(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】セラミック部品を低温製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G21C 21/02 20060101AFI20220916BHJP
B02C 17/08 20060101ALI20220916BHJP
B02C 19/06 20060101ALI20220916BHJP
B02C 19/18 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
G21C21/02 260
B02C17/08
B02C19/06 A
G21C21/02 230
G21C21/02 240
G21C21/02 250
G21C21/02 270
B02C19/18 A
(21)【出願番号】P 2020520638
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(86)【国際出願番号】 FR2018052506
(87)【国際公開番号】W WO2019073170
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-01
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ヴォーデ
(72)【発明者】
【氏名】メリル・ブロチエ
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ・シャルロット・ロバソン
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-538131(JP,A)
【文献】特開昭52-68846(JP,A)
【文献】特開平8-13006(JP,A)
【文献】特開2013-112887(JP,A)
【文献】特開平5-9507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0263620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 21/02
B02C 17/08
B02C 19/06
B02C 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末(P)から得られるセラミック部品(PC)を製造するための装置であって、
混合及び粉砕される前記粉末(P)を供給及び導入するための装置と、
前記粉末(P)及び液化ガス(GL)が導入され、直接接触して配置される断熱容器を含み、前記液化ガス(GL)の容積と前記粉末(P)の総容積との容積比が、40から70%である、前記粉末(P)を混合及び低温粉砕するための装置(1)と、
加圧ダイ及び圧縮プレスを含む、前記液化ガスの揮発後に一軸加圧によって前記混合物を成形するための装置(3)と、
硬化した成形部品を焼結するための装置(6)と、
を含む、粉末(P)から得られるセラミック部品(PC)を製造するための装置。
【請求項2】
前記粉砕から生じた懸濁液を1つ以上の成形型に導入し、それを充填するための排出及び鋳造装置(2)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
細孔を通して前記液化ガス(GL)を排出することを可能にする多孔性鋳型を備える、前記懸濁液を成形するための装置(4)、及び、前記懸濁液を構成する液体の除去を促進するために、前記型内の圧力に対して、真空下で、前記型の外面を配置し、前記面を加熱するための装置(5)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記粉末(P)が、アクチニド粉末であることを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記粉砕装置(1)が、前記粉砕圧力を制御するための安全弁(10)を含むことを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記粉砕装置(1)が、特に、粉砕される粉末(P)が装填された、又は、装填されていない固化ガス(GS)からなる粉砕媒体を含む遊星ボールミルの形態である、請求項1から5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記粉砕装置(1)が、特にn個の合流ジェットからなる合流ジェットミルの形態であり、nが厳密に1より大きい整数であり、隣接する2つのジェットの間の角度(α)が等しく、特に2π/nに等しいことを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記排出及び鋳造装置(2)が、振動及び/又は音響応力によって、特に圧電及び/又はソノトロードによって、前記懸濁液を安定化させる手段を含むことを特徴とする、請求項2から7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
粉砕される粉末(P)を供給及び導入するための前記装置が、帯電システムを含むことを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
粉砕される粉末を供給及び導入するための前記装置が、導入された前記粉末(P)と反対の電荷を有する、静電的に帯電したバインダー(AD)を導入するためのシステムを含み、前記バインダーが、特に、エラストマー、樹脂又は接着性有機化合物であることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の装置によって実施されることを特徴とする、粉末(P)から得られるセラミック部品(PC)を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の形態で使用される1つ又は複数の対象元素の粉末から得られる高密度セラミック部品を製造する分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、特に以下の3つの段階に基づいて、特定の特性を有するセラミック部品を製造するためのこれらの粉末の使用に関する:
液化ガス及び粉末の混合及び粉砕から懸濁液を調製する段階;
懸濁液からの粉末又は懸濁液からの成形部品を加圧することによって成形する段階;
適切な熱処理によって成形からの部品の焼結による緻密化段階。
【0003】
好ましくは、それは、例えば、特に酸化ウラン粉末(UO2)及び/又は酸化プルトニウム粉末(PuO2)を含む、アクチニド粉末などの高密度及び/又は凝集性粉末に適用される。さらに、本発明は、好ましくはセラミック核部品の製造、すなわち核燃料、特に核燃料ペレットの製造に適用される。
【0004】
従って、本発明は、低温でセラミック部品を製造するための装置、並びに、関連する製造方法を提案する。
【背景技術】
【0005】
調製方法が異なるため、酸化ウラン粉末(UO2)及び酸化プルトニウム粉末(PuO2)などのアクチニド粉末は、混合及び粉砕の際に、一般に流動学の観点から、異なる特性及び挙動を有する。
【0006】
従って、刊行物“MOx Fuel Fabrication and in-reactor performance”,D.Haas, M.Lippens, Proc. of the Internat. Conference on Future Nuclear Systems, Global 97に記載されているように、MIMASとして知られているプロセスで酸化プルトニウムに関連する酸化ウラン粉末から製造された燃料は、燃料の再処理に必要な硝酸にペレットが溶解できない場合がある。この挙動は、ボールミルジャーで粉砕された母材混合物中のプルトニウムの分布の不均一性によって説明され、焼結中に拡散によって再吸収するには大き過ぎるプルトニウムに富むアイランドの存在によって特徴付けられる。これらのプルトニウム含有領域は、潜在的に45%を超える濃度で、永久に不溶性である。乾式粉砕アプローチのこの困難さは、液体粉砕を使用することで制限されるか、取り除かれさえする。
【0007】
実際に、湿式粉砕は、高効率及び低エネルギー消費により、産業界(原子力産業以外)で一般的に採用されている粉砕方法である。この文献では、一般に、浮かび上がる主な結論は次の通りである:液体媒体での粉砕が、乾式粉砕よりも効率的であるが、発生した現象の解釈は、依然として困難である。Padden and Reedについては、“American Ceramic Society Bulletin”,SA. Padden, JS. Reed, 1993において、湿式媒体における粉砕が、衝撃が緩和されないため、エネルギーの観点からより効率的である。El-Shallについては、“Physico-Chemical Aspects of Grinding: a Review of Use of Additives”, Powder Technology, Volume 38, July 1984, pages 275-293には、液体プロセスの効率は、パルプ又は粉末の物理的性質、その分散状態及びその密度に応じて、ミルを通した材料の輸送モードに由来する。
【0008】
セラミック部品の製造は、通常、液相(水)粉砕、次いで、スラリー、例えば食器又は衛生製品用の材料の製造に関連するような産業用途において、種々の鉱物材料の懸濁液の成形によって行われる。この従来のプロセスは、工業的には堅牢であるが、部品の乾燥が遅いため、離型が遅れ、又は金型の耐用年数が短いなど、いくつかの欠点がある。例えば、英国特許出願公開第1170277号明細書、中国特許出願公開第105601279号明細書、欧州特許出願公開第0191409号明細書、国際公開第2005/012205号、又は、国際公開第96/06811号に記載されているような、このタイプの方法の多くのバリエーションに留意されたい。
【0009】
特に離型時間を制限するために、この方法の適応が提案されていることに留意されたい。従って、例えば、欧州特許出願公開第1575745号明細書、米国特許第5427722号明細書、及び、欧州特許出願公開第0463179号明細書に記載されているように、この目的のために高圧を用いた成形に注目することができる。
【0010】
核燃料などのセラミックを製造する状況では、従来、ボールミルは、ウラン及びプルトニウムの酸化物の粉末の共粉砕に使用されている。モノグラフ“Process engineering of size reduction: ball milling”, Austin L.G. et al., AIME, 1984、又は、英国特許出願公開第18962501号明細書、米国特許第6473336号明細書、米国特許第2235985号明細書、及び、米国特許第2041287号明細書等の文献には、このタイプの用途に使用することができるこれらのボールミルの複数のバージョンが記載されている。臨界、放射線分解及び汚染された水性廃水の生成などの原子力産業における、しばしば禁止されているリスク及び制限の導入により、液相粉砕は、従来使用されていない。
【0011】
さらに、(焼結による熱高密度化の前に)硬化部品を得るために圧力下で鋳造することは、“Organismes pour la production de materiel sanitaire a cycle rapide” [Organisms for the rapid cycle production of sanitary equipment], M. Vouillemet et coll., Interceram,vol.39,no.1,1990,pages17-23等の文献に記載されている。これらの用途のための多孔質金型を製造するための商業的及び技術的な高圧鋳造装置は、例えば、NETZCH社などの多くの産業会社から入手可能であることに留意すべきである。
【0012】
鋳造によるセラミックを製造するためのこれらの方法が圧力下で行われるか否かは、水溶液と、必要に応じて安定剤、分散剤、レオロジー剤、凝集剤などの添加剤とに基づくスラリーの配合に依存する。全ての場合において、これらの成分、水及び/又は添加物は、核燃料の生産に関連するものなどの特定の用途に悪影響を及ぼす。これらの成分が、処理が困難な汚染廃棄物/廃水の生成、及び/又は、放射線分解による爆発、又は、臨界関連事故のリスクさえ引き起こし得るからである。
【0013】
従って、先行技術の前述の解決策は、例えば核燃料を形成するものなどの特定のセラミックの製造には容易に適用することができない。
【0014】
有機液体からなるスラリーを提供する特定の溶液が、液体流出物の処理の問題及び/又は放射線分解のリスクの制御に応答しないことに留意すべきである。
【0015】
さらに、従来のいくつかの方法又は装置は、水溶液又は有機液体さえ使用せず、より革新的な方法で液化ガスを使用している。これらの後者の解決策は、本発明が遭遇する目的にはあまり効果的ではない。実際に、例えば、英国特許出願公開第1508941号明細書、欧州特許出願公開1405927号明細書、又は、欧州特許出願公開第2535114号明細書に記載されているタイプの方法は、多過ぎる液化ガスを使用し、装置の圧力上昇のリスクが制御されない。さらに、使用を最適化するための制御を可能にする要素が組み込まれていない。最後に、粉末と構成材料を形成する材料との間の摩耗によって引き起こされる汚染は、無視することができず、これは、本発明によって求められる用途など、いくつかの用途では禁じられる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】英国特許出願公開第1170277号明細書
【文献】中国特許出願公開第105601279号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0191409号明細書
【文献】国際公開第2005/012205号
【文献】国際公開第96/06811号
【文献】欧州特許出願公開第1575745号明細書
【文献】米国特許第5427722号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0463179号明細書
【文献】英国特許出願公開第18962501号明細書
【文献】米国特許第6473336号明細書
【文献】米国特許第2235985号明細書
【文献】米国特許第2041287号明細書
【非特許文献】
【0017】
【文献】“MOx Fuel Fabrication and in-reactor performance”,D.Haas, M.Lippens, Proc. of the Internat. Conference on Future Nuclear Systems, Global 97
【文献】Padden and Reedについては、American Ceramic Society Bulletin、SA. Padden, JS. Reed, 1993
【文献】“Physico-Chemical Aspects of Grinding: a Review of Use of Additives”, Powder Technology, Volume 38, July 1984, pages 275-293
【文献】“Process engineering of size reduction: ball milling”, Austin L.G. et al., AIME, 1984
【文献】“Organismes pour la production de materiel sanitaire a cycle rapide” [Organisms for the rapid cycle production of sanitary equipment], M. Vouillemet et coll., Interceram,vol.39,no.1,1990,pages17-23
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、粉末、又は部品の形態で使用される対象の元素、特にアクチニド粉末から、特定の特性を備えたセラミック部品を製造するための新しいタイプの装置及び方法を提案する必要がある。
【0019】
特に、付随して次のことができる必要がある:
-使用する1つ又は複数の粉末で汚染された液体廃液を生成する液体なしに、粉末のスラリー/懸濁液を調製し、
-このスラリーを形成する1つ又は複数の粉末の粒径分布に関係なく、このスラリーを調製し、
-使用される粉末に対して不活性な液化ガスを使用することにより、このスラリーに由来する最終製品の汚染を引き起こすことなく、このスラリーを調製し、
-潜在的に、硬化したグリーン体を汚染したり、可燃性/爆発性ガスを発生する可能性がある放射線分解を受けたりする危険性のある添加剤を安定化することなく、スラリーを調製し、
-グリーン体に損傷を与えることなく、また金型に潜在的に損傷を与えることなく、液体を非常に迅速に(つまり、工業生産率を可能にするために)排出し、
-特に核燃料用途では明らかではない連続的な方法で焼結前に硬化部品を製造し、粉末を粉砕する操作が、現在バッチで工業的に行われており、
-全体として、焼結後の仕様に対応した緻密な部品を得る。
【0020】
本発明の目的は、上記の必要性に少なくとも部分的に対応し、従来技術の実施形態に関する不利な点を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的は、その態様の1つによれば、粉末から得られるセラミック部品、特にアクチニド粉末から得られる核燃料ペレットを製造するための装置であって、
-混合および粉砕される粉末を供給および導入するための装置と、
-粉末を混合及び低温粉砕するための装置であって、粉末及び液化ガスが導入され、直接接触する断熱容器であって、液化ガスの容積と粉末の総容積との容積比が、40から70%である、断熱容器と、任意に、液化ガスの損失を最小限にするために粉砕圧力を制御するための安全弁と、を備える、粉末を混合及び低温粉砕するための装置と、
-任意に、粉砕から生じた懸濁液を1つ以上の成形型に導入し、それを充填するための排出及び鋳造装置と、
-加圧ダイ及び圧縮プレスを備える、液化ガスの揮発後に一軸加圧によって混合物を成形するための装置と、
-任意に、鋳造の場合、細孔を通して液化ガスを排出することを可能にする多孔性鋳型と、懸濁液を構成する液体の除去を促進するために、型内の圧力に対して、真空下で、型の外面を配置し、この面を加熱するための装置と、を備える懸濁液を成形するための装置であって、この排出が、必要に応じて、任意に、製造される部品の硬化したグリーン体の緻密化を促進するために振動によって支援される、懸濁液を成形するための装置と、
-硬化した成形部品を焼結するための装置、特に制御された雰囲気下において約1700℃で操作することができる焼結炉と、
を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明により、特に汚染がなく、疎水性で熱に敏感な、高付加価値のセラミック部品を得ることが可能である。
【0023】
本発明は、いくつかの段階に基づいている:
焼結される部品のグリーン体を形成する前に、粉末を低温流体に懸濁する段階;
懸濁液を粉砕する段階;
例えば加圧又は鋳造によって懸濁液を成形する段階であって、鋳造の場合、多孔質金型を通しての吸引/蒸発及び/又は部品の加熱によって低温流体を排出する段階;
焼結によって緻密化する段階。
【0024】
従って、有利には、本発明は、上述の必要性に応えるために幾つかの技術的効果を使用する。より具体的には、それは、製造される部品の構成要素の分布に関して、均質部品の製造を保証するのに特に役立つ。MOx燃料の場合、ミクロンスケールでのUO2/PuO2の分布の均質化が望ましい。さらに、これらの「製品」仕様を超えて、プロセスの制約、特定の臨界リスク管理、汚染された排水管理、放射線分解の管理、生産速度などを考慮する必要がある。本発明は、これらの期待及び要件を満たすことを可能にする。
【0025】
本発明において有利に利用される技術的効果には、
対象の成分の均質化を最適化することを可能にする低温液体で粉砕し、これを達成するために必要な時間を最小化し、乾式粉砕と比較して粉末の汚染を最小化し、懸濁液中の微粒子が懸濁液内に隔離されたままであり、これにより材料の分散が回避され、プロセスのオペレーターの汚染及び放射線影響のリスクを制限することを可能にすること;
目標とする液化ガスの沸点に照らして懸濁液を形成する低温流体の急速蒸発;
いわゆる乾式法では流動性が低いと言われているアクチニド粉末の混合物を流動化させ、従って均質化する可能性;
が含まれる。
【0026】
従って、本発明は、上述の制約を考慮することを提案し、本発明で使用される液化ガス媒体は、放射線分解を受けず、さらに、常温での再凝縮のリスクなしに蒸発(自然又は強制)後の液体流出問題の定義による管理を可能にする。最後に、水素化されていない液化ガスを使用しても、従来技術の乾式法と比較して、臨界の危険性が大幅に増加することはない。
【0027】
ここで、通常の方法では、低温流体が、低温において液体状態で貯蔵された液化ガスを指すことに留意されたい。この液化ガスは、本発明の実施条件下では、混合、粉砕及び解砕される粉末に対して化学的に不活性である。
【0028】
本発明によるセラミック部品を製造するための装置はまた、単独で又は任意の技術的に可能な組み合わせで、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。
【0029】
低温粉砕装置は、アクチニド粉末を使用する用途のために、UTi又はZrO2合金から作られたローラーなどの従来の粉砕媒体を含むことができる。
【0030】
低温粉砕装置は、特に、汚染を最小化し、及び/又は、それらの密度を高めるために、粉砕される粉末が装填された又は装填されていない、固化ガスで形成された粉砕媒体を含むボールミル又は遊星ミルの形態であり得る。
【0031】
従って、粉砕媒体は、固化した低温ガスの形態にすることができ、断熱容器は、液化ガスを封入することができ、その量は、一般に、粉末床の流動化/攪拌を可能にするために、50%程度の、粉末床の開気孔容積を地面に満たすのに十分である。ここでの目的は、非常に流動性のある、又は流動性のない粉末で構成されている場合でも、粒状媒体の流動化を可能にすると同時に、過圧のリスクを最小限に抑えるために、液化ガスの量を最小化する。
【0032】
低温粉砕装置は、合流ジェットミルの形態で存在することもでき、特にn個の合流ジェットを含み、nは厳密に1より大きい整数であり、2つの隣接するジェット間の角度が等しく、特に2π/nである。従って、この装置は、特に、懸濁液中で粉砕される粉末を含む低温流体のジェットを液体の形態で分配するための装置を備えることができ、ジェットは合流し、有利には、これらのジェットを含む平面内で均等に分配される(合流の角度に関して)。
【0033】
排出及び鋳造装置は、必要に応じて液化ガス/固体粉末分率の調整を可能にするように構成することができる。
【0034】
さらに、排出及び鋳造装置(2)は、振動及び/又は音響応力によって、特に圧電及び/又はソノトロードによって、懸濁液を安定化させるための手段を含む。
【0035】
粉砕される粉末を供給及び導入するための装置は、帯電システムを含み得る。
【0036】
さらに、粉砕される粉末を供給及び導入するための装置は、導入された粉末と反対の電荷を有する静電的に帯電したバインダーを導入するためのシステムを含み得、バインダーは、特に、エラストマー、樹脂又は接着性有機化合物である。
【0037】
さらに、本発明の別の目的は、粉末から得られるセラミック部品を製造する方法であって、上記で定義された装置によって実施されることを特徴とする方法である。
【0038】
本発明による製造装置及び方法は、単独で、又は他の特徴との技術的に可能な全ての組み合わせで、詳細な説明に開示された特徴の何れかを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明は、非限定的で例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、並びに、添付の図面の概略図及び部分図を調べることによって、よりよく理解することができる。
【0040】
【
図1】本発明によるセラミック部品を製造するための装置及び方法の原理を示すブロック図を表す。
【
図2】本発明による装置及び方法のための様々なタイプの粉砕装置を概略的に示す図である。
【
図3】本発明による装置及び方法のための様々なタイプの粉砕装置を概略的に示す図である。
【
図4】本発明による装置及び方法のための様々なタイプの粉砕装置を概略的に示す図である。
【
図5】本発明による装置及び方法のための排出及び鋳造装置の例を概略的に示す。
【
図6A】多孔性型の使用におけるバリア効果濾過を図示する。
【
図7】本発明による装置のための多孔質型の粉砕装置/懸濁液及び充填アセンブリの原理の概略図を示す。
【
図8】分離及び加熱後の懸濁液及び硬化部分におけるバインダーの粒子と粉末の粒子との間の配置を示す。
【
図9】異なる温度での密度の関数としての二酸化炭素中のナフタレンの溶解度の変化を示す。
【
図10】遭遇する可能性のある粉末懸濁液の剪断下の主な挙動を示し、この曲線は、降伏応力流体、剪断減粘性流体及びニュートン流体にそれぞれ対応する。
【
図11】最大充填体積分率の2つの値について、液体窒素中の粉体懸濁液の粘度を粉体の体積分率の関数として示した図である。
【
図12】時間の関数として、減少した(つまり、無次元の)沈降速度の確立を示す。
【
図13】2つのタイプの液化ガスについて、粒子の半径の関数として、粒子単独又は懸濁液中の沈降速度を示す。
【
図14A】粉末の視覚化の2つのスケールで走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮られた写真を示す。
【
図14B】粉末の視覚化の2つのスケールで走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮られた写真を示す。
【
図15A】粉末の視覚化の2つのスケールでSEMによって撮られた写真を示す。
【
図15B】粉末の視覚化の2つのスケールでSEMによって撮られた写真を示す。
【
図16A】本発明による製造方法によって生成されたUPuO
2燃料の微細構造を示す。
【
図16B】本発明による製造方法によって生成されたUPuO
2燃料の微細構造を示す。
【
図17】本発明による方法によって生成されたUPuO
2のペレットに適用される焼結サイクルを表す。
【
図18】サイズの関数としてのエネルギーの変化によって粉砕される粒子の範囲を示す。
【
図20】ボール内の固体(酸化プルトニウムの場合)の体積分率の関数として、ドライアイスのボールの密度の変化を表す。
【
図21】ボールミルでの粉砕時間の関数としての粉末の粒径分布の変化、つまり、サイズに対する体積百分率の変化を表す。
【
図22】本発明による粉砕アプローチ(単純な混合の参照アプローチ)、乾式相ボールミル、及び、LN
2ミルの比較を可能にする。
【
図23】粉砕される装填物の比表面積及びその粒径分布に対する、他の参照アプローチと比較した本発明の粉砕の影響を示す。
【0041】
これらの図の全てにおいて、同一の参照符号は、同じ又は同等の要素を指定することができる。
【0042】
さらに、図をより読みやすくするために、図に示されている様々な部分は、必ずしも一定の縮尺ではない。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下に説明する例示的な実施形態では、考慮される粉末は、核燃料ペレットの製造を可能にするアクチニド粉末であることに留意されたい。さらに、ここで考慮される低温流体は、液体窒素である。しかしながら、本発明は、これらの選択に限定されない。
【0044】
本発明によるセラミック部品を製造するための装置及び方法の原理を示すブロック図を表す。
【0045】
最初に、この装置は、混合及び低温粉砕のための装置1を含み、その中に、粉末P、液化ガスGL、及び、任意選択で添加剤ADが導入される。
【0046】
さらに、この装置は、粉砕装置1によって得られた粉砕から得られた粉末懸濁液を1つ又は複数の成形型に導入し、それを充填するための排出及び鋳造装置2を含む。
【0047】
さらに、加圧ダイ及び圧縮プレスを含む、液化ガスの揮発後に一軸加圧によって混合物を成形するための装置3も提供される。装置1はまた、液化ガスGLが細孔を通して排出されることを可能にする多孔性鋳型を含む懸濁液を成形するための装置4、及び、鋳型内の圧力に対して、鋳型の外面を真空下に置き、及び/又は、懸濁液を構成する液体の除去を促進するために、この面を加熱するための装置5を含む。
【0048】
最後に、装置1は、硬化した成形部品を焼結するための装置6、特に、制御された雰囲気下において約1700℃で動作することができる焼結炉を含み、セラミック部品PCを得ることを可能にする。
【0049】
本発明による装置のこれらの構成要素及び本発明による製造方法の段階を以下に詳細に説明する。
【0050】
(低温粉砕装置)
粉末Pの安定した懸濁液及び/又は十分な程度の混合物均質性を得るために、粉砕装置1は、凝集及び不均一性を制限するために、非常に細かくない粉末の粉砕を可能にする。
【0051】
懸濁及び粉砕は、低温粉砕、すなわち液化ガス相で操作されることにより行われる。これを行うには、充填物の汚染のリスクを制限するために、いくつかのタイプのミルを考慮することができる。
【0052】
非限定的な例として、低温粉砕装置1は、
図2に示すように垂直回転面を有するボールミルの形態、又は、
図3に示すように水平面の回転を有する遊星ミルの形態とすることができ、これらは、それにもかかわらず、それらが液化ガスを含むことができるように設計されている。
【0053】
これを行うために、それらは、有利には、断熱されており、場合によっては、作動圧力を制御/制限し、蒸発の影響を低減するための安全弁10を備えている。さらに、任意に、粉砕される粉末Pの汚染を制限するために、粉砕媒体(ビーズ、ボールなど)は、固化ガスGS、例えば二酸化炭素(CO2)で構成され、その密度は、ミルで使用される液化ガスGLの密度より大きい。
【0054】
図2及び
図3では、Rは、回転方向を表し、Bは、ドライアイスで構成されたボールで、粉砕/凝集される粉末Pの一部を含むことができ、GSは、固化ガスを表し、GLは、液化ガスを表し、GL+Pは、液化ガス浴GL及び粉末床Pを含む懸濁液又は低温スラリーを表し、gPは、粉末粒子を表す。
【0055】
別の代替案は、
図4に示すように、汚染を同様に制限するために合流ジェットミルを使用できるようにすることである。
【0056】
従って、
図4において、参照符号11は、ドレンギロチンバルブを示し、参照符号12は、ソノトロードを示し、参照符号JSは、液化ガス/粉末懸濁液ジェットを示し、参照符号Ziは、衝撃領域を示し、参照Jn、Jn+1及びJn+2はそれぞれ、帯電した懸濁液のジェットn、n+1、n+2を示し、参照符号Zは、右側の領域の
図4の左側の拡大部分を示す。ここには3つのジェットがあるため、角度αは、2π/3ラジアンに等しい。
【0057】
より具体的には、n個のジェットを有する粉砕構成を使用することによる粉末Pの汚染なしの粉砕は、ジェットの制御された合流に依存し、以下のようになる:
-2つの隣接するジェット間の角度は、2π/nに等しく、
-各ジェットの運動量(qm)は、等しい。
【0058】
これは、各ノズルによって同等の圧力を掛けることによって可能になり、ノズルは、同じ流量と同じ噴射速度を保証するために、同じ内部分布直径を有する。
【0059】
(排出及び鋳造装置)
そのような排出及び鋳造装置2の例は、
図5に示されている。
【0060】
この装置2は、重力の影響下で排出することができ、及び/又は、圧力によって支援することができる容積を含む。この容積自体は、懸濁液を安定に保つために、言い換えれば装置の使用中に沈降しないようにするために、圧電又はソノトロードなどの振動/音響応力装置を任意に備えている。従って、必要に応じて、圧電又はソノトロードを使用して機械的又は音響的振動を加えることが可能である。また、
図5では、BGは、ガスシリンダーを示し、参照符号20は、液化ガスの断熱容積を示すことに留意すべきである。
【0061】
さらに、粉末P/液化ガスGL比に応じて、この装置では、液化ガスの割合を追加又は除去することによってこの比を制御することが可能である。
【0062】
(成形装置)
任意に、強制鋳造の場合、次に、以前に配合された懸濁液は、本発明による方法によって形成される部品PCの最終形状を予熱する多孔質モールドMPに導入される。深層濾過(
図6B)と比較して多孔性金型MP(
図6A)の使用で見られるバリア効果濾過を示す
図6A及び
図6Bに示すように、金型MPは、バリア効果のある金属製のPoral(登録商標)などの様々な多孔性材料又は多孔性樹脂などで製造することができる。
【0063】
図7は、金型MPの粉砕装置1/懸濁液及び充填アセンブリの原理の概略図を示す。
【0064】
生産速度を上げることができるようにするために、金型MPの外面を真空/減圧下に置くことによって、及び/又は、液化ガスGLの蒸発を促進するために温度を調整することによって、液化ガスGLを排出することができる。しかしながら、液化ガスGLの急速な蒸発が、硬化した部品のバブリング及び脱緻密化を引き起こす可能性があるため、金型MPの温度の上昇が高すぎることは望ましくないことに留意されたい。
【0065】
同様に、硬化した成形部品、つまりまだ焼結していない部品の機械的強度を向上させることによって、同様に生産速度及/又は部品の形状の制御を高めるために、懸濁液を高圧下に置くことができる。
【0066】
図7において、参照符号15、16及び17がそれぞれ、ポンプ、ヒーター及びガスの排出を表すことに留意されたい。
【0067】
さらに、硬化部品の強度を高めるために、液化ガスGL/粉末Pの懸濁液内にバインダーADを加えることも可能である。バインダーは、周囲温度で液体であり、懸濁液の温度で固体であるように選択することができる。このバインダーは、粉末の形態で有利に装填することができる。さらに、このバインダーは、粉末粒子との接触を促進し、従って液化ガスが分離されて部品が周囲温度にされると硬化部品の強度を向上させるために、使用される粉末の粒径よりも小さい粒径を持つことができる。従って、
図8は、分離及び加熱後の懸濁液中及び硬化部分におけるバインダーの粒子gADと粉末の粒子gPとの間の配置を示す。矢印Zは、図の右側から左側に拡大した部分を示す。
【0068】
バインダーが、液化ガス相に溶解するように任意に選択することができることにも留意されたい。これは、CO
2中のナフタレンの溶解度の変化、つまり、様々な温度において密度μ(g/L)の関数としてのナフタレン(×10
3)のモル分率fmを表す
図9に示すように、二酸化炭素(CO
2)中のナフタレンなどの有機化合物に対して想定することができる。
【0069】
より従来的な方法では、成形は、液化ガスの揮発後の単軸プレスによって混合物を成形するための、プレスダイ及び圧縮プレスを含むデバイスに基づくことができる。
【0070】
(焼結装置)
焼結装置6は、場合によっては、例えば、バッチ炉又は連続炉で構成することができる。アクチニド粉末の焼結の場合、焼結温度は、約1700℃になり、焼結雰囲気は、酸素の制御された分圧になる。
【0071】
(例示的な実施形態)
混合及び低温粉砕装置又はミル1、及び/又は、排出及び鋳造装置2又はサスペンションシステムのサイズを決定するために、初めに、懸濁液の粘度を推定することができることが必要である。
【0072】
懸濁液中の粉末の存在は、粒子が装填されていない流体に関して速度場の乱れを引き起こす。
【0073】
第1の近似として、粘度は、固体粒子の濃度に比例すると考えることができる。
【0074】
いくつかのモデルを使用して、Φの関数として粘度ηを表すことができる(懸濁液を粉砕することを考慮して固体の体積分率)。これらのうち、最初の近似としてQuemadaのモデルを使用することが可能である:η=ηf×(1-(Φ/Φm))-2、
ここで、
Φm:最大充填体積分率、
ηf:間質液の速度。
【0075】
従って、懸濁液は、粉末の濃度に応じて、いくつかのタイプの挙動を持つことができる。
図10は、遭遇する可能性のある粉末懸濁液の剪断下の主な挙動を示し、曲線A1、A2及びA3は、それぞれ降伏応力流体、ずり減粘流体及びニュートン流体に対応する。
【0076】
より具体的には、分散液などの大部分の流体は、剪断速度に応じて、いわゆる「非ニュートン」流体のように動作する。最も一般的な2つの挙動は、次の通りである:
-ずり減粘:剪断が増加すると粘度が低下し、これは、懸濁液の場合によく見られる。粒子は、凝集体の分解を引き起こす可能性のある流体力によって、流れとせん断の影響下で組織化する。
-ずり増粘:剪断が増加すると粘度が増加する。この特性は、懸濁液ではあまり目立たないが、主に非常に濃縮された分散液でのみで現れる。この場合、剪断力の増加により、分散液の秩序が変化し、再編成により粘度が増加する。
【0077】
本発明は、可能な限り、安定である、及び/又は流動学の観点からその使用を可能にする懸濁挙動を求める。従って、粘度と充填物含有量との間の妥協点を見つける必要がある。
図11は、液体窒素中の粉末の懸濁液の粘度vi(Pa・s)を、最大充填体積分率の2つの値、Φm=0.74(単一モードの球状粒子の最大含有量)及びランダムなアプローチのΦm=0.64の粉末の体積分率fvの関数として示す。
【0078】
液相低温粉砕からの懸濁液の挙動は、沈殿現象の関数でもあり、この現象により、これらの懸濁液の安定性を特定することができる。粒子沈降速度(vp)は、次の式で表すことができ:vp=vps・(1-c)4.8、
ここで、
vps:個々の粒子の沈降速度、
c:粒子の体積による濃度。
【0079】
vpsは、ストークスの条件によって制御される沈降条件の次の方程式で説明できると仮定する:vps=2・r2・g・(ρp-ρf)/(9・μ)、
ここで、
r:粒子の半径;
ρp:粒子の密度;
ρf:液化ガスの密度。
【0080】
図12は、秒単位の時間tの関数として、減少した(つまり、無次元の)沈降速度vpの確立をm/s単位で示す。
【0081】
さらに、
図6は、2種類の液化ガスにおいて、m単位の粒子の半径rの関数として、m/s単位の粒子単独又は懸濁液中の沈降速度vpを示す(単分散粒子の40体積%の濃度)。より具体的には、C1、C2、C3及びC4は、それぞれ、懸濁液ありの液体N
2、懸濁液ありの液体CO
2、懸濁液なしの液体N
2、及び、懸濁液なしの液体CO
2の沈降速度を表す。
【0082】
さらに、特にCO2の粘度が低いため、CO2よりも窒素を使用する方が、懸濁液の安定性の観点から、他の全ての条件が同じ場合に、より有利であることが分かる。
【0083】
ただし、多くの有機化合物が液体CO2に可溶であるため、安定剤又はバインダーを懸濁液で直接使用することができる。
【0084】
一般的に、液化ガスGLの蒸発を制限するために、装置、例えば粉砕装置1は、断熱性(デュワーフラスコ、特定の断熱材など)を考慮して設計され、粉砕される粉末Pは、液体窒素と接触させる前に有利に冷却することができる。さらに、膜沸騰現象を回避するために、これを行うこともできる。これを行うには、“Gouttes inertielles: de la calefaction a l’etalement” [Inertial drops: from film boiling to spreading], A.L. HIMBERT BIANCE, Doctoral thesis of Paris VI, 2004で説明されるように、粉末Pの温度を理想的には、使用する液化ガスのライデンフロスト温度未満、つまり液体窒素では-73℃程度に下げる。
【0085】
(実施例1)
図16A及び
図16Bは、本発明による製造方法によって製造されたUPuO
2燃料の微細構造、すなわち、本発明による方法である、核燃料の製造に使用されるPuO
2及びUO
2の粉末に加えられる最小エネルギーに対して懸濁液の50%の質量による充填物含有量で1分間の穏やかな粉砕による低温アプローチから製造された最終材料の微細構造を示す。
【0086】
焼結は、本発明による方法によって生成されたUPuO
2のペレットに適用される焼結サイクルを表す
図17に関連する以下の条件下で実施され、Tは、温度を℃で示し、tは、時刻を時間で示す。
【0087】
適用される圧力は、加圧鋳造/成形ではなく、一軸プレスによって保証されている。加えられた圧力は、200から300MPaの間であった。粉末に対する液体窒素の質量比率は、約50質量%であった。
【0088】
この製造には、次の粉末が使用された:
ウラン源:乾式法と呼ばれる合成法によるUO
2粉末と8質量%の粗製U
3O
8(比表面積1.8m
2g
-1)。
図14A及び
図14Bは、この粉末の視覚化の2つのスケールで走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮られた2つの写真を示す。
【0089】
プルトニウム源:酸化プルトニウム粉末、特性:比表面積5.7m
2/g。
図15A及び
図15Bは、この粉末の2つのスケールの視覚化でSEMによって撮影された2つの写真を示す。
【0090】
より一般的には、粉砕エネルギーと粉砕される材料のサイズ減少を接続するために使用される法則は、材料の性質だけでなく、粉砕される粒子の範囲(粉砕操作の開始と終了における平均直径)にも依存する。
【0091】
図18は、μm単位のサイズの関数としてkWh/t単位のエネルギーEのプロファイルによって粉砕される粒子のこれらの粒径範囲を示し、特定の法則を関連付けるたびに、その一般的な形状は、dE=-K・dx/x
nであり、指数nは、それぞれキック(III)、ボンド(II)及びフォンリッティンガー(I)の法則の値1、3/2、2を取る。
【0092】
ボールミル1の動作パラメータを制御するために、ミルの回転速度は、従来、臨界速度(Vc)の60から80%の間で制御された。この速度Vcは、遠心力FcとボールBに加えられる重力を示す
図19に示すように、粉砕ボールに加えられる遠心力と重力の平衡に対応する。
【0093】
具体的には、この速度は、次の式で与えられる。
【0094】
【0095】
ここで、
Di:ミル1の内径。
【0096】
粉砕媒体として使用される液化ガスと比較して相対密度を高めるために、粉砕される固体を含むドライアイスを含む媒体を組み込んだミルの場合、ボールの密度ρBは、固体εの含有程度に直接関連づけられる:
【0097】
【0098】
図20は、ボール内の固体ε(酸化プルトニウムの場合)の体積分率の関数として、ドライアイスのボールBの密度プロファイルρ
Bを表す。
【0099】
一般的に、液相での粉砕は、粉末Pの解凝集を促進し、微粒子を懸濁状態に保つことができるため、乾式粉砕よりも効率的であると見なすことができ、大きな粒子の目的と粉砕をもたらす。さらに、本発明の場合、液化ガスGLを使用すると、(強い冷却が課せられるため)粉砕される材料が機械的に脆くなり、粉砕作業がさらに効率的になる。
【0100】
実際に、懸濁液が乱流を生成し、ミルに伝達された特定のエネルギーに対して乾式相で得られるものよりも大きな混合エントロピーを生成することを知っているため、液相で必要な粉砕時間は、乾式相で適用する必要があるものより短い。
【0101】
ボールミル又は遊星ミルを使用した粉砕の文脈では、ボールミルを使用して粉砕する場合、粒径分布の変化の曲線は、ボールミルでの粉砕時間の関数としての粉末の粒径分布の変化、つまり、サイズTaに対する体積百分率(%vol)の変化を正確に示す
図21で与えることができ、曲線t1、t2及びt3は、それぞれ時間t=10・xh、時間t=xh、及び、時間t=0を表す。
【0102】
液相では、粉砕される充填物に伝達されるエネルギーは、乾燥相で伝達されるエネルギーよりも大きいことに注意すべきである。省エネは、ほぼ30%である場合もある。
【0103】
粉砕がジェット技術に向けられている場合、操作は、解凝集及び以下のサイジング要素に向けられる:
隣接するジェットの角度:
α=2/n・π
Exで示されるx成分に沿ったエネルギー:
Ex=1/2・m・v2=1/2・ρ・Vol・(2・v・cos(α-π/2))2
Ex=1/2・ρ・v3・π・d2・Δt・[cos(2/n・π-π/2)]2
ここで、
ρ:懸濁液の密度;
d:ジェット直径;
v:ジェット直径;
Δt:適用されたエネルギーを評価するために考慮される時間間隔;
n:ジェットの数;
Eyに示されるy成分の沿ったエネルギー;
Ey=1/2・m・v2=1/2・ρ・Vol・(2・v・sin(α-π/2))2
【0104】
ここで、このタイプのミルの利点は、粉砕/解砕される媒体にエネルギーを直接加えることである。
【0105】
従って、粉砕される材料に実際に加えられるエネルギーがミルに加えられる全エネルギーの数パーセントに過ぎない他のミルと比較すると、エネルギー節約は、非常に大きくなる。
【0106】
さらに、本発明によるこのミルは、粉砕媒体が使用されないため、高度に研磨性の粉末にかなり関連していることに注意すべきである。従って、それは、汚染のリスクを軽減する。
【0107】
(実施例2)
本発明の方法による材料の第2の実施形態を以下に示す。液化ガス相での最初の方法段階(粉砕及び成形)に焦点が当てられていることに留意されたい。
【0108】
2種類の粉末の同時粉砕は、ここで説明するような低温粉砕、ジェットミル又はボールミルによって行われ、以下に説明する同じタイプの望ましい結果を得ることができる。これらの粉末は、セリア及びウランの酸化物であり、比率は、70%/30%である。粉砕は、30分間行われ、これは、固相で行われる粉砕段階又はタービュレーターによる単純な混合と比較された。
図22は、粉砕アプローチの比較を可能にする(タービュレーター、乾式相ボールミル、及び、本発明によるLN
2ミルにおける単純な混合の参照アプローチ)。
【0109】
圧縮後、上記の2つの他の粉砕/混合アプローチと比較して、低温粉砕の場合の硬化部品におけるウランとセリウムとの間の分布の均一性に大きな改善が見られた。
【0110】
具体的には、タービュレーターでの乾式混合、ボールミルでの2時間の乾式粉砕、及び、液体N2下での30分のビードミリングの比較テストにより、EDSマッピングのスケールで、この試験で非常に明確なU/Ce分布が得られる。最も均一な分布は、液体N2の下でビーズミルを使用した試験で得られる。
【0111】
ブレンドの密度は、その他すべての条件(プレスサイクルなど)が等しい場合、タービュレーター、液体N2ビーズミル、及び、ボールミル(乾式相)での試験において、それぞれ5.8、6.1、6.2g・cm2である。
【0112】
さらに、比表面積と粒径分布の変化は、
図23で与えられ、
図23は、本発明の粉砕が他の参照アプローチと比較して、粉砕される充填物の比表面積とその粒径分布に及ぼす影響を示す。
【0113】
勿論、本発明は、たった今説明された実施形態に限定されない。当業者は様々な変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 粉砕装置
2 鋳造装置
3 成形装置
4 成形装置
5 加熱装置
6 焼結装置
10 安全弁
11 ドレンギロチンバルブ
12 ソノトロード
15 ポンプ
16 ヒーター
17 ガスの排出
20 液化ガスの断熱容積
AD バインダー
B ボール
BG ガスシリンダー
Fc 遠心力
GL 液化ガス
GS 固化ガス
gAD バインダー粒子
gP 粉末粒子
Jn ジェット
JS 液化ガス/粉末懸濁液ジェット
MP 多孔質モールド
P 粉末
PC 部品
R 回転
Z 拡大部分
Zi 衝撃領域