(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】位置検出器及びエレベーター
(51)【国際特許分類】
B66B 3/02 20060101AFI20220916BHJP
B66B 1/40 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
B66B3/02 Q
B66B1/40 B
(21)【出願番号】P 2019157606
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大町 卓
(72)【発明者】
【氏名】田代 真樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】金山 泰裕
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-006236(JP,U)
【文献】特開2003-238038(JP,A)
【文献】特開2012-218899(JP,A)
【文献】特開2008-297110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-3/02
B66B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽部材と検出センサーとを組み合わせた、エレベーターの昇降路内の乗りかごの位置を検出する位置検出器であって、
前記検出センサーは、
凹部にセンサーを備えた矩形状のセンサーユニットと、
前記センサーユニットの面部を覆う平板部を有し、前記センサーユニットの面部に対向するように配置された保護部材と、を備
え、
前記保護部材は、前記センサーユニットを挟んで複数設けられ、
前記平板部は、前記センサーユニットの先端よりも前方に突出する先端突出部を有し、
前記先端突出部には、先端に向かって広がる傾斜を有するテーパ部が形成されている
位置検出器。
【請求項2】
昇降路と、
前記昇降路内を移動する乗りかごと、
遮蔽部材と検出センサーとを組み合わせた、前記昇降路内の乗りかごの位置を検出する位置検出器と、
前記乗りかごを緊急停止させるための無端状のガバナロープと、を備えたエレベーターであって、
前記検出センサーは、凹部にセンサーを備えた矩形状のセンサーユニットと、前記センサーユニットの面部を覆う平板部を有し、前記センサーユニットの面部に対向するように配置された保護部材と、を備え、
前記遮蔽部材及び前記検出センサーを、前記ガバナロープの間に位置するように配置した
エレベーター。
【請求項3】
前記保護部材は、前記センサーユニットを挟んで複数設けられている
請求項2に記載のエレベーター。
【請求項4】
前記平板部は、前記センサーユニットの先端よりも前方に突出する先端突出部を有する
請求項2または3に記載のエレベーター。
【請求項5】
前記先端突出部には、先端に向かって広がる傾斜を有するテーパ部が形成されている
請求項4に記載のエレベーター。
【請求項6】
前記平板部は、前記センサーユニットの面部よりも側方に突出する側方突出部を有する
請求項2から5のいずれか一項に記載のエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごの位置を検出する位置検出器及びその位置検出器を用いたエレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、位置検出器により昇降路内の乗りかごの位置を検出して、検出した位置に基づいて乗りかごの着床位置を制御するエレベーターが知られている。
【0003】
乗りかごの位置を検出する位置検出器としては、昇降路の壁面に取り付けられたプレートと、乗りかごの天井部分に設けられたポジテクタと、を組み合わせたものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、位置検出器を、乗りかごの昇降に連動して移動する長尺物であるロープ(例えば、ガバナロープ)の近くに設置すると、ロープが位置検出器に引っ掛かり、乗りかご位置の誤検知等が生じるおそれがある。このため、昇降路内においては、位置検出器をロープの近くに設けることが難しく、位置検出器の設置場所が制限されていた。
【0006】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、位置検出器をガバナロープ等の長尺物の近くに設置することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の課題を解決するため、本発明の位置検出器は、遮蔽部材と検出センサーとを組み合わせた、エレベーターの昇降路内の乗りかごの位置を検出するものであって、検出センサーは、凹部にセンサーを備えた矩形状のセンサーユニットと、センサーユニットの面部を覆う平板部を有し、センサーユニットの面部に対向するように配置された保護部材と、を備えている。
【0008】
また、本発明のエレベーターは、昇降路と、昇降路内を移動する乗りかごと、遮蔽部材と検出センサーとを組み合わせた、昇降路内の乗りかごの位置を検出する位置検出器と、 乗りかごを緊急停止させるための無端状のガバナロープと、を備える。さらに、検出センサーは、凹部にセンサーを備えた矩形状のセンサーユニットと、センサーユニットの面部を覆う平板部を有し、センサーユニットの面部に対向するように配置された保護部材と、を備え、遮蔽部材及び検出センサーを、ガバナロープの間に位置するように配置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、位置検出器をガバナロープ等の長尺物の近くに設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態例に係るエレベーターの全体構成図である。
【
図2】本発明の実施形態例に係るエレベーターで使用するエレベーター制御装置のハードウェア例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態例に係るエレベーターを上方から見た平面図である。
【
図4】本発明の実施形態例に係る位置検出器のポジテクタの斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態例に係る位置検出器の遮蔽部材を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態例に係る昇降路の壁面に固定した状態のポジテクタの正面図である。
【
図7】本発明の実施形態例に係る昇降路の壁面に固定した状態のポジテクタとガバナロープとの位置関係を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、添付図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
図1は、本例のエレベーターの全体構成例を示す。
エレベーター100の乗りかご1は、主ロープ9の一端に接続され、主ロープ9が巻きかけられた電動機22による駆動で、昇降路11内を昇降する。主ロープ9の他端には、つり合い錘10が接続されている。エレベーター制御装置20は、電動機22の回転による乗りかご1の上昇及び下降を制御する。
【0013】
また、エレベーターの乗りかご1には、無端の長尺物であるガバナロープ7が接続されている。ガバナロープ7は、昇降路11の上端側に配置されたガバナ3に巻きかけられると共に、昇降路11の下端側に配置されたガバナウェイトプーリ5にも巻きかけられ、乗りかご1の昇降に連動して移動する。ガバナウェイトプーリ5は、ガバナロープ7に張力を与えるものであり、ガバナウェイトプーリ5には減衰機構6が設置されている。
【0014】
乗りかご1の天井部1aには、被検出体としての遮蔽部材70が搭載されており、昇降路11の乗りかご1の各階停止位置12には、検出センサーとしてポジテクタ80が配置されている。本例の位置検出器90は、遮蔽部材70とポジテクタ80とを組み合わせることで構成されている。
【0015】
エレベーター制御装置20は、ポジテクタ80が遮蔽部材70を検出した状態に基づいて、各停止階12において乗りかご1の扉を開閉させる床合わせ処理を行う。エレベーター制御装置20は、床合わせ処理を行うために、床合わせ指令部24を備える。なお、
図1では、エレベーター制御装置20の床合わせ処理以外に使用する構成については省略する。
【0016】
位置検出器90のポジテクタ80が、遮蔽部材70を検出して、乗りかご1が停止階12の降場の高さに合致している状態を検出すると、床合わせ指令部24は、乗りかご1の扉を開閉させるための開閉指令を生成する。そして、エレベーター制御装置20は、開閉指令に基づいて乗りかご1の扉を開閉する。
【0017】
図2は、エレベーター制御装置20のハードウェア構成例を示す。エレベーター制御装置20は、例えばコンピューター装置Cで構成される。
コンピューター装置Cは、バスC4にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)C1、ROM(Read Only Memory)C2、及びRAM(Random Access Memory)C3を備える。さらに、コンピューター装置Cは、表示部C5、操作部C6、不揮発性ストレージC7、及びネットワークインターフェイスC8を備える。
【0018】
CPU C1は、本例のエレベーター制御装置20が備える各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM C2から読み出して実行する。RAM C3には、演算処理の途中に発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。例えば、エレベーター制御装置20では、CPU C1がROM C2に記憶されているプログラムを読み出すことで、床合わせ処理の制御を行う。
【0019】
不揮発性ストレージC7としては、例えば、HDD(Hard disk drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージC7には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、コンピューター装置Cをエレベーター制御装置として機能させるためのプログラムが記録されている。
【0020】
ネットワークインターフェイスC8には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、端子が接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを送受信することが可能である。例えば、乗りかご1内の釦や各階のよび釦の操作情報などを、ネットワークインターフェイスC8を介して取得する。また、ネットワークインターフェイスC8を介して、外部の機器と通信を行うこともできる。例えば、エレベーター制御装置20を構成するコンピューター装置Cが、エレベーター100を管理する監視センターと通信を行う。
【0021】
表示部C5や操作部C6は、エレベーターの保守作業時に使用する。例えば、表示部C5は、エレベーターの作動状態などを表示し、操作部C6は、操作モードなどを入力操作する。なお、エレベーター制御装置20の構成によっては、表示部C5や操作部C6を備えない場合もある。
【0022】
図3は、本例のエレベーター100を上方から見た際の平面図である。
図3に示すように、昇降路11の壁面11aには、2本のガバナロープ7の間に位置するようにポジテクタ80が固定されている。なお、ポジテクタ80は、乗りかご1のガイドレールに取り付けてもよい。また、乗りかご1の天井面1aのガバナロープ7側の端部には、遮蔽部材70がポジテクタ80と対向するように固定されている。遮蔽部材70は、乗りかご1の上部にあるフレームやハンドレールに取り付けられる。
本例では、遮蔽部材70及びポジテクタ80をガバナロープ7の間に配置するので、ガバナロープ7の間にある従来のデットスペースを有効に活用できる。これにより、例えば、既存のエレベーターに位置検出器90を追加する必要が生じた場合であっても、簡単に追加設置することができる。
【0023】
図4は、昇降路11の壁面11aに取り付けられるポジテクタ80の斜視図である。
図4に示すように、本例のポジテクタ80は、センサーユニット80A、80Bと、センサーユニット80A、80Bを上下方向で挟むように配置された一対の保護部材13A、13Bと、で構成されている。
【0024】
センサーユニット80A、80Bは、中央部に遮蔽部材70の遮蔽板を挿入するための凹部81が形成された矩形状の筐体で構成されている。凹部81には、発光センサーと受光センサーからなるセンサー部800が設けられている。センサーユニット80A、80Bは、側部82の外面を合致させて、凹部81の開口が同じ方向を向いた状態で連結されている。
【0025】
各センサーユニット80A、80Bの面部である上面82aの一部には、表面を窪ませて形成された噛みこみ量確認用マーク83が設けられている。
噛みこみ量確認用マーク83は、作業員がエレベーターの点検等を行う際に、凹部81における遮蔽部材70の遮蔽板の侵入長を確認するために使用するものである。
【0026】
連結されたセンサーユニット80A、80Bの上方には、上面82aから所定距離を離した状態で保護部材13Aが設けられている。保護部材13Aは、金属等の板材を加工することにより構成される。保護部材13Aは、センサーユニット80A、80Bの上面82aと対向する平面を有する平板部としてのガード部13aと、平面の一端を直角に折り曲げて形成された固定部13bと、を備えている。なお、センサーユニット80A、80Bの下方にも、センサーユニット80A、80Bの面部である下面から所定距離を離した状態で、保護部材13Aと同じ構成の保護部材13Bが設けられている。
【0027】
保護部材13A、13Bをセンサーユニット80A、80Bから離した状態に配置することで、保護部材13A、13Bがガバナロープ7から受けた衝撃が、直接センサーユニット80A、80Bに伝わることを防止して、衝撃を緩和することができる。
【0028】
ガード部13aには、センサーユニット80A、80Bの凹部81の空間部と対向するように切りかけ部16が形成されている。切りかけ部16には、矩形の先端側に連接するようにして形成されたテーパ部17が設けられている。また、ガード部13aの噛みこみ量確認用マーク83と対向する位置には、マーク視認用孔18が形成されている。
【0029】
固定部13bには、保護部材13を昇降路壁面11aに固定する際に使用するビスを貫通させるための取付孔14が所定の間隔で形成されている。
【0030】
本例では、センサーユニット80A、80Bを上下方向で挟むようにして一対の保護部材13A、13Bを設けているが、センサーユニットの上方にだけ保護部材13Aを設けるようにしてもよい。同様に、センサーユニットの下方にだけ保護部材13Bを設けるようにしてもよい。
【0031】
また、本例では保護部材13A、13Bをセンサーユニット80A、80Bの面部から離した状態で設置しているが、保護部材13A、13Bをセンサーユニット80A、80Bの面部に接した状態で設置してもよい。
【0032】
図5は、乗りかご1の天井部1aに設置される遮蔽部材70の斜視図である。
遮蔽板70は、例えば、ブラケットを用いて乗りかご1の天井部1aに設置されている台座に取り付けることで、乗りかご1の天井部1aに固定される。
【0033】
図5に示すように、遮蔽部材70は、平面部71aを有する長方形状の取り付け部材71と、平面部71aに対して垂直に設けられた2枚の矩形状の遮蔽板70a、70bとで構成されている。遮蔽板70a、70bは、所定距離を隔てて対向するように配置されている。
【0034】
遮蔽部材70の遮蔽板70a、70bは、それぞれセンサーユニット80A、80Bの凹部81に挿入させるものである。遮蔽板70aがセンサーユニット80Aの凹部81に挿入して噛みこむことによって、センサー部800の発光センサーから受光センサーへの光ビームを遮断する。同様に、遮蔽板70bがセンサーユニット80Bの凹部81に噛みこむことによって、センサー部800の発光センサーから受光センサーへの光ビームを遮断する。なお、遮蔽部材70は、各センサーユニットの発光センサーから受光センサーへの光ビームを遮断できるプラスチック等の材質で構成されている。
【0035】
本例の位置検出器90は、発光センサーと受光センサーとの間に遮蔽板が存在しない場合には、センサーユニットのセンサー部800が光を検出する状態にあり、発光センサーと受光センサーとの間に遮蔽板が存在する場合には、センサーユニットのセンサー部800による光の検出は行われない状態となる。
【0036】
エレベーター制御装置20は、昇降路11内の所定位置に設置されたポジテクタ80(位置検出器)の受光状態の情報を取得し、この取得した情報に基づいて、乗りかご1の床合わせ処理を実施する。
【0037】
図6は、昇降路壁面11aに固定させた状態のポジテクタ80の正面図である。
図6に示すように、本例のポジテクタ80は、無端状のガバナロープ7の一部分である2本のロープの間に位置するように、昇降路壁面11aに固定されている。
センサーユニット80A、80Bは、凹部81に挿入されたねじ85により、背面側が昇降路壁面11aに固定される。また、保護部材13A、13Bは、取付孔14に挿入されたビス15により、固定部13bが昇降路壁面11aに固定される。
【0038】
図7は、上方から見た昇降路壁面11aに固定した状態のポジテクタ80とガバナロープ7との位置関係を示す平面図である。
【0039】
図7に示すように、本例のポジテクタ80は、一点鎖線で示した2本のガバナロープ7を結んだ仮想直線Lに対して、センサーユニット80A、80Bの凹部81の開口部分が対向する状態で昇降路壁面11aに固定されている。なお、保護部材13は、ガード部13aの先端部が仮想直線Lを超えない状態で固定されている。
【0040】
センサーユニット80A、80Bの側部82の内側には、凹部81の空間を挟んで対向するように発光センサー801と受光センサー802が配置されたセンサー部800が設けられている。なお、図中の80a、80bは、発光センサー801から生じる光ビームの向きを示す。本例では、ポジテクタ80が凹部81に挿入された遮蔽部材70の遮蔽板70a、70bにより光ビームが遮られたことを検出することで、エレベーター制御装置20が、昇降路11内の乗りかご1の位置を検出する。
【0041】
本例の保護部材13Aは、ガード部13aの先端部分が、センサーユニット80A、80Bの先端部分よりも、前方の仮想直線L側に長さS1だけ突出するように形成された先端突出部19を有している。また、本例の保護部材13Aは、ガード部13aのセンサーユニットの側部82に対向する幅方向部分が、センサーユニット80A、80Bの側部82の上面82aの幅よりもS2だけ側方に突出するように形成された側方突出部21を有している。
【0042】
保護部材13Aに先端突出部19及び側方突出部21を設けることで、ポジテクタ80を上方から見た際に、保護部材13Aでセンサーユニット80A、80Bの面部を完全に覆うことができる。これにより、風等で建物が揺れて発生した振動等により、横揺れしたガバナロープ7がポジテクタ80の固定位置まで達したとしても、先端突出部19でガバナロープ7を押し止めて、ガバナロープ7の揺れの振幅の増幅を抑えることができる。また、ガバナロープ7の揺れの振幅が大きくセンサーユニットの凹部81に侵入してきた場合であっても、側方突出部21によりガバナロープ7を押し止めて、ガバナロープ7がセンサーユニット80A、80Bのセンサー部800を破損することを防止できる。
【0043】
先端突出部19に形成されたテーパ部17には、先端に向かって広くなるような傾斜が設けられ、切りかけ部16の開口が仮想直線L側に向かって広くなるように形成されている。このようなテーパ部17を設けることで、振動等により回動しながら揺れるガバナロープ7がポジテクタ80の凹部81の位置まで回り込んできた場合であっても、テーパ部17の傾斜に当てて、ガバナロープ7の動きを押しとめることができる。これにより、ガバナロープ7の揺れの振幅の増幅を抑えることができる。また、テーパ部17の傾斜に沿わせて前方に移動させることで、ガバナロープ7を凹部81に引っ掛かけることなく元の位置に戻すことができる。
【0044】
また、本例では、保護部材13のガード部13aの先端部が仮想直線Lを超えない状態で昇降路壁面11aに固定されているので、振動等によりガバナロープ7が凹部81の位置に到達したとしても、ガード部13aの先端に引っ掛かりにくくすることができる。
【0045】
また、
図7に示すように、本例のポジテクタ80では、マーク視認用孔18を通じて、上方からセンサーユニット80A、80Bに設けられた噛みこみ量確認用マーク83を視認することができる。これにより、修理時等において、作業員が凹部81における遮蔽板の侵入長を容易に確認することができ、作業効率を上げることができる。
【0046】
以上、本例に係る位置検出器90及びそれを用いたエレベーター100について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0047】
例えば、遮蔽部材70の遮蔽板の枚数は、本例のように2枚に限られるものではなく、1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。この場合には、遮蔽板の枚数に合わせて、ポジテクタ80のセンサーユニットの数を適宜変更する。また、遮蔽板に切り欠きを設けて、適宜発光センサーから受光センサーへの光ビームを透過させるようにしてもよい。
【0048】
また、本例では、遮蔽部材70及びポジテクタ80をガバナロープ7の間に配置しているが、遮蔽部材70及びポジテクタ80を主ロープ9の間に配置してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・乗りかご
1a・・・天井部
3・・・ガバナ
4・・・パルス発生器
5・・・ガバナウェイトプーリ
6・・・減衰機構
7・・・ガバナロープ
9・・・主ロープ
10・・・つり合い錘
11・・・昇降路
11a・・・昇降路壁面
12・・・停止階
13A、13B・・・保護部材
13a・・・ガード部(平板部)
13b・・・固定部
14・・・取付孔
15・・・ビス
16・・・切りかけ部
17・・・テーパ部
18・・・マーク視認用孔
19・・・先端突出部
20・・・エレベーター制御装置
21・・・側方突出部
22・・・電動機
23・・・パルス発生器
24・・・床合わせ指令部
70・・・遮蔽部材
70a、70b・・・遮蔽板
80・・・ポジテクタ
80A、80B・・・センサーユニット
81・・・凹部
82・・・側部
82a・・・面部
83・・・噛みこみ量確認用マーク
85・・・ねじ
90・・・位置検出器
100・・・エレベーター
800・・・センサー部
801・・・発光センサー
802・・・受光センサー
L・・・仮想直線
S1、S2・・・突出幅