(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】プログラム、施工ロボット、及び施工システム
(51)【国際特許分類】
E04F 21/18 20060101AFI20220920BHJP
E04G 21/14 20060101ALI20220920BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20220920BHJP
【FI】
E04F21/18 A
E04F21/18 D
E04F21/18 F
E04G21/14
B25J5/00 A
(21)【出願番号】P 2018108126
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500539561
【氏名又は名称】株式会社テムザック
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】兼安 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 和男
(72)【発明者】
【氏名】有田 直美
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 純平
(72)【発明者】
【氏名】石本 栄貴
(72)【発明者】
【氏名】東田 豊彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知未
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】馬場 勝之
(72)【発明者】
【氏名】川久保 勇次
【審査官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-096567(JP,A)
【文献】国際公開第01/020102(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3145303(JP,U)
【文献】特開平04-169659(JP,A)
【文献】特開平06-220987(JP,A)
【文献】特開平03-096568(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107975245(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/18
E04G 21/14
B25J 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
上記本体を移動させる移動装置と、
上記本体に設けられており、天井ボードの一部分を支持する支持体と、
上記支持体を水平方向に移動させるスライダと、
上記支持体を昇降可能な昇降装置と、
上記支持体が支持する天井ボードの一部分において、厚みに沿う方向を法線方向とする上記天井ボードの支持面が水平方向に沿う状態の第1姿勢と、当該支持面が水平方向に対して傾いた状態の第2姿勢とに、上記支持体を姿勢変化可能な姿勢変化装置と、
コントローラと、を備えており、
上記コントローラは、
上記支持体を上記第1姿勢にする第1支持処理と、
上記移動装置を駆動して、施工を行う位置まで移動する処理と、
上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第1姿勢から上記第2姿勢にする傾斜処理と、
上記昇降装置を駆動して、上記第2姿勢の支持体に支持された上記天井ボードの上側の端面を既設部材の当接面と同等の高さであって、当該当接面から水平方向へ離れた位置に移動させる高さ位置合わせ処理と、
上記スライダを駆動して、上記天井ボードの端面を上記既設部材の当接面に近づく向きへ移動させる水平位置合わせ処理と、を実行する施工ロボット。
【請求項2】
上記コントローラは、
上記水平位置合わせ処理を実行した後、上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第2姿勢から上記第1姿勢に姿勢変化させ、
次いで、上記昇降装置を駆動して、上記支持体を上昇させて上記天井ボードを野縁に当接させる第2支持処理を実行する請求項1に記載の施工ロボット。
【請求項3】
上記コントローラは、
上記第2支持処理を実行した後、上記移動装置を駆動して、矩形状の上記天井ボードの長手方向に沿って、上記端面とは長手方向の反対側の端面へ向かって、上記本体を移動させる移動処理を実行する請求項2に記載の施工ロボット。
【請求項4】
上記コントローラ及び第1無線通信インタフェースを有する操作装置をさらに備えており、
上記本体は、第2無線通信インタフェースを有しており、
上記コントローラは、上記第1無線通信インタフェース及び上記第2無線通信インタフェースを通じて、
上記移動装置、上記スライダ、上記昇降装置、及び上記姿勢変化装置を駆動する請求項1から3のいずれかに記載の施工ロボット。
【請求項5】
施工ロボット及びビス打ちロボットを備えた施工システムであって、
上記施工ロボットは、
第1本体と、
上記第1本体を移動させる第1移動装置と、
上記第1本体に設けられており、天井ボードの一部分を支持する支持体と、
上記支持体を水平方向に移動させるスライダと、
上記支持体を昇降可能な昇降装置と、
上記支持体が支持する天井ボードの一部分において、厚みに沿う方向を法線方向とする上記天井ボードの支持面が水平方向に沿う状態の第1姿勢と、当該支持面が水平方向に対して傾いた状態の第2姿勢とに、上記支持体を姿勢変化可能な姿勢変化装置と、
第1コントローラと、を備えており、
上記ビス打ちロボットは、
第2本体と、
上記第2本体を移動させる第2移動装置と、
上記
第2本体に設けられており、上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち装置と、
第2コントローラと、を備えており、
上記第1コントローラは、
上記支持体を上記第1姿勢にする第1支持処理と、
上記第1移動装置を駆動して、施工を行う位置まで移動する処理と、
上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第1姿勢から上記第2姿勢にする傾斜処理と、
上記昇降装置を駆動して、上記第2姿勢の支持体に支持された上記天井ボードの上側の端面を既設部材の当接面と同等の高さであって、当該当接面から水平方向へ離れた位置に移動させる高さ位置合わせ処理と、
上記スライダを駆動して、上記天井ボードの端面を上記既設部材の当接面に近づく向きへ移動させる水平位置合わせ処理と、を実行し、
上記第2コントローラは、
上記第2移動装置を駆動して、施工を行う位置まで移動する処理と、
上記水平位置合わせ処理によって上記既設部材に対して位置合わせされた上記天井ボードの上側の端部にビスを打ち込む第1ビス打ち処理を実行する施工システム。
【請求項6】
上記第1コントローラは、
上記第1ビス打ち処理の実行後、上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第2姿勢から上記第1姿勢に姿勢変化させ、
次いで、上記昇降装置を駆動して、上記支持体を上昇させて上記天井ボードを野縁に当接させる第2支持処理と、
上記第2支持処理を実行した後、上記
第1移動装置を駆動して、矩形状の上記天井ボードの長手方向に沿って、上記端面とは長手方向の反対側の端面へ向かって、上記本体を移動させる移動処理と、を実行し、
上記第2コントローラは、
上記第1ビス打ち処理の実行後、上記移動処理で移動する上記施工ロボットと同じ向きに移動して上記天井ボードにビスを打ち込む第2ビス打ち処理を実行する請求項5に記載の施工システム。
【請求項7】
上記施工ロボットは、第1無線通信インタフェースをさらに備えており、
上記ビス打ちロボットは、第2無線通信インタフェース及び検出装置をさらに備えており、
上記第2コントローラは、
上記高さ位置合わせ処理の実行後、上記支持体に傾斜して支持された上記天井ボード及び上記既設部材との間の離間距離を検出可能な第1検出データを上記検出装置を用いて取得する第1取得処理と、
上記第1取得処理で取得した上記第1検出データを上記第
2無線通信インタフェースを用いて上記施工ロボットに送信する送信処理と、を実行し、
上記第1コントローラは、
上記
第1検出データを受信する受信処理と、
上記受信処理で受信した上記第1検出データに基づいて上記離間距離を決定する離間距離決定処理と、
上記離間距離決定処理で決定した上記離間距離に応じた距離だけ上記スライダを用いて上記支持体を水平に移動させる上記水平位置合わせ処理と、を実行する請求項6に記載の施工システム。
【請求項8】
上記第2コントローラは、
上記水平位置合わせ処理の実行後、上記天井ボードに設けられたマーカの位置を検出可能な第2検出データを上記検出装置を用いて取得する第2取得処理と、
上記第2取得処理で取得した上記第2検出データに基づいて上記マーカの位置を決定するマーカ位置決定処理と、
上記マーカ位置決定処理で決定したマーカ位置にビスを打ち込む上記第1ビス打ち処理及び上記第2ビス打ち処理と、を実行する請求項7に記載の施工システム。
【請求項9】
上記検出装置は、
カメラと、
光を天井ボードに照射し、当該天井ボードで散乱された散乱光を受光する光センサと、
音波を上記天井ボードに照射し、当該天井ボードで反射された音波を受ける音波センサと、
磁界を形成し、上記天井ボードによって変化した磁界を検出する磁気センサと、の少なくとも1つである請求項7または8に記載の施工システム。
【請求項10】
上記施工ロボットは、上記第1本体に設けられたビス打ち装置をさらに備えており、
上記第1コントローラは、
上記移動処理の実行後、位置合わせされた上記天井ボードの端部とは反対側の端部にビスを打ち込む第3ビス打ち処理をさらに実行する請求項6から9のいずれかに記載の施工システム。
【請求項11】
本体と、
当該本体を移動させる移動装置と、当該本体に設けられており、天井ボードの一部分を支持する支持体と、上記支持体を水平方向に移動させるスライダと、上記支持体を昇降可能な昇降装置と、上記支持体が支持する天井ボードの一部分において、厚みに沿う方向を法線方向とする上記天井ボードの支持面が水平方向に沿う状態の第1姿勢と、当該支持面が水平方向に対して傾いた状態の第2姿勢とに、上記支持体を姿勢変化可能な姿勢変化装置と、を備える施工ロボットによって実行されるプログラムであって、
上記支持体を上記第1姿勢にする第1支持処理と、
上記移動装置を駆動して、施工を行う位置まで移動する処理と、
上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第1姿勢から上記第2姿勢にする傾斜処理と、
上記昇降装置を駆動して、上記第2姿勢の支持体に支持された上記天井ボードの上側の端面を既設部材の当接面と同等の高さであって、当該当接面から水平方向へ離れた位置に移動させる高さ位置合わせ処理と、
上記スライダを駆動して、上記天井ボードの端面を上記既設部材の当接面に近づく向きへ移動させる水平位置合わせ処理と、を
上記施工ロボットに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の室内に天井ボードを配置する施工ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の室内の天井は、例えば、室内に設けた野縁に天井ボードをビスで固定することにより、施工される。天井ボードは、例えば石膏ボードである。作業者は、天井ボードを割付図にしたがって所定の位置に配置し、ビスを用いて野縁に固定する。
【0003】
特許文献1には、天井ボードを下地材に取り付けるロボットが記載されている。このロボットは、天井ボードを吸引して保持するボード保持手段を備える。ロボットは、天井ボードの中央部をボード保持手段で吸引して天井ボードを保持する。また、ロボットは、カメラを備える。ロボットは、カメラで未施工箇所を撮像し、天井ボードを未施工箇所に配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願に係る発明者らは、吸引装置を用いて天井ボードの中央部を吸引して天井ボードを支持すると、天井ボードが撓み、天井ボードの端面を壁や施工済みの天井ボードである既設部材に当接させて配置することが困難であるとの知見を得た。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、天井ボードの端面を既設部材に合わせて配置可能な手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る施工ロボットは、本体と、上記本体に設けられており、天井ボードの一部分を支持する支持体と、上記支持体を水平方向に移動させるスライダと、上記支持体を昇降可能な昇降装置と、上記支持体が支持する天井ボードの一部分において、厚みに沿う方向を法線方向とする上記天井ボードの支持面が水平方向に沿う状態の第1姿勢と、当該支持面が水平方向に対して傾いた状態の第2姿勢とに、上記支持体を姿勢変化可能な姿勢変化装置と、コントローラと、を備える。上記コントローラは、上記支持体を上記第1姿勢にする第1支持処理と、上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第1姿勢から上記第2姿勢にする傾斜処理と、上記昇降装置を駆動して、上記第2姿勢の支持体に支持された上記天井ボードの上側の端面を既設部材の当接面と同等の高さであって、当該当接面から水平方向へ離れた位置に移動させる高さ位置合わせ処理と、上記スライダを駆動して、上記天井ボードの端面を上記既設部材の当接面に近づく向きへ移動させる水平位置合わせ処理と、を実行する。
【0008】
天井ボードは、傾けて支持体に支持された後、施工済みの天井ボードなどの既設部材の設置位置まで持上げられ、その後、水平移動されて、上側の端面を既設部材に当接される。天井ボードを傾けて支持することにより、天井ボードが撓んだとしても、端面が既設部材と同じ高さ位置になるように天井ボードを配置することができる。その結果、支持する天井ボードの端面を既設部材と合わせて天井ボードを配置することができる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記コントローラは、上記水平位置合わせ処理を実行した後、上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第2姿勢から上記第1姿勢に姿勢変化させ、また、上記昇降装置を駆動して、上記支持体を上昇させて上記天井ボードを野縁に当接させる第2支持処理を実行してもよい。
【0010】
例えば、作業者や、施工ロボットや、ビス打ちロボットによって、位置合わせされた天井ボードの端にビスが打ち込まれた後、支持体は、第2姿勢から第1姿勢にされ、かつ、昇降装置によって上昇される。その結果、位置合わせされた端と支持する部分とにおいて、天井ボードが野縁に押し当てられ、天井ボードの位置合わせされた端部と支持部分との間においてビス打ちが可能となる。
【0011】
(3) 好ましくは、本発明に係る施工ロボットは、上記本体を移動させる移動装置をさらに備えていてもよい。上記コントローラは、上記第2支持処理を実行した後、上記移動装置を駆動して、矩形状の上記天井ボードの長手方向に沿って、上記端面とは長手方向の反対側の端面へ向かって、上記本体を移動させる移動処理を実行する。
【0012】
施工ロボットが、位置合わせされた端部とは反対側の端部へ向かって移動することにより、天井ボードへのビスの打ち込みに必要な空間が確保される。作業者や、天井ボードにビスを打ち込むビス打ちロボットは、施工ロボットが移動することによって空いた空間内に進入して、天井ボードにビスを打ち込む。
【0013】
(4) 好ましくは、本発明に係る施工ロボットは、上記コントローラ及び第1無線通信インタフェースを有する操作装置をさらに備えていてもよい。上記本体は、第2無線通信インタフェースを有する。上記コントローラは、上記第1無線通信インタフェース及び上記第2無線通信インタフェースを通じて、上記スライダ、上記昇降装置、及び上記姿勢変化装置を駆動する。
【0014】
施工ロボットは、操作装置によって遠隔操作されてもよい。
【0015】
(5) 本発明に係る施工システムは、施工ロボット及びビス打ちロボットを備える。上記施工ロボットは、第1本体と、上記第1本体を移動させる第1移動装置と、上記第1本体に設けられており、天井ボードの一部分を支持する支持体と、上記支持体を水平方向に移動させるスライダと、上記支持体を昇降可能な昇降装置と、上記支持体が支持する天井ボードの一部分において、厚みに沿う方向を法線方向とする上記天井ボードの支持面が水平方向に沿う状態の第1姿勢と、当該支持面が水平方向に対して傾いた状態の第2姿勢とに、上記支持体を姿勢変化可能な姿勢変化装置と、第1コントローラと、を備える。上記ビス打ちロボットは、第2本体と、上記第2本体を移動させる第2移動装置と、上記本体に設けられており、上記天井ボードにビスを打ち込むビス打ち装置と、第2コントローラと、を備える。上記第1コントローラは、上記支持体を上記第1姿勢にする第1支持処理と、上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第1姿勢から上記第2姿勢にする傾斜処理と、上記昇降装置を駆動して、上記第2姿勢の支持体に支持された上記天井ボードの上側の端面を既設部材の当接面と同等の高さであって、当該当接面から水平方向へ離れた位置に移動させる高さ位置合わせ処理と、上記スライダを駆動して、上記天井ボードの端面を上記既設部材の当接面に近づく向きへ移動させる水平位置合わせ処理と、を実行する。上記第2コントローラは、上記水平位置合わせ処理によって上記既設部材に対して位置合わせされた上記天井ボードの上側の端部にビスを打ち込む第1ビス打ち処理を実行する。
【0016】
天井ボードは、傾けて支持体に支持された後、施工済みの天井ボードなどの既設部材の設置位置まで持上げられ、その後、水平移動されて、上側の端面を既設部材に当接される。天井ボードを傾けて支持することにより、天井ボードが撓んだとしても、端面が既設部材と同じ高さ位置になるように天井ボードを配置することができる。また、ビス打ちロボットは、位置合わせされた天井ボードの端部にビスを打ち込んで固定する。その結果、撓んだ天井ボードの端部を既設部材に対して位置合わして固定することができる。
【0017】
(6) 好ましくは、上記第1コントローラは、上記第1ビス打ち処理の実行後、上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第2姿勢から上記第1姿勢に姿勢変化させ、また、上記昇降装置を駆動して、上記支持体を上昇させて上記天井ボードを野縁に当接させる第2支持処理と、上記第2支持処理を実行した後、上記移動装置を駆動して、矩形状の上記天井ボードの長手方向に沿って、上記端面とは長手方向の反対側の端面へ向かって、上記本体を移動させる移動処理と、を実行してもよい。上記第2コントローラは、上記第1ビス打ち処理の実行後、上記移動処理で移動する上記施工ロボットと同じ向きに移動して上記天井ボードにビスを打ち込む第2ビス打ち処理を実行する。
【0018】
上記構成によれば、施工ロボットが位置合わせを行った天井ボードの端にビス打ちロボットがビスを打ち込んで固定することができる。
【0019】
(7) 好ましくは、上記施工ロボットは、第1無線通信インタフェースをさらに備えていてもよい。上記ビス打ちロボットは、第2無線通信インタフェース及び検出装置をさらに備える。上記第2コントローラは、上記高さ位置合わせ処理の実行後、上記支持体に傾斜して支持された上記天井ボード及び上記既設部材との間の離間距離を検出可能な第1検出データを上記検出装置を用いて取得する第1取得処理と、上記第1取得処理で取得した上記第1検出データを上記第1無線通信インタフェースを用いて上記施工ロボットに送信する送信処理と、を実行する。上記第1コントローラは、上記検出データを受信する受信処理と、上記受信処理で受信した上記第1検出データに基づいて上記離間距離を決定する離間距離決定処理と、上記離間距離決定処理で決定した上記離間距離に応じた距離だけ上記スライダを用いて上記支持体を水平に移動させる上記水平位置合わせ処理と、を実行する。
【0020】
上記構成によれば、ビス打ちロボットを用いて第1検出データを取得し、第1検出データを用いて、天井ボードと既設部材との間の離間距離を算出し、天井ボードを水平方向に移動させて既設部材に当接させることができる。
【0021】
(8) 好ましくは、上記第2コントローラは、上記水平位置合わせ処理の実行後、上記天井ボードに設けられたマーカの位置を検出可能な第2検出データを上記検出装置を用いて取得する第2取得処理と、上記第2取得処理で取得した上記第2検出データに基づいて上記マーカの位置を決定するマーカ位置決定処理と、上記マーカ位置決定処理で決定したマーカ位置にビスを打ち込む上記第1ビス打ち処理及び上記第2ビス打ち処理と、を実行してもよい。
【0022】
上記構成によれば、マーカを用いて、天井ボードにおけるビス打ち位置をビス打ちロボットに認識させることができる。
【0023】
(9) 上記検出装置は、カメラと、光を天井ボードに照射し、当該天井ボードで散乱された散乱光を受光する光センサと、音波を上記天井ボードに照射し、当該天井ボードで反射された音波を受ける音波センサと、磁界を形成し、上記天井ボードによって変化した磁界を検出する磁気センサと、の少なくとも1つであってもよい。
【0024】
(10) 上記施工ロボットは、上記第1本体に設けられたビス打ち装置をさらに備えていてもよい。上記第1コントローラは、上記移動処理の実行後、位置合わせされた上記天井ボードの端部とは反対側の端部にビスを打ち込む第3ビス打ち処理をさらに実行する。
【0025】
例えば、壁際などにおいて、施工ロボットは、天井ボードにビスを打ち込む。したがって、壁際などであって、ビス打ちロボットが施工ロボットを周り込めない場所において、天井ボードの施工に要する時間を短縮することができる。
【0026】
(11) 本発明に係るプログラムは、本体と、当該本体に設けられており、天井ボードの一部分を支持する支持体と、上記支持体を水平方向に移動させるスライダと、上記支持体を昇降可能な昇降装置と、上記支持体が支持する天井ボードの一部分において、厚みに沿う方向を法線方向とする上記天井ボードの支持面が水平方向に沿う状態の第1姿勢と、当該支持面が水平方向に対して傾いた状態の第2姿勢とに、上記支持体を姿勢変化可能な姿勢変化装置と、を備える施工ロボットによって実行される。該プログラムは、上記支持体を上記第1姿勢にする第1支持処理と、上記姿勢変化装置を駆動して、上記支持体を上記第1姿勢から上記第2姿勢にする傾斜処理と、上記昇降装置を駆動して、上記第2姿勢の支持体に支持された上記天井ボードの上側の端面を既設部材の当接面と同等の高さであって、当該当接面から水平方向へ離れた位置に移動させる高さ位置合わせ処理と、上記スライダを駆動して、上記天井ボードの端面を上記既設部材の当接面に近づく向きへ移動させる水平位置合わせ処理と、を実行する。
【0027】
本発明は、施工ロボットのプログラムとして捉えることもできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、天井ボードの端面を既設部材に合わせて配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2】
図2(A)は、端末装置13の機能ブロック図であり、
図2(B)は、施工ロボット11の機能ブロック図であり、
図2(C)は、ビス打ちロボット12の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、端末装置13に表示された割付図を示す図である。
【
図4】
図4は、天井ボード14が施工される室内を示す図である。
【
図5】
図5(A)は、位置決定処理のフローチャートであり、
図5(B)は、施工ロボット11のプログラム43が実行する施工位置移動処理のフローチャートであり、
図5(C)は、ビス打ちロボット12のプログラム143が実行する施工位置移動処理のフローチャートである。
【
図6】
図6は、施工ロボット11のプログラム43及びビス打ちロボット12のプログラム143が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、天井ボード14の位置決めの動作を説明する説明図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施形態が説明される。なお、各実施形態は、本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様が変更できることは言うまでもない。
【0031】
[施工システム10]
本実施形態に係る施工システム10の構成が
図1に示される。施工システム10は、天井ボード14をビスを用いて野縁15(
図4)に固定することにより、建築物の天井を施工するシステムである。
図4に示されるように、建築物の室内の上部の空間には、複数の野縁15が配置されている。野縁15は、長尺の角柱状の部材である。野縁15は、長手方向を水平方向に一致させて、不図示の野縁受けを用いて吊下されている。複数の野縁15は、互いに平行になるように、かつ、同一平面上に位置するようにそれぞれ配置されている。
【0032】
図1に示される施工システム10は、天井ボード14(
図4)を搬送して所定の位置に配置することを主に担当する施工ロボット11と、所定の位置に配置された天井ボード14を野縁15にビス止めすることを主に担当するビス打ちロボット12と、端末装置13とを備える。端末装置13は、本発明の操作装置の一例である。
【0033】
[端末装置13]
端末装置13は、パーソナルコンピュータや、タブレットや、スマートフォンなどである。以下では、端末装置13がタブレットである例を説明する。端末装置13は、
図2(A)に示されるように、コントローラ20と、タッチパネル24と、通信モジュール25とを備える。コントローラ20は、中央演算処理装置であるCPU21と、メモリ22とを有する。通信モジュール25は、本発明の第1無線通信インタフェースの一例である。
【0034】
メモリ22は、プログラム23を記憶する。プログラム23は、CPU21によって実行される。プログラム23は、例えば、作業者の指示を受け付けるためのアイコンをタッチパネル24に表示させ、アイコンによるユーザの指示を受け付け、受け付けた指示に応じて、施工ロボット11やビス打ちロボット12に指示を送信する。
【0035】
施工ロボット11やビス打ちロボット12への指示の送信は、通信モジュール25を用いて行われる。通信モジュール25は、無線通信モジュールであってもよいし、有線通信モジュールであってもよい。以下では、通信モジュール25は、無線通信モジュールである例を説明する。通信モジュール25は、RS232やRS485などの通信プロトコルを用いて、施工ロボット11やビス打ちロボット12と相互に無線通信を行う。
【0036】
また、メモリ22は、割付図を記憶する。割付図は、
図3に示されるように、天井ボード14の寸法や、天井ボード14を配置する位置などを示す図である。作業者は、タッチパネル24に表示された割付図が示す寸法で長尺の基材を切断し、割付図が示す長さの複数の天井ボード14を作製する。割付図は、例えば、建築物の設計データを記憶するデータベースからメモリ22に転送され、メモリ22に記憶される。
【0037】
また、メモリ22は、データベースから転送された室内の座標データを記憶する。座標データは、室内の四隅の座標や、天井ボード14が施工される座標を示すデータを含む。すなわち、座標データは、室内における各天井ボード14がそれぞれ配置される位置を示す。端末装置13は、座標データを用いて、施工ロボット11が天井ボード14を配置する配置位置を施工ロボット11に指示する。
【0038】
[施工ロボット11]
施工ロボット11は、
図2(C)に示すように、本体31と、本体31に取り付けられた走行装置32及び昇降装置33と、昇降装置33に支持されて昇降する支持装置34と、ビス打ち装置35とを備える。本体31は、本発明の第1本体及び本体の一例である。
【0039】
本体31は、コントローラ40と、バッテリ44と、電源回路45と、通信モジュール46とを備える。バッテリ44は、例えば、充放電が可能な2次電池である。電源回路45は、バッテリ44から供給された直流電圧を24Vや12Vなどの所定の電圧値の直流電圧に変換して出力する回路である。電源回路45は、例えば、スイッチングレギュレータなどのDC-DCコンバータである。電源回路45が出力する直流電圧は、コントローラ40や、昇降装置33や、支持装置34や、ビス打ち装置35などに供給される。通信モジュール46は、RS232やRS485などの通信プロトコルを用いて、端末装置13と相互に無線通信を行う。通信モジュール46は、本発明の第2無線通信インタフェース及び第1無線通信インタフェースの一例である。コントローラ40は、本発明のコントローラ及び第1コントローラの一例である。
【0040】
コントローラ40は、中央演算処理装置であるCPU41と、メモリ42とを有する。コントローラ40は、例えばパーソナルコンピュータである。メモリ42は、プログラム43を記憶する。プログラム43は、CPU41によって実行される。プログラム43は、走行装置32や昇降装置33やビス打ち装置35の動作を制御するプログラムである。詳しくは後述する。
【0041】
走行装置32は、搬送ロボット11を走行させる装置である。走行装置32は、一対(2個)の駆動輪54Aと、一対(2個)の補助輪54Bと、一対の駆動輪54Aをそれぞれ回転駆動する2つの駆動モータ55と、各駆動モータ55をそれぞれ駆動させる2つのドライブ回路56と、を有する。すなわち、一対の駆動輪54Aは、互いに独立して駆動可能である。
【0042】
一対の駆動輪54Aは、搬送ロボット11の左右方向(幅方向)において互いに離間して配置されている。一対の補助輪54Bは、搬送ロボット11の前後方向(奥行方向)において互いに離間して配置されている。一対の駆動輪54A及び一対の補助輪54Bは、不図示の車軸にそれぞれ固定されている。車軸は、本体31に回転可能に固定されている。
【0043】
補助輪54Bは、主輪57と、複数の副輪58と有する。複数の副輪58は、主輪57の周面に配置されている。複数の副輪58は、主輪57の周面の接線方向に沿う回転軸に回転可能に支持されている。すなわち、補助輪54Bは、いわゆるオムニホイールである。
【0044】
一対の駆動輪54Aが同方向に同回転数で回転することにより、搬送ロボット11は、前進または後進する。一対の駆動輪54Aが同回転数で反対向きに回転することにより、搬送ロボット11は、その場で回転する。一対の駆動輪54Aが同方向に異なる回転数で回転することにより、搬送ロボット11は、左或いは右に転回する。搬送ロボット11が前進または後進する際、補助輪54Bの主輪57が回転し、搬送ロボット11が転回或いはその場で回転する際、補助輪54Bの副輪58が回転する。すなわち、補助輪54Bは、駆動輪54Aの回転を妨げない。
【0045】
駆動モータ55は、直流モータや交流モータなど種々のモータを用いることができる。以下では、駆動モータ55は、回転角度を決定して駆動可能なステッピングモータである例を説明する。ドライブ回路56は、電源回路45から供給された直流電圧を交流電圧に変換して駆動モータ55に入力する回路である。ドライブ回路56は、駆動信号が入力されるスイッチング素子を有する。ドライブ回路56は、スイッチング素子に入力された駆動信号に応じた交流電圧を生成し、当該駆動信号に応じた回転角度や回転量で駆動輪54Aを回転駆動させる。駆動モータ55及びドライブ回路56は、いわゆるパルス列入力タイプであって、駆動信号(パルス列)が入力されるものであってもよいし、いわゆる位置決め機能内蔵タイプであって、駆動信号を生成するコントローラを有するものであってもよい。以下では、駆動モータ55及びドライブ回路56は、いわゆるパルス列入力タイプであって、コントローラ40から入力された駆動信号によって回転駆動する例を説明する。すなわち、コントローラ40は、ドライブ回路56に入力する駆動信号を用いて一対の駆動モータ55の回転角度や回転量を制御することにより、走行装置32による搬送ロボット11の移動方向や移動距離を制御することができる。
【0046】
なお、搬送ロボット11の移動方向や移動距離を制御可能であれば、走行装置32に代えて、クローラなど、他の走行装置が用いられてもよい。
【0047】
[昇降装置33]
図2に示される昇降装置33は、天井ボード14を昇降させる装置である。詳しく説明すると、昇降装置33は、伸縮自在のロッド67と、ロッド67を伸縮させる電動シリンダ68と、電動シリンダ68のドライブ回路69とを備える。
【0048】
ロッド67は、上下方向に沿う軸線を有する角筒状の基端ロッドと、当該基端ロッド内を上下方向にスライド可能な角筒状の中間ロッドと、中間ロッド内を上下方向にスライド可能な角筒状の先端ロッドとを有し、上下方向に伸縮自在である。
【0049】
電動シリンダ68は、伸長することにより、ロッド67を伸長させ、縮小することにより、ロッド67を縮小させる。電動シリンダ68は、ドライブ回路69によって駆動される。ドライブ回路69は、駆動信号が入力されるスイッチング素子を有する。ドライブ回路69は、入力された駆動信号に応じて、電動シリンダ68を伸長させ、或いは縮小させる。駆動信号は、コントローラ40から入力される。すなわち、コントローラ40は、ドライブ回路69に入力する駆動信号により、ロッド67を伸長させ、或いは縮小させ、ロッド67の長さを制御することができる。ドライブ回路69は、スイッチング素子を有する定電流回路や定電圧回路やインバータ等であってもよいし、電源回路45の出力端と電動シリンダ68の入力端との間に接続された電磁リレーなどのスイッチであってもよい。
【0050】
[支持装置34]
支持装置34は、天井ボード14を支持する装置である。支持装置34は、ロッド67の先端に取り付けられたスライド装置70と、スライド装置70に保持された支持台79と、支持台79を傾斜させる電動シリンダ90と、吸引装置80とを備える。天井ボード14は、支持台79に載置され、支持台79によって支持される。支持台79は、本発明の支持体の一例である。
【0051】
支持台79は、傾斜可能にスライド装置70に支持されている。詳しく説明すると、支持台79は、天井ボード14の端面に直交する面が水平方向に沿う水平姿勢と、天井ボードの端面に直交する面が水平方向に対して傾斜する傾斜姿勢との間で姿勢変化可能にスライド装置70に支持されている。例えば、支持台79は、支軸周りに回動可能にスライド装置70に支持されている。支持台79は、電動シリンダ90が伸長することによって、傾斜姿勢から水平姿勢に回動され、縮小することによって、水平姿勢から傾斜姿勢に回動される。水平姿勢は、本発明の第1姿勢の一例である。傾斜姿勢は、本発明の第2姿勢の一例である。天井ボード14の端面に直交する面であって、支持台79が支持する面は、本発明の支持面の一例である。
【0052】
電動シリンダ90は、不図示のドライブ回路によって駆動される。このドライブ回路は、駆動信号が入力されるスイッチング素子を有する。ドライブ回路は、入力された駆動信号に応じて、電動シリンダ90を伸長させ、或いは縮小させる。駆動信号は、コントローラ40から入力される。すなわち、コントローラ40は、ドライブ回路に入力する駆動信号により、電動シリンダ90を伸長させ、或いは縮小させ、電動シリンダ90の長さを制御することができる。電動シリンダ90は、本発明の姿勢変化装置の一例である。
【0053】
スライド装置70は、支持台79を直交する2方向に移動させる装置である。すなわち、スライド装置70は、天井ボード14を所定の位置に配置する際に、支持台79を移動させて、支持台79に支持された天井ボード14を移動させる装置である。
【0054】
詳しく説明すると、スライド装置70は、ロッド67の先端に固定された第1レール71と、第1レール71に支持された第1スライダ72と、第1スライダ72に支持された第2レール75と、第2レール75に支持された第2スライダ76とを備える。
【0055】
第1レール71は、支持台79が天井ボード14を水平に支持する支持姿勢において、水平方向に沿って延びている。以下、第1レール71が延びる方向をX方向と記載して説明する。第1レール71は、X方向に沿ってスライド自在に第1スライダ72を支持する。第2レール75は、上述の支持姿勢において、水平方向に沿って、かつX方向と直交する方向に沿って延びている。以下、第2レール75が延びる方向をY方向と記載して説明する。第2レール75は、Y方向に沿ってスライド自在に第2スライダ76を支持する。すなわち、第2スライダ76は、X方向及びY方向に沿って移動可能である。
【0056】
また、スライド装置70は、第1スライダ72をX方向に沿って移動させる駆動モータ73と、駆動モータ73を回転駆動させるドライブ回路74とを備える。駆動モータ73及びドライブ回路74の構成は、走行装置32の駆動モータ55及びドライブ回路56の構成と同様である。すなわち、駆動モータ73の回転角度や回転量は、コントローラ40が出力する駆動信号によって制御することができる。駆動モータ73の回転は、不図示の第1駆動伝達機構によって第1スライダ72に伝達される。第1駆動伝達機構は、例えば、駆動モータ73によって回転駆動される駆動プーリと、従動プーリと、駆動プーリ及び従動プーリに架け渡された無端環ベルトとを有する。無端環ベルトは、第1スライダ72に固着される。駆動モータ73が回転駆動することにより、無端環ベルトを介して第1スライダ72がX方向に沿って移動される。
【0057】
また、スライド装置70は、第2スライダ76をY方向に沿って移動させる駆動モータ77と、駆動モータ77を回転駆動させるドライブ回路78とを備える。駆動モータ77及びドライブ回路78の構成は、走行装置32の駆動モータ55及びドライブ回路56の構成と同様である。すなわち、駆動モータ77の回転角度や回転量は、コントローラ40が出力する駆動信号によって制御することができる。駆動モータ77の回転は、不図示の第2駆動伝達機構によって第2スライダ76に伝達される。第2駆動伝達機構の構成は、第1駆動伝達機構と同様である。駆動モータ77が回転駆動することにより、第2駆動伝達機構を介して第2スライダ76がY方向に沿って移動される。
【0058】
第1スライダ72及び第2スライダ76の初期位置は、第1スライダ72のX方向に沿った可動範囲と、第2スライダ76のY方向に沿った可動範囲との中間位置とされている。天井ボード14を支持した施工ロボット11の重心バランスの変動を抑制するため、第1スライダ72の+X方向への移動距離及び-X方向への移動距離は、ともに数cm程度に設定されている。また、同様に、第2スライダ76の+Y方向への移動距離及び-Y方向への移動距離は、ともに数cm程度に設定されている。
【0059】
[吸引装置80]
天井ボード14が載置される支持台79は、第2スライダ76に設けられている。支持台79には、吸引装置80の吸引パッド83が設けられている。吸引装置80は、吸引パッド83と、吸引パッド83内の空気を吸引する真空ポンプ81と、真空ポンプ81のドライブ回路82とを備える。吸引パッド83は、開口を有する半球殻状であり、真空ポンプ81とパイプで接続されている。すなわち、真空ポンプ81は、吸引パッド83と吸引パッド83の開口を閉塞する天井ボード14とに囲まれた空間内の空気を吸引することができる。
【0060】
ドライブ回路82は、例えば、駆動信号が入力されるスイッチング素子を有する定電圧回路や定電流回路である。ドライブ回路82は、駆動信号が入力されることにより、真空ポンプ81を駆動させる。駆動された真空ポンプ81は、吸引パッド83内の空気を吸引し、吸引パッド83内を大気圧よりも低い圧力にする。吸引パッド83は、支持台79に支持されて自重によって吸引パッド83に押しつけられた天井ボード14を吸引して保持する。なお、ドライブ回路82に代えて、電源回路45の出力端と真空ポンプ81の入力端との間に接続された電磁リレーなどのスイッチが設けられてもよい。スイッチは、コントローラ40から入力された駆動信号によりオンとなり、電源回路45から真空ポンプ81へ電力を供給させる。
【0061】
[ビス打ち装置35]
ビス打ち装置35は、電動ドライバと、当該電動ドライバのドライブ回路とを備える。電動ドライバの構成は公知であるので詳しい説明は省略するが、例えば、日立工機株式会社製のWF18DSLを電動ドライバに用いることができる。ドライブ回路は、コントローラ40から駆動信号を入力される定電圧回路や定電流回路やインバータ等である。或いは、ドライブ回路は、電源回路45の出力端と電動ドライバの入力端との間に接続された電磁リレーなどのスイッチである。ビス打ち装置35は、コントローラ40からドライブ回路に入力される駆動信号に応じて動作する。すなわち、コントローラ40は、駆動信号により、ビス打ち装置35の動作を制御することができる。
【0062】
カメラ36は、レンズ及び撮像素子を有しており、レンズで集光された光を撮像素子で撮像し、撮像した画像を画像データとして出力する。カメラ36は、例えば、株式会社Logitech社製のC920Rを用いることができる。
【0063】
[ビス打ちロボット12]
ビス打ちロボット12は、
図2に示されるように、本体131と、走行装置132と、昇降装置133と、ビス打ち装置135と、カメラ136とを備える。走行装置132の構成は、施工ロボット11の走行装置32の構成と同じである。昇降装置133の構成は、施工ロボット11の昇降装置33の構成と同じである。ビス打ち装置135の構成は、施工ロボット11のビス打ち装置35の構成と同じである。カメラ136の構成は、カメラ36の構成と同じである。本体131は、本発明の第2本体の一例である。走行装置132は、本発明の第2移動装置の一例である。カメラ136は、本発明の検出装置の一例である。
【0064】
走行装置132、昇降装置133、及びビス打ち装置135の構成を、施工ロボット11の走行装置32、昇降装置33、及びビス打ち装置35の構成と同一にすることにより、仕様や性能の統一を図り、部材の調達や管理が容易になる。ただし、走行装置132、昇降装置133、及びビス打ち装置135の構成は、施工ロボット11の走行装置32、昇降装置33、及びビス打ち装置35の構成と相違していてもよい。
【0065】
本体131は、コントローラ140と、バッテリ144と、電源回路145と、通信モジュール146とを備える。コントローラ140は、CPU141と、メモリ142とを有する。本体131の構成は、施工ロボット11の本体31と同構成である。ただし、ビス打ちを主に担当するビス打ちロボット12のメモリ142には、プログラム43と相違するプログラム143が記憶されている。通信モジュール146は、本発明の第2無線通信インタフェースの一例である。コントローラ140は、本発明の第2コントローラの一例である。
【0066】
施工ロボット11は、予め設定された天井ボード14の受取位置で作業者から天井ボード14を受け取り、割付図が示す施工位置に応じた目標位置の直下まで天井ボード14を搬送する。施工ロボット11は、搬送した天井ボード14を目標位置の近傍まで持ち上げた後、壁や、施工済みの他の天井ボード14に対して位置合わせを行って、天井ボード14を配置する。以下、施工ロボット11に上述の動作を実行させるプログラム43の処理について説明する。なお、以下では、プログラム43、143が実行する処理を、コントローラ40、140や施工ロボット11、ビス打ちロボット12が実行する処理として記載することがある。
【0067】
[位置決定処理]
図5(A)に示される位置決定処理は、室内における施工ロボット11及びビス打ちロボット12の位置の入力を行う処理である。すなわち、位置決定処理は、施工ロボット11及びビス打ちロボット12がそれぞれ実行する。以下では、施工ロボット11のプログラム43が位置決定処理を実行する場合について説明する。
【0068】
作業者は、室内の壁17の所定位置に、所定のマーカを表記したシートを貼り付ける。所定位置は、メモリ22に記憶された座標データによって示される位置である。所定のマーカは、例えば、2つの円である。
【0069】
作業者は、シートに正対する位置に施工ロボット11を配置し、端末装置13を用いて、位置決定処理の実行を指示する。当該指示(以下、位置決定指示とも記載する)は、通信モジュール25、46を通じて施工ロボット11に入力される。
【0070】
施工ロボット11のプログラム43は、端末装置13から位置決定指示が入力されるまで待機する(S11:No)。プログラム43は、位置決定指示が入力されたと判断すると(S11:Yes)、シートに表記されたマーカを、カメラ36を用いて撮像する(S12)。プログラム43は、画像データの解析を行い(S13)、カメラ36が出力した画像データに基づいて、施工ロボット11がマーカに対して適正な位置にいるか否かを判断する(S14)。適正な位置とは、例えば、マーカに対して所定の距離だけ離間して、マーカに正対する位置である。
【0071】
例えば、プログラム43は、画像データに基づいて、上下方向におけるマーカ(円)の半径と、左右方向におけるマーカ(円)の半径とを算出し、当該2つの半径の差から、マーカに対する左右方向のずれを算出する。また、プログラム43は、上下方向におけるマーカ(円)の半径とメモリ42に予め記憶された基本半径との差に基づいて、マーカとの相対距離が適正か否かを判断する。なお、施工ロボット11がマーカに対して適正な位置にいるか否かの判断は、上述した例に限られない。カメラ36が撮像したマーカの形状に基づいて、施工ロボット11が適正な位置にいるか否かを判断可能であれば、他の判断手段が用いられてもよい。
【0072】
プログラム43は、算出したマーカまでの距離及びマーカの位置する方向が適正でないと判断すると(S14:No)、画像データに基づいて、現在位置から、適正となる位置までの距離及び方向を算出する。プログラム43は、算出結果に応じた駆動信号を生成し、生成した駆動信号を走行装置32の駆動モータ55のドライブ回路56に入力して、施工ロボット11を走行させる(S15)。
【0073】
プログラム43は、ステップS15の実行後、ステップS12からステップS14の処理を実行する。すなわち、プログラム43は、施工ロボット11がマーカに対して適正な位置にあると判断するまで、ステップS15及びステップS12からステップS14までの処理を繰り返し実行する。
【0074】
プログラム43は、施工ロボット11がマーカに対して適正な位置にあると判断すると(S14:Yes)、現在位置を、メモリ22に記憶された座標データに示された所定の基準位置として決定し(S16)、位置決定処理を終了する。
【0075】
なお、基準位置を決定可能であれば、他の構成や処理によって基準位置が決定されてもよい。例えば、マーカ型ARなどの空間認識技術を用いて基準位置が決定されてもよいし、パターンマッチングなどを用いた画像解析技術を用いて基準位置が決定されてもよい。
【0076】
位置決定処理の実行後、作業者は、施工の開始の指示を端末装置13に入力する。施工の開始の指示が入力された端末装置13は、天井ボード14を受け取る受取位置の座標データを施工ロボット11に送信する。受取位置の座標データを受信した施工ロボット11のプログラム43は、座標データが示す受取位置までの走行ルートを決定し、決定した走行ルートに応じた駆動信号を生成して施工ロボット11を走行させる。
【0077】
また、施工の開始の指示を受け付けた端末装置13は、施工ロボット11の移動を阻害しない退避位置を示す座標データをビス打ちロボット12に送信する。ビス打ちロボット12のプログラム143は、座標データが示す退避位置までの走行ルートを決定し、決定した走行ルートに応じた駆動信号を生成してビス打ちロボット12を走行させる。
【0078】
作業者は、基材を切断して天井ボード14を作製し、受取位置にいる施工ロボット11の支持台79に天井ボード14を載置する。その際、施工ロボット11のコントローラ40は、支持台79を水平姿勢にする。施工ロボット11のコントローラ40が支持台79を水平姿勢にする処理は、本発明の第1支持処理の一例である。
【0079】
その後、作業者は、端末装置13のタッチパネル24に表示された割付図(
図3(B))において、天井ボード14を施工する位置をタップなどよって指示する。指示を受け付けた端末装置13は、指示された施工位置を示す座標データを施工ロボット11及びビス打ちロボット12に送信し、天井ボード14の施工の開始を施工ロボット11及びビス打ちロボット12に指示する。
【0080】
天井ボード14の施工の開始の指示を受信した施工ロボット11は、
図5(B)に示される施工位置移動処理を実行する。
【0081】
[施工位置移動処理]
施工位置移動処理は、施工ロボット11のプログラム43が、施工位置に応じた目標位置まで施工ロボット11を走行させる処理である。プログラム43は、天井ボード14の施工の開始の指示を受信するまで待機する(S21:No)。プログラム43は、施工の開始の指示を受信したと判断すると(S21:Yes)、駆動信号を生成して真空ポンプ81を駆動させ、吸引装置80に天井ボード14を吸引させる(S22)。すなわち、施工ロボット11は、天井ボード14を確実に保持する。
【0082】
次に、プログラム43は、施工開始の指示とともに受信した座標データが示す施工位置に応じた目標位置までの走行ルートを決定する(S23)。プログラム43は、決定した走行ルートに応じた駆動信号を生成し(S24)、生成した駆動信号を走行装置32の駆動モータ55のドライブ回路56に入力し、施工ロボット11を目標位置まで走行させて施工位置移動処理を終了する。
【0083】
なお、天井ボード14の受取位置から目標位置までの移動において、移動距離に応じた誤差により、座標データが示す位置と、施工ロボット11が実際に到達した位置との間に、10数cm未満の誤差が生じることが想定される。プログラム43は、当該誤差を考慮し、天井ボード14を持ち上げたときに天井ボード14が壁17や施工済みの他の天井ボード14と接触しないように、座標データが示す施工位置から20cm程度離間した位置を目標位置として設定し、走行ルートを決定する。したがって、施工ロボット11が天井ボード14を持上げた際、持上げられた天井ボード14は、壁17や施工済みの他の天井ボード14に対して、数cmから数10cm程度離間することになる(
図7(A))。
【0084】
[施工位置移動処理]
一方、天井ボード14の施工の開始の指示を受信したビス打ちロボット12のプログラム143は、
図5(C)に示される施工位置移動処理を実行する。
図5(C)に示される施工位置移動処理は、施工ロボット11による天井ボード14の位置合わせを補助するために、天井ボード14をカメラ136で撮像可能な位置まで、ビス打ちロボット12を走行させる処理である。
【0085】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、天井ボード14の施工の開始の指示を受信するまで待機する(S25:No)。プログラム143は、施工の開始の指示を受信したと判断すると(S25:Yes)、施工開始の指示とともに受信した座標データが示すサポート位置までの走行ルートを決定する(S26)。プログラム143は、決定した走行ルートに応じた駆動信号を生成し(S27)、走行装置132を用いてビス打ちロボット12をサポート位置まで走行させ、施工位置移動処理を終了する。
【0086】
[施工ロボット11及びビス打ちロボット12が実行する処理]
次に、施工ロボット11が位置合わせを行いつつ天井ボード14を施工位置に配置する際に施工ロボット11及びビス打ちロボット12が実行する処理を、
図6のフローチャート、及び
図7、
図8の動作説明図を用いて説明する。なお、以下では、既に施工された2つの天井ボード18に対して天井ボード14を位置合わして施工する例を説明する。但し、施工済みの天井ボード18に代えて、室内の壁などに対して位置合わせして天井ボード14を施工する場合も、同様の処理が実行される。施工済みの天井ボード18や室内の壁は、本発明の既設部材の一例である。
【0087】
まず、施工ロボット11のプログラム43は、電動シリンダ90に駆動信号を出力し、電動シリンダ90を縮小させて、支持台79を傾斜姿勢にする(S31)。すなわち、天井ボード14を傾斜させて支持する。支持台79を傾斜させるステップS31の処理は、本発明の傾斜処理の一例である。
【0088】
次に、プログラム43は、昇降装置33を駆動させて、割付図が示す天井の高さ位置まで天井ボード14を上昇させて持ち上げる(S32)。割付図が示す天井の高さ位置まで天井ボード14を上昇させて持ち上げるステップS32の処理は、本発明の高さ位置合わせ処理の一例である。
【0089】
図7(A)には、ステップS32が実行された後における天井ボード14と、施工済み天井ボード18との水平方向における相対位置が示されている。また、
図7(B)には、ステップS32が実行された後における天井ボード14と、施工済み天井ボード18との垂直方向における相対位置が示されている。上述のように、支持台79が傾斜姿勢にされた後(S31)、支持台79が上昇されるので(S32)、
図7(B)に示されるように、天井ボード14が撓んだとしても、天井ボード14の端面14Bが施工済み天井ボード18の端面18Bと同じ高さ位置になるまで天井ボード14を持ち上げることができる。なお、支持台79が傾斜されずに天井ボード14が持ち上げられると、天井ボード14の撓みにより、天井ボード14の端面14Bが施工済みの天井ボード18の端面18Bと同じ高さ位置に到達する前に、天井ボード14の中央部が野縁15に当接してしまい、天井ボード14の端面14Bが施工済みの天井ボード18の端面18Bと同じ高さ位置に到達する高さ位置まで天井ボード14を持ち上げることができない。施工済みの天井ボード18の端面18A、18Bは、本発明の既設部材の当接面の一例である。
【0090】
プログラム43は、
図6に示されるように、昇降装置33を駆動して天井ボード14を持ち上げた後、カメラ136を用いて天井ボード14を撮像することを示す撮像指示をビス打ちロボット12に送信する(S33)。ビス打ちロボット12のプログラム143は、撮像指示を受信すると、カメラ136を用いて天井ボード14及び施工済み天井ボード18を撮像し、画像データを取得する(S34)。具体的には、ビス打ちロボット12は、カメラ136を天井ボード14の下方へ配置し、天井ボード14の下方から天井ボード14及び施工済み天井ボード18を撮像し、画像データを取得する。カメラ136を用いて天井ボード14及び施工済み天井ボード18を撮像し、画像データを取得するステップS34の処理は、本発明の第1取得処理の一例である。画像データは、第1検出データの一例である。
【0091】
プログラム143は、撮像によって得られた画像データを施工ロボット11に送信する(S35)。画像データを施工ロボット11に送信するステップS35処理は、本発明の送信処理の一例である。
【0092】
一方、施工ロボット11のプログラム43は、ビス打ちロボット12が送信した画像データを受信する。プログラム43が画像データを受信する処理は本発明の受信処理の一例である。次に、プログラム43は、受信した画像データに基づいて、
図7(A)に示される離間距離L1及び離間距離L2を算出する(S36)。離間距離L1は、天井ボード14の長手方向(図における左右方向)に沿う端面14Aと施工済みの天井ボード18の端面18Aとの間の距離である。離間距離L2は、天井ボード14の短手方向(図における上下方向)に沿う端面14Bと施工済みの天井ボード18の端面18Bとの間の距離である。プログラム43は、例えば、端面14A、14B、18A、18Bの位置を決定して、離間距離L1、L2を算出する。端面14A、14B、18A、18Bの位置の決定は、2値化処理やパターンマッチングなどの従来の画像解析技術を用いることができる。離間距離L1、L2を算出するS36の処理は、本発明の離間距離決定処理の一例である。
【0093】
プログラム43は、離間距離L1、L2を算出した後、離間距離L1だけスライド装置70の第1スライダ72をスライドさせて天井ボード14を水平方向へ移動させ、天井ボード14の端面14Aを施工済みの天井ボード18の端面18Aに当接させる(S37)。なお、天井ボード14の水平方向への移動は、1回で行われてもよいし、複数回に分けて行われてもよい。
【0094】
次に、プログラム43は、離間距離L2だけスライド装置70の第2スライダ76をスライドさせて天井ボード14を水平方向へ移動させ、天井ボード14の端面14Bを施工済みの天井ボード18の端面18Bに当接させる(S38)。
図7(C)には、ステップS38の処理が実行されて施工済みの天井ボード18に対して位置合わせされた後の天井ボード14が示されている。なお、天井ボード14の水平方向への移動は、1回で行われてもよいし、複数回に分けて行われてもよい。天井ボード14を水平方向に移動させて施工済みの天井ボード18に当接させるステップS37、38の処理は、本発明の水平位置合わせ処理の一例である。
【0095】
プログラム43は、ステップS37、S38の処理の実行後、ビス打ちロボット12にビス打ち指示を送信する(S39)。
【0096】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、ビス打ち指示を受信すると、位置合わせされた天井ボード14をカメラ136を用いて撮像する撮像処理を実行する(S40)。
図8(A)に示されるように、天井ボード14の下面には、ビス打ちを行う位置を示すマーカが表記されている。マーカは、例えば、黒塗りされた円である。プログラム143は、マーカを含む天井ボード14を撮像し、マーカを含む画像データを取得する。画像データは、本発明の第2検出データの一例である。マーカを含む天井ボード14をカメラ136で撮像するステップS40の処理は、本発明の第2取得処理の一例である。
【0097】
プログラム143は、ステップS40で取得した画像データに基づいて、マーカの位置であるマーカ位置を決定する(S41)。マーカ位置を決定するステップS41の処理は、本発明のマーカ位置決定処理の一例である。
【0098】
プログラム143は、ビス打ち装置135を駆動して、決定したマーカ位置にビスを打ち込む(S42)。具体的には、プログラム143は、天井ボード14の端面14Bに沿って、複数本のビス91(
図7(D))を、ビス打ち装置135を用いて天井ボード14の端部に打ち込んで、位置決めされた天井ボード14の端部を野縁15に固定する(S42)。天井ボード14の端部にビスを打ち込むステップS42の処理は、本発明の第1ビス打ち処理の一例である。
【0099】
プログラム143は、複数本のビス91を天井ボード14の端部に打ち込んで天井ボード14の端部を固定した後、天井ボード14の端部の固定が終了したことを示す終了通知を施工ロボット11に送信する(S43)。
【0100】
施工ロボット11のプログラム43は、終了通知を受信すると(S43)、電動シリンダ90を伸長させ、傾斜姿勢にある支持台79を水平姿勢に姿勢変化させ(S44)、次いで、昇降装置33を上昇させて、天井ボード14を持ち上げ、
図7(D)に示されるように、支持する天井ボード14の中央部を野縁15に当接させる(S45)。ステップS44、S45の処理は、本発明の第2支持処理の一例である。
【0101】
プログラム43は、
図6に示されるように、昇降装置33を駆動して天井ボード14を持ち上げて天井ボード14の中央部を野縁15に当接させた後、天井ボード14にビスを打ち込むことを指示するビス打ち指示をビス打ちロボット12に送信する(S46)。
【0102】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、ビス打ち指示を受信すると(S46)、ビス打ち装置135を駆動して、天井ボード14の上記他端部にビス92を打ち込む(S47)。長手方向における両端部にビス91、92を打ち込まれた天井ボード14は、野縁15に仮固定される。
【0103】
プログラム143は、ビス打ちが終了すると(S47)、ビス打ちが終了したことを示す終了通知を施工ロボット11に送信する(S48)。
【0104】
施工ロボット11のプログラム43は、終了通知を受信すると(S48)、次に施工する天井ボード14を受け取るため、走行装置32を駆動して、天井ボード受取位置まで施工ロボット11を走行させる(S49)。そして、プログラム43は、ビス打ちロボット12にビス打ち指示を送信し(S50)、処理を終了する。
【0105】
ビス打ちロボット12のプログラム143は、ビス打ち指示を受信すると(S50)、ビス打ち装置135を駆動して、ステップS47で野縁15に仮固定された天井ボード14にさらにビスを打ち込む(S51)。すなわち、ステップS51において、天井ボード14は、野縁15に完全に固定される。プログラム134は、ビス打ちが終了すると(S51)、走行装置132を駆動して、ビス打ちロボット12を退避位置に移動させ(S52)、処理を終了する。
【0106】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、天井ボード14を傾けて保持し、傾けて保持する天井ボード14の端面を施工済みの天井ボード18の端面に当接させて天井ボード14の位置合わせを行う。したがって、保持する天井ボード14が撓んだとしても、天井ボード14の端面を施工済みの天井ボード18の端面に当接させて位置合わせを行うことができる。
【0107】
また、本実施形態では、施工済みの天井ボード18の端面に当接されて位置合わせされた天井ボード14の端部にビスが打ち込まれて当該端部が固定された後、施工ロボット11は、支持台79を上昇させて天井ボード14を野縁15に押し付ける。したがって、天井ボードの両端部にビスを打ち込んで天井ボード14を固定することができる。
【0108】
また、本実施形態では、マーカを用いてビスを打ち込む位置を決定するので、正確な位置にビスを打ち込むことができる。
【0109】
また、本実施形態では、天井ボード14を傾けて保持して位置合わせを行うので、施工済み天井ボード18と壁17との間であっても、天井ボード14を配置することができる。詳しく説明すると、
図8(B)に示されるように、天井ボード14を壁面に当接させるためには、天井ボード14を壁17から離れた位置から水平移動させる必要がある。したがって、天井ボード14を水平に保持すると、保持する天井ボード14の端が施工済みの天井ボード18に当接してしまう。本実施形態では、天井ボード14を傾けて保持するので、天井ボード14が施工済みの天井ボード18に接触することなく、天井ボード14を壁17から離れた位置に配置することができる。その結果、施工済み天井ボード18と壁17との間であっても、天井ボード14を配置することができる。
【0110】
[変形例]
また、上述の実施形態では、天井ボード14の一端部及び他端部をビス打ちロボット12がビス止めする例(S47)を説明した。しかしながら、天井ボード14の一端部をビス打ちロボット12がビス止めし、他端部を施工ロボット11がビス止めしてもよい。
【0111】
詳しく説明すると、施工ロボット11のプログラム43は、ステップ46において、天井ボード14の一端部のビス止めをビス打ちロボット12に指示する。プログラム43は、天井ボード14の一端部のビス止めが終了したことを示す終了通知を受信すると(S48)、走行装置32を駆動して、施工ロボット11を天井ボード14の他端部側に移動させつつ、ビス打ち装置35を駆動して、天井ボード14の他端部にビスを打ち込む。走行装置32を駆動して、施工ロボット11を天井ボード14の他端部側に移動させる処理は、本発明の移動処理の一例である。天井ボード14の他端部にビスを打ち込ませる処理は、第2ビス打ち処理の一例である。
【0112】
一方、ビス打ちロボット12のプログラム143は、施工ロボット11の移動によって空いたスペースに進入し、天井ボード14にビスを打ち込む。空いたスペースに進入して天井ボード14にビスを打ち込む処理は、第3ビス打ち処理の一例である。
【0113】
[変形例の作用効果]
本変形例1では、施工ロボット11は、施工済みの天井ボード18の端面に当接されて位置合わせされた天井ボード14の端部とは反対側の端部(
図7(C)における右端部)にビスを打ち込む(S51)。すなわち、天井ボード14の一端部は、ビス打ちロボット12によってビスが打たれ、他端部は、施工ロボット11によってビスが打たれる。したがって、ビス打ちロボット12によって天井ボード14の両端部にビスを打ち込む実施形態よりも、天井ボード14の施工速度を上げることができる。
【0114】
また、本変形例では、施工済みの天井ボード18の端面に当接されて位置合わせされた天井ボード14の端部にビスが打ち込まれた後、施工ロボット11が当該端部とは反対側の端部へ向かって移動しつつ、ビス打ちロボット12が天井ボード14にビスを打ち込んでいく。したがって、ビス打ちロボット12が天井ボード14の両端部にビスを打ち込むために施工ロボット11を周り込む必要がなく、天井ボード14の施工速度を上げることができる。
【0115】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、カメラ36を用いて壁17と天井ボード14との相対的な位置関係を検出する例を説明した。しかしながら、カメラ36に代えて、壁17と天井ボード14との相対的な位置関係を検出可能なセンサが用いられてもよい。例えば、壁17及び天井ボード14にレーザ光を照射する発光部と、壁17及び天井ボード14で散乱された散乱光を受光する受光部とを有するレーザセンサがカメラ36に代えて用いられてもよい。或いは、壁17及び天井ボード14に超音波を照射し、壁17及び天井ボード14で反射された超音波を受ける超音波センサがカメラ36に代えて用いられてもよい。さらに或いは、壁17及び天井ボード14に近接したことを磁気によって検出する近接センサがカメラ36に代えて用いられてもよい。すなわち、壁17と天井ボード14との相対的な位置関係を検出可能であれば、どのようなセンサが用いられてもよい。
【0116】
また、上述の実施形態では、施工ロボット11及びビス打ちロボット12が天井ボード14にビスを打ち込んで固定する例を説明した。しかしながら、ビス打ちロボット12のみが天井ボード14にビスを打ち込んでもよいし、施工ロボット11のみが天井ボード14にビスを打ち込んでもよいし、施工ロボット11と作業員とが天井ボード14にビスを打ち込んでもよいし、作業員のみが天井ボード14にビスを打ち込んでもよい。
【0117】
また、上述の実施形態では、天井ボード14が撓む場合について説明した。しかしながら、天井ボード14が撓まなくても、例えば、施工済み天井ボード18と壁17(
図8(C))との間に天井ボード14を施工するため、天井ボード14は、傾けて位置合わせされる。すなわち、天井ボード14は、撓むものであっても、撓まないものであってもよい。
【0118】
また、上述の実施形態では、施工ロボット11の走行装置32や昇降装置33や支持装置34の操作を行うコントローラ40が施工ロボット11の本体31に設けられた例を説明した。しかしながら、コントローラ40は、端末装置13に設けられていてもよい。端末装置13のコントローラ40は、走行装置32や昇降装置33や支持装置34を駆動させる駆動信号を送信し、施工ロボット11を操作する。すなわち、施工ロボット11は、遠隔操作されてもよい。
【0119】
また、上述の実施形態では、天井ボード14の一端部及び他端部をビス打ちロボット12がビス止めする例(S47)を説明した。しかしながら、天井ボード14のサイズが小さい場合(例えば、1辺1mの正方形状)、ステップS47の処理に代えて、施工ロボット11が天井ボード14にビスを打ち込んで、天井ボード14を野縁15に仮固定してもよい。
【符号の説明】
【0120】
10・・・施工システム
11・・・施工ロボット
12・・・ビス打ちロボット
13・・・端末装置
14・・・天井ボード
15・・・野縁
16・・・壁
18・・・施工済みの天井ボード(既設部材)
25・・・通信モジュール
31・・・本体
32・・・走行装置
33・・・昇降装置
34・・・支持装置
36・・・カメラ
40・・・コントローラ
42・・・メモリ
43・・・プログラム
46・・・通信モジュール
79・・・支持台
136・・・カメラ
146・・・通信モジュール