(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】信頼性の改善のための導電性ポリマー分散液
(51)【国際特許分類】
H01G 9/028 20060101AFI20220916BHJP
C08G 61/12 20060101ALI20220916BHJP
H01G 9/00 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
H01G9/028 G
C08G61/12
H01G9/00 290H
(21)【出願番号】P 2020520233
(86)(22)【出願日】2018-09-24
(86)【国際出願番号】 US2018052418
(87)【国際公開番号】W WO2019079002
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-04-09
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511231986
【氏名又は名称】ケメット エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブンハ アジャイクマル
(72)【発明者】
【氏名】チャッコ アントニー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン チンピン
(72)【発明者】
【氏名】シー ヤールー
(72)【発明者】
【氏名】レスナー フィリップ エム.
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-258307(JP,A)
【文献】特表2014-519204(JP,A)
【文献】特開2006-295184(JP,A)
【文献】国際公開第2015/198587(WO,A1)
【文献】特表2016-530711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/028
C08G 61/12
H01G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解コンデンサを形成する方法であって、
陽極酸化陽極を準備することと、
導電性ポリマー層を前記陽極酸化陽極上に形成することと、
を含み、前記導電性ポリマー層が導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第1の粒子と、該導電性ポリマー及び該ポリアニオンを含む第2の粒子とを含み、前記第1の粒子が少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下の平均粒径を有し、前記第2の粒子が少なくとも1nm~600nm以下の平均粒径を有し、前記第1の粒子及び前記第2の粒子が分散液中にあって、前記分散液がモノマー溶液の高剪断重合によって形成され、前記モノマー溶液が、少なくとも3wt%
~10wt%(固形分)以下のモノマー及びポリアニオンまでを含む、方法。
【請求項2】
前記導電性ポリマーが少なくとも5wt%~95wt%以下の前記第1の粒子を含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項3】
前記第1の粒子が少なくとも1ミクロン~5ミクロン以下の平均粒径を有する、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項4】
前記第2の粒子が少なくとも100nm~500nm以下の平均粒径を有する、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項5】
前記第1の粒子が前記導電性ポリマーと前記ポリアニオンとの第1のモル比を有し、前記第2の粒子が前記導電性ポリマーと前記ポリアニオンとの第2のモル比を有する、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項6】
前記第1のモル比及び前記第2のモル比が独立して少なくとも1:0.1~0.1:1以下である、請求項5に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項7】
前記第2のモル比が前記第1のモル比よりも高い、請求項6に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項8】
前記第2のモル比が前記第1のモル比よりも少なくとも10モル%高い、請求項7に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項9】
前記ポリアニオンが100~500000の分子量を有する、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項10】
前記第1の粒子中の前記ポリアニオン及び前記第2の粒子中の前記ポリアニオンが異なる分子量を有する、請求項9に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項11】
前記導電性ポリマー層がドーパント及び反応性モノマーからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項12】
前記ドーパントがポリスチレンスルホネート、ポリスチレンスルホン酸及びポリエチレングリコールモノアクリレートからなる群から選択される、請求項11に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項13】
前記反応性モノマーが2つ以上のエポキシ基、少なくとも1つの酸性基、少なくとも1つのアルコール基及び少なくとも1つのアクリレート基を含む化合物からなる群から選択される、請求項11に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項14】
前記添加剤がエチレングリコールジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル;ペンチレングリコールジグリシジルエーテル;ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル;レゾルシノールグリシジルエーテル;グリセロールジグリシジルエーテル;グリセロールポリグリシジルエーテル;ジグリセロールポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル;ソルビトールジグリシジルエーテル;ソルビトールポリグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル;ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル;1,3-ブタジエンジエポキシド;1,5-ヘキサジエンジエポキシド;1,2,7,8-ジエポキシオクタン;1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン;4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド;ビスフェノールAジグリシジルエーテル;マレイミド-エポキシ化合物;ジグリシジルエーテル;グリシジルアクリレート;グリシジルメタクリレート;エポキシ;ビスフェノールAエポキシ、エポキシ化ビスフェノールAノボラック修飾したエポキシ、ウレタン修飾したビスフェノールAエポキシ、エポキシ化o-クレゾールノボラック;シュウ酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;ピメリン酸;スベリン酸;アゼライン酸;セバシン酸;ドデカン二酸;フタル酸;マレイン酸;ムコン酸;クエン酸;トリメシン酸;ポリアクリル酸;フタル酸;ジエチレングリコール;ペンタエリトリトール;トリエチレングリコール;オリゴ/ポリエチレングリコール;トリエチレングリコールモノクロロヒドリン;ジエチレングリコールモノクロロヒドリン;オリゴエチレングリコールモノクロロヒドリン;トリエチレングリコールモノブロモヒドリン;ジエチレングリコールモノブロモヒドリン;オリゴエチレングリコールモノブロモヒドリン;ポリエチレングリコール;ポリエーテル;ポリエチレンオキシド;トリエチレングリコール-ジメチルエーテル;テトラエチレングリコール-ジメチルエーテル;ジエチレングリコール-ジメチルエーテル;ジエチレングリコール-ジエチルエーテル-ジエチレングリコール-ジブチルエーテル;ジプロピレングリコール;トリプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;ポリプロピレンジオキシド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;2-ヒドロキシエチルメタクリレート;2-ヒドロキシプロピルメタクリレート;n-ブトキシエチルメタクリレート;n-ブトキシエチレングリコールメタクリレート;メトキシトリエチレングリコールメタクリレート;メトキシポリエチレングリコールメタクリレート;2-ヒドロキシエチルアクリレート;2-ヒドロキシプロピルアクリレート;n-ブトキシエチルアクリレート;n-ブトキシエチレングリコールアクリレート;メトキシトリエチレングリコールアクリレート;メトキシポリエチレングリコールアクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジグリシジルエーテル;グリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル;トリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;プロピレングリシジルエーテル;トリプロピレングリシジルエーテル;ポリプロピレングリシジルエーテル;グリセリンジグリシジルエーテル;グリシジルメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート;エチレンオキシド修飾したトリメチロールプロパントリアクリレート;エチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールトリアクリレート及びエチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールテトラアクリレートからなる群から選択される、請求項11に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項15】
前記導電性ポリマー層が内側ポリマー層と外側ポリマー層とを備える、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項16】
前記内側ポリマー層がモノマーのin-situ重合によって形成される、請求項15に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項17】
前記内側ポリマー層が溶媒中の導電性ポリマー及びポリアニオンのナノ粒子を含む混合物から形成される、請求項15に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子が少なくとも1nm~50nm以下の平均直径を有する、請求項17に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項19】
前記混合物が界面活性剤及び接着促進剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む、請求項17に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項20】
前記外側ポリマー層がポリマー副層を備える、請求項15に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項21】
前記外側ポリマー層が最大10個の前記ポリマー副層を備える、請求項20に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項22】
前記
ポリマー副層の少なくとも1つの
ポリマー副層が前記第1の粒子と前記第2の粒子とを含む、請求項20に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項23】
前記
ポリマー副層の各々の
ポリマー副層が前記第1の粒子と前記第2の粒子とを含む、請求項20に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項24】
少なくとも1つの前記
ポリマー副層を、先に塗布された
ポリマー副層上に直接コーティングする、請求項20に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項25】
前記導電性ポリマーがポリアニリン、ポリピロール及びポリチオフェンから選択される導電性ポリマーを含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項26】
前記導電性
ポリマー層を形成することが、前記第1の粒子と前記第2の粒子とを含む分散液を塗布することを含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項27】
前記分散液が界面活性剤又は接着促進剤から選択される少なくとも1つの化合物を更に含む、請求項26に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項28】
前記導電性ポリマーが、式I:
【化1】
(式中、
R
1及びR
2は、独立して直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン若しくはOR
3によって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであるか、又はR
1及びR
2が共に、非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C
1~C
4アルキルフェニル、C
1~C
4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C
1~C
4アルキルベンジル、C
1~C
4アルコキシベンジル若しくはハロベンジル、2つの酸素元素を含有する5員、6員若しくは7員の複素環構造によって置換された直鎖C
1~C
6アルキレンであり、
R
3は、水素、直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキルによって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり、
Xは、S、N又はOである)の構造を有する共役基を含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項29】
式IのR
1及びR
2が共に-O-(CHR
4)
n-O-を表し、ここで、
nは、1~5の整数、最も好ましくは2であり、
R
4は、独立して水素;カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、アクリレート、チオール、アルキン、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホン酸、イミド、アミド、エポキシ、無水物、シラン及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された直鎖若しくは分岐C
1~C
18アルキルラジカル、C
5~C
12シクロアルキルラジカル、C
6~C
14アリールラジカル、C
7~C
18アラルキルラジカル若しくはC
1~C
4ヒドロキシアルキルラジカル;ヒドロキシルラジカルから選択されるか、又はR
4は、-(CHR
5)
a-R
16、-O(CHR
5)
aR
16、-CH
2O(CHR
5)
aR
16、-CH
2O(CH
2CHR
5O)
aR
16から選択されるか、又はR
4は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、アミド、イミド、無水物、ヒドロキシメチル、アルケン、チオール、アルキン、アジド、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルフェート、SO
3M、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートからなる群から選択される官能基であり、
R
5は、H又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、エポキシ、アクリレート及び無水物から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
R
16は、H若しくはSO
3M、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、アミド、イミド、スルフェート、SO
3M、エポキシ、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
aは、0~10の整数であり、
Mは、H、又は好ましくはアンモニア、ナトリウム若しくはカリウムから選択されるカチオンである、請求項28に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項30】
前記導電性ポリマーがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項29に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項31】
前記ポリアニオンが、式2:
A
xB
yC
z 式2
(式中、
Aは、ポリスチレンスルホン酸又はポリスチレンスルホン酸塩であり、
B及びCは、別個に、
-カルボキシル基、
-C(O)OR
6(ここで、
R
6は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、ホスフェート、アクリレート、無水物及び-(CHR
7CH
2O)
b-R
8からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルからなる群から選択され、
R
7は、水素又は炭素数1~7のアルキルから選択され、
bは、1から-CHR
7CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
8は、水素;シラン;ホスフェート;アクリレート;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C(O)-NHR
9(ここで、
R
9は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルである)、
-C
6H
4-R
10(ここで、
R
10は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換されたアルキル;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、イミド、アミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート、無水物、及び-(O(CHR
11CH
2O)
d-R
12からなる群から選択される反応基から選択され、
R
11は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
dは、1から-CHR
11CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
12は、水素;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C
6H
4-O-R
13(ここで、
R
13は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される反応基で任意に置換されたアルキル;エポキシ、シラン、アルケン、アルキン、アクリレート、ホスフェート、及び-(CHR
14CH
2O)
e-R
15からなる群から選択される反応基から選択され、
R
14は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
eは、1から-CHR
14CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
15は、水素、並びにヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)から選択される基で置換された重合単位を表し、
x、y及びzは、合わせて分子量が少なくとも100~500000以下のポリアニオンを形成するのに十分であり、
y/xは、0~100であり、
zは、0から100以下のz/x比までである)によって表される、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項32】
yがx+y+zの総計の1%~50%に相当し、zが0%~49%に相当する、請求項31に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項33】
前記分散液が、有孔ステーターを備えるローター-ステーター混合システムを用いたモノマー溶液の高剪断重合によって形成される、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項34】
前記
有孔ステーターが少なくとも0.25mmの相当直径を有する
孔を備える、請求項33に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項35】
前記
有孔ステーターが6mm以下の相当直径を有する
孔を備える、請求項33に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項36】
前記固体電解コンデンサが85%湿度にて85℃で1000時間後に100%未満のESRシフトを有する、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項37】
前記固体電解コンデンサが85%湿度にて85℃で1000時間後に0.1CV未満の漏洩を有する、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項38】
前記陽極酸化陽極がバルブ金属を含む、請求項1に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項39】
前記バルブ金属がニオブ、アルミニウム、タンタル及びNbOからなる群から選択される、請求項
38に記載の固体電解コンデンサを形成する方法。
【請求項40】
固体電解コンデンサであって、
陽極酸化陽極と、
前記陽極酸化陽極上の導電性ポリマー層と、
を備え、前記導電性ポリマー層が導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第1の粒子と、前記導電性ポリマー及び前記ポリアニオンを含む第2の粒子とを含み、前記第1の粒子が少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下の平均粒径を有し、前記第2の粒子が少なくとも1nm~600nm以下の平均粒径を有し、前記第1の粒子が前記導電性ポリマーと前記ポリアニオンとの第1のモル比を有し、前記第2の粒子が前記導電性ポリマーと前記ポリアニオンとの第2のモル比を有し、前記第2のモル比が前記第1のモル比よりも高い、固体電解コンデンサ。
【請求項41】
前記導電性ポリマーが少なくとも5wt%~95wt%以下の前記第1の粒子を含む、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項42】
前記第1の
粒子の平均粒径が少なくとも1ミクロン~5ミクロン以下である、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項43】
前記第2のモル比が前記第1のモル比よりも少なくとも10モル%高い、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項44】
前記ポリアニオンが100~500000の分子量を有する、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項45】
前記第1の粒子中の前記ポリアニオン及び前記第2の粒子中の前記ポリアニオンが異なる分子量を有する、請求項44に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項46】
前記導電性ポリマー層がドーパント及び反応モノマーからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項47】
前記ドーパントがポリスチレンスルホネート、ポリスチレンスルホン酸及びポリエチレングリコールモノアクリレートからなる群から選択される、請求項46に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項48】
前記反応モノマーが2つ以上のエポキシ基、少なくとも1つの酸性基、少なくとも1つのアルコール基及び少なくとも1つのアクリレート基を含む化合物からなる群から選択される、請求項46に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項49】
前記添加剤がエチレングリコールジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル;ペンチレングリコールジグリシジルエーテル;ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル;レゾルシノールグリシジルエーテル;グリセロールジグリシジルエーテル;グリセロールポリグリシジルエーテル;ジグリセロールポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル;ソルビトールジグリシジルエーテル;ソルビトールポリグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル;ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル;1,3-ブタジエンジエポキシド;1,5-ヘキサジエンジエポキシド;1,2,7,8-ジエポキシオクタン;1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン;4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド;ビスフェノールAジグリシジルエーテル;マレイミド-エポキシ化合物;ジグリシジルエーテル;グリシジルアクリレート;グリシジルメタクリレート;ビスフェノールAエポキシ;エポキシ化ビスフェノールA;ノボラック修飾したエポキシ、ウレタン修飾したビスフェノールAエポキシ、エポキシ化o-クレゾールノボラック;シュウ酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;ピメリン酸;スベリン酸;アゼライン酸;セバシン酸;ドデカン二酸;フタル酸;マレイン酸;ムコン酸;クエン酸;トリメシン酸;ポリアクリル酸;フタル酸;ジエチレングリコール;ペンタエリトリトール;トリエチレングリコール;オリゴ/ポリエチレングリコール;トリエチレングリコールモノクロロヒドリン;ジエチレングリコールモノクロロヒドリン;オリゴエチレングリコールモノクロロヒドリン;トリエチレングリコールモノブロモヒドリン;ジエチレングリコールモノブロモヒドリン;オリゴエチレングリコールモノブロモヒドリン;ポリエチレングリコール;ポリエーテル;ポリエチレンオキシド;トリエチレングリコール-ジメチルエーテル;テトラエチレングリコール-ジメチルエーテル;ジエチレングリコール-ジメチルエーテル;ジエチレングリコール-ジエチルエーテル-ジエチレングリコール-ジブチルエーテル;ジプロピレングリコール;トリプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;ポリプロピレンジオキシド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;2-ヒドロキシエチルメタクリレート;2-ヒドロキシプロピルメタクリレート;n-ブトキシエチルメタクリレート;n-ブトキシエチレングリコールメタクリレート;メトキシトリエチレングリコールメタクリレート;メトキシポリエチレングリコールメタクリレート;2-ヒドロキシエチルアクリレート;2-ヒドロキシプロピルアクリレート;n-ブトキシエチルアクリレート;n-ブトキシエチレングリコールアクリレート;メトキシトリエチレングリコールアクリレート;メトキシポリエチレングリコールアクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジグリシジルエーテル;グリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル;トリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;プロピレングリシジルエーテル;トリプロピレングリシジルエーテル;ポリプロピレングリシジルエーテル;グリセリンジグリシジルエーテル;グリシジルメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート;エチレンオキシド修飾したトリメチロールプロパントリアクリレート;エチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールトリアクリレート及びエチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールテトラアクリレートからなる群から選択される、請求項46に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項50】
前記導電性ポリマー層が内側ポリマー層と外側ポリマー層とを備える、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項51】
前記導電性ポリマーがポリアニリン、ポリピロール及びポリチオフェンから選択される導電性ポリマーを含む、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項52】
前記導電性ポリマーが式I:
【化2】
(式中、
R
1及びR
2は、独立して直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン若しくはOR
3によって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであるか、又はR
1及びR
2が共に、非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C
1~C
4アルキルフェニル、C
1~C
4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C
1~C
4アルキルベンジル、C
1~C
4アルコキシベンジル若しくはハロベンジル、2つの酸素元素を含有する5員、6員若しくは7員の複素環構造によって置換された直鎖C
1~C
6アルキレンであり、
R
3は、水素、直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキルによって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり、
Xは、S、N又はOである)の構造を有する共役基を含む、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項53】
式IのR
1及びR
2が共に-O-(CHR
4)
n-O-を表し、ここで、
nは、1~5の整数、最も好ましくは2であり、
R
4は、独立して水素;カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、アクリレート、チオール、アルキン、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホン酸、イミド、アミド、エポキシ、無水物、シラン及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された直鎖若しくは分岐C
1~C
18アルキルラジカル、C
5~C
12シクロアルキルラジカル、C
6~C
14アリールラジカル、C
7~C
18アラルキルラジカル若しくはC
1~C
4ヒドロキシアルキルラジカル;ヒドロキシルラジカルから選択されるか、又はR
4は、-(CHR
5)
a-R
16、-O(CHR
5)
aR
16、-CH
2O(CHR
5)
aR
16、-CH
2O(CH
2CHR
5O)
aR
16から選択されるか、又はR
4は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、アミド、イミド、無水物、ヒドロキシメチル、アルケン、チオール、アルキン、アジド、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルフェート、SO
3M、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートからなる群から選択される官能基であり、
R
5は、H、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、エポキシ、アクリレート及び無水物から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
R
16は、H若しくはSO
3M、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、アミド、イミド、スルフェート、SO
3M、エポキシ、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
aは、0~10の整数であり、
Mは、H、又は好ましくはアンモニア、ナトリウム若しくはカリウムから選択されるカチオンである、請求項52に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項54】
前記導電性ポリマーがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項53に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項55】
前記ポリアニオンが、式2:
A
xB
yC
z 式2
(式中、
Aは、ポリスチレンスルホン酸又はポリスチレンスルホン酸塩であり、
B及びCは、別個に、
-カルボキシル基、
-C(O)OR
6(ここで、
R
6は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、ホスフェート、アクリレート、無水物及び-(CHR
7CH
2O)
b-R
8からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルからなる群から選択され、
R
7は、水素又は炭素数1~7のアルキルから選択され、
bは、1から-CHR
7CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
8は、水素;シラン;ホスフェート;アクリレート;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C(O)-NHR
9(ここで、
R
9は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルである)、
-C
6H
4-R
10(ここで、
R
10は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換されたアルキル;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、イミド、アミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート、無水物、及び-(O(CHR
11CH
2O)
d-R
12からなる群から選択される反応基から選択され、
R
11は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
dは、1から-CHR
11CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
12は、水素;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C
6H
4-O-R
13(ここで、
R
13は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される反応基で任意に置換されたアルキル;エポキシ、シラン、アルケン、アルキン、アクリレート、ホスフェート、及び-(CHR
14CH
2O)
e-R
15からなる群から選択される反応基から選択され、
R
14は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
eは、1から-CHR
14CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
15は、水素、並びにヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)から選択される基で置換された重合単位を表し、
x、y及びzは、合わせて分子量が少なくとも100~500000以下のポリアニオンを形成するのに十分であり、
y/xは、0~100であり、
zは、0から100以下のz/x比までである)によって表される、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項56】
yがx+y+zの総計の1%~50%に相当し、zが0%~49%に相当する、請求項55に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項57】
85%湿度にて85℃で1000時間後に100%未満のESRシフトを有する、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項58】
85%湿度にて85℃で1000時間後に0.1CV未満の漏洩を有する、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項59】
前記陽極酸化陽極がバルブ金属を含む、請求項40に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項60】
前記バルブ金属がニオブ、アルミニウム、タンタル及びNbOからなる群から選択される、請求項
59に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項61】
分散液を形成する方法であって、
少なくとも3wt%~10wt%(固形分)以下のモノマー及びポリアニオンを含む溶液中のモノマー及びポリアニオンを準備することと、
前記モノマーを高剪断重合によって重合させることと、
を含み、前記分散液が導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第1の粒子と、前記導電性ポリマー及び前記ポリアニオンを含む第2の粒子とを含み、前記第1の粒子が少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下の平均粒径を有し、前記第2の粒子が少なくとも1nm~600nmの平均粒径を有する、方法。
【請求項62】
前記導電性ポリマーが少なくとも5wt%~95wt%以下の前記第1の粒子を含む、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項63】
前記高剪断重合が有孔ステーターを備えるローター-ステーター混合システムによるものである、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項64】
前記
有孔ステーターが少なくとも0.25mmの相当直径を有する
孔を備える、請求項63に記載の分散液を形成する方法。
【請求項65】
前記
有孔ステーターが6mm以下の相当直径を有する
孔を備える、請求項63に記載の分散液を形成する方法。
【請求項66】
前記第1の粒子が少なくとも1ミクロン~5ミクロン以下の平均粒径を有する、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項67】
前記第1の粒子が前記導電性ポリマーと前記ポリアニオンとの第1のモル比を有し、前記第2の粒子が前記導電性ポリマーと前記ポリアニオンとの第2のモル比を有する、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項68】
前記第1のモル比及び前記第2のモル比が独立して少なくとも1:0.1~0.1:1以下である、請求項67に記載の分散液を形成する方法。
【請求項69】
前記第2のモル比が前記第1のモル比よりも高い、請求項67に記載の分散液を形成する方法。
【請求項70】
前記第2のモル比が前記第1のモル比よりも少なくとも10モル%高い、請求項69に記載の分散液を形成する方法。
【請求項71】
前記ポリアニオンが100~500000の分子量を有する、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項72】
前記第1の粒子中の前記ポリアニオン及び前記第2の粒子中の前記ポリアニオンが異なる分子量を有する、請求項71に記載の分散液を形成する方法。
【請求項73】
ドーパント及び反応性モノマーからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項74】
前記ドーパントがポリスチレンスルホネート、ポリスチレンスルホン酸及びポリエチレングリコールモノアクリレートからなる群から選択される、請求項73に記載の分散液を形成する方法。
【請求項75】
前記反応性モノマーが2つ以上のエポキシ基、少なくとも1つの酸性基、少なくとも1つのアルコール基及び少なくとも1つのアクリレート基を有する化合物からなる群から選択される、請求項73に記載の分散液を形成する方法。
【請求項76】
前記添加剤がエチレングリコールジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル;ペンチレングリコールジグリシジルエーテル;ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル;レゾルシノールグリシジルエーテル;グリセロールジグリシジルエーテル;グリセロールポリグリシジルエーテル;ジグリセロールポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル;ソルビトールジグリシジルエーテル;ソルビトールポリグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル;ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル;1,3-ブタジエンジエポキシド;1,5-ヘキサジエンジエポキシド;1,2,7,8-ジエポキシオクタン;1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン;4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド;ビスフェノールAジグリシジルエーテル;マレイミド-エポキシ化合物;ジグリシジルエーテル;グリシジルアクリレート;グリシジルメタクリレート;ビスフェノールAエポキシ、エポキシ化ビスフェノールAノボラック修飾したエポキシ、ウレタン修飾したビスフェノールAエポキシ、エポキシ化o-クレゾールノボラック;シュウ酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;ピメリン酸;スベリン酸;アゼライン酸;セバシン酸;ドデカン二酸;フタル酸;マレイン酸;ムコン酸;クエン酸;トリメシン酸;ポリアクリル酸;フタル酸;ジエチレングリコール;ペンタエリトリトール;トリエチレングリコール;オリゴ/ポリエチレングリコール;トリエチレングリコールモノクロロヒドリン;ジエチレングリコールモノクロロヒドリン;オリゴエチレングリコールモノクロロヒドリン;トリエチレングリコールモノブロモヒドリン;ジエチレングリコールモノブロモヒドリン;オリゴエチレングリコールモノブロモヒドリン;ポリエチレングリコール;ポリエーテル;ポリエチレンオキシド;トリエチレングリコール-ジメチルエーテル;テトラエチレングリコール-ジメチルエーテル;ジエチレングリコール-ジメチルエーテル;ジエチレングリコール-ジエチルエーテル-ジエチレングリコール-ジブチルエーテル;ジプロピレングリコール;トリプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;ポリプロピレンジオキシド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;2-ヒドロキシエチルメタクリレート;2-ヒドロキシプロピルメタクリレート;n-ブトキシエチルメタクリレート;n-ブトキシエチレングリコールメタクリレート;メトキシトリエチレングリコールメタクリレート;メトキシポリエチレングリコールメタクリレート;2-ヒドロキシエチルアクリレート;2-ヒドロキシプロピルアクリレート;n-ブトキシエチルアクリレート;n-ブトキシエチレングリコールアクリレート;メトキシトリエチレングリコールアクリレート;メトキシポリエチレングリコールアクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジグリシジルエーテル;グリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル;トリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;プロピレングリシジルエーテル;トリプロピレングリシジルエーテル;ポリプロピレングリシジルエーテル;グリセリンジグリシジルエーテル;グリシジルメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート;エチレンオキシド修飾したトリメチロールプロパントリアクリレート;エチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールトリアクリレート及びエチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールテトラアクリレートからなる群から選択される、請求項73に記載の分散液を形成する方法。
【請求項77】
前記導電性ポリマーがポリアニリン、ポリピロール及びポリチオフェンから選択される導電性ポリマーを含む、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項78】
前記分散液が界面活性剤又は接着促進剤から選択される少なくとも1つの化合物を更に含む、請求項
61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項79】
前記導電性ポリマーが、式I:
【化3】
(式中、
R
1及びR
2は、独立して直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン若しくはOR
3によって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであるか、又はR
1及びR
2が共に、非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C
1~C
4アルキルフェニル、C
1~C
4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C
1~C
4アルキルベンジル、C
1~C
4アルコキシベンジル若しくはハロベンジル、2つの酸素元素を含有する5員、6員若しくは7員の複素環構造によって置換された直鎖C
1~C
6アルキレンであり、
R
3は、水素、直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキルによって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり、
Xは、S、N又はOである)の構造を有する共役基を含む、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項80】
式IのR
1及びR
2が共に-O-(CHR
4)
n-O-を表し、ここで、
nは、1~5の整数、最も好ましくは2であり、
R
4は、独立して水素;カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、アクリレート、チオール、アルキン、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホン酸、イミド、アミド、エポキシ、無水物、シラン及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された直鎖若しくは分岐C
1~C
18アルキルラジカル、C
5~C
12シクロアルキルラジカル、C
6~C
14アリールラジカル、C
7~C
18アラルキルラジカル若しくはC
1~C
4ヒドロキシアルキルラジカル;ヒドロキシルラジカルから選択されるか、又はR
4は、-(CHR
5)
a-R
16、-O(CHR
5)
aR
16、-CH
2O(CHR
5)
aR
16、-CH
2O(CH
2CHR
5O)
aR
16から選択されるか、又はR
4は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、アミド、イミド、無水物、ヒドロキシメチル、アルケン、チオール、アルキン、アジド、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルフェート、SO
3M、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートからなる群から選択される官能基であり、
R
5は、H、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、エポキシ、アクリレート及び無水物から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
R
16は、H若しくはSO
3M、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、アミド、イミド、スルフェート、SO
3M、エポキシ、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
aは、0~10の整数であり、
Mは、H、又は好ましくはアンモニア、ナトリウム若しくはカリウムから選択されるカチオンである、請求項
79に記載の分散液を形成する方法。
【請求項81】
前記導電性ポリマーがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項
80に記載の分散液を形成する方法。
【請求項82】
前記ポリアニオンが、式2:
A
xB
yC
z 式2
(式中、
Aは、ポリスチレンスルホン酸又はポリスチレンスルホン酸塩であり、
B及びCは、別個に、
-カルボキシル基、
-C(O)OR
6(ここで、
R
6は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、ホスフェート、アクリレート、無水物及び-(CHR
7CH
2O)
b-R
8からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルからなる群から選択され、
R
7は、水素又は炭素数1~7のアルキルから選択され、
bは、1から-CHR
7CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
8は、水素;シラン;ホスフェート;アクリレート;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C(O)-NHR
9(ここで、
R
9は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルである)、
-C
6H
4-R
10(ここで、
R
10は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換されたアルキル;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、イミド、アミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート、無水物、及び-(O(CHR
11CH
2O)
d-R
12からなる群から選択される反応基から選択され、
R
11は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
dは、1から-CHR
11CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
12は、水素;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C
6H
4-O-R
13(ここで、
R
13は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される反応基で任意に置換されたアルキル;エポキシ、シラン、アルケン、アルキン、アクリレート、ホスフェート、及び-(CHR
14CH
2O)
e-R
15からなる群から選択される反応基から選択され、
R
14は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
eは、1から-CHR
14CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
15は、水素、並びにヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)から選択される基で置換された重合単位を表し、
x、y及びzは、合わせて分子量が少なくとも100~500000以下のポリアニオンを形成するのに十分であり、
y/xは、0~100であり、
zは、0から100以下のz/x比までである)によって表される、請求項61に記載の分散液を形成する方法。
【請求項83】
yがx+y+zの総計の1%~50%に相当し、zが0%~49%に相当する、請求項
82に記載の分散液を形成する方法。
【請求項84】
少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下の平均粒径を有する、導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第1の粒子と、
少なくとも1nm~600nm以下の平均粒径を有する、前記導電性ポリマー及び前記ポリアニオンを含む第2の粒子と、
を含む分散液であって、
前記第1の粒子が前記導電性ポリマーと前記ポリアニオンとの第1のモル比を有し、前記第2の粒子が前記導電性ポリマーと前記ポリアニオンとの第2のモル比を有し、前記第2のモル比が前記第1のモル比よりも高く、
前記導電性ポリマーが、式I:
【化4】
(式中、
R
1及びR
2は、独立して直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン若しくはOR
3によって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであるか、又はR
1及びR
2が共に、非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C
1~C
4アルキルフェニル、C
1~C
4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C
1~C
4アルキルベンジル、C
1~C
4アルコキシベンジル若しくはハロベンジル、2つの酸素元素を含有する5員、6員若しくは7員の複素環構造によって置換された直鎖C
1~C
6アルキレンであり、
R
3は、水素、直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキルによって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり、
Xは、S、N又はOである)の構造を有する共役基を含み、
前記ポリアニオンが、式2:
A
xB
yC
z 式2
(式中、
Aは、ポリスチレンスルホン酸又はポリスチレンスルホン酸塩であり、
B及びCは、別個に、
-カルボキシル基、
-C(O)OR
6(ここで、
R
6は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、ホスフェート、アクリレート、無水物及び-(CHR
7CH
2O)
b-R
8からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルからなる群から選択され、
R
7は、水素又は炭素数1~7のアルキルから選択され、
bは、1から-CHR
7CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
8は、水素;シラン;ホスフェート;アクリレート;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C(O)-NHR
9(ここで、
R
9は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルである)、
-C
6H
4-R
10(ここで、
R
10は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換されたアルキル;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、イミド、アミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート、無水物、及び-(O(CHR
11CH
2O)
d-R
12からなる群から選択される反応基から選択され、
R
11は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
dは、1から-CHR
11CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
12は、水素;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C
6H
4-O-R
13(ここで、
R
13は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される反応基で任意に置換されたアルキル;エポキシ、シラン、アルケン、アルキン、アクリレート、ホスフェート、及び-(CHR
14CH
2O)
e-R
15からなる群から選択される反応基から選択され、
R
14は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
eは、1から-CHR
14CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
15は、水素、並びにヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)から選択される基で置換された重合単位を表し、
x、y及びzは、合わせて分子量が少なくとも100~500000以下のポリアニオンを形成するのに十分であり、
y/xは、0~100であり、
zは、0から100以下のz/x比までである)によって表される、分散液。
【請求項85】
前記導電性ポリマーが少なくとも5wt%~95wt%以下の前記第1の粒子を含む、請求項
84に記載の分散液。
【請求項86】
前記第1の粒子が少なくとも1ミクロン~5ミクロン以下の平均粒径を有する、請求項
84に記載の分散液。
【請求項87】
前記第2のモル比が前記第1のモル比よりも少なくとも10モル%高い、請求項
84に記載の分散液。
【請求項88】
前記ポリアニオンが100~500000の分子量を有する、請求項
84に記載の分散液。
【請求項89】
前記第1の粒子中の前記ポリアニオン及び前記第2の粒子中の前記ポリアニオンが異なる分子量を有する、請求項
88に記載の分散液。
【請求項90】
ドーパント及び反応性モノマーからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、請求項
84に記載の分散液。
【請求項91】
前記ドーパントがポリスチレンスルホネート、ポリスチレンスルホン酸及びポリエチレングリコールモノアクリレートからなる群から選択される、請求項
90に記載の分散液。
【請求項92】
前記反応性モノマーが2つ以上のエポキシ基、少なくとも1つの酸性基、少なくとも1つのアルコール基及び少なくとも1つのアクリレート基を含む化合物からなる群から選択される、請求項
90に記載の分散液。
【請求項93】
前記添加剤がエチレングリコールジグリシジルエーテル;プロピレングリコールジグリシジルエーテル;1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル;ペンチレングリコールジグリシジルエーテル;ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル;シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル;レゾルシノールグリシジルエーテル;グリセロールジグリシジルエーテル;グリセロールポリグリシジルエーテル;ジグリセロールポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル;ソルビトールジグリシジルエーテル;ソルビトールポリグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル;ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル;1,3-ブタジエンジエポキシド;1,5-ヘキサジエンジエポキシド;1,2,7,8-ジエポキシオクタン;1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン;4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド;ビスフェノールAジグリシジルエーテル;マレイミド-エポキシ化合物;ジグリシジルエーテル;グリシジルアクリレート;グリシジルメタクリレート;ビスフェノールAエポキシ、エポキシ化ビスフェノールAノボラック修飾したエポキシ、ウレタン修飾したビスフェノールAエポキシ、エポキシ化o-クレゾールノボラック;シュウ酸;マロン酸;コハク酸;グルタル酸;アジピン酸;ピメリン酸;スベリン酸;アゼライン酸;セバシン酸;ドデカン二酸;フタル酸;マレイン酸;ムコン酸;クエン酸;トリメシン酸;ポリアクリル酸;フタル酸;ジエチレングリコール;ペンタエリトリトール;トリエチレングリコール;オリゴ/ポリエチレングリコール;トリエチレングリコールモノクロロヒドリン;ジエチレングリコールモノクロロヒドリン;オリゴエチレングリコールモノクロロヒドリン;トリエチレングリコールモノブロモヒドリン;ジエチレングリコールモノブロモヒドリン;オリゴエチレングリコールモノブロモヒドリン;ポリエチレングリコール;ポリエーテル;ポリエチレンオキシド;トリエチレングリコール-ジメチルエーテル;テトラエチレングリコール-ジメチルエーテル;ジエチレングリコール-ジメチルエーテル;ジエチレングリコール-ジエチルエーテル-ジエチレングリコール-ジブチルエーテル;ジプロピレングリコール;トリプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;ポリプロピレンジオキシド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;2-ヒドロキシエチルメタクリレート;2-ヒドロキシプロピルメタクリレート;n-ブトキシエチルメタクリレート;n-ブトキシエチレングリコールメタクリレート;メトキシトリエチレングリコールメタクリレート;メトキシポリエチレングリコールメタクリレート;2-ヒドロキシエチルアクリレート;2-ヒドロキシプロピルアクリレート;n-ブトキシエチルアクリレート;n-ブトキシエチレングリコールアクリレート;メトキシトリエチレングリコールアクリレート;メトキシポリエチレングリコールアクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;グリセリンジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジグリシジルエーテル;グリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル;トリエチレングリコールジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;プロピレングリシジルエーテル;トリプロピレングリシジルエーテル;ポリプロピレングリシジルエーテル;グリセリンジグリシジルエーテル;グリシジルメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート;エチレンオキシド修飾したトリメチロールプロパントリアクリレート;エチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールトリアクリレート及びエチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールテトラアクリレートからなる群から選択される、請求項
90に記載の分散液。
【請求項94】
前記導電性ポリマーがポリアニリン、ポリピロール及びポリチオフェンから選択される導電性ポリマーを含む、請求項
84に記載の分散液。
【請求項95】
前記分散液が界面活性剤又は接着促進剤から選択される少なくとも1つの化合物を更に含む、請求項
84に記載の分散液。
【請求項96】
式IのR
1及びR
2が共に-O-(CHR
4)
n-O-を表し、ここで、
nは、1~5の整数、最も好ましくは2であり、
R
4は、独立して水素;カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、アクリレート、チオール、アルキン、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホン酸、イミド、アミド、エポキシ、無水物、シラン及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された直鎖若しくは分岐C
1~C
18アルキルラジカル、C
5~C
12シクロアルキルラジカル、C
6~C
14アリールラジカル、C
7~C
18アラルキルラジカル若しくはC
1~C
4ヒドロキシアルキルラジカル;ヒドロキシルラジカルから選択されるか、又はR
4は、-(CHR
5)
a-R
16、-O(CHR
5)
aR
16、-CH
2O(CHR
5)
aR
16、-CH
2O(CH
2CHR
5O)
aR
16から選択されるか、又はR
4は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、アミド、イミド、無水物、ヒドロキシメチル、アルケン、チオール、アルキン、アジド、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルフェート、SO
3M、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートからなる群から選択される官能基であり、
R
5は、H、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、エポキシ、アクリレート及び無水物から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
R
16は、H若しくはSO
3M、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、アミド、イミド、スルフェート、SO
3M、エポキシ、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
aは、0~10の整数であり、
Mは、H、又は好ましくはアンモニア、ナトリウム若しくはカリウムから選択されるカチオンである、請求項
84に記載の分散液。
【請求項97】
前記導電性ポリマーがポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項
96に記載の分散液。
【請求項98】
yがx+y+zの総計の1%~50%に相当し、zが0%~49%に相当する、請求項
84に記載の分散液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ポリマー陰極を備える、改善された固体電解コンデンサに関する。より具体的には、本発明は、導電性ポリマーにおける改善に関し、改善されたポリマー組成物は被覆率、特に縁及び角の被覆率の改善をもたらし、それにより、湿潤環境において改善されたESR及び改善された漏洩安定性を有するコンデンサが提供される。
【背景技術】
【0002】
固体電解コンデンサは、エレクトロニクス産業全体で広く使用されている。高電圧用途では、導電性ポリマー分散液によって形成される固体電解質を有するコンデンサは、in-situで形成される導電性ポリマー陰極と比較して優れた高電圧性能をもたらす。これらの導電性ポリマー分散液は重合、精製、濾過、均質化、蒸発等を含む多数のプロセス工程によって調製される。これらのプロセスは特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5、特許文献6及び特許文献7(各々が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。
【0003】
コンデンサ及びコンデンサを作製する方法が特許文献8、特許文献9及び特許文献10(各々が引用することにより本明細書の一部をなす)に提供される。
【0004】
陰極として導電性ポリマーを含む固体電解コンデンサは、幾つかの不利点を有する。不利点の1つは、誘電体の縁及び角の被覆に伴う難しさである。陽極酸化陽極の角及び縁での導電性ポリマーの被覆率の悪さは、湿潤雰囲気において高いDC漏洩電流を生じ、信頼性の問題を引き起こす。
【0005】
コンデンサの等価直列抵抗(ESR)安定性には、陰極層、陰極導電性層、導電性接着剤及びリードフレームの間の界面が熱機械応力時に良好な機械的完全性を有することが必要とされる。固体電解コンデンサは組立て、成形、基板実装リフロー等の間に様々な熱機械応力を受ける。基板実装時に、コンデンサは250℃を超える温度に曝される。これらの高温は、界面間の熱膨張係数(CTE)の不一致のために界面中に応力を生じる。生じた応力は、界面の機械的脆弱化を引き起こす。場合によっては、この機械的脆弱化が層間剥離を引き起こす。界面間の任意の物理的分離は、界面間の電気抵抗の増大、ひいては完成したコンデンサにおけるESRの増大を引き起こす。この界面の脆弱性は、高湿度環境においてより高いESRシフトも生じる。
【0006】
特許文献11は、0.7μm~20μmの範囲の直径を有する固体粒子を分散液に添加することにより、特許文献12の固体電解コンデンサを形成するプロセスを改善している。この固体粒子はカーボネート、シリケート、シリカ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラス球、木粉、セルロース粉末、カーボンブラック、酸化ケイ素又は二酸化ケイ素等の電気伝導性ポリマー又は充填剤の粒子である。特許文献11は、導電性ポリマーポリアニオン分散液中の上述の粒子の添加による縁及び角の被覆率の改善を特許請求している。しかしながら、導電性ポリマーの固体粒子は、ポリアニオンを含有しないため、水に非分散性又は不溶性となる。したがって、導電性ポリマー:ポリアニオン分散液中の導電性ポリマーの固体粒子の添加が分散液安定性に影響を及ぼし、分散液が非常に高い粘度を有するようになり、分散液中の固体粒子の沈殿が引き起こされ、性能の再現性の低下が生じる可能性がある。さらに、特許文献13において言及されるように、固体粒子によりポリマー外膜が脆くなることで外層が局所的に剥がれ落ち、残留電流及びESRの増大が生じる可能性がある。
【0007】
ポリマー外層の膜強度に影響を与えることなく被覆率を改善するために、特許文献7(引用することにより本明細書の一部をなす)は、殆どが多価カチオン性(multi-cationic)塩又はアミンである、架橋剤又はプライマーと称される化学化合物群の使用を報告している。架橋剤をポリマースラリーの塗布の前に陽極酸化陽極に塗布することで、陽極酸化陽極の角及び縁での良好なポリマー被覆率が達成される。架橋剤の使用により、被覆率の改善のための導電性ポリマー分散液中の固体粒子が不要となる。架橋剤の有効性は、スラリー/分散液の粒子への多価カチオン性塩又はアミンの架橋能力によるものである。架橋剤は、陽極酸化陽極の角及び縁でのコーティング被覆率の改善に有利であるが、殆どが本質的にイオン性であるこれらの架橋剤の添加は、完成品における高いESRシフト及びDC漏洩の増大等の湿潤下での性能の低下という意図せぬ結果を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許第5,300,575号
【文献】米国特許第7,990,684号
【文献】米国特許第7,270,871号
【文献】米国特許第6,000,840号
【文献】米国特許第9,030,806号
【文献】米国特許出願公開第2011/0049433号
【文献】国際公開第2010/089111号
【文献】米国特許第7,990,683号
【文献】米国特許第7,754,276号
【文献】米国特許第7,563,290号
【文献】欧州特許出願公開第1746613号
【文献】欧州特許出願公開第1524678号
【文献】米国特許出願公開第2015/0140203号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
固体電解コンデンサにおいてより良好な角及び縁の被覆率を達成することが可能な改善された導電性ポリマー、並びに湿潤条件におけるESR及び漏洩信頼性性能を低下させることなくコンデンサを形成する方法が引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、コンデンサにおいてより良好な角及び縁の被覆率をもたらすことが可能な改善された導電性ポリマーを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、特に湿潤条件での使用のために改善された特性を有する改善されたコンデンサを提供することである。
【0012】
これら及び他の利点は、固体電解コンデンサを形成する方法であって、
陽極酸化陽極を準備することと、
導電性ポリマー層を上記陽極酸化陽極上に形成することと、
を含み、上記導電性ポリマー層が導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第1の粒子と、上記導電性ポリマー及び上記ポリアニオンを含む第2の粒子とを含み、上記第1の粒子が少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下の平均粒径を有し、上記第2の粒子が少なくとも1nm~600nm以下の平均粒径を有する、方法において実現される。
【0013】
別の実施の形態は、陽極酸化陽極と、陽極酸化陽極上の導電性ポリマー層とを備える固体電解コンデンサであって、導電性ポリマー層が導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第1の粒子と、導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第2の粒子とを含み、第1の粒子が少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下の平均粒径を有し、第2の粒子が少なくとも1nm~600nm以下の平均粒径を有する、固体電解コンデンサによって提供される。
【0014】
また別の実施の形態は、分散液を形成する方法であって、
少なくとも3wt%~10wt%(固形分)以下のモノマー及びポリアニオンを含む溶液中のモノマー及びポリアニオンを準備することと、
モノマーを高剪断重合によって重合させることと、
を含み、分散液が導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第1の粒子と、導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第2の粒子とを含み、第1の粒子が少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下の平均粒径を有し、第2の粒子が少なくとも1nm~600nm以下の平均粒径を有する、方法によって提供される。
【0015】
また別の実施の形態は、
少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下の平均粒径を有する、導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第1の粒子と、
少なくとも1nm~600nm以下の平均粒径を有する、導電性ポリマー及びポリアニオンを含む第2の粒子と、
を含む分散液であって、導電性ポリマーが、式I:
【化1】
(式中、
R
1及びR
2は、独立して直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン若しくはOR
3によって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであるか、又はR
1及びR
2が共に、非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C
1~C
4アルキルフェニル、C
1~C
4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C
1~C
4アルキルベンジル、C
1~C
4アルコキシベンジル若しくはハロベンジル、2つの酸素元素を含有する5員、6員若しくは7員の複素環構造によって置換された直鎖C
1~C
6アルキレンであり、
R
3は、水素、直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキルによって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり、
Xは、S、N又はOである)の構造を有する共役基(conjugated groups)を含み、
ポリアニオンが、式2:
A
xB
yC
z 式2
(式中、
Aは、ポリスチレンスルホン酸又はポリスチレンスルホン酸塩であり、
B及びCは、別個に、
-カルボキシル基、
-C(O)OR
6(ここで、
R
6は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、ホスフェート、アクリレート、無水物及び-(CHR
7CH
2O)
b-R
8からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルからなる群から選択され、
R
7は、水素又は炭素数1~7のアルキルから選択され、
bは、1から-CHR
7CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
8は、水素;シラン;ホスフェート;アクリレート;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C(O)-NHR
9(ここで、
R
9は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルである)、
-C
6H
4-R
10(ここで、
R
10は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換されたアルキル;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、イミド、アミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート、無水物、及び-(O(CHR
11CH
2O)
d-R
12からなる群から選択される反応基から選択され、
R
11は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
dは、1から-CHR
11CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
12は、水素;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C
6H
4-O-R
13(ここで、
R
13は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される反応基で任意に置換されたアルキル;エポキシ、シラン、アルケン、アルキン、アクリレート、ホスフェート、及び-(CHR
14CH
2O)
e-R
15からなる群から選択される反応基から選択され、
R
14は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、
eは、1から-CHR
14CH
2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R
15は、水素、並びにヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)から選択される基で置換された重合単位を表し、
x、y及びzは、合わせて分子量が少なくとも100~500000以下のポリアニオンを形成するのに十分であり、
y/xは、0~100であり、
zは、0から100以下のz/x比までである)によって表される、分散液において提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】本発明の実施形態のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、固体電解コンデンサに使用される改善された導電性ポリマー分散液、陰極として導電性ポリマーを含む改善された固体電解コンデンサ、導電性ポリマーを含むスラリー、及び改善された固体電解コンデンサを作製する方法に関する。より詳細には、本発明は、改善が少なくとも一部には、陽極酸化陽極での角及び縁の被覆率の改善、並びに陰極層における界面接着の改善によって生じる、改善された固体電解コンデンサへの使用に適した導電性ポリマー分散液の改善された重合方法に関する。
【0018】
驚くべきことに、固体電解コンデンサにおける完全な角及び縁の被覆率、並びに界面接着の改善が、溶媒中の導電性ポリマー:ポリアニオン複合体粒子の少なくとも二峰性のサイズ分布を有する導電性ポリマーの分散液を含む混合物を塗布することによって達成することができることが見出された。第1の粒子は、少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下である中央値粒度(D50)を有する。より好ましくは、第1の粒子は、少なくとも1ミクロン~5ミクロン以下、更により好ましくは少なくとも2ミクロン~4ミクロン以下であるD50を有する。第2の粒子は、少なくとも1nm~600nm以下、より好ましくは少なくとも100nm~500nm以下、更により好ましくは少なくとも200nm~400nm以下のD50を有する。D50として報告される平均直径という用語は、質量中央径又は質量平均粒径である。二峰性と記載されていても、3つ以上の異なる粒度を有する多峰性の分散が企図される。
【0019】
ポリマー及びアニオンの粒子が、少なくとも1ミクロン~10ミクロン以下のd50を有する第1の粒子を少なくとも5wt%~95wt%以下、より好ましくは少なくとも25wt%~75wt%以下、更により好ましくは少なくとも40wt%~60wt%以下有することが好ましい。ポリマー及びアニオンの粒子が、少なくとも1nm~600nm以下のd50を有する第2の粒子を少なくとも5wt%~95wt%以下、より好ましくは少なくとも25wt%~75wt%以下、更により好ましくは少なくとも40wt%~60wt%以下有することも好ましい。
【0020】
導電性ポリマー:ポリアニオン粒子の二峰性のサイズ分布は、単峰性の粒度分布を有する従来技術の分散液と比較して大幅に改善された角及び縁の被覆率をもたらす。改善された分散液は、導電性ポリマー分散液の塗布の前に架橋剤を陽極酸化陽極上に塗布する必要性をなくす。結果として、湿潤条件における大幅に改善されたESR及び改善された漏洩信頼性を有する固体電解コンデンサが得られる。本発明は、85℃及び85%相対湿度で1000時間の負荷後に100%未満のESRシフト及び0.1CV未満の漏洩を有する固体電解コンデンサを提供する。
【0021】
本発明を、本開示の不可欠で非限定的な要素をなす図面を参照して説明する。
【0022】
固体電解コンデンサを断面概略図で示す
図1を参照して、本発明のコンデンサを説明する。
図1では、固体電解コンデンサ1は、誘電体3を上に有する陽極2を備える。完成後に、導電性ポリマー層4は、複数のプロセス工程によって形成され、したがって説明及び明確さのために別個に論考される各層を用いて本明細書に記載される本質的に連続した、好ましくは平滑な層となる。導電性ポリマー層へのリードの取付けが困難であることが知られており、したがって通常は導電性カーボンを含有する層を含む取付け層(attachment layer)5を導電性ポリマー層上に塗布し、銀含有層を炭素含有層上に塗布することが当該技術分野で標準的である。陰極リード7を導電性接着剤によって取付け層に取り付ける。陽極リード6を通常は溶接によってリード線8に取り付け、陰極リード及び陽極リードの一部を除く組立品全体を、樹脂等の非導電材料9に封入する。
【0023】
塗布された第1の導電性ポリマー層41は、内側ポリマー層と称され、多孔質誘電体の間隙部を適切にコーティングするのに十分な方法で形成される。第1の導電性ポリマー層は通常、好ましくは共通の成分から、多孔質誘電体の間隙部をコーティングするのに適した共通の条件下で順次形成される副層を備える。第1の導電性ポリマー層は通常、各々が共役導電性ポリマーを含有する1つ~5つの層を備える。
【0024】
第1の導電性ポリマー層は、後続の層と同じ導電性ポリマー及びポリアニオンを有していてもよいが、第1の導電性ポリマー層は、モノマー(複数の場合もある)、酸化剤及びドーパント(複数の場合もある)の溶液から形成され、in-situ重合によって形成される導電性ポリマーの少なくとも1回の塗布、又は小さな平均粒度を有することで適切な透過が可能である導電性ポリマー溶液若しくは分散液の少なくとも1回の塗布によって形成されるのが好ましい。一実施形態では、内側ポリマー層は、粒度のD50が10nm~50nmである、導電性ポリマー及びポリアニオンの粒子を含む分散液から形成される。より好ましくは、内側ポリマーは、D50が10nm~30nm、より好ましくは10nm~20nmである粒度を有する。
【0025】
内側ポリマー層は界面活性物質、例えばイオン性及び/又は非イオン性界面活性剤;接着促進剤、例えば有機官能性シラン、若しくはその加水分解物、ホスフェート、例えば3-グリシドキシプロピル-トリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシ-プロピルトリメトキシシラン;又は酸、アルコール、フェノール、アミン、エポキシ、アクリレート等の反応基を含有する水溶性モノマー/オリゴマー/ポリマーを更に含んでいてもよい。内側ポリマー層は、本明細書の他の部分に記載されるポリアニオンを含む小分子又はポリマー対イオンを更に含んでいてもよい。
【0026】
後続の導電性ポリマー副層42~4n(ここで、nは最大約10である)は、まとめて外側ポリマー層と称され、通常は分散液又は溶液の形態で塗布される。ここで、各副層を形成するために使用される、導電性ポリマーを含有する分散液又は溶液は、同じであっても又は異なっていてもよく、これにより組成的に同じ又は異なる層が得られるが、製造の便宜上、共通することが好ましい。少なくとも1つの外層が本発明のポリマー分散液を含み、外層の各々が本発明のポリマー分散液を含むのが好ましい。
【0027】
外層は独立して、界面活性物質、例えばイオン性及び/又は非イオン性界面活性剤;接着促進剤、例えば有機官能性シラン、若しくはその加水分解物、ホスフェート、例えば3-グリシドキシプロピル-トリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシ-プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン若しくはオクチルトリエトキシシラン、ポリウレタン、ポリアクリレート若しくはポリオレフィン分散液、又は更なる添加剤も含み得る。
【0028】
外層は独立して、導電率を高める添加剤、例えばエーテル基を含有する化合物、例えばテトラヒドロフラン;γ-ブチロラクトン、バレロラクトン等のラクトン基を含有する化合物;カプロラクタム、N-メチルカプロラクタム、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-アセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-ホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルピロリドン(NMP)、N-オクチルピロリドン、ピロリドン等のアミド又はラクタム基を含有する化合物;スルホン及びスルホキシド、例えばスルホラン(テトラメチレンスルホン)、ジメチルスルホキシド(DMSO);糖又は糖誘導体、例えばスクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール;イミド、例えばスクシンイミド又はマレイミド;フラン誘導体、例えば2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸、及び/又はジアルコール又はポリアルコール、例えばエチレングリコール、グリセロール、又はジエチレングリコール若しくはトリエチレングリコールを更に含んでいてもよい。導電率を高める添加剤としてエチレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセロール又はソルビトールを使用することが好ましい。
【0029】
外側ポリマー層は、層間接着を改善するために隣接する導電性ポリマー副層間にプライマー層を有していてもよい。好ましい実施形態では、導電性ポリマー副層を、プライマーを間に含むことなく先に塗布された導電性ポリマー副層上に直接被着させる。
【0030】
導電性ポリマーは、各々置換されていてもよいポリアニリン、ポリピロール及びポリチオフェンからなる群から選択される。特に好ましいポリマーは、式1:
【化2】
(式中、
R
1及びR
2は、独立して直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン若しくはOR
3によって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであるか、又はR
1及びR
2が共に、非置換の若しくはC
1~C
6アルキル、C
1~C
6アルコキシ、ハロゲン、C
3~C
8シクロアルキル、フェニル、ベンジル、C
1~C
4アルキルフェニル、C
1~C
4アルコキシフェニル、ハロフェニル、C
1~C
4アルキルベンジル、C
1~C
4アルコキシベンジル若しくはハロベンジル、2つの酸素元素を含有する5員、6員若しくは7員の複素環構造によって置換された直鎖C
1~C
6アルキレンである。R
3は、好ましくは水素、直鎖若しくは分岐C
1~C
16アルキル若しくはC
2~C
18アルコキシアルキルを表すか、又は非置換の若しくはC
1~C
6アルキルによって置換されたC
3~C
8シクロアルキル、フェニル若しくはベンジルであり、
Xは、S、N又はOであり、最も好ましいXは、Sであり、
式1のR
1及びR
2は、α位重合のみが進行することが最も好ましいため、環のβ位での重合を妨げるように選ばれるのが好ましく、R
1及びR
2が水素でないことがより好ましく、より好ましくは、R
1及びR
2がα指向基(α-directors)であり、エーテル結合がアルキル結合よりも好ましく、R
1及びR
2が立体障害を回避するために小さいことが最も好ましい)の構造を有する共役基を含む。
【0031】
特に好ましい実施形態では、式IのR1及びR2が共に-O-(CHR4)n-O-を表し、ここで、
nは、1~5の整数、最も好ましくは2であり、
R4は、独立して水素;カルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、アクリレート、チオール、アルキン、アジド、スルフェート、スルホネート、スルホン酸、イミド、アミド、エポキシ、無水物、シラン及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された直鎖若しくは分岐C1~C18アルキルラジカル、C5~C12シクロアルキルラジカル、C6~C14アリールラジカル、C7~C18アラルキルラジカル又はC1~C4ヒドロキシアルキルラジカル;ヒドロキシルラジカルから選択されるか、又はR4は、-(CHR5)a-R16、-O(CHR5)aR16、-CH2O(CHR5)aR16、-CH2O(CH2CHR5O)aR16から選択されるか、又はR4は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、アミド、イミド、無水物、ヒドロキシメチル、アルケン、チオール、アルキン、アジド、スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スルフェート、SO3M、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートからなる群から選択される官能基であり、
R5は、H、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、エポキシ、アクリレート及び無水物から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
R16は、H若しくはSO3M、又はカルボン酸、ヒドロキシル、アミン、置換アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジド、アミド、イミド、スルフェート、SO3M、アミド、エポキシ、無水物、シラン、アクリレート及びホスフェートから選択される官能基で任意に置換された炭素数1~5のアルキル鎖であり、
aは、0~10の整数であり、
Mは、H、又は好ましくはアンモニア、ナトリウム若しくはカリウムから選択されるカチオンである。
【0032】
導電性ポリマーは、水溶性又は水分散性のいずれの化合物であってもよい。かかるπ共役導電性ポリマーの例としては、ポリピロール又はポリチオフェンが挙げられる。特に好ましい導電性ポリマーとしては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-ブタン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-メチル-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシアルコール、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルピロール)、ポリ(3-オクチルピロール)、ポリ(3-デシルピロール)、ポリ(3-ドデシルピロール)、ポリ(3,4-ジメチルピロール)、ポリ(3,4-ジブチルピロール)、ポリ(3-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルピロール)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルピロール)、ポリ(3-ヒドロキシピロール)、ポリ(3-メトキシピロール)、ポリチオフェン、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェン)、ポリ(3-ブロモチオフェン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェン)、ポリ(3-ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-ブトキシチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3-メチル-4-カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2-メチルアニリン)、ポリ(3-イソブチルアニリン)、ポリ(2-アニリンスルホネート)、ポリ(3-アニリンスルホネート)等が挙げられる。
【0033】
少なくとも2つの異なる共重合モノマーから構成されるコポリマーが企図される。コポリマーは、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-ブタン-スルホン酸、塩)、ポリ(4-(2,3-ジヒドロチエノ-[3,4-b][1,4]ジオキシン-2-イル)メトキシ)-1-メチル-1-プロパン-スルホン酸、塩)、ポリ(N-メチルピロール)、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-メトキシチオフェン)、及びポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)からなる群から選択される少なくとも1種の重合モノマーを含む。
【0034】
特に好ましいポリマーは、ポリ-3,4-ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)である。
【0035】
二峰性の導電性粒子中のポリアニオンは、ポリスチレンスルホン酸又はポリスチレンスルホン酸塩のホモポリマー、及び/又は下記式2の比率によって表されるA基、B基及びC基を含むランダムコポリマーである:
AxByCz 式2
(式中、
Aは、ポリスチレンスルホン酸又はポリスチレンスルホン酸塩であり、
B及びCは、別個に、
-カルボキシル基、
-C(O)OR6(ここで、
R6は、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、ホスフェート、アクリレート、無水物及び-(CHR7CH2O)b-R8からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルからなる群から選択され、
R7は、水素又は炭素数1~7のアルキル、好ましくは水素又はメチルから選択され、
bは、1から-CHR7CH2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R8は、水素;シラン;ホスフェート;アクリレート;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C(O)-NHR9(ここで、
R9は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~20のアルキルである)、
-C6H4-R10(ここで、
R10は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換されたアルキル;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、イミド、アミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート、無水物、及び-(O(CHR11CH2O)d-R12からなる群から選択される反応基から選択され、
R11は、水素又は炭素数1~7のアルキル、好ましくは水素又はメチルであり、
dは、1から-CHR11CH2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R12は、水素;ヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、ホスフェート、アジド、アクリレート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)、
-C6H4-O-R13(ここで、
R13は、水素、又はヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される反応基で任意に置換されたアルキル;エポキシ、シラン、アルケン、アルキン、アクリレート、ホスフェート、及び-(CHR14CH2O)e-R15からなる群から選択される反応基から選択され、
R14は、水素又は炭素数1~7のアルキルであり、好ましくは水素又はメチルであり、
eは、1から-CHR14CH2O-基について最大200000の分子量をもたらすのに十分な数までの整数であり、
R15は、水素、並びにヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシ、シラン、アミド、イミド、チオール、アルケン、アルキン、アジド、アクリレート、ホスフェート及び無水物からなる群から選択される官能基で任意に置換された炭素数1~9のアルキルからなる群から選択される)から選択される基で置換された重合単位を表し、
x、y及びzは、合わせて分子量が少なくとも100~500000以下のポリアニオンを形成するのに十分であり、y/xは、0~100、より好ましくは0.01~100であり、zは、0から100以下のz/x比までであり、より好ましくはxがx+y+zの総計の50%~99%に相当し、yが1%~50%に相当し、zが0%~49%に相当し、更により好ましくはxがx+y+zの総計の70%~90%に相当し、yが10%~30%に相当し、zが0%~20%に相当する)。
【0036】
本発明の特定の特徴は、表面積及びサイズの違いにより異なる粒度について導電性ポリマーとポリアニオンとの比率を調整する能力である。より小さな粒度の部分及びより大きな粒度の部分の各々についての導電性ポリマーとポリアニオンとのモル比が1:0.1~0.1:1、より好ましくは1:1~0.2:1、更により好ましくは0.8:1~0.25:1の範囲であることが好ましい。一実施形態では、導電性ポリマーとポリアニオンとのモル比は、より小さな平均直径を有する第2の粒子よりも、より大きな平均直径を有する第1の粒子で高い。導電性ポリマーとポリアニオンとのモル比は、より小さな粒度の部分について、より大きな粒度の部分よりも10%大きいのがより好ましい。理論に限定されるものではないが、より小さな粒度についてモル比を増大することで、コーティングにおける粒子間充填が改善し、それにより特に縁及び角でのコーティングの品質が改善する。
【0037】
本発明の別の特定の特徴は、異なる粒度を有する分散液の2つの部分についてポリアニオンの分子量を調整する能力である。分散液のより小さな粒度の部分及び分散液のより大きな粒度の部分の各々について好ましいポリアニオンの分子量は、少なくとも約600~約500000以下である。一実施形態では、ポリアニオンは、大きな粒度の部分と小さな粒度の部分とで異なる分子量を有し得る。
【0038】
複数の粒度を有する導電性ポリマー及びポリアニオンの粒子の分散液は、モノマーとポリアニオンとの混合物の約3wt%を超えるような高い固形分でのローター-ステーターシステムを用いた高剪断重合によって形成されるのが好ましい。理論に限定されるものではないが、モノマー濃度と高剪断動態との組合せが、混合粒度を有する粒子の成長を容易にすると仮定される。高剪断ローター-ステーター重合は、特許文献5(引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。
【0039】
しかしながら、混合サイズを有する導電性ポリマー及びポリアニオンの粒子を含む分散液の調製物は、混合を含む他の方法によって調製することができ、高剪断ローター-ステーター重合に限定されない場合もある。
【0040】
本発明の分散液の特定の特徴は、分散液について所与のパーセントの固形分の負荷で単峰性の分散液と比べた粘度の減少である。より高い固形分でより低い粘度は、特に陽極酸化陽極の縁及び角でのコーティング品質を改善する。複数の粒度を有する本発明の分散液は、3.56%(固形分)のモノマーとポリアニオンとの混合物の投入量で重合した場合に重合時に6rpmで少なくとも2000cPから6rpmで5000cP以下までの粘度を有する。単峰性のサイズの粒子では、粘度は、2.1%(固形分)のモノマー及びポリアニオンの投入量で重合した場合に6rpmで6000cP超であり、%(固形分)の投入量の増大と共に増大する。低粘度でより高いパーセントの固形分を有する分散液を塗布する能力は、コーティング品質の改善に有利である。
【0041】
二峰性の粒度を有する導電性ポリマーの分散液は、ポリマードーパントを更に含んでいてもよい。好ましいポリマードーパントは、ポリスチレンスルホネート(PSS)である。ポリスチレンスルホン酸(PSSA)コポリマーは、特にポリエチレングリコールモノアクリレートとのコポリマーとして特に好ましいドーパントである。
【0042】
導電性ポリマー溶液又は分散液は、膜の乾燥時にポリマー膜強度を改善することができる膜形成要素(film formers)として反応性モノマーを含むのが好ましい。反応性モノマー又はオリゴマーは、イオン性/非イオン性界面活性剤を用いることで水若しくは有機溶媒に溶解するか、又は水に分散することができる。反応性モノマーは、少なくとも2以上の平均官能基数を有し得る。モノマーの硬化プロセスは熱、放射線又は化学触媒作用を用いることによって触媒することができる。例示的なモノマーとしては、1つ以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられ、これには、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(PGDGE)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDGE)、ペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル(GDGE)、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールジグリシジルエーテル(ソルビトール-DGE)、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン、4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、マレイミド-エポキシ化合物、ジグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAエポキシ、エポキシ化ビスフェノールAノボラック修飾したエポキシ、ウレタン修飾したビスフェノールAエポキシ、エポキシ化o-クレゾールノボラック等が含まれる。
【0043】
更なる膜形成要素は、酸性基を含有するモノマーである。例示的な酸性モノマーとしては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、フタル酸、マレイン酸、ムコン酸、クエン酸、トリメシン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。特に好ましい有機酸は、フタル酸、特にオルトフタル酸等の芳香族酸である。
【0044】
アルコール/アクリレート基を含有する膜形成モノマーを使用することができる。例示的なモノマーとしては、ジエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリエチレングリコール、オリゴ/ポリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノクロロヒドリン、ジエチレングリコールモノクロロヒドリン、オリゴエチレングリコールモノクロロヒドリン、トリエチレングリコールモノブロモヒドリン、ジエチレングリコールモノブロモヒドリン、オリゴエチレングリコールモノブロモヒドリン、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、ポリエチレンオキシド、トリエチレングリコール-ジメチルエーテル、テトラエチレングリコール-ジメチルエーテル、ジエチレングリコール-ジメチルエーテル、ジエチレングリコール-ジエチルエーテル-ジエチレングリコール-ジブチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンジオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、n-ブトキシエチルメタクリレート、n-ブトキシエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、n-ブトキシエチルアクリレート、n-ブトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等;二官能性(メタ)アクリレート化合物、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等;グリシジルエーテル、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリシジルエーテル、トリプロピレングリシジルエーテル、ポリプロピレングリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル等;グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド修飾したトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールトリアクリレート、エチレンオキシド修飾したペンタエリトリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
【0045】
外部ポリマー層もまた、独立してエポキシ、アルコール、シラン、ホスフェート、アミン、アルケン、チオール、アルキン、アジドカルボン酸等の活性基を含有する膜形成ポリアニオンを含み得る。
【0046】
外側ポリマー層は独立して、米国特許第9,378,898号に記載の直鎖超分岐ポリマーを膜形成要素として含んでいてもよい。外側ポリマー層は、直鎖ブロックがヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ、アクリレート、酸等から選択される少なくとも2つの反応性末端官能基を有し、超分岐ブロックがポリエーテル-エポキシ、ポリエステル-エポキシ、ポリエステル-シラノール、ポリエステル-酸、ポリエーテル-アルコール、ポリアミド-酸、ポリエーテル-アクリレート、ポリエーテル-シラノール及びポリエステル-アミンペンダント基を含む直鎖-超分岐ポリマーを含み得る。
【0047】
外側ポリマー層は独立して、米国特許出願公開第20150348715号に記載の仕事関数調整剤(work function modifiers)を更に含んでいてもよい。例示的な仕事関数調整剤としては、好ましくはジ-アルコキシアシルチタン酸塩、トリ-アルコキシアシルチタン酸塩、アルコキシトリアシルチタン酸塩、アルコキシチタン酸塩、ネオアルコキシチタン酸塩、チタンIV2,2(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラト、トリスネオデカノアト-O;チタンIV2,2(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラト、アイリス(ドデシル)ベンゼンスルホナト-O;チタンIV2,2(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラト、トリス(ジオクチル)ホスファト-O;チタンIV2,2(ビス2-プロペノラトメチル)トリス(ジオクチル)ピロホスファトブタノラト-O;チタンIV2,2(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラト、トリス(2-エチレンジアミノ)エチラト;並びに代表的なネオアルコキシチタン酸塩であるチタンIV2,2(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラト、トリス(3-アミノ)フェニラト及びその誘導体からなる群から選択される有機チタン酸塩誘導体が挙げられる。さらに、仕事関数調整剤は、脂環式エポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミンエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(PGDGE)、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDGE)、ペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキシレングリコールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、レゾルシノールグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル(GDGE)、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールジグリシジルエーテル(ソルビトール-DGE)、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ジ(2,3-エポキシプロピル)エーテル、1,3-ブタジエンジエポキシド、1,5-ヘキサジエンジエポキシド、1,2,7,8-ジエポキシオクタン、1,2,5,6-ジエポキシシクロオクタン、4-ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、マレイミド-エポキシ化合物、及びそれらの誘導体からなる群から選択される化合物であり得る。
【0048】
外側ポリマー層は独立して、ヒドロキシ官能性非イオン性ポリマー等の非イオン性ポリマーを更に含んでいてもよい。「ヒドロキシ官能性」という用語は概して、化合物が少なくとも1つのヒドロキシル官能基を含有することを意味する。ヒドロキシ官能性ポリマーの分子量は、約100g/mol~10000g/mol、幾つかの実施形態では約200g/mol~2000g/mol、幾つかの実施形態では約300g/mol~約1200g/mol、幾つかの実施形態では約400g/mol~約800g/molであり得る。
【0049】
概して、様々なヒドロキシ官能性非イオン性ポリマーのいずれを用いてもよい。一実施形態では、例えばヒドロキシ官能性ポリマーは、ポリアルキレンエーテルである。ポリアルキレンエーテルは、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール、ポリエピクロロヒドリン;ポリオキセタン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン等を含み得る。ポリアルキレンエーテルは、典型的には末端ヒドロキシ基を有する、主に直鎖の末端ヒドロキシ基を有する非イオン性ポリマーである。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール(ポリテトラヒドロフラン)が特に好ましい。ジオール成分は特に、炭素数5~36の炭素原子を含有する飽和若しくは不飽和、分岐若しくは非分岐脂肪族ジヒドロキシ化合物、又は芳香族ジヒドロキシ化合物、例えば、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ネオペンチルグリコール、ビス-(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサン、ビスフェノールA、二量体ジオール、水素化二量体ジオール又は更には上述のジオールの混合物から選択され得る。
【0050】
上述のものに加えて、他のヒドロキシ官能性非イオン性ポリマーを用いることもできる。かかるポリマーの幾つかの例としては、例えばエトキシ化アルキルフェノール;エトキシ化又はプロポキシ化C6~C24脂肪アルコール;一般式:CH3-(CH2)10~16-(O-C2H4)1~25-OHを有するポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル(例えば、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル及びペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル);一般式:CH3-(CH2)10~16-(O-C3H6)1~25-OHを有するポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル;以下の一般式:C8-H17-(C6H4)-(O-C2H4)1~25-OHを有するポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル(例えば、Triton(商標) X-100);以下の一般式:C9-H19-(C6H4)-(O-C2H4)1~25-OHを有するポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル(例えば、ノノキシノール-9);ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル(例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、PEG-20メチルグルコースジステアレート、PEG-20メチルグルコースセスキステアレート、PEG-80ヒマシ油及びPEG-20ヒマシ油、PEG-3ヒマシ油、PEG 600ジオレエート及びPEG 400ジオレエート)及びポリオキシエチレングリセロールアルキルエステル(例えば、ポリオキシエチレン-23グリセロールラウレート及びポリオキシエチレン-20グリセロールステアレート)等のC8~C24脂肪酸のポリオキシエチレングリコールエステル;C8~C24脂肪酸のポリオキシエチレングリコールエーテル(例えば、ポリオキシエチレン-10セチルエーテル、ポリオキシエチレン-10ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン-20セチルエーテル、ポリオキシエチレン-10オレイルエーテル、ポリオキシエチレン-20オレイルエーテル、ポリオキシエチレン-20イソヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレン-15トリデシルエーテル及びポリオキシエチレン-6トリデシルエーテル);ポリエチレングリコールのブロックコポリマー等が挙げられる。
【0051】
導電性ポリマー溶液又は分散液は、1~14のpHを有していてもよく、1~10のpHが好ましく、1~8のpHが特に好ましく、pHは25℃で測定される。pHを調整するために、例えば塩基又は酸を溶液又は分散液に添加することができる。使用される塩基は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム若しくはアンモニア、又は有機塩基、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリイソブチルアミン、1-メチルプロピルアミン、メチルエチルアミン、ビス(1-メチル)プロピルアミン、1,1-ジ-メチルエチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、トリペンチルアミン、2-ペンチルアミン、3-ペンチルアミン、2-メチル-ブチルアミン、3-メチルブチルアミン、ビス(3-メチル-ブチルアミン)、トリス(3-メチルブチルアミン)、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、デシルアミン、N-メチル-ブチルアミン、N-エチルブチルアミン、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジメチルプロピル、N-エチルジイソプロピルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチル-ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチル-エタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-ブチルジエタノール-アミン、ジブチルエタノールアミン、シクロヘキシルエタノールアミン、シクロヘキシルジエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-プロピルエタノールアミン、tert-ブチルエタノールアミン、tert-ブチル-ジエタノールアミン、プロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン若しくはベンジルアミン、二、三若しくは四官能性アミンであり得る。使用される酸は無機酸、例えば硫酸、リン酸若しくは硝酸、又は有機酸、例えばカルボン酸若しくはスルホン酸であり得る。
【0052】
コンデンサを形成する方法を、該方法を概略的に表す
図2を参照して説明する。
図2中、100ではモノマーの液滴を、少なくとも3wt%のモノマー及びポリアニオンから10wt%以下のモノマー及びポリアニオンまでを含むモノマー溶液中で好ましくはステーターローターによって形成する。次いで、102では液滴を好ましくはポリアニオンの存在下で高剪断重合によって重合させ、それにより導電性ポリマー/ポリアニオン粒子の少なくとも二峰性のサイズ分布を有するポリマー分散液を形成する。104では導体、好ましくはバルブ金属である陽極を作製する。106では誘電体を陽極上に形成するが、好ましい誘電体は陽極の酸化物である。108ではポリマーの導電性ポリマー層を誘電体上に形成し、それにより誘電体を間に有する導電対を形成する。導電性ポリマー層の少なくとも1つの層が導電性ポリマー/ポリアニオン粒子を二峰性のサイズ分布で含む分散液の塗布によって形成される。分散液を浸漬によって塗布するのが好ましい。好ましい実施形態では、導電性ポリマー/ポリアニオン粒子を二峰性のサイズ分布で含む分散液の塗布前に内側ポリマー層を形成する。110ではコンデンサを仕上げる。仕上げには試験、外部終端部の形成、封入等が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0053】
陽極材料は、本明細書では限定されない。特に好ましい陽極材料は金属であり、特に好ましい金属は、バルブ金属又はバルブ金属の導電性酸化物である。特に好ましい陽極にはニオブ、アルミニウム、タンタル及びNbOが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
誘電体は、本明細書では特に限定されない。特に好ましい誘電体は、製造上の配慮から陽極の酸化物である。
【0055】
本明細書全体を通して、「アルキル」、「アリール」、「アルキルアリール」、「アリールアルキル」等の用語は、非置換の又は置換された基を指し、「アルキルアルコール」のように置換されたものとして既に記載されている場合、更に置換されない又は更に置換されていてもよい基を指す。
【0056】
試験方法
角及び縁の被覆率の測定
固体電解コンデンサにおける陽極酸化陽極上の導電性ポリマー分散液の角及び縁の被覆率は、顕微鏡下で検査し、以下の基準に従って評価した:角及び縁が被覆されていない 85%、縁が被覆され、角が被覆されていない 90%、縁が被覆され、角の半分が被覆された 95%;角及び縁が完全に被覆されたように見える 100%。
【0057】
粒度分析
導電性ポリマー:ポリアニオン複合体粒子の粒度は、CPS intrumentsのディスク型遠心分離機粒度分析装置を用いて測定した。粒子の直径分布は、粒径に応じた分散液中の粒子の重量分布に関係する。この関連で、直径分布のD10値は、分散液中の導電性ポリマーポリアニオン複合体の全粒子の総重量の10%をD10値以下の直径を有する粒子に割り当てることができることを示す。直径分布のD50値は、分散液中の導電性ポリマーの全粒子の総重量の50%をD50値以下の直径を有する粒子に割り当てることができることを示す。直径分布のD90値は、分散液中の導電性ポリマーの全粒子の総重量の90%をD90値以下の直径を有する粒子に割り当てることができることを示す。
【実施例】
【0058】
実施例1
ポリ(4-スチレンスルホン酸-コ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)ナトリウム塩を合成した。500ml容フラスコに、初めに33mlの脱イオン水を溶媒として投入した。8gのスチレンスルホン酸ナトリウム塩、2gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート(Mn480)及び1gの過硫酸アンモニウムを添加した後、ガス導入管を用いて混合物を窒素で飽和させた。窒素を混合物に15分間通し、その間、混合物を80℃に加熱した。フラスコをゴム隔膜で密閉し、溶液を16時間重合させた。得られるポリアニオンコポリマーを希硫酸で酸性化し、導電性ポリマー分散液の調製に直接使用した。
【0059】
実施例2
導電性ポリマー分散液を高剪断重合によって合成した。1740gのDI水及び166gの30%PSSA(Alfa Aesar)を4L容ポリエチレンボトルに投入した。反応溶液を窒素で0.5時間~1時間パージした。内容物を、丸穴径1.5mmの有孔ステータースクリーンを備えるローター-ステーター混合システムを用いて混合した。続いて、57gの1%硫酸第二鉄溶液及び43gの過硫酸ナトリウムを反応混合物に添加した後、22.5gの3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)(HeraeusのBaytron M)を滴加した。3.56%(固形分)のモノマー及びポリアニオンを含有する反応混合物を4200rpmの剪断速度で24時間連続的に剪断した。600gのLewatit S108H及び600gのLewatit MP62WSイオン交換樹脂をスラリーに添加し、およそ60rpmで一晩回転させた。導電性ポリマー分散液を濾過によって樹脂から分離した。得られたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散液は、第2の粒子が350nmのD50粒度を有し、第1の粒子が3.50ミクロンのD50粒度を有する二峰性の粒度分布を有していた。
【0060】
実施例3
1740gのDI水及び166gの実施例1のポリアニオンコポリマー(30%)を4L容ポリエチレンボトルに投入した。反応溶液を窒素で0.5時間~1時間パージした。内容物を、丸穴径1.5mmの有孔ステータースクリーンを備えるローター-ステーター混合システムを用いて混合した。続いて、57gの1%硫酸第二鉄溶液及び43gの過硫酸ナトリウムを反応混合物に添加した後、22.5gの3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)(HeraeusのBaytron M)を滴加した。3.56%(固形分)のモノマー及びポリアニオンを含有する反応混合物を4200rpmの剪断速度で24時間連続的に剪断した。600gのLewatit S108H及び600gのLewatit MP62WSイオン交換樹脂をスラリーに添加し、およそ60rpmで一晩回転させた。導電性ポリマー分散液を濾過によって樹脂から分離した。得られたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸-コ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)分散液は、第2の粒子が250nmのD50粒度を有し、第1の粒子が3.50ミクロンのD50粒度を有する二峰性の粒度分布を有していた。
【0061】
実施例4
2805gのDI水及び336gの実施例1のポリアニオンコポリマー(40%)を4L容ポリエチレンボトルに投入した。反応溶液を窒素で0.5時間~1時間パージした。内容物を、丸穴径1.5mmの有孔ステータースクリーンを備えるローター-ステーター混合システムを用いて混合した。続いて、141.3gの1%硫酸第二鉄溶液及び106.65gの過硫酸ナトリウムを反応混合物に添加した後、22.5gの3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)(HeraeusのBaytron M)を滴加した。5.20%(固形分)のモノマー及びポリアニオンを含有する反応混合物を4200rpmの剪断速度で24時間連続的に剪断した。1486gのLewatit S108H及び1486gのLewatit MP62WSイオン交換樹脂をスラリーに添加し、およそ60rpmで一晩回転させた。導電性ポリマー分散液を濾過によって樹脂から分離した。得られたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸-コ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)分散液は、第1の粒子が3.50ミクロンのD50粒度を有し、第2の粒子が300nmのD50粒度を有する二峰性の粒度分布を有していた。
【0062】
比較例1
2531gのDI水及び125gの30%PSSA(Alfa Aesar)を4L容ポリエチレンボトルに投入した。反応溶液を窒素で0.5時間~1時間パージした。内容物を、丸穴径1.5mmの有孔ステータースクリーンを備えるローター-ステーター混合システムを用いて混合した。続いて、28.5gの1%硫酸第二鉄溶液及び21.5gの過硫酸ナトリウムを反応混合物に添加した後、11.25gの3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)(HeraeusのBaytron M)を滴加した。1.79%(固形分)のモノマー及びポリアニオンを含有する反応混合物を4200rpmの剪断速度で24時間連続的に剪断した。300gのLewatit S108H及び300gのLewatit MP62WSイオン交換樹脂をスラリーに添加し、およそ60rpmで一晩回転させた。導電性ポリマー分散液を濾過によって樹脂から分離した。得られたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸分散液は、D50粒度が110nmの単峰性の粒度分布を有していた。
【0063】
比較例2
2531gのDI水及び125gの実施例1のポリアニオンコポリマー(30%)を4L容ポリエチレンボトルに投入した。反応溶液を窒素で0.5時間~1時間パージした。内容物を、丸穴径1.5mmの有孔ステータースクリーンを備えるローター-ステーター混合システムを用いて混合した。続いて、28.5gの1%硫酸第二鉄溶液及び21.5gの過硫酸ナトリウムを反応混合物に添加した後、11.25gの3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)(HeraeusのBaytron M)を滴加した。1.79%(固形分)のモノマー及びポリアニオンを含有する反応混合物を4200rpmの剪断速度で24時間連続的に剪断した。300gのLewatit S108H及び300gのLewatit MP62WSイオン交換樹脂をスラリーに添加し、およそ60rpmで一晩回転させた。導電性ポリマー分散液を濾過によって樹脂から分離した。得られたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホン酸-コ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート)分散液は、D50粒度が80nmの単峰性の粒度分布を有していた。
【0064】
実施例5
実施例2の導電性ポリマー分散液をDMSO、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び少なくとも3つのエポキシ基を有する反応性モノマー/オリゴマーと混合した後、回転機(roller)で一晩混合した。
【0065】
実施例6
実施例3の導電性ポリマー分散液をDMSO、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び少なくとも3つのエポキシ基を有する反応性モノマー/オリゴマーと混合した後、回転機で一晩混合した。
【0066】
比較例3
比較例1の導電性ポリマー分散液をDMSO、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、並びに2つのエポキシ基及び2つのカルボン酸基を有する反応性モノマーと混合した後、回転機で一晩混合した。
【0067】
比較例4
比較例2の導電性ポリマー分散液をDMSO、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び少なくとも3つのエポキシ基を有する反応性モノマーと混合した後、回転機で一晩混合した。
【0068】
実施例7
固体電解コンデンサを標準的技法によって作製した。一連のタンタル陽極(33μF、35V)を作製した。タンタルを陽極酸化してタンタル陽極上に誘電体を形成した。このようにして形成された陽極を、トルエンスルホン酸鉄(III)酸化体の溶液に1分間浸漬し、連続してエチルジオキシチオフェンモノマーに1分間浸漬することで、導電性ポリマー(PEDOT)の薄層を陽極酸化陽極の誘電体上に形成した。60分間の重合の終了後に陽極酸化陽極を洗浄して過剰なモノマー及び反応の副生成物を除去した。このプロセスを十分な厚さが達成されるまで繰り返した。実施例5の導電性ポリマー分散液を塗布し、続いて乾燥させることで外側ポリマー層を形成した。このプロセスを4回繰り返した。この部品を顕微鏡下で角及び縁の被覆率について検査した。グラファイト層及び銀層の連続コーティングを行い、固体電解コンデンサを作製した。部品を組み立て、パッケージ化した。
【0069】
本発明の実施例8
一連のタンタル陽極(33μF、35V)を作製した。タンタルを陽極酸化してタンタル陽極上に誘電体を形成した。このようにして形成された陽極を、トルエンスルホン酸鉄(III)酸化体の溶液に1分間浸漬し、連続してエチルジオキシチオフェンモノマーに1分間浸漬することで、導電性ポリマー(PEDOT)の薄層を陽極酸化陽極の誘電体上に形成した。60分間の重合の終了後に陽極酸化陽極を洗浄して過剰なモノマー及び反応の副生成物を除去した。このプロセスを十分な厚さが達成されるまで繰り返した。実施例6の導電性ポリマー分散液を塗布し、続いて乾燥させることで外側ポリマー層を形成した。このプロセスを4回繰り返した。この部品を顕微鏡下で角及び縁の被覆率について検査した。グラファイト層及び銀層の連続コーティングを行い、固体電解コンデンサを作製した。部品を組み立て、パッケージ化した。
【0070】
比較例5
一連のタンタル陽極(33μF、35V)を作製した。タンタルを陽極酸化してタンタル陽極上に誘電体を形成した。このようにして形成された陽極を、トルエンスルホン酸鉄(III)酸化体の溶液に1分間浸漬し、連続してエチルジオキシチオフェンモノマーに1分間浸漬することで、導電性ポリマー(PEDOT)の薄層を陽極酸化陽極の誘電体上に形成した。60分間の重合の終了後に陽極酸化陽極を洗浄して過剰なモノマー及び反応の副生成物を除去した。このプロセスを十分な厚さが達成されるまで繰り返した。比較例3の導電性ポリマー分散液を塗布し、続いて乾燥させることで外側ポリマー層を形成した。このプロセスを4回繰り返した。この部品を顕微鏡下で角及び縁の被覆率について検査した。グラファイト層及び銀層の連続コーティングを行い、固体電解コンデンサを作製した。部品を組み立て、パッケージ化した。
【0071】
比較例6
一連のタンタル陽極(33μF、35V)を作製した。タンタルを陽極酸化してタンタル陽極上に誘電体を形成した。このようにして形成された陽極を、トルエンスルホン酸鉄(III)酸化体の溶液に1分間浸漬し、連続してエチルジオキシチオフェンモノマーに1分間浸漬することで、導電性ポリマー(PEDOT)の薄層を陽極酸化陽極の誘電体上に形成した。60分間の重合の終了後に陽極酸化陽極を洗浄して過剰なモノマー及び反応の副生成物を除去した。このプロセスを十分な厚さが達成されるまで繰り返した。比較例4の導電性ポリマー分散液を塗布し、続いて乾燥させることで外側ポリマー層を形成した。このプロセスを4回繰り返した。この部品を顕微鏡下で角及び縁の被覆率について検査した。グラファイト層及び銀層の連続コーティングを行い、固体電解コンデンサを作製した。部品を組み立て、パッケージ化した。
【0072】
比較例7
一連のタンタル陽極(33μF、35V)を作製した。タンタルを陽極酸化してタンタル陽極上に誘電体を形成した。このようにして形成された陽極を、トルエンスルホン酸鉄(III)酸化体の溶液に1分間浸漬し、連続してエチルジオキシチオフェンモノマーに1分間浸漬することで、導電性ポリマー(PEDOT)の薄層を陽極酸化陽極の誘電体上に形成した。60分間の重合の終了後に陽極酸化陽極を洗浄して過剰なモノマー及び反応の副生成物を除去した。このプロセスを十分な厚さが達成されるまで繰り返した。市販の導電性ポリマー分散液であるClevios(商標) KV2を塗布し、続いて乾燥させることで外側ポリマー層を形成した。このプロセスを4回繰り返した。この部品を顕微鏡下で角及び縁の被覆率について検査した。グラファイト層及び銀層の連続コーティングを行い、固体電解コンデンサを作製した。部品を組み立て、パッケージ化した。
【0073】
比較例8
一連のタンタル陽極(33μF、35V)を作製した。タンタルを陽極酸化してタンタル陽極上に誘電体を形成した。このようにして形成された陽極を、トルエンスルホン酸鉄(III)酸化体の溶液に1分間浸漬し、連続してエチルジオキシチオフェンモノマーに1分間浸漬することで、導電性ポリマー(PEDOT)の薄層を陽極酸化陽極の誘電体上に形成した。60分間の重合の終了後に陽極酸化陽極を洗浄して過剰なモノマー及び反応の副生成物を除去した。このプロセスを十分な厚さが達成されるまで繰り返した。比較例4の導電性ポリマー分散液を塗布して外側ポリマー層を形成した。乾燥後に、市販の架橋剤溶液であるClevios(商標) Kプライマー及び比較例2の導電性ポリマー分散液の交互の層を塗布し、4回繰り返した。この部品を熱湯で洗浄して過剰なClevios(商標) Kプライマーを除去した後、続いて炉内で乾燥させた。部品を顕微鏡下で角及び縁の被覆率について検査した。グラファイト層及び銀層の連続コーティングを行い、固体電解コンデンサを作製した。部品を組み立て、パッケージ化した。
【0074】
比較例9
一連のタンタル陽極(33μF、35V)を作製した。タンタルを陽極酸化してタンタル陽極上に誘電体を形成した。このようにして形成された陽極を、トルエンスルホン酸鉄(III)酸化体の溶液に1分間浸漬し、連続してエチルジオキシチオフェンモノマーに1分間浸漬することで、導電性ポリマー(PEDOT)の薄層を陽極酸化陽極の誘電体上に形成した。60分間の重合の終了後に陽極酸化陽極を洗浄して過剰なモノマー及び反応の副生成物を除去した。このプロセスを十分な厚さが達成されるまで繰り返した。市販の導電性ポリマー分散液であるClevios(商標) KV2を塗布して外側ポリマー層を形成した。乾燥後に、市販の架橋剤溶液であるClevios(商標) Kプライマー及び比較例2の導電性ポリマー分散液の交互の層を塗布し、4回繰り返した。この部品を熱湯で洗浄して過剰なClevios(商標) Kプライマーを除去した後、続いて炉内で乾燥させた。部品を顕微鏡下で角及び縁の被覆率について検査した。グラファイト層及び銀層の連続コーティングを行い、固体電解コンデンサを作製した。部品を組み立て、パッケージ化した。
【0075】
固体電解コンデンサにおける本発明の導電性ポリマー分散液の性能の結果を表1及び表2にまとめる。
【0076】
【0077】
【0078】
二峰性のサイズ分布を有する分散液の利点は、コーティング品質及び固体電解コンデンサの性能の改善として現れる。本発明を、好ましい実施形態を参照して説明したが、本発明はこれらに限定されない。当業者は、より具体的には添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲(metes and bounds)内である付加的な実施形態及び改善を実現する。