施形態では、絶縁基板11の内部に、柱状部214に加えて、第2の柱状部が設けられている構成も可能である。第2の柱状部は、例えば、接続端子部と基板内部配線とを接続するためのビアである。第2の柱状部は、金属材料などの導電性材料で形成されている。このような第2の柱状部を有している配線基板では、柱状部214を形成する材料として、第2の柱状部を形成する材料よりも熱収縮率の小さい材料を選択するのが好ましい。これによれば、焼成後における柱状部214の基板表面からの突出量を、第2の柱状部の基板表面からの突出量よりも大きくすることができる。
【0073】
〔第3の実施形態〕
本実施形態では、アルミナ突起部313の形状を種々に異ならせた配線基板301について説明する。
図6、
図7、および
図8(a)から(d)には、本実施形態にかかる配線基板301の一部分の平面構成を示す。
【0074】
図6に示す配線基板301は、絶縁基板11と、複数の接続パッド12と、複数のアルミナ突起部313aとを有している。アルミナ突起部313aは、上面から見て正方形の形状を有している。一例では、配線基板301において、接続パッド12の直径φは0.75mmに、正方形状のアルミナ突起部313aの一辺の長さLは0.30mmに設定することができる。
【0075】
また、
図7に示すアルミナ突起部313bのように、正方形の四隅の角度を鋭角にさせた形状としてもよい。このような形状のアルミナ突起部313bによれば、各接続パッド12間の間隔がより小さくなった場合にも、アルミナ突起部313bの形成領域を確保することができる。
【0076】
また、
図8(a)に示すような楕円形状のアルミナ突起部313c、
図8(b)に示すような三角形状のアルミナ突起部313d、
図8(c)に示すような十字形状のアルミナ突起部313eも可能である。さらに、
図6に示す正方形状のアルミナ突起部313aの配置を変更した
図8(d)に示すような正方形状のアルミナ突起部313fも可能である。また、正方形状ではなく、長方形状のアルミナ突起部であってもよい。
【0077】
本実施形態にかかる配線基板301において、アルミナ突起部313の形状以外については、第1または第2の実施形態と同様の構成を適用することができる。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 :配線基板
11 :絶縁基板
12 :接続パッド(接続用端子)
13 :アルミナ突起部(非導電性の突部)
101 :配線基板
113 :アルミナ突起部(非導電性の突部)
201 :配線基板
213 :アルミナ突起部(非導電性の突部)
213a:非導電性材料
214 :柱状部
301 :配線基板
313a:アルミナ突起部(非導電性の突部)