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  • 特許-箱のフラップ拡開装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】箱のフラップ拡開装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/39 20060101AFI20220920BHJP
【FI】
B65B43/39
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018230382
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020090319
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(72)【発明者】
【氏名】力元 憲治
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-225245(JP,A)
【文献】特開昭51-096688(JP,A)
【文献】特開昭51-096689(JP,A)
【文献】実開昭62-165203(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第01437302(EP,A1)
【文献】実開平04-007403(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/00
B65B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状に成形されて一方が開口する箱の対向する一対の第1側面パネルから延出した第1フラップと、前記第1側面パネルと交差して対向する一対の第2側面パネルから延出した第2フラップと、を拡開する箱のフラップ拡開装置であって、
前記箱を保持する保持体と、
前記第1および第2フラップを拡げる癖付け部において、前記保持体で保持した箱の前記第1および第2フラップで囲まれる内位置に臨み得る当て部材と、前記内位置の前記当て部材に対して前記保持体を、前記第1側面パネルの対向方向および前記第2側面パネルの対向方向に、前記当て部材に当てた前記第1および第2フラップが前記第1および第2側面パネルとの接続部から外方に拡がる位置まで移動する移動手段とを備えた
ことを特徴とする箱のフラップ拡開装置。
【請求項2】
前記癖付け部において前記保持体で保持されている箱に対し、前記当て部材は、前記内位置より箱外方の退避位置と内位置との間を、箱の底に対する近接離間方向に移動可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の箱のフラップ拡開装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記保持体を、前記癖付け部から次工程へ移動するよう構成したことを特徴とする請求項1または2記載の箱のフラップ拡開装置。
【請求項4】
前記保持体を前記癖付け部から次工程へ移動すると共に移動方向後側のフラップを前記内位置の前記当て部材に当てて拡げるよう構成したことを特徴とする請求項3記載の箱のフラップ拡開装置。
【請求項5】
前記保持体は、前記癖付け部において前記第1側面パネルの対向方向および前記第2側面パネルの対向方向の夫々に直線移動可能に構成したことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の箱のフラップ拡開装置。
【請求項6】
前記第1側面パネルの対向方向に沿って延在する直線状の第1ガイドと、該第1ガイドに移動自在に支持されて、前記第2側面パネルの対向方向に沿って延在する直線状の第2ガイドとを備え、該第2ガイドに前記保持体が移動自在に支持され、
前記移動手段の第1サーボモータによって前記第2ガイドを第1ガイドに沿って移動すると共に、前記移動手段の第2サーボモータによって前記保持体を第2ガイドに沿って移動するよう構成したことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の箱のフラップ拡開装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール箱のような箱に物品を供給する際に、箱の開口から延出しているフラップが開口部より狭く内側に倒れていないようにする箱詰め前の箱のフラップ拡開装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扁平に折畳まれた段ボール箱を角筒状にして底部を封止し、物品の供給側となる一方が開口する開口部において、箱の各側面パネルに連接して外方に延出するフラップが、開口部の内側に倒れるように癖がついていることがある。このような場合は、箱内へまとめて物品供給する時に物品がフラップに干渉して、箱詰めが良好になされないといった問題を生ずる。そこで、物品供給に先立ち、予めフラップを外側に拡げるようにした各種装置(特許文献1)が提案されている。特許文献1に開示の装置では、箱の開口に合わせて四角状に配置した4本の回動軸の夫々に掛合部材を半径方向に突設し、4本の回動軸を一斉に回動することにより、開口部の内側へ折り曲がった四方のフラップを外側に拡開して、物品の供給時に物品がフラップに干渉することがないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-287523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の装置では、一度に4枚のフラップを外側に拡げることができるものの、箱のサイズ変更時には、4本の回動軸の位置を変更したり駆動系の位置調節や部品交換も必要となる等、極めて煩雑で対応が容易ではない。また、個々のフラップを外側に拡げる4式の拡開手段が必要となり、構成が複雑になる問題も指摘される。
【0005】
そこで本発明は、シンプルな構成で、箱のサイズ変更に容易に対応することができる箱のフラップ拡開装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明の箱のフラップ拡開装置は、
角筒状に成形されて一方が開口する箱(10)の対向する一対の第1側面パネル(14,14)から延出した第1フラップ(14a,14a)と、前記第1側面パネル(14,14)と交差して対向する一対の第2側面パネル(16,16)から延出した第2フラップ(16a,16a)と、を拡開する箱のフラップ拡開装置であって、
前記箱(10)を保持する保持体(18)と、
前記第1および第2フラップ(14a,16a)を拡げる癖付け部(S2)において、前記保持体(18)で保持した箱(10)の前記第1および第2フラップ(14a,16a)で囲まれる内位置(Hb)に臨み得る当て部材(20)と、前記内位置(Hb)の前記当て部材(20)に対して前記保持体(18)を、前記第1側面パネル(14,14)の対向方向および前記第2側面パネル(16,16)の対向方向に、前記当て部材(20)に当てた前記第1および第2フラップ(14a,16a)が前記第1および第2側面パネル(14,16)との接続部から外方に拡がる位置(MF,MR,NL,NR)まで移動する移動手段(22)とを備えたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、箱を保持した保持体を移動してフラップを当て部材に押し当てて外方に拡げて折り癖を付け得るよう構成したので、各フラップに対応して可動式の拡開手段を夫々設ける構成に比べてシンプルな構成とすることができる。また、箱を保持体で保持しているので、フラップが外側に拡開された状態となるように癖付けを良好になし得る。更に、移動手段による保持体の移動量を変更することで、箱のサイズ変更に容易に対応することができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記癖付け部(S2)において前記保持体(18)で保持されている箱(10)に対し、前記当て部材(20)は、前記内位置(Hb)より箱外方の退避位置(Ha)と内位置(Hb)との間を、箱(10)の底に対する近接離間方向に移動可能に構成したことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、当て部材を箱の四方のフラップの内側に移動させるよう構成したので、保持体の高さを変えることなく、フラップを接続部から外方に拡げて折り癖を付けることができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記移動手段(22)は、前記保持体(18)を、前記癖付け部(S2)から次工程(S3)へ移動するよう構成したことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、移動手段は、保持体を、箱を保持したまま癖付け部から次工程へ移動するよう構成したので、箱の姿勢変化を抑えて安定して次工程に移送することができる。また、次工程への箱の移動を行うプッシャーなどの別の移送手段を設ける必要がなく、よりシンプルな構成の装置にできるばかりでなく、装置コストも低廉に抑えることができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記保持体(18)を前記癖付け部(S2)から次工程(S3)へ移動すると共に移動方向後側のフラップ(16a)を前記内位置(Hb)の前記当て部材(20)に当てて拡げるよう構成したことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、箱を次行程に移送する過程でフラップを当て部材に押し当てて拡げるよう構成したので、処理時間を短縮することができる。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記保持体(18)は、前記癖付け部(S2)において前記第1側面パネル(14,14)の対向方向および前記第2側面パネル(16,16)の対向方向の夫々に直線移動可能に構成したことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、保持体を、第1側面パネルの対向方向および第2側面パネルの対向方向の夫々に直線移動可能に構成したので、各フラップを当て部材に精度よく押し当てて該フラップが外側に拡開された状態となるように癖付けを良好になし得る。
【0011】
請求項6に係る発明では、前記第1側面パネル(14,14)の対向方向に沿って延在する直線状の第1ガイド(50)と、該第1ガイド(50)に移動自在に支持されて、前記第2側面パネル(16,16)の対向方向に沿って延在する直線状の第2ガイド(56)とを備え、該第2ガイド(56)に前記保持体(18)が移動自在に支持され、
前記移動手段(22)の第1サーボモータ(54)によって前記第2ガイド(56)を第1ガイド(50)に沿って移動すると共に、前記移動手段(22)の第2サーボモータ(54)によって前記保持体(18)を第2ガイド(56)に沿って移動するよう構成したことを特徴とする。
請求項6の発明によれば、第1ガイドおよび第2ガイドで保持体を支持して第1側面パネルの対向方向および第2側面パネルの対向方向に移動するよう構成したので、保持体に保持した箱の各フラップを当て部材に精度よく押し当てることができる。また、保持体を、第1側面パネルの対向方向および第2側面パネルの対向方向に移動するためのサーボモータを別々に設けたので、各サーボモータを個別に制御することで、複数の箱のサイズ変更に簡単かつ容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シンプルな構成でありながらフラップの折り癖付けを良好になし得る。また、箱のサイズ変更に容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】フラップ拡開装置を示す概略平面図である。
図2】フラップ拡開装置を、保持体が癖付け部に位置付けられた状態で示す概略正面図である。
図3】フラップ拡開装置を、保持体が癖付け部に位置付けられた状態で示す概略側面図である。
図4】箱を保持した保持体と、箱受取り部、癖付け部および箱詰め部との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明に係る箱のフラップ拡開装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例
【0015】
実施例に係る箱のフラップ拡開装置には、前工程において折り畳まれた段ボールシートから角筒状に成形された箱10が、ロボット12によって供給される。箱10は、四方の側面パネル14,16の下方に連接した底フラップが折り畳まれて閉じられた底部と、物品供給口としての開口において、前記各側面パネル14,16から上方に延出する対の第1フラップ14a,14aおよび対の第2フラップ16a,16aを備えている(図1図3参照)。前記側面パネル14,16については、箱10の後述する搬送コンベヤ26による搬送方向の前後で対向する側面パネルを第1側面パネル14と指称し、搬送方向と交差する左右で対向する側面パネルを第2側面パネル16と指称する。
【0016】
前記ロボット12は、三次元空間を自由に移動可能なロボットアームによって、マガジンに貯留されている折り畳まれた段ボールシートを1枚づつ取出して起函装置に供給する。そして、起函装置によって角筒状に成形された製函箱をロボットアームで吸着保持したまま、製函箱の底フラップをフラップ折畳み装置によって折り畳み、該折り畳まれた底フラップをテープ貼り装置によってテープ貼りされた箱10が、ロボットアームによってフラップ拡開装置に供給される。
【0017】
図1図3は、実施例に係るフラップ拡開装置の要部を示す概略図であって、該フラップ拡開装置は、前記ロボットアームによって供給される前記箱10を保持する保持体18と、該保持体18に保持された箱10の開口10aにおいて側面パネル14,14,16,16から延出するフラップ14a,14a,16a,16aで囲まれる内位置Hbに臨み得る当て部材20と、前記保持体18と一体で移動する箱10の各フラップ14a,14a,16a,16aを内位置Hbに臨む当て部材20に押し当てて外側に拡げる外拡げ位置MF,MR,NL,NRまで、保持体18を前後および左右に移動する移動手段22と、を備える。
【0018】
図1図3に示す如く、前記保持体18は、箱10を保持する保持手段24と、フラップ14a,14a,16a,16aが拡開された箱10を次の処理工程に向けて搬送するベルトコンベヤからなる搬送コンベヤ26とを備えると共に、前記移動手段22によって箱受取り部S1と、前記当て部材20を利用してフラップ14a,14a,16a,16aが外方に拡げられる癖付け部S2との間を移動するよう構成され、箱受取り部S1に位置する保持体18の搬送コンベヤ26に、上部が開口している箱10がロボットアームによって載置される。前記保持手段24は、左右方向の一方において、搬送コンベヤ26の搬送面より上方まで延出すると共に搬送方向に所定長さで延在する基準となる第1挟持部材28と、該第1挟持部材28と搬送コンベヤ26を挟んで対向して挟持用シリンダ30により左右方向に移動する第2挟持部材32と、搬送コンベヤ26の搬送方向前側に設けられて、規制用昇降シリンダ34により前記搬送面より下方の退避位置と搬送面より突出する規制位置との間を移動する第3挟持部材36とを備える。また、第2挟持部材32における搬送コンベヤ26の搬送方向後端側に、第3挟持部材36との間で第1側面パネル14を挟む挟持片(第4挟持部材)32aが、第1挟持部材28に向けて延出している。なお、挟持片32aは、延出端部に、搬送方向の後方に向けて傾斜する案内面32bが設けられている。
【0019】
図2図3に示す如く、前記癖付け部S2の上方に、昇降用シリンダ38によって前記当て部材20が上下方向に移動可能に配設される。昇降用シリンダ38は、前記開口10aにおいて箱10のフラップ14a,14a,16a,16aの延出端より上部となる外方(内位置Hbより箱外方)に離間した退避位置Haと、前記内位置Hbとの間で前記当て部材20を昇降移動する。すなわち、癖付け部S2において前記保持体18で保持されている箱10の底に対する近接離間方向に当て部材20を進退移動して、退避位置Haと内位置Hbとに当て部材20を位置付け得るよう構成される。また、当て部材20は、箱10の開口寸法より小さな外形の基板40に、各フラップ14a,14a,16a,16aに対応する4つの当接部42,42,44,44が設けられている(図4参照)。各当接部42,44は、基板40から上方に離間するにつれて外方に傾斜するよう形成される。なお、当接部42,44については、第1フラップ14aに対応する当接部を第1当接部42と指称し、第2フラップ16aに対応する当接部を第2当接部44と指称する。
【0020】
図1図3に示す如く、前記移動手段22は、前記保持体18を前後方向に移動する第1作動手段46と、保持体18を左右方向に移動する第2作動手段48とを備える。第1作動手段46は、前後方向に沿って延在する直線状の第1スライドガイド(第1ガイド)50と、該第1スライドガイド50に移動自在に支持された第1スライダ52と、該第1スライダ52を第1スライドガイド50に沿って前後に往復移動する第1駆動手段としての第1サーボモータ54とを備える。実施例では、第1スライドガイド50に沿って配設したボールネジを、第1サーボモータ54によって駆動することで第1スライダ52を移動する、リニアサーボアクチュエータから第1作動手段46が構成される。そして、第1サーボモータ54は、第1スライダ52を前後に往復移動することで、前記保持体18に保持した箱10の第1フラップ14a,14aを、内位置Hbの前記当て部材20の対応する第1当接部42,42に押し当てて外方に拡げる前後の外拡げ位置MF(前外拡げ位置),MR(後外拡げ位置)の間を移動するよう駆動制御される。また、第1サーボモータ54は、前記保持体18を、前記箱受取り部S1と癖付け部S2との間を移動するよう駆動制御される。実施例では、図4に示す如く、前記第1スライドガイド50における前記搬送方向の後端側に箱受取り部S1が設けられると共に、搬送方向の前端側に癖付け部S2が設けられる。
【0021】
図1図3に示す如く、前記第2作動手段48は、前記第1スライダ52に配設されて該第1スライダ52と共に第1スライドガイド50に沿って移動可能で左右方向に沿って延在する直線状の第2スライドガイド(第2ガイド)56と、該第2スライドガイド56に移動自在に支持された第2スライダ58と、該第2スライダ58を第2スライドガイド56に沿って左右に往復移動する第2駆動手段としての第2サーボモータ60とを備える。そして、第2スライダ58に、該第2スライダ58と共に第2スライドガイド56に沿って移動可能に前記保持体18(保持手段24および搬送コンベヤ26)が配設される。実施例では、第2スライドガイド56に沿って配設したボールネジを、第2サーボモータ60によって駆動することで第2スライダ58を移動する、リニアサーボアクチュエータから第2作動手段48が構成される。そして、第2サーボモータ60は、第2スライダ58を左右に往復移動することで、前記保持体18に保持した箱10の第2フラップ16a,16aを、内位置Hbの前記第2当接部44,44に押し当てて外方に拡げる左右の外拡げ位置NL,NRの間を移動するよう駆動制御される。実施例では、第1スライドガイド50および第2スライドガイド56が、保持体18を、第1側面パネル14,14の対向方向および第2側面パネル16,16の対向方向に移動可能に支持する支持手段として機能する。
【0022】
図3図4に示す如く、前記第2作動手段48は、癖付け部S2において各フラップ14a,16aに癖付けがなされた箱10を、癖付け部S2の側方の箱詰め部S3まで移送する手段として機能する。すなわち、箱詰め部S3とは反対側の第2フラップ16aを外方に拡げる図3において右側の右外拡げ位置NRまで移動した保持体18を、そのまま前記箱詰め部S3まで移動して箱10を箱詰め部S3に位置付け得るように、前記第2スライダ58の移動量が設定される。そして、実施例では、箱詰め部S3とは反対の左側の左外拡げ位置NLから右外拡げ位置NRを越えて箱詰め部S3まで保持体18を移動することで、癖付け部S2から箱10を次工程における箱詰め部S3まで移送するよう構成される。また、癖付け部S2の箱10を箱詰め部S3に移送する過程で、その移送方向後側(保持体18の移動方向後側)の第2フラップ16aが当て部材20に押し当てられて外方に拡げられるよう構成される。そして、箱詰め部S3で物品が箱詰めされた箱10は、前記搬送コンベヤ26により次の処理工程に向けて搬出される。実施例では、図4に示す如く、前記第1スライドガイド50の前端側に前記第2スライドガイド56が位置する状態で、該第2スライドガイド56の左端側が癖付け部S2となり、右端側に箱詰め部S3が設けられる。
【0023】
次に、実施例に係るフラップ拡開装置の作用について説明する。図1に示す如く、前記ロボットハンドによって上部が開口する前記箱10が、箱受取り部S1に位置する保持体18の搬送コンベヤ26に、前記第1挟持部材28および規制位置の第3挟持部材36に対応する第2側面パネル16および第1側面パネル14が当接するように載置されると、挟持用シリンダ30によって第2挟持部材32が第1挟持部材28に向けて前進し、第1挟持部材28および第2挟持部材32によって箱10の第2側面パネル16,16の底部側を左右から挟み付ける。また、第2挟持部材32が第1挟持部材28に向けて前進する際に、前記挟持片32aの案内面32bが箱10における搬送方向後側の角部に当接して該箱10を第3挟持部材36に向けて押すことで、第3挟持部材36と挟持片32aによって箱10の第1側面パネル14,14の底部側を前後から挟み付けて箱10を保持する。そして、前記第1作動手段46により前記第1スライダ52を搬送方向の前側に移動することで、箱10を保持している保持体18は癖付け部S2まで移動する。
【0024】
図2に示す如く、前記癖付け部S2における上方の退避位置Haで待機している前記当て部材20は、前記昇降用シリンダ38によって下降することで、癖付け部S2まで移動した箱10の開口10aから進入して、前記第1、第2フラップ14a,14a,16a,16aの内側に臨む内位置Hbに位置付けられる。そして、前記第1作動手段46により前記第1スライダ52を搬送方向の前側に移動することで、保持体18に保持されている箱10が前外拡げ位置MF(一点鎖線位置)まで移動し、内位置Hbの当て部材20における第1当接部42に押し当てられた後側の第1フラップ14aが外方へ拡げられ、該第1フラップ14aは第1側面パネル14との接続部の折罫を基点に外側に傾斜して拡がった状態となるように折り癖が付けられる。また、第1作動手段46により第1スライダ52を搬送方向の後側に移動することで、保持体18に保持されている箱10が後外拡げ位置MR(二点鎖線位置)まで移動し、内位置Hbの当て部材20における第1当接部42に押し当てられた前側の第1フラップ14aが外方へ拡げられ、該第1フラップ14aは第1側面パネル14との接続部の折罫を基点に外側に傾斜して拡がった状態となるように折り癖が付けられる。すなわち、癖付け部S2において第1作動手段46により第1スライダ52を搬送方向の前後に往復移動することで、保持体18に保持している箱10の対の第1フラップ14a,14aに折り癖が付けられる。
【0025】
次に、図3に示す如く、前記第2作動手段48により前記第2スライダ58を搬送方向と交差する左方(箱詰め部S3から離間する側)に移動することで、保持体18に保持されている箱10が左外拡げ位置NL(一点鎖線位置)まで移動し、内位置Hbの当て部材20における第2当接部44に押し当てられた右側(一方)の第2フラップ16aが外方へ拡げられ、該第2フラップ16aは第2側面パネル16との接続部の折罫を基点に外側に傾斜して拡がった状態となるように折り癖が付けられる(図4では、癖付け部S2において前後および右側のフラップ14a,16aが拡開された状態を示している)。そして、第2作動手段48により前記第2スライダ58を搬送方向と交差する右方(箱詰め部S3に近接する側)に向けて前記箱詰め部S3まで移動する。すなわち、保持体18に保持されている箱10が右外拡げ位置NR(二点鎖線位置)を越えて箱詰め部S3まで移動する過程で、内位置Hbの当て部材20における第2当接部44に押し当てられた左側(他方)の第2フラップ16aが外方へ拡げられ、該第2フラップ16aは第2側面パネル16との接続部の折罫を基点に外側に傾斜して拡がった状態となるように折り癖が付けられる。箱詰め部S3まで移動する箱10は、前記保持手段24によって底部側が前後および左右から挟持されて保持されているので、癖付け部S2から箱詰め部S3まで移動される箱10の姿勢変化を抑えて安定的に移送することができる。また、前記当て部材20は、左側の第2フラップ16aが当たって外方へ押し拡げられた後に前記退避位置Haまで上昇する。
【0026】
前記箱詰め部S3まで移送された空の箱10には、所定個数の物品が箱詰めされる。全てのフラップ14a,14a,16a,16aは、折り癖が付いて四方の側面パネル14,14,16,16より外側に拡がっているので、フラップ14a,14a,16a,16aに物品が干渉することなく、物品の箱内への供給を良好に行うことができる。箱詰めが完了すると、前記保持手段24の第2挟持部材32を第2側面パネル16から離間すると共に、前記第3挟持部材36を退避位置まで下降することで、挟持部材28,32,36および挟持片32aによる箱10の底部側の保持が解放される。そして、前記搬送コンベヤ26を走行することによって、物品が箱詰めされた箱10は、図4において箱詰め部S3の右方に設けられた次の処理工程に向けて搬出される。搬送コンベヤ26により搬送される箱10は、前記第1挟持部材28に沿って案内されるので、次の処理工程に位置ずれすることなく送り込むことができる。また、搬送コンベヤ26から箱10が送り出された後、前記移動手段22によって保持体18は、前記箱受取り部S1まで移動されて、次の箱10の供給を待機する。
【0027】
実施例のフラップ拡開装置では、箱10を保持した保持体18を前後左右に移動して、定位置に位置する当て部材20に四方のフラップ14a,14a,16a,16aを押し当てて外方に拡げて折り癖を付けるようにしたので、各フラップ14a,14a,16a,16aに対応して可動式の癖付け部材を夫々設ける構成に比べてシンプルな構成とすることができる。また、フラップ14a,14a,16a,16aを当て部材20に押し当てて拡げる際には、前記保持手段24によって箱10の底部を前後および左右から挟んで箱10を保持するようにしたので、箱10が位置ずれすることなく、折り癖を良好に付けることができる。また、当て部材20を箱10の四方のフラップ14a,14a,16a,16aの内側に移動させるよう構成したので、保持体18の高さを変えることなく、フラップ14a,16aを側面パネル14,16との接続部の折罫を基点に外方に拡げて折り癖を付けることができる。更に、第1スライドガイド50および第2スライドガイド56によって保持体18を、第1側面パネル14,14の対向方向および第2側面パネル16,16の対向方向に夫々直線的に移動可能に支持するよう構成したので、各フラップ14a,16aを当て部材20に精度よく押し当てて該フラップ14a,16aの癖付けを良好になし得る。
【0028】
実施例のフラップ拡開装置では、箱10を保持した保持体18を移動してフラップ14a,14a,16a,16aを拡げるための移動手段22を、箱10を次工程の箱詰め部S3に移送する手段として機能するようにすることで、別途搬送コンベヤなどの搬送設備の設置を省略することができる。それにより、極めて簡単な構成でフラップ14a,14a,16a,16aの折り癖付けと箱10の移送とを良好に行うことができ、装置コストも低廉に抑えることができる。また、箱10を癖付け部S2から次工程の箱詰め部S3に移送する過程で、1つの第2フラップ16aを拡げるよう構成することで、短い処理時間とすることができる。更に、箱10を保持した保持体18を癖付け部S2から箱詰め部S3まで移動するよう構成したので、箱10を別の手段に受け渡す必要はなく、箱10の姿勢変化を抑えて箱詰め部S3の適正位置に箱10を位置付けることができる。また、保持体18を第2スライドガイド56で支持して箱詰め部S3に直線的に移動するよう構成したので、箱10を安定して箱詰め部S3に移送することができる。
【0029】
実施例のフラップ拡開装置では、前記第1作動手段46および第2作動手段48の各駆動手段としてサーボモータ54,60を用いているので、各サーボモータ54,60に個別に入力される数値データの変更などによって、簡単かつ柔軟に箱10のサイズ変更に対応することができる。また、フラップ14a,16aと側面パネル14,16との接続部に折り癖を付けた空の箱10を、箱詰め部S3まで正確に移送することができる。また、箱詰め部S3で箱詰めされた箱10を、保持体18が備える搬送コンベヤ26によって次の処理工程に搬出するよう構成したので、別の搬出手段の設置を省略することができる。
【0030】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) ロボット12を挟む左右両側の夫々にフラップ拡開装置を配置し、1台のロボット12によって各フラップ拡開装置に箱10を供給して、各フラップ拡開装置で箱10のフラップ拡開、箱詰め部S3への移送および箱詰め部S3から次の処理工程への箱10の搬出までを行う構成を採用することができる。
(2) 実施例では、癖付け部S2において保持体18で保持した箱10内に対して当て部材20を進退移動するよう構成したが、保持体18を定位置の当て部材20に対して進退移動して箱内に当て部材20が入り込む構成を採用することができる。
(3) 実施例では、上部が開口した箱10を折り癖処理する場合の各部材の配置として例示したが、箱10の開口を横向きで折り癖付けする処理形態にも適用可能である。
(4) 当て部材20にフラップ14a,14a,16a,16aを押し当てて拡げる順は、箱10の左右の第2フラップ16a,16a→箱10の前後の第1フラップ14a,14aの順であってもよい。
(5) 保持体18を前後移動する第1作動手段46および保持体18を左右移動する第2作動手段48などは、公知の各種移動機構を採用することができる。
(6) 箱10の保持手段24は、第1挟持部材28に対して進退移動する第2挟持部材32で箱10を左右から挟んで保持する一方で、第2挟持部材32に設けた挟持片32aと第3挟持部材36とで箱10を前後から挟んで保持するよう構成したが、第3挟持部材36と対向して進退移動する第4挟持部材を設けて、該第4挟持部材と第3挟持部材36とで箱10を前後から挟んで保持する構成を採用することができる。
(7) 実施例では、保持体18に設けた搬送コンベヤ26によって、物品が箱詰めされた箱10を次の処理工程に向けて搬出するよう構成したが、保持体18には箱10が載置されるテーブルを設け、オーバーヘッドコンベヤあるいはプッシャー等の別の移送手段によって保持体18から次の処理工程に箱10を移送する形態を採用することができる。
【符号の説明】
【0031】
10 箱,14 第1側面パネル,14a 第1フラップ,16 第2側面パネル
16a 第2フラップ,18 保持体,20 当て部材,22 移動手段
50 第1スライドガイド(第1ガイド),54 第1サーボモータ
56 第2スライドガイド(第2ガイド),60 第2サーボモータ,Ha 退避位置
Hb 内位置,MF 前外拡げ位置(位置),MR 後外拡げ位置(位置)
NL 左外拡げ位置(位置),NR 右外拡げ位置(位置),S2 癖付け部
S3 箱詰め部(次工程)
図1
図2
図3
図4