(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】物理的な対象物についてプロセスプロトコルを提供する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20220916BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020560833
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2018064666
(87)【国際公開番号】W WO2019233551
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520255252
【氏名又は名称】セロニス エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クレンク,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】リンケ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ノミナヘル,バスティアン
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-302096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/1070406(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産ライン/加工ラインで複数の生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)を通過する複数の物理的な対象物(O)についてプロセスプロトコルを提供する方法において、
-少なくとも1つの対象物(O)に機械可読データ(D)が割り当てられ、前記データは、それぞれの前記対象物を一意的に特定可能である少なくとも1つの識別子を含み、
-少なくとも1つの生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)に、前記対象物(O)に割り当てられた前記機械可読データ(D)を読み取るように適合化された少なくとも1つの読取り装置(R)が配置され、
-生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)に配置されたそれぞれの前記読取り装置(R)は、前記対象物が前記生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)に到着する、かつ/またはこれから出ていくとただちに、前記対象物(O)に割り当てられた前記機械可読データ(D)を読み取り、
-前記読み取られた機械可読データ(D)が、それぞれの前記生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)および/またはそれぞれの前記読取り装置(R)に割り当てられ、
-それぞれの前記読取り装置により読み取られた前記機械可読データに少なくとも1つのタイムスタンプが割り当てられ、
-前記少なくとも1つの読取り装置(R)により読み取られた前記機械可読データ(D)と、前記読み取られた機械可読データの前記生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)への、および/または前記読取り装置(R)への割当てと、前記読み取られた機械可読データ(D)に割り当てられたタイムスタンプと、からプロセスプロトコルが作成され、前記プロセスプロトコルは、複数のデータセットを含み、各々のデータセットは、プロセスのプロセスステップを記述し、前記プロセスプロトコルの各々のデータセットは、少なくとも、
-プロセスの一意識別子が記憶されており、前記一意識別子により前記プロセスステップが前記プロセスに割り当てられる第1のアトリビュートと、
-前記プロセスステップの識別子が記憶されている第2のアトリビュートと、
-プロセス内部での前記プロセスステップの順序が記憶されている第3のアトリビュートと、を含み、
-前記作成されたプロセスプロトコルが、記憶装置(DB)に記憶され、
-前記読み取られた機械可読データ(D)が、通信ネットワークを介して記憶装置(DB)へ伝送され、
-前記記憶装置(DB)に伝送された前記機械可読データ(D)が、構造化された生データとして前記記憶装置に記憶され、前記生データは、
-前記記憶装置(DB)でそれぞれの前記生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)および/またはそれぞれの前記読取り装置(R)に割り当てられ、
-前記機械可読データ(D)に追加してそれぞれの前記タイムスタンプを含み、
-前記記憶装置(DB)に記憶されている前記生データと、前記生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)への、および/または前記読取り装置(R)への前記生データのそれぞれの割当てと、から前記プロセスプロトコルが作成され、
前記プロセスプロトコルの作成にあたって、プロセス内部での前記プロセスステップの順序が、前記タイムスタンプによって表され、前記タイムスタンプは、前記第3のアトリビュートに記憶され、
前記プロセスプロトコルの少なくとも1つのデータセットにコンテキスト関連のデータ(CD)が割り当てられ、前記コンテキスト関連のデータ(CD)は、
-前記少なくとも1つの前記読取り装置(R)により、
-前記生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)により、もしくは、
-サードパーティーシステム(D3)により
提供することができるか、または、
前記プロセスプロトコルの作成時に作成され、
-前記コンテキスト関連のデータ(CD)が、前記プロセスステップの識別子として第2のアトリビュートに記憶されるか、または、
-前記コンテキスト関連のデータ(CD)から前記プロセスステップの前記識別子が生起されて第2のアトリビュートに記憶される、方法。
【請求項2】
各々の生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)について、事前設定されたコンテキスト関連のデータ(CD)に属する前記プロセスステップの前記識別子が、コンフィグレーションファイルまたはコンフィグレーションテーブルに記憶されており、前記プロセスステップの前記識別子を生起するために、前記識別子が、前記コンフィグレーションファイルまたは前記コンフィグレーションテーブルを用いて判定される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれの前記生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)による、または前記サードパーティーシステム(D3)による、前記コンテキスト関連のデータ(CD)の提供にあたって、
-前記読み取られた機械可読データ(D)が、前記読取り装置(R)から前記記憶装置(DB)へ伝送され、前記提供されたコンテキスト関連のデータ(CD)が、前記生産ステーション/加工ステーションから、もしくは前記サードパーティーシステムから前記記憶装置(DB)へ伝送され、前記伝送された
機械可読データ(D)又は前記コンテキスト関連のデータ(CD)の生データとしての記憶にあたって、前記読取り装置から伝送された前記機械可読データ(D)が、前記生産ステーション/加工ステーションまたは前記サードパーティーシステムから伝送された前記コンテキスト関連のデータ(CD)に割り当てられるか、または、
-前記提供されたコンテキスト関連のデータ(CD)が、前記生産ステーション/加工ステーションから前記読取り装置(R)へ伝送され、前記読取り装置が、前記読み取られた機械可読データ(D)を前記コンテキスト関連のデータ(CD)とともに前記記憶装置(DB)へ伝送する、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記生産ステーション/加工ステーション(P1...Pn)にセンサまたはセンサシステム(S)が配置されており、前記センサまたは前記センサシステムは、センサデータから前記コンテキスト関連のデータ(CD)を作成するように適合化されている、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
各々の対象物(O)にタグが配置され、前記タグは、印刷されたコード、特にバーコードまたはQRコード
(登録商標)と、電磁波により読み取り可能な記憶装置と、を含み、前記機械可読データ(D)は、前記タグに記憶されており、それぞれの前記対象物への前記機械可読データ(D)の割当ては、前記対象物への前記タグの配置によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記記憶装置(DB)に伝送される
前記機械可読データ(D)又は前記コンテキスト関連のデータ(CD)が、前記記憶装置(DB)での記憶前に前処理される、特に統一的なデータフォーマットに変換される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
作成されて前記記憶装置(DB)に記憶された前記プロセスプロトコルが、前記プロセスの分析のためにプロセスマイニングシステムへ提供される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物理的な対象物についてプロセスプロトコルを提供する方法に関し、プロセスプロトコルがプロセスマイニングシステムに提供される。
【背景技術】
【0002】
たとえば、生産ライン/加工ラインで製品を位置特定することを可能にするバーコードを、製品に付与することが知られている。そのために、生産ラインないし加工ラインの事前設定された個所に、製品のバーコードを読み取ることができる読み取り装置が設けられていてよい。バーコードが読み取られると、それぞれの読取り装置が相応の製品の所在地を信号で知らせることができる。しかし、それによって答えることができるのは、生産ラインないし加工ラインのどの点にどの製品が現在所在しているかという設問にすぎない。このようなデータを保存したとしても、すなわち、どの製品がいつ、生産ラインないし加工ラインのどこに所在していたかを保存したとしても、それによって答えることができるのは、どの製品がいつ、どこに所在していたかという設問にすぎない。しかし、そのような範囲を超える問題設定には、それによって答えることができない。
【0003】
特に、どの加工ステップないし処理ステップが、どの製品にどのステーションで行われたかを判定することができない。1つの加工ステーションが、同一または同種類の製品をそれぞれ別様に加工することが十分に考えられるからである。
【0004】
こうした上記の情報のほか、プロセスにおけるボトルネックやエラーをできる限り迅速に認識し、相応の方策を導入できるようにするために、製品のプロセス全体(たとえば加工プロセス)を分析し、視覚化することも望まれる。このことが特に関心の対象となるのは、複数の加工ラインに沿って、最終製品のそれぞれ異なる部品が加工される場合である。このようなケースでは、最終製品の個々の部品がそれぞれの加工ラインに沿って希望どおりに加工されているが、それにもかかわらず、時間的な遅れをもって初めて最終製品を組み立てることができるということがあり得る。そのような最終組立の遅れを検知できるようにするには、個々の部品の加工プロセス全体をプロセス横断的に分析し、視覚化することができなければならず、それは、たとえば1つまたは複数のどの部品が、遅れた最終組立に送られたのかを判定できるようにするためである。そしてこのような情報を用いて、加工プロセス全体をあらためて調節することができ、たとえば、個々の部品の加工プロセスを相互に調整することができる。
【0005】
たとえばプロセスにおけるボトルネックを確実に判定できるようにするには、多くの場合、当該プロセスの多数のプロセスインスタンスを分析して、たとえばプロセスの新規調節に必ずしもつながるとは限らない異常値を認識できるようにすることが必要である。
【0006】
これに加えて、従来技術から知られる手段によっては、個々の加工ステーションを、たとえば加工ステーションに割り当てられた個々の機械を、プロセスの加工プロセスのコンテキストで監視することが可能でない。たとえば、機械不良に基づいて製品の加工が遅延するということが起こり得るが、このことは、たとえば上位の生産プロセスの遅延につながりかねない。
【0007】
すなわち、従来技術から知られている方法および手段によっては、センサデータや機械データを含めたプロセス関係性の全体を生産時に視覚化して分析することが可能でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、生産ラインないし加工ラインに沿っての製品の加工の確実な監視、および製品を加工する装置の確実な監視を可能にする、特に、関与する装置を含めた製品の生産プロセス全体の効率的な分析と評価を可能にする、解決法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によると、この課題は独立請求項に記載の方法によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0010】
それによると、生産ライン/加工ラインで複数の生産ステーション/加工ステーションを通過する複数の物理的な対象物についてプロセスプロトコルを提供する方法が提供され、
-少なくとも1つの対象物に機械可読のデータが割り当てられ、このデータはそれぞれの対象物を一義的に特定可能である少なくとも1つの識別表示を含み、
-少なくとも1つの生産ステーション/加工ステーションに、対象物に割り当てられた機械可読のデータを読み取るように適合化された少なくとも1つの読取り装置が配置され、
-対象物が生産ステーション/加工ステーションに到着すると、および/またはこれから出ていくと、ただちに生産ステーション/加工ステーションに配置されたそれぞれの読取り装置が対象物に割り当てられた機械可読のデータを読み取り、
-読み取られた機械可読のデータがそれぞれの生産ステーション/加工ステーションに、および/またはそれぞれの読取り装置に割り当てられ、
-それぞれの読取り装置により読み取られた機械可読のデータに少なくとも1つのタイムスタンプが割り当てられ、
-少なくとも1つの読取り装置により読み取られた機械可読のデータ、読み取られた機械可読のデータの生産ステーション/加工ステーションへの割当て、および/または読取り装置および読み取られた機械可読のデータに割り当てられたタイムスタンプからプロセスプロトコルが作成され、プロセスプロトコルは複数のデータセットを含み、各々のデータセットがプロセスのプロセスステップを記述し、プロセスプロトコルの各々のデータセットは少なくとも、
-プロセスの一義的な識別表示が保存され、プロセスステップがプロセスに割り当てられる第1のアトリビュートと、
-プロセスステップの識別表示が保存される第2のアトリビュートと、
-プロセス内部でのプロセスステップの順序が保存される第3のアトリビュートとを含み、
-作成されたプロセスプロトコルが記憶装置に保存される。
【0011】
各々の対象物に機械可読のデータが割り当てられると好ましく、ただしこれは任意選択にすぎない。さらに、対象物に割り当てられたデータをすべての生産ステーション/加工ステーションで読み取ることができるようにするために、各々の生産ステーション/加工ステーションに少なくとも1つの読取り装置が配置されると好ましく、このことは生産プロセスの隙間のない評価を可能にし、すなわち、生産プロセスに含まれるすべての技術装置を考慮したうえでの評価を可能にし、ただしこれは任意選択にすぎない。
【0012】
-読み取られた機械可読のデータが通信ネットワークを介して記憶装置へ伝送され、
-記憶装置に伝送された機械可読のデータが構造化された生データとして記憶装置に保存され、この生データは、
-記憶装置でそれぞれの生産ステーション/加工ステーションおよび/またはそれぞれの読取り装置に割り当てられ、
-機械可読のデータに追加してそれぞれのタイムスタンプを含み、
-記憶装置に保存されている生データから、および、生産ステーション/加工ステーションへの、および/または読取り装置への生データのそれぞれの割当てから、プロセスプロトコルが作成されると好ましい。
【0013】
読取り装置は、
-これにより読み取られた機械可読のデータ、
-生産ステーション/加工ステーションおよび/または読取り装置への、読み取られた機械可読のデータの割当て、および、
-読み取られた機械可読のデータに割り当てられたタイムスタンプ
から、プロセスプロトコルの少なくとも1つのデータセットを作成して、少なくとも1つの作成されたデータセットを記憶装置へ保存のために伝送することができる。
プロセスプロトコルの作成にあたって、プロセス内部でのプロセスステップの順序をタイムスタンプによって表すことができ、これが第3のアトリビュートに保存される。
プロセスプロトコルの少なくとも1つのデータセットにコンテキスト関連のデータを割り当てることができ、コンテキスト関連のデータは、
-少なくとも1つの読取り装置、
-生産ステーション/加工ステーション、または、
-サードパーティーシステム
から提供することができ、または、
プロセスプロトコルの作成時に作成することができる。
【0014】
-コンテキスト関連のデータがプロセスステップの識別表示として第2のアトリビュートに保存され、または、
-コンテキスト関連のデータからプロセスステップの識別表示が生起されて第2のアトリビュートに保存されると好ましい。各々の生産ステーション/加工ステーションについて、事前設定されたコンテキスト関連のデータに属するプロセスステップの識別表示をコンフィグレーションファイルまたはコンフィグレーションテーブルに保存することができ、プロセスステップの識別表示を生起するためにこれがコンフィグレーションファイルまたはコンフィグレーションテーブルを用いて判定される。
【0015】
コンテキスト関連のデータの提供にあたって、それぞれの生産ステーション/加工ステーションにより、またはサードパーティーシステムにより、
-読み取られた機械可読のデータを読取り装置から記憶装置へ伝送し、提供されたコンテキスト関連のデータを生産ステーション/加工ステーションから、またはサードパーティーシステムから記憶装置へ伝送し、伝送されたデータ(D;CD)の生データとしての保存にあたって、読取り装置から伝送された機械可読のデータを、生産ステーション/加工ステーションまたはサードパーティーシステムから伝送されたコンテキスト関連のデータに割り当てることができ、または、
-提供されたコンテキスト関連のデータを生産ステーション/加工ステーションから読取り装置へ伝送し、読取り装置が読み取られた機械可読のデータをコンテキスト関連のデータとともに記憶装置へ伝送することができる。
【0016】
生産ステーション/加工ステーションにセンサまたはセンサシステムが配置されると好ましく、センサまたはセンサシステムは、センサデータからコンテキスト関連のデータを作成するために適合化される。
【0017】
さらに、各々の対象物にタグが配置されると好ましく、タグは印刷されたコード、特にバーコードやQRコード(登録商標)と、電磁波により読み取り可能な記憶装置とを含み、機械可読のデータはタグに保存され、それぞれの対象物への機械可読のデータの割当ては対象物へのタグの配置によって行われる。
【0018】
記憶装置に伝送されるデータは、記憶装置での保存前に前処理することができ、特に統一的なデータフォーマットに変換することができる。
【0019】
作成されて記憶装置に保存されたプロセスプロトコルを、プロセスの分析のためにプロセスマイニングシステムへ提供することができる。
【0020】
このように本発明は、機械および/または対象物に関するデータを1つまたは複数のセンサもしくは読取り装置から伝送して変換して、プロセスプロトコルを作成することを可能にするという利点があり、プロセスプロトコルを用いて、センサデータや機械データを含めた生産におけるプロセスの関連性全体を視覚化し、分析することができる。
【0021】
それに対してこれまでの従来技術は、ITシステム/情報システムで全面的に遂行されるプロセスの可視化を可能にするにすぎない。外部の、すなわちITシステム/情報システムの外部で進行するプロセスや部分プロセスは、それによっては視覚化することができず、ましてや分析することはできない。
【0022】
本発明のさらに別の利点は、生産における機械および/または対象物のコンテキスト関連のデータによってプロセスプロトコルを拡充できるという点にあり、このことは著しく改善されたプロセス進行の分析を可能にする。
【0023】
本発明の詳細と構成要件、ならびに本発明の具体的な実施形態は、図面との関連における以下の説明から明らかとなる。図面は次のものを示す:
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、たとえば機械などの物理的な装置が監視され、相応のプロセスプロトコルが作成される、本発明の第1の態様を明確化するためのブロック図を示す。
【
図2】
図2は、製品ないし対象物が生産ラインないし加工ラインに沿って監視され、相応のプロセスプロトコルが作成される、本発明の第2の態様を明確化するためのブロック図を示す。
【
図3】
図3は、物理的な装置と、生産ラインないし加工ラインに沿った製品ないし対象物とがいずれも監視されて、相応のプロセスプロトコルが作成される、本発明の第3の態様を明確化するためのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明の第1の態様に基づく方法を明確化するためのブロック図を示している。
【0026】
たとえば製品を製造するための生産装置では、複数の物理的な装置Mが製品の加工と処理のために設けられる。物理的な装置は機械であってよく、たとえば穿孔機械、研削機械やフライス加工機械、組立ロボットなどの機械であってよい。加工機械のほか、たとえば機能テストを実施する、あるいはその他の製品の特性を検査する、試験装置などの非加工機械が設けられていてもよい。このような物理的な装置Mを、以下においては機械Mと呼ぶ。
【0027】
複数の機械Mに、好ましくはすべての機械Mに、それぞれ少なくとも1つのセンサSが割り当てられており、このセンサによって機械Mの物理的な特性を測定量MGとして検出することができる。たとえば穿孔機械や電動式のねじ締め装置については、トルクやトルク変化を検出することができる。以下の例では、たとえば機械のオンとオフを検知するために、機械について消費電力を検出することができる。
【0028】
本発明によると、そのつど所望の物理的な特性を測定量として検出するために、各々の機械Mに相応のセンサを割り当て、ないしは機械に配置することが可能である。
【0029】
これに加えて本発明では、機械にセンサSを設け、該センサによって機械の物理的な特性が検出されるのではなく、機械によって加工ないし処理される製品の物理的な特性が検出されることも可能である。たとえば塗装ロボットMにセンサSが設けられていてよく、該センサによって、塗装プロセスの後に、塗布された塗料層の塗料厚みが測定される。フライス加工機械や研削機械では温度センサが設けられていてよく、該センサによって、研削プロセスないしフライス加工プロセスの間の工作物の温度変化が検出される。
【0030】
もっとも単純なケースでは、各々の機械Mについてただ1つのセンサSが割り当てられる。前述したとおり、複数のセンサSが1つの機械に割り当てられていてもよい。
【0031】
1つの機械に割り当てられたただ1つのセンサSが、ないし1つの機械Mに割り当てられた複数のセンサSが、共同でセンサノードSNを形成することができる。各々のセンサSが、ないしは各々のセンサノードSNが、たとえばマイクロプロセッサなどの処理装置を有することができ、該処理装置によって、検出された測定量MGを処理ないし前処理することができる。さらに、検出されて場合により前処理される、ないし処理される測定量MGを保存し、ないしは中間保存するために、各々のセンサSが、ないし各々のセンサノードSNが、記憶装置を装備することができる。
【0032】
センサないしセンサノードの処理装置は、プロセスプロトコルのデータセットDSを作成するために適合化されていてよい。プロセスプロトコルのデータセットの作成について、以下に詳しく説明する。センサないしセンサノードにより作成されるデータセットDSを記憶装置へ伝送し、そこで直接プロセスプロトコルへ挿入することができる。
【0033】
図1に示す本発明の第1の態様に基づくプロセスプロトコルの作成について、以下に
図1に示す穿孔機械Mを参照しながら説明する。
【0034】
穿孔機械Mに、ここでは2つのセンサSが割り当てられており、たとえば第1のセンサがドリルの回転数を、および第2のセンサがドリルのトルクを、測定量MGとして検出する。そのために両方のセンサは、適当な仕方で穿孔機械Mと結合された、ないしは穿孔機械Mに組み込まれた、相応の測定値記録器を有する。
【0035】
センサSないしセンサノードSNにより検出された測定量MGが記憶装置DBへ伝送され、そこで測定量が生データとして保存される。さらに記憶装置DBには、他のすべてのセンサSないしセンサノードの測定量MGも生データとして保存される。
【0036】
そして記憶装置DBに保存された生データから、プロセスプロトコルが作成される。いずれのセンサないしセンサノードから測定量MGが記憶装置DBに保存されたかに応じて、複数の異なるプロセスプロトコルを作成することもできる。
【0037】
本発明の1つの実施形態では、1つないし複数のプロセスプロトコルが後の時点で作成され、すなわち、プロセスプロトコルについて関連するすべての測定量MGが記憶装置DBに保存された後で作成される。
【0038】
本発明の別の実施形態では、1つないし複数のプロセスプロトコルを継続的に作成することもでき、すなわち、1つの測定量MGが生データとして記憶装置DBに保存された後に、相応のプロセスプロトコルが補完される。プロセスプロトコルの継続的な補完は、たとえばプロセスプロトコルが継続的に監視されていれば、プロセスにおける誤差や不具合をそれぞれのプロセスの遂行中からすでに認識できるという利点がある。
【0039】
作成されたプロセスプロトコルを、同じく記憶装置DBに保存しておくことができる。別案として、作成されたプロセスプロトコルを別途の記憶装置に保存しておくこともできる。
【0040】
作成されたプロセスプロトコルがどこで保存されるかに関わりなく、以後の処理または評価のためにプロセスマイニングシステムへ提供される。このようなプロセスマイニングシステムにより、すでに実行されたプロセスの、ないしはまだ実行中のプロセスの、プロセス横断的な評価を実行することができる
【0041】
周知のプロセスマイニングシステムは、ITベースのプロセス(ITシステムで全面的に実行されるプロセス)の再構成と視覚化を、これらのプロセスによりITシステムに残されたデジタル痕跡をベースとして可能にする。このようなデジタル痕跡からプロセスを再構成するために、記憶装置を基礎とする生データがプロセスプロトコルへと変換される。このときプロセスマイニングシステムは、このような記憶装置との結合を可能にし、またはこのような記憶装置そのものを含んでいる。プロセスマイニングシステムはプロセスプロトコルを読み出して、これをプロセス視覚化という形態で再現する。視覚化は、たとえば弱点や不具合を見出すために、プロセス進行を認識して分析することをユーザーに可能にする。
【0042】
一方で本発明は、機械や対象物(たとえば製品)が含まれていてITシステムの外部で全面的または部分的に実行されるプロセスも、視覚化して分析することを可能にする。そのために、すでに周知のプロセスマイニングシステムを、そのために必要なプロセスプロトコルが本発明に基づいて作成ないし生成されることによって、利用することができる。
【0043】
記憶装置DBに伝送された測定量MGが保存されるとき、各々の測定量にタイムスタンプを、または2つのタイムスタンプからなる時間インターバルを割り当てることができる。記憶装置DBで測定量MGが保存されるときのタイムスタンプの割当てが好ましいのは、それぞれのセンサSないしセンサノードSNにより検出される測定量が、その検出の直後に記憶装置DBへ伝送される場合である。センサSないしセンサノードSNから記憶装置DBへの相応のタイムスタンプの伝送を、そのようにして回避することができ、それにより、伝送されるべきデータ量を場合により大幅に低減することができ、このことに特に意義があるのは、たとえば1つの生産工場で非常に多くのセンサないしセンサノードが存在し、これらが場合により非常に短い時間的間隔で測定量MGを記憶装置DBに伝送する場合である。
【0044】
しかしながら別案の実施形態では、1つのセンサSないしセンサノードSNが時間的に間隔をおいて複数の測定量を検出し、これらの測定量MGを後の時点で記憶装置DBに伝送することが意図されていてもよい。このケースでは、すでにセンサSによって、ないしセンサノードSNによって、それぞれの測定量MGのタイムスタンプが割り当てられると好ましい。
【0045】
それぞれの測定量MGのタイムスタンプの割当てがどこで行われるかに関わりなく、タイムスタンプは、通常、相応の測定量MGがいつ検出されたかを表す。別案の実施形態では、それから複数の測定量がそれぞれのタイムスタンプとともに記憶装置DBに伝送される。
【0046】
さらに、プロセスプロトコルを正確に作成できるようにするために、ないし、プロセスプロトコルからプロセスを正確に再構成できるようにするために、記憶装置DBに保存されている生データがセンサないしセンサノードまたは機械に割り当てられる。この割当ては、本発明の1つの実施形態ではセンサないしセンサノードによって直接行うことができ、測定量MGがセンサないしセンサノードの識別表示とともに、またはそれぞれの機械の識別表示とともに、記憶装置DBへと伝送される。
【0047】
本発明の別案の実施形態では、この割当ては記憶装置によって行うこともでき、当然ながら記憶装置には、どの測定量MGがどこから受け取られたかが既知になっていなければならない。そして記憶装置DBで、測定量を表す生データがそれぞれのセンサないしそれぞれの機械に割り当てられる。
【0048】
そして記憶装置DBからプロセスプロトコルが作成されて、プロセスマイニングシステムに提供される。
【0049】
センサにより検出される測定量の伝送、および場合によりタイムスタンプ、およびセンサないし機械への測定量の割当ては、さまざまに異なる仕方で行うことができる。
【0050】
1つの実施形態では、各々のセンサないし各々のセンサノードが記憶装置へデータを直接伝送することができる。
【0051】
本発明の別案の実施形態では、それぞれ異なる機械に割り当てられたセンサないしセンサノードがいわゆるセンサネットワークを形成し、1つのセンサないし1つのセンサノードのデータが、複数のセンサないし複数のセンサノードを経由して記憶装置DBに伝送される。たとえば
図1に示す例では、穿孔機械に割り当てられたセンサノードにより検出された測定量が、別の3つのセンサノードを介して記憶装置DBに伝送される。
【0052】
このとき少なくともセンサネットワークの内部のセンサノードは、1つのセンサノードのデータを受け取って、受け取ったデータを他のセンサノードへ転送するように構成される。受け取られたデータの転送前に、当該データをセンサノードによって場合により前処理することができる。たとえば1つのセンサノードは、受け取ったデータをそのデータ構造に関して前処理して、受け取られたデータと、センサノードにより検出された測定量MGとが統一されたデータ構造をもって次のセンサノードに転送されるようにする。それに伴い、たとえばセンサないしセンサノードにより検出された測定量全体が、統一されたデータ構造で記憶装置DBに到着することを実現することができる。
【0053】
センサネットワーク内の個々のセンサノードの間の通信、ないしセンサノードと記憶装置DBとの間の通信は、有線式または無線式に行うことができる。無線式および有線式の通信からなる組合せも、同じく可能である。
【0054】
記憶装置DBに保存されている生データ(測定量、センサないし機械への測定量の割当て、およびタイムスタンプ)から、複数のデータセットが作成されて、これらが共同でプロセスプロトコルを形成する。プロセスプロトコルの各々のデータセットは少なくとも3つのアトリビュートを有し、第1のアトリビュートではプロセスの一義的な識別表示が保存され、これによりプロセスステップがプロセスに一義的に割り当てられ、第2のアトリビュートではプロセスステップの識別表示が保存され、第3のアトリビュートではプロセス内部でのプロセスステップの順序が保存される。すなわち各々のデータセットが、1つのプロセスの1つのプロセスステップを、当該プロセス内部での当該プロセスステップの順序を指定したうえで表す。
【0055】
特定の機械Mに属する測定量MGが、1つまたは複数のプロセスを表すことがあり得る。あるいは、複数の機械が1つのプロセスに関与することも可能であり、それにより、これら複数の機械に属する測定量が1つまたは複数のプロセスを表すことになる。
【0056】
たとえば穿孔機械と研削機械について、次のような生データが記憶装置DBに保存されていてよい:
【0057】
【0058】
たとえばそれぞれ異なる製品のために意図される工作物が穿孔機械と研削機械によって加工されるという理由により、穿孔機械と研削機械とがそれぞれ別のプロセスに割り当てられるケースについては、生データからたとえば次のようなプロセスプロトコルを作成することができる。
【0059】
【0060】
第1のアトリビュート(プロセスID)により、プロセスステップがそれぞれ別のプロセスに割り当てられる。
【0061】
たとえば特定の工作物がまず穿孔され、引き続いて研削されるという理由により、穿孔機械と研削機械が1つのプロセスに割り当てられるケースについては、生データからたとえば次のようなプロセスプロトコルを作成することができる。
【0062】
【0063】
穿孔機械と研削機械のプロセスステップが、プロセスID(=1)によって同一のプロセスに割り当てられている。
【0064】
プロセスIDは、たとえば製造されるべき製品の識別表示から判定することができ、それにより、たとえば特定の製品に属するすべての工作物(または半製品)が、プロセスの共通の一義的な識別表示を含むことになる。製品の識別表示は、たとえば製品/工作物に配置された、たとえば(それぞれの機械Mにある)読取り機械によって読み取ることができる、機械可読のデータを用いて(たとえば
図2との関連で示すように)判定することができる。これらのデータを記憶装置にコンテキスト関連のデータCDとして伝送することができる。
【0065】
コンテキスト関連のデータは、機械Mから記憶装置へ直接伝送することができる。伝送時点から、および生データのタイムスタンプから、コンテキスト関連のデータを生データと関連づけることができる。別案として、このようなコンテキスト関連のデータCDを測定量とともに伝送することもでき、その場合には、相互の関連づけはすでに共通の伝送によって与えられる。
【0066】
ただし、個々の機械のプロセスだけが着目(たとえば評価)されるべきである場合(たとえば、機械の各々の加工プロセスが独立したプロセスとして着目される場合)、そのプロセスの識別表示をたとえば機械の識別表示から判定することができる。
【0067】
特別な事象を用いて、1つの機械で実行される複数のプロセスを区別することができる。上に挙げたドリルを例にとると、0.0Aの電流が0.0Aよりも高い値へと変化したときに、そのような事象が成立し得る。このような電流の変化は、事象「ドリル オン」として解釈することができ、このことは、ドリルが新たな/別の工作物を加工しており、それに伴って新たなプロセスが開始されたと同義であり得る。
【0068】
当然ながら、1つの機械に関して検出されたすべての測定量を、ただ1つの(継続的な)プロセスとみなすこともできる。
【0069】
コンテキスト関連のデータは、たとえばそれぞれの機械を操作する人員に関する情報や、注文、顧客に関する情報など、その他のデータも含むことができる。
【0070】
本発明の1つの実施形態では、コンテキスト関連のデータCDは外部のシステムから、またはサードパーティーシステムD3から提供を受けることもでき、必要に応じて記憶装置DBに伝送することができ、または、プロセスプロトコルのそれぞれのデータセットにより参照することができる。
【0071】
第2のアトリビュート(プロセスステップ)の値は、測定量MGをベースとして判定することができる。上記の例では、ドリルへの電流の0.0Aから0.0Aよりも大きい値への測定量の変化は、「ドリル オン」と同義である。そして第2のアトリビュートの値として、プロセスプロトコルの相応のデータセットに「ドリル オン」を保存することができる。
【0072】
しかしながら、特定の測定量/測定量インターバル・センサ・組合せに関して、プロセスステップの相応の識別表示(=第2のアトリビュートの値)がコンフィグレーションファイルまたコンフィグレーションテーブルに保存されると好ましい。そしてプロセスプロトコルのデータセットの作成にあたって、コンフィグレーションファイルまたはコンフィグレーションテーブルから識別表示を判定することができる。
【0073】
そしてプロセスマイニングシステムを用いて、プロセスプロトコルをベースとしたうえで、たとえばドリルについては、「ドリル オン」と「最大トルク」の間の時間帯が時間を通じて増大しているか否か、あるいは、最大トルクが事前設定された値を下回るまで低下しているか否かを判定することができる。
【0074】
図2は、本発明の第2の態様に基づく方法を明確化するためのブロック図を示す。
【0075】
図2に示すブロック図では、対象物O(多くの場合に工作物または製品)が生産ライン/加工ラインに沿って加工ないし処理される。生産ライン/加工ラインは、
図2に示す例では、レーザ(それに伴い、たとえば対象物Oのサイズと位置を走査することができる)と、組立ロボット(たとえば対象物Oへコンポーネントを取り付けるため)と、テスト装置(たとえば機能テストを実施するため)と、出荷ステーション(たとえば完成した対象物Oを包装するため)を含んでいるあるいはこれ以外の、特に4つを超えるステーションを生産ライン/加工ラインに設けることもできる。
【0076】
生産ライン/加工ラインの各々のステーションに、読取り装置Rが割り当てられており、これによってそれぞれの対象物Oに関する情報をそれぞれのステーションP1からPnで検出することができる。そのために各々の対象物Oに、たとえばバーコード/QRコード(登録商標)の形態で、または電磁波によって読取り可能な記憶装置(たとえばRFIDタグ)の形態で、機械可読のデータDが割り当てられる。読取り装置は、これらのデータDを読み取ることができるように相応に適合化されている(たとえばバーコードリーダーやRFID読取り装置として)。
【0077】
本発明の別案の実施形態では、ただ1つのステーションにのみ読取り装置を配置することが意図されていてもよい。
【0078】
読取り装置は、プロセスプロトコルのデータセットDSを作成するように適合化されていてよい。読取り装置により作成されたデータセットDSを記憶装置へ伝送して、そこでプロセスプロトコルに直接挿入することができる。
【0079】
対象物OがステーションP1からPnに到着すると、および/またはこれから出ていくと、ただちに機械可読のデータDが読み出される。そして、読み出されたデータが読取り装置Rから記憶装置DBへ伝送され、そこで生データとして保存される。
【0080】
図1に示す例のときと同じく、ここでも伝送されたデータに1つまたは複数のタイムスタンプが付与される。タイムスタンプの割当ては読取り装置Rによって、または伝送されるデータが保存されるときに記憶装置DBによって行うことができる。
【0081】
しかしながら本発明の1つの態様に基づき、機械可読のデータDが読出しの直後に記憶装置DBへ伝送されるのでない場合には、読取り装置Rによってタイムスタンプの割当てが行われると好ましい。たとえば読取り装置Rは、ステーションに到着したこと、またはこれから出ていったことを記録するが、対象物Oが出ていったときに初めてデータDを記憶装置に伝送することができる。このケースでは、読取り装置Rは対象物Oが到着した時点を記録し、データDとともに記憶装置DBへ伝送しなければならない。
【0082】
リアルタイムでの(または近似的にリアルタイムでの)生産ライン/加工ラインの監視のために、各々の読取り装置Rが、検出されたデータDを記憶装置DBへ直接伝送すると好ましい。それに伴い、(生産ライン/加工ラインに沿って進行していく)対象物Oについてすでにプロセス中に、そのプロセスがまだ特定のパラメータの範囲内(たとえば事前設定された走行時間の範囲内)にあるか否かを判定することができる。
【0083】
記憶装置DBへ伝送されたデータから、ないし記憶装置に保存されている生データから、プロセスプロトコルが作成される。プロセスプロトコルは、
図1を参照してすでに説明した少なくとも3つのアトリビュートを含む。機械可読のデータの構成要素であり、読取り装置Rによって読み取られる製品識別表示から、プロセスプロトコルの作成時にプロセス識別表示を作成して、プロセスプロトコルの第1のアトリビュートに保存することができる。コンテキスト関連のデータを利用して、それぞれのプロセスステップについて識別表示を作成して、プロセスプロトコルの第2のアトリビュートに保存することができる。プロセス内部でのプロセスステップの順序が保存される第3のアトリビュートは、それぞれのタイムスタンプから明らかとなる。
【0084】
図2に示す例については、たとえば次のような生データを記憶装置DBに保存することができる。
【0085】
【0086】
そしてこれらの生データから、次のようなプロセスプロトコルを作成することができる。
【0087】
【0088】
第1のアトリビュート(プロセスID)により、プロセスステップがそれぞれ特定のプロセスに割り当てられる。
【0089】
プロセスプロトコルの第2のアトリビュートについての値が判定される元となるコンテキスト関連のデータCDは、たとえばそれぞれのステーションP1からPnにより提供することができる。たとえば機能テストを実施するステーションP3は、テストのステータス(OKまたはnOK)を、テストされた製品についてのコンテキストデータとして提供することができる。
【0090】
このようなコンテキスト関連のデータCDを、それぞれのステーションから(好ましくはタイムスタンプとともに)記憶装置へ直接伝送し、タイムスタンプをベースとしてそれぞれの生産ステップに割り当てることができる。別案として、コンテキスト関連のデータCDをそれぞれのステーションから、そのステーションに割り当てられた読取り装置Rに伝送して、この読取り装置から、読み取られたデータDとともに記憶装置へ伝送することもできる。
【0091】
図2に示す例では、対象物Oは(障害などが発生しなければ)4つのステーションを通過し、それにより、この対象物についての加工プロセスは、プロセスプロトコルで少なくとも4つのプロセスステップを有することになる。
【0092】
たとえばステーションへの対象物の到来と、ステーションから出ていくことがプロセスステップとしてプロセスプロトコルで作成される場合には、このプロセスがさらに多くのプロセスステップを有することもあり得る。それに伴い、たとえばステーションでの対象物の滞在時間を判定して、たとえばどのステーションでプロセスが遅れているかを確認できるようにすることが可能である。
【0093】
図3は、本発明の第3の態様に基づく方法を明確化するためのブロック図を示す。
【0094】
図3に示す本方法の態様では、
図1を参照して説明した態様の利点と、
図2を参照して説明した態様の利点とを1つにすることができる。このようにして、プロセス進行の視覚化と分析にあたって、読取り装置Rにより提供される対象物関連ないし製品関連のデータ、センサSないしセンサノードSNにより提供される機械関連のデータと、コンテキスト関連のデータとを考慮することができる。それにより、いっそう詳細な分析が可能である。特に、
図1および
図2に示す両方の態様によって、それぞれ単独では認識することができない関連性と依存性を認識することができる。
【0095】
図1に示す態様では、たとえば特定の機械がしばしば特定の機械パラメータを超過すること、あるいはこれに達しないことを判定することができる(たとえば穿孔機械が、事前設定された穿孔時間の後にしばしば所要のトルクに達しない)。
【0096】
図2に示す態様では、たとえばドリル穴が穿設された特定の製品が、特定の基準をドリル穴が満たさないために、テストステーションでの機能テストに合格しないことを判定することができる(たとえばドリル穴の深さが十分でない)。
【0097】
そこで、
図1と
図2に示す両方の態様を組み合わせることで、機械パラメータと、不具合のあるドリル穴との間の関連性を成り立たせることができる。たとえば、他ならぬドリル穴の深さが十分でない製品において、穿孔機械が所要のトルクに達していなかったことを認識することができる。そして、加工プロセスないし生産プロセスを相応に調節することができ、たとえば、ドリル穴が当該製品に穿孔されるべきときに、当該製品について求められるドリル穴深さに達するまで、穿孔時間を延長することができる。
【0098】
すなわち特定の関連性は、
図1と
図2に示す両方の態様を組み合わせることで初めて認識することができ、それにより、たとえば不具合や原因の探索、およびこれに伴って場合により行われる停止時間や生産ストップを大幅に低減することができる。
【0099】
図3に示す態様では、生産ライン/加工ラインに沿って加工ないし処理される製品ないし対象物Oに、機械可読のデータDが割り当てられる。この機械可読のデータDの構成は、
図2に関して説明したところである。
【0100】
生産ライン/加工ラインのステーションP1からPnに読取り装置が割り当てられていて、対象物Oがそれぞれのステーションに到達すると、および/またはこれから出ていくと、ただちにこれらの読取り装置によって機械可読のデータDを読み取ることができる。
【0101】
機械MにはセンサSないしセンサノードSNが割り当てられていて、これらによって、それぞれの機械の特定の物理的特性を測定量MGとして検出することができる(たとえば温度、トルクなど)。センサSないしセンサノードSNの構成、および、センサノードSNを利用して形成されるセンサネットワークの形成と機能形態については、
図1を参照して説明したところである。
【0102】
読取り装置Rにより検出される機械可読のデータD、およびセンサSないしセンサノードSNにより検出される測定量MGが記憶装置DBに伝送され、そこで生データとして保存される。そしてこれらの生データからプロセスプロトコルが作成され、これがプロセスマイニングシステムに提供される。プロセスプロトコルの作成については、
図1および
図1を参照して説明したところである。
【0103】
さらに、同じく
図1および
図2を参照して説明したように、読取り装置、センサSないしセンサノードSN、および機械そのものも、コンテキスト関連のデータCDを記憶装置DBに伝送することができる。このようなコンテキスト関連のデータCDを参照して、センサSないしセンサノードSNから伝送されたデータMGへの、読取り装置Rから伝送されたデータDの割当てを行うことができる。
【0104】
その代替または追加として、読取り装置Rから伝送されるデータDおよびセンサSないしセンサノードSNから伝送されるデータMGとともに伝送されるタイムスタンプを通して割当てを行うこともできる。
【0105】
このような割当てに基づき、読取り装置Rから伝送されたデータDからもたらされるプロセスステップだけでなく、センサSないしセンサノードSNから伝送されるデータMGからもたらされるプロセスステップも、プロセスプロトコルの中で正しいプロセスに割り当てることができる。プロセスプロトコルの作成は、
図1および
図2を参照して説明したのと同様に行われる。
【0106】
以下に、センサノードSNから伝送されるデータMGについて記憶装置DBに保存される生データの例と、読取り装置Rから伝送されるデータDについて記憶装置DBに保存される生データの例、ならびにこれらからもたらされるプロセスプロトコルを示す。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
以上、データD,MG,CDが記憶装置DBに伝送されて、そこで生データとして保存される実施例について説明した。この記憶装置は、固定メモリ(たとえばハードディスク)や揮発性メモリ(たとえば作業メモリ)であってよい。
【0111】
伝送されたデータのストリームとしての処理のためにこれを作業メモリに入れておくのが好ましく、作業メモリでプロセスプロトコルも作成して、プロセスマイニングシステム提供することができる。それが特に好適なのは、プロセスのリアルタイム分析が望ましく、分析後にプロセスプロトコルが必要とされなくなる場合である。
【0112】
それに対してプロセスプロトコルの後の分析のためには、伝送されたデータおよびこれから作成されたプロセスプロトコルを固定メモリに保存するのが好ましい場合があり得る。
【0113】
データの保存のために、および編成のために、データバンクマネジメントシステム、インメモリデータバンク、あるいはファイルシステムなども利用することができる。