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特許7142727ネットワークを管理するための方法及びその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】ネットワークを管理するための方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/12 20090101AFI20220916BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20220916BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220916BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20220916BHJP
   H04W 40/02 20090101ALI20220916BHJP
   H04W 84/02 20090101ALI20220916BHJP
【FI】
H04W72/12 150
H04W84/18
H04W72/04 131
H04W4/38
H04W40/02 110
H04W84/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020568835
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2019028183
(87)【国際公開番号】W WO2020026821
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】18306057.3
(32)【優先日】2018-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0149639(US,A1)
【文献】特表2018-510522(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0021011(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0326450(US,A1)
【文献】特開2018-182727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータネットワークのノードと、前記コンピュータネットワークの2つのノードの間の隣接関係にそれぞれ対応するエッジとを表す経路木の第1の深さレベルに対応する1つ以上のネットワークノードの集合に属する前記コンピュータネットワークの少なくとも1つのネットワークノードにおいて、前記コンピュータネットワークのデータ収集を実行する方法であって、前記経路木に従って、データが前記ノードから前記コンピュータネットワークの根ノードへ送信され、前記第1の深さレベルは、前記集合のノードと前記根ノードとの間の前記経路木におけるエッジの数に対応し、前記データ収集を実行することは、
前記コンピュータネットワークの前記経路木内の前記少なくとも1つのネットワークノードの親ノードから第1のデータ収集構成データを受信することであって、前記親ノードは、前記経路木の深さレベルのシーケンスにおいて、前記第1の深さレベルに先行する前記経路木の深さレベルに対応し、前記第1のデータ収集構成データは、前記経路木の前記第1の深さレベルに対応するノードにおいてデータを収集するために必要とされるリソースの推定量を含むことと、
前記コンピュータネットワークの前記少なくとも1つのネットワークノードの前記経路木内の少なくとも1つの子ノードからデータを収集する第2のデータ収集構成データを、前記第1のデータ収集構成データに基づいて生成することであって、前記第2のデータ収集構成データは、前記少なくとも1つの子ノードのそれぞれからデータを収集するスケジューリングデータを含み、前記少なくとも1つの子ノードは、前記経路木の前記深さレベルのシーケンスにおいて、前記第1の深さレベルの直後に続く前記経路木の第2の深さレベルに対応することと、
前記第2のデータ収集構成データに従って前記少なくとも1つの子ノードのそれぞれからデータを収集することと
を含み、
前記第1のデータ収集構成データは、前記根ノードから受信され、前記経路木の各深さレベルに対応するノードからデータを収集するために必要とされるリソースのそれぞれの推定量を含む方法。
【請求項2】
前記データ収集は、該データ収集において子ノードとして動作するときに、収集されるデータを直接の親ノードへ送信することを更に含み、前記直接の親ノードは、前記経路木の前記深さレベルのシーケンスにおいて、前記第1の深さレベルの直前に先行する前記経路木の深さレベルに対応する
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データ収集は、該データ収集において子ノードとして動作するときに、生成されるデータを直接の親ノードへ送信することを更に含み、前記直接の親ノードは、前記経路木の前記深さレベルのシーケンスにおいて、前記第1の深さレベルの直前に先行する前記経路木の深さレベルに対応し、前記生成されるデータは、前記収集されるデータ以外の前記少なくとも1つのネットワークノードにおいて取得されるデータを含む
請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のデータ収集構成データは、前記経路木の前記第1の深さレベルに対応するノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロット単位で表される時間リソースの推定量を含む
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のデータ収集構成データを前記生成することは、データが時分割多重アクセス(TDMA)方式に従って前記少なくとも1つの子ノードのそれぞれから収集されるそれぞれの送信の時間リソースを決定することを含み、前記それぞれの送信の時間リソースは、前記スケジューリングデータに含まれる
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記それぞれの送信の時間リソースは、前記タイムスロット単位で表される
請求項又は請求項に記載の方法。
【請求項7】
データ収集ループの反復を実行することを更に含み、前記ループの各反復において、ループ深さレベルが、前記シーケンスにおける次の深さレベルに更新され、前記データ収集は、前記次の深さレベルに対応する各ノードにおいて実行され、前記ループの第1の反復は、前記シーケンスにおいて前記根ノードの根の深さレベルから最も遠い初期ループ深さレベルに対応する
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記データ収集を前記実行する前に、
前記少なくとも1つのネットワークノードの前記経路木内の少なくとも1つの直接の子ノードからそれぞれの第1の構成データを受信することであって、前記少なくとも1つの直接の子ノードは、前記経路木の前記深さレベルのシーケンスにおいて、前記第1の深さレベルの直後に続く前記経路木の第2の深さレベルに対応することと、
前記受信される第1の構成データに基づいて第2の構成データを生成することとを更に含む
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第2の構成データを直接の親ノードへ送信することを更に含み、前記直接の親ノードは、前記経路木の前記深さレベルのシーケンスにおいて、前記第1の深さレベルの直前に先行する前記経路木の深さレベルに対応する
請求項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から請求項までのいずれか1項に従って、前記第1の深さレベルに対応する前記少なくとも1つのネットワークノードにおいて実行される前記データ収集と同時に、第2の深さレベルに対応する少なくとも1つのネットワークノードにおいて第2のデータ収集を実行することを更に含む
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
プロセッサと、該プロセッサに動作可能に結合されたメモリと、コンピュータネットワーク内で通信するネットワークインターフェースとを備える装置であって、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の方法を実行するように構成される装置。
【請求項12】
実行されると、メモリに動作可能に結合されたプロセッサを備える装置に、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の方法を実行させる実行可能な命令を用いて符号化される非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項13】
コンピュータ可読媒体内に有形に具現されるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムコードは、コンピュータシステムに与えられ、実行されると、前記コンピュータに、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はネットワーク管理、詳細には、センサネットワーク等のIoT(Internet of Things)ネットワークの管理の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
低電力であり損失性を有するネットワーク(LLN:Low-power and Lossy Network)等のコンピュータネットワークにおけるデータ収集機構は、所与のサービスエリアに配置することができるネットワークのノードによって生成される情報又はデータをサーバにおいて取得することを可能にする。LLNネットワークの例は、通常多数の(数千の)センサノードを有する無線センサネットワーク、及び、いわゆる、「モノのインターネット」(IoT)ネットワーク又はシステムを含み、その種類のネットワークでは、無線通信可能である組込デバイスが相互接続される。ネットワークに応じて、そのようなデータは、例えば、電気メーター、ガスメーター、水道メーター、スマートメーター等のセンサノードによって実行される測定に関係するものとすることができる。スマートグリッド環境において、センサは、通常、アクチュエーター、すなわち、ネットワーク管理エンティティからコマンドを受信するように構成されたネットワークノード、とリンクさせることもできる。
【0003】
ネットワークのセンサがアクチュエーターとリンクされる場合には、データ収集時間は、好ましくは、測定データを収集し、すべてのアクチュエーターの適切な決定を行い、そのような決定を各アクチュエーターにフィードバックするために十分に小さくあるべきである。いくつかの既存のIoTシステム設計において、データ収集フェーズはユニキャスト送信を使用する。この結果、収集されるデータの量が多い場合、及び、システムがそのようなデータ収集に最適化されていない場合には、データ収集時間が長くなる場合がある。決定フィードバックフェーズ又は制御フィードバックフェーズは、影響を受けやすいとみなされない場合がある。なぜならば、アクチュエーターへ送信されるデータの量は、通常、データ収集に関与するデータの量ほど多くなく、フィードバックは、無線通信のシステムアーキテクチャに応じて、ユニキャスト送信の代わりにブロードキャスト/マルチキャスト送信も使用することができるからである。
【0004】
アクチュエーターが互いにデータを交換するように構成されているより複雑なシステムにおいて、アップリンク/ダウンリンクにおけるデータの量は、よりバランスのとれたものとすることができる。従って、データ収集の観点及び/又は制御フィードバックの観点から、IoTネットワークのデータ通信レイテンシーの課題に対処することが望ましくあり得る。
【0005】
従って、当技術分野における従来の技術の上述した欠点及び短所のうちの少なくともいくつかに対処する、改善されたネットワーク管理方式及びこの方式を実施するネットワークノードを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本主題開示の目的は、改善されたネットワーク管理方式、及びこの方式を実施する装置を提供することである。
【0007】
本主題開示の別の目的は、ネットワーク管理方式を実施するコンピュータネットワーク及び装置において、特に、センサノードがアクチュエーターノードとリンクされているコンピュータネットワークにおいて、従来のデータ収集及び決定フィードバック方式の上述した欠点及び短所を軽減する改良されたネットワーク管理方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的及び他の利点を達成するために、本主題開示の目的によれば、本明細書において具現化され広く説明されるように、本主題開示の1つの態様において、コンピュータネットワークを管理する方法が提案される。その方法は、コンピュータネットワークのノードと、コンピュータネットワークの2つのノードの間の隣接関係にそれぞれ対応するエッジとを表す経路木の第1の深さレベルに対応する1つ以上のネットワークノードの集合に属するコンピュータネットワークの少なくとも1つのネットワークノードにおいてデータ収集を実行することを含み、経路木に従って、データがノードからコンピュータネットワークの根ノードへ送信され、第1の深さレベルは、集合のノードと根ノードとの間の経路木におけるエッジの数に対応し、データ収集は、コンピュータネットワークの経路木内の少なくとも1つのネットワークノードの親ノードから第1のデータ収集構成データを受信することであって、親ノードは、経路木の深さレベルのシーケンスにおいて、第1の深さレベルに先行する経路木の深さレベルに対応し、第1のデータ収集構成データは、経路木の第1の深さレベルに対応するノードにおいてデータを収集するために必要とされるリソースの推定量を含むことと、コンピュータネットワークの少なくとも1つのネットワークノードの経路木内の少なくとも1つの子ノードからデータを収集する第2のデータ収集構成データを、第1のデータ収集構成データに基づいて生成することであって、第2のデータ収集構成データは、少なくとも1つの子ノードのそれぞれからデータを収集するスケジューリングデータを含み、少なくとも1つの子ノードは、経路木の深さレベルのシーケンスにおいて、第1の深さレベルの直後に続く経路木の第2の深さレベルに対応することと、第2のデータ収集構成データに従って、少なくとも1つの子ノードのそれぞれからデータを収集することとを含む。
【0009】
提案される方法は、有利には、ネットワークの経路木を表すデータ構造に基づくデータ収集方式を提供する。
【0010】
提案されるデータ収集方式は、有利には、データ収集フェーズにおいて、データ収集が、木内の同じ深さレベルを有するノード、すなわち、同じリングに属するノードについて実行されるリングベースのデータ収集として編成される。
【0011】
1つ以上の実施の形態において、データ収集は、コンピュータネットワークの少なくとも1つのネットワークノードについて、データ収集において子ノードとして動作するときに、収集されるデータを直接の親ノードへ送信することを更に含むことができ、直接の親ノードは、経路木の深さレベルのシーケンスにおける第1の深さレベルの直前に先行する経路木の深さレベルに対応する。
【0012】
1つ以上の実施の形態において、データ収集は、このデータ収集において子ノードとして動作するときに、生成されるデータを直接の親ノードへ送信することを更に含むことができ、直接の親ノードは、経路木の深さレベルのシーケンスにおいて、第1の深さレベルの直前に先行する経路木の深さレベルに対応し、生成されるデータは、収集されるデータ以外の少なくとも1つのネットワークノードにおいて取得されるデータを含む。
【0013】
その結果、データ収集の性能は、ネットワークノードが子ノードとしてデータ収集するのか又は父ノードとしてデータ収集するのかに応じて異なる。
【0014】
例えば、ネットワークノードが、子ノードとしてデータ収集を実行する場合には、このノードは、それ自身のデータ及び/又はその子ノードから収集されるデータをそれ自身の父ノードへ送信することができる一方、このノードが、親ノードとしてデータ収集を実行する場合には、このノードは、その子ノードからデータを収集する。
【0015】
1つ以上の実施の形態において、第1のデータ収集構成データは、根ノードから受信することができ、経路木の各深さレベルに対応するノードからデータを収集するために必要とされるリソースのそれぞれの推定量を含む。
【0016】
1つ以上の実施の形態において、第1のデータ収集構成データは、経路木の第1の深さレベルに対応するノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロット単位で表される時間リソースの推定量を含むことができる。
【0017】
1つ以上の実施の形態において、データ収集は、1つ以上のネットワークノードの集合の各ノードについてデータ収集を実行することを更に含むことができる。
【0018】
1つ以上の実施の形態において、第2のデータ収集構成データを生成することは、データが時分割多重アクセス(TDMA)方式に従って、少なくとも1つの子ノードのそれぞれから収集されるそれぞれの送信の時間リソースを決定することを含むことができ、それぞれの送信の時間リソースは、スケジューリングデータに含まれる。
【0019】
それぞれの送信の時間リソースは、タイムスロット単位で表すことができる。
【0020】
1つ以上の実施の形態において、提案される方法は、データ収集ループの反復を実行することを更に含むことができ、ループの各反復において、ループ深さレベルが、シーケンスにおける次の深さレベルに更新され、データ収集は、次の深さレベルに対応する各ノードにおいて実行され、ループの第1の反復は、シーケンスにおいて根ノードの根の深さレベルから最も遠い初期ループ深さレベルに対応する。
【0021】
1つ以上の実施の形態において、提案される方法は、データ収集ループの少なくとも1つの反復を実行することを更に含むことができ、本主題開示の実施の形態によるデータ収集は、データ収集ループの各反復において実行される。いくつかの実施の形態において、データ収集ループの反復は、更に、それぞれの深さレベルに対応することができる。
【0022】
1つ以上の実施の形態において、提案される方法は、データ収集を実行する前に、少なくとも1つのネットワークノードの経路木内の少なくとも1つの直接の子ノードからそれぞれの第1の構成データを受信することであって、少なくとも1つの直接の子ノードは、経路木の深さレベルのシーケンスにおいて、第1の深さレベルの直後に続く経路木の第2の深さレベルに対応することと、受信される第1の構成データに基づいて第2の構成データを生成することとを更に含むことができる。
【0023】
1つ以上の実施の形態において、提案される方法は、第2の構成データを直接の親ノードへ送信することを更に含むことができ、直接の親ノードは、経路木の深さレベルのシーケンスにおいて、第1の深さレベルの直前に先行する経路木の深さレベルに対応する。
【0024】
1つ以上の実施の形態において、データ収集は、それぞれの深さレベルにおいて同時に実行することができる。提案される方法は、第1のデータ収集を実行する上記の方法に従って、第1の深さレベルに対応する少なくとも1つのネットワークノードにおいて実行されるデータ収集と同時に、第2の深さレベルに対応する少なくとも1つのネットワークノードにおいて、第2のデータ収集を実行することを更に含むことができる。
【0025】
本主題開示の別の態様において、プロセッサと、このプロセッサに動作可能に結合されたメモリと、コンピュータネットワーク内において通信するネットワークインターフェースとを備える装置であって、本主題開示において提案されるようなネットワーク管理のための方法を実行するように構成される、装置が提案される。
【0026】
本主題開示の更に別の態様において、実行されると、メモリに動作可能に結合されたプロセッサを備える装置に、本主題開示において提案されるようなネットワーク管理のための方法を実行させる実行可能な命令を用いて符号化される非一時的コンピュータ可読媒体が提案される。
【0027】
本主題開示の更に別の態様において、コンピュータ可読媒体内に有形に具現されるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品であって、このコンピュータプログラムコードは、コンピュータシステムに与えられ、実行されるときに、このコンピュータに、本主題開示において提案されるようなネットワーク管理のための方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム製品が提案される。本主題開示の別の態様において、本明細書において提案されるようなコンピュータプログラムを、例えば、圧縮又は符号化することを通して表すデータセットが提案される。
【0028】
本発明は、限定はしないが、プロセス、装置、システム、デバイスとして、また、現時点で既知であるアプリケーション及び後に開発されるアプリケーションのための方法として含む、数多くの方法において実施し、利用できることは理解されたい。本明細書において開示されるシステムのこれらの、及び他の特有の特徴は、以下の説明及び添付の図面から、より容易に明らかになるであろう。
【0029】
添付の明細書とともに以下の図面を参照することによって、本主題開示がより深く理解され、その数多くの目的及び利点が当業者にとってより明らかになるであろう。
本開示に係る入退室管理システム及び入退室管理プログラムによれば、簡単な構成により、共連れの発生を報知することができる入退室管理システム及び入退室管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】1つ以上の実施形態による、提案される方法を適用することができる例示的な経路木を示す図である。
図1B】1つ以上の実施形態による、木内の親/子関係を示す図である。
図1C】1つ以上の実施形態による、リング構造として編成される例示的な経路木を示す図である。
図2】1つ以上の実施形態による例示的なデータ収集フェーズを示すブロック図である。
図3】1つ以上の実施形態による、提案される方法を適用することができる例示的な経路木を示す図である。
図4】1つ以上の実施形態による、タイムスロットの数のボトムアップ伝播の例示的なプロセスのブロック図である。
図5】1つ以上の実施形態による、コンセントレーターノードにおいて実行される例示的なプロセスのブロック図である。
図6図3の例示的なネットワーク上で1つ以上の実施形態に従って実行される例示的なデータ収集を示す図である。
図7A】1つ以上の実施形態による、同じデータ収集フェーズにおける同時送信中の干渉の一例を示す図である。
図7B図3の例示的なネットワーク上で1つ以上の実施形態に従って実行される例示的な周波数計画を示す図である。
図8】1つ以上の実施形態によるいくつかのリングの同時データ収集を示す図である。
図9】1つ以上の実施形態による例示的なネットワークノードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
簡潔及び明確に例示するために、図面は構成の一般的な方法を示し、周知の特徴及び技法の説明及び細部は、本発明の説明される実施形態の検討を不必要に曖昧にするのを避けるために省略される場合がある。さらに、図面内の要素は必ずしも縮尺どおりに描かれていない。例えば、図面内の要素のうちのいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態を理解しやすくするのを助けるために、他の要素に対して誇張される場合がある。現実世界の条件下であれば極めて対称性が低く、秩序正しくない可能性がある、直線、鋭い角度及び/又は平行な平面等を有する構造が示されるときのように、或る特定の図は、理解するのを助けるために理想的に示される場合がある。異なる図における同じ参照符号は同じ要素を表し、一方、類似の参照符号は、類似の要素を表す場合があるが、必ずしもそうとは限らない。
【0032】
さらに、本明細書における教示は、多種多様の形態において具現できること、及び本明細書において開示される任意の具体的な構造及び/又は機能は典型にすぎないことは明らかにすべきである。詳細には、本明細書において開示される態様を、任意の他の態様から独立して実施できること、及びいくつかの態様を種々の方法で組み合わせることができることは当業者には理解されよう。
【0033】
本開示は、1つ以上の例示的な実施形態による、方法、システム及びコンピュータプログラムの機能、エンジン、ブロック図及びフローチャートを参照しながら以下に説明される。ブロック図及びフローチャートにおいて説明される機能、エンジン、及びブロックのそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード又は任意の適切なそれらの組み合わせにおいて実現することができる。ソフトウェアにおいて実施される場合には、ブロック図及び/又はフローチャートの機能、エンジン、ブロックは、コンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードによって実施することができ、コンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードは、コンピュータ可読媒体に記憶されるか、又はコンピュータ可読媒体を介して送信されるか、又は汎用コンピュータ、専用コンピュータ若しくは機械を作り出す他のプログラマブルデータ処理装置上にロードすることができ、それにより、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置上で実行されるコンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードが、本明細書において説明される機能を実施するための手段を生み出す。
【0034】
コンピュータ可読媒体の実施形態は、限定はしないが、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体の両方を含む。本明細書において用いられるとき、「コンピュータ記憶媒体」は、コンピュータ又はプロセッサによってアクセスすることができる任意の物理的な媒体とすることができる。さらに、「メモリ」及び「コンピュータ記憶媒体」という用語は、限定はしないが、ハードドライブ、フラッシュドライブ若しくは他のフラッシュメモリデバイス(例えば、メモリキー、メモリスティック、キードライブ)、CD-ROM若しくは他の光記憶装置、DVD、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、メモリチップ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、スマートカード、若しくはコンピュータプロセッサによって読み出すことができる命令若しくはデータ構造の形でプログラムコードを搬送又は記憶するために使用することができる任意の他の適切な媒体、又はその組み合わせ等の、任意のタイプのデータ記憶デバイスを含む。また、種々の形のコンピュータ可読媒体は、ルーター、ゲートウェイ、サーバ又は他の伝送デバイスを含むコンピュータに、有線(同軸ケーブル、ファイバー、ツイストペア線、DSLケーブル)で、又は無線(赤外線、電波、セルラー、マイクロ波)で、命令を送信又は搬送することができる。命令は、限定はしないが、アセンブリ、C、C++、Python(登録商標)、Visual Basic(登録商標)、SQL、PHP及びJAVA(登録商標)を含む、任意のコンピュータプログラミング言語からのコードを含むことができる。
【0035】
具体的に他に明示されない限り、以下の説明を通して、処理、コンピューティング、計算、決定等の用語を利用する検討は、コンピューティングシステムのレジスタ又はメモリ内の電子的な量等の物理的な量として表されるデータを操作するか、又は、このデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ若しくは他のそのような情報記憶装置、伝送デバイス若しくは表示デバイス内の物理的な量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータ、又はコンピューティングシステム、又は類似の電子コンピューティングデバイスの動作又はプロセスを指していることは理解されよう。
【0036】
「備える」、「含む」、「有する」及び任意のそれらの変形のような用語は、非排他的な包含を含むことを意図しており、それにより、要素のリストを含むプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの要素には限定されず、そのようなプロセス、方法、物品又は装置に明記されないか、又は固有でない他の要素を含む場合がある。
【0037】
さらに、「例示的な」という言葉は、本明細書において、「一例、事例又は例示としての役割を果たすこと」を意味するように使用される。「例示的」として本明細書において説明される任意の実施形態又は設計は、必ずしも、他の実施形態又は設計より好ましいか、又は有利であると解釈されるべきではない。
【0038】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「結合される」及び「接続される」という用語は、その派生語とともに、2つ以上の要素が互いに直接、物理的若しくは電気的に接触しているか、又は2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでも依然として互いに協働するか、若しくは相互作用することを示すために、違いなく使用される場合がある。
【0039】
以下の説明及び特許請求の範囲において、「ペイロード」、「ペイロードデータ」、「メッセージ」、「パケット」、及び「データパケット」という用語は、違いなく使用される場合があり、ノード間若しくは局間又はネットワークにわたって転送又は送信することができるデータブロック、プロトコルデータユニット又は任意の単位のデータを含むことができる。パケットはビットのグループを含むことができ、グループは、例えば、1つ以上のアドレスフィールド、制御フィールド及びデータを含むことができる。データブロックは、任意の単位のデータ又は情報ビットとすることができる。
【0040】
本開示の場合に、「サーバ」という用語は、処理、データベース及び通信の設備を提供するサービス点を指すために、本明細書において使用される。一例であって、限定はしないが、「サーバ」という用語は、関連する通信、データ記憶及びデータベースの設備を備える、単一の物理的なプロセッサを指すことができるか、又はプロセッサ、並びに関連するネットワーク及び記憶デバイスと、サーバによって提供されるサービスをサポートするオペレーティングソフトウェア、並びに1つ以上のデータベースシステム及びアプリケーションソフトウェアとのネットワーク化された、又はクラスター化された複合体を指すことができる。サーバは、構成又は能力に関して大きく異なる場合があるが、一般的に、サーバは1つ以上の中央処理装置及びメモリを含むことができる。また、サーバは、1つ以上の大容量記憶装置、1つ以上の電源、1つ以上の有線若しくは無線ネットワークインターフェース、1つ以上の入出力インターフェース、又はWindows Server(登録商標)、Mac OS X、Unix、Linux(登録商標)、FreeBSD等の1つ以上のオペレーティングシステムを含むこともできる。
【0041】
本開示の場合に、「コンピュータネットワーク」は、例えば、無線ネットワークを介して結合される無線デバイス間を含む、デバイス間でデータ通信を行うことができるように、デバイス(本明細書において、「ノード」とも呼ばれる)を結合することができるネットワークを指すものと理解されたい。また、ネットワークは、ネットワーク接続型記憶装置(NAS)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、又は例えば、他の形態のコンピュータ若しくは機械可読媒体等の大容量記憶装置を含む場合もあり、サーバを含むか、又はサーバに接続される場合がある。ネットワークは、インターネット、1つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)、1つ以上のワイドエリアネットワーク(WAN)、有線タイプ接続、無線タイプ接続、事業者電話線等のセルラー、光ファイバー、同期光ネットワーク、同期デジタル階層リンク、電力線通信リンク(例えば、IEEE61334、IEEE P1901.2)、イーサネット(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(BLE)若しくはBluetooth Smart、WiFi(登録商標)若しくはIEEE802.11xプロトコルに基づく任意の接続、ZigBee(登録商標)若しくはIEEE802.15.4プロトコルに基づく任意の接続、Z-Wave(登録商標)、6LowPAN(IPv6省電力無線パーソナルエリアネットワーク)、Thread、Sigfox、Neul、LoRa(登録商標)、任意のNFC接続、2G(GSM(登録商標)/GPRS/EDGEを含む)/3G(UMTS/HSPAを含む)/4G(LTE及びLTE-Advancedを含む)/5Gセルラー、又はその任意の組み合わせを含むことができる。ネットワークにおいて使用される異なるアーキテクチャ又はプロトコルに対する相互運用能力を提供するために、種々のタイプのデバイス、例えば、ゲートウェイが利用可能である場合がある。本主題開示によれば、コンピュータネットワークにおいて、任意の数のノード、デバイス、装置、リンク、相互接続等が使用される場合がある。
【0042】
通信リンク又はチャネルは、例えば、アナログ電話回線、完全な、又は部分的なデジタル回線、衛星リンクを含む無線リンク、又は当業者に周知である場合がある等の他の通信リンク若しくはチャネルを含むことができる。
【0043】
ネットワークのコンピューティングデバイス、例えば、センサノード又はアクチュエーターノードは、有線若しくは無線ネットワークを介して等、信号を送信若しくは受信できる場合があり、及び/又はデータを処理及び/又は記憶できる場合がある。
【0044】
コンピュータネットワークは、グラフG=(V,E)と記述することができる。ただし、グラフGの頂点の集合Vは、コンピュータネットワークのネットワークノードを表し、グラフGのエッジの集合Eは、コンピュータネットワークのネットワークノード間の通信リンクを表す。「無向グラフ」Gにおいて、頂点の対(v1 ,v2 )は非順序対であるのに対して、「有向グラフ」(「方向指向グラフ」又は「DOG」とも呼ばれる)において、頂点の各対(v1 ,v2 )は、例えば、v1 が始点であり、v2 が終点であるように、順序対である。
【0045】
本主題開示において、グラフGの頂点v1 から頂点v2 までの「パス」p(v1 ,v2 )を用いて、頂点v1 から開始し、頂点v2 において終了する、頂点及びエッジの交互の配列を示すことができる。1つの頂点vから自らにつながるパスp(v,v)は「閉路」と呼ばれる場合がある。「サイクル」という用語は、本明細書において、閉路p(v,v)を示すために使用される場合があり、サイクルでは、すべてのエッジが異なり、p(v,v)内に2回生じる唯一の頂点がvであり、vは厳密に2回生じる。
【0046】
本明細書において使用されるときに、「木」という用語は有向グラフを指しており、(「根」、「コーディネーター」又は「コンセントレーター」と呼ばれる)1つの頂点があり、根を除く、グラフのすべての頂点が、厳密に1つのエッジの終点(head)である。木データ構造は、コンピュータネットワークに関連して、経路選択データ構造として使用することができ、ネットワークノードによって送信されるデータは、木の根に向かって転送される。vからwまでのパスが存在する木の2つのノード(頂点)v及びwに関して、vは、本明細書において、wの「先祖」又は「親」と呼ばれることになり、wは、本明細書において、vの「子孫」と呼ばれる場合がある。(v,w)がエッジである木の2つのノード(頂点)v及びwに関して、vは、本明細書において、wの「父」と呼ばれることになり、wは、本明細書において、vの「息子」又は「子」と呼ばれる場合がある。
【0047】
グラフの頂点v1 、又は木のノードw1 の「隣接点」という用語は、グラフ上の頂点v1 に、又は木上のノードw1 に隣接する別の頂点v2 、又はノードw2 を示すために使用される場合があり、すなわち、グラフ内の2つの頂点v1 とv2 との間に、又は木内の2つのノードw1 とw2 との間に、グラフ内の頂点(又は木内のノード)を相互接続する1つ又はいくつかのエッジが存在する。「パス隣接点」又は「間接隣接点」という用語は、ネットワークグラフ又は木内のパスによって相互接続される2つの頂点又はノードを示すために同義で使用される場合がある。「直接隣接点」又は「直隣接点」という用語は、ネットワークグラフ又は木内の1つのエッジによってのみ相互接続される2つの頂点又はノードを示すために同義で使用される場合がある。別の言い方をすると、グラフG=(V,E)内のv∈Vの直接隣接点である頂点v∈Vごとに、(v1,v2)∈Eである。対応する木構造T=(V,E)の場合、E∈Eであり、w∈Vの直接隣接点であるノードw∈Vごとに、(w,w)∈Eである。
【0048】
木の各ノードについて、「ランク」(「深さレベル」とも呼ばれる)は、例えば、コンセントレーターノードからの、木内のエッジ(又はホップ)の数として表される距離と定義することができる。コンセントレーターノードの深さレベルは、0又は1等のデフォルト値に設定することができる。例えば、コンセントレーターノードの木内の直接の隣接点の深さレベルは、コンセントレーターノードの深さレベルをインクリメントステップDepth_Level_Incrementだけインクリメントしたものに設定することができる。このインクリメントステップは、例えば、1に設定することができる。
【0049】
本主題開示の実施形態は、様々な適用例において使用される場合があり、限定はしないが、特に、潜在的に多数のセンサが異なる場所(例えば、工場又は原子力発電所施設)における物理的条件又は環境条件、例えば、温度、圧力、エネルギー/電力資源及び/又は消費量、放射線、汚染物質等を協調して監視するセンサネットワークにおいて使用される場合があることは理解されたい。本主題開示はこの点において限定されないが、本明細書において開示されるネットワーク管理のための方法は、例えば、任意のLLNネットワーク、任意のマルチホップシステム、例えば、メッシュネットワーク、任意のモノのインターネット(IoT)ネットワーク若しくはシステム、任意のマシンツーマシン(M2M)ネットワーク若しくはシステム、例えば、センサネットワーク等のスマートオブジェクトネットワーク、又はその任意の組み合わせ等の、種々のトポロジーを有する数多くのタイプのコンピュータネットワークにおいて使用される場合があり、例えば、根ノード、ゲートウェイノード、センサノード、アクチュエーターノード等のコンピュータネットワークの任意のネットワークノード内、又はコンピュータネットワークに接続されるか、又はコンピュータネットワーク内に含まれる任意のサーバ内等の、数多くの装置内で使用される場合がある。
【0050】
インターネット技術特別調査委員会(IETF:Internet Engineering Task Force)は、RPLプロトコルとして知られる、LLNネットワークに適合したルーティングプロトコルを開発した。RPLは、2012年3月付の「RPL:IPv6 Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks」と題するリクエストフォーコメンツ(RFC:Request for Comments)6550において規定される。
【0051】
RPL経路は、ネットワークトポロジーのためのネットワークシンクとしての役割を果たす1つ以上の根に対するトラフィックについて最適化される。結果として、RPLはトポロジーを、いわゆる、有向非巡回グラフ(DAG:Directed Acyclic Graph)として編成し、DAGはネットワークシンクごとに1つずつの、1つ以上の宛先指向DAG(DODAG:Destination Oriented DAG)に分割され、RPLはDODAGを経路木として使用する。
【0052】
RPLは、ネットワークノードの障害又は2つのネットワークノード間の相互接続の障害の発生時における経路木のローカル修復のための機構のみならず、経路木の自動セットアップのための機構を提供する。RPL修復は、ノード/エッジ障害等のネットワーク内の障害を特定し、以下の局所的対策を適用するプロセスである。すなわち、そのノードから、RPL DODAG木内の現在の親ノードとは異なる新たな親ノードに経路を変更し、低いRPLランクを有する候補親ノードが存在しない場合には、そのパケットを同じRPLランクを有するノードに転送する。
【0053】
RPLは、無線センサネットワークのノードをネットワークコーディネーターノード(DODAGの「根」又は「根ノード」とも呼ばれることがある)に接続する宛先指向有向非巡回グラフ(DODAG)構造を使用し、そのようなDODAG構造を構築する方式を記述する。RPLが使用される場合がある無線センサネットワーク内のネットワークノードは、フル機能デバイス(FFD:full function device)、又は限定機能デバイス(RFD:reduced function device)とすることができる。FFDの場合には、それらのデバイスはセンサ測定値を送信し、隣接するノードの測定値を中継する。RFDの場合には、それらのデバイスは、自らの測定値を送信するが、隣接するノードのデータを中継しない。コーディネーターは、無線センサネットワークのノードからデータを収集し、そのデータをパケットデータネットワークへのゲートウェイ、例えば、IPネットワーク、例えば、インターネットネットワークへのIoTゲートウェイへ送信する。
【0054】
DODAGグラフを構築するために、RPLコーディネーターは、DODAG情報オブジェクト(DIO:DODAG information object)パケットと呼ばれるデータパケットを、自らの直接隣接点に、すなわち、自らの直隣接点に定期的に送信するように構成することができ、隣接点は、受信したDIOパケットを、自らの隣接点を介して、ネットワークの残りの部分に更に伝搬させる。DIOパケットは、送信者のRPLランク、RPLバージョン番号、RPL経路選択によって最小化されるべき目的関数(OF:objective function)等を含む、DODAGに関する情報を含む。
【0055】
RPLランクは、ネットワーク内におけるパケットの拡散の勾配を示す。すなわち、高いランク値は、コーディネーターよりも大きいホップ数に位置するノード、例えば、葉ノードを示し、低いランク値は、コーディネーターよりも小さいホップ数に位置するノード、例えば、葉ノードのデータを中継しているFFDノードを示す。ネットワーク内におけるパケットの拡散は、高い方のランク値から低い方のランク値へ行われる。
【0056】
DODAGの根であるコーディネーターのRPLランクは、値0に設定される。RPL経路木内の子ノードのRPLランクは、親ノードのRPLランクをインクリメントしており、各子は、自らのパケットを自らの親へ送信している。
【0057】
DODAG構成中に、各ノードは以下のようにDODAG内の自らのランクを取得する。すなわち、各ノードはDIOメッセージをリッスンし、1ホップ近傍内のノードの集合を学習する。自らの最初のDIOメッセージを受信すると、各ノードはDODAGに参加し、受信した情報に基づいて自らのランクを計算し、自らのDIOメッセージ(自らの計算されたランクを含む)を送信し始める。
【0058】
DIOメッセージがそこから受信された一組の親を各ノードが動的に保持するので、RPLランク計算プロセスは動的であると見なすことができる。さらに、以下の基準、すなわち、好ましい親とのリンクが経路選択目的関数(routing objective function)を最小化すること、に基づいて、RPL経路木内の子のパケットを送信するために、各ノードによって好ましい親が動的に選択される。
【0059】
以下において、無線センサネットワークを配置する非限定的な例が検討され、その例では、センサノードの集合(識別子、すなわち、IDによってネットワーク内でそれぞれ識別される)が領域R内に配置される。
【0060】
センサノードは、ネットワークのトポロジーを協調して学習するために、自らのそれぞれの無線サービスエリア内に、通常は定期的にビーコンパケットを送信するように構成される。ノードが発見されると、ノード間の種々の隣接点関係が、ネットワークを表すグラフ及び/又は木として編成されるデータ構造にグループ化される。
【0061】
無線センサネットワークの非限定的な例において、ネットワークグラフは、ネットワークのセンサを表すネットワークノードVの集合と、センサ間の関係を表し、異なるノードをリンク又は相互接続しているエッジの集合とを含むグラフG(V,E)とすることができる。
【0062】
1つ以上の実施形態において、ネットワークのノードと、ネットワークの2つのノード間の隣接関係にそれぞれ対応するエッジとを表す経路木であって、それに従ってデータがそれらのノードからコンピュータネットワークのコンセントレーターノードへ送信される経路木の形態のデータ構造は、木の各ノードに割り当てられ、そのノードによって取得されるそれぞれの深さレベルを用いて生成することができる。詳細には、トポロジー発見経路選択アルゴリズムを予備構成フェーズの間に実行しておき、各ノードが1つ以上の子及び1つの父のみを有する経路木を定義しておくことができる。
【0063】
例えば、いくつかの実施形態において、低い方のランクを有するノードが高い方のランクを有するノードにとって好ましい親である場合には、それぞれのランクを有する2つのノードがエッジによってリンクされるような、ノードVをエッジによってリンクする中心性に基づく経路木T(V,E’)は、例えば、上述したようなRPLプロトコルを使用して構築することができる。経路木は、データが、ネットワークのセンサノードから、木の根ノードとして動作するコンセントレーターノードに向けて収集されるように設計することができる。RPL経路木は、有利には、1つ以上の実施形態においてネットワーク管理のための提案される方法を実行するために使用することができる。
【0064】
従って、例示的な無線センサネットワークは、経路選択機構及び物理レイヤ機構を提供することができ、詳細には、ネットワークの他のすべてのノードからデータを収集するノードである根ノード(コンセントレーターノードとも呼ばれる)を提供することができる。ネットワークの深さレベルは、コンセントレーターノードから同じ距離、すなわち、経路木上の同じエッジ数に位置するネットワークのノードの集合に割り当てられる深さレベルをそれぞれ表す自然数の増加列又は減少列として編成することができる。実施形態に応じて、コンセントレーターノードの深さレベルとして、この列の最大又は最小の自然数を選ぶことができる。以下では、0の深さレベルを割り当てられるコンセントレーターノードの非限定的な例を検討する。
【0065】
物理レイヤ機構に関して、次の特徴、すなわち、所与のタイムスロット(例えば、1ms)中の周波数チャネル(例えば、2.4GHzにおけるISM(industry science and medical)帯域内の5MHzチャネル)を画定する搬送波周波数上の所与の帯域幅(例えば、5MHz)を有する信号の送信、を有する物理レイヤを1つ以上の実施形態において使用することができる。物理レイヤには、いくつかの実施形態において、ネットワークの2つのノードの間の物理レイヤのデータレートを求め、そのデータレートに適合するために使用可能な一組の変調符号化方式を更に提供することができる。
【0066】
例えば、IEEE802.11a/b/g、IEEE802.15.4g、LoRa、Bluetooth、及び3GPP 5G NR(新無線(New Radio))について指定された物理レイヤ及びMAC(Media Access Control)レイヤを含むOSI(Open Systems Interconnection)モデルによる任意の適したレイヤ1~3を、単なる例として与えられているにすぎない上述した物理レイヤに代えて又はそれと組み合わせて、無線センサネットワークにおけるデータ送信に使用することができることが当業者によって理解されるであろう。
【0067】
加えて、本主題開示の1つ以上の実施形態によるデータ収集は、データ収集プロトコルに従って実行することができる。このプロトコルは、周期的に又は要求に応じて、ネットワーク内のノードのすべてのデータを収集することを可能にする。1つ以上の実施形態において使用されるデータ収集プロトコルは、例えば、Zigbeeプロトコル又はLoRaプロトコルに基づいてデータ収集プロトコルのパラメータを定義するために、シグナリングを通じて長期構成機構もサポートすることができる。
【0068】
さらに、データ収集は、(例えば100ms程度の持続時間の、例えばデータ収集フレームに従って)時間領域におけるフレーミングを使用して実行することができる。例えば、ネットワークによってデータ送信に使用される物理レイヤ及びMACレイヤは、送信時間フレーム(以下「タイムスロット」とも呼ばれる)を定義することができる。そのようなフレーミング方式には、同期のための及び時分割多重アクセス(TDMA)方式を実行するためのすべての送信機によって使用される同期信号をフレーム内に設けることができる。いくつかの実施形態において、同期は、フレームを管理する各サブネットワークの父によってそれぞれ送信されるビーコン信号に基づくことができる。例えば、時間同期は、根ノードから開始して父ノードとして動作するネットワークの各ノードが、その子ノードに、例えば、100msごとに送信されるビーコン信号の送信を通じてフレームタイミングを提供することができる同期方式を使用して実行することができる。1つの父のすべての子は、その後、同期エラー時にはこれらのビーコン送信を使用してそれらの父のフレームタイミングに同期することができる。これらの子ノードは、その後、それら自身のビーコン信号をそれらの子ノードへ更に送信することができ、受信されたビーコン信号に基づいて、それらの子ノードを同期させることができる。従って、根ノードは、その子ノードを同期させることができるフレームタイミングを規定するビーコン信号を送信することができる。根ノードは、例えば、1つの深さレベルのノードから次の深さレベルのノード(それらのそれぞれの子ノード)へ送信されるビーコン信号を使用して、1つの深さレベルから次の深さレベルに(根ノードから木の葉に進む深さレベルのトップダウンシーケンスに従って)配信されるようなフレームタイミングを使用してタイムベースを構築することができる。データ収集目的でネットワークのノード間においてデータを送信するために使用されるデータ送信プロトコルは、木を通じたタイムベースのトップダウン伝播の間に生成される潜在的な同期エラーを含めて、そのような配信されるタイムベースを用いた動作に適したものを選択することができる。
【0069】
以下では、タイムスロット単位で表され、TDMA方式に従ってスケジューリングされる送信時間リソースの非限定的な例を使用して本主題開示の実施形態を説明する。上述した送信リソース及び多重アクセス方式に代えて又はそれらと組み合わせて、例えば、周波数分割多重アクセス、符号分割多重アクセス、直交周波数分割多重アクセス、又はそれらの組み合わせ等の任意の適した多重アクセス方式及び対応する送信リソースを使用することができ、これらは、単なる例として与えられているにすぎないことが当業者によって理解されるであろう。
【0070】
1つ以上の実施形態において、各部分木マスターは、木内の同じリング(すなわち、深さレベル)のすべての部分木マスターに共通のタイムスロットの数を有する局所的なTDMA多重アクセスを定義することができる。そのようなタイムスロットの数は、以下で説明するように、所与の深さレベルにおけるデータ収集について決定される送信時間リソースに対応することができる。次に、データ収集は、送信時間リソース内のTDMAスケジューリングに従って、所与の深さレベルにおいてデータ収集を実行する父ノードの子ノードごとに編成することができる。すなわち、各子ノードは、父ノードによって割り当てられているタイムスロットの間に、そのペイロードデータを父ノードへ送信することができる。
【0071】
これによって、有利には、部分木間の干渉(これは同じ深さレベルの2つの部分木の間で発生し得る)を最小にするために、TDMA方式の局所的な(部分木ごとの)管理が可能になる。いくつかの実施形態において、TDMA管理は、物理レイヤからのCSMA/CA衝突率のフィードバック及びランダムTDMAスロット割り当てを用いて実行することができる。
【0072】
例えば、ISM帯域において、隣接するノード間の衝突を制御するCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)プロトコルを実施することができる。すなわち、1つのノードが送信を予定しているときに、そのノードは、最初に、チャネルについて電力を計測し、電力が残っている場合には、その送信を延期する。そのような事象が発生すると、衝突回避率を更新することができる。また、衝突が発生すると、衝突率を更新することができる。従って、各ノードは、衝突率によってチャネルの占有率を評価することができる。TDMAフレーミングが使用されるときも、これを適用して、各TDMAスロットの占有率を評価することができる。
【0073】
局所的なTDMA多重アクセスを使用することの別の利点は、TDMA割り当てにシステム全体のシグナリングが必要とされないことである。
【0074】
加えて、各ノードが深さレベルごとのTDMAスロットの数、すなわち、その深さレベルにおけるノードのデータ収集について決定された送信時間リソースの持続時間(タイムスロット単位による)を知るために、特定且つ軽量なシグナリングのみが必要とされる。これによって、有利には、提案される解決策のオーバーヘッドが削減され、提案される解決策がスケーラブルなものとなる。
【0075】
無線センサネットワークには、シグナリングデータ、例えば、データ収集構成パラメータを、父からその子ノードへ又は子ノードからそれらの父へ提供するように設計されたシグナリングプロトコルも提供することができる。実施形態に応じて、シグナリングデータは、例えば、時間フレームの予約されたリソース(例えば、タイムスロット)において送信することができ、他の非シグナリングデータと多重化することができ、及び/又はシグナリングデータは、専用フレームにおいて送信することができる。本主題開示によれば、例えば、データ収集フェーズを実行する前にネットワーク全体を通じてブロードキャストされるシグナリングデータを送信するために、シグナリングに専用のフレームを使用し、それによって、データ収集フェーズをレイテンシーの観点から最小のシグナリングオーバーヘッドを有する最も効率的なものとすることができるようにすることが好ましい場合がある。
【0076】
いくつかの実施形態において、経路選択アルゴリズムは、累積距離の最小化に基づくことができ、各ブランチの指標は、以下で説明するように物理レイヤ性能に関係している。例えば、この指標は、所与の量のデータを送信するために、最小にされるべき必要とされるタイムスロットの数を予測することを可能にする値であるので、リンクの容量の逆数に関連したものとすることができる。実際、データレートDビット毎秒に対応する容量の送信を可能にする所与の無線リンクの場合には、Nbビットのデータパケットの送信に、少なくともNb/D秒を要する。Ts秒の長さのタイムスロットの使用を仮定すると、Nbビットのパケットを送信するために必要とされるタイムスロットの数は、Nb/D/Ts以上の最小整数であり、以下のように表される。
【数1】
【0077】
図1Aは、ネットワークの他のすべてのノードからデータを収集するように構成される深さ0における単一のノードであるコンセントレーターノードN0 を備えるコンピュータネットワークについて生成される例示的な経路木を示している。図1Aに示される木の構成は、4つの深さレベル(レベル0~レベル3)を備え、これらのレベルは、深さレベルのシーケンス(例えば0、1、2、3)として編成することができる。コンセントレーターノードには深さレベル0が割り当てられる。コンセントレーターノードの3つの子ノードには、コンセントレーターの深さレベルに続く深さレベル(例えば、深さレベル1)が割り当てられる。深さレベル1のそれぞれのノードの子である7つのノードには、深さレベル1に続く深さレベル(例えば、深さレベル2)が割り当てられる。深さレベル2のそれぞれのノードの子である10個のノードには、深さレベル2に続く深さレベル(例えば、深さレベル3)が割り当てられる。
【0078】
例えば、値(3、2、1、0)、(0、2、4、6)、(6、4、2、0)、(4、3、2、1)、又は(1、2、3、4)を有する深さレベルのシーケンス、又は1、2若しくは任意の非零の整数の深さレベルインクリメント等の任意の適した深さレベルのシーケンス、深さレベル値、深さレベルインクリメントを、例としてのみ与えられる図1Aにおいて使用される深さレベルのシーケンス、深さレベル値、及び深さレベルインクリメントの代わりに使用することができることが当業者によって理解されるであろう。
【0079】
図1Aに示される例示的な経路木上において、コンセントレーターノードN0 は、0に等しい深さレベルを有することができる。ノードN1,1 、N1,2 、及びN1,3 は、これらのノードのそれぞれがコンセントレーターノードの子であるので、1に等しい深さレベルを有するノードの集合を構成することができる。ノードN2,1 、N2,2 、N2,3 、N2,4 、N2,5 、N2,6 及びN2,7 は、これらのノードのそれぞれが1に等しい深さレベルを有するノードの子であるので、2に等しい深さレベルを有するノードの集合を構成することができる。ノードN3,1 、N3,2 、N3,3 、N3,4 、N3,5 、N3,6 、N3,7 、N3,8 、N3,9 及びN3,10は、これらのノードのそれぞれが2に等しい深さレベルを有するノードの子であるので、3に等しい深さレベルを有するノードの集合を構成することができる。
【0080】
木内の親子関係は、深さレベルn-1を有する1つのノードが深さレベルnを有する3つの子ノードの親である例示的な部分木構成を示す図1Bに示されている。この例において、深さレベルのシーケンスは、木のコンセントレーターノードに割り当てられた深さレベル(例えば、0又は1)から開始し、深さレベルNで終了する、1に等しい深さレベルの増分を有する増加順に定義することができ、この場合、concentrator_node_depth_level<…<n-1<n<…<Nである。
【0081】
図2を参照して、1つ以上の実施形態によるネットワークの父ノードによって実行されるデータ収集を以下に説明する。
【0082】
本主題開示によるデータ収集は、父ノードである木の任意のノードにおいて、その子ノードからデータを収集するような父ノードを通じて実行することができる。その結果、木の葉ノード、すなわち、子ノードを有せず、そのため、父ノードではない木のノードは、データ収集を実行することができない。
【0083】
1つ以上の実施形態において、本主題開示によるデータ収集は、フェーズに編成することができる。データ収集のフェーズ(10)は、木の1つの深さレベルを対象とすることができる。すなわち、データ収集は、木内の同じ深さレベルを有するネットワークノードの1つ以上について実行することができる。木内の同じ深さレベルを有するネットワークノードは、木の第1の深さレベルに対応する1つ以上のネットワークノードの集合を構成することができ、この第1の深さレベルは、上述したように、この集合のノードとコンセントレーターノードとの間の経路木内の複数のエッジに対応する。いくつかの実施形態において、データ収集は、木内の同じ深さレベルを有するネットワークノードのそれぞれにおいて実行することができる。
【0084】
例えば、図1Aに示される例示的な木の構成を参照すると、データ収集フェーズは、それぞれの深さレベル1、2及び3の父ノードの1つ以上又はすべてについて実行することができる。すなわち、Nが木の最も深い深さレベルに対応しない場合に、データ収集フェーズは、深さレベルNの父ノードの1つ以上又はすべてについて実行することができる。
【0085】
木内の同じ深さを有するノード(データ収集において父ノードとして動作する)によって実行されるデータ収集フェーズに関して、このデータ収集は、1つ以上の実施形態において、ネットワークの経路木内の親ノードから第1のデータ収集構成データを受信すること(11)を含むことができる。ネットワークの任意のノードについて、本主題開示に係るデータ収集を実行するノードの親ノードは、必ずしも直前である必要はないが、経路木の深さレベルのシーケンスにおける第1の深さレベルに先行する経路木の深さレベルに対応することができる。いくつかの実施形態において、第1のデータ収集構成データは、経路木の第1の深さレベルに対応するノードにおけるデータを収集するために必要とされるリソースの推定値を含むことができる。例えば、データ収集フェーズが、図1Aに示される例示的な木構成内の深さレベル2におけるノードについて実行される場合には、深さレベル2における1つ以上のノード、又は、いくつかの実施形態では深さレベル2におけるノードのすべて(ノードN2,1 、N2,2 、N2,3 、N2,4 、N2,5 、N2,6 及びN2,7 )は、それぞれの親ノード又はそれらに共通の親ノード(例えば、木のコンセントレーターノードN0 )から、それらの子ノードからデータを収集するためのそれぞれの第1のデータ収集構成データを受信することができる。この例において、ノードN2,1 は、その親ノードN1,1 から、それ自身のデータ及び/又はその子ノードN3,1 及びN3,2 からのデータを収集するための第1のデータ収集構成データを受信することができる。ノードN2,4 は、その父ノードN1,2 から、その子ノードN3,6 からデータを収集するために使用することができる第1のデータ収集構成データを受信することができる。
【0086】
データ収集フェーズに関与するノードは、次に、経路木内の当該ノードの少なくとも1つの子ノードからデータを収集するための第2のデータ収集構成データを、その親ノードから受信された第1のデータ収集構成データに基づいて生成することができる(12)。この少なくとも1つの子ノードは、経路木の深さレベルのシーケンスにおける第1の深さレベルの直後に続く経路木の第2の深さレベルに対応することができる。1つ以上の実施形態において、第2のデータ収集構成データは、以下で説明されるように、少なくとも1つの子ノードのそれぞれからデータを収集するためのそれぞれのスケジューリングデータを含むことができる。スケジューリングデータは、実施形態に応じて、リソース割り当て情報(例えば、TDMAフレームワークにおける子ノードデータの送信用に割り当てられる時間リソース(例えば、タイムスロットの数)、割り当てられる時間リソースのロケーション)と、データの送信用の同期情報と、データの変調/復調及び符号化/復号化に使用される変調符号化方式(MCS:modulation and coding scheme)とを含むことができる。
【0087】
データは、その後、第2のデータ収集構成データに従って少なくとも1つの子ノードのそれぞれから収集することができる(13)。
【0088】
提案されるデータ収集方式の重要な利点は、局所(父ノード)レベルデータ収集管理及び大域レベルデータ収集管理を使用するその構造に起因している。この2レベルベースのデータ収集管理によって、そのデータ収集がネットワーク内の中心点によって決定及び管理されるとともに、データ収集に参加するネットワークの各ノードに編成方式を配信することを要する完全な中心管理が回避される。
【0089】
対照的に、本主題開示のデータ収集は、深さレベルごとに編成され、これは、例えば、深さレベルごとに大域(ネットワーク)スケールでデータ収集を管理するための第1のデータ収集構成データと、父ノードがその根である部分木のデータ収集を編成することを含む父ノードとして動作するノードによる各深さレベルにおけるデータ収集を局所的に編成するための第2のデータ収集構成データとを決定することを要する。従って、この2レベルベースのデータ収集管理によって、有利には、以下で説明されるように、シグナリングオーバーヘッドの大幅な減少が可能になり、その結果、軽量シグナリングを有するデータ収集方式が得られる。
【0090】
以下に開示される実施形態において、各父ノードによるその部分木のデータ収集の局所的管理は、その子ノードのそれぞれからのデータ送信をスケジューリングするためのTDMA方式を定義することを含むことができる。そのような局所的管理は、ネットワークリソースのスケーリングに関してネットワークに対してほとんど影響を与えない。例えば、ネットワーク内のノードの数がM(例えば、M=1000)倍にされる場合には、父として動作する各ノードは、その部分木内のデータ収集のそれ自身の局所的な編成を定義することができるので、そのような局所的管理に必要な局所的なリソースは、スケール係数Mによる影響を受けない。対照的に、そのような局所的管理が集中型の方法で行われた場合には、その結果、中心点におけるデータ収集のすべての管理が移動されるので、データ収集シグナリングオーバーヘッドは、ノードの数に比例することになる。
【0091】
従って、このスケーリング及びオーバーヘッド効率の利点は、少なくとも部分的には、大域的データ収集構成データ/パラメータを深さレベルデータ収集パラメータ(いくつかの実施形態では、第1のデータ収集構成データに含まれる)に制限することと、各深さレベルにおけるデータ収集を局所的な方法で管理することとから得られる。
【0092】
いくつかの実施形態において、深さレベルデータ収集パラメータを含むことができる第1のデータ収集構成データは、ネットワーク全体にわたってブロードキャストすることができ、深さレベルごとのデータ収集に必要と考えられる送信リソース(例えば、タイムスロット単位で表される、例えば、時間リソース)のそれぞれの推定値を含むことができる。従って、収集及び再配信されるシグナリング深さレベルデータは、ネットワーク内のリングの数に比例し、ノードの数には比例しない。例えば、ネットワーク内のリングの数が、R1個のリングからR2個のリングに増加する場合には(例えば、R1=5及びR2=10)、深さレベルシグナリングデータは、ほぼR2/R1倍に増加し得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、ネットワークのリングの最大数は、データ収集レイテンシーがキャップ(cap)レイテンシー値未満を維持するように定義することができる。その結果、リングのこの最大数も、有利には、最大限度未満でリングの数に比例する場合があるシグナリングオーバーヘッドを維持することができる。加えて、所与のネットワーク配置エリア(例えば、1平方キロメートル)を仮定すると、ネットワークのノードの数が、この所与のネットワーク配置エリア内で増加する場合には、リングの数は、増加しない可能性が最も高いか、又は、ノードの数の増加よりもはるかに小さな割合で増加する。これは、ネットワーク内のリングの数は、ほとんど、システムに必要とされる無線カバレッジによる影響を受け、そのため、所与のネットワーク配置エリア内のリングの数は、そのようなネットワーク配置エリア内のノードの数が大幅に増加する場合があってもほぼ同じ数に留まることができるからである。その結果、提案されるデータ収集方式の別の利点は、所与のネットワーク配置エリア内のノードの数が大幅に増加する場合であっても、そのネットワーク内のリングの数は、同じ数を維持するか、又は、ノードの数の増加よりもはるかに少なく増加する可能性が高く、そのため、シグナリングオーバーヘッドは大幅に増加しないということである。対照的に、ネットワークのすべてのノードのシグナリングデータの収集を招くことになるデータ収集の集中型手法は、そのようなデータを処理し、その後、ネットワークのすべてのノードにおけるデータ収集管理のためのデータ収集構成データをネットワークのすべてのノードに再配信し、シグナリングオーバーヘッドは、ネットワークのノードの数の増加に比例して増加することになる。
【0093】
深さレベルごとのデータ収集構成データ定義によって、以下に説明されるいくつかの実施形態において、中心点にすべてのデータを収集することなく、全レイテンシーに対するその部分木の影響を各ノードレベルにおいて予想することが可能になる。他の局所的に定義されるデータ構成パラメータ(いくつかの実施形態では、第2のデータ収集構成データに含まれる)は、大域的データ収集構成パラメータに基づいて局所的に(すなわち、その部分木に関する各父ノードによって)管理することができ、その結果、有利には、データ収集レイテンシーに対するそれらの影響は大幅に減少する。
【0094】
従って、上述したように、提案される方式のデータ収集レイテンシーは、大部分が、大域的(深さレベル)データ収集構成パラメータによる影響を受ける場合があり、その結果、それ自体で、データ収集方式のレイテンシー感度は、ネットワーク内のノードの数の関数ではなく、リングの数(又は木内の深さレベル)の関数となる。本主題開示によるデータ収集のレイテンシーは、ノードの数の関数ではなく、図1Cによって示されるように、システムのリングの数の関数であるが、このレイテンシーを推定するのに必要とされるものは、これらの大域的(深さレベル)データ収集構成パラメータの知識のみとすることができる。
【0095】
1つ以上の実施形態において、第1の深さレベルのノードについて実行されるデータ収集フェーズは、データ収集において子ノードとして動作するノードについて、その子ノードから以前に収集されたデータを、場合によってはそれ自身のデータとともに、経路木の深さレベルのシーケンスにおいて第1の深さレベルの直前に先行する経路木の深さレベルに対応する直接の親ノードへ送信することを更に含むことができる。
【0096】
例えば、データ収集フェーズが、図1Aに示される例示的な木構成における深さレベル1のノードについて実行される場合には、深さレベル1におけるそれらのそれぞれの父ノードに対して子ノードとして動作する深さレベル2における1つ以上のノード、又はいくつかの実施形態では深さレベル2におけるノードのすべて(ノードN2,1 、N2,2 、N2,3 、N2,4 、N2,5 、N2,6 及びN2,7 )は、それらの収集されたデータを、場合によってはそれら自身のデータとともに、それらのそれぞれの父ノード、すなわち、それらのそれぞれの直接の親ノード(N2,1 及びN2,2 に対するN1,1 ;N2,3 、N2,4 及びN2,5 に対するN1,2 ;並びにN2,6 及びN2,7 に対するN1,3 )へ送信することができる。
【0097】
それら自身のデータに関して、そのようなデータは、1つ以上の実施形態において、少なくとも1つのネットワークノードにおいて取得されたデータを含むが、子ノードから収集されたデータを除外する生成されたデータとして記述することができる。
【0098】
1つ以上の実施形態において、深さレベルNに対応するデータ収集フェーズについて親ノードとして動作するノード(例えば、深さレベルNに対応する親ノード)は、その子ノードからデータを収集することができ、後続のデータ収集フェーズについて子ノード(例えば、深さレベルN-1に対応する)として動作することができ、この後続のデータ収集フェーズの間にその子ノードから収集されたデータ及び/又はそれ自身のデータを送信することができる。
【0099】
提案される方法は、有利には、提案されるデータ収集プロトコルを通じてノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロットの総数を削減することができる。このデータ収集プロトコルは、フェーズに編成され、データ収集プロトコルの1つのフェーズは、木の1つの深さを取り扱う。例えば、フェーズn(深さレベルnに関連する)において、深さnのノードは、父として動作し、深さn+1に位置するそれらのそれぞれの子ノードからデータを収集することができる。その後、次のフェーズ(深さレベルn-1に関連する)において、深さレベルnのノードは、(深さレベルn-1の)それらのそれぞれの父ノードの子ノードとして動作することができ、そのようなそれぞれの父ノードは、データ収集フェーズn-1について父として動作し、それらの子ノード(深さレベルnのノードに対応する)からデータを収集する。
【0100】
1つ以上の実施形態において、本開示によるデータ収集は、データ収集ループの反復に編成することができる。いくつかの実施形態において、ループ深さレベルは、ループの各反復において、深さレベルのシーケンスにおける次の深さレベルに更新することができ、データ収集は、次の(更新された)深さレベルに対応する各ノードにおいて実行することができる。いくつかの実施形態において、上述したようなデータ収集フェーズは、ループ反復nに対応する深さレベルnにおけるノードについて実行することができ、深さレベルnのデータ収集フェーズが完了すると、ループ反復n-1に対応する深さレベルn-1におけるノードについて、別の後続のデータ収集フェーズを実行することができる。いくつかの実施形態において、ループの第1の反復は、シーケンスにおける根ノードの根の深さレベルから最も遠いものの1つ前である初期ループ深さレベルに対応することができる。例えば、システムにおける最大深さ(経路選択プロトコルの結果として)は、Max_Depthであり、システムにおける最小深さ(木内のコンセントレーターノードの深さ)は、Min_Depthであり、その場合に、データ収集は、フェーズMax_Depth-1から開始し、フェーズMin_Depthで終了することができる。
【0101】
他の実施形態において、ループ反復インデックスkに対応するそれぞれの深さレベルn1 、n2 等におけるノードについて、上述したような1つ以上のデータ収集フェーズを実行することができ、深さレベルn1 、n2 等のデータ収集フェーズが完了すると、ループ反復インデックスk-1に対応するそれぞれの深さレベルn1 -m1 、n2 -m2 等におけるノードについて、別の後続の1つ以上のデータ収集フェーズを実行することができる。そのような実施形態において、ループの第1の反復は、シーケンスにおいて根ノードの根の深さレベルから最も遠い初期ループ深さレベルに対応することもできる。
【0102】
1つ以上の実施形態において、本主題開示によるデータ収集に対して、構成フェーズが先行することができ、この構成フェーズの間に、本開示の第1のデータ収集構成データを生成し、その後、データ収集に参加することになるネットワークのノードに配信することができる。
【0103】
以下に更に詳細に説明されるように、第1のデータ収集構成データは、木の深さレベルごとに、その木の深さレベルに対応するノードにおけるデータを収集するために必要とされるリソースの推定値を含むことができる。
【0104】
1つ以上の実施形態において、第1のデータ収集構成データに含まれる木の深さレベルに対応するノードにおいて、データを収集するために必要とされるリソースの推定量は、例えば、ネットワークトポロジーと、データ収集について規定される要件(例えば、レイテンシーに関するもの)とに基づいて、場合によっては、木のそれぞれの深さレベルについて予め規定しておくことができる。
【0105】
他の実施形態において、第1のデータ収集構成データに含まれる木の深さレベルに対応するノードにおいて、データを収集するために必要とされるリソースの推定量は、木のそれぞれの深さレベルについて、実施形態に応じて、場合によっては、引き出された乱数値、及び/又は、ネットワークトポロジーと、データ収集について規定される要件(例えば、レイテンシーに関するもの)とに基づいて選ぶことができる最小値及び/又は最大値の間の値とすることができる。
【0106】
次に、図3図5を参照して、1つ以上の実施形態による好ましい構成フェーズを説明する。
【0107】
1つ以上の実施形態において、構成フェーズは、準静的なものとすることができ、以下で説明されるように、ネットワークの1つ以上のノード及び場合によっては各ノードにおけるペイロード計算を含むことができる。
【0108】
上述したように、本主題開示によるデータ収集を実行するノードは、データ収集の間に子ノードとして動作しているときは、ペイロードデータ(当該ノードを根とする部分木の子ノードから収集されるペイロードデータ、すなわち、当該ノードのすべての子孫ノードから接続されたペイロードデータ、及び/又は、実施形態に応じて、それ自身のペイロードデータを含むことができる)をその父ノードへ転送することができる。本開示は、有利には、1つ以上の実施形態において、ノードからその父ノードへそのようなペイロードデータを、このノードとその父との間の通信リンク上で送信するために必要とされるリソースの推定値(特に、TDMA多重アクセス方式が使用されるときは、例えば、タイムスロット単位で表すことができる)を求めることを提供する。
【0109】
構成フェーズは、従って、1つ以上の実施形態では、有利には、ネットワークの1つ以上のノードが上述したようなデータ収集に子ノードとして参加することを予想して、そのような1つ以上のノード又はあらゆるノードにおいて実行されるペイロード計算を含むことができる。
【0110】
従って、構成フェーズの間に、データ収集中は子ノードとして動作し、構成フェーズの間は子ノードとしても動作している1つ以上のノード、及び、好ましくは各ノードは、データ収集の間に送信されることが予想されるペイロードに関係した情報を搬送する第1の構成データをその父ノードに提供することができる。実施形態に応じて、そのような情報は、ノードによって父へ送信されるペイロードのサイズ(例えば、ビット数、オクテット数、又はタイムスロット数として表される)、及び/又は、ノードによってその父へ送信されるパケット数を含むことができる。パケット数は、1つのノードからその父ノードへのデータ送信に使用されるプロトコルに応じて、パケットごとの平均ビット数又は最大ビット数を使用することによって、及び/又は、すべてのパケットが常に同じ数のビットをネットワークにわたって搬送すると仮定することによって、ビット数に変換することができる。
【0111】
そのような実施形態において、本主題開示によるペイロード計算を実行するノードは、父ノードとして動作しているときに、経路木内の少なくとも1つの子ノードからそれぞれの第1の構成データを受信することができる。上述したように、少なくとも1つの子ノードは、経路木の深さレベルのシーケンスにおける父ノードの深さレベルの直後に続く経路木の深さレベルに対応することができる。
【0112】
ノード(データ収集構成フェーズの父ノードとして動作する)は、その後、受信された第1の構成データに基づいて第2の構成データを生成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、ノードは、その子のそれぞれによって転送されるペイロードに関係した数(第1の構成データ)を受信し、これらの数を合計することによって第2の構成データ、及び、いくつかの実施形態ではそれ自身のデータペイロードに関係した数を生成することができる。
【0113】
すなわち、第1の構成データが子ノードから少なくとも1つのネットワークノードへデータを送信するために必要とされるリソースのそれぞれの第1の推定値を含む実施形態において、第2の構成データを生成することは、第1の推定値に基づいて、子ノードによってそれらの深さレベルにおいて収集されるデータを送信するために必要とされるリソースの第2の推定値を生成することを含むことができる。詳細には、リソースの第2の推定値を生成することは、それぞれの第1の推定値を組み合わせて、集計した子推定値にすることを含むことができる。
【0114】
ノードが、データ収集の子ノードとして動作するときに、その子ノードから収集されたデータとともにそれ自身のデータを送信するように構成される実施形態において、このノードは、構成フェーズの間に、それ自身のデータペイロードに関係した情報、すなわち、その子ノードから収集されたデータ以外のそのノードにおいて取得されたデータとともに、受信された第1の構成データから生成される第2の構成データを集計することができる。
【0115】
ノードが、データ収集の子ノードとして動作するときに、それ自身のデータを、その子ノードから収集されたデータとは別個に送信するように構成される実施形態において、このノードは、第1の構成フェーズの間に、その子ノードから収集されたデータを中継する中継ノードとして動作するデータ収集については、それ自身のデータペイロードに関係した情報なしで、第1の構成データに基づいて第2の構成データを生成することができ、第2の構成フェーズの間に、その父ノードへそれ自身のデータを転送するデータ収集については、受信された第1の構成データなしで、それ自身のデータペイロードに関係した情報に基づいて第2の構成データを生成することができる。
【0116】
他の実施形態において、第2の構成データの生成は、受信された第1の構成データの更なる処理を伴うことができ、その一例を以下に説明する。
【0117】
1つ以上の実施形態において、第2の構成データは、そのような第2の構成データを生成したノードの父に転送することができる。第2の構成データは、その後、コンセントレーターノードに向けて1つのノードからその直接の父に伝播することができる。
【0118】
1つ以上の実施形態において、子ノードに対応するデータをそのような子ノードの父ノードへ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値は、親ノードにおいて直接又は子ノードを通じて間接的に取得することができる。上述したように、各子ノードのデータは、実施形態に応じて及び木内の子ノードの位置に応じて、そのノード自身によって生成されたデータに加えて、それ自身の子ノードから収集されたデータを含むことができる。父ノードは、その後、その子ノードに対応するそれぞれの第1の構成データを取得することができ、これらのそれぞれの第1の構成データは、その子ノードのそれぞれによってデータを送信するために必要とされるリソースのそれぞれの第1の推定値を含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、リソースの第1の推定値は、タイムスロット単位で表すことができる。例えば、所与の父ノードの各子ノードは、その子ノードをその父に接続するリンクの予想スペクトル効率を、そのリンク上でのデータ送信に使用される物理レイヤの特徴に従って評価することができる。上述した例示的な物理レイヤ方式を前提とすると、その後、子ノードからその父ノードへデータペイロードを転送するために必要とされるタイムスロットの数を予想スペクトル効率推定値に基づいて取得することができる。いくつかの実施形態において、このスペクトル効率推定値に基づいて平均データレート推定値を取得することができる。他の実施形態において、父ノードと子ノードとの間の送信リンク上の平均データレートを測定することができる。
【0120】
1つ以上の実施形態において、ネットワークのノードにおいて実施される物理レイヤは、無線リソースとして時間及び/又は周波数を使用することができる。詳細には、そのような物理レイヤは、所与のタイムスロット(例えば1ms)の間に基本時間リソース及び/又は基本周波数リソース(例えば、既定の周波数帯域幅上での既定の送信時間)を使用して動作することができる。時分割多重アクセス方式が使用される実施形態において、全周波数帯域幅にわたって1つのデータパケットを送信することができる。そのような実施形態では、スペクトル効率を周波数帯域幅と乗算することによって平均データレート推定値を取得することができる。
【0121】
上述したように、平均データレートは、ペイロードデータを送信するために必要とされるタイムスロットの数を求めるために使用することができる。
【0122】
1つ以上の実施形態において、子ノードをその父ノードに接続する送信リンクを考えると、このリンクの平均信号対雑音比(SNR)は、子ノード及び/又は父ノードによって求めることができる(これは、例えば、リンクの一方の端部において測定して、他方の端部にフィードバックすることができる)。
【0123】
リンクのSNRが父の側に知られている場合には、父は、子ノードによって送信されるペイロードに必要とされるタイムスロットの数を自身で求めることができ、従って、単独でこのタイムスロットの数を求めることによって子の第1の構成データを取得することができる。
【0124】
リンクのSNRが子の側に知られている場合には、子は、当該子ノードによって送信されるペイロードに必要とされるタイムスロットの数を自身で求めることができ、そのようなタイムスロットの数をその父に転送することができる。そのような場合には、父は、その子ノードから子の第1の構成データを受信することによってこの第1の構成データを取得することができる。
【0125】
ネットワークによって使用される物理レイヤは、データを変調及び復調並びにチャネル符号化/復号化する一組の変調符号化方式(MCS)のセットをサポートすることができ、各MCS方式は、変調タイプ(例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying(2位相偏移変調))、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying(4位相偏移変調))、直交振幅変調(8QAM、16QAM、32QAM、64QAM等))と、チャネル符号化方式(符号化速度等のチャネル符号化パラメータを含む)とを含む。MCSセットは、ネットワークの2つのノードの間の物理レイヤのデータレートを求め、例えば、適応変調符号化(AMC:Adaptive Modulation and Coding)技法を使用して適合させるために使用可能とすることができる。そのような場合には、実施形態に応じて、子ノードからその父ノードへデータを送信するための以下の物理レイヤ構成のうちの1つ以上を考慮することができる。
【0126】
第1の物理レイヤ構成(リンクアダプテーション無し及びリンクアグリゲーション無し)によれば、各データパケットは、所与の変調符号化方式に従って符号化することができ、同じ数のタイムスロットを常に使用することができる。この場合には、収集され、コンセントレーターノードに向けて1つの深さレベルから次の深さレベルに転送される各データはパケットで送信される。これらのパケットは、集計されず、集計されたものとして再符号化されないが、代わりに、そのまま送信される。データ収集の間に父ノードとして動作しているときのノードによって受信されるデータパケットは、そのまま、すなわち、更に処理されることなく、データ収集の間に子ノードとして動作しているときのノードによって父ノードに転送される。各ノードによって転送される集計されたデータペイロード(すなわち、複数のパケット)は、その場合、木内のそのノードの子孫の数に比例する。
【0127】
第2の物理レイヤ構成(第1のリンクアダプテーション)によれば、各パケットの送信に必要とされるタイムスロットの数を削減するために、変調符号化方式をリンク品質に適応させることができる。この場合には、所与のパケットを(所与のリンク上で)送信するために必要とされるタイムスロットの数は、異なるリンク品質を経験するリンクごとに異なる場合がある。これによって、低い送信エラーレートを確保しながら無線リンクをより巧みに利用することが可能になる。
【0128】
第3の物理レイヤ構成(第2のリンクアダプテーション)によれば、第2の物理レイヤ構成のリンクアダプテーションを使用することができ、データアグリゲーションを実行することができる。この構成において、ノードにおいて受信されるすべてのパケットのデータは復号化され、集計され、その後、ノードがその父ノードへ転送するパケットが1つのみとなるように共同符号化される。このパケットは、ノードのすべての子孫の集計されたペイロードを含むペイロードを搬送する。これによって、有利には、無線送信の全体的なロバスト性及びシステムのスペクトル効率が改善される。その結果、これによって、子ノードからその父ノードへペイロードを転送するために必要とされるタイムスロットの数を更に削減することが可能になる。
【0129】
その結果、子によって送信されるペイロードと、子とその父との間の無線リンクのSNRと、実施形態に応じてリンクアダプテーション機構とに基づいて、タイムスロットの数として表される、子ノードデータ(ペイロード)を父ノードへ送信するために必要とされるそれぞれのリソースの第1の推定値を求めることができる。いくつかの実施形態において、これらの第1の推定値は、有利には、木を生成するために使用される経路選択プロトコル(例えば、RPLプロトコル)の指標(子ノードデータを父ノードへ送信するために必要とされるリソースの推定値)として使用することができる。従って、経路木は、データ収集に使用される1つ以上の指標を考慮に入れることによって生成されるときに最適化することができる。例えば、指標は、最小にされるマルチホップ経路の各ステップにおいて使用されるタイムスロットの数(リンク上でペイロードを送信するために必要とされるタイムスロットの数)とすることができる。
【0130】
上述したように、タイムスロット単位で表されるリソースの第1の推定値を含むそれぞれの第1の構成データは、1つ以上の実施形態において、その子ノードの1つ以上又はすべてに対して親ノードとして動作する半静的な構成フェーズに参加する各ノードによって取得することができる。
【0131】
詳細には、いくつかの実施形態において、各子からその父に子ノードデータを転送するためにそれぞれ必要とされるタイムスロットの数は、推定しておくことができ、親ノードがそれらの子ノードの1つ以上又はすべてについて取得しておくことができる。
【0132】
その後、上述したように、取得された第1の生成データに基づいて第2の構成データを生成することができる。
【0133】
第1の構成データがリソースの第1の推定値を含む実施形態において、第1の構成データに基づいて生成される第2の構成データは、そのようなリソースの第1の推定値に基づいて生成することができ、ノードによってその子ノードの1つ以上又はすべてから収集されるデータを送信するために必要とされるリソースの推定値を表すことができる。子ノードから収集されるデータの送信に必要とされるリソースの第2の推定値は、その後、リソースの第1の推定値に基づいて生成することができる。そのような場合には、第2の構成データは、リソースの第2の推定値を含むことができる。
【0134】
1つ以上の実施形態において、リソースの第2の推定値は、半静的な構成フェーズにおいて父として動作するノードの子孫の部分木について、そのようなノードの子ノードの深さレベル(例えば、レベルN)におけるデータを送信するために必要とされる集計したリソースの推定値を表すことができる。リソースの第2の推定値は、生成されると、他のノードから送信された他の第2の推定値と比較することができるように、そのようなノードの父へ送信することができる。これらの他の第2の推定値は、そのような他のノードの子孫の部分木について、半静的な構成フェーズにおいて父として動作するノードの子ノードの深さレベルと同じ深さレベル(N)におけるデータを送信するために必要とされる集計したリソースも表す。木の深さレベルNの第2の推定値は、その後、木のコンセントレーターノードに伝播することができ、各第2の推定値は、深さレベルN-1(木の葉から根への減少する深さレベルのシーケンスを前提とする)におけるノードを根とする木の部分木に対応する。
【0135】
例えば、TDMAが、同じ父の子の間の多重アクセスに使用される実施形態において、リソースの第2の推定値は、各子からペイロードを転送するために必要とされるすべてのタイムスロット(リソースの第1の推定値)の集計値(例えば、合計)に基づいて、子データのすべてを父において収集するために必要とされるタイムスロットの数として求めることができる。
【0136】
1つ以上の実施形態において、第2の構成データの一部として、リソースの第3の推定値も生成することができ、この第3の推定値は、ノードが、その子ノードの1つ以上又はすべてから収集されるデータをその父ノードへ送信するために必要とするリソースの推定値に対応し、この収集されるデータは、実施形態に応じて、場合によっては、コンセントレーターノードへ送信されるそれ自身のデータとともに集計されている。
【0137】
従って、いくつかの実施形態において、第2の構成データを生成することは、生成されたデータとともに集計された子ノードによって収集されたデータを、親ノードへ送信するために必要とされるリソースの第3の推定値を生成することを含むことができる。この生成されたデータは、子ノードから送信されたデータ以外の少なくとも1つのネットワークノードにおいて取得されたデータを含む。
【0138】
図3は、各ノードにおける深さレベルごとのタイムスロットの数の例示的なボトムアップ伝播を示している。図3に示される子とその父との間の各エッジについて、そのエッジ上にある数字は、ペイロード(実施形態に応じて、父ノードへ送信されることになるが、子ノードから収集されたデータではないデータとともに集計されている)を、データ収集の間に子ノードとして動作しているときのノードからその父ノードへ送信するために必要とされる推定されたタイムスロットの数である。ノードに到来するエッジの場合には、数字は、第1の構成データ(リソースの第1の推定値)の一例を提供する一方、ノードから外部に向かうエッジ(木の葉からコンセントレーターノードへの経路選択方向を前提とする)の場合には、数字は、第2の構成データ(リソースの第3の推定値)の一例を提供する。ノードの内部に示される最初の数字(又は、場合によっては、ノードによって1つの数字のみが示される)は、ノードのすべての子のデータを収集するために必要とされるタイムスロットの推定値(リソースの第2の推定値)の合計に対応する。これらは、データ収集に必要とされるTDMAタイムスロットの最小数を表す。
【0139】
詳細には、図3に示される深さレベル2のノード(ノードN2,1 、N2,2 、N2,3 、N2,4 、N2,5 、N2,6 及びN2,7 )について、ノードN2,1 とその子N3,1 との間のエッジは、子N3,1 がその子データをその父N2,1 へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表す3に等しい(タイムスロット)重みを有する。ノードN2,1 とその子N3,2 との間のエッジは、子N3,2 がその子データをその父ノードN2,1 へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表す2に等しい(タイムスロット)重みを有する。父ノードN2,1 は、リソースの2つの第1の推定値(重み3及び2)に基づいて、それらのリソースの第1の推定値を集計、例えば合計することによってリソースの第2の推定値を生成することができる。図3に示される父ノードN2,1 について生成されたリソースの第2の推定値は、ノードN2,1 上に5個のタイムスロットの数字として示されている。図3に示されるノードN2,1 によって生成されたリソースの第3の推定値は、ノードN2,1 とノードN1,1 との間のエッジ上に6個のタイムスロットの数字として示されている。
【0140】
ノードN2,2 とその子N3,3 との間のエッジは、子N3,3 がその子データをその父N2,2 へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表す1に等しい(タイムスロット)重みを有する。ノードN2,2 とその子N3,4 との間のエッジは、子N3,4 がその子データをその父ノードN2,2 へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表す2に等しい(タイムスロット)重みを有する。父ノードN2,2 は、リソースの2つの第1の推定値(重み1及び2)に基づいて、それらのリソースの第1の推定値を集計、例えば合計することによってリソースの第2の推定値を生成することができる。図3に示される父ノードN2,2 について生成されたリソースの第2の推定値は、ノードN2,2 上に3個のタイムスロットの数字として示されている。図3に示されるノードN2,2 によって生成されたリソースの第3の推定値は、ノードN2,2 とノードN1,1 との間のエッジ上に2個のタイムスロットの数字として示されている。
【0141】
ノードN2,7 とその子N3,9 との間のエッジは、子N3,9 がその子データをその父N2,7 へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表す2に等しい(タイムスロット)重みを有する。ノードN2,7 とその子N3,10との間のエッジは、子N3,10がその子データをその父ノードN2,7 へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表す3に等しい(タイムスロット)重みを有する。父ノードN2,7 は、リソースの2つの第1の推定値(重み2及び3)に基づいて、それらのリソースの第1の推定値を集計、例えば合計することによってリソースの第2の推定値を生成することができる。図3に示される父ノードN2,7 について生成されたリソースの第2の推定値は、ノードN2,7 上に5個のタイムスロットの数字として示されている。図3に示されるノードN2,7 によって生成されたリソースの第3の推定値は、ノードN2,7 とノードN1,3 との間のエッジ上に4個のタイムスロットの数字として示されている。
【0142】
ノードN2,3 (それぞれN2,4 、N2,5 、及びN2,6 )とその子N3,5 (それぞれN3,6 、N3,7、及びN3,8 )との間のエッジは、子N3,5 (それぞれN3,6 、N3,7 、及びN3,8 )がその子データをその父ノードN2,3 (それぞれN2,4 、N2,5 、及びN2,6 )へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表す2(それぞれ4、1、及び3)に等しい(タイムスロット)重みを有する。そのような場合に、父ノードN2,3 (それぞれN2,4 、N2,5 、及びN2,6 )は、リソースの第1の推定値を再利用することによって、引き続きリソースの第1の推定値(重み2、4、1、及び3)に基づいてリソースの第2の推定値を生成することができる。図3に示される父ノードN2,3 (それぞれN2,4 、N2,5 、及びN2,6 )について生成されたリソースの第2の推定値は、ノードN2,3 (それぞれN2,4 、N2,5 、及びN2,6 )上に2個のタイムスロットの数字(それぞれ4、1、3)として示されている。図3に示されるノードN2,3 (それぞれN2,4 、N2,5 、及びN2,6 )によって生成されたリソースの第3の推定値は、ノードN2,3 とノードN1,2 との間(それぞれノードN2,4 とノードN1,2 との間、ノードN2,5 とノードN1,2 との間、及びノードN2,6 とノードN1,3 との間)のエッジ上に4個のタイムスロット(それぞれ3、2、及び2個のタイムスロット)の数字として示されている。
【0143】
図3に示される深さレベル1のノード(ノードN1,1 、N1,2 、及びN1,3 )について、ノードN1,1 とその子ノードN2,1 との間のエッジは、上述したように、父ノードN1,1 の観点からは、子ノードN2,1 がその子データをその父N1,1 へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表し、子ノードN2,1 の観点からは、子ノードN2,1 がそれ自身の子ノード(ノードN3,1 及びN3,2 )から収集されたデータと、実施形態に応じて、場合によってはそれ自身のデータとをその父ノードN1,1 へ送信するために必要とされるリソースの第3の推定値を表す6に等しい(タイムスロット)重みを有する。そのようなリソースの第3の推定値は、子ノードN2,1 がそれ自身の子ノード(N3,1 及びN3,2 )に対して親ノードの立場にあるときに取得する上述したリソースの第2の推定値と、実施形態に応じて、子ノードN2,1 がその父ノードN1,1 への送信を計画することができる可能なデータと、同様に実施形態に応じて、ノードN2,1 とその父N1,1 との間の通信リンクのリンク品質とに基づいて生成することができる。具体的には、この例において、子ノードN3,1 及びN3,2 から収集されるデータを送信するために5個のタイムスロット(3個及び2個のタイムスロットの集計値を表すリソースの第2の推定値)が必要であると推定されたデータを送信するために、6個のタイムスロットが必要であると推定される。言い換えると、親として動作するノードN2,1 について、その子ノードデータを送信するためのリソースの第2の推定値(5個のタイムスロット)が生成されるが、このノードは、より多くの数のリソース(この例示的な場合には、6個のタイムスロットに等しいリソースの第3の推定値)がそのような子ノードデータを送信するために、又は、実施形態に応じてそれ自身のデータとともにそのような子ノードデータを送信するために必要とされると推定する。
【0144】
ノードN1,1 とその子ノードN2,2 との間のエッジは、上述したように、父ノードN1,1 の観点からは、子ノードN2,2 がその子データをその父N1,1 へ送信するために必要とされるリソースの第1の推定値を表し、子ノードN2,2 の観点からは、子ノードN2,2 がそれ自身の子ノード(ノードN3,3 及びN3,4 )から収集されたデータと、実施形態に応じて、場合によってはそれ自身のデータとをその父ノードN1,1 へ送信するために必要とされるリソースの第3の推定値を表す2に等しい(タイムスロット)重みを有する。そのようなリソースの第3の推定値は、子ノードN2,2 がそれ自身の子ノード(N3,3 及びN3,4 )に対して親ノードの立場にあるときに取得する上述したリソースの第2の推定値と、実施形態に応じて、子ノードN2,2 がその父ノードN1,1 への送信を計画することができる可能なデータと、同様に実施形態に応じて、ノードN2,2 とその父N1,1 との間の通信リンクのリンク品質とに基づいて生成することができる。具体的には、この例において、子ノードN3,3 及びN3,4 から収集されるデータを送信するために3個のタイムスロット(1個及び2個のタイムスロットの集計値を表すリソースの第2の推定値)が必要であると推定されたデータを送信するために、2個のタイムスロットが必要であると推定される。言い換えると、親として動作するノードN2,2 について、その子ノードデータを送信するためのリソースの第2の推定値(3個のタイムスロット)が生成されるが、このノードは、より少ない数のリソース(この例示的な場合には、2個のタイムスロットに等しいリソースの第3の推定値)がそのような子ノードデータを送信するために、又は、実施形態に応じてそれ自身のデータとともにそのような子ノードデータを送信するために必要とされると推定する。
【0145】
1つ以上の実施形態において、同じ深さレベルの父ノードにおいて実行されるデータ収集は、同時に実行することができる。所与の深さレベルのデータ収集がすべての関係したノードにおいて同時に実行される実施形態において、フェーズnにおいて、すなわち、所与の深さレベルnのためのすべての同時のデータ収集を完了するために必要とされるリソース(例えば、タイムスロットの数)は、深さレベルnの父ノードにおいてデータを収集するために必要とされるリソースのそれぞれの推定値(例えば、タイムスロットの数)の中の最大値(例えば、最も大きな数)として決定することができる。実際、最も制約的なデータ収集は、最大量のリソースを要するもの(例えば、時間リソースの場合に、最長の時間を要するもの)である。
【0146】
いくつかの実施形態において、深さnのすべての父のリソースのこの最大推定値(例えば、最も大きなタイムスロットの数)は、(それらの父が求めておくことができるすべてのリンクに対応する)すべての求められたタイムスロットの数をコンセントレーターに提供することによって集中型の方法で取得することができる。
【0147】
他の実施形態において、経路選択アルゴリズムの木構造は、有利には、それぞれの部分木に対応するリソースの最大推定値(例えば、最も大きな数)を、コンセントレーターから最も遠いノードからコンセントレーターに、図3によって示されるように深さレベルに基づく段階的な方法で伝播するために使用することができる。リソースのこれらの最大推定値は、有利には、父として動作する各ノードにおいて、それらのノードが根である部分木に関する構成の間に計算されるリソースの第2の推定値を使用して取得することができる。
【0148】
すなわち、いくつかの実施形態において、提案される構成方法は、共通の深さレベルにおけるノードによってデータを送信するために必要とされるリソースのそれぞれの推定値を複数の子ノードから受信することであって、共通の深さレベルは、シーケンスにおける第1の深さレベルの後に続くものであることと、受信されるリソースの推定値の中で最大のものを決定することとを含むことができる。この求められた最大値は、その後、更なる処理のために父ノードへ転送することができる。いくつかの実施形態において、対応する深さレベルにそれぞれ関連したリソースの最大推定値を含むデータセットを各ノードによって生成することができる。例えば、ノードは、その部分木に関して求められたリソースの最大推定値を加えることによってそのような受信されたデータセットを更新し、更新されたデータセットを更なる処理のためにその父ノードへ転送することができる。
【0149】
データ収集が、タイムスロット単位で表される時間リソースを割り当てるTDMA構造に従って管理される実施形態において、深さnの各父ノードは、この父ノードが根である部分木を考えると、この部分木内のn+1からD(Dは木の最大深さレベルである)までの任意の深さのノードのすべてのデータを収集するために必要とされる最も大きな数のタイムスロットを取得することができる。深さn-1の各父は、次に、これらの値をその子ノード(このノードは深さnの父である)から取得し、nからDまでの深さのそれぞれに対応する値にわたって最大値を計算することができる(いくつかの実施形態において、D-n個の値のベクトルを形成して、これらの最大値を記憶することができる)。深さn-1の父は、深さnの子からペイロードを収集するために必要とされるタイムスロットの数も取得することができ、これらの値を集計(例えば合計)し、この結果の数を深さn-1のタイムスロットの数として使用することができる(この結果の数は、D-n個の値のベクトルに付加することができる)。従って、深さn-1の各父は、この父が管理する部分木のすべてのデータの、深さn~Dのノードからの収集に必要とされるタイムスロットの数を求めることができる。深さ0(すなわち、コンセントレーターの深さレベル)に達するまでこの方法を再帰的に適用することによって、コンセントレーターは、各深さレベルのデータ収集、すなわち、データ収集の各フェーズに専用化されるべきタイムスロットの数を求めることができる。
【0150】
図3に戻って、ノード内に示される数字はそれぞれ、父モードにあるときのそれぞれのノードによって管理される部分木内のデータ収集の各フェーズに必要とされるタイムスロットの数を示している。上記に示されたように、ノード内に示された最初の数字(又は、場合によってはノードについて1つの数字のみが示される)は、図示された例では、ノードの子ノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロットのそれぞれの(第1の)推定値の合計に対応するリソースの第2の推定値に対応する。次の数字は、部分木内の各深さにおいて必要とされるタイムスロットの最も大きな数を示している。
【0151】
詳細には、図3に示される深さレベル1のノード(ノードN1,1 、N1,2 、及びN1,3 )の場合に、各ノード内に示される2番目の数字は、深さレベル2において収集されるデータを送信するために必要とされるリソースの推定値に対応するそれぞれの子ノードから受信されたリソースの第2の推定値(タイムスロットの推定された集計数)の中の最も大きな数に対応する。例えば、ノードN1,1 は、その子ノードN2,1 から、そのようなノードによって求められたリソースの第2の推定値(リソースの第1の推定値を集計したもの)(ノードN2,1 上に5個のタイムスロットの数字として示されている)を受信し、その子ノードN2,2 から、そのようなノードによって求められたリソースの第2の推定値(リソースの第1の推定値を集計したもの)(ノードN2,2 上に3個のタイムスロットの数字として示されている)を受信する。データ収集が同じ深さレベルのノードにおいて同時に実行されると仮定すると、これらの2つの集計した数(すなわち、これらの2つのリソースの第2の推定値)の間の最大値は、ノードN1,1 を根とする部分木内のノードからすべてのデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数を表す。すなわち、ノードN2,1 がその子ノードからデータを収集するために5個のタイムスロットが必要とされ、ノードN2,2 がその子ノードからデータを収集するために3個のタイムスロットが必要とされるとすると、max(3,5)、すなわち、多くとも5個のタイムスロットが、ノードN1,1 を根とする部分木内の深さレベル1+1におけるノードによってデータを収集するために必要とされるものと判断することができる。1つ以上の実施形態において、この最も大きな数は、ノードN1,1 において決定される。深さ2のすべての父のタイムスロットの最も大きな数の決定の分散型実施態様では、この数も、ノードN1,1 によってその直接の親ノードへ送信することによってコンセントレーターノード(図3に示される例では、コンセントレーターノードN0 )に向けて伝播することができる。
【0152】
ノードN1,1 と同様に、ノードN1,2 は、その子ノードN2,3 (それぞれN2,4 及びN2,5 )から、そのようなノードによって求められたリソースの第2の推定値(リソースの第1の推定値を集計したもの)(ノードN2,3(それぞれN2,4 及びN2,5 )上に2つ(それぞれ4つ及び1つ)のタイムスロットの数として示されている)を受信する。これらの集計した数(すなわち、これらの2つのリソースの第2の推定値)(2、4、及び1)の中の最大のものは、ノードN1,2 を根とする部分木内のノードからすべてのデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数を表す。すなわち、ノードN2,3 がその子ノードからデータを収集するために2個のタイムスロットが必要とされ、ノードN2,4 がその子ノードからデータを収集するために4個のタイムスロットが必要とされ、ノードN2,5 がその子ノードからデータを収集するために1個のタイムスロットが必要とされるとすると、max(2,4,1)、すなわち、多くとも4個のタイムスロットが、ノードN1,2 を根とする部分木内の深さレベル1+1におけるノードによってデータを収集するために必要とされるものと判断することができる。1つ以上の実施形態において、この最も大きな数は、ノードN1,2 において決定される。深さ2のすべての父のタイムスロットの最も大きな数の決定の分散型実施態様では、この数も、ノードN1,2 によってその直接の親ノードへ送信することによってコンセントレーターノード(図3に示される例では、コンセントレーターノードN0 )に向けて伝播することができる。ノードN1,3 は、その子ノードN2,6 (それぞれN2,7 )から、そのようなノードによって求められたリソースの第2の推定値(リソースの第1の推定値を集計したもの)(子ノードN2,6 (それぞれN2,7 )上に3個(それぞれ5個)のタイムスロットの数として示されている)を受信する。これらの集計した数(すなわち、これらの2つのリソースの第2の推定値)(3及び5)の間の最大値は、ノードN1,3 を根とする部分木内のノードからすべてのデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数を表す。すなわち、ノードN2,6 がその子ノードからデータを収集するために3個のタイムスロットが必要とされ、ノードN2,7 がその子ノードからデータを収集するために5個のタイムスロットが必要とされるとすると、max(3,5)、すなわち、多くとも5個のタイムスロットが、ノードN1,3 を根とする部分木内の深さレベル1+1におけるノードによってデータを収集するために必要とされるものと判断することができる。1つ以上の実施形態において、この最も大きな数は、ノードN1,2 において決定される。深さ2のすべての父のタイムスロットの最も大きな数の決定の分散型実施態様では、この数も、ノードN1,3 によってその直接の親ノードへ送信することによってコンセントレーターノード(図3に示される例では、コンセントレーターノードN0,1 )に向けて伝播することができる。
【0153】
深さレベル1の3つのノードを根とする部分木の深さレベル2におけるノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数にそれぞれ対応するタイムスロットのこれらの3つの最も大きな数(図3に示される例では、5、4、及び5)は、深さレベル2におけるノードのすべてのデータを収集するために必要とされるリソースの最大推定値(タイムスロットの最大数)を求めることができるように、コンセントレーターノードに伝播することができる。深さレベル2のそのようなタイムスロットの数は、レベル2のコンセントレーターノードによって受信されるデータ(タイムスロットの3つの最も大きな数を含む)に基づいて、受信されたデータの中で最も大きなタイムスロットの数として決定することができる。図3に示される例において、max(5,4,5)、すなわち、多くとも5個のタイムスロットが、木全体での深さレベル2におけるノードによってデータを収集するために必要とされるものと判断することができる。
【0154】
図3に示される深さレベル0のノード(コンセントレーターノードN0,1 )の場合に、このノード内に示される最初の数字(16個のタイムスロット)は、その子ノード(N1,1 、N1,2 及びN1,3 )がそれらのデータを送信するためにそれぞれ必要とされる推定されたタイムスロットの数(7個、5個、及び4個のタイムスロット)の集計値(例えば、合計)に対応する。これらの推定されたタイムスロットの数は、そのような子ノードから受信される。ノード内に示される2番目の数字(9個のタイムスロット)は、深さレベル1において収集されるデータを送信するために必要とされるリソースの推定値にそれぞれ対応する、その子ノードによって伝播される推定されたタイムスロットの数(8、9、及び6)の中の最も大きな数に対応する。ノード内に示される3番目の数字(5個のタイムスロット)は、深さレベル2において収集されるデータを送信するために必要とされるリソースの推定値にそれぞれ対応する、その子ノードによって伝播される推定されたタイムスロットの数(5、4、及び5)の中の最も大きな数に対応する。
【0155】
従って、木内の様々な深さレベルにおけるデータ収集に必要とされるタイムスロットの数をコンセントレーターノードに向けて伝播するために、深さレベルnにおける各ノードは、このノードを根とする部分木内の深さレベルn、n+1、…、Dにおけるデータ収集に必要とされるタイムスロットの数のリスト(ベクトルとして記憶することができる)を生成する(Dは、部分木内の最も深い深さレベル又は実施形態に応じて木全体内の最も深い深さレベルであり、コンセントレーターノードは木の最も小さなレベルに割り当てられる)。
【0156】
例えば、図3に示される木(D=3)のコンセントレーターノード(深さレベル0)は、D-0と同じ長さ(又は次元)のリスト又はベクトル[16,9,5]を生成し、ノードN1,1 (深さレベル1)は、D-1と同じ長さ(又は次元)のリスト又はベクトル[8,5]を生成し、ノードN1,2 (深さレベル1)は、リスト又はベクトル[9,4]を生成し、ノードN1,3 は、リスト又はベクトル[6,5]を生成し、深さレベル2のノードN2,1 (それぞれN2,2 、N2,3 、N2,4 、N2,5 、N2,6 及びN2,7 )は、D-2と同じ長さ(又は次元)のリスト又はベクトル[5](それぞれ[3]、[2]、[4]、[1]、[3]、及び[5])を生成する。
【0157】
図4は、深さレベルnのノードを根とする部分木内の深さレベルにおけるデータ収集にそれぞれ必要とされるタイムスロットの数のボトムアップ伝播(すなわち、コンセントレーターノードに向けた伝播)の例示的なプロセス(20)を示している。
【0158】
図4に示されるように、父ノード(深さレベルn)は、その子ノードから、そのような父ノードを根とする部分木内の深さレベル(n+1,・・・,D)におけるノードによってデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値のそれぞれのリストを取得する(21)。
【0159】
父ノードは、その子ノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数のそれぞれの推定値(上述したように、そのような推定値は、実施形態に応じて、父ノード又はそれぞれの子ノードにおいて求めることができる)も取得し(22)、自身がその子ノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数、すなわち、それ自身の深さレベルnにおいてデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数を求める。
【0160】
次いで、父ノードは、この父ノードを根とする部分木内の深さレベル(n,n+1,・・・,D)におけるノードによってデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値のリストを生成することができる(23)。このリストの各項目は、部分木のそれぞれの深さレベルにおけるノードによってデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値に対応する。上記リストの生成は、深さレベル(n+1,…,D)におけるノードによってデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値のそれぞれのリストと、自身がその子ノードから、すなわち、それ自身の深さレベルnにおいて、データを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値とに基づいて行われる。
【0161】
父ノードを根とする部分木内の深さレベル(n,n+1,…,D)におけるノードによってデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数のリストは、父ノードによってそれ自身の父ノード(深さレベルn-1)へ送信され(24)、図4に示されるプロセスは、コンセントレーターノードのレベル(例えば、レベル0)に達するまで、例えば、深さレベルn-1、次のn-2等におけるノードに対して、ループの一部として反復することができる。
【0162】
図3及び図4を参照して上記で説明されたように、本主題開示のデータ収集構成は、いくつかの実施形態において、ループに従って、すなわち、データ収集構成ループを反復して実行することができる。本主題開示の1つ以上の実施形態によるデータ収集構成は、例えば、木の同じ深さレベルにおけるネットワークのノードに対して、ループの各反復において実行することができる。加えて、上述したような、木のノードにおけるデータ収集の構成は、いくつかの後続の構成インスタンスを伴うことができ、例えば、データ収集が後続のインスタンスにおいても実行されるノードの場合には、このノードがそれ自身のデータをその父ノードへ送信する1つのインスタンスと、このノードがその子ノードから収集されるデータをその父へ送信する別のインスタンスとを伴うことができる。
【0163】
1つ以上の実施形態において、木の各深さレベルの必要とされるタイムスロットの数の推定値が求められ、コンセントレーターノードにおいて取得されると、コンセントレーターは、この結果(その成分がそれぞれ、木のそれぞれの深さレベルに必要とされるタイムスロットの数に対応するベクトルとして記憶することができる)をネットワーク全体にわたってブロードキャストすることができる。
【0164】
提案される構成方法は、次に、木の根ノードにおいて、木の深さレベルごとにこの各深さレベルにおけるノードによってデータを送信するために必要とされるリソースの最大推定値を含むデータセットを木のノードへ送信することを更に含むことができる。このデータセットは、対応するリソースの最大推定値(必要とされるタイムスロットの数)及び深さレベルの集合を含むアレイ(例えば、行列)とすることができる。
【0165】
図5は、1つ以上の実施形態におけるコンセントレーターノードにおいて実行される動作(30)を示している。
【0166】
図5に示されるように、木のそれぞれの深さレベルに必要とされるタイムスロットの数の推定値のコンセントレーターによるトップダウン伝播は、1つ以上の実施形態において、コンセントレーターの深さレベルを除く木のすべての深さレベル(すなわち、コンセントレーターが深さレベル0にあると仮定すると、Dを木内の最も深い深さレベルであるとして、深さレベル1、…、D)におけるノードによってデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数のそれぞれのリストをその子ノードから取得すること(31)を含むことができる。
【0167】
コンセントレーターノードは、その子ノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数のそれぞれの推定値(上述したように、そのような推定値は、実施形態に応じて、コンセントレーターノード又はそれぞれの子ノードにおいて求めることができる)も取得し(32)、自身がその子ノードからデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数、すなわち、それ自身の深さレベル0においてデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数を求める。
【0168】
次いで、コンセントレーターノードは、木のすべての深さレベル(0,1,…,D)においてデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値のリストを生成することができる(33)。このリストの各項目は、木のそれぞれの深さレベルにおいてデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値に対応する。上記リストの生成は、深さレベル(11,…,D)におけるノードによってデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値のそれぞれのリストと、自身がその子ノードから、すなわち、それ自身の深さレベル0において、データを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値とに基づいて行われる。
【0169】
1つ以上の実施形態において、木のそれぞれの深さレベルにおいてデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値のリストは、上述した第1のデータ収集構成データに含めることができる。
【0170】
1つ以上の実施形態において、コンセントレーターノードは、木のそれぞれの深さレベルにおいてデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値のリストをブロードキャストすることができ(34)、そのため、木のすべてのノードは、そのようなリストを受信することができる。
【0171】
単なる例として与えられているにすぎない図5において使用されるブロードキャスト送信に代えて、データ収集に参加して、木のそれぞれの深さレベルにおいてデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値のリストを含む第1のデータ収集構成データを受信することになるネットワークの各ノードの任意の適した送信方式、例えば、そのような第1のデータ収集構成データをユニキャスト又はマルチキャスト等する送信方式を使用することができることが当業者によって理解されるであろう。
【0172】
1つ以上の実施形態において、ネットワークのノードは、各フェーズ、すなわち、各深さレベルに使用されるタイムスロットの数の推定値を受信すると、次の情報項目のうちの1つ以上を取得することができる。すなわち、(1)各フェーズ(深さレベル)におけるすべてのタイムスロット数の合計としての全データ収集のタイムスロットの総数;(2)ノードが父として動作するフェーズ(深さレベル)、すなわち、深さレベルのシーケンスにおいて、そのノード自身の深さレベルの直後に続く深さレベルのタイムスロットの数;(3)ノードが父に変化する前に待たなければならないタイムスロットの数;及び(4)ノードが子に変化する前に待たなければならないタイムスロットの数、を取得することができる。
【0173】
上記ノードは、深さレベルnにある場合には、その深さレベルに対応するデータ収集フェーズnの間に、そのデータをいつ送信することができるのか、及び、いくつのタイムスロットの間に送信することができるのか知らない場合がある。従って、1つ以上の実施形態において、データを収集するためのスケジューリングデータを含む第2のデータ収集構成データを搬送するシグナリングが、各父からその子ノードのそれぞれに提供される。例えば、そのようなスケジューリングデータは、そのデータの送信のためのその子ノードのそれぞれへのタイムスロット割り当て、すなわち、各子ノード送信のスケジューリングを含むことができる。いくつかの実施形態において、そのようなスケジューリングは、データを収集するために必要とされるタイムスロットの総数に達するまで、ユーザー間のラウンドロビン方式によって、すなわち、ユーザーの間で交互にリソースを配信することによって、実行することができる。別の手法では、第1の子からデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数に対応するタイムスロットの第1のセットが、上記第1の子に関連付けられ、第2の子以降についても同様である。実施形態に応じて、ラウンドロビンスケジューリングアルゴリズム、比例的公平スケジューリングアルゴリズム、最大スループットスケジューリングアルゴリズム等の任意の適したスケジューリング方式を使用することができる。
【0174】
従って、提案されるデータ収集構造を用いると、有利には、データ収集木内のリング深さレベルに従って各部分木においてデータ収集を作動させる高レベルスケジューリングを定義することができる。これによって、有利には、上述したように、部分木のスケジューリングのシグナリングが削減される。
【0175】
また、通常、このデータ収集フェーズのタイムスロットの数の推定値の中の最も大きな数が、これらの子ノードからのデータの収集から得られたものでない場合には、所与のデータ収集フェーズ(所与の深さレベルに対応する)について割り当てられるタイムスロットの量は、子ノードから収集されるデータをそれらの父(所与の深さレベルにある)に転送するために必要とされる集計したタイムスロットの数よりも多くなることが発生し得る。例えば、図3を参照すると、深さレベル2におけるノードのすべてのデータ収集に必要とされる最も大きなタイムスロットの数は、max(5,3,2,4,1,3,5)、すなわち、5に等しいが、これは、ノードN1,2 を根とする部分木内の深さレベル2におけるノードのすべてのデータ収集に必要とされる局所的な最も大きなタイムスロットの数であるmax(2,4,1)、すなわち、4に等しい数よりも大きい。そのような場合には、父ノードは、いずれにしてもすべての利用可能なタイムスロットを使用するように構成することができ、これは、各リンクのデータレートを減少させ、すべての子の送信間でエラーレートの平衡状態に到達するために有利であり得る。
【0176】
図6は、図3の例示的なネットワーク上で1つ以上の実施形態に従って実行される例示的なデータ収集を示している。
【0177】
上述したように、1つ以上の実施形態において、第1のデータ収集構成データは、データ収集方式に参加するネットワークの各ノードによって取得される。第1のデータ収集構成データは、いくつかの実施形態において、以下においてより詳細に説明される準静的な構成パラメータを含むことができる。実施形態に応じて、そのような第1のデータ収集構成データは、ノードが、コンセントレーターノードから(例えば、第1のデータ収集構成データのネットワーク内のブロードキャストを通じて)取得することができるか、又は、その父から取得することができる。第1のデータ収集構成データが、データ収集に参加するすべてのノードによって取得されると、本主題開示によるデータ収集は、いくつかの実施形態において以下のように実行することができる。
【0178】
1つ以上の実施形態において、データ収集を実行するノードは、父として動作するときに、木の最大の深さに達するまでその子、子の子等のそれらの子のすべてのデータを含む子のペイロードを収集及び集計することができる。ノードは、いくつかの実施形態において、この収集中に送信するデータを有する場合には、それ自身のデータも上記ペイロードに集計することができる。
【0179】
データ収集の各フェーズnにおいて、父ノード及びその子を含むノードの各集合について、子からそれらの父へのTDMA送信を実行するための送信時間リソースを含む第2のデータ収集構成データを生成することができる。いくつかの実施形態において、送信時間リソースは、干渉調整パラメータがある場合には、これらのパラメータに従って生成することができる。
【0180】
所与の深さレベルにおけるデータ収集が、各子ノードがそのペイロードデータを送信するために割り当てられたタイムスロットリソースを用いるTDMA多重アクセス方式を使用する実施形態において、データ収集のフェーズn、すなわち、深さレベルnにおけるネットワークのノードによるデータ収集について生成される送信時間リソースは、構成フェーズ中に取得された木のそれぞれの深さレベルにおけるデータを収集するために必要とされるタイムスロットの数の推定値に対応することができる。
【0181】
例えば、図6を参照すると、深さレベル2(深さレベル2における父ノードがそれらの子ノードからデータを収集することに対応するデータ収集のフェーズ2)におけるデータ収集の送信時間リソースは、5個のタイムスロットを含むことができ、深さレベル1(深さレベル1における父ノードがそれらの子ノードからデータを収集することに対応するデータ収集のフェーズ1)におけるデータ収集の送信時間リソースは、9個のタイムスロットを含むことができ、深さレベル0(深さレベル0におけるコンセントレーターノードがその子ノードからデータを収集することに対応するデータ収集のフェーズ0)におけるデータ収集の送信時間リソースは、16個のタイムスロットを含むことができる。
【0182】
その場合に、データは、例えば、1つ以上の実施形態において本明細書で説明されたような各送信時間リソース内のTDMA構成に従って、各ノードの子ノードのデータ送信をスケジューリングする多重アクセス方式を使用して、深さレベルnにおけるノードについて同時に収集することができる。
【0183】
いくつかの実施形態において、父ノードは、その子ノードからデータを収集すると、その子ノードから収集されたデータにそれ自身のデータを集計することができる。
【0184】
フェーズ0の間、すなわち、コンセントレーターノードによって実行されるデータ収集の間、コンセントレーターは、それ自身の子ノードからデータを収集することができ、その結果、有利には、ネットワーク内のすべてのノードからそれぞれのペイロードデータが収集される。
【0185】
従って、データ収集は、有利には、木の同じ深さレベルにおけるノードについて同時に実行され、これによって、そのレイテンシーは減少し、その効率は高まる。
【0186】
図6に示されるように、ノードN2,1 は、フェーズ2の送信時間リソースの最初の3個のタイムスロットの間にその子ノードN3,1 からデータを収集し、次に、フェーズ2の送信時間リソースの最後の2個のタイムスロットの間にその子ノードN3,2 からデータを収集する。フェーズ2の同じ送信時間リソースの間に、ノードN2,2 は、フェーズ2の送信時間リソースの最初のタイムスロットの間にその子ノードN3,3 からデータを収集し、次に、フェーズ2の送信時間リソースの次の2個のタイムスロットの間にその子ノードN3,4 からデータを収集し、ノードN2,3 は、フェーズ2の送信時間リソースの最初の2個のタイムスロットの間にその子ノードN3,5 からデータを収集し、ノードN2,4 は、フェーズ2の送信時間リソースの最初の4個のタイムスロットの間にその子ノードN3,6 からデータを収集し、ノードN2,5 は、フェーズ2の送信時間リソースの最初のタイムスロットの間にその子ノードN3,7 からデータを収集し、ノードN2,6 は、フェーズ2の送信時間リソースの最初の3個のタイムスロットの間にその子ノードN3,8 からデータを収集し、ノードN2,7 は、フェーズ2の送信時間リソースの最初の2個のタイムスロットの間にその子ノードN3,9 からデータを収集し、次に、フェーズ2の送信時間リソースの最後の3個のタイムスロットの間にその子ノードN3,10からデータを収集する。
【0187】
フェーズ1(9個のタイムスロットの持続時間)の送信時間リソース内において、ノードN1,1 は、フェーズ1の送信時間リソースの最初の6個のタイムスロットの間にその子ノードN2,1 からデータを収集し、次に、フェーズ1の送信時間リソースの次の2個のタイムスロットの間にその子ノードN2,2 からデータを収集し(従って、フェーズ1の送信時間リソースの9個のタイムスロットのうちの8個しか使用しない)、ノードN1,2 は、フェーズ1の送信時間リソースの最初の4個のタイムスロットの間にその子ノードN2,3 からデータを収集し、フェーズ1の送信時間リソースの次の3個のタイムスロットの間にその子ノードN2,4 からデータを収集し、次に、フェーズ1の送信時間リソースの最後の2個のタイムスロットの間にその子ノードN2,5 からデータを収集し(従って、フェーズ1の送信時間リソースの9個のタイムスロットのすべてを使用する)、ノードN1,3 は、フェーズ1の送信時間リソースの最初の2個のタイムスロットの間にその子ノードN2,6 からデータを収集し、次に、フェーズ1の送信時間リソースの次の4個のタイムスロットの間にその子ノードN2,7 からデータを収集する(フェーズ1の送信時間リソースの9個のタイムスロットのうちの6個しか使用しない)。
【0188】
フェーズ0(16個のタイムスロットの持続時間)の送信時間リソース内において、コンセントレーターノードN0 は、フェーズ0の送信時間リソースの最初の7個のタイムスロットの間にその子ノードN1,1 からデータを収集し、フェーズ0の送信時間リソースの次の5個のタイムスロットの間にその子ノードN1,2 からデータを収集し、次に、フェーズ0の送信時間リソースの最後の4個のタイムスロットの間にその子ノードN1,3 からデータを収集する。
【0189】
同じフェーズの間のデータ収集が(このデータ収集フェーズに対応する深さレベルの父ノードの間で)同時に実行される実施形態において、特に、子ノードとして動作し、その結果、データをそれらのそれぞれの父ノードへ送信し、データ収集に関与するノードが地理的に互いに接近して位置している場合には、図7Aに示されるように、干渉が発生する場合がある。
【0190】
図7Aにおける点線は、同じ深さレベルのノードの間に発生する干渉を示している。例えば、子ノードN2,3 からその父ノードN1,1 へのデータの送信は、子ノードN2,5 からその父ノードN1,3 へのデータの送信と干渉するものとして示されている。
【0191】
そのような干渉と戦う従来の方法は、送信機間に直交リソースを割り当てることである。いくつかの実施形態において、直交時間リソースを割り当てることができ、すなわち、そのような直交リソースを時間領域において送信機間に割り当てることができる。しかしながら、時間領域において直交リソースを割り当てると、その結果、送信がもはや同時ではなくなるので、データ収集レイテンシーが増加する。
【0192】
いくつかの周波数チャネルがネットワークにおいて送信リソースとして利用可能である他の実施形態において、同じ深さレベルにおける父ノードは、干渉が発生しないように、既定の周波数ギャップによって分離される場合があり、別個の周波数チャネル上で受信を行うように構成することができる。子ノードも、そのような別個の周波数チャネル上で送信を行うように構成することができる。例えば、子ノードは、5MHz帯域幅の16個の異なる周波数チャネルを使用することができるISM帯域において5MHz信号を送信するように構成することができる。
【0193】
そのような実施形態では、同じ深さレベルnの2つの隣接する父が同じ周波数チャネルを使用しない周波数計画を使用することができる。同じ深さレベルの隣接する1対の父は、同じ父ノードの子ノードである可能性が高いので、この周波数計画は、図7Bに示されるように、深さレベルnのノードに対して、深さレベルn-1のそれらのそれぞれの父が実行することができる。父ノードがK個の子を有し、L>K-1個のチャネルが存在する場合には、父ノードは、L個のチャネルの中からK個の異なるチャネルを選択することができる。
【0194】
従って、各父は、その子ノードのそれぞれに異なる周波数チャネルを長期構成パラメータとして提供することもでき、1つ以上の実施形態において、各部分木マスターは、その子によって管理される部分木の周波数計画を定義することができる。これによって、有利には、向上した効率を有する部分木間干渉管理が可能になる。
【0195】
それにもかかわらず、干渉が2つ以上のノードによって経験される場合には、例えば、干渉を経験している子ノードの新たな周波数チャネルをランダムに選択することによって、周波数計画を父ノードによって動的に調整することができる。よりロバストなグラフ彩色アルゴリズムを使用して、干渉が残存していないことを確認することができる。例えば、いくつかの実施形態において、父ノードは、その子ノードが周波数計画について、それら自身の子ノードに対して父ノードとして動作するときに、上記その子ノードによって管理される周波数計画を調整することができる。
【0196】
1つ以上の実施形態において、データ収集レイテンシーは、2つ以上の深さレベルの同時のデータ収集を実行することによって更に削減することができる。同時のデータ収集を実行する深さレベル候補は、好ましくは、同時のデータ収集が、データの収集に影響を及ぼす干渉を生成しないように選ぶことができる。これは、本主題開示によるリングベースのデータ収集フェーズの使用によって可能になる。
【0197】
いくつかの実施形態において、2つのリングが、互いに十分異なる深さレベルのシーケンスにおける深さインデックスを有する限り、それらの2つのリングの2つのノード間のそれぞれの距離は、必要とされる分離を提供するのに十分なものであり、その結果、それらの2つのノードの送信によって生成される干渉レベルは低くなると考えることができる。
【0198】
図8は、いくつかのリングの同時データ収集を示すとともに、外側のリングからコンセントレーターへのデータ収集が6つの同時データ収集フェーズを必要とすることを示している。第1の同時データ収集フェーズの間に、深さレベル6及び深さレベル3のデータ収集が同時に(すなわち、同じ送信時間リソースを使用して)実行される。すなわち、データは、深さレベル6(上述した実施形態のフェーズ5に対応する)におけるノードから収集されるとともに、データは、同時に、深さレベル3(上述した実施形態のフェーズ2に対応する)におけるノードから収集される。後続の第2の同時データ収集フェーズの間に、深さレベル5及び深さレベル2のデータ収集が同時に実行される。第3の同時データ収集フェーズ(第2の同時データ収集フェーズに続く)の間に、深さレベル4及び1のデータ収集が同時に実行される。第4の同時データ収集フェーズの間に、深さレベル3のデータ収集が同時に実行される。このデータ収集は、父ノードによって情報を中継することのみにその本質がある。なぜならば、父ノード自身のデータは、第1の同時データ収集フェーズの間に既に収集されているからである。第5の同時データ収集フェーズの間に、深さレベル2のデータ収集が同時に実行される。このデータ収集は、父ノードによって情報を中継することのみにその本質がある。なぜならば、父ノード自身のデータは、第2の同時データ収集フェーズの間に既に収集されているからである。最後に、コンセントレーターが、第3の同時データ収集フェーズの間に受信されていない残りのすべてのデータを最後の同時データ収集フェーズの間に収集する。この例では、深さ1、2、及び3のリングは、第3の同時データ収集フェーズの終わりに既に収集されており、第4の同時データ収集フェーズの開始時にそれらの深さレベルから収集されるデータはない。従って、後続の同時データ収集フェーズ(図8の例では、第4の同時データ収集フェーズ、第5の同時データ収集フェーズ、及び第6の同時データ収集フェーズ)においてデータをコンセントレーターに転送するタイムスロットの数は、深さ3、2、及び1のノードのデータが付加されるべき実施形態に関して削減される。
【0199】
これによって、更に有利には、いくつかの実施形態において、いくつかのリングが十分に分離されている場合には、それらのリングの同時のデータ収集(例えば、リング1及び4が同時に作動される)を通じて、時間周波数再利用の改善された調整及び制御(衝突及び干渉の制御)が可能になり、これによって、データ収集時間を削減することが可能になる。
【0200】
2つ以上の深さレベルのデータ収集が同時に実行されるこれらの実施形態において、コンセントレーターノードは、いくつかの構成フェーズを並列に動作させるように構成することができる。各メタフェーズは、構成フェーズを開始するコンセントレーターによってブロードキャストされる深さのサブセットの収集を扱う。
【0201】
データ収集及び構成は、同時リング収集がない上述した実施形態に従って実行することができ、唯一の相違は、ノードがメタフェーズの深さの集合に属しない場合には、そのノードは、システム内で送信するそれ自身のデータを有していないかのように動作するということである。これは、ノードが、シグナリングフェーズの間にそれ自身のデータペイロードとともに転送されるペイロードを増加させないことと、構成フェーズにおいてそのデータをペイロードに付加しないこととを意味する。
【0202】
いくつかの実施形態において、メタフェーズは、収集される深さのインデックスによって特徴付けることができる。例えば、図8について、2つのメタフェーズは{1,2,3}及び{4,5,6}である。各ノードは、メタフェーズベクトルからその役割を推論することができる。すなわち、メタフェーズベクトルにおける最大数は、同時データ収集フェーズの数(この例では6)及び第1のデータ収集構成ベクトルの長さである。例えば、深さ3のノードは、3が第1のメタフェーズに属するので、第1の同時データ収集フェーズにおいてそのデータを送信することと、第3の同時データ収集フェーズにおいてそのデータを付加することなく情報を中継することとを知っている。メタフェーズベクトル{p1,p2,…,pm}の実施形態において、max(p1,p2,…,pm)-d番目の同時データ収集フェーズの間に、深さdにおけるノードを父として作動させることができる。メタフェーズベクトルの最も深い深さにおけるノードは、父として決して作動されない場合がある。max(p1,p2,…,pm)よりも大きな深さdにおけるノードは、メタフェーズベクトル{p1,p2,…,pm}によって特徴付けられるメタフェーズの間にそれ自身のデータを決して送信しない場合がある。
【0203】
さらに、いくつかの実施形態において、第1の同時データ収集フェーズの間のリング3及び6、第2の同時データ収集フェーズの間のリング2及び5、第3の同時データ収集フェーズの間のリング1及び4の同時収集について定められるタイムスロットの数は、データ収集のそれぞれについて独立に定められるタイムスロットの数の間で最も大きな数でなければならない。従って、コンセントレーターノードは、各同時データ収集の構成を並列に受信した後、フェーズにおける同時データ収集に関連したタイムスロットの最大数を求め、この結果を第1のデータ収集構成としてブロードキャストすることができる。従って、所与のメタフェーズ構成について、コンセントレーターは、いくつかの実施形態において、深さごとのタイムスロットの最大数のベクトルを受信する。次に、コンセントレーターは、各メタフェーズの異なるベクトルの中で深さごとの最大値を適用し、結果のベクトルを各フェーズに使用されるべき最終タイムスロット数として、メタフェーズ構成とともにブロードキャストする。メタフェーズ構成から、ノードは、いつ受信及び送信すべきか、及び、それら自身のデータを付加すべきか否かを知る。
【0204】
提案される方法は、有利には、分散形式で、すなわち、本主題開示の実施形態によるデータ収集を実行するコンピュータネットワークの各ノードによって、実行することができる。
【0205】
1つ以上の実施形態において、データ収集構成フェーズは、以下の動作を含むことができる。
【0206】
C1:分散形式において、集計されたデータのペイロードを各ノードにおいて求めること。例えば、各ノードは、子ノードとして動作するデータ収集フェーズ中にその父へ送信しなければならない集計したペイロードデータを求める。
【0207】
C2:分散形式において、(父と子との間の各リンクについて)、集計されたペイロードデータを各ノードからそれらの父に転送するために必要とされるタイムスロットの数の推定値を求めること:例えば、父は、その後、そのようなペイロード(その子ノードから受信したもの)を、場合によっては、この父のペイロードとともにそれ自身の父へ送信するために必要となるタイムスロットの数の推定値を求める。
【0208】
C3:準集中型形式(各ノードにおける決定及びコンセントレーターにおける最終決定のボトムアップ伝播)において、各データ収集フェーズに必要とされるタイムスロットの数を求めること。
【0209】
C4:各フェーズに必要とされるタイムスロットの最終の数をコントラクターによってシステム内のすべてのノードにブロードキャストすること。
【0210】
C5:分散形式(各父による)において、各子ノードがそのデータ(各子ノードのスケジューリング)を送信するために使用するタイムスロットを決定すること。
【0211】
C6:任意選択として、各子が父として動作しているときに各子が使用することができる干渉調整パラメータを求めること。
【0212】
そのような実施形態において、データ収集は、次に、以下の動作を含むことができる。
【0213】
DC1:データ収集の各フェーズnにおいて、父及びその子の各集合について、干渉調整パラメータがある場合には、これらのパラメータに従って、子からそれらの父にTDMA送信を実行するためのフレームを定義すること。
【0214】
DC2:各フレーム内でTDMA構成に従ってデータを収集すること。
【0215】
DC3:各父について、それら自身のデータ(存在する場合)を、それらの子の収集されたデータに集計すること。
【0216】
DC4:コンセントレーターについて、フェーズ0の間に、その子のすべてのデータを収集し、集計されたデータからすべてのノードのデータを回復すること。
【0217】
本主題開示の別の態様によれば、プロセッサと、このプロセッサに動作可能に結合されたメモリとを備えるコンピュータネットワークにおいて、ネットワークノードとして機能するように構成される装置であって、プロセッサは、コンピュータネットワークを管理する上記方法を実行するように構成される装置も提案される。
【0218】
図9は、本主題開示の実施形態によるネットワーク管理機構を使用するように構成される例示的なネットワークノード1を示している。
【0219】
ネットワークノード1は、制御エンジン2と、ネットワーク管理エンジン3と、データ通信エンジン4と、メモリ5と、電源(例えば、電池、プラグイン電源等)(図示されない)とを含む。
【0220】
図9に示されるアーキテクチャにおいて、ネットワーク管理エンジン3、データ通信エンジン4、及びメモリ5は、すべて制御エンジン2を通して互いに動作可能に結合される。
【0221】
1つの実施形態において、ネットワーク管理エンジン3は、本明細書で説明されたようなネットワーク管理のための提案される方法の実施形態の種々の態様を実行するように構成される。
【0222】
1つの実施形態において、データ通信エンジン4は、データパケットを受信及び送信し、受信したパケットを処理するように構成される。
【0223】
制御エンジン2はプロセッサを含み、プロセッサは、任意の適切なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラー、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Arrays)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuits)、デジタル信号処理チップ、及び/又はステートマシン、又はそれらの組み合わせとすることができる。種々の実施形態によれば、コンピュータの1つ以上を、並列計算を提供するための複数のプロセッサを有するマルチプロセッサコンピュータとして構成することができる。また、制御エンジン2は、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに本明細書において説明される要素を実行させるコンピュータプログラム命令又はソフトウェアコードを記憶することができ、限定はしないが、メモリ5等のコンピュータ記憶媒体を備えることができるか、又はコンピュータ記憶媒体と通信することができる。さらに、メモリ5は、ネットワークノード1が属するコンピュータネットワークを表すデータ構造を記憶することができ、制御エンジン2に結合され、それに関連付けて記憶されるデータパケットの管理及び処理を容易にするためにデータ通信エンジン4及びネットワーク管理エンジン3とともに動作可能な任意のタイプのデータ記憶コンピュータ記憶媒体とすることができる。
【0224】
本主題開示の実施形態において、ネットワークノード1は、本明細書において説明されたネットワーク管理方法を実行するように構成される。
【0225】
図9を参照しながら図示及び説明されるネットワークノード1は、一例として与えられるにすぎないことは理解されよう。数多くの他のアーキテクチャ、動作環境、及び構成が可能である。ノードの他の実施形態は、より少ない数、又はより多くの数の構成要素を含む場合があり、図9に示されるネットワークノード構成要素に関して説明された機能のいくつか又はすべてを組み込む場合がある。従って、制御エンジン2、ネットワーク管理エンジン3、データ通信エンジン4及びメモリ5がネットワークノード1の一部として示されるが、構成要素2~5の場所及び制御に関して制約は課せられない。詳細には、他の実施形態では、構成要素2~5は、異なるエンティティ又はコンピューティングシステムの一部とすることができる。
【0226】
本主題開示による実施形態の利点には、以下のものが含まれる。
【0227】
最適化されたデータ収集時間:経路選択及びスケジューリングのアルゴリズムは、データ収集時間である大域的な効用関数に基づいて決定を行うことができる。
【0228】
高スケーラビリティ:本解決策は、少数のノードのネットワークから10000ノードを越えるネットワークに至るまで使用することができる。この要件によって、従来技術の最適化された解決策のほとんどを考慮する余地はない。
【0229】
低シグナリング:経路選択及びスケジューリングのシグナリングのオーバーヘッドは低く維持される。これは、最適化されたデータ収集時間を提供する従来技術の解決策には当てはまらない。
【0230】
低コスト:提案される解決策は、各ノードにおける処理複雑度を妥当なレベルで引き続き維持しながら分配形式で実施することができる。
【0231】
進化型物理レイヤ認識(advanced physical layer aware):提案される解決策は、適応変調機構及びデータ集約機構に適合している。
【0232】
セルフヒーリング:容易且つ反応的な構成。
【0233】
本発明は或る特定の好ましい実施形態との関連で開示されてきたが、そのシステム、デバイス、及び方法の或る特定の利点、特徴及び態様は、種々の他の実施形態において実現される場合があることは理解されたい。さらに、本明細書において説明される種々の態様及び特徴は、別々に実施するか、互いに組み合わせるか、又は互いに代用することができること、並びに特徴及び態様の種々の組み合わせ及び部分的な組み合わせを行うことができ、それでも本発明の範囲に入ることを意図している。さらに、上記のシステム及びデバイスは、好ましい実施形態において説明されたモジュール及び機能のすべてを含む必要はない。
【0234】
本明細書において説明される情報及び信号は、種々の異なる技術及び技法のいずれかを用いて表すことができる。例えば、データ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁気粒子、光場若しくは光子、又はその任意の組み合わせによって表すことができる。
【0235】
実施形態によっては、本明細書において説明された方法のいずれかの或る特定の動作、イベント、又は機能は、異なる順序において実行することができるか、追加されるか、統合されるか、又はすべて除外される場合がある(例えば、方法を実施するために、説明されるすべての動作又はイベントが必要とされるとは限らない)。さらに、或る特定の実施形態では、動作又はイベントは、順次にではなく、同時に実行される場合がある。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9