(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】着色多層複合繊維
(51)【国際特許分類】
B32B 5/26 20060101AFI20220916BHJP
D06M 17/00 20060101ALI20220916BHJP
F41H 1/02 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
B32B5/26
D06M17/00 L
F41H1/02
(21)【出願番号】P 2019507186
(86)(22)【出願日】2017-09-05
(86)【国際出願番号】 US2017050021
(87)【国際公開番号】W WO2018048771
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2020-08-28
(32)【優先日】2016-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ロリー・エル・ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・デュアン・アルヴィドソン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エイ・デイヴィス
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・ジェラルド・アーディフ
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/177227(WO,A2)
【文献】独国実用新案第202011109331(DE,U1)
【文献】特表2005-523179(JP,A)
【文献】特表2010-524734(JP,A)
【文献】米国特許第07200871(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
D06M 17/00-17/10
F41A 1/00-99/00
F41B 1/00-15/10
F41C 3/00-33/28
F41F 1/00- 7/00
F41G 1/00-11/00
F41H 1/00-13/00
F41J 1/00-13/02
F42B 1/00-99/00
F42C 1/00-99/00
F42D 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層複合材料であって、
a)外側繊維材料層の厚さに切り込まれ、そこを完全に通る成形された開口部のパターンを含む穿孔を有する、穿孔された着色外側繊維材料層であって、前記外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニール以下の靭性を有する繊維を含み、前記外側繊維材料層は少なくとも1つの色を有する、穿孔された着色外側繊維材料層と、
b)前記外側繊維材料層と接合された繊維基層であって、前記繊維基層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有する繊維を含み、前記外側繊維材料層は、前記繊維基層とは異なる着色外観を有する、繊維基層と、
c)前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間の着色ポリマー材料であって、前記着色ポリマー材料は少なくとも1つの色を有する、着色ポリマー材料と、を含み、
前記着色ポリマー材料は、前記穿孔を介して部分的に露出し、前記穿孔を介した前記繊維基層の視覚的露出は、前記着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、前記穿孔を介して露出する前記着色ポリマー材料の部分は、前記外側繊維材料層によって偽装される、多層複合材料。
【請求項2】
多層複合材料であって、
a)穿孔された着色外側繊維材料層であって、前記外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、前記プライのそれぞれはナイロン繊維を含み、前記外側繊維材料層は、迷彩パターンで着色され、前記穿孔は、前記厚さ外側繊維材料層に切り込まれ、そこを完全に通る成形された開口部のパターンを含む、穿孔された着色外側繊維材料層と、
b)前記外側繊維材料層と接合された繊維基層であって、前記繊維基層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有するポリエチレン繊維を含み、前記外側繊維材料層は、前記繊維基層とは異なる着色外観を有する、繊維基層と、
c)前記外側繊維材料層と前記繊維基層との間にあり、そこに取り付けられた着色ポリマー材料であって、前記着色ポリマー材料は1つの色を有し、前記着色ポリマー材料の前記色は、前記外側繊維材料層の前記迷彩パターンの色のうちの1つと同一である、着色ポリマー材料と、
d)前記繊維基層上の裏当て層であって、前記裏当て層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有するポリエチレン繊維を含む、裏当て層と、を含み、
前記着色ポリマー材料は、前記穿孔を介して部分的に露出し、前記穿孔を介した前記繊維基層の視覚的露出は、前記着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、前記穿孔を介して露出する前記着色ポリマー材料の部分は、前記繊維材料層によって偽装される、多層複合材料。
【請求項3】
2種類以上の異なる繊維材料層を含む多層複合材料を形成する方法であって、
a)外側繊維材料層の厚さに切り込まれ、そこを完全に通る成形された開口部のパターンを含む穿孔を有する、穿孔された着色外側繊維材料層を準備することであって、前記外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、前記外側繊維材料層は少なくとも1つの色を有する、ことと、
b)着色ポリマー材料を準備することであって、前記着色ポリマー材料は、前記外側繊維材料層の少なくとも1つの色に一致する色で着色される、ことと、
c)繊維基層を準備することであって、前記繊維基層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有する繊維を含み、前記外側繊維材料層は、前記繊維基層とは異なる着色外観を有する、ことと、
d)前記繊維基層を前記外側繊維材料層に同一の広がりを持って取り付けることであって、前記着色ポリマー材料の少なくとも一部は、前記繊維基層と前記外側繊維材料層との間に位置付けられ、前記着色ポリマー材料の一部は、前記繊維材料層内の前記穿孔のそれぞれの裏側に位置付けられることと、を含み、
前記着色ポリマー材料は、前記穿孔を介して部分的に露出し、前記穿孔を介した前記繊維基層の視覚的露出は、前記着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、前記穿孔を介して露出する前記着色ポリマー材料の部分は、前記繊維材料層によって偽装され
、前記外側繊維材料層の繊維プライのそれぞれが10g/デニール以下の靭性を有する繊維を含む、方法。
【請求項4】
前記着色ポリマー材料が前記繊維基層上にあり、前記着色ポリマー材料及び前記繊維基層のそれぞれが前記外側繊維材料層の穿孔のすぐ裏側に配置された、請求項1に記載の多層複合材料。
【請求項5】
前記外側繊維材料層が一以上の織布繊維プライを含み、前記繊維基層が一以上の不織繊維プライを含む、請求項2に記載の多層複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照として本明細書に援用される、2016年9月7日出願の同時係属中の米国特許仮出願第62/384,437号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、偽装された外観を有する多層複合材料に関する。より具体的には、本開示は、複合材料の裏層、つまり内部層を隠蔽するために着色成分を組み込む多層繊維複合材料に関連する。
【背景技術】
【0003】
防弾ベストなど身体防護製品には、通常、耐弾道材料のパネルを位置付ける区画又はポケットを含むカバーが付いている。柔らかい身体防護カバーは、例えば、バリスティックナイロン、綿、及び/又は他の繊維タイプから作製された織布などの織布を含む。ベストカバーを含む周知の防弾ベストの一例は、動き回る将校による着用時に適切な防護位置にとどまるベストを提供する、米国特許第5,398,340号に開示されている。
【0004】
現在のタクティカルベスト用外側ベストカバーは、通常、Invista North America S.A R.L.(Wilmington,DE)によって市販されている、従来周知のCORDURA(登録商標)ブランドのナイロン布など耐摩耗性のナイロン織布及びPouch Attachment Ladder System(PALS)ウェビングデザインで製造される。従来のPALSウェビングデザインでは、高耐久性ナイロンの列がベスト又はベストカバーに縫い付けられて、アクセサリー及びアクセサリーを保持するためのポーチが取り付けられ得る、取り付け点のグリッドを形成する。PALSウェビングデザインを組み込んでいる耐荷装備及び衣服は、モジュールライトウェイトロードキャリングエクイプメント(MOLLE)として周知であり、MOLLE準拠ポーチ及びアクセサリーは広く市販されている。
【0005】
有用ではあるものの、PALS/MOLLE構造はベストにかなりの重量を加え、三次元のPALSグリッドは合理化された可動性を提供しない。したがって、従来のMOLLE構造に代わるものが開発されている。1つの代替案は、Safariland LLC(Jacksonville,FL)から市販されている、FAV(商標)Advanced Webless System(AWS)として周知である。このAWS(
図1に示される)は、ベストカバーに縫い付けられる従来のPALSナイロンウェビンググリッドの代わりに、ベストカバーの布地に切り込まれ、貫通する孔又はスロットを組み込む布地を使用する
ことによって、ベストカバー自体の内部に取り付け点を提供する。例えば、MOLLEアタッチメント用ストラップを提供するために、布シートを通って延在するスロットの配列を有する布シートとしてAWSを説明する、米国特許第7,200,871号を参照されたい。このAWS構造は、従来の三次元PALSグリッドに類似の機能を提供するものの、スロットは、PALSグリッドの取り付け点ほどの耐久性はなく、繰り返し使用すると、スロットの下縁部の布地が伸びて、弛む傾向にある。この弛みによってスロットの完全性が低下し、モジュール式アタッチメントをベストにしっかり固定することが困難になり、最終的には、スロットの完全な断裂を引き起こし得る。
【0006】
この問題に対する解決法は、本明細書と矛盾のない限り、参照として本明細書に援用される、同時継続中の米国特許出願第15/081,428号に記載されているように、Honeywell International Inc.によって考案されている。当該開示では、関連技術の問題を克服する、向上した布強度及び長期耐久性を有するウェブレス取り付けシステムが提供される。具体的には、表地及び表地に取り付けられる、又はそれに接合される基布を組み込む、多層繊維複合材料が提供される。スロット(本明細書では、穿孔とも称される)は表地に切り込まれて、ポーチ、武器、及び他の戦闘用アクセサリーを取り付け可能にし、基布は向上した強度を提供して、複合材料の伸び及び弛みを防止する。
【0007】
タクティカルベストカバーの技術分野では、表地の少なくとも最外面を、指定された色グループでアーストーン又は迷彩パターンに着色することが通常であり、迷彩パターンとしては、U.S.ウッドランド、タイガーストライプ、フレックターンなど従来周知の迷彩パターンが挙げられ、特に、砂漠、森林地帯、又は都市環境において偽装された外観を提供するために有用な色を使用する。しかしながら、現在では、表地に切り込まれたスロット(穿孔)を介して基層が容易に見え得るために、表地の裏側に高強度の基層を加えることは、ベストカバーの偽装された外観を損なうという意図せぬ結果をもたらすことが認識されている。基層を形成する高強度繊維の化学的特性及び物理的特性のために、着色剤組成物は繊維に良好に結合せず、したがって、繊維は容易に着色され得ず、特定の色選択又はパターンでの着色度が低い。この点については、基層の形成に最も好ましい繊維タイプは、ポリエチレン、特に超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)から形成された繊維である。例えば、米国特許第8,658,244号(Nguyenら)に記載されるように、容易に擦り落とされない色を有する、高靭性ポリエチレン繊維から形成された糸を提供することは非常に困難である。この点について、米国特許第8,658,244号は、個々のマルチフィラメント糸を着色剤組成物でコーティングし、次いで、糸を加熱し、伸ばす(糸は、マルチフィラメント糸のフィラメントを溶かすことなく、同時に伸ばす)方法を教示する。この方法は、単一の同一色を有する布を効果的に形成するために使用できるものの、2色以上又は色のパターンを有する布の着色には使用できない。更に、この方法は、製造コストを増加させる、更なる処理の複雑性を追加する。したがって、当該技術分野には、上記のように多層ベストカバー構造の内部、つまり後部に色を加えて、ベストカバーの偽装された外観を保持する、より効率的な方法に対するニーズが存在する。本開示は、この必要性に対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、基層に取り付けられている、着色された表地を有する多層複合材料を提供する。表地(外側繊維材料層)は、一連の孔又はスロットで穿孔され、又は切リ取られ、アクセサリー又はアクセサリーを保持するポーチに取り付け点を提供する。スロットは、表地を完全に通って延在し、したがって、ポリマーコーティングを有する基層又は外側繊維材料層と基層との間に位置する中間接着層のいずれかである、表地のすぐ裏側の層を露出させる。このコーティング又は中間接着剤は、表地の偽装された外観を損なわないように着色剤組成物で着色されており、高靭性着色繊維でベストカバーを製造する必要性を回避する。
【0009】
より具体的には、多層複合材料であって、
a)穿孔された着色外側繊維材料層であって、当該外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、当該外側繊維材料層は少なくとも1つの色を有する、穿孔された外側繊維材料層と、
b)外側繊維材料層と接合された繊維基層であって、当該基層は1つ以上の繊維プライを含み、当該繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有する繊維を含み、外側繊維材料層は、基層とは異なる着色外観を有する、繊維基層と、
c)当該外側繊維材料層と当該基層との間の着色ポリマー材料であって、当該着色ポリマー材料は少なくとも1つの色を有する、着色ポリマー材料と、を含み、
着色ポリマー材料は、当該穿孔を介して部分的に露出し、当該穿孔を介した基層の視覚的露出は、着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、当該穿孔を介して露出する着色ポリマー材料の部分は、繊維材料層によって偽装される、多層複合材料が提供される。
【0010】
また、多層複合材料であって、
a)穿孔された着色外側繊維材料層であって、当該外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、当該プライのそれぞれはナイロン繊維を含み、当該外側繊維材料層は、迷彩パターンで着色され、当該穿孔は、外側繊維材料層の厚さに切り込まれ、そこを完全に通る成形された開口部のパターンを含む、穿孔された着色外側繊維材料層と、
b)外側繊維材料層と接合された繊維基層であって、当該基層は1つ以上の繊維プライを含み、当該繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有するポリエチレン繊維を含み、外側繊維材料層は、基層とは異なる着色外観を有する、繊維基層と、
c)当該外側繊維材料層のそれぞれと当該基層との間にあり、そこに取り付けられた着色ポリマー材料であって、当該着色ポリマー材料は1つの色を有し、着色ポリマー材料の色は、外側繊維材料層の当該迷彩パターンの色のうちの1つと同一である、着色ポリマー材料と、
d)当該繊維基層上の裏当て層であって、裏当て層は1つ以上の繊維プライを含み、当該繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有するポリエチレン繊維を含む、裏当て層と、を含み、
着色ポリマー材料は、当該穿孔を介して部分的に露出し、当該穿孔を介した基層の視覚的露出は、着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、当該穿孔を介して露出する着色ポリマー材料の部分は、繊維材料層によって偽装される、多層複合材料が提供される。
【0011】
更に、多層複合材を形成する方法であって、
a)穿孔された着色外側繊維材料層を準備することであって、当該外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、当該外側繊維材料層は少なくとも1つの色を有する、ことと、
b)着色ポリマー材料を準備することであって、当該着色ポリマー材料は、当該外側繊維材料層の少なくとも1つの色に一致する色で着色される、ことと、
c)繊維基層を準備することであって、当該基層は1つ以上の繊維プライを含み、当該繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有する繊維を含み、外側繊維材料層は、基層とは異なる着色外観を有する、ことと、
d)繊維基層を外側繊維材料層に同一の広がりを持って取り付けることであって、着色ポリマー材料の少なくとも一部は、繊維基層と外側繊維材料層との間に位置付けられ、着色ポリマー材料の一部は、当該繊維材料層内の穿孔のそれぞれの裏側に位置付けられる、ことと、を含み、
着色ポリマー材料は、当該穿孔を介して部分的に露出し、当該穿孔を介した基層の視覚的露出は、着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、当該穿孔を介して露出する着色ポリマー材料の部分は、繊維材料層によって偽装される、多層複合材を形成する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】米国特許第7,200,871号に記載され、例示されるように、表地を通って切り取られたスロットを有する、従来技術のFAV(商標)Advanced Webless Systemの斜視図の概略表示である。
【
図3】繊維基層に位置付けられた外側繊維材料層の斜視図の概略表示であり、各層は、他層の繊維に対して直交した繊維及び-45°/+45°で位置付けられている1つの層の繊維で形成される。
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書で提供される複合材料は、2種類以上の異なる繊維材料層を含み、各層は1つ以上の繊維プライを含む。各繊維材料層の繊維プライのそれぞれは複数の繊維を含み、各プライは、任意選択的に繊維上にポリマー結合剤材料を有する。最も広範には、第1及び第2の表面を有する外側繊維材料層(第1の繊維材料層)並びに第1及び第2の表面を有する繊維基層(第2の繊維材料層)は、外側繊維材料層の第2の表面が基層の第1の表面に接着結合されるように結合される。別の実施形態では、第1及び第2の表面を有する裏当て層(第3の繊維材料層)は基層に取り付けられ、基層の第2の表面は、裏当て層の第1の表面に取り付けられる。
【0014】
本開示の各実施形態では、外側繊維材料層の各プライは、好ましくは低引張強度繊維で製造され、基層の各プライ及び任意追加的な裏当て層は、高引張強度繊維で製造される。本明細書で使用される場合、「繊維」は、長さ寸法が、幅及び厚さの横断寸法よりもはるかに大きい、ポリマー材料のストランドなどの、材料の長いストランドである。繊維は、「ステープル」又は「ステープル繊維」と当該技術分野において称されるストランドの短い区分よりもむしろ、長い、連続したストランドが好ましい。通常の定義による「ストランド」は、糸又は繊維などの単一の、薄い、長さのものである。本明細書で使用するための繊維の断面は、大きく異なってもよく、断面が円形、平坦、又は長円であってもよい。ストランドはまた、フィラメントの直線軸又は長手方向軸から突出している、1つ以上の規則的な又は不規則な突出部を有する、不規則な又は規則的な複数の突出部のある断面のものであってもよい。したがって、用語「繊維」は、規則的な又は不規則な断面を有する、フィラメント、リボン、ストリップ等を含む。実質的に円形断面を有する繊維が好ましい。単繊維は、1本のフィラメントからか、又は複数本のフィラメントから形成されてもよい。一本だけのフィラメントから形成された繊維は、本明細書では、「単一フィラメント」繊維、又は「モノフィラメント」繊維のいずれかと称され、複数のフィラメントから形成された繊維は、本明細書では、「マルチフィラメント」繊維と称される。本明細書で定義されるように、マルチフィラメント繊維としては、2~約3000フィラメント、より好ましくは2~1000フィラメント、更により好ましくは30~500フィラメント、更により好ましくは40~500フィラメント、更により好ましくは約40フィラメント~約240フィラメント、及び最も好ましくは約120~約240フィラメントが挙げられる。マルチフィラメント繊維はまた、多くの場合、当該技術分野において、繊維束又はフィラメントの束と称される。本明細書で使用される場合、用語「糸(yarn)」は、複数のフィラメントからなる単一ストランドとして定義され、「マルチフィラメント繊維」と交換可能に使用される。用語「靭性」は、応力を受けていない試料の、線密度(デニール)単位当たりの力(グラム)として表現される、引張強度を指す。用語「初期引張弾性率」は、引張の変化に対するデニール当たりの重力グラム(g/d)で表され、元の繊維/テープの長さ(インチ/インチ)の分数として表される、靭性の変化の比を指す。
【0015】
用語「デニール」は、繊維/糸の9000メートル当たりのグラムにおける質量と等しい、線密度の単位である。この点については、各層を形成する繊維は、任意の好適なデニールのものであってもよい。例えば、繊維は、約50~約5000デニール、より好ましくは約200~約5000デニール、更により好ましくは約300~約3000デニール、最も好ましくは約350~約1000デニールのデニールを有してよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、繊維材料「層」は、一方向に配向されたか、又はランダムに配向された(例えば、フェルト)不織繊維の単一プライ、単一の一体型構造に圧密化されている不織繊維の複数のプライ、織布の単一プライ、単一の一体型構造に圧密化されている複数の織布プライ、編地の単一プライ、又は単一の一体型構造に圧密化されている複数の編地プライを含む、任意のタイプの単軸布又は多軸布を含み得る。この点については、「層」は、外側前/頂部(第1の)平面及び外側後/底部(第2の)平面を有する、概ね平面的な配置を説明している。本明細書で使用される場合、用語「繊維プライ」は、一方向に配向された繊維の単一の配列、単一の織布、単一の編地又は単一のフェルト布を指す。各繊維プライはまた、第1の表面及び第2の表面の両方を有し、複数の「繊維プライ」は、繊維構造の1つ以上のプライを説明している。一方向に配向された繊維の「単一プライ」は、一方向の、実質的に平行な配列に整列された繊維の配置を含む。このタイプの繊維配置はまた、当該技術分野において、「ユニテープ」、「一方向テープ」、「UD」、又は「UDT」としても知られている。本明細書で使用される場合、「配列」は、織布及び編地を除く、繊維又は糸の規則正しい配置を説明し、「平行な配列」は、繊維又は糸の規則正しい、隣り合った、平面配向の平行な配置を説明している。「配向された繊維」との関係で使用される場合、用語「配向された」は、繊維の伸びよりはむしろ、繊維の整列方向を指す。用語「布」は、プライの圧密化/成形の有無にかかわらず、1つ以上の繊維プライを含み得る繊維構造を説明している。一方向繊維から形成された不織布は、典型的には、実質的に同一の広がりを持つ様式で互いに面と面で積層され、圧密化されている複数の不織繊維プライを含む。本明細書で使用されるとき、「単一層」構造は、複数のプライが、圧密化又は成形技術によって合体されている、1つ以上の個々のプライで構成された任意のモノリシック繊維構造を指す。用語「複合材料」は、要素の組み合わせを指し、繊維の組み合わせ、繊維プライの組み合わせ、及び繊維層の組み合わせをそれぞれ任意選択的に指してよいが、好ましくはポリマー結合剤材料を更に含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「高引張強度」繊維は、各々ASTM D2256によって測定された、少なくとも10g/デニールの靭性、少なくとも約150g/デニール以上の初期引張弾性率、少なくとも約8J/g以上の破断エネルギーを有するものである。本明細書で使用される場合、「低引張強度繊維」は、10g/デニール未満の靭性を有するものである。外側繊維材料層の各プライは、繊維基層の各プライを形成する繊維よりも低い引張強度を有する繊維から形成される。好ましい実施形態では、外側繊維材料層の繊維プライのそれぞれを形成する繊維のそれぞれは、好ましくは10g/デニール未満、より好ましくは約5g/デニール~約10g/デニールの靭性を有する、最も好ましくは7g/デニール未満、6g/デニール未満、又は5g/デニール未満の靭性を有する繊維である。より高い、又はより低い靭性の繊維はまた、その靭性が繊維基層を形成する繊維よりも低い場合、外側繊維材料層の形成において有用である。
【0018】
これらの靭性範囲内にある、外側繊維材料層の形成に好適な低靭性繊維としては、非限定的に、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、低靭性ポリオレフィン繊維、又はこれらの組み合わせが挙げられる。これらの繊維タイプのうち、ナイロン繊維が最も好ましい。かかる繊維から形成される布は、広範に市販されている。本明細書で使用するのに特に好適なものは、市販のミリタリーグレードのナイロン布(当該技術分野では、MIL規格ナイロン布とも称される)である。この点については、ミリタリーグレード又は「MIL規格」(ミリタリー規格)ナイロンは、米国政府に対する販売の条件を満たすために米軍によって定められた特定の基準を満たす布を指す。MIL-T-5038布、MIL-W-4088布、MIL-W-5625布、MIL-W-17337布、MIL-W-27065布、MIL-W-43668布、MIL-DTL-32439布、A-A-55301布、A-A-59403布、A-A-549403a布、MIL-C-3953布、MIL-C-7219布、MIL-C-10799布、MIL-C-12369布、MIL-C-43128布、MIL-C-43734布、MIL-C-43734D-Class 3布、MIL-C-43375布、及びForestry Service(5100-86)布などいくつかの異なる仕様のナイロンウェビングが米国政府による使用条件を満たすとみなされおり、これらのすべては、本明細書において布層のうちの1つを形成するのに有用である。各MIL規格は、意図されるタイプの防護用途に応じた、糸デニール、布の織密度、及び布の目付などの特性に対する要件と共に、材料がタクティカルベスト/ベストカバー/プレートキャリア用途など軍事用衣料用途で使用され得るときの特定の要件を示す。これらの一部はまた、軍の条件を満たすとみなされる、特定の偽装着色法を指定する。
【0019】
第1の繊維層の形成に特に有用である、1つの従来周知のタイプのMIL規格ナイロン布は、CORDURA(登録商標)ブランドのナイロン布であり、これは、Invista North America S.A R.L.(Wilmington,DE、少なくとも軍用規格MIL-W-43668/A-A-55301に分類される)から市販される。かかる市販のナイロン織布は、場合によっては、撥水性ポリウレタンなど撥水性樹脂が少なくとも1つの表面にコーティングされるが、このコーティングは任意選択的であり、通常、関連するMIL規格に示される。MIL規格による指定の有無にかかわらず、好ましいナイロン布は、低デニールのリップストップ生地(およそ30~100デニール)~高デニールのバリスティック生地(およそ400~1500デニール)の範囲のデニール及び重量の範囲で入手可能である。外側繊維材料に特に好ましい繊維は、400~2000デニール、より好ましくは約500~約1500デニール、最も好ましくは約500~約1000デニールのデニールを有するナイロン繊維である。
【0020】
最も好ましくは、外側繊維材料層は、約500~1000デニールのデニールを有し、織密度が少なくとも26繊維/糸の縦の打ち込み本数×26繊維/糸の縦の打ち込み本数を有するナイロン繊維から形成されるナイロン織布の単プライを含む。かかる市販のナイロン織布は、通常、少なくとも1つのその表面が撥水性ポリウレタン樹脂でコーティングされるが、このコーティングは任意選択的である。タクティカルベスト又はベストカバー用途では、満たす必要があり、軍用規格MIL-DTL-32439によって規定される、ナイロン布に対する特定の要件が存在し、意図されるタイプの防護用途に応じて、糸デニール、織密度、及び布の目付などの特性を含む特定の要件を有する。したがって、外側繊維材料層の特性は用途に応じて変わり得るが、外側繊維材料層は、MIL-DTL-32439規格に準拠することが最も好ましく、これは、当業者によって容易に達成されるであろう。
【0021】
本開示の目的として、外側繊維材料層は、無着色ではなく、着色である。本明細書で使用される場合、「着色」は非白色として定義され、非白色は、少なくとも1つの着色剤(例えば、染料及び/又は顔料)又は着色剤組成物を繊維に適用することにより達成される。一部の低靭性繊維の場合、着色剤は、繊維材料を形成する繊維にも組み込まれてもよい。前述したように、外側繊維材料層の形成に好適な低靭性繊維としては、非限定的に、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、低靭性ポリオレフィン繊維、又はこれらの組み合わせが挙げられ、ナイロン繊維が最も好ましい。ナイロン繊維が容易に着色されることは周知である。ナイロン布は、単一の着色剤で、例えば、標準的な染料水溶液又は有機溶媒型染料溶液に繊維を浸すことにより着色され得る。また、着色剤を布の表面に結合させる従来の捺染法によって、ナイロン及び他の布を装飾画像、又は迷彩パターンなどパターンで着色することが周知である。かかる方法としては、ハンドブロック印刷、ペロチン印刷、銅板印刷、ローラー、シリンダー、又は機械印刷、ステンシル印刷、スクリーン印刷、及びデジタル捺染印刷が挙げられる。任意の特定の迷彩パターン又は装飾画像の形成及び/又は適用に好適な着色剤の好適なタイプは、当業者によって容易に決定され、非限定的に酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応性染料、天然染料、及び多目的染料、例えば、Phoenix Brands LLC(Stamford,CT)から市販されているRit(登録商標)ブランド染料が挙げられる。布への迷彩パターンの印刷に使用される例示的な染料及び方法は、いずれも米国政府によって所有され、本明細書と矛盾のない限り、参照として本明細書に援用される、米国特許第6,805,957号、同第9,062,938号、及び同第9,074,849号に詳述されている。
【0022】
上述したように、外側繊維材料層は、ベストカバーの布に切り込まれ、そこを完全に通る複数のスロット(穿孔)を含んで、アクセサリーに取り付け点を提供するように更に設計されている。本明細書と矛盾のない限り、参照として本明細書に援用される、米国特許第7,200,871号(Safariland LLC)に詳述されるように、また
図1に示されるように、布は、布シートを通って延在してMOLLE着脱式ポケット用ストラップを提供する、いくつかの列(配列)の回転ダイカットスロット(穿孔)を含む。そこに記載されるように、スロットは、概ね矩形であり、1.25インチ×1/8インチの寸法を有し、当該スロットは、水平方向に1.5インチ離間し、列は、垂直方向に1.0インチ離間する。しかしながら、これらの寸法はほんの一例であり、厳密に制限することを意図するわけではない。スロット形状はまた、多種多様であってよい。例えば、これらは、
図1に示されるように矩形形状ではなく、水平楕円形状を有するように切り取られてよい。加えて、従来のロータリーダイカット機器を使用してスロットの配列を形成することが最も効率的であるが、スチールルールダイカット又はレーザー切断など任意の好適な別の方法が使用されてもよい。スロットの列数及び各列内のスロット数はまた、製造者が所望するように多種多様であってよく、厳密に制限することを意図するわけではない。TAC PR(商標)Advanced Webless SystemとしてSafariland LLCから市販されている、1つの例示的な従来技術のタクティカルキャリアでは、タクティカルキャリアは、ベストカバーの前向き部分に切り込まれた10~14列のスロットを有して製造され、各列は5~8個のスロットを有する。この従来技術の構造では、スロット付きキャリアは、本開示で導入されているように高靭性繊維材料の裏当てのみを有さないナイロン布で製造されるが、本開示の外側繊維材料層のスロットの有用なパターンを示す。
【0023】
上述したように、外側繊維材料層の形成に使用される繊維は、容易な着色性など多くの望ましい特性を有するものの、かかる低靭性繊維から形成される繊維材料は、長期強度及び耐久性など他の理想的な物理的特性を欠く。本開示の外側繊維材料層の特定の穿孔構造を有する材料の場合、スロットの下縁部の材料は、アタッチメント(すなわち、MOLLE式アクセサリーなど)の重量からの伸び及び弛みに対して経時的に脆弱である。この問題を克服するために、外側繊維材料層は、外側繊維材料層を形成する繊維よりも高い引張強度を有する高引張強度繊維から形成される繊維基層と接合される。しかしながら、これらの高引張強度繊維は、染料及び着色に対して概ね耐性を示す。開放スロット(穿孔)の裏側にある基層の部分がこれを介して露出するため、これは、問題になり得る。複合材料が迷彩物品を形成するために使用される用途では、基層は、外側層の色と視覚的に一致する、又はそれに溶け込む外観を有するようには容易に着色できない。本開示のプロセスは、上述したように、低靭性外側繊維材料層(すなわち、表地)と高靭性繊維基層との間に着色ポリマー層を組み込み、スロット/穿孔を介して露出する基層の部分を偽装する、隠蔽する、又は更には完全に隠すのではなく、繊維の着色を完全に回避することによってこの問題を解決する。この着色を達成する手段は、下記で更に詳述される。
【0024】
特に基層の構造に関して、繊維基層の繊維プライのそれぞれを形成する繊維のそれぞれは、好ましくは、10g/デニールよりも大きく、より好ましくは少なくとも約15g/デニール、更により好ましくは少なくとも約20g/デニール、更により好ましくは少なくとも約27g/デニールの靭性、より好ましくは約28g/デニール~約60g/デニール、更により好ましくは約33g/デニール~約60g/デニール、更により好ましくは39g/デニール以上、更により好ましくは少なくとも39g/デニール~約60g/デニール、更により好ましくは40g/デニール以上、更により好ましくは43g/デニール以上、又は少なくとも43.5g/デニール、更により好ましくは約45g/デニール~約60g/デニール、更により好ましくは少なくとも45g/デニール、少なくとも約48g/デニール、少なくとも約50g/デニール、少なくとも約55g/デニール、又は少なくとも約60g/デニールの靭性を有する繊維である。
【0025】
この点については、繊維基層を形成する繊維の大部分又はすべてが、外側繊維材料層を形成する繊維の大部分又はすべてよりも実質的に大きい靭性を有する。「大部分又はすべて」では、繊維基層を形成する繊維の50%よりも多くが、外側繊維材料層を形成する繊維の少なくとも50%の靭性よりも大きい靭性を有することを意味する。最も好ましくは、繊維基層の繊維のすべては、外側繊維材料層の繊維のすべてよりも大きい靭性を有する繊維である。この点については、外側繊維材料層及び繊維基層のそれぞれを形成する繊維は、繊維プライ若しくは区画のいずれかを縫い合わせる、又はこれらを一緒に縫合するために用いられてよい任意の繊維又は糸を除外する。
【0026】
繊維基層の繊維プライを形成する繊維のタイプは、各材料に対する所望の引張特性に応じて多種多様であってよい。特に好適な高靭性繊維としては、高分子量ポリエチレン繊維、特に超高分子量ポリエチレン繊維、及びポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維が挙げられる。アラミド繊維、特にパラアラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、伸びきり鎖ポリビニルアルコール繊維、伸びきり鎖ポリアクリロニトリル繊維、ポリベンゾオキサゾール(PBO)繊維、ポリベンゾチアゾール(PBT)繊維、液晶コポリエステル繊維、M5(登録商標)繊維など剛直棒状繊維、並びに電気グレード繊維ガラス(E-ガラス、良好な電気特性を有する低アルカリホウケイ酸ガラス)、構造グレート繊維ガラス(S-ガラス、高強度マグネシア-アルミナ-シリケート)、及び抵抗グレード繊維ガラス(R-ガラス、酸化マグネシウム又は酸化カルシウムを有しない高強度アルミノシリケートガラス)など繊維ガラスも好適である。これらの繊維タイプの各々は、当該技術分野で従来既知である。また、ポリマー繊維を製造するために好適なのは、コポリマー、ブロックポリマー、及び上記の材料のブレンドである。
【0027】
最も好ましい高靭性繊維タイプは、ポリエチレン繊維(特に伸びきり鎖ポリエチレン繊維)、アラミド繊維、PBO繊維、液晶コポリマー繊維、ポリプロピレン繊維(特に高配向性伸びきり鎖ポリプロピレン繊維)、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、繊維ガラス、及び剛直棒状繊維、特にM5(登録商標)剛直棒状繊維である。具体的には最も好ましいのは、ポリエチレン繊維及びアラミド繊維である。
【0028】
ポリエチレンの場合、好ましい繊維は、少なくとも300,000、好ましくは少なくとも百万、及びより好ましくは2百万~5百万の分子量を有する、伸びきり鎖ポリエチレンである。かかる伸びきり鎖ポリエチレン(ECPE)繊維は、参照として本明細書に援用される米国特許第4,137,394号又は同第4,356,138号などに記載される溶液紡糸プロセスで作製されてよい、又はすべて参照として本明細書に援用される米国特許第4,413,110号、第4,536,536号、第4,551,296号、第4,663,101号、第5,006,390号、第5,032,338号、第5,578,374号、第5,736,244号、第5,741,451号、第5,958,582号、第5,972,498号、第6,448,359号、第6,746,975号、第6,969,553号、第7,078,099号、第7,344,668号、及び米国特許出願公開第2007/0231572号などに記載される溶液から紡糸されてゲル構造を形成してよい。特に好ましい繊維タイプは、Honeywell International Inc.社よりSPECTRA(登録商標)の商標で販売されているポリエチレン繊維のいずれかである。SPECTRA(登録商標)繊維は、当該技術分野において公知である。他の有用なポリエチレン繊維タイプとしてはまた、Royal DSM N.V.Corporation of(Heerlen,The Netherlands)から市販されているDYNEEMA(登録商標)UHMW PE糸が挙げられる。
【0029】
UHMW PE繊維を形成するために特に好ましい方法は、最も好ましくは繊維がマルチフィラメント繊維である、少なくとも39g/デニールの靭性を有するUHMW PE繊維を製造可能なプロセスである。最も好ましいプロセスとしては、本明細書と矛盾のない限り、参照として本明細書に援用される、同一所有者の米国特許第7,846,363号、同第8,361,366号、同第8,444,898号、同第8,747,715号、並びに米国特許出願公開第2011-0269359号に記載されるプロセスが挙げられる。かかるプロセスは、「ゲル紡糸」プロセス」又は「溶液紡糸」プロセスと称され、超高分子量ポリエチレンの溶液及び溶剤が形成され、続いて溶液をマルチオリフィス紡糸口金に通して押出して溶液フィラメントを形成し、溶液フィラメントをゲルフィラメントに冷却し、溶剤を抽出して乾燥フィラメントを形成する。これらの乾燥フィラメントは、当該技術分野において繊維又は糸のいずれかとして称される、束に寄せ集められる。次いで、繊維/糸は、最大引き延ばし限度まで延伸されて(引き延ばされて)靭性を高める。
【0030】
好ましいアラミド(芳香族ポリアミド)繊維は公知であり、市販されており、例えば、米国特許第3,671,542号に記載されている。例えば、有用なアラミドフィラメントは、KEVLAR(登録商標)の商標でDuPont社によって商業的に製造されている。また、本明細書で有用なのは、DuPont社(デラウェア州ウィルミントン)によってNOMEX(登録商標)の商標で商業的に製造されているポリ(m-フェニレンイソフタルアミド)繊維、Teijin Aramid Gmbh社(ドイツ)によってTWARON(登録商標)の商標で商業的に製造されている繊維、Kolon Industries,Inc.社(韓国)によってHERACRON(登録商標)の商標で商業的に製造されているアラミド繊維、Kamensk Volokno JSC社(ロシア)によって商業的に製造されているp-アラミド繊維SVM(商標)及びRUSAR(商標)、並びにJSC Chim Volokno社(ロシア)によって商業的に製造されているARMOS(商標)p-アラミド繊維である。
【0031】
好適なPBO繊維は、市販されており、例えば、各々が参照として本明細書に援用される、米国特許第5,286,833号、同第5,296,185号、同第5,356,584号、同第5,534,205号、及び同第6,040,050号に開示されている。好適な液晶コポリエステル繊維は市販されており、例えば、それぞれ参照として本明細書に援用される、米国特許第3,975,487号、同第4,118,372号、及び同第4,161,470号に開示されており、Kuraray Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)から市販されているVECTRAN(登録商標)液晶クリスタルコポリエステル繊維が挙げられる。好適なポリプロピレン繊維は、参照として本明細書に援用される米国特許第4,413,110号に記載のような、高配向性伸びきり鎖ポリプロピレン(ECPP)繊維が挙げられる。好適なポリビニルアルコール(PV-OH)繊維は、例えば、参照として本明細書に援用される米国特許第4,440,711号及び同第4,599,267号に記載されている。好適なポリアクリロニトリル(PAN)繊維は、例えば、参照として本明細書に援用される米国特許第4,535,027号に開示されている。これらの繊維タイプの各々は、従来既知であり、広く市販されている。M5(登録商標)繊維は、ピリドビスイミダゾール-2,6-ジイル(2,5-ジヒドロキシ-p-フェニレン)から形成され、これは最近Magellan Systems International社(バージニア州リッチモンド)によって製造され、例えば、各々が参照として本明細書に援用される米国特許第5,674,969号、同第5,939,553号、同第5,945,537号、及び同第6,040,478号に記載されている。用語「剛直棒状」繊維は、かかるピリドビスイミダゾール系繊維タイプに限定されず、多くのPBO及びアラミド繊維の品種が、多くの場合剛直棒状繊維と称される。市販のガラス繊維は、AGY社(サウスカロライナ州エイキン)より市販のS2-ガラス(登録商標)S-ガラス繊維、3B Fibreglass社(ベルギー、バティス)より市販のHiPerTex(商標)E-ガラス繊維、及びSaint-Gobain社(フランス、クールブヴォア)からのVETROTEX(登録商標)R-ガラス繊維が挙げられる。
【0032】
複合材料の強度を更に補完するために、複合材料は、繊維基層の外面に裏当て層を更に組み込んでよい。裏当て層は、好ましくは1つ以上の繊維プライを含む繊維材料である。裏当て層の繊維プライのそれぞれは、外側繊維材料層の形成に使用されるものと同一若しくはそれに類似する低靭性繊維、又は基層の形成に使用されるものと同一若しくはそれに類似する高靭性繊維を含んでよい。本開示の好ましい実施形態では、裏当て層は、10g/デニールよりも大きい靭性を有する高靭性繊維、最も好ましくは高靭性ポリエチレン繊維を含む。最も好ましくは、繊維裏当て層の全繊維は、外側繊維材料層の全繊維よりも大きい靭性を有する繊維である。したがって、基層及び裏当て層の両方は、個々に外側繊維材料層よりも著しく大きい耐弾道貫通性を個々に有するであろう。
【0033】
前述したように、外側繊維材料層の低靭性繊維及び基層の高靭性繊維の両方は任意の好適なデニールであってよく、これは、裏当て層に接合され得る裏当て層及び任意の追加繊維層(存在する場合)に適用される。低靭性繊維に好ましい繊維デニールは上述されており、500デニール及び1000デニールのナイロン繊維が最も好ましい。高靭性繊維の好ましい繊維デニールは、約50~約5000デニール、より好ましくは約200~5000デニール、更により好ましくは約300~約3000デニール、最も好ましくは約350~約1000デニールであってよく、375デニール及び400デニールのポリエチレン繊維又はアラミド繊維が最も好ましい。
【0034】
本開示の繊維材料のそれぞれは、一方向に配向された繊維から形成された織布、不織布、ランダムに配向された繊維から形成された不織フェルト布、又は編地を含む、単軸又は多軸布のいずれかのタイプを個々に含み得る。
【0035】
織布は、平織り、千鳥綾織り、バスケット織り、朱子織り、綾織り、三次元織布、及びそれらのいくつかの変形のいずれかなどの、任意の布の織り方を使用する当該技術分野において公知である技術を使用して形成され得る。横糸の繊維が縦糸(経糸(fill))繊維に対して垂直に配向された、直交した0°/90°配向に繊維が共に織られる平織りが、最も一般的であり、かつ好ましい。「丁数(pick count)」又は「メッシュ数」として当該技術分野において既知である、横糸及び縦糸(経糸)の数は、織布の密度の尺度である。平織布は、等しいか、又は等しくない数の横糸及び縦糸の数を有し得る。この点については、好ましい外側繊維材料層は、横糸及び縦糸の方向のそれぞれにおいてインチ当たり約20の縦の打ち込み本数~インチ当たり約80の縦の打ち込み本数、より好ましくは横糸及び縦糸の方向のそれぞれにおいてインチ当たり約25の縦の打ち込み本数~インチ当たり約70の縦の打ち込み本数、最も好ましくは横糸及び縦糸の方向のそれぞれにおいてインチ当たり約25の縦の打ち込み本数~インチ当たり約60の縦の打ち込み本数の好ましい丁数を有するものである。好ましい繊維基層は、横糸及び縦糸の方向のそれぞれにおいてインチ当たり約15の縦の打ち込み本数~インチ当たり約70の縦の打ち込み本数、より好ましくは横糸及び縦糸の方向の各々においてインチ当たり約20の縦の打ち込み本数~インチ当たり約60の縦の打ち込み本数、より好ましくは横糸及び縦糸の方向のそれぞれにおいてインチ当たり約20の縦の打ち込み本数~インチ当たり約50の縦の打ち込み本数、及び最も好ましくは横糸及び縦糸の方向の各々においてインチ当たり約25の縦の打ち込み本数~インチ当たり約40の縦の打ち込み本数の好ましい丁数を有するものである。
【0036】
編布構造は、4つの主なタイプがトリコット、ラッシェル、ネット、及び配向構造である噛み合ったループで構成された構造である。ループ構造の性質のために、最初の3つの分類の編物は、繊維の強度の利点を十分に生かせないため、好適ではない。しかしながら、配向された編物構造は、微細なデニールの編目によって所定の位置に保持された、まっすぐに編み込まれた糸を使用する。繊維は、糸の交錯効果のために、織布に見られるクリンプの影響がなく、非常にまっすぐである。これらの撚られた糸は、技術的な要件に依存して、単軸、二軸、又は多軸方向に配向されることができる。耐荷重性の糸に撚るために使用される特定の編み器は、糸が貫通されないものが好ましい。
【0037】
不織一方向繊維プライ構造はまた、当該技術分野において従来のものであり、その製造方法もまた従来のものである。かかる従来の方法は、不織一方向構造を有することが所望される、本開示の繊維プライのすべて又はいずれかの製造に用いられてよい。例えば、不織一方向繊維プライを形成する好ましい方法では、複数の繊維は配列に配置され、通常、実質的に平行な一方向配列に整列された複数の繊維を含む繊維フェブとして配置される。典型的なプロセスでは、繊維束は、クリールから供給され、ガイド及び1つ以上のスプレッダバーを通り、平行化櫛(collimating comb)へと誘導される。典型的には、続いてポリマー結合剤材料で繊維をコーティングする。典型的な繊維束は、約30~約2000の個々の繊維を有するであろう。スプレッダバー及び平行化櫛は、束にされた繊維を、分散し、広げ、平面配向の様式で隣り合わせに再編する。理想的な繊維の広がりは、個々のフィラメント又は個々の繊維が、単一繊維平面に互いに隣り合って位置され、繊維が互いに重なり合うことなく、実質的に一方向の平行な繊維の配列を形成することをもたらす。
【0038】
フェルトはまた、当該技術分野において周知のいくつかの技術のうちの1つによって形成されてよい。フェルトは、ランダムに配向された繊維、好ましくは少なくとも一方が不連続繊維、好ましくは約0.25インチ(0.64cm)~約10インチ(25.4cm)の範囲の長さを有する短繊維の不織網目構造である。従来の方法としては、カーディング、流体積層(fluid laying)、メルトブロー、及びスピン積層が挙げられる。
【0039】
外側繊維材料層、繊維基層、任意選択的な裏当て層、及び他の任意選択的な繊維層は、互いに対してそれぞれ同一又は異なる布構造であってよい。好ましくは、複合品は、ハイブリッド構造を形成する異なるタイプの布の組み合わせによって形成される。例えば、1つの好ましい実施形態では、基層は、複数の(圧密)一方向不織繊維プライを含み、複数の(圧密)織布繊維プライを含む裏当て層が含まれる。別の例示的な実施形態では、基層及び含まれる裏当て層の両方の繊維プライのすべては不織布である。更に別の好ましい実施形態では、基層の繊維プライのすべては織布プライであり、含まれる裏当て層の繊維プライのすべては一方向不織プライである。しかしながら、各実施形態では、外側繊維材料層(表地)を形成する繊維プライのすべてが織布であることが最も望ましい。
【0040】
更に別の実施形態では、基層及び/又は任意選択的な裏当て層は、本明細書と矛盾のない限り、参照として本明細書にそれぞれ援用される、米国特許第8,263,119号、同第8,697,220号、同第8,685,519号、同第8,852,714号、同第8,906,485号、同第9,138,961号、及び同第9,291,440号に記載されているように、繊維テープに変換された、圧縮繊維で形成される織布である。米国特許第9,138,961号、及び同第9,291,440号はまた、本明細書に記載の繊維プライの1つ以上のマルチフィラメント繊維の代わりとして本明細書において有用であり得る非繊維テープを開示する。この点については、用語「テープ」は、その幅よりも大きい長さ、及び少なくとも約3:1の平均断面アスペクト比、すなわち、テープ物品の長さ全体の平均断面の最大寸法対最小寸法の比を有する材料の、平坦で、細い、モノリシックストリップを指す。繊維テープは1つ以上のフィラメントを含むテープであり、非繊維テープは、フィラメントから形成されるのではなく、ポリマーストリップ、例えば、ポリマーフィルムを薄切りにすることにより形成されるポリマーストリップから形成されるテープである。繊維のように、テープは、好ましくは約50~約30,000デニール、より好ましくは約200~10,000デニール、更により好ましくは約650~約2000デニール、最も好ましくは約800~約1500デニールのデニールを有する、任意の好適なデニールのものであってもよい。
【0041】
複数の布プライは、当該技術分野において従来の方法に従って合体されて、布層ペアを連結する前に、各個々の布層を形成してよい。この点については、選択された布プライのタイプの複数の単一プライは、同一の広がりを持つ様式で互いの上に積層され、共に合体、すなわち圧密化される。各布層は、好ましくは約1~約100の布プライ、より好ましくは約2~約85の布プライ、最も好ましくは約2~約65の布プライを含む。区画が、複数の一方向不織繊維プライを含むとき、典型的には、複数のかかるプライは、まず、2プライ又は4プライの一方向不織繊維「プリプレグ」又は「プリプレグ層」に形成され、次に、複数のかかる「プリプレグ」又は「プリプレグ層」に組み合わされて区画が形成される。通常、各プリプレグは、典型的には0°/90°に交差して重ねられている2~約6の繊維プライを含むが、様々な用途に対して所望されるように、各プリプレグが好ましくは0°/90°配向で交互に交差して重なっている、多くとも約10~約20の繊維プライを含み得る。区画がかかる不織一方向繊維「プリプレグ」を含むとき、区画は、好ましくは2~約100のプリプレグ、より好ましくは約2~約85のプリプレグ、最も好ましくは約2~約65のプリプレグを含み、好ましくは、それぞれ2つの一方向プライを含む。各プリプレグを形成するプライは、通常、下記で更に詳述されるように、ポリマー結合剤と合体される。
【0042】
特に複数の一方向不織繊維プライを含む繊維層に関して、各繊維プライ中で一方向に配向された繊維が、各隣接するプライの繊維の長手方向に対して非平行の繊維長手方向に配向されるように、互いの上に個々の繊維プライを同一の広がりを持って積層することが、当該技術分野において従来周知である。最も典型的には、繊維プライは0°及び90°の角度に交差して重ねられ、偶数番号層の繊維の角度が実質的に同一であることが好ましく、また奇数番号層の繊維の角度が実質的に同一であることが好ましいが、隣接するプライは別のプライの長手方向の繊維方向に対して約0°~約90°の間の実質上任意の角度に整列させることができる。例えば、5プライ不織構造は、0°/45°/90°/45°/0°、又は他の角度で配向されたプライを有し得る。かかる回転一方向整列は、例えば、本明細書と矛盾のない限り、すべて参照として本明細書に援用される、米国特許第4,457,985号、同第4,748,064号、同第4,916,000号、同第4,403,012号、同第4,623,574号、及び同第4,737,402に記載されている。特に1つ以上の織布繊維プライを含む繊維材料に関して、通常、単一の繊維材料を形成する横糸及び縦糸成分繊維もまた、互いに対して直交して配向される。
【0043】
外側繊維材料層、繊維基層、任意選択的な裏当て層、及び任意の追加繊維材料のそれぞれの繊維プライの総数は異なっていても、同一であってもよく、層は任意の好適な厚さである。更に、各個々の区画の個々のプライはまた、複数の圧密化されていない複合材料区画を単一工程で組み合わせる単一の圧密化又は成形(すなわち、高圧圧密化)工程前は圧密化されない状態である、あるいは、各区画は、一体型物品への区画の集合的な圧密化の前に予圧密化されてよい。
【0044】
本開示の各繊維層を形成する繊維は、好ましくは、少なくとも部分的にポリマー結合剤材料でコーティングされるが、必ずしもコーティングされるわけではない。ポリマー結合剤材料はまた、当該技術分野において、一般にポリマー「マトリックス」材料と称される。これらの用語は、当該技術分野において従来周知であり、その固有の接着特性によって、又は周知の加熱条件及び/若しくは圧力条件を受けた後のいずれかで繊維を結合する材料を説明する。本明細書で使用される場合、「ポリマー」結合剤材料又は「ポリマー」マトリックス材料は、樹脂及びゴムを含む。ポリマー結合剤/マトリックス材料が存在する場合、これらは、個々の繊維を部分的に、又は十分に、のいずれかで実質的にコーティングし、好ましくは、繊維プライ若しくは繊維層を形成する個々のフィラメント/繊維のそれぞれを十分にコーティングする、又は繊維プライ若しくは繊維層を形成する個々のフィラメント/繊維のそれぞれを完全に封入する。
【0045】
上述したように、本開示の目的に従って、本開示の多層複合材料全体の外観は、外側繊維材料層の色と比較して、基布の色の違いの影響を受けるであろう。外側繊維材料層は、特定の周囲環境に溶け込む、着色外観を与える1つ以上の着色剤で着色されることが意図される。しかしながら、繊維基層は着色されておらず、外側繊維材料層内の切り欠き開口部(スロット/穿孔)を介して露出し、それによって視覚的に目立ち、ユーザーにより認識されやすくする恐れのある、外側繊維材料層とは異なる、着色外観(繊維の自然色、通常、白色又は黄色)を有するであろう。これは、当該外側繊維材料層と当該基層との間の複合材料構造内に、外側繊維材料層の少なくとも1つの色に溶け込む色を有する着色ポリマー材料を組み込むことにより克服される。この着色ポリマー材料は、次いで、基層自体ではなく、当該穿孔を介して露出し、したがって、当該穿孔を介した基層の視覚的露出は、少なくとも部分的に着色ポリマー材料によって覆い隠される。本明細書で定義されるように、「覆い隠す」は、隠す又は見えないようにすることを意味する。より具体的には、着色ポリマー材料に、外側繊維材料層内の穿孔を介して露出する着色ポリマー材料の部分が、繊維材料層によって偽装されるように1つ以上の色が提供される。この点については、穿孔を介して露出する着色ポリマー材料の偽装とは、着色ポリマー材料の色が、外側繊維材料層の色と比較して目立たないことを意味する。これは、そうしなければスロット/穿孔を介して露出する基層の部分を最も好ましく隠蔽する、又は更には完全に隠す色である。
【0046】
この目的を達成するために、着色ポリマー材料の色は、外側繊維材料層の色のうちの少なくとも1つと同一、同系、又は類似のいずれかである。この点については、周知の色識別方法はマンセル表色系であり、マンセル表色系下での特定の色の標準的な評価方法は、ASTM D1535に示されている。考案者のAlbert H.Munsellにちなんで名付けられたマルセル表色系は、三次元の色空間であり、3属性、つまり色相、色値(明度)、及び彩度(色純度、強度)に基づいて色を定める。これは、Colorimetric Committee of the Optical Society of Americaによって元の規格から修正されており、現在では、これらの変更を含めて「修正マンセル」系と称されることも多いが、本明細書において、用語「マンセル」及び「修正マンセル」は互換的に使用される。
【0047】
この点については、色の「マンセル色相」とは、光のスペクトルで見出され得る色の属性を意味する。この色系では、赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、及び紫(P)が5つの基本色相セクタとして選択され、黄赤(YR)、黄緑(GY)、青緑(BG)、青紫(PB)、及び赤紫(RP)が5つの中間色相セクタとしてこれらの間に配置される。マンセル色相スケールの構成を図示する
図2に示されるように、色相は、赤(R)で始まり、以下の順序である。
R-YR-Y-GY-G-BG-B-PB-P-RP
【0048】
図2に示されるように、スケールは、RPの後にRに戻る。これらの10の色相セクタのそれぞれは、10の整数区分(色相の「度」又は「段階」)を有し、示される場合には、1~10の番号が先頭に付けられる。この点については、5度は、セクタの中点であるため、色相の原色(例えば、5Rは原色の赤、5YRは原色の黄赤、5Yは原色の黄色)とみなされる。したがって、マンセル色相スケールには、100の異なる色相が存在する。
【0049】
「マンセル色値」は、色の明るさ又は暗さの程度を示し、これもまた0~10の範囲を使用する。この色系では、黒は0のマンセル色値を有し、白は10のマンセル色値を有する。「マンセル彩度」とは、色の鮮鋭度又は強度を意味する。マルセル表色系では、無彩色(灰色)は、0の彩度を有し(中間色にはNとも示される)、色が増加すると、同じマンセル色相及び色値の灰色よりも飽和状態になる。彩度には、固有の上限は存在しない。その値は、色の鮮鋭度が増加するに従って増加し、特定の色の上限は、マンセル色相及び色値に応じて異なる。
【0050】
上述したように、着色ポリマー材料が、基層の視覚的露出を少なくとも部分的に覆い隠すためには、繊維材料層によって偽装されるように基層内のスロット/穿孔を介して露出する着色ポリマー材料の部分も隠蔽しつつ、当該着色外側繊維材料層の少なくとも1つの色のマンセル色相と同一である、同系である、又は少なくとも類似するマンセル色相を有する必要があることが確定している。この点については、本開示の目的として、「類似」マンセル色相とは、マンセル色相スケールにおいて±5段階/度内の色相を意味し、「同系」マンセル色相とは、マンセル色相スケールにおいて±2.5段階/度内の色相を意味する。例えば、5Bに関する類似色は、10B~10BGの範囲であり(明確にするために
図2を参照)、5YRに関する「同系」色は、2.5YR~7.5YRの範囲である。
【0051】
したがって、外側繊維材料層の実際の1つ以上の色は、偽装されて出現することが意図される環境に応じて多種多様であり得、着色ポリマー材料の色は、マンセル色相スケールにより、外側繊維材料層の少なくとも1つの色の色相の10段階以内である色相を有する限り、特に重要ではない。マンセル色値及びマンセル彩度に関しては、着色ポリマー材料がまた、外側繊維材料層に適合する色を有することが好ましい。上述したように、マンセル色値スケールは0(黒)~10(白)の範囲であり、着色ポリマー材料の色は、外側繊維材料層の色のうちの少なくとも1つのマンセル色値の2.5以内のマンセル色値を有することが好ましいが、そうである必要はない。着色ポリマー材料の色はまた、外側繊維材料層の色のうちの少なくとも1つのマンセル彩度の2.5以内のマンセル彩度を有することが好ましいが、そうである必要はない。
【0052】
着色ポリマー材料は、複合材料構造内に任意の好適な形態で組み込まれてよく、それによって、当該外側繊維材料層と当該基層との間に位置付けられて、少なくとも除去された外側繊維材料層の部分の裏側、すなわち、スロット/穿孔の裏側に色を位置付ける。1つの好ましい実施形態では、着色ポリマー材料は、着色ポリマーフィルムの形態である。好ましいポリマーフィルムとしては、非限定的に、ポリオレフィン類、ポリアミド類、ポリエステル類(特にポリエチレンテレフタレート(PET)及びPETコポリマー類)、ポリウレタン類、ビニルポリマー類、エチレンビニルアルコールコポリマー類、エチレンオクタンコポリマー類、アクリロニトリルコポリマー類、アクリルポリマー類、ビニルポリマー類、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、フルオロポリマー類など、並びにエチレンビニルアセテート(EVA)及びエチレンアクリル酸を含むコポリマー類、及びこれらの混合物を含む熱可塑性ポリマー層が挙げられる。これらのうちで、ポリオレフィン及びポリアミド層が好ましい。好ましいポリオレフィンは、ポリエチレンである。有用なポリエチレンの非限定例は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)、線状超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(ULDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び共重合体、並びにこれらの混合物である。
【0053】
特に好ましいのは、例えば、ポリエチレン系接着剤などエラストマー材料を含む接着フィルムであり、架橋ポリエチレン及びクロロスルホン化ポリエチレン、エチレンコポリマー、ポリプロピレン、プロピレンコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、ポリサルファイドポリマー、ポリウレタンエラストマー、ポリクロロプレン、当該技術分野において周知の業界で1つ以上の可塑剤(フタル酸ジオクチルなど)を使用して可塑化されたポリ塩化ビニル、ブタジエンアクリロニトリルエラストマー、ポリ(イソブチレン-co-イソプレン)、ポリアクリレート、ポリエステル、不飽和ポリエステル、ポリエーテル、フルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、エチレンのコポリマー、熱可塑性エラストマー、フェノール樹脂、ポリブチラール、エポキシポリマー、スチレン-イソプレン-スチレン又はスチレン-ブタジエン-スチレン型などスチレンブロックコポリマー、並びに当該技術分野において従来周知である他の好適なポリマーが挙げられる。着色ポリマー材料はまた、メタクリレート接着剤、シアノアクリレート接着剤、UV硬化接着剤、ウレタン接着剤、エポキシ接着剤、及び上記の材料のブレンドなど1つ以上の着色接着剤を含んでよい。かかる接着剤は、例えば、ホットメルト、フィルム、ペースト若しくはスプレーの形態で、又は2成分液体接着剤として適用され得る。
【0054】
上記のこれらのポリマーのうち、熱可塑性ポリウレタン接着剤を含むフィルム、並びに1種以上の熱可塑性ポリウレタンと1つ以上の他の熱可塑性ポリマーとのブレンドを含むフィルムが好ましい。
【0055】
かかるポリマー層は、従来の押出し成形及び熱ラミネーション技術など周知の技術を使用して製造され、外側繊維材料層及び/又は繊維基層の表面に結合されてよい。この点については、ポリマー層は、各個々の区画の個々の繊維プライの合体前、合体中、若しくは合体後、又はすべての集合的な層/区画の一体型複合材料への合体前、合体中、若しくは合体後のいずれかに適用されてよい。通常、ラミネーションは、十分な加熱及び圧力下で個々の層を互いの上に位置付けて、層を一体構造に結合させることにより行われる。ラミネーションは、約95℃~約175℃、好ましくは約105℃~約175℃の範囲の温度にて約5psig(0.034MPa)~約100psig(0.69MPa)の圧力で、約5秒~約36時間、好ましくは約30秒~約24時間行われてよい。かかるポリマー層はまた、当業者に理解されるであろうように、ホットグルー又はホットメルト繊維で複合材料表面に任意選択的に結合されてよい。かかるポリマーフィルムは、好ましくは非常に薄い、約1μm~約250μm、より好ましくは約5μm~約25μm、最も好ましくは約5μm~約9μmの好ましい層厚を有する。かかる厚さが好ましいが、特定の必要性を満たすように他の厚さのものが製造されてもよいが、本開示の範囲内にあることが理解されるものである。
【0056】
あるいは、個別のポリマーフィルムが複合材料構造に組み込まれるのではなく、繊維基層は、ポリマー結合剤又はマトリックス材料を組み込む繊維材料を含んでよく、好適な着色剤が結合剤/マトリックス組成に加えられる。好適なポリマー結合剤材料は、低引張弾性、すなわちエラストマー材料、及び高引張弾性材料の両方を含む。本明細書を通して使用される場合、引張弾性率という用語は、ポリマー結合剤材料がASTM D638によって測定された場合の、弾性の係数を意味する。低又は高弾性率結合剤は、様々なポリマー材料及び非ポリマー材料を含んでよい。本発明の目的として、低弾性率エラストマー材料は、ASTM D638試験手順に従って、約6,000psi(41.4MPa)以下で測定された引張弾性率を有する。低弾性率ポリマーは、好ましくは、約4,000psi(27.6MPa)以下、より好ましくは約2400psi(16.5MPa)以下、更により好ましくは1200psi(8.23MPa)以下、及び最も好ましくは約500psi(3.45MPa)以下の引張弾性率を有するエラストマーである。低弾性率エラストマー材料のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは約0℃未満、より好ましくは約-40℃未満、最も好ましくは約-50℃未満である。低弾性率エラストマー材料はまた、少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約100%、最も好ましくは少なくとも約300%の好ましい破断伸びを有する。低弾性率材料か高弾性率材かにかかわらず、着色剤に加えて、ポリマー結合剤はまた、カーボンブラック若しくはシリカなどの充填材を含んでもよいか、油で増量されてもよいか、又は当該技術分野において周知であるように硫黄、過酸化物、金属酸化物若しくは放射線硬化系によって加硫されてもよい。
【0057】
低弾性率ポリマー結合剤として、多種多様な材料及び処方が用いられてよい。代表例としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、ポリスルフィドポリマー、ポリウレタンエラストマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリクロロプレン、可塑化ポリ塩化ビニル、ブタジエンアクリロニトリルエラストマー、ポリ(イソブチレン-co-イソプレン)、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、フルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、エチレンのコポリマー、ポリアミド(いくつかの繊維タイプと共に使用するのに有用な)、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、及びそれらの組み合わせ、並びに繊維の融点未満で硬化可能な他の低弾性率ポリマー及びコポリマーが挙げられる。また有用なのは、異なるエラストマー材料のブレンド、又は1つ以上の熱可塑性物質とエラストマー材料とのブレンドである。
【0058】
特に有用なのは、共役ジエンとビニル芳香族モノマーとのブロックコポリマーである。ブタジエン及びイソプレンが、好ましい共役ジエンエラストマーである。スチレン、ビニルトルエン、及びt-ブチルスチレンが、好ましい共役芳香族モノマーである。ポリイソプレンを組み込んだブロックコポリマーを、水素化して飽和炭化水素エラストマーのセグメントを有する熱可塑性エラストマーを製造してもよい。ポリマーは、タイプA-B-Aの単純な三元ブロックコポリマー、タイプ(AB)n(n=2~10)の多元ブロックコポリマー、又はタイプR-(BA)x(x=3~150)の放射状に構成されたコポリマーであってもよく、式中、Aが、ポリビニル芳香族モノマーからのブロックであり、Bが、共役ジエンエラストマーからのブロックである。これらのポリマーの多くは、Kraton Polymers(Houston,TX)によって商業的に製造されており、KRATON(登録商標)の商標で販売されている低弾性率ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレンブロックコポリマーなどである。また有用なのは、ドイツ、デュッセルドルフを本拠地とするHenkel Technologies社よりPRINLIN(登録商標)の商標で市販されている、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロックコポリマーの樹脂分散液である。
【0059】
高弾性率の剛性材料は、一般に、6,000psiよりも大きい初期引張弾性率を有する。有用な高弾性率の剛性ポリマー結合剤材料としては、ポリウレタン(エーテル及びエステル系の両方)、エポキシ、ポリアクリレート、フェノール/ポリビニルブチラール(PVB)ポリマー、ビニルエステルポリマー、スチレン-ブタジエンブロックコポリマー、並びにビニルエステルとジアリルフタレート、又はフェノールホルムアルデヒドとポリビニルブチラールなどのポリマーの混合物が挙げられる。また有用なのは、メチルエチルケトンなどカーボン-カーボン飽和溶剤に溶解する熱硬化性ポリマーであり、ASTM D638によって測定された場合、少なくとも約1×106psi(6895MPa)での硬化時に高引張弾性率を有する。また有用なのは、参照として本明細書に援用される、米国特許第6,642,159号に記載の結合剤材料である。しかしながら、低弾性率結合剤材料は、高弾性率結合剤材料よりも好ましい。
【0060】
最も具体的に好ましい結合剤ポリマーは、極性樹脂又は極性ポリマー、特に、約2,000psi(13.79Mpa)~約8,000psi(55.16Mpa)の範囲の引張弾性率で、軟質及び硬質材料の両方の範囲内のポリウレタンである。好ましいポリウレタンは、最も好ましくは共溶媒を含まないが、必ずしもそうではない、水性ポリウレタン分散液として適用される。かかる分散液としては、アニオン性ポリウレタン水分散液、カチオン性ポリウレタン水分散液、及び非イオン性ポリウレタン水分散液が挙げられる。特に好ましいのは、アニオン性ポリウレタン水分散液、脂肪族ポリウレタン水分散液であり、最も好ましいのは、アニオン性脂肪族ポリウレタン水分散液であり、これらのすべては、好ましくは共溶媒を含まない分散液である。このようなものとしては、アニオン性ポリエステル系ポリウレタン水分散液、脂肪族ポリエステル系ポリウレタン水分散液及びアニオン性脂肪族ポリエステル系ポリウレタン水分散液が挙げられ、これらすべては、好ましくは共溶媒を含まない分散液である。かかるものとしてはまた、アニオン性ポリエーテルポリウレタン水分散液、脂肪族ポリエーテル系ポリウレタン水分散液、及びアニオン性脂肪族ポリエーテル系ポリウレタン水分散液が挙げられ、これらすべては、好ましくは共溶媒を含まない分散液である。同様に好ましいのは、カチオン性及び非イオン性水分散液のすべての対応する変形(ポリエステル系、脂肪族ポリエステル系、ポリエーテル系、脂肪族ポリエーテル系など)である。最も好ましいのは、約700psi以上、特に好ましい範囲で700psi~約3000psiの100%伸びでの弾性率を有する脂肪族ポリウレタン分散液である。より好ましいのは、約1000psi以上の、更により好ましくは約1100psi以上の100%伸びでの弾性率を有する脂肪族ポリウレタン分散液である。最も好ましいのは、1000psi以上、より好ましくは1100psi以上の弾性率を有する脂肪族ポリエーテル系アニオン性ポリウレタン分散液である。
【0061】
本開示の繊維層が結合剤を含む場合、特定の繊維層を含む結合剤の総重量は、繊維の重量に結合剤の重量を加えた重量の好ましくは約2重量%~約50重量%、より好ましくは約5重量%~約30重量%、より好ましくは約7重量%~約20重量%、最も好ましくは約14重量%~約20重量%を含む。織布及び編地の繊維層にはより低い結合剤含有量が適しており、繊維の重量に結合剤を加えた重量の0重量%よりも大きいものの、10重量%未満のポリマー結合剤含有量が、通常最も好ましいが、これは、厳密に制限することを意図するわけではない。例えば、フェノール/PVB含浸アラミド織布は、約20%~約30%のより高い樹脂含有量で製造されることがあるが、通常、約12%の含有量が好ましい。この点については、布の織り又は編みは、通常、織布の繊維をポリマー結合剤でコーティングする前に実行され、その後、布に結合剤が含浸される。
【0062】
任意の望ましい色は、着色剤及び結合剤ポリマーを適切に選択することにより達成され得、ポリマーの着色は、単に着色剤を結合剤ポリマー又はポリマー溶液と混合することにより達成されてよい。好適な着色剤の例としては、当業者によって決定されるように、水性及び有機の両方の染料及び顔料が挙げられる。好適な染料としては、非限定的に、上記の染料、すなわち、酸性染料、塩基性染料、分散染料、反応性染料、天然染料、及び多目的染料、例えば、Phoenix Brands LLC(Stamford,CT)から市販されているRit(登録商標)ブランド染料が挙げられる。有用な着色剤の特定例は、銅フタロシアニンなどである。任意の従来周知の方法は、着色剤をポリマーにブレンドするために使用されてよく、通常、ポリマー材料に添加される着色剤(例えば、染料又は顔料)の量は、ポリマー材料の約0.5~約20重量%、より好ましくは約2~約15重量%、最も好ましくは約4~約10重量%の範囲である。
【0063】
着色ポリマー結合剤材料を繊維に適用し、それによって繊維材料(すなわち、繊維材料プライ/層)に結合剤を含浸させる方法は、周知であり、当業者によって容易に決定される。用語「含浸される」は、本明細書において「組み込まれる」、「コーティングされる」、又は他の方法でポリマーコーティングが適用される(ポリマー材料は繊維プライ/層に分散し、プライ/層表面に存在するだけではない)と同義であるとみなされる。ポリマー結合剤材料の適用には任意の適した適用方法が用いられてよく、「コーティングされた」などの用語の特定の使用は、フィラメント/繊維に適用される方法を制限することを意図するものではない。有用な方法には、例えば、ポリマー又はポリマー溶液の繊維への吹き付け、押出し、又はロールコーティング、並びに溶融ポリマー又はポリマー溶液を通っての繊維の搬送が挙げられる。最も好ましいのは、個々の繊維のそれぞれを十分にコーティングする、又は封入し、ポリマー結合剤材料で繊維の表面積の全体又は実質的に全体を被覆する方法である。
【0064】
各個々の区画のプライを互いに結合するために使用する方法にかかわらず、複合品の全区画は、中間接着剤を使用して圧力下で、すなわち、低圧圧密化/ラミネーション又は高圧成形によって、又は既存のポリマー結合剤コーティングを接着剤として用いて、異なる区画の接着結合に役立てることによって結合され、圧密化された、一体型複合品が形成される。これは、異なる区画を結合する唯一の手段としての縫い合わせを特に除外する。接着成形又は接着圧密化により区画を結合することは、異なる区画間での層間強度を増加させ、個々の材料層間の剥離強度の増加、圧密複合材料の剛性の強化、圧密複合材料の耐引き裂き製の向上をもたらすことが判明している。
【0065】
個々の材料層区画を形成するとき、また繊維材料層のすべてを単一の一体型複合品にまとめる本開示の圧密複合品を形成するときに、すべてのプライ及び/又は材料層は、それぞれの上に重ね合わされて積層を形成し、続いて、複数のプライ及び/又は複数の層を同時に圧密化する。プライ/層を単層複合構造に合体することは、上記のように、加熱の有無にかかわらず、低圧圧密化技術及び高圧成形技術の両方を含む、当該技術分野における従来の技術を使用して達成され得る。
【0066】
好ましい実施形態では、重なり合う非不織繊維プライ(一方向又はフェルト)、織布プライ、編地プライ、又はこれらの組み合わせの各積層は、加熱及び圧力下で、又は個々の繊維プライのコーティングを互いに接着することにより合体されて、それにより単層のモノリシック要素を形成する。繊維プライ/層を圧密化する方法は、米国特許第6,642,159号に記載の方法など、公知である。圧密化は、乾燥、冷却、加熱、又はこれらの組み合わせによって圧力なしで生じ得るが、層を最適に結合するには、加圧圧密化が好ましい。この点については、圧密化は、約50℃~約175℃、好ましくは約105℃~約175℃の範囲の温度にて約5psig(0.034MPa)~約2500psig(17MPa)の圧力で、約0.01秒~約24時間、好ましくは約0.02秒~約2時間行われてよい。加熱時には、存在するポリマー結合剤コーティングを完全に融解せずに固着させる、又は流出させることが可能である。一般に、ポリマー結合剤材料が融解させられる場合、複合材料の形成には比較的小さい圧力が必要であり、結合剤材料が固着点までしか加熱されない場合、通常、より多くの圧力が必要になる。当該技術分野で従来周知であるように、圧密化は、カレンダーセット、平面ラミネータ、プレス機、又はオートクレーブで行われてよい。圧密化はまた、真空下に置かれた金型内で材料を真空成形することによって行われてもよい。真空成形技術は、当該技術分野において公知である。最も一般的には、複数の直交している繊維ウエブを結合剤ポリマーで一緒に「接着」し、フラットベッドラミネータを通して送って、結合の均一性及び強度を向上させる。
【0067】
繊維プライの高圧合体は、好適な成形装置内での加熱及び圧力下で、約50psi(344.7kPa)~約5,000psi(34,470kPa)、より好ましくは約100psi(689.5kPa)~約3,000psi(20,680kPa)、最も好ましくは約150psi(1,034kPa)~約1,500psi(10,340kPa)の圧力で成形することにより達成されてよい。成形は、約5,000psi(34,470kPa)~15,000psi(103,410kPa)、より好ましくは約750psi(5,171kPa)~5,000psi、及び、より好ましくは約1,000psi~5,000psiの高圧で交互に行われてよい。成形工程は、約4秒~約45分かかってもよい。好ましい成形温度は、約200°F(~93℃)~約350°F(~177℃)、より好ましくは約200°F(~93℃)~約300°F(~149℃)の温度、最も好ましくは約200°F(~93℃)~約280°F(~138℃)の温度の範囲である。繊維プライが成形される圧力は、得られる成形生成物の剛性及び可撓性に直接的に影響する。特に、成形される圧力がより高いと、剛性はより高くなり、その逆も成立する。成形圧に加えて、繊維プライの量、厚さ、及び組成、並びにポリマー結合剤コーティングのタイプも、複合材料の剛性に直接的に影響する。
【0068】
本明細書に記載の成形及び圧密化技術の各々は同様であり、用語は多くの場合、当該技術分野において互換性をもって使用されるが、本明細書で使用される場合は特に、「成形」はバッチプロセスにおいて繊維プライ/層を共に結合することによって合体する方法を指し、一方で「圧密化」は、ほぼ連続したプロセスにおいて繊維プライ/層を共に結合することによって合体する方法を指す。更に、成形は通常、形作られている金型、又は平面パネルを形成する場合にはマッチドダイ金型のような金型の使用を含み、必ずしも平面状の生成物をもたらすわけではない。圧密化は、通常、フラットベッドラミネータ内、ダブルベルト又はスチールベルトプレス機内、カレンダーニップセット内において、又は湿式ラミネーションによって行われ、柔軟な(可撓性)身体防護布を製造する。加えて、成形は、通常、比較的高圧下で実行され、圧密化は、上述したように比較的低圧下で実行される。しかしながら、これは、厳密に制限することを意図するわけではなく、真空成形又はオートクレーブ成形など成形手順は、当業者によって決定されるように比較的低圧で実行されることが多い。どちらのプロセスにおいても、好適な温度、圧力及び時間は、一般に、ポリマー結合剤コーティング材料のタイプ、ポリマー結合剤含有量、使用されるプロセス及び繊維のタイプに応じて異なる。
【0069】
任意選択的な裏当て層の有無にかかわらず、外側繊維材料層及び繊維基層の圧密化時に、複合材料は、MIL-C-21189スリット引き裂き試験法によって測定されるとき、約300lbs、好ましくは約400lbsよりも大きい、より好ましくは少なくとも約500lbs以上、最も好ましくは少なくとも約600lbs以上の耐スリット引き裂き性を有して得られる。特に、本開示の圧密複合材料のスリット引き裂き強度は、外側繊維材料層のみのスリット引き裂き強度よりも大きい。圧密複合材料はまた、少なくとも2lbs/インチの、外側繊維材料層と繊維基層との剥離強度を呈する。
【0070】
本開示の複合材料をベスト又はベストカバー物品に形成すると、外側繊維材料層は、モジュール式アタッチメントが位置付けられる外向き面として位置付けられる。この点については、外側繊維材料層を基層と合体させると、外側繊維材料層の繊維が基層の繊維に対して+45°及び-45°に配向されるときに、2層の圧密集合体の寸法安定性が著しく向上することが予想外に判明している。これは、より大きい0°/90°布からバイアス上で区画を切り取ることによって、又は圧密化の前に層を合わせて位置付けるときに他の布に対して+45°/-45°の角度で0°/90°布を物理的に配向することによって達成されてよい。好ましい繊維配向の概略例が
図3に示されている(正確な縮尺ではない、着色ポリマー材料は示されていない)。この繊維層構成は、本開示の複合材料が上述したようにウェブレス構造を有する防弾ベスト又はベストカバーの製造に用いられるとき、特に望ましい。低靭性外側布を高靭性基布と組み合わせて、高靭性基繊維材料層の繊維が、外側繊維材料層の0°/90°繊維に対して+45°/-45であるように層を配向すると、スロット(
図1を参照)の耐久性が向上し、スロットの下縁部における布の伸び及び弛み傾向が大幅に低減する。
【0071】
本開示の最も好ましい実施形態では、ベストカバー物品は、着色ポリマー結合剤材料でコーティングされた/それを含浸させた、ポリエチレン繊維又はアラミド繊維の複数の一方向プライから形成された非織布を含む繊維基層に直接、又は間接的に接合される第1の織布ナイロン繊維材料層(すなわち、外側繊維材料層)を含む、これから実質的になる、又はこれからなる複合材料から形成され、基層は織布の単一プライ又はポリエチレン繊維若しくはアラミド繊維の複数の一方向プライを含む裏当て層に結合され、裏当て層の最外面に接着された上記の材料のいずれかから選択される、追加のポリマーフィルムを更に含む。この点については、裏当て層の最外面のポリマーフィルムは、ベストカバー物品の最内層を構成する。
【0072】
過剰な重量を有する物品を形成することなく、本開示の複合材料の耐久性を更に向上させるためには、本開示の各繊維材料区画が、約400g/m2以下、より好ましくは約300g/m2以下、更により好ましくは約200g/m2以下、更により好ましくは約150g/m2以下、更により好ましくは約125g/m2以下、更により好ましくは約115g/m2以下、更により好ましくは約110g/m2以下、更により好ましくは約105g/m2以下、更により好ましくは約100g/m2以下、更に最も好ましくは約95g/m2以下の面密度を有することも好ましく、最も好ましい面密度は、約15g/m2~約95g/m2、又は約30g/m2~約95g/m2の範囲である。特に好ましい実施形態では、外側繊維材料層は、約200g/m2~約400g/m2の面密度を有し、基層は、約15g/m2~約110g/m2、より好ましくは約30g/m2~約110g/m2の面密度を有する。好ましい実施形態では、外側繊維材料、基層、任意選択的な裏当て層、及び任意の更なる任意選択的な層又は材料の集合は、約60g/m2~約800g/m2、より好ましくは100g/m2~約600g/m2、最も好ましくは約200g/m2~約500g/m2の総面密度を有する複合材料をもたらす。
【0073】
この点については、特に2つの繊維材料層のみを含む複合材料において、外側繊維材料層が、複合品全体の総面密度の50%よりも大きい面密度を有することが最も好ましい。一実施形態では、外側繊維材料層の面密度は、全結合層の総面密度の約60%よりも大きい。別の実施形態では、外側繊維材料層の面密度は、全結合層の総面密度の約70%よりも大きい。最も好ましい実施形態では、外側繊維材料層は、結合された、すべての複合品層の総面密度の約60%~約75%を含み、基層は、すべての複合品区画の総面密度の約20%~約30%を含み、任意選択的な裏当て層が存在する場合、この裏当て層は、すべての複合品層の総面密度の好ましくは約5%~約10%を含む。
【0074】
このため、より大きい面密度を有する材料層は、より低い面密度を有する材料層よりも必ずしも厚いわけではない。この点については、厚さは、ある程度は、繊維プライの圧密化/成形時に適用される圧力及び個々の繊維プライ内での繊維の重複度に応じて異なる。各繊維材料区画の厚さは、一般に、個々の繊維の厚さ及び複合材料に組み込まれる繊維プライ/層の数に対応する。好ましい織布、編地、又はフェルト非織布は、プライ/層当たり約25μm~約600μm、より好ましくはプライ/層当たり約50μm~約385μm、最も好ましくは約75μm~約255μmの好ましい厚さを有する。好ましい2プライの一方向非織布複合材料は、約12μm~約600μm、より好ましくは約50μm~約385μm、最も好ましくは約75μm~約255μmの好ましい厚さを有する。
【0075】
本開示の別の実施形態では、当該外側繊維材料層と当該基層との間の着色ポリマー材料(「内部着色ポリマー材料」と称される)の代わりとして、又は当該外側繊維材料層と当該基層との間の着色ポリマー材料に加えて、少なくとも1つの色を有する着色ポリマー材料が、繊維基層の外側表面(すなわち、着色外側繊維材料層の方を向いていない繊維基層の表面)(「外部着色ポリマー材料」と称される)に適用されてよい。かかる外部着色ポリマー材料は、本明細書と矛盾のない限り、参照として本明細書に援用される、同一所有者の米国特許仮出願第62/446,509号に記載されている。
【0076】
この実施形態では、外部着色ポリマー材料は、内部着色ポリマー材料について上記で定義されるように、当該内部着色ポリマー材料について本明細書に記載される特性及び特徴と同一のものを有する。これは、コーティング又は着色フィルムであってよく、内部着色ポリマー材料について本明細書に記載されるいずれかの方法を使用して、繊維材料表面に適用されてよい、又はコーティングされてよい。内部着色ポリマー材料及び外部着色ポリマー材料の両方が組み込まれる場合、これらは、互いに同一であっても異なってもよく、当該着色外側繊維材料層の少なくとも1つの色のマンセル色相と同一である、同系である、又は少なくとも類似であるマンセル色相をそれぞれ/どちらも有し、色は、ASTM D1535によって測定され、比較される。外部着色ポリマー材料は、複合材料構造において、耐摩耗性を提供するなど多種多様な目的を果たしてよく、本開示の多層複合材料を含む物品の常用中に繊維基層の最外面が露出した場合に繊維基層の外観を被覆する、偽装する、又は別の方法で覆い隠し、米国特許第7,200,871号に教示され、
図1に示されるように、複合材料全体の全厚を通って切り開く孔を有する、Safariland LLC Advanced Webless Systemなどの形態で設計されるプレートキャリア物品を形成する、又はこれに組み込まれることが可能であってよい。多くの場合、当該ウェブレスデザインの孔は、モジュール式アタッチメントの重量のために弛み、このため、繊維基層の当該外側の裏面を露出することがあり、孔/穿孔を通介して露出する。外部着色ポリマー材料は、そうでなければ、偽装されず、見やすい色を有する場合、外側繊維材料層の外観によって偽装される色を有する当該裏面を隠す。また、黒色が、当該着色外側繊維材料層の少なくとも1つの色のマンセル色相と同一である、同系である、又は少なくとも類似であるマンセル色相を有するかどうかにかかわらず、当該内部着色ポリマー材料及び当該外部着色ポリマー材料のいずれか、又は両方が当該黒色に着色されることは本開示の範囲内である。この実施形態は、最も好ましいものではないものの、露出しても、繊維基層の外観をより目立たなくするのに少なくとも効果的であろう。また、着色外側繊維材料層が穿孔されず(意図的に作製された切り欠き/孔を有さない)かつ従来の閉鎖型織布又は不織布であった場合、内部及び外部着色ポリマー材料の両方が、上記の目的を果たす際に等しく効果的であるが、繊維に対する損傷は、当該着色外側繊維材料層介した繊維基層の露出をもたらすことを理解するべきである。
【0077】
以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態を示すために役立つ。
【0078】
実施例1
U.S.ウッドランド迷彩パターン(砂色、茶色、緑色、及び青色の不規則模様を有する、4色の高コントラスト迷彩パターン)を有する単一のMIL規格Mil-DTL-32439ナイロン織布(500デニールナイロン繊維)を含む圧密複合積層体を製造し、このMIL規格ナイロン布を、単一のポリエチレン織布(375デニールのSPECTRA(登録商標)1000繊維、平織構造、インチ当たり32×32の縦の打ち込み本数、面密度=0.82lb/ft2)に接着する。布は、U.S.ウッドランド迷彩パターンに見出される黒色に同一のマンセル色相を有する黒色の中間接着ポリエチレンフィルムを使用したラミネーションによって互いに取り付ける。
【0079】
実施例2
黒色の接着ポリエチレンフィルムの代わりに黒色の中間接着ポリウレタンフィルムフィルムを使用することを除いて、実施例1を繰り返す。
【0080】
実施例3
ナイロン布とポリエチレン布との間の黒色の中間接着ポリエチレンフィルムに加えて、ポリエン布の最外面に黒色の外側ポリエチレンフィルムも適用することを除いて、実施例1を繰り返す。
【0081】
実施例4
ナイロン布とポリエチレン布との間の黒色の中間接着ポリウレタンフィルムに加えて、ポリエン布の最外面に黒色の外側ポリウレタンフィルムも適用することを除いて、実施例2を繰り返す。
【0082】
実施例5
ナイロン布とポリエチレン布との間の黒色の中間接着ポリエチレンフィルムの代わりとして、ポリエン布の最外面に黒色の外側ポリエチレンフィルムを適用することを除いて、実施例1を繰り返す。
【0083】
実施例6
ナイロン布とポリエチレン布との間の黒色の中間接着ポリウレタンフィルムの代わりとして、ポリエン布の最外面に黒色の外側ポリウレタンフィルムを適用することを除いて、実施例2を繰り返す。
【0084】
実施例7~12
米国特許第7,200,871号に記載され、
図1に示されるようなデザインを有する孔のパターンでMIL規格Mil-DTL-32439ナイロン織布を穿孔することを除いて、実施例1~6のそれぞれを繰り返す。
【0085】
本発明は、特に、好ましい実施形態を参照しながら示され、説明されてきたが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な変更及び修正が為され得ることは、当業者によって容易に理解されるであろう。特許請求の範囲は、開示の実施形態、上述されているそれらの代替物、及びそれらのすべての等価物を網羅するように解釈されることを意図する。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
多層複合材料であって、
a)穿孔された着色外側繊維材料層であって、前記外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、前記外側繊維材料層は少なくとも1つの色を有する、穿孔された着色外側繊維材料層と、
b)前記外側繊維材料層と接合された繊維基層であって、前記基層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有する繊維を含み、前記外側繊維材料層は、前記基層とは異なる着色外観を有する、繊維基層と、
c)前記外側繊維材料層と前記基層との間の着色ポリマー材料であって、前記着色ポリマー材料は少なくとも1つの色を有する、着色ポリマー材料と、を含み、
前記着色ポリマー材料は、前記穿孔を介して部分的に露出し、前記穿孔を介した前記基層の視覚的露出は、前記着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、前記穿孔を介して露出する前記着色ポリマー材料の部分は、前記繊維材料層によって偽装される、多層複合材料。
[2]
前記外側繊維材料層が、10g/デニール以下の靭性を有する繊維を含む、[1]に記載の複合材料。
[3]
前記着色ポリマー材料が着色ポリマーフィルムである、[1]に記載の複合材料。
[4]
前記着色外側繊維材料の各色がマンセル色相を有し、前記着色ポリマー材料の各色がマンセル色相を有し、前記着色ポリマー材料が、前記外側繊維材料の前記色のうちの少なくとも1つのマンセル色相の、マンセル色相スケール上で±5段階以内のマンセル色相を有する、[1]に記載の複合材料。
[5]
前記着色ポリマー材料が、前記繊維基層にコーティングされ、少なくとも部分的に含浸する、ポリマーマトリックスコーティングを含む、[1]に記載の複合材料。
[6]
前記外側繊維材料層がナイロン繊維を含み、前記繊維基層がポリエチレン繊維を含む、[1]に記載の複合材料。
[7]
前記基層が内面と、外面と、を有し、前記内面が前記外側繊維材料層に面し、前記複合材料が、前記基層の前記外面に裏当て層を含み、前記裏当て層が1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれが、10g/デニールよりも大きい靭性を有する繊維を含む、[1]に記載の複合材料。
[8]
前記外側繊維材料層が、複数の色で迷彩パターンに着色され、前記着色ポリマー材料が1つの色で着色され、前記着色ポリマー材料の前記色が、前記迷彩パターンの前記色のうちの1つと同一である、[1]に記載の複合材料。
[9]
多層複合材料であって、
a)穿孔された着色外側繊維材料層であって、前記外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、前記プライのそれぞれはナイロン繊維を含み、前記外側繊維材料層は、迷彩パターンで着色され、前記穿孔は、前記厚さ外側繊維材料層に切り込まれ、そこを完全に通る成形された開口部のパターンを含む、穿孔された着色外側繊維材料層と、
b)前記外側繊維材料層と接合された繊維基層であって、前記基層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有するポリエチレン繊維を含み、前記外側繊維材料層は、前記基層とは異なる着色外観を有する、繊維基層と、
c)前記外側繊維材料層のそれぞれと前記基層との間にあり、そこに取り付けられた着色ポリマー材料であって、前記着色ポリマー材料は1つの色を有し、前記着色ポリマー材料の前記色は、前記外側繊維材料層の前記迷彩パターンの色のうちの1つと同一である、着色ポリマー材料と、
d)前記繊維基層上の裏当て層であって、前記裏当て層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有するポリエチレン繊維を含む、裏当て層と、を含み、
前記着色ポリマー材料は、前記穿孔を介して部分的に露出し、前記穿孔を介した前記基層の視覚的露出は、前記着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、前記穿孔を介して露出する前記着色ポリマー材料の部分は、前記繊維材料層によって偽装される、多層複合材料。
[10]
多層複合材料を形成する方法であって、
a)穿孔された着色外側繊維材料層を準備することであって、前記外側繊維材料層は1つ以上の繊維プライを含み、前記外側繊維材料層は少なくとも1つの色を有する、ことと、
b)着色ポリマー材料を準備することであって、前記着色ポリマー材料は、前記外側繊維材料層の少なくとも1つの色に一致する色で着色される、ことと、
c)繊維基層を準備することであって、前記基層は1つ以上の繊維プライを含み、前記繊維プライのそれぞれは、10g/デニールよりも大きい靭性を有する繊維を含み、前記外側繊維材料層は、前記基層とは異なる着色外観を有する、ことと、
d)前記繊維基層を前記外側繊維材料層に同一の広がりを持って取り付けることであって、前記着色ポリマー材料の少なくとも一部は、前記繊維基層と前記外側繊維材料層との間に位置付けられ、前記着色ポリマー材料の一部は、前記繊維材料層内の前記穿孔のそれぞれの裏側に位置付けられる、ことと、を含み、
前記着色ポリマー材料は、前記穿孔を介して部分的に露出し、前記穿孔を介した前記基層の視覚的露出は、前記着色ポリマー材料によって少なくとも部分的に覆い隠され、前記穿孔を介して露出する前記着色ポリマー材料の部分は、前記繊維材料層によって偽装される、方法。