IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イッサム リサーチ ディベロップメンット カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティ オブ エルサレム リミテッドの特許一覧

特許7142646がんを治療するためのCK1及び/又はIRAK1インヒビターとしてのN1-(4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン誘導体及び関連化合物
<>
  • 特許-がんを治療するためのCK1及び/又はIRAK1インヒビターとしてのN1-(4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン誘導体及び関連化合物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】がんを治療するためのCK1及び/又はIRAK1インヒビターとしてのN1-(4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン誘導体及び関連化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20220916BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20220916BHJP
   C07D 417/04 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220916BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220916BHJP
   A61P 37/00 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
C07D403/04
C07D417/04
A61K31/4439
A61K31/506
A61K31/427
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019561389
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 IL2018050100
(87)【国際公開番号】W WO2018142393
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】62/453,192
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518040057
【氏名又は名称】イッサム リサーチ ディベロップメント カンパニー オブ ザ ヘブリュー ユニバーシティ オブ エルサレム エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ダンス リ
(72)【発明者】
【氏名】イリト スニル‐アルカライ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ヴァッカ
(72)【発明者】
【氏名】イノン ベン‐ネリアフ
(72)【発明者】
【氏名】アバンティカ ベンカタク‐イアラム
【審査官】松澤 優子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/081679(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/149756(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)を有する化合物、又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩:
【化1】
(式中:
R1及びR2は、各々Hであり;
R3及びR4は、各々Hであり;
W、X、Y、及びZを含む環は、各々任意にR 5 で置換されたピリジニル、ピリミジニル、又はチアゾリルであり;ここでR5 はOH、NH2、又はハライドであり;
R6は、直鎖又は分岐C1-C8アルキルであり;
R7は、C3-C7シクロアルキルによって置換された、直鎖又は分岐C1-C8アルキルであり;かつ
R 8 は、Hである)
【請求項2】
R5が、ハライドである、請求項1記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩。
【請求項3】
R5が、NH2である、請求項1記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩。
【請求項4】
R5が、OHである、請求項1記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩。
【請求項5】
前記化合物が、以下から選択される、請求項1~4のいずれか1項記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩:
【化2】
【請求項6】
R 6 がメチルである、請求項1~5のいずれか1項記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩。
【請求項7】
R 7 がシクロプロピルメチルである、請求項1~6のいずれか1項記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩。
【請求項8】
R 6 がメチルであり、かつR 7 がシクロプロピルメチルである、請求項1~7のいずれか1項記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩。
【請求項9】
前記化合物が、以下から選択される、請求項1記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩:
【化3】
【請求項10】
少なくとも1つの請求項1~9のいずれか1項記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩を含む、医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項記載の化合物又はその立体異性体もしくは医薬として許容し得る塩を含む、悪性疾病の治療に使用するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2017年2月1日に提出された米国仮特許出願第62/453,192号に対する優先権を主張し;その開示の全体は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本発明は、ピラゾール誘導体並びに悪性疾患及び障害を治療する方法、並びに炎症性疾患及び障害を治療するための方法におけるその使用を提供する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
カゼインキナーゼ1ファミリー(CK1又はCKI)は、ヒトにおける6つのメンバー(アイソフォーム):α、γ1、γ2、γ3、δ、及びεを有するセリン/トレオニンキナーゼである。これらは、N末端(9~76アミノ酸)及び特にC末端(24~200アミノ酸)の非触媒ドメインの長さ及び配列が異なる(Schittek及びSinnbergの文献、Mol. Cancer 2014, 13:231)。
【0004】
CK1δ及びCK1εは、それらのキナーゼドメインが98%同一であり、かつそれらのC末端調節ドメインが53%同一である(Fishらの文献、J. Biol. Chem. 1995, 270:14875-14883)。CK1基質リン酸化に関してはある程度の冗長性があるが、ほとんどのCK1アイソフォームは別個の生物学的役割を有する。幅広いCK1基質は、CK1ファミリーメンバーが、膜輸送、細胞質分裂、小胞輸送、リボソーム生合成、DNA修復、シグナル伝達経路、アポトーシスの調節からの複数の細胞プロセスと概日リズムとに関与していることを示している(Knippschildらの文献、Cell Signal 2005, 17:675-689;Cheong及びVirshupの文献、Int. J. Biochem. Cell Biol. 2011, 43:465-469; Zempらの文献、J. Cell Sci. 2014, 127:1242-1253)。
【0005】
CK1αは、細胞分裂期の有糸分裂紡錘体形成において及びDNA修復機構において役割を果たし、かつRNA代謝に関与する(Knippschildらの文献、Cell Signal 2005, 17:675-689)。それは、内在性mTORインヒビターDEPTORの持続的分解を介してmTORの活性化に寄与する(Duanらの文献、Mol. Cell 2011, 44:317-324)。
【0006】
CK1αは、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路の調節において主要な役割を果たす。本出願の発明者らは、CK1αがβ-カテニン破壊複合体の重要な構成要素であることを示した。Wnt受容体が関与していないとき、CK1αはβ-カテニンをセリン残基S45でリン酸化し、これは、別のキナーゼであるGSK3のリン酸化を誘発する(priming)のに必要である(Amitらの文献、Genes Dev. 2002 16: 1066-1076)
【0007】
GSK3による残基T41、S37、及びS33でのβ-カテニンのリン酸化は、ユビキチン化デグロン(degron)を生じさせ、E3 SCF-β-TrCPを動員し、β-カテニンのユビキチン化及び分解をもたらす(Clevers及びNusseの文献、Cell 2012, 149: 1192-1205)。本発明者らは、マウス腸上皮におけるCK1αの誘導性除去が大規模な上皮Wnt応答を引き起こし、これが、驚くことに、腸内ホメオスタシスを変化させず、増殖がごくわずかしか増強されず、かつ腫瘍形成が全くないことをさらに示した(Elyadaらの文献、Nature 2011, 470: 409-413)。これは、ホメオスタシスの喪失及び腫瘍形成をもたらす、APCなどの、β-カテニン破壊複合体の他の構成要素の急性除去の結果とは異なる(Sansomらの文献、Genes Dev. 2004, 18:1385-1390)。
【0008】
本出願の発明者らは、CK1α除去後のホメオスタシス維持の理由が、Wnt活性化と同時に、CK1α除去によって、いくつかの腫瘍抑制経路(これらの中には、DNA損傷応答(DDR)、細胞老化、及びp53経路活性化がある)が誘導されることであることを見出した(Elyadaらの文献、Nature 2011, 470: 409-413、Pribludaらの文献、Cancer Cell 2013, 24: 1-5)。
【0009】
これらの抗腫瘍経路の活性化の根底にある分子機構は未だ解明されていないが、本発明者らは、CK1α除去が、ATM活性化の兆候を伴わずに、不相応に軽微なDNA損傷を誘導することを見出し、CK1α誘導性のDDR及びp53活性化が一般的でない分子機構を伴う可能性があることを示した(Burstainらの文献、未発表)。さらに、本発明者らは、CK1α除去が、上皮に限定され、炎症応答の一般的な兆候(炎症細胞浸潤、熱、発赤、腫瘍、及び痛み)を伴わない、擬似炎症(parainflammation)と呼ばれる新しいタイプの炎症応答の誘導をもたらすことを見出した(Pribludaらの文献、Cancer Cell 2013, 24: 1-5; Lasry及びBen-Neriahの文献、Trends Immunol. 2015, 36: 217-228)。擬似炎症は、腫瘍形成を抑制する際にWT p53活性化と協調するが、機能的p53の非存在下で腫瘍促進機構に切り替わる(Pribludaらの文献、Cancer Cell 2013, 24: 1-5、Aranらの文献、Genome Biol. 2016, 17:145)。
【0010】
CK1αがp53の主要な調節因子であることは既に立証されているが、本発明者らは、腸上皮におけるCK1δ及びCK1εの複合除去もp53活性化をもたらし、それが、CK1α誘導性p53活性化との相乗作用を示し得るということも見出した。
【0011】
IRAK1は、MDS及びAMLの特定のサブセット及びトリプルネガティブ乳がんの治療標的として同定された(Rhyasenらの文献、Cancer Cell 2013, 24:90-104、Rhyasen らの文献、Exp. Hematol. 2013, 41:1005-7、Weeらの文献、Nat. Commun. 2015, 6:8746)。IRAK1 mRNAは、MDS患者の~20~30%で過剰発現され、IRAK1タンパク質は、調べられたMDS骨髄試料の大部分で劇的に過剰発現及び超活性化されている。IRAK1は、Toll様受容体(TLR)及びインターロイキン-1受容体(IL1R)から引き出されるシグナルを媒介するセリン/トレオニンキナーゼである。受容体活性化の後、IRAK1はリン酸化されるようになり、それにより、その後、TRAF6の動員が引き起こされ、TRAF6によるNF-κB及びJNK経路の活性化がもたらされる。MDS(又はAML)におけるIRAK1過剰発現及び/又は超活性化の分子的原因は決定されていない。MDSクローンにおけるTLR又は必要な共因子の過剰発現が感染の非存在下でさえも慢性的なIRAK1活性化をもたらし得ると考えられている。IRAK1を標的とする小分子インヒビター(IRAK1/4インヒビター、Amgen社)は、当初、自己免疫疾患及び炎症性疾患用に開発された。IRAK1がMDSで超活性化される(すなわち、リン酸化される)が、正常骨髄細胞ではそうならないことを考慮して、Starczynowskiと同僚らは、IRAKインヒビター処理(IRAK1/4、Amgen)及びIRAK1のノックダウンが、MDS細胞増殖、前駆体機能、並びにインビトロ及びインビボでの生存能力の劇的な障害をもたらすことを示した。Yuと同僚らは、IRAK1過剰発現がNF-κB関連サイトカイン分泌を通じてトリプルネガティブ乳がん細胞(TNBC)に成長上の利点を付与し、転移性TNBC細胞がIRAK1依存性の獲得を示し、IRAK1の遺伝的及び薬理学的阻害に対する高い感受性を結果として生じることを示した。TNBC細胞のパクリタキセル処理は、強いIRAK1リン酸化、炎症性サイトカイン発現の増大、がん幹細胞の濃縮、及びパクリタキセル処理に対する耐性の獲得を誘導する。IRAK1の薬理学的阻害は、大規模なアポトーシスを引き起こすことにより、パクリタキセル耐性を覆すことができた。IRAK1はDEK転写標的であることも見出された。IRAK1は、頭頸部がん細胞の生存にとって(Adamsらの文献、Oncotarget. 2015, 22; 6: 43395-43407)、そしてまた、炎症性障害及び免疫関連障害の治療における有望な標的として(Bahiaらの文献、Cell Signal. 2015, 27:1039-55)、きわめて重要である。
【0012】
このように、本発明者らは、本発明の化合物が、血液学的悪性腫瘍において重要な役割を果たすNF-kB経路の重要な上流調節因子であるIRAK1を阻害することができることを見出した。
【発明の概要】
【0013】
(概要)
本発明は、式(I)を有する化合物、又はその立体異性体もしくは塩を提供する:
【化1】
(式中:
R1及びR2は、各々独立に、H;並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、エーテル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、及びアミドのうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された、直鎖もしくは分岐C1-C8アルキル、直鎖もしくは分岐C1-C5アルコキシ、直鎖もしくは分岐C1-C5アシル、C5-C15アリール、及びC3-C7ヘテロアリールから選択されるか;又は
R1及びR2は、それらが接続している窒素原子と一緒に、N、O、NH、C=N、C=O、及びSO2のうちの少なくとも1つを任意に含んでいてもよく、かつ直鎖もしくは分岐C1-C5アルキル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ヒドロキシル、ハライド、及びシアノのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成し;
R3及びR4は、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、アルコキシ、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、エステル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された直鎖もしくは分岐C1-C8アルキルから選択されるか;又は
R1もしくはR2は、R3並びにそれらが各々接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、N、NH、O、C=N、C=O、及びSO2のうちの少なくとも1つを任意に含んでいてもよく、かつ直鎖もしくは分岐C1-C5アルキル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ヒドロキシル、カルボニル、及びハライドのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成し;
W、X、Y、及びZは、各々独立に、CH、CR5、CR5c、NH、N、及びSから選択され;但し、W、X、Y、及びZのうちの少なくとも1つは、NH、N、及びSから選択され;但し、WがNであり、ZがNである場合には、Xは、CR5cであり;
nは、0及び1から選択される整数であり;
R5は、OH、NH2、及びハライドから選択され;
R5cは、OH及びNH2から選択され;
R8は、H及びハライド;並びに少なくとも1つのハライドによって各々任意に置換された、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、直鎖又は分岐C2-C8アルケニル、及び直鎖又は分岐C2-C8アルキニルから選択され;
R6は、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC1-C5アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された;直鎖又は分岐C1-C8アルキル、直鎖又は分岐C2-C8アルケニル、直鎖又は分岐C2-C8アルキニル、C5-C10シクロアルキル、及び飽和又は不飽和4~6員ヘテロシクリルから選択され;かつ
R7は、C3-C7シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC1-C5アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって各々独立に置換された;直鎖又は分岐C1-C8アルキル、直鎖又は分岐C2-C8アルケニル、及び直鎖又は分岐C2-C8アルキニルから選択される)。
【0014】
本発明は、式(I)を有する化合物、又はその立体異性体もしくは塩を提供する:
【化2】
(式中:
R1及びR2は、各々独立に、H;並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、エーテル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、及びアミドのうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された、直鎖もしくは分岐C1-C8アルキル、直鎖もしくは分岐C1-C5アルコキシ、直鎖もしくは分岐C1-C5アシル、C5-C15アリール、及びC3-C7ヘテロアリールから選択されるか;又は
R1及びR2は、それらが接続している窒素原子と一緒に、N、O、NH、C=N、C=O、及びSO2のうちの少なくとも1つを任意に含んでいてもよく、かつ直鎖もしくは分岐C1-C5アルキル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ヒドロキシル、ハライド、及びシアノのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成し;
R3及びR4は、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、アルコキシ、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、エステル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された直鎖もしくは分岐C1-C8アルキルから選択されるか;又は
R1もしくはR2は、R3並びにそれらが各々接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、N、NH、O、C=N、C=O、及びSO2のうちの少なくとも1つを任意に含んでいてもよく、かつ直鎖もしくは分岐C1-C5アルキル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ヒドロキシル、カルボニル、及びハライドのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成し;
W、X、Y、及びZは、各々、CH、CR5、NH、N、及びSから選択され;但し、W、X、Y、及びZのうちの少なくとも1つは、NH、N、及びSから選択され;但し、WがNであり、かつZがNである場合には、R8は、H以外であり;
nは、0及び1から選択される整数であり;
R5は、OH、NH2、及びハライドから選択され;
R8は、H及びハライド;並びに少なくとも1つのハライドによって各々任意に置換された、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、直鎖又は分岐C2-C8アルケニル、及び直鎖又は分岐C2-C8アルキニルから選択され;
R6は、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC1-C5アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された;直鎖又は分岐C1-C8アルキル、直鎖又は分岐C2-C8アルケニル、直鎖又は分岐C2-C8アルキニル、C5-C10シクロアルキル、及び飽和又は不飽和4~6員ヘテロシクリルから選択され;かつ
R7は、C3-C7シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC1-C5アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって各々独立に置換された、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、直鎖又は分岐C2-C8アルケニル、及び直鎖又は分岐C2-C8アルキニルから選択される)。
【0015】
ある実施態様において、R1及びR2は、各々独立に、H、並びにハライド、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ヒドロキシル、エステル、エーテル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された直鎖又は分岐C1-C8アルキルから選択される。
【0016】
別の実施態様において、R1及びR2は、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された、直鎖又は分岐C1-C5アルコキシから選択される。
【0017】
さらなる実施態様において、R1及びR2は、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、エーテル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された、C1-C5アシルから選択される。
【0018】
ある別の実施態様において、R1及びR2は、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、エーテル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換されたC5-C15アリールから選択される。
【0019】
ある実施態様において、R4は、Hである。別の実施態様において、R3及びR4は、Hである。
【0020】
別の実施態様において、R5は、ハライドである。ある実施態様において、R5は、NH2である。ある実施態様において、R5は、OHである。
【0021】
別の実施態様において、R8は、H、Cl、及び直鎖又は分岐C1-C4アルキルから選択される。別の実施態様において、R8は、Hである。
【0022】
ある実施態様において、R1及びR2のうちの少なくとも1つは、Hである。
【0023】
ある実施態様において、R6は、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、C5-C10シクロアルキル、及び飽和又は不飽和4~6員ヘテロシクリルから選択され;かつR7は、C3-C7シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C5-C15アリール、C3-C7ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC1-C5アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって置換された直鎖又は分岐C1-C8アルキルから選択される。
【0024】
ある実施態様において、R6は、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、C5-C10シクロアルキル、及び4~6員飽和ヘテロシクリルから選択される。
【0025】
別の実施態様において、R7は、C3-C7シクロアルキル及びヒドロキシルのうちの少なくとも1つによって置換された直鎖又は分岐C1-C8アルキルである。
【0026】
ある実施態様において、R6は、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、ハライド、ヒドロキシル、及びCF3のうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された、直鎖又は分岐C1-C8アルキル、及び飽和、不飽和、もしくは芳香族の4~6員ヘテロシクリルから選択される。
【0027】
ある実施態様において、R7は、少なくとも1つのC3-C7シクロアルキルによって置換された直鎖又は分岐C1-C8アルキルである。
【0028】
別の実施態様において、R1及びR2は、それらが接続している窒素原子と一緒に、N、O、NH、C=N、C=O、及びSO2のうちの少なくとも1つを任意に含み、かつ直鎖又は分岐C1-C5アルキル、ヒドロキシル、ハライド、及びシアノのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員飽和環を形成する。
【0029】
ある実施態様において、R1及びR2は、それらが接続している窒素原子と一緒に、4~7員飽和環を形成する。
【0030】
ある実施態様において、R1及びR2は、それらが接続している窒素原子と一緒に、N及びOのうちの少なくとも1つを含む4~7員飽和環を形成する。
【0031】
さらなる実施態様において、R1及びR2は、それらが接続している窒素原子と一緒に、N及びOのうちの少なくとも1つを任意に含む4~7員芳香環を形成する。
【0032】
別の実施態様において、R3及びR4は、Hである。
【0033】
ある実施態様において、R1又はR2は、R3並びにそれらが接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、N、NH、O、C=O、及びSO2のうちの少なくとも1つを任意に含み、かつ直鎖又は分岐C1-C5アルキル、ヒドロキシル、カルボニル、及びハライドのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員飽和環を形成する。
【0034】
ある実施態様において、R1又はR2は、R3並びにそれらが接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、NH、O、及びC=Oのうちの少なくとも1つを含む4~7員飽和環を形成する。
【0035】
別の実施態様において、nは、1である。nが、1である場合、それが関連する環は、6員の芳香族複素環である。さらなる実施態様において、nは、0である。nが、0である場合、それが関連する環は、5員の芳香族複素環である。本実施態様のもとで、nが、0であり、従って、Yが、存在しない場合、Xは、一方の側で炭素原子に、別の側でWに直接接続されるであろう。
【0036】
ある実施態様において、W、X、Y、及びZのうちの1つが、Nである。さらなる実施態様において、W、X、Y、及びZのうちの2つが、Nである。別の実施態様において、W、X、Y、及びZのうちの2つは、独立して、NH、N、及びSから選択される。ある実施態様において、Xは、CH、CR5、及びCR5cから選択される。ある実施態様において、Wは、Nであり、Zは、Nであり、かつXは、CR5cである。
【0037】
ある実施態様において、本発明の化合物は、以下から選択され、R1~R8は、上で定義された通りである:
【化3】
【0038】
ある実施態様において、本発明の化合物は、以下から選択される:
【化4】
【0039】
「直鎖又は分岐C1-C8アルキル」という用語は、1、2、3、4、5、6、7、又は8個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐状であってもよい、炭化水素飽和鎖を包含することが理解されるべきである。
【0040】
「直鎖又は分岐C2-C8アルケニル」又は「直鎖又は分岐C2-C5アルケニル」という用語は、それぞれ、2、3、4、5、6、7、もしくは8個の炭素原子、又は2、3、4、5個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐状であってもよい、鎖中の任意の2つの隣接する炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を有する炭化水素鎖を包含することが理解されるべきである。
【0041】
「直鎖又は分岐C2-C8アルキニル」という用語は、2、3、4、5、6、7、又は8個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐状であってもよい、鎖中の任意の2つの隣接する炭素原子間に少なくとも1つの三重結合を有する炭化水素鎖を包含することが理解されるべきである。
【0042】
「直鎖又は分岐C1-C5アルコキシ」という用語は、-OR9部位(ここで、R9は、直鎖又は分岐C1-C5アルキルである)を包含することが理解されるべきである。
【0043】
「ハライド」という用語は、-F、-Br、-Cl、及び-Iから選択される任意のハロゲンラジカルを包含することが理解されるべきである。
【0044】
「C1-C5アルキルハライド」という用語は、直鎖又は分岐鎖上の任意の点において、-F、-Br、-Cl、及び-Iから選択される少なくとも1つのハロゲンラジカルによって置換されている1~5個の炭素原子を有する任意の直鎖又は分岐アルキル鎖を包含することが理解されるべきである。ある実施態様において、アルキルハライドは、1つのハロゲンを含み;別の実施態様において、アルキルハライドは、2つのハロゲン原子(同じ又は異なる)を含み;別の実施態様において、アルキルハライド3つのハロゲン原子(同じ又は異なる)を含む。
【0045】
「ヒドロキシル」という用語は、-OHを包含することが理解されるべきである。
【0046】
「エステル」という用語は、-C(=O)OR10又は OC(=O)R10(ここで、R10は、直鎖又は分岐C1-C8アルキルである)のうちのいずれかを包含することが理解されるべきである。
【0047】
「アミド」という用語は、-C(=O)NR11R12'、 NR11C(=O)R12'(ここでR11及びR12'は、各々独立に、H、又は直鎖又は分岐C1-C8アルキルである)のうちのいずれかを包含することが理解されるべきである。
【0048】
「エーテル」という用語は、-R13OR14'又は-OR15'(ここで、R13は、直鎖又は分岐C1-C8アルキレンから選択され、かつR14'及びR15'は、各々独立に、直鎖又は分岐C1-C8アルキルから選択される)のうちのいずれかを包含することが理解されるべきである。
【0049】
「直鎖又は分岐C1-C5アシル」という用語は、任意の-C(=O)R16(ここで、R16は、C1-C5直鎖又は分岐アルキルである)を包含することが理解されるべきである。
【0050】
「C5-C15アリール」という用語は、5~7個の炭素原子を含む任意の単一又は縮合芳香環系を包含することが理解されるべきである。例としては、フェニル、ペンタレニル、ナフタレニル、及びアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
「C3-C7ヘテロアリール」という用語は、5~7個の炭素原子並びにN、O、及びSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む任意の単一又は縮合芳香環系を包含することが理解されるべきである。例としては、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ピロリニル、インドリニル、イソインドリニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾ[c]チオフェニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、プリニル、ピラゾリル、インダゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、チアソリル(thiasolyl)、ベンゾチアゾリル、ピリジニル、オーイノリニル(auinolinyl)、イソキノリニル、ピロモジニル(pyromodinyl)、キンゾリニル(quinzolinyl)、ピリダジニル、及びシンノリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
R1及びR2が、それらが接続している窒素原子と一緒に、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成する実施態様に言及するとき、それは、該窒素原子を含む、4員、5員、6員、又は7員を有する、形成され得る任意の環に関連することが理解されるべきである。該環は、飽和していても、すなわち、全てσ結合を有していても、不飽和であっても、すなわち、少なくとも1つの二重結合もしくは少なくとも1つの三重結合又はこれらの任意の組合せを有していても、芳香族であっても、すなわち、芳香族性を有する環系、仮想的な局在化構造(例えば、ケクレ構造)の安定性よりも顕著に大きい(非局在化に起因する)安定性を有する環状に共役した分子環系であってもよい。
【0053】
例えば、該環は、ピペリジニル、ピロリジニル、及びアゼチジニルから選択されることができる。
【0054】
R1又はR2が、R3並びにそれらが接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、4~7員の飽和環、不飽和環、又は芳香環を形成する実施態様に言及するとき、それは、該窒素原子を含む、4員、5員、6員、又は7員を有する、形成され得る任意の環に関連することが理解されるべきである。この環は、式Iの化合物の骨格中のシクロヘキシル環とともにスピロ二環系を形成する。該環は、飽和していても、すなわち、全てσ結合を有していても、或いは不飽和であっても、すなわち、少なくとも1つの二重結合もしくは少なくとも1つの三重結合又はこれらの任意の組合せを有していてもよい。ある実施態様において、該環は芳香環である。
【0055】
「C5-C10シクロアルキル」という用語又は「C3-C7シクロアルキル」という用語は、それぞれ、5、6、7、8、9、もしくは10個の炭素原子又は3、4、5、6、もしくは7個の炭素原子を含む、飽和炭化水素環(すなわち、その環員の間でσ結合のみを含有する環)を包含することが理解されるべきである。
【0056】
「飽和、不飽和、又は芳香族4~6員ヘテロシクリル」という用語は、そのうちの少なくとも1つがN、O、S、Pから選択されるヘテロ原子である4員、5員、又は6員を含有する、飽和環(すなわち、その環員の間でσ結合のみを含有する環)、不飽和環又は芳香環(すなわち、少なくとも1つの二重結合もしくは少なくとも1つの三重結合又はこれらの任意の組合せを含有する環)を包含することが理解されるべきである。
【0057】
「任意に置換された」という用語は、本明細書で使用される場合、当該基が非置換であるか又は指定された置換基のうちの1つもしくは複数で置換されているかのいずれかであることを意味する。当該基が複数の置換基で置換されているとき、該置換基は、同じものあっても異なるものであってもよい。
【0058】
本明細書に記載の化合物のいくつかは、1つ以上のキラル中心を含有し得るか、又はそれとは異なる形で、2つのエナンチオマーもしくはいくつかのジアステレオマーとして存在することが可能であり得る。したがって、本発明の化合物は、エナンチオマーの混合物及び精製されたエナンチオマー又はエナンチオマー的に濃縮された混合物も含む。本発明の化合物は、ジアステレオマーの混合物及び精製されたジアステレオマー又はジアステレオマー的に濃縮された混合物も含む。
【0059】
本発明は、任意の医薬として許容し得る塩を含む、式(I)の化合物の任意の塩も含み、ここで、本発明の化合物は、正味の電荷(正又は負のいずれか)を有し、(反対の負電荷又は正電荷を有する)少なくとも1つの対イオンがそれに付加されて、該塩を形成する。「医薬として許容し得る塩」という語句は、本明細書で使用される場合、哺乳動物における医薬としての使用にとって安全かつ有効であり、かつ所望の生物学的活性を保有する本発明の化合物の塩を意味する。医薬として許容し得る塩としては、本発明の化合物中に存在する酸性又は塩基性基の塩が挙げられる。医薬として許容し得る酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のある化合物は、様々なアミノ酸とともに医薬として許容し得る塩を形成することができる。好適な塩基塩としては、アルミニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩、及びジエタノールアミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。医薬として許容し得る塩に関する総説については、引用により本明細書中に組み込まれる、Bergeらの文献、J. Pharm. Soc. 1977, 66: 1-19を参照されたい。
【0060】
ある実施態様において、前記化合物は、塩酸塩である。別の実施態様において、前記化合物は、一塩酸塩である。別の実施態様において、二塩酸塩である。
【0061】
本発明は、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される少なくとも1つの化合物を含む組成物をさらに提供する。
【0062】
本発明は、医薬として許容し得る助剤及び任意に他の治療剤と混合した本発明の化合物を含む医薬組成物にも関する。助剤は、組成物の他の成分と適合し、かつそのレシピエントにとって有害でないという意味において「許容し得る」ものでなければならない。
【0063】
医薬組成物には、経口、直腸、鼻腔、局所(経皮、口腔、及び舌下を含む)、膣内、もしくは非経口(皮下、筋肉内、静脈内、及び皮内を含む)投与、又はインプラントによる投与に好適なものが含まれる。該組成物は、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。
【0064】
そのような方法は、本発明の化合物又はその組合せを任意の助剤と関連させる工程を含む。補助成分とも称される助剤には、当技術分野で従来からあるもの、例えば、担体、増量剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、香味剤、酸化防止剤、及び湿潤剤が含まれる。
【0065】
経口投与に好適な医薬組成物は、丸薬、錠剤、糖衣錠、もしくはカプセルなどの個別の投薬単位として、又は粉末もしくは顆粒として、又は溶液もしくは懸濁液として提示され得る。活性成分は、急速静注薬又はペーストとしても提示され得る。該組成物は、直腸投与用の坐剤又は浣腸剤へとさらに加工することができる。
【0066】
本発明は、上記のような使用のための組成物の使用説明書を含む、包装材料と組み合わせた上記のような医薬組成物をさらに含む。
【0067】
非経口投与のために、好適な組成物は、水性及び非水性滅菌注射液を含む。該組成物は、単位用量又は複数用量容器、例えば、密閉バイアル及びアンプル中に提示されてもよく、かつ使用前に、滅菌液体担体、例えば、水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存されてもよい。経皮投与のために、例えば、ゲル、パッチ、又はスプレーを想定することができる。例えば、鼻吸入による肺投与に好適な組成物又は製剤は、定量加圧エアロゾル、ネブライザー、又は吸入器によって発生させ得る微細な粉塵又は霧を含む。
【0068】
組成物の正確な投与用量及び投与レジメンは、達成されるべき治療的又は栄養学的効果によって必然的に決まり、かつ特定の処方、投与経路、並びに該組成物が投与されることになる個々の対象の年齢及び状態によって変わり得る。
【0069】
「治療(treatment)」又は「療法(therapy)」という用語は、本明細書で使用される場合、疾患、障害、又は疾病と闘う目的での患者の管理及び介護を意味する。この用語は、疾患、障害、もしくは疾病の進行の遅延、症状及び合併症の緩和もしくは軽減、並びに/又は疾患、障害、もしくは疾病の治癒もしくは消失を含むことが意図される。治療されるべき患者は、好ましくは、哺乳動物、特に、ヒトである。
【0070】
上で示された投薬量範囲は例示的なものであるに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。当業者には明白であるように、各々の活性化合物の治療有効量は、限定されないが、使用される化合物の活性、患者の体内での活性化合物の安定性、緩和されるべき疾病の重症度、治療される患者の全体重、投与経路、体による活性化合物の吸収、分布、及び排泄のしやすさ、治療されることになる患者の年齢及び感受性などを含む因子によって変わり得る。投与の量は、様々な因子が時間とともに変化するのに従って調整することができる。
【0071】
経口送達のために、活性化合物を組み込んで、医薬として許容し得る担体、例えば、結合剤(例えば、ゼラチン、セルロース、トラガカントガム)、賦形剤(例えば、デンプン、ラクトース)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素)、崩壊剤(例えば、アルギネート、Primogel、及びトウモロコシデンプン)、並びに甘味剤又は香味剤(例えば、グルコース、スクロース、サッカリン、サリチル酸メチル、及びペパーミント)を含む製剤にすることができる。該製剤は、封入されたゼラチンカプセル又は圧縮錠の形態で経口送達することができる。カプセル及び錠剤は、任意の従来技法で調製することができる。カプセル及び錠剤を当技術分野で公知の様々な被覆剤でコーティングして、カプセル及び錠剤の風味、味、色、及び形状を修飾することもできる。さらに、脂肪油などの液体担体をカプセルに含めることもできる。
【0072】
好適な経口製剤は、懸濁液、シロップ、チューインガム、ウエハー、エリキシルなどの形態であることもできる。所望の場合、風味、味、色、及び形状を修飾するための特殊な形態の従来の薬剤を含めることもできる。さらに、嚥下することができない患者における経腸栄養チューブによる好都合な投与のために、活性化合物を、オリーブ油、トウモロコシ油、及びサフラワー油などの許容し得る親油性植物油ビヒクルに溶解させることができる。
【0073】
活性化合物は、溶液もしくは懸濁液の形態で、又は使用前に溶液もしくは懸濁液形態への変換が可能な凍結乾燥形態で非経口投与することもできる。そのような製剤において、希釈剤又は滅菌水及び生理食塩水緩衝剤などの医薬として許容し得る担体を使用することができる。他の従来の溶媒、pH緩衝剤、安定化剤、抗細菌剤、界面活性剤、及び酸化防止剤を全て含めることができる。例えば、有用な成分には、塩化ナトリウム、酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩緩衝剤、グリセリン、デキストロース、固定油、メチルパラベン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、重硫酸ナトリウム、ベンジルアルコール、アスコルビン酸などが含まれる。非経口製剤は、バイアル及びアンプルなどの任意の従来の容器中に保存することができる。
【0074】
局所投与の経路には、鼻腔、口腔、粘膜、直腸、又は膣内適用が含まれる。局所投与のために、活性化合物を、ローション、クリーム、軟膏、ゲル、粉末、ペースト、スプレー、懸濁液、ドロップ、及びエアロゾルへと製剤化することができる。したがって、1つ以上の増粘剤、保湿剤、及び安定化剤を製剤に含めることができる。そのような薬剤の例としては、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キサンタンガム、ワセリン、蜜蝋、又は鉱油、ラノリン、スクアレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。局所投与の特殊な形態は、経皮パッチによる送達である。経皮パッチを調製する方法は、例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、Brownらの文献, Ann. Rev. Med. 1988, 39:221-229に開示されている。
【0075】
活性化合物の持続放出のための皮下インプラントも好適な投与経路であり得る。これは、任意の好適な製剤中の活性化合物を皮下空間に、例えば、前腹壁の下に植え込むための外科的処置を伴う。例えば、Wilsonらの文献J. Clin. Psych. 1984, 45:242-247を参照されたい。ヒドロゲルを、活性化合物の持続放出のための担体として使用することができる。ヒドロゲルは、当技術分野で一般に知られている。これらは、通常、高分子量の生体適合性ポリマーを、水中で膨潤してゲル様材料を形成するネットワークへと架橋させることにより作製される。場合によっては、ヒドロゲルは、生体分解性又は生体吸収性である。本発明の目的のために、ポリエチレングリコール、コラーゲン、又はポリ(グリコール-コ-L-乳酸)でできたヒドロゲルが有用であり得る。例えば、Phillipsらの文献、J. Pharmaceut. Sci. 1984, 73:1718-1720を参照されたい。
【0076】
本発明は、療法における使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物をさらに提供する。本発明は、薬品としての使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物をさらに提供する。
【0077】
本発明は、カゼインキナーゼI(CKI)及びインターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)のうちの少なくとも1つの阻害における使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物を提供する。
【0078】
本発明は、カゼインキナーゼI(CKI)の阻害における使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物を提供する。
【0079】
本発明は、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)の阻害における使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物を提供する。
【0080】
本発明は、抗腫瘍応答を誘導することにおける使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物を提供する。ある実施態様において、該抗腫瘍応答は、がん免疫療法応答を含む。
【0081】
本発明は、悪性疾病に関連する疾病、症状、又は疾患の治療における使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物を提供する。
【0082】
ある実施態様において、前記悪性疾病は、がんである。別の実施態様において、悪性疾病は、血液学的悪性腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、ER陰性乳がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、及び頭頸部がんから選択される。
【0083】
ある実施態様において、前記がんは、WT p53を有する。
【0084】
本発明は、WT p53を有するがんの治療における使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物であって、該WT p53が、該化合物のエフィカシーについてのバイオマーカーである、前記化合物を提供する。ある実施態様において、前記がんは、多発性骨髄腫、白血病、悪性黒色腫、乳がん、前立腺がん、結腸直腸がん、及びこれらの任意の組合せから選択される。
【0085】
本発明は、がん免疫療法応答の誘導における使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物をさらに提供する。
【0086】
本発明は、それと関連する疾病、症状、又は疾患を含む炎症性障害及び免疫関連障害の治療における使用のための、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される化合物を提供する。
【0087】
本発明は、それを必要としている対象において、カゼインキナーゼI(CKI)及びインターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)のうちの少なくとも1つを阻害する方法であって、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される少なくとも1つの化合物を、該対象に投与する工程を含む、前記方法を提供する。
【0088】
本発明は、それを必要としている対象において、カゼインキナーゼI(CKI)を阻害する方法であって、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される少なくとも1つの化合物を、該対象に投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
【0089】
本発明は、それを必要としている対象においてインターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)を阻害する方法であって、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される少なくとも1つの化合物を、該対象に投与する工程を含む、前記方法を提供する。
【0090】
本発明は、それを必要としている対象において、免疫療法応答を誘導するための方法であって、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される少なくとも1つの化合物を、該対象に投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
【0091】
本発明は、それを必要としている対象において、それと関連する疾病、症状、又は疾患を含む炎症性障害及び免疫関連障害を治療する方法であって、本明細書中で上記の実施態様のうちのいずれか1つで規定される少なくとも1つの化合物を該対象に投与する工程を含む、前記方法をさらに提供する。
【0092】
「カゼインキナーゼI」という用語は、ほとんどの真核生物細胞型におけるシグナル伝達経路の調節因子として機能するセリン/トレオニン選択的酵素であるタンパク質キナーゼファミリーを包含することが理解されるべきである。CK1アイソフォームは、Wntシグナル伝達、概日リズム、転写因子の核-細胞質間シャトル、DNA修復、p53活性化、及びDNA転写に関与する。
【0093】
「インターロイキン-1受容体関連キナーゼ1」という用語は、血液学的悪性腫瘍、例えば、多発性骨髄腫、MDS、白血病、及びリンパ腫、乳がん、頭頸部がん、炎症性障害及び免疫関連障害などの疾患経路に関与するNF-kB経路の重要な上流調節因子であることが分かったIRAK1遺伝子によってコードされる酵素を包含することが理解されるべきである。
【0094】
該酵素の「阻害」に言及するとき、それは、本発明の少なくとも1つの化合物の該酵素への直接的又は間接的結合による該酵素の活性の任意の定性的又は定量的減少を包含することが理解されるべきである。
【0095】
「誘導性抗腫瘍応答」という用語は、がん性腫瘍の任意の定性的又は定量的化学療法を包含することが理解されるべきである。
【0096】
「がん免疫療法応答」という用語は、がん性細胞と戦うための対象自身の免疫系の任意の定性的又は定量的がん免疫療法誘導を包含することが理解されるべきである。通常、免疫療法は、能動的、受動的、又は混合型(能動的かつ受動的)と分類することができ、かつがん細胞が、その表面に、腫瘍関連抗原(TAA)として知られる、対象の免疫系によって検出されることができる分子を有することが多いという事実を利用するように設計され;これらは、タンパク質又は他の巨大分子(例えば、炭水化物)であることが多い。能動的免疫療法は、TAAを標的とすることにより、免疫系に腫瘍細胞を攻撃するよう指示する。受動的免疫療法は、既存の抗腫瘍応答を増強する。
【0097】
「炎症性障害及び免疫関連障害」に言及するとき、それは、インターロイキン-1受容体関連キナーゼインヒビターで治療可能である任意のタイプの障害(それと関連する疾病、症状、及び疾患を含む)に関連することが理解されるべきである。例えば、IRAK1が、異常なサイトカインレベルを調節することができるIL-R及びTLR経路の必須の要素であり、したがって、例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬、痛風、喘息、及びがんなどの免疫関連障害及び炎症関連障害を管理するために利用されることができることが示されている(Bahiaらの文献、Cell. Signal. 2015, 27:1039-55)。
【図面の簡単な説明】
【0098】
(図面の簡単な説明)
本明細書に開示される主題をより良く理解するために及びそれを実際に実施し得る方法を例示するために、単なる非限定的な例として、以下の添付図面を参照しながら、実施態様を説明することとする:
図1図1は、RKO細胞における用量応答分析を示す。RKO細胞を、示された濃度の化合物と共にか、又はビヒクル(DMSO)単独(-)と共に37℃で16時間インキュベートし、ウエスタンブロットによって解析した。β-カテニン及びp53 の安定化、並びにDNA損傷のマーカーであるH2AX(γH2AX)のリン酸化のウエスタンブロットシグナルが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0099】
(実施態様の詳細な説明)
本発明は、式I':
【化5】
の化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグをさらに提供する;
(式中:
R1及びR2は、各々独立に、H、重水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C1-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1bR1c、-C(NR1a)NR1bR1c、-OR1a、-OC(O)R1a、-OC(O)OR1a、-OC(O)NR1bR1c、-OC(=NR1a)NR1bR1c、-OS(O)R1a、-OS(O)2R1a、-OS(O)NR1bR1c、-OS(O)2NR1bR1c、-NR1bR1c、-NR1aC(O)R1d、-NR1aC(O)OR1d、-NR1aC(O)NR1bR1c、-NR1aC(=NR1d)NR1bR1c、-NR1aS(O)R1d、-NR1aS(O)2R1d、-NR1aS(O)NR1bR1c、-NR1aS(O)2NR1bR1c、-S(O)R1a、-S(O)2R1a、-S(O)NR1bR1c、もしくは-S(O)2NR1bR1cであるか;又はR1及びR2は、それらが接続された窒素原子と一緒に、ヘテロアリール又はヘテロシクリルを形成し;
R3及びR4は、各々独立に、H、重水素、ハロ、シアノ、ニトロ、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C1-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであるか;又はR1及びR3は、それらが接続された炭素原子及び窒素原子と一緒にヘテロシクリルを形成し;
W、X、Y、及びZは、各々独立に、CR5a又はNであり、但し、W及びZが、それぞれ、Nである場合、X及びYのうちの少なくとも1つは、Nであるか;又は
W、X、及びZは、各々独立に、CR5a、NR5b、N、O、又はSであり;かつ、Yは、結合であり;
各R5aは、独立して、H、重水素、ハロ、シアノ、ニトロ、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C1-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1bR1c、-C(NR1a)NR1bR1c、-OR1a、-OC(O)R1a、-OC(O)OR1a、-OC(O)NR1bR1c、-OC(=NR1a)NR1bR1c、-OS(O)R1a、-OS(O)2R1a、-OS(O)NR1bR1c、-OS(O)2NR1bR1c、-NR1bR1c、-NR1aC(O)R1d、-NR1aC(O)OR1d、-NR1aC(O)NR1bR1c、-NR1aC(=NR1d)NR1bR1c、-NR1aS(O)R1d、-NR1aS(O)2R1d、-NR1aS(O)NR1bR1c、-NR1aS(O)2NR1bR1c、-SR1a、-S(O)R1a、-S(O)2R1a、-S(O)NR1bR1c、又は-S(O)2NR1bR1cであり;
各R5bは、独立して、H、重水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C1-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1bR1c、-C(NR1a)NR1bR1c、-OR1a、-OC(O)R1a、-OC(O)OR1a、-OC(O)NR1bR1c、-OC(=NR1a)NR1bR1c、-OS(O)R1a、-OS(O)2R1a、-OS(O)NR1bR1c、-OS(O)2NR1bR1c、-NR1bR1c、-NR1aC(O)R1d、-NR1aC(O)OR1d、-NR1aC(O)NR1bR1c、-NR1aC(=NR1d)NR1bR1c、-NR1aS(O)R1d、-NR1aS(O)2R1d、-NR1aS(O)NR1bR1c、-NR1aS(O)2NR1bR1c、-S(O)R1a、-S(O)2R1a、-S(O)NR1bR1c、又は-S(O)2NR1bR1cであり;
R6は、H、重水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C1-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1bR1c、-C(NR1a)NR1bR1c、-OR1a、-OC(O)R1a、-OC(O)OR1a、-OC(O)NR1bR1c、-OC(=NR1a)NR1bR1c、-OS(O)R1a、-OS(O)2R1a、-OS(O)NR1bR1c、-OS(O)2NR1bR1c、-NR1bR1c、-NR1aC(O)R1d、-NR1aC(O)OR1d、-NR1aC(O)NR1bR1c、-NR1aC(=NR1d)NR1bR1c、-NR1aS(O)R1d、-NR1aS(O)2R1d、-NR1aS(O)NR1bR1c、-NR1aS(O)2NR1bR1c、-S(O)R1a、-S(O)2R1a、-S(O)NR1bR1c、又は-S(O)2NR1bR1cであり;
R7及びR8は、各々独立に、H、重水素、ハロ、シアノ、ニトロ、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C1-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C3-C10シクロアルキル-C1-C8アルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、-C(O)R1a、-C(O)OR1a、-C(O)NR1bR1c、-C(NR1a)NR1bR1c、-OR1a、-OC(O)R1a、-OC(O)OR1a、-OC(O)NR1bR1c、-OC(=NR1a)NR1bR1c、-OS(O)R1a、-OS(O)2R1a、-OS(O)NR1bR1c、-OS(O)2NR1bR1c、-NR1bR1c、-NR1aC(O)R1d、-NR1aC(O)OR1d、-NR1aC(O)NR1bR1c、-NR1aC(=NR1d)NR1bR1c、-NR1aS(O)R1d、-NR1aS(O)2R1d、-NR1aS(O)NR1bR1c、-NR1aS(O)2NR1bR1c、-SR1a、-S(O)R1a、-S(O)2R1a、-S(O)NR1bR1c、又は-S(O)2NR1bR1cであり;かつ
R1a、R1b、R1c、及びR1dの各々は、独立して、H、重水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであるか;又はR1a及びR1cは、それらが結合しているC及びN原子と一緒にヘテロシクリルを形成し;
ここで、各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルは、1つ以上の置換基Qで任意に置換されており、ここで、各Qは、独立して、(a)重水素、シアノ、ハロ、及びニトロ;(b)各々が、1つ以上の置換基Qa、一実施態様においては、1つ、2つ、3つの、又は4つの置換基Qaでさらに任意に置換された、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル;並びに(c)-C(O)Ra、-C(O)ORa、-C(O)NRbRc、-C(NRa)NRbRc、-ORa、-OC(O)Ra、-OC(O)ORa、-OC(O)NRbRc、-OC(=NRa)NRbRc、-OS(O)Ra、-OS(O)2Ra、-OS(O)NRbRc、-OS(O)2NRbRc、-NRbRc、-NRaC(O)Rd、-NRaC(O)ORd、-NRaC(O)NRbRc、-NRaC(=NRd)NRbRc、-NRaS(O)Rd、-NRaS(O)2Rd、-NRaS(O)NRbRc、-NRaS(O)2NRbRc、-SRa、-S(O)Ra、-S(O)2Ra、-S(O)NRbRc、及び-S(O)2NRbRcから選択され、ここで、Ra、Rb、Rc、及びRdの各々は、独立して、(i)水素もしくは重水素;(ii)1つ以上の置換基Qa、一実施態様においては、1つ、2つ、3つの、又は4つの置換基Qaで各々任意に置換された、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか;又は(iii)Rb及びRcは、それらが結合しているN原子と一緒に、1つ以上の置換基Qa、一実施態様においては、1つ、2つ、3つの、又は4つの置換基Qaで任意に置換されたヘテロシクリル形成する;
ここで、各Qaは、独立して、(a)重水素、シアノ、ハロ、及びニトロ;(b)C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクリル;並びに(c)-C(O)Re、-C(O)ORe、-C(O)NRfRg、-C(NRe)NRfRg、-ORe、-OC(O)Re、-OC(O)ORe、-OC(O)NRfRg、-OC(=NRe)NRfRg、-OS(O)Re、-OS(O)2Re、-OS(O)NRfRg、-OS(O)2NRfRg、-NRfRg、-NReC(O)Rh、-NReC(O)ORf、-NReC(O)NRfRg、-NReC(=NRh)NRfRg、-NReS(O)Rh、-NReS(O)2Rh、-NReS(O)NRfRg、-NReS(O)2NRfRg、-SRe、-S(O)Re、-S(O)2Re、-S(O)NRfRg、及び-S(O)2NRfRgからなる群から選択され;ここで、Re、Rf、Rg、及びRhの各々は、独立して、(i)水素もしくは重水素;(ii)C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、C2-C8アルキニル、C3-C10シクロアルキル、C6-C15アリール、C7-C16アラルキル、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか;又は(iii)Rf及びRgは、それらが結合しているN原子と一緒に、ヘテロシクリルを形成する)。
【0100】
別の実施態様において、前記化合物は、式II:
【化6】
の化合物、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0101】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式VIII:
【化7】
を有するか、そのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0102】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式IX:
【化8】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0103】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式X:
【化9】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0104】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XI:
【化10】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0105】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XII:
【化11】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0106】
別の実施態様において、本発明の化合物は、以下の一般式XIII:
【化12】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0107】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XIV:
【化13】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0108】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XV:
【化14】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0109】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XVI:
【化15】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0110】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XVIII:
【化16】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0111】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XVIII:
【化17】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0112】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XIX:
【化18】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0113】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XX:
【化19】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0114】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XXI:
【化20】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0115】
別の実施態様において、本発明の化合物は、式XXII:
【化21】
を有するか、又はそのエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、2つ以上のジアステレオマーの混合物、互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、もしくは同位体変種;又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、もしくはプロドラッグである。
【0116】
ある実施態様において、Yは、CR5a又はNである。別の実施態様において、Yは、CR5aである。さらなる実施態様において、R5aは、H、重水素、又はハロである。別の実施態様において、R5aは、H、重水素、フルオロ、又はクロロである。別の実施態様において、Yは、Nである。別の実施態様において、Wは、CR5aである。別の実施態様において、R5aは、H又は重水素である。別の実施態様において、Wは、Nである。別の実施態様において、Xは、CR5aである。別の実施態様において、R5aは、H、重水素、又はアミノである。別の実施態様において、Xは、Nである。別の実施態様において、Zは、CR5aである。別の実施態様において、R5aは、H又は重水素である。別の実施態様において、Zは、Nである。ある実施態様において、Yは、結合である。ある実施態様において、Wは、CR5aである。ある実施態様において、R5aは、H又は重水素である。ある実施態様において、Wは、NR5bである。ある実施態様において、R5bは、H又は重水素である。ある実施態様において、Wは、Nである。ある実施態様において、Wは、Oである。ある実施態様において、Wは、Sである。ある実施態様において、Xは、CR5aである。ある実施態様において、R5aは、H又は重水素である。ある実施態様において、Xは、NR5bである。ある実施態様において、R5bは、H又は重水素である。ある実施態様において、Xは、Nである。ある実施態様において、Xは、Oである。ある実施態様において、Xは、Sである。ある実施態様において、Zは、CR5aである。ある実施態様において、Zは、NR5bである。ある実施態様において、Zは、Nである。ある実施態様において、Zは、Oである。ある実施態様において、Zは、Sである。別の実施態様において、R1は、H、重水素、1つ以上の置換基Q、-C(O)R1a、又は-C(O)OR1aで任意に置換されたC1-C8アルキルである。別の実施態様において、R1は、Hである。別の実施態様において、R2は、H、重水素、1つ以上の置換基Q、-C(O)R1a、又は-C(O)OR1aで任意に置換されたC1-C8アルキルである。別の実施態様において、R2は、Hである。別の実施態様において、R3は、Hである。別の実施態様において、R4は、Hである。別の実施態様において、R6は、H、重水素、C1-C8アルキル、C5-C10シクロアルキル、又はヘテロシクリルであり;ここで、該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルは、1つ以上の置換Qで各々独立にかつ任意に置換されている。別の実施態様において、R6は、C1-C8アルキル、C5-C10シクロアルキル、又は4~6員ヘテロシクリルであり;これらはそれぞれ、1つ以上の置換Qで独立してかつ任意に置換されている。別の実施態様において、R6は、1つ以上の置換Qで任意に置換されたC1-C8アルキルである。別の実施態様において、R6は、メチルである。別の実施態様において、R7は、(i)H又は重水素であるか;又は(ii)それぞれが1つ以上の置換Qで独立してかつ任意に置換されている、C1-C8アルキル、C3-C7シクロアルキル、C3-C7シクロアルキル-C1-C8アルキル、C6-C15アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルである。別の実施態様において、R7は、1つ以上の置換Qで任意に置換された、C1-C8アルキルである。別の実施態様において、R7は、C3-C7シクロアルキル、C6-C15アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクリルのうちの1つ以上で置換されたC1-C8アルキルである。別の実施態様において、R7は、C3-C7シクロアルキル-C1-C8アルキルである。別の実施態様において、R7は、シクロプロピルメチルである。別の実施態様において、R8は、Hである。
【0117】
別の実施態様において、本発明の化合物は、以下のもの:
【化22】
並びにその互変異性体、2つ以上の互変異性体の混合物、及び同位体変種;並びにその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、水和物、及びプロドラッグから選択される。
【実施例
【0118】
(実施例1: 5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1)の合成)
【化23】
(工程1:シクロプロピル(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)メタノール(1-2):)
化合物N-メチルピラゾール(1-1、8.00g、97.44mmol、1.00当量)のTHF(160mL)溶液に、n-BuLi(2.5 M、46.77mL、1.20当量)を-78℃で滴加した。-78℃で1時間後、シクロプロパンカルバルデヒド(8.20g、116.93mmol、1.20当量)のTHF(80mL)溶液を滴加した。得られた混合物を、20℃で16時間撹拌し、NH4Cl水(300mL)に注ぎ入れ、10分間撹拌した。水相を、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。合わせた有機相を、食塩水(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製して、化合物1-2(12.00g、78.85mmol、80.9%収率、100%純度)を、無色オイルとして得た。LCMS: RT = 0.118分、m/z 153.1 [M+H]+.
【0119】
(工程2: 5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール(1-3):)
DCM(900mL)中の化合物1-2(9.00g、59.14mmol、1.00当量)、TFA(40.46g、354.84mmol、26.27mL、6.00当量)、及びEt3SiH(41.26g、354.84mmol、56.52mL、6.00当量)の混合物を、40℃で36時間撹拌した。混合物を、NaHCO3水でpH=8に調整し、分離した。有機層を濃縮し、分取HPLC(塩基性条件)により精製すると、化合物1-3(2.10g、15.42mmol、26.1%収率)が、暗褐色の油として得られた。LCMS: RT = 0.565分、m/z 137.1 [M+H]+.
【0120】
(工程3: 4-ブロモ-5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール(1-4):)
化合物1-3(2.10g、15.42mmol、1.00当量)のDCM(21mL)溶液に、NBS(3.02g、16.96mmol、1.10当量)を0℃で加えた。混合物を、20℃で2時間撹拌し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO2)によって精製すると、化合物1-4(3.00g、13.95mmol、90.5%収率)が、黄色オイルとして得られた。LCMS: RT = 0.784分、m/z 217.1 [M+H]+
【化24】
【0121】
(工程4: 5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピラゾール(1):)
化合物1-4(3.00g、13.95mmol、1.00当量)のTHF(60mL)溶液に、n-BuLi(2M、10.46mL、1.50当量)を-78℃で滴加した。30分後、2-イソプロポキシ-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(5.19g、27.90mmol、2.00当量)のTHF(6mL)溶液を加えた。得られた混合物を、20℃に加温し、0.5時間撹拌し、飽和NH4Cl(50mL)で希釈し、EA(100mL)で抽出した。有機層を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO2)によって精製すると、化合物1(3.30g、11.40mmol、81.7%収率、90.5% 純度)が、無色オイルとして得られた。LCMS: RT = 0.801分、m/z 263.2 [M+H]+
【化25】
【0122】
(実施例2: (1r,4r)-N1-(5-クロロ-4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(A104)の合成)
【化26】
【0123】
(工程1: 2,5-ジクロロ-4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン(104-2):)
DME(10mL)中の2,5-ジクロロ-4-ヨードピリジン(104-1、523.13mg、1.91mmol、1.00当量)及び化合物1(500.8mg、1.91mmol、1.0当量)の混合物に、Na2CO3(2M、2.87mL、3.00当量)及びビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(67.62mg、95.50μmol、67.62μL、0.05当量)を加えた。得られた混合物を、窒素下で80℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製すると、104-2(200mg、659.3μmol、34.5%収率、93.0%純度)が、黄色オイルとして得られた。LCMS: RT = 0.825分、m/z 282.0 [M+H]+.
【0124】
(工程2:(1r,4r)-N1-(5-クロロ-4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(A104):)
ジオキサン(2.70mL)中の104-2(180.00mg、637.91μmol、1.00当量)及び(1r,4r)-シクロヘキサン-1,4-ジアミン(145.69mg、1.28mmol、2.00当量)の混合物に、t-BuONa(2M、956.87μL、3.00当量)及びビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(32.69mg、63.79μmol、0.10当量)を加えた。混合物を、窒素下で90℃で12時間撹拌し、室温まで冷却し、濾過し、濃縮し、分取HPLCによって精製すると、A104(50mg、125.4μmol、19.7%収率、99.4%純度、HCl)が、白色固体として得られた。LCMS: RT = 2.309分、m/z 360.1 [M+H]+
【化27】
【0125】
(実施例3: (1r,4r)-N1-(6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(A105)の合成)
【化28】
【0126】
(工程1: 2-クロロ-6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン(105-2):)
2,6-ジクロロピリジン(562mg、3.81mmol、1.00当量)及び化合物1(1.00g、3.81mmol、1.0当量)のDME(20mL)溶液に、Na2CO3(2M、5.72mL、3.00当量)及びビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(134.89mg、190.5umol、134.89uL、0.05当量)を加えた。混合物を、80℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製すると、105-2(500mg、1.32mmol、34.6%収率、74.5%純度)が黄色オイルとして得られた。LCMS: RT = 0.835分、m/z 248.1 [M+H]+.
【0127】
(工程2: (1r,4r)-N1-(6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(A105):)
105-2(400.00mg、1.61mmol、1.00当量)及び(1r,4r)-シクロヘキサン-1,4-ジアミン(275.77mg、2.42mmol、1.50当量)のジオキサン(8mL)溶液に、t-BuONa(2M、2.42mL、3.00当量)及びビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)(82.50mg、161.00μmol、0.10当量)を加えた。混合物を、90℃で12時間撹拌し、室温まで冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、分取HPLCによって精製すると、A105(120mg、331.25μmol、20.6%収率、99.9%純度、HCl)が黄色固体として得られた。LCMS: RT = 2.164分、m/z 326.2 [M+H]+
【化29】
【0128】
(実施例4: (1r,4r)-N1-(6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(A106)の合成)
【化30】
(工程1: 4-クロロ-6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン(106-2):)
4,6-ジクロロピリミジン(284.5mg、1.91mmol、1.00当量)及び化合物1(500.0mg、1.91mmol、1.00当量)のジオキサン(10mL)溶液に、Na2CO3(2M、5.73mL、6.00当量)及びPd(PPh3)4(110.4mg、95.5umol、0.05当量)を加えた。混合物を、窒素下で90℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製すると、106-2(200.00mg、562.9μmol、29.5%収率、70%純度)が無色オイルとして得られた。LCMS: RT = 0.784分、m/z 249.0 [M+H]+.
【0129】
(工程2: (1r,4r)-N1-(6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(A106):)
化合物106-2(180.0mg、723.73μmol、1.00当量)のBuOH(1.8mL)溶液に、(1r,4r)-シクロヘキサン-1,4-ジアミン(165.3mg、1.45mmol、2.00当量)及びDIEA(374.1mg、505.59μL、4.00当量)を加えた。混合物を、120℃で16時間撹拌し、室温まで冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、分取HPLCによって精製すると、A106(30.00mg、82.67μmol、11.4%収率、100%純度、HCl)が黄色固体として得られた。LCMS: RT = 1.231分、m/z 327.2 [M+H]+
【化31】
【0130】
(実施例5: N4-((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)-6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2,4-ジアミン(A107)の合成)
【化32】
(工程1: 4-クロロ-6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2-アミン(107-2):)
4,6-ジクロロピリミジン-2-アミン(313.22mg、1.91mmol、1.00当量)及び化合物1(500.00mg、1.91mmol、1.00当量)のジオキサン(1.0mL)溶液に、Na2CO3(2M、5.73mL、6.00当量)及びPd(PPh3)4(110.36mg、95.50μmol、0.05当量)を加えた。混合物を、窒素下で90℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーによって精製すると、107-2(220.00mg、458.8μmol、24.0%収率、55%純度)が黄色固体として得られた。LCMS: RT = 0.724分、m/z 264.0 [M+H]+.
【0131】
(工程2: N4-((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)-6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-2,4-ジアミン(A107):)
化合物5-2(180.0mg、682.52μmol、1.00当量)のBuOH(1.8mL)溶液に、(1r,4r)-シクロヘキサン-1,4-ジアミン(155.87mg、1.37mmol、2.00当量)及びDIEA(352.84mg、476.80μL、4.00当量)を加えた。混合物を、120℃で16時間撹拌し、室温まで冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、分取HPLCによって精製すると、A107(40.00mg、93.86μmol、13.7%収率、97.2%純度、2HCl)が黄色固体として得られた。LCMS: RT = 2.140分、m/z 342.2 [M+H]+
【化33】
【0132】
(実施例6: 2-(((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)アミノ)-6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-オール(A108)の合成)
【化34】
(工程1: 4-クロロ-6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-(メチルチオ)ピリミジン(11):)
化合物1(1.00g、3.81mmol、1.0当量)のジオキサン(20mL)溶液に、窒素下で、化合物10(743mg、3.81mmol、1.0当量)、Pd(dppf)Cl2(139.39mg、190μmol、0.05当量)、及びNa2CO3(2M、3.81mL、2.0当量)を加えた。得られた混合物を、窒素下で100℃で16時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、シリカゲルカラム(PE:EA=4:1、Rf=0.4)によって精製すると、化合物11(600mg、1.49mmol、39%収率、73%純度)が得られた。LCMS: RT = 0.894分、m/z 295.0 [M+H]+.
【0133】
(工程2: 4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-((4-メトキシベンジル)オキシ)-2-(メチルチオ)ピリミジン(12):)
PMB-OH(327mg、2.36mmol、294μL、1.2当量)のDMF(6mL)溶液に、NaH(102mg、2.56mmol、60% 純度、1.3当量)を0℃で加えた。1時間撹拌後、THF(1.50mL)中の化合物11(580mg、1.97mmol、1.0当量)を0℃で滴加した。得られた混合物を、20℃で15時間撹拌した。反応を、NH4Cl水(50mL)でクエンチし、EA(50mL×2)で抽出した。有機層を濃縮し、シリカゲルカラム(PE:EA=10:1~5:1)によって精製すると、化合物12(140mg、236μmol、12%収率、67%純度)が得られた。LCMS: RT = 0.984分、m/z 397.0 [M+H]+;
【化35】
【0134】
(工程3: 4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-((4-メトキシベンジル)オキシ)-2-(メチルスルホニル)ピリミジン(13):)
化合物12(130mg、328μmol、1.0当量)のDCM(2.6mL)溶液に、m-CPBA(177mg、820μmol、80%純度、2.5当量)を0℃で加えた。混合物を、15℃で2時間撹拌した。混合物を、水(10mL)で希釈し、DCM(10mL×2)で抽出した。有機層を、NaHCO3水(10mL)で洗浄した。有機層を濃縮し、分取TLC(PE:EA=1:1、Rf=0.4)によって精製すると、化合物13(80mg、170μmol、52%収率、91%純度)が得られた。LCMS: RT = 0.856分、m/z 429.0 [M+H]+.
【0135】
(工程4: (1r,4r)-N1-(4-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-6-((4-メトキシベンジル)オキシ)ピリミジン-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(14):)
化合物13(80mg、187μmol、1.0当量)のジオキサン(1.2mL)溶液に、trans-シクロヘキサン-1,4-ジアミン(85mg、747μmol、4.0当量)を加えた。混合物を、120℃で2時間マイクロ波を当てながら撹拌した。混合物を濾過し、濃縮すると、化合物14(100mg、粗生成物)が得られ、それを、さらに精製することなく次工程に直接用いた。 LCMS: RT = 0.761分、m/z 463.3 [M+H]+.
【0136】
(工程5: 2-(((1r,4r)-4-アミノシクロヘキシル)アミノ)-6-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリミジン-4-オール(A108):)
TFA(2mL)中の化合物14(100mg、216μmol、1.0当量)の混合物を、15℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮し、分取HPLCによって精製すると、化合物A108(20mg、57μmol、26%収率、98%純度)が得られた。LCMS: RT = 2.668分、m/z 343.2 [M+H]+;
【化36】
【0137】
(実施例7: (1r,4r)-N1-(5-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(A110)の合成)
【化37】
(工程1: tert-ブチル (tert-ブトキシカルボニル)-(5-ブロモチアゾール-2-イル)カルバメート(110-2):)
tert-ブチル (5-ブロモチアゾール-2-イル)カルバメート(0.5g、1.79mmol、1.0当量)のTHF(20mL)溶液に、二炭酸ジ-tert-ブチル(0.39g、1.79mmol、1.0当量)及びDMAP(0.1g、0.9mmol 0.5当量)を加えた。得られた混合物を、60℃で30分間撹拌し、室温まで冷却し、H2O(25mL)で希釈し、EtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濾過し、濃縮し、分取TLCによって精製すると、化合物110-2(0.35g、0.92mmol、55%収率)が得られた。LCMS: RT = 0.944分、m/z 379.0 [M+H]+;
【化38】
【0138】
(工程2: N,N-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-5-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-2-アミン(110-3):)
N2下で、化合物110-2(100mg、0.26mmol、1.0当量)のトルエン(10mL)溶液に、化合物1(69mg、0.26mmol、1.0当量)及びK2CO3(109mg、0.79mmol、3.0当量)を加え、それに続き、N2下でPd(PPh3)4(3.5mg、2.64μmmol、0.01当量)を加えた。反応を、110℃で2時間加熱し、室温まで冷却した。混合物を、水(25mL)に注ぎ入れ、EtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を、食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥し、濾過し、濃縮し、分取TLCによって精製すると、化合物110-3(10mg、30μmol、11%収率)が得られた。LCMS: RT = 0.922分、m/z 435.3 [M+H]+;
【化39】
【0139】
(工程3: 5-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-2-アミン(110-4):)
化合物110-3及びHClの混合物を、室温で1時間撹拌し、次いで、濃縮すると化合物110-4が得られる。
【0140】
(工程4: tert-ブチル (4-((5-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)カルバメート(110-5):)
DCM中の化合物110-4(1.0当量)及びtert-ブチル (4-オキソシクロヘキシル)カルバメート(1.0当量)の混合物に、AcOH(1.0当量)及びNaBH(OAc)3(2.0当量)を加える。得られた混合物を、20℃で2時間撹拌し、次いで、H2Oでクエンチし、後処理すると、化合物110-5が得られる。
【0141】
(工程5: N1-(5-(5-(シクロプロピルメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)チアゾール-2-イル)シクロヘキサン-1,4-ジアミン(110-6):)
化合物108-5(1.0当量)のDCM溶液に、TFAを0℃で加える。得られた混合物を、20℃で1時間撹拌し、次いで、後処理すると、化合物110-6が得られ、それをHPLCでさらに精製すると、化合物A110が得られる。
【0142】
(実施例8: RKO細胞における用量応答化合物スクリーニング)
RKO結腸直腸細胞を、前記化合物のそれぞれの段階希釈物(DMSO中0.167~1.5μM又は0.11~1μMの濃度範囲のもの)とともに37℃で16時間インキュベートした。細胞をPBSで洗浄し、細胞ペレットを、プロテアーゼインヒビターカクテル(1/200;Calbiochem)並びにホスファターゼインヒビター(20mMのp-ニトロフェニルホスフェート(PNPP)、20mMのβ-グリセロホスフェート、及び300nMのオカダ酸)を含有する氷冷タンパク質溶解バッファーとともにインキュベートした。ウエスタンブロット(WB)解析を標準的な技法によって実施した。ブロットを、β-カテニン(1/2,500; BD Transduction)、p53(DO-1&1801ハイブリドーマ混合物;各々由来の上清の1:20の希釈物)、CKIα(C-19; 1/1,000; Santa Cruz Biotechnology)、及びホスホ-ヒストンH2AX(S139; 1/1,000; Millipore)を検出する抗体とともにインキュベートした。二次抗体は、HRP結合ヤギ抗マウス、ヤギ抗ウサギ、及びウサギ抗ヤギ抗体(全て1/10,000; Jackson)であった。ブロットを、ECL(GE Healthcare)を用いて顕色させた。CKIα阻害の指標である、β-カテニン及びp53の安定化並びにH2AX(DNA損傷のマーカーであるγH2AX)のリン酸化(Elyadaらの文献、Nature 1991)に対応するシグナル強度を、ImageJソフトウェアによって解析した。相対シグナル強度を、表1に示す(図1も参照されたい)。ここでは、1の値は、モック(DMSO)処理した細胞のシグナルに対応する。
【0143】
(表1-本発明の化合物の活性)
【表1】
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
式(I)を有する化合物、又はその立体異性体もしくは塩:
(化1)
(式中:
R 1 及びR 2 は、各々独立に、H;並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、エーテル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、及びアミドのうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された、直鎖もしくは分岐C 1 -C 8 アルキル、直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アルコキシ、直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アシル、C 5 -C 15 アリール、及びC 3 -C 7 ヘテロアリールから選択されるか;又は
R 1 及びR 2 は、それらが接続している窒素原子と一緒に、N、O、NH、C=N、C=O、及びSO 2 のうちの少なくとも1つを任意に含んでいてもよく、かつ直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アルキル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ヒドロキシル、ハライド、及びシアノのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成し;
R 3 及びR 4 は、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、アルコキシ、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、エステル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された直鎖もしくは分岐C 1 -C 8 アルキルから選択されるか;又は
R 1 もしくはR 2 は、R 3 並びにそれらが各々接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、N、NH、O、C=N、C=O、及びSO 2 のうちの少なくとも1つを任意に含んでいてもよく、かつ直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アルキル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ヒドロキシル、カルボニル、及びハライドのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成し;
W、X、Y、及びZは、各々、CH、CR 5 、CR 5c 、NH、N、及びSから選択され;但し、W、X、Y、及びZのうちの少なくとも1つは、NH、N、及びSから選択され;但し、WがNであり、かつZがNである場合には、Xは、CR 5c であり;
nは、0及び1から選択される整数であり;
R 5 は、OH、NH 2 、及びハライドから選択され;R 5c は、OH及びNH 2 から選択され;
R 8 は、H及びハライド;並びに少なくとも1つのハライドによって各々任意に置換された、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルケニル、及び直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルキニルから選択され;
R 6 は、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、C 3 -C 7 シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC 1 -C 5 アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルケニル、直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルキニル、C 5 -C 10 シクロアルキル、及び飽和又は不飽和4~6員ヘテロシクリルから選択され;
R 7 は、C 3 -C 7 シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC 1 -C 5 アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって各々独立に置換された、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルケニル、及び直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルキニルから選択される)。
(態様2)
R 1 及びR 2 が、各々独立に、H、並びにハライド、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ヒドロキシル、エステル、エーテル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された直鎖もしくは分岐C 1 -C 8 アルキルから選択される、態様1記載の化合物。
(態様3)
R 1 及びR 2 が、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された、直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アルコキシから選択される、態様1記載の化合物。
(態様4)
R 1 及びR 2 が、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、エーテル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換されたC 1 -C 5 アシルから選択される、態様1記載の化合物。
(態様5)
R 1 及びR 2 が、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、エーテル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換されたC 5 -C 15 アリールから選択される、態様1記載の化合物。
(態様6)
R 4 が、Hである、態様1~5のいずれか1項記載の化合物。
(態様7)
R 3 及びR 4 が、Hである、態様1~6のいずれか1項記載の化合物。
(態様8)
R 5 が、ハライドである、態様1~7いずれか1項記載の化合物。
(態様9)
R 5 が、NH 2 である、態様1~7のいずれか1項記載の化合物。
(態様10)
R 5 が、OHである、態様1~7のいずれか1項記載の化合物。
(態様11)
R 8 が、H、Cl、及び直鎖又は分岐C 1 -C 4 アルキルから選択される、態様1~10のいずれか1項記載の化合物。
(態様12)
R 8 が、Hである、態様1~11のいずれか1項記載の化合物。
(態様13)
R 1 及びR 2 のうちの少なくとも1つが、Hである、態様1~12のいずれか1項記載の化合物。
(態様14)
R 6 が、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、C 5 -C 10 シクロアルキル、及び飽和又は不飽和4~6員ヘテロシクリルから選択され;かつR 7 が、C 3 -C 7 シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC 1 -C 5 アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって置換された、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキルから選択される、態様1~13のいずれか1項記載の化合物。
(態様15)
R 6 が、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、C 5 -C 10 シクロアルキル、及び4~6員飽和ヘテロシクリルから選択される、態様1~14のいずれか1項記載の化合物。
(態様16)
R 7 が、C 3 -C 7 シクロアルキル及びヒドロキシルのうちの少なくとも1つによって置換された直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキルである、態様1~15のいずれか1項記載の化合物。
(態様17)
R 6 が、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、C 3 -C 7 シクロアルキル、ハライド、ヒドロキシル、及びCF 3 のうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、飽和、及び不飽和、又は芳香族4~6員ヘテロシクリルから選択される、態様1~16のいずれか1項記載の化合物。
(態様18)
R 7 が、少なくとも1つのC 3 -C 7 シクロアルキルによって置換された直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキルである、態様1~17のいずれか1項記載の化合物。
(態様19)
R 1 及びR 2 が、それらが接続している窒素原子と一緒に、N、O、NH、C=N、C=O、及びSO 2 のうちの少なくとも1つを任意に含み、かつ直鎖又は分岐C 1 -C 5 アルキル、ヒドロキシル、ハライド、及びシアノのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環を形成する、態様1~18のいずれか1項記載の化合物。
(態様20)
R 1 及びR 2 が、それらが接続している窒素原子と一緒に、4~7員飽和環を形成する、態様1~19のいずれか1項記載の化合物。
(態様21)
R 1 及びR 2 が、それらが接続している窒素原子と一緒に、N及びOのうちの少なくとも1つを含む4~7員飽和環を形成する、態様1~20のいずれか1項記載の化合物。
(態様22)
R 1 及びR 2 が、それらが接続している窒素原子と一緒に、N及びOのうちの少なくとも1つを任意に含む4~7員芳香環を形成する、態様1~21のいずれか1項記載の化合物。
(態様23)
R 3 及びR 4 が、Hである、態様1~22のいずれか1項記載の化合物。
(態様24)
R 1 又はR 2 が、R 3 並びにそれらが接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、N、NH、O、C=O、及びSO 2 のうちの少なくとも1つを任意に含み、かつ直鎖又は分岐C 1 -C 5 アルキル、ヒドロキシル、カルボニル、及びハライドのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい4~7員飽和環を形成する、態様1~23のいずれか1項記載の化合物。
(態様25)
R 1 又はR 2 が、R 3 並びにそれらが接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、NH、O、及びC=Oのうちの少なくとも1つを含む4~7員飽和環を形成する、態様1~24のいずれか1項記載の化合物。
(態様26)
nが、1である、態様1~25のいずれか1項記載の化合物。
(態様27)
nが、0である、態様1~25のいずれか1項記載の化合物。
(態様28)
W、X、Y、及びZのうちの1つが、Nである、態様1~27のいずれか1項記載の化合物。
(態様29)
W、X、Y、及びZのうちの2つが、Nである、態様1~27のいずれか1項記載の化合物。
(態様30)
W、X、Y、及びZのうちの2つが、独立して、NH、N、及びSから選択される、態様27記載の化合物。
(態様31)
R 1 ~R 8 が、上で定義された通りである、以下から選択される、態様1~30のいずれか1項記載の化合物:
(化2)

(態様32)
以下から選択される、態様1~31のいずれか1項記載の化合物:
(化3)

(態様33)
態様1~32のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物。
(態様34)
それを必要としている対象において、カゼインキナーゼI(CKI)及びインターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)のうちの少なくとも1つを阻害する方法であって、態様1~32のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物を、該対象に投与することを含む、前記方法。
(態様35)
それを必要としている対象において、カゼインキナーゼI(CKI)を阻害する方法であって、態様1~32のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物を、該対象に投与することを含む、前記方法。
(態様36)
それを必要としている対象において、インターロイキン-1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)を阻害する方法であって、態様1~32のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物を、該対象に投与することを含む、前記方法。
(態様37)
それを必要としている対象において、悪性疾病に関連する疾病、症状、又は疾患を治療する方法であって、態様1~32のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物を、該対象に投与することを含む、前記方法。
(態様38)
前記悪性疾病が、がんである、態様37記載の方法。
(態様39)
前記がんが、WT p53を有する、態様38記載の方法。
(態様40)
前記WT p53が、化合物のエフィカシーについてのバイオマーカーである、態様39記載の方法。
(態様41)
前記がんが、白血病、多発性骨髄腫、悪性黒色腫、乳がん、前立腺がん、及び結腸直腸がんから選択される、態様38記載の方法。
(態様42)
前記悪性疾病が、血液学的悪性腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、黒色腫、ER陰性乳がん、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、及び頭頸部がんから選択される、態様37記載の方法。
(態様43)
前記対象においてがん免疫療法応答を誘導することをさらに含む、態様34~42のいずれか1項記載の方法。
(態様44)
それを必要としている対象において、免疫療法応答を誘導するための方法であって、態様1~32のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物を、前記対象に投与することを含む、前記方法。
(態様45)
それを必要としている対象において、炎症性及び免疫関連障害を治療する方法であって、態様1~32のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物を、該対象に投与することを含む、前記方法。
(態様46)
式(I)を有する化合物、又はその立体異性体もしくは塩:
(化4)
(式中:
R 1 及びR 2 は、各々独立に、H;並びにハライド、ヒドロキシル、エステル、エーテル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、及びアミドのうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された、直鎖もしくは分岐C 1 -C 8 アルキル、直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アルコキシ、直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アシル、C 5 -C 15 アリール、及びC 3 -C 7 ヘテロアリールから選択されるか;又は
R 1 及びR 2 は、それらが接続している窒素原子と一緒に、N、O、NH、C=N、C=O、及びSO 2 のうちの少なくとも1つを任意に含んでいてもよく、かつ直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アルキル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ヒドロキシル、ハライド、及びシアノのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成し;
R 3 及びR 4 は、各々独立に、H、並びにハライド、ヒドロキシル、アルコキシ、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、エステル、及びアミドのうちの少なくとも1つによって任意に置換された直鎖もしくは分岐C 1 -C 8 アルキルから選択されるか;又は
R 1 もしくはR 2 は、R 3 並びにそれらが各々接続している炭素原子及び窒素原子と一緒に、N、NH、O、C=N、C=O、及びSO 2 のうちの少なくとも1つを任意に含んでいてもよく、かつ直鎖もしくは分岐C 1 -C 5 アルキル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ヒドロキシル、カルボニル、及びハライドのうちの少なくとも1つで任意に置換されていてもよい、4~7員の飽和環、不飽和環、もしくは芳香環を形成し;
W、X、Y、及びZは、各々独立に、CH、CR 5 、NH、N、及びSから選択され;但し、W、X、Y、及びZのうちの少なくとも1つは、NH、N、及びSから選択され;但し、WがNであり、かつZがNである場合には、R 8 は、H以外であり;
nは、0及び1から選択される整数であり;
R 5 は、OH、NH 2 、及びハライドから選択され;
R 8 は、H及びハライド;並びに少なくとも1つのハライドによって各々任意に置換された、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルケニル、及び直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルキニルから選択され;
R 6 は、直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、C 3 -C 7 シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC 1 -C 5 アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって各々任意に置換された;直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルケニル、直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルキニル、C 5 -C 10 シクロアルキル、及び飽和又は不飽和4~6員ヘテロシクリルから選択され;かつ
R 7 は、C 3 -C 7 シクロアルキル、4~6員ヘテロシクリル、C 5 -C 15 アリール、C 3 -C 7 ヘテロアリール、ハライド、ヒドロキシル、及びC 1 -C 5 アルキルハライドのうちの少なくとも1つによって各々独立に置換された;直鎖又は分岐C 1 -C 8 アルキル、直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルケニル、及び直鎖又は分岐C 2 -C 8 アルキニルから選択される)。
図1