(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】3つのチャンバを有する自動注射器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20220916BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20220916BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
A61M5/315 580
A61M5/315 510
A61M5/20 510
A61M5/20 560
A61M5/32 540
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019209592
(22)【出願日】2019-11-20
(62)【分割の表示】P 2018129785の分割
【原出願日】2011-12-28
【審査請求日】2019-12-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-27
(32)【優先日】2010-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507007223
【氏名又は名称】メリディアン メディカル テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ジョン グリンデュア ウィルモット
(72)【発明者】
【氏名】ロバート リーヴィット ヒル
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】井上 哲男
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/103251(WO,A1)
【文献】米国特許第4643721(US,A)
【文献】特表2007-508898(JP,A)
【文献】特開昭62-5357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)前端部および後端部を有するハウジングと、
b)前記ハウジング内部に移動可能に位置する後方プランジャと、
c)前記ハウジング内部に移動可能に位置する仕切りアセンブリであって、前記後方プランジャに対して前方に位置する仕切りアセンブリと、
d)前記ハウジング内部に移動可能に位置する仕切りプランジャであって、前記仕切りアセンブリに対して前方に位置する仕切りプランジャと、
e)前記仕切りプランジャに対して前方に位置する第1の薬剤であって、液状である第1の薬剤と、
f)前記仕切りプランジャと前記仕切りアセンブリの間に位置する第2の薬剤と、
g)前記仕切りアセンブリと前記後方プランジャの間に位置する液体組成物と、
h)注射針長さ、前端部、および後端部を有する注射針であって、前記ハウジング内部に位置する注射針保管位置から、前記ハウジングの前記前端部からの最大延出長さに達する注射針完全延出位置まで移動可能な注射針と、
i)前記後方プランジャを前記ハウジング内部で前方に移動させるための作動可能なパワーアセンブリと
を備える自動注射器であって、
前記仕切りアセンブリが仕切りアセンブリバイパスを備え、前記仕切りアセンブリバイパスが閉位置と開位置を有し、前記閉位置では、前記仕切りアセンブリバイパスが、前記液体組成物が前記仕切りアセンブリを通って流れて前記第2の薬剤と混ざるのを妨げ、前記開位置は、前記液体組成物が前記仕切りアセンブリを通って流れて前記第2の薬剤と混ざることができるようにするためのものであり、
前記自動注射器が、前記ハウジング内部に、前記仕切りプランジャを受け入れ可能なバイパス領域をさらに備え、前記バイパス領域が、前記パワーアセンブリの作動前には前記仕切りプランジャに対して前方に位置し、
前記注射針が、注射部位で前記注射針保管位置から前記注射針完全延出位置に移動するとき、前記仕切りプランジャは、前記仕切りプランジャが前記バイパス領域に入る前に前記第1の薬剤と前記第2の薬剤との間にシールを形成し、
前記第1の薬剤を前記注射針の開口を介して前記注射部位内に送達し、
前記仕切りプランジャが前記バイパス領域内に受け入れられるとき
、前記注射針が前記注射部位で前記注射針完全延出位置に達した後に、前記後方プランジャ及び前記仕切りアセンブリは、前記液体組成物および前記第2の薬剤を含む溶液
を、前記仕切りプランジャの周りを通って前記注射針の
前記開口
を介して前記注射部位内に送達するように構成される自動注射器。
【請求項2】
前記パワーアセンブリの作動後に、前記パワーアセンブリが、前記仕切りプランジャと、前記仕切りアセンブリと、前記後方プランジャとを前記ハウジング内部で前方に移動させ、前記注射針を前記注射針保管位置から前記注射針完全延出位置に移動させる請求項1に記載の自動注射器。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記注射針の前記前端部に被さるように位置する穿刺可能なシースを備え、それにより、前記パワーアセンブリの作動後に、前記注射針が、前記シースを突き通って、前記ハウジングから延出することができる請求項1または2に記載の自動注射器。
【請求項4】
前記注射針が、内部と、外部と、第1の開口と、第2の開口と、経路とを備え、前記第1の開口が、前記第1の薬剤と、前記液体組成物および前記第2の薬剤を含む溶液とが前記ハウジングから前記注射針の前記内部に入ることができるようにするためのものであり、前記第2の開口が、前記第1の薬剤と前記溶液とを前記注射針から射出させることができるようにするためのものであり、前記経路が、前記第1の薬剤と前記溶液とが前記第1の開口を通って入って前記第2の開口から出ることによって前記注射針の前記内部を通って流れることができるようにするためのものである請求項1から3のいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項5】
前記仕切りプランジャが、前記第1の薬剤の後端を定める請求項1から4のいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項6】
前記第2の薬剤が、固体状である請求項1から5のいずれか一項に記載の自動注射器。
【請求項7】
前記第2の薬剤が、凍結乾燥薬剤である請求項6に記載の自動注射器。
【請求項8】
前記液体組成物が、水溶液である請求項1から7のいずれか一項に記載の自動注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3つのチャンバを有する自動注射器、および3つのチャンバを有する自動注射器を使用して人に薬剤を投与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動注射器は、かなり普及しており、典型的な手動注射器に勝る様々な利点を有するので、広範に使用されている。EpiPen(登録商標)(King Pharmaceuticals Inc.)、Anapen(登録商標)(Lincoln Medical Ltd.)、Rebiject(登録商標)II(EMD Serono and Pfizer Inc.)、およびSureClick(商標)(Amgen)を含めたいくつかの自動注射器が市販されている。一般的に言って、自動注射器は、パワーアセンブリの作動時に薬剤を各個人に送達するように設計された自動注射システムである。とりわけ、自動注射器は、一般に、ハウジングと、ハウジング内部に位置する薬剤と、注射針と、パワーアセンブリとを備える。パワーアセンブリの作動後、注射針は、ハウジング内部に位置する保管位置から、ハウジングから延出して患者に薬剤を送達する作動位置に移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動注射器デバイスの改良が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明は、3つのチャンバを有する自動注射器を提供する。自動注射器は、前端部と後端部を有するハウジングを含む。いくつかの実施形態では、自動注射器は、さらに、作動可能なパワーアセンブリと、後方プランジャと、液体組成物を含む第1のチャンバと、仕切りアセンブリと、第2の薬剤を含む第2のチャンバと、仕切りプランジャと、第1の薬剤を含む第3のチャンバと、注射針と、ハウジング内部のバイパスとを含む。
【0005】
第1の薬剤は液状であり、第2の薬剤は、好ましくは固体状であり、液体組成物に溶解することができる。より好ましくは、第2の薬剤は、凍結乾燥状態である。
【0006】
代替実施形態では、第1の薬剤と第2の薬剤の両方が液状である。
【0007】
後方プランジャは、ハウジング内に移動可能に位置し、パワーアセンブリに動作可能に連係され、それにより、パワーアセンブリの作動後、パワーアセンブリがハウジング内部で後方プランジャを前方に移動させる。後方プランジャは、第1のチャンバの後端を定める。
【0008】
仕切りアセンブリは、ハウジング内に移動可能に位置し、第1のチャンバの前端を定め、第2のチャンバの後端を定める。仕切りアセンブリは仕切りアセンブリバイパスを備え、仕切りアセンブリバイパスは閉位置と開位置を有し、閉位置では、仕切りアセンブリバイパスは、液体組成物が仕切りアセンブリを通って流れるのを妨げ、開位置は、液体組成物が仕切りアセンブリを通って流れて第2のチャンバに入ることができるようにするためのものである。パワーアセンブリの作動後、仕切りアセンブリバイパスは、閉位置から開位置に移動し、液体組成物が第2のチャンバに入ることができるようにする。
【0009】
仕切りプランジャは、ハウジング内に移動可能に位置し、第2のチャンバの前端を定める。パワーアセンブリの作動後、仕切りプランジャは、ハウジング内部で前方に移動する。
【0010】
第3のチャンバは、仕切りプランジャによって後端を定められ、液体薬剤を含む。液体薬剤に加えて、第3のチャンバは、空気などのガスを含み、したがって、パワーアセンブリの作動後、第3のチャンバ内のガスを圧縮して、仕切りプランジャをハウジング内部で前方に移動させることができる。
【0011】
自動注射器は、さらに、注射針長さと、前端部と、後端部とを有する注射針を含む。パワーアセンブリの作動前、注射針は、ハウジング内部に位置する注射針保管位置にある。パワーアセンブリの作動後、注射針は、注射針保管位置から注射針完全延出位置に移動し、注射針完全延出位置では、注射針は、ハウジングの前端部から最大限延出した位置に達する。
【0012】
ハウジング内部のバイパスは、パワーアセンブリの作動前には、仕切りプランジャに対して前方に位置し、仕切りプランジャを受け取るためのバイパス領域をハウジング内部に形成する。仕切りプランジャがバイパス領域に入る前には、仕切りプランジャは、液体組成物および第2の薬剤を含む溶液が第2のチャンバから第3のチャンバ内に流れるのを妨げるようにシールを形成する。仕切りプランジャがバイパス領域内に受け取られるとき、仕切りプランジャは、第2のチャンバと第3のチャンバの間にシールをもはや形成せず、したがって、液体組成物および第2の薬剤を含む溶液が仕切りプランジャの周りを通って注射針内に流れることができるようにする。
【0013】
3つのチャンバを有する設計は、好ましくは、注射針が注射針保管位置から注射針完全延出位置に移動するときに、すべてまたは実質的にすべての液体薬剤を人に送達することができるようにし、また、この設計は、注射針が注射針完全延出位置に達した後に、液体組成物および第2の薬剤を含む溶液を送達できるようにする。その結果、好ましい実施形態では、薬剤は異なる注射深さで送達され、それにより、人体内で薬剤が互いの吸収に影響を及ぼさないようにする。
【0014】
本発明の別の利点は、薬剤のより安定した保管形態(例えば凍結乾燥状態)の使用を可能にすることである。薬剤は、液状で保管されるときには、あまり純粋でなくなる、劣化する、および/または他の望ましくない影響を受ける傾向がある。
【0015】
別の利点として、いくつかの法域における規制条項では、複数の薬剤を混合したカクテルの保管が禁止されていることがあるが、本発明は、薬剤の個別の保管、および注射直前での薬剤の混合を可能にする。
【0016】
本発明の別の実施形態は、移動可能な内側薬剤ハウジングが、その前端部に取り付けられた注射針アセンブリを有する。2つの仕切りアセンブリが内側薬剤ハウジング内に受け取られ、内側薬剤ハウジングを3つのチャンバに分割する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】薬剤および液体組成物を装填された作動可能な状態での自動注射器の側断面図である。
【
図2】パワーアセンブリの作動後の自動注射器の側断面図である。
【
図3】パワーアセンブリの作動後の自動注射器の側断面図である。
【
図4】パワーアセンブリの作動後の自動注射器の側断面図である。
【
図5】パワーアセンブリの作動後の自動注射器の側断面図である。
【
図6】パワーアセンブリの作動後の自動注射器の側断面図である。
【
図7】仕切りプランジャの凹面にある自動注射器注射針の概略側面図および側断面図を示し、さらに、注射針を通る薬剤の流れを示す図である。
【
図8】自動注射器注射針および仕切りプランジャの概略上面図である。
【
図9】2つの仕切りアセンブリが内側薬剤ハウジング内に受け取られた、移動可能な内側薬剤ハウジングを有する代替実施形態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで図面を参照すると、
図1は、参照番号10によって全体を表される自動注射器の一実施形態の断面図を示す。見やすくするために、図面において、各図にすべての参照番号が含まれているわけではない。さらに、「上側」、「下側」、「側部」、「上部」、「底部」など位置を表す用語は、図面に示される向きにあるときの装置についてのものである。本発明の装置が、使用時には様々な向きを取ることができることを当業者は理解されよう。
【0019】
さらに
図1を参照すると、自動注射器10は、前端部14と後端部16を有するハウジング12を備える。ハウジング12は、自動注射器本体の外面を形成し、1つまたは複数の構造を含むことができる。例えば、
図1で、ハウジング12は、安全ピン18と、円筒形本体20と、注射針カバー22とを備える。ハウジング12は、好ましくは、概して中空であり、任意の材料から構成することができる。好ましくは、ハウジング12はプラスチックであるが、ガラスから形成することもできる。
【0020】
ハウジング12内部に、作動可能なパワーアセンブリ24が位置する。自動注射器デバイス用のパワーアセンブリは、当業者によく知られており、例えば、内容全体を参照により本明細書に組み込む米国特許第7,449,012号に記載されている。好ましくは、パワーアセンブリ24は、変形可能なコレットアーム26と、ばね28とを備える。いくつかの実施形態では、パワーアセンブリ24は、安全ピン18を取り外し、自動注射器10を人体上で位置決めすることによって作動される。より特定的には、いくつかの実施形態では、パワーアセンブリ24は、安全ピン18を取り外し、自動注射器ハウジング12の前端部14を人体の所望の注射部位に押し当てることによって作動される。
【0021】
図1は、薬剤および液体組成物を装填された作動可能な状態での自動注射器を示す。すなわち、自動注射器10のパワーアセンブリ24は、作動させることが可能であるが、まだ作動されておらず、自動注射器10は、液状の第1の薬剤と、第2の薬剤と、液体組成物とを含み、自動注射器10が患者に薬剤を送達することができるようになっている。第2の薬剤は、好ましくは固体状であり、液体組成物は、第2の(固体)薬剤を希釈するためのものである。この好ましい実施形態を、本記載において以下でさらに説明する。
【0022】
しかし、自動注射器10が、液状の第1の薬剤と、やはり液状の第2の薬剤とを含むこともできることを理解されたい。
【0023】
また、例えば、薬剤および液体組成物の装填前またはパワーアセンブリ24の作動後の自動注射器10の他の状態も本発明の範囲内にあることを理解されたい。例えば、
図2~
図6は、パワーアセンブリ24の作動後の自動注射器10を示す。
【0024】
さらに
図1を参照すると、自動注射器10は、さらに、ハウジング12内部に移動可能に位置する後方プランジャ30を含む。後方プランジャ30は、パワーアセンブリ24に動作可能に連係され、それにより、パワーアセンブリ24の作動後、パワーアセンブリ24は、ハウジング12内部で後方プランジャ30を前方に移動させる。
【0025】
自動注射器10は、さらに、液体組成物を含む第1のチャンバ32を含む。第1のチャンバ32およびその中に収納された液体組成物は、後方プランジャ30によって後端を定められる。また、チャンバ32の体積を調節するために、パワーアセンブリ24に対する後方プランジャ30の位置を調節することができることにも留意されたい。
【0026】
自動注射器10は、さらに、仕切りアセンブリ34を含み、仕切りアセンブリ34は、ハウジング12内に移動可能に位置し、第1のチャンバ32の前端を定める。仕切りアセンブリ34は、仕切りアセンブリバイパス36を備え、仕切りアセンブリバイパス36は閉位置と開位置を有し、閉位置では、仕切りアセンブリバイパス36は、第1のチャンバ32内に収納されている液体組成物が仕切りアセンブリ34を通って流れるのを妨げ、開位置は、第1のチャンバ32内に収納されている液体組成物が仕切りアセンブリ34を通ってハウジング12内部を前方に流れるためのものである。パワーアセンブリ24の作動後、仕切りアセンブリバイパス36は閉位置から開位置に移動し、液体組成物が第1のチャンバ32から仕切りアセンブリ34を通ってハウジング12内部を前方に流れることができるようにする。
【0027】
自動注射器デバイス用の仕切りアセンブリバイパスは、例えば、内容全体を参照により組み込む米国特許出願公開第2004/0097874号に記載されている。
【0028】
自動注射器10は、さらに、固体薬剤を含む第2のチャンバ38を含む。第2のチャンバ38およびその中に収納された固体薬剤は、仕切りアセンブリ34によって後端を定められる。いくつかの実施形態では、固体薬剤は粉末状である。好ましくは、固体薬剤は、凍結乾燥薬剤である。すなわち、凍結乾燥(あるいは「フリーズドライ」として知られている)を施された薬剤である。固体薬剤は、自動注射器10から患者に送達すべき第2の薬剤であるので、本明細書では「第2の薬剤」と呼ぶ。
【0029】
第1のチャンバ32内に含まれる液体組成物と、第2のチャンバ38内に含まれる第2の薬剤とは、第2の薬剤が液体組成物に可溶であるように選択される。なぜなら、仕切りアセンブリバイパス36を開放すると、液体組成物が第2のチャンバ38内に流れ、第2の薬剤と混ざって溶解し、それにより第2の薬剤および液体組成物を含む溶液を生成するからである。好ましくは、液体組成物は水溶液である。いくつかの実施形態では、第1のチャンバ32内に含まれる液体組成物が薬剤を含み、したがって、自動注射器10が3種の薬剤を患者に送達できるようにする。
【0030】
さらに、いくつかの代替実施形態では、第2のチャンバ38が、固体状の薬剤ではなく、液体薬剤を含むことができる。そのような実施形態では、仕切りアセンブリバイパス36を開放すると、液体組成物は、第2のチャンバ38内に流れ、第2のチャンバ38内の液体薬剤と混ざって、液体薬剤および液体組成物を含む溶液を生成する。
【0031】
自動注射器10は、さらに、仕切りプランジャ40を含み、仕切りプランジャ40は、ハウジング内部に移動可能に位置し、第2のチャンバ38の前端を定める。パワーアセンブリ24の作動後、液体組成物が仕切りアセンブリ34を通って第2のチャンバ38内に移動し始めた後、仕切りプランジャ40は、ハウジング12内部で前方に移動する。
【0032】
自動注射器10は、さらに、液体薬剤を含む第3のチャンバ42を含む。第3のチャンバ42およびその中に収納された液体薬剤は、仕切りプランジャ40によって後端を定められる。液体薬剤は、自動注射器10から患者に送達すべき第1の薬剤であるので、本明細書では「第1の薬剤」と呼ぶ。第1の薬剤に加えて、第3のチャンバ42はガス(空気でよいが、好ましくは不活性ガス)を含み、したがって、パワーアセンブリ24の作動後、第3のチャンバ42内のガスを圧縮して、仕切りプランジャ40をハウジング12内部で前方に移動させることができる。
【0033】
自動注射器10は、さらに、注射針長さ45と、前端部48と、後端部46とを有する注射針44を含む。図示されるように、
図1では、注射針44は注射針保管位置にあり、注射針保管位置では、注射針44はハウジング12内部に位置する。パワーアセンブリ24の作動後、注射針44は注射針保管位置から注射針完全延出位置に移動し、注射針完全延出位置で、注射針44は、ハウジング12の前端部から最大限延出した位置に達する。
【0034】
図1に示されるように、好ましくは、注射針カバー22は、注射針44の前端部48に被さるように位置する穿刺可能なシース50を備え、したがって、注射針44は、パワーアセンブリ24の作動後に、シース50を突き通って、ハウジング12から延出することができる。また、3つのチャンバを有する自動注射器のいくつかの実施形態では、使用前に手で取り外される注射針シースを有することも可能である。
【0035】
本発明で使用するための例示的な注射針が、
図7および
図8に示されている。図示されるように、注射針44は、針基52と、内部54と、外部56と、第1の開口58と、第2の開口60と、経路62とを備え、第1の開口58は、第1の薬剤と、第2の薬剤および液体組成物を含む溶液とがハウジング12から注射針44の内部54に入ることができるようにするためのものであり、第2の開口60は、第1の薬剤と溶液とを注射針44から射出することができるようにするためのものであり、経路62は、第1の薬剤と溶液とが第1の開口58を通って入って第2の開口60から出ることによって注射針44の内部54を通って流れることができるようにするためのものである。針基52は、好ましくは、仕切りプランジャ40の凹面64にあるが凹面64を覆わず、仕切りプランジャ40は、第1の薬剤および溶液が、針基52と仕切りプランジャ40の凹面64との間の領域内に流れ、注射針44の第1の開口58に入り、注射針経路62を通り、注射針44の第2の開口60から出ることができるようにする。この実施形態では、注射針44の第1の開口58は、針基52に位置する。
【0036】
しかし、本発明において他の実施形態を使用することもできることを理解されたい。例えば、注射針44の第1の開口58は、針基52よりも前方に位置させることができ、注射針44の周りに位置する複数のスリットを備えることができる。
【0037】
自動注射針10は、さらに、ハウジング12内部にバイパス65を含む。バイパス65は、パワーアセンブリ24の作動前には、仕切りプランジャ40に対して前方に位置し、仕切りプランジャ40を受け取るためのバイパス領域66をハウジング12内部に形成する。バイパス65は、ハウジング壁に画定された溝の形態、ハウジング壁の拡大された内径の形態、ハウジング壁から内方向に延在するリブの形態、ハウジング内に受け取られたケージ状のインサートの形態、または、仕切りプランジャ40がバイパス領域66内に受け取られるときに流体が仕切りプランジャ40の周りを通って流れることができるようにするのに適したそのような構造の任意の組合せの形態でよい。仕切りプランジャ40がバイパス領域66に入る前には、仕切りプランジャ40は、液体組成物および第2の薬剤を含む溶液が第2のチャンバ38から第3のチャンバ42内に流れるのを妨げるようにシールを形成する。仕切りプランジャがバイパス領域66内に受け取られるとき、仕切りプランジャ40は、第2のチャンバ38と第3のチャンバ42の間にシールをもはや形成せず、それにより、液体組成物および第2の薬剤を含む溶液が、仕切りプランジャ40の周りを通って注射針44の第1の開口58内に流れることができるようにする。
【0038】
操作および使用法の例示的な形態を、第1の薬剤と、第2の薬剤と、液体組成物とを装填された自動注射器について以下に述べる。操作法および使用法は単に例示にすぎないことを理解されたい。
【0039】
自動注射器10が提供される。自動注射器は、薬剤および液体組成物を装填された作動可能な状態にある(
図1参照)。
【0040】
安全ピン18が取り外され、自動注射器ハウジング12の前端部14が、人体の所望の注射部位に押し当てられる。変形可能なコレットアーム26が外れて、ばね28からエネルギーを解放する(
図2参照)。また、自動注射器は、自動注射器を注射部位に押し当てるのではなく、プッシュボタンによって作動されるように構成することもできることに留意されたい。
【0041】
ばねエネルギーにより、後方プランジャ30が、ハウジング12内部で前方に移動し始める。後方プランジャ30の前方への移動により、第1のチャンバ32の体積が減少し、第1のチャンバ32に圧力が加わる。第1のチャンバ32内部に蓄積された圧力によって、仕切りアセンブリバイパス36が開位置に移動し、液体組成物が仕切りアセンブリ34を通って第2のチャンバ38内に流れる(
図3参照)。
【0042】
液体組成物は、第2の薬剤を溶解し始め、液体組成物および第2の薬剤を含む溶液を生成する。液体組成物は、仕切りプランジャ40に圧力を加え、仕切りプランジャ40をハウジング12内部で前方に移動させる。さらに、仕切りプランジャ40の前方への移動により、第3のチャンバ42の体積が減少され、第3のチャンバ42内のガスが圧縮され、注射針44が注射針保管位置から注射針完全延出位置に移動し始める。注射針44が注射針保管位置から注射針完全延出位置に移動するとき、第1の薬剤が、注射針の第1の開口58に入り、注射針44の経路62を通って流れ、注射針44の第2の開口60から人体内に射出される。後方プランジャ30は、前方への移動を続け、液体組成物への第2の薬剤の溶解を補助する。(
図4および(注射針を通る薬剤の流れを示す)
図7参照)。
【0043】
仕切りプランジャ40は、バイパス領域66内に受け取られ、ハウジング12内部での前方への移動を停止する。注射針44は、注射針完全延出位置に達し、第1の薬剤は、注射針44内の経路62を通って流れなくなる。液体組成物および第2の薬剤を含む溶液は、第2のチャンバ38から仕切りプランジャ40の周りを通って第3のチャンバ42内に流れ、さらに注射針44内の経路62を通って流れる。第2の薬剤は、注射針44内の経路62を通って流れ、後方プランジャ30および仕切りアセンブリ34は、ハウジング12内部で前方に移動する。仕切りアセンブリ34の前方への移動により、第2のチャンバ38の体積が減少する(
図5および(注射針を通る薬剤の流れを示す)
図7参照)。
【0044】
後方プランジャ30および仕切りアセンブリ34は、前方への移動を停止し、液体組成物および第2の薬剤を含む溶液は、注射針44から射出しなくなる。薬剤の送達が完了する。好ましくは、薬剤の送達が完了したとき、第1のチャンバ32と、第2のチャンバ38と、第3のチャンバ42との体積はほぼゼロであり、これは、薬剤の送達が完了したときに自動注射器10内に薬剤がほとんどまたは全く残っていないことを保証する(
図6参照)。
【0045】
上述したように、自動注射器10の設計は、自動注射器10が、第1の薬剤と、第2の薬剤および液体組成物を含む溶液とを、人体内に異なる注射深さで投与できるようにする。より特定的には、バイパス領域66に入る前に仕切りプランジャ40によって形成されているシールにより、自動注射器10は、注射針44が注射針保管位置から注射針完全延出位置に移動するときに第1の薬剤を送達する。自動注射器10は、注射針44が完全延出位置に移動した後、第2の薬剤および液体組成物を含む溶液を送達する。第2の薬剤および液体組成物を含む溶液が、第1の薬剤の残渣を注射器44を通して洗い出すことができるので、注射針44が注射針完全延出位置に移動した後に少量の第1の薬剤が注射針44から射出されることがあることを理解されよう。しかし、第1の薬剤の好ましくは実質的にすべてが、注射針44が注射針完全延出位置に達する前に送達される。
【0046】
(
図9の実施形態)
図9に、自動注射器の代替実施形態が、全体を参照番号100で表されている。
図9において、
図1の自動注射器10のものと同一または同様の部分には同じ参照番号が付されている。
【0047】
自動注射器100は、外側ハウジングアセンブリ102と、移動可能な内側薬剤ハウジング104とを含む。後方プランジャ30および第1の仕切りアセンブリ34が、内側薬剤ハウジング104の穴内に受け取られる。また、内側薬剤ハウジング104内には、仕切りプランジャ40の代わりに、バイパス108を含む第2の仕切りアセンブリ106が受け取られる。注射針アセンブリ110は、移動可能な薬剤ハウジング104の前端部に取り付けられた注射針ハブ112を含み、注射針ハブ112は、外側ハウジング102に対して薬剤ハウジング104と共に移動する。注射針アセンブリ110は、さらに、注射針116と、押し潰し可能な注射針シース118とを含む。
【0048】
前述したように、チャンバ32、38、および42は、薬剤および/または液体組成物を収納することができる。第3のチャンバ42の前端部は、好ましくは、突き破ることができる膜114によって封止される。
【0049】
動作時、自動注射器100は、概して以下のように機能する。外側ハウジング102の前端部が、人体の所望の注射部位に当て置かれる。次いで、ばね28を解放するために、プッシュボタンアクチュエータ115が押される。
【0050】
ばねエネルギーにより、後方プランジャ30が、内側薬剤ハウジング104内部で前方に移動し始める。第1の仕切りアセンブリ34のバイパス36が開き、液体組成物が、第1のチャンバ32から第1の仕切りアセンブリ34を通って第2のチャンバ38内に流れ、第2の薬剤を溶解し始める。第2のチャンバ38が液体組成物で満たされると、第2の仕切りアセンブリ106に加えられる液圧によって第2のバイパス108が開き、内側薬剤ハウジング104全体および注射針アセンブリ110を前方に移動し始める。
【0051】
シース118が押し潰れ、注射針116が、押し潰し可能な注射針シース118の端部を貫通し、外側ハウジング102から人体内に、完全な注射針挿入深さまで延出する。第3のチャンバ42からの薬剤と、第2のチャンバ38からの溶解された薬剤とが、実質的に順次に、注射針116を通って、完全な注射針挿入深さで人体内に流れる。
【0052】
ここでは特許法令の要件に従って本発明を述べてきたが、当業者は、特定の要件または条件に見合うように、開示される実施形態に変更および修正を加える方法を理解されよう。添付の特許請求の範囲のみによって定義されて限定される本発明の範囲および精神から逸脱することなく、変更および修正を施すことができる。
本願発明は、以下の態様を含む。
1.
a)前端部および後端部を有するハウジングと、
b)前記ハウジング内部に移動可能に位置する後方プランジャと、
c)前記ハウジング内部に移動可能に位置する仕切りアセンブリであって、前記後方プランジャに対して前方に位置する仕切りアセンブリと、
d)前記ハウジング内部に移動可能に位置する仕切りプランジャであって、前記仕切りアセンブリに対して前方に位置する仕切りプランジャと、
e)前記仕切りプランジャに対して前方に位置する第1の薬剤であって、液状である第1の薬剤と、
f)前記仕切りプランジャと前記仕切りアセンブリの間に位置する第2の薬剤と、
g)前記仕切りアセンブリと前記後方プランジャの間に位置する液体組成物と、
h)注射針長さ、前端部、および後端部を有する注射針であって、前記ハウジング内部に位置する注射針保管位置から、前記ハウジングの前記前端部からの最大延出長さに達する注射針完全延出位置まで移動可能な注射針と、
i)前記後方プランジャを前記ハウジング内部で前方に移動させるための作動可能なパワーアセンブリと
を備える自動注射器。
2.
前記パワーアセンブリの作動後に、前記パワーアセンブリが、前記仕切りプランジャと、前記仕切りアセンブリと、前記後方プランジャとを前記ハウジング内部で前方に移動させ、前記注射針を前記注射針保管位置から前記注射針完全延出位置に移動させる上記1.に記載の自動注射器。
3.
前記仕切りアセンブリが仕切りアセンブリバイパスを備え、前記仕切りアセンブリバイパスが閉位置と開位置を有し、前記閉位置では、前記仕切りアセンブリバイパスが、前記液体組成物が前記仕切りアセンブリを通って流れて前記第2の薬剤と混ざるのを妨げ、前記開位置は、前記液体組成物が前記仕切りアセンブリを通って流れて前記第2の薬剤と混ざることができるようにするためのものである上記1.または2.に記載の自動注射器。
4.
前記ハウジングが、前記注射針の前記前端部に被さるように位置する穿刺可能なシースを備え、それにより、前記パワーアセンブリの作動後に、前記注射針が、前記シースを突き通って、前記ハウジングから延出することができる上記1.から3.のいずれかに記載の自動注射器。
5.
前記注射針が、内部と、外部と、第1の開口と、第2の開口と、経路とを備え、前記第1の開口が、前記第1の薬剤と、前記液体組成物および前記第2の薬剤を含む溶液とが前記ハウジングから前記注射針の前記内部に入ることができるようにするためのものであり、前記第2の開口が、前記第1の薬剤と前記溶液とを前記注射針から射出させることができるようにするためのものであり、前記経路が、前記第1の薬剤と前記溶液とが前記第1の開口を通って入って前記第2の開口から出ることによって前記注射針の前記内部を通って流れることができるようにするためのものである上記1.から4.のいずれかに記載の自動注射器。
6.
前記自動注射器が、前記ハウジング内部にバイパスをさらに備え、前記バイパスが、前記パワーアセンブリの作動前には前記仕切りプランジャに対して前方に位置し、前記バイパスが、前記仕切りプランジャを受け取るためのバイパス領域を前記ハウジング内部に形成し、それにより、前記仕切りプランジャが前記バイパス領域内に受け取られるときに、前記液体組成物および前記第2の薬剤を含む溶液が、前記仕切りプランジャの周りを通って前記注射針の開口内に流れることができる上記1.から5.のいずれかに記載の自動注射器。
7.
前記仕切りプランジャが、前記第1の薬剤の後端を定める上記1.から6.のいずれかに記載の自動注射器。
8.
前記第2の薬剤が、固体状である上記1.から7.のいずれかに記載の自動注射器。
9.
前記第2の薬剤が、凍結乾燥薬剤である上記8.に記載の自動注射器。
10.
前記液体組成物が、水溶液である上記1.から9.のいずれかに記載の自動注射器。
11.
3つのチャンバを有する自動注射器であって、
a)前端部および後端部を有するハウジングと、
b)前記ハウジング内部に移動可能に位置する後方プランジャと、
c)前記ハウジング内部に移動可能に位置する仕切りアセンブリであって、前記後方プランジャに対して前方に位置する仕切りアセンブリと、
d)前記ハウジング内部に移動可能に位置する仕切りプランジャであって、前記仕切りアセンブリに対して前方に位置する仕切りプランジャと、
e)液体組成物用の第1のチャンバであって、可変体積を有し、前記仕切りアセンブリによって前端を定められ、前記後方プランジャによって後端を定められる第1のチャンバと、
f)第2の薬剤用の第2のチャンバであって、可変体積を有し、前記仕切りプランジャによって前端を定められ、前記仕切りアセンブリによって後端を定められる第2のチャンバと、
g)第1の薬剤用の第3のチャンバであって、可変体積を有し、前記仕切りプランジャによって後端を定められる第3のチャンバと、
h)注射針長さ、前端部、および後端部を有する注射針であって、前記ハウジング内部に位置する注射針保管位置から、前記ハウジングの前記前端部からの最大延出長さに達する注射針完全延出位置まで移動可能な注射針と、
i)前記後方プランジャを前記ハウジング内部で前方に移動させるための作動可能なパワーアセンブリと
を備える自動注射器。
12.
前記パワーアセンブリの作動後、前記パワーアセンブリが、i)前記第1のチャンバの体積を減少させるように、前記後方プランジャを前記ハウジング内部で前方に移動させ、ii)前記第2のチャンバの体積を減少させるように、前記仕切りアセンブリを前記ハウジング内部で前方に移動させ、iii)前記第3のチャンバの体積を減少させるように、前記仕切りプランジャを前記ハウジング内部で前方に移動させ、iv)前記注射針を前記注射針保管位置から前記注射針完全延出位置に移動させる上記11.に記載の自動注射器。
13.
前記仕切りアセンブリが、前記液体組成物が前記第1のチャンバから前記仕切りアセンブリを通って前記第2のチャンバ内に流れることができるようにするための仕切りアセンブリバイパスを備える上記11.または12.に記載の自動注射器。
14.
前記第3のチャンバ内に収納された第1の薬剤を含み、前記第1の薬剤が液状である上記11.から13.のいずれかに記載の自動注射器。
15.
前記第2のチャンバ内に収納された第2の薬剤を含み、前記第2の薬剤が固体状である上記11.から14.のいずれかに記載の自動注射器。
16.
前記第1のチャンバ内に収納された液体組成物を含む上記11.から15.のいずれかに記載の自動注射器。
17.
自動注射器を使用して、第1の薬剤を第1の深さで、および第2の薬剤を第2の深さで人体内に投与する方法であって、
a)自動注射器を提供するステップであって、前記自動注射器が、
i)前端部および後端部を有するハウジングと、
ii)前記ハウジング内部に移動可能に位置する後方プランジャと、
iii)前記ハウジング内部に移動可能に位置する仕切りアセンブリであって、前記後方プランジャに対して前方に位置する仕切りアセンブリと、
iv)前記ハウジング内部に移動可能に位置する仕切りプランジャであって、前記仕切りアセンブリに対して前方に位置する仕切りプランジャと、
v)前記仕切りプランジャに対して前方に位置する第1の薬剤であって、液状である第1の薬剤と、
vi)前記仕切りプランジャと前記仕切りアセンブリの間に位置する第2の薬剤と、
vii)前記仕切りアセンブリと前記後方プランジャの間に位置する液体組成物と、
viii)注射針長さ、前端部、および後端部を有する注射針であって、前記ハウジング内部に位置する注射針保管位置から、前記ハウジングの前記前端部からの最大延出長さに達する注射針完全延出位置まで移動可能な注射針と、
ix)作動可能なパワーアセンブリと
を備えるステップと、
b)前記自動注射器を前記人体上で位置決めするステップと、
c)前記自動注射器の前記パワーアセンブリを作動させるステップと
を含む方法。
18.
前記第2の薬剤が固体状である上記17.に記載の方法。
19.
前記仕切りアセンブリが仕切りアセンブリバイパスを備え、前記仕切りアセンブリバイパスが閉位置と開位置を有し、前記閉位置では、前記仕切りアセンブリバイパスが、前記液体組成物が前記仕切りアセンブリを通って流れて前記第2の薬剤と混ざるのを妨げ、前記開位置は、前記液体組成物が前記仕切りアセンブリを通って流れて前記第2の薬剤と混ざることができるようにするためのものであり、前記方法が、さらに、
ステップ(c)後、前記仕切りアセンブリバイパスを開放し、前記仕切りアセンブリを通して前記液体組成物を流して、前記第2の薬剤を溶解するステップ
を含む上記18.に記載の方法。
20.
前記液体組成物によって前記仕切りプランジャに加えられた圧力に応じて、前記ハウジング内部で前記仕切りプランジャおよび前記注射針を前方に移動させるステップをさらに含む上記17.から19.のいずれかに記載の方法。
21.
前記注射針が、内部と、外部と、第1の開口と、第2の開口と、経路とを備え、前記第1の開口が、前記第1の薬剤と、前記液体組成物および前記第2の薬剤を含む溶液とが前記ハウジングから前記注射針の前記内部に入ることができるようにするためのものであり、前記第2の開口が、前記第1の薬剤と前記溶液とを前記注射針から射出させることができるようにするためのものであり、前記経路が、前記第1の薬剤と前記溶液とが前記第1の開口を通って入って前記第2の開口から出ることによって前記注射針の前記内部を通って流れることができるようにするためのものであり、前記方法がさらに、
ステップ(c)後、前記注射針を前記注射針保管位置から前記注射針完全延出位置に移動させるステップと、
前記注射針が前記注射針保管位置から前記注射針完全延出位置に移動するときに、前記第1の薬剤を、前記注射針の前記第2の開口を通して前記人体内に射出するステップと
を含む上記17.から20.のいずれかに記載の方法。
22.
前記注射針が、内部と、外部と、第1の開口と、第2の開口と、経路とを備え、前記第1の開口が、前記第1の薬剤と、前記液体組成物および前記第2の薬剤を含む溶液とが前記ハウジングから前記注射針の前記内部に入ることができるようにするためのものであり、前記第2の開口が、前記第1の薬剤と前記溶液とを前記注射針から射出させることができるようにするためのものであり、前記経路が、前記第1の薬剤と前記溶液とが前記第1の開口を通って入って前記第2の開口から出ることによって前記注射針の前記内部を通って流れることができるようにするためのものであり、
前記自動注射器が、前記ハウジング内部にバイパスをさらに備え、前記バイパスが、前記パワーアセンブリの作動前には前記仕切りプランジャに対して前方に位置し、前記バイパスが、前記仕切りプランジャを受け取るためのバイパス領域を前記ハウジング内部に形成し、それにより、前記仕切りプランジャが前記バイパス領域内に受け取られるときに、前記液体組成物および前記第2の薬剤を含む溶液が、前記仕切りプランジャの周りを通って前記注射針の前記第1の開口内に流れることができ、前記方法がさらに、
前記仕切りプランジャが前記バイパス領域内に移動した後、前記溶液を、前記注射針の前記第1の開口内に流し、前記注射針内の経路を通して、前記注射針の前記第2の開口から前記人体内に射出するステップ
を含む上記17.から21.のいずれかに記載の方法。
23.
前記溶液が前記注射針内の前記経路を通って流れるときに、前記ハウジング内部で前記後方プランジャおよび前記仕切りアセンブリを前方に移動させるステップ
をさらに含む上記22.に記載の方法。
24.
前記第2の薬剤が固体状であり、前記方法がさらに、
前記後方プランジャの前方への移動中に、前記第2の薬剤を前記液体組成物に溶解するステップ
を含む上記23.に記載の方法。
25.
前記ハウジング内部での前記仕切りアセンブリの前方への移動を停止させ、前記注射針内の前記経路を通る前記溶液の流れを止めるステップ
をさらに含む上記23.または24.に記載の方法。
26.
ステップ(c)後、前記注射針を前記注射針保管位置から前記注射針完全延出位置に移動させるステップ
をさらに含む上記17.から25.のいずれかに記載の方法。
27.
前記注射針保管位置から前記注射針完全延出位置への前記注射針の移動中に、前記第1の薬剤を前記人体内に送達するステップと、
前記注射針完全延出位置への前記注射針の移動後に、前記液体組成物および前記第2の薬剤を含む溶液を前記人体内に送達するステップと
をさらに含む上記26.に記載の方法。
28.
液体薬剤と、固体薬剤と、液体組成物とを含む自動注射器であって、
a)前端部および後端部を有する外側ハウジングと、
b)前記外側ハウジングに移動可能に受け取られた内側薬剤ハウジングと、
c)前記内側薬剤ハウジング内部に移動可能に位置する後方プランジャと、
d)前記内側薬剤ハウジング内部に移動可能に位置する第1の仕切りアセンブリであって、前記後方プランジャに対して前方に位置する第1の仕切りアセンブリと、
e)前記内側薬剤ハウジング内部に移動可能に位置する第2の仕切りアセンブリであって、前記第1の仕切りアセンブリに対して前方に位置する第2の仕切りアセンブリと、
f)前記第2の仕切りアセンブリに対して前方に位置する第1の薬剤であって、液状である第1の薬剤と、
g)前記第2の仕切りアセンブリと前記第1の仕切りアセンブリとの間に位置する第2の薬剤であって、固体状である第2の薬剤と、
h)前記第1の仕切りアセンブリと前記後方プランジャの間に位置する液体組成物と、
i)注射針長さ、前端部、および後端部を有する注射針であって、前記内側薬剤ハウジングの前端部に取り付けられた注射針と、
j)前記後方プランジャを前記内側薬剤ハウジング内部で前方に移動させるための作動可能なパワーアセンブリと
を備える自動注射器。
【符号の説明】
【0053】
10 自動注射器
12 ハウジング
14 前端部
16 後端部
18 安全ピン
20 円筒形本体
22 注射針カバー
24 パワーアセンブリ
26 コレットアーム
28 ばね
30 後方プランジャ
32 第1のチャンバ
34 仕切りアセンブリ
36 仕切りアセンブリバイパス
38 第2のチャンバ
40 仕切りプランジャ
42 第3のチャンバ
44 注射針
45 注射針長さ
46 後端部
48 前端部
50 シース
52 針基
54 内部
56 外部
58 第1の開口
60 第2の開口
62 経路
64 凹面
65 バイパス
66 バイパス領域