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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】空間形成装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20220920BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20220920BHJP
   C02F 1/30 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
A61H23/02 340
A61H23/02 360
A61N5/06 A
C02F1/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018195870
(22)【出願日】2018-10-17
(65)【公開番号】P2020062206
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】510220404
【氏名又は名称】有限会社ヤマナカ
(73)【特許権者】
【識別番号】306029947
【氏名又は名称】株式会社澤本商事
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100206689
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】山中 雅寛
(72)【発明者】
【氏名】澤本 三十四
(72)【発明者】
【氏名】中島 敏樹
(72)【発明者】
【氏名】廣見 勉
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-135224(JP,A)
【文献】特開2008-188227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
A61N 5/06
C02F 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動装置を収容した収容部と、
前記収容部を覆い、前記駆動装置を駆動させることにより鉛直方向に律動する蓋体と、
外付けされる振動装置と、を有し、
前記蓋体の鉛直方向の律動による振動成分と、前記外付けされる振動装置からの振動成分とが前記蓋体上部の空間において交差するように、前記振動装置が配置されている、空間形成装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、鉛直方向に7~14Hzの周波数で律動する、請求項1に記載の空間形成装置。
【請求項3】
前記空間は、外付けされる振動装置から放出された横波と、前記駆動装置による縦波とが交差することで形成された、特定の周波数特性を有する空間である、請求項1または2に記載の空間形成装置。
【請求項4】
前記外付けされる振動装置が、赤外線放出特性をもつ天然石である、請求項1ないし3のいずれかに記載の空間形成装置。
【請求項5】
前記天然石は、天然抗火石セラミックス成形体である、請求項4に記載の空間形成装置。
【請求項6】
前記外付けされる振動装置が、リズム信号を生成する音楽信号処理回路を配した前記蓋体に対して外付けされる装置である、請求項1または2に記載の空間形成装置。
【請求項7】
前記空間は、容器に入れた水を六角水の含有量の高い水に改良する空間である、請求項1ないし6のいずれかの空間形成装置。
【請求項8】
前記空間は、容器に入れた塩を改良する空間である、請求項1ないし6のいずれかの空間形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の周波数特性を有する空間を形成する空間形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特定の周波数を有する振動を刺激として与える健康療法器具が知られている。たとえば、低周波電界による生物への影響は、1900年当初より研究が開始され、今日では、医療、生活、健康、趣味等への製品に積極的な試みもなされている。低周波を利用した治療器(低周波治療器)は、ペインクリニック、血流の促進、リハビリ効果、経皮的末梢神経電気刺激(TENS)での身体への直接通電による末梢神経への筋肉血流療法や、同様効果の療法、電気筋肉刺激(EMS)による筋肉の疲労回復、メタボのダイエット改善などに役立てられている。
特許文献1によると、ショウジョウバエで解明された事実は、基本的にヒトを始め種々の動物にも当てはまるものと考えられているとし、ショウジョウバエを低周波電界に曝露させた場合と曝露させない場合の生存を比較し、電界発生装置(50Hz 3500V/10cm)中でショウジョウバエを飼育したところ、寿命が2割ほど延長する現象が確認されたことを確認している。
【0003】
装置に関しては、特許文献2では、複数個の横枠および縦枠から構成され、揺動連接棒グループと回転可能に接続する基座と、制御プログラムおよび電気回路を有し、偏心軸棒を駆動して基座の揺動連接棒グループを動かす駆動機構と、基座上に位置する複数個の揺動連接棒と一つの支持枠とからなる揺動連接棒グループと、を備えることを特徴とする直線方向で振動幅を変化可能にする全身振動トレーニング装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-87021号公報
【文献】特表2009-531088号公報
【文献】特開2016-135224号公報
【文献】特開2004-123462号公報
【文献】実開昭55-97799号公報
【文献】実開昭58-172285号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】産総研の五十嵐正安らの2017/07/27発表(詳細は、7月26日に英国の学術誌Nature Communicationsに掲載)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人間には約37兆個の細胞があるといわれ、そのような数の細胞が振動している。細胞が正しい周波数で振動していれば健康状態が保つことができ、環境の悪化、食生活の変化などの外的要因の影響で細胞が異常振動をすることが原因で起こるのが病気と考えられている。3次元の世界で考えると身体のまわりには気体(媒体)があり、その気体(媒体)とは東洋医学でいうところの「気」のようなもので、気の流れが不調なときには病んだ状態に陥る。「気」は一種の電磁波であるが人体に有益な電磁波である。「場」とは、さまざまな性質を帯びた空間のことであり、量子力学では、2つの粒子間に「力」が直接働くのではなく「場」が介在すると理論構成されている。
【0007】
浄化された気の流れをつくる振動を利用する療法には、現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学、医療体系の総称と定義され、現代的な意味での医療とは区別されるが、音楽療法がある。音楽療法は、音楽を聞いたり演奏したりする際の生理的、心理的、社会的な効果を応用して、心身の健康の回復、向上をはかる事を目的とする、健康法ないしあるいは補完医療であり、歌唱や演奏を行う能動的音楽療法と音楽を聴くなどの受動的音楽療法の2つに分かれる。すなわち、自然の中で鳥のさえずりや川のせせらぎといった音に癒される。つらいときにわざと悲しい歌を聴いて泣き、スッキリする。子供に子守唄を歌って寝かしつける。これらはすべて音楽療法である。
【0008】
そこで、本発明は、駆動装置の律動による縦波と、外付けされる振動装置からの横波とが交差する、振動特性に特徴のある空間を形成することで、使用者の身体に振動刺激を付与し、あるいは、水や塩などの物質を改良することができる、空間形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る空間形成装置は、下記(1)ないし(8)に記載の内容を要旨とする。
(1)駆動装置を収容した収容部と、前記収容部を覆い、前記駆動装置を駆動させることにより鉛直方向に律動する蓋体と、外付けされる振動装置とを有し、前記蓋体の鉛直方向の律動による振動成分と、前記外付けされる振動装置からの振動成分とが前記蓋体上部の空間において交差するように、前記振動装置が配置されている、空間形成装置。
(2)前記駆動装置は鉛直方向に7~14Hzの周波数で律動する、上記(1)に記載の空間形成装置。
(3)前記空間は、前記外付けされる振動装置から放出された横波と、前記駆動装置による縦波とが交差することで形成された、特定の周波数特性を有する空間である、上記(1)または(2)に記載の空間形成装置。
(4)前記外付けされる振動装置が、赤外線放出特性をもつ天然石である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の空間形成装置。
(5)前記天然石は、天然抗火石セラミックス成形体である、上記(4)に記載の空間形成装置。
(6)前記外付けされる振動装置が、リズム信号を生成する音楽信号処理回路を配した前記蓋体に対して外付けされる装置である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の空間形成装置。
(7)前記空間は、容器に入れた水を六角水の含有量の高い水に改良する空間である、上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の空間形成装置。
(8)前記空間は、容器に入れた塩を改良する空間である、上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の空間形成装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、駆動装置の律動による縦波と、外付けされる振動装置からの横波とが交差する、振動特性に特徴のある空間を形成することで、使用者の身体に振動刺激を付与し、あるいは、水や塩などの物質を改良することができる、空間形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る空間形成装置の斜視図である。
図2】本実施形態に係る空間形成装置に用いた律動機の一例を示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る空間形成装置に用いた律動機の一例を示す斜視図である。
図4】振動9Hz×5分間を選択し、球体の抗火石セラミックス成形体を六個載せ垂直振動を容器に入れたケイ素「umo(ウモ)」に印加するための本発明の空間形成装置の上方からの写真である。
図5】水の改良実験の実験結果を示す顕微鏡写真である。
図6】空間形成装置で処理しない食塩を添加した食塩水の解析結果である。
図7】空間形成装置で処理した食塩を添加した食塩水の解析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本実施形態に係る空間形成装置について、図を参照して簡単に説明する。本実施形態に係る空間形成装置1は、図1に示すように、直方体または円形の形状からなる律動機2であり、その中空部内に駆動用モータの駆動装置を収容した収容部21と、当該収容部21を覆い、駆動装置を駆動させることによって生じる律動に応じて鉛直方向に微小な振動幅で律動する蓋体22と、赤外線放出特性をもつ天然石23とを有する。駆動装置は、中空部内に制御プログラムおよび電気回路を有し、駆動用モータと伝導軸を備える(特許文献2参照)。なお、図2および図3は、本実施形態に係る空間形成装置1に用いる律動機2の一例を示す斜視図である。
【0014】
この空間形成装置1は、0~14Hzの範囲の振動数で鉛直方向に律動可能であり、好ましくは7~14Hzの範囲の振動数で、鉛直方向に律動する。本実施形態では、シューマン共振(一次、二次)を含む範囲の7~14Hzの周波数で鉛直方向に振動させることで、シューマン共振(一次、二次)に応じた周波数の縦波を生じさせることができる。なお、当該鉛直方向における律動の振幅は可変であり、たとえば1~4mmの範囲で自在に調整することができる。また、空間形成装置1が律動する周波数も0~14Hzの範囲内において可変であり、後述するように、音楽データに応じて律動周波数を変動させることができる。蓋体22の上面は、律動機2を作動させることによって、律動するようになっている。律動機2の律動に応じた振動により、蓋体22上部の空間Sには、シューマン共振(一次、二次)に応じた周波数の縦波が放射されることとなる。
【0015】
シューマン共振(一次、二次)に応じた周波数の縦波が放射される蓋体22上部の空間Sに、使用者の身体を置いて使用される。使用者の身体に振動刺激を付与するのであるが、浄化された気の流れをつくる振動刺激とするために、人体に有益な電磁波で満たす必要がある。赤外線放出特性をもつ天然石を蓋体上に配置して、赤外線を横波で放射させることにより、あるいはリズム信号を生成する音楽信号処理回路を配した蓋体に対して外付けされる装置でリズム信号よりなる振動を蓋体に伝えることにより、人体に有益な電磁波で満たすことができる。
【0016】
すなわち、本実施形態に係る空間形成装置1は、赤外線放出特性をもつ天然石23(天然石23の特性の詳細は後述する)を有する。天然石23は、蓋体22上部の空間Sに、赤外線を横波で放射するように配置されている。たとえば、本実施形態では、図1に示すように、天然石23を球体に加工し、天然石23の球体形状に応じた溝を蓋体22の上部周縁部に形成し、天然石23を形成した溝に嵌るように配置することで、天然石23を蓋体22に固定する。これにより、天然石23は、蓋体22上部の空間Sに、赤外線を横波で放射することが可能となる。
【0017】
[天然石]
天然石23は、遠赤外線放出特性を持ち、天然抗火石セラミックス成形体であることが好ましい。ここで、ケイ素は、地殻では酸素に次いで豊富に存在し、さまざまな酸化物やケイ酸塩が石英、長石、水晶、ザクロ石、オパール、雲母、石綿などの鉱物の形で産出する。抗火石とは軽石の一種であり、スポンジ状の構造を持つガラス質であり、鋸や斧で容易に切断できる。また、抗火石の名称を用いるものは伊豆諸島の新島、式根島、神津島、伊豆半島の天城山で産出されるものだけである。また、新島産は石英の粒が付いており、天城産は玄武岩質のものが付着している。抗火石の気孔は通常、5mmから0.5mmのものが多いが、中には数十cmに至るものも存在する。
抗火石はその軽量性、耐火性、断熱性、耐酸性から多くの用途に使用されている。天城山で産出される抗火石は、特許文献4によると、珪酸73~77%、アルミナ13~15%が主成分で、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、その他よりなる独立気泡の多孔質ガラス質の天然セラミックスである。ケイ素やアルミナに近い成分の石は遠赤外線が出やすいことが知られている。
【0018】
[抗火石が放出する遠赤外線の特性]
「気」は一種の電磁波であるが人体に有益な電磁波である。電磁波は波長の長さで幾つかのグループに分けられている。波長の長い方から、電波、光、X線、ガンマ線となっている。光をさらに分けると、赤外線、可視光線、紫外線となる。赤外線を近赤外線と遠赤外線に分ける場合は、3000nmを基準に短いのを近赤外線、長もの遠赤外線と呼ぶ。3000nmで分けたのは、生命に必要な水の分子が揺れる(振動する)ときの波長が3000nmだからと言われている。水を温めることができるかどうかは人間にとって大切なことであり、水を基準にしている。遠赤外線とは波長が3000nmから1,000,000nmの光であり、光よりも電波に近い性質がある。
物質は、遠赤外線を放出することが知られている。特に、ケイ素やアルミナに近い成分の石は遠赤外線が出やすいことが知られており、ケイ素やアルミナを多く含む坑火石は遠赤外線が出やすくなっている。
物質(人体を含む)は遠赤外線を吸収する。人体には3~25ミクロン波長が吸収されるといわれ、その中でも4~14ミクロン波長域の遠赤外線は育成光線と呼ばれ身体の生理活性化に必要不可欠である。水(水蒸気)、二酸化炭素、木、プラスチック、石なども遠赤外線を吸収する。一方、金属、空気(窒素、酸素)は遠赤外線をほとんど吸収しない。食品や微生物の組成の大部分を占める水や有機物質は 遠赤外線をよく吸収するため、微生物や食品表面での遠赤外線の吸収は効果的である。また、遠赤外線は食品や人体に対して危険性は極めて少ない。そのため、遠赤外線は殺菌などに利用されている。遠赤外線を吸収した物質は分子が振動し、分子の振動が激しくなると温度が上がる。遠赤外線を浴びると温かいのは遠赤外線を吸収した物質の温度が上がるからである。すべての分子は絶対零度(-273℃)では動かない。でも温度があがると分子が動き出して波を作る。このときに遠赤外線が放出される。この遠赤外線の放出特性により、水分子を細かくし、水の中に混入されている汚染物質を除き、その結果、水は酸性から弱アルカリになり、浄化する作用を有している。また、4~14ミクロンの太陽光線に含まれる電磁波の遠赤外線微弱エネルギーの振動によって長い水の重合を切断し、比重が増加する。また、遠赤外線により抗菌、脱臭、防カビの作用を有すると共に、珪酸塩(自然界には石などから溶出したごく低濃度のオルトケイ酸がある)は殺菌、抗菌、防カビ、防臭の作用を有して、珪酸が多くなると水はカビの発生のない腐らない水ともなる。
【0019】
[遠赤外線放出特性をもつ天然石から遠赤外線を放出させて、動的振動の縦波と遠赤外線の横波が交差する場を形成する]
本実施形態に係る空間形成装置1では、蓋体22の鉛直方向の律動による振動成分(縦波)と、天然石23が放出する振動成分(横波)とが蓋体22上部の空間Sにおいて交差するように、天然石23が配置されている。そのため、当該空間Sに置かれた物質は、鉛直方向の律動による刺激を受けるとともに、天然石23からの遠赤外線とにさらされる。このように、空間形成装置1は、蓋体22上部の空間Sに、蓋体22の鉛直方向の律動による振動成分(縦波)と、天然石23が放出する振動成分(横波)とが交差する「場」を形成する。なお、「場」とは、さまざまな性質を帯びた空間のことであり、量子力学では、2つの粒子間に「力」が直接働くのではなく「場」が介在すると理論構成されている。本実施形態に係る空間形成装置1では、浄化された気の流れをつくる振動(動的振動の縦波と遠赤外線の横波が交差する場)を使用者の身体に提供することができる。特に、本実施形態では、空間形成装置1が鉛直方向に律動しながら外付けされる振動装置である天然石23により遠赤外線が放射されることで、蓋体22上部の空間Sには縦波と横波とからなる振動成分が螺旋状となった「場」を形成することができる。
【0020】
[リズム信号を生成する音楽信号処理回路を配した装置を蓋体に対して外付けさせて、動的振動の振動成分と外付け装置の振動成分が交差する場を形成する]
音と同時に音楽の主として低音成分をトランスデューサ(電気-機械振動変換器)によって体感振動を生成する体感振動生成装置があり、このような体感振動生成装置を、蓋体あるいはその近傍に組み込んだ体感音響機器を用いる。
可聴音も弾性波として作用する。音波と生体との相互作用は、一般には聴覚を介して音として聞くことである。具体的には、人と人との会話からはじまり、音楽を楽しむことや、あるいは、しゃべることによっても音が発生し、その音を聞き分けることは人間の一般的行動の一部である。同時に、動物も音を発して、相互にコミュニケーションをとることも知られている。このように人や動物において音は非常に重要な意味をもっている。近年は、音楽療法というジャンルが発達してきている。音楽を聴く場合、一つは空気中を伝搬してくる音波によるものと、もう一つは楽器からの直接振動が聴覚系に伝搬されるいわゆる、ボーンコンダクション(骨伝導)とがある。音と同時に音楽の主として低音成分をトランスデューサ(電気-機械振動変換器)によって体感振動を生成する体感振動生成装置があり、このような体感振動生成装置を、椅子、ベッド、クッションなどに組み込んだ体感音響機器がある。この種の手段は、いわゆるボディソニックとして知られている。ボディソニック法とは、聴覚できく音と同時に音楽の主として低音成分を電気―機械振動変換器によって、体感音響振動に変えて、身体に体感させながら、音楽を聴くリスニングシステムである(特許文献5、6参照)。このボディソニック装置は、音楽療法に用いられており、この音楽療法においては、聴覚や、身体全体もしくは広い範囲に振動波を付与する体感音響振動が利用されている。
また、本実施形態に係る空間形成装置1は、体感振動生成装置を、蓋体あるいはその近傍に組み込む手段として、リズム信号を生成する音楽信号処理回路を配した、蓋体22に対して外付けされるスピーカー23を有する。使用者の身体を置く蓋体22上部の空間Sにおいて、音楽を用いるときは複数のスピーカー23の一つを蓋体上部に近接させて蓋体上部に振動を付加させて、あるいは、音楽を用いる代りに、鐘の音や波の音の感じを抽象化した信号を、電子回路で合成して蓋体上部に近接させて蓋体上部に振動を付加させると、人体に有益な電磁波で満たすことができ、浄化された気の流れをつくる振動を利用する療法を使用者の身体に提供することができる。
ある種の曲は単調でゆっくりした鐘の音や波の音を想わせるような音で成り立っているものがある。リラクセーション、誘眠などに効果がある。聴覚器官では、あらゆる周波数帯は、時間の流れに沿って鼓膜を振動させる物理的信号として認識されている。
蓋体22上部の空間Sにおいて、音楽を用いるときは複数のスピーカーの一つを蓋体上部に近接させて蓋体上部に振動を付加させて、あるいは、音楽を用いる代りに、鐘の音や波の音の感じを抽象化した信号を、電子回路で合成して蓋体上部に近接させて蓋体上部に振動を付加させると、音楽のリズムに応じた、あるいは電子回路で合成した鐘の音や波の音の感じを抽象化した信号に応じた振動を付加させて、浄化された気の流れをつくる振動で満たすことができる。
【0021】
[空間形成装置1を用いた身体機能の活性化]
この空間形成装置1を、全身垂直振動機として使用する場合、その原理は、機械の力によって一種の重力に逆らう上方向への推力を産生し、一時的にこの推力を停止することによって、その上に立っている使用者を地球の重力によって下方向へ引く力を与える。このとき、再度使用者に上方向への推力を与えることで、一種の高速な上下振動の刺激を形成する。この推進力を最適なものとするために、方向、時間、速度の3つの変数をコントロールする。振動の強度は振動数と振幅によって決まり、単位は重力(gと表される)である。この装置の振動は通常1-20Hzの速度(アスリートは訓練することによって35Hz以上の速度で実施可能)である。1Hzで速度は1秒に1回、それゆえ1Hzは毎分60回の振動となる。垂直振動の幅は、通常1-10mmの間でコントロールされ、強度は通常1重力程度(アスリートは訓練することによって3-4重力にまで増加可能)である。このような前進垂直振動は一種高速で振幅が小さく、強度および方向が厳格にコントロールされた振動であるゆえに健康の促進の効果があるといえる。それに加えて、本実施形態に係る空間形成装置1では、天然石23を有し、使用者の身体を蓋体22上部の空間23に置くことで、天然石23の遠赤外線を使用者の身体に与えることができる。すなわち、上述したように、天然石23が放出する遠赤外線のうち、4~14ミクロン波長域の遠赤外線は育成光線と呼ばれ身体の生理活性化に必要不可欠であり、使用者の身体に遠赤外線を放出することで、使用者の身体を刺激し、使用者の身体機能を活性化させることができる。また、方向、時間、速度の3つの変数をコントロールすることで、鉛直方向の振動にリズムやメロディーを与えることができる。
また、本実施形態に係る別の空間形成装置1では、リズム信号を生成する音楽信号処理回路を配した前記蓋体に対して外付けされる装置を有することで、外付け装置からのリズム信号の振動を使用者の身体に与えることができる。すなわち、上述したように、音楽のもつ心地よい振動、あるいは鐘の音や波の音の感じを抽象化した信号の持つ、ゆったりとした振動を付加することで、使用者の身体を刺激し、使用者の身体機能を活性化させることができる。さらに、本実施形態では、音楽データに応じて空間形成装置1の律動周波数を0~14Hzの範囲内で自在に変動させることができ、これにより、律動機2による縦波と外付けの装置による横波とを調和(ハーモナイズ)させた「場」を形成することができる。
【0022】
[空間形成装置1を用いた水の改良]
発明者は、空間形成装置1により形成した空間Sが、水に与える影響を見るために、以下のような実験を行った。すなわち、図4に示すように、律動機2として、タップマスター(有限会社ヤマナカの登録商標、製造、販売)を用い、また天然石23として、抗火石セラミックス(澤本商事製造、RC&GOボール)を6個用いて、空間形成装置1を構成した。そして、空間Sに、市販品である「水溶性ケイ素(umo(ウモ))」を用いた水溶液を容器(ビーカー)に入れて載置し、律動機2を律動させて、空間Sに、蓋体22の鉛直方向の律動による縦波成分と、天然石23が放出する横波成分とが交差する「場」を形成した。なお、「umo(ウモ)」(株式会社APAコーポレーションの登録商標)は、純度99.9%の高純度水晶石の燃焼と特殊なフィルターによって抽出された、アモルファス(非結晶)水溶性珪素の濃縮溶液であると説明されている。
【0023】
そして、周波数9Hzで5分間、律動機2を律動させ、蓋体22の鉛直方向の律動による縦波成分と、天然石23が放出する横波成分とを「umo(ウモ)」の水溶液に印加した後、水溶液を顕微鏡で観察した。図5は、当該実験で得られた水溶液を撮像した顕微鏡写真である。umo(ウモ)原液の顕微鏡写真は、ほぼ全てが2000nm(2μm)の外側表面に水分子が結合または引き寄せられた水溶性ケイ素の多量体を核とする水の集合体粒子の多少まばらな感じの存在が特徴的であり、本実施形態に係る空間形成装置1により改質されたumo(ウモ)の水溶液では、図5に示すように、800~1000nmの水溶性ケイ素を核とする水の集合体粒子が非常に多く、密になって安定した状態にあるのが観察された。すなわち、図5の顕微鏡写真に見られるように、1000nmの水溶性ケイ素を核とする水の集合体がベースとなり、それらが寄り集い2~3μm(2000~3000nm)の水溶性ケイ素の多量体を核とする水の集合体である三層型の粒子が非常に多く存在している。さらに、4~6μmのダブルドーナツ型、ならびに多重層型も点在しているのが特徴的である。中には最も安定した形状のヘキサゴン(六角形)状態のものまで存在している。
【0024】
[考察]
水溶性ケイ素について、非特許文献1によると、「自然界には石などから溶出したごく低濃度のオルトケイ酸がある(海水中の平均濃度0.00673g/l)。植物(特にイネ科)は、天然のオルトケイ酸を吸収し、もみ殻や茎、葉などにシリカを蓄積させて、物理的に丈夫になるだけでなく、害虫や病原菌を防いでいる。また、天然水や麦(イネ科)から作られる飲料など(ビールなど)にはオルトケイ酸が溶け込んでおり、動物の骨や髪、皮膚、爪などの体組織の一部の原料となっている。動植物がオルトケイ酸を取り込むメカニズムの詳細を明らかにするためにも、オルトケイ酸の分子構造の解明が求められてきた。」そして、「オルトケイ酸の脱水縮合の過程で生成すると考えられているオリゴマー(2量体、環状3量体、環状4量体)も、同様の反応により合成し、X線結晶構造解析によってそれらの構造を明らかにした。」として、Si-O-の環状3量体が6角形、4量体が8角形の構造を持つことが示されている。
水分子は空間に均一に散らばっているのではなく、ある規則のもとに一定の関係を保ったグループになっていて、そのグループが寄り集まって水になる。これはあたかもH2Oがブドウの房状に集まって見えるのでクラスターと呼ぶ。水は水分子同士のいくつかが結合した状態、つまり(HO)nという特定の構造を有する会合体になっている。水分子の水素結合ではO-H-Oの連なりが直線状に並ぶときが最も安定し、この条件を前提として水分子の会合体の模型を組み立ててみると、水分子六個が環状に連なったときの構造が、最も自然で安定的であるといわれている。しかし、この構造はたえず壊され、作られるという離散集合を繰り返し、一時として同じではない。
コロイドは比較的大きな粒(約100nm程度)が分散している状態を指すが、溶けているわけではないが、コロイド状ケイ酸(つまりシリカゾル)も水溶性ケイ素に包含される。たとえば、水道水にはケイ素が含まれるが、水道水に含まれるケイ素は、主に二酸化ケイ酸である。天然水中の溶存シリカの定量は何十年も前から大問題であって、元々どのような化学形であるのかすら現在でもはっきりしていない。大部分はコロイド状ケイ酸(つまりシリカゾル)だといわれているが、二酸化炭素のとけ込んだ天然水では、いろいろな重合度の水和二酸化ケイ素の存在が考えられ、以前からもっぱら使われてきた比色分析法(ケイモリブデン酸を還元してモリブデンブルーをつくらせる)などでもなかなか再現性のよい結果が得られないのが現状である。わが国の水道水の場合には、溶存シリカの量は微々たるもので、カルシウムイオン濃度に比べると一桁以上は低い。
これに対して、ケイ酸水溶液は、真の水溶液といえる単分子や少分子のケイ酸、オルトケイ酸を主に含むことを特徴とする。水溶性ケイ素の場合、Si-O-の環状3量体が6角形、4量体が8角形の構造で凝集している。ここで、「umo(ウモ)」の水溶性ケイ素のまわりの水分子の状態をみると、一つは水溶性ケイ素にくっついている水分子で、もう一つはこの層の外側にある水分子の少なくとも二つの異なった状態がある。水溶性ケイ素は固い水の殻と、その外側の弾力性のあるおおいによって囲まれているわけで、水溶性ケイ素イオンの周囲の水の構造は強化される方向にあることから、水溶性ケイ素イオンは構造形成性イオンである。構造形成性イオンが多くなると水分子の自由度が減少し動きにくくなるわけで、これは六角水が増加していることでもある。
【0025】
[六角水の意義]
水の波動とは個々のクラスター構造が発する水の電磁波と言える。そして、人体にとって最も良い波長の電磁波を発生することのできるのが、六角形の水である。この六角形の分子を作れるのは、珪素と水しかない。オルトケイ酸が豊富な水は、比重が1以上になり、ガスや菌などを含まなくなるので、腐らない水にもなる。普通の水道水やミネラルウォーターは比重が1以下のため日を置くと腐ってしまう。光学顕微鏡で見たように、オルトケイ酸の水の分子は六角形や六芒星の形をしている。一方、一般的な水は円形であり、これは、六角形のほかに四角形や八角形など、いろいろな形の分子が混ざるためである。六角形は安定と永続を意味し、エネルギーを高く保ちながら、増幅する作用がある。この形はハニカム構造と言われ、自然界においてはミツバチの巣他雪の結晶、ユリの花弁として見ることができる。気は一種の電磁波であり、かつ、人体に有益な電磁波であることから、本発明の律動装置によって、そのような人体・物質に有益な電磁波を帯びた空間を使用者・使用物質に提供することができたことが確認できたと思慮される。
【0026】
[空間形成装置1を用いた塩の改良]
また、発明者は、空間形成装置1により形成した空間Sが、塩に与える影響を見るために、以下のような実験を行った。すなわち、律動機2として、タップマスター(有限会社ヤマナカの登録商標、製造、販売)を用い、また天然石23として、抗火石セラミックス(澤本商事製造、RC&GOボール)を10個用いて、空間形成装置1を構成した。そして、空間Sに、市販品である食塩「伯方の塩(登録商標)」を容器(ビーカー)に入れて載置し、律動機2を律動させて、空間Sに、蓋体22の鉛直方向の律動による縦波成分と、天然石23が放出する横波成分とが交差する「場」を形成した。
【0027】
そして、周波数9Hzで10分間、律動機2を律動させ、蓋体22の鉛直方向の律動による縦波成分と、天然石23が放出する横波成分とを食塩に印加した後、純水100ccに3g添加した食塩水を、ナノ粒子解析装置(日本カンタムデザイン株式会社が扱うNanoSight(ナノサイト)、Malvern製)で観察した。ここで、図6は、空間形成装置1で処理しない食塩を添加した食塩水の解析結果であり、図7は、空間形成装置1で処理した食塩を添加した食塩水の解析結果である。なお、図6および図7においては、(A)は粒度分布図を、(B)は食塩水にレーザーを照射しナノ粒子から放射された散乱光を撮像した撮像画像を、(C)は食塩水の粒子径と相対強度との関係を、(D)は食塩水の粒子径と相対強度との関係(3D)を示す。
【0028】
図6に示す解析結果から、空間形成装置1で処理しない食塩を添加した食塩水では、食塩の粒子数が1.85億個であり、粒子径の標準偏差は75nmであった。これに対して、図7に示す解析結果から、空間形成装置1で処理した食塩を添加した食塩水では、食塩の粒子数が2.86億個であり、粒子径の標準偏差は52nmであった。このように、空間形成装置1で処理した食塩では、食塩の粒子径が小さくなるとともに、粒子のバラツキが均一になる傾向にあることが分かった。そのため、空間形成装置1で処理した食塩では、食感や食材との馴染みが向上されることが期待できる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0030】
たとえば、上述した実施形態では、蓋体22の上部に空間Sに「場」を形成する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば蓋体22の上部に使用者が乗せられる台座を配置し(特許文献3の図1の符号3参照)、当該台座の上部の空間Sに「場」を形成する構成とすることもできる。
【0031】
また、上述した実施形態では、律動機2として収容部21内にカムを有する機構を例示して説明したが、この構成に限定されず、たとえば、律動機2として油圧ポンプを有する機構としてもよい。この場合も、鉛直方向にシューマン共振に応じた周波数で律動することができ、これにより、蓋体22上部の空間Sに「場」を形成することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…空間形成装置
2…律動機
21…収容部
22…蓋体
23…天然石

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7