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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】歯科診療装置及び歯科診療システム
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20220920BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20220920BHJP
   A61B 90/25 20160101ALI20220920BHJP
【FI】
A61C19/00 D
A61C19/04 Z
A61B90/25
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018027401
(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公開番号】P2019141264
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 直輝
(72)【発明者】
【氏名】友江 剛
(72)【発明者】
【氏名】本橋 和也
(72)【発明者】
【氏名】内田 祐也
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-015155(JP,A)
【文献】特開2000-325361(JP,A)
【文献】特開2009-201996(JP,A)
【文献】特開2017-035279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61C 19/04
A61B 90/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延設された支柱と、
前記支柱に配置されたアームと、
前記アームの先端部に着脱可能に配置されたスコープと、を備え、
前記アームと前記スコープとのうち、
一方側には、接続部が設けられ、
他方側には、前記接続部に着脱可能に接続される被接続部が設けられ、
前記接続部は、側面視して下部が前記被接続部と対向する対向方向に突出するL字状に形成された接続部本体と、前記接続部本体から前記対向方向に突出するガイド突起と、前記接続部本体に形成された切欠溝と、前記切欠溝の内壁から突出して配置された係止ピンとが設けられ、
前記被接続部は、前記ガイド突起が着脱可能に挿入されるガイド穴と、前記切欠溝に係脱可能に内嵌される係合凸部と、前記係止ピンが係合・離脱される係合孔とが設けられ、前記接続部と接続する場合に、前記接続部本体の前記L字状のくぼみ部分に配置されること、
を特徴とする歯科診療装置。
【請求項2】
複数の診療装置にそれぞれ上下方向に延設された支柱と、
それぞれの前記支柱にそれぞれ配置されたアームと、
それぞれの前記アームのうちの一部のアームの先端部に着脱可能に配置されたスコープと、を備え、
それぞれの前記アームと前記スコープとのうち、
一方側には、接続部が設けられ、
他方側には、前記接続部に着脱可能に接続される被接続部が設けられ、
前記接続部は、側面視して下部が前記被接続部と対向する対向方向に突出するL字状に形成された接続部本体と、前記接続部本体から前記対向方向に突出するガイド突起と、前記接続部本体に形成された切欠溝と、前記切欠溝の内壁から突出して配置された係止ピンとが設けられ、
前記被接続部は、前記ガイド突起が着脱可能に挿入されるガイド穴と、前記切欠溝に係脱可能に内嵌される係合凸部と、前記係止ピンが係合・離脱される係合孔とが設けられ、前記接続部と接続する場合に、前記接続部本体の前記L字状のくぼみ部分に配置されること、
を特徴とする歯科診療装置。
【請求項3】
前記一方側はアーム側であり、前記他方側はスコープ側であり、
前記アームと前記スコープには、当該スコープの落下を防止するスコープロック手段が設けられ、
前記スコープロック手段は、前記アームと前記スコープとのうち、
前記アームには、係合穴が形成され、
前記スコープには、スコープ本体に回動自在に挿装された回動操作部と、前記回動操作部から突出して前記スコープに挿通された軸棒と、前記軸棒の先端に設けられ前記係合穴に係脱可能に装着されるロック片と、が配置されていること、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯科診療装置。
【請求項4】
前記アームと前記スコープとのうちは、一方側には、雄端子が設けられ、
他方側には、前記接続部と前記被接続部との着脱に応じて、前記雄端子が係脱可能に接続される雌端子が形成されていること、
を特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の歯科診療装置。
【請求項5】
前記スコープには、把持部が設けられていること、
を特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の歯科診療装置。
【請求項6】
少なくとも1台のスコープを、複数の歯科診療装置で共有可能にした歯科診療システムであって、
前記歯科診療装置に設けられたアームと、前記スコープとのうち、
一方側には、接続部が設けられ、
他方側には、前記接続部に着脱可能に接続される被接続部が設けられ、
前記接続部は、側面視して下部が前記被接続部と対向する対向方向に突出するL字状に形成された接続部本体と、前記接続部本体から前記対向方向に突出するガイド突起と、前記接続部本体に形成された切欠溝と、前記切欠溝の内壁から突出して配置された係止ピンとが設けられ、
前記被接続部は、前記ガイド突起が着脱可能に挿入されるガイド穴と、前記切欠溝に係脱可能に内嵌される係合凸部と、前記係止ピンが係合・離脱される係合孔とが設けられ、前記接続部と接続する場合に、前記接続部本体の前記L字状のくぼみ部分に配置されること、
を特徴とする歯科診療システム。
【請求項7】
種類の異なるスコープを、1つの支柱で構成されたスコープ用スタンドで共有可能にした歯科診療システムであって、
歯科診療装置に設けられたアームと、前記スコープとのうち、
一方側には、接続部が設けられ、
他方側には、前記接続部に着脱可能に接続される被接続部が設けられ、
前記接続部は、側面視して下部が前記被接続部と対向する対向方向に突出するL字状に形成された接続部本体と、前記接続部本体から前記対向方向に突出するガイド突起と、前記接続部本体に形成された切欠溝と、前記切欠溝の内壁から突出して配置された係止ピンとが設けられ、
前記被接続部は、前記ガイド突起が着脱可能に挿入されるガイド穴と、前記切欠溝に係脱可能に内嵌される係合凸部と、前記係止ピンが係合・離脱される係合孔とが設けられ、前記接続部と接続する場合に、前記接続部本体の前記L字状のくぼみ部分に配置されること、
を特徴とする歯科診療システム。
【請求項8】
前記スコープは、マイクロスコープであり、
前記歯科診療装置は、少なくとも診療情報を表示するための表示装置を具備し、
前記スコープと前記表示装置との電気的接続を可能にした端子を、前記接続部及び前記被接続部に設けたこと、
を特徴とする請求項に記載の歯科診療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科診療装置及び歯科診療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、歯科診療装置による歯科診療において、精密な処置や、診断を行うために、マイクロスコープ(顕微鏡)の有効性が明らかになっている。マイクロスコープを備えた歯科診療装置としては、例えば、特許文献1,2に記載された医療用診療装置が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の医療用診療装置は、患者が仰伏する診療台と、診療台の側部に立設されたライト支柱と、ライト支柱に水平旋回可能に連結されたハンガーアームと、ハンガーアームの先端に取り付けられたマイクロスコープ本体と、を備えている。このように、医療用診療装置は、マイクロスコープ本体によって患部を拡大表示して、精密な処理を行えるようにしている。
【0004】
また、特許文献2に記載の歯科用顕微鏡の処理方法は、対象物の光学像を拡大するデジタル外科手術用スコープと、画像を記憶する画像データ処理/記憶装置と、画像を表示するディスプレイ等を備えている。デジタル外科手術用スコープは、画像データ処理/記憶装置に立設された支柱の上端から延びるアームの先端部に取り付けられ、撮影した画像を支柱に設けたディスプレイによって、拡大表示することで確認できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-253087号公報(図2図3図6図8及び図10
【文献】特表2009-513304号公報(図1及び図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1,2に記載の医療用診療装置は、高価なマイクロスコープが専用のマイクロスコープユニットや、専用の装置に一体的に取り付けられているので、医療用診療装置全体のコストを上昇させていた。その結果、歯科医院でのマイクロスコープを備えた医療用診療装置の導入数が低いという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、スコープ(マイクロスコープ)を備えた医療用診療装置全体のコストの低減を図ることができる歯科診療装置及び歯科診療システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る歯科診療装置は、上下方向に延設された支柱と、前記支柱に配置されたアームと、前記アームの先端部に着脱可能に配置されたスコープと、を備え、前記アームと前記スコープとのうち、一方側には、接続部が設けられ、他方側に、前記接続部に着脱可能に接続される被接続部が設けられ、前記接続部は、側面視して下部が前記被接続部と対向する対向方向に突出するL字状に形成された接続部本体と、前記接続部本体から前記対向方向に突出するガイド突起と、前記接続部本体に形成された切欠溝と、前記切欠溝の内壁から突出して配置された係止ピンとが設けられ、前記被接続部は、前記ガイド突起が着脱可能に挿入されるガイド穴と、前記切欠溝に係脱可能に内嵌される係合凸部と、前記係止ピンが係合・離脱される係合孔とが設けられ、前記接続部と接続する場合に、前記接続部本体の前記L字状のくぼみ部分に配置されること、を特徴とする。
また、本発明に係る歯科診療装置は、複数の診療装置にそれぞれ上下方向に延設された支柱と、それぞれの前記支柱にそれぞれ配置されたアームと、それぞれの前記アームのうちの一部のアームの先端部に着脱可能に配置されたスコープと、を備え、それぞれの前記アームと前記スコープとのうち、一方側には、接続部が設けられ、他方側には、前記接続部に着脱可能に接続される被接続部が設けられ、前記接続部は、側面視して下部が前記被接続部と対向する対向方向に突出するL字状に形成された接続部本体と、前記接続部本体から前記対向方向に突出するガイド突起と、前記接続部本体に形成された切欠溝と、前記切欠溝の内壁から突出して配置された係止ピンとが設けられ、前記被接続部は、前記ガイド突起が着脱可能に挿入されるガイド穴と、前記切欠溝に係脱可能に内嵌される係合凸部と、前記係止ピンが係合・離脱される係合孔とが設けられ、前記接続部と接続する場合に、前記接続部本体の前記L字状のくぼみ部分に配置されること、を特徴とする。
【0009】
た、本発明に係る歯科診療システムは、少なくとも1台のスコープを、複数の歯科診療装置で共有可能にした歯科診療システムであって、前記歯科診療装置に設けられたアームと、前記スコープとのうち、一方側には、接続部が設けられ、他方側には、前記接続部に着脱可能に接続される被接続部が設けられ、前記接続部は、側面視して下部が前記被接続部と対向する対向方向に突出するL字状に形成された接続部本体と、前記接続部本体から前記対向方向に突出するガイド突起と、前記接続部本体に形成された切欠溝と、前記切欠溝の内壁から突出して配置された係止ピンとが設けられ、前記被接続部は、前記ガイド突起が着脱可能に挿入されるガイド穴と、前記切欠溝に係脱可能に内嵌される係合凸部と、前記係止ピンが係合・離脱される係合孔とが設けられ、前記接続部と接続する場合に、前記接続部本体の前記L字状のくぼみ部分に配置されること、を特徴とする。
また、本発明に係る歯科診療システムは、種類の異なるスコープを、1つの支柱で構成されたスコープ用スタンドで共有可能にした歯科診療システムであって、歯科診療装置に設けられたアームと、前記スコープとのうち、一方側には、接続部が設けられ、他方側には、前記接続部に着脱可能に接続される被接続部が設けられ、前記接続部は、側面視して下部が前記被接続部と対向する対向方向に突出するL字状に形成された接続部本体と、前記接続部本体から前記対向方向に突出するガイド突起と、前記接続部本体に形成された切欠溝と、前記切欠溝の内壁から突出して配置された係止ピンとが設けられ、前記被接続部は、前記ガイド突起が着脱可能に挿入されるガイド穴と、前記切欠溝に係脱可能に内嵌される係合凸部と、前記係止ピンが係合・離脱される係合孔とが設けられ、前記接続部と接続する場合に、前記接続部本体の前記L字状のくぼみ部分に配置されること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、スコープ(マイクロスコープ)を備えた医療用診療装置全体のコストの低減を図ることができる歯科診療装置及び歯科診療システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る歯科診療装置の一例を示す斜視図である。
図2】歯科診療装置のアームとスコープとの接続箇所の状態を示す要部拡大分解斜視図である。
図3】歯科診療装置のアームとスコープとの接続箇所の状態を示す要部拡大分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る歯科診療装置の第1変形例を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る歯科診療装置及び歯科診療システムの第2変形例を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る歯科診療装置及び歯科診療システムの第3変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図3を参照して、本発明の実施形態に係る歯科診療装置100を説明する。
【0013】
≪歯科診療装置≫
図1に示す歯科診療装置100は、手術等で使うデジタル式顕微鏡、光学式顕微鏡、デジタル式カメラ、光学式カメラ等から成るスコープ5と、スコープ5を移動可能に支持するためのアーム4と、アーム4を支持する支柱3と、を備えた医療機器である。
なお、歯科診療装置100は、前記したスコープ5と、アーム4と、支柱3と、を備えて、歯科の診断・治療を行う装置であればよく、機種、使用用途、設置場所、アーム4及び支柱3の構造等は特に限定されない。以下、歯科診療装置100の一例として、スコープ5を着脱自在に取り付けているスコープ用スタンド1を例に挙げて説明する。
【0014】
≪スコープ用スタンド≫
スコープ用スタンド1は、基部2と、基部2に立設された支柱3と、支柱3の上部に軸支されたアーム4と、を備えて構成されている。スコープ用スタンド1の先端側に配置されたアーム4の先端には、スコープ5が交換可能に取り付けられる。スコープ用スタンド1は、様々の種類のスコープ5を取り付けることが可能であり、そのスコープ5の型式、種類等は特に限定されない。
以下、スコープ用スタンド1の一例として、デジタル式マイクロスコープから成るスコープ5を取り付ける場合を例に挙げて説明する。
【0015】
<基部>
図1に示すように、基部2は、複数のキャスタ21と、その複数のキャスタ21を支持する基部本体22と、を備えて構成されている。
キャスタ21は、基部本体22の下部の前後左右の4箇所にネジ止められた市販品から成る。キャスタ21は、例えば、車輪の回転を阻止するストッパ(図示省略)を備えている。
基部本体22は、例えば、左右一対の横フレーム22aと、一対の横フレーム22aの中央部に架設された縦フレーム22bと、を備えた金属製フレームから成る。
それぞれの横フレーム22aの前後端部には、キャスタ21が設けられている。
縦フレーム22bは、中央部に支柱3を立設した金属製板部材から成る。
【0016】
<支柱>
支柱3は、アーム4の基端部を回転可能に支持する柱部材である。支柱3は、例えば、電源等とスコープ5とを電気的に接続するハーネス等の電線(図示省略)を挿通した円筒形状の金属製部材によって形成されている。
【0017】
<アーム>
図1に示すように、アーム4は、支柱3からスコープ5に延びて配置されて、所定以上の力を移動方向に加えることで、スコープ5を上下前後左右方向に移動可能に弾性支持する支持力を有するいわゆるバランスアームから成る。なお、アーム4において、「所定以上の力」とは、予め設定された回転方向の任意の力である。そのアーム4は、複数の関節を有する多関節アームから成る。アーム4は、例えば、支柱3の上部に配置され第1アーム41と、第1アーム41の先端部に配置された第2アーム42と、第2アーム42の先端部に配置されてスコープ5を支持する第3アーム43と、を備えて成る。アーム4内には、基端側が支柱3内を挿通し、先端側が着脱機構44の接続部45(図3参照)に接続されたハーネス(図示省略)が挿通されている。
【0018】
第1アーム41は、例えば、平板材を中空状の角材のように折り曲げて形成されたフレーム材から成る。第1アーム41は、第1アーム41を支柱3の上端に配置された取付金具41aと、第1アーム41の基端部に設けられた第1固定部材41bと、第1アーム41の先端部に設けられた第1連結部材41cと、を備えている。
【0019】
取付金具41aは、第1アーム41を、支柱3の上端部に水平方向(矢印a方向)に旋回可能に取り付けるための部材である。取付金具41aは、例えば、支柱3の上端部に外嵌された略円筒状の部材から成る。このため、第1アーム41は、この第1アーム41に水平方向(矢印a方向)の所定以上の力が加えられた際に、取付金具41aを中心として旋回するように弾性支持されている。
【0020】
第1固定部材41bは、第1アーム41の基端部を水平方向(矢印a方向)に回動不能に軸支するための固定部材である。第1固定部材41bは、例えば、第1アーム41に対して直交する方向に水平に延設された弾性支持用の締結部材から成る。このため、第1アーム41は、第1固定部材41bを矢印b方向に回動して緩めたり、締め付けたりすることによって、第1アーム41を水平方向に旋回可能にしたり、回動不能な状態に固定したり、することができる。
【0021】
第1連結部材41cは、第2アーム42の第2回転連結部材42aを水平方向(矢印d方向)に回動不能に連結するための固定部材である。第1連結部材41cは、例えば、第1固定部材41bと同様、第1アーム41に対して直交する方向に水平に延設された弾性支持用の締結部材から成る。このため、第2アーム42は、第1連結部材41cを矢印c方向に回動して緩めたり、締め付けたりすることによって、第2アーム42を水平方向に旋回可能にしたり、回動不能な状態に固定したり、することができる。
【0022】
図1に示すように、第2アーム42は、第1アーム41と同様に、平板材を中空状の角材のように折り曲げて形成したフレーム材から成る。第2アーム42は、第2アーム42の第1アーム41側に配置された第2回転連結部材42aと、第2アーム42の第2回転連結部材42a側の内部に配置された第2上下方向軸支部材(図示省略)と、第2アーム42の先端部側に配置されたジョイント部42bと、を備えている。
【0023】
第2回転連結部材42aは、第2アーム42の基端部を水平方向(矢印d方向)に回動可能に連結するための軸部材である。第2回転連結部材42aは、上端部が、第1アーム41の先端部に回動可能に軸支され、下端部が、第2アーム42の基端部に連結された軸部材から成る。
このため、第2アーム42は、この第2アーム42に水平方向(矢印d方向)の所定以上の力が加えられた際に、第2回転連結部材42aを中心として回動するように弾性支持されている。
【0024】
第2上下方向軸支部材(図示省略)は、第2アーム42の基端側の内部に軸支されて、第2アーム42上下方向に回動可能な状態に弾性支持するための軸支部材である。このため、第2アーム42は、第2回転連結部材42aを中心に水平方向(矢印d方向)に旋回可能に弾性支持されると共に、第2上下方向軸支部材(図示省略)を中心に上下方向(矢印f方向)に回動可能に弾性支持されている。
【0025】
ジョイント部42bは、上下方向に延設された円筒状部材と、この円筒状部材の下端から水平方向に延設された円筒状部材と、を接合した側面視して逆T字状の中空部材から成る。ジョイント部42bの上端部は、第2アーム42の先端部に設けられた円筒状の軸受部42cに軸入されて固定されている。ジョイント部42bの下端部には、第3アーム本体43aの基端側に設けられた軸棒43bが軸入されて、ネジ部材42dによって第3アーム43が適宜な角度に固定されている。
【0026】
第3アーム43は、中空状の角材から成る第3アーム本体43aと、第3アーム本体43aの基端側に一体形成された軸棒43bと、第3アーム本体43aの先端側に一体形成された連結部43c(図2参照)と、を備えて成る。第3アーム43は、基端部が、第2アーム42のジョイント部42bに対して回転可能に連結されて、先端部の連結部43c(図2参照)に、スコープ5をアーム4の先端に取り付けるための着脱機構44が設けられている。第3アーム43、前記第2アーム42及びジョイント部42bには、後記する接続部45の雄端子45bに接続されたハーネス(図示省略)が挿通されている。
【0027】
第3アーム本体43aは、略コ字状に形成された中空状のフレーム部材である。
軸棒43bは、ネジ部材42dを弛めることによって、ジョイント部42bの水平な下端部を中心として上下方向(矢印e方向)に回動可能になるように軸支されている。
図2に示すように、連結部43cは、接続部45の側面に形成された雌ネジ部45c(図3参照)に螺着される着脱ネジ部材46を挿通して、第3アーム本体43aと接続部45とを連結するための筒状部位である。
【0028】
<着脱機構>
図2または図3に示すように、着脱機構44は、第3アーム本体43aの先端部と、スコープ5と、を着脱可能に連結するための連結装置である。着脱機構44は、第3アーム本体43aの先端の連結部43cに配置された接続部45と、連結部43cを接続部45に固定するための着脱ネジ部材46と、スコープ5に設けられて接続部45に着脱可能に接続される被接続部52と、を備えて構成されている。着脱機構44は、接続部45と被接続部52とを機械的に接続することによって、スコープ5と、不図示の電源、制御装置等の信号回路や電気回路と、を接続するための接続機能を有している。
なお、着脱機構44は、機械的接続手段、電気的接続手段のいずれか、または、両方の手段を備えていてもよい。しかし、着脱機構44は、容易に取外しできることが望ましい。
【0029】
<接続部>
接続部45は、スコープ5に設けられた被接続部52に係脱可能に連結される接続部材である。接続部45は、それぞれ後記する接続部本体45aと、多数の雄端子45bと、雌ネジ部45cと、ガイド突起45dと、係合穴45eと、切欠溝45fと、係止ピン45gと、が設けられている。
【0030】
接続部本体45aは、例えば、側面視して縦長の長方形に形成された被接続部52に係合するように、側面視してL字状に形成された樹脂製の筐体から成る。
雄端子45bは、被接続部52に設けられた多数の雌端子52bにそれぞれ係脱可能に接続される多数の端子である。
【0031】
雌ネジ部45cは、第3アーム本体43aに対して接続部本体45aを適宜な角度で固定するためのネジ部材である。雌ネジ部45cは、基端側に回転操作ノブ部を有し、先端側に雄ネジ部を有している。
ガイド突起45dは、被接続部52に穿設された左右一対のガイド穴52aがそれぞれ着脱可能に挿入される丸棒状の突起である。
【0032】
係合穴45eは、被接続部52に回動可能に配置されたスコープロック機構55のロック片55bが係脱可能に装着される穴である。係合穴45eの奥側は、この係合穴45e内に挿入された略T字状のロック片55bが、回動可能な中空状態に形成されている。
切欠溝45fは、被接続部52の下面に形成された係合凸部52dが係脱可能に装着される凹部である。
【0033】
係止ピン45gは、切欠溝45fの内壁から突出した状態に配置されて、係合凸部52dの側面に形成された係合孔52eに係脱自在に配置されたピンである。係止ピン45gは、例えば、切欠溝45fの内壁に圧縮コイルバネを介在して出没自在に挿設されて、先端部が半球状に形成された可動ピンから成る。このため、係止ピン45gは、係合凸部52dが当接すると切欠溝45fの内壁に没入し、係合孔52eに合致したときに、係合孔52eに突出して内嵌するように配置されている。
【0034】
なお、係止ピン45gは、例えば、切欠溝45fの内壁に出没自在に挿設され、スコープ本体51が所定位置に来たとき、または、係合孔52e若しくは係合凸部52dが所定の位置に来たとき、それをフォトセンサ等で感知し、電気的に係止ピン45gが係合孔52eに突出して内嵌するように配置してもよい。
【0035】
<スコープ>
図2または図3に示すように、スコープ5は、前記したように、アーム4の先端に着脱自在に取り付けられるデジタル式口腔内観察用のマイクロスコープである。スコープ5は、スコープ本体51と、スコープ本体51の側面に設けられた被接続部52と、スコープ本体51の先端に設けられたレンズ部53と、スコープ本体51の左右側面に設けられた把持部54と、スコープロック機構55(スコープロック手段)と、を備えている。
スコープ5のスコープ本体51の側面には、接続部45に着脱可能に接続される略直方体形状の被接続部52が一体に設けられている。スコープ本体51は、側面視して略L字型形状の上に載置するようにして結合されるので、結合し易い。
【0036】
<被接続部>
図3に示すように、被接続部52には、それぞれ後記するガイド穴52aと、雌端子52bと、支持筒部52cと、係合凸部52dと、係合孔52eと、が一体形成されている。
図2またが図3に示すように、ガイド穴52aは、左右一対の円形の穴から成り、被接続部52の中央部に形成されている。
多数の雌端子52bは、スコープ5と電源等とを電気的に接続するための端子である。雌端子52bは、雄端子45bに対向する位置である被接続部52の上部に配置されている。
支持筒部52cは、略T字状に形成されたロック片55bを軸部(図示省略)に軸支する軸受部である。支持筒部52cは、被接続部52の中央部に形成された円柱形状の突起から成る。
係合凸部52dは、切欠溝45fに内嵌される突起である。係合凸部52dは、被接続部52の下面中央部に形成されて、前後方向に延びる板状の突起から成る。
係合孔52eは、係止ピン45gが係合・離脱される孔であり、係合凸部52dに形成されている。
【0037】
把持部54は、スコープ5を操作するとき、あるいは、スコープ5をアーム4に着脱するときに、持ち手となる部材である。把持部54は、側面視してL字状に折曲形成した略棒状の部材から成る。このため、把持部54は、落下防止や、持ち運びの際の取手として使用することができる。
なお、把持部54の形状は、特に限定されず、操作性、並びに、持ち運び性の容易な形状に適宜変更しても構わない。把持部54は、例えば、スコープ5に箪笥等の引き出しに形成されているような指を引っ掛けるためのくぼみを設けてもよく、また、カップの取っ手のような把持部であってもよい。
【0038】
<スコープロック機構>
スコープロック機構55は、接続部45に接続した被接続部52が分離して、スコープ5がアーム4の先端部から落下を防止するためのスコープロック手段である。スコープロック機構55は、スコープ本体51に回動自在に挿装された回動操作部55aと、回動操作部55aから突出してスコープ本体51に挿通された軸棒(図示省略)と、軸棒の先端に設けられたロック片55bと、を備えて構成されている。
【0039】
回動操作部55aは、軸棒(図示省略)及びロック片55bを回動させるための操作ノブである。回動操作部55aは、例えば、円形に形成された円板の表面に、指で摘んで回動操作するための長片が一体形成されて成る。
軸棒(図示省略)は、一端に回動操作部55aが固定され、他端にロック片55bが固定されている。
ロック片55bは、係合穴45eに挿入された後、回動操作部55aを回動操作することによって、係合穴45e内に係止されて、スコープ5の被接続部52を接続部45にロックした状態に取り付けることができる。また、ロック片55bは、回動操作部55aを反対方向に回動操作することによって、係合穴45e内から引き出すことが可能となった、被接続部52と接続部45とをアンロックして分離可能な状態にする。
【0040】
なお、着脱機構44に設けられた接続部45と、スコープ本体51に設けられた被接続部52とは、互いに接続し合えばよく、適宜、互いに対向する反対側に設けてもよい。
また、接続部45の雄端子45b、ガイド突起45d、係合穴45e、切欠溝45f及び係止ピン45gと、被接続部52のガイド穴52a、雌端子52b、支持筒部52c、係合凸部52d及び係合孔52eとは、互いに逆側に設けて対向配置してもよい。
【0041】
≪作用≫
次に、図1図3を参照しながら本実施形態に係る歯科診療装置100の作用を説明する。
【0042】
図1に示すスコープ用スタンド1は、歯科診療の際に、治療や検査や手術等に応じて所望のタイプのスコープ5をアーム4の先端に取り付けて使用する。
【0043】
スコープ5をアーム4の先端に取り付ける場合は、図2または図3に示すように、まず、着脱ネジ部材46を連結部43cを介して雌ネジ部45cにねじ込んで、第3アーム43の先端に、接続部45を固定する。次に、2本のガイド突起45dに左右一対のガイド穴52aを外嵌させて、スコープ本体51を接続部45に押し込む。すると、被接続部52は、ガイド突起45dにガイドされて、接続部45に接続される。
【0044】
つまり、多数の雌端子52bは、ガイド突起45dにガイドされて、それぞれ雄端子45bに外嵌される。また、ロック片55bは、係合穴45eに挿入される。係合凸部52dは、ガイド突起45dにガイドされて、切欠溝45fに内嵌される。係合孔52eには、係止ピン45gが係合される。
【0045】
次に、回動操作部55aを回動操作して、係合穴45e内に挿入されているロック片55bを回動させて係合穴45eに係合させる。すると、スコープ5の被接続部52は、接続部45にロックした状態に取り付けることができる。このため、スコープ5は、アーム4の先端の接続部45に、落下しないようにしっかりと固定させることができる。
【0046】
このようにして、スコープ本体51は、アーム4の先端にある接続部45に、被接続部52が装着されることで、アーム4の先端に取り付けられると共に、電源等(図示省略)に電気的に接続される。また、アーム4の先端に取り付けたスコープ5は、第1~第3アーム41,42,43を回動させたり、着脱ネジ部材46を緩めて接続部45を回動させたりすることによって、スコープ5の向きを所望方向に変えることができる。
【0047】
この場合、歯科診療装置100は、図1または図2に示すように、上下方向に延設された支柱3と、支柱3の上部に配置されたアーム4と、アーム4の先端部に着脱可能に配置されたスコープ5と、を備え、アーム4とスコープ5とには、一方側に接続部45が設けられ、他方側に接続部45に着脱可能に接続される被接続部52が設けられている。
これにより、アーム4とスコープ5とは、一方側の接続部45と、他方側の被接続部52とが着脱可能であることで、アーム4の先端部に種々のスコープ5のうちの所望とするものを取り付けることができる。例えば、歯科診療装置100は、アーム4に、顕微鏡から成るスコープ5を取り付けたり、カメラから成るスコープ5を取り付けたりして、スコープ5を交換自在に多機能化して、スコープ用スタンド1を共用化することができる。その結果、マイクロスコープ導入のためのトータルコストを安くして、歯科医院での導入数の拡大化を図ることが可能となる。
【0048】
また、スコープ5が故障したり、新品のものに交換したり、カメラ等の性能が高いもの(最新の状態)に交換したりする場合には、スコープ5をスコープ用スタンド1から取り外して、修理したり、交換したりすればよく、便利である。このように、スコープ用スタンド1を共用化することによって、最低限の費用でスコープ5を交換することができる。
【0049】
また、図2に示すように、アーム4とスコープ5とには、一方側にガイド突起45dが突設され、他方側にガイド突起45dが着脱可能に挿入されるガイド穴52aが形成されている。
これにより、アーム4とスコープ5とは、ガイド突起45dがガイド穴52aに着脱自在に挿入されることで、ガイド突起45dとガイド穴52aとが、接続部45と被接続部52とを接続するときのガイドになるため、接続し易くすることができる。
【0050】
また、アーム4とスコープ5とには、一方側に、雄端子45bが設けられ、他方側に、接続部45と被接続部52との着脱に応じて、雄端子45bが係脱可能に接続される雌端子52bが形成されている。
これにより、アーム4とスコープ5とは、雄端子45bと雌端子52bとを接続して、スコープ5を不図示の電源や制御装置やモニタ等に容易に接続することができる。
【0051】
また、スコープ5には、把持部54が設けられている。
これにより、スコープ5には、把持部54が設けられていることで、スコープ5を操作するとき、あるいは、スコープ5をアーム4に着脱するときに、持ち手となる。このため、把持部54は、落下防止や、持ち運びの際の取手として使用することができる。
【0052】
また、スコープ5には、当該スコープ5の落下を防止するスコープロック機構55(スコープロック手段)が設けられている。
これにより、スコープ5は、スコープロック機構55によって着脱自在となるため、スコープロック機構55の少なくとも一つを設けることで、着脱時の落下防止につながる。
また、スコープロック機構55は、機械的接続手段、電気的接続手段のいずれか、または、両方の手段を備えていることが望ましい。このようにすることによって、種々のタイプの歯科診療装置や、診療装置に使用することができる。
【0053】
[第1変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。次に、図4を参照して、本発明に係る歯科診療装置100の第1変形例を説明する。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
図4は、本発明の実施形態に係る歯科診療装置の第1変形例を示す斜視図である。
【0054】
前記実施形態で説明したスコープ5(図1参照)は、デジタル式マイクロスコープ等のデジタル式顕微鏡やデジタル式カメラ等に限定されるものではない。図4に示すように、スコープ5Aは、例えば、光学式顕微鏡や、光学式カメラ等から成るスコープ5Aであってもよい。
【0055】
その場合、種類の異なるスコープ5,5Aを、1つの支柱3で構成されたスコープ用スタンド1で共有可能にした歯科診療システムであって、歯科診療装置100Aに設けられたアーム4と、スコープ5,5Aとには、一方側に接続部45が設けられ、他方側に接続部45に着脱可能に接続される被接続部52が設けられていてもよい(図2及び図3参照)。
これにより、歯科診療システムは、1台のスコープ用スタンド1で、種類の異なるスコープ5,5Aを簡単に接続することが可能であるため、1台のスコープ用スタンド1を多機能化することで、トータルコストを低減させることができる。
【0056】
また、本発明に係る歯科診療装置100のスコープ5として光学式顕微鏡に用いる場合は、光学式顕微鏡にオートフォーカス機能を持たせるための焦点調整アクチュエータを備えた装置であっても、フットスイッチによって操作可能なフォーカス機構を持った装置であっても、あるいは、撮影箇所を照明するための照明装置を取り付けた装置であってもよい。
それらの装置や機能を備えたスコープ5を使用する場合は、スコープ5と、不図示の電源、制御装置、モニタ、フットスイッチ等と、を直接配線したコードで電気的に接続してもよいし、また、アーム4内に配線したコードで電気的に接続してもよい。
また、アーム4内にコードを配線した場合、アーム4とアーム4とを回転自在に連結する関節部は、スリップリング機構等から成る回転コネクタを設けて、アーム4とアーム4との間を電気的に接続してもよい。
【0057】
[第2変形例]
図5は、本発明の実施形態に係る歯科診療装置の第2変形例を示す斜視図である。
また、前記実施形態及び第1変形例で説明した歯科診療装置100,100Aのスコープ5,5Aは、図1及び図4に示すスコープ用スタンド1に取り付けられるものに限定されるものではない。
例えば、図5に示す歯科診療装置100Bのスコープ5ように、歯科用診療ユニット1B(歯科診療システム)の診察台10Bに立設した支柱3Bに取り付けたアーム4の先端部に取り付けたものであってもよい。
【0058】
また、図5に示す歯科用診療ユニット1B(歯科診療システム)において、スコープ5は、マイクロスコープ(デジタルマイクロスコープ)であって、歯科診療装置100Bには、少なくとも診療情報を表示するための表示装置6Bを具備し、スコープ5と表示装置6Bとの電気的接続を可能にした端子(雄端子45b及び雌端子52b)を、接続部45及び被接続部52に設けている(図2及び図3参照)。
これにより、歯科用診療ユニット1Bは、各歯科診療装置100Bに具備された表示装置6Bを使って、歯科診療装置100Bで使用する診療情報の表示と、マイクロスコープ(スコープ5)の映像情報の表示と、を共有化することが可能となる。その結果、歯科診療装置100B全体のトータルコストを低減させることができる。
【0059】
[第3変形例]
図6は、本発明の実施形態に係る歯科診療装置の第3変形例を示す斜視図である。
また、前記第2変形例の図5に示すデジタル式のスコープ5は、もちろん、図6に示すような光学式の顕微鏡や、光学式のカメラ等から成るスコープ5Aであってもよい。
【0060】
また、少なくとも1台のスコープ5,5Aを、複数の歯科診療装置100,100A,100B,100Cで共有可能にした歯科診療システムであって、歯科診療装置100,10A,100B,100Cに設けられたアーム4と、スコープ5,5Aとには、一方側に接続部45が設けられ、他方側に接続部45に着脱可能に接続される被接続部52が設けられている(図1図6参照)。
これにより、スコープ5,5Aは、1台のスコープ5,5Aを各診療装置のチェアサイドに移動して簡単に接続することが可能になるので、価格比重の高いスコープ5,5Aのみを取外しすることができるため、歯科診療装置全体のトータルコストを低減できる。また、スコープ5は、1台であっても、種々な箇所に配置された歯科診療装置100,100A,100B,100Cに取り付けたり、複数の術者がそれぞれ使用する診療装置に取り付けたりすることで、多機能的に多用途に亘って使用可能にしたり、複数の術者で共用したりすることができる。
【0061】
[第4変形例]
前記実施形態及び第1~3変形例では、歯科診療室等に配置された1つのアーム4の先端にスコープ5を取り付ける場合を説明したが、スコープ5を取り付ける設置箇所は複数であってもよい。
【0062】
その場合、歯科診療装置100は、複数の診療装置にそれぞれ上下方向に延設された支柱3と、それぞれの支柱3にそれぞれ配置されたアーム4と、それぞれのアーム4のうちの一部のアーム4の先端部に着脱可能に配置されたスコープ5と、を備え、それぞれのアーム4とスコープ5とには、一方側に接続部45が設けられ、他方側に接続部45に着脱可能に接続される被接続部52が設けられている。
これにより、スコープ5は、歯科診療室内の複数の診療装置の支柱3にそれぞれ配置されたアーム4や、歯科診療室外に配置された複数のアーム4等に、適宜、着脱可能に取り付けことができる。このため、スコープ5は、1台であっても、種々な箇所に取り付けて、多機能的に多用途に亘って使用可能にすることができる。
その結果、医療用診療装置全体のコストの低減を図ることができると共に、歯科医院でのマイクロスコープを備えた医療用診療装置の導入数の向上を図ることができる。
【0063】
[その他の変形例]
前記実施形態、第1~第3変形例では、アーム4の設置例として、スコープ用スタンド1や、歯科用診療ユニット1Bに配置した場合を説明したが、それに限定されるものではない。
例えば、アーム4は、歯科診療室の天井面に設置した天井面設置タイプのアームや、歯科診療室の床面に設置した床面設置タイプのアームや、歯科診用テーブル等のテーブル上に配置したスタンドタイプのアームであってもよい。
【0064】
また、前記実施形態では、図2及び図3に示す接続部45と被接続部52との接続として、ガイド突起45dとガイド穴52aとの接続、係合穴45eとロック片55bとの結合、切欠溝45fと係合凸部52dとの結合、及び、係止ピン45gと係合孔52eとの結合から成る機械的な接続と、雄端子45bと雌端子52bとの電気的な接続と、によるものを例に挙げて説明したが、これに限定されるものでない。
接続部45と被接続部52とは、アーム4とスコープ5とを着脱可能に連結して、スコープ5を使用可能な状態にすることができるものであればよい。
【0065】
例えば、接続部45と被接続部52とは、雄カプラ(雄コネクタ部)と、雄カプラに係合・離脱可能な雌カプラ(雌コネクタ部)であってもよい。
また、接続部45と被接続部52とは、電磁石等の磁石の磁力を利用して、接続部45と被接続部52とを接続したり、分離したりすることができるようにしてもよい。
また、接続部45と被接続部52とは、互いに軸方向にスライド可能にして所望位置で固定することができると共に、最大値以上に離間したときに着脱可能な、いわゆるスライドロック機構による接続であってもよい。
【0066】
また、アーム4は、図1図4図6に示す第1アーム41と第2アーム42と第3アーム43とを備えたものに限定されるものではなく、アーム部材の本数、形状、構造等は適宜変更してもよい。
また、アーム4の先端部には、スコープ5,5A以外の歯科診療用電気機器を設けてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 スコープ用スタンド
1B 歯科診療用ユニット(歯科診療システム)
3,3B 支柱
4 アーム
5,5A スコープ
6B 表示装置
45 接続部
45b 雄端子(端子)
45d ガイド突起
52 被接続部
52a ガイド穴
52b 雌端子(端子)
54 把持部
55 スコープロック機構(スコープロック手段)
100,100A,100B,100C 歯科診療装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6