(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】自動車両ポンプ装置、及び自動車両ポンプ装置のための実装装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/62 20060101AFI20220916BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20220916BHJP
【FI】
F04D29/62 A
F04D29/42 A
(21)【出願番号】P 2021519588
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2018079316
(87)【国際公開番号】W WO2020083496
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】521091435
【氏名又は名称】ピエルブルク パムプ テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィンデイセン、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】パッツナー、レネ
(72)【発明者】
【氏名】ザッカー、ヴォルフガング
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-027203(JP,A)
【文献】特開2008-121522(JP,A)
【文献】特開2013-224652(JP,A)
【文献】実開昭63-002899(JP,U)
【文献】国際公開第2011/158538(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/108475(WO,A1)
【文献】実開昭60-171998(JP,U)
【文献】特開平09-126198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04B 53/00-53/22
F04D 29/00-29/70
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンピング・ユニット(12)と、
前記ポンピング・ユニット(12)を、対応する自動車両実装構造(15)に実装するための実装装置(14)と
を有する自動車両ポンプ装置(10)であって、
前記ポンピング・ユニット(12)は、
実質的に円筒形のポンピング・ユニット・ハウジング(16)と、
前記ポンピング・ユニット・ハウジング(16)から径方向に突出する少なくとも1つの支持突出部(22)と
を有し、
前記実装装置(14)は、前記ポンピング・ユニット(12)を径方向に包囲及び支持する環状のポンプ支持体(28)であって、前記自動車両実装構造(15)に取付け可能である環状のポンプ支持体(28)を有し、
前記ポンプ支持体(28)の軸方向側部が、軸方向に延びる幾つかのマーロン(40)を有する城郭風構造(38)であって、前記マーロン(40)間に幾つかの突出部受容部(42)を画定する城郭風構造(38)を備え、
突出部受容部(42)の数が、支持突出部(22)の数よりも大きく、また
前記ポンピング・ユニット・ハウジング(16)の前記少なくとも1つの支持突出部(22)が、少なくとも1つの突出部受容部(42)と係合する、自動車両ポンプ装置(10)。
【請求項2】
前記ポンプ支持体(28)が、比較的柔らかい弾性材料で作られた振動分離体である、請求項1に記載の自動車両ポンプ装置(10)。
【請求項3】
前記ポンピング・ユニット(12)が、前記ポンピング・ユニット(12)の周囲に沿って一様な角距離で配置された少なくとも2つの支持突出部(22)を備え、
周方向に隣接する支持突出部(22)間の前記角距離が、隣接する突出部受容部(42)間の角距離に等しい、又はその整数倍である、請求項1又は2に記載の自動車両ポンプ装置(10)。
【請求項4】
前記城郭風構造(38)の各マーロン(40)が、実質的に横断方向のポンプ支持台座(44)と、前記ポンプ支持台座(44)から軸方向に突出する回転ロック・タング(46)とを有する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の自動車両ポンプ装置(10)。
【請求項5】
前記ポンプ支持体(28)が、長手方向ポンピング・ユニット面内に延びるフランジ部分(32)であって、前記自動車両実装構造(15)に取付け可能なフランジ部分(32)を画定するフレーム実装部分(33)を備える、請求項1から4までのいずれか一項に記載の自動車両ポンプ装置(10)。
【請求項6】
前記フレーム実装部分(33)が、突出部受容部(42)を周方向に画定する少なくとも1つの突出部ポケット(48)を備える、請求項5に記載の自動車両ポンプ装置(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの支持突出部(22)が、前記ポンピング・ユニット・ハウジング(16)のねじソケットによって画定される、請求項1から6までのいずれか一項に記載の自動車両ポンプ装置(10)。
【請求項8】
前記実装装置(14)が、前記ポンプ支持体(28)に取り付けられるクリップ保持器(30)であって、前記ポンピング・ユニット(12)を軸方向に保持するクリップ保持器(30)を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の自動車両ポンプ装置(10)。
【請求項9】
前記クリップ保持器(30)が、前記ポンプ支持体(28)の環状開口部(31)を通って軸方向に延びており、また前記環状開口部(31)の径方向内側に、前記クリップ保持器(30)が係合する保持器凹部(36)が設けられている、請求項8に記載の自動車両ポンプ装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車両ポンプ装置を対象とし、特に、対応する自動車両実装構造にポンピング・ユニットを実装するための実装装置を含む自動車両ポンプ装置を対象とする。本発明はまた、そのような自動車両ポンプ装置のための実装装置を対象とする。
【背景技術】
【0002】
そのようなポンプ装置は、自動車両流体回路内の流体を循環させるためのポンピング・ユニット、好ましくは電動ポンピング・ユニットを有する。ポンプ装置はまた、対応する自動車両実装構造にポンピング・ユニットを実装するための実装装置を有する。実装装置には自動車両実装構造に取付け可能であり、ポンピング・ユニットを支持する、ポンプ支持体が設けられる。典型的には、分離体は環状であり、ポンピング・ユニットを支持するだけでなく、径方向に包囲する。自動車両内でのポンプ装置の実装場所及び実装配向は、典型的には自動車両によって異なるので、そのようなポンプ装置は、様々な実装場所に対して、特に実装配向に対して、簡単な方法で適応可能であるべきである。
【0003】
例えば、そのようなポンプ装置は、独国特許出願公開第102016209204(A1)号で開示されている。このポンプ装置では、ポンプ支持体の環状開口部は、ポンピング・ユニットが分離体によりフォース・ロックの態様で支持されるように、ポンピング・ユニット・ハウジングの対応する周囲面にプレス嵌めされる。ポンプ支持体は効率的な振動分離を提供するために比較的柔軟でなければならないので、フォース・ロック接続は、周方向だけでなく軸方向においても比較的限られた力しか支持することができない。結果として、ポンプ支持体内のポンピング・ユニットを回転させるのに比較的低いトルクのみが必要とされ、そのため、開示されたポンプ装置は、ポンピング・ユニットの頑丈且つ確実な回転配向を提供しない。さらに、ポンピング・ユニット・ハウジングには、径方向に突出する支持突出部が設けられ、この支持突出部は、分離体と軸方向接触して、分離体におけるポンピング・ユニットの追加的な形状固定軸方向支持(form-locked axial support)を提供する。支持突出部は、分離体の両軸方向側部(axial side)に配置されて、両軸方向における支持を提供する。
【0004】
ポンプ支持体へのポンピング・ユニットのプレス嵌め取付けにより、ポンピング・ユニットは、ポンプ支持体に対して、結果的に自動車両実装構造に対して、様々な回転配向を有して簡単な方法で実装され得る。しかし、ポンプ支持体は、ポンピング・ユニット・ハウジングの組立て中にポンピング・ユニットに実装しなければならず、特に、完全に組み立てられたポンピング・ユニットには実装することができない。結果として、ポンプ支持体実装ステップは、ポンピング・ユニット組立てプロセスに組み込まれなければならず、ポンプ装置の組立てが複雑になる。
【0005】
完全に組み立てられたポンピング・ユニットにポンプ支持体を実装することも当技術分野では知られており、この場合、ポンプ支持体は、ねじ継手又は接着結合によりポンピング・ユニットに固定される。しかし、これらの固定方法は、分離体をポンピング・ユニットに取り付けるために、追加の固定要素及び/又は複雑な実装プロセスを必要とする。また、特にねじ継手では、ポンピング・ユニット及び/又はポンプ支持体を構造的に適応させることなしに様々な回転配向でポンピング・ユニットを実装することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】独国特許出願公開第102016209204(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、自動車両実装構造に対して様々な回転配向でポンピング・ユニットを確実に実装することを可能とし、簡単な方法で組み立てられ得る自動車両ポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の構成を有する自動車両ポンプ装置によって達成される。
【0009】
本発明による自動車両ポンプ装置には、自動車両流体回路内の作動流体を循環させるためのポンピング・ユニットが設けられる。ポンピング・ユニットは、電動機によって電気的に駆動され、自動車両機関によって機械的には駆動されないことが好ましい。ポンピング・ユニットは、特に、自動車両冷却液回路内の冷却液を循環させるための電動冷却液ポンプであり得る。機械的に駆動されるポンピング・ユニットとは対照的に、電気的に駆動されるポンピング・ユニットの実装場所は、比較的非依存的に選択可能である。機関との機械的結合の不在により、振動は、実装装置を介してのみ、電気的に駆動されるポンピング・ユニットに伝達される。
【0010】
ポンピング・ユニットは、少なくとも1つの支持突出部が径方向に突出している実質的に円筒形のポンピング・ユニット・ハウジングを有する。支持突出部は、ポンピング・ユニット・ハウジングと一体に設けられることが好ましいが、その代わりに、ポンピング・ユニット・ハウジングに取り付けられる別個の物体として設けられてもよい。支持突出部は、円筒形のポンピング・ユニット・ハウジングの外側面に配置されることが好ましいが、その代わりに、ポンピング・ユニット・ハウジングの軸方向端面に配置されてもよい。いずれの場合にも、支持突出部は、ポンピング・ユニット・ハウジングから径方向に突出し、つまり、支持突出部は、円筒形のポンピング・ユニット・ハウジングの径方向範囲を越えて径方向に延在する。ポンピング・ユニットは、ポンピング・ユニットの周囲に沿って均一の角距離で置かれた複数の支持突出部を備えることが、好ましい。
【0011】
本発明による自動車両ポンプ装置はまた、自動車両実装構造にポンピング・ユニットを実装するための実装装置を備える。実装構造は、自動車両フレームに直接取り付けられるか又は自動車両フレームによって画定され、或いは、その代わりに、例えば自動車両機関といった自動車両フレームに取り付けられる自動車両構成要素に取り付けられるか又は自動車両構成要素によって画定される。実装装置は、ポンピング・ユニット横断面(transversal pumping unit plane)に実質的に延在する、環状のポンプ支持体を有する。ポンプ支持体は、ポンピング・ユニットを径方向に包囲及び支持し、自動車両実装構造に取付け可能である。ポンプ支持体は、ポンピング・ユニットの質量中心がポンプ支持体内に位置するように電動ポンピング・ユニットの電動機を径方向に包囲することが好ましい。ポンピング・ユニットは、ポンプ支持体を介してのみ自動車両実装構造において支持され、特に、自動車両実装構造、自動車両フレーム、又は自動車両機関と直接接触しない。ポンプ支持体は、ポンピング・ユニットが実質的に全周囲に沿ってポンプ支持体によって径方向に支持されるように、ポンプ支持体によって包囲されるポンピング・ユニットの断面形状に対応する円形の環状開口部を備える。
【0012】
本発明によれば、ポンプ支持体の軸方向側部には、軸方向に延在する幾つかのマーロン(merlon;凸壁)を有する城郭風構造(castellated structure)が設けられる。城郭風構造のマーロンは、ポンプ支持体の周囲に沿って均一の角距離で置かれ、それらの間に幾つかの突出部受容部を画定することが、好ましい。ポンプ装置の実装状態では、ポンピング・ユニットがポンプ支持体内で回転することができないように、ポンピング・ユニット・ハウジングの少なくとも1つの支持突出部が、少なくとも1つの突出部受容部に係合する。結果として、ポンピング・ユニットには、ポンプ支持体に対して、結果的に自動車両実装構造に対して、確実に定められ且つ安定した回転位置が与えられる。ポンプ支持体は、その周囲に沿って均一の角距離で置かれた複数の突出部受容部を備えるので、ポンピング・ユニットは、簡単な方法で、特にポンピング・ユニット及び/又は実装装置の構造上の適応を少しも必要とせずに、ポンプ支持体に対する幾つかの異なる明確な回転配向を有して確実に実装され得る。
【0013】
本発明の好ましい実施例では、ポンプ支持体は、比較的柔らかく且つ弾性のある材料で作られた振動分離体(vibration-decoupling body)である。振動分離体は、ゴム、シリコーン、SEBS、EPDM、又は任意の他のエラストマーで作られ、30~70IRHDの範囲内の硬度を与えられることが好ましく、より好ましくは、30~40IRHDの範囲内の硬度を与えられる。振動分離体は、振動が自動車両実装構造からポンピング・ユニットへ又はポンピング・ユニットから自動車両実装構造へ伝達されないか又は少なくとも著しく抑制された態様でのみ伝達されるように、振動を効率的に相殺することができる。ポンピング・ユニットへの抑制された振動伝達は、ポンピング・ユニットの破損確率を最小限に抑え、ポンピング・ユニット寿命を向上させる。ポンピング・ユニットから自動車両フレームへの抑制された振動伝達は、特に、自動車両の乗員室騒音を最小限に抑える。
【0014】
突出部受容部の数は、支持突出部の数よりも多いことが好ましい。突出部受容部の数が多ければ多いほど、ポンプ支持体内でのポンピング・ユニットの異なる回転実装配向の数が多くなる。これは、より高度に適応可能な自動車両ポンプ装置を提供する。
【0015】
本発明の好ましい実施例では、ポンピング・ユニットは、ポンピング・ユニットの周囲に沿って均一の角距離で配置された少なくとも2つの支持突出部を備える。支持突出部は、周方向に隣接する支持突出部間の角距離が、隣接する突出部受容部間の角距離に等しいか又はその整数倍であるように配置される。これは、ポンピング・ユニットを幾つかの異なる回転配向でポンプ支持体内に実装することを可能にし、この場合、実装配向の数は、360°と2つの隣接する突出部受容部間の角距離との商によって決定される。
【0016】
城郭風構造の各マーロンは、実質的に横断方向のポンプ支持台座、及び、ポンプ支持台座から軸方向に突出する回転ロック・タング(tongue;舌状部)を有することが好ましい。マーロンの回転ロック・タングは、ポンプ支持体に対する明確且つ安定した回転配向がポンピング・ユニットに与えられるように、ポンピング・ユニットの支持突出部を少なくとも部分的に横方向に取り囲む。横断方向ポンプ支持台座は、追加の軸方向支持手段がポンプ支持体に設けられなくても済むように、比較的大きな軸方向支持領域をポンピング・ユニットに提供する。
【0017】
本発明の好ましい実施例では、ポンプ支持体は、長手方向ポンピング・ユニット面(longitudinal pumping unit plane)内に延在し自動車両実装構造に取付け可能である、フランジ部分を画定する、フレーム実装部分を備える。フランジ部分は、単純且つ頑丈なねじ継手によりポンプ支持体が自動車両実装構造に取り付けられ得るように、ねじ穴を備えることが好ましい。フランジ部分は、ポンプ支持体と自動車両実装構造との間に大きな接触領域を提供し、結果的に自動車両実装構造への自動車両ポンプ装置の頑丈且つ確実な取付けを実現する。
【0018】
フレーム実装部分は、自動車両実装構造へのポンプ支持体の頑丈な実装を実現するために、比較的重厚でなければならない。結果として、フレーム実装部分は、ポンプ支持体の環状開口部を部分的に径方向に取り囲む。フレーム実装部分は、突出部受容部を周方向に画定する少なくとも1つの突出部ポケットを備えることが好ましい。フレーム実装部分の周方向範囲に応じて、フレーム実装部分は、それぞれが突出部受容部を周方向に画定する、複数の突出部ポケットを備える。これは、周方向に連続し且つ閉じられた城郭風構造を提供する。突出部ポケットの径方向範囲は、ポンピング・ユニットの支持突出部が突出部ポケットに完全に係合することができるように与えられる。
【0019】
ポンピング・ユニット・ハウジングは、ねじ継手によって互いに軸方向に取り付けられる2つのハウジング体を有する。典型的には、ねじソケットは、ポンプ・ハウジングの径方向外側に位置し、ポンプ・ハウジングから径方向に突出する。少なくとも1つの支持突出部は、径方向に突出するねじソケットがポンプ支持体の突出部受容部に係合するように、ポンピング・ユニット・ハウジングのねじソケットによって画定されることが好ましい。結果として、ポンプ支持体内でのポンピング・ユニットの明確且つ安定した回転配向を得るために、ポンピング・ユニットに追加の突出部が設けられる必要はない。
【0020】
本発明の好ましい実施例では、実装装置は、ポンプ支持体に取り付けられ、ポンピング・ユニットを軸方向に保持する、クリップ保持器を有する。クリップ保持器は、熱可塑性物質で作られ、例えばガラス球強化ポリアミド(glass-ball-reinforced polyamide)で作られ、形状固定の態様でポンプ支持体に取り付けられることが、好ましい。クリップ保持器は、自動車両ポンプ装置の簡単な組立てを可能にし、ここで、クリップ保持器は、複雑な固定プロセス及び/又は追加の固定要素を少しも必要とせずに、ポンプ支持体へのポンピング・ユニットの確実な取付けを実現する。
【0021】
クリップ保持器は、ポンプ支持体の環状開口部を通って軸方向に延在することが好ましく、この場合、環状開口部の径方向内側に、クリップ保持器が係合する保持器凹部が設けられる。結果として、クリップ保持器は、ポンプ支持体によって径方向外方に支持され、そのため、ポンプ支持体へのクリップ保持器の確実な取付けを実現するのに追加の支持要素は必要とされない。クリップ保持器は、ポンプ支持体の径方向内側とポンピング・ユニット・ハウジングの径方向外側との間で径方向に挟持されることが好ましい。保持器凹部は、ポンプ支持体の軸方向表面及び/又は径方向内表面に設けられ得る。いずれの場合にも、係合したクリップ保持器は、ポンプ支持体内で回転することができないように、ポンプ支持体によって周方向に取り囲まれる。保持器凹部は、いかなる別個の位置決め手段も必要とせずに、ポンプ支持体に対する明確且つ安定した回転位置を保持器クリップに提供することを可能にする。
【0022】
添付の図面を参照しながら、本発明の一実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による自動車両ポンプ装置の側面図である。
【
図3】
図1の自動車両ポンプ装置の実装装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
説明される本発明による自動車両ポンプ装置10は、電動ポンピング・ユニット12と、例えば自動車両フレーム又は自動車両機関によって画定され得る対応する自動車両実装構造15にポンピング・ユニット12を実装するための実装装置14とを有する。
【0025】
ポンピング・ユニット12は、渦巻形ハウジング体18を有し、モータ・ハウジング体20を有する、実質的に円筒形のポンピング・ユニット・ハウジング16を備える。渦巻形ハウジング体18及びモータ・ハウジング体20は、対応するねじソケット内に配置される幾つかのねじによって互いに軸方向に取り付けられる。ポンピング・ユニット・ハウジング16は、ポンピング・ユニット・ハウジング16から径方向に突出する幾つかの支持突出部22を有する。本発明のこの実施例では、支持突出部22は、ねじソケットによって設けられる。ポンピング・ユニット・ハウジング16は、環状の横断方向支持台27を備える。支持突出部22は、ポンピング・ユニット・ハウジング16の径方向外側に位置し、支持台27から径方向に突出する。ポンピング・ユニット12は、軸方向ポンプ入口24、及び径方向ポンプ出口26を備える。
【0026】
実装装置14は、実質的に環状のポンプ支持体28と、ポンプ支持体28に取り付けられ、ポンピング・ユニット12を軸方向に保持するクリップ保持器30とを有する。
【0027】
本発明のこの実施例では、ポンプ支持体28は、比較的柔らかく且つ弾性のある材料で作られた、特に30~40IRHDの範囲内の硬度を有するゴムで作られた、振動分離体である。ポンプ支持体28は、実質的に円形の環状開口部31を備え、ポンピング・ユニット12を径方向に包囲及び支持する。特に、ポンプ支持体28は、ポンピング・ユニット12の質量中心がポンプ支持体28の軸方向範囲内に位置するように、電動ポンピング・ユニット12の比較的重い電動機(図示せず)を収容するモータ・ハウジング体20を径方向に包囲する。ポンプ支持体28の環状開口部31の径方向内側には、環状開口部31の内周に沿って均一の角距離で置かれた幾つかの保持器凹部36が設けられる。
【0028】
渦巻形ハウジング体18に面するポンプ支持体28の軸方向上面には、軸方向に延在する幾つかのマーロン40を有する城郭風構造38が設けられる。マーロン40は、円形の環状開口部31の周囲に沿って均一の角距離で置かれ、それらの間に幾つかの突出部受容部42を画定する。突出部受容部42は、突出部受容部42と保持器凹部36とが互いに融合するように、保持器凹部36と同じ周方向位置に設けられる。各マーロン40は、実質的にL字形状の径方向断面を備え、実質的に横断方向のポンプ支持台座44と、ポンプ支持台座44から軸方向に突出する、特にポンプ支持台座44の径方向外側リム領域から軸方向に突出する、回転ロック・タング46とを有する。
【0029】
ポンプ支持体28は、環状開口部31を部分的に径方向に包囲し、実質的に長手方向ポンピング・ユニット面内に延在するフランジ部分32を画定する、フレーム実装部分33を備える。フランジ部分32は、ねじ継手によりポンプ支持体28が自動車両実装構造15に取付け可能であるように、2つのねじ穴34を備える。フレーム実装部分33は、フレーム実装部分33の範囲内に突出部受容部42を、結果的にマーロン40を、周方向に画定する、幾つかの突出部ポケット48を備える。
【0030】
本発明のこの実施例では、クリップ保持器30は、ガラス球強化ポリアミドで作られる。クリップ保持器30は、環状の保持器フレーム50、及び、保持器フレーム50から軸方向に突出しポンプ支持体28の環状開口部31を通って延在する2つの保持器アーム52を有する。保持器フレーム50は、ポンピング・ユニット12を径方向に包囲し、ポンプ支持体28の渦巻形ハウジング体遠隔軸方向底面側に位置する横断方向底面54によって軸方向に支持される。
【0031】
各保持器アーム52は、実質的にU字形状を備え、また、実質的に横方向に延在する連結レッグ58によって横方向に連結されている、実質的に軸方向に延在する2つの支持レッグ56を有する。各支持レッグ56は、3つの支持レッグ・セクション、即ち、第1の軸方向支持レッグ・セクション59、径方向に延在する支持セクション60、及び第2の軸方向支持レッグ・セクション61を有する。第1の軸方向支持レッグ・セクション59は、保持器フレーム50を発端として軸方向上向きに延在する。支持セクション60は、第1の軸方向支持レッグ・セクション59の保持器フレーム遠隔軸方向端部を発端として径方向外方に延在する。第2の軸方向支持レッグ・セクション61は、支持セクション60の径方向外側端部を発端として軸方向上向きに延在する。支持セクション60は、軸方向において、支持レッグ56の軸方向高さのおおよそ半分に位置する。特に、支持セクション60は、保持器フレーム50から軸方向に間隔を空けて位置する。連結レッグ58は、第2の軸方向支持レッグ・セクション61の保持器フレーム遠隔軸方向端部に取り付けられる。各保持器アーム52はまた、連結レッグ58の径方向内側に設けられ、連結レッグ58を発端として径方向内方に延在する、スナップ要素62を備える。
【0032】
保持器アーム52の各第1の軸方向支持レッグ・セクション59は、各第1の軸方向支持レッグ・セクション59がポンプ支持体28により径方向外側及び両側面において支持されるように、ポンプ支持体28の対応する保持器凹部36に係合する。保持器アーム52の各支持セクション60は、各支持セクション60がポンプ支持体28により軸方向底面側及び両側面において支持されるように、ポンプ支持体28の対応する突出部受容部42に係合する。
【0033】
クリップ保持器30は、第1の軸方向支持レッグ・セクション59を介してポンプ支持体28によって径方向に支持される。クリップ保持器30は、両軸方向においてポンプ支持体28によって軸方向に支持され、ここで、クリップ保持器30は、下向きの軸方向では支持セクション60を介して支持され、上向きの軸方向では保持器フレーム50を介して支持される。保持器凹部36及び突出部受容部42との支持レッグ56の係合により、クリップ保持器30にも、ポンプ支持体28に対する明確且つ安定した回転配向が与えられる。
【0034】
ポンピング・ユニット12は、ポンプ支持体28の環状開口部31の径方向内側によって径方向に支持され、マーロン40のポンプ支持台座44により下向きの軸方向において軸方向に支持される。保持器アーム62のスナップ要素62は、ポンピング・ユニット12の対応する係合段64に係合し、各係合段64は、支持突出部22の上側表面によって画定されている。結果として、ポンピング・ユニット12は、上向きの軸方向において保持器アーム52のスナップ要素62によって軸方向に保持される。
【0035】
ポンピング・ユニット12の支持突出部22は、支持突出部22が2つの隣接するマーロン40の回転ロック・タング46により両側面において少なくとも部分的に取り囲まれるように、対応する突出部受容部42に係合する。結果として、ポンピング・ユニット12に、ポンプ支持体28に対する明確且つ安定した回転配向が与えられる。
【0036】
ポンプ支持体28は、保持器アーム52の支持レッグ56の数と比較して、また、ポンピング・ユニット12の支持突出部22の数と比較して、より大きな数の保持器凹部36及び突出部受容部42を備える。周方向に隣接する支持突出部22間の角距離、及び、周方向に隣接する第1の軸方向支持レッグ・セクション59間の角距離は、周方向に隣接する突出部受容部42間の角距離の整数倍である。結果として、ポンピング・ユニット12及びクリップ保持器30は、簡単な方法で、特にポンプ支持体28及び/又はポンピング・ユニット・ハウジング16の構造上の適応を少しも必要とせずに、幾つかの異なる明確且つ安定した回転配向を有してポンプ支持体28に実装され得る。
【符号の説明】
【0037】
10 自動車両ポンプ装置
12 ポンピング・ユニット
14 実装装置
15 自動車両実装構造
16 ポンピング・ユニット・ハウジング
18 渦巻形ハウジング体
20 モータ・ハウジング体
22 支持突出部
24 ポンプ入口
26 ポンプ出口
27 支持台
28 ポンプ支持体
30 クリップ保持器
31 環状開口部
32 フランジ部分
33 フレーム実装部分
34 ねじ穴
36 保持器凹部
38 城郭風構造
40 マーロン
42 突出部受容部
44 ポンプ支持台座
46 回転ロック・タング
48 突出部ポケット
50 保持器フレーム
52 保持器アーム
54 底面
56 支持レッグ
58 連結レッグ
59 第1の軸方向支持レッグ・セクション
60 支持セクション
61 第2の軸方向支持レッグ・セクション
62 スナップ要素
64 係合段