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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-16
(45)【発行日】2022-09-28
(54)【発明の名称】再生可能なエネルギバージ船
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20220920BHJP
   B63J 99/00 20090101ALI20220920BHJP
   H02S 10/12 20140101ALI20220920BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20220920BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20220920BHJP
   F03D 1/02 20060101ALI20220920BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20220920BHJP
   F03D 9/11 20160101ALI20220920BHJP
   F03D 9/17 20160101ALI20220920BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20220920BHJP
   F03B 13/14 20060101ALI20220920BHJP
   F03D 9/13 20160101ALI20220920BHJP
【FI】
B63B35/00 T
B63J99/00 A
H02S10/12
H02S10/20
H02S10/40
F03D1/02
F03D1/06 A
F03D9/11
F03D9/17
F03D13/25
F03B13/14
F03D9/13
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018546932
(86)(22)【出願日】2016-11-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 IL2016051283
(87)【国際公開番号】W WO2017094007
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-11-27
(31)【優先権主張番号】62/260,671
(32)【優先日】2015-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517394441
【氏名又は名称】ネプトゥネテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バート,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンフェルト,イェヒェル
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0218355(US,A1)
【文献】国際公開第2009/005383(WO,A1)
【文献】特開2001-221142(JP,A)
【文献】米国特許第04159427(US,A)
【文献】米国特許第06100600(US,A)
【文献】特表2014-515446(JP,A)
【文献】特開平07-255280(JP,A)
【文献】特開2001-059472(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0244450(US,A1)
【文献】実開平06-067865(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
B63J 99/00
B63B 73/00
H02S 10/12
H02S 10/20
H02S 10/40
F03D 1/02
F03D 1/06
F03D 9/11
F03D 9/17
F03D 13/25
F03B 13/14
F03D 9/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能なエネルギ資源を有するバージ船であって、
複数の水平軸風力タービン;
複数の光起電力パネル;
複数の海波発電機;
流体を蓄積するように設計された複数の浮遊導管を備える浮遊システムであって、前記浮遊導管が前記バージ船の一方向に延在するものが複数並列して土台を形成し、前記浮遊システムは前記浮遊導管内に気体を注入することによって前記バージ船を浮遊させ、かつ前記浮遊システムは前記浮遊導管内の前記気体を排出するか、あるいは前記浮遊導管内に海水を注入することによって前記バージ船を半分潜水させるように構成された、浮遊システム;および
前記バージ船に沿った列に、前記土台の上に組み立てられた複数の支柱であって、各々の列は、一方向に面したタービンのアレイを支持する前記複数の支柱を備える、複数の支柱、
を備え、
前記再生可能なエネルギ資源によって収穫されたエネルギが電気エネルギに変換され、
前記電気エネルギは陸上の配線網へ送電される、バージ船。
【請求項2】
前記電気エネルギの少なくとも一部分がバッテリに貯蔵される、請求項1に記載のバージ船。
【請求項3】
前記電気エネルギの全てがバッテリに貯蔵される、請求項1に記載のバージ船。
【請求項4】
前記再生可能なエネルギ資源によって収穫された前記エネルギの少なくとも部分が、蓄圧器に貯蔵するために気体圧力に変換される、請求項1に記載のバージ船。
【請求項5】
前記再生可能なエネルギ資源によって収穫された前記エネルギは、蓄圧器に貯蔵するために気体圧力に変換される、請求項1に記載のバージ船。
【請求項6】
前記再生可能なエネルギ資源によって収穫された前記エネルギの少なくとも部分が、荷重を上昇させ及び/又は前記バージ船を浮遊させることによって重力位置エネルギとして貯蔵される、請求項1に記載のバージ船。
【請求項7】
前記再生可能なエネルギ資源から収穫された前記エネルギは、荷重を上昇させ及び/又は前記バージ船を浮遊させることによって重力位置エネルギとして貯蔵される、請求項1に記載のバージ船。
【請求項8】
前記複数の浮遊導管は、直径が少なくとも3メートルあり、前記複数の浮遊導管は、前記複数の支柱の土台及びバージ船デッキを構成しており、前記浮遊導管は前記浮遊システムに接続されている、請求項1に記載のバージ船。
【請求項9】
前記バージ船に沿った支柱の各列は、複数のケーブル及び横梁によって強化され、各列は、全て同じ方向に面する水平軸風力タービンのアレイを支持する、請求項8に記載のバージ船。
【請求項10】
前記複数の光起電力パネルは、前記バージ船のデッキ上に傾斜して設置されている、請求項8に記載のバージ船。
【請求項11】
前記複数の海波発電機は、前記バージ船デッキの下に固定され、前記複数の海波発電機のブイが前記海水上に浮んでいる、請求項8に記載のバージ船。
【請求項12】
前記バージ船は海水淡水化設備をさらに備え、前記淡水化設備によって生成された水が、前記バージ船のそばに係留するタンカー船にポンプ輸送される、請求項1に記載のバージ船。
【請求項13】
前記電気エネルギの少なくとも一部分が、前記海水淡水化設備を動作させるために利用される、請求項12に記載のバージ船。
【請求項14】
前記バージ船は、造船所、複数の深海収穫場所、及びこれらの組み合わせから成る群から選択した場所に引き船によって再配置可能である、請求項1に記載のバージ船。
【請求項15】
前記バージ船は、前記複数の水平軸風力タービンの収穫高を最適化するために、前記バージ船を風に向かう最適な向きにする操縦能力を備える、請求項1に記載のバージ船。
【請求項16】
前記バージ船は、前記複数の光起電力パネルの収穫高を最適化するために、前記バージ船を太陽に向かう最適な向きにする操縦能力を備える、請求項1に記載のバージ船。
【請求項17】
前記バージ船は、前記複数の海波発電機の収穫高を最適化するために、前記バージ船を波の方向に一致する最適な向きにする操縦能力を備える、請求項1に記載のバージ船。
【請求項18】
前記バージ船は電気構造をさらに備え、前記電気構造は、
全ての資源から交流(AC)電気エネルギを集めるために利用する電力網と、
集めたACを送電のために整形するための昇圧器と、
エネルギを貯蔵するように構成された複数の電池と、
電池に貯蔵されたエネルギをACに変更するためのインバータと、
ACを複数のバッテリに蓄電するために変更するように構成された整流器と、
再生可能なエネルギ資源を監視及び制御するように構成されたコンピュータ制御システム(CCS)と、
前記CCSと群から選択された要素との間で情報及び命令を送信及び/又は受信するように構成された入力/出力インタフェースであって、前記群は、デバイス、アクチュエータ及びセンサーと、全地球測位システムと、プログラマブル論理コントローラと、温度センサーと、湿度センサーと、風速センサー及び風向センサーと、波センサーと、レーダーと、水深計測器と、無線通信と、インターネットと、これらの組み合わせとを備える入力/出力インタフェースと、を備える、請求項1に記載のバージ船。
【請求項19】
前記CCSは、海岸需要に基づいて前記海岸への前記送電を監視及び制御して、過剰なエネルギを貯蔵へ差し向けるようにさらに構成された、請求項18に記載のバージ船。
【請求項20】
前記CCSは、インターネットを介して、遠隔制御及び監視を可能にするようにさらに構成されている、請求項18に記載のバージ船。
【請求項21】
深海に位置する複数のバージ船を備える船隊であって、前記複数のバージ船のうちの各バージ船は請求項1の前記バージ船であり、各バージ船は、少なくとも1つの分岐によって送電線に接続され、前記送電線は、前記複数のバージ船の電気エネルギを集め、前記船隊の場所から陸上配電系統へ送電する、船隊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、エネルギ収穫に関する。より詳細には、本開示の主題は、再生可能なエネルギ収穫技術の一体化に関する。
【背景技術】
【0002】
沖合風力電力産業は、人類のエネルギ需要の主要部を獲得する可能性がある。エネルギ安全保障、地球温暖化、及び最終的な化石燃料の枯渇に対する懸念の高まりにより、全ての利用可能な形態の再生可能なエネルギへの関心が拡大した。世界的規模で数千の風力タービンが、総銘板容量が194,400MWで現在稼動している。一般に、巨大な風力タービンは、海中に配置されて約300m離間して、風力タービンの運動から生成する渦のエネルギ的に好ましくない空気力学的相互影響を避ける。
【0003】
商業的に利用可能な風力エネルギシステムは、環境上の利点があり、自由で豊富なエネルギ源であるにもかかわらず、据え付けるには様々な費用がかかり、それによりこれらのシステムは経済的に問題がある。例えば、各風力タービンは、静止して保持され、海岸に通じる電力線を有する必要がある。風力タービンは保守する必要がある。さらに、商業的に利用可能な風力タービンは、本質的に海面にあり、従って風力は海面よりも高い高度で増加するという現象を利用していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、これらの欠点を軽減するためのシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の主題の第1の態様によれば、再生可能なエネルギ援助を備えるバージ船は、複数の水平軸風力タービンと、複数の光起電力パネルと、複数の海波発電機とを備え、再生可能なエネルギ援助によって収穫されたエネルギが電気エネルギに変換され、電気エネルギは陸上の配線網に送電される。
【0006】
一部の典型的な実施形態では、電気エネルギの少なくとも一部がバッテリに貯蔵される。
【0007】
一部の典型的な実施形態では、電気エネルギの全てがバッテリに貯蔵されている。
【0008】
一部の典型的な実施形態では、再生可能なエネルギ援助によって収穫されたエネルギの少なくとも一部は、蓄圧器に貯蔵される気体圧力に変換される。
【0009】
一部の典型的な実施形態では、再生可能なエネルギ援助によって収穫されたエネルギは、蓄圧器に貯蔵される気体圧力に変換される。
【0010】
一部の典型的な実施形態では、再生可能なエネルギ援助によって収穫されたエネルギの少なくとも一部が、荷重を上昇させ及び/又は実質的にバージ船を浮遊させることによって、重力位置エネルギとして貯蔵される。
【0011】
一部の典型的な実施形態では、再生可能なエネルギ援助によって収穫されたエネルギは、荷重を上昇させ及び/又はバージ船を実質的に浮遊させることによって、重力ポテンシャルエネルギとして貯蔵される。
【0012】
一部の典型的な実施形態では、バージ船は浮遊システムを備え、浮遊システムは、複数の浮遊導管に気体を注入することによってバージ船を実質的に浮遊させることができ、しかも複数の浮遊導管から気体を排出することによって、又は複数の浮遊導管に海水を注入することによってバージ船を半分潜水させることができる。
【0013】
一部の典型的な実施形態では、バージ船は構造物を有しており、構造物は、バージ船を横断して延びる直径が少なくとも3メートルの複数の浮遊導管に基づいており、複数の浮遊導管は、複数の支柱の土台及びバージ船デッキを構成しており、浮遊導管は浮遊システムに接続されている。
【0014】
一部の典型的な実施形態では、支柱はバージ船に沿った列に位置しており、各列は複数の支柱を含み、バージ船に沿った支柱の各列は、複数のケーブル及び横梁によって強化され、各列は、全て同じ方向に面する水平軸風力タービンのアレイを支持する。
【0015】
一部の典型的な実施形態では、複数の光起電性パネルは、バージ船デッキの上にわずかに傾斜して設置されている。
【0016】
一部の典型的な実施形態では、複数の海波発電機は、バージ船デッキの下に固定され、複数の海波発電機のブイが海水上に浮かんでいる。
【0017】
一部の典型的な実施形態では、バージ船は、海水淡水化設備をさらに備え、淡水化設備によって生成された水は、バージ船のそばに係留するタンカー船にポンプ輸送される。
【0018】
一部の典型的な実施形態では、電気エネルギの少なくとも一部が、海水淡水化設備を操作するために利用する。
【0019】
一部の典型的な実施形態では、バージ船は、造船所、複数の深海収穫場所、及びこれらの組み合わせから成る群から選択した場所に引き船によって再配置可能である。
【0020】
一部の典型的な実施形態では、バージ船は、複数の水平軸風力タービンの収穫高を最適化するために、バージ船を風に向かう最適な向きにする操縦能力を備える。
【0021】
一部の典型的な実施形態では、バージ船は、複数の光起電性パネルの収穫高を最適化するために、バージ船を太陽に向かう最適な向きにする操縦能力を備える。
【0022】
一部の典型的な実施形態では、バージ船は、複数の海波発電機の収穫高を最適化するために、バージ船を波の方向に一致する最適な向きにする操縦能力を備える。
【0023】
一部の典型的な実施形態では、バージ船は電気構造をさらに備え、電気構造は、全ての資源から交流(AC)電気エネルギを集めるために利用する電力網と、集めたACを送電のために整形するための昇圧器と、エネルギを貯蔵するように構成された複数の電池と、電池に貯蔵されたエネルギをACに変更するためのインバータと、ACをバッテリに蓄電するために変更するように構成された整流器と、再生可能なエネルギ援助を監視及び制御するように構成されたコンピュータ制御システム(CCS)と、CCSと群から選択された要素との間で情報及び命令を送信及び/又は受信するように構成された入力/出力インタフェースであって、群は、デバイス、アクチュエータ及びセンサーと、全地球測位システムと、プログラマブル論理コントローラと、温度センサーと、湿度センサーと、風速センサー及び風向センサーと、波センサーと、レーダーと、水深計測器と、無線通信と、インターネットと、これらの組み合わせとを備える入力/出力インタフェースとを備える。
【0024】
一部の典型的な実施形態では、CCSは、海岸需要に基づいて海岸への送電を監視及び制御し、過剰なエネルギを貯蔵に向けるようにさらに構成されている。
【0025】
一部の典型的な実施形態では、CCSは、インターネットを介して遠隔制御及び監視するのを可能にするようにさらに構成されている。
【0026】
深海に位置する複数のバージ船を備えた艦隊であって、複数のバージ船のうちの各バージ船は請求項1のバージ船であり、各バージ船は、少なくとも1つの分岐によって送電線に接続され、送電線は、複数のバージ船の電気エネルギを集め、船隊場所から陸上配電系統へ送電する。
【0027】
本開示の主題の別の態様によれば、船隊は深海に位置する複数のバージ船を備え、複数のバージ船の各バージ船が請求項1のバージ船であり、各バージ船は、少なくとも1つの分岐によって送電線に接続され、送電線は、船隊位置から陸上配電系統への送電のために複数のバージ船の電気エネルギを集める。
【0028】
他に定義されない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、開示された主題が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本開示の主題を実施又は試験する際、以下に、適切な方法及び材料を記載するが、本明細書に記載された方法及び材料と類似又は均等な方法及び材料を使用することができる。矛盾が生じた場合、定義を含む明細書を考慮に入れる。さらに、材料、方法、及び実施例は一例に過ぎず、限定することを意図しない。
【0029】
開示された主題の一部の実施形態が、添付の図面を参照して、ほんの一例として説明される。以下、図面を具体的に詳しく参照すると、図示した詳細は、ほんの一例であり、本開示の主題の好ましい実施形態を例示的に説明する目的のためだけであり、開示された主題の原理及び概念的側面の、最も有用で容易に理解されると信じる説明を提供するために提示される。この点に関して、開示された主題の構造的な詳細を、開示された主題の基本的な理解のために必要であるよりもより詳しく示すことは試みず、図面と組み合わせた説明により、当業者には、開示された主題の一部の形態が実際にはどのように実施されるかは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】開示された主題の一部の典型的な実施形態による、利用可能な水平軸風力タービン(HAWT)を示す図である。
図2A】開示された主題の一部の典型的な実施形態による、複数の再生可能なエネルギ援助を有する再生可能なエネルギバージ船(REB)の上面図である。
図2B】開示された主題の一部の典型的な実施形態による、複数の再生可能なエネルギ援助を有するREBの正面図である。
図2C】開示された主題の一部の典型的な実施形態による、複数の再生可能なエネルギ援助を有するREBの側面図である。
図3】開示された主題の一部の典型的な実施形態による、複数の海波発電機(SWG)を備えたREB構造の断面図である。
図4】送電線(PTL)の近くで浮遊する開示された主題の一部の典型的な実施形態による、再生可能なエネルギバージ船(REB)船隊のレイアウトを示す図であり、各バージ船は、PTLを介して陸上電力網に接続されている。
図5】埠頭を有する都市部の海岸線を示す図であり、都市部の配電網が、開示された本発明の一部の典型的な実施形態によるREBの船隊によって支持されている。
【発明を実施するための形態】
【0031】
開示された主題の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、開示された主題は、その用途が、以下の説明に記載され又は図面に例示された構成部品の構造及び配置に限定されないことを理解されたい。開示された主題は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実行し又は実施することが可能である。さらに、本明細書で用いる表現及び用語は、説明のためであり、限定的とみなすべきではないことを理解されたい。図面は、全般的に縮尺通りではない。明確化のために、本質的でない構成部品は、一部の図面から省略している。
【0032】
「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、これらの同根語と一緒に、「~を含むがこれに限定しない」を意味する。「から成る」という用語は、「~を含みこれに限定する」と同じ意味を有する。
【0033】
「本質的に~から成る」という用語は、組成物、方法又は構造が、追加の材料、工程及び/又は部品を含むことができるが、追加の材料、工程及び/又は部品が、請求された組成物、方法又は構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合に限る。
【0034】
本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明確に規定されない限り、複数への言及を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、複数の化合物を、その混合物も含めて含むことができる。
【0035】
この出願を通して、開示された主題の様々な実施形態が、範囲形式で提示することができる。範囲の形式の記載は、便宜上及び簡潔性のためであり、開示された主題の範囲に対する確固たる限定として解釈すべきではないことを理解されたい。従って、範囲の説明は、全ての可能な副範囲の他に、その範囲内で個々の数値も具体的に開示しているとみなすべきである。
【0036】
開示された主題の特定の特徴は、明確性のために別個の実施形態の文脈で説明するが、単一の実施形態で組み合わせて設けても良いことを理解されたい。反対に、開示された主題の様々な特徴は、簡潔性のために単一の実施形態の文脈で記載しているが、別個に又は任意の適切な副組み合わせを設け、又は開示された主題の他の実施形態に適することもできる。様々な実施形態の文脈で説明された特定の特徴は、これらの構成部品なしでは実施形態が動作不能とならない限り、これらの実施形態の本質的な特徴であるとみなさない。
【0037】
本開示は、再生可能なエネルギを収穫するための、海洋ベースの構造及び方法を提供する。典型的な実施形態にでは、海洋ベースの構造は、再生可能なエネルギバージ船(REB)の船隊にすることができ、各REBは、風力タービン、PVパネル、海波タービン、これらの組み合わせ、その他同様なものから成る群から選んだ複数の再生利用可能なエネルギ援助を備えることができる。再生可能なエネルギバージ船の船隊は、少なくとも2つのREBを備え得ることに留意されたい。
【0038】
本開示の1つの態様は、異なる分野の複数の再生可能なエネルギ資源を少なくとも1つのバージ船に一体化することであり、各再生可能なエネルギ資源は、気候、地理的地域、昼/夜、季節的効果、これらの組み合わせ、又はその他の同様なものによって決定される強度及び分量が異なる。例えば、荒れた天気では、海波及び風が主要なエネルギを貢献し、その一方、晴れた日には、PVパネルが主要なエネルギの貢献者となることができる。上記のことを考慮すると、再生可能なエネルギの強度及び分量の変動は、時間で計測され、従って複数の再生可能なエネルギ資源の一体化(統制)により気候変動及び環境変動を埋め合わせする(補う)ことができると結論付けられる。従って、複数のバージ船は、組み合わせた再生可能なエネルギ船隊として共同してかつ論理的に動作すると、非常に費用対効果の高い事業に変わる可能性がある。
【0039】
本開示の別の態様は、移動性をもたせた再生可能なエネルギ電力装置の建設、保守及び整備のための、迅速でかつ費用効果の高い方法を提供することである。開示された主題の典型的な実施形態では、複数の総合的なエネルギ発生装置(資源)が、高度に工業化された造船所でバージ船にコンパクトに組み立てられ、次いで事前に整備された用役-海洋施設に曳航される。さらに、バージ船は、保守及び修理のために造船所に曳航することができる。
【0040】
本開示のさらに別の態様は、造船所内でエネルギバージ船に複数の風力タービンを装備する上での全体的なコスト削減であり、これは、農村地域における風力タービンの組立及び保守のための膨大な費用とは対照的である。さらに、沖合の単一のREBが占める土地の費用は、陸上よりもはるかに安い。水面に浮かぶREB上に設置された装備は、水の蒸発冷却効果のおかげで大気温度が大幅に低いという恩恵を受けることにも留意されたい。
【0041】
本開示のさらに別の態様では、REBは、その動作場所に固定されているとき、風上に向きを変える(自然条件が連想させるように)ことが許され、ひいては風の運動エネルギをエネルギ開発が最適となるように最大に利用する。
【0042】
本開示のさらに別の態様は、REBにエネルギを貯蔵する能力である。再生可能なエネルギの性質上、収穫高(主に気候条件に左右される)は電力需要と同期していない可能性があり、従って過剰な(使用していない)エネルギをオフピーク時に貯蔵することが必須である。典型的な実施形態では、エネルギは、バッテリ、蓄圧器、重力位置エネルギ、これらの組み合わせ、又はその他同様なものに貯蔵することができる。これに加えて又はこれに代えて、過剰なエネルギは、REBに搭載した海水淡水化設備に差し向け、淡水化された水は、REBと並んで係留されたタンカーに充填される。
【0043】
以下、開示された主題の一部の典型的な実施形態による、商用の水平軸風力タービン(HAWT)100を示す図1を参照する。HAWT100は、タービンのロータ軸112に接続された複数のブレード110と、発電機とを備えることができる。典型的な実施形態では、HAWT100は、低速回転(すなわち、ブレード100によって駆動されるシャフト112)を発電機軸123にもたらすより高速回転に変換できる、変速機120を有することができる。速度変換は、発電機130のような一般的な発電機の効率要件を満たすために必要とされることがある。
【0044】
ブレード110は、長さが40メートルから80メートルである。ブレードの回転速度は、10から22毎分回転数(RPM)の間で変化する。22RPMでは、ブレード110の先端の速度が毎秒90メートルを超える。典型的な実施形態では、タービンは、ブレードを風にフェザリングすることによって速い風速での損傷を回避するための保護機構を備えることができ、ブレーキによって補なわれてブレードの回転を停止する。
【0045】
風力タービンによって回収されるエネルギの量は、ブレードのRPM(即ち、風速)及びブレードの長さに比例することに留意されたい。高度に伴って風速が上昇することにも留意されたい。さらに、風力タービンの効率は、ブレードを風に面して向けることによって増大する。典型的な実施形態にでは、REBは、コンピュータ制御されたモータに連結され、REB全体を風が吹いていく方向と反対の方向に回転させるための風センサーを含むことができ、その理由は、REBに搭載された全ての風力タービンは同じ方向に並んでいるためである。
【0046】
海面上50mの高さに位置するHAWT100は、陸地では通常さらに上方で利用可能な風速を利用するほど十分な場合がある。通常、風力タービンは、毎秒4メートルから5メートルの風速で動作し始め、約15メートルから約20メートル/秒でこれらの最大出力に達する。
【0047】
以下、開示された主題の一部の典型的な実施形態による複数の再生可能なエネルギ援助を有する、REBの前面図、側面図及び上面図を示す図2A、2B及び2Cが参照される。
【0048】
REB200は、各々が複数のHAWTを含む、複数のHAWTアレイを備えることができ、複数のHAWTアレイ内の全てのHAWTは、同じ方向に向けて組み立てることができる。典型的な実施形態では、図2A及び図2Cに示した前部アレイ210、中間アレイ220及び後部アレイ230がREB200に沿って配置される。図面に描いた総量HAWTアレイのような援助/要素/装置の量は、1つの典型的な実施形態を例示する意図であり、本開示の範囲を限定しないことに留意されたい。
【0049】
各アレイは、HAWT100のような複数の水平軸風力タービンを備える。典型的な実施形態では、アレイは、図2Bに示すアレイフレームを形成する支柱212及び横梁211の構成物で建設することができる。アレイフレームは、バージ船に接続/固定され、実際に、バージ船デッキ260構造の一体部分を構成することができる。さらに、アレイフレームは、回転するタービンによって生じるモーメントに耐えるために、頑丈な鋼製ケーブル201によってバージ船デッキ260に固定することができる。典型的な実施形態では、アレイ当たりより多くのHAWT100を装着するために、横梁211の一部分が、実際にREB200の着水区域を越えることがある。バージ船デッキ260のような一定のバージ船の長さ及び幅は、支柱及び横梁の数、従ってHAWT100の総数を決定することは明らかである。
【0050】
アレイフレームには、一定のアレイフレーム上に多数のタービンを適合させることを意図した形態で、HAWT100のような複数のタービンを埋め込むことができ、これにより風に対する表面領域の利用が最大になる。図2Bの典型的な実施形態に示したアレイフレームは5本の支柱212を含み、4本の横梁211は、40個のHAWT100を支持することができ、それらは一緒に約100MW~150MWを生成することができる。これに加えて又はこれに代えて、アレイ210及び230は、同一にすることができ、REB200上で互いに平行に組み立てることができる。さらに、図2Cに示すように、アレイ220の高さは、アレイ210及び230に対してずれていても良い。さらに、図2Aに示すように、アレイ220の縦方向の位置は、アレイ210及び230に対してずれていても良い。REB200上の全てのHAWT100は同じ方向に面することができるので、アレイ間の高さのずれ及び縦方向のずれが、互いに空気力学的な干渉を避けるために必要になることがある。
【0051】
図2Bに例示する破線の円は、ブレードの先端の移動経路を表す。風の強さは、一般に高度が上がるにつれて上昇するため、HAWTの頂部の列で利用するエネルギは、底部の列よりも多くなる。HAWTの底部の列のシャフトは、バージ船デッキ260の約100メートル上方(即ち、デッキからの底部横梁211の高さ)に配置することができる。ブレードの翼長が約100メートルの場合には、デッキから第2の横梁211までの高さは、210メートル(10メートルはゆとりである)にすることができる。その結果、第3の横梁211の高さは320メートルとし、頂部横梁211の高さは430メートルとすることができる。典型的な実施形態では、底部の列に取り付けたHAWT100は5メガワット(MW)を生成でき、第2の列のHAWT100は7MWを生成でき、第3の列のHAWT100は9MWを生成でき、頂部の列のHAWT100は11MWを生成できる。従って、底部の列の10個のHAWT100は50MWを生成でき、第2列の11個のHAWT100は77MWを生成でき、最下列の10個のHAWT100は90MWを生成でき、底部の列の9個のHAWT100は99MWを生成でき、これらにより1つのアレイにつき合計316MWとなり、3つの同一のアレイにつき900MWを上回ることになる。
【0052】
一部の典型的な実施形態では、REB200は、その指定位置にて海底に錨で固定することができる。錨は、プラットフォームが風の向きになり、風のエネルギを最適に利用するように構成されており、従って錨は、これに接続されたプラットフォームを自由に回転させ得るハブを備えることができる。最適な向きへの向きの変更は、REB200に結合されたフィン、フラップ、プロペラのような特徴の存在によって相応に起こり、REB200は、コントローラ利用型風力センサーが制御するモータによって駆動される。
【0053】
一部の開示された主題の典型的な実施形態では、REB200は、バージ船デッキ260に設置できる、複数の光起電力(PV)パネル266を備えることができる。12ボルトDCの公称電圧(通常はバッテリを充電するために使用する)では、約1メートル×2メートルの寸法であり得る典型的なパネルのピーク電力定格は、パネルの効率に応じて100ワットから300ワットとされる。一部の典型的な実施形態では、サイズが約900メートル×400メートル(360,000m)である図2Aに示したREB200は、最大150,000パネル(60,000mの点検エリアを除いて)までに適応することができ、それは、15MWから45MWの収穫高に変換される。明らかに、このタイプの再生可能なエネルギは昼間に限られ、その有効性は気象条件によって変動することがある。これらの要因の他に、PV結果がDC電流で実際に測定されるという事実により、蓄電池群にエネルギを貯蔵する必要性が決定され、エネルギは、後でAC電流に反転される。蓄電池群及びインバータについては後述する。
【0054】
一部の開示された主題の典型的な実施形態では、再生可能なエネルギの性質、及び収穫高が電力需要と同期しないことにより、REB200は、エネルギを貯蔵する能力を有することができる。REB200に含まれる資源からのエネルギ収穫高は、複数のHAWT100、複数のPVパネル266、複数の海波発電機(後述する)、これらの組み合わせ、又はその他同様なものを備えることができる。一部の典型的な実施形態では、エネルギは、バッテリ、蓄圧器、重力位置エネルギ、これらの組み合わせ、又はその他同様なものに貯蔵することができる。これに加えて又はこれに代えて、過剰なエネルギは、REBに搭載された海水淡水化設備に差し向けることができ、淡水化された水は、REBと並んで係留したタンカー船にポンプ輸送することができる。これに加えて又はこれに代えて、利用されたエネルギの一部は、REB200上の様々な装置の保守及び多用途などの目的のために貯蔵することができる。圧力の形態で貯蔵されたエネルギは圧力タンクに貯蔵することができ、圧力タンクは、バージ船デッキ260の上又は下に、タービンの支柱の内部に、その組み合わせ、又はその他同様なものに配置されている。一部の実施形態では、利用されたエネルギの少なくとも一部は、REB200又はその荷重を上昇させることによって、位置エネルギの形態で貯蔵することができる。
【0055】
一部の開示された主題の典型的な実施形態では、REB200は、電気構造(ES)262を備えることができる。ES262は、3つのセクション、即ち電気セクション、電池セクション、制御セクション及びその他同様なものに仕切った耐候性構造にすることができる。
【0056】
一部の典型的な実施形態では、電気セクションは、REB200電力網、DC-ACインバータ、昇圧器、送電及び配電、これらの組み合わせ、又はその他同様なものを含むことができる。配電系統は、REB200資源によって生成された全てのAC電力を集めるために利用することができる。集めたAC電力は、送電及び配電要件を満たすために、昇圧器に供給することができる。次いで、電力は、REB200の図4に示した指定ポール424で終端することができる。さらに、電力は、REB200要件の多用途及び配電保守パネルに転用することができる。DC-ACインバータは、バッテリに貯蔵したDC電流をAC電流に変更するために利用することができ、AC電流は、残りのAC電力資源と一緒に配電系統に集める。
【0057】
一部の典型的な実施形態では、電池セクションは複数のバッテリを備え、それらは、複数のPVパネル26及び複数の海波発電機(後述する)から収穫したエネルギを貯蔵するように構成できる。これに加えて又はこれに代えて、電池セクションは、複数のHAWT100によって生成されたAC電流をDC電流に変更するように構成された整流器を備え、これにより複数のHAWT100によって生成された過剰な電力がオフピーク時に貯蔵される。
【0058】
一部の典型的な実施形態では、制御部は、全ての資源、及びREB200の動作の他に通信に関連する態様を制御するように構成されたコンピュータ制御システム(CCS)を備えることができる。
【0059】
一部の典型的な実施形態では、CCS(図示しない)は、情報及び命令を送信及び/又は受信するように構成されたデバイス、アクチュエータ及びセンサーのような入力/出力(I/O)素子を備えることができる。I/O素子は、インターネットに接続された全地球測位システム(GPS)、プログラマブル論理制御装置(PLC)、温度センサー、湿度センサー、風速及び風向センサー、波センサー、レーダー、水深ゲージ、衛星通信、GPRS及びGSM通信、これらの組み合わせ、又は同様なものを備える群から選ぶことができる。
【0060】
一部の典型的な実施形態では、CCSは、REB200がその指定位置から漂流しなかったことを絶えず検証するために、GPS情報を利用することができる。このような情報に基づいて、CCSは、REB200のプロペラ(図示しない)を作動させて、REB200をその位置に戻すことができる。これに加えて又はこれに代えて、CCSは、REB200のプロペラを作動させてREB200を風に向かうその最適な向きにし、これにより複数のHAWT100の収穫高を最適化することができる。CCSは、上に列挙した気象センサーから得られた気象情報に基づいて、REB200の最適な向きを決定することができる。これに加えて又はこれに代えて、CCSは、上に列挙したセンサーから得られた気象情報に基づいて、太陽に対するREB200の最適な向きを決定して、複数のPVパネル26の収穫高を最適化することができる。これに加えて又はこれに代えて、CCSは、波情報センサーに基づいて、波方向に関するREB200の最適な向きを決定して、複数の海波発電機(後述する)収穫高を最適化することができる。
【0061】
一部の典型的な実施形態では、CCSは、REB200上の各エネルギ収穫資源を、その専用PLCを介して監視及び制御するように構成できる。一例として、許容限界を超える風速の決定に際して、CCSは、安全上の理由から、HAWT100の頂部の列を無効にすることができる。さらに、エネルギ収穫資源のPLCは、保守の目的で、各資源の機能不全及び性能情報を表すことができる。
【0062】
一部の典型的な実施形態では、CCSは、海岸需要に基づいて、海岸への送信及び配電を監視及び制御するように構成できる。従って、CCSは、過剰のエネルギを、貯蔵所、海水淡水化設備、これらの組み合わせ、又はその他同様なものに差し向けることができる。典型的な実施形態では、CCSは、衛星及び/又はGPRSネットワークを介して通信されるインターネットプロトコルによって、海岸から遠隔的に監視及び/又は制御することができる。さらに、CCSは、気象情報、又は同様なものを得るためにインターネットを利用することができる。
【0063】
以下、複数のSWG250を備えるREB200の構造の拡大断面図を示す図3を参照すると、REB200は、開示された主題の一部の典型的な実施形態に従って、半潜水型掘削船に配置されている。
【0064】
一部の典型的な実施形態では、REB200の構造は、直径が少なくとも3メートルの複数の浮遊導管240に基づくことができる。REB200は浮遊システムを備え、浮遊システムは、導管240に気体又は海水を充填して、それぞれREB200の浮遊又は部分潜水の何れかが可能となるように構成されている。敷地555のような浅水域では、又はREB200を海中に曳航している間に、REB200は、その浮遊システムによって最大浮遊高さにもたらすことができる。その代りに、REB200は、浮遊システムによるエネルギ収穫のために選んだ敷地で、半潜水状態にすることができる。一部の典型的な実施形態では、導管が損傷した場合に気体が過度に損失するのを防止するために、導管を区分に分けることができる。導管は、例えばゴム製の内側チューブを備え、内側チューブは、導管を漏れ防止性にするのに役立つことができる。複数の密封された導管240の各密封された導管240は、REB200を横切って延び、全ての支柱212の土台の他にバージ船デッキ260を構成することに留意されたい。
【0065】
一部の開示された主題の典型的な実施形態では、REBは、バージ船デッキ260の下に位置する複数の海波発電機(SWG)250を含むことができる。一部の典型的な実施形態では、SWG250は、バージ船デッキ260の下に設置された三相永久磁化線形発電機に基づいている。発電機の他端は、海面288上に浮遊するエネルギ吸収ブイに接続されている。波が動くと、流体力学的作用により、ブイが強制的に浮力運動で動く。ブイの動きにより、次に発電機内のスライダが駆動され、結果的にステータ巻線に電流が誘導される。スライダは、波の谷内でスライダを引っ込めるばねで発電機土台に接続されている。REB200は、その巨大なサイズのおかげで波動に対して実質的に弾力性があり、従ってほぼ海底のように安定していると感じることを理解されたい。従って、SWG250の非常に小さいブイの直線運動は、海波のエネルギを反映する。一部の典型的な実施形態では、SWG250の直線ストロークは5メートルよりも長くても良い。さらに、発電機とSWG250の機械的構造とは、電気歪み及び機械的歪みに関して大きな過負荷に対処することができる。誘導電流は振幅及び周波数の両方が変化するため、生じた電力を送電系統に直接送電することはできない。従って、複数のSWG250は図2AのES262に接続することができ、ES262にて、複数のSWG250からの電流は、整流されかつ蓄電池群を充電し、後でAC電流に反転される。
【0066】
本開示は、上述したような線形の海波発電機の利用に限定されないことに留意されたい。本開示の範囲を変更することなく、他のタイプの海波発電機が利用できる他に、異なる海波発電機の組み合わせを使用することができる。
【0067】
送電線(PTL)420の隣に浮かぶREBの敷地レイアウトを示す図4を参照すると、開示された主題の一部の典型的な実施形態による、各REB200がPTL420を介して陸上送電網に接続されている。
【0068】
各REBは、複数のエネルギ形態を3相又は6相交流(AC)に変換できる、自己完結型発電所として視覚化できることに留意されたい。REBを建造するための好ましいプロセスは、建設の大部分又は全てを造船所で行うことであるということにも留意されたい。REBは浮遊式で海上輸送が可能なため、敷地内で行うために残っている唯一の主要な作業は、AC電力を海岸に運ぶPTL420にREBを接続することである。
【0069】
一部の典型的な実施形態では、各REBの出力(即ち、AC電力)は、PTL420を介して海岸へ送電することができ、各REB200は、PTL420の少なくとも1つのケーブル分岐422によってPTL420に接続することができる。PTL420は、少なくとも1つのREB、全てのREB船隊及びその一部の出力結果を運ぶ少なくとも1本の電力ケーブルを備えることができる。一部の実施形態では、PTL420は、海面下に沈め、海底に置いた電気海底電力ケーブルにすることができる。他の実施形態では、PTL420は、海岸からREB船隊の敷地まで伸びるドックに設置された防水電力ケーブルにすることができる。ドックは、浮遊ドック又は高架ドックの何れかにすることができる。これに加えて又はこれに代えて、浅水域の実施形態では、PTL420は、架線導体用のポールによって支持された架空送電線にし、この場合、ポールは海底に固定することができる。少なくとも1つのPTL420は、海底電力ケーブル、ドックに設置された防水ケーブル、架空送電線、これらの組み合わせ、又はその他同様なものにできることに留意されたい。
【0070】
少なくとも1つの分岐422の各々は、REBのAC電力出力を少なくとも1つのPTL420に接続するために採用された、コネクタ又は他の高電力電気端子で終端することができる。一部の典型的な実施形態では、分岐422の終端は、海水面上に実質的に突出しているポール424の頂部に設置することができ、ポール424は、敷地の所定の場所でコアの中に入れたブイに接続される。少なくとも1つの分岐422は、海底電力ケーブル、ドックに設置された防水ケーブル、架空送電線、これらの組み合わせ、又はその他同様なものにできることに留意されたい。
【0071】
一部の典型的な実施形態では、各REBは、その専用のポールへの距離を保つために固定することができる。錨がREBの回転軸として機能することができ、その理由は、各REBは、風に面するためにその軸の周りに時々回転する必要があるためである。
【0072】
以下、埠頭を有する都市部の海岸線を示す図5を参照すると、開示された主題の一部の典型的な実施形態によるREBの群によって都市部の配電網が維持されている。
【0073】
REBの船隊によって生成されPTL420を介して輸送されて集めた電力は、海岸線の近くに存在するAC電源敷地500で終端することができる。
【0074】
一部の典型的な実施形態では、AC電源敷地500は、動力装置(即ち、発電所)、一次送電設備、二次送電設備、一次配電設備、二次配電設備、これらの組み合わせ、又はその他同様なものにすることができる。一部の実施形態では、REBの船隊によって生じた集めた電力は、AC電源敷地500のような既存の発電所を補うために利用できることに留意されたい。他の実施形態では、REBの船隊によって生じた集めた電力は、送電ステーション又は配電ステーションの何れかを介して配電網に追加することができる。
【0075】
図5に示すように、REB200は、建設敷地555に建設することができる。典型的な実施形態では、建設敷地555は、港内に或いは埠頭、岸壁、埠頭地域、これらの組み合わせ、又は同様なものに沿って配置された工場、造船所、貨物置場、又はその他同様なものであっても良い。一部の開示された主題の典型的な実施形態では、建設敷地555は、図1のHAWT100のような風力タービン及びREB上の他の資源を組み立てるための適切なクレーンを備えることができる。敷地555はまた、REB200のバージ船を建設し、取り扱い、運搬するための1つ又は複数のドック、船舶建造装置及び他の特徴を備えることができる。ロータブレードは、陸上では全く輸送されず、海上によって敷地555に運送され、又は敷地555自体で建設され、或いは他の場所で部分的に建造され、敷地555で完成することが好ましい。さらに、敷地555は、図3のSWG250のような海波発電機、図2AのPV266のような光起電性パネル、電池、蓄圧器、重力による荷重、REB200の向きを変えるのに必要なモータ及びプロペラ、AC電力導体、REB200を回転させるためのコンピュータ制御されたセンサー及び全ての必要な装置から選んで組み立てるように選定されてよい。
【0076】
一部の開示された主題の典型的な実施形態では、REB200は、引き船によって用役海洋敷地に曳航することができる。海洋敷地は、海岸線から2km~20kmの地域的距離に位置することができる。いくつかの基準の中で、特に海岸からの距離は、水深(30メートル以上)及び波長によって決まる。
【0077】
本発明は、その特定の実施形態と併せて説明しているが、当業者には多くの代替、変更及び変形が明白であることは明らかである。従って、添付の特許請求の範囲の精神及び広範な範囲内に属するそのような代替物、改変物及び変形物の全てを包含することを意図している。本明細書中で言及した全ての刊行物、特許及び特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許又は特許出願が具体的かつ個々に表されて参照により本明細書に組み込まれるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。さらに、本出願におけるいかなる参考文献の引用又は特定も、そのような参照が本発明の先行技術として利用可能であることを承認するものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0078】
100 HAWT
200 REB
201 ケーブル
211 横梁
212 支柱
240 導管
250 SWG
260 バージ船デッキ
288 海面
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5