(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】自動車用の統合冷却機能を備えた車載テレマティック装置
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20220916BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20220916BHJP
G12B 15/06 20060101ALI20220916BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20220916BHJP
H01P 1/30 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
H05K7/20 F
H05K9/00 U
G12B15/06
H01Q1/22 A
H01P1/30 Z
(21)【出願番号】P 2020502191
(86)(22)【出願日】2018-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2018069445
(87)【国際公開番号】W WO2019016239
(87)【国際公開日】2019-01-24
【審査請求日】2021-01-25
(32)【優先日】2017-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516000549
【氏名又は名称】ヴァレオ、コンフォート、アンド、ドライビング、アシスタンス
【氏名又は名称原語表記】VALEO COMFORT AND DRIVING ASSISTANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】パトリック、クライン
(72)【発明者】
【氏名】ルナト、キュルシオ
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-079931(JP,A)
【文献】特表2015-516786(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0113665(US,A1)
【文献】特開2016-042582(JP,A)
【文献】特開2017-152810(JP,A)
【文献】特開2007-129027(JP,A)
【文献】特開2004-228399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H05K 9/00
G12B 15/06
H01Q 1/22
H01P 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のボディの金属部分(3)に取り付けられるように意図された車載テレマティック装置であって、一方の面が少なくとも1つの電力電子部品(6)を支えるプリント回路基板(5)を組み込んだハウジング(1)と、前記金属部分(3)の開口部を通って延在するように意図された無線周波送受信アンテナ(7)と、前記
無線周波送受信アンテナを寄生放射から絶縁するために、一方の側の前記
無線周波送受信アンテナ(7)の下部と前記プリント回路基板(5)および前記少なくとも1つの
電力電子部品との間に挿入される金属スクリーン(9)と、を備え、前記
金属スクリーンは、電気的連続性を提供するために、前記金属部分(3)と前記ハウジング(1)との間に取り付けられるように意図され、装置において、前記少なくとも1つの
電力電子部品(6)は、金属スクリーン(9)と一列に配置され、前記
金属スクリーンの一部と熱接触し、前記
金属スクリーン(9)は、前記電力電子部品(6)と前記金属部分(3)との間の熱伝達のための手段を形成するように熱伝導性材料で作られている、装置。
【請求項2】
前記金属スクリーン(9)は、前記ハウジングの外面に当接し、かつ前記開口部の周囲にあるリムを有し、前記装置は、前記リムと前記ハウジング(1)の前記外面を一緒に貫通する締結ボルト(4)によって前記金属部分に取り付けられ得ることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記
熱伝導性材料の熱伝導率が50W.m
-1.K
-1以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記
熱伝導性材料が鋼であることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記
熱伝導性材料がアルミニウムであることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記
熱伝導性材料がザマックであることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電力電子部品(6)は、前記スクリーン(9)の前記一部に直接面する前記プリント回路基板(5)の面によって支えられ、サーマルインターフェース形成層(11)が、前記スクリーン(9)の前記一部の下部と前記
電力電子部品の上部との間に挿入されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電力電子部品(6)は、前記スクリーン(9)の前記一部に直接面する前記
プリント回路基板(5)の第2の面の反対側の前記プリント回路基板(5)の第1の面によって支えられ、サーマルインターフェース形成層(11)が、前記スクリーン(9)の前記一部の下部と前記プリント回路基板(5)の前記第1の面との間に挿入されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記金属スクリーン(9)の
リムは、前記ハウジング(1)の1つの面を形成するように、前記プリント回路基板(5)と平行に走ることを特徴とする、請求項2から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記リムは、前記ハウジング(1)の
内部に延在する突起を備え、前記突起の下部は、前記プリント回路基板(5)によって支えられた別の電力電子部品(6’)と一列に配置され熱接触していることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、自動車に適合されるように意図された車載テレマティック装置に関し、より具体的には、そのような車載テレマティック装置内に組み込まれた電力電子部品の冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
車載テレマティック装置には、温度に対して低い許容度を示す構成部品を使用して、高い電力消費を示す機能をますます含むようになっている。例として、セルラーモデムを組み込んだNAD(ネットワークアクセス装置)機能を備えたテレマティック装置は数ワットの電力を消費する場合があるが、構成部品の接合部温度は120℃未満でなければならない。
【0003】
車載テレマティック装置は、特に、例えば周囲温度が95℃に近づく可能性のある自動車のルーフの下など、高温にさらされる可能性が高い自動車の場所に装置を配置する場合には、熱電力消費管理の観点から設計が複雑になる場合がある。
【0004】
電力電子部品を冷却するための1つの従来の手段、
図1に模式的に示すように、車載テレマティック装置内に組み込まれたヒートシンクを使用することである。この図では、締結ボルト4によって自動車のルーフ3の下に取り付けられた車載テレマティック装置2のハウジング1が示されている。装置2は、ハウジング1内に組み込まれ、プリント回路基板5と、プリント回路基板5に取り付けられた電力電子部品6と、を含む。電力電子部品6は、プリント回路基板5の上面(
図1(a)の場合)またはその底面(
図1(b)の場合)に取り付けられてもよい。装置は、外部でデータを交換するために、無線周波送受信アンテナ7をさらに含み、これは、ルーフ3から出てくるように、ボディに作られた開口部を通って垂直に外側に延びている。レードーム8は、アンテナを異物から保護することが望ましい。一方のアンテナ7の下部と、反対側のプリント回路基板5およびそれによって支えられる構成部品と、の間に挟まれた金属スクリーン9は、アンテナの送受信性能に影響を与える可能性のある寄生放射のある電子構成部品からアンテナが絶縁されることを可能にする。この金属スクリーン9は、一般に、例えばハウジング1を保持するために使用されるものと同じ締結ボルト4によって金属製のルーフ3に取り付けられ、良好な電気的接触を与え、したがってスクリーン9によって提供されるシールドの連続性を提供する。より具体的には、金属スクリーン9は、ハウジング1の外面に当接し、開口部の周囲にあるリムを含み、装置は、リムと一緒にハウジングの外面を通る締結ボルトによって金属部分に取り付けることができる。最後に、電力電子部品6を冷却するために、ハウジング1は、部品に沿って、ハウジングの上部の内面と熱接触して、ヒートシンク10を組み込み、その金属部分は構成部品6と空気との間の熱交換を強化して構成部品の温度上昇を制限する。熱交換を促進するために、ヒートシンク10の下部と構成部品((b)の場合)またはプリント回路基板((a)の場合)の上部との間にサーマルインターフェース形成層11を介在させることが好ましい。
【0005】
別の公知の実施形態では、ヒートシンク10は、構成部品6と他の外部要素(図示せず)との間の熱交換を可能にするヒートパイプに置き換えられる。
【0006】
これらの公知の解決策はすべて、コスト、大きさ、重量に影響を与え、ヒートシンクまたはヒートパイプの追加が必要である。
【0007】
ヒートシンク10の使用を回避する他の公知の実施形態では、ハウジング1は、良好な熱伝導性を示す材料から作られ、ヒートシンク10と同じ冷却機能を実行するために、構成部品6と一直線になるように形成されるように選択される。
【0008】
しかし、この解決策は、ハウジング全体に使用する必要がある良好な熱伝導性を示す材料を選択するため、依然として高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、これまでに提供された解決策の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、本発明により達成され、その主題は、自動車のボディの金属部分に取り付けられるように意図された車載テレマティック装置であって、一方の面が少なくとも1つの電力電子部品を支えるプリント回路基板を組み込んだハウジングと、金属部分の開口部を通って延在するように意図された無線周波送受信アンテナと、アンテナを寄生放射から絶縁するために、一方の側のアンテナの下部とプリント回路基板および少なくとも1つの構成部品との間に挿入される金属スクリーンと、を含み、スクリーンは、電気的連続性を提供するために、金属部分とハウジングとの間に取り付けられるように意図され、装置において、少なくとも1つの構成部品は、金属スクリーンと一列に配置され、スクリーンの一部と熱接触し、スクリーンは、電力電子部品と金属部分との間の熱伝達のための手段を形成するように熱伝導性材料で作られている。
【0011】
前の段落で述べたばかりの主な特徴に加えて、本発明による方法は、以下のうちから1つまたは複数の追加の特徴を有してもよい。
【0012】
金属スクリーンは、好ましくは、ハウジングの外面に当接し、かつ開口部の周囲にあるリムを含み、装置は、リムとハウジングの外面を一緒に貫通する締結ボルトによって金属部分に取り付けることができ、
熱伝導性材料の熱伝導率は、好ましくは50W.m-1.K-1以上であり、
熱伝導性材料は、例えば鋼、アルミニウム、またはザマックであり、
一実施形態では、少なくとも1つの電力電子部品は、スクリーンの一部に直接面するプリント回路基板の面によって支えられ、スクリーンの一部の下部と部品の上部との間にサーマルインターフェース形成層が介在し、
変形例として、少なくとも1つの電力電子部品は、スクリーンの一部に直接面する基板の第2の面の反対側のプリント回路基板の第1の面によって支えられ、サーマルインターフェース形成層が、スクリーンの一部の下部とプリント回路基板の第1の面との間に挿入され、
別の実施形態では、金属スクリーンのリムは、ハウジングの1つの面を形成するようにプリント回路基板と平行に走り、
リムは、ハウジングの内部に延在する突起を含み、突起の下部は、プリント回路基板によって支えられた別の電力電子部品と一列に配置され熱接触する。
【0013】
本発明は、添付の図面を参照して与えられる以下の説明を読むことでより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】既に上で説明したが、自動車のルーフに取り付けられた位置にある電力電子部品用の統合冷却機能を備えた2つの車載テレマティック装置を概略的に示す図である。
【
図2】自動車のルーフに取り付けられた位置にある、2つの変形実施形態による、本発明によるテレマティック装置の第1の実施形態を概略的に示す図である。
【
図3】自動車のルーフに取り付けられた位置にある、本発明によるテレマティック装置の第2の実施形態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
すべての図で、様々な共通要素には同じ符号が付いている。
【0016】
本発明の原理は、
図1を参照して上述したような車載テレマティック装置2における金属スクリーン9の存在に基づいており、金属スクリーン9の主な機能は、装置の電子部品により生じる干渉から無線周波通信アンテナ7を干渉によって保護することである。本発明によれば、電力電子部品と車体の金属部分、例えば装置取り付けられる車両ルーフとの間の熱エネルギーのベクトルとしても使用することにより、このスクリーンに第2の機能を割り当てることが提案される。
【0017】
そうすることで、金属スクリーン9は熱伝導体となり、熱を放散して金属ボディ部分に放散し、それがヒートシンクとして作用する。
【0018】
次に、
図2を参照して第1の実施形態を説明するが、
図2は、車体の金属部分、ここではルーフ3に既に取り付けられている車載テレマティック装置2を示している。この装置には、
図1を参照して既に説明したすべての要素が含まれている。しかしながら、
図1とは異なり、冷却される電力電子部品6は、金属スクリーン9と一列に配置され、スクリーンの一部と熱接触する。加えて、スクリーン9は、電力電子部品6と金属部分3との間の熱伝達のための手段を形成するように熱伝導性材料で作られている。
【0019】
伝導性材料は、好ましくは、50W.m-1.K-1以上の熱伝導率を示す金属材料から選択される。例えば、鋼、アルミニウム、または亜鉛、アルミニウム、マグネシウムと銅の合金であるザマックを使用することができる。
【0020】
図2(a)の場合、電力電子部品6は、基板5の上面、より一般的にはスクリーン9の一部に直接面するプリント回路基板5の面によって支えられている。この場合、スクリーン9の一部の下部と上部構成部品との間にサーマルインターフェース形成層11を介在させることが好ましい。
【0021】
図2(b)の変形例では、電力電子部品6は、プリント回路基板の他方の面、すなわちスクリーン9の一部に直接面する側とは反対側のプリント回路基板5の面によって支えられる。ここでも、サーマルインターフェース形成層11が、スクリーン9の一部の下部とスクリーン9の一部に直接面するプリント回路基板5の面との間に介在することが好ましい。
【0022】
両方の変形例において、層11は、熱グリース、熱接着剤、熱ペースト、または要素間の空間を充填し、良好な熱伝導を提供できる他の材料で形成される。
【0023】
いずれの場合でも、破線で示されているように、金属スクリーン9を介して構成部品6とボディの間を通過する熱エネルギーのヒートシンクとして機能するのは、金属ボディ部分、ここではルーフである。
【0024】
図3に概略的に示す第2の実施形態では、金属スクリーン9のリムは、ハウジング1の一方の面(この例では上面)を形成するように、プリント回路基板5と平行に走るようにさらにサイズが決められる。
【0025】
この第2の実施形態の利点の1つは、スクリーン9が、第2の電力電子部品6’などの冷却される装置2の他の構成部品のための熱エネルギーベクトルとしても使用できることである。この第2の構成部品6’は、ここでは、ハウジング1の内部に延在するリムの突起12の下部と一列に配置され、かつ熱接触している。