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特許7142701自動車投光器用の投射装置、及び投射装置を製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】自動車投光器用の投射装置、及び投射装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20220916BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20220916BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220916BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220916BHJP
   F21V 11/06 20060101ALI20220916BHJP
   F21S 41/43 20180101ALI20220916BHJP
   F21S 41/47 20180101ALI20220916BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20220916BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20220916BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20220916BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20220916BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20220916BHJP
   F21W 102/19 20180101ALN20220916BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220916BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/143
F21V5/04 250
F21V5/04 350
F21V5/00 340
F21V5/00 200
F21V5/04 500
F21V11/06
F21S41/43
F21S41/47
G02B3/00 A
G02B5/02 B
G02B5/08 D
G02B5/00 B
F21W102:13
F21W102:19
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020534356
(86)(22)【出願日】2018-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 EP2018082687
(87)【国際公開番号】W WO2019120900
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-07-08
(31)【優先権主張番号】17208913.8
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】シャーデンホーファー、ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ハッケル、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ゲルトゥル、ジョセフ
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/066818(WO,A1)
【文献】特開2014-102268(JP,A)
【文献】特開2008-310251(JP,A)
【文献】特開2003-227903(JP,A)
【文献】特開2003-121609(JP,A)
【文献】特開2004-325546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21V 5/00
F21V 11/06
G02B 3/00
G02B 5/00
F21W 102/13
F21W 102/19
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射装置製造するための方法であって、
前記投射装置(1)は、自動車投光器用の投射装置であり、前記投射装置(1)は、前記投射装置(1)に割り当てられた少なくとも1つの光源(2)の光を、少なくとも1つの配光のかたちで自動車の前方の領域に結像するように構成されており、前記投射装置(1)は、
- 所定数のマイクロ入射光学系(3a)を有する入射光学系(3)を有し、
- 所定数のマイクロ出射光学系(4a)を有する出射光学系(4)を有し、
各マイクロ入射光学系(3a)には、正に1つのマイクロ出射光学系(4a)が割り当てられており、
実質的に1つのマイクロ入射光学系(3a)から出射する全ての光が、割り当てられたマイクロ出射光学系(4a)だけに入射するように、マイクロ入射光学系(3a)は、構成され、及び/又はマイクロ入射光学系(3a)とマイクロ出射光学系(4a)は、互いに配設されており、更に
複数のマイクロ入射光学系(3a)により予成形された光が、複数のマイクロ出射光学系(4a)により、少なくとも1つの配光として自動車の前方の領域に結像され、
前記入射光学系(3)と前記出射光学系(4)の間には、少なくとも1つの光透過性の支持体(5)が配設されており、少なくとも1つの前記支持体(5)は、少なくとも1つの第1の絞り装置(6)を有し、前記第1の絞り装置(6)は、実質的に前記入射光学系(3)に入射する全ての光が前記第1の絞り装置(6)に導かれているように配設されており、前記第1の絞り装置(6)は、光学作用面(6a)を有し、前記光学作用面(6a)内には、予め設定可能な配光を成形するために光透過性の複数の窓(6b)が形成されており、これらの窓(6b)は、実質的に光非透過性のコーティングにより画定されており、
光非透過性の前記コーティングは、少なくとも面的に重なり合って配設された部分層から成り、即ち反射性で金属性の第1の部分層(6’)と、実質的に黒色の光吸収性の塗布材から成る第2の部分層(6”)とから成り、前記第1の部分層(6’)は、前記入射光学系(3)と前記第2の部分層(6”)の間に配設されている構成であり、
当該方法は、以下のステップを含むこと、即ち、
I)以下の部分ステップa)~d)に従い、光学作用面を有する少なくとも1つの第1の絞り装置(6)を形成するために、光透過性の支持体を使用して処理するステップ、
a)光透過性の前記支持体の一側面部を、反射性で金属性の第1の部分層(6’)でコーティングする部分ステップ、
b)黒色の光吸収性のフォトレジストから成る第2の部分層(6”)で前記第1の部分層(6’)を全面的に被覆する部分ステップ、
c)前記第1の部分層(6’)の対応の領域が露出されるように、前記第2の部分層(6”)内に光透過性の複数の窓を形成するために前記第2の部分層(6”)を露光して現像する部分ステップ、
d)エッチング法又は溶解法を用いて反射性で金属性の前記第1の部分層(6’)の対応の領域を除去することにより、前記第1の部分層(6’)内に、ステップc)に対応して完全に等しい光透過性の複数の窓(6b)を形成する部分ステップ、
II)ステップI)により得られた支持体(5)を入射光学系(3)と出射光学系(4)の間に位置決めするステップ、但し前記入射光学系(3)は、所定数のマイクロ入射光学系(3a)を有し、前記出射光学系(4)は、所定数のマイクロ出射光学系(4a)を有し、前記第1の絞り装置(6)は、実質的に前記入射光学系(3)に入射する全ての光が前記第1の絞り装置(6)に導かれているように配設されており、前記光学作用面(6a)内には、予め設定可能な配光を成形するために、部分ステップI-d)により光透過性の複数の窓(6b)が形成されており、これらの窓(6b)は、前記第1の部分層(6’)と前記第2の部分層(6”)を重ね合わせることにより得られる実質的に光非透過性のコーティングにより画定されており、前記第1の部分層(6’)は、前記入射光学系(3)と前記第2の部分層(6”)の間に配設されていること
を特徴とする方法。
【請求項2】
部分ステップI-b)による、黒色の光吸収性のフォトレジストから成る第2の部分層(6”)での前記第1の部分層(6’)の全面的な被覆は、スピンコーティング又はスプレーコーティングにより塗布されること
を特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の部分層(6”)の層厚は、0.5マイクロメートルと4マイクロメートルの間、又は1.5マイクロメートルであること
を特徴とする、請求項又はに記載の方法。
【請求項4】
前記第1の部分層(6’)の層厚は、100ナノメートルと400ナノメートルの間、又は200nmであること
を特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器用の投射装置に関し、この際、該投射装置は、該投射装置に割り当てられた少なくとも1つの光源の光を、少なくとも1つの配光のかたちで自動車の前方の領域に結像するように構成されており、この際、該投射装置は、好ましくはアレイ状に配設されている入射光学系と、好ましくはアレイ状に配設されている出射光学系とを有し、この際、各マイクロ入射光学系には、正に1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、この際、実質的に1つのマイクロ入射光学系から出射する全ての光が、割り当てられたマイクロ出射光学系だけに入射するように、マイクロ入射光学系は、構成され、及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は、互いに配設されており、更にこの際、複数のマイクロ入射光学系により予成形された光が、複数のマイクロ出射光学系により、少なくとも1つの配光として自動車の前方の領域に結像され、この際、入射光学系と出射光学系の間には、少なくとも1つの光透過性の支持体が配設されており、この際、少なくとも1つの支持体は、少なくとも1つの第1の絞り装置を有し、この際、第1の絞り装置は、実質的に入射光学系に入射する全ての光が第1の絞り装置に導かれているように配設されており、この際、第1の絞り装置は、光学作用面を有し、この際、該光学作用面内には、予め設定可能な配光を成形するために光透過性の複数の窓が形成されており、これらの窓は、実質的に光非透過性のコーティングにより画定されている。
【0002】
更に本発明は、本発明による投射装置を少なくとも1つ含む、自動車投光器用のマイクロ投射ライトモジュール、本発明によるマイクロ投射ライトモジュールを少なくとも1つ含む、車両投光器(例えば車両前照灯)、特に自動車投光器、並びに、本発明による車両投光器を少なくとも1つの備えた、車両、特に自動車に関する。
【0003】
更に本発明は、自動車投光器用の本発明による投射装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
従来技術から、例えば、投射装置を示す下記特許文献1が知られるようになった。入射光学系と出射光学系の小型化が進むことにより、光学系は、更に許容誤差に対して敏感になる。今までは、改善された製造法を用いて寸法の不正確さを減少させる試みが成されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】AT 514967 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
驚くべきことに、今や、投射装置への熱入力が、その光学特性に対して本質的な影響を有することが分かった。光源の熱入力により並びにそれぞれの光学系内又は絞り装置内の光吸収により、これらは、投射装置が結像誤差(収差)を引き起こすほどに加熱されることになる。この際、複数の光学系及び場合により設けられる複数の絞り装置は、材料の違いが原因で、様々な熱膨張係数を有し、異なって膨張する可能性がある。この問題は、入射光学系や出射光学系のような透明要素、並びに場合により設けられる絞り装置のような吸収要素が、熱入力のもと、互いに異なる温度レベルに達すると、より一層強くなる。
【0007】
従って本発明の課題は、小型化が進んでも結像誤差を充分に回避することのできる投射装置を創作することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明により、光非透過性のコーティングが、少なくとも面的に重なり合って配設された部分層から成り、即ち反射性で金属性の第1の部分層と、実質的に黒色の光吸収性の塗布材(ラッカ Lack)から成る第2の部分層とから成り、この際、第1の部分層は、入射光学系と第2の部分層の間に配設されている、冒頭に記載した形式の投射装置により解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器用の投射装置であって、前記投射装置は、前記投射装置に割り当てられた少なくとも1つの光源の光を、少なくとも1つの配光のかたちで自動車の前方の領域に結像するように構成されており、前記投射装置は、
- 所定数のマイクロ入射光学系を有する入射光学系を有し、
- 所定数のマイクロ出射光学系を有する出射光学系を有し、
各マイクロ入射光学系には、正に1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、
実質的に1つのマイクロ入射光学系から出射する全ての光が、割り当てられたマイクロ出射光学系だけに入射するように、マイクロ入射光学系は、構成され、及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は、互いに配設されており、更に
複数のマイクロ入射光学系により予成形された光が、複数のマイクロ出射光学系により、少なくとも1つの配光として自動車の前方の領域に結像され、
前記入射光学系と前記出射光学系の間には、少なくとも1つの光透過性の支持体が配設されており、少なくとも1つの前記支持体は、少なくとも1つの第1の絞り装置を有し、前記第1の絞り装置は、実質的に前記入射光学系に入射する全ての光が前記第1の絞り装置に導かれているように配設されており、前記第1の絞り装置は、光学作用面を有し、前記光学作用面内には、予め設定可能な配光を成形するために光透過性の複数の窓が形成されており、これらの窓は、実質的に光非透過性のコーティングにより画定されている構成であり、
光非透過性の前記コーティングは、少なくとも面的に重なり合って配設された部分層から成り、即ち反射性で金属性の第1の部分層と、実質的に黒色の光吸収性の塗布材から成る第2の部分層とから成り、前記第1の部分層は、前記入射光学系と前記第2の部分層の間に配設されていること、
を特徴とする、投射装置が提供される。
更に本発明の第2の視点により、
前記投射装置を少なくとも1つ、並びに前記投射装置に光を供給するための光源を少なくとも1つ含む、自動車投光器用のマイクロ投射ライトモジュールが提供される。
更に本発明の第3の視点により、
前記マイクロ投射ライトモジュールを少なくとも1つ含む、車両投光器、又は自動車投光器が提供される。
更に本発明の第4の視点により、
前記投射装置を製造するための方法が提供され、以下のステップを含むこと、即ち、
I)以下の部分ステップa)~d)に従い、光学作用面を有する少なくとも1つの第1の絞り装置を形成するために、光透過性の支持体を使用して処理するステップ、
a)光透過性の前記支持体の一側面部を、反射性で金属性の第1の部分層でコーティングする部分ステップ、
b)黒色の光吸収性のフォトレジストから成る第2の部分層で前記第1の部分層を全面的に被覆する部分ステップ、
c)前記第1の部分層の対応の領域が露出されるように、前記第2の部分層内に光透過性の複数の窓を形成するために前記第2の部分層を露光して現像する部分ステップ、
d)エッチング法又は溶解法を用いて反射性で金属性の前記第1の部分層の対応の領域を除去することにより、前記第1の部分層内に、ステップc)に対応して完全に等しい光透過性の複数の窓を形成する部分ステップ、
II)ステップI)により得られた支持体を入射光学系と出射光学系の間に位置決めするステップ、但し前記入射光学系は、所定数のマイクロ入射光学系を有し、前記出射光学系は、所定数のマイクロ出射光学系を有し、前記第1の絞り装置は、実質的に前記入射光学系に入射する全ての光が前記第1の絞り装置に導かれているように配設されており、前記光学作用面内には、予め設定可能な配光を成形するために、部分ステップI-d)により光透過性の複数の窓が形成されており、これらの窓は、前記第1の部分層と前記第2の部分層を重ね合わせることにより得られる実質的に光非透過性のコーティングにより画定されており、前記第1の部分層は、前記入射光学系と前記第2の部分層の間に配設されていること。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器用の投射装置であって、前記投射装置は、前記投射装置に割り当てられた少なくとも1つの光源の光を、少なくとも1つの配光のかたちで自動車の前方の領域に結像するように構成されており、前記投射装置は、
- 好ましくはアレイ状に配設された所定数のマイクロ入射光学系を有する入射光学系を有し、
- 好ましくはアレイ状に配設された所定数のマイクロ出射光学系を有する出射光学系を有し、
各マイクロ入射光学系には、正に1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、
実質的に1つのマイクロ入射光学系から出射する全ての光が、割り当てられたマイクロ出射光学系だけに入射するように、マイクロ入射光学系は、構成され、及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は、互いに配設されており、更に
複数のマイクロ入射光学系により予成形された光が、複数のマイクロ出射光学系により、少なくとも1つの配光として自動車の前方の領域に結像され、
前記入射光学系と前記出射光学系の間には、少なくとも1つの光透過性の支持体が配設されており、少なくとも1つの前記支持体は、少なくとも1つの第1の絞り装置を有し、前記第1の絞り装置は、実質的に前記入射光学系に入射する全ての光が前記第1の絞り装置に導かれているように配設されており、前記第1の絞り装置は、光学作用面を有し、前記光学作用面内には、予め設定可能な配光を成形するために光透過性の複数の窓が形成されており、これらの窓は、実質的に光非透過性のコーティングにより画定されている構成であり、
光非透過性の前記コーティングは、少なくとも面的に重なり合って配設された部分層から成り、即ち反射性で金属性の第1の部分層と、実質的に黒色の光吸収性の塗布材から成る第2の部分層とから成り、前記第1の部分層は、前記入射光学系と前記第2の部分層の間に配設されていること。
(形態2)
前記第2の部分層は、黒色のフォトレジストから成る、ことが好ましい。
(形態3)
反射性で金属性の前記第1の部分層は、アルミニウム、クロム、及び/又は黒色クロムから成り、或いはまた、マグネシウム、チタン、タンタル、モリブデン、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、銀、亜鉛、アンチモン、スズ、ヒ素、又はビスマスから成る、ことが好ましい。
(形態4)
少なくとも1つの前記支持体は、少なくとも部分的にガラスから成る、ことが好ましい。
(形態5)
前記入射光学系と前記出射光学系は、少なくとも1つの前記支持体と固定結合されている、ことが好ましい。
(形態6)
前記入射光学系と前記出射光学系の間には、2つ以上の支持体が配設されており、前記入射光学系と前記出射光学系は、それぞれ1つの支持体と固定結合されている、ことが好ましい。
(形態7)
光非透過性の前記コーティングは、0.001未満、好ましくは0.0002未満の透過率Tを有する、ことが好ましい。
(形態8)
反射性で金属性の前記第1の部分層は、400nmと700nmの間の波長範囲内の光のために、少なくとも0.55、好ましくは0.85の反射係数を有する、ことが好ましい。
(形態9)
形態1~8のいずれか一項に記載の投射装置を少なくとも1つ、並びに前記投射装置に光を供給するための光源を少なくとも1つ含む、自動車投光器用のマイクロ投射ライトモジュール。
(形態10)
前記光源は、少なくとも1つのLED、好ましくは所定数のLEDを含み、各光源は、LEDの光をコリメートして平行に配向する光学系を有し、前記光学系は、前記入射光学系に対して平行に指向された入射を行うように構成されて配設されている、ことが好ましい。
(形態11)
形態9又は10に記載のマイクロ投射ライトモジュールを少なくとも1つ含む、車両投光器、特に自動車投光器。
(形態12)
形態1~8のいずれか一項に記載の投射装置を製造するための方法であって、以下のステップを含むこと、即ち、
I)以下の部分ステップa)~d)に従い、光学作用面を有する少なくとも1つの第1の絞り装置を形成するために、光透過性の支持体を使用して処理するステップ、
a)光透過性の前記支持体の一側面部を、反射性で金属性の第1の部分層でコーティングする部分ステップ、
b)黒色の光吸収性のフォトレジストから成る第2の部分層で前記第1の部分層を全面的に被覆する部分ステップ、
c)前記第1の部分層の対応の領域が露出されるように、前記第2の部分層内に光透過性の複数の窓を形成するために前記第2の部分層を露光して現像する部分ステップ、
d)エッチング法又は溶解法を用いて反射性で金属性の前記第1の部分層の対応の領域を除去することにより、前記第1の部分層内に、ステップc)に対応して完全に等しい光透過性の複数の窓を形成する部分ステップ、
II)ステップI)により得られた支持体を入射光学系と出射光学系の間に位置決めするステップ、但し前記入射光学系は、好ましくはアレイ状に配設されている所定数のマイクロ入射光学系を有し、前記出射光学系は、好ましくはアレイ状に配設されている所定数のマイクロ出射光学系を有し、前記第1の絞り装置は、実質的に前記入射光学系に入射する全ての光が前記絞り装置に導かれているように配設されており、前記光学作用面内には、予め設定可能な配光を成形するために、部分ステップI-d)により光透過性の複数の窓が形成されており、これらの窓は、前記第1の部分層と前記第2の部分層を重ね合わせることにより得られる実質的に光非透過性のコーティングにより画定されており、前記第1の部分層は、前記入射光学系と前記第2の部分層の間に配設されていること。
(形態13)
部分ステップI-b)による、黒色の光吸収性のフォトレジストから成る第2の部分層での前記第1の部分層の全面的な被覆は、スピンコーティング又はスプレーコーティングにより塗布される、ことが好ましい。
(形態14)
前記第2の部分層の層厚は、0.5マイクロメートルと4マイクロメートルの間、好ましくは1.5マイクロメートルである、ことが好ましい。
(形態15)
前記第1の部分層の層厚は、100ナノメートルと400ナノメートルの間、好ましくは200nmである、ことが好ましい。
【0010】
本発明に従い、第1の金属性の部分層を有し且つ第2の黒色の光吸収性の部分層により覆われた(窓の部分を除いて)光非透過性のコーティングを設けたことにより、入射光学系を介して絞り装置に導かれた光が、今まで通常であったようにその多すぎる部分が絞り装置で吸収されるのではなく、金属性の第1の部分層により再び元の方向に反射されることにより、絞り装置への熱入力を強く減少させることが可能となる。第1の部分層は、入射光学系により入射結合された全ての光の流れにさらされる第1の層であるので、第1の部分層の反射特性は、特に有利であり、従って少なくとも1つの支持体並びに場合によりそれに取り付けられた光学系(例えば入射光学系及び/又は出射光学系)への熱入力を減少させ、それにより熱膨張が原因でもたらされる結像誤差に対して対抗的に作用する。
【0011】
絞り装置への実際の熱入力は、実際には、光の流れにも、形成すべき配光にも依存する。例えば、ロービーム配光の場合、入射光学系により入射される光のほぼ40%が絞り装置を用いて遮光される。つまり第1の部分層における反射により、絞り装置への熱入力は、著しく減少される。また元の方向に反射されたこの光は、しかも好ましくない散乱光を引き起こすことはない。
【0012】
それに加え、(第1の部分層に対して)後置された黒色の第2の部分層を設けることにより、結像誤差の減少をもたらす更なる効果が達成される。後続層を伴わないで金属性の第1の部分層を設けることは、絞り装置に戻ってきた散乱光が、反射層を介して再び前方に反射されるという結果をもたらすであろう。このことは、後置された光学系において望まれないクロストークを結果としてもたらすであろう。光吸収性の第2の部分層を用いることで、この戻ってきた散乱光を吸収し、従ってクロストークを回避することができる。散乱光は、全ての光の流れのうちの僅かな部分だけを占めるので、それにより絞り装置にもたらされる熱入力は、無視することができる。更に金属被覆された層により、絞り装置の不透明度が増加される。
【0013】
ここで、前記の少なくとも1つの絞り装置の後に備えることのできる更なる絞り装置が設けられていることも勿論可能であることを述べておく。例えば、光学誤差を排除するために設けることのできる第2の光線絞りが設けられていることが可能である。また「実質的に入射光学系に入射する全ての光が第1の絞り装置に導かれている」との表現のもとでは、散乱光を回避し且つできるだけ入射光学系に入射結合された全ての光の流れを第1の絞り装置に導くことが努められる配設構成として理解される。更に「実質的に光非透過性のコーティング」との表現のもとでは、このコーティングに当たる光を、少なくとも、人間の目では光の通過が認識不能であるほどに減少させるコーティングとして理解される。
【0014】
この際「実質的に・・・出射する全ての光」との文言は、マイクロ入射光学系から出射する全ての光の流れが、専ら、割り当てられたマイクロ出射光学系に入射することが努められることを意味する。このことが、実情に基づき可能でない場合には、少なくとも、グレアなどをもたらしてしまう散乱光のような不利な光学作用が発生しない程度に、少量の光の流れを隣接するマイクロ出射光学系に入射することが努められるべきである。
【0015】
更に「この際、・・・のように、マイクロ入射光学系は、構成され、及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は、互いに配設されている」との文言のもとでは、例えば絞り(後続段落を参照)のような追加的な手段を設けることが可能であると理解することもでき、それらの手段は、専らか又は好ましくはそれらの本来の機能に加え、全ての光の流れが正に割り当てられたマイクロ出射光学系に指向されているという機能を依然として有することができる。
【0016】
従来の投射システムのような唯一の光学系に代わり、所定数ないし多数の割り当てられたマイクロ光学系(Mikro-Optiken)を使用することにより、マイクロ光学系自体の焦点距離も寸法も「従来の」光学系の場合よりも明らかに小さくなる。同様に従来の光学系に比べて中心厚を減少させることができる。それにより従来の光学系に比べて投射装置の構造奥行を明らかに減少させることができる。
【0017】
マイクロ光学系システム(マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系により構成)の数を増やすことにより、一方では、光の流れが増加され又は段階付けられ、この際、マイクロ光学系システムの数に関する上方の限界は、先ずは、それぞれ利用可能な製造法により制限されている。ロービーム機能の生成のためには、例えば200から400までのマイクロ光学系システムで十分であり、ないし好ましいとされ、この際、このことは、上方又は下方の制限値を表すものではなく、単に例示の数を表しているに過ぎない。光の流れを増やすには、同じ種類のマイクロ光学系の数を増やすことが好ましい。また逆に、様々な配光を生成する又は重ね合わせるために、様々な光学特性の複数のマイクロ光学系を1つの投射システムに提供することを目的として、多数のマイクロ光学系を利用することもできる。従って多数のマイクロ光学系は、従来の光学系にはない構成可能性も可能にする。個々のマイクロ光学系は、異なる焦点距離を有することができ、それにより配光の構成において追加的な自由度が獲得される。多くのマイクロ光学系は、アスティグマティックレンズ(非点収差レンズ)として構成されていることが可能であり、それにより入射する光の流れは、例えば水平方向と垂直方向で異なって作用される。従って幾つかのマイクロ光学系は、例えば、配光における照射強度の最大値の変更に寄与することができ、他のマイクロ光学系は、他方で、配光の水平方向の範囲を制御するために利用されることも可能である。
【0018】
更にそのような投射装置ないしライトモジュールは、スケーリング可能(スケール変更可能)であり、即ち同一構成の又は同様に構成された複数のライトモジュールを、比較的大きい全システムに組み立てること、例えば車両投光器に組み立てることが可能である。
【0019】
投射レンズを備えた従来の投射システムにおいて、レンズは、60mmと90mmの間の典型的な直径を有する。本発明によるモジュールにおいて、個々のマイクロ光学系システムは、ほぼ2mm×2mm(V(Vertical)とH(Horizontal)による)の典型的な寸法と、ほぼ6mm~10mmの奥行(Zによる、例えば図1を参照)を有し、それにより従来のモジュールと比較し、本発明によるモジュールの奥行は、明らかに小さい。
【0020】
本発明による投射装置は、僅かな構造奥行を有し、基本的に自由に成形可能であり、つまり例えば、第2の部分配光のための第2のライトモジュールとは別個に、第1の部分配光を生成するための第1のライトモジュールを構成し、これらを比較的自由に、即ち垂直方向及び/又は水平方向及び/又は奥行について互いにずらして配設することが可能であり、それによりデザイン規定をより容易に実現することもできる。
【0021】
本発明による投射モジュールの更なる利点は、投射装置に関する光源の正確な位置決めが必要とされないということである。少なくとも1つの光源が、状況により、どれも実質的に同じ光像を生成する複数のマイクロ入射光学系に基づくアレイ全体を照らすことができるのであれば、正確な位置決めは、副次的なことにすぎない。言い換えると、このことは「実際の」光源が、1つの本当の光源又は複数の本当の光源と、マイクロ入射光学系のアレイとにより構成されているということに他ならないことを意味する。そしてこの「実際の」光源は、マイクロ出射光学系と、場合によりそれらに割り当てられた絞りとを照射する。しかしマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は、言わば1つのシステムを構成するものであり、既に互いに最適の状態に調整されているので、本当の光源の不正確な位置決めは、さほど重要なことではない。本当の光源は、例えば、発光ダイオードのようなほぼ点状の光源であり、それらの光は、コンパウンド・パラボリック・コンセントレータ(CPC)のようなコリメータ、又はTIR(内面全反射 Total Internal Reflection)レンズにより平行に指向される。光源により放射された光の平行指向により、光源と投射装置の間の相対位置を自由に選択することができる。
【0022】
本発明による投射装置は、様々な配光を生成するように構成されていることが可能である。ここでは、例として、以下の配光を述べておく:
- コーナリングライト配光;
- 市街地ライト配光;
- 地方(幹線)道路ライト配光;
- 高速道路ライト配光;
- 高速道路ライト用の追加ライトのための配光;
- カーブライト配光;
- ロービーム・前方域・配光;
- 遠方域内の非対称のロービームのための配光;
- カーブライトモードにおける遠方域内の非対称のロービームのための配光;
- ハイビーム配光;
- 眩惑のないハイビーム配光。
【0023】
そのような配光の発生像に関する例は、とりわけ上記特許文献1から見てとれる。
【0024】
特に、第2の部分層は、黒色のフォトレジスト(Fotolack)から成ることを提案することができる。それにより光透過性の領域の開放部を寸法上正確に且つ効率的に作成することができる。フォトレジストとしては、フォトリソグラフィ構造化のための塗布材(Lack)として理解され、即ち、露光の際には、フォト層の溶解度が、例えば露光マスク又はフォトテンプレートのもとでの紫外線照射により、局所的に変更される。そのような塗布材は、フォトレジストコーティング(Fotoresistlack)と呼ばれることもあり、例えば、製品「Daxin ABK408X」の形式で市販されている。
【0025】
好ましくは、金属性の層は、アルミニウム、クロム、及び/又は黒色クロムから成り、或いはまた、マグネシウム、チタン、タンタル、モリブデン、鉄、銅、ニッケル、パラジウム、銀、亜鉛、アンチモン、スズ、ヒ素、又はビスマスから成ることも提案することができる。 また金属性の層を、例えば、シリコン、ガリウム、又はインジウムのような半金属/半導体により構成することも可能であろう。
【0026】
支持体(キャリア)に対する熱膨張の影響を減少させるために、できるだけ小さい熱膨張係数を有する材料を設けることを提案することができる。そのために少なくとも1つの支持体は、少なくとも部分的に或いはまた完全にガラスから成ることができる。
【0027】
特に、ガラス境界層上には、典型的な反射防止コーティング(ARコーティング)がもたらされていることを提案することができ、該反射防止コーティングは、層構造の反射特性に対してポジティブに作用する。特にガラス支持体と金属性の部分層との間の屈折率適合により、反射率が増加されることで、熱入力を更に減少させることができる。
【0028】
また、入射光学系と出射光学系が少なくとも1つの支持体と固定結合されていることを提案することもできる。それにより入射光学系と出射光学系の互いの位置誤差を回避することができる。
【0029】
それに対して代替的に、入射光学系と出射光学系の間には、2つ以上の支持体が配設されていることを提案することができ、この際、入射光学系と出射光学系は、それぞれ1つの支持体と固定結合されている。また複数の支持体が互いに固定結合されていることも可能である。
【0030】
更に、光非透過性のコーティングは、0.001未満、好ましくは0.0002未満の透過率Tを有することを提案することができる。
【0031】
また、反射性で金属性の第1の部分層は、400nmと700nmの間の波長範囲内の光(すなわち可視光)のために、少なくとも0.55、好ましくは>0.85の反射係数を有することを提案することができる。
【0032】
更に、本発明は、本発明による投射装置を少なくとも1つ、並びに該投射装置に光を供給するための光源を少なくとも1つ含む、自動車投光器用のマイクロ投射ライトモジュールに関する。
【0033】
有利には、光源は、少なくとも1つのLED、好ましくは所定数のLEDを含むことを提案することができ、この際、各光源は、光をコリメートして平行に配向する光学系を有し、該光学系は、入射光学系に対して平行に指向された入射を行うように構成されて配設されている。
【0034】
更に、本発明は、マイクロ投射ライトモジュールを少なくとも1つ含む、車両投光器、特に自動車投光器(例えば自動車前照灯)に関する。
【0035】
更に、本発明は、以下のステップを含む、本発明による投射装置を製造するための方法に関する:
【0036】
I)以下の部分ステップa)~d)に従い、光学作用面を有する少なくとも1つの第1の絞り装置を形成するために、光透過性の支持体を使用して処理するステップ、
a)光透過性の支持体の一側面部を、反射性で金属性の第1の部分層でコーティングする部分ステップ、
b)黒色の光吸収性のフォトレジストから成る第2の部分層で第1の部分層を全面的に被覆する部分ステップ、
c)第1の部分層の対応の領域が露出されるように、第2の部分層内に光透過性の複数の窓を形成するために第2の部分層を露光して現像する部分ステップ、
d)エッチング法又は溶解法を用いて反射性で金属性の第1の部分層の対応の領域を除去することにより、第1の部分層内に、ステップc)に対応して完全に等しい光透過性の複数の窓を形成する部分ステップ、
【0037】
II)ステップI)により得られた支持体を入射光学系と出射光学系の間に位置決めするステップ、但し入射光学系は、好ましくはアレイ内に配設されている所定数のマイクロ入射光学系を有し、更にこの際、出射光学系は、好ましくはアレイ内に配設されている所定数のマイクロ出射光学系を有し、この際、第1の絞り装置は、実質的に入射光学系に入射する全ての光が第1の絞り装置に導かれているように配設されており、この際、光学作用面内には、予め設定可能な配光を成形するために、部分ステップI-d)による光透過性の複数の窓が形成されており、これらの窓は、第1の部分層と第2の部分層を重ね合わせることにより得られる実質的に光非透過性のコーティングにより画定されており、この際、第1の部分層は、入射光学系と第2の部分層の間に配設されている。
【0038】
更に、本発明による投射装置との関連で既に述べたように、各マイクロ入射光学系には、正に1つのマイクロ出射光学系が割り当てられていることができ、この際、実質的に1つのマイクロ入射光学系から出射する全ての光が、割り当てられたマイクロ出射光学系だけに入射するように、マイクロ入射光学系は、構成され、及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は、互いに配設されており、更にこの際、複数のマイクロ入射光学系により予成形された光が、複数のマイクロ出射光学系により、少なくとも1つの配光として自動車の前方の領域に結像される。
【0039】
有利には、部分ステップI-b)による、黒色の光吸収性のフォトレジストから成る第2の部分層での第1の部分層の全面的な被覆は、スピンコーティング又はスプレーコーティングにより塗布されることができる。
【0040】
特に、第2の部分層の層厚は、0.5マイクロメートルと4マイクロメートルの間、好ましくは1.5マイクロメートルであることができる。第1の部分層の層厚は、100ナノメートルと400ナノメートルの間、好ましくは200nmである。
【0041】
言い換えれば、本発明では、光源としてLEDを使用することができ、この際、コリメータ光学系を用い、LEDの放射された光円錐体を実質的に平行に指向させることができる。この平行な光をマイクロレンズアレイのための照射光として使用することができる。マイクロレンズスタックでは、先ず一次レンズアレイを用いてその平行な光がそれぞれ一次光線絞り(即ち第1の絞り装置)上に集束されることが可能であり、この絞りにおいて、集束された光は、所望の配光(例えばロービーム)に切り取られる(ないし形成される beschchnitten)。その絞りに続き、システム内の光学誤差(後続のマイクロ投射システムへの光の望まれないクロストーク)を補正できる二次光線絞りが続くことができる。最後には、所望の配光を道路上に結像する2次レンズアレイ(出射光学系)がある。
【0042】
第1の絞り装置は、以下の要求を満たすことができる:
- 解像度精度<4μm
- 車両寿命にわたる-40℃から180℃までの温度耐性
- 好ましくは0.0002未満の透過率
- 前方に向かい(走行方向に)できるだけ光吸収性である。
【0043】
そのような絞り装置は、以下のステップにより得ることができる:
【0044】
ステップ1:所定のガラス基板が一側面部で完全に金属被覆される。例えばアルミニウムをスパッタリングすることができる(200nmの範囲の層厚)。それに対して代替的に、同様に例えば、クロム、黒色クロムなどを使用することもできる。
【0045】
ステップ2:スピンコーティング又はスプレーコーティングを用いて黒色のネガ型フォトレジストを、金属被覆された層上に全面的に塗布することができる(1.5μmと2μmの間の層厚)。その後、フォトレジストを所定のマスクを通して露光することができる。現像液を用い、構造化された絞り幾何学形状を、所望の解像度精度(<4μm)で現像することができる。しかしまた、ポジ型フォトレジストの使用も可能である。
【0046】
ステップ3:金属被覆は、湿式化学プロセスを用いて自由にエッチングすることができる。このステップにおいて、構造化された黒色のフォトレジストは、エッチングマスクとして用いられる。その結果は、構造化された光線絞りであり、該光線絞りは(ガラス基板の)一側面部において反射性の層と黒色の層を有する。
【0047】
以下、図面に図示されている、限定的ではない例示の実施形態(実施例)に基づき、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】マイクロ投射ライトモジュール、ないしそれに含まれ、本発明の使用のために準備されている一投射装置の斜視図を示す図である。
図2】本発明による一投射装置の概要断面図を示す図である。
図3図2に図示された支持体の詳細図を示す図である。
図4図4aから図4mは、本発明による一投射装置を製造するための例示のステップを示す図である。
【実施例
【0049】
以下の図では、別途記載のない限り、同じ参照符号は、同じ構成要素を示す。
【0050】
図1は、マイクロ投射ライトモジュール10、ないしそれに含まれ、本発明のために使用することもできる一投射装置(プロジェクションデバイス)1の斜視図を示しており、この際、ライトモジュール10は、光源2と、光をコリメートする光学系7と、好ましくはアレイ状に配設された所定数のマイクロ入射光学系3aを有する入射光学系3と、支持体(キャリア)5と、出射光学系4とを有する。出射光学系4は、好ましくはアレイ状に配設された所定数のマイクロ出射光学系4aを有する。
【0051】
投射装置1は、自動車投光器(例えば自動車前照灯)への取り付けに適しており、この際、取り付けられた状態において、x軸は、車両縦軸ないし走行方向を示し、y軸は、x軸に対して直角に配向された水平軸を示し、z軸は、x軸とy軸により規定された水平面に対して直角に配向された垂直軸を示している。
【0052】
図2は、本発明による一投射装置1ないし自動車投光器用のマイクロ投射ライトモジュール10の概要断面図を示しており、マイクロ投射ライトモジュール10は、少なくとも1つの投射装置1、並びに投射装置1に光を供給するための少なくとも1つの光源2を含んでいる。図2では、各マイクロ入射光学系3aには、正に1つのマイクロ出射光学系4aが割り当てられていることが見てとれる。実質的に1つのマイクロ入射光学系3aから出射する全ての光が、割り当てられたマイクロ出射光学系4aだけに入射するように、マイクロ入射光学系3aは、構成され、及び/又はマイクロ入射光学系3aとマイクロ出射光学系4aは、互いに配設されている。複数のマイクロ入射光学系3aにより事前成形された光は、複数のマイクロ出射光学系4aにより、少なくとも1つの配光として自動車の前方の領域に結像される。
【0053】
入射光学系3と出射光学系4の間には、少なくとも1つの光透過性の支持体5が配設されており、この際、少なくとも1つの支持体5は、少なくとも1つの第1の絞り装置(シェード装置)6を有し、この際、第1の絞り装置6は、実質的に入射光学系3に入射する全ての光が第1の絞り装置6に導かれているように配設されており、この際、第1の絞り装置6は、光学作用面6aを有し、この際、光学作用面6aには、予め設定可能な配光を成形するために光透過性の複数の窓6b(例えば図3並びに図4b及び図4cを参照)が形成されており、これらの窓6bは、実質的に光非透過性のコーティングにより画定されている。
【0054】
図2図3により、光非透過性のコーティングは、少なくとも面的に重なり合って配設された部分層6’及び6”から成ること、即ち反射性で金属性の第1の部分層6’と、実質的に黒色の光吸収性の塗布材(ラッカ)から成る第2の部分層6”から成ることが見てとれ、この際、第1の部分層6’は、入射光学系3と第2の部分層6”の間に配設されている。本事例において、この配設構造は、両方の層が、第1の支持体5の光出射側に配設されており且つ第1の部分層6’並びにそれに続いて第2の部分層6”が設けられていることにより製造されている。例示の光線L1により、光が入射光学系3を介して光学作用面6aに導かれ、光透過性の窓6bを通過できることが見てとれる。窓6bを通る光線L2は、出射光学系4の対応のマイクロ出射光学系4aに当たり(入射し)、この際、これらの光線LVは、大部分が外方に向かいマイクロ出射光学系4aから出ていく。しかしながら僅かな(望まれない)部分が、出射光学系4により、第2の部分層6”の方向に戻るように反射され、第2の部分層6”は、これらの光線を吸収し、従ってこれらの光線が制御されずに出射光学系4の方向に反射されることを回避するように構成されている。つまり出射光学系4における反射により引き起こされる光線LSのクロストークに対し、効果的に対抗(抑止)することができる。
【0055】
図4aから図4mは、本発明による投射装置1を製造するための例示のステップを示している。図4aは、第1の絞り装置(単に「絞り」とも称する)6を形成するために使用され且つ以下のように処理される光透過性の支持体5を示している:図4aにより、支持体5の一側面部が、反射性で金属性の第1の部分層6’でコーティングされる。それに続き、黒色の光吸収性のフォトレジストから成る第2の部分層6”で第1の部分層6’の全面被覆が行われる(図4b)。次のステップとして、第2の部分層6”内に光透過性の複数の窓を形成するために第2の部分層6”の露光と現像が行われ(図4c)、それらの窓を介し、第1の部分層6’の対応の領域が露出される。その後、第1の部分層6’内の光透過性の複数の窓6bが、エッチング法を用い、反射性で金属性の第1の部分層6 'の対応の領域を除去することにより形成される(図4dを参照)。光透過性の複数の窓6bの輪郭形状は、任意に構成されていることが可能であり、例示された実施形態は、非対称の勾配部を備えたロービーム配光に対応する。それに続き、入射光学系3を支持体5に取り付けることができ(図4e)、この際、第1の部分層6’は、入射光学系3と第2の部分層6”の間に配設されている。本実施例では、第2の支持体8が設けられており、第2の支持体8には、光学的な結像誤差(収差)を減少させるための更なる絞り9が設けられている。この支持体部は、2つの要素、即ち絞りの支持体8とカバー要素8’とから構成されている。カバー要素8’上に、出射光学系4を取り付けることができる(図4fから図4kを参照)。最後に支持体5と支持体8が互いに結合され、それにより入射光学系3と出射光学系4は、互いに向かい合い、絞り6と絞り9は、その間に位置して配設されている。
【0056】
この教示内容に鑑み、当業者は、発明性とは無関係に本発明の非図示の他の実施形態に達することができる。従って本発明は、図示の実施形態に限定されるものではない。また本発明ないし本実施形態の個々の観点に着目してこれらを互いに組み合わせることも可能である。本質的なことは、本発明の基礎を成す思想であり、これらの思想は、当業者により本明細書の認識のもと様々なかたちで実施可能であるが、本発明の基礎を成す思想として保たれるものである。請求項において場合により記載の参照符号は、例示であり、請求項を限定することなく、請求項のより容易な理解のためだけに用いられる。
【符号の説明】
【0057】
1 投射装置
2 光源
3 入射光学系
3a マイクロ入射光学系
4 出射光学系
4a マイクロ出射光学系
5 支持体
6 絞り装置
6a 光学作用面
6b 窓
6’ 第1の部分層
6” 第2の部分層
7 光をコリメートする光学系
8 支持体
8’ カバー要素
9 絞り
10 マイクロ投射ライトモジュール

L1 光線(入射光学系3を通る光線)
L2 光線(窓6bを通る光線)
LV 光線(出射光学系4を通る光線)
LS 光線(出射光学系4の反射による光線)
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図4(d)】
図4(e)】
図4(f)】
図4(g)】
図4(h)】
図4(i)】
図4(j)】
図4(k)】
図4(l)】
図4(m)】