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特許7142726フロントホールネットワークを管理する方法、装置、コンピュータプログラム製品、及びデータセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】フロントホールネットワークを管理する方法、装置、コンピュータプログラム製品、及びデータセット
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20220916BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20220916BHJP
   H04W 88/08 20090101ALI20220916BHJP
   H04W 92/16 20090101ALI20220916BHJP
   H04W 4/44 20180101ALN20220916BHJP
【FI】
H04W64/00
H04W48/16 134
H04W88/08
H04W92/16
H04W4/44
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020568350
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2019034032
(87)【国際公開番号】W WO2020045603
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-12-07
(31)【優先権主張番号】18306140.7
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】カンフシ、ムーラド
(72)【発明者】
【氏名】ボノビル、エルベ
(72)【発明者】
【氏名】ブリュヌ、ロイ
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0272931(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049078(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0242147(US,A1)
【文献】特表2015-527772(JP,A)
【文献】国際公開第2016/005008(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/147076(WO,A1)
【文献】Samsung,Grouping of NR User Plane Functions and Placements in CU-DU Split [online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #96 R2-168848, [検索日: 2022年1月24日],インターネット <URL: https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_96/Docs/R2-168848.zip>,2016年11月05日,p.1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス通信システムにおけるフロントホールネットワークを管理する方法であって、前記フロントホールネットワークは、いくつかの分散ユニットと、1つ以上の中央ユニットとを備え、前記いくつかの分散ユニットのうちの各分散ユニットは、前記1つ以上の中央ユニットのうちの1つの中央ユニットの制御下で、モバイル端末と前記フロントホールネットワークとの間のデータのワイヤレス通信を提供するように構成され、前記方法は、前記フロントホールネットワークの上でフロントホールネットワーク動的構成を実行することを含み、前記フロントホールネットワーク動的構成は、前記ワイヤレス通信システムのコントローラにおいて、
前記モバイル端末の測位を示す情報を得ることと、
前記モバイル端末の測位を示す前記情報に基づいて、前記いくつかの分散ユニットの中から1つ以上のアクティブ分散ユニットのセットを得ることであって、前記1つ以上のアクティブ分散ユニットは、前記フロントホールネットワークとのワイヤレス通信のために前記モバイル端末によって使用可能であることと、
前記アクティブ分散ユニットのそれぞれと、前記1つ以上の中央ユニットのうちの1つ以上の第1の中央ユニットのそれぞれとの間で第1のアソシエーションを決定することと、
定された第1のアソシエーションに従って、前記アクティブ分散ユニットのそれぞれと、それらの1つ以上の第1の中央ユニットのそれぞれとの間の通信リンクを動的に構成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記アクティブ分散ユニットのそれぞれと、それらの1つ以上の中央ユニットのそれぞれとの間の通信リンクを構成することは、前記フロントホールネットワークの前記いくつかの分散ユニットと前記1つ以上の中央ユニットとの間でアクティベート及び/又はディアクティベートすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のアソシエーションを決定することは、前記モバイル端末と前記フロントホールネットワークとの間のデータ通信スループットを高めるアソシエーションを決定することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記フロントホールネットワーク動的構成は、単一周波数ネットワークとして前記アクティブ分散ユニットを構成するために前記アクティブ分散ユニットの無線パラメータを構成することを更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のアソシエーションを決定することは、前記モバイル端末と前記フロントホールネットワークとの間のデータ通信のためのフロントホールネットワークレジリエンシーを高める及び/又は適応させるアソシエーションを決定することを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記モバイル端末から受信される測定値は、前記モバイル端末の位置、及び/又は前記モバイル端末の速度、及び/又は前記モバイル端末の移動の方向に関係付けられた測定値を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記フロントホールネットワーク動的構成は、フロントホールネットワーク動的構成ループで反復して実行される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記フロントホールネットワーク動的構成ループの1回の反復は、定期的に実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モバイル端末の軌跡は、複数の部分に分割され、前記フロントホールネットワーク動的構成ループの1回の反復は、前記軌跡の各部分について実行される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記フロントホールネットワーク動的構成は、前記モバイル端末に、フロントホールネットワーク構成情報を送信することを更に含み、前記フロントホールネットワーク構成情報は、前記1つ以上のアクティブ分散ユニットのセットを示す情報を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記フロントホールネットワーク動的構成は、前記モバイル端末の測位を示す情報、前記モバイル端末の速度を示す情報、及び前記モバイル端末の移動の方向を示す情報に基づいて、前記モバイル端末と測定分散ユニットとの間のワイヤレスリンクに対する無線測定のために前記モバイル端末によって用いられる、前記いくつかの分散ユニットの中の1つ以上の測定分散ユニットのセットを得ることを更に含み、前記フロントホールネットワーク構成情報は、前記1つ以上の測定分散ユニットのセットを示す情報を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フロントホールネットワーク動的構成は、前記測定分散ユニットのうちの少なくとも1つと前記1つ以上の中央ユニットのうちの1つ以上の第2の中央ユニットのそれぞれとの間の第2のアソシエーションを決定することと、決定された第2のアソシエーションに従って、前記少なくとも1つの測定分散ユニットのそれぞれと、それらの1つ以上の第2の中央ユニットのそれぞれとの間で通信リンクを構成することとを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサと、前記プロセッサに作動的に結合されたメモリと、ワイヤレス通信システム内で通信するためのネットワークインターフェースとを備える装置であって、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される、装置。
【請求項14】
コンピュータ可読媒体内に有形に具現されるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムコードは、コンピュータシステムに与えられ、実行されると、コンピュータに、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレスネットワーク管理の分野に関し、特に、高速列車(HST:High Speed Train)通信ネットワークの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のワイヤレス通信システムにおいて、アクセスネットワーク又は無線アクセスネットワークは、いわゆる「フロントホールネットワーク」を含むことができる。このフロントホールネットワークは、高レベル機能を提供する集中化ユニット及び分散ユニット(「RRMユニット」又は「無線リソース管理ユニット」としても知られている)が、低レベル機能を提供するいわゆる無線ユニットに通信可能に接続されるネットワークである。フロントホールネットワークの設計は、共通公共無線インターフェース(CPRI:common public radio interface)として指定される、RRMユニットと無線ユニットとの間の通信インターフェースに基づくものとすることができる。CPRIは、無線アクセスネットワークの無線アクセスノード(例えば、基地局)を、中央ユニット(CU)と1つ以上の分散ユニット(DU)とに分割する内部インターフェースを定義する産業規格である。CUは、ベースバンドユニット(BBU)、又は無線機器制御(REC)と称される場合がある。一方、DUは、リモート無線ヘッド(RRH)、又は無線機器(RE)と称される場合がある。CPRIは、デジタル化されたベースバンドシグナリングをCUとDUユニットとの間で送信するように設計されており、全てのレイヤ2動作及びレイヤ3動作がCU内に残される。
【0003】
発展型フロントホールアーキテクチャは、Ethernetプロトコルを用いたCPRI信号のパケット送信を考慮しており、フロントホールネットワークにおいて用いられるCPRIインターフェースを介して送信されるデータは、Ethernetパケットを介してパケット化されて送信される。Ethernetベースフロントホールの利点は、従来のCPRIの同相直交(IQ)データブロックシグナリングの代わりに、関連付けられたシグナリングを含むパケット送信の使用を含み、これにより、フロントホールネットワークにわたるパケットのルーティング、スループット粒度が改善されるとともに、ARQシグナリングを通じたEthernetパケット再送によって、CUとDUとの間のデータの送信を保護することが可能になる。
【0004】
しかしながら、CPRIを介してEthernetを用いる現在のネットワークアーキテクチャの欠点は、それらのアーキテクチャがEthernetスイッチを使用し、このEthernetスイッチが、特にネットワークスループット及びネットワークレジリエンシー要件を変更するために適応させるように、効率的な方法で再構成することができない固定スイッチであることである。
【0005】
そのような欠点は、鉄道通信のためのフロントホールネットワーク(例えば、鉄道の傍に配備されるフロントホールネットワーク)、特に高速列車(HST)上の1つ以上のユーザ機器との鉄道通信(これは、高速のCPRIトラフィック変動に対処する及び/又はフロントホールネットワークレジリエンスを改善することを要求する)のためのフロントホールネットワークの状況等、特定の状況において非常に問題となる場合がある。これらの要件は、標準的なEthernetスイッチ及び関連Ethernetプロトコルスイートを用いて対処するのが困難である。
【0006】
結果として、CPRIを介したEthernetがフロントホールネットワーク内で実装されるHST通信ネットワークは、そのような欠点に直面する。これに関して、図1は、ロングタームエボリューション(LTE)技術に基づくワイヤレスネットワークシステムを含む従来のHST通信システム1を示している。ワイヤレスネットワークシステムは、S1インターフェースを通してコアネットワーク3に接続された無線アクセスネットワーク2を含む。無線アクセスネットワーク2は、複数の基地局(eNodeBとも称される)を備え、各eNodeBは、Ethernetパケットが交換されるCPRIインターフェースを介して、それぞれの分散ユニットDU1~DU6に接続された中央ユニットCU#1~CU#6を備える。列車5a上のLTEユーザ機器(5)は、分散ユニットDU3及びDU5を通して、ワイヤレスネットワークシステムとデータ通信する。
【0007】
中央ユニットCU#1~CU#6とそれぞれの分散ユニットDU1~DU6との間のCPRIインターフェースのセットは、固定Ethernetスイッチとみなすことができる。例示した従来のアーキテクチャは、リソース効率が良くなく、スケーラブルでもない。なぜならば、このアーキテクチャは、HSTと通信するのに必要なリソースを過度に多く見積もるためである。実際、このアーキテクチャは、フロントホールネットワーク配備が、一般的に列車の予想される最大トラフィック密度に合わせて次元化されるので、リソース効率が良くない。また、このアーキテクチャは、追加の分散ユニット及び/又は中央ユニットがフロントホールネットワークに追加される度に、固定Ethernetスイッチが更新されるべきであるのでスケーラブルでない。特に、図1上に示されるアーキテクチャは、HSTとの通信に必要なリソースを過度に多く見積もる場合がある。なぜならば、固定Ethernetスイッチが、HST通信ネットワークの性能についてワーストケースでデータを提供するように構成されるためである。これにより、一般的に、正常のフロントホールネットワーク動作レジームに必要なリソースと比較して、リソースを過度に多く見積もる結果となる。加えて、このアーキテクチャは、無線アクセスネットワークにおける障害が性能及び/又はセキュリティ損失をもたらし得るので、レジリエンシーを欠いている。また、このアーキテクチャは、無線アクセスネットワークアーキテクチャの静的性質が原因で、変化に応答しない。
【0008】
上述した欠点は、HSTの高速化によりリソースの過大な見積もり及びCPRIトラフィック変動が増加し、結果として、改善されたリソース管理及びネットワークレジリエンスの必要性を増加させるので、フロントホールネットワークと1つ又はいくつかの高速列車との間でデータ通信が提供される鉄道通信ネットワークにおいて特に顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、当該技術分野における従来の技術について上記で説明した欠点及び不都合な点に対処するワイヤレスネットワーク管理のための方法、及びこの方法を実施するネットワークノードを提供することが必要とされている。
【0010】
鉄道通信ネットワーク、特にHST通信ネットワークの特定の状況における、当該技術分野における従来の技術について上記で説明した欠点及び不都合な点に対処するワイヤレスネットワーク管理のための方法、及びこの方法を実施するネットワークノードを提供することが更に必要とされている。
【0011】
改善されたリソース管理及び/又は改善されたネットワークレジリエンスを有する、ワイヤレスネットワーク管理のための方法、及びこの方法を実施するネットワークノードを提供することが更に必要とされている。
【0012】
鉄道通信ネットワーク、特にHST通信ネットワークの特定の状況における、改善されたリソース管理及び/又は改善されたネットワークレジリエンスを有する、ワイヤレスネットワーク管理のための方法、及びこの方法を実施するネットワークノードを提供することが更に必要とされている。
【0013】
本主題開示の目的は、ワイヤレスネットワーク管理のための改善された方法、及びこの方法を実施するネットワークノードを提供することである。
【0014】
本主題開示の別の目的は、従来のシステムの上記で説明した欠点及び不都合な点を軽減するようにワイヤレスネットワーク管理のための改善された方法、及びこの方法を実施するネットワークノードを提供することである。
【0015】
本主題開示の更に別の目的は、従来の列車通信システムの欠点及び不都合な点を軽減するワイヤレスモニタリングのための改善された方法、及びこの方法を実施するネットワークノードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的及び他の利点を達成するために、本主題開示の目的にしたがって、本明細書において具体化されるとともに広く説明されるように、本主題開示の1つの態様では、ワイヤレス通信システムにおけるフロントホールネットワークを管理する方法であって、フロントホールネットワークは、いくつかの分散ユニットと、1つ以上の中央ユニットとを備え、いくつかの分散ユニットのうちの各分散ユニットは、1つ以上の中央ユニットのうちの1つの中央ユニットの制御下で、モバイル端末とフロントホールネットワークとの間のデータのワイヤレス通信を提供するように構成される、方法が提案される。方法は、フロントホールネットワーク上でフロントホールネットワーク動的構成を実行することを含む。フロントホールネットワーク動的構成は、ワイヤレス通信システムのコントローラにおいて、モバイル端末の測位を示す情報を得ることと、モバイル端末の測位を示す情報に基づいて、複数の分散ユニットの中から1つ以上のアクティブ分散ユニットのセットを得ることであって、1つ以上のアクティブ分散ユニットは、フロントホールネットワークとのワイヤレス通信のためにモバイル端末によって使用可能であることと、アクティブ分散ユニットのそれぞれと、1つ以上の中央ユニットのうちの1つ以上の第1の中央ユニットのそれぞれとの間で第1のアソシエーションを決定することと、決定された第1のアソシエーションに従って、アクティブ分散ユニットのそれぞれと、それらの1つ以上の第1の中央ユニットのそれぞれとの間の通信リンクを構成することとを含む。
【0017】
提案される方法は、有利には、フロントホールネットワークの高速で効率的な再構成を提供し、端末とフロントホールネットワークとの間のデータ通信のスループットを動的に適応させるために、又はネットワークレジリエンシーを動的に適応させるために、そのような再構成が必要とされるか又は望まれる。
【0018】
いくつかの実施の形態では、フロントホールネットワーク動的構成は、モバイル端末に、フロントホールネットワーク構成情報を送信することを更に含むことができ、フロントホールネットワーク構成情報は、1つ以上のアクティブ分散ユニットのセットを示す情報を含む。
【0019】
したがって、モバイル端末は、有利には、フロントホールネットワーク構成情報の通知を受けることができ、この情報は、データ通信のスループットの効率性又はネットワークレジリエンシー適応を高めるのに用いることができる。
【0020】
いくつかの実施の形態では、アクティブ分散ユニットのそれぞれと、それらの1つ以上の中央ユニットのそれぞれとの間のコネクションを構成することは、フロントホールネットワークのいくつかの分散ユニットと1つ以上の中央ユニットとの中から利用可能なコネクションの行列内のコネクションをアクティベート及び/又はディアクティベートすることを含むことができる。
【0021】
いくつかの実施の形態では、アソシエーションを決定することは、モバイル端末とフロントホールネットワークとの間のデータ通信スループットを高めるアソシエーションを決定することを含むことができる。
【0022】
いくつかの実施の形態では、フロントホールネットワーク動的構成は、単一周波数ネットワークとしてアクティブ分散ユニットを構成するためにアクティブ分散ユニットの無線パラメータを構成することを更に含むことができる。
【0023】
いくつかの実施の形態では、アソシエーションを決定することは、モバイル端末とフロントホールネットワークとの間のデータ通信のためのフロントホールネットワークレジリエンシーを高める及び/又は適応させるアソシエーションを決定することを含むことができる。
【0024】
いくつかの実施の形態では、モバイル端末から受信される測定値は、モバイル端末の位置、及び/又はモバイル端末の速度、及び/又はモバイル端末の移動の方向に関係付けられた測定値を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施の形態では、フロントホールネットワーク動的構成は、フロントホールネットワーク動的構成ループで反復して実行することができる。したがって、この構成は、有利には、トラフィック変化状況及び/又はネットワーク配備変更にフロントホールネットワークを動的に適応させるように、繰り返して実行することができる。
【0026】
いくつかの実施の形態では、フロントホールネットワーク動的構成ループの1回の反復は、実質的に定期的に実行することができる。
【0027】
いくつかの実施の形態では、モバイル端末の軌跡は、複数の部分に分割することができ、フロントホールネットワーク動的構成ループの1回の反復は、軌跡の各部分について実行することができる。そのような実施の形態では、本主題開示による動的ネットワーク構成の必要性は、有利には、モバイル端末軌跡の各部分について決定することができ、フロントホールネットワーク再構成は、対応する決定に従ってその部分について実行することができる。有利には、軌跡の部分は、少なくとも1つの部分についてのネットワークフロントホール再構成の履歴に基づいて定義することができる。
【0028】
いくつかの実施の形態では、フロントホールネットワーク動的構成は、モバイル端末の測位を示す情報、モバイル端末の速度を示す情報、及びモバイル端末の移動の方向を示す情報に基づいて、モバイル端末と測定分散ユニットとの間のワイヤレスリンクに対する無線測定のためにモバイル端末によって用いられる、複数の分散ユニットの中の1つ以上の測定分散ユニットのセットを得ることを更に含むことができ、フロントホールネットワーク構成情報は、1つ以上の測定分散ユニットのセットを示す情報を含むことができる。
【0029】
いくつかの実施の形態では、フロントホールネットワーク動的構成は、測定分散ユニットのうちの少なくとも1つと、1つ以上の中央ユニットのうちの1つ以上の第2の中央ユニットのそれぞれとの間の第2のアソシエーションを決定することと、決定された第2のアソシエーションに従って、少なくとも1つの測定分散ユニットのそれぞれと、それらの1つ以上の第2の中央ユニットのそれぞれとの間で通信リンクを構成することとを更に含むことができる。
【0030】
いくつかの実施の形態では、モバイル端末から受信される測定値は、1つ以上の測定分散ユニットに対して実行される無線測定値を含むことができる。
【0031】
本主題開示の別の態様では、プロセッサと、このプロセッサに作動的に結合されたメモリと、ワイヤレス通信システム内で通信するためのネットワークインターフェースとを備える装置が提案され、この装置は、本主題開示によるネットワーク管理のための提案される方法のうちの任意のものを実行するように構成される。
【0032】
本主題開示の更に別の態様では、実行されると、メモリに作動的に接続されたプロセッサを備えるネットワークノードに、本主題開示によるネットワーク管理のための提案された方法のうちの任意のものを実行させる実行可能な命令を用いて符号化された非一時的コンピュータ可読媒体が提案される。
【0033】
本主題開示の更に別の態様では、コンピュータ可読媒体において有形に具現化されたコンピュータプログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品であって、上記コンピュータプログラムコードは、コンピュータシステムに提供され、実行されると、上記コンピュータに、本主題開示によるネットワーク管理のための提案された方法のうちの任意のものを実行させる命令を備える、コンピュータプログラム製品が提案される。
【0034】
本主題開示の更に別の態様では、そのようなコンピュータプログラムを、例えば、圧縮又は符号化することを通して表すデータセットも提案される。
【0035】
本発明は、限定はしないが、プロセス、装置、システム、デバイスとして、また、現時点で既知であるアプリケーション及び後に開発されるアプリケーションのための方法として含む、数多くの方法において実施し、利用できることは理解されたい。本明細書において開示されるシステムのこれらの、及び他の特有の特徴は、以下の説明及び添付の図面から、より容易に明らかになるであろう。
【0036】
添付の明細書とともに以下の図面を参照することによって、本主題開示がより深く理解され、その数多くの目的及び利点が当業者にとってより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】1つ以上の実施形態によるHST通信システムの全体アーキテクチャを示す概略図である。
図2】1つ以上の実施形態によるHST通信システムの全体アーキテクチャを示す概略図である。
図3】1つ以上の実施形態による一例示のネットワーク管理プロセスを示すフローチャートである。
図4】1つ以上の実施形態による、スイッチ/アソシエーション行列を構成する一例示の方法を示すフローチャートである。
図5】1つ以上の実施形態による、スイッチ/アソシエーション行列を構成する一例示の方法を示す概略図である。
図6】1つ以上の実施形態による、一例示の集中化スイッチコントローラ特徴を示す概略図である。
図7】1つ以上の実施形態による、一例示の準集中化(semi-centralized)スイッチコントローラ特徴を示す概略図である。
図8】1つ以上の実施形態による、一例示の分散スイッチコントローラ特徴を示す概略図である。
図9】1つ以上の実施形態による、ネットワークノードの一例示の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
簡潔及び明確に例示するために、図面は構成の一般的な方法を示し、既知の機構及び技法の説明及び細部は、本発明の説明される実施形態の検討を無用に分かりにくくするのを避けるために省略される場合がある。さらに、図面内の要素は必ずしも縮尺どおりに描かれていない。例えば、図面内の要素のうちのいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態を理解しやすくするのを助けるために、他の要素に対して誇張される場合がある。現実世界の条件下であれば極めて対称性が低く、秩序正しくない可能性が高い、直線、鋭い角度及び/又は平行な平面等を有する構造が示されるときのように、或る特定の図は、理解するのを助けるために理想的に示される場合がある。異なる図における同じ参照符号は同じ要素を表し、一方、類似の参照符号は、類似の要素を表す場合があるが、必ずしもそうとは限らない。
【0039】
さらに、本明細書における教示は、多種多様の形態において具現できること、及び本明細書において開示される任意の具体的な構造及び/又は機能は典型にすぎないことは明らかにすべきである。詳細には、本明細書において開示される態様を、任意の他の態様から独立して実施できること、及びいくつかの態様を種々の方法で組み合わせることができることは当業者には理解されよう。
【0040】
本開示は、1つ以上の例示の実施形態に従って、機能、エンジン、方法のブロック図及びフローチャート図示、システム、及びコンピュータプログラムを参照して以下で説明される。各説明される機能、エンジン、ブロック図のブロック及びフローチャート図示は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、又はこれらの任意の適した組み合わせにおいて実施することができる。ソフトウェアにおいて実施される場合、機能、エンジン、ブロック図のブロック及び/又はフローチャート図示は、コンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードによって実施することができ、コンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードは、コンピュータ可読媒体上で記憶又は送信することができ、又は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は機械を生成する他のプログラマブルデータ処理装置にロードすることができ、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置上で実行されるコンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードは、本明細書において記載される機能を実施する手段を生成するようになっている。
【0041】
コンピュータ可読媒体の実施形態は、限定はしないが、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体の両方を含む。本明細書において、「コンピュータ記憶媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の物理的な媒体とすることができる。さらに、「メモリ」及び「コンピュータ記憶媒体」という用語は、限定はしないが、ハードドライブ、フラッシュドライブ若しくは他のフラッシュメモリデバイス(例えば、メモリキー、メモリスティック、キードライブ)、CD-ROM若しくは他の光記憶装置、DVD、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、メモリチップ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、スマートカード、若しくはコンピュータプロセッサによって読み出すことができる命令若しくはデータ構造の形でプログラムコードを搬送又は記憶するために使用することができる任意の他の適切な媒体、又はその組み合わせ等の、任意のタイプのデータ記憶デバイスを含む。また、種々の形のコンピュータ可読媒体は、ルーター、ゲートウェイ、サーバ又は他の伝送デバイスを含むコンピュータに、有線(同軸ケーブル、ファイバー、ツイストペア線、DSLケーブル)で、又は無線(赤外線、電波、セルラー、マイクロ波)で、命令を送信又は搬送することができる。命令は、限定はしないが、アセンブリ、C、C++、ビジュアルベーシック、SQL、PHP及びJAVA(登録商標)を含む、任意のコンピュータプログラミング言語からのコードを含むことができる。
【0042】
具体的に他に明示されない限り、以下の説明を通して、処理、コンピューティング、計算、決定等の用語を利用する検討は、コンピューティングシステムのレジスタ又はメモリ内の電子的な量等の物理的な量として表されるデータを操作するか、又は、このデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ若しくは他のそのような情報記憶装置、伝送デバイス若しくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータ、又はコンピューティングシステム、又は類似の電子コンピューティングデバイスの動作又はプロセスを指していることは理解されよう。
【0043】
「備える」、「含む」、「有する」及び任意のその変形のような用語は、非排他的包含を含むことを意図しており、それにより、要素のリストを含むプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの要素には限定されず、そのようなプロセス、方法、物品又は装置に明記されないか、又は固有でない他の要素を含む場合がある。
【0044】
さらに、「例示的な」という言葉は、本明細書において、「一例、事例又は例示としての役割を果たすこと」を意味するように使用される。「例示的」として本明細書において説明される任意の実施形態又は設計は、必ずしも、他の実施形態又は設計より好ましいか、又は有利であると解釈されるべきではない。
【0045】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「結合される」及び「接続される」という用語は、その派生語とともに、2つ以上の要素が互いに直接、物理的若しくは電気的に接触しているか、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでも依然として互いに協働するか、若しくは相互作用することを示すために、違いなく使用される場合がある。
【0046】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「ペイロード」、「ペイロードデータ」、「メッセージ」、「パケット」、及び「データパケット」という用語は、違いなく使用される場合があり、データブロック、データフレーム、プロトコルデータユニット、又は、ノード間若しくは局間で若しくはネットワークにわたってルーティング若しくは送信することができるデータの任意の単位を含むことができる。パケットはビットのグループを含むことができ、グループは、例えば、1つ以上のアドレスフィールド、制御フィールド及びデータを含むことができる。データブロックは、任意の単位のデータ又は情報ビットとすることができる。
【0047】
本主題開示の実施形態は、多様な応用において用いることができることが理解されるべきである。本発明がこの側面に限定されないものの、本明細書において開示されるアクセスネットワークノードを管理する提案される方法の実施形態は、例えば、ワイヤレス通信システム、例えば、1つ以上の無線技術、例えば時分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、直交周波数多元接続(OFDMA)、単一搬送周波数分割多元接続(SC-FDMA)等、又はこれらの任意の組み合わせを用いたワイヤレス通信システムの任意のネットワークノード等の多くの装置において用いることができる。このようなワイヤレス通信システムの例は、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)システム及びその発展型(ジェネラルパケット無線サービス(GPRS)システム、GSMエボリューション用拡張データレート(EDGE)システムを含む)、ユニバーサルモバイル電気通信システム(UMTS)及びその発展型(高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速パケットアクセス(HSPA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSUPA)、及び高速ダウンリンク/アップリンクパケットアクセス(HSxPA)を含む)、符号分割多元接続(CDMA)システム及びその発展型(CDMA-2000システムを含む)、ロングタームエボリューション(LTE)システム及びその発展型(LTEアドバンスト(LTE-A)システムを含む)、及びそれらの発展型(既存であるか又は将来展開されるかを問わない)を含む。明確にするために、以下の説明は、高速列車(HST)上のモバイル端末にワイヤレス通信を提供するHST通信システム等の、列車ユニット上のワイヤレスデバイスのデータ通信のためにワイヤレス送信を提供するワイヤレスネットワークに焦点を当てている。しかしながら、本発明の技術的特徴は、これに限定されない。
【0048】
本明細書において、「ワイヤレスデバイス」という用語を用いて、ワイヤレスインフラストラクチャネットワークのネットワークノードとのワイヤレス通信が可能な、固定の又は移動性の任意のデバイスを示すことができ、ワイヤレスネットワークに依拠して、移動局(MS)、モバイル端末(MT)、移動機器、ユーザ端末、加入者局、ユーザ機器(UE)、車載ユニット(OBU:onboard unit)等と呼ぶことができる。マシンツーマシン(M2M)デバイス等のワイヤレスデバイスは、音声通信及びデータ通信、音声通信のみ、又はデータ通信のみをサポートすることができる。
【0049】
本明細書において、「アクセスポイント」及び「アクセスノード」という用語を違いなく用いて、ワイヤレスデバイスとのワイヤレス通信が可能なワイヤレスインフラストラクチャネットワークの固定ネットワークノードを示すことができ、ワイヤレスネットワークに依拠して、基地局(BS)、ベーストランシーバー基地局(BTS:base transceiver station)、Node-B、発展型Node-B(eNB)、沿線無線ユニット(WRU:Wayside Radio Unit)等と呼ぶことができる。
【0050】
図2は、本主題開示の1つ以上の実施形態によるHST通信システムの全体アーキテクチャを示している。
【0051】
図2には、LTEネットワークと、1つ以上のLTEモバイル端末(MT)(14)とを含む一例示のワイヤレス通信システム10が示されている。ネットワークは、アクセスネットワーク(本明細書において「フロントホール」ネットワークとも称される)に接続されたコアネットワーク11(「バックホール」ネットワークとも称される)を含むことができる。フロントホールネットワークは、中央ユニット(CU)12a~12dと、分散ユニット(DU)13a~13gとを含む。フロントホールネットワークの基地局は、1つ以上の分散ユニット13a~13gと、1つの中央ユニット12a~12dとを含むことができる。DUは、セルと呼ばれるそれぞれの地理的カバレッジエリアにおけるワイヤレス送信を管理する。これらの地理的カバレッジエリアは、2つの近傍セル間のシームレスなハンドオーバーを提供するように部分的に重なり合うことができる。
【0052】
コアネットワーク11は、ゾーンコントローラ(ZC)15を備えることができる。フロントホールネットワークの各基地局は、S1インターフェースと称される、ゾーンコントローラ15との論理インターフェースを通してバックホールネットワークに接続することができる。フロントホールネットワークの2つの中央ユニットを、X2インターフェースと称される論理インターフェースを通して相互接続することができる。1つのCU及び1つのDUを、実装することができるCPRI及び/又はOBSAI仕様に従ってフロントホールインターフェースを介して相互接続することができるとともに、Ethernetプロトコル(例えば、10ギガビットEthernet、100ギガビットEthernet等)を用いて通信するように構成することができる。この事例では、CPRIインターフェースは、「e-CPRI」インターフェースと称される場合がある。各DUは、ネットワークのセルを管理することができる。いくつかのアーキテクチャ設計では、同じDUを管理する複数のCU間でセルリソースアクセスが衝突するのを回避するように、1つのDUを1つのCUのみに接続することができる。他のアーキテクチャでは、特にCU障害又はフロントホールインターフェース障害に対する、ネットワークレジリエンシーを高めるように、1つのDUを複数のCUに接続することができる。
【0053】
MT14は、モバイルとするとともに、高速列車14a上に配置することができる。MTは、少なくとも2つの送信及び/又は受信アンテナを装備することができ、Uuインターフェースと称される論理インターフェースを通してフロントホールネットワークの複数のDU13c、13eとワイヤレス通信することができる。
【0054】
Uuインターフェース及びS1インターフェースにわたるプロトコルは、一方では、実際のPDUセッションサービスを実施する、すなわち、アクセス層(AS:access stratum)を通してユーザデータを搬送するプロトコルであるユーザプレーンプロトコルと、他方では、サービスを要求すること、異なる送信リソースを制御すること、及びハンドオーバー等を含む、PDUセッション及びUEとネットワークとの間のコネクションの種々の態様を制御するプロトコルである制御プレーンプロトコルとに分割することができる。
【0055】
制御プレーン及びユーザプレーンのためのUuインターフェース上のアクセス層における使用のために、さまざまな無線インターフェースプロトコルスタックが指定される。無線インターフェースは、一般的に、対応するプロトコルを有する3つのレイヤから構成される。4G(LTE)ネットワークの場合、3GPP TS 36.200シリーズがレイヤ1(物理レイヤ)を記述し、レイヤ2及びレイヤ3は、3GPP TS 36.300シリーズ仕様書において記述されている。これらの3つのレイヤ又はそれらの関連付けられたプロトコルについての更なる詳細を得るためには、これらの仕様書を参照することができる。
【0056】
物理レイヤ(PHY)であるレイヤ1は、上位レイヤにデータトランスポートサービスを提供し、レイヤ2の媒体アクセス制御(MAC)サブレイヤ及びレイヤ3の無線リソース制御(RRC)レイヤとインターフェース接続する。物理レイヤは、MACにトランスポートチャネルを提供し、PHYレイヤが提供するサービスへのアクセスは、MACサブレイヤを介したトランスポートチャネルの使用を介して行われる。トランスポートチャネルは、情報が無線インターフェースを介して転送される方法によって特徴付けられる。物理レイヤ手順は、セル探索、電力制御、アップリンク同期及びアップリンクタイミング制御、ランダムアクセス関連手順、ハイブリッド自動再送要求(HARQ:Hybrid Automatic Repeat ReQuest)関連手順、中継関連手順、サイドリンク関連手順、並びにチャネルアクセス手順を含む。
【0057】
LTEネットワークのレイヤ2は、次のサブレイヤ、すなわち、媒体アクセス制御(MAC)、無線リンク制御(RLC)及びパケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)に分割される。MACは、レイヤ2の無線リンク制御(RLC)サブレイヤにさまざまな論理チャネルを提供する。MACサブレイヤの主なサービス及び機能は、論理チャネルとトランスポートチャネルとの間のマッピング、トランスポートチャネル上の物理レイヤに送達されるトランスポートブロック(TB)への1つ又はさまざまな論理チャネルに属するMAC SDUの多重化/トランスポートチャネル上の物理レイヤから送達されるTBからの1つ又はさまざまな論理チャネルに属するMAC SDUの多重分離、情報報告のスケジューリング、HARQを通じた誤り訂正、1つのUEの論理チャネル間の優先度ハンドリング、ダイナミックスケジューリングによるUE間の優先度ハンドリング、MBMSサービス識別、トランスポートフォーマット選択、及びパディングを含む。
【0058】
レイヤ3では、制御プレーンにおいて定義されるRRCサブレイヤの主なサービス及び機能は、非アクセス層(NAS)に関係付けられたシステム情報のブロードキャスト、アクセス層(AS)に関係付けられたシステム情報のブロードキャスト、ページング、UEとE-UTRANとの間の一時識別子の配分及びRRCコネクションのためのシグナリング無線ベアラの構成を含むUEとE-UTRANとの間のRRCコネクションの確立、維持及びリリース、低優先度SRB及び高優先度SRB、キー管理を含むセキュリティ機能、ポイントツーポイント無線ベアラの確立、構成、維持及びリリース、モビリティ機能(セル間モビリティ及びRAT間モビリティのための報告のUE測定報告及び制御、ハンドオーバー、UEセル選択及び再選択並びにセル選択及び再選択の制御、及びハンドオーバーにおけるコンテキスト転送)、MBMSサービスのための通知及びカウント、MBMSサービスのための無線ベアラの確立、構成、維持及びリリース、サービス品質(QoS)管理機能、UE測定報告及び報告の制御、UEからNASへの/NASからUEへのNASダイレクトメッセージ転送を含む。
【0059】
RRCレイヤの上に位置する非アクセス層(NAS)レイヤは、セッション管理等のサービス及び機能を提供する。
【0060】
図2のフロントホールネットワークのいくつかの配備シナリオでは、DUは、HST14aが走行する線路に沿って配備することができる。DUは、中央ユニットに対してパケットを送信/受信するように構成することができる。中央ユニットは、スケジューリング、ルーティング等を含む種々のL2/L3パケット処理タスクを実行するように構成することができる。各基地局のCUノードは、基地局内で自身の制御下で動作する複数のDUに制御プレーン機能及びユーザプレーン機能の双方を提供することができる。
【0061】
検討されるシナリオに応じて、異なる論理エンティティ(分散ユニット、制御プレーンCU及びユーザプレーンCU)を種々の方法で物理的に実装及び配備することができる。
【0062】
図2には、いわゆる「スイッチ/アソシエーション行列」16も示されている。これは、フロントホールネットワークの中央ユニット(CU)12a~12d及び分散ユニット(DU)13a~13gの中のコネクションのセットを表している。フロントホールネットワークは、CU12a~12d及びDU13a~13gの中の通信リンクのセットにそれぞれ対応する論理フロントホールコネクションのセットのアクティベーション/ディアクティベーションを通じて動的に構成することができる。スイッチ/アソシエーション行列は、以下で「スイッチ行列」及び「アソシエーション行列」とも称される場合がある。ワイヤレス通信システム10は、スイッチ/アソシエーション行列16の構成を制御するように構成されたコントローラ17も備えることができる。1つ以上の実施形態において、スイッチ/アソシエーション行列16は、フロントホールネットワーク内の各CUから各DUへのパスを定義するように構成されたルーティング行列ユニットを含むことができる。いくつかの実施形態では、各パスは、発信元CUi及びターゲットDUjによって定義されるとともに、モバイル端末MT14のためのユーザプレーンパケットを発信元CU12a、12cからターゲットDU13c、13eにルーティングするように構成されたトンネルを含むことができる。いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16内のパスは、CPRI信号のEthernetパケット化のための任意の適したトンネリングプロトコルを用いて、発信元CU12a、12cからターゲットDU13c、13eへの(それぞれ発信元DUからターゲットCUへの)トンネリングデータパケットによるダウンリンク(それぞれアップリンク)方向のために実施することができる。他の実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16内のパスは、発信元CU及びターゲットDU(それぞれ発信元DU及びターゲットCU)のためのアドレス情報、例えば発信元レイヤ2アドレス及びターゲットレイヤ2アドレス(例えば、発信元レイヤ2サブレイヤMAC(媒体アクセス制御)アドレス及びターゲットMACアドレスを含むアドレスの対)を含むアドレス情報によって、ダウンリンク(それぞれアップリンク)方向のために定義することができる。アドレス情報は、Ethernetパケット内で提供することができる。スイッチ/アソシエーション行列16は、この例示の事例では、発信元CU及びターゲットDUのMACアドレス(及び/又は発信元DU及びターゲットCUのMACアドレス)を用いるルーティング行列を含むことができる。
【0063】
当業者であれば、例えばリングトポロジー又はメッシュトポロジー等のフロントホールネットワーク又はバックホールネットワークのための任意の適したネットワークトポロジーを、例示の目的のみで与えられる図2で示されるネットワークトポロジーの代わりに用いることができることを理解するであろう。同様に、任意の適したネットワーク機能アーキテクチャを、例示の目的のみで与えられるシステム10のアーキテクチャの代わりに用いることができる。さらに、ダウンリンク方向(すなわち、フロントホールネットワークからモバイル端末へのデータ通信)について本明細書において説明される任意の実施形態を、アップリンク方向(すなわち、モバイル端末からフロントホールネットワークへのデータ通信)に入れ替えることができ、それにより、スイッチ/アソシエーション行列16の任意のパスを、ダウンリンク方向、アップリンク方向、又はダウンリンク方向及びアップリンク方向の双方について構成することができる。
【0064】
図3は、1つ以上の実施形態による、提案される方法を示している。
【0065】
本主題開示によれば、ワイヤレス通信システムのフロントホールネットワークは、ワイヤレス通信システムのコントローラによる動的構成/再構成を通じて管理することができる。フロントホールネットワークは、いくつかの分散ユニットと、1つ以上の中央ユニットとを含むことができ、いくつかの分散ユニットのうちの各分散ユニットは、1つ以上の中央ユニットのうちの1つの中央ユニットの制御下で、モバイル端末とフロントホールネットワークとの間のデータのワイヤレス通信を提供するように構成することができる。
【0066】
フロントホールネットワーク動的構成は、フロントホールネットワーク上で実行することができ、フロントホールネットワーク動的構成は、モバイル端末から測定値を受信すること(21)を含むことができる。いくつかの実施形態では、モバイル端末から受信される測定値は、モバイル端末の位置又は位置に関係付けられた測定値、モバイル端末の速度に関係付けられた測定値、及び/又はモバイル端末の移動の方向に関係付けられた測定値を含むことができる。
【0067】
モバイル端末のジオ位置に関する情報は、種々の方法を通じて得ることができ、その結果は、単独で又はそれらの精度を改善するために組み合わせて用いることができる。例えば、モバイル端末は、ジオポジショニング(geo-positioning)センサ(例えば、全地球測位システムセンサ、ガリレオセンサ等)を装備するとともに、そのジオ位置を示す情報をワイヤレス通信システムに送信するように構成することができる。別の例として、ワイヤレス通信システムは、モバイル端末から受信された情報、例えば、モバイル端末がワイヤレス通信する相手であるフロントホールネットワークの基地局(そのような基地局の(例えば分散ユニット又はそれらのリモート無線ヘッドの)ジオ位置は既知である)に基づいて、モバイル端末の位置を特定するように構成することができる。
【0068】
同様に、モバイル端末のジオ位置に関する情報は、種々の方法を通じて得ることができ、その結果は、単独で又はそれらの精度を改善するために組み合わせて用いることができる。例えば、モバイル端末は、ジオポジショニングセンサ(例えば、全地球測位システムセンサ、ガリレオセンサ等)を装備するとともに、その速度を示す情報をワイヤレス通信システムに送信するように構成することができる。別の例として、ワイヤレス通信システムは、モバイル端末から受信された情報、例えば、ワイヤレス通信システムにおいて得られたモバイル端末のジオ位置に基づいて、モバイル端末の速度を特定するように構成することができる。
【0069】
また、モバイル端末の移動の方向は、実施形態に応じて、モバイル端末によって特定及び送信することもできるし、例えばジオポジショニング情報等のシステムによって得られたモバイル端末に関する情報に基づいてシステムによって特定することもできる。いくつかの実施形態では、モバイル端末の軌跡は、事前定義するとともに、例えば移動の方向にそれぞれ関連付けられたジオ位置のセットとして、ワイヤレス通信システムのデータベースに記憶することができる。これは、一般的には、例えば、列車が軌跡に対応して識別されるデータベースをシステムに装備することができるHST通信システムの場合、又は例えば機械(ロボット)が事前定義された軌跡に従ってモバイルであるように構成されるIoTネットワークの場合に当てはまり得る。
【0070】
次に、複数の分散ユニットの中の1つ以上のアクティブ分散ユニットのセットを、受信された測定値に基づいて、モバイル端末のために得ることができる(22)。すなわち、この1つ以上のアクティブ分散ユニットは、フロントホールネットワークとの無線通信のためにモバイル端末によって使用可能とすることができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、分散ユニットは、1つ以上のCUとの1つ以上のアクティブアソシエーションのセットアップ又は構成が行われるとアクティブとみなすことができる。すなわち、DUは、フロントホールネットワーク内のこれらの1つ以上のCUに対してデータパケットを送信及び/又は受信するように構成することができる。対照的に、測定DUは、アクティブ無線を有するが、フロントホールネットワークのCUに関連付けられないDUとすることができる。
【0072】
受信される測定値がモバイル端末の位置及び速度を含み、モバイル端末の軌跡がシステムに既知である実施形態において、そのような軌跡上のモバイル端末の未来の位置を特定することができ、モバイル端末の特定された未来の位置に基づいてアクティブ分散ユニットを識別することができる。すなわち、フロントホールネットワークの分散ユニットの中からいくつかの分散ユニットを選択して、それらの分散ユニットのモバイル端末とフロントホールネットワークとの間のワイヤレスデータ通信の使用を予期することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、フロントホールネットワーク構成のために決定されるアクティブ分散ユニットのセットは、モバイル端末がその軌跡に沿って移動するにつれて(例えばHSTがそのトラックに沿って移動するにつれて)繰り返し決定することができる。その場合、アクティブ分散ユニットの決定されたセットを、モバイル端末軌跡上の対応する位置に関連付けて、例えばそのような情報を表すデータを記憶するように構成されたデータベースに記憶することができる。
【0074】
その後、アクティブ分散ユニットのセットは、実施形態に応じて、データベースに記憶されたセットを決定されたセットと比較し、場合によっては比較結果に基づいてデータベースに記憶されたアクティブ分散ユニットデータのセットを更新する目的で、モバイル端末の軌跡上の位置に基づいてデータベースから索出することもできるし、モバイル端末の軌跡上の位置に基づいて決定することもできるし、その双方を行うこともできる。
【0075】
アクティブ分散ユニットのセットがモバイル端末の位置に応じてこのモバイル端末のために識別されると、次に、識別されたアクティブ分散ユニットを制御する中央ユニットを決定することができる。言い換えれば、得られた分散ユニットのセット内のアクティブ分散ユニットのそれぞれと、1つ以上の中央ユニットのうちの1つ以上の中央ユニットのそれぞれとの間でアソシエーションを決定することができる(23)。
【0076】
実施形態に応じて、分散ユニットと中央ユニットとの間のアソシエーションのための具体的なルールを指定することができ、それにより、そのようなルールに従ってアソシエーションを決定することができる。例えば、フロントホールネットワーク配備は、(ネットワークディメンジョニング、機器制限、ネットワークトポロジー等の理由で)同じ分散ユニットを管理する2つの中央ユニットを有することを許可しない可能性がある。
【0077】
いくつかの実施形態では、フロントホールネットワークトポロジーは、1つの分散ユニットを管理するために複数の中央ユニットのうちの1つ又はいくつかを選択することを許可することができる。それにより、選択することができる1つ又はいくつかの中央ユニットと、モバイル端末のためのアクティブ分散ユニットの得られたセットのうちの1つのアクティブ分散ユニットとの間で、1つ又はいくつかのアソシエーションを決定することができる。単一の中央ユニットと複数のアクティブ分散ユニットとの間でアソシエーションを決定することもできる。
【0078】
その後、決定されたアソシエーションに従って、アクティブ分散ユニットのそれぞれと、それらの1つ以上の中央ユニットのそれぞれとの間の通信リンクを構成することができる(24)。いくつかの実施形態では、これには、決定されたアソシエーションに従ってDUとCUとの間のそれぞれの通信リンクをアクティベートすることが伴う場合がある。それにより、フロントホールネットワークは、決定されたアソシエーションに従って再構成することができる。DUとCUとの間の通信リンクをアクティベーティングすることは、そのような通信リンク上で用いられるインターフェースに応じて、そのようなインターフェースをアクティベーティングすること、コネクションをセットアップすること、インターフェースによって用いられる通信プロトコルに従ってデータパスをセットアップすること等を含むことができる。
【0079】
アクティブ分散ユニットのうちのそれぞれと、それらの1つ以上の中央ユニットのそれぞれとの間の通信リンクの構成には、いくつかの実施形態では、フロントホールネットワークの再構成の一部として何らかの通信リンクのディアクティベーティングが伴う場合もある。
【0080】
1つ以上の実施形態において、フロントホールネットワーク動的構成は、1つ以上のアクティブ分散ユニットのセットを示す情報を含むフロントホールネットワーク構成情報をモバイル端末に送信することを更に含むことができる。
【0081】
例えば、モバイル端末がその軌跡に沿って移動するにつれて、モバイル端末は、フロントホールネットワークとのそのワイヤレス通信のために使用可能であるとともに、システムによって選択されているアクティブ分散ユニットについて、システムによって通知を受けることができる。
【0082】
他の実施形態では、動的フロントホールネットワーク構成又は再構成は、モバイル端末に対して完全にトランスペアレントとすることができ、この構成又は再構成は、モバイル端末がその軌跡に沿って移動するにつれてアクティブ分散ユニット間のハンドオーバーをトランスペアレントな方法で実行することができ、すなわち、任意のフロントホールネットワークに対するそのハンドオーバー動作と比較して変化なく実行することができる。そのような実施形態では、フロントホールネットワークの動的再構成は、モバイル端末の位置に基づいてアクティブDUの更新されたセットを(例えば、関連データを記憶するデータベースから)決定すること又は得ることと、アクティブDUを制御するCUを(例えば、関連データを記憶するデータベースから)決定すること又は得ることと、選択されたCUとアクティブDUとの間の通信リンクの構成とを含むことができる。
【0083】
1つ以上の実施形態において、フロントホールネットワーク動的構成は、モバイル端末の測位を示す情報、モバイル端末の速度を示す情報、及びモバイル端末の移動の方向を示す情報に基づいて、モバイル端末と測定分散ユニットとの間のワイヤレスリンクに対する無線測定のためにモバイル端末によって用いられるべき、複数の分散ユニットの中の1つ以上の測定分散ユニットのセットを得ることを更に含むことができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、モバイル端末は、所定の軌跡を有することができ、それにより、その移動の方向に関係付けられた情報は、その軌跡に沿った位置について既知とする(例えば、その軌跡を記憶するデータベースに記憶する)ことができる。そのような事例では、システムは、モバイル端末の測位を示す情報及びモバイル端末の速度を示す情報に基づいて、モバイル端末が測定を実行することを可能とすることができる対象であるDUを決定するように構成することができる。
【0085】
例えば、モバイル端末が時点T1において第1の位置P1に位置する場合、その速度に関係付けられた情報は、時点T2におけるモバイル端末の位置P2を予測するのに用いることができる。ここで、T2>T1である。
【0086】
いくつかの実施形態では、モバイル端末は、その軌跡に沿って所定のパスを有することができ、これは例えば、自身のそれぞれの鉄道トラックに沿って所定のパスを有する列車、特にHSTの場合に当てはまる。また、そのような事例では、モバイル端末の速度に関係付けられた情報は、予め定めることができ、その軌跡に沿ったモバイル端末のそれぞれの位置に関連してデータベースに記憶することができるとともに、測定DUのセットの決定に必要とされる場合にデータベースから索出されることによって得ることができる。
【0087】
他の実施形態では、モバイル端末の速度に関係付けられた情報は、端末から受信することができる。
【0088】
アクティブDUのセット及びDUとCUとの間のアソシエーションに関して上記で説明したように、典型的にはモバイル端末が同じ軌跡に沿って繰り返し走行する実施形態では、測定DUのセットは、事前に決定しているとともに、モバイル端末のそれぞれの位置に関連付けられた測定DUのセットを表すデータを記憶するように構成されたデータベースに、モバイル端末のそれぞれの位置に関連して記憶することができる。そのような実施形態では、モバイル端末の現在の位置に対応する測定DUのセットは、データベースから索出されることによって得ることができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、測定DUのセットは、事前に決定しているとともに、モバイル端末のそれぞれの位置及びモバイル端末のそれぞれの速度に関連付けられた測定DUのセットを表すデータを記憶するように構成されたデータベースに、モバイル端末のそれぞれの位置及びモバイル端末のそれぞれの速度に関連して記憶することができる。そのような実施形態では、モバイル端末の現在の位置及びモバイル端末の現在の速度に対応する測定DUのセットは、データベースから索出されることによって得ることができる。上記で説明したように、端末の位置及び速度は、それぞれ端末によって測定するとともに端末から受信することもできるし、端末とのワイヤレス通信に基づいてシステムによって特定することもできる。
【0090】
1つ以上の実施形態において、1つ以上の測定分散ユニットのセットが決定されると、システムは、例えばフロントホールネットワーク構成情報に含まれる、1つ以上の測定分散ユニットのセットを示す情報をモバイル端末に送信するように構成することができる。モバイル端末は、1つ以上の測定分散ユニットのセットを示すそのような情報を受信することに進み、測定分散ユニットから受信された無線信号に対する測定を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、モバイル端末は、測定分散ユニットを用いて実行された測定の結果得られた測定データをコントローラに送信するように更に構成することができる。
【0091】
測定分散ユニットのセットは、好ましくは、アクティブ分散ユニットのセットを含むことができる。なぜならば、モバイル端末は、アクティブ分散ユニットと交換される無線信号に対しても測定を実行するように構成することができるためである。
【0092】
1つ以上の実施形態において、アソシエーションは、モバイル端末とフロントホールネットワークとの間のデータ通信スループットを高めるという目的で決定することができる。
【0093】
また、アソシエーションは、モバイル端末とフロントホールネットワークとの間のデータ通信のためのフロントホールネットワークのレジリエンシーを高めるという目的で決定することができる。
【0094】
ここで、本主題開示の種々の実施形態を、図2上に示される例示のシステムを参照して説明する。
【0095】
いくつかの実施形態では、HSTモバイル端末14は、アクティブDUセット18よりも大きいDUのセット、すなわち測定セット19からの無線信号を測定するように構成することができる。測定値及び追加のネットワーク情報、例えば列車の現在の位置、現在の速度、及び/又は伝播の無線パラメータマップをモバイル端末14によってスイッチコントローラ17に送信することができ、スイッチコントローラ17は、CU/DUアソシエーション行列16を構成するのにそのような情報を用いるように構成することができる。
【0096】
実施形態に応じて、以下のように、フロントホールのアソシエーション行列16の動的(再)構成のためにいくつかの基準を用いることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16は、モバイル端末14のモビリティに従ってCUとDUとの間のシームレスなコネクティビティを提供するように動的に構成することができる。アソシエーションは、モバイル端末がアクティブDUセット18に関連付けられている限りアクティブDUセット18とCUの特定のセットとの間でアクティベートすることができ、モバイル端末がアクティブDUセット18から移動して離れるとディアクティベートすることができる。そのような実施形態では、アクティブDUセットは、モバイル端末14がその軌跡に沿って移動するにつれて(列車14aがその鉄道トラックに沿って移動するにつれて)フロントホールネットワークのために配備されたDUのセットに沿ってスライドしているDUのセットとみなすことができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16は、モバイル端末14のその軌跡に沿った速度を含む再構成パラメータに基づいて再構成が実行されるべきか否かを判断するフロントホールネットワーク再構成更新関数に従って構成/再構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、フロントホール構成レイテンシーは、HSTの速度が増加すると低減することができ、及び/又は、フロントホール構成レイテンシーは、HSTの低速度の場合に増加し得る。フロントホール構成レイテンシーは、いくつかの実施形態では、所定の構成レイテンシーをHST速度にそれぞれ関連付けることができるルックアップテーブルに基づいて特定することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16は、アクティブDUセットに提供される総スループットを最大化する、CUとDUとの間のコネクションを提供するように動的に構成することができる。この最適化は、いくつかの実施形態では、異なるフロントホールアソシエーションに対するスループット限界を考慮に入れることができ、これは、例えばフロントホール内で輻輳が検出される場合、又はアソシエーション行列が異なる異種の有線コネクションから形成される場合に生じ得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16は、検出される、又はモバイル端末14のモビリティの間に生じ得る輻輳からCUとDUとの間のアソシエーションを保護するために、フロントホール冗長性を高め及び/又は適応させるように動的に構成することができる。
【0101】
1つ以上の実施形態において、スイッチコントローラ17は、モバイル端末14において複数のアクティブDU13c、13eから受信されるデータのスループットを改善するようにアクティブDUエリアを単一周波数ネットワーク(SFN)に構成するために、アクティブDUの無線パラメータを設定するように構成することができる。スイッチコントローラ17は、SFNエリアに寄与する、CUとDUとの間のコネクションも同様に構成するとともに、DUとモバイル端末14との間のマルチポイント送信をセットアップするように更に構成することができる。1つ以上の実施形態において、スイッチコントローラ17は、単一周波数ネットワーク構成をセットアップするために、HSTの測定値に基づいて、アクティブDUのセットを決定するとともに、アクティブDUのセットの無線パラメータを変更するように構成することができる。スイッチコントローラ17は、単一周波数ネットワークのCUとアクティブDUとの間の送信を協調するために、CUとアクティブDUとの間のアソシエーション及びCU同士の間のアソシエーションをセットアップするように構成することができる。モバイル端末14は、協調されたマルチポイント送信を開始するために、SFNネットワークの異なるアクティブDUから受信されるデータパケットの組み合わせに関する情報を含むシグナリングデータをネットワークから受信することができる。協調されたマルチポイント送信により、モバイル端末が、高速列車において受信されるスループットを高めるために、複数のDUから協調されるとともに干渉のない送信を受信することが可能になる。
【0102】
1つ以上の実施形態において、スイッチコントローラ17は、モバイル端末14によって実行された受信された測定に基づいて、アクティブDUセット18、測定DUセット19、及びCUセットを決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、測定DUセット19は、スイッチ/アソシエーション行列16の未来の再構成のために用いられることになるDUを選択するのに用いることができる。いくつかの実施形態では、CUセットは、有利には、CUの中の負荷バランシングのために、例えば未来のフロントホール再構成に寄与し得るCUの中の比較的負荷が少ないCUを含むCUのセットとして、決定することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、アクティブDUセット18、測定DUセット19、及び/又はCUセットは、モバイル端末14の位置に基づいて決定することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、アクティブDUセット18、測定DUセット19、及び/又はCUセットは、モバイル端末14の速度に基づいて更に決定することができる。実施形態において、測定DU19のサイズは、モバイル端末14の速度が所定の閾値(例えば、およそ150km/hとすることができる)よりも高い場合に動的フロントホール構成を予期するために、増加させることができる。いくつかの実施形態では、アクティブDUセット18は、モバイル端末14が線路側部に沿って接続されるDUを含むDUのセットとして決定することができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、アクティブDUセット18、測定DUセット19、及び/又はCUセットは、線路上のトラフィックに基づいて決定することができる。例えば、線路内で現在アクティブであるN個の列車にそれぞれ対応するN個のモバイル端末が存在する場合、アクティブDUセット18及び測定DUセット19及び/又はCUセットは、N個の異なるモバイル端末のために共同で決定することができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、アクティブDUセット18、測定DUセット19、及び/又はCUセットは、測定される線路干渉プロファイル、すなわち、モバイル端末において測定される干渉のパワー、及び/又は異なるモバイル端末に関連付けられたアクティブDU同士の間の干渉に基づいて決定することができる。したがって、アクティブDUは、その配備のモバイル端末にわたって最も干渉を与えているDUとして決定することができる。HSTの事例では、アクティブDUは、シナリオ内の多数のHSTにわたって干渉を与えているDUとすることができる。
【0107】
1つ以上の実施形態において、スイッチコントローラ17は、モバイル端末14の位置に基づいて、コネクティビティを提供するとともにアクティブDUに提供されるスループットを改善するために、スイッチ/アソシエーション行列16を動的に構成/再構成するように構成することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16の構成は、比較的負荷が少ないCU、並びに、測定DUのセットの決定から得られるDU(すなわち、測定DU)、及びモバイル端末14によって最も良好に受信されるDU(例えば、実施形態に応じて、動的に更新することも固定とすることもできる所定の閾値を超える信号対雑音(SNR)比を有するモバイル端末14によって受信されるDU)の中から論理フロントホールコネクションを設定することを含むことができる。これにより、有利には、CUと測定DUのセットのうちのDUとの間のコネクションを準備することによってモバイル端末14のハンドオーバーを予期することが可能になり、それにより、スイッチ/アソシエーション行列16再構成のハンドオーバーレイテンシーが改善されるとともに、モバイル端末14によって提供されるスループットが最適化される。
【0109】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16の構成は、利用可能なCU、並びに、測定DUのセットのうちのDU、及びモバイル端末14によって最も良好に受信されるDU(例えば、実施形態に応じて、動的に更新することも固定とすることもできる所定の閾値を超えるSNRを有するモバイル端末14によって受信されるDU)のうちの任意のものの中からの論理フロントホールコネクションを設定することを含むことができる。これにより、有利には、CUと測定DUのセットのうちのDUとの間のコネクションを準備することによってモバイル端末14のハンドオーバーを予期することが可能になり、それにより、スイッチ/アソシエーション行列16再構成のハンドオーバーレイテンシーが改善される。
【0110】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16の構成は、利用可能なCU、並びに、測定DUのセットのうちのDU、及びモバイル端末14によって最も良好に受信されるDU(例えば、実施形態に応じて、動的に更新することも固定とすることもできる所定の閾値を超えるSNRを有するモバイル端末14によって受信されるDU)の間のフロントホールコネクション容量を決定することを含むことができる。スイッチコントローラ17は、容量に基づいて、測定セットからのDUに提供されるスループットの総和を最大化する、CUとDUとの間のアソシエーションのサブセット、すなわち、CU/DUアソシエーション問題、すなわち、モバイル端末とのデータ通信のフロントホールネットワークスループットが最大化されるようにCU/DUアソシエーションを構成するという問題を解決するアソシエーションのサブセットを決定するように構成することができる。アソシエーションの得られたサブセットは、CUとアクティブDUとの双方を決定することができる。
【0111】
1つ以上の実施形態において、スイッチ/アソシエーション行列16冗長性を、CUの障害、DUの障害及び/又はCUとDUとの間の通信リンクの障害からフロントホールネットワークを保護するために、構成/再構成することができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16冗長性は、CUに接続されたスイッチ/アソシエーション行列16内のDUの数としてスイッチ/アソシエーション行列16のCUについて定義されたCU階級基準に基づいて更新することができる。スイッチ/アソシエーション行列16の構成は、そのような実施形態では、CUに接続されたDUの障害がスイッチ/アソシエーション行列16内で期待/予期される場合、CU階級を高めることを含むことができる。例えば、CUに接続されたDUの障害の事例では、障害を起こしているDUに意図されたCUのデータパケットを、より低いレイテンシーで再送し、及び/又は、モバイル端末14のために決定されたアクティブDUにブロードキャストすることができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16冗長性は、DUに接続されたCUの数としてスイッチ/アソシエーション行列16のDUについて定義されたDU階級基準に基づいて更新することができる。スイッチ/アソシエーション行列16の構成は、そのような実施形態では、DUに接続されたCUの障害がスイッチ/アソシエーション行列16内で期待/予期される場合、DU階級を高めることを含むことができる。例えば、複数のDUに接続されたCUの障害の事例では、DUのアップリンクパケットをDUのCUプール内の別のCUに再送することができ(ここで、DUのCUプールは、DUが接続されるCUのセットである)、スイッチ/アソシエーション行列16の再構成に進むことができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、スイッチ/アソシエーション行列16冗長性は、CUの決定されたセット内の任意のCUから、所定の閾値よりも低いレイテンシーを有するCUのセットのうちのCUに接続されたDUのセット内の任意のDUへのパスの平均数に基づいて更新することができる。これらのパスは、CU-DUアソシエーション、及び、CUセット内の異なるCU同士のコネクションを考慮する。スイッチ/アソシエーション行列16の構成は、そのような実施形態では、CUとDUとの間、及びCU同士の間の複数のアソシエーション障害がスイッチ/アソシエーション行列内で検出される場合、制御可能なレイテンシーを有する追加のCU/DUアソシエーション及び/又はCU/CUコネクションを確立することによって、パスのこの平均数を増加させることを含むことができる。
【0115】
図4は、1つ以上の実施形態による、スイッチ/アソシエーション行列を構成する方法を示すフロー図である。図5は、1つ以上の実施形態による、スイッチ/アソシエーション行列を構成する方法を示している。
【0116】
図2及び図5を参照すると、列車14aが走行する線路のモデルは、K個の部分{Portion_i}i=1,...,Kを含むことができ、各部分Portion_iは、線路部分に沿って配備されたN個の分散ユニット{DU(i,j)}j=1,...,Nを含む。いくつかの実施形態では、フロントホールネットワーク動的構成は、フロントホールネットワーク動的構成ループの反復で実行することができ、ループの1回の反復は、線路モデルの各部分について実行される。スイッチコントローラ17は、列車14aが第kの部分Portion_kに進入したと検出すると、フロントホールネットワーク動的構成ループの第kの反復を実行するように構成することができる。ループの第kの反復は、測定DUセット19の決定30、部分Portion_k+1のためのアクティブDUセット18及びCUの決定31、並びにいくつかの実施形態では、場合によってはモバイル端末14からコントローラ17によって受信される測定情報に基づいて、フロントホール再構成の更なる遅延を吸収するために追加されることになる追加のDUの決定(図示せず)を含むことができる。実際には、いくつかの実施形態では、モバイル端末は、自身が現在位置する部分(Portion_k)に後続する部分(Portion_k+1)に関係付けられた測定を実行し、これらの測定から生成された測定情報をコントローラ17に送信することができる。モバイル端末14から受信された測定情報は、測定DUセット19の決定30、部分Portion_k+1のためのアクティブDUセット18及びCUの決定31(アクティブDUセット18は、いくつかの実施形態では、決定された測定DUセット19に基づいて(例えば、測定DUセット19のサブセットとして)決定される)、及び/又は場合によっては追加DUの決定のためにコントローラ17によって用いることができる。ループの第kの反復は、その後、潜在的に、スイッチ/アソシエーション行列16によって部分Portion_k内のDUに提供されるスループットを高めるために、スイッチ/アソシエーション行列16内のCUとDUとの間のアソシエーションの更新32を含むことができ、これにより、更新されたアソシエーションに従ったフロントホールネットワークの再構成がもたらされる場合ももたらされない場合もある。いくつかの実施形態では、部分Portion_kの冗長性についての決定34も実行することができ、フロントホールネットワークは、それに応じて再構成することができる。更新されたアソシエーションに従って部分Portion_kに対応するフロントホールネットワークを構成する(35)と、ループの第kの反復が完了し、場合によっては、その後ループインデックスkが増分され(36)、線路モデルに従った後続の部分(Portion_k+1)に進入すると後続のループ反復が実行される。
【0117】
1つ以上の実施形態において、線路は、線路全体に対応する単一部分としてモデル化することができる。スイッチコントローラ17は、線路上に存在する高速列車のためのアクティブDUセット及び測定DUセット並びに対応するCUを決定するように構成することができる。スイッチコントローラ17は、その後、CUとDUとの間のアソシエーション、及び/又は最終的にはフロントホールネットワークの冗長性を更新するように更に構成することができる。
【0118】
以下のように、本明細書において開示されるコントローラ機能の種々の実施形態を検討することができる。図6は、1つ以上の実施形態による、集中化スイッチコントローラ特徴を示している。
【0119】
1つ以上の実施形態において、線路は、いくつかのゾーンに分割することができ、各ゾーンがゾーンコントローラによって制御される。図6は、線路の1つのゾーン40を示しており、ゾーン40は、ゾーンコントローラ15によって制御される。ゾーンコントローラ15は、モビリティ管理エンティティ(MME)として構成されたノード及び/又はサービングゲートウェイ(S-GW)として構成されたノード等のLTEコアネットワークノード/サーバ15aを備えることができ、ゾーン40内の列車14aの速度プロファイルを設定するように構成することができ、各ゾーンは、K個のトラックを含むことができ、各トラックは、対応するスイッチ/アソシエーション行列16a、16bに関連付けられる。ゾーン内のスイッチ/アソシエーション行列16a及び16bを制御するように構成されたスイッチコントローラを、ゾーンコントローラ15と共同配置することができ、又は図6に示すように、スイッチコントローラ特徴17をゾーンコントローラ15内に実装することができる。スイッチコントローラ特徴17を実装するゾーンコントローラ15は、本主題開示に従ってスイッチコントローラ特徴17に関する提案される方法の実施形態を実行するように構成することができる。特に、スイッチコントローラ特徴17を実装するゾーンコントローラ15は、いくつかの実施形態では、列車14aから測定値(例えば、モバイル端末14の測位、列車14aの測位、モバイル端末14の速度、列車14aの速度等に関係付けられた測定値)を受信し、及び/又は、フロントホールネットワークからのネットワーク状態情報(例えば、フロントホール輻輳インジケータ)を受信するように構成することができる。スイッチコントローラ特徴17を実装するゾーンコントローラ15は、ゾーン40に関連付けられたスイッチ/アソシエーション行列16a、16bのうちの1つ以上を構成するために受信された測定値及び/又は受信されたネットワーク状態情報を用いるように更に構成することができる。フロントホールネットワーク再構成は、線路上に分布する列車にそれぞれ対応するアクティブDUのセットに提供されるスループットを改善するスイッチ/アソシエーション行列16a、16bのうちの1つ以上内でCU-DUアソシエーションを決定することを含むことができる。
【0120】
上記で説明したように、フロントホールネットワーク再構成は、いくつかの実施形態では、CUの障害、DUの障害及び/又はアソシエーションの障害からCU-DUアソシエーションを保護するために、スイッチ/アソシエーション行列16a、16b内のCU-DUアソシエーションの冗長性を変更するように実行することもできる。スイッチコントローラ17は、各アクティブDUセットを単一周波数ネットワーク(SFN)エリアに構成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、アクティブDUは、スイッチコントローラによって、SFNネットワークエリア環境内で、協調されたマルチポイント送信を用いてHSTにデータを送信するように構成することができる。
【0121】
集中化コントローラを用いる実施形態は、有利には、LTEネットワークとの後方互換を有することができる。すなわち、スイッチコントローラは、実際には、LTE MMEノード内に位置することができ、CU/スイッチコントローラキテクチャは、3GPP技術仕様TS 36.413内で指定されるLTE S1アプリケーションプロトコル(S1AP)に基づくことができる。
【0122】
集中化コントローラを用いる実施形態の別の利点は、ゾーンのスイッチ/アソシエーション行列のノードから全ての上記で説明したネットワーク状態情報を受信するスイッチコントローラに起因した性能のレベルであり、一方、コントローラは、線路の全てのスイッチのためにフロントホールネットワークを構成/再構成するように構成することができる。
【0123】
図7に示されるように、1つ以上の実施形態において、スイッチコントローラ特徴17は、ゾーンコントローラ15内に実装される部分と1つ以上のローカルスイッチコントローラ17b、17cとの間で分割することができる。スイッチコントローラ17のゾーンコントローラ部分17aは、ゾーン40内のフロントホールネットワークの冗長性を更新するように構成することができる一方、ローカルスイッチコントローラ部分17b、17cは、フロントホールネットワークと列車との間の通信リンクのスループットが改善されるように、1つ以上のスイッチ/アソシエーション行列16a、16b内のCU-DUアソシエーションを更新するように構成することができる。
【0124】
準集中化スイッチコントローラ実施形態は、有利には、集中化スイッチコントローラ実施形態と比較して、融通性を高めるとともに複雑度を低減させるために用いることができる。加えて、準集中化スイッチコントローラ実施形態は、ゾーンコントローラノード内の高められた耐障害性を提供する。
【0125】
図8に示されるように、1つ以上の実施形態において、スイッチコントローラ17は、スイッチ/アソシエーション行列のアソシエーションを更新するように構成されたいくつかのローカルスイッチコントローラ17(z)に分割して、列車上のモバイル端末とのデータ通信のスループットを改善し、及び/又はそれぞれのゾーン40内のフロントホールネットワークの冗長性を改善することができる。ローカルスイッチコントローラ17(z)は、ゾーンコントローラ15と共同配置することもゾーンコントローラ15内に実装することもできない場合があり、例えば、ゾーンのDU、又はゾーンコントローラよりもDUに近いローカルゲートウェイ(L-GW)の隣に実装することができる。
【0126】
分散スイッチコントローラ実施形態は、有利には、他の実施形態と比較して適応性を高めるとともに複雑度を低下させるために用いることができる。加えて、分散スイッチコントローラ実施形態は、有利には、準集中化スイッチコントローラ実施形態に対してより少ないシグナリングオーバーヘッドを伴う。なぜならば、複数の分散ローカルコントローラと中央スイッチコントローラとの間で協調を行う必要がないためである。ただし、これには、場合によっては、ローカルスイッチコントローラ間シグナリングの増加を犠牲にすることが伴う。
【0127】
本主題開示の別の態様によれば、プロセッサと、このプロセッサに作動的に結合されたメモリとを備える、コンピュータネットワーク内のネットワークノードとして機能するように構成された装置も提案され、プロセッサは、フロントホールネットワークを管理する上記の方法を実行するように構成される。
【0128】
図9は、本主題開示の実施形態による、スイッチコントローラ機能を実装するように構成された一例示のネットワークノード101を示している。
【0129】
ネットワークノード101は、制御エンジン102と、ネットワーク管理エンジン103と、データ通信エンジン104と、メモリ105とを備える。
【0130】
図9上で示されるアーキテクチャでは、ネットワーク管理エンジン103、データ通信エンジン104、及びメモリ105の全てが、制御エンジン102を通して互いに作動的に結合されている。
【0131】
1つの実施形態では、ネットワーク管理エンジン103は、ネットワーク管理のための提案される方法の実施形態の種々の態様を実行するように構成される。例えば、上記で説明したように、CUが、ダウンリンクにおいて、1つ以上のDUに送信すべきCPRI信号に基づいてEthernetパケットを生成するように構成され、各EthernetパケットがCUのMACアドレス及び宛先DUのMACアドレスを含む実施形態では、ネットワーク管理エンジン103は、いずれのDUがアクティベートされるべきかを決定し、それに応じて、生成されたEthernetパケット内の宛先MACアドレスの更新を制御するように構成することができる。他の実施形態では、ネットワーク管理エンジン103は、DUと更新された発信元MACアドレスに対応する異なるCUとの間のデータ通信リンク又はパスをアクティベートするように、生成されたEthernetパケット内の発信元MACアドレスの更新を制御するように構成することができる。
【0132】
いくつかの実施形態では、ネットワーク管理エンジン103は、実施態様に応じて、ネットワーク管理ノード(101)又はその要素と共同配置することができるデータベースサーバ(図示せず)に作動的に接続されるように構成することができる。データベースサーバは、例えばCassandra NoSQLデータベース技術を用いて実装されるNoSQLデータベースとすることができ、本主題開示に従ってスイッチ/アソシエーション行列を表すデータを記憶するように構成することができる。いくつかの実施形態では、データベースサーバは、場合によっては時間情報及び/又は位置情報に関連付けられた、フロントホール構成を表すデータを記憶するように構成することができる。例えば、データベースサーバは、フロントホール構成のセットを記憶するように構成することができ、各フロントホール構成がスイッチ/アソシエーション行列を表すデータを含み、各フロントホールアソシエーションが時間情報及び/又はHST位置情報に関連付けられ、それにより、フロントホールネットワークは、HSTのその鉄道トラック上の位置に基づいて、及び/又はその鉄道トラック上で走行するHSTのタイミング情報に基づいて構成することができる。いくつかの実施形態では、データベースサーバは、フロントホールネットワークを構成するのに現在用いられるスイッチ/アソシエーション行列を表すデータを含む現在のフロントホールネットワーク構成を記憶するように更に構成することができる。
【0133】
1つの実施形態では、データ通信エンジン104は、ノード101がデータ通信エンジン104を通して通信可能に接続されるスイッチ/アソシエーション行列に対してシグナリングデータを受信及び送信するように構成される。
【0134】
本主題開示の実施形態では、データ通信エンジン104及びネットワーク管理エンジン103は、本主題開示の実施形態に従ってフロントホールネットワーク構成を決定するという目的で協調方式で動作する。
【0135】
制御エンジン102は、それぞれが1つ以上のプロセッサを含む1つ以上のコンピュータを含み、各プロセッサは、任意の適切なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理チップ、及び/又は状態機械、又はその組み合わせとすることができる。種々の実施形態によれば、コンピュータのうちの1つ以上を、並列計算を提供するための複数のプロセッサを有するマルチプロセッサコンピュータとして構成することができる。また、制御エンジン102は、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに本明細書において説明される要素を実行させるコンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードを記憶することができる、限定はしないが、メモリ105等のコンピュータ記憶媒体を備えることができるか、又はコンピュータ記憶媒体と通信することができる。さらに、メモリ105は、ネットワークノード101が属するコンピュータネットワークを表すデータ構造を記憶することができ、制御エンジン102に結合され、それに関連付けて記憶されるデータの管理及び処理を容易にするためにデータ通信エンジン104及びネットワーク管理エンジン103とともに動作可能である、任意のタイプのデータ記憶コンピュータ記憶媒体とすることができる。
【0136】
図9を参照しながら図示及び説明されるネットワークノード101は一例として与えられるにすぎないことは理解されよう。数多くの他のアーキテクチャ、動作環境及び構成が可能である。ノードの他の実施形態は、より少ない数、又はより多くの数のコンポーネントを含む場合があり、図9に示されるネットワークノードコンポーネントに関して説明された機能のいくつか又は全てを組み込む場合がある。したがって、制御エンジン102、ネットワーク管理エンジン103、データ通信エンジン104及びメモリ105がネットワークノード101の一部として示されるが、コンポーネント102~105の場所及び制御に関して制約は課せられない。特に、他の実施形態では、コンポーネント102~105は、例えばスイッチコントローラの実施形態(集中化、準分散、分散)に関して上記で説明したように、異なるエンティティ又はコンピューティングシステムの一部とすることができる。
【0137】
本主題開示の実施形態による方法及び装置は、特に従来の列車通信システムに対して、以下の利点を提供する。
【0138】
列車通信システムにおける現行技術水準に対する本発明の利点は、以下のように与えられる。
【0139】
本主題開示は、フロントホールネットワーク配備の融通性を改善する適応的アーキテクチャを提案する。例えば、単一の配備が、再構成可能なスイッチ/アソシエーション行列及びスイッチコントローラのいくつかの実施形態における使用を通じて、多様なトラフィック強度に対処することが可能である。従来のシステムは、本質的に、静的で再構成可能でないスイッチを提案している。
【0140】
本主題開示は、フロントホールネットワーク構成及びトポロジーを列車の位置及び速度に適応させることによって、列車、特にHST列車上のモバイル端末に提供されるスループットを改善する手段を更に提案する。フロントホールネットワークの適応は、いくつかの実施形態では、アクティブDUに実行されるスループットの総和を最大化する、中央ユニットCUと、線路側分散ユニットとの中からのアソシエーションを選択することによって実行することができる。
【0141】
本主題開示は、いくつかの実施形態では、線路における伝播状況及び/又は列車の速度及び位置に基づいてフロントホールネットワークの冗長性を設定及び更新することによって、ネットワーク全体のレジリエンシーを改善することを更に提案する。
【0142】
本主題開示は、いくつかの実施形態では、利用可能なCU-DUアソシエーションから最も高速のアソシエーションを選択すること、及びモバイルエッジコンピューティングを用いることによって、フロントホール及びフロントホール再構成のレイテンシーを低減させる技法を更に提案する。より詳細には、いくつかの実施形態では、スイッチコントローラは、提案される方法の反応を高めるために、スイッチ/アソシエーション行列に近接して位置することができる。
【0143】
本主題開示は、有利には、いくつかの実施形態ではCU-DUアソシエーション内に含まれる中央ユニット(CU)の数の削減のための技法が提案されるので、エネルギー節約も可能にすることができ、それにより、アクティブ/測定DUの所与のセットについての消費電力も節約される。
【0144】
本発明は好ましい実施形態に関して説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本発明に対して種々の変更及び/又は修正を加えることができることは当業者には容易に理解されよう。
【0145】
本発明は或る特定の好ましい実施形態との関連で開示されてきたが、そのシステム、デバイス及び方法の或る特定の利点、特徴及び態様は種々の他の実施形態において実現される場合があることは理解されたい。さらに、本明細書において説明される種々の態様及び特徴は、別々に実践することができるか、互いに組み合わせることができるか、又は互いに代用することができること、並びに特徴及び態様の種々の組み合わせ及び部分的な組み合わせを行うことができ、それでも本発明の範囲に入ることを意図している。さらに、上記のシステム及びデバイスは、好ましい実施形態において説明されたモジュール及び機能の全てを含む必要はない。
【0146】
本発明において説明される情報及び信号は、種々の異なる技術及び技法のいずれかを用いて表すことができる。例えば、データ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁気粒子、光場若しくは光子、又はその任意の組み合わせによって表すことができる。
【0147】
実施形態に応じて、本明細書において説明された方法のいずれかの或る特定の動作、イベント又は機能は、異なる順序において実行することができるか、追加されるか、統合されるか、又は全て除外される場合がある(例えば、方法を実践するために、説明される全ての動作又はイベントが必要とされるとは限らない)。さらに、或る特定の実施形態では、動作又はイベントは、順次にではなく、同時に実行される場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9