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  • 特許-LSD1阻害剤およびその医学的使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】LSD1阻害剤およびその医学的使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 205/12 20060101AFI20220916BHJP
   C07D 221/20 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/4747 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
C07D205/12 CSP
C07D221/20
A61K31/397
A61K31/4747
A61P31/12
A61P31/18
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019522808
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 US2017058405
(87)【国際公開番号】W WO2018081343
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】62/413,166
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/413,162
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513137422
【氏名又は名称】コンステレーション・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CONSTELLATION PHARMACEUTICALS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ブリュセル,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ゲーリング,ビクター・エス
(72)【発明者】
【氏名】カンナ,アビナッシュ
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532619(JP,A)
【文献】国際公開第2016/123387(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/172496(WO,A1)
【文献】山中 宏、宮崎 浩、村上尚道,光学活性体のプレパレーション・生理活性・利用,季刊 化学総説 光学異性体の分離,日本,株式会社学会出版センター,1999年06月10日,No.6,P.8-9,124,212-213,甲第3号証
【文献】周東智,有機医薬分子論,2刷,2012年,p.83-7
【文献】Expert Opin Ther Pat,2016年03月,Vol.26, No.5,p.565-80
【文献】Expert Opin Investig Drugs,2016年07月,Vol.25, No.7,p.771-80
【文献】Expert Opin Ther Targets,2012年,Vol.16, No.12,p.1239-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 205/12
C07D 221/20
A61K 31/397
A61K 31/4747
A61P 31/12
A61P 31/18
A61P 35/00
A61P 35/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
nが、1または2であり;
mが、1または2であり;
oが、0または1であり;
qが、0、1、2、または3であり;
が、水素または(C~C)アルキルであり;
が、水素または任意選択でOHもしくは(C~C)アルコキシで置換された(C~C)アルキルであり;
およびRが存在する場合、水素、ハロ、OH、および(C~C)アルキルからそれぞれ独立に選択され;
が、NH、-NH(SO)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)アルキルO(C~C)アルキル、-NHC(O)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)シクロアルキル、OH、-O(C~C)アルキル、-SONH、-C(O)NH、-C(O)NH(C~C)アルキル、-C(O)N[(C~C)アルキル]、-C(O)NH(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(C~C)アルキル(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(SO)(C~C)シクロアルキル、-C(O)NH(C~C)アルキルOH、-C(O)NH(C~C)アルキルO(C~C)アルキル、およびOHで置換された(C~C)アルキルから選択され;かつ
が存在する場合、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、ハロ、およびシアノから選択され;
ただし前記化合物が、式:
【化2】
の化合物;あるいはその塩でない、
前記化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が、メチル、エチル、ハロメチル、ハロエチル、メトキシ、ハロメトキシ、ハロ、およびシアノから選択される、請求項に記載の化合物。
【請求項3】
式:
【化3】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化4】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化5】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項6】
式:
【化6】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項7】
が、水素,メチル、またはヒドロキシ(C~C)アルキルである、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が、ヒドロキシ(C~C)アルキルである、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、ヒドロキシ(C~C)アルキルである、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
式:
【化7】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項11】
式:
【化8】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項12】
式:
【化9】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項13】
式:
【化10】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項14】
式:
【化11】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項15】
式:
【化12】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項16】
式:
【化13】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項に記載の化合物。
【請求項17】
が、NH、-NH(SO)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)アルキルO(C~C)アルキル、-NHC(O)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)シクロアルキル、OH、-SONH、-C(O)NH、-C(O)NH(C~C)アルキル、-C(O)NH(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(C~C)アルキル(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(C~C)アルキルOH、またはOHで置換された(C~C)アルキルである、請求項1~16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
が、NH、-NH(SO)CH、-NH(SO)(CHOCH、-NH(SO)CH(CH、-NH(SO)CHCH、-NHC(O)CH、-NH(SO)シクロプロピル、OH、-SONH、-C(O)NH、-C(O)NH(SO)CH、-C(O)NH(CH、-C(O)NHCH(CH、-C(O)NHCHCH、-C(O)NH(CH(SO)CH、-C(O)NH(CHOH、または-CHOHである、請求項1~17のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
が、-C(O)NH、OH、-SONH、または-NH(SO)CHである、請求項1~18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
が、OHである、請求項1~19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【化14-4】
から選択される式の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】

【化15】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】

【化16】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物。
【請求項25】
請求項1~23のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩の有効量、または請求項24に記載の組成物;および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項26】
LSD1の過剰発現に関連した疾患または病態を治療する方法に使用するための、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
疾患または病態が癌である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
慢性骨髄性白血病(CMLT細胞急性リンパ性白血病(T-ALL、神経芽腫、乳癌、前立腺癌、単純ヘルペスウイルス再活性化、およびHIV感染症から選択される疾患または病態を治療する方法に使用するための、請求項26に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
[0001] 本願は、2016年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/413,162号および2016年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/413,166号の優先権を主張するものであり、上記出願それぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002] リジン(K)特異的デメチラーゼ1A(LSD1)としても知られるリジン特異的デメチラーゼ(LSD1)は、KDM1A遺伝子によってコードされ、酸化還元過程を介してモノメチル化またはジメチル化ヒストンH3リジン4(H3K4)およびH3リジン9(H3K9)を特異的にジメチル化する、ヒトのタンパク質である(Biochimica et Biophysica Acta 1829 (2013) 981-986)。LSD1は、前立腺癌(Cancer Res., 66 (2006), pp. 11341-11347)から膀胱癌(Mol. Carcinog., 50 (2011), pp.931-944)、神経芽腫(Cancer Res., 69 (2009), pp. 2065-2071)、肺癌(PLoS One, 7 (2012), p. e35065)、肉腫および肝細胞癌(Tumour Biol. (2012))に及ぶ数種類の癌の発癌特性を有することがわかっている。LSD1の薬理学的阻害剤は、例えば、白血病(Nat. Med., 18 (2012), pp. 605-611)および固形腫瘍(Tumour Biol. (2012))も治療することが示されている。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 現在、構造式:
【0004】
【化1】
【0005】
の化合物であって、式中、R、R、R、R、R、R、m、n、oおよびqがそれぞれ本明細書で定義され記載される通りのものである化合物またはその薬学的に許容される塩ならびにこの式の化合物を含む組成物がLSD1の効果的な阻害剤であることがわかっている。のちの例示の節の表6を参照されたい。本開示の化合物によって治療される病態を本明細書に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0004] 中間体(1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミン(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸塩のX線結晶構造を示す図である。
図2】[0005] 化合物2の一クエン酸塩のX線結晶構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(特定の実施形態の詳細な説明)
.化合物の全般的説明
[0006] ある特定の実施形態では、本開示は式I:
【0008】
【化2】
【0009】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
nが、1または2であり;
mが、1または2であり;
oが、0または1であり;
qが、1、2、または3であり;
が、水素または(C~C)アルキルであり;
が、水素または任意選択でOHもしくは(C~C)アルコキシで置換された(C~C)アルキルであり;
およびRが存在する場合、それはそれぞれ水素、ハロ、OH、および(C~C)アルキルから独立に選択され;
が、NH、-NH(SO)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)アルキルO(C~C)アルキル、-NHC(O)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)シクロアルキル、OH、-O(C~C)アルキル、-SONH、-C(O)NH、-C(O)NH(C~C)アルキル、-C(O)N[(C~C)アルキル]、-C(O)NH(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(C~C)アルキル(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(SO)(C~C)シクロアルキル、-C(O)NH(C~C)アルキルOH、-C(O)NH(C~C)アルキルO(C~C)アルキル、およびOHで置換された(C~C)アルキルから選択され;
が、(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、ハロ、およびシアノから選択される、
化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0010】
[0007] ある特定の実施形態では、本開示は式Ia’:
【0011】
【化3】
【0012】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
nが、1または2であり;
mが、1または2であり;
oが、0または1であり;
qが、0、1、2、または3であり;
が、水素または(C~C)アルキルであり;
が、水素または任意選択でOHもしくは(C~C)アルコキシで置換された(C~C)アルキルであり;
およびRが存在する場合、それはそれぞれ水素、ハロ、OH、および(C~C)アルキルから独立に選択され;
が、NH、-NH(SO)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)アルキルO(C~C)アルキル、-NHC(O)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)シクロアルキル、OH、-O(C~C)アルキル、-SONH、-C(O)NH、-C(O)NH(C~C)アルキル、-C(O)N[(C~C)アルキル]、-C(O)NH(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(C~C)アルキル(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(SO)(C~C)シクロアルキル、-C(O)NH(C~C)アルキルOH、-C(O)NH(C~C)アルキルO(C~C)アルキル、およびOHで置換された(C~C)アルキルから選択され;
が存在する場合、それは(C~C)アルキル、ハロ(C~C)アルキル、(C~C)アルコキシ、ハロ(C~C)アルコキシ、ハロ、およびシアノから選択される、
化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0013】
2.化合物および定義
[0008] 本明細書で使用される「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素(フルオロ、F)、塩素(クロロ-、Cl)、臭素(-ブロモ、Br)、およびヨウ素(ヨード-、-I)から選択される原子を指す。
【0014】
[0009] 単独で、または「アルコキシ」、「ハロアルキル」などのより大きな部分の一部として使用される「アルキル」という用語は、飽和直鎖状または飽和分岐鎖状の一価炭化水素ラジカルを意味する。特に明記されない限り、アルキル基は通常、1~6個の炭素原子を有し、すなわち、(C~C)アルキルである。本明細書で使用される「(C~C)アルキル」基は、直鎖状または分岐鎖状に配置された1~6個の炭素原子を有するラジカルを意味する。
【0015】
[0010] 「ハロアルキル」という用語は、ハロゲンがフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素から独立に選択される、モノハロアルキル基、ポリハロアルキル基、およびペルハロアルキル基を包含する。
【0016】
[0011] 「アルコキシ」は、酸素結合原子を介して結合され、-O-アルキルによって表されるアルキルラジカルを意味する。例えば、「(C~C)アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロプロキシ(proproxy)、およびブトキシを含む。
【0017】
[0012] 複数の結合点を有し得る化学基を記載するのに関連してハイフン(-)を使用する場合、それは、その化学基のそれを定義する可変物への結合点を表す。例えば、-NH(SO)(C~C)シクロアルキルは、この基の結合点が窒素原子上にあることを意味する。
【0018】
[0013] 本開示の化合物は様々な立体異性体の形で存在する。立体異性体は、それらの原子の空間的配置のみが異なる化合物である。化合物中の空間的配置の差は、例えば、キラル炭素原子(すなわち、キラル中心)周囲の4つの異なる置換基の配向、二重結合周囲の2つ以上の置換基の配向、またはシクロアルキル環上の2つ以上の置換基の配向に起因し得る。
【0019】
[0014] エナンチオマーは、1つまたは複数のキラル中心から生じ得る立体異性体の1つのタイプである。エナンチオマーは、それらの鏡像が重なり合わない立体異性体の対であり、重なり合わない最も一般的な理由は、それらがキラル中心(1つまたは複数)としての役割を果たす非対称に置換された1つまたは複数の炭素原子を含むためである。「R」および「S」は、1つまたは複数のキラル炭素原子周囲の置換基の絶対配置を表し、キラル中心の立体配置が右回り(時計回り)であるか左回り(反時計回り)であるかによって、各キラル中心に接頭辞「R」または「S」が付けられる。回転がキラル炭素の周囲に時計回り、つまり右回りである場合、記号は右を表す「R」である。回転がキラル炭素の周囲に反時計回り、つまり左回りである場合、記号は左を表す「S」である。
【0020】
[0015] エナンチオマー純度は、ある化合物の一方のエナンチオマーが、その化合物の他方のエナンチオマーより優勢に存在する程度を示す。それは、多い方のエナンチオマーの%組成から、存在する少ない方のエナンチオマーの%組成を減算することによって求められる。例えば、ラセミ混合物はエナンチオマー純度0%を有し、単一の完全に純粋なエナンチオマーはエナンチオマー純度100%を有する。一方のエナンチオマーが70%、他方のエナンチオマーが30%の組成物は、エナンチオマー純度40%(70%-30%)を有する。
【0021】
[0016] ジアステレオマーは、物体および鏡像として関連性がなくかつエナンチオマーではない、立体異性体である。互いに鏡像であり重なり合わないエナンチオマーとは異なり、ジアステレオマーは互いの鏡像ではなく、かつ重なり合わない。ジアステレオマーは2つ以上のキラル中心を有する。
【0022】
[0017] 幾何異性体は、二重結合または環上の2つ以上の置換基が、二重結合または環構造の存在のため互いに対し異なる空間的配向を有し得る場合に生じる。幾何異性体の置換基の配向が二重結合の反対側にある場合、これらの置換基は互いに「トランス」であると言われるか、または「E」の文字によって表される。幾何異性体の置換基の配向が二重結合の同じ側にある場合、これらの置換基は互いに「シス」であると言われるか、または「Z」の文字によって表される。
【0023】
[0018] 二重結合周囲の2つ以上の置換基の立体配置が、構造;「E」もしくは「Z」の記号;「シス」もしくは「トランス」;または上記のものの組合せによって表される場合、その二重結合に関して示される立体化学的純度は、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%であることが理解されるべきである。二重結合に関する重量による立体化学的純度は、組成物中の示される二重結合周囲の立体化学を有する化合物の重量%を意味する。例えば、式IまたはIa’を有する化合物では、二重結合が
【0024】
【化4】
【0025】
によって表される場合、その化合物は、示される二重結合周囲のトランス(E)立体化学に関して一定の立体化学的純度を有する、すなわち、組成物中の化合物の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%が、示されるトランス(すなわち、E)二重結合を含むことが理解されるべきである。
【0026】
[0019] 幾何異性体は、環状基周囲の2つ以上の置換基の配向に基づき生じることもある。例えば、式IまたはIa’の化合物では、シクロプロピル周囲の
【0027】
【化5】
【0028】
の配向が2つの異なるシス立体配置(
【0029】
【化6】
【0030】
として);ならびに2つの異なるトランス立体配置(
【0031】
【化7】
【0032】
として)を与え得る。シクロプロピル周囲の立体化学が、
【0033】
【化8】
【0034】
でのように明記されてない場合、その構造は、他のシス立体異性体およびトランス立体異性体を含まないシス異性体またはトランス異性体の一方、あるいはシス立体異性体とトランス立体異性体の任意の混合物を含む。
【0035】
[0020] 式IまたはIa’の化合物においてシクロプロピル周囲の立体化学が構造のみによって示される場合、その構造は、シクロプロピルのキラル中心の一方における他方のキラル中心の立体化学に対する相対立体化学を示すと意図され、シクロプロピル中のいずれかのキラル中心における絶対立体化学を示すものではない。例えば、シクロプロピル周囲の立体化学がトランスであると構造のみによって示される場合、示されるシクロプロピル周囲のトランス立体配置に関するその化合物の立体化学的純度は、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%であり、すなわち、シクロプロピル周囲のトランス立体化学を有する組成物中の化合物の重量%は、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%である。例えば、式:
【0036】
【化9】
【0037】
によって表される化合物は、組成物中の化合物の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%もしくは少なくとも99重量%が、示されるシクロプロピル周囲のトランス立体配置を有する;組成物中の化合物の少なくとも少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%もしくは少なくとも99重量%が
【0038】
【化10】
【0039】
である他方のトランス立体配置を含む;または組成物中の化合物の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%もしくは少なくとも99重量%が2つのトランス立体配置の混合物であることを意味する。
【0040】
[0021] ある化合物のキラル中心の絶対立体化学が構造的におよび「R」または「S」の記号によって示される場合、その表示は、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%の、すなわち、組成物中の化合物の示される立体異性体の上記重量%の立体化学的純度での示される立体異性体を意味することが理解されるべきである。例えば、式:
【0041】
【化11】
【0042】
によって表される式IまたはIa’の化合物は、組成物中の式Iの化合物の少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%または少なくとも99重量%が、示される立体異性体を含むことを意味する。構造および「R」または「S」の記号によって示される構造が単一のエナンチオマーである場合、エナンチオマー純度は少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%または少なくとも99.9%)である。
【0043】
[0022] ある化合物が、キラル中心における立体化学を示さずに構造的に示される場合、その構造は、そのキラル中心におけるいずれかの立体配置、またはそのキラル中心における立体配置の任意の混合物を含むことが理解されるべきである。
【0044】
[0023] シクロプロピル環の1位および2位は以下の:
【0045】
【化12】
【0046】
を表す。
[0024] 本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容される塩の形態で存在し得る。医薬に使用する場合、本発明の化合物の塩は無毒性の「薬学的に許容される塩」を指す。薬学的に許容される塩の形態は、薬学的に許容される酸性/アニオン塩または塩基性/カチオン塩を含む。本明細書に記載される化合物の適切な薬学的に許容される酸付加塩としては、例えば、無機酸(塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、および硫酸など)の塩および有機酸(酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、およびp-トルエンスルホン酸など)の塩が挙げられる。カルボン酸などの酸性基を有する本教示の化合物は、薬学的に許容される塩基(1つまたは複数)と薬学的に許容される塩を形成し得る。適切な薬学的に許容される塩基性塩としては、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウム塩およびカリウム塩など)およびアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩およびカルシウム塩など)が挙げられる。第四級アンモニウム基を有する化合物は、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオンなどの対アニオンも含む。このような塩のその他の例としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩およびグルタミン酸などのアミノ酸との塩が挙げられる。
【0047】
[0025] 「対象」および「患者」という用語は、互換的に使用され得、治療を必要とする哺乳動物、例えば、伴侶動物(例えば、イヌ、ネコなど)、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギなど)および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)を意味する。対象は通常、治療を必要とするヒトである。
【0048】
3.例示的化合物の説明
[0026] 第1の実施形態では、本開示は式IもしくはIa’:
【0049】
【化13】
【0050】
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、可変物は上に記載した通りのものである。
[0027] 第2の実施形態では、本開示は式Ia:
【0051】
【化14】
【0052】
の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供し、式中、可変物は上に記載した通りのものである。
[0028] 第3の実施形態では、式I、Ia’、またはIa中のRは、メチル、エチル、ハロメチル、ハロエチル、メトキシ、ハロメトキシ、ハロ、およびシアノから選択され、残りの可変物は、式I、Ia’、または第2の実施形態に記載される通りのものである。
【0053】
[0029] 第4の実施形態では、式I、Ia’、またはIaの化合物は式II:
【0054】
【化15】
【0055】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0030] 第5の実施形態では、式I、Ia’、Ia、またはIIの化合物は式III:
【0056】
【化16】
【0057】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0031] 第6の実施形態では、式I、Ia’、Ia、またはIIの化合物は式IV:
【0058】
【化17】
【0059】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0032] 第7の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、またはIIIの化合物は式V:
【0060】
【化18】
【0061】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0033] 第8の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、またはVの化合物中のRは、水素、メチル、またはヒドロキシ(C~C)アルキルであり、式中、残りの可変物は、式Iまたは第3の実施形態に記載される通りのものである。あるいは、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、またはV中の化合物のRはヒドロキシ(C~C)アルキルであり、式中、残りの可変物は、式Iおよび第3の実施形態に記載される通りのものである。また別の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、またはVの化合物中のRはヒドロキシ(C~C)アルキルであり、式中、残りの可変物は、式Iおよび第3の実施形態に記載される通りのものである。
【0062】
[0034] 第9の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、またはIIIの化合物は式:
【0063】
【化19】
【0064】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0035] 第10の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、またはIIIの化合物は式:
【0065】
【化20】
【0066】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0036] 第11の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、またはIIIの化合物は式:
【0067】
【化21】
【0068】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0037] 第12の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、またはIVの化合物は式:
【0069】
【化22】
【0070】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0038] 第13の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、IVまたはIXは式:
【0071】
【化23】
【0072】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0039] 第14の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、IV、またはIXの化合物は式:
【0073】
【化24】
【0074】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0040] 第15の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、IV、またはIXの化合物は式:
【0075】
【化25】
【0076】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’に記載される通りのものである。
[0041] 第16の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIのいずれか1つの化合物中のRは、NH、-NH(SO)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)アルキルO(C~C)アルキル、-NHC(O)(C~C)アルキル、-NH(SO)(C~C)シクロアルキル、OH、-SONH、-C(O)NH、-C(O)NH(C~C)アルキル、-C(O)NH(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(C~C)アルキル(SO)(C~C)アルキル、-C(O)NH(C~C)アルキルOH、またはOHで置換された(C~C)アルキルであり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’、および第3または第8の実施形態に関して記載される通りのものである。あるいは、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIのいずれか1つの化合物中のRは、NH、-NH(SO)CH、-NH(SO)(CHOCH、-NH(SO)CH(CH、-NH(SO)CHCH、-NHC(O)CH、-NH(SO)シクロプロピル、OH、-SONH、-C(O)NH、-C(O)NH(SO)CH、-C(O)NH(CH、-C(O)NHCH(CH、-C(O)NHCHCH、-C(O)NH(CH(SO)CH、-C(O)NH(CHOH、または-CHOHであり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’および第3または第8の実施形態に関して記載される通りのものである。また別の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIのいずれか1つの化合物中のRは、-C(O)NH、OH、-SONH、または-NH(SO)CHであり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’および第3または第8の実施形態に関して記載される通りのものである。また別の実施形態では、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIのいずれか1つの化合物中のRはOHであり、式中、残りの可変物は、式IまたはIa’および第3または第8の実施形態に関して記載される通りのものである。
【0077】
[0042] 第17の実施形態では、式Ia’の化合物は、
【0078】
【化26-1】
【0079】
【化26-2】
【0080】
【化26-3】
【0081】
【化26-4】
【0082】
またはその薬学的に許容される塩から選択される。
[0043] 第18の実施形態では、式Ia’の化合物は:
【0083】
【化27】
【0084】
またはその薬学的に許容される塩である。
[0044] 第19の実施形態では、式Ia’の化合物は:
【0085】
【化28】
【0086】
またはその薬学的に許容される塩である。
[0045] 第20の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIおよび第17~第19の実施形態の化合物)は、少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%)のエナンチオマー純度を有する単一のエナンチオマーである。
【0087】
[0046] 第21の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIおよび第17~第19の実施形態の化合物)中のシクロプロピル環周囲の立体化学的立体配置は1R,2Sである。
【0088】
[0047] 第22の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIおよび第17~第19の実施形態の化合物)中のシクロプロピル環周囲の立体化学的立体配置は1R,2Sであり、化合物は、少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%)のエナンチオマー純度を有する単一のエナンチオマーである。
【0089】
[0048] 第23の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIおよび第17~第19の実施形態の化合物)中のシクロプロピル環周囲の立体化学的立体配置は1S,2Rである。
【0090】
[0049] 第24の実施形態では、本明細書に記載される化合物(例えば、式I、Ia’、Ia、II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、またはXIIおよび第17~第19の実施形態の化合物)中のシクロプロピル環周囲の立体化学的立体配置は1S,2Rであり、化合物は、少なくとも95%(例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%)のエナンチオマー純度を有する単一のエナンチオマーである。
【0091】
[0050] 一態様では、本明細書に記載される化合物は、
【0092】
【化29】
【0093】
またはその塩ではない。
[0051] 一態様では、本明細書に記載される化合物中のqが0であり、mが1であり、nが1であり、oが0であり、RおよびRがともに水素である場合、Rは-CONHではない。別の態様では、本明細書に記載される化合物中のqが0であり、mが2であり、nが2であり、oが0であり、RおよびRがともに水素である場合、Rは-CONHではない。
【0094】
[0001] 化合物の具体例は「例示」の節に記載され、これらは本明細書の第14の実施形態の一部として含まれる。「例示」の化合物の薬学的に許容される塩および中性型も含まれる。
【0095】
4.製剤化および投与
[0052] 一態様では、本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物が本明細書に提供される。
【0096】
[0053] 別の態様では、組成物は、薬学的に許容される担体、補助剤または溶剤をさらに含む。組成物中の化合物の量は、生体試料中のまたは患者におけるLSD1またはその変異体を測定可能に調節するのに効果的な量、すなわち、「有効量」または「治療的有効量」である。
【0097】
[0054] ある特定の態様では、本明細書に記載される組成物は、このような組成物を必要とする患者に投与するよう製剤化される。いくつかの態様では、本明細書に記載される組成物は、患者に経口投与するよう製剤化される。
【0098】
[0055] 「薬学的に許容される担体、補助剤または溶剤」または「薬学的に許容される担体」という用語は、それと一緒に製剤化される化合物の薬理活性を損なわない無毒性の担体、補助剤、または溶剤を指す。本明細書に記載される組成物に使用し得る薬学的に許容される担体、補助剤または溶剤としては、特に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、プロタミン硫酸塩など、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリラート、ロウ、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
【0099】
[0056] 本明細書に記載される薬学的に許容される組成物は、特に限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含む任意の経口的に許容される剤形の形で経口投与し得る。経口使用する錠剤の場合、よく用いられる担体として、ラクトースおよびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も通常添加される。カプセル形態での経口投与には、有用な希釈剤として、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが挙げられる。経口使用に水性懸濁剤が必要とされる場合、有効成分は乳化剤および懸濁化剤と組み合わされる。必要に応じて、特定の甘味料、香味料または着色剤も添加され得る。
【0100】
[0057] 本明細書に記載される薬学的に許容される組成物は、注射可能な形態で調製してもよい。注射用製剤、例えば、無菌注射用水性懸濁剤または油性懸濁剤は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて既知の技術により製剤化され得る。無菌注射用製剤は、例えば1,3-ブタンジオール溶液のような無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液またはエマルションであってもよい。使用し得る許容される溶剤および溶媒は、水、リンガー溶液、U.S.P.および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、溶媒または懸濁媒として無菌不揮発性油が通常使用される。この目的には、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌不揮発性油が使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射用剤の調製に使用される。
【0101】
[0058] 本明細書に記載される薬学的に許容される組成物は、特に治療標的が、眼球、皮膚または下部腸管の疾患を含む、局所適用によって容易にアクセスできる領域または器官を含む場合、局所投与されてもよい。適切な局所製剤がこれらの領域または器官のそれぞれのために容易に調製される。下部腸管への局所適用は、直腸内坐剤製剤(上を参照されたい)または適切な浣腸製剤の形で実施し得る。局所経皮貼付剤を使用してもよい。
【0102】
[0059] 担体材料と組み合わせて単一剤形の組成物を作製し得る本明細書に記載される化合物の量は、治療する宿主および具体的な投与様式によって異なる。いくつかの実施形態では、組成物は、これらの組成物を受ける患者に0.01~100mg/(kg体重・日)、例えば0.1~100mg/(kg体重・日)などの用量の阻害剤が投与され得るように、製剤化されるべきである。
【0103】
[0060] 任意の特定の患者に対する具体的な用量および治療計画は、使用する具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食事、投与の時間、排泄速度、薬物の組合せ、ならびに治療を実施する医師の判断および治療される具体的な疾患の重症度を含む、様々な因子に左右されることも理解するべきである。組成物中の本明細書に記載される化合物の量も組成物中の具体的な化合物に左右される。
【0104】
5.化合物および薬学的に許容される組成物の使用
[0061] いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、LSD1の過剰発現および/または変異体型のLSD1、例えばLSD1の基質活性を変化させる変異体型の発現に関連する疾患および/または障害の治療に有用である。
【0105】
[0062] いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、細胞増殖に関連する疾患および/または障害の治療に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、細胞周期またはDNA修復の誤制御に関連する疾患および/または障害の治療に有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物および組成物は、癌の治療に有用である。癌の例示的種類としては、乳癌、前立腺癌、大腸癌、腎細胞癌、多形神経膠芽腫癌、膀胱癌、メラノーマ、気管支癌、リンパ腫および肝臓癌が挙げられる。
【0106】
[0063] いくつかの実施形態では、本開示は、対象においてLSD1の活性を低下させる方法であって、本明細書に記載される化合物または本明細書のいずれかの化合物を含む組成物を投与する段階を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、対象において野生型LSD1の活性を低下させる方法であって、本明細書に記載される化合物または上記のいずれかの化合物を含む組成物を投与する段階を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、対象において変異体型のLSD1の活性を低下させる方法であって、本明細書に記載される化合物または上記のいずれかの化合物を含む組成物を投与する段階を含む、方法を提供する。
【0107】
[0064] いくつかの実施形態では、本開示は、例えば、皮膚癌、乳腺癌、脳癌、子宮頸癌、精巣癌腫などの腫瘍を含む癌に関連する疾患または病態を治療する方法を提供する。一態様では、本明細書に記載される組成物および方法によって治療され得る癌としては、特に限定されないが星状細胞、乳腺、子宮頸部、結腸直腸、子宮内膜、食道、胃、頭頸部、肝細胞、喉頭、肺、口腔、卵巣、前立腺および甲状腺の癌腫および肉腫などの腫瘍タイプが挙げられる。
【0108】
[0065] いくつかの実施形態では、本開示は、以下の1つまたは複数のものから選択される疾患または病態を治療する方法を提供する:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支原性肺癌(扁平上皮癌、未分化小細胞癌、未分化大細胞癌、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸管:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、VIP産生腫瘍)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛状腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(腎芽腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行細胞癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、テラトーマ、胎児性癌、奇形腫、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪腫);肝臓:ヘパトーマ(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、オステオクロンフローマ(osteochronfroma)(骨軟骨性外骨腫)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液性線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形膠芽腫、乏突起神経膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、子宮頸部(子宮頸癌、前癌子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、未分類癌腫)、顆粒膜包膜細胞腫、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性テラトーマ)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、ファロピウス管(癌腫);血液系:血液(骨髄性白血病(急性および慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;ならびに副腎:神経芽腫。
【0109】
[0066] 一実施形態では、本開示は、CML、T-ALL、神経芽腫、乳癌、前立腺癌、単純ヘルペスウイルス再活性化、およびHIV感染症から選択される疾患または病態を治療する方法であって、それを必要とする対象に本明細書に記載される化合物またはその薬学的に許容される塩を投与する段階を含む、方法を提供する。ある別の実施形態では、疾患または病態は、CML、T-ALL、および神経芽腫から選択される。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] 式:
【化1】
の化合物またはその薬学的に許容される塩であって、式中、
nが、1または2であり;
mが、1または2であり;
oが、0または1であり;
qが、0、1、2、または3であり;
が、水素または(C ~C )アルキルであり;
が、水素または任意選択でOHもしくは(C ~C )アルコキシで置換された(C ~C )アルキルであり;
およびR が存在する場合、水素、ハロ、OH、および(C ~C )アルキルからそれぞれ独立に選択され;
が、NH 、-NH(SO )(C ~C )アルキル、-NH(SO )(C ~C )アルキルO(C ~C )アルキル、-NHC(O)(C ~C )アルキル、-NH(SO )(C ~C )シクロアルキル、OH、-O(C ~C )アルキル、-SO NH 、-C(O)NH 、-C(O)NH(C ~C )アルキル、-C(O)N[(C ~C )アルキル] 、-C(O)NH(SO )(C ~C )アルキル、-C(O)NH(C ~C )アルキル(SO )(C ~C )アルキル、-C(O)NH(SO )(C ~C )シクロアルキル、-C(O)NH(C ~C )アルキルOH、-C(O)NH(C ~C )アルキルO(C ~C )アルキル、およびOHで置換された(C ~C )アルキルから選択され;かつ
が存在する場合、(C ~C )アルキル、ハロ(C ~C )アルキル、(C ~C )アルコキシ、ハロ(C ~C )アルコキシ、ハロ、およびシアノから選択され;
ただし前記化合物が、式:
【化2】
の化合物;あるいはその塩でない、
前記化合物またはその薬学的に許容される塩。
[項目2] 式:
【化3】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
[項目3] R が、メチル、エチル、ハロメチル、ハロエチル、メトキシ、ハロメトキシ、ハロ、およびシアノから選択される、項目1または2に記載の化合物。
[項目4] 式:
【化4】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1または2に記載の化合物。
[項目5] 式:
【化5】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1または2に記載の化合物。
[項目6] 式:
【化6】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1または2に記載の化合物。
[項目7] 式:
【化7】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1、2および5に記載の化合物。[項目8] R が、水素,メチル、またはヒドロキシ(C ~C )アルキルである、項目1~7のいずれか1項に記載の化合物。
[項目9] R が、ヒドロキシ(C ~C )アルキルである、項目1~8のいずれか1項に記載の化合物。
[項目10] R が、ヒドロキシ(C ~C )アルキルである、項目1~9のいずれか1項に記載の化合物。
[項目11] 式:
【化8】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1、2および5のいずれか1項に記載の化合物。
[項目12] 式:
【化9】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1、2および5のいずれか1項に記載の化合物。
[項目13] 式:
【化10】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1、2および4のいずれか1項に記載の化合物。
[項目14] 式:
【化11】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1、2および6のいずれか1項に記載の化合物。
[項目15] 式:
【化12】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1、2、6および14のいずれか1項に記載の化合物。
[項目16] 式:
【化13】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1、2、6および14のいずれか1項に記載の化合物。
[項目17] 式:
【化14】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1、2、6および14のいずれか1項に記載の化合物。
[項目18] R が、NH 、-NH(SO )(C ~C )アルキル、-NH(SO )(C ~C )アルキルO(C ~C )アルキル、-NHC(O)(C ~C )アルキル、-NH(SO )(C ~C )シクロアルキル、OH、-SO NH 、-C(O)NH 、-C(O)NH(C ~C )アルキル、-C(O)NH(SO )(C ~C )アルキル、-C(O)NH(C ~C )アルキル(SO )(C ~C )アルキル、-C(O)NH(C ~C )アルキルOH、またはOHで置換された(C ~C )アルキルである、項目1~17のいずれか1項に記載の化合物。
[項目19] R が、NH 、-NH(SO )CH 、-NH(SO )(CH OCH 、-NH(SO )CH(CH 、-NH(SO )CH CH 、-NHC(O)CH 、-NH(SO )シクロプロピル、OH、-SO NH 、-C(O)NH 、-C(O)NH(SO )CH 、-C(O)NH(CH 、-C(O)NHCH(CH 、-C(O)NHCH CH 、-C(O)NH(CH (SO )CH 、-C(O)NH(CH OH、または-CH OHである、項目1~18のいずれか1項に記載の化合物。
[項目20] R が、-C(O)NH 、OH、-SO NH 、または-NH(SO )CH である、項目1~19のいずれか1項に記載の化合物。
[項目21] R が、OHである、項目1~20のいずれか1項に記載の化合物。
[項目22]
【化15-1】
【化15-2】
【化15-3】
【化15-4】
から選択される式の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
[項目23] 式
【化16】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
[項目24] 式
【化17】
の化合物またはその薬学的に許容される塩である、項目1に記載の化合物。
[項目25] 少なくとも95%のエナンチオマー純度を有する単一のエナンチオマーである、項目1~24のいずれか1項に記載の化合物。
[項目26] シクロプロピル環周囲の立体化学的立体配置が、1R,2Sである、項目1~25のいずれか1項に記載の化合物。
[項目27] シクロプロピル環周囲の立体化学的立体配置が、1S,2Rである、項目1~25のいずれか1項に記載の化合物。
[項目28] 項目1~25のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩の有効量;および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
[項目29] 項目1~24のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む組成物。
[項目30] 少なくとも95%のエナンチオマー純度を有する単一のエナンチオマーである、項目29に記載の組成物。
[項目31] 前記シクロプロピル環周囲の立体化学的立体配置が、1R,2Sである、項目29または30に記載の組成物。
[項目32] 前記シクロプロピル環周囲の立体化学的立体配置が、1S,2Rである、項目29または30に記載の組成物。
[項目33] それを必要とする対象に項目1~27のいずれか1項に記載の化合物、もしくはその薬学的に許容される塩または項目28~32のいずれか1項に記載の組成物を投与する段階を含むCML、T-ALL、神経芽腫、乳癌、前立腺癌、単純ヘルペスウイルス再活性化、およびHIV感染症から選択される疾患または病態を治療する方法。
[項目34] 前記疾患または病態が、CML、T-ALL、および神経芽腫から選択される、項目33に記載の方法。
【0110】
(例示)
[0067] 以下の代表的な例は、本開示の説明を補助することを意図するものであって、記載される事柄の範囲を限定することを意図するものでも、そのように理解されるべきものでもない。当業者には、本明細書に図示および記載されるものに加えて、修正およびさらなる実施形態が明らかになるであろう。
【0111】
[0068] さらに、本開示(例示を含む)は本明細書に記載される個々の化合物を企図するものであることが理解されよう。例示される個々の化合物が塩として、例えばトリフルオロ酢酸塩として単離され、かつ/または特徴付けられる場合、本開示は、その塩の遊離塩基およびその遊離塩基の他の薬学的に許容される塩を企図する。
【0112】
[0069] 特に言及されない限り、溶媒、化学薬品および試薬はいずれも、購入し精製せずに使用した。H NMRスペクトルは、OXFORD(Varian社)でDO,CDCl,d-DMSO,CDODまたはd-アセトン中、25℃、400MHzにて、内部標準としてのTMSに対して報告された化学シフト(δ、ppm)により取得した。HPLC-MSのクロマトグラムおよびスペクトルは、島津LC-MS-2020システムを用いて取得した。キラル分析および精製は、Yilite P270を用いて得られた。
【0113】
(1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミン(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセタート
[0070] 段階1:
【0114】
【化30】
【0115】
[0071] MeOH(1100.0kg)中のベンズアルデヒド(130.0kg、1226.4mol)の溶液にNaOH(水溶液)(10%、500.0kg)を加えた。次いで、ブタナール(92.7kg、1287.5mol)を0℃で滴加した。反応混合物を10℃で10時間攪拌した。溶媒を除去し、残渣をHCl(水溶液、4N)によりpH5に酸性化した。混合物をEtOAc(500kg+200kg)で抽出し、ブライン(100kg×2)で洗浄した。有機層を真空下で濃縮した。粗生成物を真空下(85~95℃、2~10mmhg(約267~1333Pa))で蒸留して、(E)-2-ベンジリデンブタナール(130.0kg、GC>95%)を帯黄色の油として得た。
【0116】
[0072] 段階2:
【0117】
【化31】
【0118】
[0073] エチル2-(ジエトキシホスホリル)アセタート(182.0kg、812.5mol)をTHF(2200kg)に溶かし、0℃に冷却した。カリウムtert-ブタノラート(105.0kg、937.5mol)を一度に加え、反応混合物を0℃で15分間激しく攪拌した。反応混合物に(E)-2-ベンジリデンブタナール(130.0kg、812.5mol、1.0eq)を加え、反応混合物を25℃で16時間攪拌した。反応混合物をHO(320.0kg)で反応停止させ、EtOAc(360.0kg)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。減圧下で溶媒を蒸発させて、粗生成物を油として得た。この油を石油エーテル(560.0kg)に溶かし、シリカゲルのパッド(30.0kg)でろ過し、ろ塊を石油エーテルで洗浄した。合わせたろ液を濃縮して、エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)ヘキサ-2-エノアートを油として得た(170.0kg)。この物質をさらに精製せずに次の段階で使用した。
【0119】
[0074] 段階3:
【0120】
【化32】
【0121】
[0075] カリウムtert-ブタノラート(103.5kg、924.1mol)を不活性雰囲気下でDMSO(1900kg)に溶かした。混合物を25℃で15分間攪拌した後、トリメチルスルホキソニウムヨージド(210.0kg、959.0mol)を加えた。この混合物を25℃で45分間攪拌した後、エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)ヘキサ-2-エノアート(170.0kg、738.0mol)を加えた。反応物を50~55℃に温め、16時間攪拌した。反応物を水(600kg)で反応停止させた。混合物を石油エーテル(800kg)で抽出した。石油エーテル相を減圧下で蒸発させて、エチル(トランス)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-カルボキシラート(76.5kg)を褐色の液体として得た。この物質をさらに精製せずに次の段階で使用した。
【0122】
[0076] 段階4:
【0123】
【化33】
【0124】
[0077] エチル(トランス)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-カルボキシラート(76.5kg、313.1mol)を水(320kg)/メタノール(360kg)に溶かした。この溶液に水酸化ナトリウム(41.0kg、1025mol)を加え、溶液を50℃で3時間攪拌した。混合物を約300Lに濃縮し、HCl(水溶液、4N)を用いてpH4に酸性化した。この溶液をEtOAc(520kg)で抽出し、層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して(トランス)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-カルボン酸(62.5kg)を得た。この物質をさらに精製せずに次の段階で使用した。
【0125】
[0078] 段階5:
【0126】
【化34】
【0127】
[0079] トルエン(270kg)中の(トランス)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-カルボン酸(26.0kg、120.4mol)の溶液にトリエチルアミン(36.3kg、359mol)およびジフェニルホスホリルアジド(38.0kg、138.1mol)を0℃で加えた。反応混合物を0~10℃で3時間攪拌した。水(100kg)を加え、混合物をEtOAc(80.0kg)で抽出し、真空下で有機層を濃縮して粗油を得た。この粗油を石油エーテル(50kg)に溶かした。懸濁液をシリカゲルのパッドでろ過し、ろ塊を石油エーテルで洗浄した。合わせたろ液を濃縮して粗アシルアジドを得た。この粗アシルアジドをトルエン(100kg)に溶かし、溶液を85℃に2時間加熱した。有機層を約60Lに濃縮した。トルエン混合物にカリウムトリメチルシラノラート(23.0kg、177.9mol)を室温で加え、1.5時間攪拌した。反応物を次いで、HCl(2N水溶液、120kg)で処理し、攪拌した。層を分離した。有機層をHCl(2N水溶液、20kg)で2回抽出し、水層の抽出物を合わせた。水層をMTBE(30kg)で1回抽出し、次いで、水酸化ナトリウム(47kg、30%水溶液)でpH10~11に塩基性化した。水層を次いでMTBE(150kg)で抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。このMTBE溶液にHCl(23.5kg、ジエチルエーテル中12%)を加え、溶液から白色の固体を沈殿させた。この固体を収集して(トランス)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミン塩酸塩(16.5kg、73.8mol)を得た。
【0128】
[0080] 段階6:
【0129】
【化35】
【0130】
[0081] (トランス)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミン塩酸塩(16.5kg、73.8mol)を反応器に入れ、KPO(46L、37wt%)、次いでEtOAc(150kg)を加えた。反応混合物を0~10℃で3時間攪拌した。有機層を分離し、濃縮して乾燥させて、油を得た。S-マンデル酸(8.4kg、55.35mol)および95%EtOH(165kg)を反応器に入れ、反応物を室温で72時間(ee>99%になるまで)攪拌した。ろ過により固体を収集して(1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミン(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸塩(5.8kg、17.1mol)を得た。LCMS m/z 188 [M+H]+。X線結晶構造解析により絶対立体化学を決定した。図1を参照されたい。
【0131】
【化36】
【0132】
[0082] ジクロロメタン(4.75mL)中の2,2-ジメトキシエタンアミン(518μL、4.75mmol)の溶液にトリエチルアミン(1.32mL、9.50mmol)、次いでメタンスルホニルクロリド(550μL、7.12mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で30分間攪拌した。反応物をジクロロメタンで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。水層をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で濃縮して、粗化合物1.18gを淡黄色の油として得た。粗混合物を次いで、アセトン:水(1:1、4mL)で希釈し、amberlyst-15水素型(1.2g)で処理した。得られた混合物を室温で2時間攪拌した。懸濁液をセライトでろ過し、減圧下で濃縮して、粗N-(2,2-ジメトキシエチル)メタンスルホンアミド(900mg)を黄色の油として得た。この生成物をさらに精製せずに使用した。1H NMR (400MHz, DMSO) δ7.13 (t, J=6.0Hz, 1H), 4.36 (t, J=5.5Hz, 1H), 3.28 (s, 6H), 3.02 (t, J=5.7Hz, 2H), 2.90 (s, 3H).
N-(2-オキソエチル)エタンスルホンアミド
[0083] 段階1:
【0133】
【化37】
【0134】
[0084] DCM(1.9mL)中の2,2-ジメトキシエタンアミン(247μL、2.28mmol)の溶液にトリエチルアミン(634μL、4.56mmol)、次いでエタンスルホニルクロリド(212μL、2.28mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で30分間攪拌した。反応物をDCMで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。水層をDCMで2回、逆抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、次いで減圧下で濃縮して、粗N-(2,2-ジメトキシエチル)エタンスルホンアミドを褐色の油として得た。
【0135】
[0085] 段階2:
【0136】
【化38】
【0137】
[0086] アセトン:水(1:1、4mL)中の粗N-(2,2-ジメトキシエチル)エタンスルホンアミドの溶液にAmberlyst-15水素型(1.0g)を加えた。得られた混合物を室温で2日間にわたって攪拌した。懸濁液をセライトでろ過し、減圧下で濃縮して、粗N-(2-オキソエチル)エタンスルホンアミド(614mg)を黄色の油として得た。さらに精製せずに使用した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ9.68 (s, J=1.1Hz, 1H), 4.15 (d, J=5.2Hz, 2H), 3.07 (q, J=7.4Hz, 2H), 1.40 (t, J=7.4Hz, 3H).
[0087] N-(2-オキソエチル)エタンスルホンアミドに関して記載した合成手順を用い、適切な出発物質および変更を用いて、以下の表1の中間体を合成した。
【0138】
【表1】
【0139】
【化39】
【0140】
[0088] DCM(22.4mL)中の2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール(1.0g、11.2mmol)の溶液にトリエチルアミン(7.79mL、56.0mmol)、次いでメタンスルホニルクロリド(2.16mL、28.0mmol)を0℃で加えた。混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで、一晩放置して室温に温めた。反応物をDCMで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。水層をDCMで1回抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、次いで減圧下で濃縮して、粗2,2-ジメチル-1-(メチルスルホニル)アジリジン(1.95g)化合物を褐色の油として得た。
【0141】
2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)アセトアミド塩酸塩
[0089] 段階1:
【0142】
【化40】
【0143】
[0090] 1,2-ジクロロエタン(75mL)中の(1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパンアミン(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸塩(3.5g、10.3mmol)の懸濁液にtert-ブチル2-オキソ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシラート(2.58g、10.8mmol)、次いでナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(4.78g、22.6mmol)を0℃で加えた。反応混合物を放置して23℃に温め、4時間攪拌した。追加のtert-ブチル2-オキソ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシラート(123mg、0.51mmol)およびナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(328mg、1.55mmol)を次いで加え、反応混合物を23℃で2時間攪拌した。反応混合物を次いで飽和KCO水溶液(50mL)で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗残渣をBiotage(ヘキサン中0~100%のEtOAc勾配)により精製してtert-ブチル2-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシラート(3.235g)を得た。LCMS (ESI) m/z 411.3 [M+H]+
【0144】
[0091] 段階2:
【0145】
【化41】
【0146】
[0092] DCM(50mL)中のtert-ブチル2-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシラート(3.226g、7.84mmol)の溶液にN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.03mL、11.7mmol)、次いで無水トリフルオロ酢酸(1.40mL、10.1mmol)を0℃で加えた。反応混合物を放置して23℃に温め、4時間攪拌した。反応混合物を次いで飽和NaHCO水溶液(30mL)で希釈し、2つの層を分離した。有機層を飽和NHCl水溶液(2×20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗残渣をBiotage(ヘキサン中0~50%のEtOAc勾配)により精製してtert-ブチル2-(2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシラート(3.258g)を得た。LCMS (ESI) m/z: 529.2 [M+Na]+
【0147】
[0093] 段階3:
【0148】
【化42】
【0149】
[0094] ジオキサン(32mL)中のtert-ブチル2-(2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシラート(3.254g、6.41mmol)の溶液にHClの4.0Mジオキサン(12.8mL、51.2mmol)溶液を23℃で滴加した。反応混合物を23℃で2時間攪拌した。追加のHCl(12.8mL、51.2mmol、4.0Mジオキサン溶液)を次いで加え、反応混合物を23℃で2時間攪拌した。反応混合物を次いで減圧下で濃縮して、2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)アセトアミド塩酸塩を黄色の粗泡状物質(3.185g)として得た。LCMS (ESI) m/z: 407.2 [M+H]+
【0150】
2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)アセトアミド2,2,2-トリフルオロアセタート
[0095] 段階1:
【0151】
【化43】
【0152】
[0096] 1,2-DCE(100mL)中の(1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパンアミン(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセタート(8.65g、25.5mmol)とtert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラート(5.15g、24.3mmol)の溶液にナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(10.8g、51mmol)を加えた。30分後に、KCO(水溶液)で反応を停止させ、DCM(2×150mL)で抽出した。有機相を濃縮し、粗残渣をカラムクロマトグラフィー(50gカラム、5%~100%のEtOAc:ヘキサン)により精製してtert-ブチル6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラート(4.61g)を得た。LCMS m/z: 383.7 [M+H]+
【0153】
[0097] 段階2:
【0154】
【化44】
【0155】
[0098] DCMに溶かしたtert-ブチル6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラート(4.61g、12mmol)にジイソプロピルエチルアミン(2.81mL、16.2mmol)を加えた。この溶液を0℃に冷却した後、無水トリフルオロ酢酸(2.08mL、15mmol)を加えた。反応混合物を室温に温めながら2時間攪拌した。揮発性物質を減圧下で蒸発させて粗tert-ブチル6-(2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラートを得た。LCMS m/z 479 [M+H]+
【0156】
[0099] 段階3:
【0157】
【化45】
【0158】
[00100] tert-ブチル6-(2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラート(5.74g、12mmol)をDCM(80mL)に溶かし、10℃に冷却した後、トリフルオロ酢酸(20mL、240mmol)を加えた。溶液を放置して室温に温め、3時間攪拌した。反応物を濃縮して粗2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)アセトアミド2,2,2-トリフルオロアセタートを得た。LCMS m/z 379.2 [M+H]+
【0159】
化合物1: 2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エタノール
[00101] 段階1:
【0160】
【化46】
【0161】
[00102] メタノール中の2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)アセトアミド2,2,2-トリフルオロアセタート(7.57g、15.3mmol)とグリコアルデヒド二量体(5.51g、45.9mmol)の溶液を酢酸(2.0mL)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.88g、45.9mmol)で処理した。反応物を60℃に加熱し、LCMSによりモニターした。1時間後に、10%炭酸カリウム水溶液で反応を停止させてpH8にした。揮発性物質を次いで、真空下で除去した。粗混合物を2-メチルテトラヒドロフランで2回抽出した。有機層を次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、揮発性物質を真空下で除去した。所望の生成物2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(2-ヒドロキシエチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミドをさらに精製せずに使用した。LCMS (ESI) m/z: 423.1 [M+H]+
【0162】
[00103] 段階2:
【0163】
【化47】
【0164】
[00104] 丸底フラスコに2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(2-ヒドロキシエチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(6.46g、15.3mmol)を入れメタノール(75mL)に溶かし、0℃に冷却し、10mLの10%水酸化ナトリウム水溶液で処理した。反応物を窒素雰囲気下で30分間攪拌し、2,2,2-トリフルオロ酢酸で反応を停止させてpH2.0にした。真空下で揮発性物質を除去した。10~30%のCHCN/0.1%の2,2,2-トリフルオロ酢酸を用いる逆相カラムクロマトグラフィーにより所望の生成物を精製した。純粋な画分を合わせ、凍結し、凍結乾燥して2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エタノールビス-(2,2,2-トリフルオロ酢酸)(2.90g)を得た。LCMS (ESI) m/z: 327.3 [M+H]+1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ9.87 (br s, 1H), 9.21 (br s ,2H), 7.39-7.31 (m, 2H), 7.27-7.17 (m, 3H), 6.21 (s, 1H), 5.23 (br s, 1H), 4.25-4.11 (m, 2H), 4.11-4.06 (m, 1H), 3.98 (m, 1H), 3.85-3.69 (m, 1H), 3.55 (s, 2H), 3.25-3.11 (m, 2H), 2.80-2.72 (m, 1H), 2.72-2.65 (m, 1H), 2.65-2.53 (m, 1H), 2.48-2.35 (m, 2H), 2.30-21.8 (m, 2H), 2.02-1.90 (m, 1H), 1.22-1.14 (m, 2H), 1.12 (t, J=7.6Hz, 3H).
化合物2: 2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロパン-1,3-ジオール
[00105] 段階1:
【0165】
【化48】
【0166】
[00106] 丸底フラスコに2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)アセトアミド2,2,2-トリフルオロアセタート(2.75g、5.58mmol)を入れメタノール(18.6mL)に溶かし、1,3-ジヒドロキシプロパン-2-オン(3.0g、33.4mmol)および酢酸(10滴)を加えた。溶液を次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.09g、33.4mmol)で処理し、1時間攪拌した。反応を次いで、10%炭酸カリウム水溶液を用いて停止させてpH8にし、真空下で揮発性物質を除去した。粗混合物を2-メチルテトラヒドロフランで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで1回洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、濃縮して粗N-(2-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミドを得た。粗生成物をさらに精製せずに使用した。LCMS (ESI) m/z: 453.4 [M+H]+
【0167】
[00107] 段階2:
【0168】
【化49】
【0169】
[00108] N-(2-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(2.52g、5.58mmol)をメタノールに溶かし、氷浴中で冷却し、10%NaOHで処理し、室温に達するまで放置した。30分後に、TFAを用いて反応を停止させてpH2にし、減圧下で揮発性物質を除去した。溶離液に10~30%のMeCN/0.1%のTFA水溶液を用いる逆相カラムクロマトグラフィー(60g)により粗混合物を生成した。画分を合わせ、凍結し、凍結乾燥して、2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロパン-1,3-ジオールビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)を白色の非晶質固体(740mg)として得た。LCMS (ESI) m/z: 357.4 [M+H]+1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ10.00 (s br, 1H), 9.33 (s br, 2H), 7.42-7.31 (m, 2H), 7.28-7.16 (m, 3H), 6.20 (s, 1H), 5.28 (s br, 2H), 4.30 (t, J=15.6Hz, 2H), 4.14 (s, 1H), 3.99 (s, 1H), 3.86-3.68 (m, 1H), 3.58 (dd, J=12.7, 9.6Hz, 4H), 3.29 (s, 2H), 2.72 (s, 2H), 2.40 (d, J=8.6Hz, 1H), 2.31-2.15 (m, 2H), 1.97 (s, 1H), 1.15 (dt, J=15.1, 5.9Hz, 5H).
スケールアップおよび2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロパン-1,3-ジオールの一クエン酸塩の生成
[00109] 段階1:
【0170】
【化50】
【0171】
[00110] (1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミン(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニル酢酸塩(160g、1.0当量)を3Lのフラスコに入れ、DCM(1000mL)に溶かす。このフラスコに10%KCO(500mL)と水(500mL)の溶液を加えた。溶液を分間攪拌した。層を分離し、水層をDCM(2×、300mL)で抽出した。合わせた有機層をNaSO(100g)で乾燥し、ろ過し、濃縮して、(1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミンを淡黄色の油として得た。この物質を2-MeTHF(500mL)に溶かし、濃縮した。この物質を次いで2-MeTHF(1000mL)に溶かし、10Lのフラスコに移した。この10Lのフラスコに2-MeTHF(1000mL)を加えて遊離塩基を完全に溶かし、この溶液にtert-ブチル6-オキソ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラート(100g)を加えた。反応物を10分間攪拌した後、NaBH(OAc)(200g、2.0当量)を加えた。反応物を室温で4時間攪拌した。追加のNaBH(OAc)(8g、0.08当量)を加え、溶液を室温で2時間攪拌した。この溶液を10%のKCO溶液(950mL)の添加によってpH8に塩基性化し、反応物を室温で30分間攪拌した。層を分離し、水層をDCM(1×、500mL)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して(浴温度45℃未満)粗tert-ブチル6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラート(220g)を得た。
【0172】
[00111] 段階2:
【0173】
【化51】
【0174】
[00112] 粗tert-ブチル6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラート(200g)を入れたフラスコにDCM(2000mL)およびヒューニッヒ塩基(100mL)を加えた。反応物を0℃に冷却した後、無水トリフルオロ酢酸(120g)を30分かけて加えた。反応物を0℃で攪拌した後、10~20℃に温め、16時間攪拌した。この反応物に水(2000mL)を加え、層を分離した。有機層を濃縮して粗生成物(264g)を得た。この粗油をヘプタン(500mL)に溶かし、30分間攪拌して懸濁液を得た。この物質を次いで、シリカゲルクロマトグラフィー(1.5kg、100~200メッシュシリカゲル;勾配:1:20mの酢酸エチル:ヘプタン;1:10の酢酸エチルヘプタン;1:5の酢酸エチル:ヘプタン)により精製してtert-ブチル6-(2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラートを得た(画分A:114g、純度96%;画分B:72g、純度86%)。
【0175】
[00113] 段階3:
【0176】
【化52】
【0177】
[00114] tert-ブチル6-(2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシラート(104g)を入れたフラスコにDCM(1050mL)を加え、溶液を0℃に冷却した。この溶液にTFA(240g、10当量)を加え、溶液を室温に温めた。反応物を2時間攪拌した後、追加のTFA(40g、2.0当量)を加えた。反応物を1時間攪拌した後、濃縮して褐色の油を得た。この褐色の油をMeOH(500mL)に溶かし、濃縮した。この段階を(3回)繰り返して粗2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)アセトアミド2,2,2-トリフルオロアセタート(365.7g)を得た。
【0178】
[00115] 段階4:
【0179】
【化53】
【0180】
[00116] 粗2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)アセトアミド2,2,2-トリフルオロアセタート(365.7g、1.0当量)を入れたフラスコにMeOH(1500mL)を加えた。この溶液に1,3-ジヒドロキシプロパン-2-オン(120g、1.33当量)を加え、溶液を室温で20分間攪拌した後、AcOH(20mL、1.41当量)を加えた。反応物を10分間攪拌した後、NaBHCN(84g、6.01当量)を加えた。反応物を冷浴に入れて温度を40℃未満に維持した。反応物を1時間攪拌し、反応過程で混合物が淡黄色に変化した。この溶液を10%のKCO溶液(400mL)の添加によりpH8に塩基性化した。混合物を濃縮して(浴温度45℃未満)MeOHを除去した。得られた溶液をDCM(500mL)に溶かし、水(200mL)を加えた。層を分離し、水層をDCM(2×)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して粗N-(2-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(110.6g)を得た。
【0181】
[00117] 段階5:
【0182】
【化54】
【0183】
[00118] 粗N-(2-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(110.6g)を入れたフラスコに2-MeTHF(1100mL)を加えた。この混合物にNaOH溶液(水500mLに溶かした20gのNaOH)を緩徐に加えた。反応物を室温で1時間攪拌した。層を分離し、水層を2-MeTHF(2×)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して黄色の油(190g)を得た。この黄色の油を酢酸エチルに溶かし、ブラインで洗浄した。有機層を濃縮して(浴温度45℃未満)、2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロパン-1,3-ジオール(76.4g)を淡黄色の固体として得た。
【0184】
[00119] 段階6:
【0185】
【化55】
【0186】
[00120] 2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロパン-1,3-ジオール(50g、1.0当量)を入れたフラスコにDCM:MeOHの混合物(500mL:40mL)を加えた。この溶液を室温で10分間攪拌した後、MeOH(90mL)に溶かしたクエン酸(40g、1.43当量)を滴加した。混合物を室温で1時間攪拌した後、ろ過により沈殿を収集した。固体をMeOH:DCMの混合物(3:20、200mL)で洗浄した。ろ塊を真空下にて40℃で16時間乾燥して、2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロパン-1,3-ジオール2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシラート(77.4g)を結晶性の生成物として得た。1H NMR (400MHz, D2O) δ=7.46-7.33 (m, 2H), 7.31-7.25 (m, 3H), 6.23 (s, 1H), 4.40 (s, 2H), 4.32 (br s, 2H), 3.93 (quin, J=8.1Hz, 1H), 3.84-3.71 (m, 4H), 3.40 (quin, J=4.6Hz, 1H), 2.90-2.52 (m, 9H), 2.36-2.19 (m, 2H), 2.09-2.00 (m, 1H), 1.30-1.19 (m, 2H), 1.11 (t, J=7.8Hz, 3H).構造をX線結晶構造解析により解析した。図2を参照されたい。
【0187】
[00121] 適切な出発物質および変更を用いて、以下の表2の化合物を、化合物1に関して記載した合成手順を用いて合成した。ページ長を抑えるため、表には1R,2S異性体のみを示す。
【0188】
【表2-1】
【0189】
【表2-2】
【0190】
【表2-3】
【0191】
化合物12: 2-メチル-1-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロパン-2-オールビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)
[00122] 段階1:
【0192】
【化56】
【0193】
[00123] 密閉チューブに2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)-N-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)アセトアミド2,2,2-トリフルオロアセタート(200mg、406μmol)、2,2-ジメチルオキシラン(54.0μL、609μmol)、ジイソプロピルエチルアミン(210μL、1.21mmol)およびEtOH(4.1mL)を加えた。反応混合物を50℃で18時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、次いで1N HClで反応停止させた。層を分離し、水層を酢酸エチルで1回抽出した。合わせた有機層をブラインで1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミドの黄色の油(296mg)を得た。LCMS m/z 451.3 [M+H]+
【0194】
[00124] 段階2:
【0195】
【化57】
【0196】
[00125] MeOH(2.8mL)中の2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(250mg、554μmol)の溶液にNaOH(1M、2.77mL、2.77mmol)を室温で加えた。混合物を室温で60分間攪拌した。混合物をTFAで反応停止させ、次いで、減圧下で濃縮した。粗生成物を、溶離液としてMeCN/0.1%TFA HOを以下の勾配(2CV 0%、20CV 0~30%、3CV 30%)で用いる30gのC-18カラムで精製して、凍結乾燥後に2-メチル-1-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロパン-2-オールビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)(22.0mg)を得た。LCMS m/z 355.3 [M+H]+。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ9.59 (br s, 1H), 9.27 (br s, 2H), 7.35 (t, J=7.6Hz, 2H), 7.29-7.14 (m, 3H), 6.20 (s, 1H), 5.10 (br s, 1H), 4.37-4.25 (m, 1H), 4.25-4.07 (m, 3H), 3.83-3.64 (m, 1H), 3.18-3.09 (m, 2H), 2.79-2.65 (m, 2H), 2.65-2.52 (m, 1H), 2.47-2.33 (m, 1H), 2.30-2.13 (m, 2H), 2.03-1.89 (m, 1H), 1.23-1.15 (m, 2H), 1.13 (s, 6H), 1.11 (t, J=7.6Hz, 3H).
[00126] 適切な出発物質および変更を用いて、以下の表3の例を、化合物12に関して記載した合成手順を用いて合成した。ページ長を抑えるため、表には1R,2S異性体のみを示す。
【0197】
【表3-1】
【0198】
【表3-2】
【0199】
【表3-3】
【0200】
化合物21: 2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エタンスルホンアミド
[00127] 段階1:
【0201】
【化58】
【0202】
[00128] 2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(0.1610g、326μmol)N,N-ジメチルホルムアミドおよび炭酸ナトリウム(100mg、943μmol)を入れた密閉バイアルにエテンスルホンアミド(80.1mg、748μmol)を室温で加えた。バイアルを次いで密閉し、油浴中で一晩、60℃に加熱した。粗混合物を2-メチルテトラヒドロフランと水の間で分離した。有機相を水/ブライン(1:1v/v)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で蒸発させて粗2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エタンスルホンアミドを得た。この粗生成物をさらに精製せずに使用した。LCMS (ESI) m/z: 485.9 [M+H]+
【0203】
[00129] 段階2:
【0204】
【化59】
【0205】
[00130] 粗2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エタンスルホンアミドをメタノール(2.0mL)に溶かし、0℃にて30分間、10%NaOH水溶液(0.5mL)で処理した。反応混合物を、10~30%MeCN/0.1%TFA水溶液を溶離液とする逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。純粋な画分を合わせ、凍結し、3日間にわたって凍結乾燥した。所望の生成物2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エタンスルホンアミドビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)を白色の非晶質固体(49.6mg)として得た。LCMS (ESI) m/z: 390.2 [M+H]+1H NMR (500MHz, MeOD) δ7.34-7.28 (m, 2H), 7.23-7.15 (m, 3H), 6.26 (s, 1H), 4.36 (s, 2H), 4.27 (s, 2H), 3.92 (p, J=8.1Hz, 1H), 3.67 (t, J=6.7Hz, 2H), 3.41 (t, J=6.7Hz, 2H), 2.88-2.79 (m, 2H), 2.79-2.72 (m, 1H), 2.67-2.56 (m, 2H), 2.40-2.25 (m, 2H), 2.09-2.01 (m, 1H), 1.40 (s, 2H), 1.33-1.20 (m, 3H), 1.17 (t, J=7.6Hz, 3H).
[00131] 適切な出発物質および変更を用いて、以下の表4の例を、化合物21に関して記載した合成手順を用いて合成した。ページ長を抑えるため、表には1R,2S異性体のみを示す。
【0206】
【表4】
【0207】
化合物25: N-エチル-2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)アセトアミドビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)
[00132] 段階1:
【0208】
【化60】
【0209】
[00133] MeOH(16.2mL)中の2,2,2-トリフルオロ-N-(2-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(800mg、1.62mmol)と2-オキソ酢酸水和物(298mg、3.24mmol)と5滴のAcOHの溶液をシアノ水素化ホウ素ナトリウム(305mg、4.86mmol)で処理した。反応混合物を室温で1時間攪拌した。1時間後、追加の2-オキソ酢酸水和物を加え(298mg、3.24mmol)、反応物を45℃で1.5時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をDCMで希釈し、次いで飽和NaHCO3で反応停止させた。層を分離し、水層をDCMで1回抽出した。合わせた有機層をブラインで1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて粗2-(6-(2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)酢酸(522mg)を得た。LCMS m/z 437.2 [M+H]+
【0210】
[00134] 段階2:
【0211】
【化61】
【0212】
[00135] DMF(2.8mL)中の2-(6-(2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)酢酸(175mg、400μmol)とエチルアンモニウムクロリド(40.4mg、496μmol)とジイソプロピルエチルアミン(215μL、1.24mmol)の溶液にHATU(236mg、621μmol)を0℃で加えた。反応混合物を放置して温め、室温で3時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル(2×15mL)で抽出した。合わせた有機相をブラインで1回洗浄し、無水NaSOで乾燥し、次いで濃縮して、粗N-(2-(2-(エチルアミノ)-2-オキソエチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(199mg、430μmol)を残留DMFとともに黄色の油として得た。LCMS m/z 464.2 [M+H]+
【0213】
[00136] 段階3:
【0214】
【化62】
【0215】
[00137] MeOH(2.0mL)中のN-(2-(2-(エチルアミノ)-2-オキソエチル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-2,2,2-トリフルオロ-N-((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アセトアミド(190mg、409μmol)の溶液にNaOH(1M、2.04mL、2.04mmol)を室温で加えた。混合物を室温で30分間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、粗生成物をTFA/水に溶かし、溶離液としてMeCN/0.1%TFA H2Oを以下の勾配(2CV 0%、20CV 0~30%、5CV 30%)で用いる12gのC-18カラムで精製して、凍結乾燥後にN-エチル-2-(6-(((1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロピル)アミノ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)アセトアミドビス(2,2,2-トリフルオロアセタート)(86.7mg)を白色の固体として得た。LCMS m/z 368.1 [M+H]+。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ10.23 (br s, 1H), 9.23 (br s, 2H), 8.45-8.33 (m, 1H), 7.35 (t, J=7.5Hz, 2H), 7.27-7.14 (m, 3H), 6.19 (s, 1H), 4.27-4.10 (m, 1H), 4.10-3.99 (m, 2H), 3.98-3.87 (m, 2H), 3.80-3.63 (m, 1H), 3.16-3.04 (m, 2H), 2.77-2.57 (m, 2H), 2.57-2.52 (m, 2H), 2.48-2.35 (m, 2H), 2.30-2.17 (m, 2H), 2.01-1.85 (m, 1H), 1.20-1.14 (m, 2H), 1.12 (t, J=7.5Hz, 3H), 1.03 (t, J=7.2Hz, 3H).
[00138] 適切な出発物質および変更を用いて、以下の5の例を、化合物25に関して記載した合成手順を用いて合成した。ページ長を抑えるため、表には1R,2S異性体のみを示す。
【0216】
【表5-1】
【0217】
【表5-2】
【0218】
[00139] 上に記載した手順および(1R,2S)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミン(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセタートの代わりに中間体(1S,2R)-2-((E)-1-フェニルブト-1-エン-2-イル)シクロプロパン-1-アミン(S)-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセタートを用いて上記の例のそれぞれを再現して、反対のエナンチオマー(すなわち、1S,2R)を得ることができる。これらのエナンチオマーの構造を下の表に示す。
【0219】
【表6-1】
【0220】
【表6-2】
【0221】
【表6-3】
【0222】
【表6-4】
【0223】
LSD1 TR-FRETアッセイ
[00140] LSD1デメチラーゼ反応を50mM HEPES(pH7.4)、100mM NaCl、1mM DTT、0.01%Tween-20および0.1mg/mL BSA中で実施した。全ての酵素反応を10μLの体積で50分間、室温にて実施した。5μLの8μMビオチン化H3K4me1ペプチド溶液を、化合物80nLを含む黒色384ウェル透明底アッセイプレートの各ウェルに加えた(0.8%DMSOおよび4μM基質の最終濃度)。反応を、20nMのLSD1および80nMのFADを含有する混合物(5μL)の添加により開始させた。LSD1およびFADの最終濃度はそれぞれ10nMおよび40nMであった。酵素活性を、50mM HEPES(pH7.4)、500mM NaCl、1mM DTT、0.01%Tween-20および0.1mg/mL BSAからなる高塩緩衝液を90μL添加することにより停止させた。反応停止させた反応混合物10μLを黒色384ウェルProxiPlateに移した。10μLの検出混合物をProxiPlateに加え、ユウロピウム標識抗体およびストレプトアビジンAPCをそれぞれ0.3nMおよび200nMの最終濃度で用いた(総アッセイ体積20μL)。抗H3K4me0抗体およびストレプトアビジンAPCによる生成ペプチドの捕捉を室温で60分間進行させた後、TR-FRETシグナルを測定した。プレートをパーキンエルマーEnVisionで読み取った。%阻害を、最大値(阻害剤無し)および最小値(停止緩衝液で反応停止される)の対照を用いて算出し、阻害曲線をプロットしてIC50値を求めた。
【0224】
LSD1 LY96 Quantigeneアッセイ
[00141] MV4-11細胞を96ウェルプレートで1ウェル当たり4×10個の密度で培養し、10μMから始まり最大で0.0005μMの様々な用量の阻害剤で16時間処理した。LY-96 mRNA誘導を、Quantigene 2.0システム(Affymetrix社)を用いて定量化した。細胞を、プロテイナーゼKを含有するLysis Mixtureで溶解した。RNAを捕捉するワーキング試薬を、Quantigeneハンドブックの「Capturing Target RNA from Cultured Cell or Blood Lysates」に詳述される段階に従い調製した。それに続くLY-96プローブによるハイブリダイゼーション、シグナル増幅および検出の段階をマニュアルに記載される通りに実施した。化学発光を、Envision(パーキンエルマー社)を用いて読み取り、Abase(IDBS社のソフトウェア)を用いて用量反応曲線をプロットし、IC50を算出した。
【0225】
Kasumi-1 GI 50 アッセイ
[00142] 細胞を、4倍希釈による0~10mMの範囲の10点用量曲線で配列させたツール化合物を含む96ウェル組織培養皿に1ウェル当たり5,000個で播き、3日置きに固定比で分割してDMSO処理対照用の5,000個/ウェルの密度を再確立した。細胞処理を計12日間実施した。4日目の分割の都度、生存細胞数を、EnVision(登録商標)マルチラベル・プレートリーダー(パーキンエルマー社、ウォルサム、マサチューセッツ州、米国)を用いるセルタイターGlo発光細胞生存アッセイ(プロメガ社、マディソン、ウィスコンシン州、米国)を用いて求めた。GraphPad Prism 6(GraphPad Software社、ラホヤ、カリフォルニア州、米国)をカーブフィッティングおよびGI50値の決定に用いた。
【0226】
【表7】
図1
図2