(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】トップエミッション有機発光デバイス及びその構成要素
(51)【国際特許分類】
H05B 33/02 20060101AFI20220916BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220916BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20220916BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220916BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/04
H05B33/10
H05B33/28
(21)【出願番号】P 2019548455
(86)(22)【出願日】2017-10-10
(86)【国際出願番号】 CN2017105493
(87)【国際公開番号】W WO2018171166
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-09-04
(31)【優先権主張番号】201710184216.1
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ダン・ワン
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0256202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0197308(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264311(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/02
H01L 51/50
H05B 33/04
H05B 33/10
H05B 33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードと、
前記アノードの上に配置された発光層と、
前記発光層の上に配置されたカソードと、
前記カソードの上に配置され、材料が無機材料を含む光抽出層と、
前記光抽出層の上に配置された封止層と、を含み、
前記封止層は、有機サブ層を含み、前記有機サブ層の材料は、波形ポリマーを含み、前記波形ポリマーは、マルチブロックポリマーによって形成される自己組織化規則配列を含み、周期的なシワ構造を有する、
トップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項2】
前記無機材料は金属酸化物を含む請求項1に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項3】
前記金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、または酸化チタンの少なくとも1つを含む請求項2に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項4】
前記封止層は、積層構成要素を有し、前記光抽出層の上に配置された第1の有機サブ層、前記第1の有機サブ層の上に配置された第1の無機サブ層、および前記第1の無機サブ層の上に配置された第2の有機サブ層を含み、前記第2の有機サブ層の材料は、前記波形ポリマーを含む、請求項1に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項5】
前記第1の有機サブ層の材料は、エポキシ樹脂を含む請求項4に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項6】
前記第1の無機サブ層の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含む請求項4に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項7】
前記波形ポリマーは、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、またはフェノール樹脂の少なくとも1つを含む請求項1に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項8】
前記第1の有機サブ層の厚さは、1μmか
ら8μmの範囲であり、
前記第1の有機サブ層の屈折率は、1.56である、
請求項4に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項9】
前記第1の無機サブ層の厚さは、800nmであり、
前記第1の無機サブ層の屈折率は、1.84である、
請求項4に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項10】
前記第2の有機サブ層の厚さは、1μmから8μmの範囲である請求項4に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項11】
前記光抽出層の屈折率は、1.7から2.1の範囲であり、
前記光抽出層の厚さは、50nmである、
請求項1に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項12】
前記光抽出層は、原子層堆積によって堆積される請求項1に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項13】
前記封止層は、前記光抽出層と前記有機サブ層との間に第2の無機サブ層をさらに含み、
前記第2の無機サブ層の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項14】
前記封止層は、前記有機サブ層の上に配置された追加無機サブ層をさらに含み、
前記有機サブ層の上に配置された前記追加無機サブ層の材料は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含む、
請求項12または13に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項15】
前記有機サブ層の厚さは、1μmから8μmの範囲である請求項1に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素。
【請求項16】
請求項1~13及び15のいずれか一項に記載の構成要素を含むトップエミッション有機発光ダイオード。
【請求項17】
基板の上にアノードを形成することと、
前記アノードの上に発光層を形成することと、
前記発光層の上にカソードを形成することと、
前記カソードの上に材料が無機材料を含む光抽出層を形成することと、
前記光抽出層の上に封止層を形成することと、を含み、
前記封止層は、有機サブ層を含み、前記有機サブ層の材料は、波形ポリマーを含み、前記波形ポリマーは、マルチブロックポリマーによって形成される自己組織化規則配列を含み、周期的なシワ構造を有する、
トップエミッション有機発光デバイスの構成要素を製造する方法。
【請求項18】
原子層堆積によって前記光抽出層を前記カソードの上に堆積する請求項17に記載のトップエミッション有機発光デバイスの構成要素を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、出願日が2017年03月24日、出願番号が201710184216.1の中国特許出願の優先権を主張し、その内容は全体として参照により本明細書に引用される。
【0002】
本発明は、一般的に、有機ELディスプレイ技術の分野に関し、特に、トップエミッション有機発光ダイオード(OLED)デバイスの構成要素及びトップエミッションOLEDデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)デバイスは、例えば、アクティブ発光能力、良好な温度特性、低消費電力、高速応答、柔軟性、超薄性、低コストなどの利点を有することから、液晶ディスプレイデバイスの代替品として次世代ディスプレイデバイスになることができる。OLEDフラットパネルディスプレイ技術は、大量生産技術がますます成熟し、市場の需要が急速に成長する傾向にある。
【0004】
従来の技術では、OLEDデバイスにおける光抽出層に使用される有機低分子材料は、水分及び酸素に敏感である可能性がある。さらに、前記光抽出層および前記光抽出層の上の薄膜封止(TFE)層は、不十分な屈折率整合を有する可能性があり、その結果、TFE層を通る光の損失が生じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一形態において、本発明は、トップエミッション有機発光デバイスの構成要素を提供する。前記構成要素は、アノードと、前記アノードの上に配置された発光層と、前記発光層の上に配置されたカソードと、前記カソードの上に配置された光抽出層と、前記光抽出層の上に配置された封止層とを含む。前記光抽出層の材料が無機材料を含む。
【0006】
本発明の他の形態は、トップエミッション有機発光デバイスの構成要素を製造する方法を提供する。前記方法は、基板の上にアノードを形成することと、前記アノードの上に発光層を形成することと、前記発光層の上にカソードを形成することと、前記カソードの上に光抽出層を形成することと、前記光抽出層の上に封止層を形成することとを含む。前記光抽出層の材料が無機材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下の図面は、様々な開示された実施形態を説明するための単なる例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0008】
【
図1】本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光ダイオード(OLED)デバイスの例示的な構成要素の概略図である。
【
図2】本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素の概略図である。
【
図3】本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素の概略図である。
【
図4】本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素の概略図である。
【
図5】本発明の様々な開示された実施形態による例示的なトップエミッションOLEDデバイスの概略図である。
【
図6】トップエミッションOLEDデバイスの例示的な構成要素とトップエミッションOLEDデバイスの基準構成要素との光出力結果の比較を示す。
【
図7】輝度とエポキシ樹脂層の厚さとの関係図を示す。
【
図8】トップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素とトップエミッションOLEDデバイスの基準構成要素との光出力結果の比較を示す。
【
図9】電流効率とエポキシ樹脂層の厚さとの関係図を示す。
【
図10】トップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素とトップエミッションOLEDデバイスの基準構成要素との光出力結果の比較を示す。
【
図11】輝度と波形ポリマー層の厚さとの関係図を示す。
【
図12】本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光デバイスの例示的な構成要素の例示的な製造方法のフローチャートである。
【
図13】本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光デバイスの例示的な構成要素の別の例示的な製造方法のフローチャートである。
【
図14】本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光デバイスの例示的な構成要素の別の例示的な製造方法のフローチャートである。
【
図15】本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光デバイスの例示的な構成要素の別の例示的な製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。いくつかの実施形態の以下の説明は、例示および説明のみを目的として本明細書に提示され、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0010】
本発明の態様及び特徴は、添付の図面を参照してより詳細に説明された本発明の例示的な実施形態を通じて当業者によって理解され得る。
【0011】
発光方向に応じて、OLEDデバイスは、ボトムエミッションOLEDデバイス、デュアルサイドエミッションOLEDデバイス、およびトップエミッションOLEDデバイスの3つのタイプに分類することができる。ボトムエミッションOLEDデバイスは、OLEDデバイスの基板を通して光を放出するOLEDデバイスである。デュアルサイドエミッションOLEDデバイスは、基板とデバイスの上部の両方を通して光を放出するOLEDデバイスである。トップエミッションOLEDデバイスは、デバイスの上部を通して光を放出するOLEDデバイスである。
【0012】
トップエミッションOLEDデバイスは、広い用途を有し、独立した赤-緑-青(RGB)カラーピクセルを有する構造と、白色光源及びカラーフィルムを含む構造との2種類の構造のうちの1つを有していてもよい。トップエミッションOLEDデバイスは、高い輝度効率、高い色純度などを有していてもよい。トップエミッションOLEDデバイス内では、導波モードと表面プラズマモードとが存在し、この結果、トップエミッションOLEDデバイスの外部量子効率は一般的に約20%にすぎない。外部量子効率は、外部光抽出や内部光抽出などの方法によって改善されることができる。外部光抽出方法は、一般的に、光抽出層として高い屈折率を有する有機キャッピング層を使用することができる。光抽出層は、水分及び酸素に敏感である芳香環有機材料、または水分及び酸素に敏感である別の有機材料を含むことができる。したがって、電極材料および光抽出層のための薄膜封止(TFE)層として機能し、水分及び酸素を遮蔽するために、無機/有機/無機薄膜構造は、一般的に、トップエミッションOLEDデバイスの光抽出層の上に堆積される必要がある。
【0013】
従来の技術において、光抽出層は、一般的に、N,N’-ビス-(1-ナフタレニル)N,N’-ビスフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPB)、4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1-ビフェニル(CBP)等の蒸発により形成されることができる有機低分子材料を用いることができる。有機低分子材料は、水分と酸素に敏感である可能性がある。さらに、光抽出層と光抽出層の上に配置されたTFE層とは、屈折率整合が悪いので、光の逃げを妨げることがある。一般的に、TFE層を通る光の損失は約8%である。
【0014】
本発明は、トップエミッション有機発光ダイオード(OLED)デバイスの構成要素を提供する。
図1は、本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッションOLEDデバイスの例示的な構成要素の概略図である。
図1に示すように、例示的な構成要素は、アノード1と、アノード1の上に配置された発光層2と、発光層2の上に配置されたカソード3と、カソード3の上に配置された光抽出層4と、光抽出層4の上に配置された封止層5とを含む。光抽出層4の材料が金属酸化物を含むことができる。封止層5は、光抽出層4の上に配置された第1の有機サブ層501および第1の有機サブ層501の上に配置された第1の無機サブ層502を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明のトップエミッションOLEDデバイスの構成要素における光抽出層の材料は、金属酸化物を含むことができる。金属酸化物は、従来の技術における光抽出層に使用される芳香環を有する有機材料よりも高い屈折率を有することができる。
【0016】
金属酸化物は、従来の技術における芳香環を有する有機材料よりも安定した化学的性質を有することができる。金属酸化物は、空気中の水分と酸素との化学反応を容易にすることができず、光抽出層の化学的性質をより安定させる。
【0017】
金属酸化物は、より小さい分子サイズおよびより密に詰まった分子を有することができ、かつ、水分および酸素を通しにくくなる可能性がある。したがって、光抽出層は、下にある電極および発光層を保護することができる。
【0018】
光抽出層は、比較的低い屈折率を有する第1の有機サブ層と比較的高い屈折率を有する第1の無機サブ層とを含む封止層の屈折率と一致する屈折率を有することができる。第1の有機サブ層は比較的低い屈折率を有し、第1の無機サブ層は比較的高い屈折率を有することによって、第1の有機サブ層と第1の無機サブ層とが互いに整合して光透過率を改善するためのユニットを形成する。
【0019】
本発明の実施形態では、アノード、発光層、およびカソードは限定されず、様々な適用シナリオに従って選択されてもよい。例えば、本発明のアノード、発光層、及びカソードの材料は、それぞれ従来の技術におけるトップエミッションOLEDデバイスのアノード、発光層及びカソードの材料を含んでもよい。アノードの材料は、例えば、銀(Ag)、インジウム錫酸化物/銀/インジウム錫酸化物(ITO/Ag/ITO)、またはニッケル-クロム合金を含むことができる。発光層の材料は、例えば、トップエミッションOLEDデバイスのカソードでの電子注入を改善できるトリス(8-キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を含むことができる。一般的に、発光層は、例えば赤色光を発光する赤色発光領域、緑色光を発光する緑色発光領域、および青色光を発光する青色発光領域などの異なる発光領域を含むことができる。カソードの材料は、例えば半透明カソード材料を含むことができる。また、カソードの材料は、例えば銅フタロシアニン(CuPc)やマグネシウム-銀合金を含むことができる。
【0020】
さらに、いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、または酸化チタンの少なくとも1つを含んでもよい。金属酸化物を含有する光抽出層の屈折率は、通常、約1.7から約2.1の範囲である。いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化亜鉛を含んでもよい。例えば、酸化亜鉛を含む光抽出層は、約2.0の比較的高い屈折率を有する。いくつかの実施形態では、光抽出層の厚さは、例えば、約50nmでもよい。
【0021】
原子層堆積(ALD)法を用いて、原料を交互に反応室に入るように制御することによって緻密な原子層堆積膜を準備することができる。時間差があるため、2つの原料が反応室内に同時に存在することはできない。したがって、化学気相成長(CVD)の方法での反応を防ぐことができる。第1の原料に関する反応が完了した後、アルゴンなどの不活性ガスを導入して、1つ以上の第1の反応生成物、例えば1つ以上の反応副生成物及び過剰原料の少なくとも一部を排出することができる。反応の自己制限的性質のために、反応ごとに1つの層の原子のみが成長することができる。
【0022】
例えば、Al2O3膜を堆積するために、ヒドロキシル層で覆われた基板(例えば、Si基板)を用いて、原料トリメチルアルミニウム(TMA)をパルスの形態で反応室に導入することができる。TMAはSi基板上のヒドロキシルと反応し得る。反応生成物(-O-)Al(CH3)2が表面に吸着され、ガス反応生成物CH4及び過剰原料TMAが不活性ガスを導入することによって反応室から排出されることができる。次いで、原料水蒸気を導入して、例えば(-O-)Al(CH3)2などの表面に吸着された反応生成物と反応することができる。反応が飽和に達した後、不活性ガスを導入することによって、1つ以上の反応生成物、例えば1つ以上の反応副生成物及び過剰水蒸気の少なくとも一部が反応室から排出されることができる。この段階で、1サイクルが完了した。この後、次のサイクルが続くことができる。
【0023】
反応は以下の通りである。
【0024】
OH(ad)+ Al(CH3)3→(-O-)Al(CH3)2(ad)+ CH4(g)
【0025】
(-O-)Al(CH3)2(ad)+ H2O(g)→(-O-)2Al(CH3)(ad)+CH4(g)
【0026】
Al2O3膜の堆積温度は、通常、例えば約80℃である。膜の厚さはサイクル数に依存する。いくつかの実施形態では、厚さ1nmの膜は、完成するのに10サイクルを必要とすることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、ZnO膜を準備するために、亜鉛の原料としてのジエチル亜鉛と酸素の原料としての水とを交互に反応室に導入してZnO膜を形成することができる。各反応サイクルにおいて、原料の曝露時間は約60sであり、反応環境はN2を含み、温度は約130℃であり得る。
【0028】
さらに、いくつかの実施形態では、第1の有機サブ層の材料は、例えばエポキシ樹脂を含むことができる。第1の有機サブ層は、光抽出層より小さい屈折率を有することによって、屈折率勾配を形成して光の全反射を抑制することができる。さらに、第1の有機サブ層の厚さは、例えば、約1μm~約8μmであり、第1の有機サブ層の屈折率は、約1.56であり得る。
【0029】
さらに、第1の無機サブ層の材料は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含むことができる。第1の無機サブ層は、第1の有機サブ層より高い屈折率を有することによって、光透過率を改善することができる。さらに、第1の無機サブ層の材料は、例えば窒化ケイ素(SiN)を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の無機サブ層の屈折率は、例えば、約1.84であり得る。いくつかの実施形態では、第1の無機サブ層の厚さは、例えば、約800nmであり得る。
【0030】
図2は、本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素の概略図である。
図2に示された構成要素は、
図2に示された構成要素において封止層5が第1の無機層502の上に配置された第2の有機サブ層503をさらに含むことを除いて、
図1に示された構成要素と同様である。第2の有機サブ層503の材料は、例えば、波形ポリマーを含むことができる。波形ポリマーは、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、フェノール樹脂、または同様の構造を有する別のマルチブロックポリマーの少なくとも1つによって形成された自己組織化規則配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の有機サブ層の厚さは、一般的に、約1μm~約8μmであり、かつ光出力にほとんど影響を及ぼさない。波形ポリマーは、周期的なシワ構造を有し、出力光に対して散乱効果を有することによって、光の全反射を低減し、光の透過率を改善することができる。
【0031】
図3は、本発明の実施形態と一致するトップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素を示す。
図3に示すように、構成要素は、アノード1と、アノード1の上に配置された発光層2と、発光層2の上に配置されたカソード3と、カソード3の上に配置された光抽出層4と、光抽出層4の上に配置された封止層5とを含む。光抽出層4の材料が金属酸化物を含むことができる。
図3に示す例では、封止層5は、第3の有機サブ層504を含み、第3の有機サブ層の材料が波形ポリマーを含む。
【0032】
本発明の実施形態において、本発明のトップエミッションOLEDデバイスの構成要素における光抽出層の材料は、従来の技術における光抽出層に使用される芳香環を有する有機材料よりも高い屈折率を有する金属酸化物を含むことができる。
【0033】
金属酸化物は、従来の技術における芳香環を有する有機材料よりも安定した化学的性質を有することができる。金属酸化物は、空気中の水分と酸素との化学反応を容易にすることができず、光抽出層の化学的性質をより安定させる。
【0034】
金属酸化物は、より小さい分子サイズおよびより密に詰まった分子を有することができ、かつ、水分および酸素を通しにくくなる可能性がある。したがって、光抽出層は、下にある電極および発光層を保護することができる。
【0035】
光抽出層は、光抽出層の上に配置された封止層における第3の有機サブ層と共に、光の全反射を抑制し、光の透過率を改善することができる。
【0036】
本発明の実施形態では、アノード、発光層、およびカソードは限定されず、様々な適用シナリオに従って選択されてもよい。アノード、発光層、及びカソードの材料は、例えば、それぞれ従来の技術におけるトップエミッションOLEDデバイスのアノード、発光層及びカソードの材料を含んでもよい。アノード、発光層及びカソードについて、上記実施形態において説明されたアノード、発光層及びカソードを参照することができる。
【0037】
さらに、いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、または酸化チタンの少なくとも1つを含んでもよい。金属酸化物を含有する光抽出層の屈折率は、通常、約1.7~約2.1である。いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化亜鉛を含んでもよい。例えば、酸化亜鉛を含む光抽出層は、約2.0の比較的高い屈折率を有する。いくつかの実施形態では、光抽出層の厚さは、例えば、約50nmでもよい。
【0038】
さらに、いくつかの実施形態では、第3の有機サブ層の材料は、波形ポリマーを含むことができる。第3の有機サブ層の構造及び特性について、
図2に示した第2の有機サブ層の構造及び特性の説明を参照することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0039】
図4は、本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素の概略図である。いくつかの実施形態では、第3の有機サブ層の製造中に溶媒が光抽出層を介して電極材料に浸透することを防止するために、
図4に示すように、封止層5は、光抽出層4と第3の有機サブ層504との間に第2の無機サブ層505をさらに含む。第2の無機サブ層505の材料は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含んでもよい。第2の無機サブ層505は、溶媒が電極材料中に浸透することを防ぐことができるだけでなく、電極および発光層をさらに封止するのに役立つこともできる。また、第2の無機サブ層505は、光透過率にあまり影響しない。
【0040】
さらに、いくつかの実施形態では、アノード、発光層、およびカソードの上の封止層5の封止性能を高めるために、ならびに水分および酸素がアノード、発光層、およびカソードの材料と化学的に反応することを防止するために、
図4に示すように、封止層5は、第3の有機サブ層504の上に配置された第3の無機サブ層506をさらに含む。第3の無機サブ層506は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含んでもよい。
【0041】
本発明は、本開示と一致するトップエミッションOLEDデバイスの構成要素のいずれか1つ、例えば上述の例示的な構成要素のいずれか1つを含むトップエミッションOLEDデバイスを提供する。構成要素は、トップエミッションOLEDデバイスの基板の上に配置されてもよい。トップエミッションOLEDデバイスは、比較的高い光透過率を有することができる。
【0042】
図5は、本発明の様々な開示された実施形態による例示的なトップエミッションOLEDデバイス500の概略図である。
図5に示すように、例示的なトップエミッションOLEDデバイス500は、開示の構成要素591を含む。構成要素591は、例えば、上述の例示的構成要素のいずれか1つであることができる。トップエミッションOLEDデバイス500は、他の適切な構造をさらに含むことができる。例えば、トップエミッションOLEDデバイス500は基板592を含む。本発明と一致する構成要素を含む任意のトップエミッションOLEDデバイスは、本発明の範囲内にある。
【0043】
いくつかの実施形態では、本発明と一致する構成要素は真空中で形成されることができる。
【0044】
以下、本発明の実施例と参考例との比較を説明する。
【0045】
以下、実施例1、すなわち本発明の実施例1を説明する。
【0046】
基板は、アセトン、エタノール、および脱イオン水中で連続して10分間超音波洗浄した後、オーブンで乾燥される。
【0047】
洗浄された基板を真空室内に置いた後、アノードがマグネトロンスパッタリングによって基板上に形成される。アノードは、例えば、ITO/Ag/ITO層を含むことができる。
【0048】
基板上の準備された構造は次に真空蒸着室に置かれ、真空レベルは約10-5Paで保持される。材料は、熱源によって加熱され昇華される。発光層は、蒸着によりアノードの上に形成される。発光層について、詳細な層構造は、例えば、正孔注入サブ層/正孔輸送サブ層/発光サブ層/電子輸送サブ層/電子注入サブ層を含むことができる。
【0049】
次に、カソードは、真空蒸着により発光層の上に形成される。カソードの厚さは、例えば約14nmである。カソードの材料は、例えば、マグネシウム-銀合金であり得る。マグネシウムと銀の質量比は、例えば、約2:8または約9:1であり得る。
【0050】
光抽出層は、原子層堆積(ALD)によってカソードの上に堆積される。光抽出層の厚さは、例えば約50nmである。光抽出層の材料は、例えば酸化亜鉛を含むことができる。
【0051】
第1の有機サブ層がインクジェット印刷によって光抽出層の上に堆積される。第1の有機サブ層の厚さは、例えば約5μmである。第1の有機サブ層の材料は、例えばエポキシ樹脂を含むことができる。
【0052】
第1の無機サブ層がプラズマ化学気相成長(PECVD)によって第1の有機サブ層の上に堆積される。第1の無機サブ層の厚さは、約800nmである。第1の無機サブ層の材料は、窒化ケイ素を含むことができる。
【0053】
このようにして、トップエミッションOLEDデバイスの構成要素が形成される。
【0054】
以下、実施例2、すなわち本発明の実施例2を説明する。
【0055】
実施例2では、トップエミッションOLEDデバイスの構成要素が第2の有機サブ層をさらに含む点で、実施例2は実施例1と異なる。ポリスチレンがスピンコーティングによって第1の無機サブ層の上に1層ずつ自己組織化されて、波形ポリマーを含む第2の有機サブ層を形成する。
【0056】
以下、実施例3、すなわち本発明の実施例3を説明する。
【0057】
本発明の実施例3は、本発明の実施例1と同じアノード、発光層、およびカソードを有する。以下、本発明の実施例3と本発明の実施例1との相違点を説明する。
【0058】
第2の無機サブ層がPECVDによって光抽出層の上に堆積される。第2の無機サブ層の材料は、窒化ケイ素を含むことができる。
【0059】
ポリメチルメタクリレート(PMMA)がスピンコーティングによって第2の無機サブ層の上に1層ずつ自己組織化されて、波形ポリマーを含む第3の有機サブ層を形成する。
【0060】
第3の無機サブ層がPECVDによって第3の有機サブ層の上に堆積される。第3の無機サブ層の材料は、窒化ケイ素を含むことができる。
【0061】
このようにして、トップエミッションOLEDデバイスの構成要素が形成される。
【0062】
以下、参考例1を説明する。
【0063】
参考例1のアノード、発光層およびカソードは、本発明の実施例1~実施例3のアノード、発光層およびカソードと同じである。参考例1は、本発明の実施例1~実施例3と比較して、異なる光抽出層および封止層を有する。以下、相違点を説明する。
【0064】
光抽出層は、真空蒸着によってカソードの上に形成される。光抽出層の材料は、N,N’-ビス-(1-ナフタレニル)N,N’-ビスフェニル-(1,1’-ビフェニル)-4,4’-ジアミン(NPB)を含むことができる。
【0065】
窒化ケイ素/ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)/酸窒化ケイ素を含む薄膜封止層は、有機発光層の上に形成される。
【0066】
このようにして、トップエミッションOLEDデバイスの構成要素が形成される。
【0067】
「setfos」アプリケーションソフトウェアを使用することによって、本発明の実施例1~実施例3および参考例1の光出力がシミュレートされる。
図6、
図8、
図10に示すように、本発明のトップエミッションOLEDデバイスの構成要素(本発明の実施例1~実施例3)は、従来の技術におけるトップエミッションOLEDデバイスの構成要素(参考例1)よりも高い透過率を有する。
【0068】
図6は、トップエミッションOLEDデバイスの例示的な構成要素(実施例1)とトップエミッションOLEDデバイスの基準構成要素(参考例1)との光出力結果の比較を示す。
図7は、
図6の挿入図の拡大図である。挿入図は、
図6の右上部に位置する。
図7、すなわち、
図6の挿入図は、輝度と実施例1のエポキシ樹脂層の厚さとの関係図を示す。
図7に示すように、約1μmから8μmの範囲では、第1の有機サブ層、すなわちエポキシ樹脂層の厚さは、トップエミッションOLEDデバイスの例示的な構成要素の輝度にほとんど影響しない。
【0069】
図8は、トップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素(実施例2)とトップエミッションOLEDデバイスの基準構成要素(参考例1)との光出力結果の比較を示す。
図9は、
図8の挿入図の拡大図である。挿入図は、
図8の右上部に位置する。
図9、すなわち、
図8の挿入図は、電流効率と実施例2のエポキシ樹脂層の厚さとの関係図を示す。
図9に示すように、約1μmから8μmの範囲では、第1の有機サブ層、すなわちエポキシ樹脂層の厚さは、トップエミッションOLEDデバイスの例示的な構成要素の電流効率にほとんど影響しない。
【0070】
図10は、トップエミッションOLEDデバイスの別の例示的な構成要素(実施例3)とトップエミッションOLEDデバイスの基準構成要素(参考例1)との光出力結果の比較を示す。
図11は、
図10の挿入図の拡大図である。挿入図は、
図10の右上部に位置する。
図11は、輝度と実施例3の波形ポリマー層の厚さとの関係図を示す。
図11に示すように、約1μmから8μmの範囲では、第3の有機サブ層、すなわち波形ポリマー層の厚さは、トップエミッションOLEDデバイスの例示的な構成要素の輝度にほとんど影響しない。
【0071】
本発明は、本開示と一致するトップエミッション有機発光デバイスの構成要素の製造方法を提供する。
図12は、本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光デバイスの例示的な構成要素の例示的な製造方法のフローチャートである。以下、
図12を参照して、製造方法を説明する。
【0072】
S801において、アノードが基板の上に形成される。いくつかの実施形態では、例えば、基板が真空室内に置かれて、アノードがマグネトロンスパッタリングによって基板上に形成されることができる。アノードは、例えば、ITO/Ag/ITO層を含むことができる。
【0073】
S802において、発光層がアノードの上に形成される。発光層が例えば蒸着によりアノードの上に形成されることができる。発光層が、例えば、正孔注入サブ層/正孔輸送サブ層/発光サブ層/電子輸送サブ層/電子注入サブ層の構造を含むことができる。
【0074】
S803において、カソードが発光層の上に形成される。カソードが例えば真空蒸着により発光層の上に形成されることができる。
【0075】
S804において、光抽出層がカソードの上に形成される。光抽出層の材料は、無機材料を含むことができる。光抽出層が例えば原子層堆積(ALD)によってカソードの上に堆積されることができる。無機材料は、例えば、金属酸化物を含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、または酸化チタンの少なくとも1つを含んでもよい。金属酸化物を含有する光抽出層の屈折率は、通常、約1.7~約2.1である。いくつかの実施形態では、金属酸化物は、酸化亜鉛を含んでもよい。例えば、酸化亜鉛を含む光抽出層は、約2.0の比較的高い屈折率を有する。いくつかの実施形態では、光抽出層の厚さは、例えば、約50nmでもよい。
【0077】
S805において、封止層が光抽出層の上に形成される。
【0078】
いくつかの実施形態では、例えば、S805において光抽出層の上に封止層を形成することは、
図13を参照して、以下に説明するプロセスを含むことができる。
図13は、本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光デバイスの例示的な構成要素の別の例示的な製造方法のフローチャートである。
【0079】
S811において、第1の有機サブ層が光抽出層の上に形成される。第1の有機サブ層が例えばインクジェット印刷によって光抽出層の上に堆積されることができる。
【0080】
S812において、第1の無機サブ層が第1の有機サブ層の上に形成される。第1の無機サブ層が例えばプラズマ化学気相成長(PECVD)によって第1の有機サブ層の上に堆積されることができる。第1の無機サブ層の材料は、例えば窒化ケイ素を含むことができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、例えば、S805において光抽出層の上に封止層を形成することは、
図14を参照して、上述したプロセスS811及びS812の他に、以下に説明するプロセスを含むことができる。
図14は、本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光デバイスの例示的な構成要素の別の例示的な製造方法のフローチャートである。
【0082】
S813において、第2の有機サブ層が第1の無機サブ層の上に形成される。例えば、ポリスチレンがスピンコーティングによって第1の無機サブ層の上に1層ずつ自己組織化されて、波形ポリマーを含む第2の有機サブ層を形成する。
【0083】
いくつかの実施形態では、第1の有機サブ層の材料は、例えばエポキシ樹脂を含むことができる。第1の有機サブ層は、光抽出層より小さい屈折率を有することによって、屈折率勾配を形成して光の全反射を抑制することができる。さらに、第1の有機サブ層の厚さは、例えば、約1μm~約8μmであり、第1の有機サブ層の屈折率は、約1.56であり得る。
【0084】
さらに、第1の無機サブ層の材料は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含むことができる。第1の無機サブ層は、第1の有機サブ層より高い屈折率を有することによって、光透過率を改善することができる。さらに、第1の無機サブ層の材料は、例えば窒化ケイ素(SiN)を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の無機サブ層の屈折率は、例えば、約1.84であり得る。いくつかの実施形態では、第1の無機サブ層の厚さは、例えば、約800nmであり得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、第2の有機サブ層の材料は、例えば、波形ポリマーを含むことができる。波形ポリマーは、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、フェノール樹脂、または同様の構造を有する別のマルチブロックポリマーの少なくとも1つによって形成された自己組織化規則配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の有機サブ層の厚さは、一般的に、約1μm~約8μmであり、かつ光出力にほとんど影響を及ぼさない。波形ポリマーは、周期的なシワ構造を有し、出力光に対して散乱効果を有することによって、光の全反射を低減し、光の透過率を改善することができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、例えば、S805において光抽出層の上に封止層を形成することは、
図15を参照して、以下に説明するプロセスを含むことができる。
図15は、本発明の様々な開示された実施形態によるトップエミッション有機発光デバイスの例示的な構成要素の別の例示的な製造方法のフローチャートである。
【0087】
S821において、第2の無機サブ層が光抽出層の上に形成される。第2の無機サブ層が例えばPECVDによって光抽出層の上に堆積されることができる。
【0088】
S822において、第3の有機サブ層が第2の無機サブ層の上に形成される。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)がスピンコーティングによって第2の無機サブ層の上に1層ずつ自己組織化されて、波形ポリマーを含む第3の有機サブ層を形成する。
【0089】
S823において、第3の無機サブ層が第3の有機サブ層の上に堆積される。第3の無機サブ層が例えばPECVDによって第3の有機サブ層の上に堆積されることができる。
【0090】
いくつかの実施形態では、第2の無機サブ層の材料は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含んでもよい。第2の無機サブ層は、溶媒が電極材料中に浸透することを防ぐことができるだけでなく、電極および発光層をさらに封止するのに役立つこともできる。また、第2の無機サブ層は、光透過率にあまり影響しない。
【0091】
いくつかの実施形態では、第3の有機サブ層の材料は、波形ポリマーを含むことができる。第3の有機サブ層の構造及び特性について、例えば
図2に示した第2の有機サブ層の構造及び特性の説明を参照することができ、ここでは繰り返し説明しない。
【0092】
第3の無機サブ層は、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素の少なくとも1つを含んでもよい。
【0093】
他の実施形態では、例えば、S822において第3の有機サブ層を形成することは、S821およびS823を実行することなく実行されてもよい。つまり、第3の有機サブ層は、第2の無機サブ層および第3の無機サブ層なしで光抽出層の上に堆積されることができる。
【0094】
本発明では、方法、構成要素およびデバイスの実施形態の間で参照を行うことができる。製造方法に関するさらなる詳細については、構成要素およびデバイスの実施形態に係る説明を参照することができる。
【0095】
本発明は、トップエミッションOLEDデバイスの構成要素を提供する。トップエミッションOLEDデバイスの構成要素は、アノードと、アノードの上に配置された発光層と、発光層の上に配置されたカソードと、カソードの上に配置され、材料として金属酸化物を含む光抽出層と、光抽出層の上に配置された封止層とを含む。封止層は、光抽出層の上に配置された第1の有機サブ層および第1の有機サブ層の上に配置された第1の無機サブ層を含む。本発明と一致するトップエミッションOLEDデバイスの構成要素における光抽出層は、高い化学的安定性および高い屈折率を有する金属酸化物を含む。本発明において、光抽出層は、下側のカソード、発光層及びアノードに対する水分及び酸素の影響を抑制することができるだけでなく、光抽出層と封止層との間の屈折率整合を介して光透過率を改善することもできる。
【0096】
本発明の実施例についての記述は本発明を説明するためのものである。以上の内容は本発明を具体的な実施例や開示した実施例に限定するものではない。従って、上記の説明は本発明を限定するものではなく、本発明を説明するためのものと見なされるべきである。多くの修正および変更は当業者にとって明らかである。実施例を選びまたは説明するのは本発明の原理や最適の応用を説明するためであり、これにより、当業者は、本発明の様々な実施例や特定の使用または実行に適している種々の変形を理解すべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲またはそれと等価な内容により限定され、特に明記しない限り、すべての用語は最も広く合理的な意味を持つ。したがって、「当該発明」、「本発明」という用語が必ずしも特許請求の範囲を特定の実施例に制限せず、また、本発明の典型的な実施例を参照することは、本発明に対する制限を意味しない。このような制限を推測できない。これらの特許請求の範囲において、「第1」、「第2」などは名詞または要素とともに使われている。このような用語は命名するためのものであることが理解すべき、具体的な番号が与えられていない限り、このような命名を付けた要素の番号に制限を与えることを解釈してはならない。いずれの述べた長所と利点は、本発明のすべての実施例に適用されない可能性があります。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、変更、改良され得ることはいうまでもない。なお、以下の請求の範囲において要素や構成が明確に記載されているかどうかにかかわらず、本公開の要素と構成は、公衆に対する目的ではない。
【符号の説明】
【0097】
1 アノード
2 発光層
3 カソード
4 光抽出層
5 封止層
500 トップエミッションOLEDデバイス
501 第1の有機サブ層
502 第1の無機層
503 第2の有機サブ層
504 第3の有機サブ層
505 第2の無機サブ層
506 第3の無機サブ層
592 基板