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特許7142736電磁干渉の存在下での高精度かつ高安定性の磁気変位センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】電磁干渉の存在下での高精度かつ高安定性の磁気変位センサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/14 20060101AFI20220916BHJP
   G01B 7/06 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
G01B7/14
G01B7/06 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021012240
(22)【出願日】2021-01-28
(65)【公開番号】P2021135288
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】16/801,821
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508322831
【氏名又は名称】ハネウェル・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【弁理士】
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン・ティッカー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ヒューズ
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0123773(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0157314(US,A1)
【文献】特表2002-533661(JP,A)
【文献】特開2010-38597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料シートの特性を監視するためのシステム(2)であって、前記材料シートが、第1の側及び第2の側を有し、
前記材料シートの前記第1の側に隣接して配置された第1の部材(4)であって、磁場(18、24)を生成するためのコイルを有する、第1の部材(4)と、
前記材料シートの前記第2の側に隣接して配置された第2の部材(6)であって、前記磁場を検出し、かつ第1の電気信号を生成する、第1の磁気センサ(20)と、前記磁場を検出し、かつ第2の電気信号を生成する、第2の磁気センサ(22)と、を有する、第2の部材(6)と、
前記第1及び第2の部材間の距離の変化を判定するために、前記第1の電気信号及び前記第2の電気信号を分析する手段と、を備え
前記第1の磁気センサ及び前記第2の磁気センサが、タンデムに配置される第1及び第2のフラックスゲート磁気センサからなり、前記第1及び第2のフラックスゲート磁気センサと前記コイルが同軸上に位置される、システム。
【請求項2】
前記第1の部材(4)が、第1の装着ヘッドを有し、前記第2の部材(6)が、第2の装着ヘッドを有し、前記2つの装着ヘッドが、前記材料シートが位置付けられるギャップ(54)を画定し、前記第1の電気信号及び前記第2の電気信号(40)を分析するための前記手段が、前記ギャップ(54)の前記距離を判定する、請求項1に記載のシステム(2)。
【請求項3】
前記第1の電気信号及び前記第2の電気信号を分析する手段が、前記第1及び前記第2の部材間の距離を導き出すために、前記第1及び前記第2の電気信号の比又は差を分析する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
第1の側及び第2の側を有するウェブの厚さを測定する方法であって、
前記ウェブ(8)の前記第1の側に第1の距離センサ(10)を提供することと、
前記第1の距離センサ(10)を有する前記ウェブ(8)の前記第1の側に対する前記第1の距離センサ(10)の位置を判定することと、
前記ウェブ(8)の前記第2の側に第2の距離センサ(14)を提供することと、
前記第2の距離センサ(14)を有する前記ウェブ(8)の前記第2の側に対する前記第2の距離センサ(14)の位置を判定することと、
前記ウェブ(8)の前記第1の側で前記第1の距離センサ(10)に対して固定された場所でコイルにより磁場を生成することと、
前記ウェブ(8)の前記第2の側で前記第2の距離センサ(14)に対してそれぞれの固定された第1及び第2の場所に第1及び第2の磁気センサ(20、22)を位置付けることと、
前記第1及び第2の磁気センサ(20、22)で前記磁場を測定することと、
前記第1及び第2の磁気センサ(20、22)による前記磁場の測定値から前記ウェブ(8)の前記厚さを判定することと、を含
前記第1及び第2の磁気センサが、タンデムに配置される第1及び第2のフラックスゲート磁気センサからなり、前記第1及び第2のフラックスゲート磁気センサと前記コイルが同軸上に位置される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、連続シート材料のパラメータを判定するためのスキャナ測定システムに関し、より具体的には、電気化学セル及びバッテリ用のアノード及びカソードを製造するために使用されるコーティングされた金属箔及び基板などの金属を含むシート材料の非接触の厚さ又はキャリパ測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動ウェブ又はシートの厚さを測定するための多数の方法が存在する。例えば、非接触レーザキャリパ装置は、ウェブの両側でレーザ源を備え、その光は、ウェブ表面上に向けられ、その後、受信機に反射される。その後、受信されたレーザ信号の特性は、各受信機からウェブ表面までの距離を判定するために使用される。これらの距離が共に加算され、結果が、2つのレーザ受信機間の距離に対する既知の値から減算される。結果は、ウェブの厚さを表す。
【0003】
2つのレーザセンサ間の距離の変化の可能性を補償するために、従来技術のシステムは、2つのレーザセンサ間の距離を検出するために渦電流センサを組み込む。典型的には、渦電流センサは、頂部センサに対して固定された上方センサ筐体でのRFコイルと、下方レーザセンサに対して固定された下方センサ筐体での金属ターゲットと、を備える。これらの非接触デバイスは、紙及びプラスチックを測定することに好適であるが、リチウムイオンバッテリ用のアノード及びカソードの製造で使用されるコーティングされた基板などの導電性材料を測定することに好適ではない。
【0004】
本技術は、金属含有材料で作製された連続的な移動する不均一なウェブ上に形成されたコーティング及びフィルムの厚さ及び関連特性を測定するための正確で再現可能な技術が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、頂部スキャンヘッドと底部スキャンヘッドとの間の距離を測定する高精度かつ高安定性の変位センサの開発に部分的に基づく。変位センサは、リチウムイオン電気化学セル及びバッテリに好適な導電性アノード及びカソードの製造で使用されるコーティングされた金属基板などの金属材料を介して読み取る。変位センサは、1ミクロンよりも優れた精度を示す。
【0006】
一態様では、本発明は、
【0007】
第1の動作表面を画定する第1の筐体に位置付けられた磁場の源と、
【0008】
第1の動作表面から離間した第2の動作表面を画定する第2の筐体であって、磁場を測定するように構成された第1の磁気センサと、磁場を測定するように構成された第2の磁気センサと、を含む、第2の筐体と、
【0009】
第1及び第2の磁気センサからの磁場測定値から第1及び第2の動作表面間の分離を計算するための手段と、を含む、磁気絶対変位センサを対象とする。
【0010】
磁場を生成するために、永久磁石が使用され得る。代替的に、第1の筐体で磁場を生成するために、直流又は交流電流によって駆動される電磁コイルが使用され得る。
【0011】
別の態様では、本発明は、金属を含み得る材料シートの特性を監視するためのシステムであって、シートが、第1の側及び第2の側を有し、
【0012】
材料シートの第1の側に隣接して配置された第1の部材であって、磁場を生成するための手段を有する、第1の部材と、
【0013】
材料シートの第2の側に隣接して配置された第2の部材であって、磁場を検出し、かつ第1の電気信号を生成する、第1の磁気センサと、磁場を検出し、かつ第2の電気信号を生成する、第2の磁気センサと、を有する、第2の部材と、
【0014】
第1の電気信号及び第2の電気信号を分析して、第1及び第2の部材間の距離の変化を判定するための手段と、を含む、システムを対象とする。
【0015】
更に別の態様では、本発明は、第1の側及び第2の側を有するウェブの厚さを測定する方法であって、
【0016】
ウェブの第1の側に第1の距離センサを提供することと、
【0017】
第1の距離センサを有するウェブの第1の側に対する第1の距離センサの位置を判定することと、
【0018】
ウェブの第2の側に第2の距離センサを提供することと、
【0019】
第2の距離センサを有するウェブの第2の側に対する第2の距離センサの位置を判定することと、
【0020】
ウェブの第1の側で第1の距離センサに対して固定された場所で磁場を生成することと、
【0021】
ウェブの第2の側で第2の距離センサに対してそれぞれの固定された第1及び第2の場所に第1及び第2の磁気センサを位置付けることと、
【0022】
第1及び第2の磁気センサで磁場を測定することと、
【0023】
第1及び第2の磁気センサによる磁場の測定値からウェブの厚さを判定することと、を含む、方法を対象とする。
【0024】
磁気変位センサは、好ましくは、監視されているシートが電磁コイル及び磁気センサを包囲する2重スキャナヘッド間を移動する、オンラインスキャンシステムに組み込まれる。2重スキャナヘッドは、典型的には0.005~5mmの厚さを有するシートに対して交差方向に沿って前後に横断する。スキャンシステムの一実施形態は、2つのスキャナヘッドが取り付けられている2重アーム又は部材を有するスライド可能に移動可能なCフレーム構造を採用する。Cフレームでは、磁気センサ及び他のセンサは、細長い部材上に直接装着され得、その結果、スキャナヘッドが必要とされない。この構成では、永久磁石は、2重磁場センサを有する他の部材とは反対の細長い部材のうちの1つに統合されるか、又はそれに取り付けられ得る。磁気センサは、上方スキャナヘッドと下方スキャナヘッドとの間の測定ギャップ又はチャネルに既知の厚さのターゲットサンプルを位置付けることによって較正され得る。ターゲットサンプルは、箔又は標準化タイルであり得る。ターゲットサンプルは、光学変位センサによって測定される。ギャップは、OD1+OD2+tであり、ODxは、光学変位読み取り値であり、tは、厚さである。これは、磁気センサからの読み取り値と比較され得る。
【0025】
次いで、ギャップサイズは、Cフレーム構造の上方アーム上に一連の重りを配置することによって調整される。ギャップサイズ調整は、光学変位センサによって検出される。曲線又は数学関数は、曲線当てはめ技術を使用してデータから構築される。曲線又はパラメトリック方程式は、2つの磁気センサからの読み取り値の数学的動作をギャップのサイズ又は距離と相関させる較正である。
【0026】
本発明は、リチウムイオンセル及びバッテリ用のアノード及びカソードの生産における品質制御に特に適している。これらの電極を作製する際、金属基板又は箔は、アノード又はカソード組成物でコーティングされ、次いで、コーティングされた箔は、電極の最終的なキャリパを制御する組み立てプロセスのプレスセクションで処理される。キャリパ又は厚さは、重要な電極仕様である。
【0027】
発明の変位センサは、典型的には銅又はアルミニウム基板で構成された電極を介して読み取る。リチウムイオンバッテリ仕様を満たすために、1ミクロンよりも優れた精度が必要とされる。従来の渦電流センサは、導電性電極のため、使用することができない。更に、磁場を測定する2つの独立した磁気センサを採用する変位センサは、必要とされる精度及び再現性を示す。更に、それは、電力線、モータ、及びスチールロールによって生成される磁場の干渉に対して非常に敏感であるというわけではない。
【0028】
数十mテスラの1KHz正弦波磁場は、上方スキャナヘッドに位置付けられた電磁コイルによって生成され得ることが実証されている。時間変化の磁場は、下方スキャナヘッドで数センチメートル離れて位置付けられた、2つの磁気センサ、典型的には、2つのフラックスゲートセンサによって感知され得る。磁気センサからの信号は、同期信号として1KHzコイル信号を使用して復調される。正確な変位測定は、2つの磁気センサ復調信号の数学関数(比又は差など)によって与えられる。
【0029】
1KHz変調/復調スキームは、静的又は時間変化のいずれかで磁場に干渉する効果をフィルタリングしながら、ノイズに対する高い信号を有する信号を生成する。2つの磁気センサ出力の比(又は差)は、コイルを通って流れる電流の変動の効果をキャンセルし、高安定性かつ信頼性の高い測定を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】厚さ測定装置のスキャナヘッドの概略図である。
【0031】
図2】厚さ測定装置の動作を示す。
【0032】
図3】並進機構に装着されているCフレーム構造に固定されたスキャナヘッドを有するオンラインスキャンシステムを示す。
【0033】
図4】別のオンラインスキャンシステムを示す。
【0034】
図5】ビオ・サバールの法則から計算される中心線に沿った磁束密度対距離のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、機械方向(Machine Direction、MD)に移動するウェブ又はシート8の両側に位置付けられた、上方及び下方感知スキャナ筐体又はヘッド4及び6を含む、非接触のキャリパセンサシステム2の実施形態を示す。上方筐体4の下方表面11及び下方筐体6の上方表面15は、ウェブ8が移動する測定ギャップ又はチャネル54を画定する。キャリパ測定が、交差方向でウェブ8にわたってスキャン方法で実行される場合、ヘッドは、移動ウェブを横断するように互いに直接移動するように位置合わせされる。好ましい実施形態では、上方ヘッド4は、下方表面11と移動ウェブ8の頂部表面との間の垂直距離を測定する第1の光学変位センサ10を含む。同様に、下方ヘッド6は、上方表面15と移動ウェブ8の底部表面との間の垂直距離を測定する第2の光学変位センサ14を含む。第1及び第2の光学変位センサ10及び14にそれぞれ隣接する筐体表面11及び15は、開口11及び12を画定する。埃がこれらの開口を通ってスキャナヘッドに入るのを防止するために、パージエアが使用される。好適な光学変位センサは、共焦点撮像変位センサ、Keyence CorporationのモデルCL-3000である。
【0036】
光学変位センサに加えて、レーザベースの三角測量デバイス、核、IR、RF、レーダ、又はマイクロ波放射ベースのデバイス、音響ベースのシステム、空気式ベースのデバイスが採用され得る。
【0037】
キャリパセンサシステム2はまた、上方ヘッドと下方ヘッドとの間の距離を判定するために磁気変位又は距離測定機構を組み込む。機構は、上方ヘッド4に位置付けられた電磁コイル18と、下方ヘッド6に位置付けられた第1及び第2の磁気センサ20、22と、を含む。2つの磁気センサは、好ましくは、タンデムに位置付けられており、軸に沿ってコイルと位置合わせされる。電磁コイルは、1対の磁気センサによって測定される磁場を生成するために、直流又は交流電流源に接続されている。電磁コイル及び関連する駆動電流源を使用する代わりに、上方筐体4内の磁場の源として永久磁石が使用され得る。
【0038】
図1に示される構成では、コイル18は、復調回路30及び32に対する参照信号42も生成する交流電流源24によって駆動される。磁場がコイル18によって生成されるとき、フラックスゲート磁気センサ20及び22は、復調回路30及び32にそれぞれ送信される信号を生成する。好適なフラックスゲート磁気センサは、Texas InstrumentsのモデルDRV425である。典型的には、フラックスゲートセンサは、最大2mTの磁場を測定するだけである。第1のフラックスゲート20で磁場を最大化することが好ましく、その結果、それは、外部の場が所望の信号に干渉する可能性を低減するために、この限度に近い。復調された出力は、アナログデジタル変換器(Analog-to-Digital Converter、ADC)36及び38でデジタル化され、コンピュータ40に送信される。代替的に、磁気センサからの信号は、同期信号42に依存せずに、自己復調を受けて、復調された出力を生成し得る。磁気センサ20及び22からの2つの測定された電圧は、磁場に比例する。ルックアップテーブル及び/又はパラメトリック方程式を含むマイクロプロセッサ及びメモリを含むコンピュータは、2つの測定された電圧を分析し、2つの光学変位値を適用してウェブ8のキャリパを計算する。
【0039】
データを分析し、変位を取得する1つの方法は、2つの電圧の比又は差を利用することである。コイルの軸に沿ったポイントでの磁束密度は、ビオ・サバールの関係で計算され得、コイル軸に沿ったコイルからの距離の逆3乗に比例する。したがって、2つのセンサの位置での磁束密度の比は、コイルからのセンサの距離の比の3乗に関連する。B=μNIAR/(2(R+Z3/2)であり、式中、μ=真空透過率、N=コイルの巻き数、I=コイルを通る電流、A=コイルによって囲まれた面積、Z=コイルからセンサまでの距離、R=コイルループの半径である。したがって、B/B={(R+Z )/(R+Z )}3/2である下付き文字1及び2は、センサ20及び22に対する、測定された磁束密度及びコイル-センサ距離を指す。センサ間の距離が固定され、Zがセンサ分離距離によってZに関連するため、コイル-センサ距離は、上記の関係、及び磁束密度比の変化から取得されるコイル-センサ距離の変化を介して計算され得る。次いで、コイル-センサ距離の変化が、非接触のキャリパセンサの光学変位デバイスの上方ヘッド及び下方ヘッドの分離距離の変化を修正するために使用され得る。同様に、2つのセンサ場所での磁束密度間の差を利用する関係が、コイル-センサ距離及びコイル-センサ距離の変化を計算するために使用され得る。
【0040】
図2は、アノード層又はカソード層28でコーティングされた金属基板26で構成されたウェブ8の厚さを測定する際のキャリパセンサシステム2の動作を示す。光学変位センサ10は、開口12からコーティング28の表面までの距離lを測定し、光学変位センサ14は、開口16から金属基板26までの距離lを測定する。例示の目的のために、センサ10の下方表面は、開口12に位置付けられており、したがって、頂部筐体4の下方表面11と同一平面上にあり、同様に、センサ14の上方表面は、開口16に位置付けられており、したがって、下方筐体6の上方表面15と同一平面上にある。
【0041】
この構成では、電磁コイル48は、螺旋構造を有し、2つの磁気センサ20、22は、コイルと同軸上に位置している。フラックスゲート磁気センサの場合、内部のコイルは、電磁コイル48に対して非常に小さいことに留意されたい。電磁コイル又は永久磁石を設計する際、多くの場合、ギャップ変化に対する最も高い感度を取得するために、場が距離と共に急速に減衰するように、小さいものを選択することが好ましい。磁気センサ20及び22の概略描写は、拡大されている。コイル48は、典型的には、磁気センサ20から5~25mm分離されており、磁気センサ22から10~25mm分離されている。好適なコイルは、プラスチックボビンに巻かれ、かつフェライトに挿入される、約AWG30の薄い銅線で作製され、そのため、コイルの後部はフェライトを有し、前部はフェライトを有しない。ウェブ8の厚さは、Z-1及び1に等しい。
【0042】
磁気センサ20、22は、2重磁気センサの測定軸がコイルの対称軸と同一線上にあるように、電磁コイル48と同心である。コイルは、形状が円形であり得る。楕円形状のコイルは、1次元での改善された空間解像度を有する磁気測定値をもたらし得ることが実証されている。
【0043】
ウェブ8は、リチウムイオン電気化学セル及びバッテリ用のアノード及びカソードの製造で使用される電極コーティングされた金属箔などのコーティングされた金属基板で構成されている。ウェブ8は、電極コーティング28でコーティングされたアルミニウム又は銅箔26を含む。箔は、典型的には、9~50μmの厚さであり、電極コーティングは、箔の一方又両方の側で厚さが75~400μmの範囲であり、その結果、両側をコーティングされた電極は、最も典型的には厚さが約250ミクロンである、最大850μmのキャリパを有し得る。アノード用に電極コーティングは、グラファイトを含み、カソード用に電極コーティングは、LiCoOなどのリチウム金属酸化物を含む。電極は、典型的には、箔の両側でコーティングされており、電極コーティングはまた、結合剤及び導電性エンハンサを含む。
【0044】
1KHz変調/復調スキームは、静的又は時間変化のいずれかで磁場に干渉する効果をフィルタリングしながら、ノイズに対する高い信号を有する信号を生成する。2つの磁気センサ出力の比(又は差)は、コイルを通って流れる電流の変動の効果をキャンセルし、高安定性かつ信頼性の高い測定を提供する。より高い周波数は、導電性シートに関連する効果をより明白で顕著にすることに留意されたい。対照的に、より低い周波数は、より少ない干渉を生成するが、復調回路からの応答がより遅くなる結果となる。DC場の場合、1つのフラックスゲートセンサは、典型的には、任意の干渉磁場を測定するために使用され、効果をキャンセルするために使用され得る。DC場は、周囲の機械からの干渉の影響をより受けやすい。
【0045】
2つのヘッド62、64間で移動する移動シート22のキャリパは、光学変位測定、d(光学)及び誘導測定、d(誘導)を行うことによって判定される。その後、シート22の厚さ(t)は、一定のオフセットを有する2つの測定値間の差であるとして計算され、すなわち、t=d(誘導)-d(光学)-Cである。オフセット定数は、好ましくは、センサがオフシートであるときに、すなわち、ヘッド間にシートがないときに、ゼロ測定をすることによって行われる較正によって判定される。定数は、前述のように、既知の厚さの何かを測定することによって判定される。機械的な力又は熱変化により、ヘッド分離がゆっくりと変化する場合、オペレータは、標準化プロセス中に既知の厚さのタイルにおいてスキャンすることによってオフセットを定期的に計算し得る。更に、標準化手順が、光学センサが汚れる場合などの異常な状態を検出するために使用され得る。
【0046】
キャリパを測定するために光学変位センサ10、14を採用する代わりに、又はそれに加えて、スキャナヘッドは、紙又はプラスチックの特性の場合、水分及び坪量などのシート特性を検出するためのセンサを搬送するためのプラットフォームとして機能し得る。これらのデバイスは、典型的には、赤外、近赤外、及びマイクロ波放射を使用する。好適なセンサは、米国特許第9,182,360号(Tixier and Hughes)、米国特許第8,527,212号(Hughes and Tixier)、及び米国特許第7,298,492号(Tixier)に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
図3は、スキャンセンサシステム60を示し、上方及び下方スキャナヘッド64及び66は、それぞれ、Cフレーム62の細長い上方63及び下方65アーム又は部材に装着されている。剛性部材は、互いに平行である。フレーム62は、C-フレームが移動可能に固定された直線スライドとして構成された並進機構69を備える。図1に示されるように、上方ヘッド64は、第1の光学変位センサ10及びコイル18を組み込み、下方ヘッド66は、第2の光学変位センサ14及び2重磁気センサ20、22を組み込む。ヘッド間の測定チャネルは、材料シートを収容する。ヘッドは、シートが監視されるとき、交差方向(Cross Direction、CD)に沿って前後に移動する。
【0048】
細長い部材63及び65の遠位端に固定された上方及び下方ヘッドを採用する代わりに、センサ構成要素は、Cフレームの部材に統合されるか、又はそれに有向的に取り付けられ得る。例えば、永久磁石は、上方部材63に固定され得、対応するフラックスゲートセンサは、下方部材65に装着される。同様に、共焦点変位センサは、部材に直接装着され得る。
【0049】
Cフレーム構造のアーム上にヘッドを付ける特徴は、2重磁気センサが、下方ヘッドから取り外すことなく較正され得ることである。上方ヘッド64に対して異なるレベルの力を適用することによって、2つのヘッド間の距離は変化する。特に、重りは、ヘッド間の距離を減少させるために、漸進的に上方ヘッド64上に配置される。既知の厚さのターゲットサンプルは、ヘッド間に位置付けられ、ヘッド上の光学変位センサデバイスは、コイル-センサ距離変化を較正するためのコイル-センサ測定と同時に、ヘッド間の距離を測定するために利用され得る。
【0050】
図4は、2重ヘッドスキャナヘッド80、82を含み、連続的なウェブ生産中の厚さ又は他の特性を測定する、スキャンセンサシステム70を示す。このスキャンシステムは、紙が10メートルを超える幅であり得る紙生産中などの広いウェブ又はシートの監視に特に適している。上方ヘッド80及び下方ヘッド82は、それぞれ、2つの横方向ビーム72及び74によって支持される。ヘッドの動作面は、MDに移動するシート76を収容する測定ギャップ78を画定する。図1に示されるように、上方ヘッド80は、第1の光学変位センサ10及びコイル18を組み込み、下方ヘッド82は、第2の光学変位センサ14及び2重磁気センサ20、22を組み込む。2重スキャナヘッドの交差方向の移動は、速度及び方向に対して同期されて、その結果、それらは、互いに位置合わせされる。
【0051】
スキャナセンサシステム70について、磁気変位センサは、構成要素が上方及び下方ヘッドに組み込まれる前にオフラインで較正される。例えば、2重フラックスゲート磁気センサは、電磁コイルが並進段階で装着されている間に、固定プラットフォームに固定され得る。磁気センサ及びコイルは、並進段階が移動するにつれて位置合わせされたままである。光学エンコーダ又は干渉計は、コイルと固定プラットフォームとの間の距離を測定する。
【0052】
図5は、178回転及び直径1cmを有するコイルに対してビオ・サバールの法則から計算される、中心線に沿った磁束密度対距離のグラフである。このデータは、選択された磁気検出器の飽和レベルと共に、コイル及びコイル-センサ距離に対する必要な設計パラメータを定義する。
【0053】
上記は、本発明の原理、好ましい実施形態、及び動作モードを説明してきた。しかしながら、本発明は、考察される特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。したがって、上述の実施形態は、限定的ではなく例示的なものとして見なされるべきであり、以下の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によってそれらの実施形態において変形が行われ得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5