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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】ドラム洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20220920BHJP
   D06F 37/10 20060101ALI20220920BHJP
   D06F 37/04 20060101ALI20220920BHJP
   D06F 37/40 20060101ALI20220920BHJP
   D06F 37/22 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
D06F39/08 301B
D06F37/10
D06F37/04
D06F39/08 311C
D06F37/40 Z
D06F37/40 C
D06F39/08 321
D06F37/22
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019561724
(86)(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2018086036
(87)【国際公開番号】W WO2018205934
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-05-12
(31)【優先権主張番号】201710320265.3
(32)【優先日】2017-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521356862
【氏名又は名称】重慶海爾滾筒洗衣机有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
(72)【発明者】
【氏名】許升
(72)【発明者】
【氏名】労春峰
(72)【発明者】
【氏名】呂艶芬
(72)【発明者】
【氏名】李以民
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実公昭29-009567(JP,Y1)
【文献】実開昭49-135263(JP,U)
【文献】特開平02-239891(JP,A)
【文献】特開平11-290575(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106381634(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0176176(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第04229074(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
D06F 37/10
D06F 37/04
D06F 37/40
D06F 37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な内槽及び駆動装置を含み、前記内槽の両端は封止されており、それぞれ回転軸を介して回転可能に支持装置に装着され、前記内槽の側壁には衣類を出し入れするための投入口が開設されており、前記投入口には開放/閉止可能な密封内蓋が装着され、
前記内槽の両端の回転軸のうち少なくとも1つの回転軸の内部には、給水及び/又は排水のための水流経路が設けられており、
前記内槽の一端が後槽底となっており、前記後槽底が中心回転軸を介して前記駆動装置に伝動接続され、前記中心回転軸の内部は、水流経路が形成されるように中空となっており、
前記内槽の後槽底の内壁には、脱水及び/又は排水過程において集水に用いられる集水装置が設けられ、前記集水装置は水流経路と連通し、
前記集水装置は1つの集水室と集水流路を備え、前記集水室は、前記内槽の後槽底における内壁の中心に設けられるとともに、前記中心回転軸内の水流経路と連通し、前記集水流路は内槽の後槽底の内壁に設けられ、集水流路は一端が集水室と連通し、他端が前記内槽の内壁に沿って前記集水室から外方に向かって延伸することを特徴とするドラム洗濯機。
【請求項2】
前記中心回転軸の内部には前記水流経路が設けられ、前記水流経路がドラム洗濯機の給水装置又は排水装置と連通し、
又は、前記中心回転軸の内部には、前記給水装置、前記排水装置にそれぞれ連通する複数の水流経路が設けられることを特徴とする請求項1に記載のドラム洗濯機。
【請求項3】
前記中心回転軸の一端は前記駆動装置の外部まで伸出し、前記中心回転軸の伸出端が軸受を介して回転可能に連通部材に装着され、前記連通部材の内部には連通経路が備わっており、前記連通経路が水流経路と給水装置/排水装置を連通することを特徴とする請求項2に記載のドラム洗濯機。
【請求項4】
前記排水装置は排水管と自吸ポンプを含み、自吸ポンプの給水口は排水管を介して水流経路と連通し、
脱水及び/又は排水過程において、前記集水装置は内槽内の水を収集し、自吸ポンプの吸引力の働きで排出することを特徴とする請求項2又は3に記載のドラム洗濯機。
【請求項5】
前記集水流路を複数含み、それぞれが前記内槽の後槽底の周方向に均一に分布していることを特徴とする請求項4に記載のドラム洗濯機。
【請求項6】
前記集水装置はカバープレートを含み、前記カバープレートが前記内槽の後槽底における内壁に装着され、
前記カバープレートの内部には、集水室と集水流路を形成するよう、封止された中空室が備わっているか、或いは、前記カバープレートの内部には開口した凹溝が備わっており、前記カバープレートと前記内槽の後槽底における内壁との間を密封接続することで凹溝が封止され、集水室と集水流路が形成されることを特徴とする請求項5に記載のドラム洗濯機。
【請求項7】
前記内槽における後槽底と対向する一端は前槽蓋となっており、前記前槽蓋の直径は前記後槽底の直径よりも小さく、前記内槽の側壁は、前記内槽の回転軸に対して、傾斜して設けられることを特徴とする請求項2~6のいずれかに記載のドラム洗濯機。
【請求項8】
更に、本体と、前記内槽と同軸に設けられる外槽を含み、前記外槽は制震装置を介して本体内に装着され、前記内槽は前記外槽の内部に設けられ、洗浄過程では前記内槽の内部
に貯水されるため前記内槽と前記外槽との間に水は存在せず、
前記外槽は両端が封止されるとともに、側壁上部における投入口に対応する位置に開口が開設されており、前記開口には、開放/閉止可能な密封外蓋が装着され、前記内槽の両端における回転軸は、回転可能に前記外槽の両端の槽壁に装着されることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のドラム洗濯機。
【請求項9】
前記制震装置はアブソーバと制震吊りバネを含み、前記アブソーバは前記外槽の底部側壁の中央部に装着され、前記制震吊りバネは外槽の上部側壁に掛着されることを特徴とする請求項8に記載のドラム洗濯機。
【請求項10】
前記内槽の後槽底には排水口が開設され、前記排水口にはシールプランジャが装着され、
前記外槽内の底部には、前記シールプランジャに対応して伸縮装置が装着され、前記伸縮装置は、伸出することでシールプランジャを押し開け、前記排水口を開放して排水することが可能であり、前記伸縮装置が退避することで前記シールプランジャが位置回復し、前記排水口が閉止されることを特徴とする請求項8に記載のドラム洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣類洗浄機器の技術分野に関し、具体的にはドラム洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、一般的に、ドラム洗濯機は互いに嵌装される内槽と外槽を含む。外槽は密封されて貯水に用いられる。また、内槽には衣類が投入され、内槽を回転させることで衣類を打ち付けて洗浄を実施する。且つ、内槽には脱水孔が設けられる。これにより、外槽内の水が脱水孔から内槽に流入して内槽内の衣類を浸漬する。また、内槽内の水は脱水孔から外槽に流出する。且つ、内槽内の衣類の水分は内槽の高速回転時に脱水孔から外槽に排出される。こうして、衣類を洗浄するとの目的が実現される。
【0003】
しかし、内槽と外槽は互いに嵌装されるため、洗濯機の使用過程で内槽と外槽の間に汚れが溜まりやすい。また、内槽と外槽が互いに嵌装されることから、ユーザは内槽の外壁と外槽の内壁をクリーニングする術がない。よって、洗濯機内部の細菌が増殖し、洗濯機の洗濯効率や衣類洗浄後の清潔度が低下する。
【0004】
また、上述した従来の洗濯機では、内槽の外部に外槽が嵌装されており、洗濯機の洗浄過程では内槽が回転することで衣類を打ち付けて洗浄する。そのため、洗濯機の洗浄容量は内槽が基準となり、洗濯機の内部空間の利用率が低い。よって、従来をベースにした場合、洗濯機の洗浄容量を拡大することは不可能である。
【0005】
上記に鑑みて、内槽と外槽を一体化し、内槽を密封容器とすることで水と衣類を投入可能としつつ、回転により衣類を打ち付けて洗浄を実施可能な洗濯機を如何にして設置するか、及び、洗濯機に外槽を設けないか、外槽と洗濯機のハウジングを一体的に設けることで、洗濯機の内槽を拡大して洗濯機の洗浄容量を増大可能とすることが、研究開発の焦点となっている。
【0006】
しかし、内槽は洗浄水を貯めるだけでなく、回転により槽内の衣類を打ち付けて洗浄を実施する必要がある。そのため、上記洗濯機に適用される給水構造及び/又は排水構造を如何に設置するかもまた喫緊に解決を要する難題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の技術的欠点に鑑みて、本発明を提案する。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明はドラム洗濯機を提供する。具体的には、以下の技術方案を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ドラム洗濯機であって、回転可能な内槽を含み、内槽の両端は封止されており、それぞれ回転軸を介して回転可能に支持装置に装着され、内槽の側壁には衣類を出し入れするための投入口が開設されており、投入口には開放/閉止可能な密封内蓋が装着され、前記内槽の両端の回転軸のうち少なくとも1つの回転軸の内部には、給水及び/又は排水のための水流経路が設けられる。
【0010】
更に、駆動装置を更に含み、前記内槽の一端が後槽底となっており、後槽底が中心回転軸を介して駆動装置に伝動接続され、中心回転軸の内部は、水流経路が設けられるよう中空となっており、前記中心回転軸の内部には水流経路が設けられ、前記水流経路がドラム洗濯機の給水装置又は排水装置と連通し、又は、前記中心回転軸の内部には、給水装置、排水装置にそれぞれ連通する複数の水流経路が設けられる。
【0011】
更に、前記中心回転軸の一端は駆動装置の外部まで伸出し、中心回転軸の伸出端が軸受を介して回転可能に連通部材に装着され、前記連通部材の内部には連通経路が備わっており、前記連通経路が水流経路と給水装置/排水装置を連通する。
【0012】
更に、前記排水装置は排水管と自吸ポンプを含み、自吸ポンプの給水口は排水管を介して水流経路と連通し、前記内槽の後槽底の内壁には、脱水及び/又は排水過程において集水に用いられる集水装置が設けられ、集水装置は水流経路と連通し、脱水及び/又は排水過程において、集水装置は内槽内の水を収集し、自吸ポンプの吸引力の働きで排出する。
【0013】
更に、前記集水装置は集水室と集水流路を備え、前記集水室は、内槽の後槽底における内壁の中心に設けられるとともに、中心回転軸内の水流経路と連通し、前記集水流路は内槽の後槽底の内壁に設けられ、集水流路は一端が集水室と連通し、他端が内槽の内壁に向かって延伸し、好ましくは、前記集水流路を複数含み、それぞれが内槽の後槽底の周方向に均一に分布している。
【0014】
更に、前記集水装置はカバープレートを含み、カバープレートが内槽の後槽底における内壁に装着され、前記カバープレートの内部には、集水室と集水流路を形成するよう、封止された中空室が備わっているか、或いは、前記カバープレートの内部には開口した凹溝が備わっており、カバープレートと内槽の後槽底における内壁との間を密封接続することで凹溝が封止され、集水室と集水流路が形成される。
【0015】
更に、前記内槽における後槽底と対向する一端は前槽蓋となっており、前記前槽蓋の直径は後槽底の直径よりも小さく、前記内槽の側壁は、前槽蓋から後槽底に向かって上方に傾斜して設けられる。
【0016】
更に、本体と、内槽と同軸に設けられる外槽を含み、外槽は制震装置を介して本体内に装着され、前記内槽は外槽の内部に設けられ、洗浄過程では内槽の内部に貯水されるため、内槽と外槽の間に水は存在せず、前記外槽は両端が封止されるとともに、側壁上部における投入口に対応する位置に開口が開設されており、開口には、開放/閉止可能な密封外蓋が装着され、前記内槽の両端における回転軸は、回転可能に外槽の両端の槽壁に装着される。
【0017】
更に、前記制震装置はアブソーバと制震吊りバネを含み、前記アブソーバは外槽の底部側壁の中央部に装着され、前記制震吊りバネは外槽の上部側壁に掛着され、好ましくは、前記制震吊りバネが外槽の上部側壁における駆動装置寄りの一端に設けられ、前記アブソーバは、2つが対称に外槽の底部側壁の両側に装着される。
【0018】
更に、前記内槽の後槽底には排水口が開設され、排水口にはシールプランジャが装着され、前記外槽内の底部にはシールプランジャに対応して伸縮装置が装着され、前記伸縮装置は、伸出することでシールプランジャを押し開け、排水口を開放して排水することが可能であり、伸縮装置が退避することでシールプランジャが位置回復し、排水口が閉止される。
【発明の効果】
【0019】
本発明におけるドラム洗濯機は内槽の前後端が封止されており、投入口が内槽の側壁に開設されている。これにより、内槽全体を孔無しの内槽とすることが可能である。洗浄時には内槽の内部に洗浄水が蓄えられ、内槽が回転することで衣類の洗浄が行われる。このように、従来のドラム洗濯機における外槽を省略することで、本体サイズを変化させることなく内槽の容積を増加させ、ドラム洗濯機の容量を拡大する。また、内槽内に貯水するため、従来の洗濯機では洗浄水が内槽と外槽の間に進入し、時間の経過とともに内槽の外壁と外槽の内壁が「内部汚染」されやすいとの課題が解決される。
【0020】
本発明では、回転軸を介してドラムの両封止端をそれぞれ回転可能に支持装置に装着することで、ドラムの回転を実現している。また、内槽の両端の回転軸のうち少なくとも1つの回転軸の内部に給水及び/又は排水のための水流経路を設けることで、給排水の問題を解決している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施例におけるドラム洗濯機の正面図である。
図2図2は、本発明の実施例にかかるドラム洗濯機の図1におけるA部分の拡大図である。
図3図3は、本発明の実施例におけるドラム洗濯機の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を組み合わせて、本発明におけるドラム洗濯機につき詳述する。
【0023】
図1及び図2に示すように、本実施例のドラム洗濯機は、回転可能な内槽28を含む。
内槽28の両端は封止されており、それぞれ回転軸を介して回転可能に支持装置に装着される。内槽28の側壁には、衣類を出し入れするための投入口が開設されており、投入口には開放/閉止可能な密封内蓋27が装着されている。前記内槽28の両端の回転軸のうち少なくとも1つの回転軸の内部には、給水及び/又は排水のための水流経路が設けられる。
【0024】
本実施例の内槽28は、槽壁に脱水孔が開設されない孔無しの内槽である。洗浄時には、内槽28内に洗浄水が蓄えられ、内槽28が回転することで衣類の洗浄が行われる。本発明のドラム洗濯機は外槽を省略可能である。これによれば、本体サイズを変化させることなく内槽28の容積を増加させ、ドラム洗濯機の容量を拡大させられる。また、内槽28の内部に貯水するため、従来の洗濯機では洗浄水が内槽と外槽の間に進入し、時間の経過とともに内槽の外壁と外槽の内壁が「内部汚染」されやすいとの課題が解決される。
【0025】
本実施例におけるドラム洗濯機の内槽28は、水平軸線を中心に回転する。従来の内槽28は前端に投入口が開設されるため、従来の方式では外槽を密封することで洗浄水の溢流を防止する。これに対し、本発明におけるドラム洗濯機では、内槽28の回転方式は変えないが、両端を封止して投入口を内槽28の側壁に開設するよう変更している。この場合には投入口を密封するだけでよいため、密封構造が簡略化される。
【0026】
このほか、本実施例では、回転軸を介してドラムの両端をそれぞれ回転可能に支持装置に装着することでドラムの回転を実現する。また、内槽28の両端の回転軸のうち少なくとも1つの回転軸の内部に給水及び/又は排水のための水流経路を設けることで給排水の問題を解決する。
【0027】
本発明の好ましい実施形態として、本実施例のドラム洗濯機は駆動装置8を更に含む。前記内槽28の一端は後槽底となっており、後槽底が中心回転軸10を介して駆動装置8に伝動接続される。中心回転軸10の内部は、水流経路が設けられるよう中空となっている。本実施例では水流経路を中心回転軸10の内部に設けている。これにより、洗濯機の給水又は排水がこの水流経路から出入り可能となるため、内槽の回転が給排水に影響することがない。
【0028】
好ましくは、本実施例で記載する中心回転軸10の内部に水流経路が設けられ、前記水流経路がドラム洗濯機の給水装置又は排水装置と連通する。本実施例における中心回転軸10の内部の水流経路は、単一の給水又は排水機能のみを実現可能である。
【0029】
又は、本実施例で記載する中心回転軸10の内部には、給水装置、排水装置にそれぞれ連通する複数の水流経路が設けられる。これにより、中心回転軸10の内部の水流経路が給排水を同時に実現可能となる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態として、前記中心回転軸10の一端は駆動装置8の外部まで伸出し、中心回転軸10の伸出端が軸受を介して回転可能に連通部材9に装着される。前記連通部材9の内部には連通経路が備わっており、前記連通経路が水流経路と給水装置/排水装置を連通する。
【0031】
本発明では、中心回転軸10内の水流経路によって排水を実現する場合を例に詳細に説明する。本実施例の中心回転軸10内の水流経路は、排水機能を実現するために排水装置と連通する。具体的に、本実施例で記載する排水装置は、排水管14と自吸ポンプ13を含む。自吸ポンプ13の給水口は、排水管14を介して中心回転軸10内の水流経路と連通する。
【0032】
中心回転軸10は、内槽の最低位置ではなく、内槽の槽底の中心位置に配置される。そのため、内槽内の洗浄水のより良好な排出を保証するために、前記内槽28の後槽底の内壁には、脱水及び/又は排水過程において集水に用いられる集水装置が設けられる。集水装置は水流経路と連通する。脱水及び/又は排水過程において、集水装置は内槽内の水を収集し、自吸ポンプ13の吸引力の働きで排出する。
【0033】
具体的に、本実施例で記載する集水装置は、集水室11と集水流路6を備える。前記集水室11は、内槽28の後槽底における内壁の中心に設けられるとともに、中心回転軸10内の水流経路と連通する。前記集水流路6は内槽の後槽底の内壁に設けられる。集水流路6は一端が集水室11と連通し、他端が内槽28の内壁に向かって延伸している。
【0034】
好ましくは、前記集水流路6を複数含み、それぞれが内槽28の後槽底の周方向に均一に分布している。
【0035】
集水装置と連携して集水するよう、本実施例の内槽28における後槽底と対向する一端は前槽蓋となっている。前記前槽蓋の直径は後槽底の直径よりも小さい。前記内槽28の側壁は、前槽蓋から後槽底に向かって上方に傾斜して設けられる。
【0036】
集水装置による集水効果を実現するためには、更に内槽28の回転と連携する必要がある。内槽28が回転すると、洗浄水が遠心分離の作用で内槽28の側壁表面に凝集する。しかし、側壁は傾斜構造となっているため、洗浄水は内槽28の傾斜した側壁に沿って前槽蓋から後槽底へと凝集し、当該箇所に設けられた集水流路6から集水室内へと案内される。
【0037】
そのため、本実施例におけるドラム洗濯機の脱水過程では、内槽28の高速回転を利用して集水と排水を実現する。洗浄過程のあとの排水については排水プログラムを追加して、内槽28の高速回転を向上させることで排水を実現してもよい。
【0038】
本実施例の好ましい実施形態として、本実施例で記載する集水装置はカバープレートを含み、カバープレートが内槽の後槽底における内壁に装着される。前記カバープレートの内部には、集水室11と集水流路6を形成するよう、封止された中空室が備わっている。或いは、前記カバープレートの内部には開口した凹溝が備わっている。カバープレートと内槽の後槽底における内壁との間を密封接続することで凹溝が封止され、集水室11と集水流路6が形成される。
【0039】
本実施例の好ましい実施形態として、前記集水装置の上面には、内槽内の底部から突出する突出構造が構成されている。突出構造は洗浄時に洗浄物を上昇させることが可能であり、これにより洗濯効果が向上する。
【0040】
本実施例におけるドラム洗濯機は、更に、本体4と、内槽28と同軸に設けられる外槽5を含む。外槽5は制震装置を介して本体4内に装着され、前記内槽28は外槽5の内部に設けられる。洗浄過程では内槽28の内部に貯水されるため、内槽28と外槽5の間に水は存在しない。前記外槽5は両端が封止されるとともに、側壁上部における投入口に対応する位置に開口が開設されている。また、開口には、開放/閉止可能な密封外蓋1が装着されている。前記内槽28の両端における回転軸は、回転可能に外槽5の両端の槽壁に装着される。
【0041】
本実施例の外槽5は洗浄過程において貯水には用いられず、主としてドラム洗濯機の動作の安定性を確保すべく、制震装置により内槽28の制震を実現する。
【0042】
更に、本実施例で記載する制震装置は、アブソーバ22と制震吊りバネ3を含む。前記アブソーバ22は外槽5の底部側壁の中央部に装着され、前記制震吊りバネ3は外槽5の上部側壁に掛着される。
【0043】
好ましくは、前記制震吊りバネ3が外槽5の上部側壁における駆動装置寄りの一端に設けられる。また、前記アブソーバ22は、2つが対称に外槽5の底部側壁の両側に装着される。
【0044】
本実施例の好ましい実施形態として、前記中心回転軸10の排水方式は内槽28の高速回転と連携しなければ実現不可能である。そこで、本実施例では外槽5を設けたうえで、洗浄過程での排水に対し相応の排水構造を設ける。
【0045】
具体的に、本実施例における前記内槽28の後槽底には排水口30が開設されており、排水口30にシールプランジャ17が装着される。前記外槽内の底部には、シールプランジャ17に対応して伸縮装置が装着される。前記伸縮装置は、伸出することでシールプランジャ17を押し開け、排水口30を開放して排水することが可能である。また、伸縮装置が退避することでシールプランジャ17が位置回復し、排水口30が閉止される。
【0046】
よって、本実施例のドラム洗濯機は、洗浄過程における排水を、伸縮装置を制御して排水口30を開放することで実現可能である。また、脱水過程では、中心回転軸10の内部における水流経路により排水可能である。
【0047】
更に、本実施例の排水口30の内部には、シールプランジャ17に接続される戻しバネ18が更に設けられている。伸縮装置が退避することで、シールプランジャ17は戻しバネ18の弾性作用により位置回復する。
【0048】
本実施例における伸縮装置は、モータにより回転する偏心カム15と、偏心カム15に回転可能に接続される伸縮ロッド16を含む。偏心カム15が回転すると伸縮ロッド16が上方に運動し、シールプランジャ17を押し開くことで排水口30が開放されて排水される。
【0049】
本実施例の外槽5における内槽の排水口30に対応する位置には、外槽排水口が設けられている。外槽排水口は主排水管20に接続される。また、外槽排水口の一方の側には堰止リブ21が設けられる。堰止リブ21は洗浄水を堰止リブ21と外槽底の間に堰き止めることで、洗浄水が外槽5の内表面に過剰に接触するとの事態を回避する。これにより、外槽5の内壁に対する汚れの蓄積が排除される。
【0050】
本実施例の排水管14は主排水管20と連通する。また、主排水管20には排水弁19が接続される。
【0051】
本実施例のドラム洗濯機は、前記内槽28の前端における回転軸が外槽5の前端を貫通して支持体25に回転可能に装着される。また、内槽28の後端の回転軸は外槽5の後端を貫通して駆動装置8に伝動接続される。
【0052】
本実施例の内槽28の前端には伝動回転軸32が固定接続される。伝動回転軸32は外槽5の前端を貫通する。伝動回転軸32と外槽の前端の間には第1軸受24が設けられ、第1回転軸32と支持体25の間には第2軸受26が設けられる。また、中心回転軸10と外槽5の後端には第3軸受12が設けられ、中心回転軸10と連通部材9の間には第4軸受31が設けられる。
【0053】
本実施例のドラム洗濯機の内部には、更に、給水タンク29と、給水タンク29に接続される給水管2が設けられている。中心回転軸10内の水流経路から給水する際には、給水管2と中心回転軸10内の水流経路が連通する。
【0054】
以上は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に限定するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて行うわずかな変形或いは補足は、同等に変形された等価の実施例とみなされ、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲内とされる。
【符号の説明】
【0055】
1 密封外蓋
2 給水管
3 制震吊りバネ
4 本体
5 外槽
6 集水流路
8 駆動装置
9 連通部材
10 中心回転軸
11 集水室
12 第3軸受
13 自吸ポンプ
14 排水管
15 偏心カム
16 伸縮ロッド
17 シールプランジャ
18 戻しバネ
19 排水弁
20 主排水管
21 堰止リブ
22 アブソーバ
24 第1軸受
25 支持体
26 第2軸受
27 密封内蓋
29 給水タンク
30 排水口
31 第4軸受
32 伝動回転軸
図1
図2
図3