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  • 特許-仮設シート受け具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】仮設シート受け具
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20220916BHJP
   E04G 21/24 20060101ALI20220916BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
E04G5/00 301E
E04G21/24 A
E04G21/32 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021060906
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】521055921
【氏名又は名称】KYC反町株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】反町 駿太
(72)【発明者】
【氏名】▲今▼井 榮太郎
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-129907(JP,A)
【文献】特開平10-205141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
E04G 21/24
E04G 21/28
E04G 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設足場の隣接する建地間に配設され、該建地間を覆う仮設シートを受ける受杆部材を備えてなり、上記受杆部材は上記建地に直交する水平方向に配置され、該受杆部材は上記仮設シートの外面を円弧状に緊張膨出させる弓形状部に形成され、上記受杆部材の両端部に上記仮設足場の横架材に取付可能な一対の緊締金具を設けてなることを特徴とする仮設シート受け具。
【請求項2】
上記受杆部材に上記横架材に当接可能な受圧杆部を設けてなることを特徴とする請求項1記載の仮設シート受け具。
【請求項3】
仮設足場の隣接する建地間に配設され、該建地間を覆う仮設シートを受ける受杆部材を備えてなり、上記受杆部材は上記建地に直交する水平方向に配置され、該受杆部材は上記仮設シートの外面を円弧状に緊張膨出させる弓形状部に形成され、上記受杆部材に上記建地間に架設可能な橋絡部材を設け、上記橋絡部材の両端部に上記仮設足場の建地に取付可能な一対の緊締金具を設けてなることを特徴とする仮設シート受け具。
【請求項4】
上記受杆部材の両端部に内方折返部を形成してなることを特徴とする請求項1又は3記載の仮設シート受け具。
【請求項5】
上記緊締金具は単クランプであることを特徴とする請求項1又は3記載の仮設シート受け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、枠組足場、楔緊締式足場、単管足場、機械足場等の建造物の周囲に設置される各種の仮設足場を仮設シートで覆う際に用いられる仮設シート受け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の仮設シートは、養生シート、保護シートとも称され、帆布製シートや網地製シートが用いられ、建造物の新築工事や修繕工事において、仮設足場の隣り合う支柱としての建地間の鉛直の構面に張設され、例えば、仮設シートの複数個の鳩目孔及び連結紐を利用して仮設足場の建地及び中桟、腕木等の横架材に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-264252号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、上記仮設シートは仮設足場の建地及び横架材に鳩目孔及び連結紐を利用してほぼ平面状に取り付けられているものの、風圧及び各方向からの風による連結紐の緩みにより仮設シートは煽られ、バタつき振動により仮設シートから騒音が発生したり、あるいは、引張荷重及び圧縮荷重の繰返荷重により仮設シートの破損あるいは建地の折損により仮設足場が倒伏してしまうことがあり、それだけ、仮設シートの使用の安全性及び利便性が低下することがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の発明は、仮設足場の隣接する建地間に配設され、該建地間を覆う仮設シートを受ける受杆部材を備えてなり、上記受杆部材は上記建地に直交する水平方向に配置され、該受杆部材は上記仮設シートの外面を円弧状に緊張膨出させる弓形状部に形成され、上記受杆部材の両端部に上記仮設足場の横架材に取付可能な一対の緊締金具を設けてなることを特徴とする仮設シート受け具にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記受杆部材に上記横架材に当接可能な受圧杆部を設けてなることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項記載の発明は、仮設足場の隣接する建地間に配設され、該建地間を覆う仮設シートを受ける受杆部材を備えてなり、上記受杆部材は上記建地に直交する水平方向に配置され、該受杆部材は上記仮設シートの外面を円弧状に緊張膨出させる弓形状部に形成され、上記受杆部材に上記建地間に架設可能な橋絡部材を設け、上記橋絡部材の両端部に上記仮設足場の建地に取付可能な一対の緊締金具を設けてなることを特徴とする仮設シート受け具にある。
【0008】
又、請求項記載の発明は、上記受杆部材の両端部に内方折返部を形成してなることを特徴とするものである。
【0009】
又、請求項記載の発明は、上記緊締金具は単クランプであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、建造物の新築工事や修繕工事において、仮設足場の隣接する建地間に仮設シート受け具を配設し、受杆部材は仮設シートを受けることになり、受杆部材は上記建地に直交する水平方向に配置され、受杆部材は仮設シートの内面を受け、受杆部材の弓形状部により仮設シートは円弧状に緊張膨出することになり、このため、仮設シートに風が吹き付けられたとしても、風は外方に向けて速やかに流れることになり、風を鉛直面で受けることがなくなり、受杆部材により仮設シートに掛かる風圧を軽減することができ、仮設シートのばたつきによる騒音の発生を抑制することができ、引張荷重及び圧縮荷重の繰返荷重により生ずる仮設シートの破損、建地の折損、ひいては、仮設足場の倒伏を防ぐことができ、仮設シートの使用の安全性を向上することができ、上記受杆部材の両端部に上記仮設足場の横架材に取付可能な一対の緊締金具を設けているから、仮設シート受け具を仮設足場の横架材に容易に取り付けることができ、足場作業性を向上することができる。
【0011】
又、請求項記載の発明にあっては、上記受杆部材に上記横架材に当接可能な受圧杆部を設けているから、上記受杆部材に掛かる風圧等の外力を確実に受けることができ、風は外方に向けて速やかに流れ、仮設シートに掛かる風圧を軽減することができる。
【0012】
又、請求項記載の発明にあっては、建造物の新築工事や修繕工事において、仮設足場の隣接する建地間に仮設シート受け具の橋絡部材を架設し、仮設足場の建地及び橋絡部材からなる鉛直の構面に上記仮設シート受け具の仮設シートを張設し、受杆部材は仮設シートを受けることになり、受杆部材は上記建地に直交する水平方向に配置され、受杆部材は仮設シートの内面を受け、受杆部材の弓形状部により仮設シートは円弧状に緊張膨出することになり、このため、仮設シートに風が吹き付けられたとしても、風は外方に向けて速やかに流れることになり、風を鉛直面で受けることがなくなり、受杆部材により仮設シートに掛かる風圧を軽減することができ、仮設シートのばたつきによる騒音の発生を抑制することができ、引張荷重及び圧縮荷重の繰返荷重により生ずる仮設シートの破損、建地の折損、ひいては、仮設足場の倒伏を防ぐことができ、仮設シートの使用の安全性を向上することができ、橋絡部材の存在により仮設足場の横架材が存在しない位置にも仮設シート受け具を配置することができ、使用の融通性を高めることができ、上記橋絡部材の両端部に上記仮設足場の建地に取付可能な一対の緊締金具を設けているから、仮設シート受け具を仮設足場の建地間に容易に取り付けることができ、足場作業性を向上することができる。
【0013】
又、請求項記載の発明にあっては、上記受杆部材の両端部に内方折返部を形成してなるから、受杆部材の両端部に仮設シートが当接することによる仮設シートの破損を防ぐことができる。
【0014】
又、請求項記載の発明にあっては、上記緊締金具は単クランプであるから、受杆部材を建地に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の第一形態例の全体斜視図である。
図2】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体斜視図である。
図3】本発明の実施の第一形態例の使用状態の全体斜視図である。
図4】本発明の実施の第一形態例の使用状態の部分拡大斜視図である。
図5】本発明の実施の第一形態例の部分側断面図である。
図6】本発明の実施の第一形態例の部分側断面図である。
図7】本発明の実施の第一形態例の使用状態の説明平面図である。
図8】本発明の実施の第二形態例の全体斜視図である。
図9】本発明の実施の第二形態例の使用状態の全体斜視図である。
図10】本発明の実施の第二形態例の使用状態の部分拡大斜視図である。
図11】本発明の実施の第二形態例の使用状態の説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図11は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図7は請求項1及び請求項2に対応する第一形態例、図8乃至図11は請求項1及び請求項4に対応する第二形態例である。
【0017】
図1乃至図7に示す第一形態例において、WBは仮設シート受け具であって、図1図2図3図7の如く、仮設足場Kの鉛直方向の隣接する建地V・V間に配設され、建地Vは縦方向の支柱とも称され、建地V・V間を覆う仮設シートSを受ける金属製の受杆部材1を備えてなり、上記受杆部材1は上記建地V・Vに直交する水平方向に配置され、仮設足場K側を仮設シートSの内面として、図3図7の如く、受杆部材1は上記仮設シートSの外面を平面視において円弧状に緊張膨出させる弓形状部Bに形成されている。なお、仮設シートSは養生シート、保護シートとも称され、帆布製シートや網地製シートが用いられている。
【0018】
この場合、図2の如く、上記受杆部材1の両端部に上記仮設足場Kの、例えば、中桟、腕木等の横架材Hに取付可能な一対の緊締金具2・2を設けて構成され、又、この場合、図2の如く、横架材Hは上記建地V・Vに楔緊締式連結機構Mにより着脱自在に連結固定されている。
【0019】
又、この場合、図1図4図6の如く、緊締金具2・2は単クランプとなっており、すなわち、固定部2a、可動部2b及びボルト2c、及びナット2dからなる緊締部22eが単一個となっている。
【0020】
又、この場合、図2図5の如く、上記受杆部材1に上記横架材Hに当接可能な受圧杆部1aを突杆1bを介して突設して構成している。
【0021】
又、この場合、図1の如く、上記受杆部材1の両端部に内方折返部1c・1cが形成されている。
【0022】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、建造物の新築工事や修繕工事において、仮設足場Kの隣接する建地V・V間に仮設シート受け具WBを配設し、例えば、図3図4の如く、仮設足場Kの建地V・V及び横架材Hからなる鉛直の構面に鳩目孔P及び連結紐Dを利用して上記仮設シートSを張設し、受杆部材1は仮設シートSを受けることになり、図2図7の如く、受杆部材1は上記建地Vに直交する水平方向に配置され、図4の如く、受杆部材1は仮設シートSの内面を受け、受杆部材1の弓形状部Bにより仮設シートSは円弧状に緊張膨出することになり、このため、仮設シートSに風Gが吹き付けられたとしても、風Gは外方に向けて速やかに流れることになり、風Gを鉛直面で受けることがなくなり、仮設シートSに掛かる風圧を軽減することができ、仮設シートSのばたつきによる騒音の発生を抑制することができ、引張荷重及び圧縮荷重の繰返荷重により生ずる仮設シートSの破損、建地Vの折損、ひいては、仮設足場Kの倒伏を防ぐことができ、仮設シートSの使用の安全性を向上することができる。
【0023】
この場合、図2の如く、上記受杆部材1の両端部に上記仮設足場Kの横架材Hに取付可能な一対の緊締金具2・2を設けているから、仮設シート受け具WBを仮設足場Kの横架材Hに容易に取り付けることができ、足場作業性を向上することができ、又、この場合、図2図5の如く、上記受杆部材1に上記横架材Hに当接可能な受圧杆部1aを設けているから、上記受杆部材1に掛かる風圧等の外力を確実に受けることができ、風Gは外方に向けて速やかに流れ、仮設シートSに掛かる風圧を軽減することができる。
【0024】
又、この場合、図1の如く、上記受杆部材1の両端部に内方折返部1c・1cを形成してなるから、受杆部材1の両端部に仮設シートSが当接することによる仮設シートSの破損を防ぐことができ、又、この場合、図1図4図6の如く、上記緊締金具2・2は単クランプであるから、受杆部材1を建地Vに容易に取り付けることができる。
【0025】
図8乃至図11の第二形態例は別例構造を示し、上記第一形態例と同一態様部分には同符号を付して説明すると、WAは仮設シート受け具であって、図8の如く、上記受杆部材1に上記建地V・V間に架設可能な橋絡部材3を設けて構成している。
【0026】
この場合、図9図10の如く、上記第二形態例の仮設シート受け具WAの受杆部材1に上記緊締金具2・2を用いて橋絡部材3を連結し、橋絡部材3の両端部に上記仮設足場Kの上記建地V・Vに取付可能な一対の緊締金具4・4を設けて構成している。
【0027】
又、この場合、図8図10の如く、上記緊締金具4・4は単クランプとなっており、又、この場合、上記受杆部材1に上記橋絡部材3に当接可能な受圧杆部1aを設けて構成している。
【0028】
この実施の第二形態例は上記構成であるから、仮設足場Kの隣接する建地V・V間に仮設シート受け具WAの橋絡部材3を架設し、例えば、図9図10の如く、仮設足場Kの建地V及び橋絡部材3からなる鉛直の構面に鳩目孔P及び連結紐Dを利用して上記仮設シートSを張設し、受杆部材1は仮設シートSを受けることになり、図9図11の如く、受杆部材1は上記建地Vに直交する水平方向に配置され、図10の如く、受杆部材1は仮設シートSの内面を受け、受杆部材1の弓形状部Bにより仮設シートSは円弧状に緊張膨出することになり、このため、図11の如く、上記第一形態例と同様に、仮設シートSに風Gが吹き付けられたとしても、風Gは外方に向けて速やかに流れることになり、風Gを鉛直面で受けることがなくなり、受杆部材1により仮設シートSに掛かる風圧を軽減することができると共に橋絡部材3の存在により仮設足場Kの横架材Hが存在しない位置にも仮設シート受け具WAを配置することができ、使用の融通性を高めることができる。
【0029】
又、この場合、図9図10の如く、上記橋絡部材3の両端部に上記仮設足場Kの建地V・Vに取付可能な一対の緊締金具4・4を設けているから、仮設シート受け具WAを仮設足場Kの建地V・V間に容易に取り付けることができ、足場作業性を向上することができる。
【0030】
又、この第二形態例にあっても、上記受杆部材1の両端部に内方折返部1c・1cを形成してなるから、受杆部材1の両端部に仮設シートSが当接することによる仮設シートSの破損を防ぐことができ、又、この場合、上記緊締金具2・2・4・4は単クランプであるから、橋絡部材3を建地Vに容易に取り付けることができ、作業性を向上することができる。
【0031】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、仮設足場K、建地V、仮設シートS、弓形状部B、横架材H、受杆部材1、受圧杆部1a、内方折返部1c・1c、緊締金具2・2、橋絡部材3、緊締金具4・4の構造や大きさ、形態は適宜変更して設計される。
【0032】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0033】
WB 仮設シート受け具
WA 仮設シート受け具
K 仮設足場
V 建地
S 仮設シート
B 弓形状部
H 横架材
1 受杆部材
1a 受圧杆部
1c 内方折返部
2 緊締金具
3 橋絡部材
4 緊締金具
【要約】
【課題】仮設シートに風が吹き付けられたとしても、風は外方に向けて速やかに流れることになり、受杆部材により仮設シートに掛かる風圧を軽減することができ、仮設シートの破損、建地の折損や仮設足場の倒伏を防ぐことができる。
【解決手段】仮設足場Kの隣接する建地V・V間に配設され、建地間を覆う仮設シートSを受ける受杆部材1を備えてなり、上記受杆部材は上記建地に直交する水平方向に配置され、受杆部材は上記仮設シートの外面を円弧状に緊張膨出させる弓形状部Bに形成されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11