(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】人材育成支援装置、人材育成支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220920BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20220920BHJP
【FI】
G06Q10/06 300
G06Q10/10 320
(21)【出願番号】P 2020011384
(22)【出願日】2020-01-28
【審査請求日】2021-12-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519279889
【氏名又は名称】Goal connect株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519462919
【氏名又は名称】大下 明
(74)【代理人】
【識別番号】110002055
【氏名又は名称】特許業務法人iRify国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大下 明
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-334192(JP,A)
【文献】特開2017-224256(JP,A)
【文献】特開2004-348761(JP,A)
【文献】特開2003-016240(JP,A)
【文献】特開2014-191716(JP,A)
【文献】特開2007-265134(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0330303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務の実作業を行う担当者から前記担当者の管理を行う管理者への報告として予め定められたルールに従って投稿される第1コメントを前記ルールに従って解析し、前記第1コメントの内容を示すデータを前記担当者及び投稿時刻を示すデータと対応付けて記憶装置に書き込む書き込み手段と、
前記記憶装置に蓄積されたデータを分析して前記担当者のキャラクタを特定する特定手段と、
前記担当者に対して予め定められた業務目標と前記特定手段により特定されたキャラクタとに基づいて、前記業務目標の達成を促すように前記担当者宛ての第2コメントを調整する調整手段と
、を有し、
前記ルールに従って投稿される第1コメントには、前記実作業に関し何時、何処で、誰が、何を、及び如何するかの各々を示すデータが含まれ、
前記書き込み手段は、前記業務に関わる指標の計測値を示す計測データと計測時刻を示す時刻データとを取得し、取得した計測データと取得した時刻データとを対応付けて前記記憶装置に書き込み、
前記担当者のキャラクタは前記担当者の人となりであり、前記特定手段は、前記記憶装置に蓄積されたデータの示す前記業務の遂行状況に基づいて前記担当者のキャラクタを特定し、
前記調整手段は、前記特定手段により特定されたキャラクタに応じて、前記第2コメントを前記担当者を叱咤するコメント、前記担当者を激励するコメント、又は前記担当者を称賛するコメントに調整するとともに、前記時刻データに対応付けて前記記憶装置に記憶された前記計測データの示す前記計測値の時間推移を更に加味して調整する、
ことを特徴とする人材育成支援装置。
【請求項2】
前記調整手段は、前記業務目標の達成度合いを加味して前記第2コメントを調整する、 請求項1に記載の人材育成支援装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記業務目標の達成度合いが低い程、前記第2コメントを厳しい内容 のコメントに調整する、請求項2に記載の人材育成支援装置。
【請求項4】
業務の実作業を行う担当者から前記担当者の管理を行う管理者への報告として予め定められたルールに従って投稿される第1コメントを前記ルールに従って解析し、前記第1コメントの内容を示すデータを前記担当者及び投稿時刻を示すデータと対応付けて記憶装置に書き込む書き込みステップと、
前記記憶装置に蓄積されたデータを分析して前記担当者のキャラクタを特定する特定ステップと、
前記担当者に対して予め定められた業務目標と前記特定ステップにて特定されたキャラクタとに基づいて、前記業務目標の達成を促すように前記担当者宛ての第2コメントを調整する調整ステップと、を含み、
前記ルールに従って投稿される第1コメントには、前記実作業に関し何時、何処で、誰が、何を、及び如何するかの各々を示すデータが含まれ、
前記書き込みステップでは、前記業務に関わる指標の計測値を示す計測データと計測時刻を示す時刻データとを取得し、取得した計測データと取得した時刻データとを対応付けて前記記憶装置に書き込み、
前記担当者のキャラクタは前記担当者の人となりであり、前記特定ステップでは、前記記憶装置に蓄積されたデータの示す前記業務の遂行状況に基づいて前記担当者のキャラクタが特定され、
前記調整ステップでは、前記特定ステップにて特定されたキャラクタに応じて、前記第2コメントを前記担当者を叱咤するコメント、前記担当者を激励するコメント、又は前記担当者を称賛するコメントに調整するとともに、前記時刻データに対応付けて前記記憶装置に記憶された前記計測データの示す前記計測値の時間推移を更に加味して調整する、
ことを特徴とする人材育成支援方法。
【請求項5】
コンピュータを、
業務の実作業を行う担当者から前記担当者の管理を行う管理者への報告として予め定められたルールに従って投稿される第1コメントを前記ルールに従って解析し、前記第1コメントの内容を示すデータを前記担当者及び投稿時刻を示すデータと対応付けて記憶装置に書き込む書き込み手段と、
前記記憶装置に蓄積されたデータを分析して前記担当者のキャラクタを特定する特定手段と、
前記担当者に対して予め定められた業務目標と前記特定手段により特定されたキャラクタとに基づいて、前記業務目標の達成を促すように前記担当者宛ての第2コメントを調整する調整手段と、して機能させ、
前記ルールに従って投稿される第1コメントには、前記実作業に関し何時、何処で、誰が、何を、及び如何するかの各々を示すデータが含まれ、
前記書き込み手段は、前記業務に関わる指標の計測値を示す計測データと計測時刻を示す時刻データとを取得し、取得した計測データと取得した時刻データとを対応付けて前記記憶装置に書き込み、
前記担当者のキャラクタは前記担当者の人となりであり、前記特定手段は、前記記憶装置に蓄積されたデータの示す前記業務の遂行状況に基づいて前記担当者のキャラクタを特定し、
前記調整手段は、前記特定手段により特定されたキャラクタに応じて、前記第2コメントを前記担当者を叱咤するコメント、前記担当者を激励するコメント、又は前記担当者を称賛するコメントに調整するとともに、前記時刻データに対応付けて前記記憶装置に記憶された前記計測データの示す前記計測値の時間推移を更に加味して調整する、
ことを特徴とするプログラム 。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人材育成支援装置、人材育成支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
設備の運用管理等をSNS(Social Networking Service)を利用して支援する技術が種々提案されており、その一例として特許文献1に開示の技術が挙げられる。特許文献1には、SNSに投稿されたコメントとそのコメントの属性情報(コメントの投稿された位置や投稿時間を示す情報等)から、都市のインフラ設備に関連する情報を抽出し、災害や都市環境の不備をユーザへわかりやすく提示する情報処理システムの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設備の運用管理等へのSNSの他の利用態様としては、設備の運用等の実作業を行う担当者と担当者の管理を行う管理者との間のコミュニケーションにSNSを利用する態様が考えられる。具体的には、担当者から管理者への各種報告及び管理者から担当者への各種指示をコメントとしてSNSに投稿する態様が考えられる。この態様においては、コメントを画一的に取り扱えるようにするため、コメントに含めるべき情報(何時、何処で、誰が、何を、如何する等)や情報の記載順について予めルールを定めておくことが好ましい。
【0005】
また、業務の報告として投稿されるコメントには、投稿元のキャラクタ(投稿元の職位や人となり等)を反映した情報等、投稿元の人材育成に有用な情報が含まれている。これらの情報をコメントの投稿元毎に蓄積し、投稿元の人材育成に利用できれば便利であるが、従来、このようなことを可能にする技術は無かった。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたものであり、業務の報告としてSNSに投稿されるコメントに含まれる情報を、投稿元の人材育成に利用できるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、業務の実作業を行う担当者から前記担当者の管理を行う管理者への報告として予め定められたルールに従って投稿される第1コメントを前記ルールに従って解析し、前記第1コメントの内容を示すデータを前記担当者及び投稿時刻を示すデータと対応付けて記憶装置に書き込む書き込み手段と、前記記憶装置に蓄積されたデータを分析して前記担当者のキャラクタを特定する特定手段と、前記担当者に対して予め定められた業務目標と前記特定手段により特定されたキャラクタとに基づいて、前記業務目標の達成を促すように前記担当者宛ての第2コメントを調整する調整手段と、を有する人材育成支援装置、を提供する。
【0008】
より好ましい態様においては、前記キャラクタには前記担当者の職位が含まれ、前記調整手段は前記担当者の職位に応じて前記第2コメントを調整する、ことを特徴とする。
【0009】
さらに好ましい態様においては、前記調整手段は、前記業務目標の達成度合いを加味して前記第2コメントを調整する、ことを特徴とする。
【0010】
さらに好ましい態様においては、前記調整手段は、前記業務目標の達成度合いが低い程、前記第2コメントを厳しい内容のコメントに調整する、ことを特徴とする。
【0011】
さらに好ましい態様においては、前記書き込み手段は、前記業務に関わる指標の計測値を示す計測データと計測時刻を示す時刻データとを取得し、取得した計測データと取得した時刻データとを対応付けて前記記憶装置に書き込み、前記調整手段は、前記時刻データに対応付けて前記記憶装置に記憶された前記計測データの示す前記計測値の時間推移を更に加味して前記第2コメントを調整する、ことを特徴とする。
【0012】
また、上記課題を解決するために本発明は、業務の実作業を行う担当者から前記担当者の管理を行う管理者への報告として予め定められたルールに従って投稿される第1コメントを前記ルールに従って解析し、前記第1コメントの内容を示すデータを前記担当者及び投稿時刻を示すデータと対応付けて記憶装置に書き込む書き込みステップと、前記記憶装置に蓄積されたデータを分析して前記担当者のキャラクタを特定する特定ステップと、前記担当者に対して予め定められた業務目標と前記特定ステップにて特定されたキャラクタとに基づいて、前記業務目標の達成を促すように前記担当者宛ての第2コメントを調整する調整ステップと、を含む人材育成支援方法、を提供する。
【0013】
また、上記課題を解決するために本発明は、コンピュータを、業務の実作業を行う担当者から前記担当者の管理を行う管理者への報告として予め定められたルールに従って投稿される第1コメントを前記ルールに従って解析し、前記第1コメントの内容を示すデータを前記担当者及び投稿時刻を示すデータと対応付けて記憶装置に書き込む書き込み手段と、前記記憶装置に蓄積されたデータを分析して前記担当者のキャラクタを特定する特定手段と、前記担当者に対して予め定められた業務目標と前記特定手段により特定されたキャラクタとに基づいて、前記業務目標の達成を促すように前記担当者宛ての第2コメントを調整する調整手段と、して機能させるプログラム、を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による人材育成支援装置10を有する情報システム1の構成例を示す図である。
【
図2】人材育成支援装置10の構成例を示す図である。
【
図3】人材育成支援装置10の不揮発性記憶部134に記憶される割り当てテーブルの一例を示す図である。
【
図4】人材育成支援装置10の制御部100がプログラム134aに従って実現する機能ブロックの一例を示す図である。
【
図5】電力の需給管理業務に適用した場合の第2コメントの投稿タイミングを説明するための図である。
【
図6】制御部100がプログラム134aに従って実行する人材育成支援方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による人材育成支援装置10を含む情報システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、情報システム1は、人材育成支援装置10が接続される通信網30と、通信網30に収容される端末装置20A及び端末装置20Bと、を含む。
【0016】
通信網30には移動電話網及び移動パケット通信網が含まれる。端末装置20A及び端末装置20Bは通信網30に収容されるスマートフォンである。端末装置20Aは、設備等の運用管理或いは電力の需給管理等の業務の実作業を行う担当者により使用され、端末装置20Bは担当者の管理を行う管理者により使用される。本実施形態では、担当者はSNSに対するコメント(以下、第1コメント)の投稿により管理者への報告を行い、管理者はSNSに対するコメントの投稿により担当者への指示を行う。
【0017】
図1では、1台の端末装置20Aが図示されているが、2台以上の端末装置20Aが情報システム1に含まれてもよい。端末装置20Bについても同様に2台以上の端末装置20Bが情報システム1に含まれてもよい。また、本実施形態における端末装置20A及び端末装置20Bは何れもスマートフォンであるが、端末装置20Aと端末装置20Bの何れか一方又は両方がタブレット端末であってもよく、ノート型パーソナルコンピュータであってもよい。以下では、端末装置20Aと端末装置20Bの各々を区別する必要がない場合には「端末装置20」と表記する。
【0018】
図1に示すように、通信網30には外部システム40が接続される。外部システム40は、災害情報、気象情報、及び/又は交通情報等の外部関連情報を情報システム1に提供する。災害情報とは、例えば担当者により運用管理される設備等(以下、管理対象設備等)が設置されている地域における地震等の災害の発生状況(災害の発生時刻、災害の内容及び規模等)を示す情報である。気象情報とは、例えば管理対象設備等が設置されている地域の気象状況及び気象予測を示す情報である。交通情報とは、管理対象設備等が設置されている地域における渋滞或いは通行止め等の発生状況を示す情報である。外部関連情報は、担当者が実作業を行う際、及び管理者が担当者に指示を与える際に端末装置20を用いて適宜参照される。
【0019】
人材育成支援装置10は、SNSサーバ機能を有する。また、人材育成支援装置10は、第1コメントに含まれる情報を、当該第1コメントの投稿元の人材育成に利用できるようにする装置である。より詳細に説明すると、本実施形態では、担当者の職種に応じて育成方針が定められ、育成方針に応じて業務目標(例えば、1回の設備の点検にかかる時間、一月当たりの顧客訪問回数、或いは一日の案件処理数等)が定められる。人材育成支援装置10は、第1コメントに含まれる情報から投稿元のキャラクタを特定し、特定したキャラクタと当該担当者の業務目標とに基づいて、業務目標の達成(例えば、業務目標の少なくとも6割の達成)を促すように、当該担当者を称賛、叱咤又は激励する第2コメントを調整し、調整済の第2コメントを当該担当者宛てにSNSへ投稿する。この第2コメントを閲覧することで担当者の成長が促される。以下、本実施形態の特徴を顕著に示す人材育成支援装置10を中心に説明する。
【0020】
図2は、人材育成支援装置10の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように人材育成支援装置10は、制御部100と、通信部110と、記憶部130と、これら構成要素間のデータ授受を仲介するバス140と、を有する。
【0021】
制御部100は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のコンピュータである。制御部100は、記憶部130に記憶されているプログラム134aに従って作動することにより、人材育成支援装置10の制御中枢として機能する。プログラム134aに従って制御部100が実現する機能、及び当該プログラム134aに従って制御部100が実行する処理の詳細については後に明らかにする。
【0022】
通信部110はNIC(Network Interface Card)である。通信部110は、通信網30に有線接続されている。本実施形態では、通信部110と通信網30との接続形態は有線接続であるが、無線接続であってもよい。通信部110は、通信網30から送信されてくる第1コメントを受信し、受信した第1コメントを制御部100に引き渡す。また、通信部110は、制御部100から引き渡される第2コメントを通信網30へ送信する。
【0023】
記憶部130は、
図2に示すように揮発性記憶部132と不揮発性記憶部134とを有する。揮発性記憶部132は例えばRAM(Random Access Memory)である。揮発性記憶部132は、プログラム134aを実行する際のワークエリアとして制御部100によって利用される。不揮発性記憶部134は例えばハードディスクである。不揮発性記憶部134には、本発明の特徴を顕著に示す人材育成支援方法を制御部100に実行させるプログラム134aが予め記憶されている。また、不揮発性記憶部134には、担当者データベース134b及びコメントデータベース134cが予め記憶されている。
【0024】
担当者データベース134bには、担当者を一意に示す担当者識別子(例えば、担当者の氏名或いは社員番号を示す文字列)に対応付けて、当該担当者の職種(営業、技術、業務等)を示す職種情報と、当該担当者に与えられた業務目標を示す業務目標情報と、業務目標の達成度合いを示す達成度情報とが格納される。達成度情報は端末装置20Aから第1コメントを受信する毎に当該第1コメントの内容に応じて更新される。
【0025】
コメントデータベース134cには、担当者識別子に対応付けて、当該担当者識別子の示す担当者から管理者への報告として予め定められたルールに従って投稿される第1コメントの内容を示すデータと、当該第1コメントの投稿時刻を示すデータとが格納される。第1コメントを予め定められたルールに従って担当者に投稿させるのは、当該第1コメントを人材育成支援装置10が画一的に取り扱えるようにするためである。
【0026】
本実施形態では、担当者データベース134bとコメントデータベース134cとが不揮発性記憶部134に記憶されるが、これらの他に、
図3に示すように、職種毎の担当者及び管理者の割り当てを示す割り当てテーブルを不揮発性記憶部134に記憶させておき、担当者及び管理者が端末装置20を用いて当該割り当てテーブルを適宜閲覧できるようにしてもよい。
【0027】
人材育成支援装置10の電源(
図2では図示略)の投入又はリセットを契機として、制御部100は、プログラム134aを不揮発性記憶部134から揮発性記憶部132へ読み出し、プログラム134aの実行を開始する。プログラム134aに従って作動している制御部100は、
図4に示す書き込み手段100a、特定手段100b及び調整手段100cとして機能する。
図4は、プログラム134aに従って制御部100が実現する機能ブロックの一例を示す図である。
図4における書き込み手段100a、特定手段100b及び調整手段100cは、制御部100をプログラム134aに従って作動させることにより実現されるソフトウェアモジュールである。これらソフトウェアモジュールの機能は次の通りである。
【0028】
書き込み手段100aは、担当者から投稿される第1コメントを上記ルールに従って解析する。そして、書き込み手段100aは、解析済みのコメントの内容を示すデータを投稿元の担当者を示す担当者識別子及び投稿時刻を示すデータと対応付けてコメントデータベース134cに書き込む。これにより、担当者により投稿される第1コメントの内容がコメントデータベース134cに蓄積される。なお、担当者識別子については、第1コメントとともに投稿元の端末装置20Aが送信してもよく、また、端末装置20Aの通信アドレス(例えばMACアドレス)を当該端末装置20Aを使用する担当者の担当者識別子に対応付けて担当者データベース134bに格納しておき、第1コメントの送信元の通信アドレスと担当者データベース134bの格納内容とから書き込み手段100aが当該第1コメントの送信元の担当者識別子を特定してもよい。
【0029】
特定手段100bは、コメントデータベース134cに蓄積されたデータを分析し、担当者のキャラクタを特定する。キャラクタとは、担当者の職位及び/又は人となりのことをいう。例えば、特定手段100bは、コメントデータベース134cに格納されているコメントに用いられている用語の出現頻度を用語毎に集計し、用語の出現頻度に基づいて担当者のキャラクタを特定する。例えば、担当者のキャラクタとして担当者の人となりを採用する場合には、顧客訪問を1日に3件実施する頑張り屋のCさん、点検時間15分目安に対して毎回25分かかるのんびり屋のFさん、といった具合に各担当者のキャラクタが特定手段100bにより特定される。担当者のキャラクタとして担当者の人となりを採用する場合には、特定手段100bは、特定した人となりを表すデータを担当者データベース134bに登録し、管理者が人事評価に利用できるようにしてもよい。
【0030】
調整手段100cは、担当者に対して予め定められた業務目標と特定手段100bにより特定されたキャラクタとに基づいて、業務目標の達成を促すように第2コメント調整し、SNSへ投稿する。第2コメントの具体例としては、「今週の訪問件数は1件です。目標まであとNN件です。」といったコメントや、「点検にかかっている時間の平均が目標よりも1分早いです。」といったコメントが考えられる。
【0031】
調整手段100cによる第2コメントの調整態様として種々の態様が考えられる。
第1に、業務目標の達成度合いが低い程、第2コメントを厳しい内容のコメント(叱咤するコメント)に調整し、業務目標の達成に近づく程、激励する或いは称賛するコメントに調整する態様が考えられる。
【0032】
第2に、始めのうちは優しい内容のコメント(激励するコメント)に調整し、日数が経過しても業務実績が向上しない場合には、厳しい内容のコメントに調整する態様が考えられる。
【0033】
第3に、担当者の職位が高い程、第2コメントを厳しい内容のコメントに調整し、担当者の職位が低い程、第2コメントを優しい内容のコメントに調整する態様が考えられる。
【0034】
第4に、人となりが頑張り屋と特定された担当者に対しては第2コメントを称賛する内容のコメントに調整し、のんびり屋と特定された担当者に対しては第2コメントを叱咤或いは激励する内容のコメントに調整する態様が考えられる。
【0035】
さらに、第5の態様として、上記第1の態様或いは上記第2の態様と、上記第3の態様或いは第4の態様と、を併用する態様が考えられる。
【0036】
調整手段100cにより調整された第2コメントをどのようなタイミングで投稿するかについては、担当者が行う業務の内容に応じて定めるようにすればよい。以下、担当者の行う業務が電力の需給管理である場合を例にとって第2コメントの投稿タイミングを説明する。
【0037】
電力の需給管理では、毎日決まった時刻に需給計画を提出する必要があり、需給計画の提出を起点として予め定められた作業が毎日実行される。また、電力需要は外部要因(気温、天候等)によって変動するため、外部要因の変動に併せて需要を見直す必要がある。このため、電力の需給管理を行う担当者は、概ね
図5に示すフローチャートに従って各作業を実行する。
【0038】
図5に示すフローチャートに従って電力の需給管理の各作業を実行する担当者の人材育成に本実施形態を適用する場合、ステップSA110の開始に先立って、当日の7:00の気象情報とともに前日までのコメントの解析結果に基づく第2コメントを端末装置20Aに送信し、ステップSA120或いはステップSA150の報告として投稿されるコメントに基づいてコメントデータベース134cを更新すればよい。ステップSA110の開始に先立って当日の7:00の気象情報を端末装置20Aへ送信しておくことで、担当者はステップSA110の作業を円滑に行うことができる。
【0039】
また、第2コメントの投稿回数を担当者の職位に応じて調整してもよい。例えば、職位が低い程、第2コメントの投稿回数を多くし、職位が高くなるほど第2コメントの投稿回数を少なくすることが考えられる。第2コメントの調整態様を担当者の職位に応じて異ならせること、及び/又は第2コメントの投稿回数を担当者の職位に応じて異ならせることで、担当者の職位に応じた態様で当該担当者の育成支援を行うことが可能になる。
【0040】
また、制御部100はプログラム134aに従って人材育成支援方法を実行する。
図6は、この人材育成支援方法の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、この人材育成支援方法は、書き込みステップSB110、特定ステップSB120、及び調整ステップSB130の三つの処理を含む。これら各処理の処理内容は次の通りである。
【0041】
書き込みステップSB110では、制御部100は書き込み手段100aとして機能する。書き込みステップSB110では、通信部110により受信した第1コメントを上記ルールに従って解析する。次いで、制御部100は、解析済みのコメントの内容を示すデータを投稿元の担当者を示す担当者識別子及び投稿時刻を示すデータと対応付けてコメントデータベース134cに書き込む。
【0042】
特定ステップSB120では、制御部100は特定手段100bとして機能する。特定ステップSB120では、制御部100は、コメントデータベース134cに蓄積されたデータを分析し、担当者のキャラクタを特定する。
【0043】
調整ステップSB130では、制御部100は調整手段100cとして機能する。調整ステップSB130では、制御部100は、担当者に対して予め定められた業務目標と特定ステップSB120にて特定されたキャラクタとに基づいて、当該担当者の業務目標の達成を促すように第2コメントを調整しSNSへ投稿する。
【0044】
以上に説明した構成としたため、本実施形態によれば、業務の報告としてSNSに投稿されるコメントに含まれる情報を、投稿元の人材育成に利用することが可能になる。
【0045】
(B:変形)
以上本発明の実施形態について説明したが、この実施形態に以下の変形を加えても勿論よい。
(1)上記実施形態では、人材育成支援装置10の不揮発性記憶部134に担当者データベース134bが格納済であったが、制御部100からアクセス可能な記憶装置(例えばネットワーク対応のハードディスク等)に担当者データベース134bが格納されていてもよい。つまり、担当者データベース134bは本発明の人材育成支援装置の必須構成要素ではなく、省略可能な任意構成要素である。コメントデータベース134cについても同様である。
【0046】
(2)上記実施形態では、書き込み手段100a、特定手段100b及び調整手段100cをソフトウェアモジュールで実現したが、これら各部をASICなどのハードウェアモジュールで実現し、これらハードウェアモジュールと通信部110とを組み合わせて本発明の人材育成支援装置を構成してもよい。
【0047】
(3)書き込み手段100a、及び調整手段100cに以下の各処理を更に実行させるようにしてもよい。書き込み手段100aには、業務に関わる指標の計測値を示す計測データと当該計測値の計測時刻を示す時刻データとを端末装置20A或いは外部システム40から取得し、当該計測データと当該時刻データとを対応付けて不揮発性記憶部134に書き込む処理を実行させる。ここで、業務に関わる指標の具体例としては、例えば電力需要予測業務であれば、電力の市場価格或いは電力使用量が挙げられる。そして、調整手段100cには、時刻データに対応付けて記憶装置に記憶された計測データの示す計測値の時間推移を更に加味して第2コメントを調整する処理を実行させる。計測データの示す計測値の時間推移を加味して第2コメントを調整する処理の具体例としては、上記計測値の時間推移が示す業務の進捗速度に応じて第2コメントを調整する処理が挙げられ、より具体的には、進捗速度が遅いほど厳しい内容に調整する処理が挙げられる。本態様によれば、業務に関わる指標の計測値の時間推移を加味して担当者の人材育成を行うことが可能になる。
【0048】
(4)上記実施形態では、本発明の特徴を顕著に示す人材育成支援方法を制御部100に実行させるプログラム134aが人材育成支援装置10の不揮発性記憶部134に予め記憶されていた。しかし、プログラム134a、すなわち、CPUなどの一般的なコンピュータを、書き込み手段100a、特定手段100b及び調整手段100cとして機能させるプログラムを単体で製造又は販売してもよい。このようなプログラムに従って一般的なコンピュータを作動させることで、当該コンピュータを本発明の人材育成支援装置として機能させることが可能になるからである。
【0049】
なお、上記プログラムの具体的な提供態様としては、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)又はフラッシュROM(Read Only Memory)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に上記プログラムを書き込んで配布する態様、又はインターネットなどの電気通信回線経由のダウンロードにより上記プログラムを配布する態様が考えられる。
【符号の説明】
【0050】
1…情報システム、10…人材育成支援装置、20A、20B…端末装置、30…通信網、40…外部システム、100…制御部、100a…書き込み手段、100b…特定手段、100c…調整手段、110…通信部、130…記憶部、132…揮発性記憶部、134…不揮発性記憶部、134a…プログラム、134b…担当者データベース、134c…コメントデータベース、140…バス。