(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-15
(45)【発行日】2022-09-27
(54)【発明の名称】植物原料を含有する容器詰め飲料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/38 20210101AFI20220916BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20220916BHJP
A23C 11/10 20210101ALI20220916BHJP
A23L 11/60 20210101ALI20220916BHJP
A23L 11/65 20210101ALI20220916BHJP
A23F 5/24 20060101ALN20220916BHJP
【FI】
A23L2/38 D
A23L2/38 J
A23L2/00 B
A23C11/10
A23L11/65
A23L11/60
A23F5/24
(21)【出願番号】P 2022032048
(22)【出願日】2022-03-02
【審査請求日】2022-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】目取真 采香
(72)【発明者】
【氏名】高橋 周
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-137503(JP,A)
【文献】特開平8-308491(JP,A)
【文献】特開2017-74066(JP,A)
【文献】Chocolate Flavour Shake for Children Aged 3-13, ID#:8362337, Mintel GNPD [online],[retrieved on 2022.08.15],2020年12月
【文献】Winter White Chocolate Martini Mix, ID#: 1462867, Mintel GNPD[online],[retrieved on 2022.08.15],2011年01月
【文献】Witch's Brew Martini Mix, ID#:1220490, Mintel GNPD[online],[retrieved on 2022.08.15],2009年11月
【文献】Summer Syrup Trio, ID#: 544839, Mintel GNPD[online],[retrieved on 2022.08.15],2006年06月
【文献】Spicy Bloody Mary All Natural Drink Mix, ID#: 918250, Mintel GNPD[online],[retrieved on 2022.08.15],2008年05月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)飲料中の植物由来タンパク質の含有量が0.01質量%以上となるように、
豆類、ナッツ類、オーツ麦、又はライスから選択される1以上である植物原料を飲料に添加する工程、
(2)二酸化硫黄(SO
2)の濃度として0.001~0.05質量%となるように、亜硫酸塩を飲料に添加する工程、及び
(3)飲料を容器に充填する工程、
を含む、植物原料を含有する容器詰めの飲料の製造方法。
【請求項2】
植物原料が、大豆、アーモンド、オーツ麦のいずれか1以上を含む、請求項1
に記載の
製造方法。
【請求項3】
動物乳を添加する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
飲料の乳固形分量が3.0質量%未満となるように動物乳を添加することを含む、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
飲料が、ミルク風味飲料、コーヒーミルク、紅茶ミルク、又は抹茶ミルクから選択される乳の風味を有する飲料である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
植物油脂を添加する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
加熱殺菌する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物原料を含有し、容器詰めされた飲料の製造方法に関する。より詳細には、牛乳が持つような濃厚感が増強された、植物原料含有容器詰め飲料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向から、大豆などの植物原料をベースとする飲料、例えば豆乳飲料などが人気であり、すっきりした味わいで飲みやすいと香味の評価も高い。しかし、一方で、牛乳などの動物乳の飲料と比較すると、濃厚感に欠け、物足りなさを感じる人もいる。
【0003】
濃厚感を有する植物原料を含有する飲料の製造技術として、例えば特許文献1には、低脂肪豆乳に酒粕を添加し乳酸発酵をさせることで、動物性の食材にはないコクやうまみを有する飲料を提供することが記載されており、また特許文献2には、豆乳を130~150℃の高温で長時間加熱処理することで、豆特有の青臭み、エグ味などの不快な風味がなく、飲み口がスッキリとし、かつコク味を有する飲料を提供することが記載されている。
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術では、牛乳が持つような濃厚感の付与には至らず、また植物原料を加工する工程が必要でありコストや設備の点で簡単には実施することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-164409号公報
【文献】特開2007-159593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、植物原料を含有する飲料において、牛乳が持つような濃厚感を付与することである。ここで、牛乳が持つような濃厚感とは、牛乳を飲用した時に舌で感じられるねっとりした感触のことをいう。
【課題を解決する手段】
【0007】
本発明者らは上記目的について鋭意検討した結果、植物由来タンパク質の含有量が0.01質量%以上となるように植物原料を含有させた飲料において、製造時に、二酸化硫黄(SO2)の濃度として0.001~0.05質量%となるような量の亜硫酸塩を飲料に添加することにより、飲料の牛乳のような濃厚感を増強することができることを見出した。
【0008】
本発明は、これらに限定されないが、以下を含む。
[1](1)飲料中の植物由来タンパク質の含有量が0.01質量%以上となるように、植物原料を飲料に添加する工程、
(2)二酸化硫黄(SO2)の濃度として0.001~0.05質量%となるように、亜硫酸塩を飲料に添加する工程、及び
(3)飲料を容器に充填する工程、
を含む、植物原料を含有する容器詰めの飲料の製造方法。
[2]植物原料が、大豆、アーモンド、オーツ麦のいずれか1以上を含む、[1]記載の飲料。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、牛乳のような濃厚感が増強された植物原料含有飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、植物原料を含有し、容器詰めされた飲料の製造方法であって、(1)飲料中の植物由来タンパク質の含有量が0.01質量%以上となるように、植物原料を飲料に添加する工程、(2)二酸化硫黄(SO2)として0.001~0.05質量%となるように、亜硫酸塩を飲料に添加する工程、及び(3)飲料を容器に充填する工程を含む方法に関する。
【0011】
(植物原料)
本発明により製造される飲料は植物原料を含む。植物原料の植物の種類は特に限定されないが、タンパク質を豊富に含む植物を用いることが好ましい。そのような植物としては、例えば、豆類(大豆(豆乳も含む)、えんどう豆)、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、ウォルナッツ、ピスタチオ、ココナッツ)、オーツ麦、ライス等が挙げられ、好ましくは、大豆(豆乳も含む)、アーモンド、オーツ麦であり、本発明の効果が得られやすい点において、特に好ましくは大豆(豆乳も含む)である。用いる植物は1種でもよいし、複数種を併せて用いてもよい。植物原料は、例えば、上記の植物をそのまままたは水に浸した後にすり潰して液状またはペースト状にしたもの、あるいはそれらを遠心分離などで精製したもの、乾燥工程により粉末化したものなどを飲料に含有させて用いることができる。
【0012】
(植物由来タンパク質)
本発明の飲料の製造方法においては、飲料中の植物由来タンパク質の含有量が0.01質量%以上、好ましくは0.05~10質量%、より好ましくは1~5質量%、さらに好ましくは2~5質量%となるように、上記植物原料を添加する工程を含む。
【0013】
飲料中の植物由来タンパク質含有量が0.01質量%以下の場合は、本発明の効果が得られない。飲料中の植物由来タンパク質含有量は、タンパク質源となる植物の種類が単独である場合は、ケルダール法により測定することができる。また、タンパク質源となる植物の種類が複数の場合は、例えば飲料中の各種アミノ酸濃度とその組成ならびに製品に付された原料表示から植物由来タンパク質に該当するタンパク質の含有量を求めることにより得ることができる。
【0014】
(亜硫酸塩)
本発明の飲料の製造方法においては、二酸化硫黄(SO2)の濃度として0.001~0.05質量%となるような量の亜硫酸塩を添加する工程を含む。亜硫酸塩の種類は限定されないが、例えば、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなどが挙げられ、特に亜硫酸カリウムが香味における植物原料との相性の点で好ましい。また、各国の法律に則り、食品添加物として使用できるものを選択すればよい。
【0015】
添加する亜硫酸塩の濃度は、飲料において、二酸化硫黄(SO2)の濃度として0.001~0.05質量%となる量を計算して添加すればよい。ここで、「二酸化硫黄の濃度として」とは、「亜硫酸塩が解離した時に生じる二酸化硫黄の濃度で換算する」という意味であり、以下の化学式から、亜硫酸塩の添加量を算出することができる。
(ピロ亜硫酸カリウム)K2S2O5→K2O+2SO2
(ピロ亜硫酸ナトリウム)Na2S2O5→Na2SO3+SO2
(亜硫酸ナトリウム)Na2SO3+2H+→2Na++H2O+SO2
亜硫酸塩の濃度は、二酸化硫黄の濃度として0.001~0.01質量%がより好ましく、0.002~0.005質量%が特に好ましい。0.001質量%より低いと本発明の効果が十分に得られず、0.05質量%より高いと飲料を飲用した際に亜硫酸塩の苦味を強く感じられるおそれがある。
【0016】
(動物乳)
本発明で製造する飲料には、動物乳を含有させてもよい。したがって、本発明の製造方法は、動物乳を添加する工程をさらに含んでいてもよい。動物乳としては、例えば、牛乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、練乳、脱脂練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、バター、バターオイル、バターミルク、バターミルクパウダー、カゼイン、ホエー、チーズなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を選択して用いてもよい。好ましい動物乳は、牛乳、脱脂粉乳である。飲料が動物乳を含有する場合であっても、亜硫酸塩を添加しない飲料と比較して、亜硫酸塩を添加した飲料においては、本発明の効果である牛乳のような濃厚感をより強く感じることができる。
【0017】
(乳固形分)
飲料に動物乳を添加する場合、本発明により得られる飲料の乳固形分量は、好ましくは3.0質量%未満であり、より好ましくは2.5質量%未満であり、さらに好ましくは2.0質量%未満である。乳固形分の含有量が3.0質量%未満である場合、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」において「乳飲料」の規格に該当しないが、本発明により乳飲料のような牛乳のような濃厚感のある飲料を製造することができる。なお、乳固形分とは、乳脂肪分と無脂乳固形分の合計を指し、一般的な牛乳は乳固形分が12.6質量%(乳脂肪分3.8質量%、無脂乳固形分8.8質量%)である。乳固形分は、乳成分を一般的な乾燥法(凍結乾燥、蒸発乾固等)を用いて乾燥させて水分を除いた後の乾固物の重量を測定することで求めることができる。例えば、容器詰め飲料の容器上に表示された乳原料(乳成分)についてそれぞれ乳固形分を測定し、それを合計したものを飲料中の乳固形分とすることができる。
【0018】
(乳の風味を有する飲料)
本発明により製造される飲料は、乳成分を含む飲料(乳成分含有飲料と呼ぶ)のような乳の風味を有する飲料であることが好ましい。そのような飲料の種類としては、例えば、ミルク風味飲料、コーヒーミルク、紅茶ミルク、抹茶ミルクなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0019】
(甘味成分)
本発明により製造される飲料は、さらに甘味成分を含むことが好ましい。したがって、本発明の製造方法は、甘味成分を添加する工程をさらに含んでいてもよい。甘味成分には、乳のまろやかさを増強する効果があることから、甘味成分を添加することにより、より牛乳に近い味わいとすることができる。ここで甘味成分とは、甘味を有する成分であり、糖類、糖アルコール、甘味料をいう。具体的には、砂糖、果糖、ブドウ糖、マルトース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、トレハロース、ラクトースなどの甘味を有する糖類、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール等の糖アルコール、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物などの各種甘味料が挙げられる。中でも砂糖を添加することが好ましい。甘味料を添加する場合は、甘味度が0.5~10となるように添加するのが好ましい。ここで、甘味度とは、飲料100g中にショ糖1gを含有する飲料の甘さを「1」とした場合の、飲料の甘味を表す指標である。
【0020】
(その他の成分)
上記の成分の他、香料、乳化剤、植物油脂、食塩、pH調整剤、酸化防止剤等を、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で飲料に添加することができる。香料の種類は特に制限されないが、ミルク香料等の乳成分の香気を増強する香料を好ましく選択することができる。乳化剤の例としては、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等を主成分とした、公知の乳化剤を挙げることができる。中でもショ糖脂肪酸エステルを好ましく選択することができる。植物油脂の例としては、紅花油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、菜種油、オリーブ油、コーン油、植物油を加工した加工油脂等が挙げられ、紅花油、ヤシ油、パーム油が好ましく、異味を感知しにくいという点では特に紅花油が特に好ましい。飲料に植物油脂を含有させる場合、植物油脂の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.15~3.0質量%であり、さらに好ましくは0.3~2.0質量%であり、最も好ましくは0.5~1.5質量%である。植物油脂を0.1質量%以上含有させると乳の風味が向上する。一方、3.0質量%より多いと、飲料を飲用した際に植物油脂の苦味が感知される可能性がある。
【0021】
(pH)
本発明により製造される飲料のpHは、特に限定されないが、飲料の微生物学的安全保証の点から、5.0~8.0であることが好ましく、6.0~7.0であることがより好ましい。本発明の製造方法は、上記の範囲のpHとなるように、飲料のpHを調整する工程をさらに含んでいてもよい。飲料のpH調整は、公知のpH調整剤を用いて適宜行うことができる。
【0022】
(充填)
本発明の製造方法は、飲料を容器に充填する工程を含む。飲料を充填する容器は、特に限定されないが、例えば、PETボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶などを用いることができる。本発明は、常温流通の飲料の製造に好適に用いることができることから、PETボトル、アルミ缶、スチール缶が好ましく、軽量で持ち運びが容易であるPETボトルが特に好ましい。
【0023】
また、本発明の飲料の製造方法においては、加熱殺菌工程を含むことが好ましい。本発明における加熱殺菌処理の条件は、特に制限されないが、容器として耐熱性容器(金属缶、ガラス等)を使用する場合には、レトルト殺菌(110~140℃、1~数十分間)を行うことができ、また、容器として非耐熱性容器(PETボトル、紙容器等)を用いる場合は、例えば、調合液を予めプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌(UHT殺菌:110~150℃、1~数十秒間)し、一定の温度まで冷却した後、その非耐熱性容器に充填することができる。
【実施例】
【0024】
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実験1
表1に従い、水に大豆原料を添加し、さらに各種亜硫酸塩を添加し、各種飲料を調製した。なお、大豆原料(豆乳)はマルサンアイ(株)製「毎日おいしい 無調整豆乳」(大豆タンパク質含量4.2質量%)を用い、飲料にそのまま混入させた。また、各種亜硫酸塩は、二酸化硫黄(SO2)としての濃度が表1に記載の値となるように計算して添加した。
得られた飲料を500mlペットボトル容器2本に充填した後、各種飲料の評価を行った。
【0025】
得られた各種飲料の牛乳が持つような濃厚感について、以下の評価基準に基づいて、専門パネル5名で官能評価を行った。評価の際には、まず、表1に記載の基準サンプル1~3(いずれも総タンパク質量は同じ)を用意し、植物由来タンパク質量:乳タンパク質量=100:0となるよう調整した基準サンプル1の「牛乳が持つような濃厚感」の評価点を1点、植物由来タンパク質量:乳タンパク質量=75:25の基準サンプル2の評価点を3点、植物由来タンパク質量:乳タンパク質量=50:50の基準サンプル1の評価点を5点とした。なお、乳タンパク質量は牛乳(乳タンパク質3.3質量%)を用いて調整した。
5点:牛乳が持つような濃厚感が強く感じられる(基準サンプル3相当)。
4点:牛乳が持つような濃厚感が明らかに感じられる(基準サンプル3と2の間)
3点:牛乳が持つような濃厚感が感じられる(基準サンプル2相当)
2点:牛乳が持つような濃厚感が若干感じられる(基準サンプル2と1の間)
1点:牛乳が持つような濃厚感が全く感じられない(基準サンプル1相当)
5名の評価点の平均点を表1に示す。平均点は3.0点以上が合格である。
【0026】
【0027】
表1の結果より、亜硫酸塩を二酸化硫黄(SO2)として0.001質量%以上添加した場合に牛乳のような濃厚感が付与されたことがわかった。また亜硫酸塩を二酸化硫黄(SO2)として0.1質量%添加すると苦味が強く感じられることから、亜硫酸塩を二酸化硫黄(SO2)として0.001~0.05%添加するのが適しているといえる。
【0028】
実験2
植物由来タンパク質の濃度と種類を変更し、実験1と同様にして、表2の各種サンプルを調製し、500mlペットボトル容器2本に充填した。ここで、アーモンド原料は江崎グリコ(株)製「アーモンド効果」(アーモンドタンパク質含有量1質量%)を用い、オーツ麦原料は、ダノンジャパン(株)製「アルプロ(登録商標)オーツミルク」(オーツ麦タンパク質含有量0.2質量%)を用いた。
【0029】
得られた各種飲料の牛乳が持つような濃厚感について、専門パネル4名で官能評価を行った。評価方法は実験1と同様に、基準サンプルを用意して行ったが、基準サンプルの総タンパク質量は、各評価対象サンプルの総タンパク質量と同量にし、また、基準サンプルに用いる植物原料は、各評価対象サンプルに用いた植物原料と同じものとした。評価結果を表2に示す。
【0030】
【0031】
表2の結果より、植物由来タンパク質の含有量が0.01~4.2質量%であり、牛乳を含まない飲料においても、亜硫酸塩を添加することにより、牛乳が持つような濃厚感が付与されることがわかった。また、大豆以外の植物原料を用いた時にも、大豆を用いたときと同様の効果が得られることがわかった。
【0032】
実験3
大豆原料(豆乳)は実験1と同じものを用い、下の表3の配合に従って、ミルク風味飲料とコーヒーミルク風味飲料を調製し、無菌環境下で500mlペットボトルに充填した。これら飲料について、官能パネル4名により、各種飲料について亜硫酸塩を添加していない飲料と比較して亜硫酸塩を添加した飲料について牛乳が持つような濃厚感が向上したか否かを評価した。
×:牛乳が持つような濃厚感の向上が感じられなかった
△:牛乳が持つような濃厚感が少し向上した
〇:牛乳が持つような濃厚感がとても向上した
結果は全員一致で表3に示すとおりとなり、砂糖等の成分を添加した飲料においても、特定量の亜硫酸塩を添加することで、牛乳が持つような濃厚感が付与あるいは向上されることがわかった。
【0033】
【要約】
【課題】牛乳が持つような濃厚感を有する植物原料含有容器詰め飲料を提供する。
【解決手段】(1)飲料中の植物由来タンパク質の含有量が0.01質量%以上となるように、植物原料を飲料に添加する工程、(2)二酸化硫黄(SO2)の濃度として0.001~0.5質量%となるように、亜硫酸塩を飲料に添加する工程、及び(3)飲料を容器に充填する工程を含む方法により、植物原料含有容器詰め飲料を製造する。
【選択図】なし