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特許7142683対流防止充填要素を伴う密閉された断熱タンク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】対流防止充填要素を伴う密閉された断熱タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20220916BHJP
   B65D 90/06 20060101ALI20220916BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20220916BHJP
   B63B 27/24 20060101ALI20220916BHJP
   B63B 3/20 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
F17C3/04 E
B65D90/06 A
B63B25/16 F
B63B25/16 103
B63B25/16 Z
B63B27/24 A
B63B3/20
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020512634
(86)(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 FR2018052149
(87)【国際公開番号】W WO2019043347
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】1770930
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ピエール
(72)【発明者】
【氏名】デレトレ ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】チャポット カリム
(72)【発明者】
【氏名】プルニエ ラファエル
【審査官】蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-535916(JP,A)
【文献】特公昭49-040725(JP,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0015438(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0015437(KR,A)
【文献】国際公開第2008/075923(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 3/04
B65D 90/06
B63B 25/16
B63B 27/24
B63B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯留するための密閉された断熱タンクにおいて、タンク壁が、厚さ方向で連続して、並置された複数の二次断熱要素(2)であって、支持構造体(3)に対して保持されるようになっている二次断熱要素(2)を備える二次断熱障壁(1)と、前記二次断熱障壁(1)の前記二次断熱要素(2)によって支持される二次密閉膜(4)と、複数の並置された一次断熱要素(6)であって、前記二次密閉膜(4)に対して保持されるようになっている一次断熱要素(6)を備える一次断熱障壁(5)と、前記一次断熱障壁(5)によって支持されて前記密閉された断熱タンクに収容される流体と接触するようになっている一次密閉膜(7)とを備え、
前記二次密閉膜(4)は、一連の平行な波形部(25、26)を備える波形金属膜であり、前記波形部(25、26)は、チャネルと、前記波形部(25、26)間に位置される平坦部とを形成し、前記一次断熱要素(6)が前記二次密閉膜(4)の平坦部を覆う外面を有し、前記二次断熱要素(2)が前記二次密閉膜(4)の平坦部を支持する内面を有し、
対流防止充填要素(16、20、22)が、前記二次密閉膜(4)の波形部(25、26)に配置されて前記チャネルに損失水頭をもたらす、密閉された断熱タンク。
【請求項2】
前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25、26)は、前記支持構造体(3)に向けて前記密閉された断熱タンクの外側の方へと突出し、
前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25、26)に配置される前記対流防止充填要素(16、20、22)は、前記一次断熱要素(6)の前記外面によって覆われる、請求項1に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項3】
前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25,26)に配置される前記対流防止充填要素(20)が前記一次断熱要素(6)の前記外面に固定される、請求項2に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項4】
前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25,26)に配置される前記対流防止充填要素(16,22)が前記二次密閉膜(4)に固定される、請求項2に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項5】
前記二次断熱要素(2)は、前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25、26)を受けるために前記内面から窪んだ溝(14、15)を有し、前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25、26)の周囲に位置される前記溝(14、15)の残りの部分に損失水頭をもたらすために更なる対流防止充填要素(23)が前記二次密閉膜(4)と前記二次断熱要素(2)との間の前記溝(14、15)内に配置される、請求項2から4のいずれか一項に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項6】
前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25、26)が前記密閉された断熱タンクの内側へ向けて突出し、前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25、26)に配置される前記対流防止充填要素(16、22)は、前記二次断熱要素(2)の前記内面によって支持される、請求項1に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項7】
前記一次断熱要素(6)は、前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25、26)を受けるために前記外面から窪んだ溝(14、15)を有し、前記二次密閉膜(4)の前記波形部(25、26)の周囲に位置される前記溝(14、15)の残りの部分に損失水頭をもたらすために更なる対流防止充填要素(23)が前記二次密閉膜(4)と前記一次断熱要素(6)との間の前記溝(14、15)内に配置される、請求項6に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項8】
前記一次密閉膜(7)は、一連の平行な波形部(40)を備える波形金属膜であり、前記波形部(40)は、チャネルと、前記波形部(40)間に位置される平坦部とを形成し、前記一次断熱要素(6)が前記一次密閉膜(7)の平坦部を支持する内面を有し、
前記一次密閉膜(7)の前記波形部(40)は、前記支持構造体(3)に向けて前記密閉された断熱タンクの外側の方へと突出し、
前記一次断熱要素(6)は、前記一次密閉膜(7)の前記波形部(40)を受けるために前記内面から窪んだ溝を有し、前記一次密閉膜(7)の前記波形部(40)の周囲に位置される前記溝の残りの部分に損失水頭をもたらすために更なる対流防止充填要素が前記一次密閉膜(7)と前記一次断熱要素(6)との間の前記溝内に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項9】
前記対流防止充填要素は、前記二次密閉膜(4)の波形部(25,26)に配置される長尺な充填部(22)を備え、前記長尺な充填部(22)は、前記波形部(25,26)の断面の少なくとも80%を占める断面形状を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項10】
前記波形部(25,26)に配置される前記長尺な充填部(22)は、該長尺な充填部(22)の長さを横切って方向付けられて前記長尺な充填部(22)の長さに沿って分布される平行溝(49)を備える、請求項9に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項11】
前記二次密閉膜(4)は、第1の一連の平行な波形部(25)と、前記第1の一連の波形部(25)を横断するとともに節点領域(27)で前記第1の一連の波形部(25)と交差する第2の一連の平行な波形部(26)とを備え、前記対流防止充填要素は、前記二次密閉膜(4)の前記節点領域(27)に配置される節点部分(16、20)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項12】
対流防止充填要素(16、20、22)又は更なる対流防止充填要素(23)が発泡ポリスチレン又はポリマー発泡体又はグラスウールから形成される、請求項1から11のいずれか一項に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項13】
対流防止充填要素(16、20、22)又は更なる対流防止充填要素(23)が可撓性合成材料又は成形合成材料から形成される、請求項1から12のいずれか一項に記載の密閉された断熱タンク。
【請求項14】
二重船体(72)と、二重船体に配置される請求項1から13のいずれか一項に記載の密閉された断熱タンク(71)とを備える、流体を輸送するための船(70)。
【請求項15】
流体が、断熱パイプライン(73、79、76、81)を介して、浮遊又は陸上貯留設備(77)から或いは浮遊又は陸上貯留設備(77)へ、前記船の前記密閉された断熱タンク(71)へ又は前記船の前記タンク(71)から経路付けられる、請求項14に記載の船(70)の積み込み又は積み降ろしのための方法。
【請求項16】
流体のための移送システムであって、請求項14に記載の船(70)と、前記船の二重船体に設置される密閉された断熱タンク(71)を浮遊又は陸上貯留設備(77)に接続するように配置される断熱パイプライン(73、79、76、81)と、前記断熱パイプラインを通じて流体を前記浮遊又は陸上貯留設備から或いは前記浮遊又は陸上貯留設備へ、前記船の前記密閉された断熱タンクへ又は前記船の前記密閉された断熱タンクから搬送するためのポンプとを備える移送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温流体などの流体を貯留及び/又は輸送するための膜を伴う密閉された断熱タンクの分野に関する。
【0002】
膜を伴う密閉された断熱タンクは、液化天然ガス(LNG)を貯留するために特に使用され、液化天然ガス(LNG)は大気圧において約-162℃で貯留される。これらのタンクは陸上又は浮遊構造体上に設置され得る。浮遊構造体の場合、タンクは、液化天然ガスの輸送又は浮遊構造体を推進するための燃料として使用される液化天然ガスの受け入れを目的とすることができる。
【背景技術】
【0003】
従来技術では、液化天然ガスを貯留するための密閉された断熱タンクが知られており、これらのタンクは、液化天然ガスを輸送するようになっている船の二重船体などの支持構造体に組み込まれる。一般に、そのようなタンクは、厚さ方向で、タンクの外側から内側に連続して、支持構造体に保持される二次断熱障壁、二次断熱障壁に当接する二次密閉膜、二次密閉膜に当接する一次断熱障壁、及び、一次断熱障壁に当接してタンクに収容される液化天然ガスと接触するようになっている一次密閉膜を有する多層構造を備える。
【0004】
国際公開第2016/046487号パンフレットの文献は、並置された断熱パネルによって形成される二次断熱障壁及び一次断熱障壁を開示する。この国際公開第2016/046487号パンフレットの文献において、二次密閉膜は、タンクの外側に向かって突出する波形部を備える複数の金属シートから形成され、それにより、タンク内に収容される流体によってもたらされる熱応力及び機械的応力の影響下で二次密閉膜が変形できるようにする。二次断熱障壁の断熱パネルの内面は、二次密閉膜の波形金属シートの波形部を受ける溝を有する。これらの波形部及びこれらの溝は、タンクの壁に沿って延びるチャネルの網目構造を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/046487号パンフレット
【発明の概要】
【0006】
本発明の背後にある1つの考えは、対流現象が低減される波形部を備える密閉膜を伴う密閉された断熱タンクを提案することである。特に、本発明の背後にある1つの考えは、断熱障壁内の自然対流現象を制限するために、断熱障壁内の連続循環チャネルの存在を制限する密閉された断熱タンクを提供することである。
【0007】
一実施形態によれば、本発明は、タンク壁が、厚さ方向で連続して、並置された複数の二次断熱要素であって、例えば二次保持構成要素によって支持壁に対して保持されるようになっている二次断熱要素を備える二次断熱障壁と、二次断熱障壁の二次断熱要素によって支持される二次密閉膜と、複数の並置された一次断熱要素であって、例えば一次保持構成要素によって二次密閉膜に対して保持されるようになっている一次断熱要素を備える一次断熱障壁と、一次断熱障壁によって支持されてタンクに収容される極低温流体と接触するようになっている一次密閉膜とを備える、流体を貯留するための密閉された断熱タンクを提案する。
【0008】
実施形態によれば、そのようなタンクは、以下の特徴のうちの1つ以上を備えることができる。
【0009】
一実施形態によれば、二次密閉膜は、一連の平行な波形部を備える波形金属膜であり、波形部は、チャネル、特にタンクの寸法に応じた非常に長いチャネルと、前記波形部間に位置される平坦部とを形成し、一次断熱要素が二次密閉膜の平坦部を覆う外面を有し、該外面は平坦であってもよく、二次断熱要素が二次密閉膜の平坦部を支持する内面を有し、該内面は平坦であってもよく、対流防止充填要素が、二次密閉膜の波形部に配置されて前記チャネルに損失水頭をもたらす。
【0010】
これらの特徴により、特に、壁の上部と下部との間の温度勾配がこのような現象を促進する可能性がある、重力場で垂直方向又は斜め方向にあるタンク壁において、二次密閉膜の波形部に沿う対流現象を制限することができる。
【0011】
一実施形態によれば、二次密閉要素の波形部は、支持構造体に向かってタンクの外側へと突出する。
【0012】
一実施形態によれば、二次密閉膜の波形部に配置される対流防止充填要素が一次断熱要素の外面によって覆われる。
【0013】
一実施形態によれば、二次密閉膜の波形部に配置される対流防止充填要素が一次断熱要素の外面に固定される。
【0014】
一実施形態によれば、二次密閉膜の波形部に配置される対流防止充填要素が二次密閉膜に固定される、例えば接着される。
【0015】
一実施形態によれば、二次断熱要素は、二次密閉膜の波形部を受けるために内面から窪んだ溝を有し、二次密閉膜の波形部の周囲に位置される溝の残りの部分に損失水頭をもたらすために更なる対流防止充填要素が二次密閉膜と二次断熱要素との間の前記溝内に配置される。
【0016】
一実施形態によれば、二次密閉膜の波形部は、タンクの内側に向かって突出する。
【0017】
一実施形態によれば、二次密閉膜の波形部に配置される対流防止充填要素は、二次断熱要素の内面によって支持される。
【0018】
一実施形態によれば、一次断熱要素は、二次密閉膜の波形部を受けるために外面から窪んだ溝を有し、二次密閉膜の波形部の周囲に位置される前記溝の残りの部分に損失水頭をもたらすために更なる対流防止充填要素が二次密閉膜と一次断熱要素との間の前記溝内に配置される。
【0019】
一実施形態によれば、一次密閉膜が一連の平行な波形部を備え、該波形部は、チャネル、特にタンクの寸法に応じた非常に長いチャネルと、前記波形部間に位置される平坦部とを形成し、一次断熱要素は、一次密閉膜の平坦部を支持する内面を有する。
【0020】
一実施形態によれば、一次密閉膜の波形部は、支持構造体に向かってタンクの外側へと突出する。
【0021】
一実施形態によれば、一次断熱要素は、一次密閉膜の波形部を受けるために内面から窪んだ溝を有し、一次密閉膜の波形部の周囲に位置される前記溝の残りの部分に損失水頭をもたらすために更なる対流防止充填要素が一次密閉膜と一次断熱要素との間の前記溝内に配置される。
【0022】
一実施形態によれば、対流防止充填要素は、二次密閉膜及び/又は一次密閉膜の波形部に配置される長尺な充填部を備え、長尺な充填部は、タンクの組み付けられた状態の波形部の断面の少なくとも80%、例えば波形部の全断面を占める断面形状を有する。長尺な充填部は、多数の断面形状をとることができる。例えば、長尺な充填部は、波形部の断面形状に一致する断面形状或いは更には円形、楕円形又は他の断面形状をとることができる。
【0023】
一実施形態によれば、波形部に配置される充填部は、該充填部の長さを横切って方向付けられて充填部の長さに沿って分布される平行溝を備える。
【0024】
一実施形態によれば、二次密閉膜及び/又は一次密閉膜は、第1の一連の平行な波形部と、第1の一連の波形部を横断するとともに節点領域で第1の一連の波形部と交差する第2の一連の平行な波形部とを備え、対流防止充填要素は、二次密閉膜及び/又は一次密閉膜の節点領域に配置される節点部分を備える。
【0025】
一実施形態によれば、対流防止充填要素又は更なる対流防止充填要素が発泡ポリスチレン又はポリマー発泡体又はグラスウールから形成される。
【0026】
一実施形態によれば、対流防止充填要素又は更なる対流防止充填要素が可撓性合成材料又は成形合成材料から形成される。
【0027】
一実施形態によれば、対流防止充填要素が配置される二次密閉膜の少なくとも1つの波形部は、一次断熱要素に沿って且つ前記一次断熱要素に隣接する一次断熱要素から距離を隔てて配置される。
【0028】
一実施形態によれば、二次密閉膜及び/又は一次密閉膜は、複数の波形金属プレートを備える。一実施形態によれば、二次密閉膜の各波形金属プレートは、一連の波形部のうちの1つ以上の波形部を備える。
【0029】
一実施形態によれば、二次密閉膜の波形金属プレートは、少なくとも2つの隣り合う二次断熱要素によって支持される。
【0030】
一実施形態によれば、二次密閉膜及び/又は一次密閉膜の厚さは、波形部がそれらの自重の影響下で変形できないようにする剛性を与えるべく、0.7mm~1.2mmである。
【0031】
一実施形態によれば、一次断熱要素は、それらの間に空隙を設けるように配置される平行六面体断熱パネルを備え、一次断熱障壁は、前記第1の平行六面体断熱パネルと第2の平行六面体断熱パネルとの間の空隙を実質的に密閉するために、連続する好ましくは薄い材料から形成されて第1の平行六面体断熱パネルの縁部に沿って配置される対流防止カバーストリップを更に備え、第2の平行六面体断熱パネルは第1の平行六面体断熱パネルに隣接し、対流防止カバーストリップは、第1の平行六面体断熱パネルの内面上に配置される第1の縁部を備える。
【0032】
これらの特徴により、平行六面体断熱パネル間の空隙における対流現象を特にタンク壁の厚さ方向で制限することができる。特に、そのような対流防止カバーストリップは、空隙が狭い場合でも簡単に設置できる
【0033】
対流防止カバーストリップの第1の縁部は、第1の平行六面体断熱パネル上に又は特に第1の平行六面体断熱パネルの内面に接着される又は留められる一次膜の下方に固定され得る。対流防止カバーストリップの反対側の縁部は、自由のままにすることが好ましい。
【0034】
一実施形態によれば、第1の平行六面体断熱パネルの内面は、対流防止カバーストリップの第1の縁部を受け入れるための空隙に沿う皿穴を備える。
【0035】
これらの特徴により、密閉膜を支持する平行六面体断熱パネルの内面の平坦度に影響を与えることなく対流防止カバーストリップを受け入れて固定することができる。
【0036】
一実施形態によれば、対流防止カバーストリップは、第1の平行六面体断熱パネルと第2の平行六面体断熱パネルとの間の空隙にまたがり、対流防止カバーストリップは、第1の縁取り部分の反対側にあって第2の平行六面体断熱パネルの内面上に配置される第2の縁部を有する。
【0037】
一実施形態によれば、第2の平行六面体断熱パネルの内面は、対流防止カバーストリップの第2の縁部を受け入れるための空隙に沿う皿穴を備える。
【0038】
一実施形態によれば、第1及び/又は第2の縁部の幅は10mmよりも大きい。
【0039】
一実施形態によれば、対流防止カバーストリップは、第1の平行六面体断熱パネルと第2の平行六面体断熱パネルとの間の空隙に係合される折り曲げ部を備え、折り曲げ部は、第1の縁部からタンク壁の厚さ方向で外側に向かって延びる第1の面と、タンク壁の厚さ方向で内側に向かって延びる第2面とを備える。この場合、対流防止カバーストリップは好ましくは可撓性材料から形成される。
【0040】
一実施形態によれば、折り曲げ部は、空隙を画定する第2の平行六面体断熱パネルの側面に当接する。この場合、カバーストリップが第2の断熱パネルの内面上にわって突出することが不可欠ではない。
【0041】
一実施形態によれば、対流防止カバーストリップの長さは、第3の平行六面体断熱パネル上にわたって少なくとも突出するように、第1の平行六面体断熱パネルの前記縁部の長さよりも大きく、この場合、第3の平行六面体断熱パネルは第1の平行六面体断熱パネルに隣接する。
【0042】
一実施形態によれば、第1の平行六面体断熱パネルは、前記第1の平行六面体断熱パネルと前記第3の平行六面体断熱パネルとの間の空隙を実質的に密閉するために、薄い連続した材料から形成されて第3の平行六面体断熱パネルの方に向けられる第1の平行六面体断熱パネルの縁部に沿って配置される第2の対流防止カバーストリップも支持し、第2の対流防止カバーストリップは、第1の平行六面体断熱パネルの内面上に設置される又は固定される第1の縁部を備える。
【0043】
一実施形態によれば、第1及び第2の対流防止カバーストリップは、L字形に切断された薄い連続した材料の単一片から形成される。
【0044】
対流防止カバーストリップは、例えば、厚さが2mm未満、更には1mm以下の可撓性材料又は硬質材料から形成され得る。一実施形態によれば、対流防止カバーストリップは、紙、厚紙、ポリマーフィルム、及び、複合ポリマー樹脂及び繊維ベース材料から選択される材料から形成される。
【0045】
一実施形態によれば、第1の平行六面体断熱パネルと第2の平行六面体断熱パネルとの間の空隙の幅は10mm未満である。
【0046】
一実施形態によれば、一次断熱要素は、それらの間に空隙を設けるように配置される平行六面体断熱パネルを備え、一次断熱障壁は、第1の平行六面体断熱パネルと第2の平行六面体断熱パネルとの間の空隙に配置される対流防止充填材プレートを更に備え、第2の平行六面体断熱パネルは第1の平行六面体断熱パネルに隣接し、対流防止充填材プレートは、薄い連続した材料から形成されるとともに、実質的に厚さ方向に対して垂直に延びるセルを画定するために空隙のほぼ全幅にわたって延びる複数の長尺な壁要素を有する。
【0047】
そのような充填材プレートにより、平行六面体断熱パネル間の空隙での対流現象を特にタンク壁の厚さ方向で制限することができる。好ましくは、充填材プレートは、紙、厚紙、プラスチックシート、特にポリエーテルイミド又はポリアミドイミドなどの比較的可撓性のある材料から形成され、それにより、セルを簡単に押し潰すことができ、したがって、セルを空隙の幅に適合させることができる。
【0048】
そのような充填材プレートの長さは、空隙が間に形成される平行六面体断熱パネルの縁部の長さよりも大きくてもよく又は小さくてもよく、或いは、縁部の長さにほぼ等しくてもよい。
【0049】
そのような充填材プレートは、特に、少なくとも一次保持構成要素も空隙に配置される場合に、一次保持構成要素の部位で中断又は切断され得る。
【0050】
一実施形態によれば、長尺な壁要素は、厚さ方向に対して略垂直に延びる交互の平行な波形部を有する波形材料のシートの連続部分によって形成される。
【0051】
一実施形態によれば、充填材プレートは、前記長尺な壁要素によって離間される2つの平行な連続シートを備えるサンドイッチ構造体を有し、前記2つの平行な連続シートは、空隙を画定する第1及び第2の平行六面体断熱パネルの2つの側面に当て付いて配置される。そのようなサンドイッチ構造体において、セルの幅は、実際には、2つの平行な連続シートの厚さを下回る空隙の幅に等しい。
【0052】
一実施形態によれば、長尺な壁要素は、厚さ方向に対して略垂直に延在して2つの平行な連続シート間に固定される円筒状要素によって形成される。そのような円筒状要素は、任意の断面形状、例えば六角形、円形、又は、他の形状をとることができる。
【0053】
一実施形態によれば、前記長尺な壁要素によって離間される2つの平行な連続シートの少なくとも1つは、空隙が間に形成される2つの平行六面体断熱パネルのうちの少なくとも1つの内面上に固定される折り曲げられた上縁部を備える。
【0054】
一実施形態によれば、第1及び/又は第2の平行六面体断熱パネルの内面は、連続シートの前記上縁部を受け入れるための空隙に沿う皿穴を備える。
【0055】
これらの特徴により、密閉膜を支持する平行六面体断熱パネルの内面の平坦度に影響を与えることなく連続シートの上縁部を受け入れて固定することができる。
【0056】
一実施形態によれば、第1の平行六面体断熱パネルと第2の平行六面体断熱パネルとの間の空隙の幅は10mm未満である。
【0057】
そのようなタンクは、例えばLNGを貯留するための陸上貯留設備の一部を形成することができ、又は、数ある中でも特に、LNGタンカー船、LNGタンカー、浮遊貯留・再ガス化ユニット(FSRU)、オフショア浮遊生産・貯留ユニット(FPSO)などの浮遊、沿岸又は深海構造体に設置され得る。
【0058】
一実施形態によれば、低温液体製品を輸送するための船は、二重船体と、二重船体内に配置される前述のタンクとを備える。
【0059】
一実施形態によれば、本発明は、流体が、断熱パイプラインを介して、浮遊又は陸上貯留設備から或いは浮遊又は陸上貯留設備へ、船のタンクへ又は船のタンクから経路付けられる、そのような船の積み込み又は積み降ろしのための方法も提供する。
【0060】
一実施形態によれば、本発明は、流体のための移送システムであって、前述の船と、船の船体に設置されるタンクを浮遊又は陸上貯留設備に接続するように配置される断熱パイプラインと、断熱パイプラインを通じて流体を浮遊又は陸上貯留設備から或いは浮遊又は陸上貯留設備へ、船のタンクへ又は船のタンクから搬送するためのポンプとを備える移送システムも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明をより良く理解することができ、また、本発明の更なる目的、詳細、特徴、及び、利点は、添付図面に関連して非限定的な例示としてのみ与えられる本発明の複数の特定の実施形態の以下の説明にわたってより明確に分かるようになる。
図1】流体を貯留するための密閉された断熱タンクの壁の切断斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態を示す図1の部分II‐IIの部分斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態の別の実施形態に係る一次断熱障壁の断熱パネルの概略斜視底面図である。
図4】本発明の第2の実施形態を示す図1の部分II‐IIの部分斜視図である。
図5】充填材バーの一例の概略斜視図である。
図6図1の断面III‐IIIに沿う本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る密閉された断熱タンクの壁の断面図を示す。
図8】一次密閉膜が示されない、第4の実施形態に係る密閉された断熱タンクの概略部分斜視図である。
図9図7の一次断熱障壁の2つの断熱パネル間の空隙の部分断面図である。
図10図9の別の実施形態に係る一次断熱障壁の2つの断熱パネル間の空隙の部分断面図である。
図11】第5の実施形態に係る一次断熱障壁の2つの断熱パネル間の空隙の部分断面図である。
図12】第5の実施形態に係る一次断熱障壁の2つの断熱パネル間の空隙の部分断面図である。
図13】第5の実施形態に係る一次断熱障壁の2つの断熱パネル間の空隙の部分断面図である。
図14】第5の実施形態に係る一次断熱障壁の2つの断熱パネル間の空隙の部分断面図である。
図15】第5の実施形態に係る一次断熱障壁の2つの断熱パネル間の空隙の部分断面図である。
図16】LNGタンカー船のタンク及びこのタンクの積み込み/積み降ろしのためのターミナルの概略断面図である。
図17】本発明の第4の実施形態の別の実施形態に係る、L字型の対流防止プレートが載る3つの隣り合う一次断熱パネルの内部プレートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
慣例により、「外」及び「内」という用語は、好ましくはタンクの内側及び外側の、ある要素の他の要素に対する相対位置を規定するために使用される。
【0063】
図1は、流体を貯留するための密閉された断熱タンクの壁の多層構造を示す。
【0064】
そのようなタンク壁は、タンクの外側から内側へ向けて、並置されて二次保持構成要素(図示せず)、例えば支持構造体3に溶接されるスタッドによって支持構造体3に固定される二次断熱パネル2を備える二次断熱障壁1、二次断熱障壁1の二次断熱パネル2によって支持される二次密閉膜4、並置されて一次保持構成要素19によって二次断熱障壁1の二次断熱パネル2に固定される一次断熱パネル6を備える一次断熱障壁5、及び、一次断熱障壁5の一次断熱パネル6によって支持されてタンクに収容される極低温流体と接触するようになっている一次密閉膜7を備える。
【0065】
支持構造体3は、特に、自立金属シート、又は、より一般的には、適切な機械的特性を有する任意のタイプの硬質隔壁となり得る。支持構造体3は、特に、船の船体又は二重船体によって形成され得る。支持構造体3は、タンクの一般的な形状、一般的には多面体形状を画定する複数の壁を備える。
【0066】
二次断熱パネル2は実質的に直方体形状を有する。二次断熱パネル2はそれぞれ、内部硬質プレート10と外部硬質プレート11との間に挟まれる断熱ライニング層9、例えば断熱ポリマー発泡体9を備える。内部硬質プレート10及び外部硬質プレート11は、例えば、前記断熱ポリマー発泡体層9上に接着される合板ボードである。断熱ポリマー発泡体は、特にポリウレタン系発泡体となり得る。ポリマー発泡体は、好適には、その熱収縮を減らすのに役立つガラス繊維で補強される。
【0067】
二次断熱パネル2は、平行な列を成して並置され、機能的な組立クリアランスを確保する空隙12によって互いに分離される。空隙12には、例えばグラスウール、ロックウール、又は、可撓性のあるオープンセル合成発泡体などの図1及び図7に示される耐熱ライニング13が充填される。耐熱ライニング13は、好適には、ガスが二次断熱パネル2間の空隙12内で循環できるようにするべく多孔質材料から形成され、例えば、それにより、窒素などの不活性ガスが二次断熱障壁1内で循環でき、その結果、二次断熱障壁内が不活性雰囲気下に保たれ、したがって、可燃性ガスが爆発濃度範囲内で見出されることが防止され、及び/又は、その断熱能力を高めるために二次断熱障壁1が負圧にされる。ガスのこの循環は、想定し得る可燃性ガス漏れの検出を容易にするためにも重要である。空隙12の幅は例えば約30mmである。
【0068】
内部プレート10は、溝のネットワークを形成するように、互いに垂直な2つの一連の溝14、15を有する。一連の溝14、15のそれぞれは、二次断熱パネル2の2つの反対側の面と平行である。溝14、15は、二次密閉膜4の金属シート24に形成される、タンクの外側へ向けて突出する波形部25、26を受けるようになっている。図1に示される実施形態において、内部プレート10は、二次断熱パネル2の縦方向に延びる3つの溝14と、二次断熱パネル2の横方向に延びる9個の溝15とを備える。
【0069】
更に、内部プレート10には、二次密閉膜4の波形金属シート24の縁部を二次断熱パネル2に固定するための金属取付プレート17、18が設けられる。金属取付プレート17、18は、それぞれが二次断熱パネル2の2つの反対側の面と平行な2つの垂直方向に延びる。金属プレート17、18は、例えば、ネジ、リベット、又は、留め具によって、二次断熱パネル2の内部プレート10に固定される。金属取付プレート17、18は、金属取付プレート17、18の内面が内部プレート10の内面と同一平面上にあるように、内部プレート10に設けられる凹部内に配置される。内部プレート10は、溝14、15又は金属取付プレート17、18を収容する皿穴などの想定し得る特異領域を除いて、略平坦な内面を有する。
【0070】
内部プレート10は、タンクの内側に向かって突出して二次断熱障壁1の二次断熱パネル2に一次断熱障壁5を固定するようになっているネジ付きスタッド19も備える。金属スタッド19は、金属取付プレート17に配置されるオリフィスを通過する。
【0071】
二次密閉膜4は、それぞれが略長方形の形状を有する複数の波形金属シート24を備える。波形金属シート24は、二次断熱障壁1の二次断熱パネル2に対してオフセットして配置され、それにより、前記波形金属シート24のそれぞれが共同して4つの隣接する二次断熱パネル2にわたって延在する。
【0072】
各波形金属シート24は、第1の方向に延びる第1の一連の平行な波形部25と、第2の方向に延びる第2の一連の平行な波形部26とを有する。一連の波形部25、26の方向は垂直である。一連の波形部25、26のそれぞれは、波形金属シート24の2つの反対側の縁部と平行である。波形部25、26は、タンクの外側に向かって、すなわち、支持構造体3に向かって突出する。波形金属シート24は、波形部25、26間に、複数の平坦面を備える。2つの波形部25、26間の各交点で、金属シート24が節点領域27を備える。
【0073】
波形金属シート24の波形部25、26は、二次断熱パネル2の内部プレート10に設けられる溝14、15内に受け入れられる。隣接する波形金属シート24は互いに重ね溶接される。波形金属シート24は、仮付け溶接によって金属取付プレート17、18に固定される。
【0074】
波形金属シート24は、例えばInvar(登録商標)、すなわち、その膨張係数が一般に1.2.10~2.10-6 K-1である鉄とニッケルとの合金、又は、その膨張係数が一般に7.10-6 K-1である高マンガン含有鉄合金から形成される。或いは、波形金属シート24は、ステンレス鋼又はアルミニウムから形成され得る。
【0075】
一次断熱障壁5は、略直方体形状の複数の一次断熱パネル6を備える。この場合、一次断熱パネル6は、二次断熱障壁1の二次断熱パネル2に対してオフセットされ、それにより、各一次断熱パネル6は、二次断熱障壁1の4つの二次断熱パネル2上にわたって延びる。隣接する一次断熱パネル6は、前記一次断熱パネル6の機能的な組立クリアランスを確保する空間8によって離間される。しかしながら、この空間8は、二次断熱障壁1の2つの隣接する二次断熱パネル2間の空隙12と比較して小さい。したがって、一次断熱障壁5の2つの一次断熱パネル6を分離する空間8は、約4mm±3mmである。
【0076】
一次断熱パネル6は、二次断熱障壁1の二次断熱パネル2と同様の構造、すなわち、例えば合板から形成される2つの硬質内部プレート30と硬質外部プレート31との間に挟まれる断熱ポリマー発泡体層29などの断熱ライニング層から構成されるサンドイッチ構造を備える。一次断熱パネル6の内部プレート30は、二次密閉膜4の波形金属シート24を固定するための金属取付プレート17、18と同様の方法で、一次密閉膜7の波形金属シート39を固定するための金属取付プレート32、33を備える。同様に、内部プレート30及び外部プレート31は、想定し得る特異領域を除き、平坦であることが好ましい。
【0077】
一次密閉膜7は、二次密閉膜4の波形金属シート24と同様の複数の波形金属シート39を組み付けることによって得られる。各波形金属シート39は、互いに垂直な2つの一連の波形部40を備える。前記一連の波形部40のそれぞれの波形部40は、対応する波形金属シート39のそれぞれの面と平行である。図1に示される実施形態では、波形部40はタンクの内側へ向けて突出する。波形金属シート39は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムから形成される。
【0078】
特に二次断熱障壁1及び一次断熱障壁5、断熱障壁1,5の固定構成要素、及び、密閉膜4,7に関する他の詳細及び他の実施形態は、国際公開第2016/046487号パンフレットの文書、国際公開第2013/004943号パンフレットの文書、或いは更には、国際公開第2014/057221号パンフレットの文書において見出され得る。
【0079】
そのようなタンクにおいて、二次密閉膜4の波形部25、26は、循環チャネルの網目構造を形成する。そのようなチャネルは、タンク壁の全体にわたって二次密閉膜4と一次断熱障壁5との間で連続的に延びる。したがって、そのようなチャネルは、特に横方向タンク壁などの重要な垂直構成要素を伴うタンク壁での対流移動を促進させる。連続チャネルのこの網目構造は、一次断熱障壁5で熱サイフォン現象をもたらし得る。本発明の1つの態様は、タンクの壁におけるこれらの対流移動を防止するという考えに基づいている。
【0080】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る二次密閉膜4の波形部25、26間の交差部における図1の部分II‐IIの部分斜視図を示す。同一の要素又は前述の機能と同じ機能を果たす要素は、同じ参照符号を使用する。
【0081】
図2には、第1の一連の波形部25の2つの波形部25及び第2の一連の波形部26の2つの波形部26のみが示され、これらの波形部25、26はそれらの交差点で二次密閉膜4の節点27を形成する。これらの波形部25、26及び節点27に関する以下の説明は、二次密閉膜4の全ての波形部25、26及び全ての節点27に同様に適用可能である。
【0082】
本発明の1つの態様は、二次密閉膜4の波形部25、26によって形成されるチャネルの長さを制限するという考えに基づいている。本発明の第1の実施形態によれば、断熱ライニング充填材ブロック16が二次密閉膜4の1つの、幾つかの、又は、全ての節点27に挿入される。これらの充填材ブロック16は、二次密閉膜4と一次断熱障壁5との間に配置されるように、波形金属シート24の内面上の節点27に配置される。図2では、そのような充填材ブロック16が二次密閉膜4の各節点27に配置される。
【0083】
そのような充填材ブロック16は、節点27内へ延びる十字形の断熱ブロックの形態をとり、節点27内へと充填材ブロック16が前記節点27を形成する溝25、26の部分に挿入されて突出する。更に、そのような充填材ブロック16は、節点27の形状と、前記充填材ブロック16が挿入される溝25、26の部分の形状とに一致する形状を伴う断面を有する。この第1の実施形態において、充填材ブロック16は、二次断熱障壁1に対する二次密閉膜4の設置後、二次密閉膜4に対する一次断熱パネル6の設置前に、節点27及び対応する波形25、26の部分に挿入される。
【0084】
充填材ブロック16は、波形部25、26によって形成されるチャネルにおける損失水頭を可能にする任意の材料から形成され得る。したがって、充填材ブロック16は、例えば、発泡体、フェルト、グラスウール、木材、又は、他の材料から形成され得る。
【0085】
好ましくは、充填材ブロック16は、その圧縮を可能にする可撓性発泡体で形成される。そのような可撓性発泡体により、充填材ブロック16を節点27及び波形部25、26の一部の寸法よりも僅かに大きい寸法に設計でき、それにより、可能な限り節点27の形状に適合するように、前記充填材ブロック16の僅かな圧縮を伴って、前記節点27及び波形部25、26の一部に充填材ブロック16を受け入れることができる。
【0086】
更に、充填材ブロック16は好ましくはオープンセル発泡体から形成される。そのようなオープンセル発泡体は、詰め物13に関して前述したように、不活性ガスなどのガスが一次断熱障壁5内で循環できるようにしつつ、波形部25、26により形成されるチャネル内の熱移動に損失水頭をもたらすことによって対流現象を制限できるようにする。
【0087】
したがって、充填材ブロック16は、波形部25、26により形成されるチャネルの長さを制限するプラグを形成する。一般に、各波形部は、2つの連続する節点27間にある前記波形部25、26の部分によってそれぞれ形成される複数の不連続なチャネルを形成する。2つの隣接する節点27間に位置される波形部25、26の部分に限定されるそのようなチャネルは、顕著な対流現象をもたらすことができるようにせず、特に熱サイフォン現象の発生を防止する。
【0088】
図示しない実施形態において、充填材ブロック16は、全ての節点27ではなく、幾つかの節点27のみに配置される。したがって、例えば、そのような充填材ブロック16は、前記節点27を形成する波形金属シート24の縁部に隣接する全ての節点27に配置される。他の例では、波形部25及び/又は26に沿う2つ又は3つのうちの1つの節点27のみに充填材ブロック16が充填される。
【0089】
図3は、本発明の第1の実施形態の別の実施形態に係る一次断熱障壁5の一次断熱パネル6の概略斜視底面図である。同一の要素又は前述の機能と同じ機能を果たす要素は、同じ参照符号を使用する。
【0090】
本発明の第1実施形態のこの別の実施形態において、充填材ブロック16は、一次断熱パネル6の外部プレート31の外面上、すなわち、前記パネル6の断熱ポリマー発泡体層29とは反対側の外部プレート31の面上に配置されるパッド20によって形成される。そのようなパッド20は、十字形充填材ブロック16を製造するための前述した材料などの任意の適した材料から形成される。図3において、これらのパッドは、円筒形状の可撓性オープンセル発泡体ブロックの形状をとる。そのようなパッド20は、任意の適切な手段、例えば、接着、留め具、両面テープ、又は、他の手段を使用して外部プレート31に固定される。したがって、一次断熱パネル6にパッド20を固定するこのステップは、前記一次断熱パネル6を製造するとき、すなわち、タンクの製造前に、有利に実行され得る。
【0091】
パッド20は、一次断熱パネル6が二次密閉膜4上に位置される際に節点27に挿入されるように外部プレート31上に配置される。したがって、図3は、一次断熱障壁5の下方の二次密閉膜4の波形部25、26の網目構造21を形成する波形部25、26を概略的に示す。図3に示されるように、パッド20は、それぞれが二次密閉膜4の波形部25,26の交差によって形成される節点27上に位置されるように外部プレート31上に配置される。
【0092】
したがって、図2を参照して前述したように、一次断熱パネル6の設置前に節点27に挿入される十字形充填材ブロック16とは異なり、第1の実施形態のこの別の実施形態は、一次断熱パネル6がタンク内に位置される際にパッドが前記節点27に直接に挿入される状態で、節点27内に充填材ブロックを設置するステップを必要としない。
【0093】
図3は、それぞれをそれぞれの節点27に挿入する必要がある4つのパッド20を示す。しかしながら、充填材ブロック16と同様の方法で、前述したように、前記パッド20の数及び配置は、節点27の全て又は一部のみを充填するように改変され得る。
【0094】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る図1の部分II‐IIの部分斜視図である。同一の要素又は前述の機能と同じ機能を果たす要素は、同じ参照符号を使用する。
【0095】
この第2の実施形態は、2つの連続する節点27間に位置される波形部25、26の部分にも耐熱ライニングが充填されるという点で第1の実施形態と異なる。したがって、節点27に受け入れられる十字形の充填材ブロック16に加えて、タンクは、節点27の外側に位置される波形部25、26の部分に受け入れられる充填材バー22を備える。そのような充填材バー22は、十字形の充填材ブロック16に関連して前述したような材料から形成され得る。好適には、バー22は、波形部25、26の内側の熱循環流に損失水頭をもたらしつつ、不活性ガスが波形部25、26で循環できるようにする材料から製造され、それにより、前記波形部25,26での対流による熱サイフォンの生成が防止される。
【0096】
同様に、これらの充填材バー22は、波形部25、26により形成されるチャネルをブロックするべく、好ましくは波形部25、26の断面と一致する断面形状をとるように設計される。これらの充填材バー22は、対応する波形部25,26の断面のかなりの部分、例えば前記波形部25、26の少なくとも80%を占めるべく、上方に配置される一次断熱パネル6の外部プレート31によって圧縮されるように他の形状、例えば円形形状をとることもできる。
【0097】
したがって、図5に示される好ましい実施形態によれば、充填材バー22は、前記バーが挿入される波形部25、26の全断面に対応する断面を伴う5~15cmの長さのバーの形態を成して製造される。このバーは、好適には、8~30kg/mの密度を伴う押出ポリスチレンから形成される。理想的には、バーは、設置に関連する破砕と僅かな熱収縮とに対応する1~2/10e mmの過剰な高さを有する。好適には、バーはそのプロファイルにセレーション49も有し、それにより、増大する流速の下で発生する水頭損失は大きいが、低速での水頭損失は、波形部25、26でのガスの循環を完全に妨げないように制限される。
【0098】
図6は、図4を参照して前述したような本発明の第2の実施形態の別の実施形態に係る、図1の断面III‐IIIに沿う二次断熱障壁の二次断熱パネル2の溝14に受け入れられる二次密閉膜4の波形部25の断面図を示す。同一の要素又は前述の機能と同じ機能を果たす要素は、同じ参照符号を使用する。更に、溝14に受け入れられる波形部25に関する図6を参照した以下の説明は、1つ以上の他の溝14及び/又は15に同様に適用される。
【0099】
図6に示されるように、溝14は、内部プレート10の厚さを完全に貫通して、断熱ポリマー発泡体層9に現れる。溝14は、対応する波形金属シート24が前記溝14を備える二次断熱パネル2上に設置されるときに前記溝14に受け入れられる波形部25に位置決めクリアランスを与えるように設計される。このクリアランスは、収縮及び膨張の違いによってもたらされる波形部と溝14の壁との間の相対的な動きも可能にしなければならない。
【0100】
波形部25、26は、対流により、一次断熱障壁5における熱サイフォンの形成を促進するチャネルの網目構造を形成するため、溝14、15は、対流による熱サイフォンのそのような現象の根源となり得るチャネルの網目構造も形成する網目構造を二次断熱障壁1に形成する。
【0101】
この現象を回避するために、第2実施形態の別の実施形態は、それが、節点27における充填材ブロック16及び波形部25,26における充填材バー22に加えて、二次断熱パネル2の内部プレート10の溝14、15内に配置される第3の充填材ブロック23を備えるという点で、図4を参照して説明した別の実施形態とは異なる。
【0102】
図6に示されるように、この第3の充填材ブロック23は、溝14、15によって形成される網目構造での低温循環に損失水頭をもたらすために溝14内に位置される。この第3の充填材ブロック23は、充填材ブロック16及び充填材バー22と同様であり、様々な材料から形成され得る。好ましくは、この詰め物は、不活性ガスの循環及び/又は二次断熱障壁1の漏れの検出を妨げないようにオープンセル可撓性発泡体から形成される。この第3の充填材ブロック23は、対応する波形金属シート24の設置前に溝14内に設置される。
【0103】
好ましくは、この第3の充填材ブロック23は、圧縮可能であるとともに、溝14全体にわたってその適切な分布を確保するために波形金属シート24の波形部25によって圧縮される。特に、この第3の充填材ブロック23に関しては、波形金属シート24が設置される際に押し潰される変形性の高い材料(超高密度発泡ポリスチレン(<10kg/m ^ 3)、メラミン発泡体、可撓性低密度ポリウレタンフォーム)が使用されることが好ましい。他の実施形態において、第3の充填材ブロックは、例えば、その波形部が前記溝14内に受け入れられなければならない波形金属シート24の設置の直前に溝14に堆積される、樹脂又は硬質低密度ポリウレタン発泡体から形成される適合可能な要素の形態で製造される。
【0104】
図6は、二次金属シート24の波形部25における第3の充填材ブロック23の使用を示す。しかしながら、外向きの波形部40、すなわち、タンクの外側へ向けて突出して一次断熱パネル6の内部プレート31に形成される対応する溝に受け入れられる波形部を有する一次密閉膜7の図示しない範囲内では、一次断熱パネル6の内部プレート31に形成される前記溝によって形成されるチャネルを充填するために同様の態様で第3の充填材ブロック23が使用され得る。
【0105】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る密閉された断熱タンクの壁の断面図を示す。同一の要素又は前述の機能と同じ機能を果たす要素は、同じ参照符号を使用する。
【0106】
この第3の実施形態は、二次密閉膜4の波形部25,26並びに一次密閉膜7の波形部40が内向きの波形部、すなわち、タンクの内側に向かって突出している点で第2の実施形態と異なる。したがって、二次密閉膜4の波形部25、26を収容する溝14、15は、一次断熱パネル6の外部プレート30に形成される。その結果、充填材ブロック16及び充填材バー22は、波形金属シート24と二次断熱パネル2の内部プレート10との間に配置される。更に、第3の充填材ブロック23は、前記一次断熱パネル6と二次密閉膜4の波形部25、26との間の一次断熱パネル6の外部プレート30に設けられる溝14、15内に受け入れられる。
【0107】
更に、図7に示されるように、充填材ブロック16及び充填材バー22を、前記波形部40と前記一次断熱パネル6の内部プレート31との間で、一次密閉膜7の波形部40の下方に位置させることができる。また、固定構成要素19を受け入れるために一次断熱パネル6の角部に形成されるシャフトに断熱ライニング51を位置させることもできる。前述の実施形態の場合のように、二次密閉膜4及び/又は一次密閉膜7の節点及び/又は波形部及び/又は前記波形部を受け入れる溝の全て又は一部のみに充填材ブロックを設置することができる。
【0108】
図8は、本発明の第4の実施形態に係る、一次密閉膜が示されない密閉された断熱タンクの部分斜視図である。同一の要素又は前述の機能と同じ機能を果たす要素は、同じ参照符号を使用する。
【0109】
図8では、2つの一次断熱パネル6間の空間8が破線28で示される。したがって、波形部25、26及び溝14、15と同様に、一次断熱パネル6間の空間8は、特に、タンクに収容されるLNGと接触している一次密閉膜7が前記一次断熱パネル6によって支持されるという事実に起因して、対流により二次密閉膜4に向かって冷気が循環できるようにするとともにタンク壁の断熱に有害な熱サイフォンの形成を可能にする循環チャネルを形成する網目構造を形成する。
【0110】
第4の実施形態に係る発明は、前記隣接する一次断熱パネル間の空間8に沿って隣接する一次断熱パネル6間に配置される対流防止カバープレート34の設置を提供する。そのような対流防止プレート34は多くの材料から形成され得る。好ましくは、これらの対流防止プレートは、連続的な非多孔性又は低多孔性材料から形成される。したがって、対流防止カバープレート34は、例えば、紙、厚紙、或いは更には、合成、プラスチック又は他のフィルムから形成されるフィルムである。そのような対流防止プレートは、図8に示されるように、全ての空間8又は前記空間8の一部のみと一直線を成して配置され得る。
【0111】
図9を参照すると、対流防止カバープレート34は、前記一次断熱パネル6間の空間8と一直線を成して一次断熱パネル6に沿って延びる。前記一次断熱パネル6の内部プレート31の内縁部は、対流防止カバープレート34が前記内部プレート31の内面と同一平面上にあるように、対流防止カバープレート34の対応する縁部36が受け入れられる皿穴35を備える。したがって、対流防止カバープレート34は、空間8を覆うとともに、空間8を一次密閉膜7から分離し、それにより、タンク壁の空間8によって形成される網目構造に熱サイフォン現象をもたらす可能性がある異なる温度を伴うチャネルの形成が防止される。
【0112】
好ましくは、対流防止プレートは、0.2mm~2mmの厚さの密封材料から形成される。この密封材料は、例えば、プラスチック材料(PEI、PVCなど)、厚紙、厚手のラミネート紙、繊維板などである。
【0113】
対流防止カバープレート34の幅は、対流防止プレートが内部プレート31及び前記対流防止カバープレート34の任意の収縮のために例えば少なくとも10mmの最小支持面上に皿穴35内で載るように選択される。言い換えると、対流防止カバープレート34は、タンクがLNGで満たされるときを含めて、その縁部36が皿穴35に受け入れられるように設計される。この目的のため、前記縁部36が皿穴にその収縮状態で受け入れられたままとなるようにするべく、対流防止プレートの縁部36のうちの1つが皿穴35の外側の内部プレート31を覆うように皿穴35から部分的に現れ得る。対流防止カバープレート34の縁部36は、皿穴35内の2つの一次断熱パネル6のうちの1つに留められ又は接着される。
【0114】
図8に示されるように、一次断熱障壁5は、一次断熱障壁5の固定構成要素19を受け入れるためのシャフトの近傍で一次密閉膜7の支持面を完成させることができるようにする複数の閉鎖プレート38を備える。これらのシャフトが一次断熱パネル6間の空間8の延在部に配置された状態で、対流防止カバープレート34を前記閉鎖プレート38で中断できる。好ましくは、この場合、対流防止カバープレート34は、一次密閉膜7と空間8との間の通路の存在を制限するように前記閉鎖プレート38に接合される。好ましくは、対流防止カバープレート34及び閉鎖プレート38は、一次密閉膜7のための連続した平坦面を形成するように、一次断熱パネル6の内部プレート31と同一平面上にある。
【0115】
図示しない別の実施形態において、対流防止プレート34は、閉鎖プレート38を少なくとも部分的に覆う。対流防止カバープレート34の端部は、例えば、閉鎖プレート38及び対流防止プレート34が一次断熱パネル6の内部プレート31と同一平面上にあるように、閉鎖プレート38に設けられる皿穴(図示せず)に受け入れられる。
【0116】
他の別の実施形態において、対流防止プレート34は、連続的であり、閉鎖プレート38を完全に覆う。対流防止カバープレート34は、一次断熱パネル6の内部プレート31と同一平面上にあることが好ましい。
【0117】
他の好ましい別の実施形態において、対流防止カバープレート34は、連続的であり、閉鎖プレート38を完全に覆う。対流防止カバープレート34は、閉鎖プレート38の上方を通過するときを含めて、一次断熱パネル6の内部プレート31と同一平面上にあることが好ましい。
【0118】
図17に概略的に示される他の別の実施形態では、対流防止プレート34が「L」形状をとる、すなわち、同じ対流防止カバープレート34は、同じ一次断熱パネル6の内部プレート30の2つの接合縁部を覆い、したがって、前記一次断熱パネル6と2つの隣接する一次断熱パネル6とによって形成される空間8に沿って位置される。したがって、一次断熱パネル6の内部プレート31は、全ての空間8が徐々に塞がれるように、2つの対流防止カバープレートを受け入れる。
【0119】
図10に示されるこの第4の実施形態の別の実施形態において、対流防止カバープレート34は、2つのリップ36を接続する対流防止カバープレート34の中央部分41が隣接する一次断熱パネル6を離間させる空間8に受け入れられるように折り曲げられる。別の実施形態として、カバープレート34の第2の縁部は、空間8から逸脱することなく第2の一次断熱パネル6の側面に沿って支持され得る。
【0120】
図11図15は、本発明の第5の実施形態の様々な別の実施形態を示す。
【0121】
この第5の実施形態は、対流防止カバープレート34が空間8内に受け入れられる対流防止充填材ストリップ37に置き換えられる点で図8図10に示される第4の実施形態と異なる。同一の要素又は前述の機能と同じ機能を果たす要素は、同じ参照符号を使用する。そのような対流防止ストリップは好ましくは圧縮可能である。この対流防止ストリップは、前記一次断熱パネル6を二次密閉膜4に設置した後、一次断熱パネル6間の空間8に挿入される。この目的のため、対流防止ストリップは、必要に応じて、おそらくは強制的に一次断熱パネル6間に挿入されるように厚さ方向に圧縮される。
【0122】
この対流防止充填材ストリップ37は、多くの方法で製造され得る。1つの実施形態において、対流防止充填材ストリップ37は、充填されるべき空間8の寸法の変更を可能にする有意な予応力を有するべく、空間8に強制的に挿入される多孔質材料から形成され得る。多孔質材料から形成されるそのような対流防止充填材ストリップ37は、例えば10mm~100mmの大きな空間8に特に適合している。そのような多孔質材料は、例えば理想的には積み重ねられた層から形成されるグラスウールであってもよい。
【0123】
しかしながら、図1を参照して前述したように、2つの一次断熱パネル6間の空間8は、比較的狭く、一般的には約4mm±3mmとなり得る。そのような限られた空間は、二次断熱パネル2間の空隙12とは異なり、非常に薄い断熱ライニングを挿入しても確実に充填され得ない。実際に、一次断熱パネル6の粗さは、それが挿入されるときにそのような非常に薄い断熱ライニングを損傷する可能性がある。この粗さは、とりわけ、一次断熱パネル6の断熱発泡体層29中のガラス繊維の存在と関連付けられる。したがって、好ましい解決策では、僅かな熱勾配のみを受けるとともに空間8を損傷させることなく対流防止充填材ストリップ37を挿入できるようにする十分な抵抗を有する別個の層に対流防止充填材ストリップ37の全体積を分離するべく、グラスウール層間に密封材料(図示せず)のシートが組み込まれる。
【0124】
図11は、対流防止充填材ストリップ37の一実施形態を示す。対流防止充填材ストリップ37は、圧縮性コア42を備える多層構造を有する。したがって、この第5の実施形態の一実施形態を示す図11において、対流防止充填材ストリップ37は、一次断熱パネル6のそれぞれの皿穴35に受け入れられるリップ44をそれぞれが備える2つのシート43を備える。このリップ44は皿穴35に留められ、それにより、一次断熱パネル6間の空間8の寸法の変更中でさえ、例えばタンク内へのLNGの導入に伴う収縮中であっても、前記リップ44が皿穴35内に留まることができる。
【0125】
各シート43は、皿穴35から二次密閉膜4に向かって、一次断熱パネル6に沿う一次断熱パネル6間の空間8内へと延びる。2枚のシート43は、一次断熱パネル6間の空間8に受け入れられる圧縮性コア42によって接続される。シート43及び圧縮性コア42は、密閉材料、例えば、プラスチック材料(PEI、PVCなど)、厚紙、厚いラミネート紙又は他の材料から形成される。したがって、シート43及び圧縮性コア42は、狭い空間8の場合でも、前記パネル6の粗さによって損傷を受けることなく、一次断熱パネル6に沿って挿入され得る。
【0126】
対流防止充填材ストリップ37の圧縮性コア42は、多くの方法で製造され得る。図11及び12に示される例において、圧縮性コア42は、一次断熱パネル6間の空間8内の各シート43に沿って延びるセルの列から形成されるハニカム構造を備え、この場合、各セルは、前記シート43を構造的に接続するために前記2つのシート43に固定される。圧縮性コア42の他の例が図13及び14に関連して示される。
【0127】
図12図13は、対流防止充填材ストリップ37の別の実施形態を示す。この別の実施形態は、対流防止充填材ストリップ37のシート43がリップ44を備えず且つ一次断熱パネル6が皿穴35を備えないという点で異なる。したがって、対流防止充填材ストリップ37は、一次断熱パネル6間の空間8内に直接に受け入れられて該空間8内へと延びる。
【0128】
図13に示される例において、圧縮性コア42は、2枚のシート43を分離して一次断熱パネル6に沿って空間8内へと延びる複数のチューブ46によって形成される。
【0129】
図14に示される例において、圧縮性コア42は、2枚のシート43間で延びるとともに一次断熱パネル6に沿って空間8内へと延びる複数の長方形断面セル48を画定する複数のスペーサ47から形成される。
【0130】
図15は、対流防止充填材ストリップ37の別の実施形態を示す。この別の実施形態は、対流防止充填材ストリップ37が多層構造ではなく単一の波形シート45であるという点で異なる。そのような波形シート45は、一次断熱パネル6間の空間8を、前記パネル6に沿って連続的に延びる複数のセルに分離する。
【0131】
前述の一次断熱パネル6及び二次断熱パネル2の輪郭形状は一般に長方形であるが、他の輪郭形状、特に平らな壁を覆うための六角形又はタンクの特別な領域を覆うための随意的に不均一な適切な輪郭形状が想定し得る。
【0132】
図16を参照すると、LNGタンカー船70の破断図は、船の二重船体72に取り付けられる一般的な角柱形状を伴う密封され断熱タンク71を示す。タンク71の壁は、タンクに収容されるLNGと接触するようになっている一次密閉膜と、一次密閉膜と船舶の二重船体72との間に配置される二次密閉膜と、一次密閉膜と二次密閉膜との間及び二次密閉膜と二重船体72との間にそれぞれ配置される2つの断熱障壁とを備える。
【0133】
それ自体知られている態様で、船の上側デッキに配置される積み込み/積み降ろしパイプライン73は、適切なコネクタによって、LNG貨物をタンク71から又はタンク71に輸送するための海上又は港湾ターミナルに接続され得る。
【0134】
図16は、積み込み及び積み降ろしステーション75、水中パイプ76、及び、陸上設備77を備える海上ターミナルの一例を示す。積み込み及び積み降ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタレット78とを備える固定沖合設備である。可動アーム74は、積み込み/積み降ろしパイプライン73に接続され得る断熱された可撓性ホース79の束を支持する。方向付け可能な可動アーム74は、あらゆる形態のLNGタンカーに適合する。図示しない接続パイプがタレット78の内部で延びる。積み込み及び積み降ろしステーション75は、液化ガス貯留タンク80と、水中パイプ76によって積み込み又は積み降ろしステーション75に接続される接続パイプ81とを備える陸上設備77から又は陸上設備77への船舶70の積み込み及び積み降ろしを可能にする。水中パイプ76により、液化ガスは、かなりの距離、例えば5kmにわたって積み込み又は積み降ろしステーション75と陸上設備77との間を移動することができ、これにより、積み込み及び積み降ろし作業中にLNGタンカー船70を岸からかなりの距離に保つことができる。
【0135】
液化ガスを移送するのに必要な圧力を生成するために、船舶70に搭載されたポンプ及び/又は陸上設備77に装備されたポンプ及び/又は積み込み及び積み降ろしステーション75に装備されたポンプが使用される。
【0136】
本発明を複数の特定の実施形態に関して説明してきたが、本発明が決してそれらに限定されるものではなく、また、本発明が、説明した手段の技術的同等物の全て、及び、それらが特許請求の範囲によって規定される発明の範囲に入る場合にはそれらの組み合わせを含むことは明らかである。
【0137】
動詞「備える」又は「含む」及びその共役形式の使用は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の他の要素又はステップの存在を排除するものではない。
【0138】
特許請求の範囲では、括弧内の任意の参照符号が特許請求の範囲の限定として解釈され得ない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17