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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】起動信号構築
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20220916BHJP
【FI】
H04W52/02 111
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019531060
(86)(22)【出願日】2016-12-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 EP2016080997
(87)【国際公開番号】W WO2018108265
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルムソン, レイフ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, トーマス
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/081282(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/154059(WO,A1)
【文献】特開2015-149640(JP,A)
【文献】特表2016-536844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信受信機のうちの1つまたは複数を起動するための起動信号を構築する方法であって、前記複数の無線通信受信機の各々が、それぞれの規格に従って受信するように適応され、前記方法は、
シンボルのシーケンス(200)の集合を選択すること(410)と、
シーケンスの前記集合を複数のグループに分割すること(420)であって、グループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第1のセット(211、212)を備える、複数のグループに分割すること(420)と、
前記グループのうちの1つを選択することと、
前記選択されたグループのシンボルの前記第1のセットに、起動されるべき前記無線通信受信機のうちの前記1つまたは複数に対応する1つまたは複数の規格を示させること(430)と、
前記選択されたグループのシンボルのシーケンスに基づいて前記起動信号を構築すること(440)と
を含み、
シーケンスの前記集合が、誤り訂正コードのコードワードに対応する、方法。
【請求項2】
前記選択されたグループを複数のサブグループに分割することであって、サブグループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第2のセット(213)を備える、複数のサブグループに分割することと、
前記サブグループのうちの1つを選択することと、
前記選択されたサブグループのシンボルの前記第2のセットに、セルラー通信ネットワークのセルを示させることであって、前記示されたセルが、起動されるべき前記無線通信受信機のうちの前記1つまたは複数に対応する、セルを示させることと、
前記選択されたグループのおよび前記選択されたサブグループのシンボルのシーケンスに基づいて前記起動信号を構築することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シーケンスの前記集合の前記選択が、最小距離しきい値に等しいかまたは最小距離しきい値を超える相互距離を有するシーケンスを選択することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記集合のシンボルの前記シーケンスが、異なる長さのシンボルのシーケンスを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記選択されたグループが、異なる長さのシンボルのシーケンスを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
シーケンスの前記集合を複数のグループに前記分割するステップは、
第1のシーケンスが第2のシーケンスよりも短い長さを有する、前記第1のシーケンスおよび前記第2のシーケンスを、
前記第1のシーケンスと、前記第1のシーケンスと同じ長さを有する前記第2のシーケンスの任意の部分とが、ある数未満の位置においてしか異ならない場合、同じグループに属させることと
を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
来るべきシグナリングを示すための無線通信送信機の方法であって、前記方法が、起動無線ユニットによる受信のための起動信号を送信することを含み、前記起動信号が、請求項1から6のいずれか一項に従って構築される、方法。
【請求項8】
複数の無線通信受信機(310、320、330)を有する無線通信デバイスの方法であって、前記方法が、
起動無線ユニットによって、請求項1から6のいずれか一項に従って構築された起動信号を受信すること(610)と、
前記受信された起動信号のシンボルの第1のセットを識別すること(621)と、
シンボルの前記識別された第1のセットによって示された1つまたは複数の対応する規格に従って受信するように適応された1つまたは複数の無線通信受信機を選択すること(623)と、
前記選択された1つまたは複数の無線通信受信機を起動すること(630)と
を含む、方法。
【請求項9】
プログラム命令を備えるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが、データ処理ユニットにロード可能であり、前記コンピュータプログラムが前記データ処理ユニットによって動作させられたとき、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法の実行を引き起こすように適応されている、コンピュータプログラム。
【請求項10】
複数の無線通信受信機のうちの1つまたは複数を起動するための起動信号を構築するためのデバイスであって、前記複数の無線通信受信機の各々が、それぞれの規格に従って受信するように適応され、前記デバイスは、
シンボルのシーケンスの集合の選択と、
シーケンスの前記集合の、複数のグループへの分割であって、グループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第1のセットを備える、分割と、
前記グループのうちの1つの選択と、
前記選択されたグループのシンボルの前記第1のセットに、起動されるべき前記無線通信受信機のうちの前記1つまたは複数に対応する1つまたは複数の規格を示させることと、
前記選択されたグループのシンボルのシーケンスに基づく前記起動信号の構築と
を引き起こすように適応されたコントローラ(710)を備え、
シーケンスの前記集合が、誤り訂正コードのコードワードに対応する、デバイス
【請求項11】
前記コントローラは、
前記選択されたグループの、複数のサブグループへの分割であって、サブグループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第2のセットを備える、分割と、
前記サブグループのうちの1つの選択と、
前記選択されたサブグループのシンボルの前記第2のセットに、セルラー通信ネットワークのセルを示させることであって、前記示されたセルが、起動されるべき前記無線通信受信機のうちの前記1つまたは複数に対応する、セルを示させることと、
前記選択されたグループのおよび前記選択されたサブグループのシンボルのシーケンスに基づく前記起動信号の構築と
を引き起こすようにさらに適応されている、請求項10に記載のデバイス
【請求項12】
前記コントローラが、最小距離しきい値に等しいかまたは最小距離しきい値を超える相互距離を有するシーケンスの選択を引き起こすことによってシーケンスの前記集合の前記選択を引き起こすように適応されている、請求項10または11に記載のデバイス
【請求項13】
前記集合のシンボルの前記シーケンスが、異なる長さのシンボルのシーケンスを備える、請求項10から12のいずれか一項に記載のデバイス
【請求項14】
前記選択されたグループが、異なる長さのシンボルのシーケンスを備える、請求項13に記載のデバイス
【請求項15】
前記コントローラは、
第1のシーケンスが第2のシーケンスよりも短い長さを有する、前記第1のシーケンスおよび前記第2のシーケンスを、
前記第1のシーケンスと、前記第1のシーケンスと同じ長さを有する前記第2のシーケンスの任意の部分とが、ある数未満の位置においてしか異ならない場合、同じグループに属させること
を引き起こすことによって、シーケンスの前記集合の、複数のグループへの分割を引き起こすように適応されている、請求項13または14に記載のデバイス
【請求項16】
来るべきシグナリングを示すための無線通信送信機のためのデバイスであって、前記デバイスが、起動無線ユニットによる受信のための起動信号の送信を引き起こすように適応されたコントローラを備え、前記起動信号が、請求項1から6のいずれか一項に従って構築される、デバイス
【請求項17】
複数の無線通信受信機を有する無線通信デバイスであって、前記無線通信デバイスが、
起動無線ユニットによる、請求項1から6のいずれか一項に従って構築された起動信号の受信と、
前記受信された起動信号のシンボルの第1のセットの識別と、
シンボルの前記識別された第1のセットによって示された1つまたは複数の対応する規格に従って受信するように適応された1つまたは複数の無線通信受信機の選択と、
前記選択された1つまたは複数の無線通信受信機の起動と
を引き起こすように適応されたコントローラを備える、無線通信デバイス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に無線通信受信機の分野に関する。より詳細には、本発明は、無線通信受信機のための起動無線機による受信のための起動信号の構築に関する。
【背景技術】
【0002】
モノのインターネット(IoT)をターゲットにする比較的多数の無線通信規格、たとえば、Bluetooth SIG(スペシャルインタレストグループ)、IEEE(米国電気電子技術者協会)802.11、IEEE802.15、および3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)によって開発された無線通信規格がある。それゆえ、および他の状況では、無線通信デバイスは、いくつかの受信機(またはトランシーバ)を備え得、各々が、異なる規格または規格の異なるバージョンに関係する。
【0003】
電力消費を低減することが、しばしば、無線通信デバイスに関する要望である。電力消費を低減する必要はしばしば、電力源(power source)が、たとえば、デバイス自体のエネルギー採取(たとえば、ソーラー)あるいはほとんどまたは決して充電または交換されない低エネルギーバッテリーであり得る、モノのインターネット(IoT)に関する無線通信デバイスについて特に顕著である。
【0004】
多くのIoT適用例について、サポートされるデータレート(一般にピーク値と平均値の両方)は低い。したがって、IoTデバイスがデータを送信または受信しているときではなく、デバイスが、そのデバイスが意図された受信機である信号があるか否かを決定するためのリスニングモードにあるとき、電力のかなりの部分が消費される。これらの状態は、起動無線機(WUR:wake-up radio)を使用することの動機となる。WURを使用することの概念は、無線通信デバイスにおける電力消費を低減するための手段として当技術分野で知られている。
【0005】
WURは、メイン受信機よりも低い電力消費(一般に、極めて低い電力消費)を有し、その唯一の目的が、メイン受信機(またはトランシーバ)を起動することである、回路、ユニットまたはデバイスである。このため、WURを有するデバイスは、WURが代わりに使用され得るので、受信すべき潜在的信号(たとえば、データパケット)を走査するためにそのメイン受信機をオンにする必要がないことになる。WURは、起動シグネチャ、またはデバイスのメイン受信機に宛てられた信号に先立って送られる起動信号(WUS:wake-up signal)を検出することによって、デバイスが受信すべき信号があることを検出することができる。WURが、WUSに基づいて、デバイスに宛てられた信号があると決定した場合、WURは、メイン受信機(および場合によっては送信機)を起動し、信号の受信のために通信リンクが確立され得る。
【0006】
受信されたWUSがそれを意図していなかったにもかかわらず、起動無線機が受信機を誤って起動し得ることが問題である。たとえば、受信されたWUSは、特定の規格に従って受信するように適応された第1のメイン受信機を起動するためのものであり得るが、WURは、(場合によっては第1のメイン受信機に加えて)別の規格に従って受信するように適応された第2の(他の)メイン受信機を起動する。誤った起動を生じる受信されたWUSが、誤った起動が行われる無線通信受信機に宛てられてさえいないことがあることに留意されたい。
【0007】
そのような誤りは、電力消費を不必要に増加させる。さらに、誤った起動が、異なる規格間の共存問題を生じ得る。たとえば、メイントランシーバが起動されたとき、メイントランシーバは、一般に、そのトランシーバが起動していることを確認するためにパケットを送り得る。そのメイントランシーバが起動されるべきではなかった場合、そのようなパケットは、他のトランシーバに対する(不要な)干渉と見なされ得る。
【0008】
それゆえ、無線通信のための、特に、2つまたはそれ以上の規格が起動シグナリングを使用するときの、改善された起動シグナリングソリューションの必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本明細書で使用される「備える、含む(comprises)/備える、含む(comprising)」という用語は、述べられた特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を明示するものととられるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことを強調されるべきである。
【0010】
また、本明細書で説明される問題、実施形態および利点は、上記で説明されたシナリオ以外の他のシナリオ、すなわち、2つ以上の共存する規格が起動信号を利用するシナリオにおいて等しく適用可能であり得ることに留意されたい。
【0011】
いくつかの実施形態の目的は、上記または他の欠点のうちの少なくともいくつかを解決または緩和することである。
【0012】
第1の態様によれば、これは、複数の無線通信受信機のうちの1つまたは複数を起動するための起動信号を構築する方法であって、複数の無線通信受信機の各々が、それぞれの規格に従って受信するように適応される、方法によって達成される。
【0013】
本方法は、シンボルのシーケンスの集合を選択することと、シーケンスの集合を複数のグループに分割することであって、グループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第1のセットを備える、分割することとを含む。
【0014】
本方法は、グループのうちの1つを選択することと、選択されたグループのシンボルの第1のセットに、起動されるべき無線通信受信機のうちの1つまたは複数に対応する1つまたは複数の規格を示させることとをも含む。
【0015】
本方法は、選択されたグループのシンボルのシーケンスに基づいて起動信号を構築することを含む。
【0016】
規格は、たとえば、Bluetooth SIG、IEEE、および3GPPのいずれかによって決定された通信規格(または通信規格のバージョン)を含み得る。通信規格は、受信および/または送信を含む、規格化された通信プロトコルの規定を含むと理解される。
【0017】
シンボルのシーケンスに基づいて起動信号を構築することは、たとえば、パケットのプリアンブルまたはパケットの物理レイヤヘッダ中にシーケンスを含めることと、無線送信のためにシーケンスを変調することとを含み得る。シンボルはビットであり得る。シーケンスを変調することは、たとえば、オン/オフキーイング(OOK)、振幅シフトキーイング(ASK)、または周波数シフトキーイング(FSK)を使用して、ビットを示すことによって達成され得る。
【0018】
シンボルの各第1のセットは、1つまたは複数の規格を明確に示し得る。たとえば、シンボルの第1のセットは、明確に、厳密に1つの規格を示し得る。代替的に、2つまたはそれ以上の規格が、シンボルの同じ第1のセットによって示され得る。また代替的に、シンボルの第1のセットは、2つまたはそれ以上の規格のいずれかに関係する受信機が起動されるべきであること(およびどの規格か)を示すために使用され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、起動信号は、複数の無線通信受信機の各々(または少なくともいくつか)のためのそれぞれの規格の起動信号の送信のために使用される周波数帯域における送信のためのものであり得る。そのような周波数帯域は、あらかじめ規定された周波数帯域であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、選択されたグループを複数のサブグループに分割すること(サブグループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第2のセットを備える)と、サブグループのうちの1つを選択することと、選択されたサブグループのシンボルの第2のセットに、セルラー通信ネットワークのセルを示させること(起動されるべき無線通信受信機のうちの1つまたは複数が、示されたセルに属する)と、選択されたグループのおよび選択されたサブグループのシンボルのシーケンスに基づいて起動信号を構築することとをさらに含み得る。
【0021】
本明細書で使用されるセルラー通信ネットワークは、基地局概念を使用する任意のネットワーク、たとえば、(たとえば、3GPPによって規定される)従来のセルラー通信規格をサポートするセルラー通信ネットワークおよび(たとえば、IEEEによって規定される)無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)規格をサポートするアクセスポイントを使用するWiFiネットワークを含むように意図されている。同様に、セルは、従来のセルラー通信ネットワークの従来のセルを指すだけでなく、任意の好適な種類のアクセスポイントの識別情報を指すためにも使用される。
【0022】
シーケンスの集合の選択は、いくつかの実施形態では、最小距離しきい値を超える相互距離を有するシーケンスを選択することを含み得る。距離は、たとえば、ハミング距離に関して測定され得る。
【0023】
シーケンスの集合は、たとえば、誤り訂正コード、たとえば、誤り訂正ブロックコードのコードワードに対応し得る。その場合、起動信号は、誤り訂正コードの特定のコードワードに基づき得、シンボルのセットは、そのコードワードの部分であり得る。シンボルの可能な第1のセットの集合は、誤り訂正コード中のコードワードの部分のために可能であるすべての異なるシンボルシーケンスであり得る。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、集合のシンボルのシーケンスは、異なる長さのシンボルのシーケンスを備える。たとえば、集合は、第1の長さを有する複数のシーケンスと、第2の長さを有する複数のシーケンスとを含み得る。さらに、選択されたグループは、いくつかの実施形態では、異なる長さのシンボルのシーケンスを含み得る。
【0025】
集合が、異なる長さのシンボルのシーケンスを含む実施形態では、シーケンスの集合を複数のグループに分割するステップは、(第1のシーケンスが第2のシーケンスよりも短い長さを有する)第1のシーケンスおよび第2のシーケンスに、第1のシーケンスと、(第1のシーケンスと同じ長さを有する)第2のシーケンスの任意の部分とが、ある数未満の位置において異なる場合、同じグループに属させることを含み得る。
【0026】
その数は、たとえば、第1のシーケンスが第2のシーケンスの部分として現れる場合、第1のシーケンスと第2のシーケンスとが同じグループに属するようなものであり得る。概して、その数は、1(これを含む)から第1のシーケンスの長さ(これを含まない)の間の任意の好適な数であり得る。
【0027】
第2の態様は、来るべきシグナリングを示すための無線通信送信機の方法である。本方法は、起動無線ユニットによる受信のための起動信号を送信することを含み、起動信号は、第1の態様に従って構築される。
【0028】
第3の態様は、複数の無線通信受信機を有する無線通信デバイスの方法である。本方法は、起動無線ユニットによって、第1の態様に従って構築された起動信号を受信することと、受信された起動信号のシンボルの第1のセットを識別することと、シンボルの識別された第1のセットによって示された1つまたは複数の対応する規格に従って受信するように適応された1つまたは複数の無線通信受信機を選択することと、選択された1つまたは複数の無線通信受信機を起動することとを含む。
【0029】
第4の態様は、プログラム命令を備えるコンピュータプログラムを有している、コンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムが、データ処理ユニットにロード可能であり、コンピュータプログラムがデータ処理ユニットによって動作させられたとき、第1の態様、第2の態様または第3の態様による方法の実行を引き起こすように適応された、コンピュータプログラム製品である。
【0030】
第5の態様は、複数の無線通信受信機のうちの1つまたは複数を起動するための起動信号を構築するための構成であって、複数の無線通信受信機の各々が、それぞれの規格に従って受信するように適応された、構成である。
【0031】
本構成は、シンボルのシーケンスの集合の(たとえば、集合セレクタによる)選択と、シーケンスの集合の複数のグループへの(たとえば、分割器による)分割であって、グループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第1のセットを備える、分割と、グループのうちの1つの(たとえば、セレクタによる)選択と、選択されたグループのシンボルの第1のセットに、起動されるべき無線通信受信機のうちの1つまたは複数に対応する1つまたは複数の規格を(たとえばマッパによって)示させることと、選択されたグループのシンボルのシーケンスに基づく起動信号の(たとえば、コンストラクタによる)構築とを引き起こすように適応されたコントローラを備える。
【0032】
第6の態様は、来るべきシグナリングを示すための無線通信送信機のための構成である。本構成は、起動無線ユニットによる受信のための起動信号の送信を引き起こすように適応されたコントローラを備え、起動信号は、第1の態様に従って構築される。
【0033】
第7の態様は、複数の無線通信受信機を有する無線通信デバイスのための構成である。本構成は、起動無線ユニットによる、第1の態様に従って構築された起動信号の受信を引き起こすように適応されたコントローラを備える。コントローラはまた、受信された起動信号のシンボルの第1のセットの識別と、シンボルの識別された第1のセットによって示された1つまたは複数の対応する規格に従って受信するように適応された1つまたは複数の無線通信受信機の選択と、選択された1つまたは複数の無線通信受信機の起動とを引き起こすように適応される。
【0034】
一般に、複数の無線通信受信機の各々は、それぞれの規格に従って受信するように適応され得る。
【0035】
起動無線ユニットは、いくつかの実施形態に従って、複数の無線通信受信機のうちの1つ、いくつかまたはいずれかを起動するように適応され得る。
【0036】
複数の無線通信受信機は、たとえば、2つまたはそれ以上の無線通信受信機からなり得る。各無線通信受信機は、起動無線機が全体として起動するように適応された無線通信トランシーバの部分であることも部分でないこともある。無線通信デバイスは、起動無線ユニットが起動するように適応されない他の無線通信受信機(またはトランシーバ)をも備え得る。
【0037】
受信機を起動することは、たとえば、受信機への電源(power supply)をオンに切り替えることと、アンテナ信号が受信機に伝達されることを引き起こすことと、および/または受信機の動作を有効にすることとを備え得る。
【0038】
2つ以上の無線通信受信機が、シンボルの識別されたセットによって示された1つまたは複数の対応する規格に従って受信するように適応された場合、起動無線ユニットは、いくつかの実施形態では、それらの無線通信受信機のうちの1つのみ(またはサブセット、またはすべて)を選択するように適応され得る。選択は、シンボルの識別されたセットの尤度(たとえば、最大相関メトリック)および/または無線通信受信機の間の優先度付けに基づき得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、上記の態様のいずれかが、さらに、他の態様のいずれかについて上記で説明されたような様々な特徴のいずれかと同等のまたはそれらの特徴のいずれかに対応する特徴を有し得る。
【0040】
いくつかの実施形態の利点は、起動信号を使用する2つ以上の規格が(地理的に、周波数帯域ごとに、および/または別様に)共存する状況において、起動無線機の効率的な使用が可能にされることである。
【0041】
いくつかの実施形態の別の利点は、減少された電力消費が可能にされることである。
【0042】
また、いくつかの実施形態の利点は、多規格実装において起動無線機の効率的な使用および実装が与えられることである。
【0043】
実施形態は、異なる規格が、同時に起こる起動信号を適用しないことを与え、したがって、リスクを低減するかまたは受信機を誤って起動する。
【0044】
いくつかの実施形態は、すでに使用中の起動無線機に悪影響を及ぼすことを回避するために、起動信号の空間の使用を可能にする。
【0045】
添付の図面を参照しながら、実施形態の以下の詳細な説明から、さらなる目的、特徴および利点が明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】いくつかの実施形態による、多規格無線通信デバイスのための例示的なシナリオを例示する概略図である。
図2】いくつかの実施形態による、例示的な起動信号構築を例示する概略図である。
図3】いくつかの実施形態による、多規格無線通信デバイスのための起動無線機アーキテクチャの例示的な構成を例示する概略ブロック図である。
図4】いくつかの実施形態による、例示的な方法ステップを例示するフローチャートである。
図5】いくつかの実施形態による、コンピュータ可読媒体を例示する概略図である。
図6】いくつかの実施形態による、例示的な方法ステップを例示するフローチャートである。
図7】いくつかの実施形態による、例示的な起動信号構築構成を例示する概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下では、起動信号が構築および使用される実施形態が説明される。起動信号は、複数の無線通信受信機のうちの1つまたは複数を起動するためのものであり、複数の無線通信受信機の各々が、それぞれの規格に従って受信するように適応される。したがって、いくつかの実施形態は、多規格サポートのための起動信号を導入する。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、各規格は、シーケンスのグループを割り振られる(グループは、1つまたは複数のシーケンスからなり得る)。好ましくは、必ずしもそうではないが、シーケンスは、異なる規格にもっぱら割り振られた2つのグループ上に備えられない。いくつかの実施形態では、これらの規格のいずれかに従って受信するように適応されたすべての受信機が起動されるべきであることを示すために、シーケンスのグループが、2つまたはそれ以上の規格の集合に故意に割り振られ得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、これは、起動信号のいくつかのシンボル(たとえばビット)に、起動信号に関して関連する(1つまたは複数の)規格を表させる(示させる)ことによって達成される。
【0050】
いくつかの実施形態は、多規格サポートのための起動無線(WUR)ユニット、すなわち、2つ以上の受信機のための起動動作をサポートするように適応された単一のWURユニットを備える無線通信デバイスに特に有用であり得、受信機は、それぞれの規格に従って受信するように適応される。そのようなWURユニットは、一般に、2つ以上の規格に関係する起動信号(WUS)を受信および検出することが可能である。(WUSに関連する(1つまたは複数の)規格を示す)WUSの検出に基づいて、WURユニットは、受信機のうちのどの(1つまたは複数の)受信機を起動すべきかを選択し、残りの受信機は、それらの受信機のそれぞれのスリープモードのままにされる。
【0051】
図1は、無線通信デバイス100が、異なる規格に関係する信号(111、121、131)を受信し得る、いくつかの実施形態に関して関連のあるシナリオを概略的に例示する。図1の例では、信号111は、(たとえば、UMTS LTE-Universal Mobile Telecommunication Standard,Long Term Evolutionなど、3GPP規格に従って)セルラー通信システムの基地局110から受信され、信号121は、(たとえば、IEEE802.11規格に従って)無線ローカルエリアネットワークシステムのアクセスポイント120から受信され、信号131は、(たとえば、Bluetooth低エネルギー-BLEなど、Bluetooth規格に従って)別の無線通信デバイス130から受信される。これらの異なるタイプの信号を受信することが可能であるためには、無線通信デバイス100は、それぞれの対応する受信機を必要とする。電力消費は、一般に、デバイスの受信機の数とともに増加し、起動無線概念が、上記で説明されたように電力消費を減少させるために使用され得る。無線通信デバイス100のどの(1つまたは複数の)受信機が起動されるべきかを指定するために、異なる起動信号が、基地局110、アクセスポイント120および他の無線通信デバイス130によって使用され得る。
【0052】
図2は、いくつかの実施形態による、例示的な起動信号構築を例示する。例示的な起動信号は、シンボルのシーケンス200に基づいて構築される。シンボルのシーケンスは、たとえば、誤り訂正ブロックコードのコードワードであり得る。
【0053】
起動信号は、複数の無線通信受信機のうちの1つまたは複数を起動するためのものであり、複数の無線通信受信機の各々が、それぞれの規格に従って受信するように適応される。
【0054】
シーケンス200の1つまたは複数の部分(シンボルの第1のセット)211、212が、起動されるべき無線通信受信機のうちの1つまたは複数に対応する1つまたは複数の規格を示すために割り振られる。たとえば、部分211は、規格の数を示し得、部分212は、どの(1つまたは複数の)規格かを示し得る。
【0055】
シーケンス200の別の部分(シンボルの第2のセット)213が、セルラー通信ネットワークのセルを示すために割り振られ得、示されたセルは、起動されるべき無線通信受信機のうちの1つまたは複数に対応し、セルという用語は、前に示されたように解釈されるべきである。
【0056】
代替または追加として、無線通信受信機のうちのどの1つまたは複数が起動されるべきかを規定することに関する他のパラメータを示すために、シーケンスの様々な部分が割り振られ得る。
【0057】
シーケンス200は、たとえば、誤り訂正ブロックコードのコードワードであり得る。上記で言及されたシンボルの第1および第2のセット211、212、213は、一般に、コードワードの情報シンボル210に備えられ得る。情報シンボル210の(もしあれば)残りの部分214は、いくつかの異なる起動信号が各規格による使用のために利用可能であることを与え得る。コードシンボル220は、異なるシーケンスが、最小距離しきい値に等しいかまたは最小距離しきい値を超える相互距離を有することを与える。
【0058】
本明細書で説明される実施形態による起動信号は、2つ以上の共存する規格が起動信号を適用する任意の状況に有用である。図3は、そのような状況において使用され得る、多規格無線通信デバイスのための起動無線アーキテクチャの例示的な構成300を概略的に例示する。構成300は、たとえば、図1の無線通信デバイス100に備えられ得る。
【0059】
実装形態は、それぞれの規格に対応する複数のトランシーバ(TX/RX1、2、3)310、320、330を備える。3つのトランシーバ310、320、330は、たとえば、図1の信号111、121、131のうちのそれぞれの信号を受信するように適応され得る。説明を簡単にするために、トランシーバのすべてについて単一のアンテナが仮定される。
【0060】
この例では、トランシーバ310、320、330のすべてが、同じ起動無線ユニット(WUR)305に関連する。ただし、実施形態は、トランシーバ310、320、330のうちのいくつかまたはすべてが、各々、それぞれの起動無線ユニット(WUR)に関連するとき、等しく適用可能である。
【0061】
アイドルモードで開始すると、スイッチ302が、図3に示されているロケーションにあり、起動無線ユニット305にアンテナ信号を伝達するが、トランシーバ310、320、330は、それぞれのスリープモードにある。起動無線ユニット305は、対応するトランシーバ310、320、330のすべての規格のWUSを監視し、起動無線ユニットが、これらの規格のいずれかに関係し、無線通信デバイスに宛てられた、WUS(図2と比較されたい)を検出したとき、起動無線ユニットは、対応するトランシーバ(たとえば、TX/RX3、330)を起動し、スイッチ302に、アンテナ信号が起動無線ユニットの代わりにメイントランシーバに伝達されるように、位置をシフトさせる。次いで、起動されたトランシーバは、そのトランシーバが再びスリープモードに入るまで、規格化されたように通信し、スイッチ302に、図3に示されているロケーションに位置をシフトさせる。
【0062】
図3に示されている例では、WUR(305)および異なるメイントランシーバ(310、320、330)のために同じアンテナが使用され、WURのみがアクティブであるか否かを例示するためにスイッチ(302)が使用される。これは、WUSが検出されるまでWURのみがアクティブであり、WUSが検出された後、メイントランシーバのうちの1つまたは複数がアクティブになることを強調するための例示にすぎない。実施形態は、単一の共通アンテナの使用に制限されず、たとえば、メイントランシーバのすべて(またはいくつか)が(たとえば、異なる周波数帯域での動作により)異なるアンテナを有するとき、および/またはWURが別個のアンテナを有するときにも適用可能であり得ることを理解されたい。別個のアンテナを有するWURは、たとえば、デバイスによってサポートされる規格のいずれかのためにメイントランシーバのいずれかによって使用される周波数とは(場合によっては実質的に)異なる周波数を使用してWUSが送られる場合、適用可能であり得る。
【0063】
したがって、図3は、無線通信デバイスのための例示的な構成300を例示し、構成は、起動無線ユニット305と、複数の無線通信受信機310、320、330とを備える。起動無線ユニット305は、起動信号を受信することと、起動信号に基づいて複数の無線通信受信機310、320、330のうちの1つまたは複数を選択することと、選択された1つまたは複数の無線通信受信機を起動することとによって、複数の無線通信受信機310、320、330のいずれかを起動するように適応される。
【0064】
上記で説明されたように、WUSのシンボルのセットは、規格を示すように専用化され得る。各規格は、シンボルの単一のセットまたはシンボルのセットのグループに関連し得る。同様に、シンボルの各セットが単一の規格に関連し得るか、またはいくつかの規格がシンボルの同じセットに関連し得る。いくつかの実施形態では、シンボルのセットは、異なる規格に関係する、1つまたは複数の受信機のみが起動されるべきであるかどうか(および場合によってはいくつの受信機が起動されるべきであるか)を示す、あるサブセットを有する。したがって、シンボルのセットは、少なくとも部分的に、1つまたは複数の対応する規格を示す。
【0065】
起動無線ユニット305は、したがって、起動信号に基づいて複数の無線通信受信機310、320、330のうちの1つまたは複数を、受信された起動信号のシンボルのセットを識別することと、シンボルの識別されたセットによって示された1つまたは複数の対応する規格に従って受信するように適応された1つまたは複数の無線通信受信機を選択することとによって、選択するように適応され得る。
【0066】
2つ以上の無線通信受信機が、シンボルの識別されたセットによって示された1つまたは複数の対応する規格に従って受信するように適応された場合、起動無線ユニットは、それらの無線通信受信機のうちの1つのみ、またはサブセット、またはすべてを選択するように適応され得る。選択は、シンボルの識別されたセットの尤度(たとえば、最大相関メトリック)および/または無線通信受信機の間の優先度付けに基づき得る。上述のように、そのような場合、いくつの(および場合によってはどの)無線通信受信機が選択されるべきであるかに関するWUS中の指示もあり得る。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、起動無線ユニット305は、相関メトリックを達成するために、受信された起動信号をシンボルの可能なセットと相関させることと、相関メトリックが相関基準を満たす場合、受信された起動信号のシンボルのセットをシンボルの可能なセットとして識別することとによって、受信された起動信号のシンボルのセットを識別するように適応され得る。
【0068】
相関基準は、たとえば、相関メトリックが相関しきい値よりも大きいこと、相関が、シンボルの異なる可能なセットに関係する相関メトリックのグループの中の最大相関メトリックであること、またはこれらの2つの基準の組合せを備え得る。
【0069】
図4は、複数の無線通信受信機のうちの1つまたは複数を起動するための起動信号(図2と比較されたい)を構築する例示的な方法400を例示し、複数の無線通信受信機の各々が、それぞれの規格に従って受信するように適応される。
【0070】
ステップ410において、シンボルのシーケンスの集合が選択される。一般に、このステップは、誤り訂正ブロックコードを選択することを含み得、シーケンスの集合は、コード中のすべてのコードワードの集合に対応する。
【0071】
シーケンスの集合は、ステップ420において複数のグループに分割され、グループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第1のセットを備える。一般に、シンボルの同じ第1のセットは、同じ内容を有するコードワードの情報シンボルの部分211、212を備える。
【0072】
ステップ430において、各規格について(およびまとめて起動されたとき、規格の各グループについて)グループが選択され、選択されたグループのシンボルの第1のセットは、起動信号がどの(1つまたは複数の)規格に関係するかを示すために使用され、このため、選択に基づいてWUSを構築する。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、異なる状況において(たとえば、チャネル状態または同様のものに応じて)異なる長さの起動信号を使用することが望ましいことがある。これを達成するために、異なるブロック長をもつ2つまたはそれ以上の誤り訂正コードが使用され得、各規格は、各ブロック長の1つまたは複数のコードワードを割り振られ得る(すなわち、各グループは異なる長さのシーケンスを備える)。
【0074】
そのような実施形態では、ステップ420は、(第1のシーケンスが第2のシーケンスよりも短い長さを有する)第1のシーケンスおよび第2のシーケンスに、第1のシーケンスと、(第1のシーケンスと同じ長さを有する)第2のシーケンスの任意の部分とが、ある数未満の位置において異なる場合、同じグループに属させることを含み得る。
【0075】
図5は、プログラム命令を備えるコンピュータプログラムを有している、いくつかの実施形態による、例示的なコンピュータ可読媒体500を概略的に例示する。コンピュータプログラムは、データ処理ユニット(PROC)520にロード可能であり、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットに関連するメモリ(MEM)530に記憶され得る。データ処理ユニット520にロードされ、データ処理ユニット520によって動作させられたとき、コンピュータプログラムは、たとえば、図4および図6のいずれかに関して説明される方法の実行を引き起こすように適応される。データ処理ユニット520およびメモリ530は、たとえば、起動信号の構築に好適な、無線通信デバイス、基地局、または他のデバイス510に備えられ得る。
【0076】
図6は、各々がそれぞれの規格に従って受信するように適応された複数の無線通信受信機を有する、無線通信デバイスによって行われる例示的な方法600を例示する。ステップ610において、起動無線ユニットによって起動信号が受信され、起動信号は、本明細書で説明されるように構築される。ステップ620において、受信されたWUSに基づいて、受信機のうちの1つまたは複数が選択され、ステップ630において、選択された(1つまたは複数の)受信機が起動される。ステップ620における選択は、一般に、サブステップ621によって例示されるように、受信された起動信号のシンボルの第1のセットを識別することと、サブステップ623によって例示されるように、シンボルの識別された第1のセットによって示された1つまたは複数の対応する規格に従って受信するように適応された1つまたは複数の無線通信受信機を選択することとを含む。
【0077】
図7は、複数の無線通信受信機のうちの1つまたは複数を起動するための起動信号を構築するための例示的な構成700を概略的に例示し、複数の無線通信受信機の各々が、それぞれの規格に従って受信するように適応される。構成は、たとえば、図4に関して説明される方法の実行を引き起こすように適応され得る。
【0078】
本構成は、シンボルのシーケンスの集合の(たとえば、集合セレクタ(COL)720による)選択と、シーケンスの集合の複数のグループへの(たとえば、分割器(DIV)730による)分割であって、グループのすべてのシーケンスが、シンボルの同じ第1のセットを備える、分割と、グループのうちの1つの(たとえば、セレクタ(SEL)740による)選択と、選択されたグループのシンボルの第1のセットに、起動されるべき無線通信受信機のうちの1つまたは複数に対応する1つまたは複数の規格を(たとえばマッパ(MAP)750によって)示させることと、選択されたグループのシンボルのシーケンスに基づく起動信号の(たとえば、コンストラクタ(CNSTR)760による)構築とを引き起こすように適応されたコントローラ(CNTR)710を備える。
【0079】
したがって、多規格WUS設計では、1つの規格のためのWUSの構築が、他の規格のための(潜在的)WUSがあるかどうかを考慮に入れることが提案される。好ましくは、(2つ以上の規格に関係する受信機を起動することが明示的に望ましいときを除いて)特定のWUSが2つ以上の規格のために使用されないように、規格間のWUSの重複が回避される。
【0080】
次に、特定の規格のために意図されたWUSのいくつかの一般的な性質が説明される。単純な実装形態では、規格は、単一のWUSのみを有し得る。そのような状況では、このWUSを走査するために、対応するWURがハードコード化され得る。
【0081】
WURにおける超低電力消費を可能にするために、WUSのために使用される変調は、しばしば、オンオフキーイング(OOK)であるが、より一般的な振幅シフトキーイング(ASK)または周波数シフトキーイング(FSK)など、他の代替が可能である。オンオフキーイングでは、論理1が信号の存在によって表され、論理0が信号の不在によって表される。
【0082】
一般的なWUSは、ビットからなり得る。WUS中のビット(またはより一般的には、シンボル)の持続時間は変動し得る。例示的な持続時間は、40kb/s~1Mb/sのビットレートに対応する範囲1μs~25μs内にあり得る。
【0083】
多規格WUSの設計における1つの目的は、ソフトウェアアップグレードによって、ならびに既存のチップセットおよびトランシーバ設計を再利用することによって、ネットワークノード(たとえば、基地局および/またはアクセスポイント)におけるWUS送信機の実装を容易にすることであり得る。これは、実装コストを低減し、製品化までの時間を早めるであろう。この理由で、WUS送信機のデジタル実装を容易にするようなやり方で多規格WUSのビットレートを選定することが有利であり得る。各規格は、公称サンプリングレートを有する。所与の規格に準拠するトランシーバ中の発振器および回路要素は、概して、公称サンプリングレートの整数倍に対応するレートにおける信号の生成を可能にするように設計される。いくつかの実施形態では、多規格WUSのビットレートは、それゆえ、1ビット周期が規格のうちの2つまたはそれ以上における整数個の公称クロック周期に対応するように選定される。
【0084】
第1の例として、当該の規格が、30.72MHzの公称サンプリング周波数を有するUMTS LTE、および20MHzの公称サンプリング周波数を有するIEEE802.11であると仮定する。その場合、WUSのビットレートは、160kb/sであるように選定され得、これは、(20MHzのチックレートをもつクロックの125回のチックと、30.72MHzのチックレートをもつクロックの192回のチックとに対応する)6.25μsのビット周期を生じる。
【0085】
第2の例として、当該の規格が、1MHzの公称サンプリング周波数を有するBLEをも含むと仮定する。その場合、WUSのビットレートは、40kb/sであるように選定され得、これは、(20MHzのチックレートをもつクロックの500回のチックと、30.72MHzのチックレートをもつクロックの768回のチックと、1MHzのチックレートをもつクロックの25回のチックとに対応する)25μsのビット周期を生じる。
【0086】
上記で説明されたように、WUSの長さも、たとえば、必要とされる感度に応じて変動し得る。いくつかの実施形態では、WUSは数百ビットからなり得る。
【0087】
WURは、一般に、包絡線検出器と、その後に続く1つまたは複数の相関器とを備え得る。包絡線検出器は、存在する信号があるかどうかを弁別するために使用され、相関器は、その場合、特定のWUSを識別する。包絡線検出器からの出力は、ハード(すなわち、単一のビット)またはソフト(すなわち、確実性をも反映する)であり得る。ソフト情報は、わずかにより高い複雑さにおいてより良好な性能を与える。
【0088】
単一のWUSのみが利用可能である場合、すべての受信機が起動され、単一のWUSのみが規格ごとに利用可能である場合、その規格に従って受信するように適応されたすべての受信機が起動される。これは明らかに良好なソリューションではないので、規格は、一般に、比較的多数の異なるWUSをサポートすることが可能であるべきであり、各デバイスは、(デバイスの最大数まで)異なるWUSを割り当てられ得る。
【0089】
いくつかの状況では、デバイスのグループを起動することが望ましいことがある。そのような状況において一度に1つのデバイスを起動しなければならないことは非効率的であることになり、したがって、デバイスのグループが、1つのWUSを用いてそれらのデバイスのすべてを起動するための、(場合によってはそれぞれのデバイス固有WUSに加えて)固有WUSを割り当てられ得る。
【0090】
いくつかのWUSが使用中であるとき、異なるWUSは、誤った起動を回避するために、あまり類似していないことがますます重要になる。2個の異なるWUSが必要とされ、各WUSがnビットからなるべきである場合、そのようなセットの構築は、(n,k)ブロックコード(長さnのコードワードに符号化されたk個の情報ビット)を等価的に設計することによって達成され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、複数の規格のために使用されるべきWUSの集合が、同時におよび誤り訂正コードに基づいて効果的に設計され得る。規格が、WUSをまだ使用していない場合でも、将来の目的のために、このプロセスに含まれ得る。
【0092】
たとえば、4つの異なる規格のためのWUSが設計されるべきであり、これらの規格のすべてが、211=2048個の異なるWUS(合計213=8192個のWUS)を可能にし、WUSの長さが255ビットであるべきであると仮定する。
【0093】
その場合、その設計を、少なくとも119の最小距離を有することが知られている、(255,13)バイナリBCHコードに基づかせることによって、WUSの好適なセットが見つけられ得る。一例としてシステマティックコードが使用され得、WUS中の255ビットのうちの最初の13ビットとして13個の情報ビットが送信される。
【0094】
2つの最初のビットが、それぞれの規格を表すために選定され得、他の情報ビット(ビット3~13)が、任意の好適なやり方(たとえば、異なるデバイスをアドレス指定すること、デバイスのグループをアドレス指定すること、またはデバイス間で弁別することなしに1つのWUSのみを使用すること)でそれぞれの規格によって使用され得る。
【0095】
上述のように、いくつかの実施形態は、同じWUSを使用して、2つまたはそれ以上の規格を起動する可能性を与える。これは、たとえば、規格固有フィールドにおける固有ビットパターンを規格のその組合せに割り当てることによって達成され得る。
【0096】
上記の例では、3つの最初のビットが、それぞれの(1つまたは複数の)規格を示すために代わりに選定され得る。第1のビットは、1つの規格のみが起動されるべきであるときに0にセットされ(第2および第3のビットがどれかを示す)、2つ以上の規格が起動されるべきであるときに1にセットされ得る(その場合、第2および第3のビットがどの組合せかを示す)。
【0097】
コードワードが整合されると仮定すると、誤り訂正コードに基づくWUS設計が、異なるコードワード間の良好な距離性質を保証する。しかしながら、コードが巡回である、すなわち、コードワードの巡回シフトもコードワードである場合、あるコードワードと別のコードワードのシフトされたバージョンとの間の距離が0であり、これは、WUR相関手法に関して不利であり得る。それゆえ、いくつかの実施形態によれば、WUS構築が、使用されるシーケンスの集合を形成する前に、コードワードの巡回シフトが除外され得る。代替的に、WUSを生成するために、所定の擬似ランダムシーケンスが各コードワードとの排他的論理和をとられ得、それにより、コードの距離性質が維持されることになるが、使用されるシーケンスの集合における巡回シフトについての尤度が減少することになる。
【0098】
WUS構築のための誤り訂正コードを使用することの代替は、良好な自己相関性質(すなわち、極めて明確な相関ピーク)と、(好ましくは、シーケンスの時間シフトにかかわらず)シーケンス間の低い相互相関とをもつシーケンスを使用することである。そのようなシーケンスの例は、GoldシーケンスおよびZadoff-Chuシーケンスである。
【0099】
たとえば、WUS設計がGoldシーケンスに基づく場合、そのようなシーケンスは、各々が長さ2-1の最大長シーケンスを生成する、同じ長さNの2つの最大長シフトレジスタ(MLSR)の出力の排他的論理和をとることによって生成され得る。MLSRからの異なる相対シフトを使用することによって、異なるGoldシーケンスが生成され得る。
【0100】
WUSの長さは、少なくともある程度まで、WURの性能に関係し、すなわち、WUSが長いほど、性能が良好になる(たとえば、不検出および/またはフォールスアラームの低い見込み)。特定の状況における性能は、一般に、送信機から受信機への経路損失に依存するので、いくつかの状況では、要件を満たすために長いWUSが必要とされず、はるかに短いWUSが十分であり得ることがある。それゆえ、上述のように、予想される実際のチャネル状態に応じて選択された異なる長さのWUSを使用することが有益であり得る。
【0101】
n=255の誤り訂正ブロックコードの例に戻ると、次に、異なる長さのWUSの構築が例示される。この例では、nの値が各ステップにおいてほぼ2倍にされる、すなわち、n=63、n=127、n=255、およびn=511であるように選定される。前述のように、2つの最初のビットが、(4つの長さのすべてにおいて)それぞれの規格を示すために使用され得る。その場合、情報ビットの数は、すべての4つの長さの選択肢について等しく保たれる(長さにかかわらずWUSについて利用可能な同じ数になるが、最小相互距離が短い長さのWUSについて小さくなる)か、または情報ビットの数は、WUSの長さに比例する(短い長さのWUSについてWUSの利用可能なもののより少ない数になるが、最小相互距離が、WUS長さとともに、他の選択肢の場合ほどは高速に減少しない)かのいずれかである。
【0102】
異なる長さのWUSを有することは、長いWUSが、(厳密にまたは近似的に、長いWUS中の部分として現れる)より短いWUSに対応する受信機を誤って起動するリスクをもたらす。それゆえ、いくつかの実施形態では、ある長さのWUSが、使用される前に、あらかじめ規定された数未満の位置でしか、当該のより短いWUSのいずれとも異ならないシーケンスをまったく含んでいないことが検証され得る。これは、オンザフライで、または(たとえば、ルックアップテーブル中に)結果をあらかじめ記憶することのいずれかで実施され得る。
【0103】
オンザフライで実施される場合にこれを達成するための1つのやり方は、より短いWUSを識別し、相関ピークを評価するために、相関器セットを通して長いWUSを動作させることによるものである。ピークがしきい値を下回る場合、長いWUSは、より短いWUSと干渉しないと決定され得る。
【0104】
オフラインで実施される場合、全数探索を実施する、ブルートフォース方法が適用され得る。いくつかの実施形態では、この手法は、どれが、相互相関に関して異なる長さのWUSの最良の組合せであるかを決定することを含み得る。
【0105】
上述のように、WUSはまた、WUSがセルラー通信ネットワークにおいてどのセルに関係するかに関する指示を搬送し得、セルという用語は、前に示されたように解釈されるべきである。これは、2つまたはそれ以上のネットワークノードが同じWUSを選択するときの、誤った起動の見込みを低減する利益を有する。
【0106】
いくつかの実施形態では、これは、図2に関して説明されるように、WUSの部分にセルを示させることによって達成され、セルという用語は、前に示されたように解釈されるべきである。そのような実施形態は、一般に、それぞれのセル識別子を配信するために、ネットワークノードの間の協調を必要とする。
【0107】
ネットワークノード間の協調の必要を回避するために、いくつかの実施形態は、WUSが使用される前に、(ネットワークノード生成された)ランダムシーケンスが、規格識別しないWUSビットとの排他的論理和をとられる手法を適用する。
【0108】
説明される実施形態およびそれらの等価物は、ソフトウェアまたはハードウェアあるいはそれらの組合せで実現され得る。それらは、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、コプロセッサユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルハードウェアなど、通信デバイスに関連するまたは通信デバイスと一体の汎用回路によって、または、たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC)など、専用回路によって実施され得る。すべてのそのような形態は、本開示の範囲内に入ることが企図される。
【0109】
実施形態は、実施形態のいずれかによる、構成/回路要素/論理を備えるかまたは方法を実施する電子装置内に現れ得る。
【0110】
いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラム製品は、たとえば、USBスティック、プラグインカード、組込みドライブ、または図5に例示されているCD-ROM500などの読取り専用メモリ(ROM)など、コンピュータ可読媒体を備える。コンピュータ可読媒体は、プログラム命令を備えるコンピュータプログラムをその上に記憶していることがある。コンピュータプログラムは、たとえば、電子デバイスに備えられ得る、データ処理ユニットにロード可能であり得る。データ処理ユニットにロードされたとき、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットに関連するまたはデータ処理ユニットと一体のメモリに記憶され得る。いくつかの実施形態によれば、コンピュータプログラムは、データ処理ユニットにロードされ、データ処理ユニットによって動作させられたとき、たとえば、図4または図6のいずれかに示されている方法による、方法ステップの実行を引き起こし得る。
【0111】
様々な実施形態への参照が本明細書で行われた。ただし、当業者は、特許請求の範囲内に依然として入るであろう、説明される実施形態への多数の変形形態を認識するであろう。たとえば、本明細書で説明される方法実施形態は、ある順序で実施される方法ステップを通して例示的な方法を説明する。しかしながら、特許請求の範囲から逸脱することなく、イベントのこれらのシーケンスが別の順序で行われ得ることを認識されたい。さらに、いくつかの方法ステップは、順次実施されるものとして説明されたが、それらの方法ステップは並列に実施され得る。
【0112】
同様の様式で、実施形態の説明において、特定のユニットへの機能ブロックの区分は決して限定的でないことに留意されたい。これに反して、これらの区分は例にすぎない。1つのユニットとして本明細書で説明される機能ブロックは、2つまたはそれ以上のユニットに分けられ得る。同様の様式で、2つまたはそれ以上のユニットとして実装されるものとして本明細書で説明される機能ブロックは、単一のユニットとして実装され得る。
【0113】
このため、説明される実施形態の詳細は例示のためのものにすぎず、決して限定的でないことを理解されたい。代わりに、特許請求の範囲の範囲内に入るすべての変形形態が、本明細書中に包含されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7