IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケンブリッジ メディカル ロボティックス リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】ロボット外科用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20220916BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
A61B34/30
B25J15/08 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019567231
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 GB2018051543
(87)【国際公開番号】W WO2018224826
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】1709016.8
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1709017.6
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1713625.0
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516263638
【氏名又は名称】シーエムアール サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】チャップリン,ベン ロバート
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0046122(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0027656(US,A1)
【文献】米国特許第07169141(US,B2)
【文献】特開2017-047244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
エンドエフェクタエレメントと、
前記エンドエフェクタエレメントを関節運動させるための前記シャフトの遠位端における関節部と、
前記シャフトの近位端に配置された器具インターフェースと、を備え、
前記関節部は、前記エンドエフェクタエレメントが前記シャフトの長手方向の軸に対してある範囲の構成を採用することを可能にする第1および第2のジョイントを備え、
前記第1のジョイントは、第1の駆動エレメントのペアによって駆動可能であり、前記第2のジョイントは、第2の駆動エレメントのペアによって駆動可能であり、
前記器具インターフェースは、第1のシャーシ部分を第2のシャーシ部分に取り付けることにより形成されたシャーシを含み、前記第1のシャーシ部分は、前記シャフトが取り付けられる取付面を備え、
前記第1の駆動エレメントのペアは、前記第1のシャーシ部分に支持されており、前記第2の駆動エレメントのペアは、前記第2のシャーシ部分に支持されているロボット外科用器具。
【請求項2】
前記第1の駆動エレメントのペアを駆動するための第1のインターフェースエレメントと、前記第2の駆動エレメントのペアを駆動するための第2のインターフェースエレメントをさらに含み、
前記第1のインターフェースエレメントは、前記シャーシに対する前記第1のインターフェースエレメントの変位が前記第1の駆動エレメントのペアに伝達されるように、前記第1の駆動エレメントのペアに固定されており、
前記第2のインターフェースエレメントは、前記シャーシに対する前記第2のインターフェースエレメントの変位が前記第2の駆動エレメントのペアに伝達されるように、前記第2の駆動エレメントのペアに固定されている請求項1に記載のロボット外科用器具。
【請求項3】
前記第1および第2のインターフェースエレメントは、それぞれの最大変位範囲で直線的に変位可能であり、前記第1のインターフェースエレメントの前記最大変位範囲は、前記第2のインターフェースエレメントの前記最大変位範囲より小さい請求項2に記載のロボット外科用器具。
【請求項4】
前記第1のインターフェースエレメントは、前記第1のシャーシ部分に摺動可能に取り付けられており、前記第2のインターフェースエレメントは、前記第2のシャーシ部分に摺動可能に取り付けられている請求項2または請求項3に記載のロボット外科用器具。
【請求項5】
前記器具インターフェースは、前記第1の駆動エレメントのペアの動きがその周りに制約される第1の組のプーリーをさらに含み、前記第1の組のプーリーは、前記第1のシャーシ部分に回転可能に固定されており、前記器具インターフェースは、前記第2の駆動エレメントのペアの動きがその周りに制約される第2の組のプーリーをさらに含み、前記第2の組のプーリーは、前記第2のシャーシ部分に回転可能に固定されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項6】
前記第1の組のプーリーは、前記シャフトの前記長手方向の軸を含む前記器具インターフェースの前記中央平面上に位置している請求項に記載のロボット外科用器具。
【請求項7】
前記取付面は、前記第1のシャーシ部分の一部を形成する遠位ブロック部と一体的に形成され、前記遠位ブロック部は、前記第2のシャーシ部分の一部を形成する近位ブロック部と組み合わされており、前記取付面は、前記シャフトの前記長手方向を横切っている請求項1から請求項のいずれか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項8】
前記第1の駆動エレメントのペアは、前記器具インターフェースの中心平面上に位置しており、前記第2の駆動エレメントのペアは、前記器具インターフェースの前記中央平面の一方側に位置している請求項1から請求項のいずれか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項9】
前記第1および第2の駆動エレメントのペアは、前記シャフトを介して前記器具インターフェースと前記関節部の間に延在する請求項1から請求項のいずれか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項10】
前記第1のジョイントは、前記エンドエフェクタエレメントを前記シャフトの前記長手方向の軸を横切る第1の軸周りに回転可能とされ、前記第2のジョイントは、前記エンドエフェクタエレメントが前記シャフトと位置合わせされている直線構成にあるとき、前記エンドエフェクタエレメントを前記第1の軸を横切る第2の軸の周りに回転可能とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項11】
第2のエンドエフェクタエレメントをさらに含み、前記関節部は第3のジョイントを含み、前記第3のジョイントは第3の駆動エレメントのペアによって駆動可能であり、前記第3の駆動エレメントのペアは前記第1のシャーシ部分に支持されており、前記第3のジョイントは、前記第2のエンドエフェクタエレメントを前記第2の軸周りに回転可能とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項12】
前記第3の駆動エレメントのペアを駆動する第3のインターフェースエレメントをさらに備え、前記第3のインターフェースエレメントは、前記シャーシに対する前記第3のインターフェースエレメントの変位が前記第3の駆動エレメントのペアに伝達されるように前記第3の駆動エレメントのペアに固定されている請求項1に記載のロボット外科用器具。
【請求項13】
前記第3のインターフェースエレメントは、前記第1のシャーシ部分に摺動可能に取り付けられている請求項1に記載のロボット外科用器具。
【請求項14】
前記器具インターフェースは、前記第3の駆動エレメントのペアの動きがその周りに制約される第3の組のプーリーをさらに備え、前記第3の組のプーリーは、前記第1のシャーシ部分に回転可能に固定されている請求項1から請求項1のいずれか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項15】
前記第3の駆動エレメントのペアは、前記第2の駆動エレメントのペアと同一の位置精度要件を有している請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のロボット外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、互いに結合された第1および第2のシャーシ部分を含む器具インターフェースを有するロボット外科用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手術を支援して行うためにロボットを用いることが知られている。図1は、ベース108と、アーム102と、外科用器具105とからなる代表的な外科用ロボット100を示している。ベース108は外科用ロボット100を支持して、それ自体は、例えば、手術室の床や手術室の天井あるいはトロリーに堅固に取り付けられている。アーム102は、ベース108と外科用器具105との間に延在している。アーム102は、その長さに沿って複数の可撓性ジョイント103によって関節接続されており、かかるジョイント103は、患者に対して所望の位置に外科用器具105を配置するために用いられている。外科用器具105は、ロボットアームの遠位端104に取り付けられている。外科用器具105は、手術部位にアクセスするために、ポート107で患者101の身体に刺さっている。その遠位端104において、外科用器具105は、医療処置に携わるエンドエフェクタ106を備えている。
【0003】
図2は、ロボット腹腔鏡手術を行うための代表的な外科用器具200を示している。外科用器具200は、外科用器具200がロボットアームに接続するためのベース201を備えている。シャフト202は、ベース201と関節部203の間に延在している。関節部203は、エンドエフェクタ204で終端している。図2では、一対の鋸歯状の顎部がエンドエフェクタ204として例示されている。関節部203は、エンドエフェクタ204がシャフト202に対して動くことを可能にしている。関節部203によってエンドエフェクタ204の動きに少なくとも2つの自由度が与えられていることが望ましい。
【0004】
図3は、ピッチジョイント301および2つのヨージョイント302によってエンドエフェクタ204がシャフト202に対して動くことができる公知の外科用器具300の一例を示している。ピッチジョイント301は、エンドエフェクタ204がピッチ軸303周りに回転することを可能にする。ヨージョイント302により、エンドエフェクタ204の各顎部がヨー軸304周りに回転することが可能になる。これらのジョイントはケーブル306,307,308によって駆動される。プーリー305は、ケーブル307および308をピッチジョイント301を越えてヨージョイント302に導くために用いられる。プーリー305は、関節部203の中心軸からオフセットされている。
【0005】
代表的な腹腔鏡手術では外科医は多くの外科用器具を利用し、それゆえ外科医は何度も外科用器具を交換する。したがって、1つの外科用器具がロボットアームから取り外されて異なる外科用器具が取り付けられる時間を最小にし、かつ容易性を最大化することが望ましい。加えて、ロボットアームに取り付けられた後、外科用器具を使用可能な状態にセットアップするのに要する時間を最小化することが望ましい。
【0006】
したがって、外科用器具300は、その近位端において、器具インターフェースによってロボットアームの遠位端に取り付けられていてもよい。器具インターフェースは、ロボットアームのインターフェースに接続または係合していてもよい。外科用器具のジョイント(例えば、ジョイント301,302)を駆動するための機械的駆動は、ロボットアームインターフェースおよび器具インターフェースを介してロボットアームから外科用器具に伝達されていてもよい。
【発明の概要】
【0007】
本発明によれば、ロボット外科用器具は、シャフトと、エンドエフェクタエレメントと、前記エンドエフェクタエレメントを関節運動させるための前記シャフトの遠位端における関節部と、前記シャフトの近位端に配置された器具インターフェースと、を備え、前記関節部は、前記エンドエフェクタエレメントが前記シャフトの長手方向の軸に対して様々な構成を採用することを可能にする第1および第2のジョイントを備え、前記第1のジョイントは第1の位置精度要件を有する第1の駆動エレメントのペアによって駆動可能であり、前記第2のジョイントは前記第1の駆動エレメントのペアの位置精度要件よりも低い第2の位置精度要件を有する第2の駆動エレメントのペアによって駆動可能であり、前記器具インターフェースは、第1のシャーシ部分を第2のシャーシ部分に取り付けることによって形成されたシャーシを備え、前記第1のシャーシ部分は前記シャフトが取り付けられる取付面を備え、前記第1の駆動エレメントのペアは、前記第1のシャーシ部分に対して固定されている。
【0008】
第2の駆動エレメントのペアは、第2のシャーシ部分に対して固定されていてもよい。
【0009】
この器具は、さらに第1の器具インターフェースエレメントと第2の器具インターフェースエレメントを含んでいてもよい。
第1の器具インターフェースエレメントは、第1の駆動エレメントのペアを駆動するためのものであって、第1の器具インターフェースエレメントは、シャーシに対する第1の器具インターフェースエレメントの変位が第1の駆動エレメントのペアに伝達されるように、第1の駆動エレメントのペアに固定されている。
第2の器具インターフェースエレメントは、第2の駆動エレメントのペアを駆動するためのものであって、第2の器具インターフェースエレメントは、シャーシに対する第2の器具インターフェースエレメントの変位が第2の駆動エレメントのペアに伝達されるように、第2の駆動エレメントのペアに固定されている。
【0010】
第1および第2の器具インターフェースエレメントは、それぞれの最大変位範囲で直線的に変位可能であり、第1の器具インターフェースエレメントの最大変位範囲は、第2の器具インターフェースエレメントの最大変位範囲より小さくてもよい。
【0011】
第1の器具インターフェースエレメントは、第1のシャーシ部分に摺動可能に取り付けられていてもよい。
【0012】
第2の器具インターフェースエレメントは、第2のシャーシ部分に摺動可能に取り付けられていてもよい。
【0013】
器具インターフェースは、第1の駆動エレメントのペアの動きがその周りに制約される第1の組のプーリーをさらに備えていてもよく、第1の組のプーリーは、第1のシャーシ部分に回転可能に固定されていてもよい。
【0014】
第1の組のプーリーは、シャフトの長手方向の軸を含む器具インターフェースの中央平面上に位置していてもよい。
【0015】
器具インターフェースが、第2の駆動エレメントのペアの動きがその周りに制約される第2の組のプーリーをさらに備えていてもよく、第2の組のプーリーが、第2のシャーシ部分に回転可能に固定されていてもよい。
【0016】
取付面は、第1のシャーシ部分の一部を形成する遠位ブロック部と一体的に形成されてもよく、遠位ブロック部は、第2のシャーシ部分の一部を形成する近位ブロック部と組み合わされていてもよい。
【0017】
取付面は、シャフトの長手方向を横切っていてもよい。
【0018】
第1の駆動エレメントのペアは、器具インターフェースの中央平面上に位置していてもよい。
【0019】
第2の駆動エレメントのペアは、器具インターフェースの中央平面の一方側に位置していてもよい。
【0020】
第1および第2の駆動エレメントのペアは、シャフトを介して器具インターフェースと関節部の間に延在していてもよい。
【0021】
第1のジョイントが、エンドエフェクタエレメントをシャフトの長手方向の軸を横切る第1の軸周りに回転可能とされていてもよい。
【0022】
第2のジョイントが、エンドエフェクタエレメントがシャフトと位置合わせされている直線構成にあるとき、エンドエフェクタエレメントを第1の軸を横切る第2の軸周りに回転可能としてもよい。
【0023】
外科用器具は、第2のエンドエフェクタエレメントをさらに備えていてもよく、関節部が第3のジョイントを備えており、第3のジョイントは第3の駆動エレメントのペアによって駆動可能であり、第3の駆動エレメントのペアは第1のシャーシ部分に対して固定されていてもよい。
【0024】
第3ジョイントが、第2のエンドエフェクタエレメントを第2の軸周りに回転可能としてもよい。
【0025】
外科用器具は、第3の駆動エレメントのペアを駆動する第3の器具インターフェースエレメントをさらに備えていてもよく、第3の器具インターフェースエレメントが、シャーシに対する第3の器具インターフェースエレメントの変位が第3の駆動エレメントのペアに伝達されるように第3の駆動エレメントのペアに固定されていてもよい。
【0026】
第3の器具インターフェースエレメントが、第1のシャーシ部分に摺動可能に取り付けられていてもよい。
【0027】
器具インターフェースが、第3の駆動エレメントのペアの動きがその周りに制約される第3の組のプーリーをさらに備えていてもよく、第3の組のプーリーが、第1のシャーシ部分に回転可能に固定されていてもよい。
【0028】
第3の駆動エレメントのペアが、第2の駆動エレメントのペアと同一の位置精度要件を有していてもよい。
【0029】
駆動エレメントのペアが、ケーブルであってもよい。
【0030】
本発明を、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、外科手術を実行する外科用ロボットを示す。
図2図2は、公知の外科用器具を示す。
図3図3は、外科用器具の関節型エンドエフェクタの公知の構成を示す。
図4図4は、外科用ロボットを示す。
図5図5は、外科用器具の遠位端を示す。
図6図6は、外科用器具の遠位端のさらなる図を示す。
図7図7は、様々な構成の図5および図6の外科用器具の遠位端のプーリー配置を示す。
図8図8は、様々な非直線構成における外科用器具の遠位端を示す。
図9図9は、器具シャフト内の駆動エレメントの配置を示す。
図10図10は、器具シャフト内の駆動エレメントの位置を示す器具シャフトの2つの断面図を示す。
図11図11は、器具インターフェースを含む外科用器具の2つの図を示す。
図12a図12aは、器具インターフェースの上面図を示す。
図12b図12bは、器具インターフェースの下面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本開示は、近位端に器具インターフェースを有し、2つのシャーシ部分の組み付けによって構成されたシャーシを有する、外科用ロボット器具を対象とする。シャーシは、器具インターフェースの組み立てを補助するために2つのシャーシ部分から形成されてもよい。シャーシは、2つのシャーシ部分が結合する結合部を含む。器具はまた、シャーシの取付面に取り付けられたシャフトを備える。シャフトは、その遠位端にエンドエフェクタエレメントと、エンドエフェクタエレメントをシャフトに対して関節運動させる関節部とを含む。駆動エレメント(例えば、ケーブル)は、器具インターフェースからシャフトを介して関節部のジョイントを駆動するために関節部に延び、それによってエンドエフェクタエレメントを関節運動させる。関節部の各ジョイントは、それぞれの駆動エレメントのペアによって駆動される。ジョイントの動きを制御できる精度は、駆動エレメントの位置精度(すなわち、駆動エレメントの位置を正確に制御することができるか)に依存する。
【0033】
駆動エレメントの1つのペアは、他のペアよりも高い位置精度要件を有していてもよく、例えば、駆動エレメントが器具インターフェース内で変位する手段、および/または駆動エレメントが駆動するジョイントの性質により、他のペアよりも高い位置精度要件を有し得る。器具インターフェースは、シャーシ部分の1つがシャフトが取り付けられる取付面全体を構成し、最も高い位置精度要件を有する駆動エレメントのペアが、シャーシ部分に対して固定される。より低い位置精度要件を有する駆動エレメントのペアは、他のシャーシ部分に対して固定されていてもよい。換言すれば、最も高い位置精度要件を有する駆動エレメントのペアは、器具シャフトのための取付面を含むシャーシ部に沿って配索されている。駆動エレメントのペアに対する取付面(ひいてはシャフト)の位置は、これらの駆動エレメントの位置精度に影響を与える。取付面を含む同じシャーシ部分に駆動エレメントを固定すると、駆動エレメントの位置精度を最大にできるという利点がある。
【0034】
図4は、ベース401から延びるアーム400を有する外科用ロボットを示す。アーム400は、多数の堅くて曲がらない肢部402を備えている。肢部402は、回転ジョイント403によって連結されている。最近位肢402aは、ジョイント403aによってベース401に連結されている。最近位肢402aと他の肢部402は、さらなる回転ジョイント403によって直列に連結されている。リスト404は、4つの個別の回転ジョイント403から構成されている。リスト404は、1つの肢部402bをアームの最遠位肢402cに結合する。最遠位肢402cは、外科用器具406のためのアタッチメント405を担持している。アーム400の各ジョイント403は、それぞれのジョイント403で回転運動を引き起こすように操作可能な1つまたは複数のモータ407と、そのジョイント403における現在の構成および/または負荷に関する情報を提供する1つまたは複数の位置および/またはトルクセンサ408とを有している。モータ407は、重量分布を改善するために、それらが駆動するジョイント403の近位に配置されていてもよい。明確化のために、図4にはモータおよびセンサの一部のみを図に示している。アーム400は、我々の同時係属中の特許出願PCT/GB2014/053523に記載されているようにされていてもよい。
【0035】
アーム400は、外科用器具406とインターフェースで接続するためにアタッチメント405で終端している。外科用器具406は、図2で説明した形態であってもよい。アタッチメント405は、外科用器具406の関節運動を行うための駆動アセンブリと、外科用器具406の器具インターフェースを係合するための駆動アセンブリインターフェースとを備えている。駆動アセンブリインターフェースの可動インターフェースエレメントは、ロボットアームから器具に駆動を伝達するために、器具インターフェースの対応する可動インターフェースエレメントに機械的に係合している。代表的な手術の間に、外科用器具は別の外科用器具に数回交換されてもよい。このように、外科用器具は、手術中にロボットアームに着脱可能とされている。駆動アセンブリインターフェースおよび器具インターフェースの機能が、それらがユーザによって位置合わせされるべき精度を低減するために、互いに係合したときにそれらの位置合わせを手助けしてもよい。
【0036】
外科用器具406は、手術を行うエンドエフェクタを備えている。エンドエフェクタは、任意の適切な形態をとることができる。エンドエフェクタは、1つ以上のエンドエフェクタエレメントを備えていてもよい。例えば、エンドエフェクタエレメントは、滑らかな顎部、鋸歯状の顎部、グリッパ、一対の鋏、縫合用の針、カメラ、レーザ、ナイフ、ステープラ、焼灼器、吸引器であってもよい。図2で説明したように、外科用器具は、器具シャフトとエンドエフェクタ間に関節部を備えている。関節部は、エンドエフェクタが外科用器具のシャフトに対して動くことを可能にする1つ以上のジョイントを含んでいてもよい。関節部内の1つ以上のジョイントは、ケーブルなどの駆動エレメントによって駆動される。これらの駆動エレメントは、器具シャフトの他端で器具インターフェースの器具インターフェースエレメントに固定されている。したがって、駆動エレメントは、器具インターフェースから器具シャフトを介して関節部のジョイントまで延びている。それゆえ、ロボットアームは、以下のようにしてエンドエフェクタに駆動を伝達する。すなわち、駆動アセンブリインターフェースエレメントは、器具インターフェースエレメントを動かし、器具インターフェースエレメントは、駆動エレメントを動かし、駆動エレメントは、関節部のジョイントを動かし、関節部のジョイントは、エンドエフェクタを動かす。
【0037】
モータ、トルクセンサ、エンコーダに対するコントローラは、ロボットアームに配備されている。コントローラは、通信バスを介して制御ユニット409に接続されている。制御ユニット409は、プロセッサ410とメモリ411とを備えている。メモリ411は、プロセッサ410によって実行可能なソフトウェアを非一時的な方法で記憶しており、モータ407の動作を制御して、アーム400を本明細書に記載の方法で動作させる。特に、ソフトウェアはプロセッサ410を制御して、トルクセンサ408からの入力および外科医コマンドインターフェース412からの(例えば、分散コントローラを介しての)入力に応じてモータを駆動させることができる。制御ユニット409は、ソフトウェアの実行により生成された出力に応じて駆動するモータ407に接続されている。制御ユニット409は、センサから検知された入力を受け取るためにトルクセンサ408に接続され、そしてセンサからの入力を受け取るために外科医コマンドインターフェース412に接続されている。それぞれの接続は、例えば、それぞれ電気ケーブルまたは光ケーブルであってもよいし、無線接続であってもよい。外科医コマンドインターフェース412は、ユーザが所望の方法でエンドエフェクタの動きを要求できる1つまたは複数の入力デバイスを備えている。入力デバイスは、例えば、制御ハンドルまたはジョイスティックなどの手動操作可能な機械的入力デバイスであってもよいし、光学ジェスチャセンサなどの非接触入力デバイスであってもよい。メモリ411に格納されたソフトウェアは、これらの入力に応じて、所定の制御手順に従って、アームおよび外科用器具のジョイントを動かすように構成されている。制御手順は、コマンド入力に応じてアームおよび外科用器具の動きを調整する安全機能を含んでいてもよい。したがって、要約すると、外科医コマンドインターフェース412において外科医は、所望の外科的処置を実行するように外科用器具406を制御して動かすことができる。制御ユニット409および/または外科医コマンドインターフェース412は、アーム400から離れていてもよい。
【0038】
図5aと図5bは、例示的な外科用器具の遠位端における対向する図を示す。図5aと図5bでは、エンドエフェクタ501は、一対のエンドエフェクタエレメント502,503を備えており、一対のエンドエフェクタエレメント502,503は、この例では、一対の対向する鋸歯状の顎として示されている。これは単に説明のためのものであることが理解されるであろう。エンドエフェクタは、上述のような任意の適切な形態をとることができる。エンドエフェクタ501は、関節部505によって器具シャフト504に接続されている。関節部505は、エンドエフェクタ501がシャフト504に対して移動することを可能にするジョイントを備えている。この例では、関節部505は、3つのジョイントを備えている。第1のジョイント506は、エンドエフェクタ501が第1の軸510周りに回転することを可能にしている。第1の軸510は、シャフト504の長手方向の軸511を横切っている。第1のジョイント506は、シャフト504が第1のジョイント506内の遠位端で終端するように配置されている。第2のジョイント507は、第1のエンドエフェクタエレメント502が第2の軸512周りに回転することを可能にしている。第2の軸512は、第1の軸510を横切っている。第3のジョイント513は、第2のエンドエフェクタエレメント503が第2の軸512周りに回転することを可能にしている。
【0039】
第1のエンドエフェクタエレメント502および第2のエンドエフェクタエレメント503は、第2および第3のジョイントによって第2の軸512周りに独立して回転可能であってもよい。エンドエフェクタエレメントは、第2および第3のジョイントによって、同じ方向または異なる方向に回転されてもよい。第1のエンドエフェクタエレメント502が第2の軸周りに回転されてもよく、一方第2のエンドエフェクタエレメント503は第2の軸周りに回転されない。第2のエンドエフェクタエレメント503が第2の軸周りに回転されてもよく、一方第1のエンドエフェクタエレメント502は第2の軸周りに回転されない。
【0040】
図5aと図5bは、エンドエフェクタがシャフト504と整列している外科用器具の直線的な構成を示す。この向きでは、シャフトの長手方向の軸511は、関節部の長手方向の軸とエンドエフェクタの長手方向の軸に一致している。第1、第2および第3のジョイントの関節部は、エンドエフェクタがシャフトに対して様々な姿勢(すなわち構成)を取ることを可能にしている。
【0041】
関節部505は、支持体509を備えている。一端において、支持体509は、第1のジョイント506によってシャフト504に連結されている。他端において、支持体509は、第2のジョイント507および第3のジョイント513によってエンドエフェクタ501に連結されている。したがって、第1のジョイント506は、支持体509が第1の軸510を中心としてシャフト504に対して回転することを可能にしており、第2のジョイント507および第3のジョイント513は、エンドエフェクタエレメント502,503が第2の軸512を中心に支持体509に対して回転することを可能にしている。
【0042】
図において、第2のジョイント507および第3のジョイント513は両方とも同じ軸512周りの回転を可能にしている。しかし、第2のジョイント507および第3のジョイント513は、別の軸の周りでエンドエフェクタエレメントの回転を可能にしてもよい。一方のエンドエフェクタエレメントの回転軸が、他方のエンドエフェクタエレメントの回転軸からシャフト504の長手方向にオフセットされていてもよい。一方のエンドエフェクタエレメントの回転軸が、他方のエンドエフェクタエレメントの回転軸からシャフト504の長手方向に対して横切る方向にオフセットされていてもよい。一方のエンドエフェクタエレメントの回転軸が、他方のエンドエフェクタエレメントの回転軸と平行でなくてもよい。エンドエフェクタエレメント502,503の回転軸は、シャフトの長手方向にオフセットされてもよいし、および/またはシャフトの長手方向に垂直な方向にオフセットされてもよいし、および/または互いに対して傾斜していてもよい。このことは、エンドエフェクタエレメントが非対称である結果として望ましい場合がある。例えば、電気外科用エレメントにおいて、第1のエンドエフェクタエレメントに電力を供給し、第2のエンドエフェクタエレメントに電力を供給せず、第1のエンドエフェクタエレメントから絶縁されていてもよい。これを支援するために、2つのエンドエフェクタエレメントの回転軸は、シャフトの長手方向に垂直な方向にオフセットされていてもよい。別の例では、第1のエンドエフェクタエレメントがブレードであり、第2のエンドエフェクタエレメントが平坦な切断面であってもよい。ブレードの使用を支援するために、2つのエンドエフェクタエレメントの回転軸は互いに角度をつけられていてもよい。
【0043】
関節部505のジョイントは、駆動エレメントによって駆動される。駆動エレメントは、シャフト504を介して関節部内のジョイントから器具インターフェースまで延びる細長いエレメントである。各駆動エレメントは、少なくとも関節部および器具インターフェースの内部コンポーネントと係合する領域において、その主要範囲に対して横方向に屈曲可能であってもよい。換言すれば、各駆動エレメントは、指定された領域においてその長手方向の軸に対して横方向に撓むことができる。この可撓性により、駆動エレメントは、ジョイントおよびプーリーのような器具の内部構造に巻き付けることができる。駆動エレメントは、その長手方向の軸に対して横方向に完全な可撓性を有していてもよい。駆動エレメントは、それらの主要な範囲に沿って可撓性を有していなくてもよい。駆動エレメントは、それらの長さに沿って印加される圧縮および張力に耐えることができてもよい。換言すれば、駆動エレメントは、それらの長手方向の軸の方向に作用する圧縮および張力の力に耐えることができてもよい。駆動エレメントは、高い弾性率を有していてもよい。駆動エレメントは、手術中に張りつめた状態を維持できてもよい。それらは、弛むことを許されなくてもよい。したがって、駆動エレメントは、器具インターフェースからジョイントに駆動を伝達することができる。駆動エレメントは、例えばケーブルであってもよい。
【0044】
各ジョイントは、それぞれの駆動エレメントのペアによって駆動されていてもよい。図5aおよび図5bを参照すると、第1のジョイント506は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2によって駆動されている。第2のジョイント507は、第2の駆動エレメントのペアB1,B2によって駆動されている。第3のジョイント513は、第3の駆動エレメントのペアC1,C2によって駆動されている。したがって、器具501の各ジョイントは、それ自身の駆動エレメントのペアによって駆動されている。言い換えると、各ジョイントは、専用の駆動エレメントのペアによって駆動されている。ジョイントは独立して駆動されていてもよい。駆動エレメントのペアは、図5aおよび図5bにおける第3の駆動エレメントのペアについて示されるように、単一の部品として構成されていてもよい。この場合、この単一の部品は、一点でジョイントに固定されている。例えば、第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、第3のジョイント513に固定されたボール装備520を備えている。これにより、駆動エレメントのペアが駆動されると、駆動がその軸の周りのジョイントの運動に確実に伝達される。あるいは、駆動エレメントのペアは2つの部品として構成されていてもよい。この場合、各部品がそれぞれジョイントに固定される。
【0045】
図5aおよび図5bの外科用器具はさらに、第2および第3の駆動エレメントのペアの動きがその周りに制約されるプーリー構成を備えている。プーリーの配置は、図6aおよび図6bによりよく示されている。支持体509は、プーリーの配置をより明確に説明するために、図6aおよび図6bには示されていない。プーリー構成は、第1の組のプーリー601を備えている。第1の組のプーリー601は、第1の軸510周りに回転可能である。このように、第1の組のプーリー601は、第1のジョイント506と同軸周りに回転する。プーリー構成は、第2の組のプーリー602をさらに備えている。プーリー構成はさらに、一対の方向転換プーリー603を備えており、一対の方向転換プーリー603は、プーリー構成の説明に続いてより詳細に説明される。
【0046】
プーリー構成は、図7にも示されている。
【0047】
第1の組のプーリー601は、第1のプーリー705と第2のプーリー706を備えている。第1のプーリー705と第2のプーリー706は共に、第1の軸510周りに回転する。第1の組のプーリー601の第1のプーリー705および第2のプーリー706は、シャフト504の長手方向において第1のジョイント506の両側に配置されている。第1のプーリー705と第2のプーリー706は、第1の軸510の両端に配置されている。第1のプーリー705と第2のプーリー706は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2の両側に配置されている。第1の組のプーリー601は、クレビスユニット508のアーム530,531によって支持されている。第1の組のプーリー601の第1のプーリー705および第2のプーリー706は共に、クレビスユニット508に回転可能に取り付けられている。第1のプーリー705はアーム531に取り付けられ、第2のプーリー706はアーム530に取り付けられている。
【0048】
第2の組のプーリーは、第1のプーリー701と第2のプーリー702を備えている。第1のプーリー701は、第1の軸510と平行な第3の軸703周りに回転可能である。第3の軸703は、シャフトの長手方向とシャフトの長手方向を横切る方向の両方で、第1の軸510からオフセットされている。第2のプーリー702は、第1の軸510と平行な第4の軸704周りに回転可能である。第4の軸704は、シャフトの長手方向とシャフトの長手方向を横切る方向の両方で、第1の軸510からオフセットされている。第3および第4の軸は、互いに平行であるが互いにオフセットされている。第3および第4の軸は、ジョイント507,513の回転軸512の方向に互いにオフセットされている。第3の軸703および第4の軸704は、シャフトの長手方向と直交する同一平面内にある。
【0049】
第1のプーリー701と第2のプーリー702をオフセットすることにより、各プーリーの周りに巻き付けられた駆動エレメントは、プーリーの周りに巻き付けられた後にシャフトの下に延出することができる。図6aに示すように、第2の組のプーリー602の第1のプーリー701および第2のプーリー702は、シャフト504の長手方向において第1のジョイント506の両側に配置されている。第1のプーリー701および第2のプーリー702は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2の両側に配置されている。
【0050】
第2の組のプーリー602は、第1の組のプーリー601と、シャフトの器具インターフェース端部との間に配置されている。好適には、第2の組のプーリー602は、図に示されるようにシャフト内に配置されていることが望ましい。したがって、第2の組のプーリー602は、シャフトの長手方向の軸511の方向に沿って第1の組のプーリー601の近位にある(すなわち、第1の組のプーリー601は、第2の組のプーリー602の遠位にある)。両方の組のプーリーがクレビスユニット508によって支持されているため、第2の組のプーリー602は、器具およびエンドエフェクタの構成とは無関係に、第1の組のプーリー601の近位にあることが理解されるであろう。第2の組のプーリー602をシャフト504の遠位端に配置することにより、第2の組のプーリー602が関節部内に配置される代替の配置と比較して第1のジョイントと第2のジョイント間の距離が減少し、それによりエンドエフェクタ501の正確な位置決めを維持するために必要な支持体509の剛性を低減できる。
【0051】
プーリー構成が駆動エレメントの動きを制約するように働くことは、上記で言及された。より詳細には、第2の駆動エレメントのペアB1,B2の動きが、第1の組のプーリー601の第1のプーリー705および第2のプーリー706の互いに反対側の周りに制約されている。第2の駆動エレメントのペアB1,B2の動きが、第2の組のプーリー602の第1のプーリー701および第2のプーリー702の互いに反対側の周りに制約されている。第2の駆動エレメントのペアB1,B2の動きが、第1の組のプーリー601の第1のプーリー705および第2の組のプーリー602の第1のプーリー701の互いに反対側の周りに制約されている。第2の駆動エレメントのペアB1,B2の動きが、第1の組のプーリー601の第2のプーリー706および第2の組のプーリー602の第2のプーリー702の互いに反対側の周りに制約されている。
【0052】
第3の駆動エレメントのペアC1,C2の動きが、第1の組のプーリー601の第1のプーリー705および第2のプーリー706の互いに反対側の周りに制約されている。第3の駆動エレメントのペアC1,C2の動きが、第2の組のプーリー602の第1のプーリー701および第2のプーリー702の互いに反対側の周りに制約されている。第3の駆動エレメントのペアC1,C2の動きが、第1の組のプーリー601の第1のプーリー705と第2の組のプーリー602の第1のプーリー701の互いに反対側の周りに制約されている。第3の駆動エレメントのペアC1,C2の動きが、第1の組のプーリー601の第2のプーリー706および第2の組のプーリー602の第2のプーリー702の互いに反対側の周りに制約されている。
【0053】
第2および第3の駆動エレメントのペアがそれぞれ、第2および第3のジョイントそれぞれに到達するために、第1のジョイント506上に延在するように制約されている。したがって、第2の駆動エレメントのペアの第1のB1は、第1のジョイント軸510上の第1の組のプーリー601の第1のプーリー705の一方側を通過し、第2の駆動エレメントのペアの第2のB2は、第1のジョイント軸510上の第1の組のプーリー601の第2のプーリー706の反対側を通過する。これにより、支持体509が第1のジョイント506を中心としてどのような回転であっても、第2の駆動エレメントのペアB1,B2の長さは同じに保たれる。同様に、第3の駆動エレメントのペアの第1のC1は、第1のジョイント軸510上の第1の組のプーリー601の第2のプーリー706の一方側を通過し、第3の駆動エレメントのペアの第2のC2は、第1のジョイント軸510上の第1の組のプーリー601の第1のプーリー705の反対側を通過する。これにより、支持体509が第1のジョイント506を中心としてどのような回転であっても、第3の駆動エレメントのペアC1,C2の長さは同じに保たれる。器具インターフェースの配置が、第2の駆動エレメントのペアB1,B2および第3の駆動エレメントのペアC1,C2の両方に対して対称である場合、第2の駆動エレメントのペアB1,B2の長さは、第1のジョイント506周りの支持体509のすべての回転角度に対して第3の駆動エレメントのペアC1,C2の長さと同じである。外科用器具のあらゆる構成において、第2の駆動エレメントのペアB1,B2および第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、張りつめた状態のままである。それらは決してたるまない。したがって、外科用器具のジョイントのいずれかを関節運動させる際にバックラッシュはない。それゆえ、外科用器具のあらゆる構成において、外科用器具の動きの3自由度の全制御が達成される。
【0054】
図7は、5つの異なる構成における外科用器具の遠位端を示す。構成(c)は先に述べた直線構成であり、エンドエフェクタが器具シャフトと整列されている。(a),(b),(d)および(e)の構成において、第1のジョイント周りの回転は、構成(c)に対して生じる。(a),(b),(d)および(e)の構成では、構成(c)に対して、第2または第3のジョイント周りの回転は生じない。構成(c)から開始すると、駆動エレメントA2(図示せず)が引っ張られて、第1の軸510周りの回転を引き起こし、構成(b)の配置をもたらす。駆動エレメントA2がさらに引っ張られて、第1の軸510周りの回転を引き起こし、構成(a)の配置をもたらす。構成(c)から開始すると、駆動エレメントA1(図示せず)が引っ張られて、構成(a)および(b)とは反対方向に第1の軸510周りの回転を引き起こし、構成(d)の配置をもたらす。駆動エレメントA1はさらに引っ張られて、第1の軸510周りのさらなる回転を引き起こし、構成(e)の配置をもたらす。
【0055】
エンドエフェクタ501の第1の軸510周りの回転は、第1のジョイント506周りの第1の駆動エレメントのペアA1,A2の最大移動によって制限される。構成(a)は、第1の軸510を中心として一方向に最大回転した際のエンドエフェクタ501を示し、構成(e)は、第1の軸510を中心として反対方向に最大回転した際のエンドエフェクタ501を示す。両構成におけるシャフトの長手方向の軸511に対する最大回転角は、角度φである。
【0056】
は、図5a,図5b,図6a,図6bの直線構成に対してすべての第1,第2および第3のジョイント周りの関節運動が駆動された器具の遠位端のさらなるいくつかの構成を示している。
【0057】
上述のように、第1,第2および第3の駆動エレメントのペアA1,A2,B1,B2,C1,C2は、関節部に連結されたシャフト504の遠位端から器具インターフェースの駆動機構に連結されたシャフトの近位端まで器具シャフトを通って延びている。図9は、器具シャフト504を通って延びる3つの駆動エレメントのペアを示す。
【0058】
図10aおよび図10bは、駆動エレメントの位置を表すシャフトの断面図を示す。
【0059】
図10aは、シャフトの遠位端におけるシャフトの断面図を示す。すなわち、図10aは、第2の組のプーリー602を離れた直後の駆動エレメントの位置を示している。駆動エレメントA1,A2は、第1のジョイント506を離れた後、シャフトの両側にある。駆動エレメントC1,B2は、互いに隣接する駆動エレメントB1,C2に対して、シャフトの反対側で互いに隣接している。駆動エレメントC1,B2は、駆動エレメントA1,A2を連結する軸1002を横切る軸1001周りで駆動エレメントB1,C2からオフセットされている。これは、第2の組のプーリー602の2つのプーリーのオフセット軸の結果である。
【0060】
図10bは、シャフトの近位端におけるシャフトの断面図を示す。換言すれば、図10bは、駆動エレメントがシャフトを出て器具インターフェースに入る直前の位置を示す。第1の駆動エレメントのペアA1,A2は、図10aと同様の配置でシャフトの反対側にある。第1の駆動エレメントのペアA1,A2は、それらがシャフトを通る範囲にわたって互いにわずかに動いたために、より接近していてもよい。図10bでは、駆動エレメントB1は、図10aの位置に対してシャフトの反対側に配置される。図10bでは、駆動エレメントC1は、図10aの位置に対してシャフトの反対側に配置される。これを達成するために、駆動エレメントB1および駆動エレメントC1は、シャフトの長手方向の軸511に平行な軸に沿って延びていない。その代わりに、駆動エレメントB1および駆動エレメントC1は、シャフト内の範囲で互いに重なり合っている。この重なりは、オフセット軸を有する第2の組のプーリー602のプーリーに起因する図10aのオフセット位置のために、駆動エレメントB1およびC1の衝突を起こさない。駆動エレメントB2は、シャフト内でわずかに移動しているが、駆動エレメントB1に隣接してシャフトの近位端に現れるように、図10aと同じシャフトの側のままである。駆動エレメントC2はシャフト内でわずかに移動しているが、駆動エレメントC1に隣接してシャフトの近位端に現れるように、図10aと同じシャフトの側のままである。
【0061】
図10aおよび図10bから、第1の駆動エレメントのペアA1,A2がシャフトの長手方向と平行に走ることが分かる。さらに、第1の駆動エレメントのペアA1,A2は、器具シャフトの中央平面上に位置している。中央平面は、その長さ方向に沿って器具シャフトを二股に分けている。
【0062】
図11aおよび図11bは、器具シャフトの遠位端における関節部から例示的な器具インターフェース1101まで延びる第1,第2および第3の駆動エレメントのペアの2つの図を示す。ロボットアームからの機械的駆動は、器具インターフェース1101と、ロボットアームの遠位端に位置する駆動アセンブリインターフェースとを介して、器具の関節部のジョイントを関節運動させるために、外科用器具に伝達される。器具の関節部のジョイントを駆動するために、駆動アセンブリインターフェースのインターフェースエレメントが動かされ、これにより、器具インターフェース1101の機械的に係合された器具インターフェースエレメントを動かす。器具インターフェースエレメントの動きは、関節部のジョイントを駆動する駆動エレメントを動かす。
【0063】
器具インターフェース1101のより詳細な図が、図12aおよび図12bに示されている。図12aは、器具インターフェースの上面図を示し、図12bは、器具インターフェースの下面図を示す。
【0064】
器具インターフェース1101は、器具の関節部のジョイントを駆動するための駆動機構(一般に1201で示される)を支持するシャーシ1200を備えている。駆動機構は、以下でより詳細に説明するように、ロボットアームによって提供される駆動力をジョイントに伝達する駆動エレメントおよびプーリーの配置を含む。
【0065】
器具インターフェースは、3つの器具インターフェースエレメント1202,1203,1204を備えている。器具インターフェースエレメントは、器具インターフェース駆動機構1201の一部を形成している。第1の器具インターフェースエレメント1202は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2に係合している。第2の器具インターフェースエレメント1203は、第2の駆動エレメントのペアB1,B2に係合している。第3の器具インターフェースエレメント1204は、第3の駆動エレメントのペアC1,C2に係合している。各駆動エレメントは、その関連する器具インターフェースエレメントに固定されている。言い換えると、各駆動エレメントは、その関連する器具インターフェースエレメントに固定されている。各器具インターフェースエレメントは、シャーシに対して変位可能であり、係合する一対の駆動エレメントの対応する変位を引き起こす。
【0066】
したがって、図12aおよび図12bに示される実施例では、駆動エレメントの各ペアは、器具インターフェース1101内の単一の器具インターフェースエレメントに係合している。各駆動エレメントは、器具インターフェース内の器具インターフェースエレメントに係合している。すなわち、各駆動エレメントは、それ自体の器具インターフェースエレメントに係合している。単一の器具インターフェースエレメントは、駆動エレメントのペアを駆動する。各駆動エレメントのペアは、単一の器具インターフェースによって独立に駆動される。別の構成では、複数の器具インターフェースエレメントが単一の駆動エレメントのペアを駆動する、あるいは単一の器具インターフェースエレメントが複数の駆動エレメントのペアを駆動する、または複数の器具インターフェースエレメントが複数の駆動エレメントを集合的に駆動する、複合駆動動作があってもよい。
【0067】
器具インターフェースエレメント1202,1203,1204は、器具インターフェースの幅にわたって分散配置されている。第1の器具インターフェースエレメント1202は、この例ではシャフト504の長手方向の軸511と整列している。他の器具インターフェースエレメント1203,1204は、整列された第1の器具インターフェースエレメント1202の両側に配置されている。具体的には、各器具インターフェースエレメントの移動は、シャフトの長手方向の軸に平行なそれぞれの直線経路に沿うように制約され、器具インターフェースエレメント1203,1204は、シャフトの長手方向の軸と、第1の器具インターフェースエレメント1202の移動経路との両方を含む平面の両側に配置されている。したがって、器具インターフェースエレメント1203,1204は、シャフト504の長手方向の軸511と整列しない。
【0068】
図12bは、器具インターフェース1101の下面図を示す。器具インターフェースの下面が突起の形状であることがわかる。器具インターフェースエレメントは、シャーシ1200の下面によって定義される平面の下に突出していてもよい。各器具インターフェースエレメント1202,1203,1204は、駆動アセンブリインターフェースエレメントの対応するソケット内に収容可能である。エレメントおよびソケットの形状は、駆動アセンブリインターフェースエレメントが変位されたときに、この変位がずれなく器具インターフェースエレメントに伝達されるように対応していてもよい。したがって、本体は、ソケット内にぴったりと嵌合していてもよい。本体は、少なくとも変位方向と平行な寸法に沿ってソケット内にぴったりと嵌合していてもよい。このようにして、ソケットの変位は、変位方向に対応する本体の変位を引き起こす。器具インターフェースエレメントは、対応する駆動アセンブリインターフェースエレメントと同じ変位範囲にわたって変位可能であってもよい。
【0069】
駆動機構1201はさらに、駆動エレメントのペアA1,A2,B1,B2,C1,C2の動きが器具インターフェース1101内でその周りに制約されるプーリーの組を備えている。具体的には、駆動機構1201は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2の動きがその周りに制約される第1の組のプーリー1205と、第2の駆動エレメントのペアB1,B2の動きがその周りに制約される第2の組のプーリー1206と、第3の駆動エレメントのペアC1,C2の動きがその周りに制約される第3の組のプーリー1207とを備えている。これらのプーリーの組の各プーリーは、シャーシ1200に支持されている。プーリーは、例えば、シャーシに回転可能に取り付けられていてもよい。
【0070】
第1の組のプーリー1205は、器具インターフェースの中央平面上に位置している。この中央平面は、その長手方向に沿って器具インターフェースを二等分する。したがって、第1の組のプーリーは、シャフト504の長手方向の軸と平行な平面上に位置している。図12aに示される特定の配置において、第1の組のプーリー1205は、シャフトの長手方向の軸511をも含む平面上に位置している。すなわち、第1の組のプーリー1205とシャフトの長手方向の軸511とは同一平面上にある。したがって、第1の駆動エレメントのペアA1,A2は第1の組のプーリー1205と同一の平面上に位置し、それゆえ第1の駆動エレメントのペアA1,A2はシャフトの長手方向の軸と同一平面上にあることになる。
【0071】
第2および第3の組のプーリー1206,1207は、第1の組のプーリー1205を含む中央平面の反対側に位置する。したがって、第2の組のプーリー1206も第3の組のプーリー1207も、シャフトの長手方向の軸511と同一平面上にない。
【0072】
駆動エレメントのペアA1,A2,B1,B2,C1,C2は、器具インターフェース1101における遠位端から出て、シャフト504の近位端内に延び、それらを通って器具の関節部のジョイントまで延びる。器具インターフェースのシャーシは、器具シャフト504が取り付けられる取付面1214を備えている。取付面は、器具シャフト504を固定するために使用される合同フランジによって覆われているため、図12aおよび図12bでは直接見えない。この例では、取付面は環であり、駆動エレメントのペアは環の中心を通って延びている。取付面は、シャフトの長手方向を横切っている。取付面は平坦である。取付面は、例えば、シャフトの長手方向の軸を取り囲んでいる。取付面は、シャーシの遠位端に位置する取付ブロック1215の一部を形成している。この実施例における取付ブロック1215は、円筒形の外形を有している。取付ブロック1215は、駆動エレメントのペアが延びる穴を備えていてもよい。
【0073】
したがって、要約すると、器具インターフェース1101は、ロボットアームの駆動アセンブリから駆動エレメントのペアA1,A2,B1,B2,C1,C2に駆動力を伝達する駆動機構1201を備え、これにより器具の関節部のジョイントを駆動する。器具インターフェース内では、第1の駆動エレメントのペアA1,A2の動きは第1の組のプーリー1205の周りに制約され、第1の駆動エレメントのペアA1,A2は第1の器具インターフェースエレメント1202と係合される。第1の駆動エレメントのペアA1,A2は第1の軸510周りの関節部の回転を駆動し、それゆえ第1の軸510周りのエンドエフェクタの回転を駆動する(図5a参照)。第2の駆動エレメントのペアB1,B2の動きは第2の組のプーリー1206周りに制約され、第2の駆動エレメントのペアB1,B2は第2の器具インターフェースエレメント1203と係合される。第2の駆動エレメントのペアB1,B2は、第2のジョイント507の回転を駆動する。第3の駆動エレメントのペアC1,C2の動きは第3の組のプーリー1207周りに制約され、第3の駆動エレメントのペアC1,C2は第3の器具インターフェースエレメント1204と係合される。第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、第3のジョイント513の回転を駆動する。したがって、器具関節部の各ジョイントは、駆動エレメントの各ペアによって駆動され、駆動エレメントの各ペアは、各器具インターフェースエレメントによって駆動される。
【0074】
各器具インターフェースエレメントは、器具インターフェース1101内で変位可能であり、各駆動エレメントのペアを駆動する。各器具インターフェースエレメントは、対応する駆動エレメントのペアに固定されているため、器具インターフェースエレメントの変位は、駆動エレメントのペアの変位に伝達される。各器具インターフェースエレメントは、それが固定されている駆動エレメントのペアのラインと同じラインに沿って変位可能であってもよい。各器具インターフェースエレメントは、ロボットアームの対応する駆動アセンブリインターフェースエレメントと係合している。したがって、器具インターフェースエレメントの変位は、ロボットアームによって駆動される。このようにして、ロボットアームは、駆動エレメントのペア(したがって、器具の関節部のジョイント)を駆動する。
【0075】
この例では、各器具インターフェースエレメント1202,1203,1204は、器具インターフェース1101内で直線的に変位可能である。器具インターフェースエレメントは、シャフトの長手方向の軸511に平行な変位軸に沿って変位可能であってもよい。各器具インターフェースエレメントは、器具インターフェース内の器具インターフェースエレメントの動きをサポートするか、または制約するか、またはガイドするために、レールに取り付けられている。このため、レールはガイドバーと呼ばれる場合がある。レール/ガイドバーは、直線状であってもよい。図12bに最も明確に示されるように、第1の器具インターフェースエレメント1202はレール1208に取り付けられ、第2の器具インターフェースエレメント1203はレール1209に取り付けられ、第3の器具インターフェースエレメント1204はレール1210に取り付けられている。器具インターフェースエレメントはレールに摺動可能に取り付けられ、レールと器具インターフェースエレメントとの間の相対的な直線運動を可能にしている。すなわち、各器具インターフェースエレメント1202,1203,1204は、各レール1208,1209,1210に沿って摺動可能である。レールは、シャーシ1200によってサポートされ、かつシャーシ1200に対して固定されている。ガイドレールは、例えば、シャーシに取り付けまたは固定されていてもよい。したがって、器具インターフェースエレメントは、シャーシに対して摺動可能である。
【0076】
各器具インターフェースエレメントは、最小変位位置と最大変位位置の間の変位範囲にわたって変位可能である。第1の器具インターフェースエレメント1202は、最大距離d1まで変位可能である。第2の器具インターフェースエレメント1203は、最大距離d2まで変位可能である。第3の器具インターフェースエレメント1204は、最大距離d3まで変位可能である。ここに示す例では、器具インターフェースは、第1の器具インターフェースエレメント1202の変位範囲が器具インターフェースエレメント1203および1204の変位範囲よりも小さくなるように配置されている。すなわち、d1<d2およびd1 <d3である。ここで、d2=d3である。第2および第3の器具インターフェースエレメントの最大移動距離は、ジョイント506の運動によって引き起こされる軸512の周りのエンドエフェクタエレメント502および503の寄生運動を相殺するために、第1の器具インターフェースエレメント1203の最大移動距離よりも大きい。より詳細には、図5a,図5bおよび図6a,図6bから、第2の駆動エレメントのペアB1,B2および第3の駆動エレメントのペアC1,C2がピッチジョイント506の周りを通過することが分かる。したがって、第1の駆動エレメントのペアA1,A2にジョイント506を駆動させる駆動エレメントの変位は、ジョイント507および513を駆動する第2の駆動エレメントのペアB1,B2および第3の駆動エレメントのペアC1,C2の変位を引き起こし、軸512周りのエレメント502および503の寄生運動をもたらす可能性がある。したがって、エンドエフェクタエレメントがジョイント506の軸510周りに回転するとき(すなわち、エンドエフェクタエレメントがピッチ内にあるとき)、第2の駆動エレメントのペアB1,B2および第3の駆動エレメントのペアC1,C2のより大きな変位範囲が、エンドエフェクタエレメントが軸510周りに回転していないとき(すなわち、エンドエフェクタエレメントがピッチにないとき)に比べて、軸512周りのエンドエフェクタエレメントの最大限の動作範囲を達成するために必要とされる。第2の駆動エレメントのペアB1,B2および第3の駆動エレメントのペアC1,C2のこの追加の変位範囲は、器具インターフェース内の器具インターフェースエレメント1203および1204の追加の変位範囲によって調整され、したがって、d2,d3> d1となる。
【0077】
したがって、ジョイント506の動きはジョイント507,513よりも器具インターフェースエレメントのより短い移動範囲によって制御されており、このことはその動きがより大きな感度を有することが好ましいことを意味している。ジョイント506の動きは、第1の駆動エレメントのペアA1,A2の動きによって制御されており、したがってジョイント506の動きがより大きな感度を有することは、第2の駆動エレメントのペアB1,B2および第3の駆動エレメントのペアC1,C2と比較して、第1の駆動エレメントのペアA1,A2の位置の精度により大きな重点を置くことになる。したがって、第1の駆動エレメントのペアA1,A2は、第2の駆動エレメントのペアB1,B2および第3の駆動エレメントのペアC1,C2よりも高いあるいはより大きい位置精度要件を有すると言ってもよい。
【0078】
第1の駆動エレメントのペアA1,A2の位置精度は、器具インターフェース1101の適切な配置およびアセンブリによって最適化できることが理解されている。以下、これについてより詳細に説明する。
【0079】
器具インターフェースのシャーシ1200は、第1のシャーシ部分1211および第2のシャーシ部分1212を備えている。これらのシャーシ部分は、組み立ての間に一緒に組み付けられてシャーシを形成する。シャーシは、駆動エレメントおよびプーリーの組み立てを助けるために、2つのシャーシ部分から形成されている。例えば、いくつかの駆動エレメントおよびプーリーをシャーシ部分に取り付けてから、その部分を残りのシャーシ部分に取り付けて、シャーシを形成することができる。シャーシ部分を結合する前にプーリーと駆動エレメントの少なくとも一部を取り付けると、特にシャーシの中央平面にある駆動エレメントとプーリーをより簡単に取り付けることができる。取り付けられる3組の駆動エレメントと3組のプーリーが存在するこの例では、シャーシ部分を結合する前に、2組の駆動エレメントとそれらに関連するプーリーの組をシャーシ部分の1つに取り付けるのが便利なアプローチである。残りの駆動エレメントは、シャーシ部分を結合する前にまたはその後に、他のシャーシ部分に取り付けられていてもよい。
【0080】
2つのシャーシ部分は、シャーシ1200を形成するために相互に取り付けられている。したがって、各シャーシ部分は、シャーシの個別の構成部分である。すなわち、2つのシャーシ部分は、一体的に形成されていない。図12aおよび図12bに見られるように、シャーシは、第1のシャーシ部分1211がそれに沿って第2のシャーシ部分1212と係合するまたはインターフェースする、結合部1213を備えている。したがって、2つのシャーシ部分を相互に取り付けるために、第1のシャーシ部分は、結合部1213に沿って第2のシャーシ部分とインターフェースする。その後、固定エレメントを使用して2つのシャーシ部分を固定する。したがって、各シャーシ部分は、他のシャーシ部分の対応するインターフェース面と係合するかまたはインターフェースするインターフェース面を備えていてもよい。換言すれば、第1のシャーシ部分は第1のインターフェース面(図12には示されていない)を備え、第2のシャーシ部分は第2のインターフェース面(図12には示されていない)を備えていてもよい。第1のインターフェース面は、第2のインターフェース面とインターフェースして、シャーシ1200を形成する。したがって、結合部1213は、第1のシャーシ部分1211を第2のシャーシ部分1212から分離している。この点において、結合部1213は、第1のシャーシ部分と第2のシャーシ部分とを分離する境界を画定すると言ってもよい。
【0081】
図12bに示すように、結合部1213は、シャーシのほぼ長手方向に延びている。結合部1213は、シャーシの長手方向の範囲に沿って延びると言ってもよいが、図12bの例に示すように、結合部1213は平坦である必要はない。
【0082】
図12bからわかるように、結合部1213は、器具シャフトが取り付けられる取付面1214まで延びていない。すなわち、結合部1213の最遠位点は、取付面1214に近位の位置にある。したがって、取付面1214は、結合部1213を含まない。すなわち、取付面1214の全体が結合部1213の一方側に位置している。換言すれば、取付面1214は、結合部1213の一方側に完全に配置されている。具体的には、取付面(すなわち、取付面全体)は、第1のシャーシ部分1211の一部を形成している。取付面1214の一部は、第2のシャーシ部分1212の一部を形成していない。取付面の全体が単一のシャーシ部分の一部を形成することにより、シャーシに対する器具シャフトのより強力かつより堅固な連結が可能になる。それはまた、より正確な軸方向位置でシャーシに器具シャフトを取り付けることを可能にできる。
【0083】
しかし、結合部1213は、取付面が一体に形成された取付ブロック1215内に延びている。したがって、取付ブロック1215は、結合部1213の一部を含んでいる。結合部1213は、取付ブロック1215を第1ブロック部1216と第2ブロック部1217とに分割している。第1ブロック部1216は遠位ブロック部と呼び、第2ブロック部1217は近位ブロック部と呼んでもよい。遠位ブロック部1216は、第1のシャーシ部分1211の一部を形成し、近位ブロック部1217は、第2のシャーシ部分1212の一部を形成している。取付面1214は、遠位ブロック部1216と一体である。
【0084】
シャーシ1200は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2(最も高い位置精度要件を有する)が、取付面1214を含む同じシャーシ部分1211によって支持されるように配置される。すなわち、取付面1214は、第1のシャーシ部分1211の一部を形成し、第1の駆動エレメントのペアA1,A2は、その第1のシャーシ部分に固定される。駆動エレメントのペアの位置精度は、器具シャフトを支持する取付面1214に対する駆動エレメントのペアの位置に依存し、駆動エレメントのペアの位置精度は、取付面を備えるシャーシ部分に沿って駆動エレメントのペアをルーティングすることによって最適化され得ることが理解されている。これに対して、取付面を含まないシャーシ部分に沿ってルーティングされる駆動エレメントのペアを正確に位置決めすることは、より困難な場合がある。
【0085】
したがって、器具インターフェースは、最も高い位置精度要件を有する駆動エレメントのペア(この例ではA1,A2)が、取付面1214を含む同じ第1のシャーシ部分1211に対して固定され、より低い位置精度要件を有するペア(この例ではB1,B2)は、取付面1214を含まない第2のシャーシ部分1212に対して固定される。言い換えれば、第2の駆動エレメントのペアB1,B2は、第2のシャーシ部分1212によって支持される。この配置は、最高の所望の制御精度を有するジョイント506を駆動する第1の駆動エレメントのペアA1,A2の位置の精度を有利に最適化する。
【0086】
この例では、器具は3つの駆動エレメントのペアを含むため、最終駆動エレメントのペアC1,C2は、第1のシャーシ部分1211にも支持されるように有利に配置されている。これにより、2つの駆動エレメントのペアの位置精度を最適化することができる。
【0087】
駆動機構1201の他の構成要素も、第1および第2のシャーシ部分の間に配置することができる。例えば、第1の駆動エレメントのペアA1,A2の動きがその周りに制約されている第1の組のプーリー1205は、第1のシャーシ部分1211に(例えば、回転可能に取り付けられて)支持される。第1の駆動エレメントのペアA1,A2に係合する第1の器具インターフェースエレメント1202も、第1のシャーシ部分1211によって支持される。例えば、器具インターフェースエレメントが摺動するように制約されるガイドバー1208は、第1のシャーシ部分1211に取り付けられ、それによって、第1の器具インターフェースエレメント1202が第1のシャーシ部分1211に対して摺動可能に取り付けられていてもよい。同様に、第3の駆動エレメントのペアC1,C2の動きがその周りに制約される第3の組のプーリー1207は、第1のシャーシ部1211に支持され、第3の駆動エレメントのペアC1,C2に係合する第3の器具インターフェースエレメント1204も、第1のシャーシ部分1211に支持される。これに対して、第2の駆動エレメントのペアB1,B2の動きがその周りに制約されている第2の組のプーリー1206は、取付面を備えない第2のシャーシ部分1212に(例えば、回転可能に取り付けられて)支持される。第2の駆動エレメントのペアB1,B2に係合する第2の器具インターフェースエレメント1203は、第2のシャーシ部分1212によって同様に支持される。例えば、器具インターフェースエレメントがその上で摺動するように制約されているガイドバー1210は、第2のシャーシ部分1212に取り付けられてもよく、それによって第3の器具インターフェースエレメント1204が第2のシャーシ部分1212に摺動可能に取り付けられていてもよい。
【0088】
そのため、i)第1および第2のシャーシ部分を結合するシャーシの結合部が、器具シャフトを支持する取付面まで延びないように(すなわち、取付面が第1および第2のシャーシ部分の間で分割されないように)、かつii)最も高い位置精度要件を有する駆動エレメントのペアが、取付面を含む同じシャーシ部分によって支持され、他のシャーシ部分によって支持されていないようにシャーシを配置することにより、駆動エレメントのペアの位置の精度が最適化され得る。
【0089】
ここで説明する実施例では、第1の駆動エレメントのペアA1,A2は、その対応する器具インターフェースエレメントが、他の駆動エレメントのペアB1,B2,C1,C2を駆動する他の器具インターフェースエレメントの変位範囲よりも狭い最大変位範囲を有するため、最も高い位置精度要件を有していた。他の例では、駆動エレメントのペアの位置精度要件は、異なる要因に依存することが理解されよう。例えば、位置精度要件は、駆動エレメントのペアによって駆動されるジョイントの性質に依存し得る。
【0090】
器具の性能基準では、たとえば、特定のジョイントを他のジョイントよりも高度な制御と精度で制御する必要がある。あるいは、駆動エレメントのペアの位置精度要件は、駆動エレメントのペアの動きが制約されるプーリー配置に依存してもよい。たとえば、より複雑なプーリー配置では、スリップする可能性が大きくなる場合がある。すなわち、スリップによる精度の低下を軽減できる場合は、駆動要素ペアの位置精度を最適化することが望ましい場合がある。
【0091】
本明細書に記載の実施例では、駆動アセンブリインターフェースは、器具シャフトの遠位端における関節部の3つのジョイントに駆動を伝達する3つの器具インターフェースエレメントに駆動を伝達する3つの駆動アセンブリインターフェースエレメントを含んでいた。本明細書に記載の駆動アセンブリインターフェースは、さらなるまたはより少ない器具インターフェースエレメントに駆動を伝達するために、さらなるまたはより少ない駆動アセンブリインターフェースエレメントを含むように変更され得ることが理解されるであろう。本明細書に記載された器具インターフェースは、器具シャフトの遠位端における関節部のさらなるまたはより少ないジョイントに駆動を伝達するためのさらなるまたはより少ない器具インターフェースエレメントを含むように変更することができる。例えば、器具インターフェースは、2つの駆動エレメントのペアのみを駆動する2つの器具インターフェースエレメントを含めることができる。最も高い位置精度要件を有する駆動エレメントのペアは、取付面を含む同じシャーシ部分に固定することができる。他の駆動エレメントのペア(より低い位置精度要件を有する)は、同じシャーシ部分または他のシャーシ部分に固定されていてもよい。関節部自体も、さらなるあるいはより少ないジョイントを含むように修正されてもよい。
【0092】
また、エンドエフェクタは、1つのエンドエフェクタエレメントのみを有していてもよいことも理解されるであろう。この場合、関節部は第3のジョイント513を含まず、器具インターフェースは第3のジョイント513を駆動するための器具インターフェースエレメントを含まず、駆動アセンブリはその器具インターフェースエレメントを駆動するための駆動アセンブリインターフェースエレメントを含まない。
【0093】
シャーシは3つ以上のシャーシ部分から構成されていてもよい。この場合、シャーシ部のうちの1つのみが次の機能を備えている。i)器具シャフトが取り付けられる取付面全体を含む。ii)最も高い位置精度要件を有する駆動エレメントのペアを支持する。
【0094】
第1および第2のシャーシ部分1211,1212の間の結合部1213の形状および形態は、多くの異なる形態を取り得ることが理解されよう。図12aおよび図12bに示された結合部1213は、結合部1213の単なる例である。
【0095】
器具は、非外科的目的のために使用することができる。例えば、美容目的の処置に用いることができる。
【0096】
出願人はこれによって、ここに記載の分離した各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを開示しており、そのような特徴または特徴の組み合わせが当業者の共通の一般的な知識に照らして全体として本明細書に基づいて実施されることが可能な程度に開示されている。なお、そのような特徴または特徴の組合せが本明細書に開示される任意の問題を解決するかどうかは関係がなく、またかかる具体的記載が特許請求の範囲を限定するものでもない。出願人は、本発明の態様は、このような個々の特徴または特徴の組み合わせから成ってもよいことを示している。以上の説明に鑑みて、種々の改変が本発明の範囲内でなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図7(e)】
図8
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図12a
図12b